(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】停止システム
(51)【国際特許分類】
E01C 9/00 20060101AFI20250121BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20250121BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20250121BHJP
C08G 18/22 20060101ALI20250121BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20250121BHJP
C08G 18/50 20060101ALI20250121BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20250121BHJP
C09D 175/02 20060101ALI20250121BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20250121BHJP
C09D 7/47 20180101ALI20250121BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20250121BHJP
B32B 13/12 20060101ALI20250121BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20250121BHJP
B32B 27/42 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
E01C9/00
C08G18/42
C08G18/18
C08G18/22
C08G18/32 025
C08G18/50 021
C09D175/04
C09D175/02
C09D7/63
C09D7/47
C09D7/61
B32B13/12
B32B27/40
B32B27/42
(21)【出願番号】P 2022512366
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2020073531
(87)【国際公開番号】W WO2021037743
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-10
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519315176
【氏名又は名称】ランウェイ セーフ アイピーアール エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】トムズ, フベルト クラウス
(72)【発明者】
【氏名】プリモー, ダドリー ヨーゼフ 2世
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0356137(US,A1)
【文献】特開2005-213842(JP,A)
【文献】特表2000-511609(JP,A)
【文献】特表2009-510297(JP,A)
【文献】特開2012-229611(JP,A)
【文献】特表2010-516611(JP,A)
【文献】特開平07-091061(JP,A)
【文献】特表2017-536281(JP,A)
【文献】特表2018-514458(JP,A)
【文献】特表2017-507263(JP,A)
【文献】特表2017-510736(JP,A)
【文献】特表2013-517171(JP,A)
【文献】特表2009-520889(JP,A)
【文献】特開2018-080328(JP,A)
【文献】特開2008-308689(JP,A)
【文献】特表2005-502801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 9/00
C08G 18/42
C08G 18/18
C08G 18/22
C08G 18/32
C08G 18/50
C09D 175/04
C09D 175/02
C09D 7/63
C09D 7/47
C09D 7/61
B32B 13/12
B32B 27/40
B32B 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システ
ムを製造する方法であって、
a.砕けやすい支持
体の上にコンクリートを適用してコンクリート基
部を形成する工程と、
b.前記コンクリート基
部の上に少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つの触媒とを含む第1組成物、及び少なくとも1つのイソシアネートを適用してポリウレタン
層を形成する工程と、
c.前記ポリウレタン
層上に少なくとも1つのポリアミンを含む第2組成物、及び少なくとも1つのイソシアネートを適用してポリウレア
層を形成する工程を含む方法。
【請求項2】
工程aの後に、工程a1において、前記コンクリート基
部の上にレベリング組成物を適用してレベリング
層を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程aの後又は工程a1の後に前記コンクリート基
部の上に、且つオプションとして工程bの後に前記ポリウレタン
層の上に、少なくとも1つのポリオールを含む第3組成物及び少なくとも1つのイソシアネートを適用し、前記第3組成物が実質的に水を含まない請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのポリアミンと少なくとも1つの脱泡剤とを含む第4組成物、及び少なくとも1つのイソシアネートを前記ポリウレア
層の上に適用して滑り止め
層を得る請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンクリートが実質的に石英を含まない請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1組成物の前記少なくとも1つのポリオールはポリエステルポリオールからなる群より選択される請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1組成物の前記少なくとも1つの触媒は1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)-1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン、N,N,N’-トリメチル-N'-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル及びカリウムオクトエートからなる群より選択される請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1組成物は1~3重量%、好ましくは1.2~2重量%の界面活性剤を含み、該界面活性剤は好ましくはシリコーン界面活性剤である請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1組成物は1~5重量%、好ましくは1.2~3重量%、より好ましくは1.5~2重量%の水、及び/又は5~20重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは11~15重量%の難燃剤を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのイソシアネート及び前記第1組成物を前記コンクリート基
