(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20250121BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20250121BHJP
【FI】
G09B19/00 H
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2021567334
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2020046929
(87)【国際公開番号】W WO2021131954
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2019239553
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 正和
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-138961(JP,A)
【文献】特開2018-129032(JP,A)
【文献】特開2014-215571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56
G09B 17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定する評価部
を具備
し、
前記相関関係は、第1のタイミングの第1の学習者行動情報と、前記第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの前記教育者行動情報と、前記第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの第2の学習者行動情報との相関関係であり、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合よりも前記評価値を高く設定し、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもネガティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定する
情報処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもポジティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合に、記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合よりも前記評価値を低く設定する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記教育者の行動を前記複数の教育者行動パターンのいずれかに分類して前記教育者行動情報を生成し、前記学習者の行動を前記複数の学習者行動パターンのいずれかに分類して前記学習者行動情報を生成し、生成した前記教育者行動情報と前記学習者行動情報とを前記評価部に出力する解析部を具備する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記解析部に対してセンシング結果を出力するセンサ部を具備し、
前記解析部は、前記センシング結果に基づいて、前記教育者の行動と前記学習者の行動とを解析する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記評価値に基づいて前記センシング結果を処理する評価対応処理部を具備する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の情報処理装置であって、
前記評価対応処理部は、前記評価値に基づいて前記センシング結果を編集する
情報処理装置。
【請求項8】
請求項
3に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記教育者の行動を前記複数の教育者行動パターンのいずれかに分類して前記教育者行動情報を生成し、前記学習者の行動を前記複数の学習者行動パターンのいずれかに分類して前記学習者行動情報を生成し、生成した前記教育者行動情報と前記学習者行動情報とを前記評価部に出力する解析部と、前記解析部に対してセンシング結果を出力するセンサ部と、前記評価値に基づいて前記センシング結果を処理する評価対応処理部
とを具備する
情報処理装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の情報処理装置であって、
前記評価対応処理部は、前記評価値に基づいて前記センシング結果を編集する
情報処理装置。
【請求項10】
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定
し、
前記相関関係は、第1のタイミングの第1の学習者行動情報と、前記第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの前記教育者行動情報と、前記第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの第2の学習者行動情報との相関関係であり、
前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合よりも前記評価値を高く設定し、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもネガティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定する
ことをコンピュータシステムが実行する情報処理方法。
【請求項11】
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定するステップ
と、
前記相関関係は、第1のタイミングの第1の学習者行動情報と、前記第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの前記教育者行動情報と、前記第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの第2の学習者行動情報との相関関係であり、
前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合よりも前記評価値を高く設定し、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもネガティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、講義等の評価に適用可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の講義映像分析装置では、講義映像を視聴する受講者が撮影された映像が取得される。取得された映像から受講者の講義に対する肯定的又は否定的な反応が認識され、受講者の講義に対する理解度が推定される。これにより、受講者の理解度の向上と講義映像の内容の改善とに役立てることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような講義等に関する評価に対して新たな技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、講義等に関してこれまでにない評価を行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る情報処理装置は、評価部を具備する。
前記評価部は、教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定する。
【0007】
この情報処理装置では、教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値が設定される。これにより、これまでにない評価を行うことが可能となる。
【0008】
前記相関関係は、前記教育者行動情報と、前記学習者行動情報である第1の学習者行動情報と第2の学習者行動情報との相関関係であってもよい。
【0009】
前記相関関係は、第1のタイミングの前記第1の学習者行動と、前記第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの前記教育者行動情報と、前記第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの前記第2の学習者行動情報との相関関係であってもよい。
【0010】
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合よりも前記評価値を高く設定してもよい。
【0011】
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもポジティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定してもよい。
【0012】
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもネガティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定してもよい。
【0013】
