(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】缶蓋製造装置、缶蓋製造方法、缶蓋、および内容物入りの缶容器
(51)【国際特許分類】
B21D 51/44 20060101AFI20250121BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20250121BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20250121BHJP
B21D 43/20 20060101ALI20250121BHJP
B21D 51/46 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B21D51/44 C
B21C51/00 R
B21D43/00 P
B21D43/20
B21D51/46 K
(21)【出願番号】P 2023115932
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2024-11-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 航平
(72)【発明者】
【氏名】中村 達哉
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】森 拓也
(72)【発明者】
【氏名】福田 恵太
(72)【発明者】
【氏名】松原 悠
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-30034(JP,A)
【文献】特開2001-233335(JP,A)
【文献】特開2007-23340(JP,A)
【文献】特開2001-31087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/44 ー 51/46
B21D 43/00
B21D 43/20
B21C 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋を製造する缶蓋製造装置であって、
缶蓋を回転させる回転駆動部および反射光検出部を有した圧延方向検出ユニットと、制御ユニットと
、搬送コンベア上に缶蓋を供給する缶蓋供給機とを備え、
前記反射光検出部は、缶蓋に対して照射光を照射する発光部と、前記照射光のうち前記缶蓋によって反射された反射光を受光する受光部とを有し、
前記制御ユニットは、前記圧延方向検出ユニットによって得られた、回転する缶蓋が反射した反射光の光強度の変化情報を基に缶蓋の圧延方向を検出するように構成され
、
前記缶蓋供給機は、複数の缶蓋を積み上げた状態で貯蔵する缶蓋貯蔵部と、前記缶蓋貯蔵部の下方側に形成され1枚の缶蓋を滞留させる缶蓋一時滞留部と、前記缶蓋貯蔵部に貯蔵された缶蓋を前記缶蓋一時滞留部に送る上方側送り部と、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋を前記搬送コンベアに向けて送る下方側送り部とを有し、
前記圧延方向検出ユニットは、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋に対して、反射光の検出を行うように設置されていることを特徴とする缶蓋製造装置。
【請求項2】
前記圧延方向検出ユニットは、前記制御ユニットによって得られた缶蓋の圧延方向情報を基に、缶蓋の回転位置を調整する回転位置調整部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋製造装置。
【請求項3】
前記回転駆動部と前記回転位置調整部は、前記缶蓋を回転させる同じ設備から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の缶蓋製造装置。
【請求項4】
前記缶蓋供給機は、上下軸を中心として回転可能な移送回転体を備え、
前記移送回転体は、前記缶蓋に係合可能な上方側係合部と、前記上方側係合部の下方側に形成され前記缶蓋に係合可能な下方側係合部とを、その外周面に有し、
前記上方側係合部は、前記移送回転体の回転に伴って、前記缶蓋貯蔵部に貯蔵された缶蓋を前記缶蓋一時滞留部に送る前記上方側送り部として機能し、
前記下方側係合部は、前記移送回転体の回転に伴って、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋を前記搬送コンベアに向けて送る前記下方側送り部として機能することを特徴とする請求項
1に記載の缶蓋製造装置。
【請求項5】
前記缶蓋一時滞留部は、前記上方側係合部と前記下方側係合部との間の領域において、前記移送回転体の外周面に凹設された外周凹部から構成されることを特徴とする請求項
4に記載の缶蓋製造装置。
【請求項6】
前記圧延方向検出ユニットは、前記制御ユニットによって得られた缶蓋の圧延方向情報を基に、缶蓋の回転位置を調整する回転位置調整部を更に備え、
前記回転位置調整部は、少なくとも前記缶蓋一時滞留部において缶蓋の回転位置の調整を開始するように構成されていることを特徴とする請求項