部上に適用して、1~50mm、好ましくは1~40mm、より好ましくは1~30mm、より好ましくは1~20mm、より好ましくは1~15mm、より好ましくは5~10mmの厚さの
前記ポリウレタン
層を得る請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのイソシアネート及び前記第2組成物を前記ポリウレタン
層上に適用して、0.1~10mm、好ましくは0.2~5mm、より好ましくは0.5~3mm、より好ましくは0.5~2mm、より好ましくは0.5~1.2mm、より好ましくは0.5~1mmの厚さの
前記ポリウレア
層を得る請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第4組成物の前記少なくとも1つの脱泡剤はシリコーン系の脱泡剤、好ましくはメチル化シリカ及び/又はジメチルシリコーンポリマーからなる群より選択される請求項
4に記載の方法。
【請求項13】
前記第4組成物は80重量%~98重量%、好ましくは90重量%~98重量%、より好ましくは95重量%~98重量%の前記少なくとも1つのポリアミン、及び/又は2重量%~5重量%、好ましくは2重量%~4重量%の前記少なくとも1つの脱泡剤を含む請求項4
又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのイソシアネート及び前記第4組成物を、0.1~2mm、好ましくは0.25~1mmの厚さで前記ポリウレア
層上に適用する請求項
4、12、13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記レベリング組成物は少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリアミン及び/又は少なくとも1つのポリオールとを含む請求項
2に記載の方法。
【請求項16】
前記レベリング組成物は石英粒子を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記石英粒子が0.05~1mm、好ましくは0.05~0.75mm、より好ましくは0.05~0.5mm、より好ましくは0.1~0.5mmの平均寸法を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レベリング組成物が更にフローティング剤、好ましくは焼成シリカを含む請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記レベリング組成物が前記少なくとも1つのポリオールと前記少なくとも1つのポリアミンの2:1~6:1、好ましくは3:1~5:1、より好ましくは3.5:1~4.5:1の比率での混合物を含む請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記レベリング組成物が前記少なくとも1つのイソシアネートと、前記少なくとも1つのポリアミン及び/又は少なくとも1つのポリオールとを3:1~7:1、好ましくは4:1~6:1、より好ましくは4
.5:1~5.5:1の比率で含む請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記レベリング組成物が前記少なくとも1つのイソシアネートと前記石英粒子とを3:1~1:1、好ましくは2.5:1~1.5:1、より好ましくは2:1~1.5:1、より好ましくは1.8:1~1.7:1の比率で含む請求項
16又は17に記載の方法。
【請求項22】
前記レベリング組成物が0.5~1.2重量%、好ましくは0.6~1重量%、より好ましくは0.7~0.9重量%、より好ましくは0.8~0.9重量%のフローティング剤を含む請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
切込
みの第1グリッ
ドが前記コンクリート基
部に形成され、前記第1グリッ
ドの前記切込
みが前記コンクリート基
部の前記砕けやすい支持
体とは反対側の表面に始まり、前記砕けやすい支持
体に向かって延び、好ましくは前記コンクリート基
部の厚さよりも小さい深さを有する請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
切込
みの第2グリッ
ドが形成され、前記第2グリッ
ドの前記切込
みが前記ポリウレア
層の前記ポリウレタン
層とは反対側の表面に始まり、前記ポリウレア
層、前記ポリウレタン
層、及び前記コンクリート基
部を通って前記砕けやすい支持
体まで延びる請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2グリッ
ドのメッシュサイズが前記第1グリッ
ドのメッシュサイズよりも大きい請求
項24に記載の方法。
【請求項26】
ジョイントプロファイ
ルが、前記第1グリッ
ドの前記切込
みの少なくともいくつかの内部、及び/又は前記第2グリッ
ドの前記切込
みの少なくともいくつかの内部に導入される請求項
24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記ジョイントプロファイ
ルがエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムを含むか、或いはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムのみにより構成されている請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の方法により得られる輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システ
ム。
【請求項29】
砕けやすい支持
体の上に位置し、少なくとも1つのポリウレタン
層及び
前記少なくとも1つのポリウレタン層の上の少なくとも1つのポリウレア
層により覆われたコンクリート基
部を備える輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システ
