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特許7622731決済情報管理装置、精算システム、決済情報管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】決済情報管理装置、精算システム、決済情報管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20250121BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250121BHJP
   G06V 40/18 20220101ALI20250121BHJP
   G06V 40/14 20220101ALI20250121BHJP
   G06V 40/50 20220101ALI20250121BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06T7/00 510E
G06T7/00 510D
G06V40/18
G06V40/14
G06V40/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022504345
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007640
(87)【国際公開番号】W WO2021177214
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2020034919
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】名田 幸生
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 小百合
(72)【発明者】
【氏名】小勝 俊亘
(72)【発明者】
【氏名】田辺 正道
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215738(JP,A)
【文献】特開2018-018481(JP,A)
【文献】特開2017-010550(JP,A)
【文献】特開2005-258860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録手段と、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得する取得手段と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証手段と、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録手段と、
を備える決済情報管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の決済情報管理装置において、
前記第2登録手段は、さらに、前記第1記憶手段が当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記マスター生体情報を記憶していないことを必要条件として、当該顧客の前記虹彩情報および/又は静脈情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の決済情報管理装置において、
前記第1登録手段は、前記人物の端末と通信するために必要な端末特定情報をさらに取得し、当該端末特定情報を前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させ、
前記第2登録手段は、
前記認証手段が読み出した前記決済情報に関連する前記端末特定情報を前記第1記憶手段から読み出し、前記端末特定情報を用いて、前記生体情報を用いた認証処理を行ってよいか否かを確認するための情報を前記端末に送信し、
前記端末から、前記認証処理を行ってよい旨の情報を取得すると、前記生体情報を前記マスター生体情報とするための情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の決済情報管理装置において、
前記端末は前記第1端末である決済情報管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の決済情報管理装置において、
前記第2登録手段が前記生体情報を用いた前記認証処理を実行可能とした後、
前記認証手段は、前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がない場合、前記顧客の前記生体情報を用いた前記認証処理を実行し、当該認証処理が成功したときに、認証に用いた前記虹彩情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる、決済情報管理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の決済情報管理装置において、
前記精算装置は、前記認証用顔情報の取得処理の少なくとも一部と並行して、前記生体情報の取得処理の少なくとも一部を行い、
前記取得手段は、前記認証用顔情報とともに前記生体情報を取得する決済情報管理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の決済情報管理装置において、
前記第1登録手段は、前記人物の属性情報を取得し、当該属性情報を前記マスター顔情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
【請求項8】
店舗で使用される精算装置と、
前記精算装置で使用される情報を管理する決済情報管理装置と、
を備え、
前記決済情報管理装置は、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録手段を備え、
前記精算装置は、
当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を生成する顔情報生成手段と
前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を生成する生体情報生成手段と、
前記認証用顔情報及び前記生体情報を前記決済情報管理装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記決済情報管理装置は、さらに、
前記精算装置から前記認証用顔情報及び前記生体情報を取得する取得手段と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証手段と、
