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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20250121BHJP
   A61G 13/10 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
A61G13/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020145158
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040437
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-08-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391039313
【氏名又は名称】株式会社根本杏林堂
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅弘
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05396903(US,A)
【文献】国際公開第2017/181150(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/162600(WO,A2)
【文献】登録実用新案第3159341(JP,U)
【文献】米国特許第02915074(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0135896(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0173314(US,A1)
【文献】特開平07-100149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/20,50/00
A61G 10/00,13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス又は細菌の飛沫を防止するカバーであって、
透明な部分を有するカバー本体と、
前記カバー本体と対向するように配置された棒状のベース部材と、
前記ベース部材の少なくとも一部に係合するフレーム部材と、を備え、
前記カバー本体は、前記フレーム部材と一体化しており、
前記フレーム部材は、前記カバー本体と前記ベース部材との間に空間を形成するように前記カバー本体を支持し、
前記カバーの使用の際は、人体の頭部側の前記カバー本体は前記人体を乗せる台に接すると共に、前記頭部側とは反対側の前記カバー本体は前記人体に接して、前記カバー本体は、仰臥位の前記人体の上半身を覆うように構成されていることを特徴とする、カバー。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記フレーム部材が係合する係合孔を少なくとも一つ有することを特徴とする、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記フレーム部材が前記係合孔に係合する位置を調節することで、前記空間の大きさが変更されることを特徴とする、請求項2に記載のカバー。
【請求項4】
前記フレーム部材は、一本の棒状の部材であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載のカバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、前記フレーム部材の一部を収容する収容部を有し、前記フレーム部材が前記収容部に収容されることで、前記カバー本体は、前記フレーム部材と一体化することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載のカバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、前記フレーム部材の一部を接着する接着部を有し、前記フレーム部材の一部が前記接着部に接着されることで、前記カバー本体は、前記フレーム部材と一体化することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載のカバー。
【請求項7】
前記フレーム部材は、枠形状をしており、前記カバー本体は、前記フレーム部材に接合されることで、前記カバー本体は、前記フレーム部材と一体化することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載のカバー。
【請求項8】
前記カバー本体は、ポリエチレンの薄い透明なフィルム又は透明のぞき窓を具備した不織布等で構成される滅菌可能な素材で構成されていることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載のカバー。
【請求項9】
前記ベース部材は、前記カバー本体の長手方向に直交する方向に延在する棒状の部材であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載のカバー。
