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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】往復する回転運動を生成するための装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/12 20060101AFI20250121BHJP
   A61H 31/00 20060101ALI20250121BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B06B1/12 Z
A61H31/00
B06B1/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022522412
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2020078084
(87)【国際公開番号】W WO2021073967
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】62/915,313
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】バッケル ファン デル カムプ ヘルトルド リエッテ
(72)【発明者】
【氏名】バックス ピーター ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ストルク テオドール
(72)【発明者】
【氏名】ヅィアイメール ハミッド
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-308326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0122631(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0105897(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140506(US,A1)
【文献】国際公開第2019/148289(WO,A1)
【文献】特開2016-111860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/12
A61H 31/00
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を持つ入力シャフト、
前記回転軸を中心とする前記入力シャフトの一方向の回転を提供するための駆動モータ、
前記回転軸を中心とする往復する回転運動を供給するための出力シャフトであって、前記出力シャフトの回転を制限し、それにより前記出力シャフトの一方向の回転を防止する負荷に結合するための、前記出力シャフト、
前記回転軸を中心にして配され、前記入力シャフトに回転固定される第1の磁性又は強磁性リング、及び
前記回転軸を中心にして配され、前記出力シャフトに回転固定される第2の磁性又は強磁性リング
を有し、前記第1及び第2のリングは、前記回転軸の周りで一方が他方の内側に配され、前記第1及び第2のリングの少なくとも一方は、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有し、
前記第1のリングと前記第2のリングとの間における、前記回転軸に沿った軸の相対的な整列は、出力するトルクレベルを設定するための所望する相対的な整列に調整可能である、
回転往復運動を生成するための装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のリングの一方又は両方は、交互に並ぶ磁極からなる環状シーケンスを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のリングは、各々が、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有する、又は
前記第1及び第2のリングの一方は、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有し、前記第1及び第2のリングの他方は、強磁性極からなるシーケンスを有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
第3の磁気又は強磁性リングをさらに有し、
前記第2及び第3のリングは、共に、前記第1のリング内又はその周りに前記回転軸の軸方向に沿って並んで配され、
前記第1及び第2のリングは、前記第1及び第3のリングにより規定される結合と逆位相である結合を規定する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
第2の出力シャフトを有し、
前記第3のリングは、前記回転軸を中心として配され、前記第2の出力シャフトに回転固定され、並びに
前記第1及び第2の出力シャフトは、前記第1及び第2の出力シャフトの回転を制限し、前記第1及び第2の出力シャフトの一方向の回転を防止する負荷に結合するためのものである、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の出力シャフトは、さらなる負荷によって結合される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の装置、及び