前記精算装置が前記決済情報を用いた前記精算処理を実行することを必要条件として、前記精算装置から取得した前記生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録手段と、
を備える精算システム。
【請求項9】
コンピュータが、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させ、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得し、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させ、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる、決済情報管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録機能と、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得する取得機能と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証機能と、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録機能と、
を持たせるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済情報管理装置、精算システム、決済情報管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、電子的な決済において、生体情報を用いた本人認証が行われている。例えば特許文献1には、ユーザのIDと生体情報を対応付けて記憶しておき、この生体情報を用いてユーザの認証を行うことが記載されている。特許文献1において、決済は、ユーザの認証が成功した後に行われる。
【0003】
また特許文献2には、顔認証と虹彩認証を並行して行い、顔認証と虹彩認証のいずれか一方で成功したときに、本人の認証に成功したと判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-67075号公報
【文献】特開2005-242677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体認証の一つに顔認証がある。顔認証は、マスター情報の登録を含め、認証対象者への負荷が少ないというメリットがある。しかし、非常に高い認証精度が求められる場合、顔認証はその要求を満たせない可能性がある。他の生体認証として虹彩認証や静脈認証がある。これらの生体情報を用いた認証は認証精度が高いというメリットがある。一方、虹彩認証や静脈認証は、専用の撮像部が必要になるため、認証対象者は、マスター情報を登録する際に、専用の撮像部がある場所に行く必要がある。
【0006】
本発明の目的の一つは、顔認証の利便性を生かしつつ、虹彩認証や静脈認証を用いた生体認証においてマスター情報を登録しやすくすることにある。また、本発明の他の目的は、顔認証と虹彩認証や静脈認証を併用することにより、認証精度と利便性を両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録手段と、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得する取得手段と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証手段と、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録手段と、
を備える決済情報管理装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報、当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報、並びに当該人物の虹彩情報および/又は静脈情報を示すマスター生体情報を関連付けて記憶する第1記憶手段と共に使用され、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報及び当該顧客の前記生体情報である認証用生体情報を取得する取得手段と、
前記第1記憶手段、並びに前記認証用生体情報及び/又は前記認証用顔情報を用いて認証処理を行う認証手段と、
を備え、
前記認証手段は、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させ、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がない場合、前記認証用生体情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター生体情報を特定し、当該マスター生体情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる、決済情報管理装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、店舗で使用される精算装置と、
前記精算装置で使用される情報を管理する決済情報管理装置と、
を備え、
前記決済情報管理装置は、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録手段を備え、
前記精算装置は、
当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を生成する顔情報生成手段と
前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を生成する生体情報生成手段と、
前記認証用顔情報及び前記生体情報を前記決済情報管理装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記決済情報管理装置は、さらに、
前記精算装置から前記認証用顔情報及び前記生体情報を取得する取得手段と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証手段と、
前記精算装置が前記決済情報を用いた前記精算処理を実行することを必要条件として、前記精算装置から取得した前記生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録手段と、
