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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】調理用空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20250121BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20250121BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20250121BHJP
   F24F 8/133 20210101ALI20250121BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20250121BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F7/003
F24F8/108 120
F24F8/133
F24F8/80 254
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021104957
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003712
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599054307
【氏名又は名称】高田 功一
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】高田 功一
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-336880(JP,A)
【文献】特開2011-247503(JP,A)
【文献】特開2009-208004(JP,A)
【文献】特開2006-266608(JP,A)
【文献】特開2005-043032(JP,A)
【文献】米国特許第04134394(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/003
F24F 8/108
F24F 8/133
F24F 8/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内フードと、前記室内フード内に配設され下面に吸気口を有する吸気室と、前記吸気室と排気部を介して連通し屋外に配設された清浄装置部と、前記清浄装置部と前記室内フードを連通する給気ダクトとを備え、
前記清浄装置部は水噴霧ノズルとフィルターとを備える清浄部と、送風機能を備える送風部と、前記給気ダクトとの接続部を有し、前記室内フードの上部側に有する給気口から清浄化された空気が室内に供給され
前記排気部は排気ダクトと、前記清浄部の背面から下部に沿って配設された排気室とを有し、前記排気室の一部が前記清浄部と建築物の外壁との間に設けられていることを特徴とする調理用空気清浄機。
【請求項2】
前記接続部は前記給気ダクトと接続するための接続口と、屋外へ空気を排出可能な排気口と、前記接続口又は排気口への空気通過を切り替える切替ダンパとを有することを特徴とする請求項1に記載の調理用空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理排気を屋外に設けた清浄装置部で清浄し、清浄化された空気を室内に循環させる空気清浄機に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭内において、燃焼ガスが発生しない調理器の使用により水蒸気や油煙、臭気等を含む調理排気が発生するが、この調理排気を屋外に排出することで室内に圧力差が生じるなど、課題があった。
そこで、調理排気を屋外に排出するのではなく、室内で清浄化して循環させる空気清浄機が開発されている。
例えば特許文献1,2に、調理排気を室内フード内に設けたフィルターを通過させることで清浄化し、清浄化された空気を室内に循環するようにした室内循環式レンジフードを開示する。
【0003】
しかし、このような清浄機能を有する室内フードは、その内部にフィルターや清浄装置などを必要とするために大型化しやすく、調理場を含めた室内のデザイン性を損なう原因となっていた。
また、空気清浄機によっては、清浄化した空気をその単一あるいは複数方向の給気口から供給するが、人体に直接あたるような場合には不快感が生じやすい。
さらに、調理排気が多量に発生した場合や臭気が強い場合に、すべてを清浄化できずに臭気等の残存する空気が室内を循環する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-104618号公報
