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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】伸縮デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
H05K1/02 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024523047
(86)(22)【出願日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2023018134
(87)【国際公開番号】W WO2023228798
(87)【国際公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022086226
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】勝 勇人
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥井 俊文
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-123419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0272181(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0131239(US,A1)
【文献】国際公開第2021/235282(WO,A1)
【文献】特開平11-297218(JP,A)
【文献】特開2003-209338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能な伸縮基材と、
前記伸縮基材上に設けられた第1電極、第2電極および第3電極と、を備え、
前記第3電極の主成分である導電材料のイオン化傾向は、前記第1電極の主成分である導電材料のイオン化傾向および前記第2電極の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さく、
前記第1電極と前記第3電極との最短距離は、前記第1電極と前記第2電極との最短距離よりも小さい、伸縮デバイス。
【請求項2】
前記第1電極の電位の極性は、前記第2電極の電位の極性と異なり、
前記第3電極の電位の極性は、前記第1電極の電位の極性と異なる、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項3】
前記第1電極の電位の極性は、負である、請求項2に記載の伸縮デバイス。
【請求項4】
前記伸縮基材は、第1主面を有し、
前記第1電極、第2電極および第3電極は、前記第1主面上に設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、同一平面に配置され、
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向において、前記第1電極および前記第2電極とは異なる位置に配置され、
前記第1電極と前記第3電極との間、および、前記第2電極と前記第3電極との間に少なくとも設けられた絶縁層をさらに備える、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項5】
前記第3電極と、前記絶縁層と、前記第1電極および前記第2電極とは、前記第1主面側からこの順に積層されている、請求項4に記載の伸縮デバイス。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記第1電極と前記第3電極との間に設けられた第1部分と、前記第2電極と前記第3電極との間に設けられた第2部分と、を有し、
前記第1部分と前記第2部分とは、離隔している、請求項4に記載の伸縮デバイス。
【請求項7】
前記第1電極および前記第2電極と、前記絶縁層と、前記第3電極とは、前記第1主面側からこの順に積層されている、請求項4に記載の伸縮デバイス。
【請求項8】
前記伸縮基材は、互いに対向する第1主面および第2主面を有し、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1主面上に設けられ、
前記第3電極は、前記第2主面上に設けられている、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項9】
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向からみて、前記第1電極の全体と重なる、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項10】
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向からみて、前記第1電極の全体および前記第2電極の全体と重なる、請求項9に記載の伸縮デバイス。
【請求項11】
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向からみて、前記第1電極および前記第2電極と重ならない、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項12】
前記伸縮基材の厚み方向に平行で、且つ、前記第1電極および前記第3電極に交差する断面において、前記第3電極の断面積は、前記第1電極の断面積の105%以下である、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項13】
前記第1電極および前記第2電極が、前記第3電極を挟んで積層され、
前記第1電極と前記第3電極との間、および、前記第2電極と前記第3電極との間に設けられる絶縁層をさらに備える、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項14】
前記伸縮基材上に設けられる第4電極および第5電極をさらに備え、
前記第3電極の主成分である導電材料のイオン化傾向は、前記第4電極の主成分である導電材料のイオン化傾向および前記第5電極の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さく、
前記第4電極と前記第3電極との最短距離は、前記第4電極と前記第5電極との最短距離よりも小さい、請求項1に記載の伸縮デバイス。
【請求項15】
前記第1電極の電位の極性は、前記第4電極の電位の極性と同一であり、
前記第2電極、前記第3電極、および前記第5電極の電位の極性は、前記第1電極および前記第4電極の電位の極性と異なる、請求項14に記載の伸縮デバイス。
【請求項16】
前記第1電極および前記第2電極が同一平面に配置され、
前記第4電極および前記第5電極が同一平面に配置され、
前記伸縮基材と、前記第1電極および前記第2電極と、前記第3電極と、前記第4電極および前記第5電極とがこの順に積層され、
前記第1電極および前記第2電極と前記第3電極との間、ならびに前記第4電極および前記第5電極と前記第3電極との間に設けられる絶縁層を備える、請求項14に記載の伸縮デバイス。
【請求項17】
前記第1電極および前記第4電極が同一平面に配置され、
前記第2電極および前記第5電極が同一平面に配置され、
前記伸縮基材と、前記第1電極および前記第4電極と、前記第3電極と、前記第2電極および前記第5電極とがこの順に積層され、
