(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】木質バイオペレット、及び木質バイオペレット
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
C10L5/44
(21)【出願番号】P 2024057237
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524123920
【氏名又は名称】ガス・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 徹
(72)【発明者】
【氏名】菅波耕三
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特許第7441573(JP,B2)
【文献】国際公開第2022/231014(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 1/00-57/18
C10L 5/00-7/04;9/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半炭化炭化物の木質バイオ材であって、
処理原料の木質材が150~220℃の処理温度、15~60分の処理時間で亜臨界水反応処理され、木質材のセルロース成分とリグニン成分から低分子化したセルロース成分と低分子化したリグニン成分、及びヘミセルロース成分から液化したヘミセルロース成分が形成され、ヘミセルロース成分が、110~130℃の温度処理でセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着されて木質バイオ材が形成され、当該木質バイオ材を主成分として、処理原料の前記木質材が保持する発熱量の90%の発熱量を保持した、
半炭化炭化物の木質バイオ材。
【請求項2】
半炭化炭化物の木質バイオ材から形成される半炭化炭化物の木質バイオペレットであって、
処理原料の木質材が150~220℃の処理温度、15~60分の処理時間で亜臨界水反応処理され、木質材のセルロース成分とリグニン成分から低分子化したセルロース成分と低分子化したリグニン成分、及びヘミセルロース成分から液化したヘミセルロース成分が形成され、ヘミセルロース成分が、110~130℃の温度処理でセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着された木質バイオ材であって、当該木質バイオ材を主成分した木質材が、処理原料の木質材が保持する発熱量の90%の発熱量を保持した、
半炭化炭化物の木質バイオ材から形成された半炭化炭化物の木質バイオペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質バイオペレット、及び木質バイオペレットに係る。
【背景技術】
【0002】
木質材(木質チップともいう)を半炭化し、生成された半炭化物を木質ペレットとする方法が知られる。木質材、すなわち木質チップは、一定速度で定量フイダーにてロータリーキルンに投入される。半炭化処理時の炉内温度は200から300℃、滞在時間は約60分とし、半炭化物は、ロータリーキルン出口のドラム缶に貯留される。
【0003】
「半炭化」とは、別名「トレファクション」とも呼ばれ、木質バイオマスを低酸素状態で200~300℃で加熱することで、有機物を分解して炭素成分が多い物質にする燃料化技術であることが知られる。半炭化処理することで、エネルギー密度が高くなり、粉砕性や耐水性が向上することが知られ、ある種の半炭化処理装置によれば、乾燥と半炭化を1台で行うことで原料に直接熱風を吹き付けることで半炭化速度を大きくとれることが知られる。
【0004】
「トレファクション」は、IEA(国際エネルギー機関)では「減酸素雰囲気下250~320℃で行う熱処理」と定義される。
【0005】
ペレット化装置には、粉体状の半炭化物を直径6mm程度の円柱状に造立できる装置が用いられる。
【0006】
欧米向けでは主に数万t(トン)規模の大規模生産設備建設がなされている。国内には、森林資源が多くあり、小規模分散利用がし易いうえ、燃料を化石資源から地域資源に代替でき、地域活性化へ寄与することができる。
【0007】
小規模分散利用が可能な地域資源として、間伐材及び風倒木などの林地残材あるいは建築廃材がある。
【0008】
木質材を構成している主成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの高分子であり、ヘミセルロースが約20%、セルロース及びリグニンが80%を占め、木質材を加熱すると、高分子成分が熱分解され、低分子化し、残りは炭化残渣となる。これらの構成成分は、分解する温度帯がそれぞれ異なり、ヘミセルロースは約450~570K(177~297℃)、セルロースは510~670K(237~397℃)、リグニンは550~820K(277~547℃)で分解する。
【0009】
木質バイオガス化発電システムが知られている。当該木質バイオガス化発電システムは、固定床ガス化炉、サイクロン、スクラバー、冷却塔、フイルター装置及びガスエンジン発電機を備える。ガスエンジン発電機は、例えば電力80kWを発電する。
【0010】
