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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】粉粒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/45 20220101AFI20250121BHJP
   B01F 23/60 20220101ALI20250121BHJP
【FI】
B01F35/45
B01F23/60
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021056504
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153797
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 健二
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-112027(JP,A)
【文献】特開2012-170923(JP,A)
【文献】特開2017-177015(JP,A)
【文献】特開2020-6308(JP,A)
【文献】特開2021-159302(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110624468(CN,A)
【文献】中国実用新案第211274517(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00 - 35/95
B22F 1/00 - 12/08
B29B 7/00 - 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上向きの開口を閉塞可能な上蓋と、を有し、前記容器本体の内部空間に粉粒体を収容する有蓋粉粒体収容容器と、
前記内部空間に収容された粉粒体を撹拌する撹拌羽根と、
前記上蓋を、前記開口を閉塞する閉塞位置と、前記開口の少なくとも一部を開放する開放位置と、の間で横移動可能に支持する上蓋支持機構と、
前記上蓋から前記容器本体の外側に落下した粉粒体を回収する粉粒体回収機構と、
を有し、
前記粉粒体回収機構は、
前記開放位置に位置する前記上蓋の下面と鉛直方向に対向する回収面
を有する、粉粒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体処理装置であって、
前記粉粒体回収機構は、
前記回収面を少なくとも一部に有する板状の回収板と、
前記回収板を傾斜可能に支持する回収板支持機構と、
を有する、粉粒体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粉粒体処理装置であって、
前記有蓋粉粒体収容容器は、
前記回収板の傾斜を制限可能なロック部材
を有する、粉粒体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の粉粒体処理装置であって、
前記回収板支持機構は、
水平方向に拡がりつつ前記回収板の一部に接触する上面を有する下側支持部材
を有し、
前記下側支持部材は、鉛直方向における任意の位置において、前記容器本体に直接的または間接的に固定される、粉粒体処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の粉粒体処理装置であって、
前記ロック部材は、前記回収板の傾斜を調整可能である、粉粒体処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の粉粒体処理装置であって、
前記回収板支持機構は、
前記下側支持部材の端部に直接的または間接的に固定されつつ前記下側支持部材の上面と平行に架設された支軸と、
前記支軸にそれぞれ一端が回転可能に取り付けられた2つの連結部と、
を有し、
前記2つの連結部の他端はそれぞれ前記回収板に固定される、粉粒体処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の粉粒体処理装置であって、
前記回収板のうち前記2つの連結部が固定される位置は、前記回収板における中央位置よりも前記容器本体に近い、粉粒体処理装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載の粉粒体処理装置であって、
