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特許7623007別個の挟み留部を有するカード、及び/又は札のための保持器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】別個の挟み留部を有するカード、及び/又は札のための保持器具
(51)【国際特許分類】
   A45C 1/06 20060101AFI20250121BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A45C1/06
A45C11/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021572434
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020065300
(87)【国際公開番号】W WO2020245164
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】102019007182.4
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/064937
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520053876
【氏名又は名称】マイアー,フランク エフ.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,フランク エフ.エー.
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135452(US,A1)
【文献】登録実用新案第3060642(JP,U)
【文献】特表2018-503406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0104830(US,A1)
【文献】登録実用新案第3177914(JP,U)
【文献】特開2009-012221(JP,A)
【文献】特開2009-137673(JP,A)
【文献】特開2000-300327(JP,A)
【文献】特開平11-266917(JP,A)
【文献】特開2000-328101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/06
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に開口している容器状体(2)を有し、該容器状体(2)は床部(6)を有し、該床部(6)は、上方向に出張っており、相互に距離を置いて配置された側方ストリップ(10、12)を有するカード、及び/又は札のための保持器具であって、
挟み留部(4)が、容器状体(2)に可逆的に取り外し可能に配置されており、且つ
挟み留部(4)は、上側に向いて開口した容器状体(2)内に、上側から床部(6)に対して傾斜して介入する構成を有し、
挟み留部(4)は、カードも、札も、容器状体(2)内に配置されていない場合には、少なくとも部分的に、側方ストリップ(10、12)の間に存在し、
床部(6)には、空所(8)が設けられており、及び挟み留部(4)は、自由端(36)が、空所(8)を通って少なくとも部分的に浸入し、及び床部(6)の下側から突き出るように形成され、且つ
挟み留部(4)が、容器状体(2)のスリット(117)に差し込むための2つの差込舌状部(4b)を有し、該差込舌状部(4b)は、その自由端部の方向へと円すい状に細くなる、又は少なくとも1方向に細くなる差込栓状部(4c)を2つ有し、
前記2つの差込栓状部(4c)は凹部(4a)によって、互いに領域的に離れており、前記2つの差込舌状部(4b)は、大型除去部分(4d)によって、互いに領域的に離れている、ことを特徴とする保持器具。
【請求項2】
容器状体(2)が、粉末射出成形法によって製造されており、及び/又は容器状体(2)が、少なくとも1つの滑走手段(113、113‘、113‘‘、113‘‘‘、113a、113b)を有することを特徴とする請求項1に記載の保持器具。
【請求項3】
容器状体(2)が金属を有するか、又は金属から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の保持器具。
【請求項4】
容器状体(2)がセラミックスを有するか、又はセラミックスから成ることを特徴とする請求項に記載の保持器具。
【請求項5】
滑走手段(113、113‘、113‘‘、113‘‘‘、113a、113b)が、床部(6)に組み込まれており、及びその滑り効果の有る表面(114、114‘、114“、114a、114b)が上側に備えられており、クレジットカードは容器状体(2)内に挿入する際に、滑走手段(113、113‘、113‘‘、113‘‘‘、113a、113b)の上を滑ることが可能であることを特徴とする請求1~の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項6】
滑走手段(113、113‘、113‘‘、113‘‘‘、113a、113b)が、床部(6)の除去部(115、115‘、115‘‘)又はへこみ部に、少なくとも部分的に受け入れられており、これにより、その滑り効果の有る表面(114、114‘、114‘‘、114a、114b)が、床部(6)から、少なくとも部分的に突き出ており、及び/又は部分的に床部(6)よりも深く配置されていることを特徴とする請求1~の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項7】
滑走手段(113‘、113‘‘、113‘‘‘)が、滑り効果の有る表面(114‘、114‘‘)と一緒に、床部(6)から出張っており、又は床部(6)の除去部(115、115‘、115‘‘)又はへこみ部から突き出ており、表面(114‘、114‘‘)が床部(6)に向けて、少なくとも部分的に傾斜しており、及び傾斜路を形成していることを特徴とする請求1~の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項8】
少なくとも2つの滑走手段(113a、113b)が備えられており、
挿入方向に見て後ろ側の滑走手段(113a)の滑り効果の有る表面(114a、114b)が、挿入方向に見て前側の滑走手段(113b)の滑り効果の有る表面(114b)よりも、高い摩擦係数を有することを特徴とする請求1~の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項9】
容器状体(2)が、貴金属で構成されており、又は貴金属を有することを特徴とする請求1~の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項10】
側方ストリップ(10、12)が床部(6)と共に、少なくとも区分的に挿入区分を形成し、該挿入区分は、定義された挟込長さ(K)に沿って、少なくとも区分的に、挿入幅(E)を有し、挿入幅(E)は、52mmより長く、及び53.98mmよりも短いことを特徴とする請求1~の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項11】
蓋部(68)が設けられており、該蓋部(68)は、容器状体(2)と結合していることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の保持器具。
【請求項12】
挟み留部(4)が、力によって、及び/又は摩擦によって、及び/又は形状によって、容器状体(2)に配置されている、請求項1~11の何れか1項に記載の保持器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に従うカード、及び/又は札のための保持器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(EP2773235B1)から、保持器具からの取り出しが問題無く行われる、カード、特にクレジットカード、及び/又は札の機能的な保管が可能な保持器具が公知である。
【0003】
この保持器具は、材料コストが低く、そして軽量である。更に、この公知の保持器具は、若干のカード、及び/又は札のみならず、これらの多数のものの安全な保管をも可能にする。
【0004】
この公知の保持器具は、互いに平行に配置された側方ストリップ(側方渡し部分)を有しており、これらの側方ストリップの間に、カードが重ねて受け入れられており、そしてカードの上に、上側から挟み留部が機能している。
【0005】
カード、特にクレジットカード又はお金、又はいわゆるロイヤルティーポイントを負わせるためのカードは、しばしば敏感な磁気ストライプ、チップ、又はラミネートを有し、これらは可能な限り大切に取り扱われる必要が有る。
【0006】
紙幣も、特にEU圏以外の紙幣は、非情に薄い紙で作られ得るもので、及び特に、長期に亘る使用の後に裂け目が入ったりする傾向が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP2773235B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景で、可能な限り全てのカードタイプ、及び/又は紙幣タイプを、可能な限り材料を傷めないようにして、及び恒久的に信頼高く、保持器具内に収容する必要があるという需要が存在する。