ム。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の輸送機器を停止するための少なくとも1つのエネルギー吸収システ
ムを含む航空滑走路又は道路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送機器停止(拘束)システム、及びその製造方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
速度又は気象条件により滑走路をオーバーシュートした時(行き過ぎた時)に航空機を捕らえるために、滑走路端の航空機停止(拘束)システムが普及してきている。滑走路の端でこのような事態が発生した場合、人及び航空機への影響の重大さを最小限に抑えるか又は回避するために、特別設計材料のベッドを敷設し得る。このような特別設計材料は、通常、エネルギー吸収性の高い材料で、航空機の重量でつぶれる。航空機は、特別設計材料を押しつぶすのに必要なエネルギーが失われることで、速度が低下される。現在のシステムは、一般的にセルラーセメント材料(多孔質セメント材料)やリサイクルガラスから作られた軽量骨材フォームを使用している。
【発明の概要】
【0003】
定期的に変化する厳しい気象条件(例えば、夏の日差し及び冬の氷点に近い温度、雨、あられなど)は、現在の航空機停止システムに影響を与え、航空機停止システムは時間を経て効力が失われる。さらに、軽量物の往来及び離陸する飛行機からの継続的なジェットブラストが現在知られている停止システムの破壊に繋がり得る。特に、現在のシステムの表面はそのような環境的条件及び航空機に起因する条件に関して十分な耐性を示していない。
【0004】
本発明の目的は、本技術分野で知られている停止システムの欠点を克服し、環境に優しい方法で且つ限られたコストで迅速に製造することができる、輸送機器停止システムを提供することである。
【0005】
本発明は、砕けやすい支持体の上に位置し、少なくとも1つのポリウレタン層及び少なくとも1つのポリウレア層により覆われたコンクリート基部を備える、輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システムに関する。
【0006】
驚くべきことに、上記の構造を含むエネルギー吸収システムが、本技術分野で知られている他のエネルギー吸収システムと比較して優れた停止特性を示すことが見出された。特に、ポリウレタン層とポリウレア層を、砕けやすい支持体の上のコンクリートベースと組み合わせて使用することで、優れたエネルギー吸収システムを実現することができる。
【0007】
本発明の他の態様は、輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システムを製造する方法であって、
a)砕けやすい支持体の上にコンクリートを適用してコンクリート基部を形成する工程と、
b)前記コンクリート基部の上に少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つの触媒とを含む第1組成物、及び少なくとも1つのイソシアネートを適用してポリウレタン層を形成する工程と、
c)前記ポリウレタン層上に少なくとも1つのポリアミンを含む第2組成物、及び少なくとも1つのイソシアネートを適用してポリウレア層を形成する工程を含む方法に関する。
【0008】
輸送機器を停止するための上述のエネルギー吸収システムを製造するために、コンクリート層、ポリウレタン層、ポリウレア層が砕けやすい支持体の上に適用される。砕けやすい支持体は滑走路又は道路及び街路に近接する地域、又はこれらの端部に実質的に平坦に堆積される。
【0009】
本発明のさらなる態様は、本発明に係る輸送機器を停止するための少なくとも1つのエネルギー吸収システムを含む航空滑走路に関する。
【0010】
本発明の他の態様は、本発明に係る輸送機器を停止するための少なくとも1つのエネルギー吸収システムを含む道路又は街路に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明に係る輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システム1の断面図を示す。前記システムは、砕けやすい支持体3上に配置されたコンクリート基部2を備える。少なくとも1つのポリウレタン層4が前記基部2を覆い、それによりポリウレア層5及び滑り止め層6が更にポリウレタン層4を覆う。
【0012】
【
図2】
図2は、コンクリート基部2の頂部の上に追加のレベリング層7を備える
図1に描かれた輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システムを示す。
【0013】
【
図3】
図3は、輸送機器を停止させるためのエネルギー吸収システム1のグリッド構造を示す。グリッド構造は、切込みの第1グリッド8と切込みの第2グリッド9とを備える。
【0014】
【
図4】
図4は、切込み10を有する本発明に係る輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システム1の断面を示す。切込み10は、その内部に配置されたジョイントプロファイル11を備えてもよい。
【0015】
【
図5】
図5は、切込み12を備える本発明に係る輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システム1の断面を示す。切込み12は、その内部に配置されたジョイントプロファイル13を備えてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法は、任意の種類の輸送機器(ビークル)を停止(拘束)するためのエネルギー吸収システムを製造することを可能にする。第1の工程では、コンクリート基部を形成するために、砕けやすい(壊れやすい、もろい)支持体上にコンクリートが適用される(塗布される)。砕けやすい支持体自体は、通常、システム全体が効果を発揮すべきである地形上、好ましくは略平坦な地形上に製造される。
【0017】
本発明の方法の第2の工程では、少なくとも1つのポリウレタン層がコンクリート基部上に適用される。これには、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリオール及び少なくとも1つの触媒を含む第1組成物とが、基部に適用する前に直接混合されるか、或いはコンクリート基部上で直接混合される。
【0018】
ステップb.におけるポリウレタン層の形成後、イソシアネートと、少なくとも1つのポリアミンを含む第2組成物(第2混合物)とを適用することにより、前記ポリウレタン層上に少なくとも1つのポリウレアが形成される。
【0019】
本発明のエネルギー吸収システムの優れた特性は、砕けやすい支持体、コンクリート、ポリウレタン及びポリウレアを含む様々な層を組み合わせたことの結果である。
