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特許7622694データ記録装置、データ記録方法、および、データ記録プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】データ記録装置、データ記録方法、および、データ記録プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20250121BHJP
   G06F 16/907 20190101ALI20250121BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G06F16/907
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022080799
(22)【出願日】2022-05-17
(65)【公開番号】P2023169587
(43)【公開日】2023-11-30
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善貴
(72)【発明者】
【氏名】江間 伸明
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-196316(JP,A)
【文献】特開2020-016938(JP,A)
【文献】特開2015-207970(JP,A)
【文献】特開2019-176311(JP,A)
【文献】特開2012-090962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00 ~ 9/42
G06F 16/907
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて予測するデータ予測部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを前記他のセンサから取得された測定データを用いて予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサをセットに含める決定部と、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、
前記選択された測定データを記録するデータ記録部と、
を備え
前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減して記録する
データ記録装置。
【請求項2】
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて予測するデータ予測部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを前記他のセンサから取得された測定データを用いて予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサをセットに含める決定部と、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、
前記選択された測定データを記録するデータ記録部と、
を備え、
前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、1データあたりのデータサイズを削減して記録する
データ記録装置。
【請求項3】
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、
前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、前記複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測するデータ予測部と、
前記取得された測定データと前記予測された測定データとを用いて、前記少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能な前記他のセンサを含むセットを決定する決定部と、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、
前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを削除して、前記データ選択部により選択された測定データのみを記録するデータ記録部と、
を備える、データ記録装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記他のセンサから取得された測定データを用いて前記少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が前記許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与する付与部を有し、
前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサを前記セットに含める、請求項に記載のデータ記録装置。
【請求項5】
前記決定部は、
前記複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能な前記他のセンサの複数の候補セットを生成する生成部と、
前記複数の候補セットの中から、予め定められた基準にしたがって、前記セットを選択するセット選択部と、を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ記録装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記他のセンサから取得された測定データを用いて前記センサから取得された測定データを予測した予測値が前記許容範囲内となるパターンの総当たりに基づいて、前記複数の候補セットを生成する、請求項に記載のデータ記録装置。
【請求項7】
前記セット選択部は、前記複数の候補セットの中で、前記記録される測定データの量が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択する、請求項に記載のデータ記録装置。
【請求項8】
前記セット選択部は、前記複数の候補セットの中で、前記取得された測定データと前記予測された測定データとの差分が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択する、請求項に記載のデータ記録装置。
【請求項9】
前記許容範囲は、センサ毎に異なる範囲に設定可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ記録装置。
【請求項10】
前記データ記録部は、記録可能な残り容量が予め定められた閾値を下回ったことに応じて、前記選択された測定データを記録する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ記録装置。
【請求項11】
前記データ記録部は、前記データ予測部による予測の前の前記測定データを記録し、前記測定データが最初に記録された時点または前記測定データが最後にアクセスされた時点から、予め定められた時間が経過したことに応じて、前記選択された測定データを記録する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ記録装置。
【請求項12】
前記選択された測定データを他のシステムまたは装置へ送信するデータ送信部を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ記録装置。
【請求項13】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータが、
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得することと、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて予測することと、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを前記他のセンサから取得された測定データを用いて予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサをセットに含めることと、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択することと、
前記選択された測定データを記録することと、
を備え
前記選択された測定データを記録することは、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減して記録することを含む
データ記録方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータが、
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得することと、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて予測することと、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを前記他のセンサから取得された測定データを用いて予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサをセットに含めることと、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択することと、
前記選択された測定データを記録することと、
を備え、
