(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】加熱収縮装置
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
B65B53/02 D
(21)【出願番号】P 2023133272
(22)【出願日】2023-08-18
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000110125
【氏名又は名称】トキワ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000135025
【氏名又は名称】株式会社ニッサンキコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】梁川 浩司
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-265850(JP,A)
【文献】特開2007-238292(JP,A)
【文献】特開2019-064641(JP,A)
【文献】特開平09-183503(JP,A)
【文献】特開2012-046215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/02- 9/24
B65B 55/06-55/10
B65G 15/00-15/28
B65G 15/60-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入口と搬出口とを備え、前記搬入口と前記搬出口との間で熱風を吐出可能な加熱装置本体と、前記搬入口から前記搬出口へ向けた搬出方向に、被包装体を包装部材で包装した包装物を搬送する搬送部と、を備え、
前記搬送部によって前記搬入口から前記搬出口へ搬送方向に搬送される前記包装物に対して熱風を吐出することで、前記包装物の前記包装部材を、前記被包装体に向けて収縮させる加熱収縮装置であって、
前記搬送部は、幅方向に間隔をあけて配置される一対の搬送部材であって、搬送される前記包装物が跨って載置される一対の搬送部材を備え、
前記一対の搬送部材は、
前記間隔が
所定間隔より狭くなる幅狭部と、
該幅狭部に対して搬送方向の前記搬出口側に設けられ、前記間隔が所定間隔より広くなる幅広部と、
前記幅狭部から前記幅広部へ向けて、前記間隔が徐々に広くなる幅拡大部と、
を備えることを特徴とする加熱収縮装置。
【請求項2】
前記一対の搬送部材は、前記
幅狭部より前記搬入口側、又は、前記幅広部より前記搬出口側に、前記搬出口側へ向けて、
前記間隔が徐々に狭くなる幅縮小
部を備える請求項1に記載の加熱収縮装置。
【請求項3】
前記一対の搬送部材は、前記包装物が載置される搬送面を備え、
前記包装物は、中心軸を搬送方向に沿わせて搬送される円筒形状の前記被包装体をシート状の前記包装部材で包み込んで構成され、
前記幅拡大部および前記幅縮小部は、何れも前記包装物の前記中心軸周りの外周面における前記搬送面に対向した対向領域内で、前記包装物に当たる請求項2に記載の加熱収縮装置。
【請求項4】
前記幅広部の間隔と前記幅狭部の間隔との間隔差を調整可能な間隔差調整手段を備える請求項1ないし請求項3の何れかに記載の加熱収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性を有する包装部材(例えばシュリンクフィルム)で包装される被包装部材を包装物として搬送し、搬送過程で包装部材を熱収縮させる熱収縮性包装部材の加熱収縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にフィルム加熱収縮装置の記載がある。このフィルム加熱収縮装置は、装置本体に、包装物品を受取った状態で搬送する下部搬送コンベヤの下部無端ベルトを走行自在に備え、下部無端ベルトの物品載置面は、熱収縮フィルム(包装部材)で包装された包装物品が載置されて搬送される際に、包装物品の底面側のフィルムも加熱されるようにメッシュ状に形成されている。また、装置本体には、上部無端ベルトが巻掛けられて上部ベルトコンベヤが構成され、上部無端ベルトと下部無端ベルトとの間で包装物品を上下から挟持した状態で搬送するようになっている。
【0003】
装置本体には、下部無端ベルトの上流側から下流側に至る物品搬送区間の所要範囲に亘って、熱収縮フィルムで包装された包装物品を加熱し、フィルムを収縮させるための加熱トンネルが設けられる。この加熱トンネルの内部に、ヒータにより加熱されたエアーが複数の吹出口から吹出され、加熱エアーをファンによって強制的に循環させることで、包装物品の側面および底面が加熱されるようになっている。