【請求項10】
前記ベース部材は、前記カバー本体の前記長手方向に延在する延出部を有することを特徴とする、請求項9に記載のカバー。
【請求項11】
前記フレーム部材は、前記ベース部材の一方に係合し、前記ベース部材の他方と一体となっていることを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載のカバー。
【請求項12】
前記ベース部材と前記カバー本体とは、一体で構成されていることを特徴とする、請求項7に記載のカバー。
【請求項13】
前記カバー本体は、前記人体の前記頭部側の前記カバー本体は、閉じられていることを特徴とする、請求項1乃至12の何れか1項に記載のカバー。
【請求項14】
前記カバーは、ウイルス又は細菌の飛沫による人への感染を防止する感染防止カバー又はウイルス又は細菌の飛沫による装置への汚染を防止する汚染防止カバーであることを特徴とする、請求項1乃至13の何れか1項に記載のカバー。
【請求項15】
前記カバーは、ディスポーザブルカバーであることを特徴とする、請求項1乃至14の何れか1項に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー、特に感染防止カバー又は汚染防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
細菌やウイルス(例えば、COVID-19)に罹患している患者がせきやくしゃみをすることにより、周囲の人が飛沫感染するという問題がある。特許文献1には、病気本人又はその周囲の人への感染を防ぐために、頭部に非接触で使用可能な細菌及びウイルス防止ガードが開示されている。また、特許文献2には、緊急車両にあらかじめ乗載されたストレッチャーで使用することができる隔離用カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-367号公報
【文献】特開2005-205069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、COVID-19のような未知のウイルスに罹患している患者をCT検査等する場合には、特許文献1のウイルス防止ガード又は特許文献2の隔離用カバーを付けた状態でCT検査することは想定されていない。そのため、これらのウイルス防止ガードや隔離用カバーを一度取り外さなければならず、その際に、周囲の医療従事者等にウイルスを飛沫感染させてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成で飛沫感染を防止するカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のカバーは、透明な部分を有するカバー本体と、前記カバー本体と対向するように配置されたベース部材と、前記ベース部材に係合するフレーム部材と、を備え、前記カバー本体は、前記フレーム部材と一体化しており、前記フレーム部材は、前記カバー本体と前記ベース部材との間に空間を形成するように前記カバー本体を支持し、前記カバー本体は、仰臥位の人体を覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成で飛沫感染を防止するカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)実施例1に係るカバー10が梱包された状態を示す斜視図である。(B)梱包を展開した状態の斜視図である。(C)カバー10の組立方法を示す分解斜視図である。
図2】実施例1に係るカバー10の概略斜視図である。
図3】(A)実施例2に係るカバー20の展開斜視図である。(B)カバー20の組立方法を示す斜視図である。(C)カバー20の概略斜視図である。
図4】(A)実施例3に係るカバー30の展開斜視図である。(B)カバー30の組立方法を示す斜視図である。(C)カバー30の概略斜視図である。
図5】変形例1に係るカバー40を示す概略斜視図である。
図6】(A)変形例2に係るベース部材52を示す斜視図である。(B)ベース部材52の端部を折り曲げた状態の斜視図である。(C)は、ベース部材52にフレーム部材53を係合させた状態の斜視図である。
図7】変形例3に係るカバー60を示す部分斜視図である。
図8】(A)CT装置の寝台への適用例を示す斜視図である。(B)適用例における高さ調整を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための例示的な実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の各実施例、各変形例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された各実施例、各変形例に限定されるものではない。なお、本明細書において、後述の棒状の部材の長手方向をX方向、上下方向をZ方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0010】
(実施例1)
