(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】リクライニング式ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 20/10 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
A47C20/10
(21)【出願番号】P 2020112604
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599139442
【氏名又は名称】株式会社プラッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二里 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】和田 剣也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 瑞歩
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-058354(JP,A)
【文献】特開2001-299827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の上部に設けられ、横臥者の身体を受ける複数の受台の少なくとも第一の受台及び第二の受台を連動して起倒可能に設けたリクライニング式ベッドにおいて、
前記第一の受台及び前記第二の受台をそれぞれ起倒させる第一の起倒機構及び第二の起倒機構と、
前記第一の起倒機構を駆動することで前記第一の受台を起倒させる駆動機構と、
前記第一の起倒機構及び前記第二の起倒機構にそれぞれ連結されることで前記駆動機構による前記第一の起倒機構の駆動力を前記第二の起倒機構に伝達して前記第一の受台及び前記第二の受台を連動して起倒させる連動機構と、
を有し、
前記第一の起倒機構には前記連動機構に連結される被連結部が設けられるとともに、前記連動機構には前記被連結部に着脱自在に連結する連結部が設けられ、
前記連結部は、前記駆動機構からの駆動力が前記被連結部を介して前記連動機構に伝達されることでこの連動機構が前後方向に移動する際、前記被連結部の少なくとも一部が当接する当接部を有し、
前記連結部は、下方に開口を備えた中空の内部を有し、前記被連結部の少なくとも一部が、前記開口を通じて前記内部に挿抜自在に挿入されることで、前記被連結部が前記連結部に連結され、
前記当接部は、前記内部の前記開口の上下方向の延長線上からずれた位置にある、リクライニング式ベッド。
【請求項2】
前記連結部は、前記内部を画成し相互に連通する、第1の通路及び第2の通路を有し、
前記第1の通路は、前記開口を有し、
前記第2の通路は、前記当接部を含み、前記第1の通路の延長線上とは異なる線上に位置する、
請求項1に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項3】
前被連結部は、前記駆動力により、前記基台の左右方向の軸中心に揺動可能であり、
前記駆動力による前記被連結部の動きが前記連結部に伝達されることで、前記連動機構が前記前後方向に移動する、
請求項1又は2のいずれか一項に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項4】
前記連結部の前記内部は、前記被連結部を前記前後方向に移動可能なように形成される、
請求項1に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項5】
基台の上部に設けられ、横臥者の身体を受ける複数の受台の少なくとも第一の受台及び第二の受台を連動して起倒可能に設けたリクライニング式ベッドにおいて、
前記第一の受台及び前記第二の受台をそれぞれ起倒させる第一の起倒機構及び第二の起倒機構と、
前記第一の起倒機構を駆動することで前記第一の受台を起倒させる駆動機構と、
前記第一の起倒機構及び前記第二の起倒機構にそれぞれ連結されることで前記駆動機構による前記第一の起倒機構の駆動力を前記第二の起倒機構に伝達して前記第一の受台及び前記第二の受台を連動して起倒させる連動機構と、
を有し、
前記第一の起倒機構には前記連動機構に連結される被連結部が設けられるとともに、前記連動機構には前記被連結部に着脱自在に連結する連結部が設けられ、
前記連結部は、前記駆動機構からの駆動力が前記被連結部を介して前記連動機構に伝達されることでこの連動機構が一方向に移動する際、前記被連結部の少なくとも一部が当接する当接部を有し、