前記回収板は、
前記回収面の端部において屈曲する屈曲部
を有し、
前記屈曲部は、前記回収面が水平となった状態において、上向きに屈曲する、粉粒体処理装置。
【請求項9】
請求項2から請求項8までのいずれか1項に記載の粉粒体処理装置であって、
前記回収板は、アルミニウム合金製である、粉粒体処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の粉粒体処理装置であって、
前記粉粒体回収機構は、
鉛直方向に筒状に延び、かつ、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗形状を有する収束部
を有し、
前記収束部の内面の少なくとも一部が前記回収面を形成する、粉粒体処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の粉粒体処理装置であって、
前記回収面には、フッ素樹脂を含むコーティング処理が施されている、粉粒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体または粒体からなる材料(以下「粉粒体」と称する)を処理する粉粒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、さまざまな産業分野において、粉粒体を容器の内部空間に収容し、混合等の処理を行う装置が用いられている。粉粒体を収容して処理する装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-177015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された混合造粒装置(1)は、撹拌槽(10)と、撹拌羽根(アジテータ)(20)と、せん断羽根(チョッパ)(30)とを備えている。混合造粒装置(1)は、撹拌槽(10)の内部に投入された粉粒体からなる対象物を撹拌羽根(20)で跳ね上げながら撹拌し、撹拌された対象物をせん断羽根(30)で破砕することにより混合造粒を行う(段落0028)。また、撹拌槽(10)は、有底中空円筒体であり、平面視円形状の底壁(11)と、円筒形状の側壁(12)と、上部に設けられた開口部を閉鎖する蓋部材(13)とを有している。蓋部材(13)の内側には、撹拌槽(10)の内壁上部に付着した粉粒体を掻き落とす掻き落とし羽根(スクレーパ)(14)が設けられている。
【0005】
しかしながら、粉粒体が蓋部材(13)に付着した状態で、蓋部材(13)が開放された場合、粉粒体が撹拌槽(10)の外側の床等へ落下する虞がある。この場合、床等に落下した粉粒体を清掃しなければならず、作業性が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、蓋部材に付着した粉粒体を撹拌槽の外側において容易に回収することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、粉粒体処理装置であって、有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上向きの開口を閉塞可能な上蓋と、を有し、前記容器本体の内部空間に粉粒体を収容する有蓋粉粒体収容容器と、前記内部空間に収容された粉粒体を撹拌する撹拌羽根と、前記上蓋を、前記開口を閉塞する閉塞位置と、前記開口の少なくとも一部を開放する開放位置と、の間で横移動可能に支持する上蓋支持機構と、前記上蓋から前記容器本体の外側に落下した粉粒体を回収する粉粒体回収機構と、を有し、前記粉粒体回収機構は、前記開放位置に位置する前記上蓋の下面と鉛直方向に対向する回収面を有する。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の粉粒体処理装置であって、前記粉粒体回収機構は、前記回収面を少なくとも一部に有する板状の回収板と、前記回収板を傾斜可能に支持する回収板支持機構と、を有する。
【0009】
本願の第3発明は、第2発明の粉粒体処理装置であって、前記有蓋粉粒体収容容器は、前記回収板の傾斜を制限可能なロック部材を有する。
【0010】
本願の第4発明は、第3発明の粉粒体処理装置であって、前記回収板支持機構は、水平方向に拡がりつつ前記回収板の一部に接触する上面を有する下側支持部材を有し、前記下側支持部材は、鉛直方向における任意の位置において、前記容器本体に直接的または間接的に固定される。