【0004】
フィルム加熱収縮装置において、搬送された包装物品は、加熱トンネルの入口に向けて搬送され、上部ベルトコンベヤの上流側傾斜部に臨む上部無端ベルトの物品挟持面によって押えられ、加熱トンネルの入口より上流側では包装物品は上下のコンベヤで挟持される。この状態で加熱トンネルの内部を搬送される包装物品は、その上面が上部ベルトコンベヤで覆われているので、その側面および底面のみが加熱エアーにより加熱され、対応する部位の熱収縮フィルムが収縮して包装物品に密着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のフィルム加熱収縮装置では、上部無端ベルトと下部無端ベルトとの間で、包装物品を上下から挟持した状態で搬送する。
【0007】
しかしながら包装物品の搬送中には、その側面および底面のみが加熱エアーにより加熱され、対応する部位の熱収縮フィルムが収縮して包装物品に密着するから、それ以外の部位では加熱エアーが当たりにくくなる。つまり、上部無端ベルトと下部無端ベルトには包装物品の同じ部分が接触している。このため、熱収縮フィルムが収縮して包装物品に向けて収縮しても、熱収縮フィルムが収縮不良になり易い。
【0008】
そこで本発明は、包装部材を良好に収縮させることができる加熱収縮装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬入口と搬出口とを備え、前記搬入口と前記搬出口との間で熱風を吐出可能な加熱装置本体と、前記搬入口から前記搬出口へ向けた搬出方向に、被包装体を包装部材で包装した包装物を搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部によって前記搬入口から前記搬出口へ搬送方向に搬送される前記包装物に対して熱風を吐出することで、前記包装物の前記包装部材を、前記被包装体に向けて収縮させる加熱収縮装置であって、前記搬送部は、幅方向に間隔をあけて配置される一対の搬送部材であって、搬送される前記包装物が跨って載置される一対の搬送部材を備え、前記一対の搬送部材は、前記間隔が広くなる幅広部と、前記幅広部より前記間隔が狭くなる幅狭部と、を備える。
【0010】
上記構成の加熱収縮装置では、加熱装置本体の搬入口から搬出口の間で搬送部の一対の搬送部材で包装物が跨って載置され、この状態で包装物が搬送方向に搬送されると、被包装体を包み込んだ包装部材の接触する位置が、搬送部の一対の搬送部材の幅広部と幅狭部とで変わるため、熱風が包装部材の全体に当たる。
【0011】
本発明では、前記一対の搬送部材は、前記搬入口側から前記搬出口側へ向けて、前記幅狭部から前記幅広部へ徐々に広くなる幅拡大部、および前記搬入口側から前記搬出口側へ向けて、前記幅広部から前記幅狭部へ徐々に狭くなる幅縮小部のうちの、少なくとも一方を備える構成であってもよい。
【0012】
上記構成の加熱収縮装置では、一対の搬送部材が、幅拡大部および幅縮小部のうち、少なくとも一方を備えるから、一対の搬送部材で搬送する間で、包装部材における一対の搬送部材との接触する位置が徐々に変わり、包装物の搬送中の急激な姿勢変化を抑えつつも、熱風を包装部材全体に当てることができる。
【0013】
本発明では、前記一対の搬送部材は、前記包装物が載置される搬送面を備え、前記包装物は、中心軸を搬送方向に沿わせて搬送される円筒形状の前記被包装体をシート状の前記包装部材で包み込んで構成され、前記幅拡大部および前記幅縮小部は、何れも前記包装物の前記中心軸周りの外周面における前記搬送面に対向した対向領域内で、前記包装物に当たるよう構成することも可能である。
【0014】
上記構成の加熱収縮装置では、幅拡大部および幅縮小部は、被包装体の中心軸周りの外周面における搬送面に対向した包装部材の領域内で当たるので、包装物をしっかり支持して搬送しつつも、熱風を包装物全体に当てられる。
【0015】
本発明は、前記幅広部の間隔と前記幅狭部の間隔との間隔差を調整可能な間隔差調整手段を備えるよう構成することもできる。
【0016】
