IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

<>
  • 特許-建築物構築方法 図1
  • 特許-建築物構築方法 図2
  • 特許-建築物構築方法 図3
  • 特許-建築物構築方法 図4
  • 特許-建築物構築方法 図5
  • 特許-建築物構築方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】建築物構築方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/05 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
E02D29/05 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021112367
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008648
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 太志
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隆一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-296243(JP,A)
【文献】特開2000-355941(JP,A)
【文献】特開2013-256793(JP,A)
【文献】特開2014-218862(JP,A)
【文献】特開平10-8468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0233617(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00
E02D 29/045-37/00
E04G 21/14 -21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆打ち工法により建築物を構築する建築物構築方法であって、
根入れ部の上側にスタッド取付け予定部を有する逆打ち支柱を、地盤に設けられた杭孔に挿入する工程と、
前記地盤に設置した架台と、前記スタッド取付け予定部に装着されて前記杭孔の壁面に当接するジャッキとにおいて、前記杭孔に挿入された前記逆打ち支柱を鉛直姿勢に支持する工程と、
前記杭孔にコンクリートを打設して、前記逆打ち支柱を前記根入れ部においてコンクリート杭に固定する工程と、
前記地盤を掘削した後、前記ジャッキが取り外された前記スタッド取付け予定部に複数のスタッドを取り付ける工程と、
コンクリートを打設して複数の前記スタッドが埋設される水平部材を形成する工程と、を有することを特徴とする建築物構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆打ち工法により建築物を構築する建築物構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上部分と地下部分とを有する建築物を構築する工法として、逆打ち工法が知られている。逆打ち工法では、地下架構を構築するために地盤を掘削する前に、建築物の地上部分を支持するための逆打ち支柱を地盤に設けた杭孔に建て込んでおくことで、地盤を掘削して耐圧盤を形成するなどの地下架構の構築を行いつつ、逆打ち支柱上への地上部分の構築を並行して行うことができる。これにより、地下部分の構築を完了した後に地上部分の構築を進める工法に比べて、建築物の工期を短縮することができる。
【0003】
このような逆打ち工法において、逆打ち支柱は、杭孔に挿入された後、杭孔にコンクリートが打設されることで根入れ部において場所打ちのコンクリート杭に固定され(先入れ工法)、あるいは杭孔にコンクリートが打設された後、当該コンクリートに挿入されることで根入れ部において場所打ちのコンクリート杭に固定される(後入れ工法)。
【0004】