図1(A)は、実施例1に係るカバー10が製品として梱包された状態を示す斜視図である。図1(B)は、製品として梱包されたカバー10の梱包を展開し、カバー10を構成する各部材を示す斜視図である。図1(C)は、カバー10の組立方法を示す分解斜視図である。図2は、組立後のカバー10の概略斜視図である。
【0011】
実施例1に係るカバー10は、図1(A)に示すように、長手方向のX方向に直交するY方向にカバー10を構成する各部材をまとめた状態で梱包用の袋14に収容されている。袋14に収容されたカバー10はコンパクトになり、持ち運びに便利であると共に、省スペースで保管できる。図1(B)は、梱包を展開した状態を示し、カバー10は、透明なカバー本体11、一本のベース部材12及び一本のフレーム部材13から構成される。
【0012】
透明なカバー本体11は、ポリエチレン等(ビニール)の薄い透明なフィルム又は透明のぞき窓を具備した不織布等で構成される滅菌可能な素材で構成されている。カバー本体11の中央には、フレーム部材13を収容するための収容部11aがX方向に延在して形成されている。収容部11aは、カバー本体11のX方向の幅Aに対して短い長さBとなるように構成されている。長さBを幅Aより短くすることにより、カバー10を組立てた際に、Z方向の高さ調整が可能となる。
【0013】
収容部11aには、図1(B)の矢印X1で示す方向からフレーム部材13の一方の端部13aが挿入される。収容部11aは、ポリエチレン素材又は不織布を用いてカバー本体11に予め接着、熱溶着、超音波溶着等されると共に袋状の形状をしている。
【0014】
ベース部材12は、一本の棒状の平板部材であって、塩化ビニール、ポリプロピレン又は汎用的な樹脂等で構成されており、可撓性を有している。ベース部材12の長手方向の両端部には、係合孔12aが形成されており、それぞれの係合孔12aにフレーム部材13のそれぞれの端部13aが係合する。ベース部材12は長手方向に長さCの寸法を有する。
【0015】
フレーム部材13は、塩化ビニール又は汎用的な樹脂等で構成されており、棒状の形状を有すると共に、その断面は矩形又は円形をしているが、フレーム部材13が収容部11aに収容できれば断面形状は限定されない。同様に、フレーム部材13の端部13aがベース部材12の係合孔12aに係合できればその断面形状は限定されない。
【0016】
カバー10を組立てるには、まず一本のフレーム部材13をカバー本体11の収容部11aに挿入する。図1(C)に示すように、フレーム部材13が収容されている収容部11aがアーチ形状部E(アーチ形状)を形成するようにフレーム部材13を湾曲させる。フレーム部材13が湾曲している状態で、収容部11aに収容されていないフレーム部材13の端部13aを矢印Z1で示す方向からベース部材12の係合孔12aに挿入して係合させる。この手順でカバー10の組立てが完了し、ベース部材12はカバー本体11と対向し、カバー本体11は、フレーム部材13と一体化しており、フレーム部材13は、カバー本体11とベース部材12との間に空間を形成するようにカバー本体11を支持する。
【0017】
図2に示すように、組立後のカバー10は、ベース部材12に対してアーチ形状部Eが高さDを有するように構成される。また、収容部11aの長さBがカバー本体11の幅Aより短く構成されているので、収容部11aと係合孔12aとの間には寸法Fの調整代が存在する。この調整代により、端部13aが係合孔12aに係合するZ方向における位置を変えることが可能となり、高さDを調整することができる。このようにカバー本体11とベース部材12の間に空間が形成され、この空間には仰臥位の姿勢をとった人体が位置することができ、人体の一部をカバー10で覆うことができる。
【0018】
例えば、COVID-19(以下ウイルス又は細菌)に罹患している患者又は罹患している疑いのある患者を搬送する際には、ストレッチャーが使われる場合がある。ストレッチャーで患者を搬送する場合、ストレッチャーを押している医療従事者には患者からの飛沫感染のリスクがあるが、このような場合でも実施例1のカバー10で患者の頭部を覆うことにより飛沫感染のリスクを低減することが可能となる。
【0019】
また、従来、気管挿管や患者の咽頭部の検査の際などにおいて、患者を離被架で覆う場合や、金属製フレームと透明プラスチックで構成された覆いで覆う場合がある。しかしながら、これら覆いは何れも金属製で重く、保管には多くの場所を必要とする欠点がある。更に使用前後には、これら覆いの消毒作業を行う必要があるので作業効率が悪く、検査時間の延長、更には検査件数の低下を招いていた。また、作業による二次感染のおそれもある。このような場合でも実施例1のカバー10で患者を覆うことにより、患者を離被架で覆うことや、従前の金属製フレームで構成された重い覆いで覆うことから解放される。すなわち、気管挿管や患者の咽頭部の検査の際に、嵩張る離被架や金属製フレームで構成された覆いを使用する必要がなくなる。その結果、これら覆いの保管スペースを減らすことも可能となる。
【0020】