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合に、記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合よりも前記評価値を低く設定してもよい。
【0014】
前記情報処理装置であって、さらに、前記教育者の行動を前記複数の教育者行動パターンのいずれかに分類して前記教育者行動情報を生成し、前記学習者の行動を前記複数の学習者行動パターンのいずれかに分類して前記学習者行動情報を生成し、生成した前記教育者行動情報と前記学習者行動情報とを前記評価部に出力する解析部を具備してもよい。
【0015】
前記情報処理装置であって、さらに、前記解析部に対してセンシング結果を出力するセンサ部を具備してもよい。この場合、前記解析部は、前記センシング結果に基づいて、前記教育者の行動と前記学習者の行動とを解析してもよい。
【0016】
前記情報処理装置であって、さらに、前記評価値に基づいて前記センシング結果を処理する評価対応処理部を具備してもよい。
【0017】
前記評価対応処理部は、前記評価値に基づいて前記センシング結果を編集してもよい。
【0018】
前記情報処理装置であって、さらに、前記評価値に基づいて前記センシング結果を処理する評価対応処理部を具備してもよい。
【0019】
前記評価対応処理部は、前記評価値に基づいて前記センシング結果を編集してもよい。
【0020】
本技術の一形態に係る情報処理方法は、コンピュータシステムにより実行される情報処理方法であって、教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定することを含む。
【0021】
本技術の一形態に係るプログラムは、コンピュータシステムに以下のステップを実行させる。
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】評価システムの一例について説明するための模式図である。
【
図3】評価システム及び情報処理装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【
図4】評価情報の生成の一例を示すフローチャートである。
【
図5】授業におけるTAと生徒の発言及び行動を示す表である。
【
図6】評価値を算出するための評価テーブルの一例である。
【
図7】各生徒の会話のやり取りの相関関係を示す模式図である。
【
図8】授業の部分コンテンツの区分と各部分コンテンツの評価値を示す模式図である。
【
図9】録画が実施される部分コンテンツを示す模式図である。
【
図10】情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
[評価システム]
図1は、本技術に係る評価システムの一例について説明するための模式図である。
本技術に係る評価システム100では、教育者(指導者、又は教える側)1、及び学習者(学ぶ側)2の教育状況に関する種々の評価を実行することが可能である。
例えば
図1に示すように、ユーザ3は、評価システム100を利用することで、教育状況に関する種々の評価を効率よく高精度に実行することが可能となる。
【0025】
教育者1は、学習者2に対して教育内容を教える任意の人物を含む。もちろん教授対象となる内容も限定されず、任意の内容が含まれる。
例えば、「教育者」として、学校で教鞭をとる教師、授業の進行をアシストするTA(Teaching Assistant)、スポーツ等を教えるコーチ、仕事を教える先輩等が挙げられる。その他、チューター、メンター、師匠、親方、指導者等の教える立場にいる任意の人物が含まれる。
【0026】
学習者2は、教育者1により教育内容を学習する任意の人物を含む。上記したように教育者1が教える教育内容は限定されないので、学習者2が学習する内容についても限定されず、任意の内容が含まれる。
例えば、「学習者2」として、学校で学習する生徒、スポーツ等を練習する選手、仕事を学ぶ後輩等が挙げられる。その他、チューティー、メンティー、弟子等の学習する立場にいる任意の人物が含まれる。
なお同じ名称にて呼ばれる立場にいる複数の人物が、教育者1及び学習者2となる場合もあり得る。例えばある生徒が他の生徒に対して勉強等を教える場合には、教える側の生徒が教育者1となり、教わる側の生徒が学習者2となる。
また映像等により教師が表示され、その映像等を視聴しながら生徒が勉強する場合等においては、映像に映っている教師を教育者1と見做し、映像を見ながら学ぶ生徒を学習者2と見做すことも可能である。
【0027】
本開示において教育状況は、教育者1が学習者2に対して教育内容を教え、学習者2が教育内容を学習する任意の状況(シチュエーション)を含む。例えば学校での教室等で行われる教師から生徒への授業、運動場等で行われるコーチから選手への指導、会社で行われる先輩から後輩への説明等が挙げられる。その他、講義、演習、実験、実習、及び実技等の、教育及び学習が行われる任意の状況が含まれる。
【0028】
また教育状況は、教育者1の人数、及び学習者2の人数を限定することなく実現され得る。すなわち以下に示すような様々な状況が考えられる。
1人の教育者1及び1人の学習者2により行われる教育状況
1人の教育者1及び複数の学習者2により行われる教育状況
複数の教育者1及び1人の学習者2により行われる教育状況
複数の教育者1及び複数の学習者2により行われる教育状況
このような様々な教育状況の形態に対して、本技術を適用することが可能である。
なお複数の教育者1が存在する場合には、教える側の属性を有する第1のグループにより行われる教育状況といった表現をすることが可能である。また教育者1は、教える側の属性を有する第1のグループに属する人物とも言える。
同様に、複数の学習者2が存在する場合には、学習側の属性を有する第2のグループにより行われる教育状況といった表現をすることが可能である。また学習者2は、学習側の属性を有する第2のグループに属する人物とも言える。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る評価システム100は、センサ部と、情報処理装置10と、ユーザ端末25とを含む。
センサ部と、情報処理装置10と、ユーザ端末25は、有線又は無線を介して、通信可能に接続されている。各デバイス間の接続形態は限定されず、例えばWiFi等の無線LAN通信や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用することが可能である。
【0030】
センサ部は、教育者1及び学習者2に関する種々のデータを検出することが可能である。例えば、センサ部は、教授及び学習が行われる環境に設置され、周辺で発生する音声を検出可能なマイク4や、周辺の画像を撮影可能なカメラ5等により実現される。
本実施形態では、センサ部によりセンシングされるセンシング結果は、ユーザ3により閲覧/視聴可能なコンテンツとして使用可能なデータと、教育者1及び学習者2の行動を検出するためのデータとの両方を含む。もちろん、コンテンツとして使用可能であり、かつ教育者1及び学習者2の行動を検出するために使用可能なデータ、及びコンテンツとしては使用できないが教育者1及び学習者2の行動を検出するために使用可能なデータも含まれる。
コンテンツとしては、例えば、教育者1及び学習者2の教育状況の映像及び音声等が挙げられる。
教育者1及び学習者2の行動を検出するためのデータとしては、例えば、学習者2から発せられる音圧、教育者1の位置を示す位置情報等が挙げられる。
例えばマイク4により、教育者1及び学習者2から発せられた音声を検出することが可能である。またカメラ5により、教育者1及び学習者2の顔等や教育者1及び学習者2の行動を撮影することが可能である。またカメラ5が配置される教室等の環境の映像を撮影することが可能である。
これらマイク4やカメラ5により検出される音声や映像等は、コンテンツとして使用可能であり、かつ教育者1及び学習者2の行動を検出するためにも使用可能である。もちろん、マイク4やカメラ5により得られる音声や映像等が、必ずしも、コンテンツとして使用され、かつ教育者1及び学習者2の行動を検出するために使用される場合に限定される訳ではない。マイク4やカメラ5により得られる音声や映像等が、コンテンツとしてのみ使用される場合や、教育者1及び学習者2の行動を検出するためのみに使用される場合もあり得る。
センサ部として用いられる具体的なデバイスは限定されない。例えばカメラ5として、デジタルカメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ、偏光カメラ、及びその他のカメラ等の撮像装置が用いられてよい。
また例えば、センサ部として生体センサ、レーザ測距センサ、接触センサ、超音波センサ、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、ソナー、及びビーコン等が用いられてもよい。
これらのデバイスにより検出されるセンシング結果が、コンテンツ、教育者1及び学習者2の行動を検出するためのデータ、あるいはその両方として適宜使用されればよい。
【0031】
情報処理装置10は、例えばCPUやGPU等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、HDD等の記憶デバイス等、コンピュータの構成に必要なハードウェアを有する(
図10参照)。例えばCPUがROM等に予め記録されている本技術に係るプログラムをRAMにロードして実行することにより、本技術に係る情報処理方法が実行される。