【0020】
本発明のエネルギー吸収システムは、様々なタイプの輸送機器を停止するために使用することができる。本明細書で使用される「輸送機器(ビークル)」という文言は、自動車、トラック、航空機などを指す。したがって、本発明のシステムは、自動車、トラック、航空機のような輸送機器を停止するために使用することができる。
【0021】
本明細書で使用する「少なくとも1つのイソシアネート」、「少なくとも1つのポリオール」、「少なくとも1つのポリアミン」、及び「少なくとも1つの触媒」という文言はそれぞれ、1つの又は複数の様々な種類のイソシアネート、1つの又は複数の様々な種類のポリオール、1つの又は複数の様々な種類のポリアミン、及び1つの又は複数の様々な種類の触媒を本発明の方法において使用可能であることを意味する。
【0022】
少なくとも1つのイソシアネート及び種々の組成物は、ブラシ、ローラ、スプレー又は他の任意の適切な塗布技術を使用して表面上に適用(塗布)することができ、それによりスプレーを使用する塗布が最も好ましい。加えて、砕けやすい支持体へのコンクリートの塗布は、スプレー、又は表面へのコンクリートの塗布に通常用いられる他の任意の既知の技術を用いることによって行うことができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップa.の後、ステップa1.において、レベリング組成物をコンクリート基部の上に適用(塗布)し、レベリング層を形成する。
【0024】
コンクリート基部へのレベリング組成物の適用は、コンクリート基部の孔(細孔)を閉じ、ポリウレア層のより良好な結合を提供するのに有用である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリオールを含む第3組成物(第3混合物)とが、ステップa.の後、又はステップa1.の後にコンクリート基部の上に適用され、またオプション(任意)であるが、ステップb.の後にポリウレタン層の上に適用される。ここで、第3組成物は実質的に水を含まない。
【0026】
少なくとも1つのイソシアネート及び第3組成物(「プライマーシステム(下塗りシステム)」)は、システムの後続の層における任意のピンホールを除去し、水の浸透が起こらないように、コンクリートの表面を密封するように設計されている。さらに、少なくとも1つのイソシアネートと第3組成物との前述の組み合わせは、ポリウレタン層上にも適用することができ、その結果、これらの層間の結合をより良好にすることができる。
【0027】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリアミン及び少なくとも1つの脱泡材(空気放出剤、エア抜き剤)を含む第4組成物(第4混合物)とがポリウレア層上に適用(塗布)され、滑り止め層が得られる。
【0028】
停止システムの上(頂部)にポリウレア層を設けることは、色安定性及び滑り止めのための細骨材を組み込む能力に関連して有利である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、コンクリートは、200N/mm2未満、好ましくは150N/mm2未満、より好ましくは100N/mm2未満の最大圧縮強度を有する石灰岩(石灰石)を含む。
【0030】
最大圧縮強度が200N/mm2未満であることは、航空機、トラック、バスのような輸送機器による圧力でコンクリートが壊れることが可能であるため有利である。
【0031】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、コンクリートは、0.01~20mm、好ましくは0.02~15mm、より好ましくは0.05~10mm、更に好ましくは0.1~8mmの平均粒子径を有する石灰岩を含む。
【0032】
コンクリート基部中に存在する石灰岩は、好ましくは20mm未満の平均粒径を有する。このサイズ制限は、圧力が加えられた際の基部の破壊という点において有利である。
【0033】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、コンクリートは、実質的に石英を含まない。
【0034】
驚くべきことに、石英を実質的に含まないコンクリートを使用すると圧力下での破壊特性に関してより良い結果を示すことが判明した。さらに、石英/砂は、呼吸に有害となり得る粒子汚染及び粉塵に関して、環境に悪影響を与え得る。
【0035】
本明細書で使用する「実質的に含まない」という文言は、コンクリートが5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の石英を含むことを意味する。
【0036】
本発明の他の更に好ましい実施形態によれば、コンクリートはセメントを含む。セメントは、コンクリートにおける一般的なバインダであり、好ましくはコンクリート基部を製造するために使用される。
【0037】
コンクリートは、10~400mm、好ましくは15~300mm、より好ましくは20~200mm、より好ましくは10~100mm、より好ましくは15~80mm、より好ましくは20~60mmの厚さで支持体上に適用される。
【0038】
コンクリート基部の厚さを400mm以下、好ましくは60mm以下とすると、圧力下でのコンクリート基部の破壊に好影響を与えることが判明した。
【0039】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、砕けやすい支持体は、平均粒径(粒子サイズ、粒度)が1~10cm、好ましくは2~8cm、より好ましくは3~6cm、さらに好ましくは4~5cmの岩石、及び/又は発泡ガラスを含む。
【0040】
このような砕けやすい支持体の使用は、砕けやすい支持体が輸送機器からの運動エネルギーの吸収に寄与する故に、特に有利である。
【0041】
本発明のシステムで使用される発泡ガラスは、無機非金属ガラス材料から作られてもよい。発泡構造のために、発泡ガラスは、0.1~5mm、好ましくは0.2~4mm、より好ましくは0.5~3mm、より好ましくは 1~2mmの範囲の直径を有する多数の気泡構造(泡構造)を含む。本発明の発泡ガラスは、開セル(オープンセル)及び/又は閉セル(クローズドセル)の気泡を含んでもよい。このような発泡ガラスを製造する方法は、本技術分野でよく知られている。
【0042】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1組成物の少なくとも1つのポリオールは、ポリエステルポリオール、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリオール、より好ましくはリサイクルされたPET系ポリオールからなる群より選択される。
【0043】
ポリエステルポリオールは、好ましくは、マンニッヒ系ポリオール、脂肪族アミン系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールからなる群より選択される。
