(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】車載用制御装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20250121BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20250121BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20250121BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250121BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20250121BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20250121BHJP
H01M 10/667 20140101ALI20250121BHJP
F01N 3/24 20060101ALN20250121BHJP
【FI】
F01N3/20 K
H05B3/00 310D
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6571
H01M10/633
H01M10/667
F01N3/24 L
(21)【出願番号】P 2023553807
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2021037806
(87)【国際公開番号】W WO2023062733
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】會澤 清
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-013225(JP,U)
【文献】特開2019-168903(JP,A)
【文献】特開2011-231708(JP,A)
【文献】特開2020-063712(JP,A)
【文献】特開2005-240583(JP,A)
【文献】特開平09-079029(JP,A)
【文献】国際公開第2013/147273(WO,A1)
【文献】特開平09-025814(JP,A)
【文献】特開2021-090105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
H05B 3/00
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/6571
H01M 10/633
H01M 10/667
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、
設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、
前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、
前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、
を有
し、
前記車載システムは、
前記電源部と前記抵抗部との間において前記スイッチに対して並列に設けられる並列導電路と、
前記並列導電路に設けられるDCDCコンバータと、を備え、
前記電流制御部は、前記電流制御において、前記DCDCコンバータを制御することで、前記抵抗部に電流を供給する状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給する電流を変化させる
車載用制御装置。
【請求項2】
電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、
設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、
前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、
前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、
を有
し、
前記車載システムは、
前記電源部と前記抵抗部との間において前記スイッチに対して並列に設けられる並列導電路と、
前記並列導電路に設けられ、温度が上昇するにつれて抵抗値が上がる抑制回路と、
前記並列導電路に設けられ、前記抑制回路に対して直列に接続される第2スイッチと、を備え、
前記電流制御部は、前記電流制御において、前記第2スイッチをオン状態にする
車載用制御装置。
【請求項3】
電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、
設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、
前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、
前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、
を有
し、
前記車載システムは、
前記電源部と前記抵抗部との間において前記スイッチに対して並列に設けられる並列導電路と、
前記並列導電路に設けられる第3スイッチと、を備え、
前記第3スイッチは、第3入力部を有し、前記第3入力部に第3閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、前記第3入力部に前記第3閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は前記第3入力部に電圧が印加されない場合にオフ状態となり、
前記電流制御部は、前記電流制御において前記第3入力部に印加される電圧を調整することで前記抵抗部に供給される電流を変化させる
車載用制御装置。
【請求項4】
電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、
設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、
前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、
前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、
を有
し、
前記車載システムは、前記抵抗部を流れる電流を検出する電流検出部を備え、
前記切替条件は、前記電流検出部によって検出された電流の値が閾値電流を超えたことである
車載用制御装置。
【請求項5】
電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、
設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、