上記構成の加熱収縮装置では、幅広部の間隔と幅狭部の間隔との間隔差を調整可能な間隔差調整手段を備えているので、一対の搬送部材における間隔差を調整可能として、包装部材の形状に対応して、包装物をしっかり支持して搬送しつつも熱風を包装物全体に当てられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の加熱収縮装置によれば、包装物において、被包装体を包み込んだ包装部材の接触する位置が幅広部と幅狭部とで変わり、熱風が包装物全体に当たるため、包装部材の収縮不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体構成を表す全体概略側面図である。
【
図4】同本体の搬入口での包装物の支持状態図である。
【
図6】同本体の搬出口での包装物の支持状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る加熱収縮装置を、
図1ないし
図8を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の加熱収縮装置は、包装装置の下流側に配置される。ここで包装装置は、被包装体(以下、
図1、
図2で示すように物品Xと称する)を包装部材(以下、
図1、
図2で示すようにフィルムYと称する)で包む製袋器と、物品XをフィルムYで包み込んだ状態で、フィルムYの合わせ部どうしをシールする縦シール部と、縦シール部と加熱収縮装置との間に配置されて、縦シール部で包装された物品Xに対して、物品Xの前後方向でフィルムYを溶着して裁断する横シール部(エンドシール部)とが配置されている。そして、加熱収縮装置には、ピロー包装された包装物、すなわち横シール部により物品Xの前後方向でフィルムYを溶着して裁断された包装物が搬入される。
【0021】
なお、以下の説明において、フィルムYと、フィルムYで包み込まれた物品Xとを、包装物と定義づける。また、以下の説明において、搬送方向と水平に直交する方向を、加熱収縮装置の幅方向とする。
【0022】
次に加熱収縮装置の構成を説明する。加熱収縮装置は、
図1で示すように、熱収縮性を有するフィルムYで包装される物品X、すなわち包装物の搬入口1a及び搬出口1bが設けられる加熱収縮装置本体としての本体1と、本体1内における搬入口1aから搬出口1bまで包装物を搬送する搬送部2と、搬送部2で搬送される包装物においてフィルムYを熱収縮させる加熱手段3(
図1、
図2に示しているが、不図示のヒータ及びファンを含む)と、搬送部2の駆動源となる駆動手段4とを備える。
【0023】
本体1は、加熱手段3のヒータから発生する熱を、ファンによって内部に滞留させるべく、包装物の搬送空間1Aが、トンネル状に設けられている。
【0024】
搬送部2は、
図4、
図6で示すように、第1搬送部材5及び第2搬送部材6を備える。第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、包装物の搬送方向と直交又は略直交する方向、すなわち
図2、
図3で示すように、幅方向に所定間隔d1,d2を有して離間した状態で並列し、且つ包装物の搬送方向に沿って同速度又は略同速度で無端回転する。このような第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、幅方向で一対の搬送部材に相当する。
【0025】
また、
図3、
図4、
図6に示すように、包装物が、第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨って載置されて、搬送されるように構成される。つまり、第1搬送部材5及び第2搬送部材6として、2条ベルトの搬送部分を有しており、離間して並設される第1搬送部材5及び第2搬送部材6によって、包装物の長尺な搬送路を形成する。なお、
図1、
図3においては、第1搬送部材5の最上端面を搬送面5bとして表し、第2搬送部材6の最上端面を搬送面6bとして表している。
【0026】
また、搬送部2は、
図1に示すように、第1支持部7及び第2支持部8をさらに備える。第1支持部7は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が包装物の搬送方向に沿って無端回転すべく、第1搬送部材5の内周面側を支持するよう構成されている。第2支持部8は、第2搬送部材6の内周面側を支持するよう構成されている。
【0027】
第1支持部7は、
図1に示す案内部9a,9b、第1方向転換部材10、及び第2方向転換部材11を備える。
図4に示すように、案内部9a,9bは、包装物の搬送路に沿って配置され、幅方向に一定の間隔で保持されて、第1搬送部材5を搬送路に沿って案内するよう構成されている。案内部9a,9bは、幅方向の一側に一対で配置されて、第1搬送部材5が巻回される。案内部9a,9bの間には、第1搬送部材5を水平に保つための水平支持部材26が設けられている。