例えばPC(Personal Computer)等の任意のコンピュータにより、情報処理装置10を実現することが可能である。もちろんFPGA、ASIC等のハードウェアが用いられてもよい。
本実施形態では、CPUが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとしての評価情報生成部が構成される。もちろん機能ブロックを実現するために、IC(集積回路)等の専用のハードウェアが用いられてもよい。
プログラムは、例えば種々の記録媒体を介して情報処理装置10にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。
プログラムが記録される記録媒体の種類等は限定されず、コンピュータが読み取り可能な任意の記録媒体が用いられてよい。例えば、コンピュータが読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0032】
図1に示すように、情報処理装置10は、教育者1の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報6と、学習者2の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報7との相関関係に基づいて、教育状況に関する評価値を設定する。
教育者1の行動とは、教育状況における教育者1の行動であり、例えば、授業に関する教育者1の発言及び行動を含む。授業に関する教育者1の発言及び行動とは、例えば、学習者2全員に対しての説明、1人の教育者1又は複数の学習者2により構成されるグループに対してアドバイス(発言)等の様々な学習者2に対しての行動が含まれる。なお、教育者1の行動は限定されず、学習者2を対象としない行動も含まれてもよい。例えば、板書や資料への指差し、教育者1同士の会話、又は移動や教育者1の声量等も含まれてよい。
学習者の行動は、教育状況における学習者2の行動であり、例えば、授業に関する学習者2の発言及び行動を含む。授業に関する学習者2の発言及び行動とは、例えば、教育者1への質問、学習者2同士の議論、議論の内容、声量、板書を写す又はメモを取る行為等が含まれる。
なお、板書や発言は、板書や発言を行う行動と、板書や発言の内容とを含む。
また教育者及び学習者の行動は限定されない。例えば、学習者2が教育者1の説明を静聴することや、教育者1が立ち止まって学習者2を見ることも含まれてもよい。また何もしていない、寝る等の教育状況に関係のない行動が含まれてもよい。
教育者行動パターン及び学習者行動パターンは、予め解析部13に登録された教育者1及び学習者2の行動の種類である。例えば、全体への説明、学習者2へのアドバイス、移動、その他等が含まれる。
教育者行動情報6及び学習者行動情報7は、教育者行動パターン及び学習者行動パターンのいずれかに分類された分類結果である。例えば、教育者1がモニターの前にいて発言している等の教育者1の行動が解析された場合、教育者行動パターンのうちの「全体への説明」に分類される。
なお、教育者行動情報6及び学習者行動情報7が生成される方法は限定されない。例えば、情報処理装置10により機械学習が行われることで、教育者1及び学習者2の区別がされ、教育者行動情報6及び学習者行動情報7が生成されてもよい。
例えばDNN(Deep Neural Network:深層ニューラルネットワーク)等を用いた任意の機械学習アルゴリズムが用いられてもよい。例えばディープラーニング(深層学習)を行うAI(人工知能)等を用いることで、教育者行動情報6及び学習者行動情報7の生成精度を向上させることが可能となる。
以下、教育者行動情報6及び学習者行動情報7を行動情報と記載する場合がある。
情報処理装置10により生成された評価値8は、評価対応処理部18に出力される。
教育状況に関する評価値8について、解析部13の分類結果である教育者行動情報と学習者行動情報との相関関係に基づいて、評価部16に予め登録された評価テーブルを参照し、該当する相関関係があった場合にその点数を評価値として設定する。なお、評価テーブルは記録部11に記憶されていてもよい。
【0033】
ユーザ端末25は、ユーザ3により使用可能な種々の装置を含む。例えばPCやスマートフォン等が、ユーザ端末25として用いられる。ユーザ3は、ユーザ端末25を介して、評価システム100にアクセスすることが可能である。例えば、ユーザ3は、ユーザ端末25を用いることで教育状況の評価等の種々の設定を行ったり、コンテンツの閲覧等が可能である。
【0034】
図2は、評価システム100の適用例を示す模式図である。
図2に示す例では、教育者1としてTA34が図示される。また各ポッドA、B、C、Dに4人ずつ学習者2として生徒35が図示される。
本実施形態では、議題に対して生徒35同士で議論が行われ、生徒35が能動的に学習することが可能なアクティブラーニングと呼ばれる授業の形態が教室で実施されている。
TA34は、各ポッドにいる生徒35に対して、アドバイスやファシリテートを行うことで、生徒35をサポートする。各ポッドの生徒35は、議題に対して議論を行い、課題の答えを求める。なお、TA34及び生徒35は、複数人で構成されるTA34のグループや複数人で構成される生徒35のグループ(ポッド)を含む。すなわち、TA34の発言と記載した場合、1人のTA34の発言、及びTA34のグループの発言の両方を含む。
【0035】
また
図2では、カメラ及びマイクの図示が省略されている。本実施形態では、TA34の行動及び発言を取得するためのカメラ及びマイクが配置される。例えば、アクティブラーニングが行われる教室の天井等にカメラが備え付けられ、TA34の行動が取得される。またTA34がマイクを携帯することで、TA34の音声が取得されてもよい。
また本実施形態では、生徒35の行動及び発言を取得するためのカメラ及びマイクが配置される。例えば、各ポッドにカメラ及びマイクが配置されることで、生徒35の行動及び発言が取得される。また各ポッドに対して、生徒35が板書を行うためのホワイトボード36が配置される。また各ポッドに配置されるカメラは、ホワイトボード36の板書内容を取得することが可能である。
また本実施形態では、TA34が授業に用いる資料等を映すためのモニター37とTA34用のテーブル38とが配置される。
なお、アクティブラーニングに用いられる機材は限定されない。例えば、各ポッドにモニターやPC等が配置されてもよい。
【0036】
図3は、評価システム100及び情報処理装置10の機能的な構成例を示すブロック図である。
本実施形態では、評価システム100は、センサ部と、記録部11と、再生部12と、情報処理装置10と、評価対応処理部18と、ユーザ端末25とを含む。
【0037】
記録部11は、マイク29(31)及びカメラ30(32)を有するセンサ部から出力されるセンシング結果を取得し、記録する。本実施形態では、TA34用のマイク29及びカメラ30と、生徒35用のマイク31及びカメラ32とから出力される音声データ及び画像データが取得され、記録される。
なお、以下の記載では、記録部11に記録された音声及び映像のことをコンテンツと記載する。コンテンツは、マイク29及びカメラ30により取得された音声及び俯瞰映像と、マイク31及びカメラ32により取得された各ポッドの音声及び映像とを含む。
記録部11は、記録したコンテンツを再生部12に出力する。
【0038】
再生部12は、コンテンツを再生することが可能である。本実施形態では、記録部11によりマイク29(31)及びカメラ30(32)により取得されたコンテンツが入力され、コンテンツを再生可能である。
再生部12は、入力されたセンシング結果を、解析部13に出力する。
【0039】
情報処理装置10は、解析部13と、評価部16と、評価テーブルDB17とを有する。
【0040】
解析部13は、教育者行動解析部14及び学習者行動解析部15を有する。
教育者行動解析部14は、再生部12から入力されたセンシング結果から教育者1の行動を解析する。本実施形態では、センシング結果に基づいて、TA34の行動が解析される。例えば、マイク29により取得されたセンシング結果から、音声解析が実行されTA34の生徒35に対する発言の有無や発言の内容が解析される。また例えば、カメラ30により取得されたセンシング結果から、映像認識が実行されTA34の教室内での動きが解析される。
教育者行動解析部14は、解析結果から、評価テーブルDB17に予め登録された教育者行動パターンに基づいて、教育者1の行動を分類する。
教育者行動解析部14は、教育者行動パターンのうちの1つとして分類された教育者1の行動を教育者行動情報として、評価部16に出力する。
【0041】
学習者行動解析部15は、再生部12から入力されたセンシング結果から学習者2の行動を解析する。本実施形態では、センシング結果に基づいて、生徒35の行動が解析される。例えば、マイク31により取得されたセンシング結果から、音声解析が実行され生徒35の授業に関する発言の有無や発言の内容が解析される。また例えば、カメラ32により取得されたセンシング結果から、映像認識が実行され生徒35の板書等の行動が解析される。
学習者行動解析部15は、解析結果から、評価テーブルDB17に予め登録された学習者行動パターンに基づいて、学習者2の行動を分類する。
学習者行動解析部15は、学習者行動パターンのうちの1つとして分類された学習者2の行動を学習者行動情報として、評価部16に出力する。
【0042】
評価部16は、解析部13から出力された教育者行動情報と学習者行動情報との相関関係に基づいて、評価値を設定する。