を備える精算システムが提供される。
【0010】
本発明によれば、コンピュータが、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させ、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得し、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させ、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる、決済情報管理方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、コンピュータに、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる機能と、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得する機能と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる機能と、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる機能と、
を持たせるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
ある発明によれば、顔認証の利便性を生かしつつ、虹彩認証及び/又は静脈認証においてマスター生体情報を登録しやすくすることにある。また、他の発明によれば、顔認証と虹彩認証及び/又は静脈認証を併用することにより、認証精度と利便性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る精算システムの構成を示す図である。
図2】決済情報管理装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】精算装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】第1端末の機能構成の一例を示す図である。
図5】決済情報管理装置の第1記憶部のデータ構成の一例を示す図である。
図6】決済情報管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図7】決済情報管理装置が行う第1の処理を示すフローチャートである。
図8】決済情報管理装置が行う第2の処理を示すフローチャートである。
図9】決済情報管理装置が行う第3の処理を示すフローチャートである。
図10】決済情報管理装置が行う第4の処理を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係る決済情報管理装置の使用環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る精算システムの構成を示す図である。実施形態に係る精算システムは決済情報管理装置10及び精算装置20を有しており、第1端末30と共に使用される。
【0016】
精算装置20は、店舗に設置されており、顧客が商品やサービスに対する対価を精算するときに使用される。この際、精算装置20は、電子的な手法、例えばクレジットカード又は電子マネーカードを用いて精算を行う。決済情報管理装置10は、精算装置20に、電子的な支払いを行うために必要な情報(以下、決済情報と記載)を送信する。決済情報は、支払い手段を特定するための情報、例えばクレジットカードの番号及びその有効期限、電子マネーカードの番号、並びに銀行の口座番号の少なくとも一つを含んでいる。決済情報を精算装置20に送信する際、決済情報管理装置10は、生体認証を用いる。この生体認証は、顔認証、並びに虹彩認証及び/又は静脈認証である。これらの認証において、決済情報管理装置10は、マスター用の顔情報(以下、マスター顔画像と記載)及びマスター用の虹彩情報及び/又は静脈情報(以下、マスター生体情報と記載)を用いる。
【0017】
本実施形態において、顔情報は、例えば顔の特徴量又は顔画像であり、虹彩情報は、例えば虹彩の特徴量又は虹彩画像であり、静脈情報は、例えば静脈の特徴量又は静脈の画像である。顔情報として顔画像が用いられる場合、顔情報は、必要に応じて顔の特徴量に加工される。また、虹彩情報として虹彩画像が用いられる場合、虹彩情報は、必要に応じて虹彩の特徴量に加工される。また、静脈情報として静脈の画像が用いられる場合、静脈情報は、必要に応じて静脈の特徴量に加工される。なお、以下の説明において、「虹彩認証及び/又は静脈認証」に関しては、虹彩認証を例示している。同様に、「虹彩情報及び/又は静脈情報」に関しては、虹彩情報を例示している。同様に、「虹彩画像及び/又は静脈の画像」に関しては、虹彩画像を例示している。
【0018】
この精算システムを用いる人は、決済情報管理装置10に、決済情報及びマスター顔情報を予め登録しておく。この登録には第1端末30が用いられる。第1端末30は、携帯端末であってもよいし、店舗等に設置された端末、例えばキオスク端末であってもよい。そして第1端末30は顔を撮影するための撮像部(後述する顔情報生成部310の一部または全部)を有している。マスター顔情報は、この撮像部が生成した画像、又はその画像から抽出した特徴量である。
【0019】
また、精算装置20は、顧客の顔画像を撮像するための撮像部(後述する顔情報生成部210の一部または全部)、及びその顧客の虹彩画像を撮像するための撮像部(後述する生体情報生成部220の一部または全部)を有している。これらの撮像部が生成した画像は、精算処理において本人認証を行う際に用いられる。また、精算装置20が生成した虹彩画像は、マスター生体情報を生成する際にも用いられる。
【0020】
図2は、決済情報管理装置10の機能構成の一例を示す図である。決済情報管理装置10は、第1登録部110、取得部130、認証部140、及び第2登録部150を有している。
【0021】
第1登録部110は、第1端末30から、上記した決済情報及びマスター顔情報を取得し、決済情報及びマスター顔情報を互いに関連付けて第1記憶部120に記憶させる。取得部130は、精算装置20から、当該精算装置20を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報(以下、認証用顔情報と記載)を取得する。認証部140は、認証用顔情報に対するスコアが基準値以上のマスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する決済情報を第1記憶部120から読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を精算装置20に実行させる。第2登録部150は、決済情報を用いた精算処理を精算装置20が実行することを必要条件として、顧客の虹彩情報を、マスター生体情報として、当該顧客の決済情報に関連付けて第1記憶部120に記憶させる。マスター生体情報は精算装置20が生成する。なお、決済情報管理装置10の各機能部が行う処理の詳細は、フローチャートを用いて後述する。