前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、
前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、
を有
し、
前記車載システムは、前記スイッチの温度を検出する第2温度検出部を備え、
前記切替条件は、前記第2温度検出部によって検出された温度が第2閾値温度を超えたことである
前記電流制御部は、前記デューティ制御における最大電流よりも小さい電流を前記抵抗部に供給するように前記電流制御を行う
車載用制御装置。
【請求項6】
前記デューティ制御部は、前記抵抗部に供給される電力が目標電力に近づくように、又は前記加熱対象の温度が目標温度に近づくように前記デューティ制御を行い、
前記電流制御部は、前記切替条件が成立した場合に、前記抵抗部に供給される電力が前記目標電力に近づくように、又は前記加熱対象の温度が前記目標温度に近づくように前記電流制御を行う
請求項1
から請求項5のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【請求項7】
前記スイッチは、入力部を有し、前記入力部に閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、前記入力部に前記閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は前記入力部に電圧が印加されない場合にオフ状態となり、
前記電流制御部は、前記電流制御において前記入力部に印加される電圧を調整することで前記抵抗部に供給される電流を変化させる
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【請求項8】
前記車載システムは、前記加熱対象の温度を検出する温度検出部を備え、
前記切替条件は、前記温度検出部によって検出された温度が閾値温度を超えたことである
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【請求項9】
前記車載システムは、前記抵抗部を流れる電流を検出する電流検出部と、前記抵抗部の両端の電位差を検出する電圧検出部と、を備え、
前記電流検出部によって検出された電流の値と、前記電圧検出部によって検出された電圧と、前記抵抗部の抵抗値と温度との関係を示す関係データとに基づいて、前記抵抗部の温度を推定する温度推定部を有し、
前記切替条件は、前記温度推定部によって推定された温度が閾値温度を超えたことである
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、触媒装置(例えばEHC(Electrically Heated Catalyst))に電力を供給して発熱させることで、触媒を活性化させる触媒通電制御装置が開示されている。上記制御装置は、触媒を担持する基材への通電をデューティ制御して、基材に電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、基材が、温度上昇に伴い、自身の電気抵抗値が低下する特性を有している。このため、基材の温度上昇に伴って、基材に流れる電流が大きくなる。上記制御装置はデューティ制御するが、通電オン期間に流れる電流が大電流になることは避けられない。基材に流れる電流が大きくなるほど、デューティ制御中の電流変化が大きくなり、放射ノイズが大きくなることが懸念される。
【0005】
本開示は、加熱対象を加熱する際に生じる放射ノイズが過大になることを抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用制御装置は、電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、加熱対象を加熱する際に生じる放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車載システムを概略的に示す構成図である。
【
図2】
図2(A)は、抵抗部の抵抗値の経時変化を示すグラフである。
図2(B)は、抵抗部を流れる電流値の経時変化を示すグラフである。
【
図3】
図3は、第2実施形態の車載システムを概略的に示す構成図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態の車載システムを概略的に示す構成図である。
【
図5】
図5は、第4実施形態の車載システムを概略的に示す構成図である。
【
図6】
図6は、第6実施形態の車載システムを概略的に示す構成図である。
【
図7】
図7は、第7実施形態の車載システムを概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕本開示の車載用制御装置は、電源部と、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部を有する加熱対象と、前記電源部に基づく電力を前記抵抗部に供給するための電力路と、前記電力路に設けられるスイッチと、を備える車載システムに用いられ、前記加熱対象への電力供給を制御する車載用制御装置であって、設定されたデューティで前記スイッチをオンオフさせるデューティ制御を行うデューティ制御部と、前記抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御を行う電流制御部と、前記デューティ制御部が前記デューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、前記電流制御部による前記電流制御に切り替える切替部と、を有する。
【0011】
上記車載用制御装置は、抵抗部に電力を供給する際、抵抗部の抵抗値が高い序盤ではデューティ制御を行うことで早期に抵抗部を温度上昇させることができる。しかも、上記車載用制御装置は、切替条件が成立した場合に、抵抗部に電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部に供給される電流を変化させる電流制御に切り替えることができる。電流制御では、電流変化が小さく抑えられるため、放射ノイズの発生も抑えられる。つまり、上記車載用制御装置は、加熱対象を加熱する際に生じる放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0012】
〔2〕前記デューティ制御部は、前記抵抗部に供給される電力が目標電力に近づくように、又は前記加熱対象の温度が目標温度に近づくように前記デューティ制御を行ってもよい。前記電流制御部は、前記切替条件が成立した場合に、前記抵抗部に供給される電力が前記目標電力に近づくように、又は前記加熱対象の温度が前記目標温度に近づくように前記電流制御を行ってもよい。
【0013】
上記車載用制御装置は、デューティ制御及び電流制御において、抵抗部に供給する電力を目標電力に近づけるか、又は加熱対象の温度を目標温度に近づけることができる。
【0014】