その両端において前記出力シャフトに接続され、被験者の胸部の周りに位置決めるための胸部圧迫ベルト
を有する、胸部圧迫デバイス。
【請求項8】
前記装置は、前記回転軸を中心にして第2の往復する回転運動を供給するためのさらなる出力シャフトをさらに有し、
前記胸部圧迫デバイスは、その両端において前記さらなる出力シャフトに接続される第2のベルトをさらに有する
請求項7に記載の胸部圧迫デバイス。
【請求項9】
前記胸部圧迫ベルトと前記被験者との間に摩擦低減装置をさらに有する、
請求項7又は8に記載の胸部圧迫デバイス。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の装置の組、及び
被験者に力を加えるための力アプリケータの組
を有し、各々の力アプリケータは、前記装置の関連する1つにより駆動され、各々の力アプリケータは、前記出力シャフトの直径方向に対向する位置に接続される一対のばね負荷を有する、
身体操作デバイス。
【請求項11】
前記装置の組及び力アプリケータの周りにベルトをさらに有する、請求項10に記載の身体操作デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、胸部圧迫システム又は身体操作(例えば、マッサージ)システムにおいて使用するような、振動運動を作るのに使用するための、往復する回転運動を生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
往復する回転運動に関心がある多くの事例が存在する。往復する回転運動は、各方向の回転が通例、1回転未満で行ったり来たりする回転を意味する。
【0003】
そのような動きに関心がある例は、歯ブラシのアクチュエータ、歯間フロスデバイス、スキンケア器具及び例えば、心臓マッサージデバイスのようなマッサージ器具を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低コスト及び/又は小型で実施され得る、往復回転運動を生成することが可能であるシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項により規定される。
【0006】
本発明の一態様による例によれば、回転往復運動を生成するための装置であって、
回転軸を持つ入力シャフト、
前記回転軸を中心とする前記入力シャフトの一方向の回転を提供するための駆動モータ、
前記回転軸を中心とする往復する回転運動を供給するための出力シャフトであって、前記出力シャフトの回転を制限し、それにより、前記出力シャフトの一方向の回転を防止する負荷に結合するための、前記出力シャフト、
前記回転軸を中心にして配され、前記入力シャフトに回転固定される第1の磁気又は強磁気リング、及び
前記回転軸を中心にして配され、前記出力シャフトに回転固定される第2の磁気又は強磁気リング
を有し、前記第1及び第2のリングは、前記回転軸の周りで一方が他方の内側に置かれ、前記第1及び第2のリングの少なくとも一方は、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有する
装置を提供する。
【0007】
前記装置は、入力シャフトの連続する回転運動を出力シャフトの往復する回転運動に変換する。2つの磁石又は強磁性リング間における整列は、入力シャフト及び出力シャフトが異なる相対的な角度位置を取るにつれて変化する。このようにして、抵抗する力は、相対的な角度配向に依存する。これは、出力シャフトを、入力シャフトの回転により誘発され、揺動させる(oscillation)ために使用されることができる。これは、基本的に2つの同心の磁石又は強磁性リングからなるコンパクトな設計を提供する。この設計は、必要とされる前記力とトルクに対し簡単に拡大縮小できる。
【0008】
出力シャフトにより駆動する負荷は、揺動性機械回路の一部を形成し、2つのリングが一致して単に回転するのを防止する。
【0009】
永久磁石要素の前記環状シーケンス又は各環状シーケンスは、例えば、交互に並ぶ磁極からなる環状シーケンス、すなわち、N極とS極とからなるシーケンスを有する。しかしながら、異なる磁界分布であるが、必ずしも逆の磁極ではない他の構成も可能である。
【0010】
第1及び第2のリングは、各々が、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有してもよいし、又は第1及び第2のリングの一方は、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有し、第1及び第2のリングの他方は、強磁性極からなるシーケンスを有してもよい。一方のリングにだけ永久磁石要素を持つ場合、(例えば、突出する歯部として形成される)一連の磁極を持つ強磁性リングを有する対向するリングに磁場が誘導される。
【0011】
一例において、各々が4つの磁極対、従って8つの磁石を有する2つの磁石リングが存在する。次いで、これら2つの磁石リング間における最大(引力)の磁気結合と最小(反発)の磁気結合との間に45度のオフセットがある。
【0012】
第1のリングと第2のリングとの間における、回転軸に沿った軸の相対的な整列は、出力するトルクレベルを設定するのに望ましい相対的な整列に調整可能である。
【0013】
このようにして、前記装置の単一の設計が、異なるトルクレベルに設定されることができる。この軸の整列は、第1のリングと第2のリングとの間における重複領域を設定し、それにより、磁石リング間、又は磁石リングと強磁性リングとの間における、引力及び反発力を設定する。
【0014】