【0011】
本願の第5発明は、第3発明または第4発明の粉粒体処理装置であって、前記ロック部材は、前記回収板の傾斜を調整可能である。
【0012】
本願の第6発明は、第4発明の粉粒体処理装置であって、前記回収板支持機構は、前記下側支持部材の端部に直接的または間接的に固定されつつ前記下側支持部材の上面と平行に架設された支軸と、前記支軸にそれぞれ一端が回転可能に取り付けられた2つの連結部と、を有し、前記2つの連結部の他端はそれぞれ前記回収板に固定される。
【0013】
本願の第7発明は、第6発明の粉粒体処理装置であって、前記回収板のうち前記2つの連結部が固定される位置は、前記回収板における中央位置よりも前記容器本体に近い。
【0014】
本願の第8発明は、第2発明から第7発明までのいずれか1発明の粉粒体処理装置であって、前記回収板は、前記回収面の端部において屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部は、前記回収面が水平となった状態において、上向きに屈曲する。
【0015】
本願の第9発明は、第2発明から第8発明までのいずれか1発明の粉粒体処理装置であって、前記回収板は、アルミニウム合金製である。
【0016】
本願の第10発明は、第1発明の粉粒体処理装置であって、前記粉粒体回収機構は、鉛直方向に筒状に延び、かつ、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗形状を有する収束部を有し、前記収束部の内面の少なくとも一部が前記回収面を形成する。
【0017】
本願の第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1発明の粉粒体処理装置であって、前記回収面には、フッ素樹脂を含むコーティング処理が施されている。
【発明の効果】
【0018】
本願の第1発明~第11発明によれば、有底筒状の容器本体の開口を閉塞可能な上蓋が開放位置に在るときに、当該上蓋の下面と、粉粒体回収機構の回収面とが、鉛直方向に対向する。これにより、容器本体の外側において、上蓋に付着した粉粒体を回収面上に載置させることによって、粉粒体を容易に回収することができる。
【0019】
特に、本願の第2発明によれば、回収板を傾斜させることによって、回収面上に載置された粉粒体を、作業員が効率良く回収することができる。
【0020】
特に、本願の第3発明によれば、回収板が不意に大きく傾斜することによる、回収面上に載置された粉粒体が床等へ落下してしまうことを防止できる。
【0021】
特に、本願の第4発明によれば、下側支持部材および回収板を、作業員の身長等に見合った高さへと調整することができるため、作業性を向上できる。
【0022】
特に、本願の第5発明によれば、回収板の傾斜を徐々に大きくしながら、回収面上に載置された粉粒体を掃き集めて回収することができるため、作業性をより向上できる。
【0023】
特に、本願の第7発明によれば、粉粒体回収機構の使用を一時休止するときには、回収板を傾斜させて回収面が鉛直となるように折り畳むことによって、粉粒体回収機構を含む粉粒体処理装置全体の配置スペースを抑制することができる。
【0024】
特に、本願の第8発明によれば、回収面上に載置された粉粒体が、回収面の端部から床等へこぼれ落ちることを抑制できる。
【0025】
特に、本願の第9発明によれば、回収板を軽量化することができるため、回収板を傾斜させる際の作業性を向上できる。
【0026】
特に、本願の第10発明によれば、回収面の傾斜によって、回収面上に載置された粉粒体は、回収口へと自然に集まって排出される。これにより、回収口から排出された粉粒体を容易に回収することができる。
【0027】
特に、本願の第11発明によれば、回収面上に載置された粉粒体を、作業員が掃き集めて回収した後も、粉粒体が回収面に付着したまま残ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】粉粒体処理装置の側面図である。
図2】粉粒体処理装置の上面図である。
図3】有蓋粉粒体収容容器の側面図である。
図4】有蓋粉粒体収容容器および粉粒体回収機構の側面図である。
図5】粉粒体回収機構の斜視図である。
図6】変形例に係る回収板の側面図である。
図7】変形例に係る回収板の側面図である。