〔3〕前記スイッチは、入力部を有し、前記入力部に閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、前記入力部に前記閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は前記入力部に電圧が印加されない場合にオフ状態となってもよい。前記電流制御部は、前記電流制御において前記入力部に印加される電圧を調整することで前記抵抗部に供給される電流を変化させてもよい。
【0015】
上記車載用制御装置は、上記電流制御において入力部に印加される電圧を調整することで抵抗部に供給される電流を変化させることができる。つまり、上記車載用制御装置は、デューティ制御に用いられるスイッチを利用して上記電流制御を行うことができるため、構成を簡素化することができる。
【0016】
〔4〕前記車載システムは、前記電源部と前記抵抗部との間において前記スイッチに対して並列に設けられる並列導電路と、前記並列導電路に設けられるDCDCコンバータと、を備えていてもよい。前記電流制御部は、前記電流制御において、前記DCDCコンバータを制御することで、前記抵抗部に電流を供給する状態を維持しつつ、前記抵抗部に供給する電流を変化させてもよい。
【0017】
上記車載用制御装置は、スイッチとは別にDCDCコンバータを設け、このDCDCコンバータを制御することで、上記電流制御を行うことができる。このため、上記車載用制御装置は、抵抗部に供給される電流を調整しやすい。
【0018】
〔5〕前記車載システムは、前記電源部と前記抵抗部との間において前記スイッチに対して並列に設けられる並列導電路と、前記並列導電路に設けられ、温度が上昇するにつれて抵抗値が上がる抑制回路と、前記並列導電路に設けられ、前記抑制回路に対して直列に接続される第2スイッチと、を備えていてもよい。前記電流制御部は、前記電流制御において、前記第2スイッチをオン状態にしてもよい。
【0019】
上記車載用制御装置は、第2スイッチをオン状態にするだけで、上記電流制御を行うことができる。このため、上記車載用制御装置は、上記電流制御の複雑化を抑制することができる。しかも、抑制回路は、温度が上昇するにつれて抵抗値が上がる特性を有するため、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部の特性を相殺して、加熱対象の温度上昇に伴う電流値の上昇を抑制することができる。
【0020】
〔6〕前記車載システムは、前記電源部と前記抵抗部との間において前記スイッチに対して並列に設けられる並列導電路と、前記並列導電路に設けられる第3スイッチと、を備えていてもよい。前記第3スイッチは、第3入力部を有し、前記第3入力部に第3閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、前記第3入力部に前記第3閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は前記第3入力部に電圧が印加されない場合にオフ状態となってもよい。前記電流制御部は、前記電流制御において前記第3入力部に印加される電圧を調整することで前記抵抗部に供給される電流を変化させてもよい。
【0021】
上記車載用制御装置は、スイッチに対して並列に設けられた第3スイッチの第3入力部に印加される電圧を調整することで抵抗部に供給される電流を変化させる。このため、上記車載用制御装置は、スイッチをデューティ制御に適したものとし、第3スイッチを電流制御に適したものすることができる。
【0022】
〔7〕前記車載システムは、前記抵抗部を流れる電流を検出する電流検出部を備えていてもよい。前記切替条件は、前記電流検出部によって検出された電流の値が閾値電流を超えたことであってもよい。
【0023】
上記車載用制御装置は、抵抗部を流れる電流が閾値電流を超えるまでは、デューティ制御によって加熱対象の早期温度上昇を目指し、抵抗部を流れる電流が閾値電流を超えた後は、放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0024】
〔8〕前記車載システムは、前記加熱対象の温度を検出する温度検出部を備えていてもよい。前記切替条件は、前記温度検出部によって検出された温度が閾値温度を超えたことであってもよい。
【0025】
上記車載用制御装置は、加熱対象の温度が閾値温度を超えるまでは、デューティ制御によって加熱対象の早期温度上昇を目指し、加熱対象の温度が閾値温度を超えた後は、放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0026】
〔9〕前記車載システムは、前記抵抗部を流れる電流を検出する電流検出部と、前記抵抗部の両端の電位差を検出する電圧検出部と、を備えていてもよい。前記電流検出部によって検出された電流の値と、前記電圧検出部によって検出された電圧と、前記抵抗部の抵抗値と温度との関係を示す関係データとに基づいて、前記抵抗部の温度を推定する温度推定部を有していてもよい。前記切替条件は、前記温度推定部によって推定された温度が閾値温度を超えたことであってもよい。
【0027】
上記車載用制御装置は、加熱対象の推定温度が閾値温度を超えるまでは、デューティ制御によって加熱対象の早期温度上昇を目指し、加熱対象の推定温度が閾値温度を超えた後は、放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0028】
〔10〕前記車載システムは、前記スイッチの温度を検出する第2温度検出部を備えていてもよい。前記切替条件は、前記第2温度検出部によって検出された温度が第2閾値温度を超えたことであってもよい。前記電流制御部は、前記デューティ制御における最大電流よりも小さい電流を前記抵抗部に供給するように前記電流制御を行ってもよい。
【0029】
上記車載用制御装置は、スイッチの温度が第2閾値温度を超えた場合に、抵抗部に供給される電流を小さくすることができる。このため、上記車載用制御装置は、発熱によるスイッチの故障を抑制することができる。
【0030】
<第1実施形態>
図1に示す車載システム100は、電源部10と、加熱対象11と、電力路12と、スイッチ13と、電流検出部14と、電圧検出部15と、温度検出部16と、車載用制御装置20と、を備える。
【0031】
電源部10は、例えばリチウムイオンバッテリなどのバッテリとして構成されている。
【0032】
加熱対象11は、例えば電気加熱式触媒(EHC(Electrically Heated Catalyst))である。加熱対象11は、例えば、内燃機関の排気管内に配置され、排気中の炭化水素を酸化させるとともに、CO、NOxを還元させて浄化する。加熱対象11は、抵抗部11Aと、図示しない触媒と、を有している。抵抗部11Aは、触媒を担持する基材として構成されている。抵抗部11Aは、導電性を有する部材で構成されており、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる特性を有している。抵抗部11Aは、電力が供給されると発熱する。抵抗部11Aで生じた熱は、触媒に伝達される。これにより、触媒が加熱される。触媒は、加熱させると、活性化する。