1に記載の缶蓋製造装置。
【請求項7】
前記回転位置調整部は、缶蓋の回転位置を±10°以内の精度で所定の回転位置に調整するように構成されていることを特徴とする請求項
6に記載の缶蓋製造方法。
【請求項8】
前記反射光検出部の前記発光部は、缶蓋のチャックウォール部に対して、外周側から照射光を当てるように設置されていることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋製造装置。
【請求項9】
前記圧延方向検出ユニットの下流側に設置され、缶蓋の搬送方向に対する缶蓋の圧延方向の向きを検出する検査機を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋製造装置。
【請求項10】
缶蓋を製造する缶蓋製造方法であって、
缶蓋を回転させる回転駆動部および反射光検出部を有した圧延方向検出ユニットと、制御ユニットと
、搬送コンベア上に缶蓋を供給する缶蓋供給機とを備え、
前記反射光検出部は、缶蓋に対して照射光を照射する発光部と、前記照射光のうち前記缶蓋によって反射された反射光を受光する受光部とを有し、
前記制御ユニットによって、前記圧延方向検出ユニットによって得られた、回転する缶蓋が反射した反射光の光強度の変化情報を基に缶蓋の圧延方向を検出
し、
前記缶蓋供給機は、複数の缶蓋を積み上げた状態で貯蔵する缶蓋貯蔵部と、前記缶蓋貯蔵部の下方側に形成され1枚の缶蓋を滞留させる缶蓋一時滞留部と、前記缶蓋貯蔵部に貯蔵された缶蓋を前記缶蓋一時滞留部に送る上方側送り部と、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋を前記搬送コンベアに向けて送る下方側送り部とを有し、
前記圧延方向検出ユニットは、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋に対して、反射光の検出を行うことを特徴とする缶蓋製造方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の缶蓋製造方法によって製造されたことを特徴とする缶蓋。
【請求項12】
前記缶蓋は、センターパネル部を有し、
前記センターパネル部には、厚み方向に板材を変形させた少なくとも1つの板材変形部が形成され、
前記センターパネル部は、少なくとも1つの前記板材変形部と前記センターパネル部の外縁との間の部分のうち、前記板材変形部と前記センターパネル部の外縁との間隔が最も狭い部分である幅狭部を有し、
前記缶蓋は、前記幅狭部と前記センターパネル部の中央とを通る仮想線が前記圧延方向に平行またはほぼ平行になるように、形成されていることを特徴とする請求項
11に記載の缶蓋。
【請求項13】
請求項
11に記載の缶蓋と、その内部に内容物が充填され前記缶蓋が巻締めされた缶胴部とから構成されていることを特徴とする内容物入りの缶容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋製造装置、缶蓋製造方法、缶蓋、および内容物入りの缶容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等の内容物を収容する容器として、金属製の缶容器を用いることが一般に知られており(例えば特許文献1を参照)、また、このような缶容器を構成する缶蓋が、圧延加工によって形成された圧延金属板から形成されることについても周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような圧延金属板から形成された缶蓋においては、缶蓋の圧延方向(すなわち、圧延金属板に形成される圧延目が延びる方向)と缶蓋に形成されるスコア等を形成する向きとの関係が、缶蓋の開口性(すなわち、スコアを破断させるにあたって必要とされる力)および耐圧強度に影響を与えることが分かった。
【0005】
そこで、本発明は、簡素な構成で、缶蓋の開口性および耐圧強度を向上させる缶蓋製造装置、缶蓋製造方法、缶蓋、および内容物入りの缶容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の缶蓋製造装置は、缶蓋を製造する缶蓋製造装置であって、缶蓋を回転させる回転駆動部および反射光検出部を有した圧延方向検出ユニットと、制御ユニットとを備え、前記反射光検出部は、缶蓋に対して照射光を照射する発光部と、前記照射光のうち前記缶蓋によって反射された反射光を受光する受光部とを有し、前記制御ユニットは、前記圧延方向検出ユニットによって得られた、回転する缶蓋が反射した反射光の光強度の変化情報を基に缶蓋の圧延方向を検出するように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の缶蓋製造方法は、缶蓋を製造する缶蓋製造方法であって、缶蓋を回転させる回転駆動部および反射光検出部を有した圧延方向検出ユニットと、制御ユニットとを備え、前記反射光検出部は、缶蓋に対して照射光を照射する発光部と、前記照射光のうち前記缶蓋によって反射された反射光を受光する受光部とを有し、前記制御ユニットによって、前記圧延方向検出ユニットによって得られた、回転する缶蓋が反射した反射光の光強度の変化情報を基に缶蓋の圧延方向を検出することにより、前記課題を解決するものである。