【0028】
案内部9a,9bは、台部27の上方に連結されている。台部27は板状に形成されて、その幅方向両端が本体1に固定されている。なお、台部27は、後述するように、第2搬送部材6の幅方向の他側に一対で配置される案内部18a,18bと、共通の台部27として形成されており、したがって、台部27の上方に、案内部9a,9b、案内部18a,18bが連結されている。台部27は、案内部9a,9b(案内部18a,18b)の下方にあって、水平状態として配置され、包装物の幅寸法よりも大きく形成される。このように形成された台部27に、案内部9a,9b及び案内部18a,18bは、本体1の搬入口1a及び搬出口1bに亘って設けられている。
【0029】
第1方向転換部材10(ここでは、駆動プーリとする)は、駆動支軸28回り回転自在とされ、包装物の搬送路における上流端部に配置されて、駆動手段4からの駆動力を受けるよう構成されている。第2方向転換部材11(ここでは、従動プーリとする)は、従動支軸29回りに回転自在とされて、包装物の搬送路における下流端部に配置されている。なお、第1方向転換部材10及び第2方向転換部材11は、包装物の搬送路に平行で、且つ搬送方向と直交する軸を中心に回転可能に構成される。
【0030】
第1支持部7は、
図4に示すように、第1搬送部材5が包装物の搬送方向と略直交する方向に変位するのを規制する規制部12をさらに備える。規制部12は、突条部13,13及び溝部14,14を備える。突条部13,13は、第1搬送部材5の内周面側に設けられて、幅方向で二つ形成されている。溝部14,14は、第1支持部7の案内部9a,9bと水平支持部材26との間に設けられて、第1搬送部材5の突条部13,13が挿入されるよう二つ形成されている。
【0031】
第1搬送部材5は、幅方向の中央部5aに加熱手段3からの熱風を通過させ得るように複数の開口が形成されている。具体的には、第1搬送部材5は、搬送方向に延伸する長尺な第1支持部7の案内部9a,9bにおける幅方向の中央部から吹き出される加熱手段3からの熱風を通過させ得るように、幅方向の中央部5aが網目状に形成される。より具体的には、第1搬送部材5は、網目状のベルトが幅方向の両端側を補強するように加工されて形成される。
【0032】
第1搬送部材5は、第1支持部7の第1方向転換部材10から駆動手段4の駆動力を伝達されて回転する。具体的には、第1搬送部材5は、第1支持部7の第1方向転換部材10に設けられる伝達部材(図示せず)に押圧されて伝達される。また、伝達部材は、第1搬送部材5との接触部位が変位しないような摩擦力のある材質(ここでは、ゴムとしている)で形成される。
【0033】
第2搬送部材6は、基本的構成態様が第1搬送部材5と同様であり、さらに、第2支持部8は、基本的構成態様が第1支持部7と同様である。
【0034】
第2支持部8は、
図4で示す案内部18a,18b、
図1で示す第1方向転換部材19、及び第2方向転換部材20を備える。案内部18a,18bは、
図4に示すように、包装物の搬送路に沿って配置され、幅方向に一定の間隔で保持されて、第2搬送部材6を搬送路に沿って案内するよう構成されている。また、案内部18a,18bには、第2搬送部材6が巻回される。案内部18a,18bの間には、第2搬送部材6を水平に保つための水平支持部材26が設けられている。
【0035】
第2支持部8は、第2搬送部材6が包装物の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部21をさらに備える。規制部21は、突条部22,22及び溝部23,23を備える。突条部22,22は、第2搬送部材6の内周面側に設けられて、幅方向で二つ形成されている。溝部23,23は、第2支持部8の案内部18a,18bと水平支持部材26とに設けられて、第2搬送部材6の突条部22,22が挿入されるよう二つ形成されている。
【0036】
また、第2搬送部材6は、幅方向の中央部6aが加熱手段3からの熱風を通過させ得るように複数の開口が形成される。そして、第2搬送部材6は、第2支持部8の第1方向転換部材19から駆動手段4の駆動力を伝達されて回転する。具体的には、第2搬送部材6は、第2支持部8の第1方向転換部材19に設けられる伝達部材(図示せず)に押圧されて伝達される。
【0037】