【0033】
電力路12は、電源部10に基づく電力を抵抗部11Aに供給するための経路である。
【0034】
スイッチ13は、電力路12に設けられる。スイッチ13は、例えば半導体スイッチング素子であり、例えばNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。スイッチ13は、入力部13Aを有している。入力部13Aは、ゲートである。スイッチ13は、入力部13Aに閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、入力部13Aに閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は入力部13Aに電圧が印加されない場合にオフ状態となる。スイッチ13がオン状態である場合に、スイッチ13を介して抵抗部11Aに電流が供給される。スイッチ13がオフ状態である場合に、スイッチ13を介した抵抗部11Aへの電流の供給が停止される。
【0035】
電流検出部14は、抵抗部11Aを流れる電流を検出しうる。電流検出部14は、例えば公知の電流検出回路として構成されている。電流検出部14は、例えばカレントトランスやシャント抵抗などを用いた電流検出回路として構成されている。電流検出部14は、電力路12を流れる電流を検出することで、抵抗部11Aを流れる電流を検出する。
【0036】
電圧検出部15は、抵抗部11Aの両端の電位差を検出しうる。電圧検出部15は、例えば公知の電圧検出回路として構成されている。
【0037】
温度検出部16は、加熱対象11の温度を検出しうる。温度検出部16は、例えば公知の温度センサとして構成されている。
【0038】
車載用制御装置20は、車載システム100に用いられる装置である。車載用制御装置20は、図示しないMCU(Micro Controller Unit)と、AD変換器と、DA変換器と、駆動回路と、マルチプレクサとを有している。車載用制御装置20は、電流検出部14の検出値に基づいて抵抗部11Aを流れる電流を特定する。車載用制御装置20は、電圧検出部15の検出値に基づいて抵抗部11Aの両端の電位差を特定する。車載用制御装置20は、温度検出部16の検出値に基づいて加熱対象11の温度を特定する。車載用制御装置20は、デューティ制御部21と、電流制御部22と、切替部23と、を有している。
【0039】
デューティ制御部21は、設定されたデューティでスイッチ13をオンオフさせるデューティ制御を行う。デューティ制御は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御である。デューティは、周期に対するオン時間の割合のことである。デューティは、設定変更可能である。デューティ制御部21は、例えばMCUと、駆動回路とによって構成される。
【0040】
電流制御部22は、抵抗部11Aに電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部11Aに供給される電流を変化させる電流制御を行う。電流制御において抵抗部11Aに供給される電流は、デューティ制御において抵抗部11Aに流れる最大電流よりも小さい。電流制御部22は、例えばMCUと、DA変換器と、によって構成される。
【0041】
切替部23は、デューティ制御部21がデューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、電流制御部22による電流制御に切り替える。切替条件は、例えば、電流検出部14によって検出された電流の値が閾値電流を超えたことである。切替部23は、例えばMCUと、マルチプレクサとによって構成される。
【0042】
次の説明は、デューティ制御部21、電流制御部22、及び切替部23の詳細に関する。
【0043】
切替部23は、開始条件が成立した場合に、デューティ制御部21にデューティ制御を開始させる。開始条件は、例えば車載システム100が搭載される車両の始動スイッチ(例えばイグニッションスイッチ)がオン状態に切り替わったことである。切替部23は、例えば車両の始動スイッチのオンオフ状態を示すオンオフ信号が外部のECUから入力される構成となっており、このオンオフ信号に基づいて始動スイッチがオン状態に切り替わったことを判定する。
【0044】
デューティ制御部21は、上述した開始条件が成立した場合に、デューティ制御を開始する。デューティ制御部21は、抵抗部11Aに供給される電力が目標電力に近づくようにデューティ制御を行う。デューティ制御部21は、デューティ制御において、第1デューティ制御と、第2デューティ制御と、を行う。第1デューティ制御は、デューティを100%に固定した制御である。第2デューティ制御は、抵抗部11Aに供給される電力が予め決められた目標電力に近づくようにデューティを設定変更する制御である。デューティ制御部21は、電流検出部14の検出値及び電圧検出部15の検出値に基づいて、抵抗部11Aに対する単位時間当たりの供給電力を算出する。デューティ制御部21は、算出した単位時間当たりの供給電力と目標電力との偏差に基づいて、抵抗部11Aに供給される電力が目標電力に近づくように第2デューティ制御を行う。
【0045】
デューティ制御部21は、上述した開始条件が成立した場合に第1デューティ制御を開始し、デューティ切替条件が成立した場合に第2デューティ制御に切り替える。デューティ切替条件は、例えば抵抗部11Aの温度がデューティ切替温度に到達したことである。
【0046】
デューティ制御部21は、デューティ制御において、設定されたデューティの信号(例えばPWM信号)を生成して第1信号として出力する。第1信号は、切替部23に入力される。切替部23は、開始条件が成立してから切替条件が成立するまでの間、即ち、切替条件が成立する前の段階において、デューティ制御部21から入力される第1信号を選択し、スイッチ13の入力部13Aに向けて出力する。これにより、スイッチ13が、デューティ制御部21によってデューティ制御され、矩形波状の電流が抵抗部11Aに供給される。
【0047】
切替部23は、デューティ制御部21がデューティ制御を行っているときに上述した切替条件が成立した場合に、デューティ制御部21にデューティ制御を停止させ、電流制御部22に電流制御を行わせる。
【0048】