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)では、前記圧延方向検出ユニットは、前記制御ユニットによって得られた缶蓋の圧延方向情報を基に、缶蓋の回転位置を調整する回転位置調整部を更に備えていてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記回転駆動部と前記回転位置調整部は、前記缶蓋を回転させる同じ設備から構成されていてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、搬送コンベア上に缶蓋を供給する缶蓋供給機を更に備え、前記缶蓋供給機は、複数の缶蓋を積み上げた状態で貯蔵する缶蓋貯蔵部と、前記缶蓋貯蔵部の下方側に形成され1枚の缶蓋を滞留させる缶蓋一時滞留部と、前記缶蓋貯蔵部に貯蔵された缶蓋を前記缶蓋一時滞留部に送る上方側送り部と、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋を前記搬送コンベアに向けて送る下方側送り部とを有し、前記圧延方向検出ユニットは、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋に対して、反射光の検出を行うように設置されていてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記缶蓋供給機は、上下軸を中心として回転可能な移送回転体を備え、前記移送回転体は、前記缶蓋に係合可能な上方側係合部と、前記上方側係合部の下方側に形成され前記缶蓋に係合可能な下方側係合部とを、その外周面に有し、前記上方側係合部は、前記移送回転体の回転に伴って、前記缶蓋貯蔵部に貯蔵された缶蓋を前記缶蓋一時滞留部に送る前記上方側送り部として機能し、前記下方側係合部は、前記移送回転体の回転に伴って、前記缶蓋一時滞留部で滞留した缶蓋を前記搬送コンベアに向けて送る前記下方側送り部として機能していてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記缶蓋一時滞留部は、前記上方側係合部と前記下方側係合部との間の領域において、前記移送回転体の外周面に凹設された外周凹部から構成されてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記圧延方向検出ユニットは、前記制御ユニットによって得られた缶蓋の圧延方向情報を基に、缶蓋の回転位置を調整する回転位置調整部を更に備え、前記回転位置調整部は、少なくとも前記缶蓋一時滞留部において缶蓋の回転位置の調整を開始するように構成されてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記回転位置調整部は、缶蓋の回転位置を±10°以内の精度で所定の回転位置に調整するように構成されていてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記反射光検出部の前記発光部は、缶蓋のチャックウォール部に対して、外周側から照射光を当てるように設置されていてもよい。
上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかでは、前記圧延方向検出ユニットの下流側に設置され、缶蓋の搬送方向に対する缶蓋の圧延方向の向きを検出する検査機を更に備えていてもよい。
本発明の缶蓋は、上記缶蓋製造装置(または缶蓋製造方法)のいずれかによって製造されることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の缶蓋では、前記缶蓋は、センターパネル部を有し、前記センターパネル部には、厚み方向に板材を変形させた少なくとも1つの板材変形部が形成され、前記センターパネル部は、少なくとも1つの前記板材変形部と前記センターパネル部の外縁との間の部分のうち、前記板材変形部と前記センターパネル部の外縁との間隔が最も狭い部分である幅狭部を有し、前記缶蓋は、前記幅狭部と前記センターパネル部の中央とを通る仮想線が前記圧延方向に平行またはほぼ平行になるように、形成されていてもよい。
本発明の内容物入りの缶容器は、前記缶蓋と、その内部に内容物が充填され前記缶蓋が巻締めされた缶胴部とから構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、簡素な構成で、缶蓋の開口性および耐圧強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る缶蓋製造装置を示す説明図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る缶蓋製造装置を側方から見て示す説明図。
【
図4】缶蓋一時滞留部の周辺構成を側方から見て示す説明図。
【
図7】検出された反射光の光強度の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態である缶蓋製造装置10および缶蓋製造方法について、図面に基づいて説明する。