従来、コンクリート杭が硬化するまでの間、逆打ち支柱を杭孔内において鉛直姿勢に支持するために、逆打ち支柱の側面にパンタグラフ式のジャッキを装着しておき、杭孔に挿入した逆打ち支柱を、地盤に設置した架台と杭孔の壁面に当接させたジャッキの2か所において鉛直姿勢に支持するようにした技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、従来、逆打ち支柱の根入れ部の上側部分の側面に複数のスタッドを上下方向及び水平方向に間隔を空けて並べて取り付けておき、逆打ち支柱を杭孔に挿入してコンクリート杭に固定した後、コンクリート杭の上端位置まで掘削した地盤の底部にコンクリートを打設して耐圧盤を形成する際に、スタッドを耐圧盤に埋設させることで逆打ち支柱と耐圧盤とを一体化させるようにした技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-218862号公報
【文献】特開2013-256793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
逆打ち支柱が鉛直方向に対して傾斜した姿勢でコンクリート杭に固定されると、梁との取り合い、地上部分の施工などに大きな影響を及ぼすため、コンクリート杭が硬化するまでの間、架台とジャッキとにより逆打ち支柱を精度良く鉛直姿勢に支持することが求められる。架台とジャッキとにより逆打ち支柱を精度良く鉛直姿勢に支持するためには、ジャッキを逆打ち支柱のできるだけ下側部分に装着して、架台とジャッキとの上下方向の間隔を広げるのが効果的である。
【0008】
しかし、上記従来技術では、逆打ち支柱の根入れ部の上側部分には、逆打ち支柱を耐圧盤と一体化するための複数のスタッドが工場において予め取り付けられるので、ジャッキを、逆打ち支柱のスタッドが取り付けられる部分のさらに上側に装着する必要があり、ジャッキを逆打ち支柱の根入れ部の直上位置にまで下げて装着することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、逆打ち支柱に装着するジャッキの位置を下げて杭孔に建て込む逆打ち支柱の鉛直度を高めることが可能な建築物構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の建築物構築方法は、逆打ち工法により建築物を構築する建築物構築方法であって、根入れ部の上側にスタッド取付け予定部を有する逆打ち支柱を、地盤に設けられた杭孔に挿入する工程と、前記地盤に設置した架台と、前記スタッド取付け予定部に装着されて前記杭孔の壁面に当接するジャッキとにおいて、前記杭孔に挿入された前記逆打ち支柱を鉛直姿勢に支持する工程と、前記杭孔にコンクリートを打設して、前記逆打ち支柱を前記根入れ部においてコンクリート杭に固定する工程と、前記地盤を掘削した後、前記ジャッキが取り外された前記スタッド取付け予定部に複数のスタッドを取り付ける工程と、コンクリートを打設して、複数の前記スタッドが埋設される水平部材を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、逆打ち支柱に装着するジャッキの位置を下げて杭孔に建て込む逆打ち支柱の鉛直度を高めることが可能な建築物構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る建築物構築方法に用いられる逆打ち支柱のヤットコ及びジャッキが取り付けられた状態の正面図である。
図2】ジャッキの詳細を示す図である。
図3】(a)は、地盤に設けた杭孔を示す図であり、(b)は同図(a)に示す杭孔に鉄筋を建て込んだ状態を示す図である。
図4】(a)は、図1に示す逆打ち支柱を杭孔に挿入した状態を示す図であり、(b)は、逆打ち支柱が挿入された杭孔にコンクリートを打設した状態を示す図である。
図5】地盤をコンクリート杭の上端位置まで掘削した後、ジャッキが取り外されたスタッド取付け予定部に複数のスタッドを取り付けた状態を示す図である。
図6】地盤の底部に、スタッド取付け予定部よりも上方にまでコンクリートを打設して耐圧盤を形成した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る建築物構築方法について、図面を参照しつつ詳細に例示説明する。
【0014】
図1に示す逆打ち支柱1は、本発明の一実施形態に係る建築物構築方法において、地盤に設けられた杭孔に建て込まれるものである。
【0015】
逆打ち支柱1は、矩形断面の鋼管により所定の長さの真っ直ぐな柱状に形成されている。逆打ち支柱1の内部は中空である。逆打ち支柱1の下端から所定高さまでの下側部分は根入れ部2となっている。根入れ部2は、逆打ち支柱1の、杭孔に打設されたコンクリートに挿入されて当該コンクリートが硬化したコンクリート杭に固定される部分である。
【0016】