前記選択された測定データを記録することは、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、1データあたりのデータサイズを削減して記録することを含む
データ記録方法。
【請求項15】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータが、
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得することと、
前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、前記複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測することと、
前記取得された測定データと前記予測された測定データとを用いて、前記少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能な前記他のセンサを含むセットを決定することと、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択することと、
前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを削除して、前記選択された測定データのみを記録することと、
を備える、データ記録方法。
【請求項16】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて予測するデータ予測部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを前記他のセンサから取得された測定データを用いて予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサをセットに含める決定部と、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、
前記選択された測定データを記録するデータ記録部と、
して機能させ、
前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減して記録する
データ記録プログラム。
【請求項17】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて予測するデータ予測部と、
前記複数のセンサのそれぞれから取得された測定データを前記他のセンサから取得された測定データを用いて予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサをセットに含める決定部と、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、
前記選択された測定データを記録するデータ記録部と、
して機能させ、
前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、1データあたりのデータサイズを削減して記録する
データ記録プログラム。
【請求項18】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、
前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、前記複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測するデータ予測部と、
前記取得された測定データと前記予測された測定データとを用いて、前記少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能な前記他のセンサを含むセットを決定する決定部と、
前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、
前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを削除して、前記データ選択部により選択された測定データのみを記録するデータ記録部と、
して機能させる、データ記録プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録装置、データ記録方法、および、データ記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「他のセンサからの測定データに基づいて、対象とするセンサからの測定データの一部を削除して、記録するデータ量を低減させる」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2021-196316
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、データ記録装置を提供する。前記データ記録装置は、測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、前記複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測するデータ予測部と、前記取得された測定データと前記予測された測定データとを用いて、前記複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサのセットを決定する決定部と、前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、前記選択された測定データを記録するデータ記録部と、を備える。
【0004】
前記データ記録装置において、前記決定部は、前記他のセンサから取得された測定データを用いて前記少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が前記許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、前記他のセンサに対して付与する付与部を有し、前記予測値が前記許容範囲内であることを示す前記識別情報が付与されたセンサを前記セットに含めてもよい。
【0005】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記決定部は、前記複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサの複数の候補セットを生成する生成部と、前記複数の候補セットの中から、予め定められた基準にしたがって、前記セットを選択するセット選択部と、を有してもよい。
【0006】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記生成部は、前記他のセンサから取得された測定データを用いて前記少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が前記許容範囲内となるパターンの総当たりに基づいて、前記複数の候補セットを生成してもよい。
【0007】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記セット選択部は、前記複数の候補セットの中で、前記記録される測定データの量が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してもよい。
【0008】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記セット選択部は、前記複数の候補セットの中で、前記取得された測定データと前記予測された測定データとの差分が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してもよい。
【0009】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記許容範囲は、センサ毎に異なる範囲に設定可能であってもよい。
【0010】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを削除して、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データのみを記録してもよい。
【0011】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減して記録してもよい。
【0012】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記データ記録部は、前記セットに含まれないセンサから取得された測定データを、1データあたりのデータサイズを削減して記録してもよい。
【0013】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記データ記録部は、記録可能な残り容量が予め定められた閾値を下回ったことに応じて、前記選択された測定データを記録してもよい。
【0014】
前記データ記録装置のいずれかにおいて、前記データ記録部は、予め定められた時間が経過したことに応じて、前記選択された測定データを記録してもよい。
【0015】