【0022】
本図に示す例において、第1記憶部120は決済情報管理装置10の一部となっている。ただし、第1記憶部120は決済情報管理装置10の外部に位置していてもよい。
【0023】
図3は、精算装置20の機能構成の一例を示す図である。精算装置20は、顔情報生成部210、生体情報生成部220、及び精算処理部230を有している。
【0024】
顔情報生成部210は、顧客の顔画像を生成する撮像部、例えば可視光の撮像部を有している。顔情報生成部210は、この顔画像、又はこの顔画像から生成された特徴量を、顔情報を生成するための情報又は顔情報そのものとして、決済情報管理装置10に送信する。
【0025】
生体情報生成部220は、顧客の虹彩画像を生成する撮像部、例えば近赤外の撮像部を有している。生体情報生成部220は、この虹彩画像、又はこの虹彩画像から生成された特徴量を、虹彩情報を生成するための情報又は虹彩情報そのものとして、決済情報管理装置10に送信する。
【0026】
精算処理部230は、顧客が支払うべき対価を含む情報(以下、精算情報と記載)を取得するとともに、その顧客の決済情報を決済情報管理装置10から取得する。そして精算処理部230は、取得した精算情報が示す金額の支払いを、取得した決済情報が示す決済手段で精算するための処理を行う。
【0027】
図4は、第1端末30の機能構成の一例を示す図である。第1端末30は、顔情報生成部310及び登録部320を有している。
【0028】
顔情報生成部310は、人の顔画像を生成する撮像部、例えば可視光の撮像部を有している。登録部320は、人の決済情報を取得するとともに、その決済情報を、顔情報生成部310が生成した顔画像(又はこの顔画像から生成された特徴量)に紐づけて、決済情報管理装置10に送信する。第1端末30から送信される顔画像又は顔の特徴量は、マスター顔情報を生成する情報、又はマスター顔情報として用いられる。
【0029】
また登録部320は、その人の属性情報、例えば年齢又は年齢層、性別、氏名、及び住所の少なくとも一つを取得し、顔画像に紐づけて顔情報生成部310に送信する。
【0030】
本図に示す例において、第1端末30はさらに承認部330を有している。承認部330は、決済情報管理装置10が取得した虹彩情報を、マスター虹彩画像として認証処理に用いてよいか否かを示す情報を、その虹彩情報に対応する人に入力させる。承認部330は、入力結果を決済情報管理装置10に送信する。そして決済情報管理装置10は、認証処理を行ってよい旨の情報を第1端末30から取得すると、その虹彩情報を用いた認証処理を実行可能とする。
【0031】
図5は、決済情報管理装置10の第1記憶部120のデータ構成の一例を示す図である。本図において、第1記憶部120は、マスター顔情報、マスター虹彩情報、決済情報、属性情報、及び虹彩情報を用いた認証の可否を示す情報を、互いに紐づけて記憶している。ここで、虹彩情報を用いた認証の可否がまだ確認されていない場合、第1記憶部120は、虹彩情報を用いた認証の可否を示す情報として、未確認であることを示す情報を記憶する。
【0032】
また、第1記憶部120は、さらに端末特定情報を顔情報に対応付けて記憶している。端末特定情報は、顔情報に対応する人が所持している端末に通信するための情報であり、例えばメールアドレスまたはSNSのアカウントなどである。端末特定情報は、例えばその人が第1端末30に入力することにより取得される。第1端末30がその人の携帯端末である場合、端末特定情報が示す端末は、第1端末30であってもよい。
【0033】
図6は、決済情報管理装置10のハードウェア構成例を示す図である。決済情報管理装置10は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0034】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0035】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0036】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0037】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は決済情報管理装置10の各機能(例えば第1登録部110、取得部130、認証部140、及び第2登録部150)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040は第1記憶部120としても機能する。
【0038】
入出力インタフェース1050は、決済情報管理装置10と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0039】
ネットワークインタフェース1060は、決済情報管理装置10をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。決済情報管理装置10は、ネットワークインタフェース1060を介して精算装置20及び第1端末30と通信してもよい。
【0040】
なお、精算装置20及び第1端末30のハードウェア構成も、図6に示した例と同様である。
【0041】
図7は、決済情報管理装置10が行う第1の処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は、マスター顔情報を、決済情報、属性情報、及び端末特定情報と共に第1記憶部120に登録するための処理であり、第1端末30と共に行われる。
【0042】
まず第1端末30を使う人は、顔情報生成部310を用いて顔画像を撮影する(ステップS10)。またその人は、登録部320に、決済情報、属性情報、及び端末特定情報を入力する(ステップS20)。すると登録部320は、顔情報生成部310が生成した顔画像又は特徴量を、決済情報、属性情報、及び端末特定情報に対応付けて、決済情報管理装置10に送信する(ステップS30)。
【0043】