第1のリングと第2のリングとの間における、回転軸に沿った軸の相対的な整列は、代わりに、回転軸に沿った、出力される力レベルを設定するための相対的な整列に設定されてもよい。2つのリングの間における相対的な整列は、出力シャフトにおける軸方向の力も変更する。従って、往復する回転運動及び周期的な軸方向の力の両方が生成されることができる。
【0015】
前記装置は、第3の磁性又は強磁性リングをさらに有することができ、ここで、第2及び第3の磁石リングは、共に、第1の磁石リング内又はその周りに配され、第1及び第2の磁石リングは、第1及び第3の磁石リングにより規定される結合と逆の位相である結合を規定する。
【0016】
このようにして、第1及び第2のリングの磁石を引き離すために前記入力シャフトを駆動させるのに必要なトルクは、第1のリングと第3のリングとの間の引力によって相殺される。従って、前記入力シャフトを駆動させるのに必要なトルクは、時間の経過とともにより均一となり、2つの磁気結合を互いに相殺させることによっても低減される。
【0017】
第2の出力シャフトが設けられることができ、ここで、前記第3のリングは、前記回転軸を中心にして配され、第2の出力シャフトに回転固定される。第1及び第2の出力シャフトは、これら第1及び第2の出力シャフトの回転を制限し、それにより、第1及び第2の出力シャフトの一方向の回転を防止する負荷に結合するためのものである。
【0018】
従って、前記出力シャフトにより駆動する負荷は、再び、揺動性機械回路の一部を形成し、対のリングの両方に作用する。第1及び第2の出力シャフトは、例えば、さらなる負荷によって結合される。
【0019】
本発明は、
上に規定される装置、及び
その両端において前記出力シャフトに接続され、被験者の胸部の周りに位置決めるための胸部圧迫ベルト
を有する胸部圧迫デバイスも提供する。
【0020】
前記装置は、例えば、胸部圧迫デバイスが直接胸部に置かれるので、別個のベースステーションの必要がない前記胸部圧迫デバイスのためのコンパクトな構成を提供する。このデバイスは、軽量で、小型で、エネルギー効率をよくすることができる。このデバイスは、例えば、バッテリで動作することができる。
【0021】
前記装置は、より広範な周波数、例えばより高い周波数で動作することを可能にする。前記装置は、モータの駆動配列に基づいて、特定の所望する圧力パルスのプロファイルを生成するようにもプログラム可能である。
【0022】
前記装置は、回転軸を中心に第2の往復する回転運動を供給するためさらなる出力シャフトをさらに有することができ、このとき、前記胸部圧迫デバイスは、その両端において、前記さらなる出力シャフトに接続される第2のベルトをさらに有する。これは、さらなる出力シャフト(しかし、同じ出力シャフト)を組み込むことにより、第2のベルトが駆動することを可能にする。
【0023】
摩擦低減装置は、例えば、ベルトと被験者との間にある。
【0024】
本発明は、身体操作デバイスも提供し、この身体操作デバイスは、
上に規定されるような装置の組、及び
被験者に力を加えるための力アプリケータの組であり、各々が前記装置の関連する1つにより駆動される、前記力アプリケータ
を有し、各力アプリケータは、出力シャフトの半径方向に対向する場所に接続される一対のばね負荷を有する。
【0025】
各出力シャフトは、2つのばね負荷を駆動させ、これらばね負荷は、往復運動を誘発する。次いで、角度位置は、例えばマッサージするための力の印加を行うために、前記ばね負荷に前記被験者に向けて突出させる。
【0026】
前記装置の組及び力アプリケータの周りにベルトが設けられる。
【0027】
本発明は、回転往復運動を生成する方法も提供し、この方法は、
回転軸を中心とする一方向の回転で入力シャフトを駆動させるステップであり、それにより前記回転軸を中心にして置かれる第1の磁石又は強磁性リングを回転させる、前記ステップ、
前記第1の磁石リングとの磁気結合によって、前記回転軸を中心にして配される第2の磁石又は強磁性リングの回転を誘発するステップであり、前記第1及び第2のリングの少なくとも一方は、永久磁石要素からなる環状シーケンスを有する、前記ステップ、並びに
前記第2の磁石リングの回転に結合される、出力シャフトの前記回転軸を中心とする往復する回転運動を供給するステップ
を有する。
【0028】
前記出力シャフトは、好ましくは、当該出力シャフトの回転を制限し、それにより、前記出力シャフトの一方向の回転を防止する負荷に結合される。
【0029】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面が参照される。
図1図1は、回転往復運動を生成するための装置を示す。
図2図2は、入力シャフトが1回転することにより引き起こされる2つの磁石リングの相対的な回転位置の組を示す。
図3図3は、前記装置を駆動させるために単純なDCモータが使用されることを示す。
図4図4は、出力負荷に接続される出力シャフトを示す。
図5図5は、出力トルクがどのように調整されるかを示す。
図6図6は、往復する回転運動及び周期的な軸方向の力の両方がどのように生成されるかを示す。
図7図7は、第3の磁石リングを用いた変形例を示す。
図8図8は、図7の構成がどのように出力負荷に結合されるかを示す。
図9図9は、図8の装置の動作中の異なる期間を示す。
図10A図10Aは、1つの磁気リング及び1つの強磁性リングを用いた同心のリングの設計を示す。
図10B図10Bは、1つの磁気リング及び1つの強磁性リングを用いた同心のリングの設計を示す。
図11図11は、図3の装置を有する胸部圧迫デバイスを示す。