【0009】
更に、外箱(容器状体)は、外箱の材料疲労を可能な限り回避するために、可能な限り安定して形成される必要があるという需要がある。
【0010】
更に、収納するカードの種類及び/又は紙幣の種類に適合させるために、外箱(容器状体)は、可能な限り個別に仕上げられる必要があるという需要がある。
【0011】
最後に、外箱の触覚、重さ、及び視覚的な特性が、可能な限り個別に形成可能である必要があるという需要がある。
【0012】
本発明の課題は、カード及び/又は札用の保持器具の外箱(容器状体)を問題無く製造し、又は追加装備し、及びこれに際し、挿入されるカード及び/又は札の保護を可能な限り確実なものにすることに有る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、請求項1に記載の特徴的構成によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に従えば、挟み留部は、力決定的に、及び/又は摩擦決定的に、及び/又は形状決定的(formschluessig)に、容器状体(外箱)に配置されている。これにより、挟み留部は好ましくは、接着剤を使用することもなく問題無く、容器状体又は容器状体のスリットに挟み込むことが可能である。形状決定の場合、挟み留部は、容器状中でかみ合うことが可能である。これにより容器状体は問題無く、部品を増備することが可能である。挟み留部は、その材料、挟み力及び感触を考慮して、容器状体とは独立して選択することが可能である。挟み留部は、容器状体とは分離して製造された増備部分である。容器状体は、好ましい態様で例えば、切削により又は射出成形により製造可能であり、及び後の装備性が良好(ドイツ語でnachiristbar)である。
【0015】
挟み留部は、容器状体のスリットに差し込むための少なくとも1つの差込舌状部を有することが可能であり、ここで差込舌状部には、凹部が形成されているものである。スリットには、支え部又はリブを設けることが可能であり、これらは、スリットの長さ方向の内壁の一方側から向き合う側に延びているものである。挟み留部は、スリットに差し込まれる際に、これらの支え部又はリブを受け入れるため、又はつかむために、2つの凹部を、その2つの差込舌状部に有することが可能である。
【0016】
例えば蓋部が嵌め込まれる、より長い切欠部についても同様である。蓋部も、支え部又はリブを受け入れるため、又はつかむために、対応する凹部を有することが可能である。
【0017】
支え部(支柱部)又はリブによって、スリット又は切欠部の長さ方向の内壁は、細い内壁補強を有することが可能である。支え部又はリブは、スリット又は切欠部を、粉末射出成形法においてきっちりと保持し、及びスリット又は切欠部の変形を回避するのに好ましい手段である。
【0018】
この背景において、挟み留部は、少なくとも1つの差込舌状部を有することが可能であり、該差込舌状部は、その自由端方向に円すい状に伸長する、又は少なくとも1方向に細くなる差込栓状部を有するものである。円錐状又は一方向以上の方向への先細りによって、挟み留部は、容器状体(外箱)に力決定的に、及び又は摩擦決定的に固定される。
【0019】
1つの差込舌状部は、2つの差込栓状部を有することが可能であり、これらの2つの差込栓状部は、凹部によって、互いに領域的に離れていることが可能である。これにより、これら差込栓状部が容器状体に挿入される際、差込栓状部が相互に押圧することが可能になる。これにより、挟み留部を容器状体に固定する追加的な挟み力が達成可能となる。
【0020】
挟み留部は、2つの差込栓状部を有することが可能であり、これらの2つの差込栓状部は、大きな取出部によって互いに隔てられていることが可能である。これにより、差込舌状部が容器状体内に挿入される際、差込舌状部が相互に押圧することが可能になる。これにより、挟み留部を容器状体に固定する追加的な挟み力が達成可能となる。
【0021】
差込舌状部又は差込栓状部に、ラストナーゼ(ノッチ突状部)を設けることが可能であり、該ラストナーゼは、容器状体にラストアウフナーメ(ノッチ受入部)を後に捕えるものである。これにより、形状決定結合を行うことが可能になる。
【0022】
この背景において、容器状体は、粉末射出成形法によって製造可能となり、及び/又は少なくとも1つの滑走手段を有することが可能になる。粉末射出成形法によって、金属又はセラミックス等の無機材料を加工可能となる。基本的に完全に無機材料で構成された容器状体は、比較的問題無く、個別に3次元方向に形状を作ることが可能であり、及びその物理的特性を考慮して、その凸凹性(粗さ)及び/又はその感触を修正可能であり、そしてカード及び/又は札を(大切に)保護するものである。
【0023】
金属及びセラミックは、機械加工(切削)又は鋳込みによっては、化学合成物質よりも込み入った形状にすることは困難である。従って、金属粉末又はセラミックス粉末が化学合成物質と混合され、及び次に、粉末射出成形法によって、容器状体の複雑な形状がもたらされる。ここで、化学合成物質が除去される。粉末射出成形法によって作成された容器状体は次いで、焼結させることが可能であり、そして容器状体は基本的(本質的)に純粋に無機的であり、特に金属性又はセラミックス性である。
【0024】
粉末射出成形法によって、上側に開口している容器状体であって、床部を有し、該床部は、上方向に出張っており、及び相互に距離を置いて配置された側方ストリップを有する容器状体が、ここに記載される技術分野の保持器具用に製造することが可能である。粉末射出成形法は、以下の工程段階、
-金属粉末又はセラミックス粉末を化学合成物質と混合する工程、
-この混合物を容器状体の形状にする工程、
-化学合成物質を除去し、及び容器状体を硬化させる工程。
を含む。
【0025】
支え部又はリブによって、スリット又は切欠部の長さ方向の内壁は、細い内壁補強を有することが可能である。支え部又はリブは、スリット又は切欠部を粉末射出成形法においてきっちりと保持し、及びスリット又は切欠部の変形を回避するのに好ましい手段である。
【0026】
粉末射出成形法によって製造された容器状体には次いで、種々の要素、例えば挟み留部、蓋部又は滑走手段を増備することが可能である。
【0027】
容器状体に滑走手段を組み込むことによって、容器状体を作る材料とは独立して、カード及び/又は札の保護が同様に可能になる。例えば、容器状体が粗い化学合成物質で作成されている場合、滑走手段は、カード及び/又は札の保護に作用することが可能である。
【0028】
容器状体が、比較的粗い射出成形された無機材料で構成されている場合、滑走手段は、カード及び/又は札の保護に作用することが可能である。
【0029】
滑走手段は、容器状体の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有することが可能である。これにより、滑走手段は、保持(付着)をもたらし、及びクレジットカードが容器状体から所望でない態様で、抜けたり又ははみ出したりすることが防止される。この点に関し、滑走手段は同時に付着手段でもあり、その滑り作用表面は同時に、付着作用表面でもある。例えばクレジットカードが指による押しによって滑走手段から持ち上げられ、又は僅かに離される場合、付着作用は、基本的に取り除かれる。
【0030】
容器状体は、金属を有することが可能であり、又は金属から成ることが可能である。有利なことには、容器状体は、合成物質と共に金属から鋳造される。鋳込みの後、化学合成物質は除去され、純粋な鋳造された金属容器状体が提供される。容器状体は、金属粉末射出成形法(MIM)によって製造可能である。金属として、チタンが使用可能である。チタンは、保持器具の利用者に、アレルギー性の反応を殆ど起こさせない。
【0031】
容器状体は、セラミックスを有することが可能であり、又はセラミックスから成ることが可能である。有利なことには、容器状体は、合成物質と共にセラミックスから鋳造される。鋳込みの後、化学合成物質は除去され、純粋な鋳造されたセラミックス容器状体が提供される。容器状体は、セラミックス粉末射出成形法(CIM)によって製造可能である。
【0032】
滑走手段は、容器状体の床部に組み込まれることが可能であり、及びその滑り効果の有る表面が上側に設けられていることが可能であり、これにより、クレジットカードは、容器状体内に挿入する際に滑走手段の上を滑ることが可能である。有利なことには、容器状体の材料が粗い場合に、カードは床部の上を直接的に滑ることがなく、及び保護される。
【0033】
滑走手段は、容器状体の材料内に内在的に、及びこれと材料的に一体的にであっても設けられることが可能である。滑走手段として、滑走ラッカーを使用することも考えられる。しかしながら好ましくは、押し出された別個の要素が、丸い先端状に、丸められた頭部状に、又はレンズ状に形を形成されているものである。滑走手段用の材料として、PA6又はポリカルボネートが考えられる。滑走手段用の材料の摩擦係数は、金属又はセラミックスのものよりも大きいものであることが可能であるが、しかし、カードが滑走手段上を滑る際に、カードのラミネート(薄板)に損傷が発生しないものである。
【0034】
滑走手段は、床部の除去部又はへこみ部に、少なくとも部分的に受け入れられており、これにより、その滑り効果の有る表面が、床部から、少なくとも部分的に突き出ており、及び/又は少なくとも部分的に床部よりも深く配置されているものである。有利なことには、滑走手段は、(分離した)別個の部分として、床部中のクレーター状の部分に張り付けられているか、又は他の手段で固定される。滑走手段が、床部よりも深く配置されている場合、例えば、除去部又はへこみ部の底部表面が斜めになっているか又は傾斜している場合、滑走手段は、絶え間の無い押し込みによってしわが形成されず、又は破損されない。