特許文献1には、ヘミセルロースの分解が緩慢に進行する200~240℃の温度域で5~90分間保持を行なうことにより、ヘミセルロース分解生成物が揮発し、チャー化する前に炭化物外部に拡散することが記載される。1段階目の温度は、210~235℃であることが好ましく、炭化時間は、15~60分間であることが好ましく、2段目の炭化温度は、250~280℃であることが好ましく、炭化時間は、15~60分間であることが記載される。
【0011】
特許文献2には、亜臨界水処理装置が記載され、当該亜臨界水処理装置に用いられる反応容器が外套容器と外套容器の内部に格納した内部容器からなる二重構造であることが記載される。
【0012】
特許部文献3には、EFB(パームオイル残渣)を、温度150~250℃、圧力0.3~4.2MPa(G)で水熱炭化する工程を含む、バイオマス固体燃料の製造方法が記載される。
【0013】
非特許文献1には、表1バイオマスガス化炉の分類〔6〕には、固定床、流動床、噴流床、ロータリーキルン方式のガス化炉が記載され、木材チップをガス化することが記載される。また、非特許文献1には、ガス化温度が700~1200℃などの高温ガス化温度が用いられることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2020-45373号公報
【文献】特許第4789595号公報
【文献】特許第7252389号公報
【非特許文献】
【0015】
【文献】日本燃焼学会誌 第49巻150号(2007)228-235
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
処理原料の木質材から半炭化炭化物を生成し、当該半炭化炭化物を木質バイオガス化炉でガス化する木質バイオガス化システムが用いられて、木質材から半炭化炭化物が生成される半炭化炭化物が減量され、原料である木質材量に比べて高ネエルギーで高い量の半炭化炭化物が得られていない。
【0017】
上述したように、日本国内には、森林資源が多くあり、小規模分散利用が可能な地域資源として、森林に放置される林地残材がある。小規模に分散された林地残材の有効利用を可能とし、燃料を化石資源から地域資源である林地残材に代替すること、また代替することで地域の活性化へ寄与することができるようにするために、林地残材の有効な活用方法が求められる。
【0018】
本発明は、係る点に鑑み、亜臨界水反応処理装置について新たに知見した活用法を採用することで、IEAで定義される従来の「半炭化方法」とは異なった形態で定義し得る「半炭化方法」を採用し、原料である木質材量から、原料である木質材量に比べて高ネエルギーで高い量の半炭化炭化物が得られ、もって、高ネエルギーで高い量の木質バイオガスを生成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、
高分子セルロース成分が低分子化したセルロース成分と、高分子リグニン成分が低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着した、ヘミセルロース系の複数の単糖類と、を主成分とした、半炭化炭化物の木質バイオ材又は/及び木質バイオペレットを提案する。
【0020】
なお、文献によっては、木質バイオペレットは、木質バイオマスペレットといわれることがある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上述したように、
前記加水分解による亜臨界水反応処理することで、投入された木質材から低分子化した木質バイオ材を生成し、亜臨界水反応処理した木質バイオ材から、低分子化したセルロース成分と、低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着した、ヘミセルロース系の複数の単糖類を主成分とした、半炭化炭化物の木質バイオ材を形成すことができる。
【0022】
当該木質材の温度Xと重量減少割合Yの変化がXY軸座標上で、緩やかな重量減少直線の肩の部分で、重量急減少する部分に継続する部分、S字曲線の重量急減少する部分及び重量急減少が終わり、緩やかな減少直線にS字曲線の出口の部分の3区分で仕訳けられるS字曲線で表されるときに、
前記S字曲線の肩の部分に設定された温度で、木質バイオ材を形成するヘミセルロース成分を液化、凝固し、当該木質バイオ材を形成する他の成分である低分子化したセルロース成分及び低分子化したリグニン成分へヘミセルロース系の複数の単糖類を固着し、当該ヘミセルロース系の複数の単糖類を固着した、低分子化したセルロース成分及びリグニン成分を主成分とした木質バイオ材を形成し、当該低分子化したセルロース成分及びリグニン成分を主成分とした木質バイオ材の半炭化処理が可能となる。
【0023】
当該半炭化処理は、従来の半炭化処理に採用される温度領域に比べて低温の150~220℃の温度でなされ、もって木質材が持つ処理前の発熱量を90~95%に保持した半炭化物が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、前記高ネエルギー化された半炭化炭化物を用いた木質バイオガス量を効率よく生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例である木質バイオガス生成システムの概要を示す図
【
図2】本発明の実施例である亜臨界水反応処理装置の構成を示す図
【
図3】本発明の実施例である他の亜臨界水反応処理装置の構成を示す図
【