本実施形態では、第1のタイミングの第1の学習者行動情報と、第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの教育者行動情報と、第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの第2の学習者行動情報との相関関係に、基づいて評価値が設定される。
すなわち本開示において、学習者2の行動に対して教育者1の行動が介在する等の時系列の順番が相関関係となる。
例えば、第1のタイミングの学習者2の会話量と、第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの教育者1のアドバイスと、第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの学習者2の会話量とが相関関係となる。
また相関関係は、教育者1が学習者2に対して行った行動により、学習者2の行動が変化した場合の関係を含むとも言える。これに限定されず、相関関係は、教育者1と学習者2との種々の関係が含まれてもよい。例えば、教育者1の人数と学習者2の発言量とが相関関係として扱われてもよい。
また評価部16は、第1の学習者行動情報と第2の学習者行動情報とが異なる場合に、第1の学習者行動情報と第2の学習者行動情報とが同じ場合よりも評価値を高く設定する。
本実施形態では、第1の学習者行動情報と第2の学習者行動情報とが異なる場合に、第2の学習者行動情報が第1の学習者行動情報よりもポジティブな行動情報として設定されていれば、評価値が高く設定される。例えば、TA34の発言により、ポッドAの生徒35達の発言量が上昇した場合、高い評価値がTA34に付与される。
なお、行動情報に設定される評価値の設定方法は限定されない。例えば、教育者1のネガティブな行動情報に着目したい際は、第1の学習者行動情報と第2の学習者行動情報とが異なる場合に、第2の学習者行動情報が第1の学習者行動情報よりもネガティブな行動情報として設定されていれば、評価値が高く設定されてもよい。すなわち、評価値の高さは、ユーザ3が着目したい教育者1又は学習者2の行動情報に基づいて設定される。
なお、ポジティブは、典型的には、教育状況を活発化させることを含む。例えば、学習者2の発言量を増加させるようなアドバイス等の行為である。またネガティブは、教育状況を消極化させることを含む。例えば、学習者2の発言量を低下させるような行為である。これに限定されず、教育状況にとって望ましい行動がポジティブとして設定されてもよい。
本実施形態では、評価テーブルDB17に予め登録された評価テーブルを参照し、該当する相関関係の評価値が設定される。相関関係の具体例及び評価値の具体例は、
図6にて説明する。
【0043】
評価テーブルDB17は、教育状況に関する評価値を設定するための評価テーブルが格納される。本実施形態では、TA34の発言及び行動の対象となる相手、TA34の教育者行動情報、及び加算点が格納される(
図6A参照)。またTA34の教育者行動情報をトリガーとした、各ポッドの生徒35の学習者行動情報の変化の具体例、及び加算点が格納される(
図6B参照)。なお、本実施形態では、評価値は、加算点の累計の点数である。
【0044】
評価対応処理部18は、評価部16から入力された評価値に基づいて、種々の処理を実行することが可能である。本実施形態では、評価値に基づいて、教育状況を確認するためのコンテンツを含むセンシング結果を編集することが可能である。
本実施形態では、評価対応処理部18は、編集部19、記録編集部20、及び通知部21を有する。
編集部19は、評価部16から入力された評価値に基づいて、授業を撮影したコンテンツに対して、時間軸に沿って編集点を生成する。本実施形態では、TA34の教育者行動情報、生徒35の学習者行動情報、及びTA34及び生徒35の評価値に基づいて、コンテンツの時間軸に沿った所定の時間に編集点を生成する。
例えば、編集部19は、評価値が大きく変動した時間に基づいて、編集点を生成する。
また編集部19は、編集点に挟まれた時間帯のコンテンツ(以下、部分コンテンツと記載する)の評価値を平滑化する。例えば、1つの部分コンテンツが1分であり、且つ評価値が10秒ごとに算出される場合には、算出された評価値の平均がその部分コンテンツの代表評価値として算出される。
編集部19は、各部分コンテンツと、各部分コンテンツで算出された代表評価値とをコンテンツ情報として、記録編集部20に出力する。
【0045】
記録編集部20は、編集部19で設定した編集点に基づいて、記録部11に記録されたセンシング結果(コンテンツとして使用可能なもの)を編集する。例えば、記録部11に記録されたセンシング結果(コンテンツとして使用可能なもの)の代表評価値が低い部分コンテンツについては記録をしないといった処理が実行される。また編集部19により出力された部分コンテンツの代表評価値が閾値を超えた場合に、当該部分コンテンツを記録するといった処理を実行することも可能である。
また記録編集部20は、記録部11に記録される部分コンテンツの情報量の増加を実行可能である。
情報量は、典型的には、コンテンツのデータ量により規定される。例えば、単位時間毎の画像のビット数、又は単位時間毎の画像の画素数等により、情報量を規定することが可能である。その他、階調値等に基づいて、情報量が規定されてもよい。
例えば、ビットレートの増加、解像度の増加、階調値の増加、表示形式の変換等により、記録される部分コンテンツの情報量が増加される。もちろんこれに限定される訳ではない。
なお記録編集部20により、代表評価値が閾値を超えない部分コンテンツ、すなわち代表評価値が低い部分コンテンツに対して、解像度の低下等の情報量の低下が実行されてもよい。また情報量が低下された部分コンテンツを記録部11に記録してもよい。
【0046】
通知部21は、ユーザ3に提案を行う。本実施形態では、評価値に基づいて、教育状況に関する提案情報を提示する。例えば、部分コンテンツごとに算出された評価値の平均が所定の閾値を下回った場合に、ユーザ3に対して警告の旨を示す画像又は音が提案情報として提示されてもよい。また例えば、記録編集部20により選択された各部分コンテンツを録画するか否かを選択することが可能なボタン等が提案情報としてユーザ端末25のディスプレイに表示されてもよい。
また通知部21は、評価値に基づいて、TA34に対する教育状況に関する指示を提示する。例えば、TA34の評価値が所定の閾値を下回った場合、TA34に対する授業の指導方法の提案をするか否かの旨を示す提案情報が提示されてもよい。すなわち、TA34に対する授業の指導方法の提案は、授業に関する指示に相当する。
また通知部21は、上記の提案情報をユーザ端末25の表示部に表示してもよい。例えば、専用のGUIが生成され、当該GUIを介して編集点の位置の制御や、教育状況を記録したコンテンツをユーザ3が閲覧可能であってもよい。この場合、通知部21は、UI表示制御部として機能するとも言える。もちろん、通知部21とは別に、UI表示制御部が構成されてもよい。
【0047】
ユーザ端末25は、表示部26と処理部27とを有する。
表示部26は、プロジェクタやディスプレイ等の画像表示デバイス、スピーカ等の音声出力デバイス、キーボード、スイッチ、ポインティングデバイス、リモートコントローラ等の操作デバイス等の、任意のUIデバイスを含む。もちろん、タッチパネル等の画像表示デバイス及び操作デバイスの両方の機能を有するデバイスも含まれる。
またディスプレイやタッチパネル等に表示される種々のGUIを、表示部26に含まれる要素として見做すことも可能である。
【0048】
処理部27は、ユーザ3により入力される指示や、情報処理装置10から入力される制御信号等に基づいて、種々の処理を実行することが可能である。例えばコンテンツの閲覧、評価値の確認、授業に関する提案等を含む、種々の処理が実行される。
ユーザ3は、ユーザ端末25を介して記録編集部20により選択された部分コンテンツを確認することで、教育状況の評価を行うことができる。従って評価値は、ユーザ3が教育状況を評価するための1つの指標とも言える。また評価値は、ユーザ3にとって、教育状況を評価するための判断材料とも言える。すなわち、記録編集部20により選択された部分コンテンツは、ユーザ3が教育状況を評価する際に有益な情報が含まれているとも言える。
なお、編集部19により生成された部分コンテンツ自体を評価とみなすことも可能である。
【0049】
なお、本実施形態において、評価部16は、教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定する評価部に相当する。
なお、本実施形態において、解析部13は、教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類して教育者行動情報を生成し、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類して学習者行動情報を生成し、生成した教育者行動情報と学習者行動情報とを評価部に出力する解析部に相当する。
なお、本実施形態において、マイク29(31)及びカメラ30(32)は、解析部に対してセンシング結果を出力するセンサ部に相当する。
なお、本実施形態において、評価対応処理部18は、評価値に基づいてセンシング結果を処理する評価対応処理部に相当する。
【0050】
図4は、評価値の設定の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図4に示すように、教育者行動解析部14により、マイク29及びカメラ30から取得されたセンシング結果から、TA34の教育者行動情報が分類される(ステップ101)。