電流制御部22は、上述した切替条件が成立した場合に、電流制御を開始する。電流制御部22は、電流制御において、入力部13Aに印加される電圧を調整することで抵抗部11Aに供給される電流を変化させる。電流制御部22は、上記閾値電圧以上の範囲内で、入力部13Aに印加される電圧を調整する。例えば、電流制御部22は、上記閾値電圧以上で、且つ、デューティ制御部21からスイッチ13の入力部13Aに入力されるオン信号の電圧以下の範囲内で、入力部13Aに印加される電圧を調整する。なお、デューティ制御部21からスイッチ13の入力部13Aに入力されるオン信号の電圧は、閾値電圧よりも大きい値である。電流制御部22は、抵抗部11Aに供給される電力が目標電力に近づくように電流制御を行う。電流制御部22は、電流検出部14の検出値及び電圧検出部15の検出値に基づいて、抵抗部11Aに対する単位時間当たりの供給電力を算出する。電流制御部22は、算出した単位時間当たりの供給電力と目標電力との偏差に基づいて、抵抗部11Aに供給される電力を目標電力に近づけるための操作量を算出する。そして、電流制御部22は、算出した操作量に応じた電圧値のアナログ電圧信号を生成して第2信号として出力する。第2信号は、切替部23に入力される。
【0049】
切替部23は、切替条件が成立した後、電流制御部22から入力される第2信号を選択し、スイッチ13の入力部13Aに向けて出力する。これにより、第2信号の電圧値に応じた電流が抵抗部11Aに供給される。
【0050】
デューティ制御部21は、
図2(A)(B)に示されるタイミングt0において、デューティ制御を開始する。デューティ制御が開始されると、抵抗部11Aに電力が供給され、加熱対象11の温度が徐々に上昇する。加熱対象11の温度上昇に伴い、抵抗部11Aの抵抗値は、徐々に低下する。このため、抵抗部11Aに供給される電力が時間の経過に伴って上昇する状態、あるいは抵抗部11Aに供給される電力が一定である状態では、抵抗部11Aに流れる電流の最大値は、抵抗部11Aの抵抗値の低下に伴って徐々に上昇する。
【0051】
切替部23は、
図2(A)(B)に示されるタイミングt1において、切替条件が成立したと判定すると、電流制御部22による電流制御に切り替える。電流制御部22は、タイミングt1の後、抵抗部11Aに電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部11Aに供給される電流を変化させる電流制御を行う。これにより、放射ノイズが過大になることが抑制される。また、電流制御部22は、電流制御において、抵抗部11Aに供給させる電流を、デューティ制御において抵抗部11Aに供給される最大電流よりも低くする。これにより、スイッチ13をオフ状態に切り替える際に生じるサージ電流が過大になることを抑制することができる。また、電流制御では、加熱対象11の温度上昇に伴い、抵抗部11Aに供給される電流が徐々に小さくなる。
【0052】
以上のように、車載用制御装置20は、抵抗部11Aに電力を供給する際、抵抗部11Aの抵抗値が高い序盤ではデューティ制御を行うことで早期に抵抗部11Aを温度上昇させることができる。しかも、上記車載用制御装置20は、切替条件が成立した場合に、抵抗部11Aに電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部11Aに供給される電流を変化させる電流制御に切り替えることができる。電流制御では、電流変化が小さく抑えられるため、放射ノイズの発生も抑えられる。つまり、上記車載用制御装置20は、加熱対象11を加熱する際に生じる放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0053】
更に、車載用制御装置20は、デューティ制御及び電流制御において、抵抗部11Aに供給する電力を目標電力に近づけることができる。
【0054】
更に、車載用制御装置20は、上記電流制御において入力部13Aに印加される電圧を調整することで抵抗部11Aに供給される電流を変化させることができる。つまり、車載用制御装置20は、デューティ制御に用いられるスイッチ13を利用して電流制御を行うことができるため、構成を簡素化することができる。
【0055】
更に、車載用制御装置20は、抵抗部11Aを流れる電流が閾値電流を超えるまでは、デューティ制御によって加熱対象11の早期温度上昇を目指し、抵抗部11Aを流れる電流が閾値電流を超えた後は、放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0056】
<第2実施形態>
図3に示す第2実施形態の車載用制御装置220は、DCDCコンバータ218を用いて電流制御を行う点で、第1実施形態の車載用制御装置20とは異なり、その他の点で共通する。以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0057】
図3に示す車載システム200は、電源部10と、加熱対象11と、電力路12と、スイッチ13と、電流検出部14と、電圧検出部15と、温度検出部16と、並列導電路217と、DCDCコンバータ218と、車載用制御装置220と、を備えている。
【0058】
並列導電路217は、電源部10に基づく電力を抵抗部11Aに供給するための経路であり、且つ電源部10と抵抗部11Aとの間においてスイッチ13に対して並列に設けられる経路である。
【0059】
DCDCコンバータ218は、並列導電路217に設けられる。DCDCコンバータは、降圧型であり、電源部10側の第1導電路217Aに印加された電圧を降圧して、抵抗部11A側の第2導電路217Bに印加する降圧動作を行う。
【0060】
車載用制御装置220は、車載システム200に用いられる装置である。車載用制御装置220は、図示しないMCU(Micro Controller Unit)と、AD変換器と、駆動回路と、を有している。車載用制御装置220は、電流検出部14の検出値に基づいて抵抗部11Aを流れる電流を特定する。車載用制御装置220は、電圧検出部15の検出値に基づいて抵抗部11Aの両端の電位差を特定する。車載用制御装置220は、温度検出部16の検出値に基づいて加熱対象11の温度を特定する。車載用制御装置220は、デューティ制御部221と、電流制御部222と、切替部223と、を有している。
【0061】
デューティ制御部221は、第1実施形態のデューティ制御部21と同じ構成である。
【0062】
電流制御部222は、抵抗部11Aに電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部11Aに供給される電流を変化させる電流制御を行う。電流制御において抵抗部11Aに供給される電流は、デューティ制御において抵抗部11Aに流れる最大電流よりも小さい。電流制御部222は、例えばMCUと、駆動回路とによって構成される。電流制御部222は、DCDCコンバータ218を制御することによって電流制御を行う。
【0063】
切替部223は、デューティ制御部221がデューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、電流制御部222による電流制御に切り替える。切替条件は、例えば、電流検出部14によって検出された電流の値が閾値電流を超えたことである。切替部223は、例えばMCUによって構成される。
【0064】
次の説明は、デューティ制御部221、電流制御部222、及び切替部223の詳細に関する。
【0065】