図4】処理温度Xと木質材の重量変化YがXY軸座標とされ、処理温度と木質材の重量変化状況を示す図
【
図5】XY軸座標上で、木質バイオ材を形成する低分子化したセルロース成分及びリグニン成分へのヘミセルロース系の複数の単糖類の固着化、半炭化処理を説明する図
【
図6】
図5に沿って処理された木質材の生成物についての顕微鏡写真(1)
【
図7】
図5に沿って処理された木質材の生成物についての顕微鏡写真(2)
【
図8】
図5に沿って処理された木質材の生成物についての顕微鏡写真(3)(4)
【
図12】木質バイオペレットのガス化処理についての説明図
【
図13】XY軸座標図で、本発明で採用する領域を説明する図
【
図14】本発明の実施例である木質バイオガス生成方法のステップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施例である木質バイオガス生成システムの概要を示す図である。
【0028】
図1において、木質バイオガス生成システム100は、バイオペレット製造装置2及びバイオペレット製造装置2に運搬車両などの搬送手段8で連係されたバイオガス製造装置3を主たる構成物として構成される。
【0029】
バイオペレット製造装置2は、亜臨界水反応装置5及び木質バイオペレット製造装置6から構成され、過熱水蒸気発生装置4がバイオペレット製造装置2に付随される。過熱水蒸気が亜臨界水反応装置5に導出される。
【0030】
各地の森林に林地残材有機物質(以下、林地残材という)、すなわち処理原料の木質材(いわゆる木質チップ)が任意の手段が用いられて収集され、破砕されて破砕木質材の形態(以下、木質材1という)で亜臨界水反応装置5に投入8される。木質材の典型は、杉材である。木質材は、木質チップと言い換えることができる。
【0031】
木質材1は、過熱水蒸気で亜臨界水反応処理がなされて後述するようにして半炭化され、半炭化物、すなわち木質バイオ材が形成される。亜臨界水反応装置5は、投入された木質材1を亜臨界水反応処理することで、木質バイオ材を形成する。
【0032】
なお、亜臨界水反応とは、圧力容器の中に高温高圧状態の水を封じ込めることで、投入した有機物を高速加水分解し、低分子化することをいう。亜臨界水反応装置(亜臨界処理装置あるいは亜臨界装置とも呼ばれる)が用いられる。
【0033】
木質バイオ材は、木質バイオペレット製造装置6に送られ、木質バイオペレット製造装置6によって木質バイオペレット7に生成される。木質バイオペレット製造装置6は、木質バイオ材を用いて既に知られた手法に従って木質バイオペレット7を生成する。
【0034】
生成された木質バイオペレットは、別名でトレファクションペレットと呼ばれる場合がある。
【0035】
木質バイオペレット7は、搬送手段8、例えば運搬車両でバイオガス製造装置3のサイロ11に搬送され、貯留される。
【0036】
バイオガス製造装置3は、流れに沿ってサイロ11,過熱水蒸気ガス化炉12(以下、ガス化炉12という)、バグフイルター13、バファタンク14、ガスエンジン15を備える。図に記載されないが、コンデンサー及びサイクロンが設けられる場合がある。
【0037】
ガス化炉12には過熱水蒸気発生装置16が付随され、ガスエンジン15には発電機が17連結される。サイロ11とガス化炉12との間にはベルトコンベア18が配設され、ガス化炉12の下部に炭化物排出装置19が配設され、炭化物20がガス化炉12から排出され、炭化物20は、過熱水蒸気発生装置16の燃料21とされる。
【0038】
ガス化炉12の内部に水素濃度検知器を配設して、常時ガス化炉12の内部の水素濃度を検知、監視することができる。水素濃度検知器は、市販のものが使用できる。
【0039】
サイロ11に貯留された木質バイオペレット7は、ガス炉12に搬送され、過熱水蒸気発生装置16からの過熱水蒸気によってガス化され、木質バイオガスとなる。このときに生成される木質バイオガスは、亜臨界水反応処理することで、形成された木質バイオペレットの特質から後述するように炭素C量の多い高エネルギー化された木質バイオガスとなる。ガス化炉12は、さらに高エネルギー化された木質バイオガスを生成22する。
【0040】
後述するように、形成された木質バイオペレットを改良された木質ガス生成方法を採用することで、先の高エネルギー化に加えて、さらに高エネルギー化された木質バイオガスとなる。ガス炉12は、さらに高エネルギー化された木質バイオガスを生成22することができる。
【0041】
発電機17で発電された電気は、通常よく知られた送電装置が用いられて電圧、電流、周波数の調整がなされ送電系統に送電される。
【0042】
このように、
図1に記載された木質バイオガス生成システム100は、バイオペレット製造装置2による亜臨界水反応処理による木質バイオペレットを生成する第一段階の構成体、及びバイオガス製造装置3による高エネルギー化された木質バイオペレットから木質バイオガスを生成する第二段階の構成体を有して構成される。
【0043】
図2は、本発明の実施例である木質バイオペレット製造装置の構成を示す図である。
【0044】
図2において、水熱反応処理システムは、亜臨界水反応処理装置を含み、水熱反応処理システムは、処理原料投入系統、熱量を供給する熱源を含む亜臨界水反応装置、水熱反応反応残渣処理系統及び制御装置から構成される。一般的な水熱反応処理システム自体は、従来よく知られた構成である。
【0045】