【0052】
図5は、授業におけるTA34と生徒35の発言及び行動を示す表である。
なお、本実施形態では、TA34が評価対象として設定される。すなわち、
図6に示す対象、行動情報、及び加算点等は、TA34の評価を行うための点数であり、生徒35等の評価をする際には異なる対象、異なる行動情報、及び異なる加算点等が評価テーブルとして格納される。
【0053】
図5Aは、TA34の授業内の発言及び行動を示す表である。ステップ101の一例を
図5Aを用いて具体的に説明する。
図5Aに示すように、TA34は、0:00から1:30までモニター37の前で生徒35全体に向けての説明を行っている。0:00は、授業開始の時間を含む。もちろんこれに限定されず、授業内の所定の時間から録画を開始した際の録画開始の時間が含まれてもよい。
【0054】
TA34は、1:30から2:00の間にTA34用テーブル38からポッドAに移動する(破線45)。
図5Aに示すように、TA34は、ポッドAの付近に2:00~3:30の間滞在をしている。またTA34は、ポッドAの生徒35に対して、2:30~3:00の間発声をしている。
例えば、教育者行動解析部14により、2:00~2:30の間は、カメラ30により取得された情報からポッドAに滞在していることが解析され、マイク29により音圧が検知できないため、発声をしていないと解析される。また2:30~3:00の間は、カメラ30により取得された情報からポッドAに滞在していることが解析され、マイク29より音圧が検知できるため、発声をしていることが解析される。
例えば、TA34が発声をせずに滞在をしている場合は、TA34は滞在しているポッドでの議論の内容を確認している。また発声及び滞在をしている場合は、TA34は滞在しているポッドでの議論へのアドバイス等のサポートをしている。
これらの解析結果が、TA34の教育者行動情報として、評価部16に出力される。
【0055】
TA34は、3:30~4:00の間にポッドAからポッドCへ移動する(破線46)。
図5Aに示すように、TA34は、ポッドCに4:00~6:00の間滞在をしている。なお、この際にマイク29により音圧が検知されていないため、TA34はポッドCでは発声していない。
このように
図5Aでは、マイク29及びカメラ30から取得されたセンシング結果から、TA34が滞在及び発生をしていない場合は、「なし」と記載されている。
【0056】
TA34は、6:00~6:30の間にポッドCからポッドDへ移動する(破線47)。
図5Aに示すように、TA34は、ポッドCに6:30~10:00の間滞在をしている。またTA34は、7:00~9:00の間発声をしている。
【0057】
また学習者行動解析部15により、マイク31及びカメラ32から取得されたセンシング結果から、生徒35の学習者行動情報が分類される(ステップ102)。例えば、各ポッドに配置されたカメラ32の映像から顔による個人識別が実施され、各生徒35に追尾及び姿勢推定等から生徒35の行動が把握される。また各ポッドに配置されたマイク31から音圧が検知され、発言の有無が把握される。
【0058】
図5Bは、ポッドDにおける生徒35の行動を示す表である。
ステップ102の一例を
図5Bを用いて具体的に説明する。本実施形態では、ポッドDの生徒35に着目する。
図5Bに示すように、本実施形態では、ポッドDの生徒35は、0:00~2:00の間、TA34の説明を聞いているため沈黙している。この結果、学習者行動解析部15により、生徒35の行動が「沈黙時間」という生徒35の学習者行動情報に分類される。
ポッドDの生徒35は、2:00~5:00の間、各生徒35の発声割合が多い。この結果、学習者行動解析部15により、生徒35の行動が「発言量大」という生徒35の学習者行動情報に分類される。発声割合とは、所定の時間の間で行われた生徒35の発声の割合である。例えば、3分間の内2分半の間生徒35が発言していた場合、発声割合が多いため発言量大という学習者行動情報に分類される。
ポッドDの生徒35は、5:00~6:30の間、各生徒35の発声割合が少ない。この結果、学習者行動解析部15により、生徒35の行動が「発言量小」という生徒35の学習者行動情報に分類される。
ポッドDの生徒35は、6:30~9:00の間、各生徒35の発声割合が少ない。この結果、学習者行動解析部15により、生徒35の行動が「沈黙時間」という生徒35の学習者行動情報に分類される。本実施形態では、
図5Aに示すように、7:00~9:30の間、TA34により、ポッドDの生徒35に対して議論のサポートが行われているため、TA34のアドバイスを聞いている。
ポッドDの生徒35は、9:00~10:00の間、各生徒35の発声割合が多い。この結果、学習者行動解析部15により、生徒35の行動が「発言量大」という生徒35の学習者行動情報に分類される。またカメラ32により生徒35がホワイトボード36に板書を始めたため、生徒35の行動が「板書」という生徒35の学習者行動情報に分類される。
【0059】
評価部16により、TA34の教育者行動情報と生徒35の学習者行動情報との相関関係から評価値が設定される(ステップ103)。
【0060】
図6は、評価値を算出するための評価テーブルの一例である。
図6Aは、TA34の行動情報の具体例と各加算点を示すテーブルである。
【0061】
図6Aに示すように、TA34の評価テーブルは、「対象」、「TAの教育者行動情報」、及び「加算点」が格納される。
「対象」は、TA34が教育者行動情報を行う対象を示す。典型的には、TA34に話しかけられた生徒35やTA34を指導する教師等が対象となる。本実施形態では、「対象」は、個別ポッド、全体、他の教育者、及びその他に分類される。
個別ポッドは、ポッドA、B、C、及びDである。また全体とは、各ポッド全てが対象となる。他の教育者とは、TA34と同じ教育者1に該当する人物である。例えば、TA34と同じTAやTA34を指導する教師等を含む。その他は、ポッド間の移動等を含む。
なお、ポッドとは、そこに配置される生徒35も含まれる。すなわち、TA34がポッドAに発言したという記載は、ポッドAに配置される複数の生徒35、又は1人の生徒35に対して発言をしたことと同一である。
もちろん全てのポッド(全体)に発言した場合は、教室内の全ての生徒35に発言したとも言い換えることができる。またTA34が生徒35に対して発言した場合も、その生徒が配置された個別のポッドに対して発言したことと同一である。
【0062】
「TAの教育者行動情報」は、各対象に行われたTA34の教育者行動情報が分類分けされた情報である。本実施形態では、TA34の教育者行動情報は、以下のように分類分けされる。
「加算点」は、TA34の評価を行うための指標である。本実施形態では、TA34が評価対象のため、TA34が優れていると評価される際の教育者行動情報に対して、高い点数(評価値)が付与される。
各ポッドでの生徒とのディスカッションとは、TA34と生徒35とが互いに意見を交わしている状況を含む。この教育者行動情報に対する「加算点」は、30点である。
各ポッドでの板書書き込みを利用した説明とは、TA34が各ポッドに配置されるホワイトボード36を用いて生徒35に説明を行う状況を含む。例えば、TA34がホワイトボード36に図を記載しながら説明を行った場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、30点である。
各ポッドでのディスプレイ、又は議論の資料を指示しての説明は、TA34が板書以外の方法で生徒35に説明を行う状況を含む。例えば、TA34がアクティブラーニングに用いられる紙媒体の資料、又はデータファイルとしてディスプレイに表示される資料を利用して説明する場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、20点である。
各ポッドでの生徒への説明とは、TA34が生徒35に対して一方的に説明を行う状況を含む。例えば、TA34が説明をしている間、生徒35が沈黙している場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、10点である。
各ポッドでの立ち止まりとは、TA34がポッド付近に滞在し、発声をしていない状況を含む。例えば、TA34がポッドで行われる議論の確認等を行う場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、5点である。
初期説明での全体への説明とは、授業を行う際の議題に関する説明を行う状況を含む。例えば、TA34がアクティブラーニングの議題に関する問題背景や議論となる問題点等を説明する場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、50点である。
初期説明以外での全体への説明とは、初期説明の後に行われた全体への説明を行う状況を含む。例えば、全てのポッドで行われている議論が答えから遠のいている場合に、TA34が全体に対して道筋の修正を説明する場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、30点である。
TAから教師への会話とは、TA34以外の教育者、且つTA34より上位者に対して会話を行う状況を含む。例えば、TA34が教師に全体の進捗状況等を報告する場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、15点である。
TA同士の会話とは、TA34以外の教育者、且つTA34と同じ立場に対して会話を行う状況を含む。例えば、TA34同士で生徒35へのアドバイス等の意見交換を行う場合が該当する。この教育者行動情報に対する「加算点」は、5点である。