決済情報管理装置10の第1登録部110は、第1端末30から取得した顔画像又は特徴量を、顔情報として第1記憶部120に記憶させる。ここで第1登録部110は、第1端末30から顔画像を取得した場合、この顔画像を処理して顔の特徴量を生成し、この特徴量を顔情報として第1記憶部120に記憶させてもよい。この際、第1登録部110は、顔情報に紐づけて、決済情報、属性情報、及び端末特定情報を第1記憶部120に記憶させる(ステップS40)。この段階において、第1記憶部120は、その人に対応するマスター生体情報を記憶していない。また、第1記憶部120の「虹彩情報を認証処理に用いてよいか否かを示す情報」欄は、空欄であるか、又は未確認であることを示す情報を記憶している。
【0044】
図8は、決済情報管理装置10が行う第2の処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は、顔情報及び決済情報を第1記憶部120に登録した人が、顧客として最初に精算装置20を用いて精算を行う時を示している。
【0045】
まず精算装置20の前に顧客が立つ。また、精算装置20の精算処理部230は、顧客の精算情報を取得する(ステップS110)。精算装置20が商品登録機能を有している場合、精算装置20が精算情報を生成する。一方、精算装置20が商品登録機能を有していない場合、精算処理部230は、精算装置20の外部の装置(例えば商品登録装置)から精算情報を取得する。
【0046】
次いで精算装置20の顔情報生成部210は顧客の顔画像を生成し、この顔画像を用いて認証用顔情報を生成する。また精算装置20の生体情報生成部220は、顧客の虹彩画像を生成し、この虹彩画像を用いて虹彩情報を生成する(ステップS120)。この虹彩情報は、マスター生体情報として用いられ得る。この際、顔情報生成部210は、顔画像を処理することにより、顧客の目の位置を認識する。そして生体情報生成部220は、その目の位置に合わせて、生体情報生成部220の撮像部の向きを制御する。これにより、生体情報生成部220は、質の高い虹彩画像を容易に生成することができる。
【0047】
なお、ステップS120において、生体情報生成部220は、認証用顔情報の取得処理の少なくとも一部と並行して、認証用虹彩情報の取得処理の少なくとも一部を行う。例えば、顔情報生成部210は、顔画像を生成し、目の位置を特定するとともに、認証用顔情報としての顔の特徴量を生成する。そしてこの特徴量が基準を満たすまで、この処理を繰り返す。生体情報生成部220は、顔情報生成部210が目の位置を特定するたびに、その位置に合わせて撮像部の向きを制御して虹彩画像を生成する。そして生体情報生成部220は、生成した虹彩画像を用いて虹彩情報を生成する。このようにすると、ステップS120に要する時間は短くなる。
【0048】
次いで、精算装置20の顔情報生成部210、生体情報生成部220、及び精算処理部230は、取得した情報、すなわち精算情報、認証用顔情報、及び虹彩情報を、決済情報管理装置10に送信する(ステップS130)。
【0049】
決済情報管理装置10の取得部130は、精算装置20から精算情報、認証用顔情報、及び虹彩情報を取得する。次いで認証部140は、第1記憶部120に、認証用顔情報に対するスコアが基準値以上のマスター顔情報があるか否かを判定する。ある場合(ステップS140:Yes)、認証部140は、認証に成功したと判断し、そのマスター顔画像に対応する決済情報を第1記憶部120から読み出す(ステップS170)。そして認証部140は、読み出した決済情報を精算装置20に送信する(ステップS180)。
【0050】
すると精算装置20の精算処理部230は、決済情報管理装置10から取得した決済情報を用いて、電子的に精算処理を行う(ステップS190)。
【0051】
一方、ステップS140において、条件を満たすマスター顔画像がなかった場合(ステップS140:No)、認証部140は、認証に失敗したことを示す情報を精算装置20に送信する(ステップS150)。すると精算装置20は、認証を失敗したことを示す表示を、例えば精算装置20の表示部に行わせる(ステップS160)。
【0052】
なお、ステップS120~ステップS140に示す処理において、決済情報管理装置10は、所定の時間の間、顔画像の生成及び顔情報を用いた認証処理を、認証が成功するまで繰り返してもよい。この場合、所定の時間が経過しても認証に成功していなかった場合、ステップS150及びステップS160に示した処理が行われる。
【0053】
またステップS170において、認証部140は、第1記憶部120において、当該ステップS170で読み出した決済情報に対応する「虹彩情報を認証処理に用いてよいか否かを示す情報」欄を確認する。ここが空欄であるか、又はこの欄に未確認であることを示す情報が記憶されている場合、今回の精算処理が、その顧客において最初の精算処理であることがわかる。この場合、決済情報管理装置10及び第1端末30は、図9に示す処理を実行する。なお、決済情報管理装置10及び第1端末30は、読み出した決済情報に対応するマスター生体情報が第1記憶部120に記憶されていないことを、図9に示す処理を実行するための必要条件としてもよい。
【0054】
図9は、決済情報管理装置10が行う第3の処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は、マスター虹彩画像の登録処理である。
【0055】
図8のステップS130において、精算装置20の生体情報生成部220は、マスター虹彩画像となり得る虹彩画像を決済情報管理装置10に送信している。取得部130は、この虹彩画像を、ステップS170で読みだした決済情報に対応付けて、第1記憶部120のマスター虹彩画像欄に記憶させる。ただし、この段階ではこの虹彩画像はマスター虹彩画像として扱われない。この虹彩画像がマスター虹彩画像となるためには、図6に「虹彩情報を認証処理に用いてよいことを示す情報」が記憶される必要がある。
【0056】
決済情報管理装置10の第2登録部150は、図8のステップS170で読みだした決済情報に対応する端末特定情報を、第1記憶部120から読み出す。そして第2登録部150は、この端末特定情報を用いて、虹彩情報を用いた認証処理を行ってよいか否かを確認するための情報、すなわちステップS130で取得した虹彩画像をマスター虹彩画像として第1記憶部120に記憶させて良いか否かを確認するための情報を、その人の端末、例えば第1端末30に送信する(ステップS200)。
【0057】
第1端末30は、その人に確認させるための画面を表示する(ステップS210)。その人は、第1端末30に、虹彩情報を認証処理に用いてよいか否かを示す情報を入力する(ステップS220)。すると第1端末30は、その情報を決済情報管理装置10に送信する(ステップS230)。