【0044】
本発明の好ましい実施態様によれば、第1組成物の少なくとも1つの触媒は、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)-1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン、N,N,N’-トリメチル-N'-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル及びカリウムオクトエート(カプリル酸カリウム)からなる群より選択される。
【0045】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、第1組成物は、60~95重量%、好ましくは70~90重量%の少なくとも1つのポリオールと、1~5重量%、好ましくは2~4重量%の少なくとも1つの触媒とを含む。
【0046】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1組成物は、1~3重量%、好ましくは1.2~2重量%の界面活性剤、好ましくはシリコーン界面活性剤を含む。
【0047】
界面活性剤は、好ましくはフォーム(泡)として適用又は準備される第1組成物における一貫した閉セル構造の発達(成長)を助けるために好ましくは使用される。
【0048】
界面活性剤は、好ましくは、シリコーン系の界面活性剤及び有機非イオン性界面活性剤からなる群より選択される。
【0049】
ポリウレタンをフォーム(泡)の形態で塗布することが好ましい。泡を作るには、ウレタン重合の発生と同時にガスを生成することが必要である。気体は、イソシアネートを水と反応させて生成された、或いは気体として加えられた二酸化炭素であってよい。本発明によれば、水を追加することが好ましい。
【0050】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、第1組成物は、1~5重量%、好ましくは1.2~3重量%、より好ましくは1.5~2重量%の水を含む。
【0051】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1組成物は、5~20重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは11~15重量%の難燃剤を含む。
【0052】
本発明のエネルギー吸収システムを耐熱性にするために、本発明の第1組成物は難燃剤を含んでもよい。
【0053】
難燃剤は、好ましくは、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、アルミニウム三水和物、酸化アンチモン及びホウ酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0054】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートと第1組成物は、ステップb.の間に、0.1:1~5:1、好ましくは0.5:1~4:1、より好ましくは0.8:1~2.5:1、さらに好ましくは0.9:1~1.1:1の割合で混合される。
【0055】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネート及び第1組成物をコンクリート基部上に適用(塗布)して、1~50mm、好ましくは1~40mm、より好ましくは1~30mm、さらに好ましくは1~20mm、より好ましくは1~15mm、より好ましくは5~10mmの厚さでポリウレタン層を得る。
【0056】
ポリウレタン層がこれらの範囲内の厚さを有することが、破壊に関して有利であることが見出された。
【0057】
第2組成物のポリアミンは、好ましくは、ポリオキシプロピレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、ポリオキシプロピレントリアミン、置換メチレンジアニリン及び第二級メチレンジアニリンからなる群より選択される。
【0058】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2組成物は、60~100重量%、好ましくは65~95重量%、より好ましくは65~90重量%の少なくとも1つのポリアミンを含む。
【0059】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第2組成物は、2~20重量%、好ましくは5~15重量%、より好ましくは5~10重量%の難燃剤を含む。
【0060】
本発明のエネルギー吸収システムの上層を難燃性にするために、第2組成物は少なくとも1つの難燃剤を含む。
【0061】
難燃剤は、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、アルミニウム三水和物、酸化アンチモン及びホウ酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートと第2組成物は、ステップc.の間に、0.5:1.5~1.5:0.5、好ましくは1:1の割合で混合される。
【0063】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネート及び第2組成物をポリウレタン層上に塗布して、0.1~10mm、好ましくは0.2~5mm、より好ましくは0.5~3mm、さらに好ましくは0.5~2mm、より好ましくは0.5~1.2mm、さらに好ましくは0.5~1mmの厚さでポリウレア層を得る。
【0064】
本発明の好ましい実施形態によれば、第3組成物の少なくとも1つのポリオールは、好ましくはヒマシ油、リコリン酸、カシューナッツ油及び大豆ベースのポリオールからなる群より選択される、トリグリセリド又は脂肪酸を含むヒドロキシル基である。
【0065】
天然源の脂肪酸の使用は、合成ヒドロキシル基供与体を使用する技術分野で既知の他の方法と比較して、本発明の方法をより環境に優しいものにする。
【0066】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートと第3組成物の少なくとも1つのポリオールは、コンクリート基部上及び/又はオプションとしてポリウレタン層上に、0.5:1.5~1.5:0.5、好ましくは1:1の割合で塗布される。
【0067】
本発明の好ましい実施形態によれば、第4組成物の少なくとも1つのポリアミンは、ポリアスパラギン酸エステル、好ましくはメチレンジシクロヘキシルアミンに基づくポリアスパラギン酸エステルからなる群より選択される。
【0068】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第4組成物の少なくとも1つの脱泡材は、シリコーン系の放出剤、好ましくはメチル化シリカ及び/又はジメチルシリコーンポリマーからなる群より選択される。