逆打ち支柱1は、根入れ部2の上側にスタッド取付け予定部3を有している。本実施形態では、逆打ち支柱1の根入れ部2の上端から所定高さまでの部分がスタッド取付け予定部3となっている。スタッド取付け予定部3は、逆打ち支柱1を建築物の地下部分を構成する、例えば、梁、スラブ、耐圧盤などの水平部材と一体化するためのスタッドが取り付けられる部分である。本実施形態の建築物構築方法では、逆打ち支柱1を杭孔に挿入する際に、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3における側面にスタッドは未だ取り付けられていない。スタッド取付け予定部3は、例えば、スタッドを挿入するための取付孔3aを備えた構成とすることができるが、取付孔3aを備えない構成としてもよい。
【0017】
逆打ち支柱1は、上端から下端までの全体が矩形断面の鋼管により形成された構成に限らず、例えば、上側部分が矩形断面の鋼管により形成され、下側部分がいわゆるクロスH形鋼で形成された構成とするなど、その形状ないし構成は適宜変更可能である。
【0018】
逆打ち支柱1を杭孔に挿入する際、逆打ち支柱1の上端に、ヤットコ(仮杭)10を取り付けるようにしてもよい。ヤットコ10としては、例えば、逆打ち支柱1と同一寸法の矩形断面の鋼管により所定の長さの真っ直ぐで中空の柱状に形成され、上端部に一対の吊下げ用フック11を備えるとともに、側面に落下防止用の複数の羽根状のストッパ12が固定された構成のものを用いることができる。
【0019】
本実施形態の建築物構築方法では、杭孔に挿入する逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3における側面にジャッキ20を装着する。本実施形態では、断面矩形の逆打ち支柱1の4つの側面に、それぞれジャッキ20を装着する。なお、図1においては、便宜上、3つのジャッキ20のみを示す。ジャッキ20は、逆打ち支柱1を杭孔に挿入する前に逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3における側面に装着してもよく、逆打ち支柱1を杭孔に挿入した後に、前逆打ち支柱1に沿って杭孔の内部を下降させてスタッド取付け予定部3における側面に装着するようにしてもよい。
【0020】
本実施形態に係る建築物構築方法では、逆打ち支柱1を杭孔に挿入する際には、スタッド取付け予定部3にスタッドは取り付けられていないので、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3における側面にジャッキ20を取り付けることができる。ジャッキ20は、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3における側面の可能な限り下方側に装着するのが好ましい。
【0021】
ジャッキ20としては、例えば、図2に示すように、一方のリンクがベース板21に回動自在に支持され、他方のリンクが油圧シリンダ22の駆動ロッド22aに回動自在に支持されるとともに外側端に押圧板23が回動自在に連結されたリンク機構24を備えたパンタグラフ式のものを用いることができる。この場合、ジャッキ20はベース板21において、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3における側面に固定される。ジャッキ20は、油圧シリンダ22の駆動ロッド22aにより一方のリンクが駆動されることで、リンク機構24が水平方向に伸縮するように作動する。ジャッキ20の作動の制御は、杭孔の外から遠隔で行うことができる。
【0022】
次に、本実施形態に係る建築物構築方法を用いた逆打ち工法により建築物を構築する手順について説明する。
【0023】
まず、図3(a)に示すように、逆打ち工法により建築物を構築する建設現場の地盤30の、逆打ち支柱1の立設予定位置に、ドリルなどの掘削装置を用いて所定深さの杭孔31を掘削する。図示する場合では、杭孔の形状は、底部のみが拡径する円筒状となっているが、その形状は適宜変更可能である。次に、図3(b)に示すように、杭孔31の底部側の所定位置に鉄筋32を建て込む。
【0024】
次に、図4(a)に示すように、上端にヤットコ10を取り付けるとともにスタッド取付け予定部3に4つのジャッキ20を装着した逆打ち支柱1を、ヤットコ10の吊下げ用フック11に接続したワイヤー33を用いてクレーン(不図示)で吊り下げて、下端側から杭孔31に挿入する。このとき、杭孔31の開口部の上方に架台34を設置し、架台34に設けたガイドローラ35で逆打ち支柱1及びヤットコ10を案内しながら垂直姿勢で杭孔31に挿入する。