図8】変形例に係る粉粒体回収機構の斜視図である。
図9】変形例に係る粉粒体回収機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、後述する有蓋粉粒体収容容器の記載において、上下方向に延びる容器本体の中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、後述する有蓋粉粒体収容容器の上蓋が、容器本体の開口を開放する開放位置へ向かう方向を「前方」とし、開放位置から閉塞位置へ向かう方向を「後方」とする。また、「後方」から「前方」へ向かって右手を「右方」とし、「後方」から「前方」へ向かって左手を「左方」とする。
【0030】
<1.第1実施形態>
<1-1.粉粒体処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る粉粒体処理装置1を一部概念的に示した側面図である。図2は、粉粒体処理装置1の上面図である。この粉粒体処理装置1は、例えば、複数種類の粉粒体を、後述する容器本体11の開口110から投入し、撹拌して混合する装置である。処理対象となる粉粒体は、例えば、プラスチック、セラミック、金属、ガラス、トナー、顔料、化粧品、木粉、食品、医薬品等であるが、これらに限定されるものではない。また、粉粒体処理装置1は、粉粒体と液体とを、撹拌して混合するものであってもよい。
【0031】
本実施形態の粉粒体処理装置1は、有蓋粉粒体収容容器10、上蓋支持機構13、撹拌部材20、駆動部30、粉粒体排出部40、後述する粉粒体回収機構50、制御部60、およびベース部70を有する。
【0032】
図3は、有蓋粉粒体収容容器10を一部概念的に示した側面図である。図3に示すように、有蓋粉粒体収容容器10は、有底筒状の容器本体11と、上蓋12とを有する。本実施形態の容器本体11および上蓋12は、それぞれステンレス等の金属材料により形成される。
【0033】
容器本体11は、板状の底板部111と、筒状の側壁部112とを有する。底板部111は、上面視において略真円形状である。側壁部112は、底板部111の外周部から、中心軸90に沿って上方へ向けて延びる。すなわち、本実施形態の容器本体11は、有底円筒状である。また、本実施形態では、容器本体11の上部に、開口110が設けられている。しかしながら、開口110の位置は、容器本体11の上部には限定されない。本発明においては、容器本体11の少なくとも一部に、上向きの開口110が設けられていればよい。
【0034】
上蓋12は、容器本体11の開口110を閉塞可能な板状の部材である。粉粒体を撹拌して混合する際には、容器本体11の内部空間100に粉粒体を収容し、開口110を上蓋12で閉塞する。なお、上蓋12の下面に、側壁部112の上端面に接触するOリング等のシール部材が設けられていてもよい。
【0035】
上蓋支持機構13は、上蓋支持機構本体部131と上蓋支持機構アーム部132とを有する。上蓋支持機構本体部131は、上下方向に延び、下端部においてベース部70(図1参照)に固定される。上蓋支持機構アーム部132は、一端が上蓋支持機構本体部131に固定され、上蓋支持機構本体部131に対して旋回可能に、かつ、上下移動可能に支持される。上蓋支持機構アーム部132の他端は、上蓋12に固定される。
【0036】
図4は、有蓋粉粒体収容容器10を、図3に示すD1方向から見た側面図である。なお、図4では、上蓋支持機構13の図示を一部省略する一方、後述する粉粒体回収機構50を図示している。上蓋支持機構13が上記の構成を有することにより、上蓋12は、開口110を閉塞する閉塞位置Pcと、開口110の少なくとも一部を開放する開放位置Poとの間で、横移動可能に支持される(図2および図4中の矢印A1参照)。より具体的には、開放位置Poは、閉塞位置Pcの前方斜め上方に位置する。これにより、開放位置Poにおいて、上蓋12の一部は、容器本体11の前方へ突出する。
【0037】
撹拌部材20は、容器本体11の内部空間100に収容された粉粒体を撹拌して混合するための部材である。撹拌部材20は、内部空間100の底部付近に位置する。撹拌部材20は、複数の撹拌羽根21を有する。複数の撹拌羽根21は、後述するシャフト33の周囲に設けられている。本実施形態では、形状の異なる2つの撹拌部材20が、上下方向に積層された状態で配置されている。ただし、撹拌部材20の数は、1つであってもよく、あるいは3つ以上であってもよい。
【0038】