【0035】
滑走手段は、その滑り効果のある表面が床部から出っ張ており、又は床部の除去部又はへこみ部から突き出ており、滑り効果のある表面が床部へと傾斜していることが可能であり、及び傾斜路を形成していることが可能である。傾斜路が形成され、及びカードがより良好な応力下に、挟み留部に密接可能であることが有利である。傾斜路は、カードの挿入をも容易化する。
【0036】
複数の滑走手段を組み込むことが可能である、有利なことには、滑り効果の改良が達成される。
【0037】
挿入方向に見て後ろ側の滑走手段の滑り効果の有る表面が、挿入方向に見て前側の滑走手段の滑り効果の有る表面よりも、高い摩擦係数を有する、複数の滑走手段を組み込むことが可能である。カードは、取出し時にはより強く固定されており、そして更に外側に押し出されるに従いより弱く固定されることが有利である。
【0038】
滑走手段は、化学合成物質、織物材料、革、又は合成皮革で作られることが可能である。有利なことには、織物、例えばフェルト製詰物がコスト的に安価である。より高価な滑走手段は、革又は合成皮革であることが可能である。
【0039】
容器状体には、化学合成物質、又は他の材料でできた単数の挟み留部又は複数の挟み留部を組み込むことが可能である。これに替えて又は追加的に、単数の挟み留部又は複数の挟み留部を、容器状体に可逆的に、取外し可能に配置することが可能である。容器状体が無機材料から、及び挟み留部が化学合成物質から構成される場合には、保持器具は2つの部分で形成されることが有利である。所定の挟み留部が、上記のものを構成する材料とは独立して、交換部分として組み込まれることが有利である。挟み留部がホットボンドを使用して固定されている場合、使用者は、無機性の容器状体を加熱することによって、使い古された挟み留部を自身で取り除くことが可能である。これにより、挟み留部を問題無く交換可能である。
【0040】
容器状体は、貴金属から成ることが可能であり、又はこれらを有することが可能である。有利なことには、保持器具は、高価な金属で作成される。このことについて、石膏型が必要である。
【0041】
側方ストリップは、床部と共に、少なくとも区分的に、挿入区分を形成し、該挿入区分は、定義された挟込長さに沿って、少なくとも区分的に、挿入幅を有し、該挿入幅は、52mmより長く、及び53.98mmよりも短いことが可能である。この通常のカード幅を下回る寸法によって、カードが容器状体内に挿入される間、カードは少なくとも挟み留長さに沿って一様な挟みを受ける。たとえ容器状体の原材料が疲労するか、又は延びてしまったとしても、より長い使用の後ででも、容器状体は挟み力を発揮することがなお可能である。
【0042】
容器状体に、(一つの)挟み留部が組み込まれている場合、この挟み留め部は、カードを容器状体内に固定するために、カードの方向に明らかにより弱い弾力(弾性)を及ぼす必要が有った。この理由は、この理由は、その側部における「挟み状態」が、既に固定状態を生じさせるからである。比較的弱い挟み留部は、傷つきやすい紙幣を保護し、及び裂け目の発生を防止するものである。カードのチップ、ラミネート、及び磁気ストライプも保護される。
【0043】
挟み留部が発揮する挟み力が弱い場合、これらの摩耗及び疲労は少なくなる。このことは、合成物質内により少ないヤング率(E-モジュール)が作用することと関連している。少ないヤング率を有する合成物質は、疲労及び老朽化(使いつぶし)を低減する傾向がある。
【0044】
挿入幅は、上側への方向に向けて広くなることができる。これにより、カードが、挿入の障害になるような過剰値(寸法過大)を有する場合、カードは、上側へと容易に「かしぐ」ことができる。
【0045】
この背景において、挿入幅は、上側領域で54~54.2mmであることが可能であり、及び/又は53.98mmから出発して、所定の幅に広がることが可能であり、該所定の幅は、54~54.2mmの範囲である。これにより、通常のクレジットカードが問題無く、及びそれにも拘わらず、良好に固定して受け入れ可能な構成が、確実に達成される。
【0046】
挟み長さは、3mm~85.6mmの範囲であることが可能である。カードの十分な側部固定(側方からの固定)と挟み状態をもたらすために、この長さ範囲が有意義なものであることが判明した。挟み長さは、好ましくは、幾分長い6mm~85.6mmの範囲、特に好ましくは、長い10mm~85.6mmの範囲である。
【0047】
側方ストリップの内側構成面は、少なくとも挟み長さに沿って相互に平行に配置されることが可能である。これにより、カードは定められた高さ上に、専ら側方ストリップを介して、挟まれた状態で保持される。
【0048】
側方ストリップの内側に位置する構成面は、容器状体内に挿入されたカードが、上側又は下側にアーチ形にされ、又は床部に対して斜めに傾斜して受け入れられるように形成されているか、又は傾斜していることが可能である。これにより、カードは軽く変形した状態で、容器状体内に力決定的(kraftschluessig)に保持される。
【0049】
床部又は床部の一部は、少なくとも区分的に、可逆的に変形可能であるか、及び/又は所定の加力(付勢力)下に、アーチ形になった状態又は湾曲した状態に形成されることが可能である。これにより、床部の所定部分がたわみ、及びその形状を変形させて、挿入されるカードの強すぎる「挟み状態」を補償し、低減させ、又は防止することが可能になる。
【0050】
容器状体の結合ストリップが、少なくとも区分的に、可逆的に変形可能であるか、及び/又は所定の加力下に、アーチ形になった状態又は湾曲した状態に形成される場合、同様のことが達成可能になる。
【0051】
容器状体は、2成分注型法によって作られていることが可能である。これにより、容器状体の個々の領域又は部分、特にその挟み留部を、異なるヤング率を有する異なる材料で作成することが可能になる。例えば、挟み留部(クリップ)を、比較的弾性の合成物質で、及び容器状体の他の部位を、比較的堅い合成物質で作成することができる。
【0052】
本保持器具は、単純な構成を有し、及びカード、及び/又は札の機能的に適切な保管を可能とするもので、その挿入、同様に取り出しが何ら問題無く行われるものである。
【0053】
本明細書に記載した種類の保持器具は、カード、及び/又は紙幣を上側から床部に対して押し当てるために、1つ又は複数の挟み留部を有することが可能である。
【0054】
少なくとも1つの挟み留部が、別個のバネ手段によって、その挟み力を補助されていることが可能である。これにより、挟み留部は、たとえその材料が疲労現象を示したとしても、十分なバネ力を床部の方向に及ぼすことが可能となる。
【0055】
別個のバネ手段は、葉状バネ、渦巻きバネ、又はバネクリップとして形成されていることが可能である。このようなバネ手段は、安価に及び容易に加工可能である。
【0056】
容器状体は単一体的に形成することが可能であり、及び挟み留部は、所望の方法で、その統合された構成部分であることが可能である。本保持器具は、有利なことには、サック(小型ケース)として形成され、及びカード、例えばクレジットカード又はキャッシュカード、特に通常では所謂キャッシュカード形式のもの、及び紙幣、証書、メモ用紙等の保管に有用である。
【0057】
1つ以上の挟み留部を使用して、札もカードも容器状体内にしっかりと留められ、そしてカードの別個の保持用の追加的な手段は必要とされないが、しかしながら備えられることも可能である。
【0058】
容器状体は、床部から突き出ており、及び相互に向かい合っている2つの側方ストリップを有し、これらの側方ストリップの間に、1つ以上のカードが固定されることが可能である。容器状体内に、カード又は札が配置されていない場合には、1つ以上の挟み留部は、少なくとも概略的に容器状体の床部にまで達している。
【0059】
床部は好ましくは空所を有し、保持器具内にカード又は札が存在しない場合には、上記空所を通って少なくとも1つのバネ弾性を有する挟み留部が差し込まれることが可能である。床部とストリップ部の上側の領域は自由であり、及び上側部分は存在せず、挟み留部は、少なくとも床部まで、及び/又は床部の空所まで達しており、及び好ましくは空所を通って少なくとも部分的に差し込まれていることが可能である。
【0060】
カード、及び/又は札の挿入の際、バネ弾性を有する挟み留部は持ち上げられ、及び加力(付勢)され、次にこの加力に基づいて、たとえ1枚のカードであっても確実に保持するか、ないしは容器状体内にしっかりと留められる。
【0061】
空所の寸法は好ましくは、所望のカードに単純な態様でアクセスして、及び取り出し可能であるように、1枚以上のカードを単純な態様で、2本の指、又は親指で移動させることが可能である大きさに設定される。
【0062】
更に、空所は好ましくは、1つ以上の挟み留部よりも相当に大きい幅を有し、そしてこの幅の設定により、使用者は挟み留部の少なくとも1側方、又は先端部領域において、例えば1本の指を差し込むことが可能とするものである。これにより1つ以上の挟み留部でカード上に及ぼされる加力を最小限にし、及び所望のカードを容器状体から容易に取り出すことが可能になるものである。
【0063】