前記データ記録装置のいずれかは、前記選択された測定データを他のシステムまたは装置へ送信するデータ送信部を更に備えてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様においては、データ記録方法を提供する。前記データ記録方法は、コンピュータにより実行され、前記コンピュータが、測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得することと、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、前記複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測することと、前記取得された測定データと前記予測された測定データとを用いて、前記複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサのセットを決定することと、前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択することと、前記選択された測定データを記録することと、を備える。
【0017】
本発明の第3の態様においては、データ記録プログラムを提供する。前記データ記録プログラムは、コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得するデータ取得部と、前記複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、前記複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測するデータ予測部と、前記取得された測定データと前記予測された測定データとを用いて、前記複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサのセットを決定する決定部と、前記複数のセンサから取得された測定データのうち、前記セットに含まれるセンサから取得された測定データを前記セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択するデータ選択部と、前記選択された測定データを記録するデータ記録部と、して機能させる。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るデータ記録装置100のブロック図の一例を示す。
図2】本実施形態に係るデータ記録装置100によるデータ記録方法のフローの一例を示す。
図3】本実施形態に係るデータ記録装置100の決定部140がセンサのセットを決定するフローの一例を示す。
図4】本実施形態の変形例に係るデータ記録装置100のブロック図の一例を示す。
図5】本実施形態の変形例に係るデータ記録装置100が考慮してよいパターンの総当たりの一例を示す。
図6】本実施形態の別の変形例に係るデータ記録装置100のブロック図の一例を示す。
図7】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ9900の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本実施形態に係るデータ記録装置100のブロック図の一例を示す。データ記録装置100は、測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得して記録する。そして、データ記録装置100は、取得した測定データを許容範囲内で再現可能なセンサのセットを決定し、当該セットにしたがって取得した測定データを選択的に記録する。
【0022】
データ記録装置100は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、データ記録装置100は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、データ記録装置100は、データの記録用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、インターネットに接続可能な場合、データ記録装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0023】
データ記録装置100は、データ取得部110と、データ記録部120と、データ予測部130と、決定部140と、データ選択部150と、を備える。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際の装置構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つの装置により構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々の装置により構成されていなくてもよい。これより先のブロック図についても同様である。
【0024】
データ取得部110は、測定対象を測定した測定データを複数のセンサから取得する。データ取得部110は、取得した測定データをデータ記録部120へ供給する。
【0025】
データ記録部120は、データ取得部110により取得された測定データを記録する。また、データ記録部120は、後述するデータ選択部150により選択された測定データを記録する。
【0026】
データ予測部130は、複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測する。データ予測部130は、予測した測定データ(測定データを予測した予測値)を決定部140へ供給する。
【0027】
決定部140は、データ取得部110により取得された測定データとデータ予測部130により予測された測定データとを用いて、複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサのセットを決定する。
【0028】
本実施形態においては、決定部140は、付与部145を有する。付与部145は、他のセンサから取得された測定データを用いて少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、他のセンサに対して付与する。そして、決定部140は、当該識別情報にしたがって、センサのセットを決定する。これについては、詳細を後述する。決定部140は、決定したセンサのセットを示す情報をデータ選択部150へ供給する。
【0029】
データ選択部150は、複数のセンサから取得された測定データのうち、決定部140により決定されたセットに含まれるセンサから取得された測定データを当該セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択する。データ選択部150は、選択した結果を示す情報をデータ記録部120へ供給する。これに応じて、データ記録部120は、データ選択部150により選択された測定データを記録する。
【0030】
このような機能部を備えるデータ記録装置100が測定データを記録する方法を、フローを用いて詳細に説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係るデータ記録装置100によるデータ記録方法のフローの一例を示す。
【0032】
ステップS210において、データ記録装置100は、測定データを取得する。例えば、データ取得部110は、通信ネットワークを介して、測定対象を測定した測定データを複数のセンサのそれぞれから時系列に取得する。
【0033】
このような通信ネットワークは、複数のコンピュータを接続するネットワークであってよい。例えば、通信ネットワークは、複数のコンピュータネットワークを相互接続したグローバルなネットワークであってよく、一例として、通信ネットワークは、インターネット・プロトコルを使用したインターネット等であってよい。これに代えて、通信ネットワークは、専用回線により実現されていてもよい。すなわち、データ取得部110は、携帯電話、スマートフォン、第4世代(4G)端末、および、第5世代(5G)端末等との間で直接的に、または、間接的にやり取りし、測定データを取得することもできる。
【0034】
なお、上述の説明では、データ取得部110が通信ネットワークを介して複数のセンサから測定データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。データ取得部110は、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して複数のセンサから測定データを取得してもよい。
【0035】
ここで、複数のセンサは、測定対象を測定した測定データを取得可能である。このような複数のセンサは、例えば、OT(Operational Technology)領域に設置されているセンサ(例えば、プロセス制御(測定)用センサ)やIoT(Internet of Things)センサであってよく、一例として、プラントに設けられた1または複数のフィールド機器と接続、または、一体に構成された産業用(Industrial)センサであってもよい。
【0036】
ここで、このようなプラントは、例えば、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、および、上下水やダム等を管理制御するプラント等であってよい。
【0037】
また、このようなプラントに設けられたフィールド機器は、例えば、圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、および、各機器の位置情報を出力する位置検出機器等であってよい。
【0038】
したがって、データ取得部110は、例えば、温度、圧力、流量、加速度、磁界、位置、カメラ映像、スイッチのオン/オフデータ、音、および、これらの組み合わせ等、センサ自身によって測定された測定データや、フィールド機器の内部で測定された測定データを取得してよい。また、データ取得部110は、これらのデータを基に数式を用いて生成された値を測定データとして取得してもよい。データ取得部110は、取得した測定データをデータ記録部120へ供給する。
【0039】
ステップS220において、データ記録装置100は、測定データを記録する。例えば、データ記録部120は、ステップS210において複数のセンサから取得された測定データを、それぞれのセンサが測定した順にセンサ毎に時系列に記録する。