駆動部30は、撹拌部材20を回転させるための機構である。図1中に概念的に示すように、駆動部30は、駆動源となるモータ部31(モータおよび減速機)と、動力伝達機構32と、シャフト33とを有する。シャフト33は、容器本体11の底板部111を貫通して上下方向に延びる。シャフト33の上端は、撹拌部材20の中央に接続される。動力伝達機構32は、モータ部31から出力される駆動力をシャフト33へ伝達する。動力伝達機構32には、例えば、一対のプーリと、それらのプーリに掛け渡された環状のタイミングベルトとを有する機構が使用される。ただし、動力伝達機構32は、他の機構であってもよい。また、モータ部31の出力軸が、動力伝達機構32を介することなく、直接シャフト33に接続されていてもよい。
【0039】
シャフト33は、底板部111との間に介在するベアリング(図示省略)により、回転可能に支持される。また、図3中に概念的に示すように、粉粒体処理装置1は、底板部111とシャフト33との間に気体を導入するエアシール機構34を備える。エアシール機構34は、コンプレッサにより加圧された気体を、底板部111とシャフト33との間の空間を介して、容器本体11の内部空間100へ導入する。これにより、内部空間100に収容された粉粒体が、底板部111とシャフト33との間から外部へ漏れ出すことが抑制される。
【0040】
粉粒体排出部40は、撹拌して混合した後の粉粒体を排出するための機構である。粉粒体排出部40は、排出口41、排出路42、および排出弁43を有する。排出口41は、側壁部112の下端付近に設けられた開口である。排出口41は、撹拌部材20の径方向外側に位置する。排出路42は、排出口41から斜め下向きに延びる。排出弁43は、排出口41を、閉鎖状態と開放状態との間で切り替える。容器本体11の内部空間100で粉粒体を撹拌して混合するときには、排出弁43は、排出口41を閉鎖する。また、処理が終了すると、排出弁43は、排出口41を開放する。これにより、内部空間100に貯留された粉粒体が、排出口41を通って排出路42へ排出される。ただし、粉粒体排出部40は、必ずしも設けられなくてもよい。例えば、複数種類の粉粒体を、容器本体11の開口110から投入し、撹拌して混合した後、再び開口110から取り出してもよい。
【0041】
粉粒体回収機構50は、上蓋12から容器本体11の外側へ落下した粉粒体を回収するための機構である。粉粒体回収機構50の詳細な構造については、後述する。
【0042】
制御部60は、粉粒体処理装置1の各部を動作制御するためのユニットである。制御部60は、例えば、電気回路基板により構成される。ただし、制御部60は、コンピュータにより構成されていてもよい。本実施形態の制御部60は、モータ部31および排出弁43と、それぞれ電気的に接続されている。また、制御部60は、記憶部61を有する。制御部60は、記憶部61に記憶された諸条件に基づいて、モータ部31および排出弁43を動作させる。これにより、粉粒体処理装置1における粉粒体の撹拌混合処理および排出処理が進行する。ただし、制御部60は、必ずしも設けられなくてもよい。モータ部31および排出弁43は、作業員によって手動で操作されてもよい。
【0043】
ベース部70は、駆動部30の動力伝達機構32と、シャフト33の一部とを収容する枠体である。また、ベース部70の上面701には、有蓋粉粒体収容容器10が配置され、固定される。
【0044】
<1-2.粉粒体回収機構の詳細な構造>
続いて、粉粒体回収機構50の詳細な構造について、説明する。
【0045】
図5は、粉粒体回収機構50の斜視図である。粉粒体回収機構50は、通常、粉粒体の撹拌混合処理または排出処理が行われているときには、有蓋粉粒体収容容器10から離れた別の待機場所に配置されている。図5に示すとおり、粉粒体回収機構50は、回収板51と、回収板支持機構52とを有する。
【0046】
回収板51は、板状の部材である。また、本実施形態の回収板51は、アルミニウム製である。このように、有蓋粉粒体収容容器10よりも比重が小さい材料を使用することで、回収板51を軽量化することができるため、後述のとおり回収板支持機構52を介して回収板51を容器本体11に取り付ける際や、回収板51を傾斜させる際の作業性を向上することができる。ただし、回収板51は、ステンレス製であってもよい。
【0047】