【文献】特開2011-89739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、調理場を含めた室内のデザイン性を損ねることなく、室内環境の清浄化に優れた調理用空気清浄機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調理用空気清浄機は、室内フードと、前記室内フード内に配設され下面に吸気口を有する吸気室と、前記吸気室と排気部を介して連通し屋外に配設された清浄装置部と、前記清浄装置部と前記室内フードを連通する給気ダクトとを備え、前記清浄装置部は水噴霧ノズルとフィルターとを備える清浄部と、送風機能を備える送風部と、前記給気ダクトとの接続部を有し、前記室内フードの上部側に有する給気口から清浄化された空気が室内に供給されることを特徴とする。
【0007】
ここで、室内フードとは、燃焼ガスが発生しない調理器、例えばキッチンに備え付けられた電磁調理器等の上方に配設される。
本発明の空気清浄機によって、例えば電磁調理器の使用により発生した調理排気は、室内フードの下部側(吸気口)から排気ダクト等の排気部を介して屋外の清浄装置部に排気され、この清浄装置部で清浄化された後、給気ダクトを介して室内フードの上部側(給気口)から室内に供給される。
そのため、室内フードの内部に清浄機能を設ける必要がなく、室内フードを小型化しやすい。
また、室内フードの上部側から、例えば天井面に沿わせて清浄化した空気を供給することで、室内フード内に設けた吸気室に大きな吸気口を設けても、吸引気流に影響を与えずに、その一方で吸気圧を小さくできる。
【0008】
本発明において、前記接続部は前記給気ダクトと接続するための接続口と、屋外へ空気を排出可能な排気口と、前記接続口又は排気口への空気通過を切り替える切替ダンパとを有してもよい。
これにより、切替ダンパを切り替えることで、清浄化した空気を室内へ供給しないときには、例えば清浄部内を温水洗浄することで生じる湯気や、清浄化しきれないような強い臭気を屋外へ排出できる。
【0009】
本発明においては、前記排気部は排気ダクトと、前記清浄部の背面から下部に沿って配設された排気室とを有し、前記排気室の一部が前記清浄部と建築物の外壁との間に設けられていてもよく、このようにすると建築物の外壁を隔てて、室内フードの背面側に清浄部を配設できる。
また、前記排気部は建築物の外壁に沿って延在する屋外排気ダクトを有し、前記清浄装置部は前記屋外排気ダクトにより前記外壁への取り付け位置が調整可能になっていてもよい。
このようにすると、屋外地面又はその近傍に清浄装置部を配置してメンテナンスしやすくしたり、外壁の形状や構造に合せて清浄装置部の取り付け位置を変えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る調理用空気清浄機は、清浄機能を備える清浄装置部を屋外に設け、清浄化した空気を室内に循環するので、室内側に配設する室内フードを小型化でき、室内環境の清浄化にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る調理用空気清浄機の構造例を示し、(a)は空気の流れを示す側面概略図であり、(b)はその上面概略図である。
図2】(a)は室内側からみた斜視図を、(b)は屋外側からみた斜視図を示す。
図3】実施例2の屋外側からみた斜視図を示す。
図4】(a)は実施例2の空気の流れを示す側面概略図であり、(b)はその屋外側からみた概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る調理用空気清浄機の構造例を、以下、図に基づいて説明する。
図1(a)、(b)に空気の流れを示す概略図を、図2(a)に室内側からみた斜視図を、図2(b)に屋外側からみた斜視図を示す。
なお、本明細書における建築物の外壁1とは、建築物内の調理場において室内と屋外を隔てる壁をいう。
【0013】
図1(a)、(b)に示すように、調理用空気清浄機は室内に配設される室内フード10と、屋外に配設される清浄装置部(清浄部31、送風部33、接続部34)と、室内フード10から清浄装置部に排気するための排気部(排気ダクト21、排気室22)と、清浄装置部から室内フード10に給気するための給気ダクト41を備える。
本実施例は、キッチンに備え付けられた電磁調理器(以下、調理器2という)を外壁1の室内面に近設し、室内フード10を調理器2の上方であって外壁1の室内面及び天井3に接設した例である。
なお、本明細書において背面とは、例えば室内フード10であれば外壁1の室内面との対向面を、清浄装置部であれば外壁1の屋外面との対向面をいい、より外壁1に近い面をいう。
【0014】
室内フード10は下側が開口した略長方形状であり、図1(a)に示すように、その内部空間を上下方向に仕切るような仕切14に吸気室12が保持されている。
吸気室12は略長方形状であり、下面に吸気口11と背面に排気ダクト用接続口をそれぞれ有するが、吸気口11から吸引する調理排気が室内フード10の上部空間に漏れ出なければ、特にその形状に限定はない。
断熱した排気ダクト21は、吸気室12の排気ダクト用接続口から外壁1を貫通するように延在し、外壁1に対しておよそ垂直方向に外壁1の屋外面に接設した排気室22と吸気室12を連通する。