【0040】
ステップS230において、データ記録装置100は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められた閾値を下回るか否か判定する。例えば、データ記録装置100は、測定データを記録可能な全容量から、ステップS220において記録された測定データの総容量を減算して、測定データを記録可能な残り容量を算出する。そして、データ記録装置100は、算出された残り容量と閾値とを比較する。比較の結果、残り容量が閾値を下回らない(No)と判定された場合、データ記録装置100は、処理をステップS240へ進める。
【0041】
ステップS240において、データ記録装置100は、予め定められた時間が経過したか否か判定する。この際、データ記録装置100は、時間経過の起算点として、例えば、ステップS220において測定データが最初に記録された時点を用いてもよいし、ステップS220において記録された測定データが最後にアクセスされた時点を用いてもよい。データ記録装置100は、経過時間と予め定められた時間とを比較する。比較の結果、予め定められた時間が経過していない(No)と判定された場合、データ記録装置100は、処理をステップS210へ戻して、フローを継続する。
【0042】
一方、ステップS230において、残り容量が閾値を下回る(Yes)と判定された場合、または、ステップS240において、予め定められた時間が経過した(Yes)と判定された場合、データ記録装置100は、処理をステップS250へ進める。
【0043】
ステップS250において、データ記録装置100は、測定データを予測する。例えば、データ予測部130は、データ記録部120にアクセスし、ステップS220において記録された測定データを取得する。そして、データ予測部130は、複数のセンサのうちの他のセンサから取得された測定データを用いて、複数のセンサのうちの少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測する。
【0044】
ここで、センサから取得した測定データの値を「実測値」、当該測定データを予測した値を「予測値」と呼ぶこととする。この場合、例えば、データ予測部130は、予測対象とするセンサ(すなわち、「少なくともいずれかのセンサ」)から取得された測定データを予測するにあたって、予測元となるセンサ(すなわち、「他のセンサ」)の実測値を所定の数式に代入することで、予測対象のセンサの予測値を算出してよい。
【0045】
一例として、データ記録装置100がセンサ1~5の測定データを取得していたとする。そして、センサ1の実測値が、センサ2の実測値およびセンサ3の実測値と相関があることが既知であったとする。この場合、データ予測部130は、予測対象とするセンサ1から取得された測定データを予測するにあたって、予測元となるセンサ2の実測値およびセンサ3の実測値を所定の数式に代入することで、センサ1の予測値を算出してよい。同様に、一例として、センサ4の実測値が、センサ5の実測値と相関があることが既知であったとする。この場合、データ予測部130は、予測対象とするセンサ4から取得された測定データを予測するにあたって、予測元となるセンサ5の実測値を所定の数式に代入することで、センサ4の予測値を算出してよい。
【0046】
この際、予測対象とするセンサと予測元となるセンサとは、測定する物理量の種別が同じである必要はなく、互いに異なっていてもよい。例えば、データ予測部130は、流量Fの実測値および温度Tの実測値を所定の数式に代入することで、圧力Pの予測値を算出することもできる。
【0047】
なお、上述の説明では、複数のセンサから取得された測定データ間の相関が既知であった場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。複数のセンサから取得された測定データ間の相関は、例えば、センサの設置環境により様々に変化し得る。このような場合には、データ予測部130は、例えば、複数のセンサから取得された測定データを回帰分析してもよい。一例として、データ予測部130は、予測対象とするセンサの予測値と、予測元となるセンサの実測値に回帰係数を乗算した値と、の差分が最小となるように、回帰係数を算出してよい。そして、データ予測部130は、差分が最小となる回帰係数を用いて、予測対象とするセンサの予測値を算出してもよい。データ予測部130は、予測した測定データ(予測値)を決定部140へ供給する。
【0048】
ステップS260において、データ記録装置100は、センサのセットを決定する。例えば、決定部140は、データ記録部120にアクセスし、ステップS220において記録された測定データを取得する。そして、決定部140は、取得された測定データとステップS250において予測された測定データとを用いて、複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサのセットを決定する。この際、本実施形態においては、付与部145が、他のセンサから取得された測定データを用いて少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、他のセンサに対して付与する。そして、決定部140は、予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されたセンサをセットに含めることにより、センサのセットを決定する。これについては、詳細を後述する。決定部140は、決定したセンサのセットを示す情報をデータ選択部150へ供給する。
【0049】
ステップS270において、データ記録装置100は、測定データを選択する。例えば、データ選択部150は、複数のセンサから取得された測定データのうち、ステップS260において決定されたセットに含まれるセンサから取得された測定データを当該セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択する。一例として、決定されたセットにセンサ2、センサ3、および、センサ5が含まれる場合、データ選択部150は、当該セットに含まれるセンサ2、センサ3、および、センサ5から取得された測定データを、当該セットに含まれないセンサ1およびセンサ4から取得された測定データよりも優先して選択する。
【0050】
この際、データ選択部150は、セットに含まれるセンサ2、センサ3、センサ5から取得された測定データのみを選択し、当該セットに含まれないセンサ1およびセンサ4から取得された測定データを選択しなくてもよい。これに代えて、データ選択部150は、当該セットに含まれるセンサ2、センサ3、センサ5から取得された測定データを優先度「高」のデータとして選択し、当該セットに含まれないセンサ1およびセンサ4から取得された測定データを優先度「低」のデータとして選択してもよい。データ選択部150は、選択した結果を示す情報をデータ記録部120へ供給する。
【0051】
ステップS280において、データ記録装置100は、選択された測定データを記録する。例えば、データ記録部120は、ステップS270において選択された測定データを記録する。一例として、ステップS270においてセンサ2、センサ3、および、センサ5から取得された測定データのみが選択された場合、データ記録部120は、センサ1およびセンサ4から取得された測定データを削除して、センサ2、センサ3、および、センサ5から取得された測定データのみを記録してよい。データ記録部120は、例えばこのようにして、セットに含まれないセンサから取得された測定データを削除して、セットに含まれるセンサから取得された測定データのみを記録することもできる。
【0052】
また、ステップS270においてセンサ2、センサ3、センサ5から取得された測定データが優先度「高」のデータとして選択され、センサ1およびセンサ4から取得された測定データが優先度「低」のデータとして選択された場合、データ記録部120は、優先度が低いセンサ1およびセンサ4から取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減して(時間軸方向においてサンプル数を間引いて)記録してよい。データ記録部120は、例えばこのようにして、セットに含まれないセンサから取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減して記録することもできる。
【0053】
また、ステップS270においてセンサ2、センサ3、センサ5から取得された測定データが優先度「高」のデータとして選択され、センサ1およびセンサ4から取得された測定データが優先度「低」のデータとして選択された場合、データ記録部120は、優先度が低いセンサ1およびセンサ4から取得された測定データを、1データあたりのデータサイズを削減して(大きさ軸方向においてビット幅(量子化ビット数)を削減して)記録してよい。データ記録部120は、例えばこのようにして、セットに含まれないセンサから取得された測定データを、1データあたりのデータサイズを削減して記録することもできる。
【0054】
データ記録装置100は、例えばこのようにして、測定データを選択的に記録してフローを終了する。このように、データ記録部120は、記録可能な残り容量が予め定められた閾値を下回ったことに応じて(ステップS230においてYesと判定されたことに応じて)、選択された測定データを記録してよい。また、データ記録部120は、予め定められた時間が経過したことに応じて(ステップS240においてYesと判定されたことに応じて)、選択された測定データを記録してよい。
【0055】