また、ウイルス又は細菌に罹患している患者又は罹患している疑いのある患者を検査する際には、CT装置が使われる場合がある。従来では、マスクをしている患者が咳やくしゃみをすると、少なからず周囲に飛沫が拡散し、更にその飛沫がCT装置や検査室に付着し二次感染を招く問題があった。この二次感染を防止するためには、次の患者の検査までにCT装置や検査室の消毒、滅菌作業が必要となり、多大な時間、労力を要するという問題があった。また小児や老人等、あるいは呼吸器疾患を有する患者では、マスクの着用ができない場合もある。このため、これら患者からの飛沫による汚染を防御する手段として、現場においてはゴミ袋などのビニール袋が使用されており、患者に接触するようにビニール袋を直接被せる手段がとられていた。しかしながら、ビニール袋が呼吸を妨げる問題、ビニール袋が不透明な場合、患者の生体情報を確認しにくい問題、及びCT検査中に閉所恐怖症等の精神的苦痛で患者自らが不安を訴える等の問題があった。
【0021】
一方、実施例1のカバー10は、CT検査中においても患者に使用することができるように構成されている。図8(A)は、CT検査時に実施例1のカバー10を患者に使用している適用例の模式図である。実施例1のベース部材12の長手方向の長さCは、図8(B)に示すように、ストレッチャー、CT装置又はMRI装置の寝台の幅より若干長くなっている。また、ベース部材12の材質は塩化ビニール等で構成されているが、可撓性を有しているので、CT装置又はMRI装置の寝台の湾曲形状に対応することができる。また、フレーム部材13を矢印で示す患者方向へ押し込むことによりフレーム部材13’の位置とすることで、適用例における高さDを調整することができる。そして、フレーム部材13が形成するアーチ形状部Eの高さDは、CT装置又はMRI装置の環状のガントリ中央の開口部に干渉しない寸法となっている。そのため、カバー10を患者に被せ、人体の上半身の一部、すなわち頭部から胸部をカバー10で覆ったまま、CT装置又はMRI装置の開口部へ患者を入れることが可能である。なお、実施例1のカバー10を構成する素材は、CT装置又はMRI装置等の臨床検査装置に影響を及ぼさない低分子量の樹脂製であるので、CT検査等もカバー10を患者に被せたまま行うことができる。
【0022】
このように、カバー10を患者に被せたまま、CT検査又はMRI検査を行うことは、医療従事者等への飛沫感染を防止するだけでなく、CT装置又はMRI装置の汚染並びに検査室の汚染を防止することも可能となり、検査のスループットの向上が図られる。よって、簡易な構成で飛沫感染及び装置の汚染を防止するカバー10を提供することができる。
【0023】
次に、実施例1のカバー10の使用方法について説明する。まず、新品のカバー10を構成する部材一式を袋14から取り出し、ストレッチャー、CT装置又はMRI装置等の寝台に仰臥位の姿勢をとっている患者に頭部を持ち上げてもらい、ベース部材12を頭部の下に配置する。そして、カバー本体11を展開し、カバー本体11の収容部11aにフレーム部材13を挿入し、フレーム部材13を湾曲させることによりアーチ形状部Eを形成する。患者の顔付近にカバー本体11のアーチ形状部Eが位置するようにカバー本体11を患者に被せ、フレーム部材13の端部13aをベース部材12の係合孔12aに差し込む。
【0024】
ストレッチャーに仰臥位をとっている患者に対しては、フレーム部材13の端部13aがベース部材12の係合孔12aに係合する位置は、任意の位置とすることができ、患者の体の大きさに応じて調節することができる。一方、CT装置又はMRI装置等の寝台に仰臥位をとっている患者に対しては、CT装置等の障害とならないようにCT装置等の開口部の大きさに応じて端部13aが係合孔12aに係合する位置を調節する。
【0025】
カバー10の使用後は、カバー本体11の患者に面する側を内側にして折りたたみ、ベース部材12を巻き込みながらまとめて廃棄する。
【0026】
実施例1のカバー10の効果について説明する。実施例1のカバー10を用いると、医療従事者への感染防止が可能となるだけでなく、装置に対しての汚染防止も可能となる。そして、透明な素材で患者の状態が目視可能となると共に、患者に与える不安を低減することができる。また、カバー10は、臨床検査装置に影響を及ぼさない低分子量の樹脂製であるので、CT検査中でもそのまま使用することができる。また、使い捨て(ディスポーザブルカバー)になっているので、使用後には消毒作業が不要であり、分別する必要なく医療廃棄物(感染性廃棄物)あるいは一般廃棄物として廃棄可能であるので、廃棄の方法が簡便である。更に、カバー10は、一本のベース部材12、一枚のカバー本体11及び一本のフレーム部材13から構成されているので構成が簡易であり、梱包状態はコンパクトで且つ軽量であるので、携帯性に優れると共に保管性にも優れる等の多くのメリットがある。
【0027】
(実施例2)
次に、図3(A)~(C)を参照して、実施例2に係るカバー20について説明する。図3(A)は、実施例2に係るカバー20の組立て前の展開斜視図であり、図3(B)は、カバー20の組立方法を示す斜視図であり、図3(C)は、組立後のカバー20の概略斜視図である。なお、実施例2の説明においては、実施例1と相違する点について説明し、実施例1と同じ構成要素については、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果もほぼ同様である。
【0028】