【0058】
決済情報管理装置10の第2登録部150は、第1端末30から取得した情報に従って、第1記憶部120を更新する(ステップS240)。
【0059】
例えば、第2登録部150は、第1端末30から、認証処理を許可する旨の情報を取得すると、虹彩情報をマスター虹彩画像とするための情報を第1記憶部120に記憶させる。具体的には、第2登録部150は、第1記憶部120の「虹彩情報を認証処理に用いてよいか否かを示す情報」欄に、利用可能であることを示す情報を記憶させる。
【0060】
一方、第2登録部150は、第1端末30から、認証処理を許可しない旨の情報を取得すると、虹彩情報をマスター虹彩画像としないための情報を第1記憶部120に記憶させる。具体的には、第2登録部150は、第1記憶部120の「虹彩情報を認証処理に用いてよいか否かを示す情報」欄に、利用不可であることを示す情報を記憶させる。
【0061】
図10は、決済情報管理装置10が行う第4の処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は、マスター生体情報を第1記憶部120に登録した人が、顧客として精算装置20を用いて精算を行う時を示している。
【0062】
ステップS110~ステップS140に示す処理は、図8と同様である。ただし、ステップS130で送信される虹彩情報は、認証用虹彩情報として扱われる。
【0063】
そして、顔情報を用いた認証に成功した場合(ステップS140:Yes)、図8に示す例と同様に、ステップS170以降の処理が実行される。
【0064】
一方、顔情報を用いた認証に失敗した場合、すなわち認証用顔情報に対するスコアが基準値以上のマスター顔情報がなかった場合(ステップS140:No)、認証部140は、虹彩情報を用いた認証処理を行う(ステップS142)。詳細には、認証部140は、第1記憶部120に、認証用虹彩情報に対するスコアが基準値以上のマスター生体情報があるか否かを判定する。ある場合(ステップS142:Yes)、認証部140は、認証に成功したと判断し、そのマスター虹彩画像に対応する決済情報を第1記憶部120から読み出す(ステップS170)。なお、ステップS142において、認証部140は、ステップS40におけるスコアが上位のマスター顔画像を選択し、これら選択されたマスター画像に対応するマスター生体情報のみを、照合対象としてもよい。
【0065】
一方、ステップS142において、条件を満たすマスター虹彩画像がなかった場合(ステップS142:No)、ステップS150,S160に示した処理が行われる。
【0066】
なお、ステップS120に示す処理において、顔情報が虹彩情報よりも先に生成されることがある。この場合、精算装置20は、顔情報を、虹彩情報よりも先に送信してもよい。すると、決済情報管理装置10の認証部140は、まず顔情報を用いた認証処理を開始し、その後、虹彩情報を取得したタイミングで、虹彩情報を用いた認証処理を開始してもよい。このようにすると、虹彩情報を用いた認証処理の一部を、顔情報を用いた認証処理と並行して行うことができる。したがって、ステップS142までに要する時間が短くなる。
【0067】
なお、本図に示す処理において、認証部140は、認証用虹彩情報がマスター生体情報よりも良質な場合(例えば鮮明な場合や正面度が高い場合)、マスター生体情報を今回用いた認証用虹彩情報で上書きしてもよい。
【0068】
以上、本実施形態によれば、決済情報は第1端末30を用いて登録される。ここで、第1端末30を用いて登録される情報には、マスター顔情報は含まれるが、マスター生体情報が含まれない。このため、第1端末30として、携帯端末などの様々な端末を利用することができる。したがって、決済情報の登録処理の難易度は低くなる。
【0069】
一方、精算装置20を用いて決済するときに、虹彩情報が生成され、必要に応じてこの虹彩情報がマスター生体情報として登録される。そして虹彩情報を用いると、認証精度は高くなる。このため、本実施形態によれば、顔認証の利便性を生かしつつ、マスター生体情報を登録しやすくなる。
【0070】
また、本実施形態によれば、マスター虹彩画像が登録された後、顔情報を用いた認証が失敗したときにのみ、虹彩情報を用いた認証結果が用いられる。このため、認証精度と利便性を両立させることができる。
【0071】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態に係る決済情報管理装置10の使用環境を示す図である。本実施形態において、決済情報管理装置10は、顧客の属性情報を外部装置40からも取得できる点を除いて、第1実施形態に係る決済情報管理装置10と同様である。
【0072】
外部装置40は、例えば決済情報を管理する装置であり、クレジットカードや電子マネーの識別情報(例えば番号)に紐づけて、そのクレジットカードや電子マネーの利用者の属性情報を記憶している。そして決済情報管理装置10の第1登録部110は、第1端末30から送られてきた決済情報に対応する属性情報を外部装置40から取得して、第1記憶部120に記憶させる。
【0073】
本実施形態によれば、人は、図7のステップS20において、第1端末30に属性情報を入力しなくてもよい。従って、人に対する負荷が小さくなる。
【0074】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0075】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0076】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1.第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録手段と、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得する取得手段と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証手段と、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録手段と、
を備える決済情報管理装置。
2.上記1に記載の決済情報管理装置において、