図12図12は、第2の胸骨圧迫ベルトのための、回転軸を中心とする第2の往復する回転運動を供給するためのさらなる出力シャフトを備える例を示す。
図13図13は、ベルトと本体との間に取り付けるためのインターフェースを示す。
図14図14は、アクチュエータの異なる設計を示す。
図15図15は、ベルトで囲まれる4つの図14のアクチュエータの組を備える身体操作デバイスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0032】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様並びに利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解される。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、同じ参照番号が、図面全体にわたって使用されることを理解されたい。
【0033】
本発明は、回転往復運動を生成するための装置を提供し、この装置は、一方向の回転で駆動する入力シャフト及び往復する回転運動を供給する出力シャフトを有する。前記入力シャフトに固定される回転軸を中心として第1の磁気又は強磁性リングが配され、前記出力シャフトに固定される前記回転軸を中心として第2の磁気又は強磁性リングが配される。これら第1及び第2のリングは、前記回転軸の周りで一方が他方の内側に配される。少なくとも一方は、永久磁石の配列として形成される。これらリング間における磁気結合は、出力負荷の効果と組み合わせて、前記出力シャフトの所望する往復運動をもたらす。
【0034】
本発明は、一般的に、往復する回転運動を生成するための装置に関する。しかしながら、本発明の一態様は、特に、そのような装置を高周波胸部圧迫デバイス内で使用することに関する。このデバイスは、嚢胞性線維症、COPD、気管支炎又は気管支拡張症を患い、故に、呼吸困難を起こす患者を治療するためのものである。
【0035】
慢性気管支炎の場合、気管支は常に炎症を起こしている。これは、過剰な粘液産生をもたらし、呼吸が困難になる。嚢胞性線維症の場合、粘液はより固いので、老廃物及び酵素を運ぶことができない。これは、この固い粘液の蓄積につながり、これが患者にとって深刻な問題を引き起こす。
【0036】
粘液を気道外に運ぶことは、これらの種類の患者が健康であるためには不可欠である。
【0037】
この問題に対する従来の治療法は、打診法であり、この方法は、カップ状にした手で、患者を優しくトントンと叩くことによってマッサージをすることである。近年では、高周波胸部圧迫(HFCC)デバイスが開発されている。手技療法と比較して、HFCCのベストは、はるかに良好な結果を達成し、嚢胞性線維症の患者の平均余命を大きく変化させる。
【0038】
患者が前記ベストを着用すると、空気がベストを膨張させ、これが、胸部の周りに空気のポケットを作り、次いで、その一部が解放される。これが、例えば5~15Hz付近で周期的な脈動作り出す。
【0039】
このベスト内で脈動する空気によって、肺が圧迫され、肺が空気を出し入れする。この空気の動きによって、繊毛が粘液を外に運ぶ。この空気の動きに加え、HFCCのベストによる肺組織の振動が、患者に有益である。この振動は、粘液がより簡単に流れることができるように、この粘液内の結合を緩める。
【0040】
研究において、組織を振動させるよりも空気流の方がより支配的であるように思われと結論付けられている。
【0041】
前記ベストの作動は、空気流を介して達成されるので、前記デバイスは典型的に、かなり大きい。ポンプは、例えば、空気を運ぶために、大きいホースを介して前記ベストに接続される別個のベースステーション内にある。このベースステーションが、電源に接続される。その結果、前記デバイスは、運搬するために車輪付きの大きなスーツケース内に保管されるので、真に運搬できる解決法ではない。このデバイスの動作周波数も空気流の特性により制限され、圧力パルスの形状は容易に順応されない。
【0042】
従って、本発明のこの態様は、往復する回転運動が、HFCCシステムで使用するためのベルトを締める及び緩めるために使用されるという概念に基づいている。
【0043】
往復運動を生成するための装置のさらに一般的な概念に戻り、図1は、回転往復運動を生成するための装置10を示す。この構成は、左側に端面図で、及び右側に断面図で示される。
【0044】
前記装置は、回転軸14を持つ入力シャフト12を有する。図1には示されていない駆動モータが使用され、前記回転軸を中心とする入力シャフト12の一方向の回転を提供する。
【0045】
前記回転軸14を中心とする往復する回転運動を供給するための出力シャフト16が設けられる。
【0046】
前記入力シャフト及び前記出力シャフトは、2つの同心である磁気又は強磁性リングから形成される磁気機構により結合される。少なくとも一方のリングは磁性を持つ(すなわち、永久磁石の磁石リングとして形成される)。一方のリングだけが磁石リングとして形成される場合、このとき他方は強磁性リングであり、一連の強磁性極として形成される。
【0047】
実施例は、最初に2つの同心である永久磁石のリングの使用に基づいて示される。
【0048】
第1の磁石リング18は、前記回転軸を中心にして配され、入力シャフト12に回転固定される。この第1の磁石リングは、交互に並ぶ磁極からなる第1の環状シーケンスを有する。例えば、暗い領域はN極であり、明るい領域はS極である。第2の磁石リング20は、前記回転軸を中心にして配されているが、出力シャフト16に回転固定される。この第2の磁石リングは、同じ表示で示される交互に並ぶ磁極からなる第2の環状シーケンスを有する。