前記第1電極および前記第4電極と前記第3電極との間、ならびに前記第2電極および前記第5電極と前記第3電極との間に設けられる絶縁層を備える、請求項14に記載の伸縮デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伸縮デバイスとしては、特許第3518023号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この伸縮デバイスは、絶縁性合成樹脂基材上に設けられた銀レジン系パターンと、銀レジン系パターンの一部を露出させるように、銀レジン系パターン上に設けられた絶縁性樹脂レジンと、銀レジン系パターンの露出部分に設けられたふっ素系樹脂薄膜と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3518023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来のような伸縮デバイスでは、銀レジン系パターンにマイグレーションが生じるおそれがあった。特に、高負荷電圧が銀レジン系パターンに印加される場合、マイグレーションが顕著に生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本開示は、マイグレーションを抑制できる伸縮デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る伸縮デバイスは、
伸縮可能な伸縮基材と、
前記伸縮基材上に設けられた第1電極、第2電極および第3電極と、を備え、
前記第3電極の主成分である導電材料のイオン化傾向は、前記第1電極の主成分である導電材料のイオン化傾向および前記第2電極の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さく、
前記第1電極と前記第3電極との最短距離は、前記第1電極と前記第2電極との最短距離よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る伸縮デバイスによれば、マイグレーションを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る伸縮デバイスを部分的に示す模式斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3A図3Aは、伸縮デバイスの製法を説明する説明図である。
図3B図3Bは、伸縮デバイスの製法を説明する説明図である。
図3C図3Cは、伸縮デバイスの製法を説明する説明図である。
図4A図4Aは、本発明の第2実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図4B図4Bは、本発明の第2実施形態の変更例に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図7図7は、本発明の第5実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図8図8は、本発明の第6実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図9図9は、本発明の第7実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図10図10は、本発明の第8実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図11A図11Aは、本発明の第9実施形態に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図11B図11Bは、本発明の第9実施形態の変形例に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
図11C図11Cは、本発明の第9実施形態の変形例に係る伸縮デバイスを示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。各々の実施形態では、その実施形態以前に説明した点と異なる点について主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態ごとには逐次言及しない。以下の実施形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさおよび大きさの比は、必ずしも厳密ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0010】
本開示は、伸縮基材などの吸湿しやすい基材上に、銀、銅などのマイグレーション(金属イオンの移動)を起こしやすい金属で電極を形成した回路基板に特に有効である。マイグレーションは、正電極から負電極に進み得る。
【0011】
銀、銅などを電極にした基板が湿度の高い環境で使用される場合、マイグレーションにより機能が損なわれる可能性(例えば、電極間の短絡)がある。これを防止するために、従来、電極を保護層により覆い、マイグレーション耐性を向上させる手法が用いられている。しかしながら近年、回路基板の小型化による電極間の微細化、用途多様化による設計電圧の高圧化、製品特性から耐マイグレーション性に劣る基板仕様への変更などの理由から、従来技術ではマイグレーションが抑制できない場合があった。また、医療機器デバイスでは、生体適合性の観点から、保護層として用いられる材料も限られる。そのため、いかにマイグレーション耐性を確保するかが課題となっている。本開示は、この課題を解決するものである。
【0012】
[第1実施形態]
(伸縮デバイス1の概略構成)
図1および図2を参照しながら、第1実施形態に係る伸縮デバイス1の概略構成について説明する。図1は、伸縮デバイス1を部分的に示した模式斜視図である。図2は、図1のII-II断面図である。なお、本明細書の図面では、伸縮基材の厚み方向を両矢印Tで示している。
【0013】
伸縮デバイス1は、伸縮可能な伸縮基材10と、伸縮基材10上に設けられた第1電極21、第2電極22および第3電極23と、を備える。伸縮デバイス1は、例えば、生体に貼り付けられて、生体信号を測定するために用いられる。
【0014】
ここで、「伸縮基材上」とは、重力方向に規定される鉛直上方のような絶対的な一方向ではなく、当該伸縮基材の表面を境界とする伸縮基材の外側と内側とのうち、外側に向かう方向を指す。したがって、「伸縮基材上」とは伸縮基材の表面の向きによって定まる相対的な方向である。また、ある要素に対して「上」には、当該要素と接する直上の位置(on)だけではなく、当該要素とは離れた上方、すなわち当該要素上の他の物体を介した上側の位置や間隔を空けた上側の位置(above)も含む。
【0015】
伸縮基材10は、伸縮性を有する樹脂材料から構成されるシート状あるいはフィルム状の基材である。樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane:TPU)等が挙げられる。伸縮基材10の厚さは特に限定されないが、生体に貼り付けた際に生体表面の伸縮を阻害しない観点からは、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。また、伸縮基材10の厚さは、1μm以上であることが好ましい。伸縮基材10の形状は、特に限定されない。この実施形態では、伸縮基材10は、厚み方向Tからみて、1方向に延伸する形状にされている。
【0016】
第1電極21および第2電極22は、信号用の電極である。第1電極21および第2電極22は、配線であってもよい。第1電極21および第2電極22の形状は、特に限定されない。この実施形態では、第1電極21および第2電極22の各電極は、配線であり、1方向に延伸する形状にされている。第1電極21および第2電極22の各電極は、複数設けられていてもよい。また、第1電極と第2電極は同一平面に設けられていなくてもよい。
【0017】
第1電極21および第2電極22は、導電材料で形成される。第1電極21および第2電極22は、伸縮性を有することが好ましい。第1電極21および第2電極22の導電材料には、例えば、銀、銅、ニッケルなどの金属箔を用いてもよく、銀、銅、ニッケルなどの金属粉とエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂およびシリコーン樹脂などのエラストマー系樹脂とからなる混合物を用いてもよい。材料の導電性を重視すると、第1電極21および第2電極22の導電材料は、銀が好ましい。これにより、低抵抗な第1電極21および第2電極22を形成することができる。
【0018】
第3電極23は、マイグレーション抑制用の電極である。第3電極23は、配線であってもよい。第3電極23には、マイグレーション抑制用の電圧が印加される。第3電極23は、マイグレーション抑制用に加えて信号用に用いられてもよい。第3電極23の形状は、特に限定されない。この実施形態では、第3電極23は、板状にされている。第3電極23は、信号が送受信されないダミー電極であってもよい。