【0025】
逆打ち支柱1が、その下端が杭孔31の所定深さに達する位置まで挿入されると、ストッパ12が架台34に支持されて、逆打ち支柱1は当該位置に保持される。逆打ち支柱1の上下方向位置は、架台34に設けたジャーナルジャッキ36で調整する。このように、逆打ち支柱1は、杭孔31に所定深さまで挿入された状態において、ヤットコ10を介して架台34に支持される。
【0026】
次に、4つのパンタグラフ式のジャッキ20を開いて杭孔31の壁面に押圧板23を当接させる。これにより、逆打ち支柱1を、地盤30に設置した架台34と押圧板23を杭孔31の壁面に当接させたジャッキ20との上下方向に離れた2か所において鉛直姿勢に支持する。また、4つのパンタグラフ式のジャッキ20の開き加減及びガイドローラ35の位置を調整することで、逆打ち支柱1の鉛直度が所定範囲内となるように適宜調整する。逆打ち支柱1の鉛直度の測定は、逆打ち支柱1の外周面に取り付けた傾斜計(不図示)を用いて行うことができる。
【0027】
ここで、本実施形態に係る建築物構築方法では、逆打ち支柱1を地盤30に設けられた杭孔31に挿入する際に、逆打ち支柱1の根入れ部2の上側のスタッド取付け予定部3に、スタッドを取り付けることなくジャッキ20を装着するようにしているので、予めスタッドが取り付けられることで、逆打ち支柱のスタッドが取り付けられた部分よりも上方側にしかジャッキを装着することができない従来の方法に比べて、ジャッキ20を逆打ち支柱1のより下方側の部分に装着することができる。よって、架台34とジャッキ20との上下方向の間隔を従来のものより広くして、架台34とジャッキ20とにより、逆打ち支柱1をより精度良く鉛直姿勢に支持することができる。
【0028】
また、本実施形態に係る建築物構築方法では、逆打ち支柱1の上端にヤットコ10を取り付け、杭孔31に挿入された逆打ち支柱1を、ヤットコ10を介して架台34に支持させるようにしたので、逆打ち支柱1の架台34による上側の支持点の位置を、より上方側に配置することができる。よって、架台34とジャッキ20との上下方向の間隔を、ヤットコ10を用いない場合に比べてより広くして、架台34とジャッキ20とにより、逆打ち支柱1をより精度良く鉛直姿勢に支持することができる。
【0029】
次に、図4(b)に示すように、架台34とジャッキ20とにより逆打ち支柱1を鉛直姿勢に支持したまま、杭孔31にトレミー管37を建て込み、トレミー管37を通して杭孔31の内部に底面から根入れ部2の上端位置となる高さにまでコンクリート38を打設する。杭孔31の内部にコンクリート38が打設されると、鉄筋32及び逆打ち支柱1の根入れ部2がコンクリート38の内部に埋設される。杭孔31の内部に打設したコンクリート38が固まると、逆打ち支柱1は根入れ部2において硬化したコンクリート38すなわち鉄筋32が埋設された場所打ちのコンクリート杭に固定される。このようにして、逆打ち支柱1を根入れ部2においてコンクリート杭に固定する。
【0030】
必要に応じて、同様の手順で、建築物に必要な所定本数の逆打ち支柱1を、地盤30に設けた所定数の杭孔31のそれぞれのコンクリート杭に固定する。
【0031】
全ての逆打ち支柱1が杭孔31のコンクリート(コンクリート杭)38に固定されると、ヤットコ10及び4つのジャッキ20を取り外し、杭孔31を埋め戻した後、図5に示すように、逆打ち支柱1に支持させて建築物の地上部分40を構築する作業を進めるとともに、地盤30を、地下部分を構築するのに必要な広さとなるように、逆打ち支柱1の根入れ部2を固定するコンクリート杭の上端位置まで掘削する。
【0032】
次に、地盤30の掘削により外部に露出するとともにジャッキ20が取り外されたスタッド取付け予定部3に複数のスタッド50を取り付ける。複数のスタッド50は、例えば、上下方向及び水平方向に互いに所定間隔を空けて並べて取り付ける。図5では、便宜上、1つのスタッド50にのみ符号を付してある。それぞれのスタッド50は、ヘッド部を外側に向けて逆打ち支柱1の側面から突出するように取り付ける。複数のスタッド50は、例えば、スタッド取付け予定部3に設けた取付孔3aにねじ込むことでスタッド取付け予定部3に固定するようにしてもよく、溶接等によってスタッド取付け予定部3に固定するようにしてもよい。
【0033】