[缶蓋]
【0010】
まず、缶蓋製造装置10および缶蓋製造方法によって製造される缶蓋Lは、アルミニウム合金等の圧延加工によって形成される圧延金属板から成り、内容物入りの缶容器を製造する時に、その内部に内容物が充填された状態の金属製の缶胴部(図示しない)の口部に巻締められるものである。
【0011】
缶蓋Lは、
図6に示すように、外周側カール部L1と、外周側カール部L1の内周側に形成されたチャックウォール部L2と、チャックウォール部L2の内周側においてチャックウォール部L2の内周端縁よりも上方側に位置するセンターパネル部L4と、チャックウォール部L2およびセンターパネル部L4を接続するパネルウォール部L3とを有している。缶蓋Lの各部L1、L2、L3は、環状(円環状)に形成されている。
【0012】
また、センターパネル部L4には、
図1や
図6(c)に示すように、缶蓋Lを開口させる時に弱化部として機能させる溝状のスコア(図示しない)と、センターパネル部L4にタブを固定するためのリベット(図示しない)と、スコア(図示しない)を取り囲むように形成された外周側段差部L6とが形成されている。
外周側段差部L6は、
図6(c)に示すように、その内周側の部分(リセスパネル)が外周側の部分よりも一段下がった状態になるように、センターパネル部L4の板材を厚み方向に変形させた部位である。
なお、
図6(a)(b)には、上記のスコア(図示しない)、リベット(図示しない)、外周側段差部L6が形成されていない状態の缶蓋Lを示し、
図6(c)には、スコア(図示しない)、リベット(図示しない)が形成されておらず、外周側段差部L6が形成された状態の缶蓋Lを示した。
【0013】
また、缶蓋Lの外面のうち、後述する発光部52aからの照射光を当てる被照射面(本実施形態ではチャックウォール部L2)については、(少なくとも照射光を利用した缶蓋Lの圧延方向の検出工程を実施する時点で、)当該照射光の少なくとも一部を反射するように、圧延金属板の金属光沢面が露出した状態(または透明な塗料・インクや透明樹脂等の光を遮らないコーティングが施された状態)になっている。
【0014】
また、缶蓋Lは、圧延金属板から成形されているため、缶蓋Lの前記被照射面を含む全面には、
図6(b)に示すように、圧延方向に延びる細かい凹凸(圧延筋)である圧延目L5が無数に形成されている。なお、
図6(b)では、圧延目L5の凹凸の状態を大幅に誇張して描いている。
[缶蓋製造装置]
【0015】
次に、本実施形態の缶蓋製造装置10について、以下に説明する。
【0016】
まず、缶蓋製造装置10は、缶蓋Lを製造するものであり、
図1や
図2に示すように、(製造途中の)缶蓋Lを搬送コンベア30上に1枚ずつ供給する缶蓋供給機20と、缶蓋供給機20から供給された缶蓋Lを搬送する搬送コンベア30と、搬送コンベア30の下流側に設置され、缶蓋Lに対してスコア加工等の各種加工を施す缶蓋加工機40と、缶蓋Lの圧延方向を検出するための圧延方向検出ユニット50と、圧延方向検出ユニット50の下流側に設置され、缶蓋の搬送方向に対する缶蓋の圧延方向の向きを検出する検査機60と、制御ユニット(図示しない)とを備えている。
【0017】
缶蓋供給機20は、搬送コンベア30上に缶蓋Lを供給するものであり、
図1~4に示すように、缶蓋貯蔵部21と、缶蓋貯蔵部21の下方に形成された缶蓋一時滞留部22と、缶蓋Lを下方に向けて送る複数の移送回転体23と、缶蓋Lの回転位置を維持するための複数の回転位置維持部24と、缶蓋Lをガイドする複数のガイドポール25とを備えている。
【0018】
缶蓋貯蔵部21は、
図2や
図4に示すように、複数の缶蓋Lを積み上げた状態(スタックさせた状態)で貯蔵する部位である。
【0019】
缶蓋一時滞留部22は、
図4に示すように、缶蓋貯蔵部21の下方において、缶蓋貯蔵部21から下方に送り出された1枚の缶蓋Lを一時的に滞留させる(配置させる)部位である。
本実施形態では、
図4に示すように、缶蓋一時滞留部22は、上下方向において、後述する上方側係合部23a(が形成された部分)と下方側係合部23b(が形成された部分)との間の領域において、移送回転体23の外周面に凹設された外周凹部23cから構成されている。
【0020】
移送回転体23は、モータ等の駆動源によって上下軸を中心として回転(自転)するように設けられ、その回転に伴って缶蓋Lを下方に向けて送る(移動させる)ものであり、
図4に示すように、缶蓋L(の外周側カール部L1)に係合可能な上方側係合部23aと、上方側係合部23aの下方側に間隔を空けて形成され、缶蓋L(の外周側カール部L1)に係合可能な下方側係合部23bと、その外周面を有している。
上方側係合部23aは、移送回転体23の回転に伴って、缶蓋貯蔵部21に貯蔵された缶蓋のうち最下方の1枚の缶蓋Lを缶蓋一時滞留部22に向けて下方に送る上方側送り部23aとして機能する。
また、下方側係合部23bは、移送回転体23の回転に伴って、缶蓋一時滞留部22で滞留した1枚の缶蓋Lを搬送コンベア30に向けて下方に送る下方側送り部23bとして機能する。
【0021】