前記連結部の着脱方向が前記駆動機構の移動方向である前記一方向に略一致し、
前記被連結部は前記一方向に直交する水平方向に移動自在に設けられた係合部を有し、
前記連結部の少なくとも一部が前記係合部に係合することで前記連結部が前記被連結部に着脱自在に連結する、リクライニング式ベッド。
【請求項6】
前記連結部は、中空環状の連結部であり、
前記一方向は前後方向であり、
前記係合部は、前記連結部に対して前記水平方向に進退自在なバーである、
請求項
5に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項7】
基台の上部に設けられ、横臥者の身体を受ける複数の受台の少なくとも第一の受台及び第二の受台を連動して起倒可能に設けたリクライニング式ベッドにおいて、
前記第一の受台及び前記第二の受台をそれぞれ起倒させる第一の起倒機構及び第二の起倒機構と、
前記第一の起倒機構を駆動することで前記第一の受台を起倒させる駆動機構と、
前記第一の起倒機構及び前記第二の起倒機構にそれぞれ連結されることで前記駆動機構による前記第一の起倒機構の駆動力を前記第二の起倒機構に伝達して前記第一の受台及び前記第二の受台を連動して起倒させる連動機構と、
を有し、
前記第一の起倒機構には前記連動機構に連結される被連結部が設けられるとともに、前記連動機構には前記被連結部に着脱自在に連結する連結部が設けられ、
前記連結部は、前記駆動機構からの駆動力が前記被連結部を介して前記連動機構に伝達されることでこの連動機構が前後方向に移動する際、前記被連結部の少なくとも一部が当接する当接部を有し、
前記連結部は、その内部を開閉可能に閉止する挿入部を備えた中空環状の連結部であり、
前記被連結部が前記挿入部を通じて前記内部に挿入され、閉止されることで、前記被連結部が前記連結部に連結される、
リクライニング式ベッド。
【請求項8】
前記第一の受台は、前記横臥者の上半身を受ける上半身受台であり、
前記第二の受台は、前記横臥者の下半身の少なくとも一部を受ける下半身受台であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のリクライニング式ベッド。
【請求項9】
前記第二の受台は、前記横臥者の上半身の肩から上側の第一部分を受ける肩部受台であり、
前記第一の受台は、前記上半身の前記第一部分より下側の第二部分を受ける背部受台であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のリクライニング式ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクライニング式ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
基台の上部に設けられ、横臥者の身体を受ける複数の受台の少なくとも第一の受台及び第二の受台を連動して起倒可能に設けたリクライニング式ベッドは既知である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
このようなリクライニング式ベッドにおいては、第一の受台と第二の受台とを連動して起倒可能に構成するために、これら受台をそれぞれ起倒させる第一の起倒機構及び第二の起倒機構を連動して起倒させるリンク部材が設けられることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】"ラフィオ取扱説明書",[online],株式会社プラッツ,[令和2年6月19日検索],インターネット <URL:https://www.platz-ltd.co.jp/product/rafio/rafio/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なリクライニング式ベッドは、製造拠点等から設置場所への運搬の利便性を考慮して、このリクライニング式ベッドを複数のパーツに分解し、設置場所において組み立てることでリクライニング式ベッドとして供与している。この場合、第一の起倒機構、第二の起倒機構及びリンク部材も少なくとも一部が分解されて運搬されることが多く、従って、設置場所においてこれらを一体に連結する組立作業が必要となる。
【0006】