【0019】
第3電極23は、導電材料で形成される。第3電極23は、伸縮性を有することが好ましい。第3電極23の導電材料には、例えばカーボン、プラチナなどの耐マイグレーション性を有する(言い換えると、イオン化傾向の小さい)材料が用いられる。
【0020】
第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向は、第1電極21の主成分である導電材料のイオン化傾向および第2電極22の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さい。「主成分である導電材料」とは、電極に含有されている導電性を示す元素のうち、存在割合(重量%)が最も大きい元素の成分をいう。例えば、第1電極21および第2電極22を共に銀電極にし、第3電極23をカーボン電極にすることができる。第3電極23の主成分である導電材料、すなわちカーボンのイオン化傾向は、第1電極21の主成分である導電材料、すなわち銀のイオン化傾向、および、第2電極22の主成分である導電材料、すなわち銀のイオン化傾向よりも小さい。
【0021】
図2に示すように、第1電極21と第3電極23との最短距離D1は、第1電極21と第2電極22との最短距離D2よりも小さい。最短距離D1とは、第1電極21と第3電極23との対向方向(この実施形態では、伸縮基材10の厚み方向T)の距離の最小値を指す。最短距離D2とは、第1電極21と第2電極22との対向方向(この実施形態では、図2における左右方向)の距離の最小値を指す。最短距離D1および最短距離D2の測定は、伸縮基材10の厚み方向Tに平行で、且つ、第1電極21と第2電極22と第3電極23とに交差する断面において測定すればよい。この実施形態では、最短距離D1および最短距離D2は、例えば、第1電極21の延伸方向の中央を通り、第1電極21の延伸方向に直交する断面で測定してもよい。
【0022】
上記構成によれば、第1電極21と第3電極23との最短距離D1が、第1電極21と第2電極22との最短距離D2よりも小さいため、第1電極21と第3電極23との間で形成される電界の強度は、第1電極21と第2電極22との間で形成される電界の強度よりも大きくなる。そのため、第1電極21と第3電極23とが引っ張り合う力は、第1電極21と第2電極22とが引っ張り合う力よりも大きくなる。その結果、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションを抑制できる。また、第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向が、第1電極21の主成分である導電材料のイオン化傾向および第2電極22の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さいため、第1電極21と第3電極23とが引っ張り合う力が、第1電極21と第2電極22とが引っ張り合う力よりも大きくなっても、第1電極21と第3電極23との間で発生し得るマイグレーションは抑制される。これにより、伸縮デバイス1に発生し得るマイグレーションを抑制できる。
【0023】
(伸縮デバイス1の詳細構成)
次に、伸縮デバイス1の詳細構成を説明する。
【0024】
図1および図2に示すように、伸縮基材10は、第1主面10aを有する。第1電極21、第2電極22および第3電極23は、第1主面10a上に設けられている。第1電極21および第2電極22は、同一平面に配置されている。第3電極23は、伸縮基材10の厚み方向Tにおいて、第1電極21および第2電極22とは異なる位置に配置されている。伸縮デバイス1は、第1電極21と第3電極23との間、および、第2電極22と第3電極23との間に少なくとも設けられた絶縁層30を有する。
【0025】
ここで、「第1主面上」とは、重力方向に規定される鉛直上方のような絶対的な一方向ではなく、伸縮基材の第1主面を境界とする伸縮基材の外側と内側とのうち、外側に向かう方向を指す。したがって、「第1主面上」とは伸縮基材の第1主面の向きによって定まる相対的な方向である。
【0026】
上記構成によれば、第1電極21および第2電極22と、第3電極23との接触を絶縁層30によって妨げることができる。すなわち、第1電極21と第2電極22と第3電極23とを同一平面に配置する場合よりも、第1電極21と第3電極23との間の距離を十分に小さくすることができる。そのため、伸縮デバイス1に発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。一方、第1電極21と第2電極22と第3電極23とを同一平面に配置する場合、電極形成時の印刷にじみを考慮すると、第1電極21と第3電極23との間の距離を十分に小さくすることは困難である。また、絶縁層30により、第1電極21と第3電極23との間、および、第2電極22と第3電極23との間での短絡を抑制できる。
【0027】
第3電極23と、絶縁層30と、第1電極21および第2電極22とは、伸縮基材10の第1主面10a側からこの順に積層されている。この構成によれば、第1電極21および第2電極22と、伸縮基材10と、の間に、絶縁層30および第3電極23が存在するため、伸縮基材10側から第1電極21および第2電極22への水分の浸入を抑制し、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。
【0028】
具体的に述べると、第3電極23は、伸縮基材10の第1主面10aの全体に設けられている。言い換えると、第3電極23は、伸縮基材10の第1主面10aの全体を覆うように、板状に設けられている。絶縁層30は、第3電極23における伸縮基材10側とは反対側に位置する面23aの全体に設けられている。本実施形態において、第3電極23の面23aは、伸縮基材10と対向している第3電極の面の反対側に位置する面に相当する。絶縁層30は、第3電極23の面23aの全体を覆うように、板状に設けられている。第1電極21および第2電極22は、絶縁層30における第3電極23側とは反対側の面30aの一部に設けられている。第1電極21は、伸縮基材10の延伸方向に沿って延びている。第2電極22は、伸縮基材10の延伸方向に沿って延びている。第1電極21と第2電極22とは、最短距離D2を有して離隔している。
【0029】
絶縁層30は、第1電極21および第2電極22と、第3電極23と、を電気的に絶縁する。絶縁層30は、伸縮性を有することが好ましい。絶縁層30は、吸水性であってもよいし、吸水性でなくてもよい。絶縁層30の形状は、第1電極21および第2電極22と、第3電極23と、を電気的に絶縁可能であれば、特に限定されない。絶縁層30の絶縁材料は、第1電極21および第2電極22と、第3電極23と、を電気的に絶縁可能であれば、特に限定されない。絶縁層30の絶縁材料は、例えばポリエステル樹脂などである。
【0030】
(その他の好ましい構成)
好ましくは、第1電極21の電位の極性は、第2電極22の電位の極性と異なり、第3電極23の電位の極性は、第1電極21の電位の極性と異なる。この構成によれば、第1電極21および第2電極22から極性の異なる信号を取り出すことができる。第1電極21および第2電極22の各電極が複数存在する場合、第1電極21の延伸方向に直交する方向に沿って、第1電極21と第2電極22とを交互に配置し、第1電極21の電位の極性を、第2電極22の電位の極性と異ならせて、第3電極23の電位の極性を、第1電極21の電位の極性と異ならせてもよい。これにより、第1電極21および第2電極22から極性の異なる複数の信号を取り出すことができる。
【0031】