ポッド間移動とは、各ポッドや教室内の移動等の対象に対して発言又は行動を行わない状況を含む。この教育者行動情報に対する「加算点」は、0点である。
【0063】
図6Bは、TA34の教育者行動情報をトリガーとした生徒35の学習者行動情報の状態変化の具体例と各加算点を示すテーブルである。
図6Bに示すように、評価テーブルは、「指標」、「生徒の学習者行動情報」、及び「加算点」が格納される。
「指標」とは、生徒35の学習者行動情報に対する変化の指標を含む。例えば、生徒35の指標は、ポッドでの議論の活性化、板書等の行動の実行等である。すなわち、指標とは、TA34の行動に対する生徒35の反応(リアクション)とも言える。本実施形態では、「指標」は、会話量(発言量)、板書、特殊キーワード、及び相関関係に分類される。
会話量は、ポッドにおける生徒35の会話量を示す。板書は、生徒35がホワイトボード36等の議論に関する内容を書き込む行動を示す。特殊キーワードは、生徒35の板書又は発言により事前に決められたキーワードが出た場合を示す。相関関係は、TA34の行動情報がポッドに対して与えた影響を示す。
【0064】
「生徒の学習者行動情報」は、TA34の教育者行動情報をトリガーとした生徒35の学習者行動情報の状態の変化が分類分けされた情報である。すなわち、「生徒の学習者行動情報」とは、生徒35に対してTA34の発言又は行動が実施される前後の指標の変化の具体例である。本実施形態では、生徒35の学習者行動情報は、以下のように分類分けされる。
ポッドメンバー全員の会話量アップとは、ポッドに配置される生徒35全員の会話量が増加した状況を含む。本実施形態では、ポッドメンバーは、ポッドに配置される4人の生徒35である。この学習者行動情報に対する「加算点」は、30点である。
ポッドメンバー半分以上の会話量アップとは、ポッドに配置される生徒35の半分以上の会話量が増加した状況を含む。この学習者行動情報に対する「加算点」は、20点である。
ポッドメンバー半分以下の会話量アップとは、ポッドに配置される生徒35の半分以下の会話量が増加した状況を含む。この学習者行動情報に対する「加算点」は、10点である。
会話量変化なしとは、生徒35の会話量がTA34の発言又は行動が実施される前後で変化がない状況を含む。この学習者行動情報に対する「加算点」は、0点である。
板書利用とは、生徒35がホワイトボード36等の議論に関する内容を書き込む状況を含む。例えば、TA34の発言をホワイトボード36にメモする行為が該当する。この学習者行動情報に対する「加算点」は、10点である。
キーワード抽出とは、事前に決められた、ディスカッションの答えを導き出すキーワードが抽出された状況を示す。例えば、音声認識や画像認識により、生徒35の発言の内容から事前に登録されたキーワードが検出された場合が該当する。この学習者行動情報に対する「加算点」は、20点である。
会話相関関係の変化とは、TA34の発言又は行動がポッドに対して行われた際に、ポッドの会話が変化した状況を含む。例えば、TA34の発言により、生徒35同士の会話を良い方向へ変化させた等の場合が該当する。
図7は、各生徒35の会話のやり取りの相関関係を示す模式図である。
図7では、生徒A、B、C、及びDによる会話の相関関係が図示されている。各人物を結ぶ線は、会話の関係を示す。本実施形態では、線の太さは、双方の一定期間における会話の総量を表す。また線の長さは、会話の頻度を表す。また
図7では、各相関関係に対して、総合評価が設けられている。なお、総合評価はDが最も低く、Aが最も高い評価である。
例えば、
図7Aでは、生徒B、生徒C、及び生徒Dによる会話の総量及び頻度が高いことを意味する。また例えば、
図7Bでは、生徒A及び生徒Bと、生徒A及び生徒Cと、生徒A及び生徒Dとによる会話の総量及び頻度が高いことを意味する。また
図7Bでは、生徒B及び生徒Cと、生徒B及び生徒Dと、生徒C及び生徒Dとの会話の総量及び頻度が低いことを意味する。
本実施形態では、
図7A~Dの各相関関係の変化により、評価が行われる。例えば、TA34がアドバイスを行うことで、
図Dから
図Bの相関関係に変化した場合、総合評価Cから総合評価Aに上がるため、20点加算される。また例えば、
図Aから
図C又は
図Dの相関関係に変化した場合、総合評価が同じ、又は下がるため、0点の加算となる。
なお、生徒A、B、C、及びDの関係性による総合評価及び評価値の加算は限定されない。例えば、総合評価が下がる場合、減点されてもよい。
【0065】
なお、行動情報の種類は限定されない。例えば、生徒35がスマートフォン等の端末を用いて授業に関連するキーワードの検索や、資料の作成等が含まれてもよい。また例えば、生徒35の表情等が行動情報に含まれてもよい。また評価情報の種類や加算方法も限定されない。例えば、授業の種別に応じて行動情報や加算点が設定されてもよい。
【0066】
編集部19により、TA34の教育者行動情報と、生徒35の学習者行動情報と、評価情報とに基づいて、教育状況を撮影したコンテンツ50が所定の時間に編集点が生成される(ステップ104)。
【0067】
図8は、授業の部分コンテンツの区分と各部分コンテンツの評価値を示す模式図である。本実施形態では、評価部16により、10分の授業に対して、TA34の教育者行動情報と生徒35の学習者行動情報とに基づいて、TA34に関する評価値が生成される。また編集部19により、評価値が変動した時間ごとに編集点が生成される。
【0068】
図5A及び
図8に示すように、TA34は、0:00~1:30の間に、授業の初期説明をポッド全体に行う。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「初期説明での全体への説明」というTA34の教育者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、0:00~1:30の間のTA34の加算点が50点と評価される。
またTA34は、1:30~2:00の間にTA34用テーブル38からポッドAへと移動をする。
図6に示すように、この教育者行動情報の加算点は0点である。すなわち、
図8に示すように、評価値が変動したため、編集部19により、代表評価値が50点で、0:00~1:30の部分コンテンツ51が生成される。すなわち、1:30の時間に編集点が生成される。
【0069】
TA34は、2:00~2:30の間、ポッドAの付近に滞在し、且つ発声をしていない。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「ポッドAでの立ち止まり」というTA34の教育者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、2:00~2:30の間のTA34の加算点が5点と評価される。
編集部19により、代表評価値が0点で、1:30~2:00の部分コンテンツ52が生成される。
【0070】
TA34は、2:30~3:00の間、ポッドAの付近に滞在し、且つ発声を行った。また、ポッドAの生徒35がTA34と会話を行う様子がマイク31及びカメラ32から検出された。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「各ポッドでの生徒とのディスカッション」というTA34の教育者行動情報、及び学習者行動解析部15により、「ポッドメンバー半分以下の会話量アップ」という生徒35の行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、2:30~3:00の間のTA34の加算点が40点と評価される。
編集部19により、代表評価値が5点で、2:00~2:30の部分コンテンツ53が生成される。
【0071】
TA34は、3:00~3:30の間、ポッドAの付近に滞在し、且つ発声をしていない。また、ポッドAの生徒35同士の会話量が増加する様子がマイク31及びカメラ32から検出された。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「各ポッドでの立ち止まり」というTA34の教育者行動情報、及び学習者行動解析部15により、「ポッドメンバー半分以上の会話量アップ」という生徒35の学習者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、3:00~3:30の間のTA34の加算点が25点と評価される。
編集部19により、代表評価値が40点で、2:30~3:00の部分コンテンツ54が生成される。
【0072】
TA34は、3:30~4:00の間、ポッドAからポッドCに移動し、且つ発声をしていない。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、が「ポッド間移動」というTA34の教育者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、3:30~4:00の間のTA34の加算点が0点と評価される。
編集部19により、代表評価値が25点で、3:00~3:30の部分コンテンツ55が生成される。
【0073】
TA34は、4:00~6:00の間、ポッドCの付近に滞在し、且つ発声をしていない。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「各ポッドでの立ち止まり」というTA34の教育者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、4:00~6:00の間のTA34の加算点が5点と評価される。