本発明の実施例において、亜臨界水反応装置5は圧力容器(リアクターとも呼ばれる)101を備える。圧力容器101は、水媒体を用いて蒸気を供給する熱源として用いられるボイラー102に接続され、処理原料投入系統、メタン回収系統、水熱反応処理及び半炭化処理系統に接続される。圧力容器内の温度、圧力及び処理時間をコントロールする制御装置105が設けられる。
【0046】
圧力容器101は、外側円筒容器(外側ジャケットともいう)111及び外側円筒容器111の内壁に空間をおいて配設される内側円筒容器(内側ジャケットともいう)112から構成され、内側円筒容器内の空間(内側空間)106に撹拌機113が設けられる。
【0047】
圧力容器101は、両端側に閉止のための蓋114、115が設けられ、一方の蓋115には、その側方に駆動機116が設けられる。駆動モーター116は、回転羽根を持った撹拌機113に接続される。
【0048】
外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間(外側空間)107内の温度、圧力を計測する外側温度センサー及び外側圧力センサー121、内側円筒容器112の空間(内側空間)106内の温度、圧力を計測する内側温度センサー及び内側圧力センサー122及び内側円筒容器112の空間内の水分を計測する水分センサー123が設けられ、内側空間106内の温度、圧力が計測され、内側円筒容器112の内側空間106内の水分が計測され、それぞれの計測値はデータ信号として電子回路を経由して制御装置105に伝達される。これらの信号データは、制御装置105の記録手段に記録される。計測された水分量は、半炭化処理時間の制御データ設定に用いられる。
【0049】
圧力容器101は、内側円筒容器112に接続された蒸気排出管118を備え、蒸気排出管118に排出制御弁119が設けられる。この構成によって、内側空間内の水蒸気を外部に排出することができる。
圧力容器101は、内側円筒容器112に接続された投入ホッパー125を備え、内側円筒容器112に接続された取出し管126を持つ取出し口を備える。取出し管126に取出排出制御弁120が設けられる。この構成によって、水熱反応処理を利用して生成された半炭化物を外部に、すなわち半炭化物回収装置に回収することができる。
【0050】
粉砕機103は、収集された処理原料131を受け入れて、処理原料131を粉砕して、投入ホッパー125に粉体化された処理原料を投入する。投入ホッパー125に制御弁が設けられ、処理原料131の投入、その後の処理が、及び採用される温度調整が制御装置105によってなされる。
【0051】
粉砕機103は、電子回路で接続された制御装置105によって粉砕操作が制御される。
【0052】
処理原料131(
図1では、木質材1のこと)は、収集された段階で、処理原料の種類が判別される。多くの場合、処理原料の種類の判別は、処理原料処理者によってなされる。投入ホッパー125の近辺に撮影手段(図示せず)を取り付け、映像写真を基準映像写真と比較し、処理原料の種類の判別手段(図示せず)を設けることによって、自動的に処理原料の種類の判別を行うようにすることができる。判別データは、制御装置105に入力される。
【0053】
ボイラー102は、発生した蒸気を圧力容器101に供給する蒸気供給路133を備える。蒸気供給路133に過熱蒸気発生装置140が設けられて、発生した蒸気を過熱して圧力容器101に供給する。
【0054】
蒸気供給路133は、外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間内に過熱蒸気を供給する分岐路134と内側円筒容器112の空間内に過熱蒸気を供給する分岐路135に分岐され、各分岐路には、制御弁136、137が設置される。制御弁136、137は、制御装置105に接続されて、制御装置105によって開放、閉止が制御、調整される。過熱蒸気は、外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間、又は/及び内側円筒容器112の空間に供給される。過熱蒸気発生装置140を設けることで、内側円筒容器内の圧力に比例することなく内部温度、すなわち水熱反応処理温度を高めることができる。
【0055】
亜臨界水反応装置5は、処理原料の投入口、水熱反応を均一化するための機構及び生成された水熱反応処理後の半炭化粉体物を取り出す取出口を備え圧力容器、水熱反応処理及び熱処理のための熱源及び水熱反応処理及び熱処理を制御するための制御装置から構成され、木質材の水熱反応処理及び熱処理によって、半炭化物を生成する。
【0056】
圧力容器が、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器内の内側空間
及び内側円筒容器と外側円筒容器間の外側空間を当該内側円筒容器によって区画する。
【0057】
制御手段によって、当該加水分解処理領域に、所定の圧力の下、水の亜臨界反応域の水熱反応温度を設定して、当該加水分解処理領域で、木質材を加水分解処理して加水分解処理物質、すなわち木質材の処理結果物としての半炭化物を生成する。
【0058】
例えば、内側空間内に、水蒸気を導入し、水の亜臨界反応域の水熱反応温度を採用し、熱反応圧力2.5MPa以内、典型的には、水熱反応圧力0.3~3.5MPa以内の水熱反応領域にあって、及び適宜設定された水熱反応処理時間に制御した加水分解処理領域を形成して、木質材を加水分解処理して粉末状の加水分解処理物質である半炭化粉体物を生成する。