また、第1支持部7及び第2支持部8の各第1方向転換部材10,19は、水平方向に配置した部材であるが、後述するように、第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしが、本体1の搬入口1aから搬出口1bにかけて広がっているため、異なる部材とされる。しかしながら、各第1方向転換部材10,19は、駆動手段4によって互いに同期して回転可能に構成される。具体的に、各第1方向転換部材10,19は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしが、本体1の搬入口1aから搬出口1bにかけて広がるように、包装物の搬送方向に対し、わずかに傾斜して配置される。
【0038】
また、第1支持部7及び第2支持部8の各第2方向転換部材11,20は、水平方向に配置した部材であるが、後述するように、第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしが、本体1の搬入口1aから搬出口1bにかけて広がっているため、異なる部材とされる。しかしながら、各第2方向転換部材11,20は互いに同期して回転可能に構成される。具体的に、各第2方向転換部材11,20は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしが、本体1の搬入口1aから搬出口1bにかけて広がるように、包装物の搬送方向に対し、わずかに傾斜して配置される。
【0039】
駆動手段4は、第1搬送部材5を回転させると共に、第2搬送部材6を回転させるように構成される。具体的には、駆動手段4は、
図1に示すように、駆動源4a(ここではモータとする)からの駆動力が、第1支持部7及び第2支持部8の各第1方向転換部材10,19が取り付けられる共通の回転軸に伝達部材4bを介して伝達されるように構成される。
【0040】
また、駆動手段4は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6の回転速度を調整可能に構成される。具体的には、駆動手段4は、駆動源4aであるモータの駆動軸の回転速度を変化させる速度調整手段4c(ここでは、インバータとする)と、速度調整手段4cを制御する駆動制御部(図示せず)とを備える。
【0041】
前述したように、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、包装物の搬送方向と略直交する方向、すなわち幅方向に所定間隔d1,d2を有して離間した状態で並列して配置されている(
図3参照)。この所定間隔d1,d2について述べる。すなわち、第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしは、本体1の搬入口1aから搬出口1bにかけて、幅方向に相対的に広がっている。具体的に述べると、台部27に対し、案内部9a,9b及び案内部18a,18bどうしを広げることで、第1搬送部材5及び第2搬送部材6の間の間隔が、搬入口1a側の始端から搬出口1b側の終端へかけて、広がっている。
【0042】
換言すると、台部27に対し、案内部9a,9b及び水平支持部材26と、案内部18a,18b及び水平支持部材26とが、本体1の搬入口1aから搬出口1bに向けて相対的に広がるように設けられており、これによって、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が搬入口1aから搬出口1bに向けて広がっている。この場合では、本体1の幅方向中心に対して、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が一定の傾斜で幅方向に広がっている。つまり、一対の第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、
図3に示すように、所定間隔が広くなる幅広部30と、幅広部30より所定間隔が狭くなる幅狭部31とを備える。
【0043】
具体的に数値を述べると、本体1の搬入口1aから搬出口1bまでの搬送方向長さが、仮に2400mmとして、幅狭部31が40mm(間隔d1)、幅広部30が50mm(間隔d2)とされて、本体1の搬入口1aから搬出口1bにかけて、10mmだけ広がっている。なお、搬入口1aから搬出口1bにかけての該10mm寸法は、本体1の搬入口1aから搬出口1bまでの搬送方向長さにおいてであり、第2方向転換部材11,20から第1方向転換部材10,19の間は、
図1で示すように、本体1の搬送方向長さよりも長く形成されているため、第2方向転換部材11,20から第1方向転換部材10,19の間では、該10mm寸法容量よりわずかに広く設定されている。