なお、本実施形態では、上方側送り部23aが、上方側係合部23aから構成されるものとして説明したが、上方側送り部23aの具体的態様は、これに限定されず、缶蓋貯蔵部21から缶蓋一時滞留部22に向けて1枚の缶蓋Lを切り出して下方に送ることが可能なものであれば、如何なるものでもよい。
また、同様に、本実施形態では、下方側送り部23bが、下方側係合部23bから構成されるものとして説明したが、下方側送り部23bの具体的態様は、これに限定されず、缶蓋一時滞留部22から搬送コンベア30に向けて1枚の缶蓋Lを下方に送ることが可能なものであれば、如何なるものでもよい。
【0022】
また、本実施形態では、上方側係合部23aおよび下方側係合部23bが、移送回転体23の外周面に形成されたスクリュー状(螺旋状)の溝から構成されているが、上方側係合部23aおよび下方側係合部23bの具体的態様は、これに限定されず、移送回転体23の回転に伴って、缶蓋Lを下方に送ることが可能なものであれば、如何なるものでもよい。
【0023】
回転位置維持部24は、缶蓋一時滞留部22から搬送コンベア30上に缶蓋Lを送る時に、缶蓋Lの回転位置を維持する、すなわち、缶蓋Lが回転しないようにするためのものであり、本実施形態では、回転位置維持部24は、合成樹脂や合成ゴム等の弾性体から成り、
図4に示すように、缶蓋L(の外周側カール部L1)に接触して缶蓋Lの回転位置を維持する。
【0024】
ガイドポール25は、
図4に示すように、上下方向に沿って延び、移送回転体23によって缶蓋Lを上下方向に移動させる時に、缶蓋Lをガイドするものである。
【0025】
搬送コンベア30は、
図1や
図2に示すように、缶蓋供給機20から供給された缶蓋Lを搬送するものである。
なお、本実施形態では、搬送コンベア30が、コンベアベルトを用いた態様で構成されているが、搬送コンベア30の具体的態様は、缶蓋Lを搬送可能なものであれば、例えば、ローラコンベアやバキュームコンベアを用いたもの等、如何なるものでもよい。
また、本実施形態では、搬送コンベア30が、缶蓋Lをピッチ送り(間欠移動)させるように構成されるが、搬送コンベア30の具体的態様は、缶蓋Lを連続送りするもの等、如何なるものでもよい。
【0026】
缶蓋加工機40は、缶蓋供給機20の下流側に設置され、搬送コンベア30によって搬送されてきた缶蓋Lに対して、スコア(図示しない)を形成するスコア加工やリベット(図示しない)を形成するリベット加工や外周側段差部L6を形成する加工等の各種加工を施すものである。
【0027】
圧延方向検出ユニット50は、缶蓋Lの圧延方向を検出するとともに、缶蓋Lの回転方向の調整を行うものであり、
図3や
図4に示すように、缶蓋Lを回転させる回転駆動部51と、反射光検出部52と、複数のサポートローラ53とを有している。
【0028】
回転駆動部51は、缶蓋一時滞留部22に滞留した缶蓋Lを上下軸を中心として回転(自転)させるものであり、本実施形態では、サーボモータ等の駆動源によって駆動され、上下軸を中心として回転(自転)可能な駆動ローラとして構成されている。
回転駆動部51は、少なくとも缶蓋Lに接触する部位について、ウレタン等の弾性体から形成されている。
回転駆動部51は、詳しくは後述するように、缶蓋Lの圧延方向を検出する時に、缶蓋Lを回転させる部位として機能するとともに、制御ユニット(図示しない)によって得られた缶蓋Lの圧延方向情報を基に、適切な回転位置で缶蓋Lを位置決め停止させて、缶蓋Lの回転位置を調整する回転位置調整部51としても機能する。
言い換えると、本実施形態では、回転駆動部51と回転位置調整部51は、缶蓋Lを回転させる同じ設備(駆動ローラ、駆動源)から構成されている。
なお、回転駆動部51および回転位置調整部51の具体的態様は、同じ設備から構成されるものに限定されず、回転駆動部51と回転位置調整部51とを互いに別の設備から構成してもよい。
【0029】
反射光検出部52は、
図3に示すように、缶蓋一時滞留部22に滞留した缶蓋Lに対して照射光(本実施形態ではレーザー光)を照射する発光部52aと、照射された照射光のうち缶蓋Lによって反射された反射光を受光して検出する受光部52bとを有している。
【0030】
発光部52aは、
図3(b)に示すように、缶蓋Lの(上方に向かうに従って拡径するように傾斜した)チャックウォール部L2に対して、外周側から照射光を当てるように設置されている。
発光部52aによる照射光を当てる缶蓋Lの部位は、チャックウォール部L2に限定されず、例えば外周側カール部L1等であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、
図3(b)に示すように、発光部52aが受光部52bよりも上方側に配置されているが、発光部52aおよび受光部52bの配置関係はこれに限定されず、発光部52aから照射された照射光の少なくとも一部が缶蓋Lによって反射され、受光部52bによって反射光の少なくとも一部を受光することが可能なものであれば、如何なるものでもよい。
また、受光部52bの具体的態様については、缶蓋Lによって反射された反射光を受光して反射光の光強度を検出することが可能なものであれば、例えば、レーザセンサ等の受光素子を備えたものや、CCDイメージセンサ等の撮像素子を備えたもの等、如何なるものでもよい。