切替部223は、第1実施形態で説明した開始条件が成立した場合に、デューティ制御部221にデューティ制御を開始させる。
【0066】
デューティ制御部221は、上述した開始条件が成立した場合に、第1実施形態のデューティ制御部21と同様に、デューティ制御を行う。デューティ制御部221から出力される第1信号は、切替部223を介さずに、スイッチ13の入力部13Aに直接入力される。これにより、スイッチ13が、デューティ制御部221によってデューティ制御され、矩形波状の電流が抵抗部11Aに供給される。
【0067】
切替部223は、デューティ制御部221がデューティ制御を行っているときに上述した切替条件が成立した場合に、デューティ制御部221にデューティ制御を停止させ、電流制御部222に電流制御を行わせる。
【0068】
デューティ制御部221は、上述した切替条件が成立して切替部223から停止指示を受けると、スイッチ13の入力部13Aに向けてオフ信号を出力する。入力部13Aにオフ信号が入力されると、スイッチ13がオフ状態となり、スイッチ13を介した抵抗部11Aの電力供給が停止される。
【0069】
電流制御部222は、上述した切替条件が成立した場合に、電流制御を開始する。電流制御部222は、電流制御において、DCDCコンバータ218に降圧動作を行わせることで抵抗部11Aに供給される電流を低下させる。電流制御部222は、抵抗部11Aに供給される電力が目標電力に近づくように電流制御を行う。電流制御部222は、電流検出部14の検出値及び電圧検出部15の検出値に基づいて、抵抗部11Aに対する単位時間当たりの供給電力を算出する。電流制御部222は、算出した単位時間当たりの供給電力と目標電力との偏差に基づいて、抵抗部11Aに供給される電力が目標電力に近づくようにDCDCコンバータ218に降圧動作を行わせる。
【0070】
以上のように、第2実施形態の車載用制御装置220は、スイッチ13とは別にDCDCコンバータ218を設け、このDCDCコンバータ218を制御することで、上記電流制御を行うことができる。このため、第2実施形態の車載用制御装置220は、抵抗部11Aに流れる電流の値を調整しやすい。
【0071】
<第3実施形態>
図4に示す第3実施形態の車載用制御装置320は、並列導電路317に設けられた抑制回路318を用いて電流制御を行う点で、第1実施形態の車載用制御装置20とは異なり、その他の点で共通する。以下の第3実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0072】
図4に示す車載システム300は、電源部10と、加熱対象11と、電力路12と、スイッチ13と、電流検出部14と、電圧検出部15と、温度検出部16と、並列導電路317と、抑制回路318と、第2スイッチ319と、車載用制御装置320と、を備えている。
【0073】
並列導電路317は、電源部10に基づく電力を抵抗部11Aに供給するための経路であり、且つ電源部10と抵抗部11Aとの間においてスイッチ13に対して並列に設けられる経路である。
【0074】
抑制回路318は、並列導電路317に設けられる。抑制回路318は、温度が上昇するにつれて抵抗値が上がる特性を有する。抑制回路318は、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)素子や抵抗器などである。
【0075】
第2スイッチ319は、並列導電路317において、抑制回路318に対して直列に設けられる。第2スイッチ319は、例えば半導体スイッチング素子であり、例えばNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。第2スイッチ319は、第2入力部319Aを有している。第2入力部319Aは、ゲートである。第2スイッチ319は、第2入力部319Aに第2閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、第2入力部319Aに第2閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は第2入力部319Aに電圧が印加されない場合にオフ状態となる。第2スイッチ319がオン状態である場合に、第2スイッチ319を介して抵抗部11Aに電流が供給される。第2スイッチ319がオフ状態である場合に、第2スイッチ319を介した抵抗部11Aへの電流の供給が停止される。
【0076】
車載用制御装置320は、車載システム300に用いられる装置である。車載用制御装置320は、図示しないMCU(Micro Controller Unit)と、AD変換器と、駆動回路と、を有している。車載用制御装置320は、電流検出部14の検出値に基づいて抵抗部11Aを流れる電流を特定する。車載用制御装置320は、電圧検出部15の検出値に基づいて抵抗部11Aの両端の電位差を特定する。車載用制御装置320は、温度検出部16の検出値に基づいて加熱対象11の温度を特定する。車載用制御装置320は、デューティ制御部321と、電流制御部322と、切替部323と、を有している。
【0077】
デューティ制御部321は、第1実施形態のデューティ制御部21と同じ構成である。
【0078】
電流制御部322は、抵抗部11Aに電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部11Aに供給される電流を変化させる電流制御を行う。電流制御において抵抗部11Aに供給される電流は、デューティ制御において抵抗部11Aに流れる最大電流よりも小さい。電流制御部322は、例えばMCUと、駆動回路とによって構成される。電流制御部322は、電流制御において、第2スイッチ319の第2入力部319Aにオン信号を与える。
【0079】
切替部323は、デューティ制御部321がデューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、電流制御部322による電流制御に切り替える。切替条件は、例えば、電流検出部14によって検出された電流の値が閾値電流を超えたことである。切替部323は、例えばMCUによって構成される。
【0080】
次の説明は、デューティ制御部321、電流制御部322、及び切替部323の詳細に関する。
【0081】
切替部323は、第1実施形態で説明した開始条件が成立した場合に、デューティ制御部321にデューティ制御を開始させる。なお、このとき電流制御部322による電流制御は行われない。つまり、第2スイッチ319は、オフ状態とされる。
【0082】
デューティ制御部321は、上述した開始条件が成立した場合に、第1実施形態のデューティ制御部21と同様に、デューティ制御を行う。デューティ制御部321から出力される第1信号は、切替部323を介さずに、スイッチ13の入力部13Aに直接入力される。これにより、スイッチ13が、デューティ制御部321によってデューティ制御され、矩形波状の電流が抵抗部11Aに供給される。
【0083】