図3は、本実施形態に係るデータ記録装置100の決定部140がセンサのセットを決定するフローの一例を示す。本フローにおいて、iはセンサのインデックスを示している。また、nはセンサの個数を示しており、例えば、データ記録装置100がセンサ1~5の測定データを取得する場合、nは5となる。
【0056】
ステップS310において、決定部140は、iを初期値である1に設定する。i=1の場合、センサ1が対象センサとなる。
【0057】
ステップS320において、決定部140は、対象センサに対して予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されているか否か判定する。i=1の場合、決定部140は、センサ1に対して予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されているか否か判定する。この時点においては、いずれのセンサにもこのような識別情報が付与されていないため、判定結果は「No」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS330へ進める。
【0058】
ステップS330において、決定部140は、対象センサの予測値を取得する。i=1の場合、決定部140は、他のセンサであるセンサ2~5の少なくともいずれかから取得された測定データを用いて、対象センサであるセンサ1から取得された測定データを予測した予測値を、データ予測部130から取得する。一例として、データ予測部130が、センサ2および3から取得された測定データの実測値を用いて、センサ1から取得された測定データの実測値を予測した予測値を算出していたとする。この場合、決定部140は、当該予測値をセンサ1の予測値として取得してよい。なお、データ予測部130が、異なるセンサ(の組み合わせ)から取得された測定データを用いて複数の予測値を算出していた場合、決定部140は、算出された複数の予測値を取得してよい。
【0059】
ステップS340において、決定部140は、ステップS330において取得された予測値が許容範囲内であるか否か判定する。ここで、許容範囲は、例えば、実測値に対する予測値の誤差、すなわち、実測値と予測値との差分により定義されてよい。一例として、許容範囲は、誤差1%以内や誤差5%以内等として定義されてよい。このような許容範囲は、センサ毎に異なる範囲に設定可能である。すなわち、例えば、センサ1に対しては、許容範囲は誤差1%以内として設定され、センサ4に対しては、許容範囲は誤差5%以内として設定されてもよい。
【0060】
予測値(複数ある場合には、複数の予測値のいずれも)が許容範囲内でない(No)と判定された場合、決定部140は、処理をステップS360へ進める。すなわち、決定部140は、ステップS350の処理を省略する。一方、予測値(複数ある場合には、複数の予測値のいずれか)が許容範囲内である(Yes)と判定された場合、決定部140は、処理をステップS350へ進める。i=1の場合において、例えば、センサ2および3から取得された測定データを用いてセンサ1から取得された測定データを予測した予測値が誤差1%以内であったとすると、判定結果は「Yes」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS350へ進める。
【0061】
ステップS350において、付与部145は、他のセンサから取得された測定データを用いて少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が許容範囲内であるかどうかを示す識別情報を、他のセンサに対して付与する。この際、付与部145は、識別情報として予測値が許容範囲内であったか否かを2値で識別可能な情報を用いてもよいし、誤差が何%以内であったかを3値以上で識別可能な情報を用いてもよい。これより先、付与部145が、識別情報として予測値が許容範囲内であったことを示すフラグを用いる場合を一例として説明する。i=1の場合において、例えば、センサ2および3から取得された測定データを用いてセンサ1から取得された測定データを予測した予測値が誤差1%以内であったとすると、付与部145は、センサ2および3に対して、当該フラグを付与する。そして、決定部140は、処理をステップS360へ進める。
【0062】
ステップS360において、決定部140は、iがnであるか否か判定する。すなわち、決定部140は、センサのインデックスがセンサの個数に到達したか否か判定する。これにより、決定部140は、全てのセンサが対象センサとなったか否か判定する。i=1の場合、判定結果は「No」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS370へ進める。
【0063】
ステップS370において、決定部140は、iをインクリメントし、i=i+1とする。i=1の場合、決定部140は、i=2として、センサ2を対象センサとする。そして、決定部140は、処理をステップS320へ戻してフローを継続する。
【0064】
ステップS320において、i=2の場合、決定部140は、センサ2に対して予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されているか否か判定する。ここでは、上述のステップS350において、センサ2に対して予測値が許容範囲内であることを示すフラグが付与されているので、判定結果は「Yes」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS360へ進める。すなわち、決定部140は、ステップS330~ステップS350の処理を省略する。
【0065】
ステップS360において、i=2の場合、判定結果は「No」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS370へ進める。
【0066】
ステップS370において、i=2の場合、決定部140は、i=3として、センサ3を対象センサとする。そして、決定部140は、処理をステップS320へ戻してフローを継続する。
【0067】
ステップS320において、i=3の場合、決定部140は、センサ3に対して予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されているか否か判定する。ここでは、上述のステップS350において、センサ3に対して予測値が許容範囲内であることを示すフラグが付与されているので、判定結果は「Yes」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS360へ進める。
【0068】
ステップS360において、i=3の場合、判定結果は「No」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS370へ進める。
【0069】
ステップS370において、i=3の場合、決定部140は、i=4として、センサ4を対象センサとする。そして、決定部140は、処理をステップS320へ戻してフローを継続する。
【0070】
ステップS320において、i=4の場合、決定部140は、センサ4に対して予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されているか否か判定する。ここで、センサ4に対しては予測値が許容範囲内であることを示すフラグが付与されていないので、判定結果は「No」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS330へ進める。
【0071】
ステップS330において、i=4の場合、決定部140は、他のセンサであるセンサ1~3、5の少なくともいずれかから取得された測定データを用いて、対象センサであるセンサ4から取得された測定データを予測した予測値を、データ予測部130から取得する。一例として、データ予測部130が、センサ5から取得された測定データの実測値を用いて、センサ4から取得された測定データの実測値を予測した予測値を算出していたとする。この場合、決定部140は、当該予測値を対象センサであるセンサ4の予測値として取得してよい。
【0072】
ステップS340において、i=4の場合、対象センサであるセンサ4に設定された許容範囲(誤差5%以内)が用いられる。例えば、センサ5から取得された測定データを用いてセンサ4から取得された測定データを予測した予測値が誤差5%以内であったとすると、判定結果は「Yes」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS350へ進める。
【0073】
ステップS350において、i=4の場合において、センサ5から取得された測定データを用いてセンサ4から取得された測定データを予測した予測値が誤差5%以内であったとすると、付与部145は、センサ5に対して、予測値が許容範囲内であったことを示すフラグを付与する。そして、決定部140は、処理をステップS360へ進める。
【0074】
ステップS360において、i=4の場合、判定結果はNoとなる。この場合、決定部140は、処理をステップS370へ進める。
【0075】
ステップS370において、i=4の場合、決定部140は、i=5として、センサ5を対象センサとする。そして、決定部140は、処理をステップS320へ戻してフローを継続する。
【0076】
ステップS320において、i=5の場合、決定部140は、センサ5に対して予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されているか否か判定する。ここでは、上述のステップS350において、センサ5に対して予測値が許容範囲内であることを示すフラグが付与されているので、判定結果は「Yes」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS360へ進める。