実施例2に係るカバー20は、実施例1のカバー10と同様、梱包された状態では、図1(A)に示すような梱包用の袋14に収容されている。図3(A)は、梱包を展開した状態を示しており、実施例2に係るカバー20では、透明なカバー本体21にベース部材22及びフレーム部材23が既に固定された状態で梱包されている。
【0029】
透明なカバー本体21の略中央には、フレーム部材23を固定している接着部21aがX方向に延在しており、フレーム部材23の一部が既に接着固定されている。接着部21aは、カバー本体21のX方向の幅Aに対して短い長さBを有するように構成されている。長さBを幅Aより短くすることにより、カバー20を組立てた際に、Z方向の高さ調整が可能となる。
【0030】
接着部21aは、接着、熱溶着、超音波溶着等によりフレーム部材23にカバー本体21を固定している。
【0031】
ベース部材22は、棒状の平板部材であって、塩化ビニール、ポリプロピレン又は汎用的な樹脂等で構成されており、可撓性を有している。ベース部材22は、溝形状の屈曲部22cをフレーム部材23との境界に有し、フレーム部材23に対して屈曲することが可能であり、フレーム部材23の延長部として形成されている。ベース部材22の長手方向の一方の端部には、係合孔22aが形成されており、係合孔22aにフレーム部材23の端部23aが係合する。ベース部材22は長手方向に長さCの寸法を有する。
【0032】
フレーム部材23は塩化ビニール、ポリプロピレン又は汎用的な樹脂等で構成されており、棒状の形状を有しその断面形状は矩形をしている。フレーム部材23の一方には端部23aがY方向に幅狭に形成されており、他方には屈曲部22cを介してベース部材22が形成されている。すなわち、ベース部材22とフレーム部材23は、一体の部材で形成されており、一方に端部23a、他方に屈曲部22cを介してベース部材22が構成されている。
【0033】
カバー20を組立てるには、まず図3(B)に示すように、ベース部材22を動かさずに屈曲部22cを軸としてフレーム部材23の端部23aを矢印Z2で示す円弧状に誘導し、端部23aを係合孔22aに係合させる。端部23aが係合孔22aに係合すると、フレーム部材23が固定されている接着部21aがアーチ形状部E(アーチ形状)を形成する。この手順でカバー20の組立てが完了し、ベース部材22はカバー本体21と対向し、フレーム部材23は、カバー本体21とベース部材22との間に空間を形成するようにカバー本体21を支持する。
【0034】
図3(C)に示すように、組立後のカバー20は、ベース部材22に対してアーチ形状部Eが高さDを有するように構成される。そして、端部23aが係合孔22aに係合する位置を変えることにより、この高さDを調整することができる。
【0035】
このようにカバー本体21とベース部材22の間に空間が形成され、この空間には仰臥位の姿勢をとった人体が位置することができ、人体の一部をカバー20で覆うことができる。実施例2のカバー20がもたらす効果は、実施例1のカバー10の効果と同様であるが、組立がカバー10より簡単であるという効果もある。
【0036】
(実施例3)
次に、図4(A)~(C)を参照して、実施例3に係るカバー30について説明する。図4(A)は、実施例3に係るカバー30の組立て前の展開斜視図、図4(B)は、カバー30の組立方法を示す斜視図、図4(C)は、組立後のカバー30の概略斜視図である。なお、実施例3の説明においては、実施例1と相違する点について説明し、実施例1と同じ構成要素については、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果もほぼ同様である。
【0037】
実施例3に係るカバー30は、実施例1のカバー10とは異なり、平面状態で梱包されている。図4(A)は、梱包を展開した状態を示しており、実施例3に係るカバー30では、透明なカバー本体31とフレーム部材33が一体化されている。
【0038】
透明なカバー本体31は、枠形状をしたフレーム部材33に接合されて一体化しており、フレーム部材33の枠部に対応するように接合部31bが枠形状に設けられている。
【0039】
接着、熱溶着、超音波溶着等によりフレーム部材33の枠部にカバー本体31の接合部31bが固定されている。
【0040】
ベース部材32は、平板部材であって、塩化ビニール等で構成されており、可撓性を有している。ベース部材32は、屈曲部32cをフレーム部材33との境界に有し、フレーム部材33に対して屈曲することが可能となっており、フレーム部材33の延長部として形成されている。ベース部材32のX方向の一方には、スリット状の係合孔32aが形成されており、係合孔32aにフレーム部材33の端部33aが係合する。ベース部材32はX方向に長さCの寸法を有し、屈曲部32cから係合孔32aの方向に長さGで窪んでいる凹部32dを有する。
【0041】
フレーム部材33は塩化ビニール等で構成されており、枠形状を有している。フレーム部材33の長手方向の一方には端部33aが形成されており、他方には屈曲部32cを介してベース部材32が形成されている。すなわち、ベース部材32とフレーム部材33は、一体の部材で形成されており、一方に端部33a、他方に屈曲部32cを介してベース部材32となっている。
【0042】