好ましくは、第1電極21の電位の極性は、負である。この場合、第2電極22の電位の極性は正であり、第3電極23の電位の極性は正である。上述したように、第1電極21と第3電極23との最短距離D1が、第1電極21と第2電極22との最短距離D2よりも小さいため、第1電極21と第3電極23との間で形成される電界の強度は、第1電極21と第2電極22との間で形成される電界の強度よりも大きくなる。そのため、上記構成によれば、陽イオンが、絶縁層30を介して第2電極22から第1電極21へ移動することを抑制して、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションを抑制できる。また、第3電極の電位の極性が正であるため、陽イオンが、絶縁層30を介して第2電極22から第3電極23へ移動することは抑制される。また、上述したように、第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向が、第1電極21の主成分である導電材料のイオン化傾向および第2電極22の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さいため、陽イオンが、絶縁層30を介して第3電極23から第1電極21へ移動することは抑制される。以上により、上記構成によれば、伸縮デバイス1に発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。
【0032】
これに対して、第3電極23が設けられていない場合、第1電極21の電位の極性を負とし、第2電極22の電位の極性を正としたときに、陽イオンが、絶縁層30を介して第2電極22から第1電極21へ容易に移動し得る。その結果、第1電極21と第2電極22との間でマイグレーションが発生し得る。また、第3電極23が設けられている場合でも、第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向が、第1電極21の主成分である導電材料のイオン化傾向および第2電極22の主成分である導電材料のイオン化傾向と同一若しくは大きい場合、陽イオンが、絶縁層30を介して第3電極23から第1電極21へ容易に移動し得る。その結果、第1電極21と第3電極23との間でマイグレーションが発生し得る。
【0033】
好ましくは、第3電極23は、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21の全体と重なる。より好ましくは、第3電極23は、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21の全体と重なり、第3電極23の平面積は、第1電極21の平面積よりも大きい。この構成によれば、第3電極の位置合わせを容易にできるため、第3電極23を容易に形成できる。また、第1電極21が第3電極23の直上に配置されているため、第1電極21と第3電極23との最短距離D1をより小さくすることができ、第1電極21と第2電極22との間に生じ得るマイグレーションをさらに抑制できる。
【0034】
好ましくは、第3電極23は、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21の全体および第2電極22の全体と重なる。より好ましくは、第3電極23は、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21の全体および第2電極22の全体と重なり、かつ、第1電極21の全体に重なる第3電極23と、第2電極22の全体に重なる第3電極とは一体であり、第3電極23の平面積は、第1電極21の平面積と第2電極22の平面積とを合わせた平面積よりも大きい。この構成によれば、例えば、伸縮基材10の第1主面10aの全体を覆うように板状に第3電極23を形成でき、第3電極23のパターニングが不要になるため、第3電極23を容易に形成できる。また、第1電極21が第3電極23の直上に配置されているため、第1電極21と第3電極23との最短距離D1をより小さくすることができ、第1電極21と第2電極22との間に生じ得るマイグレーションをさらに抑制できる。
【0035】
好ましくは、第1電極21および第2電極22を覆うように、図示しない保護層が絶縁層30上に設けられている。保護層は、伸縮性を有する樹脂材料、例えば、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂又はシリコーン樹脂であることが好ましい。この構成によれば、第1電極21および第2電極22を外部環境から保護できる。また、絶縁層30が第1電極21および第2電極22を覆うように配置されていてもよい。
【0036】
(伸縮デバイス1の製造方法)
次に、図3A図3Bおよび図3Cを参照しながら、伸縮デバイス1の製造方法を説明する。図3A図3Bおよび図3Cは、伸縮デバイス1の製法を説明する説明図である。なお、以下の説明では、伸縮デバイス1のプロセス条件、使用材料などを具体的に示しているが、以下はあくまで伸縮デバイス1の製造方法の一例であり、伸縮デバイス1の製造方法は、以下のプロセス条件および使用材料によって限定されない。
【0037】
図3Aに示すように、例えばスクリーン印刷により、伸縮基材10上に第3電極23を形成する。伸縮基材10は、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。プロセス条件および使用材料は、例えば下記の通りである。
【0038】
・第3電極材料: DuPont社製カーボン電極 7105
・伸縮基材: シーダム社製 DUS605_6UVPT(50μm厚)
・印刷版: SP版(メッシュ:#500,線形18μm,乳剤厚11μm,内寸280mm角)、パターンエリア:150×150mm
・印刷条件: スキージ:マイクロスキージ(ゴム硬度:70°)、スキージ圧:200N/160mm幅、スキージ速度:150mm/s、スキージアタック角度:60°、ディスタンス:1.5mm
・乾燥条件: 循環式オーブン 100℃×30分
【0039】
図3Bに示すように、例えばスクリーン印刷により、第3電極23上に絶縁層30を形成する。プロセス条件および使用材料は、例えば下記の通りである。
【0040】
・絶縁層材料: ヘンケル社製 ELECTRODAG 452SS
・印刷版: SP版(メッシュ:#352,線形23μm,乳剤厚17μm,内寸280mm角)、パターンエリア:150×150mm
・印刷条件: スキージ:マイクロスキージ(ゴム硬度:70°)、スキージ圧:200N/160mm幅、スキージ速度:150mm/s、スキージアタック角度:70°、ディスタンス:1.5mm
・硬化条件: UV光照射;i線(365nm)にて500mJ/cm
【0041】
図3Cに示すように、例えばスクリーン印刷により、絶縁層30上に第1電極21および第2電極22を形成する。プロセス条件および使用材料は、例えば下記の通りである。
【0042】
・電極材料: DuPont社製銀電極 5064
・印刷版: SP版(メッシュ:#500,線形18μm,乳剤厚11μm,内寸280mm角)、パターンエリア:150×150mm
・印刷条件: スキージ:マイクロスキージ(ゴム硬度:70°)、スキージ圧:100N/160mm幅、スキージ速度:150mm/s、スキージアタック角度:50°、ディスタンス:1.5mm
・乾燥条件: 循環式オーブン 100℃×30分
【0043】
[第2実施形態]
以下、図4Aを参照して第2実施形態に係る伸縮デバイス1Aについて説明する。図4Aは、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Aは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して絶縁層の形状が相違する。
【0044】
伸縮デバイス1Aの絶縁層30Aは、第1電極21と第3電極23との間に設けられた第1部分31と、第2電極22と第3電極23との間に設けられた第2部分32と、を有する。第1部分31と第2部分32とは、離隔している。要するに、絶縁層30Aは、第1実施形態の絶縁層30と異なり、第1部分31と第2部分32とに分割されている。絶縁層30Aは、3つ以上の部分に分割されていてもよい。
【0045】
具体的に述べると、第1部分31は、第1電極21と第3電極23との間に設けられ、第1電極21と第3電極23とを電気的に絶縁する。第1部分31は、第1電極21の延伸方向に沿って延びている。第2部分32は、第2電極22と第3電極23との間に設けられ、第2電極22と第3電極23とを電気的に絶縁する。第2部分32は、第2電極22の延伸方向に沿って延びている。第1部分31と第2部分32とは、第1電極21と第2電極22との対向方向(図4Aにおける左右方向)に所定間隔を有して離隔している。
【0046】