【0059】
内側空間内への水蒸気の導入を停止して、内側空間内の水蒸気を外部に排出する。
【0060】
乾燥・半炭化処理領域に、所定の圧力の下、処理原料の種類及び発熱量倍数から取得された半炭化粉体化処理温度を設定して、前記加水分解処理物質から、所定の発熱量を持ち、木質チップの有する発熱量に対する所定の発熱量を持ち、半炭化された水熱反応処理を利用した半炭化粉体物を生成する。
【0061】
外側空間内に、炭化温度が150~220℃内の温度で、処理時間を制御した半炭化処理領域を形成して、加水分解処理物質から水熱反応処理に基づく半炭化ペレット、典型的に、高発熱量の水熱反応処理を利用した半炭化ペレットを形成する。乾燥・半炭化され、粉体化された水熱反応固形物である半炭化物を生成する。半炭化物の一部は、他の用途に使用されてもよい。
【0062】
木質チップについて、含水率が35~50%で、発熱量3300kcal/kgのものが広く知られている。低位発熱量の場合、3040kcal/kgであることが報告されている。本発明では、発熱量倍数を算出するときに、発熱量3300kcal/kgの木質チップを基準木質チップとする。発明者等の分析によっても、半炭化物の発熱量3300kcal/kgのものが確認された。
【0063】
発明者等の実験によれば、半炭化ペレット形成系統を設けることで、半炭化され、木質チップの持つ発熱量3300kcal/kgに比べて1.25倍以上の発熱量を持つ水熱反応処理された半炭化物を製造できることが確認された。木質チップの元素組成を構成する炭素C量が50%程度であったものが水熱反応処理された半炭化物にあっては、60%以上になり、高エネルギー化される。
【0064】
半炭化温度が150~220℃内で、処理時間を制御した半炭化粉体化処理領域を形成することができる。
【0065】
粉末粒子状の半炭化物が取得されたとき、上述した半炭化物を主体として、粉末粒子状の水熱反応半炭化後の半炭化物が集合された形態の、水熱反応に基づいた半炭化ペレットを形成することができる。
【0066】
水熱反応半炭化粉体後の半炭化粉体物の半炭化粉体物回収装置への回収141に伴って、有害物の無害化、減容化142がなされる。
【0067】
もって、
・高発熱量資源化:木質チップの有する発熱量1に対する1.25、望ましくは1.5以上の発熱量倍数を持つ半炭化粉体物の製造
・二酸化炭素、ダイオキシン、臭気の抑制
が達成される。
【0068】
本実施例では、亜臨界水反応装置5が用いられる。
【0069】
圧力容器を、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器
内の内側空間及び内側円筒容器と外側円筒容器との間に形成された外側空間を当該内側円
筒容器によって区画し、
内側空間内に、蒸気を導入し、当該内側空間内を直接加熱する第一の加熱手段を設け、及び外部空間内を直接加熱し、当該内側空間内を間接加熱する第二の加熱手段を設け、
内部空間内に、第一の加熱手段によって、水熱反応圧力で加水分解による水熱反応を行う加水分解処理領域を形成可能とし、
内部空間内に、第二の加熱手段によって、所定の圧力の下、加水分解処理領域に代えた
乾燥・半炭化処理領域を形成可能とする。
【0070】
さらに、二重管構成の圧力容器を利用した、亜臨界水反応装置5を含み、水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統6及び亜臨界水反応装置5を含み、亜臨界水反応装置5を加熱手段、すなわちボイラーなどの熱源を使用する系統からなる系統が構成される。
【0071】
図3 本発明の実施例である他の亜臨界水反応装置の構成を示す図である。
【0072】
亜臨界水反応装置5の構成は、
図2に示される亜臨界水反応装置の構成に実質的に同一である。
【0073】
図3に示される亜臨界水反応装置5は、外部空間107内に、加熱ヒーター117が設けられ、ボイラー102に加えて並行して加熱電源102Aが設けられる。加熱電源102Aは、電気回路で制御装置105に接続され、ON、OFF制御される。
【0074】
加熱ヒーター117が加熱電源102Aからの電気供給によって、電気的に加熱される。
【0075】
外側空間107が、蒸気熱に代えて加熱ヒーター117による熱媒体によって加熱されることが、
図2に示される亜臨界水反応装置5の構成と異なる。加水分解処理物質から水熱反応による半炭化ペレット、典型的に、高発熱量の半炭化ペレットを製造することのできる乾燥・半炭化された水熱反応による半炭化物を生成することは同じである。
【0076】
内側空間内に、水蒸気を導入し、水の亜臨界反応域の温度、及び水熱反応圧力3.5MPa以内、典型的には、水熱反応圧力2.5MPa以内の水熱反応領域にあって、及び適宜設定された水熱反応処理時間に制御した低温加水分解処理領域を形成して、木質材を加水分解処理して粉末状の加水分解処理物質である半炭化物を形成することは、先例に異ならないが、外側空間内に、半炭化化温度が水熱反応温度以上220℃以内で、処理時間を制御した低温乾燥・半炭化処理領域が、加熱電源102Aからの通電による加熱ヒーター117によって電気的に加熱形成されることが異なる。
【0077】
図4は当該木質材を炭化処理したときに、温度Xと重量減少割合Yとの関係をXY軸座標上で示す図である。
【0078】