【0032】
サポートローラ53は、
図3に示すように、缶蓋一時滞留部22において缶蓋Lの回転をガイドするものであり、本実施形態では、上下軸を中心として回転可能な従動ローラとして構成されている。
【0033】
検査機60は、
図1や
図2に示すように、圧延方向検出ユニット50の下流側に設置され、搬送方向に対する缶蓋の圧延方向の向きを検出するものであり、搬送コンベア30によって搬送される缶蓋Lの一部(本実施形態ではセンターパネル部L4の一部分)に対して上方からレーザー光等の光を斜めに当てる光照射部と、当該光照射部による照射光によって照らされた部分を含む領域を撮像する撮像素子を有したCCDカメラ等のカメラとを備え、(缶蓋Lと撮像素子との間に配置された拡散板等を介して)カメラによって撮像された反射光の強度分布を示す画像情報を基に、缶蓋Lの搬送方向に対する缶蓋Lの圧延方向の向きを検出するものである。
なお、検査機60によって圧延方向の向きを検出する缶蓋Lの検査対象(すなわち、上記の光照射部による照射光を当てる部分)については、本実施形態ではセンターパネル部L4であるが、他の部位を検査対象としてもよい。
なお、検査機60の具体的態様については、上述した光照射部や上述した撮像素子や受光素子等の検出素子を備え、検出した反射光の強度分布を基に缶蓋Lの圧延方向を検出可能なものであれば、如何なるものでもよい。
【0034】
制御ユニット(図示しない)は、パーソナルコンピュータやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等から構成され、缶蓋製造装置10の各部に接続され、缶蓋製造装置10の各部の動作の制御や各種の演算処理を行うものである。
[缶蓋製造方法]
【0035】
次に、本実施形態の缶蓋製造装置10を用いた缶蓋製造方法について、以下に説明する。
【0036】
まず、缶蓋貯蔵部21に貯蔵された缶蓋Lのうち最下方の1枚が、上方側送り部23aによって缶蓋一時滞留部22に送られる。
【0037】
次に、缶蓋一時滞留部22において、圧延方向検出ユニット50および制御ユニット(図示しない)によって、缶蓋Lの圧延方向を検出するとともに、缶蓋Lの圧延方向を調整する。
具体的には、まず、缶蓋一時滞留部22において、回転駆動部51によって缶蓋Lを回転させつつ、
図3(b)に示すように、缶蓋Lの被照射面(本実施形態の場合、チャックウォール部L2)に対して、発光部52aから所定の角度Θで照射光を照射し、缶蓋Lの被照射面によって反射した反射光を受光部52bによって受光することで、反射光の光強度を検出する。
ここで、缶蓋Lに対して所定の角度Θで照射光を照射すると、缶蓋Lの被照射面の状態によって反射光が拡散されて、受光部52bが反射光の一部のみを受光することになる。そして、受光部52bによって受光される光の量は、缶蓋Lの回転に伴って缶蓋Lの被照射面の状態(被照射面における圧延目L5の向き)が変化することに起因して、缶蓋Lの回転に伴って連続的に変化し、具体的には、
図7のグラフや
図6(b)から分かるように、缶蓋Lの半回転(180°回転)ごとに反射光の強度のピークP1、P2、P3が発生するように連続的に変化する。
なお、
図6(b)に示すように、圧延方向(圧延目L5が延びる方向)に対して照射光が垂直に当たる箇所P1、P2、P3に照射光を当てた時に、反射光の強度がピークを示すことになる。
ここで、
図6(b)で示したP1~P3と、
図7で示したP1~P3とは、互いに対応しており、すなわち、
図6(b)で示した箇所P1(または、P2、P3)に照射光を当てた時の光強度は、
図7の符号P1(または、P2、P3)で表したものになる。
そして、受光部52bで読み取った反射光の強度の連続的な変化情報(
図7に示す変化情報)を基に、制御ユニット(図示しない)によって缶蓋Lの圧延方向(圧延目L5が延びる方向)を検出する。
【0038】
なお、受光部52bで受光する反射光の強度を充分に確保するためには、缶蓋Lの被照射面に対する照射光の光軸の入射角度Θ(すなわち、
図3(b)に示す、缶蓋Lの被照射面に対して垂直な垂線に対する角度Θ)が5度以上15度以下となるように、缶蓋Lの被照射面に対して発光部52aを設置するのが好ましく、また、缶蓋Lの被照射面と受光部52b(の受光素子)との間の距離については、例えば20mm~900mm等、実施態様に応じて任意に設定すればよい。
【0039】
次に、制御ユニット(図示しない)によって得られた缶蓋Lの圧延方向情報が、回転位置調整部51として機能する回転駆動部51にフィードバックされ、回転駆動部(回転位置調整部)51が、適切な回転位置で缶蓋Lを位置決め停止(回転を停止)することで、缶蓋Lの回転位置を調整する。
なお、本実施形態では、
図1に示すように、搬送コンベア30による缶蓋Lの搬送方向に対して缶蓋Lの圧延方向が直交するように、缶蓋Lの回転位置を調整するが、缶蓋Lの回転位置の調整態様は、缶蓋Lの圧延方向が搬送方向に沿うように調整するもの等、如何なるものでもよい。
また、回転駆動部(回転位置調整部)51は、前記圧延方向情報を基に、缶蓋Lの回転位置を±10°以内の精度で所定の回転位置に調整するように構成されている。
【0040】