上記構成によれば、第1電極21と第2電極22との間で、イオンが絶縁層30A内を移動する経路を断絶できる。そのため、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。
【0047】
上記構成によれば、絶縁層30Aは、伸縮基材10上にて、間隔を空けて配置される。これにより、絶縁層が連続している場合と比較して絶縁層30Aの平面積が小さくなるため、絶縁層30Aが伸縮デバイス1Aの伸縮性に与え得る影響をより低減することができる。そのため、上記構成によれば、絶縁層によってマイグレーションを抑制しつつ、より伸縮性に優れた伸縮デバイスを得ることができる。
【0048】
また、伸縮デバイスは、例えば生体に対して貼り付けられ得る。このような生体に対する使用においては、伸縮デバイスの装着時における蒸れなどの不快感を軽減するため、伸縮デバイスが通気性を有することが求められる場合がある。これは、例えば伸縮基材10などの材料に通気性を有する材料を用いることによって実現されてよい。他方で、電極間のマイグレーションを抑制するためには、絶縁層として通気性の低い材料が用いられることが好ましい。そのため、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、伸縮デバイス1Aの全体にわたって絶縁層が配置されると、通気性が低減される可能性がある。
【0049】
上記構成によれば、絶縁層30Aの第1部分31および第2部分32は相互に離隔配置される。そのため、伸縮デバイス1Aは、伸縮基材10A上にて、第1部分31と第2部分32との間に絶縁層30Aが設けられていない領域を備えることになる。これにより、絶縁層による伸縮デバイスの通気性の低減を抑制することができる。すなわち、絶縁層によってマイグレーションを抑制しつつ、通気性の良い伸縮デバイスが実現される。
【0050】
また、第1実施形態では、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、伸縮デバイスの全体にわたって連続した1つの絶縁層30が形成されている一方で、第2実施形態では、小さい平面積の絶縁層が複数設けられる。つまり、第2実施形態の伸縮デバイス1Aでは、絶縁層30Aが第1部分31と第2部分32とに分割されることで、連続して設けられる絶縁層の面積を縮小することができる。これにより、広範囲にわたって連続した1つの絶縁層が設けられる場合と比較して、絶縁層の膜厚をより精密に制御可能となり得る。具体的には、印刷ムラなどによる絶縁層の厚みの不均一性が軽減され、より均一な厚みを有する絶縁層30Aを備える伸縮デバイス1Aが供され得る。
【0051】
図4Aに示されるように、絶縁層30Aの厚みは、第1電極21と第3電極23との間の最短距離D1に相当し得る。上述のように絶縁層30Aが均一な厚みを有することで、第1電極21と第3電極23との間にわたって最短距離D1がより均一となるため、より好適にマイグレーションが抑制され得る。
【0052】
なお、第1電極21および第2電極22を覆う保護層40が設けられている場合、第1部分31と第2部分32との間の空間に保護層40が存在していてもよい(図4B参照)。これにより、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。また、第1部分31と第2部分32との間の空間に保護層40が食い込むように存在することで、アンカー効果によって保護層が好適に保持され得る。これにより、伸縮デバイス1Aからの保護層40の剥離を好適に抑止できる。
【0053】
[第3実施形態]
以下、図5を参照して第3実施形態に係る伸縮デバイス1Bについて説明する。図5は、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Bは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、第3電極の形状が相違する。
【0054】
伸縮デバイス1Bの第3電極23Bは、第1電極21および第2電極22の形状に対応した形状にされている。具体的に述べると、第3電極23Bは、第1電極21の形状に対応した形状にされた第1部分231と、第2電極22の形状に対応した形状にされた第2部分232と、を有する。すなわち、第1部分231は、第1電極21の延伸方向に沿って線状に延びている。第2部分232は、第2電極22の延伸方向に沿って線状に延びている。要するに、第3電極23Bは、第1実施形態の第3電極23と異なり、第1部分231と第2部分232とに分割されている。第1部分231は、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21と重なっている。第2部分232は、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第2電極22と重なっている。
【0055】
上記構成によれば、第3電極23Bが分割されているため、第3電極23Bが分割されていない場合と比較して、第1電極21と第3電極23Bとの間で形成される電界を集中させることができる。そのため、第1電極21と第3電極23Bとが引っ張り合う力が、第1電極21と第2電極22とが引っ張り合う力よりもさらに大きくなる。その結果、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。また、第3電極23Bが分割されていない場合と比較して、第3電極23Bの平面積を小さくできるため、伸縮デバイス1Bの伸縮性を向上させることができる。
【0056】
伸縮デバイスは、電極以外の材料(すなわち、伸縮基材10、絶縁層30、および/または保護層など)に透明または半透明の材料を用いることができる。上記構成によれば、第3電極23Bは、透明または半透明の伸縮基材10の第1主面10aを前面にわたって覆うことなく、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21または第2電極22と重なる領域に配される。つまり、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、伸縮デバイスは、透明または半透明の伸縮基材10の第1主面10aの一部領域にのみ電極が配されている。そのため、伸縮デバイスは、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、電極を備えない領域にて、透明または半透明の領域を備えることができる。これにより、当該透明または半透明の領域を通じて、伸縮デバイスの装着位置を視認することが可能となる。
【0057】
なお、第3電極23Bの第2部分232は、第3電極23Bによって生じ得る絶縁層30の上面の凹凸を緩和するため、設けられていることが好ましいが、設けられていなくてもよい。この場合、第1電極21と第3電極23Bとの間で形成される電界をさらに集中させることができるため、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションをさらに抑制できる。
【0058】
[第4実施形態]
以下、図6を参照して第4実施形態に係る伸縮デバイス1Cについて説明する。図6は、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Cは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、第3電極の形状が相違する。
【0059】
伸縮デバイス1Cの第3電極23Cは、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21および第2電極22と重ならない。具体的に述べると、第3電極23Cは、伸縮基材10の第1主面10aの一部に設けられている。第3電極23Cは、第1電極21の延伸方向に沿って線状に延びている。第3電極23Cは、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第1電極21と第2電極22との間に配置されている。
【0060】
上記構成によれば、第1電極21の延伸方向に直交する断面において、伸縮基材の厚み方向Tに直交する方向に沿って、第1電極21と第3電極23と第2電極22とを交互に千鳥状に配置できるため、伸縮デバイス1Cの伸縮性を均一に近づけることができる。特に前述したように、絶縁層30が第1電極21および第2電極22を覆うように配置されている場合、より伸縮デバイス1Cの伸縮性を均一に近づけることができる。