カバー30を組立てるには、まず図4(B)に示すように、フレーム部材33に接合されたカバー本体31を屈曲部32cとカバー本体31の屈曲部31cにおいて折り曲げる。ベース部材32は、凹部32dを有し、その凹部32dはカバー本体31で覆われているため、フレーム部材33を折り曲げる際に、凹部32dが備えられていない場合と比べて格段に折り曲げやすい。フレーム部材33を折り曲げた後、図4(C)に示すように、端部33aを係合孔32aに係合させる。端部33aが係合孔32aに係合すると、フレーム部材33と接合している接合部31bがアーチ形状部E(アーチ形状)を形成する。この手順でカバー30の組立てが完了し、ベース部材32はカバー本体31と対向し、フレーム部材33は、カバー本体31とベース部材32との間に空間を形成するようにカバー本体31を支持する。
【0043】
図4(C)に示すように、組立後のカバー30は、ベース部材32に対してアーチ形状部Eが高さDを有するように構成される。なお、アーチ形状部Eを形成する接合部31bには人体の一部を覆うような覆いが取り付けられており、医療従事者への感染防止が可能となるだけでなく、装置に対しての汚染防止も可能となる。
【0044】
このようにカバー本体31とベース部材32の間に空間が形成され、この空間には仰臥位の姿勢をとった人体が位置することができ、人体の一部をカバー30で覆うことができる。実施例3のカバー30がもたらす効果は、実施例1のカバー10の効果と同様であるが、組立がカバー10より簡単であるという効果もある。
【0045】
(変形例1)
次に、図5を参照して、実施例1に対応する変形例1について説明する。図5は、変形例1に係るカバー40の概略斜視図である。
【0046】
変形例1では、ベース部材42が複数の係合孔42aを有しており、長手方向における長さC’の寸法の調整が可能となっている。更にベース部材42はY方向に延出する一対の延出部42bを有しており、この延出部42bにより、カバー本体41のZ方向に対する安定度が向上する。
【0047】
変形例1のカバー40がもたらす効果は、実施例1のカバー10の効果に加えて、カバー40のX方向の幅を変更することができるので、カバー40の大きさを患者等に柔軟に対応させることができる。更にカバー40が安定して自立することができるという効果もある。
【0048】
(変形例2)
次に、図6(A)~(C)を参照して、実施例1に対応する変形例2について説明する。図6(A)は、変形例2に係るベース部材52の斜視図である。図6(B)は、ベース部材52の端部を折り曲げた状態の斜視図である。図6(C)は、ベース部材52にフレーム部材53を係合させた状態の斜視図である。
【0049】
変形例2では、ベース部材52は、熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン等で構成されている。ベース部材52の長手方向の両端部には、溝形状の屈曲部52cが設けられていると共に、屈曲部52cを挟んで係合孔52a-1、52a-2がそれぞれ設けられている。屈曲部52cにおいて、ベース部材52の両端部をZ方向に折り曲げると、ベース部材52の長手方向の両端の外側に位置する係合孔52a-2が係合孔52a-1のZ方向の斜め下側に位置する。
【0050】
屈曲部52cは、ポリプロピレンのヒンジ効果により容易に屈曲できると共に、耐久性も備えている。屈曲部52cで折り曲げた際に、二つの係合孔52a-1及び係合孔52a-2にフレーム部材53を同時に係合させることができるので、フレーム部材53を支持する支持点が二つとなる。
【0051】
変形例2のベース部材52による効果は、実施例1のカバー10の効果に加えて、フレーム部材53の両端部のそれぞれを二つの支持点で支持できるので、アーチ形状部Eを安定させることができるという効果も得られる。
【0052】
(変形例3)
次に、図7を参照して、実施例1~3に対応する変形例3について説明する。図7は、変形例3に係るカバー60の部分斜視図である。
【0053】
変形例3では、カバー本体61の頭部側において、X方向に沿って複数のプリーツ61dが形成されており、複数のプリーツ61dは束ねられて閉鎖部61eにより閉じられている。閉鎖部61eは、接着、熱溶着、超音波溶着、両面テープ、ハトメ、ステープラー等により閉じられている。
【0054】
変形例3のカバー60がもたらす効果は、実施例1のカバー10の効果に加えて、更にウイルス又は細菌の飛沫や装置への汚染を防止することができるという効果が得られる。
【0055】
以上、各実施例、各変形例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記各実施例、各変形例に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上記各実施例、各変形例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0056】
11、21、31、41、61 カバー本体
11a 収容部
12、22、32、42、52 ベース部材
12a、22a、32a、42a 係合孔
13、23、33 フレーム部材
10、20、30、40、60 カバー
42b 延出部
E アーチ形状部(アーチ形状)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8