次に、缶蓋一時滞留部22において回転位置を調整された缶蓋Lは、下方側送り部23bによって、搬送コンベア30上に向けて送り出される。
なお、この際、下方に送られる缶蓋Lは、回転位置維持部24によってその回転位置(すなわち、本実施形態では、缶蓋Lの搬送方向に対して圧延方向が直交する状態)が維持される。
また、本実施形態では、上方側送り部23aと下方側送り部23bとが同じ移送回転体23に形成されていることから、下方側送り部23bによって缶蓋Lが下方に送られるタイミングで、缶蓋貯蔵部21に貯蔵されたうち最下方の1枚の缶蓋Lが、上方側送り部23aによって送り出され、缶蓋一時滞留部22に送られる。
【0041】
なお、上記では、缶蓋一時滞留部22において、回転駆動部(回転位置調整部)51による缶蓋Lの回転位置の調整を完了した後、回転位置維持部24によって缶蓋Lの回転位置を維持しつつ、缶蓋Lを搬送コンベア30に向けて送り出すものとして説明した。
しかしながら、回転駆動部(回転位置調整部)51等による缶蓋Lの回転位置の調整態様は、上記に限定されず、少なくとも缶蓋一時滞留部22において、圧延方向検出ユニット50によって缶蓋Lの圧延方向を検出後、回転位置の調整を開始すればよく、下方側送り部23bによって缶蓋Lを送り出す(切り出す)瞬間に合わせて回転位置の調整が完了するようにしても良い。
すなわち、
図5に示す変形例のように、上記の回転位置維持部24を設置することなく、缶蓋一時滞留部22に缶蓋Lが位置している時から、下方側送り部23bによって缶蓋Lを送り出す(切り出す)瞬間までの間に亘って、缶蓋Lに回転駆動部(回転位置調整部)51を接触させて、缶蓋Lの回転位置を調整するようにしてもよい。なお、この場合、缶蓋Lに接触する回転駆動部(回転位置調整部)51の(弾性体から成る)接触部の損傷を抑制する観点から、下方側送り部23bによって缶蓋Lを下方に送る領域(時間帯)においては、回転駆動部(回転位置調整部)51によって缶蓋Lを回転させる方向と、下方側送り部23bによって缶蓋Lを回転させる方向とを同じにするとともに、回転駆動部(回転位置調整部)51によって缶蓋Lを回転させる速度と、下方側送り部23bによって缶蓋Lを回転させる速度とを、極力同程度に設定するのが好ましい。
【0042】
次に、搬送コンベア30上に送られた缶蓋Lは、搬送コンベア30によって下流側に搬送され、
図1や
図2に示すように、搬送路の途中に設置された検査機60によって、搬送方向に対する缶蓋の圧延方向の向きが検査される。
ここで、検査機60によって、搬送方向に対する缶蓋の圧延方向の向きが正しく無い缶蓋Lが検出された時には、缶蓋加工機40の上流側または下流側(本実施形態では下流側)においてリジェクト機(図示しない)によって当該缶蓋Lが搬送コンベア30の搬送路からリジェクトされる。
【0043】
次に、缶蓋Lは、搬送コンベア30によって缶蓋加工機40に送られ、缶蓋加工機40によって、缶蓋Lに対してスコア加工やリベット加工や外周側段差部L6を形成する加工等の各種加工が施される。
【0044】
最後に、缶蓋加工機40による加工が施された缶蓋Lは、搬送コンベア30によって、缶蓋加工機40の下流側の工程に送られる。
【0045】
このようにして得られた本実施形態の缶蓋製造装置10では、圧延方向検出ユニット50と制御ユニット(図示しない)とを備え、制御ユニット(図示しない)が、圧延方向検出ユニット50によって得られた、回転する缶蓋Lが反射した反射光の光強度の変化情報を基に缶蓋Lの圧延方向を検出するように構成されている。
これにより、缶蓋Lに印刷やシール等の目印をつけなくても缶蓋Lの圧延方向を検出でき、当該圧延方向情報を基に缶蓋Lの回転位置(圧延方向の向き)を調整し、回転位置が調整された状態の缶蓋Lに対してスコア加工や外周側段差部L6を形成する加工等の各種加工を施すことが可能であるため、缶蓋Lの品質を向上させることができる。
【0046】
すなわち、缶蓋Lの回転位置(圧延方向)にバラツキがある状態でスコア(図示しない)を形成した場合、缶蓋Lの開口(スコアの破断)に必要とされる力にバラツキが生じるが、本実施形態では、回転位置が調整された状態の缶蓋Lに対してスコア加工等を施すことが可能であるため、缶蓋Lの開口力等に関する缶蓋Lの品質を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では、回転位置が調整された状態の缶蓋Lに対して、センターパネル部L4の板材を厚み方向に板材を変形させた板材変形部(本実施形態では外周側段差部L6)を形成する等の加工を施す、具体的には、
図6(c)に示すように、後述する幅狭部L4a(幅狭部L4aが缶蓋周方向に幅を持つ場合は幅狭部L4aの缶蓋周方向の中央)とセンターパネル部L4の中央とを通る仮想線Xが、圧延方向に平行またはほぼ平行(具体的には±10°以内)になるように、板材変形部(本実施形態では外周側段差部L6)を形成する等の加工を施すことで、缶蓋Lの耐圧強度を向上させることができる。
すなわち、本実施形態の缶蓋Lでは、幅狭部L4aが形成された付近が、板材変形部(本実施形態では外周側段差部L6)の形成に起因して(他の箇所よりも)耐圧強度が低くなる部位になり、また、