【0077】
ステップS360において、i=5の場合、判定結果は「Yes」となる。この場合、決定部140は、処理をステップS380へ進める。
【0078】
ステップS380において、決定部140は、識別情報にしたがってセンサのセットを決定する。例えば、決定部140は、予測値が許容範囲内であることを示すフラグが付与されたセンサをセットに含める。一例として、センサ2、3、および、5に対して当該フラグが付与されている場合、決定部140は、センサ2、3、および、5をセンサのセットとして決定する。
【0079】
ここで、センサ1から取得された測定データは、センサ2および3から取得された測定データを用いて許容範囲内(誤差1%以内)で再現可能であるので、削除してもよいデータ(記録の優先度が低いデータ)とみなすことができる。一方、センサ2および3から取得された測定データは、センサ1から取得された測定データを許容範囲内で再現するために必須であるので、削除しない方がよいデータ(記録の優先度が高いデータ)とみなすことができる。同様に、センサ4から取得された測定データは、センサ5から取得された測定データを用いて許容範囲内(誤差5%以内)で再現可能であるので、削除してもよいデータとみなすことができる。一方、センサ5から取得された測定データは、センサ4から取得された測定データを再現するために必須であるので、削除しない方がよいデータとみなすことができる。
【0080】
換言すれば、センサ1およびセンサ4から取得された測定データを記録から削除したとしても、センサ2、3、および、5から取得された測定データが記録されてさえいれば、センサ1~5から取得された測定データを、許容範囲内で再現可能であるということができる。したがって、このようなセンサ2、3、および、5からなるセンサのセットは、センサ1~5から取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセットということができる。決定部140は、例えばこのようにして、センサのセットを決定し、フローを終了する。
【0081】
そして、決定部140は、このようにして決定したセンサのセットを示す情報をデータ選択部150へ供給する。これに応じて、データ選択部150は、複数のセンサから取得された測定データのうち、当該セットに含まれるセンサから取得された測定データを当該セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択する。そして、データ選択部150は、選択した結果を示す情報をデータ記録部120へ供給する。これに応じて、データ記録部120は、データ選択部150により選択された測定データを記録する。したがって、データ記録装置100は、このようにして決定されたセットに含まれるセンサから取得された測定データを、当該セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先的に記録することができる。
【0082】
例えば、OT(Operational Technology)領域にあるプロセス制御システムが、IT(Information Technology)領域のシステムと結合される等、データ量が爆発的に増加することが予想される。このような状況において、全てのデータをそのままの形で記録しておくことは現実的ではなく、データ量の低減もしくは取捨選択が必要である。従来、他のセンサから取得された測定データを用いて、測定データを予測可能な対象センサを選択し、当該対象センサから取得された測定データを削除することが検討されている。この場合、他のセンサの測定データから予測可能な対象センサの測定データを削除することができる。しかしながら、予測に用いた(予測元となる)他のセンサの測定データが削除されてしまうと、本来予測可能であったはずの対象センサの測定データを予測(再現)できないという事態が生じる。
【0083】
これに対して、本実施形態に係るデータ記録装置100は、取得された測定データを再現可能なセンサのセットを決定し、当該セットにしたがって取得された測定データを選択的に記録する。これにより、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、本来予測可能であったはずの対象センサの測定データを再現できないという事態を招くことなく、複数のセンサから取得された測定データが再現可能となるように、測定データを選択的に記録することができる。
【0084】
また、本実施形態に係るデータ記録装置100は、予測値が許容範囲内であることを示す識別情報が付与されたセンサをセンサのセットに含めてよい。これにより、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、識別情報を用いることによって、再現に必須な予測元となる測定データが誤って削除されてしまうことを防ぐことができる。
【0085】
また、本実施形態に係るデータ記録装置100は、許容範囲をセンサ毎に異なる範囲に設定可能であってよい。これにより、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、取得された測定データが予測(再現)可能か否かを、センサ毎に異なる基準を用いて判定することができる。これは、特に、データ記録装置100が、様々な種別の物理量を測定可能な様々なセンサから様々な精度により測定された測定データを扱う場合に、特に有効である。
【0086】
また、本実施形態に係るデータ記録装置100は、センサのセットに含まれないセンサから取得された測定データを削除して、当該セットに含まれるセンサから取得された測定データのみを記録してよい。これにより、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、当該セットに含まれるか否かで測定データを取捨選択するので、記録する測定データの容量を大幅に低減させることができる。
【0087】
また、本実施形態に係るデータ記録装置100は、センサのセットに含まれないセンサから取得された測定データを、単位時間あたりのデータ数を削減、または、1データあたりのデータサイズを削減して記録してよい。これにより、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、センサが当該セットに含まれない場合であっても、測定データの全てを削除するのではなく一部のみを削除して記録を継続することができる。また、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、測定データの特性に応じて、時間軸方向または大きさ軸方向のいずれかにおいて測定データの少なくとも一部を選択的に削除することができる。
【0088】
また、本実施形態に係るデータ記録装置100は、記録可能な残り容量が予め定められた閾値を下回る場合、または、予め定められた時間が経過したことに応じて、測定データを選択的に記録してよい。これにより、本実施形態に係るデータ記録装置100によれば、記録する測定データの総容量を低減したいタイミングで、測定データを選択的に記録することができる。
【0089】
図4は、本実施形態の変形例に係るデータ記録装置100のブロック図の一例を示す。図4においては、図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。上述の実施形態においては、決定部140が、1つのセンサのセットのみを決定する場合を一例として説明した。しかしながら、本変形例においては、決定部140が、複数の候補セットを生成し、当該複数の候補セットの中から1つの候補セットをセンサのセットとして選択する。本変形例に係るデータ記録装置100においては、決定部140は、生成部410と、セット選択部420と、を有する。
【0090】
生成部410は、複数のセンサから取得された測定データを予め定められた許容範囲内で再現可能なセンサの複数の候補セットを生成する。この際、生成部410は、様々な方法により複数の候補セットを生成してよい。例えば、生成部410は、複数のセンサに対してセンサのインデックスを示すiをランダムに振りなおして、図3に示すフローを複数回実行することによって、複数の候補セットを生成してもよい。この場合、生成部410は、付与部145の機能を包含していてもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、生成部410は、他のセンサから取得された測定データを用いて少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が許容範囲内となるパターンの総当たりに基づいて、複数の候補セットを生成してもよい。これについては、詳細を後述する。生成部410は、生成した複数の候補セットを示す情報をセット選択部420へ供給する。
【0091】
セット選択部420は、複数の候補セットの中から、予め定められた基準にしたがって、セットを選択する。この際、セット選択部420は、様々な条件を考慮してセットを選択してよい。例えば、セット選択部420は、複数の候補セットの中で、記録される測定データの量が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してもよい。これに代えて、または、加えて、セット選択部420は、複数の候補セットの中で、取得された測定データと予測された測定データとの差分が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してもよい。これについて、詳細に説明する。
【0092】