【0061】
また、上記構成によれば、絶縁層30の厚みを薄くすることができる。上記構成では、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第3電極23Cは、第1電極21および第2電極22と重ならないように、互い違いに配置される。つまり、第3電極23Cは、第1電極21および第2電極22に対してオフセットされるため、第1電極21と第3電極23Cとの最短距離D1を好適に確保しつつ、絶縁層30の厚みを薄くすることができる。具体的には、第3電極23Cを覆う絶縁層30は、第1電極21および第2電極22と第3電極23Cとが厚み方向Tにて重なる場合(例えば、図5に示す構成)と比較して、より薄い厚みを有していてよい。これにより、伸縮デバイスをより低背化することができる。
【0062】
絶縁層30が伸縮性を有する場合、図6に示す断面視にて、伸長状態における絶縁層30の厚みは、非伸長状態における絶縁層30の厚みよりも小さくてよい。上記構成によれば、伸縮基材10の厚み方向Tからみて、第3電極23Cが、第1電極21および第2電極22と重ならないため、伸長によって絶縁層30の厚みが相対的に減じられても、電極同士の接触を好適に防止することができる。
【0063】
好ましくは、伸縮基材10の厚み方向Tに平行で、且つ、第1電極21および第3電極23Cに交差する断面において、第3電極23Cの断面積A3は、第1電極21の断面積A1の105%以下である。この構成によれば、伸縮デバイス1Cの伸縮性を向上させることができる。より好ましくは、第3電極23Cの断面積A3は、第1電極21の断面積A1の100%以下である。
【0064】
同様に、好ましくは、伸縮基材10の厚み方向Tに平行で、且つ、第2電極22および第3電極23Cに交差する断面において、第3電極23Cの断面積A3は、第2電極22の断面積A2の105%以下である。より好ましくは、第3電極23Cの断面積A3は、第2電極22の断面積A2の100%以下である。第1電極21および第2電極22と第3電極23の断面積が同一に近いほど、伸縮デバイス1Cの伸縮性を均一に近づけることができる。
【0065】
好ましくは、伸縮基材10の厚み方向Tに平行で、且つ、第1電極21および第3電極23Cに交差する断面において、第3電極23Cの断面積A3は、第1電極21の断面積A1の10%以上である。第3電極23Cの断面積A3は、第1電極21の断面積A1の50%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。この構成によれば、第1電極21および第2電極22と第3電極23の断面積が同一に近づき、伸縮デバイス1Cの伸縮性をさらに均一に近づけることができる。
【0066】
同様に、好ましくは、伸縮基材10の厚み方向Tに平行で、且つ、第2電極22および第3電極23Cに交差する断面において、第3電極23Cの断面積A3は、第2電極22の断面積A2の10%以上である。第3電極23Cの断面積A3は、第2電極22の断面積A2の50%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。第3電極23Cの断面積A3が小さ過ぎる場合、マイグレーション抑制の効果が低下し得る。第3電極23Cの断面積A3の下限を上記のように設定することにより、第1電極21と第2電極22との間で発生し得るマイグレーションを効果的に抑制できる。
【0067】
[第5実施形態]
以下、図7を参照して第5実施形態に係る伸縮デバイス1Dについて説明する。図7は、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Dは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、第1電極および第2電極と、絶縁層と、第3電極と、の位置関係が相違する。
【0068】
第1電極21および第2電極22は、伸縮基材10の第1主面10aに設けられている。絶縁層30は、第1電極21および第2電極22を覆うように、伸縮基材10の第1主面10aに設けられている。第3電極23は、伸縮基材10の第1主面10a側とは反対側の絶縁層30の面30aに設けられている。なお、この実施形態において、第3電極23が設けられている位置は特に限定されず、例えば、第3電極23は、第1電極21および第2電極22よりも下方に設けられていてもよい。
【0069】
上記構成によれば、第1電極21および第2電極22が、絶縁層30により覆われているため、伸縮基材10の上方側(図7における上側)から侵入し得る水分から第1電極21および第2電極22を保護できる。また、第3電極23が絶縁層30の面30aに設けられている場合、第3電極23により、第1電極21および第2電極22のパターンを隠すことができる。かかる構成において、第3電極23は、第1電極21および第2電極22の保護層として資することもできる。例えば、第3電極23は、第3電極23側(図7における上側)から伸縮デバイス1D内への水分の浸入を抑制する保護層として資することができる。
【0070】
[第6実施形態]
以下、図8を参照して第6実施形態に係る伸縮デバイス1Eについて説明する。図8は、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Eは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、絶縁層が設けられていない点と、第3電極が設けられている位置と、が相違する。
【0071】
伸縮基材10は、互いに対向する第1主面10aおよび第2主面10bを有し、第1電極21および第2電極22は、第1主面10a上に設けられ、第3電極23は、第2主面10b上に設けられている。この実施形態では、第1電極21および第2電極22と、第3電極23と、の間の電気絶縁性は、伸縮基材10により確保できるため、絶縁層30は設けられていない。
【0072】
上記構成によれば、絶縁層30を設ける必要がないため、製造プロセスを簡略化でき、製造コストを低減できる。また、絶縁層30を設けない構成とすることで、伸縮デバイス1Eの厚みが全体として減じられ、伸縮デバイスをより低背化することができる。
【0073】
さらに、上記構成において、第1電極21と第3電極23との間の最短距離D1は、伸縮基材10の厚みに相当する。そのため、伸縮基材10の一方の主面10aに第1電極21および第2電極22を設けて、他方の主面10bに第3電極23を設けることで、伸縮基材10の厚みと同じ寸法だけ、第1電極21と第3電極23とを均一に離隔させることができる。
【0074】
上記構成において、第3電極23は、ゲル電極であってよい。第3電極23をゲル電極とすることにより、伸縮デバイスを生体などに対して容易に貼り付け可能となる。つまり、第3電極23をゲル電極とすることで、第3電極23は、伸縮デバイスを生体などに貼着するための粘着層として機能することができる。ゲル電極は、例えば、水、アルコール、保湿剤、電解質等を含む導電性のゲル材料から構成される。このようなゲル材料としては、例えば、粘着性を有するハイドロゲル等が挙げられる。
【0075】
[第7実施形態]
以下、図9を参照して第7実施形態に係る伸縮デバイス1Fについて説明する。図9は、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Fは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、絶縁層が設けられていない点と、第3電極が設けられている位置と、が相違する。
【0076】
第1電極21、第2電極22および第3電極23は、同一平面に設けられている。具体的に述べると、第3電極23は、第1電極21および第2電極22と同様に、伸縮基材10の第1主面10a上に設けられている。第3電極23は、第1電極21の延伸方向に沿って、線状に延びている。第3電極23は、第1電極21と第2電極22との間に配置されている。第3電極23は、第1電極21および第2電極22の各々と離隔している。この実施形態では、第1電極21、第2電極22および第3電極23が同一平面に設けられているため、絶縁層30は設けられていない。