処理温度Xと木質材の重量変化YがXY軸座標とされ、処理温度と木質材の重量変化状況を示す図である。当該木質材を炭化処理したときに、温度Xと重量減少割合Yとの関係がXY軸座標上で、緩やかな重量減少直線の肩の部分で重量急減少する部分に継続する部分、S字曲線の重量急減少する部分及び重量急減少が終わり、緩やかな減少線のS字曲線の出口の部分の3区分で仕訳けられるS字曲線で表されることが知られる。
【0079】
木質、すなわち木質材の空気を絶った加熱処理(乾溜)では、その重量変化は、
図4に示される処理温度と木質材の重量変化状況曲線、いわゆる熱分解曲線(乾溜曲線)のような経過をたどることが知られる。ここで横軸は、加熱温度、すなわち処理温度、縦軸は残存した固体(残留炭素分)の元の木質材に対する重量%を採る。残炭分の低下は250℃付近で最も急激に起こり、さらに400℃以上でもゆっくり低下が続き、最終的には1/3~1/4くらいの重量の炭化物が得られる
ここでは、緩やかな重量減少直線の肩の部分で、重量急減少する部分に継続する部分を(1)領域、S字曲線の重量急減少する部分を(2)領域、緩やかな減少直線にS字曲線の出口の部分を(3)領域と称する。
【0080】
「トレファクション」は、IEA(国際エネルギー機関)では「減酸素雰囲気下250~320℃で行う熱処理」と定義されるように、従来、半炭化物生成は、(2)領域の温度で行われた。
【0081】
図5は、XY軸座標上で、木質バイオ材を形成する低分子化したセルロース成分及びリグニン成分へのヘミセルロース系の複数の単糖類の凝固、固着化、半炭化処理を説明する図である。
【0082】
亜臨界水反応処理に伴う低温度による半炭化処理を説明する。
【0083】
低温度による半炭化処理とは、(1)領域で半炭化処理を行なうことである。(1)領域で半炭化処理は、亜臨界水反応処理を行なうことで可能となる。
【0084】
図5において、処理(1)で、過熱水蒸気による加水分解処理(亜臨界水反応処理)がなされて、木質材の低分子化がなされる。
【0085】
温度は、亜臨界水反応温度が採用される。望ましくは230~240℃が選択される。この温度に限定されない。
【0086】
処理(2)で、低温度による半炭化処理がなされる。
【0087】
処理(1)→処理(2)とすることで、低温度による半炭化処理がなされる。
【0088】
1段目:150~220℃による温度処理
ヘミセルロース成分を液化するために、この温度にまで加温し、保持して、木質材中のヘミセルロース成分の液化を行う。液化したヘミセルロース系の複数の単糖類が生成され、低分子化したセルロース成分及び低分子化したリグニン成分間に存在する。
【0089】
2段目:110~130℃による温度処理
この温度に減温することで、液化したヘミセルロース系の複数の単糖類の凝固がなされ、低分子化されたセルロース成分及びリグニン成分に固着する。
【0090】
これら2つの処理で、半炭化物の木質バイオ材が得られる。
【0091】
半炭化物の木質バイオ材:低分子化したセルロース成分と、低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着した、ヘミセルロース系の複数の単糖類と、を主成分とする。
【0092】
処理(3)で、木質ペレットの生成がなされる。
【0093】
得られた半炭化物の木質バイオ材から木質ペレットの生成がなされる。
【0094】
当該半炭化処理は、従来の半炭化処理に採用される温度領域に比べて低温の150~220℃の温度でなされ、もって木質材が持つ処理前の発熱量を90~95%に保持した半炭化物が極めて短時間で得られる。
【0095】
図6は、
図5に沿って処理された木質材の生成物についての顕微鏡写真(1)
図7は、
図5に沿って処理された木質材の生成物についての顕微鏡写真(2)
図8は、
図5に沿って処理された木質材の生成物についての顕微鏡写真(3)(4)
顕微鏡写真(1)は、倍率が35倍の時に取得された写真で、顕微鏡写真(1)の上写真は、処理材である木質材(木質チップ)についての写真で、下写真は、本実施例で取得された木質バイオペレットについての写真である。
【0096】
顕微鏡写真(2)は、倍率が140倍の時に取得された写真で、顕微鏡写真(2)の上写真は、木質材(木質チップ)についての写真で、下写真は、本実施例で取得された木質バイオペレットについての写真である。木質バイオ材の生成は、木質バイオ材を半炭化する処理する温度が典型的に190℃内の温度に設定されてなされた。(以下、同じ)
顕微鏡写真(3)は、倍率が500倍の時に取得された本実施例で取得された木質バイオペレットについての写真である。
【0097】
顕微鏡写真(4)は、倍率が1000倍の時に取得された本実施例で取得された木質バイオペレットについての写真である。
【0098】
木質材(木質チップ)の写真に示されるように、木質材(木質チップ)は、セルロース成分、ヘミセルロース成分及びリグニン成分を主体として高分子状態で一体的に繋がり、空隙がなく整頓して形成されていることが分かる。
【0099】
写真(2)~(4)において、木質バイオペレットは、高セルロース成分が低分子化したセルロース成分、高分子リグニン成分が低分子化したリグニン成分が断続した状態を呈し、低分子化セルロース成分及び低分子化リグニン成分間に、凝固、固着したヘミセルロース系の複数の単糖類が存在する。この状態が、倍率が35倍(
図6)である場合に比べて、倍率140倍(
図7)、500倍(
図8の上の写真)、1000倍(