有利なことには、上記側方ストリップは異なる高さを有し、これにより札又は(側方ストリップの間隔によって与えられるものよりも)大きいカード、例えば名刺を、より短い側方ストリップを超えて突出させることが可能であり、及びそれにも拘わらずしっかりと固定することができる。
【0064】
本発明の好ましい一実施の形態では、蓋部、特に可変性のある(柔軟な)蓋部が備えられており、該蓋は、上述した側方ストリップ、又はその結合ストリップに留められており、及び場合により、及び必要により、交換可能なものである。
【0065】
更に、容器状体は、カード、及び/又は札の挿入又は取り出しを容易にするために、好ましくは、少なくとも1つの窪み部を有する。
【0066】
本発明に従う保持器具の更なる詳細、及び特定の実施の形態は、従属項及び以下の適用例の記載に説明されている。
【0067】
概観的な理由から、異なる適用例(実施例)で、本質的に機能が同様の要素についは同じ符号が使用されている。
【0068】
本発明を図に示した適用例を使用して、より詳細に説明するが、本発明はこれら適用例に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1a図1aは、下側に、保持器具の容器状体の遠近画法図を示し、これは粉末射出成形法であり、及び上側に、交換部分として置かれている挟み留部を示している。
図1b図1bは、図1aに従う容器状体の更なる形態を示しており、ここで挟み留部の結合領域に、ストッパー延長部が設けられており、該ストッパー延長部は、カードが上下に重ねた状態で維持され、及び壁厚の分、移動しないようにするものであり、及び床部の除去部又はへこみ部にはめ込むことが可能なレンズ状の滑走手段を示しており、ここで、除去部又はへこみ部は、床部に対して相対的に傾斜しているか、又は平行である。
図1c図1cは、図の中心部において、押出成形され、定められた寸法を有するプロフィールが示されており、ここで側部の外部の辺部には面取部が設けられており、これは、半径部分(周囲部分)を除去部に受け入れるようにするためのものであり、これにより、プロフィールが除去部から持ち上げられることがないようにするものであり、及び図の上部左側には、上記半径部分を有する除去部の断面が示されている。
図1d図1dは、挟み留部の無い状態の保持器具の遠近画法図を示している。
図1e図1eは、補強用に支え部又はリブを有する容器状体、及び組み込み可能な挟み留部を描いており、上記挟み留部は、上記支え部又はリブをつかむことが可能なものである。
図1f図1fは、2つの差込舌状部を有する挟み留部の更なる俯瞰図であり、ここで上記2つの差込舌状部は、2つの差込栓状部を有しており、上記差込栓状部は、その自由端方向に円錐状に伸長している。
図1図1は、単独の挟み留部を有する保持器具の遠近画法図を示している。
図2図2は、図1に従う保持器具の、内部にカード及び札が保管された状態を示している。
図3図3、4は、図1、2に示したものの、目線方向Aでの状態を示している。
図4図3、4は、図1、2に示したものの、目線方向Aでの状態を示している。
図5図5、6は、図1、2に示したものの、目線方向Bでの状態を示している。
図6図5、6は、図1、2に示したものの、目線方向Bでの状態を示している。
図7図7、8は、図1、2に示したものの、目線方向Cでの状態を示している。
図8図7、8は、図1、2に示したものの、目線方向Cでの状態を示している。
図9図9~11は、蓋部を有する特定の実施形態の遠近画法図を示している。
図10図9~11は、蓋部を有する特定の実施形態の遠近画法図を示している。
図11図9~11は、蓋部を有する特定の実施形態の遠近画法図を示している。
図12図12~16は、容器状体の、蓋部を有する特定の実施形態の図を示している。
図13図12~16は、容器状体の、蓋部を有する特定の実施形態の図を示している。
図14図12~16は、容器状体の、蓋部を有する特定の実施形態の図を示している。
図15図12~16は、容器状体の、蓋部を有する特定の実施形態の図を示している。
図16図12~16は、容器状体の、蓋部を有する特定の実施形態の図を示している。
図17図17、18は、蓋部の適用例(実施形態)による例を示してる。
図18図17、18は、蓋部の適用例(実施形態)による例を示してる。
図19図19は、、蓋部を有する保持器具、もしくはサック(小型ケース)であって、蓋部が持ち上げられた位置、又は高角に旋回した位置にある状態を示した図である。
図20図20は、カードが積層された保持器具を下側から見た図である。
図21図21~25は、蓋部を備えた適用例を示した図であり、蓋部は閉じた位置に描かれている。
図22図21~25は、蓋部を備えた適用例を示した図であり、蓋部は閉じた位置に描かれている。
図23図21~25は、蓋部を備えた適用例を示した図であり、蓋部は閉じた位置に描かれている。
図24図21~25は、蓋部を備えた適用例を示した図であり、蓋部は閉じた位置に描かれている。
図25図21~25は、蓋部を備えた適用例を示した図であり、蓋部は閉じた位置に描かれている。
図26図26は、金属で構成された容器状体の作成のための裁断(切り取り)図を示している。
図27図27は、交換可能な蓋部を有する適用例を示した図である。
図28図28、29は、2つの挟み留部を備えた2つの適用例を示した図である。
図29図28、29は、2つの挟み留部を備えた2つの適用例を示した図である。
【0070】
図1aは、上側に開口した容器状体2を含む、カード、及び/又は札用の保持器具を示しており、容器状体2は床部6を有し、床部6は、上側に出張っており、及び相互に間隔をおいて配置された側方ストリップ10、12を有している。
【0071】
容器状体2には、化学合成物質で作られた挟み留部4を組込むことが可能である。挟み留部4は、容器状体2に可逆的(着脱自由)に備えることができるように配置されている。挟み留部4は、容器状体2の、このために設けられたスリット117に差し込むことが可能である。
【0072】
容器状体2は、金属で構成されている。容器状体2は具体的に、貴金属で構成される。容器状体2は、粉末射出成形法によって製造される。
【0073】
示した例では、容器状体2は、滑走手段113、113a、113bを有している。それぞれの滑走手段113、113a、113bは、床部6に配置されており、及びその滑り効果の有る表面114、114a、114bが上側に備えられており(上側から接近可能であり)、クレジットカードが容器状体2内に挿入する際に、滑走手段113、113a、113bの上を滑ることが可能である。
【0074】
各滑走手段113、113a、113bは、床部6の除去部115又はへこみ部に、少なくとも部分的に受け入れられており、これにより、その滑り効果の有る表面114、114a、114bが、床部6から少なくとも部分的に突き出ている。
【0075】
複数の滑走手段113、113a、113bが組み込まれる。2つの滑走手段113a、113bが組み込まれ、挿入方向に見て後ろ側の滑走手段113aの滑り効果の有る表面114aが、挿入方向に見て前側の滑走手段113bの滑り効果の有る表面114bよりも、高い摩擦係数を有する。
【0076】
滑走手段113、113a、113bは、滑走床としての機能を果たし、及び円形状に、及び/又はレンズ状に形成されている。
【0077】
図1bは、図1aに従う容器状体2の変形例を示しており、この変形例では、挟み留部4の結合領域に、上側に突出する2つの細長い棒状のストッパー延長部116が設けられている。細長い棒状のストッパー延長部116はその自由端部で、上側に突き出ていおり、従って床部6から離れるように突き出ている。これによりストッパー延長部116は、カードを上下に重ねられた状態で維持し、及び壁厚の分、又は他の距離を、側面から外側に移動しないようにするものある。
【0078】
更なる滑走手段113‘が床部6の、基本的に長方形状に形成された除去部115‘又はへこみ部に、少なくとも部分的に受け入れ可能である。これは矢印で表されている。はめ込まれた状態で、その効果の有る表面114‘が床部6から少なくとも部分的に、突出しており、及び少なくとも部分的に、床部6よりも深く位置している。
【0079】
かくして滑走手段113‘は、その滑り効果の有る表面114‘で、床部6から及び床部6の除去部115‘から突出しており、そして表面114‘は、床部6に向けて傾斜しており、及び傾斜路を形成している。除去部115‘の基礎部は、床部に対して相対的に傾斜しており、これにより、滑走手段113‘も除去部115‘内で、傾斜して横たわっている。これは、レンズ状に湾曲した滑走主担113‘を示しており、及び外部に出された状態で示されているプロフィールによって断面視されている。
【0080】
しかしながら橋状の滑走手段113“を除去部115“内にはめ込むことも可能であり、これは図1bに拡大視されており、及び図1cに詳細に描写されている。くさび状の滑走手段113‘‘‘もはめ込むことが可能であり、これは同様に図1bに示されている。
図1cは、断面が台形状に形成された、橋状の滑走手段113“を示している。これは、向き合っている2つの傾斜路118を有しており、傾斜路118は、直線状表面119(水平表面119)に対して相対的に傾斜している。傾斜路118及び直線状表面119は、滑走手段113“の滑り効果の有る表面114“を形成している。
【0081】
除去部115、115‘、115“は基本的に、袋状の穴として形成されている。図1cには、上部左側に、除去部115‘‘‘が直線状の、床部に対して相対的に傾斜していない底部を有していることが示されている。
【0082】