図5は、本実施形態の変形例に係るデータ記録装置100が考慮してよいパターンの総当たりの一例を示す。本図の各表において、縦軸および横軸はセンサのインデックスを示している。また、本図の各表において、チェックマークは許容範囲内で再現可能であることを示すフラグを示している。また、本図の各表において、斜線部は、当該斜線部の列に示すセンサから取得された測定データが許容範囲内で再現可能であるため、削除してもよいデータ(記録の優先度が低いデータ)であることを示している。
【0093】
本図においては、センサ1から取得された測定データがセンサ2および3から取得された測定データ、センサ2および4から取得された測定データ、または、センサ2および5から取得された測定データのいずれかを用いて許容範囲内で再現可能であり、センサ4から取得された測定データがセンサ5から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能であり、センサ5から取得された測定データがセンサ4から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能である場合を一例として示している。
【0094】
まず、<パターン1>の表に着目すると、当該表は、センサ1~5から取得された測定データをそのまま用いる(そのまま記録する)場合を示している。センサ1から取得された測定データは、当然、センサ1から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能であるので、(行,列)=(1,1)のセルには、フラグが付されている。センサ2~4についても同様である。
【0095】
次に、<パターン2>の表に着目すると、当該表は、センサ2~5から取得された測定データをそのまま用いる一方で、センサ1から取得された測定データをセンサ2および3から取得された測定データを用いて再現する場合を示している。センサ1から取得された測定データは、センサ2および3から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能であるので、(行,列)=(1,2)および(行,列)=(1,3)のセルには、フラグが付されている。この場合、センサ1から取得された測定データは、削除してもよいデータとなるので、列=1のセルには斜線が付されている。
【0096】
同様に、<パターン8>の表に着目すると、当該表は、センサ2、3、および、5から取得された測定データをそのまま用いる一方で、センサ1から取得された測定データをセンサ2および5から取得された測定データを用いて再現し、センサ4から取得された測定データをセンサ5から取得された測定データを用いて再現する場合を示している。センサ1から取得された測定データは、センサ2および5から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能であるので、(行,列)=(1,2)および(行,列)=(1,5)のセルには、フラグが付されている。同様に、センサ4から取得された測定データは、センサ5から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能であるので、(行,列)=(4,5)のセルには、フラグが付されている。この場合、センサ1から取得された測定データは、削除してもよいデータとなるので、列=1のセルには斜線が付されている。同様に、センサ4から取得された測定データは、削除してもよいデータとなるので、列=4のセルには斜線が付されている。他のパターンについても同様である。
【0097】
このように、他のセンサから取得された測定データを用いて少なくともいずれかのセンサから取得された測定データを予測した予測値が許容範囲内となるパターンが複数存在する場合があり得る。この場合、生成部410は、予測値が許容範囲内となるパターンの総当たりに基づいて、複数の候補セットを生成してよい。一例として、センサ1から取得された測定データがセンサ2および3から取得された測定データ、センサ2および4から取得された測定データ、または、センサ2および5から取得された測定データのいずれかを用いて許容範囲内で再現可能であり、センサ4から取得された測定データがセンサ5から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能であり、センサ5から取得された測定データがセンサ4から取得された測定データを用いて許容範囲内で再現可能である場合、パターンの組み合わせは4×1×1×2×2=16通り存在することとなる。
【0098】
この場合、生成部410は、当該16通りのパターンに基づいて複数の候補セットを生成してよい。例えば、生成部410は、パターン2、3、4、7、11、12、14、15、および、16に基づいてセンサ2、3、4、および、5からなる候補セットAを生成してよい。また、生成部410は、パターン5に基づいてセンサ1、2、3、および、5からなる候補セットBを生成してよい。また、生成部410は、パターン6、および、8に基づいて、センサ2、3、および、5からなる候補セットCを生成してよい。また、生成部410は、パターン9に基づいてセンサ1、2、3、および、4からなる候補セットDを生成してよい。また、生成部410は、パターン10に基づいてセンサ2、3、および、4からなる候補セットEを生成してよい。
【0099】
セット選択部420は、例えばこのようにして生成された複数の候補セットA~Eの中から、様々な条件を考慮して1つの候補セットをセンサのセットとして選択してよい。この際、セット選択部420は、複数の候補セットの中で、記録される測定データの量が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してもよい。例えば、セット選択部420は、セットを構成するセンサの数が少ない候補セットを、センサの数が多い候補セットよりも優先して選択してもよい。一例として、候補セットAが4つのセンサからなり、候補セットBが4つのセンサからなり、候補セットCが3つのセンサからなり、候補セットDが4つのセンサからなり、候補セットEが3つのセンサからなる場合、セット選択部420は、候補セットCおよびEを候補セットA、B、および、Dよりも優先して選択してもよい。
【0100】
また、セット選択部420は、セットを構成するセンサから取得された測定データの総量が少なくなる候補セットを、測定データの総量が多くなる候補セットよりも優先して選択してもよい。一例として、候補セットCがセンサ2、3、および、5からなり、候補セットEがセンサ2、3、および、4からなっていたとする。この場合において、センサ5から取得された測定データの量が、センサ4から取得された測定データの量よりも少なかったとする。この場合、セット選択部420は、候補セットCを候補セットEよりも優先して選択してもよい。この際、セット選択部420は、単位時間当たりのデータ数、または、1データあたりのデータサイズの少なくともいずれかに基づいて、センサ毎の測定データの量を推定してもよい。
【0101】
また、セット選択部420は、複数の候補セットの中で、取得された測定データと予測された測定データとの差分が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してもよい。一例として、候補セットCがセンサ2、3、および、5からなり、候補セットEがセンサ2、3、および、4からなっていたとする。この場合において、センサ4から取得された測定データを用いてセンサ5から取得された測定データを予測した誤差が、センサ5から取得された測定データを用いてセンサ4から取得された測定データを予測した誤差よりも小さかったとする。この場合、セット選択部420は、候補セットEを候補セットCよりも優先して選択してもよい。
【0102】
このように、本変形例に係るデータ記録装置100は、複数の候補セットを生成し、当該複数の候補セットの中から1つの候補セットをセンサのセットとして選択してよい。これにより、本変形例に係るデータ記録装置100によれば、複数の候補セットの中で、最も好ましい候補セットをセンサのセットとして採用することができる。
【0103】
また、本変形例に係るデータ記録装置100は、予測値が許容範囲内となるパターンの総当たりに基づいて、複数の候補セットを生成してよい。これにより、本変形例に係るデータ記録装置100によれば、取り得る全ての組み合わせを考慮した上で、最適な候補セットをセンサのセットとして採用することができる。
【0104】
また、本変形例に係るデータ記録装置100は、測定データの量や誤差が小さくなる候補セットを大きくなる候補セットよりも優先して選択してよい。これにより、本変形例に係るデータ記録装置100によれば、記録される測定データの量を効率的に低減するとともに、再現度の高い測定データを選択的に記録することができる。
【0105】
図6は、本実施形態の別の変形例に係るデータ記録装置100のブロック図の一例を示す。図6においては、図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本変形例に係るデータ記録装置100は、例えば、OT領域に設けられてよく、OT領域に設けられたセンサから取得された測定データを、IT領域に設けられた他のシステムや装置へ送信可能であってよい。本変形例に係るデータ記録装置100は、データ蓄積部610と、データ送信部620と、を更に備える。また、本変形例に係るデータ記録装置100においては、データ取得部110は、複数のセンサから取得された測定データを、データ記録部120に代えて、データ蓄積部610へ供給する。
【0106】
データ蓄積部610は、測定データを蓄積する。一例として、データ蓄積部610は、データ取得部110により取得された全ての測定データを、センサ毎に時系列に蓄積してよい。そして、データ蓄積部610は、蓄積した測定データのうち、他のシステムや装置へ送信すべき送信対象の測定データを、データ記録部120へ供給する。なお、このような送信対象は、例えば、ユーザ入力に基づいて選択されたものであってもよいし、データ記録装置100によって自動的に選択されたものであってもよい。