【0044】
このように、一対の第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、
図3に示すように、本体1の搬入口1a側から搬出口1b側へ向けて、幅狭部31から幅広部30へ徐々に広くなる幅拡大部32,32によって構成されている。
【0045】
本実施形態にかかる熱収縮性包装部材の加熱収縮装置の構成に関する説明は、以上の通りである。次に、本実施形態にかかる熱収縮性包装部材の加熱収縮装置の作用について説明する。
【0046】
ここでは、
図1~
図5に示すように、物品Xが徐々に縮径する円錐柱形状(例えば、即席麺用のカップ容器)である場合について説明する。すなわち物品Xは、
図8に示すように、その中心軸Pを搬送方向に沿わせて搬送される。
図5、
図7、
図8では、物品Xが徐々に縮径する円錐柱形状において、物品XがフィルムY(シュリンクフィルム)で包まれた状態、すなわち包装物を示している。
図5のフィルムYにおいて、Yaは前記縦シール部で形成された縦シールであり、Ybは横シール部で形成された横シールである。なお、物品Xは円錐柱形状でなくてもよく、円筒形状(例えば、乾電池、あるいは乾電池を束ねた物品)等でも、本実施形態にかかる加熱収縮装置を用いることができる。
【0047】
加熱収縮装置は、上流に配置される前工程設備(包装装置)から搬送された物品Xを、フィルムYで包んだ包装物の状態で、搬送方向と略直交する方向に離間した状態で並設する第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨らせる。具体的には、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、互いに対向する側の端部5c,6cで、断面が円形状である包装物を保持(掛止)し、第1搬送部材5及び第2搬送部材6間に、包装物が、物品Xの重量に応じて一部が嵌り込んだ格好となる。
【0048】
よって、包装物が幅方向に揺動しようとしても、包装物の一部が第1搬送部材5及び第2搬送部材6に嵌り込んでいるから、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、包装物を保持する位置で、包装物の搬送方向に対する左右方向の揺動を防止する。
【0049】
そして、包装物は、搬入口1aから搬出口1bまで第1搬送部材5及び第2搬送部材6で搬送されながら、加熱手段3(ヒータ及びファンを含む)で加熱され、これによりフィルムYが物品X側に熱収縮されて、フィルムYが物品Xに倣う形状となる。
【0050】
ここで、第1搬送部材5及び第2搬送部材6の、包装物を保持する位置について説明する。また、
図8で示すように、本体1内の包装物において、物品Xの下側の領域、つまり物品Xの中心軸P周りの外周面における下方領域に対向したフィルムYの領域を対向領域33とし、物品Xの中心軸P周りの外周面における上方領域に対向したフィルムYの領域を上向領域34とし、対向領域33と上向領域34の間に配置される左右の領域を幅向領域35とする。対向領域33として、本実施形態では、物品Xの中心軸Pから左右方向外周面にθ45°に設定されている。この対向領域33は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6に当たる領域である。
【0051】
第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしは、
図3,
図4で示すように本体1の搬入口1aから、
図3,
図6で示すように搬出口1bにかけて一定の傾斜で幅方向に広がっている。また、第1搬送部材5及び第2搬送部材6どうしは、幅拡大部32,32によって構成されている。
【0052】
この構成によれば、包装物が搬入口1aから搬出口1bに搬送されることで、幅拡大部32,32によって包装物が嵌り込んだ状態の保持位置が徐々に変化することになるが、第1搬送部材5及び第2搬送部材6における包装物を保持する位置としては、第1搬送部材5及び第2搬送部材6において、それぞれが互いに対向する端部5c,6cとされる。
【0053】
この端部5c,6c位置は、包装物に対応させると、物品Xの中心軸P周りの外周面における搬送面に対向したフィルムYの領域内、つまりフィルムYの対向領域33である。つまり、包装物は前記端部5c,6cに対応する対向領域33内で搬送されることになる。
【0054】