【0077】
上記構成によれば、絶縁層30を設ける必要がないため、製造プロセスを簡略化でき、製造コストを低減できる。また、絶縁層30を設ける必要がないため、伸縮デバイス1Fを薄型化できる。
【0078】
さらに、第1電極21と第2電極22との間に第3電極23が配置されることで、第3電極23は、印刷時における第2電極22のにじみが第1電極21にまで達することを好適に抑制できる。つまり、第3電極23は、第2電極22の印刷にじみの抑制にも寄与し得る。そのため、上記構成によれば、第1電極21と第2電極22との間の距離D2をより小さくすることができ、伸縮デバイスをより小型化することができる。
【0079】
また、上記構成によれば、第1主面10a上における印刷パターンを制御することで、第1電極21、第2電極23、および第3電極23を配することができるため、第1電極21と第3電極23との間の距離D1、および第1電極21と第2電極22との間の距離D2をより容易に制御可能である。
【0080】
[第8実施形態]
以下、図10を参照して、第8実施形態に係る伸縮デバイス1Gについて説明する。図10は、図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Gは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、第1電極21および第2電極22が、第3電極23および絶縁層30を挟むように積層されている点で相違する。
【0081】
図10に示すように、第1電極21および第2電極22は、第3電極23を挟んで積層される。具体的には、第1電極21は、伸縮基材10の第1主面10aに設けられる。絶縁層30は、第1電極21を覆うように、伸縮基材10の第1主面10aに設けられる。第3電極23は、伸縮基材10の第1主面10aと対向する面23b(以下、第2面23bとも称する)側にて、絶縁層30を挟んで第1電極21と対向するように設けられる。第2面23bとは反対側に位置する、第3電極23の面23a(以下、第1面23aとも称する)には、さらに絶縁層30が設けられる。かかる第1面23a上に位置する絶縁層30の上に、第2電極22が配置される。絶縁層は、第1電極21と第3電極23との間、および、第2電極22と第3電極23との間に設けられる。すなわち、第3電極23は、伸縮基材10の第1主面に対向する第2面23bおよび当該第2面23bの反対側の第1面23aの両面にて、絶縁層30を備える。換言すれば、2つの絶縁層30の間に第3電極23が位置する。これにより、伸縮デバイス1Gは、伸縮基材10上にて、第1電極21、絶縁層30、第3電極23、絶縁層30および第2電極22の順で積層された構造を備える。
【0082】
なお、第1電極21と第2電極22の配置は、逆であってもよい。すなわち、第2電極22が伸縮基材10と第3電極23の間に位置し、第1電極22が第3電極の第1面23a側に位置していてもよい。
【0083】
上記構成によれば、第3電極23によって第1電極21と第2電極22とが物理的に隔離されるため、第1電極21と第2電極22との間のマイグレーションをより好適に防止できる。さらに、上述したように、第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向は、第1電極21および第2電極22の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さいため、第1電極21と第3電極23との間のイオン移動は抑制される。したがって、上記構成により、マイグレーションの発生を抑制可能な伸縮デバイス1Gが供され得る。
【0084】
(第9実施形態)
以下、図11A~Cを参照して、第9実施形態に係る伸縮デバイス1Hについて説明する。図11A~Cは、それぞれ図1のII-II断面に対応する。伸縮デバイス1Hは、第1実施形態に係る伸縮デバイス1と比較して、第1電極21および第2電極22に加えて、さらに第4電極24および第5電極25が配置されている点で相違する。
【0085】
例えば、第1電極21および第2電極24は、同一平面上に位置する。つまり、第1電極21および第2電極22は、伸縮基材10の第1主面10aに設けられる。絶縁層30は、第1電極21および第2電極22を覆うように、伸縮基材10の第1主面10aに設けられる。第3電極23は、第2面23b側にて、絶縁層30を挟んで第1電極21および第2電極22と対向するように設けられる。第3電極23の第1面23a側に位置する絶縁層上には、第4電極24および第5電極25が配置される。第4電極24と第5電極25とは、同一平面上に位置していてよい。つまり、絶縁層30を介して第3電極23の第1面23aに対向するように、第4電極24および第5電極25が配置される。かかる構成の伸縮デバイス1G’においては、第1電極21および第2電極22と、第4電極24および第5電極25とが、絶縁層30および第3電極23を挟んで積層される。
【0086】
第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向は、第4電極24の主成分である導電材料のイオン化傾向および第5電極25の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さい。例えば、第4電極24および第5電極25を共に銀電極にし、第3電極23をカーボン電極にすることができる。第3電極23の主成分である導電材料、すなわちカーボンのイオン化傾向は、第4電極24の主成分である導電材料、すなわち銀のイオン化傾向、および、第5電極25の主成分である導電材料、すなわち銀のイオン化傾向よりも小さい。
【0087】
また、第4電極24と第3電極23との最短距離D3は、第4電極24と第5電極25との最短距離D4よりも小さい。最短距離D3とは、第4電極24と第3電極23との対向方向(この実施形態では、伸縮基材10の厚み方向T)の距離の最小値を指す。最短距離D4とは、第4電極24と第5電極25との対向方向(この実施形態では、図2における左右方向)の距離の最小値を指す。最短距離D3および最短距離D4の測定は、伸縮基材10の厚み方向Tに平行で、且つ、第4電極24と第5電極25と第3電極23とに交差する断面において測定すればよい。この実施形態では、最短距離D3および最短距離D4は、例えば、第4電極24の延伸方向の中央を通り、第4電極24の延伸方向に直交する断面で測定してもよい。
【0088】
上記構成によれば、第4電極24と第3電極23との最短距離D3が、第4電極24と第5電極25との最短距離D4よりも小さいため、第4電極24と第3電極23との間で形成される電界の強度は、第4電極24と第5電極25との間で形成される電界の強度よりも大きくなる。そのため、第4電極24と第5電極25との間のイオン移動が抑制され、結果として第4電極24と第5電極25との間のマイグレーションを抑制できる。さらに、第3電極23の主成分である導電材料のイオン化傾向が、第4電極24の主成分である導電材料のイオン化傾向および第5電極25の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さいため、第4電極24と第3電極23との間で発生し得るマイグレーションも抑制される。これにより、伸縮デバイス1に発生し得るマイグレーションを抑制できる。
【0089】
すなわち、上記構成によれば、第3電極23によって電極間のマイグレーションを防ぎつつ、複数の電極を積層して配置することができる。複数の電極が多層化された構造とすることで、同一平面上に複数電極が配される構造と比較して、伸縮デバイスの面積を減ずることができる。そのため、より小型化された伸縮デバイスを得ることができる。
【0090】
第1~第5電極の電位の極性は、第1電極21および第4電極24が同じ電位極性である一方、当該電位極性と異ならせて、第2電極22、第3電極23、および第5電極25が同じ電位極性であってよい。例えば、第1電極21および第4電極24の電位の極性が負であり、第2電極22、第3電極23、および第5電極25の電位の極性が正であってよい。上記構成によれば、第3電極23の存在により、正の極性を有する第2電極22および第5電極25からの金属イオンの移動が抑制される。そのため、複数の電極を備える積層型の伸縮デバイスにおいても、マイグレーションの発生を好適に抑制できる。