しかしながら、これら第一の起倒機構、第二の起倒機構及びリンク部材を一体に連結する組立作業には手間と時間を要していた。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、設置場所における組立作業を簡易にかつ短時間に行うことが可能なリクライニング式ベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従うリクライニング式ベッドは、基台の上部に設けられ、横臥者の身体を受ける複数の受台の少なくとも第一の受台及び第二の受台を連動して起倒可能に設けたリクライニング式ベッドにおいて、第一の受台及び第二の受台をそれぞれ起倒させる第一の起倒機構及び第二の起倒機構と、第一の起倒機構を駆動することで第一の受台を起倒させる駆動機構と、第一の起倒機構及び第二の起倒機構にそれぞれ連結されることで駆動機構による第一の起倒機構の駆動力を第二の起倒機構に伝達して第一の受台及び第二の受台を連動して起倒させる連動機構と、を有し、第一の起倒機構には連動機構に連結される被連結部が設けられるとともに、連動機構には被連結部に着脱自在に連結する連結部が設けられ、連結部には、駆動機構からの駆動力が連動機構に伝達されることでこの連動機構が一方向に移動する際、被連結部の少なくとも一部に当接する当接部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設置場所における組立作業を簡易にかつ短時間に行うことが可能なリクライニング式ベッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係るリクライニング式ベッドの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】実施例1に係るリクライニング式ベッドを示す分解斜視図である。
【
図3】実施例1に係るリクライニング式ベッドの基台を示す分解斜視図である。
【
図4】実施例1に係るリクライニング式ベッドの基台を示す分解斜視図である。
【
図5】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構を示す一部破断斜視図である。
【
図6】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部を第一の起倒機構の被連結部に連結させる動作を示す図である。
【
図7】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部を第一の起倒機構の被連結部に連結させた状態を示す図である。
【
図8】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構による連結の概要を示す図である。
【
図9】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部の変形例の一例を示す概略図である。
【
図10】実施例2に係るリクライニング式ベッドの受台を示す斜視図である。
【
図11】実施例2に係るリクライニング式ベッドの連動機構を示す斜視図である。
【
図12】実施例2に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部を第一の起倒機構の被連結部に連結させた状態を示す一部破断斜視図である。
【
図13】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部の変形例の他の例を示す斜視図である。
【
図14】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部の変形例の他の例を示す概略図である。
【
図15】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部の変形例のまた他の例を示す斜視図である。
【
図16】実施例1に係るリクライニング式ベッドの連動機構の連結部の変形例のさらに他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
なお、実施例を説明する図において、同一の機能を有する箇所には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0013】
図1~
図7を参照して、実施例1のリクライニング式ベッドについて説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本実施例のリクライニング式ベッドの概要について説明する。
【0014】
本実施例のリクライニング式ベッドBは、図略の床上に設置された基台10と、この基台10の上部に設けられた受台20と、基台10の前後両端部にそれぞれ立設されたヘッドボード30及びフットボード31を有する。なお、以下の説明において、前後方向とは