図6(c)に示す箇所Yが、圧延方向に起因して(他の箇所よりも)耐圧強度が低くなる部位になるが、本実施形態の缶蓋Lでは、板材変形部(本実施形態では外周側段差部L6)の形成に起因して耐圧強度が低くなる部位(幅狭部L4a付近)と、圧延方向に起因して耐圧強度が低くなる部位Yとを重ならないようにすることで、缶蓋Lの耐圧強度の低下を抑制する(缶蓋Lの耐圧強度を向上させる)ことができる。
ここで、上述した幅狭部L4aとは、
図6(c)に示すように、少なくとも1つの板材変形部(本実施形態では外周側段差部L6)とセンターパネル部L4の外縁との間の部分のうち、板材変形部(本実施形態では外周側段差部L6)とセンターパネル部L4の外縁との間隔が最も狭い部分である。
なお、上記では、板材変形部が外周側段差部L6であるものとして説明したが、板材変形部は、外周側段差部L6に限定されず、所謂「指掛かりエンボス」や「ビード」のように、
図6(d)に示すようなセンターパネル部L4の板材を厚み方向に下側または上側に凹ませた部位等、センターパネル部L4の板材を厚み方向に板材を変形させた部位のことを意味する。
複数の板材変形部が、センターパネル部L4に形成されている場合、幅狭部L4aは、各板材変形部とセンターパネル部L4の外縁との間の部分のうち、板材変形部とセンターパネル部L4の外縁との間隔が最も狭い部分である。
【0048】
また、缶蓋供給機20が、缶蓋貯蔵部21と、缶蓋貯蔵部21の下方側に形成され1枚の缶蓋Lを滞留させる缶蓋一時滞留部22と、缶蓋貯蔵部21に貯蔵された缶蓋Lを缶蓋一時滞留部22に送る上方側送り部23aと、缶蓋一時滞留部22で滞留した缶蓋Lを搬送コンベア30に向けて送る下方側送り部23bとを有し、圧延方向検出ユニット50が、缶蓋一時滞留部22で滞留した缶蓋Lに対して、回転駆動および反射光の検出を行うように設置されている。
これにより、缶蓋Lの圧延方向の検出や回転位置決め(回転位置の調整)を実施する場所として、缶蓋供給機20の缶蓋貯蔵部21の下方側に形成された缶蓋一時滞留部22を利用することで、缶蓋製造装置10の装置構成が複雑になることを回避できる。
【0049】
また、移送回転体23が、移送回転体23の回転に伴って缶蓋貯蔵部21に貯蔵された缶蓋Lを缶蓋一時滞留部22に送る上方側送り部23aと、移送回転体23の回転に伴って、缶蓋一時滞留部22で滞留した缶蓋Lを搬送コンベア30に向けて送る下方側送り部23bとを一体に有している。
これにより、移送回転体23を回転させることで、缶蓋貯蔵部21から缶蓋一時滞留部22への缶蓋Lの移動、および、缶蓋一時滞留部22から搬送コンベア30への缶蓋Lの移動の両方を行うことが可能であるため、装置構成が複雑になることを回避できる。
【0050】
また、缶蓋一時滞留部22が、上方側係合部23aと下方側係合部23bとの間の領域において、移送回転体23の外周面を凹設した外周凹部23cから構成されていることにより、装置構成が複雑になることを回避できる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記または下記の実施形態や変形例の各構成を任意に組み合わせて缶蓋製造装置10や缶蓋製造方法を構成する等、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0052】
例えば、上述した実施形態では、缶蓋Lがチャックウォール部L2やセンターパネル部L4を有するものとして説明したが、缶蓋Lの具体的態様は、上述した実施形態に限定されず、如何なるものでもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 ・・・ 缶蓋製造装置
20 ・・・ 缶蓋供給機
21 ・・・ 缶蓋貯蔵部
22 ・・・ 缶蓋一時滞留部
23 ・・・ 移送回転体
23a ・・・ 上方側係合部(上方側送り部)
23b ・・・ 下方側係合部(下方側送り部)
23c ・・・ 外周凹部
24 ・・・ 回転位置維持部
25 ・・・ ガイドポール
30 ・・・ 搬送コンベア
40 ・・・ 缶蓋加工機
50 ・・・ 圧延方向検出ユニット
51 ・・・ 回転駆動部(回転位置調整部)
52 ・・・ 反射光検出部
52a ・・・ 発光部
52b ・・・ 受光部
53 ・・・ サポートローラ
60 ・・・ 検査機
L ・・・ 缶蓋
L1 ・・・ 外周側カール部
L2 ・・・ チャックウォール部
L3 ・・・ パネルウォール部
L4 ・・・ センターパネル部
L4a ・・・ 幅狭部
L5 ・・・ 圧延目
L6 ・・・ 外周側段差部(板材変形部)
【要約】
【課題】簡素な構成で、缶蓋の開口性および耐圧強度を向上させる缶蓋製造装置、缶蓋製造方法、缶蓋、および内容物入りの缶容器を提供すること。
【解決手段】缶蓋Lを製造する缶蓋製造装置10であって、缶蓋Lを回転させる回転駆動部51および反射光検出部52を有した圧延方向検出ユニット50と、制御ユニットとを備え、反射光検出部52は、発光部52aと受光部52bとを有し、制御ユニットは、圧延方向検出ユニット50によって得られた、回転する缶蓋Lが反射した反射光の光強度の変化情報を基に缶蓋Lの圧延方向を検出するように構成されている缶蓋製造装置10。
【選択図】
図1