【0069】
第4組成物は、好ましくは80重量%~98重量%、好ましくは90重量%~98重量%、より好ましくは95重量%~98重量%の少なくとも1つのポリアミンを含む。
【0070】
本発明の好ましい実施形態によれば、第4組成物は、2重量%~5重量%、好ましくは2重量%~4重量%の少なくとも1つの脱泡材を含む。
【0071】
脱泡材は、ポリウレア発泡体を製造するのに役立つ。使用される好ましい脱泡材は水である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートと第4組成物は、0.5:2~2:0.5、好ましくは1:1.5の割合でポリウレア層(4)上に塗布される。
【0073】
少なくとも1つのイソシアネート及び第4組成物は、0.1~2mm、好ましくは0.25~1mmの厚さでポリウレア層(4)上に塗布される。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのイソシアネートは、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート、脂肪族/芳香族ジイソシアネート、及びそれらの混合物からなるイソシアネート群より選択される。脂肪族イソシアネートは、メチレンジイソシアネート、テトラアルキルキシレンジイソシアネートの二官能性モノマー、シクロヘキサンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群より選択される。芳香族イソシアネートは、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート及びジフェニレン-4,4’-ジイソシアネートからなる群より選択される。脂肪族/芳香族ジイソシアネートはキシリレン-1,3-ジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-イソシアナトフェニル)メタン、および4,4’-ジフェニル-プロパンジイソシアネートからなる群より選択される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップc.の少なくとも1つのイソシアネートは、芳香族イソシアネートである。
【0076】
芳香族イソシアネートは、実質的に硬い(剛体の)スプレーフォームを形成するのに有利であることが見出された。脂肪族イソシアネートはこの目的のためのフォームシステムを作るには反応性が遅すぎる。
【0077】
本発明の好ましい実施態様によれば、レベリング(水平化、平坦化)組成物は、少なくとも1つのイソシアネート(好ましくは上記で定義したイソシアネート)、少なくとも1つのポリアミン(好ましくは上記で定義したポリアミン)、及び/又は少なくとも1つのポリオール(好ましくは上記で定義したポリオール)を含む。
【0078】
本発明の更なる好ましい実施形態において、レベリング組成物は、ポリオールとポリアミンの混合物を含む。
【0079】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、レベリング組成物は石英粒子を含む。
【0080】
石英粒子は、0.05~1mm、好ましくは0.05~0.75mm、より好ましくは0.05~0.5mm、さらに好ましくは0.1~0.5mmの平均寸法を有する。
【0081】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、レベリング組成物はフローティング剤(浮動剤)、好ましくはヒュームドシリカとしても知られる焼成シリカ(パイロジェニックシリカ)を更に含む。焼成シリカは、5~50nmの平均粒径を有していてもよい。この粒子は 典型的には、無孔質であり、50~600m2/gの表面積を有していてもよい。密度は、好ましくは160~190kg/m3である。
【0082】
焼成シリカがポリジメチルシロキサン(PDMS)で処理されていると特に有利である。このような処理により、焼成シリカ粒子の表面は、より疎水性になる。あるいは、焼成シリカは、ポリジメチルシロキサンで処理されてもよい。
【0083】
本発明の好ましい実施形態によれば、レベリング組成物は、少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのポリアミンとの、2:1~6:1、好ましくは3:1~5:1、より好ましくは3.5:1~4.5:1の比率での混合物を含む。
【0084】
レベリング組成物中のポリオールとポリアミンの混合物は、滑らかで平坦な表面を与えるためにコンクリート表面に組成物を適用する際に良好なレオロジー特性を示す組成物を得ることができるので、特に有利である。
【0085】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、レベリング組成物は、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つのポリアミン及び/又は少なくとも1つのポリオールとを、3:1~7:1、好ましくは4:1~6:1、より好ましくは4.5:1~5.5:1の比率で含む。
【0086】
本発明の好ましい実施形態によれば、レベリング組成物は、少なくとも1つのイソシアネートと石英粒子とを3:1~1:1、好ましくは2.5:1~1.5:1、より好ましくは2:1~1.5:1、更に好ましくは1.8:1~1.7:1の比率で含む。
【0087】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、レベリング組成物は、0.5~1.2重量%、好ましくは0.6~1重量%、より好ましくは0.7~0.9重量%、更に好ましくは0.8~0.9重量%のフローティング剤を含む。
【0088】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、レベリング層7は、0.1~10mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは1~4mm、さらに好ましくは1~3mmの厚さを有していてもよい。
【0089】
本発明に係る方法の好ましい実施形態によれば、コンクリート基部2に切込み10の第1グリッド8が形成される。第1グリッド8の切込み10は、コンクリート基部2の、砕けやすい支持体3とは反対の表面に始まり、砕けやすい支持体3に向かって延び、好ましくはコンクリート基部2の厚さより小さい深さを有する。
【0090】
本発明に係る方法は、好ましくは、切込み12の第2グリッド9を形成する工程を含む。第2グリッド9の切込み12は、ポリウレタン層4と反対側のポリウレア層5の表面に始まり、ポリウレア層5、ポリウレタン層4及びコンクリート基部2を通って、砕けやすい支持体3まで延びる。
【0091】