除去部115“の底部の角部分には、製造技術的に与えられた半径部分が形成されており、該半径部分は、滑走手段113“が底部に貼り付けられた場合に、滑走手段113“を高くするものである。これにより、床部部6に向けられた滑走手段の側方外側の縁部に、面取部121が形成される。
【0083】
面取部121は基本的に、半径部120と一直線に並んでおり、及びこれを受け入れており、これにより、滑走手段113“は、その基礎部表面122で除去部115“の底部に平面的に密接し、及びこれと貼り合わせることが可能である。
【0084】
更に、滑走手段113“の基礎部表面122には、細い溝部123が与えられている。この細い溝部123には、接着剤が良好に入り込むことが可能である。
【0085】
滑走手段113“は、押出成形されたプロフィールとして形成されており、及び約2mmの長さでカットされている。滑走手段113“は、非常に柔らかい化学合成物質で製造されていることが可能である。このような化学合成物質は、比較的高い摩擦係数を有し、及び良好なレオロジーを有している。
【0086】
図1dには、カード及び/又は札用の保持器具が示されており、該保持器具は、上側に開口した更なる容器状体2を含むもので、この容器状体2は、床部6を有しており、そして床部6は、上方向に出張っており、相互に距離を置いて配置された側方ストリップ10、12を有するものである。
【0087】
側方ストリップ10、12は床部6と一緒に、側方ストリップ10、12は床部6と共に、少なくとも区分的に、上側に開口した挿入区分又は上側に開口した挿入区分の類を形成しており、該挿入区分は、定義された挟込長さKに沿って、少なくとも区分的に、挿入幅Eを有し、挿入幅Eは、52mmより長く、及び53.98mmよりも短いものである。
【0088】
挿入幅Eは、上側に向けて連続的に広くなってる。挿入幅Eは、上側領域で、54~54.2mmの範囲であり、及び53.98mmから出発して、54mm~54.2mmの範囲にまで連続的に広くなっている。
【0089】
挟込長さKは、3mm~85.6mmの範囲である。
【0090】
例えば図1に示したように、側方ストリップ10、12の内側に位置する構成面10a、12aが、下部領域において、相互に挟込長さKに沿って平行に配置されることが可能である。
【0091】
図1cの実施形態では、側方ストリップ10、12の内側に位置する構成面10a、12aは、容器状体2内に挿入されたカードが、好ましくは上側にアーチ形にされ、又は床部6に対して斜めに傾斜して受け入れられるように形成されているか、又は傾斜している。
【0092】
床部6は、少なくとも区分的に、可逆的に変形可能であり、及び所定の加力下に、アーチ形になった状態又は湾曲した状態に形成される。具体的には、前側床部部分18及び容器状体2の後部の結合ストリップ14は、加力下に可逆的に変形可能であり、及び所定の加力下に、アーチ形になった状態又は湾曲した状態に形成される。
【0093】
図1eは、更なる挟み留部4が、容器状体2のスリット117に差し込むための少なくとも1つの差込舌状部4bを有し、差込舌状部4bには、アーチ状の凹部4aが形成されていることを示している。スリット117には、支え部又はリブ124が設けられており、これらは、スリット117の長さ方向の内壁の一方側から向き合う側に延びているものである。挟み留部4は2つの凹部4aを、その差込舌状部4bに有しており、これは差込舌状部4bがスリット117に差し込まれる際に、これらの支え部又はリブ124を受け入れるため、又はつかむためのものである。支え部又はリブ124によって、スリット117の長さ方向の内壁は、より薄い壁厚を有することが可能である。より長い溝78あるいは例えば蓋部をはめ込むことが可能なより長い自由空間内に、同様に支え部又はリブ124を備えても良い。
【0094】
図1fは、更なる挟み留部4について、挟み留部4が、力決定的(kraftschluessig)に、及び/又は摩擦決定的(reibschluessig)に、図1a、1b又は1eに従う容器状2に備えられることを示している。
【0095】
挟み留部4は、少なくとも1つの差込舌状部4bを有するもので、該差込舌状部4bは、その自由端部の方向へと円すい状に通じる、又は少なくとも1方向に細くなる差込栓状部4cを有している。
【0096】
1つの差込舌状部4bは、2つの差込栓状部4cを有しており、これら2つの差込栓状部4cは、凹部4aによって、互いに領域的に離れている。凹部4aは、アーチ状に形成されている。
【0097】
挟み留部4は、具体的に2つの差込舌状部4bを有しており、これら2つの差込舌状部4bは、大型除去部分4dによって互いに離れている。1つの挟み留部4について、4つの差込栓状部4cが設けられてる。
【0098】
図1に示した保持器具は、更なる容器状体2及び該容器状体2と特に統合して結合した、単独の挟み留部4を含んでいる。保持器具及び/又はサック(小型ケース)は好ましくは、バネ弾性を有する化学合成物質、例えばPES又はPSU、及び/又は恒久的に成形された時にクリープの傾向が少ない、高い加工温度を有する及び/又は耐高温性の化学合成物質から構成される。有利な態様で、使用に供される化学合成物質は、繊維、特に炭素繊維で強化することが可能である。他の化学合成物質、例えばPOM、ABS、PA(ガラス繊維又はガラス球が充填されたもの)も組込むことが可能である。
【0099】
この替わりに、保持器具は、十分なバネ弾性を有する金属で構成され、この例は特に、特殊鋼であり、ここで特に、任意に備えられる挟み留部4、及び容器状体2の厚さの設定寸法が、前者に挟み留部4のバネ弾性を与え、及び後者に全体構成に安定性を与えている。容器状体2は、フレーム(枠)の態様で形成され、及び床部6(床部6には、空所8が設けられていることが有利である)、及び第1の側方ストリップ10、及び側方ストリップ10に対向して設けられた第2の側方ストリップ12(側方ストリップ10と側方ストリップ12は、結合ストリップ14を介して結合されている)を含んでいる。結合ストリップ14に対向する位置には、ストリップ部は存在しておらず、これにより、後に前方端部16と称されるこの端部において、単に前側床部部分18が存在しており、そしてカードを、前側床部部分18越しに容器状体2内に、及び対向して備えられた側方ストリップ10、12の間に挿入することが可能である。替わりの特定の実施の形態では、前側床部部分18を無くすことも可能である。両方の側方ストリップ10、12は、相互に所定の間隔を有し、該間隔は本質的に等しい長さであり、及び目的に従って、通常のクレジットカード、キャッシュカード、又はこれらに類似するものの幅よりも僅かな寸法だけ長い長さである。側方ストリップ10、12及び結合ストリップ14は、本質的にU形状に伸びており、及び少なくとも概略的に長方形状に床部6に配置されている。
【0100】
床部6及び側方ストリップ12、14の上側には、自由空間が存在しており、これにより挟み留部4が少なくとも空所8に到達可能であり、及び好ましくは、空所8を通って少なくとも部分的に差し込むことが可能である。更に説明されるべき、2つの挟み留部を有する適用例のために、以下に説明する1つの挟み留部への実施形態は、2つの挟み留部を有する適用のために有効であることが明確に確認される。カードも札も容器状体内に存在しない場合、挟み留部4は空所8に差し込まれる。
【0101】
空所8は、床部6の全体面積の相当な部分を占めており、及び好ましくは床部6の全体面積の半分よりも相当に大きく、ここで床部6は上述したストリップ部10、12、14及び床部部分18の外側あるいは前側縁部20によって定められている。空所8は窓とも称されるもので、好ましい態様ではこれは、大きく、及び/又は自由に定められ、これにより、使用者が2本の親指を一緒に差し込むことが可能であり、及びカードを次々に下側に積み重ねることが可能であり、あるいは、保持器具あるいはサック(小型ケース)から取り出すことが可能なものである。これにより、有利な態様で、「正しいカード」を探し出すことが容易化され、それにも拘わらず、特に側方にずらされたカードを巡回させることが可能であり、及びこれらを容易な態様で、再び保持器具、あるいはサック内に再挿入可能であり、及び/又は容易に戻すことが可能である。
【0102】
設定される空所8は大きく形成されるために、カードは1本の親指、又は指でずらされるのみならず、カードは2本の親指、又は指でずらされることが可能である。カードは、すらされるか、又は押されることが可能であり、及び/又は同時に引き出すことが可能である。このことは、所望のカードが、特に上側で目視可能であり、及び放出側、及び/又は前方端部で、下側から取出可能となるまで行うことができる。
【0103】
前側縁部20は、単純な方法で挿入可能であるように、好ましくは(角をとって)丸められ、及び/又は湾曲して形成される。側部の床部部分22は、図では、この箇所から第1の側方ストリップ10が上側に突き出ているが、目的に従った所定の幅を有しており、この幅は第1の側方ストリップ10の高さ24よりも小さいことが有利である。第2の側方ストリップ12に割り当てられる側部の床部部分は、目的に従って、側部の床部部分22と、本質的に同等の幅を有している。第2の側方ストリップ12の高さ26は、予め設定された値だけ高さ24よりも低いが、この構成については後に詳述する。
【0104】
好ましい態様では、結合ストリップ14の領域には、床部部分は存在しない。側方ストリップ10、12のこの不均整な構成のために、側方ストリップの間隔によって与えられる幅よりも大きい幅を有するカードを、有利な態様で容器状体内に保管可能になる。