断熱した排気室22は、内部に空洞部を有する略L字形状であり、清浄部31の背面から下部に沿って配設されて清浄部31内に調理排気を通気する。
この際、清浄部31の上方に接設した送風部33内の送風機の駆動により、吸気口11から排気ダクト21、排気室22を介して清浄部31内を下から上へ調理排気が吸引される。
【0015】
清浄部31は、その内部にフィルター32とその近傍に水噴霧ノズルを設けて、フィルター32を通過する調理排気を水噴霧ノズルからの噴霧水により洗浄する。
水噴霧ノズルは、噴霧水の流量がフィルターに対して水平方向におよそ均一となるように設けられることが好ましく、給水管に接続された水噴霧ノズルが、例えば電磁弁等を用いて送風機の稼働により給水されてもよい。
フィルターとしては、例えばバッフルフィルターやパンチングフィルター、メッシュフィルター、バッフルスリットフィルター等が挙げられ、清浄部31内の上下2カ所にフィルターが設けられていてもよい。
また、清浄部31や排気ダクト21、排気室22等の内部に活性炭やセラミック等の吸着材を配置して、調理排気中の臭気等を吸着してもよい。
送風部33は、清浄部31で清浄化された空気を接続部34に吹き出す。
図1(b)に示すように、接続部34は、その背面に給気ダクト41と接続するための接続口34aを、正面に屋外へ空気を排出可能な排気口34bを、内部に接続口34a又は排気口34bへの空気通過を切り替える切替ダンパ35を有する。
清浄化した空気を室内へ供給する際には、切替ダンパ35で排気口34bへの空気通過を阻止するが、例えばカレーや燻製等の調理により強い臭気が発生するような場合には、切替ダンパ35を切り替えて排気口34bから屋外に空気を排出してもよい。
切替ダンパ35は、例えば室内フード10に設けた手動ボタンと連動して空気の通過方向を切り替えられることが好ましい。
なお、図2(b)に示すように、清浄部31はその隣接する洗浄用温水タンク36からの温水により自動洗浄されてもよく、この際に出る湯気は排気口34bから室外に排出することが好ましい。
【0016】
給気ダクト41は、図1(b)に示すように、接続部34の接続口34aから排気室22、外壁1を貫通するように延在し、外壁1に対しておよそ垂直方向に接続部34と室内フード10の上部背面側を連通する。
清浄化された空気は、給気ダクト41から室内フード10の上部空間に吹き出され、室内フード10の上部側であって背面以外の三面(正面、両側面)に設けた給気口13a、13b、13cから室内に供給される。
なお、本実施例においてはスリット状の給気口を三面に設けたが、給気口の形状や数、位置等に制限はなく、例えば清浄化された空気が天井面に沿って供給されるように天井3に近い室内フード10の上部に給気口を設けることが好ましい。
【0017】
図3図4(a)、(b)に、実施例2を示す。
実施例2は、アイランドキッチンや対面式キッチンのように調理器2を外壁1から離して配設し、室内フード10を調理器2の上方であって天井3に接設した例である。
このような場合にも、本発明に係る調理用空気清浄機が有用である。
以下、実施例1との相違点について、特に説明する。
本実施例においては、図4(a)に示すように、清浄部31を屋外地面4近傍であって外壁1の屋外側に接設したが、清浄装置部を屋外に配設する位置に特に限定はない。
【0018】
図4(a)に示すように、室内フード10内の吸気室12は、その下面に吸気口11と上面に排気ダクト用接続口をそれぞれ有する。
断熱した排気ダクト21aは、吸気室12の排気ダクト用接続口から天井3内に配設され、天井面に沿って外壁1を貫通するように屋外まで延在し、外壁1に沿って延在する屋外排気ダクト21bと接続する。
図4(b)に示すように、断熱した排気室23は内部に空洞部を有する略長方形状であり、屋外排気ダクト21bと清浄部31のそれぞれにおよそ垂直となるように配設されて、両者を連通する。
送風部33の駆動により清浄部31内を下から上へ吸引された調理排気は、清浄化されて接続部34に吹き出され、接続部34の上面に設けた接続口34aから外壁1に沿って延在する給気ダクト41bに給気される。
給気ダクト41bは、図4(a)に示す排気ダクト21aに並列するように天井3に沿って室内フード10の上面側に貫通する別の給気ダクト(図示省略)と接続する。
これにより、清浄化された空気は室内フード10の上部空間に吹き出され、図3に示すような室内フード10の給気口13a、13bから室内に供給される。
なお、給気口は室内フード10の上部側であって四面(正面、背面、両側面)や三面に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 外壁
2 調理器
3 天井
10 室内フード
11 吸気口
12 吸気室
21 排気ダクト
22 排気室
31 清浄部
32 フィルター
33 送風部
34 接続部
34a 接続口
34b 排気口
35 切替ダンパ
41 給気ダクト
図1
図2
図3
図4