切替部323は、デューティ制御部321がデューティ制御を行っているときに上述した切替条件が成立した場合に、デューティ制御部321にデューティ制御を停止させ、電流制御部322に電流制御を行わせる。
【0084】
デューティ制御部321は、上述した切替条件が成立して切替部323から停止指示を受けると、スイッチ13の入力部13Aに向けてオフ信号を出力する。入力部13Aにオフ信号が入力されると、スイッチ13がオフ状態となり、スイッチ13を介した抵抗部11Aの電力供給が停止される。
【0085】
電流制御部322は、上述した切替条件が成立した場合に、電流制御を開始する。電流制御部322は、電流制御において、第2スイッチ319の第2入力部319Aにオン信号を与え、第2スイッチ319をオン状態に切り替える。これにより、抑制回路318を介して低下した電流が、抵抗部11Aに供給される。
【0086】
以上のように、第3実施形態の車載用制御装置320は、第2スイッチ319をオン状態にするだけで、上記電流制御を行うことができる。このため、車載用制御装置320は、電流制御を行うための構成の複雑化を抑制することができる。しかも、抑制回路318は、温度が上昇するにつれて抵抗値が上がる特性を有している。このため、温度が上昇するにつれて抵抗値が下がる抵抗部11Aの特性を相殺して、加熱対象11の温度上昇に伴う電流値の上昇を抑制することができる。
【0087】
<第4実施形態>
図5に示す第4実施形態の車載用制御装置420は、並列導電路417に設けられた第3スイッチ419を用いて電流制御を行う点で、第1実施形態の車載用制御装置20とは異なり、その他の点で共通する。以下の第4実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0088】
図5に示す車載システム400は、電源部10と、加熱対象11と、電力路12と、スイッチ13と、電流検出部14と、電圧検出部15と、温度検出部16と、並列導電路417と、第3スイッチ419と、車載用制御装置420と、を備えている。
【0089】
並列導電路417は、電源部10に基づく電力を抵抗部11Aに供給するための経路であり、且つ電源部10と抵抗部11Aとの間においてスイッチ13に対して並列に設けられる経路である。
【0090】
第3スイッチ419は、並列導電路417に設けられる。第3スイッチ419は、例えば半導体スイッチング素子であり、例えばNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。第3スイッチ419は、第3入力部419Aを有している。第3入力部419Aは、ゲートである。第3スイッチ419は、第3入力部419Aに第3閾値電圧以上の電圧が印加される状態においてオン状態となり、第3入力部419Aに第3閾値電圧未満の電圧が印加されるか又は第3入力部419Aに電圧が印加されない場合にオフ状態となる。第3スイッチ419がオン状態である場合に、第3スイッチ419を介して抵抗部11Aに電流が供給される。第3スイッチ419がオフ状態である場合に、第3スイッチ419を介した抵抗部11Aへの電流の供給が停止される。なお、本実施形態では、第3閾値電圧は、閾値電圧と同じ値とするが、異なる値であってもよい。
【0091】
車載用制御装置420は、車載システム400に用いられる装置である。車載用制御装置420は、図示しないMCU(Micro Controller Unit)と、AD変換器と、DA変換器と、駆動回路と、を有している。車載用制御装置420は、電流検出部14の検出値に基づいて抵抗部11Aを流れる電流を特定する。車載用制御装置420は、電圧検出部15の検出値に基づいて抵抗部11Aの両端の電位差を特定する。車載用制御装置420は、温度検出部16の検出値に基づいて加熱対象11の温度を特定する。車載用制御装置420は、デューティ制御部421と、電流制御部422と、切替部423と、を有している。
【0092】
デューティ制御部421は、第1実施形態のデューティ制御部21と同じ構成である。
【0093】
電流制御部422は、抵抗部11Aに電流が供給される状態を維持しつつ、抵抗部11Aに供給される電流を変化させる電流制御を行う。電流制御において抵抗部11Aに供給される電流は、デューティ制御において抵抗部11Aに流れる最大電流よりも小さい。電流制御部422は、例えばMCUと、DA変換器とによって構成される。
【0094】
切替部423は、デューティ制御部421がデューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、電流制御部422による電流制御に切り替える。切替条件は、例えば、電流検出部14によって検出された電流の値が閾値電流を超えたことである。切替部423は、例えばMCUによって構成される。
【0095】
次の説明は、デューティ制御部421、電流制御部422、及び切替部423の詳細に関する。
【0096】
切替部423は、第1実施形態で説明した開始条件が成立した場合に、デューティ制御部421にデューティ制御を開始させる。なお、このとき電流制御部422による電流制御は行われない。つまり、第3スイッチ419は、オフ状態とされる。
【0097】
デューティ制御部421は、上述した開始条件が成立した場合に、第1実施形態のデューティ制御部21と同様に、デューティ制御を行う。デューティ制御部421から出力される第1信号は、切替部423を介さずに、スイッチ13の入力部13Aに直接入力される。これにより、スイッチ13が、デューティ制御部421によってデューティ制御され、矩形波状の電流が抵抗部11Aに供給される。
【0098】
切替部423は、デューティ制御部421がデューティ制御を行っているときに上述した切替条件が成立した場合に、デューティ制御部421にデューティ制御を停止させ、電流制御部422に電流制御を行わせる。
【0099】
デューティ制御部421は、上述した切替条件が成立して切替部423から停止指示を受けると、スイッチ13の入力部13Aに向けてオフ信号を出力する。入力部13Aにオフ信号が入力されると、スイッチ13がオフ状態となり、スイッチ13を介した抵抗部11Aの電力供給が停止される。
【0100】
電流制御部422は、上述した切替条件が成立した場合に、電流制御を開始する。電流制御部422は、電流制御において、第3入力部419Aに印加される電圧を調整することで抵抗部11Aに供給される電流を変化させる。電流制御部422は、上記第3閾値電圧以上の範囲内で、第3入力部419Aに印加される電圧を調整する。例えば、電流制御部422は、上記第3閾値電圧以上で、且つ、デューティ制御部421からスイッチ13の入力部13Aに入力されるオン信号の電圧以下の範囲内で、第3入力部419Aに印加される電圧を調整する。なお、デューティ制御部421からスイッチ13の入力部13Aに入力されるオン信号の電圧は、閾値電圧よりも大きい値である。電流制御部422は、第1実施形態の電流制御部22と同様に、抵抗部11Aに供給される電力が目標電力に近づくように電流制御を行う。電流制御部422によって生成された第2信号は、切替部423を介さず、第3スイッチ419の第3入力部419Aに直接入力される。これにより、第2信号の電圧値に応じた電流が抵抗部11Aに供給される。