【0105】
ただ1つの挟み留部4が、目的に従って、アーチ形状の領域28、29を介して、結合ストリップ14と結合しており、ここで挟み留部4は、2つの、相互に間隔をおいて配置された挟み留部部分30、32を有しており、挟み留部部分30、32の間に、除去部34が存在する。これにより、挟み留部4のバネ弾性、及び/又は曲げ性が最適化される。
【0106】
結合ストリップ14は更に、挿入されたカードのための端部止め部になる。挟み留部4は、本質的に平滑に形成されており、及び自由端36を有し、自由端36は、床部に対して上側へと突き出している先端部38を有している。挟み留部4は、この挟み留部4が空所8に差し込まれ、空所8を、その全体長さの相当な部分を介して侵入し、及び床部6の下側から突き出るように形成され、及び/又は配置され、及び/又は結合ストリップ14に対して所定の長さを有している。
【0107】
更に、保持器具にカードも札も挿入されていな場合には、挟み留部4は、床部6に対して、所定の設定角度で傾斜して設けられていることは、明確に理解される。これにより、加力が与えられる。ただ1枚のカードが容器状体2に挿入されていても、挟み留部8は、空所8から矢印40の方向に持ち上げられ、及びこの唯一のカードを、与えられた加力に基づいて、容器状体2内にしっかりと保持する。
【0108】
加力は、挟み留部4のバネ弾性に基づいて与えられ、及び更に、特に有利な態様では、挟み留部4は、結合ストリップ14の上側に設けられており、結合ストリップ14には、1枚以上のカード、及び紙幣上の挟み留部4を介してねじれ力が作用し、そして特に、結合ストリップ14の領域に床部部分は存在しない。
【0109】
挟み留部4の圧力、又は力は、両挟み留部部分30、32の曲げ性を介してのみならず、結合ストリップ14のねじれによってでも形成される。更に、両挟み留部部分30、32は、最適な曲げ性で、及びかくして加力(Vorspannkraft)の発生において、及び/又は挟み力で、矢印40の方向に対して逆方向に作用する。
【0110】
更に、挟み留部4、及び/又はる挟み留部部分30、32は、結合ストリップ14との結合領域で所定の厚さ42を有し、厚さ42は自由端36の厚さ44よりも厚い。従って、挟み留部4は、先端部36に向かって減少する厚さを有する。これにより、容器状体2に挿入されたカード、又は札を有利な領域に固定するために、挟み留部4の先端部36の領域の手前において有利な態様で、力が有利な点に加えられる。
【0111】
壁厚さが挟み留部4の先端部に向かって減少する結果、挟み留部4の支持点(台架点)は、カードの保管状態の高さに従い、レバー(てこ)が短くなる方向へと相当に容易に移動し、及び/又は特にアーチ形状の領域28、29に基づいて 及び/又は挟み留部4の結合ストリップ14との、及び/又は容器状体2との結合領域に基づいて、容易に移動する。側方ストリップ10、12の前側縁部46、47は、結合ストリップ14から前側縁部20の方向に向けて、間隔48をおいて配置され、及び戻されている。
【0112】
更に、前側縁部46、42(47)は丸められており、これにより、カードの挟み留部4に対する容器状体2への挿入が、挟み留部4の同様に丸められて形成された先端部38の下部を通って、カース2内へと、特に単純な態様で、及び容易に行うことが可能である。
【0113】
図2は保持器具を示しており、同図に示した保持器具は、容器状体2に組み入れられたカード50及び紙幣52を有しており、これらは挟み留部4を手段として、一緒にしっかりと留められている。容器状体2の長さ54は、カード50が、与えられた突出部56で、容器状体2から突出するように設定されており、及びこれにより、必要に応じて、単純な態様でカード50を捕え、及び取り出すことが可能である。
【0114】
両側方ストリップ10、12の高さが異なっていることに基づいて更に、紙幣52、又は書類、又はこれらに類似するものを、より低い第2の側方ストリップ12の上側縁部の上に配置することが可能であり、及び同様に、突出部58で、容器状体2から側方に突出させることが可能である。高い方の側方ストリップ10は、好ましくは、基本的に10枚のカードを良好に入れることができ、カード50が低い方の側方ストリップ10(12)上で押し付けられることが回避されるように形成される。
【0115】
低い方の側方ストリップ12は、有利なことには、保管されるカードが少ない場合、紙幣、又は文書、又はこれらに類似するものが、厚くかさばることなく横に突出することができるように設計される。札52又は文書又はこれらに類似するもの、及び/又はカード50の安全な保管が、側方ストリップ10、12従って容器状体2の非対称な形成状態(デザイン)によって達成される。
【0116】
表示されている積み重ね状態の1枚又は複数枚のカード50を取り出すためには、使用者は、容器状体2の下側から床部6の空所8を通って挟み留部4の方向に、1本の指、好ましくは、2本の指又は両方の親指を押すことが可能である。これによって、挟み留部4によって加えられた保持力が最小限になり、及び所望のカード50を容易に取り出すことが可能である。その際、使用者は例えば、容器状体2を親指と小指で手にしっかりと持って、及び図2図20)のように、1枚又は複数枚のカードを中指で空所8を通って(上側に)幾分か押すものである。
【0117】
使用者は、カードの積み重ね状態の一番下のカード又は一番上のカードを押して取り出すだけでなく、例えば中央部のカードを取り出すことも可能であり、ここで使用者は、所望のカードを完全に押し出すために、予め中央部の1枚又は複数枚の隣接するカードを幾枚か取り出すことが可能である。更に、紙幣、又はこれに類似するものは十分に柔軟性(しなやかさ)があるので、事前に設定される挟み留部4の加力により、ただ1枚のカードでも紙幣と一緒に保持器具内でしっかりと保持されることが留意される。
【0118】
図3及び図4は、図1の目視方向Aから見た保持器具であって、カード50及び紙幣52が保持されている状態と保持されていない状態を示している。第1の側方ストリップ10の高さ24は、が第2の側方ストリップ12の高さ26より高いことから、容器状体2は非対称であり、そして図4によれば、紙幣52は第2の側方ストリップ12の上部から突出部58で突出する。
【0119】
図3によれば、上述した床部6の空所8により、挟み留部4は部分的に空所8を通過し、下側部60から先端部38で突出する。図4によれば、札52は、部分的に高い方の第1の側方ストリップ10に隣接(当接)し、他方側では、低い方の第2の側方ストリップ12の上縁に載って、容器状体2から突出部58で側方に突出する。
【0120】
側壁又は側方ストリップ10、12の形成状態が非対称的であることにより、カード、特に名刺は、クレジットカードに比べて1mm又は数mmの所定量だけ幅が広いことが多いので、突出することが可能である。また特に、製造技術的に、1つ以上の半径部を有することなく形成することは、実際的には不可能であるので、突出部の対向角部及び/又は内側角部は非常に小さい半径部を有することが特に有利である。
【0121】
名刺等の幅のより広いカードを収容可能にするために、角部、及び/又は突出部は必要とされるが、これらは、クレジットカードが簡単に落ちないようにするために、クレジットカードにとって有利な態様で、少ない公差が選択可能であることが求められる。クレジットカードよりも大きい名刺は突出させることが可能であるので、特に名刺は折り込みが無くなり、及び保持器具又はサック(小型ケース)の幅における公差(許容差)は小さく限られる。
【0122】
特に、有利な態様で、カードは一方側からのみ挿入可能であるだけでなく、必要に応じて三方から保持器具、又はサックに挿入可能であることが指摘される。
【0123】
図5及び図6は、目視方向Bから見た図1の保持器具を示した図であり、図5では、相当に大きい空所8が明確に認識可能であり、ここでは空所8に挟み留部4が部分的に突出している。図6には、カード50と共に、その突出部56が見やすく示されており、及び同様に、挟み留部4によって容器状体2に留められている札52の突出部58も示されている。
【0124】
空所8は、挟み留部4の幅65よりも本質的に広い幅61を有し、及びこれにより特に、挟み留部4の側面と側方の床部部分22、23との間に自由間隙が存在する。更に、図から明らかであるように、床部部分18と挟み留部4の前端部との間にも自由間隙が存在する。上述の間隙は、使用者の指を差し入れることができるように設定される。
【0125】
カードが容器状体2内にある場合、使用者は指を上述の間隙の1つに差し入れ、カードの束の一番上のカードを押して、挟み留部4の保持力又は加力(付加力)を最小限に抑えることで、所望のカードを容器状体2からより簡単に押し出すことができる。従って使用者は、一番上のカードを取り出すだけでなく、例えばカード束から3枚目のカードを取り出すことも可能である。この場合、例えば、上の2枚のカードを、好ましくは真ん中まで押し出し、そして最後に3枚目のカードを容易に押し出すことができる。
【0126】
本保持器具は、枠(フレーム)として形成され、2つの狭い側方床部部分22、23と、好ましくは前側床部部分18と、後方の結合ストリップ14によって互いに接合される2つの側方ストリップ10、12とを備える。好ましくは長方形状の空所8は、床部部分22、23の幅より相当に広い幅61を有する。空所8は有利には、後方の結合ストリップ24で終るので、この箇所には床部部分が存在しない、及び/又はフレーム状の容器状体2が、後方の結合ストリップ14によって保持されている。