前記第2登録手段は、さらに、前記第1記憶手段が当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記マスター生体情報を記憶していないことを必要条件として、当該顧客の前記虹彩情報および/又は静脈情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
3.上記1又は2に記載の決済情報管理装置において、
前記第1登録手段は、前記人物の端末と通信するために必要な端末特定情報をさらに取得し、当該端末特定情報を前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させ、
前記第2登録手段は、
前記認証手段が読み出した前記決済情報に関連する前記端末特定情報を前記第1記憶手段から読み出し、前記端末特定情報を用いて、前記生体情報を用いた認証処理を行ってよいか否かを確認するための情報を前記端末に送信し、
前記端末から、前記認証処理を行ってよい旨の情報を取得すると、前記生体情報を前記マスター生体情報とするための情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
4.上記3に記載の決済情報管理装置において、
前記端末は前記第1端末である決済情報管理装置。
5.上記3又は4に記載の決済情報管理装置において、
前記第2登録手段が前記生体情報を用いた前記認証処理を実行可能とした後、
前記認証手段は、前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がない場合、前記顧客の前記生体情報を用いた前記認証処理を実行し、当該認証処理が成功したときに、認証に用いた前記虹彩情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる、決済情報管理装置。
6.上記1~5のいずれか一項に記載の決済情報管理装置において、
前記精算装置は、前記認証用顔情報の取得処理の少なくとも一部と並行して、前記生体情報の取得処理の少なくとも一部を行い、
前記取得手段は、前記認証用顔情報とともに前記生体情報を取得する決済情報管理装置。
7.上記1~6のいずれか一項に記載の決済情報管理装置において、
前記第1登録手段は、前記人物の属性情報を取得し、当該属性情報を前記マスター顔情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
8.上記7に記載の決済情報管理装置において、
前記属性情報は、前記決済情報に関連付けて外部の装置に記憶されており、
前記第1登録手段は、取得した前記決済情報に対応する前記属性情報を前記外部の装置から読み出し、読み出した前記属性情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理装置。
9.電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報、当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報、並びに当該人物の虹彩情報及び/又は静脈情報を含む生体情報を示すマスター生体情報を関連付けて記憶する第1記憶手段と共に使用され、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報及び当該顧客の前記生体情報である認証用生体情報を取得する取得手段と、
前記第1記憶手段、並びに前記認証用生体情報及び/又は前記認証用顔情報を用いて認証処理を行う認証手段と、
を備え、
前記認証手段は、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させ、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がない場合、前記認証用生体情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター生体情報を特定し、当該マスター生体情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる、決済情報管理装置。
10.店舗で使用される精算装置と、
前記精算装置で使用される情報を管理する決済情報管理装置と、
を備え、
前記決済情報管理装置は、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録手段を備え、
前記精算装置は、
当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を生成する顔情報生成手段と
前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を生成する生体情報生成手段と、
前記認証用顔情報及び前記生体情報を前記決済情報管理装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記決済情報管理装置は、さらに、
前記精算装置から前記認証用顔情報及び前記生体情報を取得する取得手段と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証手段と、
前記精算装置が前記決済情報を用いた前記精算処理を実行することを必要条件として、前記精算装置から取得した前記生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録手段と、
を備える精算システム。
11.コンピュータが、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させ、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得し、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させ、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる、決済情報管理方法。
12.上記11に記載の決済情報管理方法において、
前記コンピュータは、さらに、前記第1記憶手段が当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記マスター生体情報を記憶していないことを必要条件として、当該顧客の前記虹彩情報および/又は静脈情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理方法。
13.上記11又は12に記載の決済情報管理方法において、
前記コンピュータは、
前記人物の端末と通信するために必要な端末特定情報をさらに取得し、当該端末特定情報を前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させ、