また、回収板51は、底面部511と、3つの屈曲部512とを有する。底面部511は、底面部511に対して直交する方向から見て略長方形状を有する。また、後述のとおり回収板支持機構52を介して回収板51を容器本体11に取り付けたときに、底面部511の上面は、開放位置Poに位置する上蓋12の下面と鉛直方向に対向する回収面500となる。これにより、上蓋12の開放時に、容器本体11の外側において、上蓋12に付着していた粉粒体が落下した場合でも、粉粒体を回収面500上に載置させることによって、作業員91が容易に回収することができる。ただし、屈曲部512は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、回収面500において、例えば、フッ素樹脂を含むコーティング処理が施されている。これにより、回収面500上に載置された粉粒体を、例えば、作業員91が掃き集めて回収した後に、粉粒体が回収面500に付着したまま残ることを抑制できる。
【0049】
3つの屈曲部512は、回収面500の3つの端部81,82,83において、それぞれ屈曲する部位である。3つの屈曲部512はそれぞれ、回収面500が水平となった状態において、上向きに屈曲する。これにより、回収面500上に載置された粉粒体が、端部81,82,83から床等へこぼれ落ちることを抑制できる。
【0050】
なお、回収面500における3つの端部81,82,83を除く残りの端部84は、有蓋粉粒体収容容器10の容器本体11の外周面に沿うように、湾曲した形状を有する。これにより、後述のとおり回収板支持機構52を介して回収板51を容器本体11に取り付けたときに、回収板51と容器本体11との間に隙間が形成されることを抑制できる。この結果、開放位置Poに位置する上蓋12から落下した粉粒体が、回収板51と容器本体11との間の隙間を介して床等へ落下してしまうことを抑制できる。
【0051】
ただし、回収板51の構造は、これに限定されない。回収板51は、開放位置Poに位置する上蓋12の下面と鉛直方向に対向する回収面500を、少なくとも一部に有していればよい。
【0052】
回収板支持機構52は、一対の機構である第1回収板支持機構521および第2回収板支持機構522から構成される。第1回収板支持機構521および第2回収板支持機構522は、互いに左右対称な構造を有する。また、第1回収板支持機構521および第2回収板支持機構522はそれぞれ、1つの下側支持部材85と、1つの支軸86と、1つの連結部88とを有する。すなわち、本実施形態の回収板支持機構52は、2つの下側支持部材85と、2つの支軸86と、2つの連結部88とを有する。ただし、回収板支持機構52の構造は、これに限定されない。回収板支持機構52は、一繋がりに形成されていてもよい。
【0053】
下側支持部材85は、水平方向に拡がる上面851を有し、後方の端部において、下方へL字形状に屈曲する屈曲部852を有する。上面851には、回収板51が載置される。すなわち、上面851は、回収板51の一部に接触する。また、屈曲部852には、複数(本実施形態では、2つ)のボルト貫通孔853が設けられている。2つのボルト貫通孔853は、互いに上下方向に離間して設けられている。
【0054】
また、図3に示すように、有蓋粉粒体収容容器10の側壁部112には、複数(本実施形態では、3つ)のボルト穴113が設けられている。3つのボルト穴113は、互いに上下方向に離間して設けられている。下側支持部材85は、屈曲部852のボルト貫通孔853を貫通するボルト(図示省略)を、側壁部112のボルト穴113に締め付け固定することによって、容器本体11に直接的に固定される。ただし、下側支持部材85は、別の部材を介して、容器本体11に間接的に固定されてもよい。
【0055】
ここで、下側支持部材85を容器本体11に固定するための上記のボルト(図示省略)を貫通させるボルト貫通孔853は、上下方向に並ぶ2つのうち、いずれかが選択される。また、上記のボルトを締め付け固定する容器本体11のボルト穴113は、上下方向に並ぶ3つのうち、いずれかが選択される。これにより、下側支持部材85を、鉛直方向における任意の位置において、容器本体11に固定することができる。この結果、下側支持部材85および回収板51を、作業員91の身長等に見合った高さへと調整することができるため、作業性を向上できる。
【0056】