図1において左上~右下方向、すなわちリクライニング式ベッドBの長さ方向を指し、
図1において右下が前であり、左上が後ろである。また、左右方向とは
図1において左下~右上方向、すなわちリクライニング式ベッドBの幅方向であり、
図1において左下が左であり、右上が右である。さらに、上下方向とは
図1において上~下方向、つまりリクライニング式ベッドBの上下方向であり、上が上、下が下である。
【0015】
図2及び
図3に詳細を示すように、基台10は、図略の床上に配置されたベースフレーム11と、このベースフレーム11の上部に設けられたヘッドフレーム12、センターフレーム13及びフットフレーム14を有する。
【0016】
ベースフレーム11は、リクライニング式ベッドBの前後方向に所定の間隔を置いて配置された一対の前後バー110と、前後バー110の前部及び後部にそれぞれ回動自在に設けられ、これら前後バー110を連結する一対の左右バー111とを有する。前後バー110の前後端部それぞれには図略の床面に接する固定脚112が取り付けられている。固定脚112にはその内部にバネなどの弾性体からなる図略の爪部材が設けられており、この爪部材が前後バー110の前後端部にある切欠部または孔部に着脱自在に係合することで、前後バー110に取り付けられている。
【0017】
それぞれの左右バー111の左右両端部にはリンク部材113が取り付けられている。右方及び左方に位置する一対のリンク部材113は略中央部においてピン114により回動自在に連結されている。これらリンク部材113及びピン114によりXリンク機構が構成されている。リンク部材113の上端部は左右方向に延在する連結バー115により連結されている。なお、リクライニング式ベッドBの前方に位置する連結バー115の中央部は、後述する背脚連動リンク133の回動範囲を確保するために下方に湾曲形成されている(詳しくは
図3参照)。
【0018】
リクライニング式ベッドBの後部に位置する左右バー111より後方には、前後バー110を連結する支持バー116が設けられている。この支持バー116の中央部には、リクライニング式ベッドBの受台20の高さ調整のためのアクチュエータ117が設けられている。アクチュエータ117は、電動モータ117aと、この電動モータ117aにより前後方向に進退自在にされたロッド117bとを有する。ロッド117bの先端部は、リンク機構118を介して後方に位置する連結バー115に連結されている。これにより、アクチュエータ117のロッド117bの前後方向の進退動作により連結バー115が上下動され、よって、リンク部材113及びピン114によるXリンク機構が駆動されて一対の連結バー115の上下方向の位置が連動して変動される。
【0019】
ヘッドフレーム12は、リクライニング式ベッドBの前後方向に所定の間隔を置いて配置された一対の前後バー120と、前後バー120の前部及び後部にそれぞれ設けられ、これら前後バー120を連結する一対の左右バー121とを有する。なお、リクライニング式ベッドBの後部に位置する左右バー121は前後バー120に対して回動自在に設けられている。
【0020】
リクライニング式ベッドBの前部に位置する左右バー121の中央部には、後述する背ボトム22及びハイバックサポート21を起倒自在にするアクチュエータ122が設けられている。アクチュエータ122は、電動モータ122aと、この電動モータ122aにより前後方向に進退自在にされたロッド122bとを有する。ロッド122bの先端部は側面視三角形のブラケット123の前端部にピン124を介して回動自在に取り付けられている。
【0021】
ブラケット123の中央部は、一対の前後バー120を連結してこれら前後バー120に回動自在に取り付けられた回転バー125に固定されている。よって、アクチュエータ122のロッド122bの前後方向の進退動作によりブラケット123が回転バー125を中心に回転され、これに連れて回転バー125も回転する。
【0022】
回転バー125の左右両端部にはそれぞれ背上げアーム126が固定され、この背上げアーム126の先端部は背上げバー127にそれぞれ回動自在に固定されている。そして、背上げバー127の後端部はリクライニング式ベッドBの後部に位置する左右バー121に固定されている。これにより、アクチュエータ122のロッド122bの前後方向の進退動作により回転バー125が回動されると、これに連れて背上げアーム126も回動し、結果として背上げバー127が回動される。背上げバー127は後述する背ボトム22及びハイバックサポート21を下方から支持しているので、アクチュエータ122により背ボトム22及びハイバックサポート21が起倒自在にされる。従って、ブラケット123、回転バー125、背上げアーム126及び背上げバー127が、アクチュエータ122により背ボトム22及びハイバックサポート21を起倒させる第一の起倒機構として動作する。また、アクチュエータ122は、第一の起倒機構を駆動する駆動機構として動作する。