編集部19により、代表評価値が0点で、3:30~4:00の部分コンテンツ56が生成される。
【0074】
TA34は、6:00~6:30の間、ポッドCからポッドDに移動し、且つ発声をしていない。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「ポッド間移動」というTA34の教育者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、6:00~6:30の間のTA34の加算点が0点と評価される。
編集部19により、代表評価値が5点で、4:00~6:00の部分コンテンツ57が生成される。
【0075】
TA34は、6:30~7:00の間、ポッドDの付近に滞在し、且つ発声をしていない。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「各ポッドでの立ち止まり」というTA34の教育者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、6:30~7:00の間のTA34の加算点が5点と評価される。
編集部19により、代表評価値が0点で、6:00~6:30の部分コンテンツ58が生成される。
【0076】
TA34は、7:00~9:00の間、ポッドDの付近に滞在し、且つ発声を行った。また、ポッドDの生徒35が板書をする様子がカメラ32から検出された。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「各ポッドでの板書書き込みを利用した説明」、「各ポッドでのディスプレイ、又は議論の資料を指示しての説明」、及び「各ポッドでの生徒への説明」というTA34の教育者行動情報、及び学習者行動解析部15により、「板書利用」という生徒35の学習者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、7:00~9:00の間のTA34の加算点が70点と評価される。
編集部19により、代表評価値が5点で、6:30~7:00の部分コンテンツ59が生成される。
【0077】
TA34は、9:00~10:00の間、ポッドDの付近に滞在し、且つ発声をしていない。また、ポッドDの生徒35の会話及び板書をする様子がマイク31及びカメラ32から検出された。マイク29及びカメラ30のセンシング結果から、教育者行動解析部14により、「各ポッドでの立ち止まり」というTA34の教育者行動情報が生成される。また学習者行動解析部15により、「ポッドメンバー全員の会話量アップ」、「板書利用」、「キーワード抽出」、及び「会話相関関係の変化」という生徒35の学習者行動情報が生成される。評価部16により、
図6に示す評価テーブルに基づいて、7:00~9:00の間のTA34の加算点が85点と評価される。
編集部19により、代表評価値が70点で、7:00~9:00の部分コンテンツ60が生成される。また編集部19により、代表評価値が85点で、9:00~10:00(授業終了)の部分コンテンツ61が生成される。
【0078】
記録編集部20により、分割されたコンテンツの内、代表評価値に基づいて録画される部分コンテンツが選択される(ステップ105)。
【0079】
図9は、録画が実施される部分コンテンツを示す模式図である。
本実施形態では、記録編集部20により、代表評価値が50点以上の部分コンテンツが選択される。なお、記録編集部20により選択される部分コンテンツの代表評価値の閾値は限定されず、任意に決定されてもよい。例えば、ユーザ3により設定されてもよい。
図9に示すように、記録編集部20により代表評価値が50点以上である、部分コンテンツ51、部分コンテンツ60、及び部分コンテンツ61が選択される(ステップ105のYES)。記録編集部20により、選択された各部分コンテンツに該当する時間の動画が録画される(ステップ106)。
また代表評価値が50点以下の部分コンテンツは、録画が実行されない(ステップ105のNO)。
【0080】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10は、教育者1の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報6と、学習者2の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報7との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値8を設定する。これにより、これまでにない評価を行うことが可能である。
【0081】
学校等における講義や授業等の文教において、学習側の生徒が、教育側の教師からの教えを受動的に学習する形態から、生徒が能動的に学習することができるアクティブラーニング等の形態が取り入れられつつある。
【0082】
アクティブラーニング等の教育スタイルは、生徒だけでなく教師又はTAについても評価と指導とを正しく行うことが重要なポイントとなる。例えば、授業後に教師又はTAを評価するために、アクティブラーニグの授業風景を撮影する試みが実施される。
しかし、授業風景を確認する際に各ポッドのそれぞれの動画を確認することは、非常に時間がかかる作業となる。また全ての動画を録画して保存するため、ストレージコストも高くなる。
【0083】
本発明では、教師又はTAの行動の解析と生徒の行動の解析とを実施して、双方の情報の相関を取ることにより、より詳細な評価値が算出される。またその評価値に応じて、自動的に最適な部分コンテンツの区分が行われる。区分された部分コンテンツが評価値に基づいて録画される。これにより、効率よく高精度に評価を行うことが可能である。また評価を実施する際の確認にかかる時間を減少することが可能である。さらにまた録画時のストレージコストを削減することが可能である。
【0084】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0085】
上記の実施形態では、評価システム100は、教育者1と学習者2との両者が含まれた。これに限定されず、教育者1又は学習者2だけでもよい。例えば、講義の映像を見ている生徒35が評価対象とされてもよい。その際、参考書を開く、よそ見をする、又はノートにメモを取る等が評価情報として扱われてもよい。
また例えば、授業の練習をしているTA34が評価対象とされてもよい。その際、身振り手振りの多さ、又は声量等が評価情報として扱われてもよい。
【0086】
上記の実施形態では、評価対象の評価の方法として、加算点が用いられた。これに限定されず、特定の行動情報に対して、減点が用いられてもよい。例えば、授業に関係のない会話をしている場合、20点減算されてもよい。また例えば、TA34の発言により、生徒35の会話量が減少した場合に、TA34の評価値が減算されてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、教育者行動解析部14及び学習者行動解析部15の解析結果が行動情報として扱われた。これに限定されず、マイク29(31)及びカメラ30(32)等のセンサ部により取得されたセンシング結果を行動情報としてもよい。例えば、評価部16により、ポッドAの音圧が増えた場合にTA34の評価値が生成されてもよい。
【0088】
上記の実施形態では、TA34用のカメラ30により、TA34の移動や滞在等が検出された。これに限定されず、TA34の位置情報を検出可能なビーコンがセンサ部に含まれてもよい。
またマイク29(31)により、TA34及び生徒35の発言が検出された。これに限定されず、カメラ30(32)により、口の動きが認識されることで、TA34及び生徒35の発言が検出されてもよい。
【0089】
上記の実施形態では、記録編集部20により選択されなかった部分コンテンツのビットレートが下げられた、又は録画が実行されなかった。これに限定されず、記録編集部20により選択された部分コンテンツのビットレートが上げられてもよい。また選択されなかった部分コンテンツが音声又は映像のみで記録されてもよい。
【0090】
上記の実施形態では、評価部16により、生徒35の行動情報がリアルタイムで評価された。これに限定されず、生徒35の行動情報が変化した場合のみに、評価値が生成されてもよい。
【0091】
上記の実施形態では、各行動情報に対して加算点(評価情報)が設定されていた。これに限定されず、情報処理装置10により機械学習が行われることで、評価情報が生成されてもよい。
【0092】
上記の実施形態では、センサ部により取得されたセンシング結果が再生部12を介して情報処理装置10に入力された。これに限定されず、記録部11からセンシング結果が情報処理装置10に入力されてもよい。
【0093】
上記の実施形態では、記録部11により教育状況のコンテンツが記録され、解析部13により行動情報が解析された。これに限定されず、解析部13及び評価部16によりリアルタイムで処理が実行されてもよい。この場合、記録部11は、センシング結果をバッファリングする機能を有してもよい。
【0094】
上記の実施形態では、情報処理装置10は、解析部13と、評価部16と、評価テーブルDB17とを有していた。これに限定されず、記録部11、再生部12、及び評価対応処理部18を有してもよい。また記録部11、再生部12、及び評価対応処理部18が1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成が適用されてもよい。