【0049】
示される例において、前記第1の磁石リングは、前記入力シャフトの外側周囲に同心円状に取り付けられる。前記第2の磁石リングは、前記出力シャフト16に接続される環状ハウジング22の内側面に同心円状に取り付けられる。
【0050】
故に、第1の磁石リング18及び第2の磁石リング20は、前記回転軸の周りで一方が他方の内側に配される。示される例において、これら磁石リングは、前記回転軸に沿って完全に整列する、故に、完全に重なっている。
【0051】
これら磁石リングは、同じ数の磁石を持つことができるので、これら磁石リングは、一方の磁石リングの全てのN極が他方の磁石リングのS極と半径方向に整列した状態で、完全に回転整列されることができる。これは、安定配置であり、安定配置は(以下に説明されるような)相対的回転を与えるための外力がない状態で維持される。この安定状態は図1に示される。
【0052】
図1の例は、各磁石リングにおいて4つの磁極対を持つ。当然であるが、2つの磁石リングにおいて異なる数の磁石があってもよい。さらに、他方の磁石リングと比較して、一方の磁石リングにおいて異なる数の磁石があってもよい。一方の磁石リングにおける磁極と、他方の磁石リングにおける磁極との間の関係は、出力シャフト16に供給される、結果生じるトルク曲線に影響を及ぼす。
【0053】
代わりに、同じ磁極が整列される場合、不安定状態に達し、その状態によって、磁力は、安定状態に戻ろうとする相対的回転を与える傾向がある。
【0054】
前記装置は、2つの磁石リング間における滑りに基づいて、入力シャフトの連続的な回転運動を出力シャフトの往復する回転運動に変換する。特に、前記出力シャフトは、外部負荷を受ける。結果として、2つの磁石リング間における整列は、前記入力シャフトが回転するにつれて変化する。抵抗力は、相対的な角度位置に依存して変化する。この変化する抵抗力は、前記出力シャフトが、前記入力シャフトの回転により誘発される振動(oscillation)を行うことをもたらす。モータが前記入力シャフトを連続して駆動させるので、モータは比較的小さく、軽量にすることができる。
【0055】
前記出力シャフトは、当該出力シャフトの回転を制限する負荷に結合される。このようにして、前記出力シャフトの一方向の回転が防止される。前記負荷は、振動性機械回路の一部を形成し、これら2つの磁石リングが単に一体となって(ユニゾンで)回転するのを防止する。
【0056】
図2は、入力シャフト単独の回転により生じる、一連の2つの磁石リングの相対的な回転位置を示す。図2は、トルク対ロータの角度位置の結果生じるトルク曲線も示す。
【0057】
左上にある第1の画像は、上述した安定状態を示す。トルクは生成されない。
【0058】
次いで、第1(内側、入力側)の磁石リングが反時計回りに45度だけ回転し、示される第2の配向を提供する。安定状態に戻るように、第1の磁石リングを反時計回りに回転させるようにする力が第2の磁石リングにかかる。これは、負のトルクとして示される。重なりが50%であるとき、その力は最大に達する。
【0059】
入力シャフトをさらに回転させると、トルクの大きさは減少し、ゼロに戻る。第3の配向において、不安定状態に達する。前記力は半径方向ではなく軸方向であるため、再びトルクはゼロである。
【0060】
入力シャフトをさらに回転させると、正のトルクで示される第4の配向に至る。第2の磁石リングは、最も近くの安定状態まで時計回りに回転しようとする。従って、トルク曲線には4つの期間がある。
【0061】
従って、トルクがゼロである点は、勾配が負であるときは安定点を規定し、勾配が正であるときは不安定点を規定する。これらの点の間において、正のトルク又は負のトルクが作られる。
【0062】
図3は、簡単なDCモータ30が前記入力シャフト、故に第1の磁石リングに接続されていることを示す。第2の磁石リング、故に前記出力シャフトは、この出力シャフトが全回転するのを防止する負荷32に接続される。このようにして、脈動するトルクが負荷32に供給される。
【0063】
図4は、機械的アース42に接続するバネの形式である出力負荷40に接続される出力シャフト(特に、環状ハウジング22)を示す。入力シャフトの回転により生じる出力シャフトの4つの連続する位置を示す。
【0064】
一番上の画像は、開始状態を示し、この状態において、トルクはゼロであり、ばね40は変形していない。
【0065】
次いで、モータによって、入力シャフト、故に第1の磁石リングが回転し、第2の磁石リング、故に出力シャフトは、できる限り追従しようとするが、第2の画像に見られるように、ばねによって阻まれる。
【0066】
ある時点において、磁石リング間の結合は、第3の画像に示されるように、不安定状態に達する。このとき、前記装置は、如何なるトルクも供給できないが、ばねは、復帰力(return force)を供給する。これは、高い負のトルクが生成され、出力シャフト及び第2の磁石リングは、後方(時計回り)に放たれることを意味する。
【0067】
第4の画像において、前記出力シャフト及び前記第2の磁石リングは、フライバック(flyback)の位置にある。出力シャフトの角度は負であり、ばねは、反対方向の復元力(restoring force)を加える(つまり、出力シャフトを反時計方向に押す)。
【0068】
外側の磁石リングは、(新しいN極対S極の整列で)内側の磁石リングによって追いつかれ、このサイクルが繰り返される。
【0069】