【0023】
なお、
図3に詳細を示すように、ブラケット123の後端部には、後述する背脚連動リンク133の連結部135に連結されるバー(被連結部)128が左右方向に延在して取り付けられている。また、それぞれの前後バー120には、左右方向にそれぞれ外方に突出するサイドレールホルダ129が左右方向に進退自在に設けられている。サイドレールホルダ129には、受台20に横臥する横臥者がリクライニング式ベッドBから落下するのを防止する図略のサイドレールなどが取り付けられる。
【0024】
センターフレーム13は、リクライニング式ベッドBの前後方向に所定の間隔を置いて配置された一対の前後バー130と、前後バー130の後部に設けられ、これら前後バー130を連結する左右バー131とを有する。
【0025】
また、前後バー130の中央部には、一対の前後バー130を連結する左右バー132が設けられている。この左右バー132には図略のブラケットが固定され、このブラケットのリクライニング式ベッドBからみて後端部には、リクライニング式ベッドBの後方に突出しかつ前後方向に延在する脚上げバー134が回動自在に連結されている。さらに、リクライニング式ベッドBの前方に突出しかつ前後方向に延在する背脚連動リンク133は、リクライニング式ベッドBからみて後端部が脚上げバー134の前端部に回動自在に連結されている。これにより、背脚連動リンク133がリクライニング式ベッドBの前後方向に移動すると、この背脚連動リンク133の前後方向の移動に連れて脚上げバー134が上下方向に揺動される。
【0026】
背脚連動リンク133の前端には、ブラケット123のバー128に連結される連結部135が設けられている。この連結部135がバー128に係合、連結されることで、ブラケット123の回動に伴い背脚連動リンク133がリクライニング式ベッドBの前後方向に連動して移動し、この結果、脚上げバー134が上下方向に揺動する。
【0027】
脚上げバー134の先端部(後端部)にはローラ136が回転自在に固定されている。このローラ136は、後述するひざ脚ボトム24の連結部近傍の下面に当接しており、従って、脚上げバー134の回動に伴い、ローラ136がひざ脚ボトム24を下方から押し上げることで、ひざ脚ボトム24を起倒させる。従って、脚上げバー134及びローラ136は、アクチュエータ122によりひざ脚ボトム24を起倒させる第二の起倒機構として動作する。また、背脚連動リンク133は、アクチュエータ122である第一の起倒機構の駆動力を第二の起倒機構に伝達する連動機構として動作する。
【0028】
なお、左右バー131の中央部は、ベースフレーム11のXリンク機構の動作範囲を確保するために上方に湾曲形成されている(詳しくは
図3参照)。
【0029】
フットフレーム14は、リクライニング式ベッドBの前後方向に所定の間隔を置いて配置された一対の前後バー140と、前後バー130の略中央部に設けられ、これら前後バー140を連結する左右バー141とを有する。左右バー141の中央部は、ベースフレーム11のXリンク機構の動作範囲を確保するために上方に湾曲形成されている(詳しくは
図3参照)。
【0030】
また、それぞれの前後バー140には、ヘッドフレーム12と同様に、左右方向にそれぞれ外方に突出するサイドレールホルダ142が左右方向に進退自在に設けられている。
【0031】
センターフレーム13の前後バー130の後部内側には、リクライニング式ベッドBの前後方向に延在する受け部材137が取り付けられている。また、センターフレーム13の前後バー130の前端部内側には、下方に開口する半円形のブラケット138が取り付けられている。
図3に示すように、センターフレーム13の受け部材137には、ベースフレーム11のリクライニング式ベッドBの後部側に位置する連結バー115の左右両端部がそれぞれ嵌入され、また、センターフレーム13のブラケット138には、ベースフレーム11のリクライニング式ベッドBの前部側に位置する連結バー115の左右両端部がそれぞれ回動自在に取り付けられている。
【0032】