【0127】
後方の結合ストリップ14は、両側方ストリップ10、12を結合し、両側方部10、12は、側方の床部部分22、23に、好ましくは直角に結合される。床部6に対して、枠状に形成された容器状体2は、可撓性の挟み留部4に向かって上側が開口し、挟み留部4は上側から床部又はその空所4まで達し、又はこの箇所を通って差し込まれる。
【0128】
図5には、代りの実施形態が破線で示されている。この代わりの実施形態によれば、側方ストリップ10、12の前側縁部46、47の領域にアンダーカット62が設けられ、アンダーカットはカードを留めるための切りかき要素を形成する。アンダーカット62又はカード切欠は、カードが対向する切欠部62間を通って押し出されるように設計される。
【0129】
また、追加として、又は代替として、前側床部部分18は、破線66で示されるように除外されてもよい。容器状体2、及び特に、アンダーカット62として設計されたカード切欠を有する側方ストリップ10、12が可撓性(柔軟性)を有することにより、カードを容器状体2に容易に挿入し、及び容器状体2から取り出すことができる。
【0130】
図7及び図8は、容器状体2と挟み留部4と空所8とを備える保持器具を示しており、図7には、側方ストリップ12に組込まれる床部部分23が示されており、図8によれば、挿入されたカード50及び札52がここでも識別可能である。
【0131】
本保持器具は少ない構成費用で、カード及び/又は札の保管の容易な取扱に関する実用的要件及び/又は課題を満たし、カード及び/又は紙幣の機能的に安全な受入れ、及びその容易な取出しが達成される。さらに、本保持器具は、有利なことには低質量であり、及び/又は材料使用量が少ないという特徴を有する。
【0132】
容器状体2の非対称な形成状態(デザイン)、及び/又は上述の異なる高さの側方ストリップ10、12のデザインは、挟み留部4によって、カード及び紙幣、又はこれに類似するものを一緒にしっかりと保持して、及び必要に応じて、容易な態様で保持器具から取出すために、特に重要である。
【0133】
図9図11は、本発明の特定の実施形態を示しており、これらの実施形態では、保持器具、及び/又はサック(小型ケース)は蓋部68を備える。蓋部68は、閉じた状態では、少なくとも1つの挟み留部4の上、任意に、挿入されたカード及び/又は札の上側に位置する。
【0134】
可撓性(柔軟性)蓋部68は、少なくとも1つの結合体70を含み、及びこれに対応して、容器状体2は、特に第2の側方ストリップ12に、少なくとも1つの結合要素72を含んでいる。
【0135】
図9及び図10によれば、2つの結合体70及び2つの結合要素72が存在する。図から明らかなように、挟み留部4は、蓋部68の容器状体2との結合が成された後は、蓋部68で覆われる。蓋部68は、少なくとも部分的に、柔らかい革、フェルト、毛皮、又は化学合成物質のような可撓性材料でできており、及び必要に応じて、札及び/又はカードが使用者にとって使用しやすくなるように、容器状体2又は挟み留部4から旋回するようにして移動させることができる。
【0136】
替わりの形態として、蓋部68は、金属又は硬質化学合成物質材料のような十分に非変形性の材料から形成することができ、ここで単数又は複数の結合体70はヒンジとして形成され、及び/又は一つ以上の結合体70と蓋部68の間に、他のヒンジ、特にフィルムヒンジが存在する。
【0137】
蓋部68は、単数又は複数の結合体70に対向して、連結具74を含み、及びそれに対応して、容器状体2は、第1の側方ストリップ10の箇所に、及び側方ストリップ10から離間して、追加ストリップ76を、余地78を空けて有している。
【0138】
目的にかなった更なる形態では、図9に破線で示されるように、蓋部68は、下側又は上側に小銭もしくはコイン又は他の小物用のポケット75を有することができる。好ましくは、垂れぶた77又はスナップ(押しボタン)もしくはファスナーのような他の閉鎖部材を備えることができる。さらに他の実施形態によれば、容器状体2は、挿入補助部として、挿入側及び/又は床部6及び/又は床部部分18に破線で示された少なくとも1つの窪み部79を備えることが可能であり、これにより単数又は複数のカードを容易に挿入する又は取り出すことが可能になる。図示されているように、角部及び/又は中央に少なくとも1つの挿入補助部又は窪み部79を備えることができるが、当然、当該窪み部を他の位置に設定することも本発明の範囲内である。
【0139】
図11に従う代わりの実施形態では、蓋部68は、連結具74によって余地78又に差し込まれることが可能であり、そして余地78内で容器状体2に関して固定され、例えば、挿入され、及び/又は挟み込まれ、及び/又は接着されてもよい。この実施形態では、結合体70又は結合体72は、永続的に結合(接合)するために設けられるのではなく、蓋部68の閉じた状態の確保のために設けられる。
【0140】
使用者が保持器具又はサック(小型ケース)からカード又は札を抜き出そうとする時は、単数又は複数の結合要素72から単数又は複数の結合体70を外し、及び蓋部68を旋回させるようにして移動させることができるが、余地78内の連結具74の結合は維持されることになる。別の特定の実施形態では、連結具及び/又は蓋部68は、追加ストリップ76を使用して挟みレールの方式に従って容器状体2に結合可能であり、及び特に、蓋部68を単純な態様で容器状体2と結合することが可能であり、及び必要に応じて、別の蓋部と取換え、及び/又は交換可能である。
【0141】
図12及び図13は、容器状体2が可撓性(柔軟性)蓋部68の連結具、及び/又は側方部分74を収容するための上述の追加ストリップ76を含む実施形態を例示的に示している。図12に横線で示されているように、追加ストリップ76は容器状体2の全高80にわたって伸びてはいないが、所定の部分82に渡って伸びている。この部分82(小部分82)は、全高80の1/4~1/2の範囲であり、少なくとも約3/8の値である。
【0142】
しかし、図12に太線で示されているように、追加ストリップ76は、基本的には、好ましくは丸みを帯びた角領域84、85では容器状体2の全高80にわたって伸びている。従って、側方ストリップ10及び追加ストリップ76は、(細長い)溝78の幅に対応する間隔86を有する二重壁を形成する。更に、蓋部68は突出部94を有するが、突出部94は特に、実施において蓋部68の容易な掴みを可能にするものである。
【0143】
図14図16は、図12及び図13に対応する例示的な実施形態を示している。この場合、可撓性、及び/又は柔軟性材料(特に革、又は化学合成物質)で作られた蓋部68の結合部分を受け入れるために設けられている余地7878を有する挿入機構及び/又は追加ストリップ76が、長い側部境界部、及び/又は側方ストリップ10の箇所に設けられている。
【0144】
図から明らかなように、蓋部68は、「現金の側」を覆うように、合目的的に容器状体2の片側に固定される。このように、製造するのが容易及び/又は単純であり、及び/又は都合の良い、多数のカード及び/又は任意で現金のような札を本サック(小型ケース)に入れて持ち歩くことができる実施形態が形成される。替りの形態として、挿入機構を更に、結合ストリップ14に配置し、又は結合ストリップ14に組み込むことが可能である。
【0145】
図17は、蓋部68をより良好に取り付け可能とするために、横側に窪み部88と結合部分及び/又は結合体70とを有する蓋部68を示している。結合部分又は結合体70は、上述した余地に差し込まれて、及び特に、接着剤によって固定される。横側に配置された窪み部88により、単純な態様で、及び機能的に、蓋部68を容器状体2に取り付け可能であり、及び/又は結合可能である。窪み部88は、隅の折れがめくれ上がらないように、縁部のみを囲んでも良く、又は材料強度に応じ、又はこれを考慮して縁部を含んでも良い。
【0146】
窪み部は、縁部が重なり合う態様で、蓋部68の縁部および/または結合体70を囲む(嵌め込む)ために、有利な態様でポケットとして設計される。この場合、可撓性の蓋部68は、好ましくは、革、フェルト、ネオプレン、不織布、ゴム、多孔質ゴム、シリコン製、または任意の類似の材料、及び/又はこのような材料の組み合わせで作ることができ、ここで特にポケットとして形成された上記窪み部88を使用して、縁部が覆われるように嵌め込まれることが留意される。
【0147】
これにより、材料が変化した際、例えば革に作用が生じ、及び接着箇所、又は他の結合手段から一面に反れた場合、(容器状体2、特にその余地内に)固定された側方側面、又は結合部分70が、確実に材料、特に容器状体2の化学合成物質に周りを囲まれていることになる構成が、特に有利な態様で達成される。従って清潔で、及び/又は整然たる外観、及び/又は機能的に確実な結合が存在することになる。
【0148】
窪み部88の空所、及び/又はポケット及び/又は上述の自由空間が存在することにより、蓋部68を単純にかつ容易に取り付けることができる。
【0149】
更に、蓋部68及び/又は結合部分の上述した溝への差し込みについて、接着剤が特に、より容易に及び/又はより容易な態様で塗布可能となるように、溝の内壁からの距離を予め設定することができる。蓋部68は、図2を使用して説明した容器状体の長さ54より、所定の寸法だけ長い長さ90を有する。蓋部68は突出部94を有し、これは旋回するように動かすために蓋部を掴みやすくするものである。突出部94の長さ92は、図2を使用して説明した、カードの突出部56と少なくとも同じ長さであることが好ましく、さらに有利には、カードの突出部56より所定の値だけ長い。示されている寸法は、単なる例示であり、本発明の範囲内で、特に容器状体2の寸法に依存して、異なる態様で事前に設定されても良い。