この例において、外側の磁石リングは、単に最初の不安定点に達する。しかしながら、フライバック機構が第2の磁石リングに2つ以上の不安定点を越えさせるように配されることもできる。これは、負荷、すなわち本例におけるばねによって生成される復元力の性質に依存する。
【0070】
ばねは、それ自体が往復運動で駆動する負荷でもよいことを述べておく。しかしながら、前記ばねは、単に、往復運動を作る役割を果たすだけでもよく、出力シャフトにより駆動する負荷は離れていてもよく、例えば、前記往復運動を誘発するのに十分な抵抗を生成しない軽い負荷でもよい。これは全ての例に適用される。
【0071】
往復する出力の回転周波数は、駆動モータ30の回転速度によって容易に変更することができる。しかしながら、図3のドライブトレイン(drive train)において、トルクパルスの振幅は、固定されている。
【0072】
しかしながら、前記トルクは、図5に示されるように、第2の磁石リングの軸位置を第1の磁石リングに対して可変にすることによって変えることができる。
【0073】
一番上の画像は、2つの磁石リングが完全に重なっている状態を示し、故に、回転配向が安定点から離れているとき、最大の磁気トルクを発生させる。
【0074】
第2の画像は、磁気リング間における重なる領域が減ることにより、減少した磁気トルクを与える(回転軸に沿った)相対的な軸位置の調整を示す。一番下の画像は、さらに減少した重なる領域を示す。
【0075】
このようにして、前記トルクが前記負荷に順応することができる。前記装置の単一の設計が、異なるトルクレベルに設定されることができる。
【0076】
第1の磁石リングと第2の磁石リングとの間における、前記回転軸に沿った軸の相対的な整列は、代わりに、前記回転軸に沿った、出力される力レベルを設定するための相対的な整列に設定されてもよい。2つの磁石リングの間における相対的な整列は、出力シャフトにおける軸方向の力も変化させる。従って、往復する回転運動と周期的な軸方向の力の両方が生成されることができる。
【0077】
この概念が図6に示される。軸のずれ(misalignment)は、第1の磁石リングを引き込んだり、又は押し出したりする矢印60により示される、相対的な角度位置に依存する力があることを意味する。安定状態において、第1の磁石リングは、引き込まれるのに対し、不安定状態において、第1の磁石リングは、押し出される。
【0078】
これは、振動トルク及び力の両方を供給する、二重運動アクチュエータをもたらす。この二重運動は、様々な用途において関心があり、例えば、軸方向の力と同様に回転トルクを与える研磨工具である。一例は、デンタルフロッシングである。
【0079】
上記の例は、(入力ロータとして機能する)単一の第1の磁石リング、及び(出力ロータとして機能する)単一の第2の磁石リングを利用している。
【0080】
図7に示されるように、前記装置は、第3の磁石リング70をさらに有する。第2の磁石リング20及び第3の磁石リング70は、共に、第1の磁石リング18の周りに置かれている。第3の磁石リングは、再び、交互に並ぶ磁極からなる環状シーケンスを有する。
【0081】
このとき、(2つの出力シャフトとして機能する)2つの環状ハウジング22a、22bが存在する。
【0082】
第1の磁石リング18及び第2の磁石リング20により形成される磁気結合は、第1の磁石リング18及び第3の磁石リング70により規定される磁気結合と逆位相である。この関係を維持するために、2つの環状ハウジングの間に結合が設けられる。これにより、(第2の磁石リング20に対し示される)一方が安定状態にあるとき、(第3の磁石リング70に対し示される)他方は不安定状態にある。さらに、2つの環状ハウジング、故に2つの出力シャフトの回転の方向は、反対である。従って、2つの出力シャフトは、等しく、反対方向に回転するトルクを供給するように配されることができる。
【0083】
この利点は、第1及び第2の磁石リングの磁石を引き離すために、前記入力シャフトを駆動させるのに必要とされるトルクは、第1の磁石リングと第3の磁石リングとの間の引力によって相殺されることである。従って、入力シャフトを駆動させるのに必要とされるトルクは、時間の経過と共にさらに均一となり、2つの磁気結合を互いに相殺することによっても低減される。
【0084】
図8は、図7の構成がどのように出力負荷に結合されるかを示し、図8は、所望の位相関係を維持するために、前記環状ハウジング間に必要とされる結合も提供する。
【0085】
前記出力負荷は、第1の出力シャフトと機械的アースとの間における第1の結合80、第2の出力シャフトと機械的アースとの間における第2の結合82、及び第1の出力シャフトと第2の出力シャフトとの間における第3の結合84を提供する。図8において、これら結合は、ばねとして示される。
【0086】
従って、第1の出力シャフト及び第2の出力シャフトは共に、第1の出力シャフト及び第2の出力シャフトの回転を制限する負荷に結合し、それにより第1の出力シャフト及び第2の出力シャフトの一方向の回転を防止するためのものである。
【0087】
図9は、図8の装置の動作中の異なる期間を示す。
【0088】
図9は、2つの出力シャフト22a、22bが反対の方向に回転し、上2つの画像に示されるように、最初は、第3の結合84を引き離して伸ばし、次いで、一番下の画像に示されるように、一緒に回転し、従って、第1及び第2の結合80、82をたぐり寄せる。
【0089】
出力シャフトは、前記ばねシステムにトルクを与え、これら出力シャフトの好ましい磁気位置に行こうとする。前記ばねシステムの対称性は、2つの環状ハウジングの回転の間における所望の位相関係を維持する。
【0090】