【0091】
図8に示す第1電極21、第2電極22、第4電極24、および第5電極25の配置は、相互に交換可能である。端的に言えば、第1電極21、第2電極22、第4電極24、および第5電極25は、配置の点で互換性を有する。例えば、図11Bに示すように、図11Aの伸縮デバイス1Hと比較して、第4電極24の配置と第5電極25の配置が逆になっていてもよい。すなわち、電位の極性が同じである電極同士が、第3電極23を挟んで互いに対向するように配置されていてよく、代替的には、電位の極性が相互に異なる電極同士が、第3電極23を挟んで互いに対向するように配置されていてもよい。
【0092】
あるいは、図11Cに示すように、図11Aの伸縮デバイス1Hと比較して、第2電極22の配置と第4電極24の配置が逆になっていてもよい。具体的には、電位の極性が相互に同じである第1電極21および第4電極24が同一平面上に位置し、第3電極23を挟んだ反対側にて、電位の極性が相互に同じである第2電極22および第5電極25が同一平面上に位置していてよい。換言すれば、電位の極性が同じである複数の電極が同一平面上に配置され、かつ、電位の極性が相互に異なる電極同士が、第3電極23を挟んで互いに対向するように配置されていてよい。かかる構成によれば、第1電極21および第2電極22と、第4電極24および第5電極25との間のイオンの移動経路が、第3電極23によって物理的に遮断される。これにより、第3電極23の存在によって、第3電極23を横断するイオン移動が防止されるため、より好適にマイグレーションの発生を抑制できる。
【0093】
なお、各実施形態は例示であり、本発明は各実施形態に限定されるものではない。また、各図面は構成要素の例示であって、形状を限定するものではない。また、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である。
【0094】
<1>
伸縮可能な伸縮基材と、
前記伸縮基材上に設けられた第1電極、第2電極および第3電極と、を備え、
前記第3電極の主成分である導電材料のイオン化傾向は、前記第1電極の主成分である導電材料のイオン化傾向および前記第2電極の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さく、
前記第1電極と前記第3電極との最短距離は、前記第1電極と前記第2電極との最短距離よりも小さい、伸縮デバイス。
<2>
前記第1電極の電位の極性は、前記第2電極の電位の極性と異なり、
前記第3電極の電位の極性は、前記第1電極の電位の極性と異なる、<1>に記載の伸縮デバイス。
<3>
前記第1電極の電位の極性は、負である、<2>に記載の伸縮デバイス。
<4>
前記伸縮基材は、第1主面を有し、
前記第1電極、第2電極および第3電極は、前記第1主面上に設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、同一平面に配置され、
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向において、前記第1電極および前記第2電極とは異なる位置に配置され、
前記第1電極と前記第3電極との間、および、前記第2電極と前記第3電極との間に少なくとも設けられた絶縁層をさらに備える、<1>から<3>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<5>
前記第3電極と、前記絶縁層と、前記第1電極および前記第2電極とは、前記第1主面側からこの順に積層されている、<4>に記載の伸縮デバイス。
<6>
前記絶縁層は、前記第1電極と前記第3電極との間に設けられた第1部分と、前記第2電極と前記第3電極との間に設けられた第2部分と、を有し、
前記第1部分と前記第2部分とは、離隔している、<4>または<5>に記載の伸縮デバイス。
<7>
前記第1電極および前記第2電極と、前記絶縁層と、前記第3電極とは、前記第1主面側からこの順に積層されている、<4>から<6>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<8>
前記伸縮基材は、互いに対向する第1主面および第2主面を有し、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1主面上に設けられ、
前記第3電極は、前記第2主面上に設けられている、<1>から<3>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<9>
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向からみて、前記第1電極の全体と重なる、<1>から<8>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<10>
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向からみて、前記第1電極の全体および前記第2電極の全体と重なる、<9>に記載の伸縮デバイス。
<11>
前記第3電極は、前記伸縮基材の厚み方向からみて、前記第1電極および前記第2電極と重ならない、<1>から<8>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<12>
前記伸縮基材の厚み方向に平行で、且つ、前記第1電極および前記第3電極に交差する断面において、前記第3電極の断面積は、前記第1電極の断面積の105%以下である、<1>から<11>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<13>
前記第1電極および前記第2電極が、前記第3電極を挟んで積層され、
前記第1電極と前記第3電極との間、および、前記第2電極と前記第3電極との間に設けられる絶縁層をさらに備える、<1>から<3>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<14>
前記伸縮基材上に設けられる第4電極および第5電極をさらに備え、
前記第3電極の主成分である導電材料のイオン化傾向は、前記第4電極の主成分である導電材料のイオン化傾向および前記第5電極の主成分である導電材料のイオン化傾向よりも小さく、
前記第4電極と前記第3電極との最短距離は、前記第4電極と前記第5電極との最短距離よりも小さい、<1>から<3>の何れか一つに記載の伸縮デバイス。
<15>
前記第1電極の電位の極性は、前記第4電極の電位の極性と同一であり、
前記第2電極、前記第3電極、および前記第5電極の電位の極性は、前記第1電極および前記第4電極の電位の極性と異なる、<14>に記載の伸縮デバイス。
<16>
前記第1電極および前記第2電極が同一平面に配置され、
前記第4電極および前記第5電極が同一平面に配置され、
前記伸縮基材と、前記第1電極および前記第2電極と、前記第3電極と、前記第4電極および前記第5電極とがこの順に積層され、
前記第1電極および前記第2電極と前記第3電極との間、ならびに前記第4電極および前記第5電極と前記第3電極との間に設けられる絶縁層を備える、<14>または<15>に記載の伸縮デバイス。
<17>
前記第1電極および前記第4電極が同一平面に配置され、
前記第2電極および前記第5電極が同一平面に配置され、
前記伸縮基材と、前記第1電極および前記第4電極と、前記第3電極と、前記第2電極および前記第5電極とがこの順に積層され、
前記第1電極および前記第4電極と前記第3電極との間、ならびに前記第2電極および前記第5電極と前記第3電極との間に設けられる絶縁層を備える、<14>または<15>に記載の伸縮デバイス。
【符号の説明】
【0095】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F:伸縮デバイス
10:伸縮基材
10a:第1主面
10b:第2主面
21:第1電極
22:第2電極
23、23B、23C:第3電極
231:第1部分
232:第2部分
30、30A:絶縁層
40:保護層
A1、A2、A3:断面積
D1、D2:最短距離
T:伸縮基材の厚み方向
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C