そして、包装物が搬送方向に移動するのに従って、物品Xの重量によってフィルムYが嵌り込んだ状態が徐々に変化し、嵌り込む量が次第に深くなり、加熱手段3によるファンからの熱風は、嵌り込む量が深くなる分だけ包装物に満遍なく当たることになる。
【0055】
このため、
図7で示すように、包装物をしっかり支持して搬送しつつも包装物におけるフィルムYを良好に収縮させることができて、フィルムYが物品Xに倣った形状の包装物となり、フィルムYで包まれた物品X、すなわち包装物の見栄えが良好となる。
【0056】
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても同様である。
【0057】
上記実施形態では、一対の第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、本体1の搬入口1a側から搬出口1b側へ向けて、幅狭から幅広へ徐々に広くなる幅拡大部32,32によって構成された。しかしながら、搬入口1a側から搬出口1b側へ向けて、幅広から幅狭へ徐々に狭くなる幅縮小部を有することもできる。この構成であっても、加熱手段3によるファンからの熱風は、上記実施形態とは逆に、包装物に対して当たる位置が狭まり(当たる位置が変わり)、元に当たった位置にすら熱風が当たることになり、熱風が包装物(フィルムY)に満遍なく当たることになる。
【0058】
上記実施形態では、幅広部30の間隔と幅狭部31の間隔とが一定とされた。しかしなかがら、幅広部30の間隔と幅狭部31の間隔差を調整可能な間隔差調整手段を備えることもできる。例えば、第1方向転換部材10,19が水平方向で相対的に接近離間自在とするよう構成させることもできる。また、第2方向転換部材11,20を水平方向で相対的に接近離間自在とするよう構成させることもできる。あるいは第1方向転換部材10,19、第2方向転換部材11,20を、水平方向で相対的に接近離間自在とするよう構成させることもできる。
【0059】
さらに、幅広部30を幅狭部31に対して広げたり、狭めたりすることも可能である。逆に、幅狭部31を幅広部30に対して広げたり、狭めたりすることも可能である。
【0060】
この間隔差調整手段を備えた加熱収縮装置によれば、間隔差を調整可能とするので、第1搬送部材5及び第2搬送部材6で包装物を搬送する際に、包装物の嵌り込んだ状態が変化するので、包装物の形状に対応して熱風が満遍なく当てられる。
【0061】
上記実施形態では、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が、本体1の幅方向中心に対して、一定の傾斜で幅方向に広がる例を挙げた。しかしながら、第1搬送部材5及び第2搬送部材6の何れかを傾斜させることもできる。
【0062】
上記実施形態では、第1搬送部材5及び第2搬送部材6として、2条ベルトの搬送部分を有し、離間して並設される第1搬送部材5及び第2搬送部材6によって、包装物の長尺な搬送路を形成する例を挙げた。しかしながら、第1搬送部材5及び第2搬送部材6として、幅広部から幅狭部、幅狭部から幅広部を、搬入口1a側から搬出口1b側へ向けて、この順で形成することもできる。この場合、幅広部から幅狭部を幅縮小部とし、幅狭部から幅広部を幅拡大部とする。
【0063】
さらに、第1搬送部材5及び第2搬送部材6として、一部だけ幅狭部の平行部材、一部だけ幅広部の平行部材、その間の幅狭部、幅広部を幅拡大部あるいは幅縮小部で連続させることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1…本体、1A…搬送空間、1a…搬入口、1b…搬出口、2…搬送部、3…加熱手段、4…駆動手段、5…第1搬送部材、5b…搬送面、6…第2搬送部材、6a…中央部、6b…搬送面、9a,9b…案内部、18a,18b…案内部、27…台部、30…幅広部、31…幅狭部、32,32…幅拡大部、33…対向領域、P…中心軸、X…物品、Y…フィルム、d1,d2…所定間隔
【要約】
【課題】包装部材を良好に収縮させることができる加熱収縮装置の提供。
【解決手段】搬入口1aと搬出口1bとの間で熱風を吐出可能な本体1と、搬入口1aから搬出口1bへ向けた搬出方向に、被包装体Xを包装部材Yで包装した包装物を搬送し、包装物が跨って載置される一対の搬送部材5,6を備え、搬入口1aから搬出口1bへ搬送方向に搬送される包装物に対して熱風を吐出することで、包装物の包装部材Yを被包装体Xに向けて収縮させるよう構成され、一対の搬送部材5,6は間隔が広くなる幅広部30と、幅広部30より間隔が狭くなる幅狭部31とを備えた加熱収縮装置。
【選択図】
図3