第1グリッド8の切込み10は収縮目地(収縮ジョイント)として作用し、第2グリッド9の切込み12は膨張目地(膨張ジョイント)として機能する。エネルギー吸収システムの構造における亀裂は、特に雨及び/又は雪にさらされた場合に、コンクリートの内部で生じ得る化学的反応により、又は冬季にこれらの亀裂内で氷が形成されることで本発明による亀裂入りシステムを追加の機械的ストレスにさらすことにより、システムのますます急速な劣化を引き起こす可能性がある。
【0092】
本発明に係るエネルギー吸収システムが示す熱応力のために、例えば日光または他の熱源または熱放射にさらされたとき、また一方では冬期または寒冷地の低温にさらされたとき、エネルギー吸収システム内の構造的結合(構造的凝縮)の緩やかな劣化及び亀裂の形成が発生しやすい。収縮目地として作用する切込み10の第1グリッド8を含むことにより、コンクリート基部2の膨張によって生じる熱応力が緩和され、熱により引き起こされるそのような亀裂又は構造的な欠陥の形成が抑制される。第1グリッド8の切込み10は、好ましくは、コンクリート基部2の厚さよりも小さい深さを有する。この設計は、熱及び熱放射にしばしば直接さらされるエネルギー吸収システムの表面に近いコンクリート基部2の膨張を増大させるコンクリート基部2内の温度勾配を補償するものである。
【0093】
第2グリッド9の切込み12は膨張目地として作用し、低温にさらされたとき、エネルギー吸収システムの収縮によって生じる熱応力を緩和する。低温条件下では、エネルギー吸収システムは、その厚さ全体にわたって本質的に均一な方法で収縮する。したがって、第2グリッド9の切込み12は、ポリウレア層5、ポリウレタン層4及びコンクリート層2を通って、砕けやすい支持体3まで延びている。
【0094】
好ましい実施形態によれば、第2グリッド9は、第1グリッド8よりも大きなメッシュサイズを有する。膨張目地は、収縮目地としても作用し得るので、第1グリッド8のメッシュサイズよりも第2グリッド9のメッシュサイズを大きくすることができる。
【0095】
任意選択的に、本発明に係る方法において、第1グリッド8の切込み10の少なくともいくつかの内部及び/又は第2グリッド9の切込み12の少なくともいくつかの内部にジョイントプロファイル11、13が導入される。ジョイントプロファイル11、13は、エネルギー吸収システムの製造中に材料が切込み10、12に蓄積され、切込み10、12を妨害することを抑制する。特に、第1グリッド8で使用されるジョイントプロファイル11は、プロファイルヘッドを有し、このプロファイルヘッドは、第1グリッド8の切込み10の幅を超えて延在している。
【0096】
ジョイントプロファイル11、13は、好ましくは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムを含む、又はエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムのみからなる。
【0097】
本発明の他の態様は、本発明に係る方法によって得ることができる、輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システムに関する。
【0098】
本発明の更なる態様は、砕けやすい支持体3の上に配置されたコンクリート基部2を備え、少なくとも1つのポリウレタン層4と少なくとも1つのポリウレア層(5)により覆われた、輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システムに関する。
【0099】
驚くべきことに、砕けやすい支持体上に上記の層を備えるシステムは、本技術分野で知られている他のエネルギー吸収システムより優れたエネルギー吸収特性を示すことが見出された。砕けやすい支持体上のポリウレタン層とポリウレア層との相互作用は有利であると見出された。
【0100】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのポリウレタン層4は、少なくとも1つのポリウレア層5で覆われている。
【0101】
本発明のエネルギー吸収システムの少なくとも1つのポリウレタン層が、少なくとも1つのポリウレア層で覆われていることが特に有利である。特に当該2つの層のこの順序が、例えば環境からの影響に関して耐性を示す、航空機のような重い輸送機器に好適に使用されるエネルギー吸収システムを与える。
【0102】
本発明の好ましい実施形態によれば、コンクリート基部及び当該基部を覆う層は、実質的にジョイントレス(継ぎ目なし。目地なし。)である。
【0103】
本発明の方法は、エネルギー吸収システムの表面が実質的にジョイントレスである、輸送機器を停止するためのエネルギー吸収システムを得ることを可能にする。
【0104】
ポリウレア層5は、好ましくはポリウレアを含む滑り止め層で覆われている。
【0105】
本発明のエネルギー吸収システムは、航空滑走路又は平坦な道路の端部に使用することができる。このようなシステム上で人又は軽量の輸送機器が移動できるようにするために、少なくとも1つのポリウレア層が好ましくは滑り止め層で覆われる。滑り止め層もポリウレアを含み得る。
【0106】
本発明の更なる態様は、本発明に係る、輸送機器を停止するための少なくとも1つのエネルギー吸収システムを含む航空滑走路に関する。
【0107】
滑走路は、好ましくは2つの端部を有し、少なくとも1つのエネルギー吸収システムは、前記航空滑走路の1つ又は2つの端部の端に配置される。
【0108】
本発明のエネルギー吸収システムは、空港の滑走路の一部とすることができる。好ましくは、前記エネルギー吸収システムは、20~500メートルの長さと20~100メートルの幅を有する領域をカバーする。
【0109】
本発明の別の態様は、本発明に係る、輸送機器を停止するための少なくとも1つのエネルギー吸収システムを含む道路に関する。
【0110】
本発明のエネルギー吸収システムは、輸送機器を停止又は減速させるために道路及び街路に設置することもできる。これは、例えば、壊れたブレーキを有するトラック又はバスが、本発明のエネルギー吸収システムが配置される非常口で街路又は道路から離れることができるようにするために有用であり得る。また、本発明のエネルギー吸収システムは、権限のない車両から特定の領域を保護するために使用されることができる。
【0111】
本発明は、以下の実施例によって更に説明されるが、本発明がこれらに限定されることはない。
【0112】
<実施例>
本実施例は、本発明のエネルギー吸収システム(
図1参照)がどのようにして製造されたかを示す。
【0113】
コンクリート基部2
【0114】
コンクリート基部2を、厚さ20~200mm、望ましい厚さは40~60mmで、砕けやすい支持体3の上に塗布した。
【0115】
プライマーシステム
【0116】