読み出した前記決済情報に関連する前記端末特定情報を前記第1記憶手段から読み出し、前記端末特定情報を用いて、前記生体情報を用いた認証処理を行ってよいか否かを確認するための情報を前記端末に送信し、
前記端末から、前記認証処理を行ってよい旨の情報を取得すると、前記生体情報を前記マスター生体情報とするための情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理方法。
14.上記13に記載の決済情報管理方法において、
前記端末は前記第1端末である決済情報管理方法。
15.上記13又は14に記載の決済情報管理方法において、
前記コンピュータは、前記生体情報を用いた前記認証処理を実行可能とした後、前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がない場合、前記顧客の前記生体情報を用いた前記認証処理を実行し、当該認証処理が成功したときに、認証に用いた前記虹彩情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる、決済情報管理方法。
16.上記11~15のいずれか一項に記載の決済情報管理方法において、
前記精算装置は、前記認証用顔情報の取得処理の少なくとも一部と並行して、前記生体情報の取得処理の少なくとも一部を行い、
前記コンピュータは、前記認証用顔情報とともに前記生体情報を取得する決済情報管理方法。
17.上記11~16のいずれか一項に記載の決済情報管理方法において、
前記コンピュータは、前記人物の属性情報を取得し、当該属性情報を前記マスター顔情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理方法。
18.上記17に記載の決済情報管理方法において、
前記属性情報は、前記決済情報に関連付けて外部の装置に記憶されており、
前記コンピュータは、取得した前記決済情報に対応する前記属性情報を前記外部の装置から読み出し、読み出した前記属性情報を前記第1記憶手段に記憶させる決済情報管理方法。
19.コンピュータに、
第1端末から、電子的に支払いを行うために必要な情報である決済情報及び当該決済情報に対応する人物の顔を示すマスター顔情報を取得し、前記決済情報及び前記マスター顔情報を関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1登録機能と、
店舗に設置された精算装置から、当該精算装置を用いて精算を行おうとしている顧客の顔情報である認証用顔情報を取得する取得機能と、
前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がある場合は、当該マスター顔情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる認証機能と、
前記決済情報を用いた前記精算処理を前記精算装置が実行することを必要条件として、前記精算装置が生成した情報であって前記顧客の虹彩情報および/又は静脈情報を含む生体情報を、マスター生体情報として、当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2登録機能と、
を持たせるプログラム。
20.上記19に記載のプログラムにおいて、
前記第2登録機能は、さらに、前記第1記憶手段が当該顧客の前記決済情報に関連付けて前記マスター生体情報を記憶していないことを必要条件として、当該顧客の前記虹彩情報および/又は静脈情報を前記第1記憶手段に記憶させるプログラム。
21.上記19又は20に記載のプログラムにおいて、
前記第1登録機能は、
前記人物の端末と通信するために必要な端末特定情報をさらに取得し、当該端末特定情報を前記決済情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させ、
前記認証機能が読み出した前記決済情報に関連する前記端末特定情報を前記第1記憶手段から読み出し、前記端末特定情報を用いて、前記生体情報を用いた認証処理を行ってよいか否かを確認するための情報を前記端末に送信し、
前記端末から、前記認証処理を行ってよい旨の情報を取得すると、前記生体情報を前記マスター生体情報とするための情報を前記第1記憶手段に記憶させるプログラム。
22.上記21に記載のプログラムにおいて、
前記端末は前記第1端末であるプログラム。
23.上記21又は22に記載のプログラムにおいて、
前記第2登録機能が前記生体情報を用いた前記認証処理を実行可能とした後、
前記認証機能は、前記認証用顔情報に対するスコアが基準値以上の前記マスター顔情報がない場合、前記顧客の前記生体情報を用いた前記認証処理を実行し、当該認証処理が成功したときに、認証に用いた前記虹彩情報に対応する前記決済情報を読み出し、当該決済情報を用いた精算処理を前記精算装置に実行させる、プログラム。
24.上記19~23のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記精算装置は、前記認証用顔情報の取得処理の少なくとも一部と並行して、前記生体情報の取得処理の少なくとも一部を行い、
前記取得機能は、前記認証用顔情報とともに前記生体情報を取得するプログラム。
25.上記19~24のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記第1登録機能は、前記人物の属性情報を取得し、当該属性情報を前記マスター顔情報に関連付けて前記第1記憶手段に記憶させるプログラム。
26.上記25に記載のプログラムにおいて、
前記属性情報は、前記決済情報に関連付けて外部の装置に記憶されており、
前記第1登録機能は、取得した前記決済情報に対応する前記属性情報を前記外部の装置から読み出し、読み出した前記属性情報を前記第1記憶手段に記憶させるプログラム。
【0077】
この出願は、2020年3月2日に出願された日本出願特願2020-034919号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0078】
10 決済情報管理装置
20 精算装置
30 第1端末
40 外部装置
110 第1登録部
120 第1記憶部
130 取得部
140 認証部
150 第2登録部
210 顔情報生成部
220 生体情報生成部
230 精算処理部
310 顔情報生成部
320 登録部
330 承認部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11