これにより、センターフレーム13がベースフレーム11に取り付けられている。加えて、アクチュエータ117のロッド117bの進退動作により連結バー115が上下動する際、リクライニング式ベッドBの後部側に位置する連結バー115がセンターフレーム13の受け部材137内を摺動することにより、ベースフレーム11とセンターフレーム13との固定状態が維持されながらセンターフレーム13(及びこのセンターフレーム13に固定されたヘッドフレーム12及びフットフレーム14)がベースフレーム11により上下動される。
【0033】
さらに、ヘッドフレーム12及びフットフレーム14は、センターフレーム13に設けられた図略のピン及びボルトによりこのセンターフレーム13に固着されている。これにより、ベースフレーム11、ヘッドフレーム12、センターフレーム13及びフットフレーム14が、
図3に示すように一体化される。
【0034】
ここで、
図4に示すように、ヘッドフレーム12には後方に突出するピン1200が設けられており、このピン1200がセンターフレーム13のブラケット138に挿通されることで、ベースフレーム11、センターフレーム13及びヘッドフレーム12が一体に固定されるとともに、リクライニング式ベッドBの前部側に位置する連結バー115の抜け止めがされる。
【0035】
受台20は、主に横臥者の上半身(尻よりも上側)の荷重を受ける(横臥者の上半身を下方から支える)ための背ボトム22及びハイバックサポート21と、主に横臥者の尻の荷重を受ける(横臥者の尻を下方から支える)ための腰ボトム23と、主に横臥者の下半身(尻よりも下側)の荷重を受ける(横臥者の下半身を下方から支える)ためのひざ脚ボトム24とを有する。
【0036】
ハイバックサポート21は、横臥者の肩(肩甲骨)よりも下側の背中(背骨)の荷重を受ける(横臥者の肩(肩甲骨)よりも下側の背中(背骨)を下方から支える)。背ボトム22は、横臥者の肩(肩甲骨)から上側の肩及び頭の荷重を受ける(横臥者の肩(肩甲骨)から上側の肩及び頭を下方から支える)。ハイバックサポート21は、その前端部が背ボトム22の後端部にピン25を介して上下回動自在に連結されることによって、背ボトム22に対して起倒可能に設けられている。
【0037】
ひざ脚ボトム24は、横臥者の大腿の荷重を受ける(横臥者の大腿を下方から支える)ための上側脚ボトム26と、横臥者の下腿の荷重を受ける(横臥者の下腿を下方から支える)ための下側脚ボトム27とに分割されている。下側脚ボトム27は、その後端部が上側脚ボトム26の前端部にピン28を介して上下回動自在に連結されることによって、上側脚ボトム26に対して屈曲自在に設けられている。
【0038】
そして、背ボトム22の後端部がヘッドフレーム12の後端部に回動自在に取り付けられるとともに、背上げバー127が背ボトム22の中央部に固着されることで、背ボトム22がヘッドフレーム12に取り付けられている。同様に、腰ボトム23の後端部がセンターフレーム13に回動自在に取り付けられ、さらに、上側脚ボトム26の前端部が同様にセンターフレーム13に取り付けられることで、これら腰ボトム23及びひざ脚ボトム24がセンターフレーム13に取り付けられている。
【0039】
次に、
図5~
図7を参照して、背脚連動リンク133の連結部135の詳細について説明する。
【0040】
既に説明したように、背脚連動リンク133の前端部である連結部135は、ブラケット123の後端部にあるバー128に係合、連結される。連結部135は、
図5にもっともよく示されるように、側方視鉤状に形成されている。より詳細には、連結部135は下方に開口する開口部135aを有し、この開口部135aにより連結部135が全体として鉤状に形成されている。
【0041】
連結部135を
図6の矢印に示すように下方に押し下げて、その開口部135aをブラケット123の後端部にあるバー128に挿入、係合させることで、背脚連動リンク133とブラケット123とが着脱自在に連結される。このとき、開口部135aの上部の幅は、バー128の直径よりやや大きく形成されている。これにより、
図7に示すようにブラケット123が回動されることで背脚連動リンク133が後方に押される際に、
図5に示す開口部135aの端部(当接部)135bがバー128に当接することで、ブラケット123の回動力(アクチュエータ122の駆動力)が背脚連動リンク133に伝達される。
【0042】
本実施例のリクライニング式ベッドBの作用効果について
図8を参照して説明する。
【0043】