【0107】
したがって、本変形例に係るデータ記録装置100においては、データ選択部150は、送信対象の測定データのうち、決定部140により決定されたセットに含まれるセンサから取得された測定データを当該セットに含まれないセンサから取得された測定データよりも優先して選択する。これに応じて、データ記録部120は、送信対象の測定データのうち、データ選択部150により選択された測定データを記録する。
【0108】
そして、データ送信部620は、このようにしてデータ記録部120に記録された測定データ、すなわち、送信対象の測定データのうちの選択された測定データを、ネットワーク等を介して、他のシステムまたは装置へ送信する。
【0109】
このように、本変形例に係るデータ記録装置100は、送信対象の測定データを選択的に記録してよい。これにより、本変形例に係るデータ記録装置100によれば、例えば、OT領域からIT領域へ測定データを送信するにあたって、データ記録装置100から送信するデータ量を低減することができる。すなわち、測定データを選択的に記録することは、広義には、選択されなかった測定データを記録領域から完全に削除することの他にも、他のシステムまたは装置へ送信する対象から除外することをも含むものと解釈されてよい。
【0110】
ここまで、実施し得る形態を例示して説明した。しかしながら、上述の実施形態は、様々な形で変更、または、応用されてよい。例えば、測定データを予測(再現)可能なセンサは、測定データの記録が必要ないだけでなく、万一故障しても保守が不要であるということにもなり得る。したがって、データ記録装置100は、上述の実施形態に係るデータ記録装置100が備える機能部に加えて、測定データを予測可能なセンサをユーザ等に通知する機能部を更に備えてもよい。この場合、データ記録装置100は、決定されたセットに含まれないセンサを識別する情報を、モニタにより表示出力してもよいし、スピーカにより音声出力してもよいし、プリンタにより印字出力してもよいし、他の装置へメッセージを送ることにより送信出力してもよい。
【0111】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0112】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0113】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0114】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0115】
図7は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ9900の例を示す。コンピュータ9900にインストールされたプログラムは、コンピュータ9900に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ9900に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ9900に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU9912によって実行されてよい。
【0116】
本実施形態によるコンピュータ9900は、CPU9912、RAM9914、グラフィックコントローラ9916、およびディスプレイデバイス9918を含み、それらはホストコントローラ9910によって相互に接続されている。コンピュータ9900はまた、通信インターフェイス9922、ハードディスクドライブ9924、DVDドライブ9926、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ9920を介してホストコントローラ9910に接続されている。コンピュータはまた、ROM9930およびキーボード9942のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ9940を介して入/出力コントローラ9920に接続されている。
【0117】
CPU9912は、ROM9930およびRAM9914内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ9916は、RAM9914内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU9912によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス9918上に表示されるようにする。
【0118】
通信インターフェイス9922は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ9924は、コンピュータ9900内のCPU9912によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブ9926は、プログラムまたはデータをDVD-ROM9901から読み取り、ハードディスクドライブ9924にRAM9914を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0119】
ROM9930はその中に、アクティブ化時にコンピュータ9900によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ9900のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ9940はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ9920に接続してよい。
【0120】
プログラムが、DVD-ROM9901またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ9924、RAM9914、またはROM9930にインストールされ、CPU9912によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ9900に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ9900の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0121】
例えば、通信がコンピュータ9900および外部デバイス間で実行される場合、CPU9912は、RAM9914にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス9922に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス9922は、CPU9912の制御下、RAM9914、ハードディスクドライブ9924、DVD-ROM9901、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0122】
また、CPU9912は、ハードディスクドライブ9924、DVDドライブ9926(DVD-ROM9901)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM9914に読み取られるようにし、RAM9914上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU9912は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0123】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU9912は、RAM9914から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM9914に対しライトバックする。また、CPU9912は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU9912は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0124】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ9900上またはコンピュータ9900近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ9900に提供する。
【0125】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0126】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0127】
100 データ記録装置
110 データ取得部
120 データ記録部
130 データ予測部
140 決定部
145 付与部
150 データ選択部
410 生成部
420 セット選択部
610 データ蓄積部
620 データ送信部
9900 コンピュータ
9901 DVD-ROM
9910 ホストコントローラ
9912 CPU
9914 RAM
9916 グラフィックコントローラ
9918 ディスプレイデバイス
9920 入/出力コントローラ
9922 通信インターフェイス
9924 ハードディスクドライブ
9926 DVDドライブ
9930 ROM
9940 入/出力チップ
9942 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7