上述した例は全て、同心の磁石リングを利用している。上述したように、強磁性リングが使用され得るので、(上述した例の何れかにおいて)各々の同心の磁石リングの対が、永久磁石からなる1つのリング及び強磁性極からなる1つのリングを有することができる。
【0091】
図10A及び10Bは、2つの例を示す。各々の場合において、内側のリングは、交互に並ぶ磁極を持つ磁石のシーケンスとして形成され、外側のリングは、強磁性の磁極を規定する突出する歯部を持つ強磁性リングとして形成される。
【0092】
図10Aは狭い歯部を示し、図10Bは広い歯部を示す。歯部の設計及び空隙の大きさは、結果生じるトルク曲線に影響を及ぼす。磁石リングの対に関しては、強磁性リングに内に誘発される磁場が、好ましい初期位置をもたらし、内側のリングが回転すると、これらの初期位置に向かうバイアスが生じる。これらリングの設計は、初期位置の数、及び回転往復振動の振幅を選択するために使用されてもよい。これらの設計オプションは、モータ設計の当業者には明らかである。
【0093】
当然であるが、前記磁石リングが外側のリングでもよいし、強磁性リングが内側のリングでもよい。
【0094】
上述した例は全て、磁石リングの全ての磁石が同時にゼロトルク位置となる位置があるように、2つのリングにおける磁極の角度方向の間隔が同じ(又は倍数である)であることを示す。しかしながら、これは必須ではなく、2つのリングにおいて(公約数を全く持たない)異なる数の極があってもよい。設計は、図2に示されるような規則的な正弦波のトルクパターンではなく、角度位置を関数とするトルクパターンを作るように適応してもよい。
【0095】
上述されるように、本発明の1つの用途は、胸部圧迫デバイスを提供することである。
【0096】
図11は、図3の装置10を有する胸部圧迫デバイス100を示し、ここで、負荷は、患者の胸部の周りに上に規定されるような装置を取り付けるための胸部圧迫ベルト102の形態である。ベルト102は、その両端において、出力シャフト、特に環状ハウジング22に接続される。このベルトは、身体内に圧力パルスを生成するために使用される。駆動システムは、前記ベルトに脈動する張力を作る。
【0097】
前記ベルトの両端は、図10に示されるようなシングルロータに巻き付けることができる。しかしながら、2つの出力シャフト(特に環状ハウジング)の各々が、前記ベルトの一方の端部を受け取るダブルロータの磁気結合を使用することも可能である。
【0098】
往復運動を生成するための装置は、最初に、ベルトが胸部の周りを締め付けるまで、ベルトを巻き上げる。この段階において、胸部からの対向力(counterforce)がないので、外側の磁石は、内側の磁石と共にモータに追従する。次の段階において、ベルトは胸の周りに締め付けられ、これは、外側の磁石を滑らせ、故に、脈動する張力を前記ベルトに生じさせる。これは、肺組織を振動させるだけでなく、気道における脈動する空気流も得る。この振動は、粘液の結合を緩めるために必要であり、空気流は、その粘液を口に向けて運ぶために必要である。
【0099】
胸部圧迫デバイスに対しコンパクトな構成が可能となり、このデバイスを胸部に直接置くことができるので、別個のベースステーションの必要性を回避する。このデバイスは、軽量で、小型で、エネルギー効率が良い。このデバイスは、例えば、バッテリで動作することができる。
【0100】
図12は、回転軸を中心として第2の往復する回転運動を供給するためのさらなる出力シャフト120を用いた例を示し、このとき、前記胸部圧迫デバイスは、その両端において、前記さらなる出力シャフト120に接続される第2のベルト112をさらに有する。これは、さらなる出力シャフトを組み込んでいるが、同じ入力シャフトを共有することにより、第2のベルトが駆動することを可能にする。
【0101】
2つのベルトを用いる場合、胸部形状に対しより良好な補償が得られる。これらベルトは、胸部の周りに自動的に巻き付けられた後、異なる直径で動作する。
【0102】
ベルトが2つある場合、各ベルトの締め付け力が調節されることができ、これは、例えば、女性の胸部を覆う上方のベルトを緩い締め付けに設定する場合、女性にとって大きな利益となり得る。
【0103】
身体とベルトとの間の摩擦が問題になる場合、ベルトは、"ベルト-身体"インターフェースを提供することができる。
【0104】
図13は、可能なベルト-身体インターフェースの例を、身体に触れる軟質パッド130の形式で示す。これらは、力パルスのピークを除去するために使用される。ベルトが簡単に滑ることができるリング132が設けられる。
【0105】
これらのインターフェースは、ユーザにより選択される特定の位置、又は最も効果が期待される場所に置くことができる。前記インターフェースは、図に示されるような滑り軸受けを用いて前記ベルトを誘導する。他の軸受けの設計(例えば、ボールベアリング、ローラベアリング等)も適用されることができる。摩擦を減らす理由は、皮膚が挟まるのを防ぐためであり、他の利点は、全てのインターフェースが等しい効力で動作することである。
【0106】
インターフェース130の特性は、(減衰、剛性又は他の特性のために)異なる幾何学的形状及び材料を用いて、様々な方法で適応することができる。特に、剪断粘性材料を使用することができ、この材料は、この材料自身が身体への最適な機械的結合に適応するが、高周波数の力パルスを最適に伝えるための硬いインターフェースを保証する。
【0107】
上述した例は、脈動する振動を誘発するために、ベルトの締め付け又は弛緩を利用している。
【0108】