図8の下の写真)の場合で、より明瞭に読み取れる。
【0100】
木質バイオペレットの場合、全体的に黒色を呈して、半炭化されていることが読み取れる。
【0101】
このように、顕微鏡写真は、セルロース成分、ヘミセルロース成分及びリグニン成分を主体とし、 低分子化セルロース成分、低分子化リグニン成分が断続した状態を呈し、低分子化セルロース成分及び低分子化リグニン成分間に、凝固、固着したヘミセルロース系の複数の単糖類が存在することを特徴とする木質バイオ材を提示する。
【0102】
このことから、本発明によれば、低分子化したセルロース成分と、低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着したヘミセルロース系の複数の単糖類を主成分とし、半炭化された半炭化物の木質バイオ材が提供される。
【0103】
【0104】
亜臨界水反応処理した木質バイオ材を半炭化処理した場合に生成される炭素C量に温度によって差異が生じる。
【0105】
図9は、180~200℃の温度領域で大きな炭素C量が得られる最適的範囲、150~180℃温度領域で増加した炭素C量が得られて実用的であるが、炭素C量が少なめとなる低温範囲、及び180~220℃温度領域で増加した炭素C量が得られて実用的であるが、炭素C量が少なめとなる高温範囲を示す。
【0106】
150~220℃の温度領域で、適宜温度を選択して半炭化処理を行なう。
【0107】
例えば190℃が選択されて、熱量5330kcal/kgを持つ木質バイオ材の生成がなされる。
【0108】
150~180℃温度領域又は180~220℃温度領域では、熱エネルギーが最高の熱量5330kcal/kgよりも少ないが、木材チップが持つ3300kcal/kgに対して大きい熱量、例えば熱量4000kcal/kgを持つ木質バイオ材の生成が可能である。
【0109】
図10は、製造された木質バイオペレットを示す図である。
【0110】
図10(1)は、単独の木質バイオペレットを示し、
図10(2)は、集合した木質バイオペレットを示す。
【0111】
木質バイオ材から木質バイオペレットが製造される。
【0112】
図10(1)において、製造された木質バイオペレットは、粉体状の半炭化物で形成された直径6mmの円柱状をなす。
【0113】
有する特徴としては、
図6から
図8に示され、典型的な木質チップの熱量3300kcal/kgに対して、当該半炭化した木質バイオ材は、例えば、高熱量5330kcal/kgを有する。
【0114】
図11は、木質バイオ燃料体を生成する工程を示す図である。
【0115】
図11(1)は、木質バイオ燃料体を生成する工程を示す図で、
図11(2)は、固形状体の一部拡大図である。
【0116】
亜臨界水反応処理装置を備えて、当該亜臨界水反応処理装置で、木質材から低分子化したセルロース成分と、低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着したヘミセルロース系の複数の単糖類を主成分とし、半炭化炭化物の木質バイオ材を形成することを特徴とする半炭化炭化物製造装置が用いられる。
【0117】
図1に示す亜臨界水反応処理装置5による木質材1の亜臨界水反応処理で木質材1の木質チップ形状を維持し、外形が縮小され、破砕され易い固形状体51と粉体52が形成される。
【0118】
図11(2)に示されるように、固形状体51は、硬い層61と柔らかい層62からなり、これら層に、ヘミセルロ-ス糖化63によるヘミセルロース系の複数の単糖類が含まれ、亜臨界水の熱水処理による空隙64がみられた。
【0119】
粉体52は、集合53されて、木質バイオペレット製造装置6によって、上述したように木質バイオペレット7が製造される。
【0120】
木質バイオペレット7の製造に、固形状体51の一部が粉砕によって形成された粉体が粉体52に混合されて用いられるようにしてもよい。
【0121】
固形状体51は、集合54されて、固形状燃料体55になる。
【0122】
木質バイオペレット7及び固形状燃料体55は混合されて、木質バイオ燃料体56となり、 ガス化炉12のサイロ11に貯留され、ガス化炉12に投入される。
【0123】
当該亜臨界水反応処理装置で、当該木質材から固形状体の半炭化炭化物及び粉体の半炭化炭化物を生成し、混合して木質バイオ燃料を製造することを特徴とする半炭化炭化物製造装置用いた木質バイオ燃料製造装置が構成される。
【0124】
図12は、木質バイオペレットのガス化処理についての説明図である。
【0125】
図4において、木質材が、通常、温度Xと重量減少割合YがXY軸座標上で、緩やかな重量減少直線の肩の部分で重量急減少する部分に継続する部分、S字曲線の重量急減少する部分及び重量急減少が終わり、緩やかな減少線のS字曲線の出口の部分の3区分で仕訳けられるS字曲線で表されることを示した。
【0126】
上述したように、木質チップの元素組成を構成する炭素C量が50%程度であったものが水熱反応処理された半炭化物にあっては、60%以上になり、高エネルギー化される。
【0127】
図5に示す処理(1)~(3)後に継続して木質バイオペレットのガス化処理(処理(4))及び発電に係る処理(5)がなされる。処理(1)~(5)により木質バイオペレットのガス化処理が完成する。
【0128】