次に、図6に示すように、地盤30の底部に、トレミー管37からコンクリートを打設して、建築物の地下部分41を構成する、例えば梁、スラブ、耐圧盤などの水平部材39を形成する。図6は、地盤30の底部に水平部材39として耐圧盤を形成した場合を示す。このとき、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3の表面に取り付けられた複数のスタッド50はコンクリートの内部に位置するので、水平部材39が硬化すると、スタッド50が水平部材39に埋設されて逆打ち支柱1と水平部材39とが一体化する。水平部材39を形成した後、建築物の地下部分41を構築する作業を進める。
【0034】
このように、本実施形態に係る建築物構築方法では、逆打ち支柱1の根入れ部2の上側のスタッド取付け予定部3に、スタッドを取り付けることなく、ジャッキ20を装着して逆打ち支柱1を地盤30に設けられた杭孔31において垂直姿勢に支持するようにしたので、予めスタッドが取り付けられることで、逆打ち支柱のスタッドが取り付けられた部分よりも上方側にしかジャッキを装着することができない従来の方法に比べて、ジャッキ20を逆打ち支柱1のより下方側の部分に装着することができる。これにより、本実施形態に係る建築物構築方法によれば、架台34とジャッキ20との上下方向の間隔を従来のものより広くして、架台34とジャッキ20とにより、逆打ち支柱1をより精度良く鉛直姿勢に支持することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る建築物構築方法では、杭孔31にコンクリート38を打設して逆打ち支柱1を根入れ部2においてコンクリート杭に固定した後、地盤30をコンクリート杭の上端位置まで掘削し、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3からジャッキ20を取り外した後、スタッド取付け予定部3に複数のスタッド50を取り付けるようにしたので、予めスタッドを取り付けた逆打ち支柱を杭孔に挿通するようにした従来技術と同様に、地盤30の底部にコンクリートを打設して形成した水平部材39にスタッド50を埋設させて逆打ち支柱1と水平部材39とを一体化することができる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る建築物構築方法では、逆打ち支柱1をコンクリート杭に固定した後、地盤30をコンクリート杭の上端位置まで掘削する際には、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3にスタッド50は取り付けられていないので、スタッドを痛めることなく逆打ち支柱1の近傍の地盤を重機等により容易に掘削することができる。また、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3にスタッド50を取り付ける前に、コンクリート杭の余盛を処理する杭頭処理を行うことで、スタッドを痛めることなく杭頭処理を容易に行うことができる。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0038】
例えば、前記実施形態においては、逆打ち支柱1のスタッド取付け予定部3に装着するジャッキ20として、図2に示すようなパンタグラフ式のものを用いるようにしているが、逆打ち支柱1の側面に装着されて逆打ち支柱1を杭孔31の内部に水平方向位置を調整可能に支持することができるものであれば、ジャッキ20として他の構成のものを用いてもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、逆打ち支柱1を杭孔31に挿入した後、杭孔31にコンクリート38を打設する(先入れ工法)ようにしているが、杭孔31に予めコンクリート38を打設した後、当該コンクリート38が硬化する前に、逆打ち支柱1を杭孔31に挿入する(後入れ工法)ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 逆打ち支柱
2 根入れ部
3 スタッド取付け予定部
3a 取付孔
10 ヤットコ
11 吊下げ用フック
12 ストッパ
20 ジャッキ
21 ベース板
22 油圧シリンダ
22a 駆動ロッド
23 押圧板
30 地盤
31 杭孔
32 鉄筋
33 ワイヤー
34 架台
35 ガイドローラ
36 ジャーナルジャッキ
37 トレミー管
38 コンクリート
39 水平部材
40 地上部分
41 地下部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6