プライマーシステムは、設置されたコンクリート基部2の表面を密封して、システムの続く層における任意のピンホールを除去し水分透過の発生を防ぐように設計された。しかしながら、このプライマーは、ポリウレタン層のコーティングにも用いることができる。このプライマーは、100%固形分(水を含まない)で構成されており、芳香族ポリイソシアネートと再生可能資源ポリオール、すなわちヒマシ油をベースとしたものであった。この点は、環境的に大きな利点を有する。プライマーは塗布されるが、プライマーはコンクリートに浸み込んで密封するように設計されており、コーティング厚さを有する層を与えるものではない。
【0117】
プライマーは0.13~0.5リットル/m2の散布率(塗り坪)、望ましくは0.2~0.25リットル/m2の散布率で設置された。プライマーは、ブラシ又はローラ、高圧エアレススプレー又はプルーラルコンポーネントスプレー(複数成分スプレー)によって塗布した。
【0118】
プライマーは、Huntsman CorporationのSUPRASEC 9584のような芳香族イソシアネート成分をベースとしたものであった。これは、24.1%のイソシアネート含量、2.67の官能基数、および174の当量、45cps@25℃(25℃で45cps)の粘度を有するイソシアネート成分である。
【0119】
樹脂成分は、水酸基価60~100、粘度200~600cps@25℃(25℃で200~600cps)のヒマシ油♯1、ヒマ(トウゴマ。Ricinus Cumminus)種子油であった。
【0120】
イソシアネートと樹脂を体積比で1:1で混合し、上記のように基材に塗布した。
【0121】
ポリウレタン層4
【0122】
スプレーフォーム(泡)システムは、砕けやすく、高い難燃性、燃焼に対する耐性を有する特別に修飾されたイソシアヌレートスプレーフォームであった。このフォームシステムは、ポリ芳香族イソシアネートと、ポリオール、触媒及び水ブローン(膨張用の水)の樹脂ブレンドとをベースとしたものであった。このシステムは、膨張/ブローイングに水のみを使用し、いかなる追加の有機発泡剤(有機膨張剤)を使用しない、環境に優しいシステムであった。
【0123】
このスプレーフォームシステムは、200:100~400:100(イソシアネート対樹脂/ポリオール)の比率、望ましい処理比率として200:100~250:100の比率で処理された。フォームの塗布厚さは15~40mmとすることができ、望ましい塗布厚さは20~30mmである。
【0124】
フォームシステムは、一旦プライマーがタックフリーになった時点で(通常1.5時間以内)、プライマーシステムに塗布することができる。フォームシステムは、衝突混合スプレーガンを装着した高圧の加熱された可変比率プルーラルコンポーネント装置を用いて塗布される。
【0125】
このシステムは,以下の配合に基づくものであった。
【0126】
イソシアネート成分:
ポリメリックMDI、100重量部、例えばHuntsman社のRUBINATE M
【0127】
樹脂ブレンド:
PET系のポリオール 70~90重量部(水酸基価250)
水 1.5~2.0重量部
トリスクロロプロピル 11~15重量部 リン酸塩(難燃剤)
シリコーン界面活性剤 1.3~1.8重量部
JEFFCAT TR 90 1.6~1.8重量部
JEFFACT ZF 10 0.5~0.7重量部(触媒、いずれもHuntsman製)
POLYCAT 34 0.6~0.8重量部(Evonik製触媒)
カリウムオクトエート 0.4~0.8重量部(三量体形成触媒)
【0128】
このスプレーフォームシステムは、200:100~400:100(ISO対樹脂/ポリオール)の体積比率、望ましい処理体積比率200:100~250:100で処理された。
【0129】
ポリウレア層5
【0130】
ポリウレアコーティングシステムは、芳香族系のポリウレアであり、氷点下に近い気候など低温に曝される状況でも良好な弾性及び強度を提供するように設計された特性を有する。ポリウレアコーティングシステムは、芳香族プレポリマーイソシアネートと、アミン末端樹脂から構成される樹脂ブレンドとをベースとする複数成分システムである。ポリウレアコーティングシステムは100%の固体システムであり、反応性、硬化性が非常に速い。
【0131】
ポリウレアシステムの塗布は、0.5~2.0mm、望ましい塗布厚さとして0.5~1.0mmでなされ得る。このシステムは、衝突混合スプレーガンを取り付けた、高圧の加熱されたプルーラルコンポ―ネント装置を使用して塗布される。
【0132】
このシステムは、以下の配合に基づくものであった。
【0133】
イソシアネート成分:
SUPRASEC 2054 100重量部(Huntsman社製、イソシアネート含有量15%、官能基数2.0)
【0134】
樹脂ブレンド側:
JEFFAMINE D-2000 50~70重量部(Huntsman 社製、分子量2000のポリエーテルアミン)
LONZA DETDA 17~20重量部(Lonza社、ジエチルトルエンジアミン)
UNILINK 4200 5~10重量部(Dorf Ketal、メチレンジアニリン系2級アミン)。
アルミニウム三水和物 5~10重量部 (Clariantの難燃剤)
顔料色素 2~5重量部
ゲルタイム、 5~10秒
タックフリータイム、 ~45秒
【0135】
この系は、高圧高温プロポーショニングスプレー装置において体積比1:1で処理される。
【0136】
滑り止めコート:
【0137】
ポリウレアシステムの上に(ポリウレアシステムを覆って)トップコートを塗布することができる。これにより、色の安定性と、滑り止めのための細骨材を組み込む能力が与えられる。トップコートは、ポリアスパラギン酸エステル樹脂を使用した脂肪族ポリウレアシステムをベースとしたものであった。トップコートの塗布厚さは0.25~1mmDFTであり、望ましい塗布厚さは0.4~0.6mmDFTであった。トップコートは、ブラシ又はローラ,高圧エアレススプレー又はプルーラルコンポーネントスプレーによって塗布することができる。塗布された骨材は0.2~0.5mmの範囲であり、好ましくは0.3~0.4mmの範囲である。
【0138】
このシステムは、以下の配合に基づくものであった。
【0139】
イソシアネート成分:
HDIトリマー 100重量部 (DESMODUR 3900、N-100、又はTolonate HDT-LVなど)
【0140】
樹脂ブレンド成分:
DESMOPHEN NH-1420 55~65重量部
DESMOPHEN NH-1520 35~40重量部(Bayer製ポリアスパラギン酸エステル)
Silquest A-1100 0.5~1.0重量部(Momentive製アミノシラン接着性向上剤)
BYK 354 1.7‐2.2 重量部(脱泡材‐Byk Chemie)
Airex 900 1.4~1.7重量部(脱泡材-GoldschmidtChemical)
混合比、体積で 1.0 ISO : 1.5 樹脂
ゲルタイム、30~35分
タックフリー 1.0~1.5時間