肩の部分で、低分子化したセルロース成分と、低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着した、ヘミセルロース系の複数の単糖類を主成分とし、半炭化炭化物の木質バイオ材を形成することで、処理前の発熱量の90~95%の発熱量を保持した半炭化炭化物の木質バイオ材を取得することができる。
【0129】
S字曲線の肩の部分に設定された温度、所定の時間、所定の圧力下で、木質バイオ材を形成するヘミセルロース成分を液化、凝固して、当該木質バイオ材を形成する他の成分である低分子化したセルロース成分及びリグニン成分に固着し、固着ヘミセルロース系の複数の単糖類、低分子化したセルロース成分及びリグニン成分を主成分とした木質バイオ材を形成し、かつ木質バイオ材を半炭化する処理から形成し、
木質バイオペレット製造装置によって、前記前処理した木質バイオ材から木質バイオペレットを生成し、
バイオガス化炉に、木質バイオペレットを投入して木質バイオガス化を、所定の時間、所定の圧力下、S字曲線の重量急減少する部分に設定された温度230~600℃内の温度領域に設定された温度で実施する。
【0130】
図13は、XY軸座標図で、本実施例で採用する温度領域を説明する図である。
【0131】
図13において、第一段階処理及び第二段階処理が示される。
【0132】
第一段階処理は、本発明の半炭化がなされる処理領域を示す。
【0133】
第二段階処理は、ガス化処理、すなわち過熱水蒸気反応によるガス化処理領域を示す
XY軸座標上で、(1)領域が第一段階処理で、(2)領域及び(3)領域が第二段階処理で示される。
【0134】
第一段階処理は、150~220℃の温度領域と110~130℃の温度領域からなり、第1段階処理で、本発明半炭化がなされる。
【0135】
150~220℃の温度領域は、ヘミセルロース成分が糖化して、ヘミセルロース系の複数の単糖類を生成する。
【0136】
また、この温度帯は、ヘミセルロース成分が液化及び揮発する温度帯であり、大部分が液化する。
【0137】
110~130℃の温度領域が、ヘミセルロース系の複数の単糖類が凝固・固着する温度領域である。
【0138】
図5における処理(2)が、第一段階処理における150~220℃の温度領域と110~130℃の温度領域でなされる。
【0139】
図12における処理(4)が、第二段階処理における230~600℃の温度領域でなされる。
【0140】
従来の半炭化を行う例として、200~320℃内の温度で行うことを提示された例がある。
【0141】
本発明半炭化で示される温度領域の一部200~220℃でラップするが、本発明では、
図5の処理(1)を実施した後に本発明半炭化のための温度領域が設定されることで違いがある。すなわち、本発明においては、本発明半炭化のための温度領域の設定のために亜臨界水反応処理をする工程を持つという特徴がある。
【0142】
(2)領域の選択について:
230~450℃内の温度が選択される。
【0143】
(3)領域の選択について:
450~600℃内の温度が選択される。
【0144】
図14は、本発明の実施例である木質バイオガス生成方法のステップを示す図である。
【0145】
第1段処理
亜臨界水処理反応による前処理:
処理原料の木質材を亜臨界水反応処理装置に投入
木質原料を亜臨界水反応処理して、低分子化
このよう亜臨界水反応処理後の木質バイオ材について前処理を実施する。
【0146】
半炭化処理:
へミセルロース成分を液化してへミセルロース系の複数の単糖類を生成し、温度を110~130℃に調整して、凝固し、低分子化されたセルロース成分及びリグニン成分に当該へミセルロース系の複数の単糖類を固着する。
【0147】
当該固着することで、へミセルロース系の複数の単糖類を熱源として木質材に保持する。
これらの処理を通して、木質材を半炭化処理して、半炭化処理された木質バイオ材を
生成する。
【0148】
次いで、木質バイオペレットを生成する。
【0149】
第2段処理
木質バイオガスの生成
第1段階で生成した木質バイオペレットを木質バイオガス化炉に投入
水素濃度を抑制した状態で、木質バイオペレットをガス化処理する。
【0150】
ガス温度: 230~600℃
処理時間: 所定の時間:15~60分間
【符号の説明】
【0151】
100…木質バイオガス生成システム、1…木質材(林地残材有機物質、処理原料)、2…バイオペレット製造装置、3…バイオガス製造装置、4…過熱水蒸気発生装置、5…亜臨界水反応装置、6…木質バイオペレット製造装置、7…木質バイオペレット(トレファクションペレット)、8…搬送手段、11…サイロ、12…過熱水蒸気ガス化炉、(ガス化炉という)、13…バグフイルター、14…バファタンク、15…ガスエンジン、16…過熱水蒸気発生装置、17…発電機、19…炭化物排出装置、20…炭化物(木質バイオ材を含む炭化物)、21…燃料、22…木質バイオガスの生成、51…固形状体、52…粉体、55…固形状燃料体、56…木質バイオ燃料体。
【要約】
【課題】 処理原料の木質材から半炭化炭化物を生成し、処理原料の木質材から高ネエルギー化された半炭化炭化物を生成し、高ネエルギー化された半炭化炭化物から高ネエルギー化された木質バイオガスを生成する。
【解決手段】 高分子のセルロース成分が低分子化したセルロース成分と、高分子リグニン成分が低分子化したリグニン成分と、これらのセルロース成分及びリグニン成分に凝固、固着した、ヘミセルロース系の複数の単糖類と、を主成分とした、半炭化炭化物の木質バイオ材又は木質バイオペレット。
【選択図】
図5