支軸86は、下側支持部材85の上面851と平行に架設された柱状の部材である。上記のとおり、本実施形態の回収板支持機構52は、2つの支軸86を有する。そして、一方の支軸86は、第1回収板支持機構521の下側支持部材85の右端部に固定され、他方の支軸86は、第2回収板支持機構522の下側支持部材85の左端部に固定される。しかしながら、回収板支持機構52は、1つの支軸86を有していてもよい。そして、1つの支軸86が、下側支持部材85の両端部(第1回収板支持機構521の右端部および第2回収板支持機構522の左端部)に固定されてもよい。
【0057】
2つの連結部88は、それぞれ一端が支軸86に回転可能に取り付けられている。すなわち、2つの連結部88はそれぞれ、支軸86に対して回転可能に支持されている。また、2つの連結部88の他端はそれぞれ、回収板51に固定されている。これにより、図5中の矢印A2にて示すように、回収板51は、回収板支持機構52によって、支軸86を中心として傾斜可能に支持される。このとき、回収板51は、下側支持部材85の角部854に接触しながら、回収面500が水平となる位置と鉛直となる位置との間で傾斜可能に支持される。これにより、作業員91は、回収板51を傾斜させることによって、回収面500上に載置された粉粒体を、効率良く回収することができる。ただし、回収板51は、下側支持部材85に支持される構造であれば、必ずしも傾斜可能でなくてもよい。また、回収板51が傾斜する方向は、容器本体11に対して左右方向であってもよい。
【0058】
なお、本実施形態では、回収板51における2つの連結部88が固定される位置は、回収板51の中央位置516よりも後方寄りである。すなわち、回収板支持機構52を介して回収板51を容器本体11に取り付けたときに、回収板51のうち2つの連結部88が固定される位置は、より容器本体11に近い位置に在る。これにより、例えば、粉粒体回収機構50の使用を一時休止するときには、回収板51を傾斜させて回収面500が鉛直となるように折り畳むことによって、粉粒体回収機構50を含む粉粒体処理装置1全体の配置スペースを抑制することができる。
【0059】
さらに、有蓋粉粒体収容容器10には、ロック部材89が設けられている。ロック部材89は、ロック部材本体891と、レバー部892とを有する。本実施形態では、ロック部材本体891は、容器本体11の外周面のうち下側支持部材85が固定される位置よりも上方において、容器本体11の外周面に固定される。レバー部892は、ロック部材本体891に対して、前後方向に延びる回転軸890を中心として回転可能に支持される。図5の矢印A3に示すように、レバー部892は、制限位置Plと非制限位置Pnlとの間で回転可能である。
【0060】
レバー部892が制限位置Plに在るとき、回収板51を矢印A2にて示す方向に傾斜させようとすると、レバー部892に接触する。すなわち、ロック部材89によって、回収板51の傾斜を制限することができる。これにより、レバー部892を制限位置Plに位置させることによって、回収板51が不意に大きく傾斜することによる、回収面500上に載置された粉粒体が床等へ落下してしまうことを防止できる。
【0061】
また、本実施形態のレバー部892は、制限位置Plと非制限位置Pnlとの間で、小刻みに回転位置を固定することができる。これにより、回収板51を矢印A2にて示す方向に傾斜させるときの、回収板51がレバー部892に接触する位置を調整できる。すなわち、ロック部材89は、回収板51が傾斜できる角度を調整可能である。この結果、例えば、作業員91が、回収板51の傾斜を徐々に大きくしながら、回収面500上に載置された粉粒体を掃き集めて回収することができるため、作業性をより向上できる。
【0062】
ただし、ロック部材89の構造は、これに限定されない。ロック部材89は、回収板51の上方において、容器本体11の外周面における鉛直方向の任意な位置に取り付け可能なボルト等であってもよい。
【0063】
また、回収板51の形状は、上記の形状には限定されない。図6および図7はそれぞれ、変形例に係る回収板51を後方から見た側面図である。これらの回収板51は、同様に、上記の連結部88を介して下側支持部材85に固定される。
【0064】
図6の変形例に示すように、回収板51は、底面部511と、3つの屈曲部512とを有し、底面部511は、3つの屈曲部512に対して直交する方向に拡がる第1底面部71と、複数(本実施形態では、2つ)の第2底面部72とを含んでいてもよい。そして、複数(本実施形態では、2つ)の第2底面部72は、回収板51の内側の空間が第1底面部71に近づくにつれて収束するように、第1底面部71と3つの屈曲部512とに対して傾斜していてもよい。そして、第1底面部71および第2底面部72が、上記の開放位置Poに位置する上蓋12の下面と鉛直方向に対向する回収面500を構成してもよい。