【0150】
図18は、突出部94に加え、又は突出部94の代わりに、他端部に更なる突出部95を備えた蓋部68の特定の実施形態を示しており、ここで長さ方向側に結合体70が存在する。替わりの実施の形態では、突出部95の代わりに結合体70を設けることが可能であり、これにより蓋部68を、容器状体2の長手方向に動かすことができるように配置することができ、及び容器状体2から、又はその中に保管されたカード、及び/又は札から、上にあげるか又は戻すことが可能になる。
【0151】
図19は、カード50及び札52が挿入された容器状体2を示しており、蓋部68は上にあげられ、及びカード50及び札52から旋回するように動かされている。蓋部68が旋回するようにして戻されると、挟み留部4、及び札52、及びカードが覆われる。
図20には、狭い床部分18,22、23と大きい空所8とを備えた床6の裏側から見た容器状体2が示されている。予め設定される空所8の大きさにより、使用者は、カード50.1及び50.2を1本の親指だけでなく両方の親指で動かす、もしくはスライドさせる、又は押す、及び/又は同時に引き出すことができる。使用者は、カードの積み重ねから所望のカードを見つけるまでこの動作を続け、そして見つけた所望のカードを、保持器具の容器状体2から完全に引き出す、及び/又は取り出すことができる。
【0152】
図21は、中身の無い保持器具又はサックを示しており、図22は、カード50及び札52が容器状体2に挿入されている状態を示している。蓋部68は、いずれの場合も、サックの閉じた位置で表されており、突出部94、95が良好に認識される。カード50及び札52を容器状体2内に保持する挟み留部4は、蓋部68の真下に位置する。既に上述したように、容器状体2は、床部6及び/又は床部部分18の挿入側に、挿入補助手段として少なくとも1つの窪み部を有する。
【0153】
図23図25は、カード50が容器状体2に挿入され、蓋部68が閉じられた状態の保持器具又はサックの斜視図を示している。
【0154】
図26は、金属でできた容器状体2の特定の一実施形態のために、容器状体2’の種々の構成要素を曲げる前段階の型を示している。破線は、種々の構成要素、例えば、挟み留部4、側方ストリップもしくは側壁10、12、及び結合ストリップもしくは結合壁14の曲げ領域を示す。床部6の空所8も良好に識別される。好ましい態様で、側方ストリップ10、12は終端部96を含み、これを図1に対応して曲げた後に結合が可能になる。側方ストリップ10には追加ストリップ98が存在し、追加ストリップ98は、図12又は15を使用して上記に説明した溝又は余地78が、蓋部68の結合体のために形成されるように、折り曲げることが可能である。好ましい替わりの実施の形態では、蓋部の結合体は特に、ストリップ98の折り曲げによって差し込まれ、及び/又は好ましい態様でしっかりと挟まれる。
【0155】
特定の更なる形態では、挟み留部4は、下側部にへこみ部100を有し、挟み留部4が曲げられた後に、上述した下側部は、へこみ部100で札又はカードに対向し、又はこれらの上に横たわる。札又はカードの保護として、へこみ部100内に、特にフェルト、又は金属と比較して柔らかい他の材料でできた当て物を備えることができる。更に、追加的に、又はこの替わりに、カード又は紙幣が損傷しないように、下側部、及び/又はへこみ部100に、塗装(ラッカー)が、目的に従って、柔らかいフロックでフロック加工されて施されることが可能である。
【0156】
図27には、連結具74を有する、部分的に示された可撓性蓋部68の結合の特定の実施形態が示されている。第2の側方ストリップ12はアンダーカット溝78を含み、アンダーカット溝78には、挿入体102を使用して、蓋部68の連結具74が挿入可能である。挿入体102は、好ましくはくさび形に形成され、これにより、有利な態様で、革製であるのが好ましい交換可能な蓋部間の許容差範囲(公差範囲)を更に拡大することなく、事前に設定することができる。
【0157】
挿入体102は、目的に従って設けられた取手もしくは被覆体104から、先端106に向かって円錐状に先細になるように形成されており、及びほぼ(半径方向に)わきへ突出する栓108を含む。蓋部68あるいは蓋部68の側部部分74は、上述の栓108に組み込まれる孔110を有する。矢印112で示されるように、挿入体102は栓108と孔110とを使用して蓋部に結合され、及び矢印114に従って、容器状体2と結合するためにアンダーカット溝78に差し込まれる。
【0158】
替わりの形態として、挿入体102にはスロット(細長い切れ目)が形成され、連結具74をスロット内で挟み込むことが可能である。追加的に、及び/又はこの替わりに、溝78は、挿入体102の挿入を容易な態様で実施可能とするために、前側床部部分18から後方の結合ストリップ14の方向に先細になるように、及び/又は狭くなるように延びて形成可能であり、この場合、最大の挟み状態が後方で得られ、及び/又は挿入体102が溝78に実際に完全に挿入される場合に、この構成を適用しても良い。その外側輪郭が側方ストリップ12の輪郭に適合する取手もしくは被覆体104を使用して、溝の前側開口部が、有利な態様で覆われる。更に、挿入体102及びアンダーカット溝78は、好ましい態様で、相互に対応する、及び/又は相互に噛み合うノッチ要素(固定要素)を有し、これにより、蓋部68又はその側部部分74を完全に挿入した後、機能的な固定が保証される。
【0159】
図28及び図29は、本保持器具の2例の特定の実施形態を示しており、これらはそれぞれ、2つの挟み留部4を有しており、これらの2つの挟み留部4は、これまでに説明した実施の形態の例と比較して、容器状体2の長い結合ストリップ14に設けられており、そして他の構成では一致している。容器状体2は、空所8を有する床部を含むが、空所8は本発明の範囲内で省略することも可能である。
【0160】
図28に示した実施形態の例では、比較的短い側方ストリップ10は、蓋部(図示せず)を固定するための溝78を含んでいる。容器状体2の床部は、カードを挿入しやすくする、又は取り出しやすくするために、挿入領域に窪み部79を有する。
【0161】
図29に示した実施形態の例では、蓋部を結合ストリップ14に固定するための溝78が設けられている。本発明の範囲内で、図28及び図29の例示的な実施形態において、蓋部を固定、及び/又は結合するために、図9図11を用いて説明した結合体又は結合要素を設けることも可能である。
【0162】
更に、蓋部68は、他に説明した実施形態の例に類似して、挿入された札、及び/又はカードが、特に図17及び18を使用して説明した蓋部68の突出部によって覆われるように有利な態様で形成され得ることが指摘される。
【0163】
図面に基づいて説明した例示的な実施形態は、上記説明及び図面に示され開示されている特徴を有する。それぞれ説明した、及び/又は図から理解される個別の特徴は、意義有る態様で、及び/又はそれぞれの要求のために、単独で、又は他の個別の特徴と組合せて、本発明に従い与えられ、及び/又は組合されることが可能であることは明確である。基礎に置かれた課題を解決するために適切である、説明した、及び/又は表示した個別の特徴の組合せのそれぞれは、本発明の対象である。
【符号の説明】
【0164】
E 挿入幅
K 挟込長さ
2 容器状体
4 挟み留部
4b 差込舌状部
4a 4b内の凹部
4c 4bの差込栓状部
4d 4の大型除去部分
6 床部
8 空所
10 第1の側方ストリップ
10a 10の内側構成面
12 第2の側方ストリップ
12a 12の内側構成面
14 後方の結合ストリップ
16 前方端部
18 前側床部部分
20 18の前側縁部
22、23 側方の床部部分
24 10の高さ
26 12の高さ
28、29 アーチ形状の領域
30、32 挟み留部部分
34 30、32間の除去部
36 4の自由端
38 4の曲がった先端部
40 矢印
42 結合領域における4の厚さ
44 36における4の厚さ
46、47 10、12の前側縁部
48 間隔
50 カード
52 札/紙幣
54 2の長さ
56 50の突出部
58 52の突出部
60 6の下側部
61 8の幅
62 アンダーカット/切欠要素
65 4の幅
66 破線
68 蓋部
70 結合体
72 2の結合要素
74 連結具/側方部分
75 ポケット
76 2の追加ストリップ
77 垂れぶた
78 余地/切込溝
79 18中の窪み部
80 2の全高
82 80の一部/76の高さ
84、85 角領域
86 78の間隔/幅
88 68中の窪み部/ポケット
90 68の長さ
92 94の大きさ
94、95 68の突出部
96 破線
98 ストリップ部分
100 4のへこみ部
102 挿入体
104 取手/被覆体
106 102の先端
108 102の栓
110、112、114P 矢印
113、113a、113b、113‘、113“、113‘‘‘ 滑走手段
114、114‘、114“、114a、114b 滑り効果の有る表面
115、115‘、115“ 除去部
116 ストッパー延長部
117 スリット
118 傾斜路
119 直線状表面
120 半径部
121 面取部
122 基礎部表面
123 細い溝部
124 支え部又はリブ
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29