図8(a)に示すように、アクチュエータ122のロッド122bの伸長動作によりブラケット123が回転バー125を中心に図中時計回りに回動し、このブラケット123の回動動作に伴って背脚連動リンク133が図中右方向に移動し、そして、脚上げバー134が図中反時計回りに揺動する。
【0044】
図8(b)に示すように、上述の非特許文献1に示す一般的なリクライニング式ベッドでは、背脚連動リンク133の前端部に連結孔133aを設けるとともに、ブラケット123の後端部にも同様に連結孔123aを設け、これら連結孔123a、133aを組立現場においてピンPで連結していた。しかしながら、
図7(b)に示す構成では、ブラケット123と背脚連動リンク133との連結作業に手間と時間とを要し、さらに、リクライニング式ベッドの分解や背ボトム22及びひざ脚ボトム24の連動を解除する際にもピンPの抜去作業が必要で、同様に手間と時間と要していた。
【0045】
一方、本実施例のリクライニング式ベッドBでは、
図8(c)に示すように、背脚連動リンク133の連結部135をブラケット123の被連結部であるバー128に着脱自在に連結しているので、ブラケット123と背脚連動リンク133との連結及び解除作業をより簡易に行うことができ、連結及び解除作業をより短時間に行うことができる。
【0046】
ここで、本事例のリクライニング式ベッドBでは、連結部135の開口部135aが下方に開口し、連結部135の着脱方向が上下方向になっている。本実施例のリクライニング式ベッドBが組み立てられ、横臥者が受台20の上に横臥すると、重力及び横臥者の体重によりブラケット123には時計回りの方向への力が作用する一方、脚上げバー134には反時計回りの方向への力が作用する。これにより、背脚連動リンク133は両端から背脚連動リンク133の延在方向(リクライニング式ベッドBの前後方向)に沿ったそれぞれ逆方向の力が作用される。また、ブラケット123が回動しても背脚連動リンク133にはその延在方向に沿った力が作用する。従って、リクライニング式ベッドBの使用中は背脚連動リンク133にリクライニング式ベッドBの前後方向に沿った力が常時作用しているので、連結部135の開口部135aが下方に開口していても、この連結部135に上向きの力、つまり連結部135とバー128との連結を解除する方向への力はほとんど作用しない。よって、連結部135をバー128に対して着脱自在に構成し、さらに、開口部135aが下方に開口していても、連結部135とバー128との係合、連結が容易に解除される事態は生じにくい。
【0047】
加えて、開口部135aの端部135bがバー128に当接しているので、ブラケット123の回動力が背脚連動リンク133に容易に伝達され、連結部135をバー128に対して着脱自在に構成しても力のロスが生じにくい。
【0048】
なお、本実施例のリクライニング式ベッドBにおいて、
図9に示すように連結部135の開口部135aの上部をリクライニング式ベッドBの後方向にさらに延在させることも可能である。
図9に示す連結部135であると、背脚連動リンク133が図中左方に移動する方向に力が作用したときに、連結部135とバー128との係合をより確実に行うことができる。
【実施例2】
【0049】
上述の実施例1では、背ボトム22及びひざ脚ボトム24の連動を行う背脚連動リンク133をブラケット123に対して着脱自在に連結していた。しかし、連動機構の連結を簡易に行う構成は実施例1のものに限定されない。本実施例では、ハイバックサポート21と背ボトム22との連動機構の連結を簡易に行う構成について、
図10~
図12を参照して説明する。
【0050】
図10に示すように、ハイバックサポート21及び背ボトム22には、横臥者が横臥する側と反対側の面(
図10において下面)に、これらハイバックサポート21及び背ボトム22を連動して起倒する連動機構40が取り付けられている。
【0051】
連動機構40は、
図11に示すように、背ボトム22に取り付けられ、リクライニング式ベッドBの前後方向に延在する第一の連動バー41と、ハイバックサポート21に取り付けられ、リクライニング式ベッドBの前後方向に延在する第二の連動バー42と、これら第一及び第二の連動バー41、42を連結する連動リンク43とを有する。
【0052】
第一の連動バー41は、背ボトム22から下方に突設されたブラケット44によりリクライニング式ベッドBの前後方向以外の移動を規制されている。第一の連動バー41の前端部は連動リンク43の一端部に回動自在に連結されている。連動リンク43は側面視三角形に形成され、その後端部が、背ボトム22から下方に突設されたブラケット45に回動自在に連結されることで、連動リンク43全体がこのブラケット45との連結部を中心に回動可能とされている。連動リンク43の前端部は第二の連動バー42の後端部に回動自在に連結され、さらに、第二の連動バー42の前端部はハイバックサポート21から下方に突設されたブラケット46に回動自在に連結されている。