【0065】
また、図7の変形例に示すように、回収板51は、底面部511と、3つの屈曲部512とを有し、底面部511は、回収板51の内側の空間が底面部511の中央部分に近づくにつれて収束するように、曲面形状を有していてもよい。そして、底面部511が、上記の開放位置Poに位置する上蓋12の下面と鉛直方向に対向する回収面500を構成してもよい。
【0066】
以下に、本実施形態の粉粒体回収機構50を用いて、有蓋粉粒体収容容器10の上蓋12から容器本体11の外側へ落下した粉粒体を回収する方法の概要を説明する。まず、容器本体11の内部空間100における粉粒体の撹拌混合処理、および撹拌して混合した後の粉粒体を内部空間100から排出する排出処理が完了した後、上蓋12を開放位置Poへと移動させる前に、予め、回収板51が連結部88を介して固定された下側支持部材85を、容器本体11に固定する。その後、上蓋12を開放位置Poへと移動させ、上蓋12から落下した粉粒体を、回収面500に載置させる。さらに、作業員91が、回収板51を徐々に傾斜させながら、回収面500上に載置された粉粒体を掃き集めて回収する。
【0067】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0068】
図8および図9はそれぞれ、変形例に係る粉粒体回収機構50Bの斜視図である。図8の変形例に係る粉粒体回収機構50Bは、上記の実施形態に係る下側支持部材85を有さず、収束部514Bを有している。収束部514Bは、鉛直方向に筒状に延び、かつ、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗形状を有する。収束部514Bの下端部には、回収口510Bが形成されている。さらに、図9の変形例では、回収口510Bから下方へ連続して筒状に延びる筒状部515Bが形成されている。また、図8および図9の変形例に係る粉粒体回収機構50Bは、図示を省略したキャスターを有する支持機構によって支持される。
【0069】
そして、図8および図9の変形例に係る粉粒体回収機構50Bを用いて、上記の実施形態と同様に粉粒体を回収する際には、予め、粉粒体回収機構50Bを、容器本体11に近接しつつ配置する。これにより、収束部514Bの内面の少なくとも一部(本変形例では、収束部514Bの内面の全体)が、上蓋12が開放位置Poに在る場合の下面と対向する回収面500Bを形成する。そして、上蓋12を開放位置Poへと移動させ、上蓋12から落下した粉粒体を、回収面500Bに載置させる。ここで、図8および図9の変形例に係る粉粒体回収機構50Bの回収面500Bは、回収口510Bへ向かって傾斜している。このため、回収面500B上に載置された粉粒体は、自然に回収口510Bへと集まって排出される。この結果、作業員91は、回収口510Bから排出された粉粒体を容易に回収することができる。また、回収口510Bの下方にゴミ箱等を設置しておけば、作業員91の手間を省くこともできる。
【0070】
また、上記の実施形態および変形例において、回収面に載置された粉粒体をより速く、または自動的に回収するために、回収面を振動させる振動装置が別途設けられてもよい。
【0071】
粉粒体処理装置の細部の構成については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 粉粒体処理装置
10 有蓋粉粒体収容容器
11 容器本体
12 上蓋
21 撹拌羽根
30 駆動部
40 粉粒体排出部
50,50B 粉粒体回収機構
51 回収板
52 回収板支持機構
85 下側支持部材
86 支軸
88 連結部
89 ロック部材
100 内部空間
110 開口
111 底板部
112 側壁部
113 ボルト穴
500,500B 回収面
511 底面部
512 屈曲部
514B 収束部
516 (回収板の)中央位置
851 (下側支持部材の)上面
852 屈曲部
853 ボルト貫通孔
Pc 閉塞位置
Pl 制限位置
Pnl 非制限位置
Po 開放位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9