【0095】
上記の実施形態では、解析部13により、教育者行動情報及び学習者行動情報が解析され、評価部16に入力された。これに限定されず、外部から解析された教育者行動情報及び学習者行動情報が評価部16に入力されてもよい。
【0096】
図10は、情報処理装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0097】
情報処理装置10は、CPU81、ROM(Read Only Memory)82、RAM83、入出力インタフェース85、及びこれらを互いに接続するバス84を備える。入出力インタフェース85には、表示部86、入力部87、記憶部88、通信部89、及びドライブ部90等が接続される。
【0098】
表示部86は、例えば液晶、EL(Electro-Luminescence)等を用いた表示デバイスである。入力部87は、例えばキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、その他の操作装置である。入力部87がタッチパネルを含む場合、そのタッチパネルは表示部86と一体となり得る。
【0099】
記憶部88は、不揮発性の記憶デバイスであり、例えばHDD、フラッシュメモリ、その他の固体メモリである。ドライブ部90は、例えば光学記録媒体、磁気記録テープ等、リムーバブルの記録媒体91を駆動することが可能なデバイスである。
【0100】
通信部89は、LAN、WAN等に接続可能な、他のデバイスと通信するためのモデム、ルータ、その他の通信機器である。通信部89は、有線及び無線のどちらを利用して通信するものであってもよい。通信部89は、情報処理装置10とは別体で使用される場合が多い。
本実施形態では、通信部89により、ネットワークを介した他の装置との通信が可能となる。
【0101】
上記のようなハードウェア構成を有する情報処理装置10による情報処理は、記憶部88またはROM82等に記憶されたソフトウェアと、情報処理装置10のハードウェア資源との協働により実現される。具体的には、ROM82等に記憶された、ソフトウェアを構成するプログラムをRAM83にロードして実行することにより、本技術に係る情報処理方法が実現される。
【0102】
プログラムは、例えば記録媒体81を介して情報処理装置10にインストールされる。あるいは、グローバルネットワーク等を介してプログラムが情報処理装置10にインストールされてもよい。その他、コンピュータ読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0103】
通信端末に搭載されたコンピュータとネットワーク等を介して通信可能な他のコンピュータとが連動することにより本技術に係る情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び情報処理システムが実行され、本技術に係る情報処理装置が構築されてもよい。
【0104】
すなわち本技術に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムは、単体のコンピュータにより構成されたコンピュータシステムのみならず、複数のコンピュータが連動して動作するコンピュータシステムにおいても実行可能である。なお、本開示において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれもシステムである。
【0105】
コンピュータシステムによる本技術に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムの実行は、例えば、行動情報の生成、及びコンテンツの分割等が、単体のコンピュータにより実行される場合、及び各処理が異なるコンピュータにより実行される場合の両方を含む。また所定のコンピュータによる各処理の実行は、当該処理の一部又は全部を他のコンピュータに実行させその結果を取得することを含む。
【0106】
すなわち本技術に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムは、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成にも適用することが可能である。
【0107】
各図面を参照して説明した教育者行動解析部、学習者行動解析部、評価部、記録編集部等の各構成、通信システムの制御フロー等はあくまで一実施形態であり、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本技術を実施するための他の任意の構成やアルゴリズム等が採用されてよい。
【0108】
なお、本開示中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。上記の複数の効果の記載は、それらの効果が必ずしも同時に発揮されるということを意味しているのではない。条件等により、少なくとも上記した効果のいずれかが得られることを意味しており、もちろん本開示中に記載されていない効果が発揮される可能性もある。
【0109】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。
【0110】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定する評価部
を具備する情報処理装置。
(2)(1)に記載の情報処理装置であって、
前記相関関係は、前記教育者行動情報と、前記学習者行動情報である第1の学習者行動情報と第2の学習者行動情報との相関関係である
情報処理装置。
(3)(1)又は(2)に記載の情報処理装置であって、
前記相関関係は、第1のタイミングの前記第1の学習者行動と、前記第1のタイミングよりも後のタイミングである第2のタイミングの前記教育者行動情報と、前記第2のタイミングよりも後のタイミングである第3のタイミングの前記第2の学習者行動情報との相関関係である
情報処理装置。
(4)(3)に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合よりも前記評価値を高く設定する
情報処理装置。
(5)(4)に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもポジティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定する
情報処理装置。
(6)(4)に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合に、前記第2の学習者行動情報が前記第1の学習者行動情報よりもネガティブな行動情報として設定されていれば前記評価値を高く設定する
情報処理装置。
(7)(3)に記載の情報処理装置であって、
前記評価部は、前記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが同じ場合に、記第1の学習者行動情報と前記第2の学習者行動情報とが異なる場合よりも前記評価値を低く設定する
情報処理装置。
(8)(1)から(7)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、さらに、
前記教育者の行動を前記複数の教育者行動パターンのいずれかに分類して前記教育者行動情報を生成し、前記学習者の行動を前記複数の学習者行動パターンのいずれかに分類して前記学習者行動情報を生成し、生成した前記教育者行動情報と前記学習者行動情報とを前記評価部に出力する解析部を具備する
情報処理装置。
(9)(8)に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記解析部に対してセンシング結果を出力するセンサ部を具備し、
前記解析部は、前記センシング結果に基づいて、前記教育者の行動と前記学習者の行動とを解析する
情報処理装置。
(10)(4)に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記評価値に基づいて前記センシング結果を処理する評価対応処理部を具備する
情報処理装置。
(11)(10)に記載の情報処理装置であって、
前記評価対応処理部は、前記評価値に基づいて前記センシング結果を編集する
情報処理装置。
(12)(7)に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記評価値に基づいて前記センシング結果を処理する評価対応処理部を具備する
情報処理装置。
(13)(12)に記載の情報処理装置であって、
前記評価対応処理部は、前記評価値に基づいて前記センシング結果を編集する
情報処理装置。
(14)
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定する
ことをコンピュータシステムが実行する情報処理方法。
(15)
教育者の行動を複数の教育者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である教育者行動情報と、学習者の行動を複数の学習者行動パターンのいずれかに分類した分類結果である学習者行動情報との相関関係に基づいて教育状況に関する評価値を設定するステップ
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0111】
1…教育者
2…学習者
4…マイク
5…カメラ
10…情報処理装置
13…解析部
16…評価部
18…評価対応処理部
34…TA
35…生徒
50…コンテンツ