【0053】
図11及び
図12に示すように、第一の連動バー41の後端部47は、実施例1の背脚連動リンク133の連結部135と同様の形状に形成されている。すなわち、
図12に詳細を示すように、第一の連動バー41の後端部47はブラケット48に係合可能な開口部47aを有する連結部として形成されている。この開口部47aは下方に開口し、開口部47aの前端部47bはブラケット48に当接する当接部とされている。
【0054】
ブラケット48は、
図2に詳細を示すように、ヘッドフレーム12の後端部にある左右バー121に連結されている。従って、アクチュエータ122の駆動により左右バー121が回動すると、このブラケット48も連動して回動し、この結果、第一の連動バー41には
図10においてリクライニング式ベッドBの前方向へ移動する。
【0055】
第一の連動バー41の移動に伴い、連動リンク43は時計回りに回動し、この連動リンク43の回動により第二の連動バー42もリクライニング式ベッドBの後方向へ移動する。この結果、ハイバックサポート21はピン25を中心として背ボトム22に対して相対的に図中時計回りに起こされる。一方、上述したように、アクチュエータ122の駆動により背ボトム22も図中時計回りに起こされるので、ハイバックサポート21が背ボトム22に対して起こされた状態で背ボトム22自体も起こされる。この動作は、連動リンク43の第一の連動バー41との連結部及び第二の連動バー42との連結部が図中略水平になるまで継続される。そして、連動リンク43の第一の連動バー41との連結部及び第二の連動バー42との連結部が図中略水平になると、背ボトム22に対するハイバックサポート21の相対的回転がなくなり、背ボトム22とハイバックサポート21とは相対的に略水平になる。
【0056】
従って、本実施例によっても、上述した実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
なお、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0058】
一例として、連結部や被連結部の形状、構造は上述した各実施例に限定されず、着脱自在に連結しうる形状、構造であれば特段の限定はない。
【0059】
例えば、実施例1において、
図13及び
図14に示すように、背脚連動リンク133の後端部に中空円環状の連結部50を設ける一方、ブラケット123のバー128をブラケット123に対して図略のバネ等を用いて進退自在に構成してもよい。この場合、連結部50をバー128に対して係合させる際にバー128を一旦退避させ、連結部50を前方に移動させてその中空部がバー128を超えた時点でバー128を進出させ、連結部50をバー128に係合させることができる。
【0060】
また、実施例1において、
図15に示すように、背脚連動リンク133の連結部51を側面視半円部を有する中空環状に形成し、この連結部51の一部をバネ等を用いて上下方向に揺動自在な挿入部52としてもよい。この場合、挿入部52を下方に押し下げた状態で連結部51の中空部にブラケット123のバー128を挿入させ、その後、挿入部52を上方に戻せば、連結部51とバー128とを係合させることができる。
【0061】
さらに、実施例1において、
図16に示すように、連結部53の前端部に半円状の中空部54を形成してこの中空部54の上部開口を進退自在な挿入部55で覆う構造でも良い。この場合、挿入部55を一旦退避させてバー128を中空部54に挿入し、その後、挿入部55を戻せば、連結部53とバー128とを係合させることができる。
【0062】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
B…リクライニング式ベッド 10…基台 11…ベースフレーム 12…ヘッドフレーム 13…センターフレーム 14…フットフレーム 20…受台 21…ハイバックサポート 22…背ボトム 23…腰ボトム 24…ひざ脚ボトム 26…上側脚ボトム 27…下側脚ボトム 40…連動機構 41…第一の連動バー 42…第二の連動バー 43…連動リンク 122…アクチュエータ 123…ブラケット 128…バー 133…背脚連動リンク 134…脚上げバー