代わりに、代替的な設計は、ベルトの周りに局所的なアクチュエータを利用する。この構成は、身体操作デバイスであると考えることができる。
【0109】
図14は、1つのそのようなアクチュエータ140を示す。このアクチュエータは、上述したような装置10を有し、ここで、負荷は、出力シャフト、特に環状ハウジング22の直径方向に対向する位置に接続される一対のバネ負荷142を有する。
【0110】
ばね負荷142は、被験者に力を加えるための力アプリケータとして機能する。このアクチュエータの組が、ベルトの周り又はベスト内に形成されることができる。
【0111】
前記ばねは、例えば、モータの回転によって巻かれる(及びそれによって外径が小さくなる)板ばねである。第2の磁石リングが滑ると、バネが解放され(それによって、外径が増大し)、ばねは、身体に向かう力を生成する。
【0112】
図15は、4つのアクチュエータ140の組が力を胸部に向け、胸部上で上下に跳ねないことを確実にするための締め付けベルト152によって囲まれる前記4つのアクチュエータ140の組を備える身体操作デバイス150の一例を示す。
【0113】
この場合の全てのアクチュエータは個別のモータを持つ。ベルトが2つある場合、同じ場所にある異なるベルトのアクチュエータは、モータを共有することができる。
【0114】
この構成は、アクチュエータ毎に力の強さを局所的に選択することが可能になり、ここで、第1の実施形態は、アクチュエータの力を、身体又はインターフェースにわたり均等に分ける。
【0115】
上記の様々な例は、回転軸を中心にして一方向の回転で入力シャフトを駆動させ、それにより、前記回転軸を中心にして配され、交互に並ぶ磁極からなる第1の環状シーケンスを有する第1の磁石リングを回転させるステップを含む、共通する動作方法を共有している。前記回転軸を中心にして配され、交互に並ぶ磁極からなる第2の環状シーケンスを有する第2の磁石リングの回転は、前記第1の磁石リングとの磁気結合により誘発される。次いで、往復する回転運動は、前記第2の磁石リングの回転に結合される出力シャフトによって、前記回転軸を中心にして出力される。
【0116】
前記装置は、示される胸部圧迫デバイスだけでなく、多くのデバイスにおいて使用されることができる。例は、歯ブラシのアクチュエータ、例えば液体又は空気の噴射を生じさせるためのポンプのようなデンタルフロスデバイス、スキンケア器具、キッチン用品、例えば心臓マッサージデバイスのようなマッサージ器具である。
【0117】
前記出力シャフトは、回転軸を中心とする往復する回転運動を供給する。この運動の角度範囲は、非常に小さい(例えば、1度未満の)円弧から、かなりの(例えば、90度以上の)円弧までである。非常に小さな振幅の振動が生成される場合、伝達されるトルクは、比較的大きくなるのに対し、大きな振幅の振動が生成される場合、伝達されるトルクは、比較的小さい。故に、生成される"回転運動"は、非常に小さな振幅を持つことができ、設計は、運動又はトルクの供給に対し最適化されることができる。
【0118】
胸部圧迫デバイスの説明において、ベルトが参照される。このベルトは、如何なる断面形状も持つことができ、故に、如何なる形状のループでもよい。その形状は、(ロープ又はコードのような)円形でもよいし、又は幅広で平坦でもよい。
【0119】
上述した例は、N極及びS極が交互に並ぶシーケンスとして形成される磁石リングを利用している。しかしながら、磁石の各環状シーケンスは、より複雑な磁場パターンを生成することができ、ここで、各磁石に対する磁場の方向及び強度は、結果生じる往復運動の所望する特性を達成するように設計される。磁場特性及び空隙特性を適応させることによって、トルク機能は、既知の負荷に応答して所望する動作特性をもたらすように修正されてもよい。
【0120】
上述したシステムは、回転軸を中心とする入力シャフトの一方向の回転を提供するための駆動モータを利用している。これは、前記装置の使用中、前記回転は、1つの回転方向のみであることを意味する。その回転は、必ずしも一定の速度である必要はないし、又は実際に連続的である必要はなく、例において、その回転はパルス化されている。
【0121】
開示される実施形態に対する変形例は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、本明細書に記載される原理及び技術を実施する際に当業者により理解及び実施され得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、要素が複数あることを述べなくても、その要素が複数あることを排除するものではない。単一の処理器又は他のユニットが、特許請求の範囲に挙げられる幾つかのアイテムの機能を実行することができる。ある特定の方法が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に使用され得ないことを示さない。コンピュータプログラムが上述される場合、そのコンピュータプログラムは、例えば他のハードウェアと一緒に或いはその一部として提供される光記憶媒体若しくはソリッドステート媒体のような適切な媒体に記憶/分配されることができるが、他の形態、例えばインターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介して提供されてもよい。「に適応する」という用語が請求項又は明細書に用いられる場合、「に適応する」という用語は、「ように構成される」と言う用語と同様であることを意味する。
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15