【0101】
以上のように、第4実施形態の車載用制御装置420は、スイッチ13に対して並列に設けられた第3スイッチ419の第3入力部419Aに印加される電圧を調整することで抵抗部11Aに供給される電流を変化させる。このため、車載用制御装置420は、スイッチ13をデューティ制御に適したものとし、第3スイッチ419を電流制御に適したものすることができる。
【0102】
<第5実施形態>
切替条件は、第1実施形態の内容に限定されない。第5実施形態では、切替条件の別例について説明する。なお、以下では、第5実施形態について、
図1を参照して説明する。
【0103】
第5実施形態の切替条件は、温度検出部16によって検出された温度が閾値温度を超えたことである。閾値温度は、デューティ切替温度よりも高い温度である。
【0104】
第5実施形態の車載用制御装置20は、加熱対象11の温度が閾値温度を超えるまでは、デューティ制御によって加熱対象11の早期温度上昇を目指し、加熱対象11の温度が閾値温度を超えた後は、放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0105】
<第6実施形態>
第6実施形態では、切替条件の第2の別例について説明する。以下の第6実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0106】
図6に示す車載システム600は、電源部10と、加熱対象11と、電力路12と、スイッチ13と、電流検出部14と、電圧検出部15と、温度検出部16と、車載用制御装置620と、を備えている。
【0107】
車載用制御装置620は、車載システム600に用いられる装置である。車載用制御装置620は、図示しないMCU(Micro Controller Unit)と、AD変換器と、DA変換器と、駆動回路と、マルチプレクサと、を有している。車載用制御装置620は、電流検出部14の検出値に基づいて抵抗部11Aを流れる電流を特定する。車載用制御装置620は、電圧検出部15の検出値に基づいて抵抗部11Aの両端の電位差を特定する。車載用制御装置620は、温度検出部16の検出値に基づいて加熱対象11の温度を特定する。車載用制御装置620は、デューティ制御部21と、電流制御部22と、切替部623と、を有している。
【0108】
切替部623は、デューティ制御部21がデューティ制御を行っているときに切替条件が成立した場合に、電流制御部22による電流制御に切り替える。切替部623は、温度推定部623Aを有している。温度推定部623Aは、電流検出部14によって検出された電流の値と、電圧検出部15によって検出された電圧と、抵抗部11Aの抵抗値と温度との関係を示す関係データとに基づいて、抵抗部11Aの温度を推定する。関係データは、演算式であってもよいし、テーブルデータであってもよい。温度推定部623Aは、電流検出部14によって検出された電流の値と、電圧検出部15によって検出された電圧と、に基づいて、抵抗部11Aの抵抗値が特定する。そして、温度推定部623Aは、特定された抵抗値と、予め記憶しておいた関係データとに基づいて、特定された抵抗値に対応する温度を特定する。このように特定された温度が、推定温度である。切替条件は、温度推定部623Aによって推定された温度が閾値温度を超えたことである。
【0109】
第6実施形態の車載用制御装置620は、加熱対象11の推定温度が閾値温度を超えるまでは、デューティ制御によって加熱対象11の早期温度上昇を目指し、加熱対象11の推定温度が閾値温度を超えた後は、放射ノイズが過大になることを抑制し得る。
【0110】
<第7実施形態>
第7実施形態では、切替条件の第3の別例について説明する。以下の第7実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0111】
図7に示す車載システム700は、電源部10と、加熱対象11と、電力路12と、スイッチ13と、電流検出部14と、電圧検出部15と、温度検出部16と、第2温度検出部717と、車載用制御装置20と、を備えている。
【0112】
第2温度検出部717は、スイッチ13の温度を検出しうる。第2温度検出部717は、例えば公知の温度センサとして構成されている。切替条件は、第2温度検出部717によって検出された温度が第2閾値温度を超えたことである。
【0113】
第7実施形態の車載用制御装置20は、スイッチ13の温度が第2閾値温度を超えた場合に、抵抗部11Aに供給される電流を小さくすることができる。このため、第7実施形態の車載用制御装置20は、発熱によるスイッチ13の故障を抑制することができる。
【0114】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0115】
上記各実施形態では、デューティ制御部が、デューティ制御において、第1デューティ制御と、第2デューティ制御と、を行う構成であったが、この構成に限らない。例えば、デューティ制御部は、デューティ制御において、第2デューティ制御のみを行う構成であってもよい。
【0116】
上記各実施形態では、デューティ制御部は、抵抗部に供給される電力が目標電力に近づくようにデューティ制御を行う構成であったが、加熱対象の温度が目標温度に近づくようにデューティ制御を行ってもよい。
【0117】
上記各実施形態では、電流制御部は、切替条件が成立した場合に、抵抗部に供給される電力が目標電力に近づくように電流制御を行う構成であったが、加熱対象の温度が目標温度に近づくように電流制御を行う構成であってもよい。
【0118】
デューティ制御部、電流制御部、及び切替部を構成するMCUは、単一であってもよいし、それぞれ別々であってもよい。
【0119】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
10…電源部
11…加熱対象
11A…抵抗部
12…電力路
13…スイッチ
13A…入力部
14…電流検出部
15…電圧検出部
16…温度検出部
20…車載用制御装置
21…デューティ制御部
22…電流制御部
23…切替部
100…車載システム
200…車載システム
217…並列導電路
217A…第1導電路
217B…第2導電路
218…DCDCコンバータ
220…車載用制御装置
221…デューティ制御部
222…電流制御部
223…切替部
300…車載システム
317…並列導電路
318…抑制回路
319…第2スイッチ
319A…第2入力部
320…車載用制御装置
321…デューティ制御部
322…電流制御部
323…切替部
400…車載システム
417…並列導電路
419…第3スイッチ
419A…第3入力部
420…車載用制御装置
421…デューティ制御部
422…電流制御部
423…切替部
600…車載システム
620…車載用制御装置
623…切替部
623A…温度推定部
700…車載システム
717…第2温度検出部