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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20250121BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
D06F39/08 301A
D06F39/02 A
D06F39/02 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019103665
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020195578
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 啓太
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】北村 英隆
【審判官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044305(WO,A1)
【文献】特開2010-125133(JP,A)
【文献】特開2018-161192(JP,A)
【文献】特開2005-137944(JP,A)
【文献】特開2017-158908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
使用者による手動により衣類処理剤が投入される手動投入部と、
前記手動投入部に水を供給する複数の手動投入部用経路と、
を備え、
複数の前記手動投入部用経路は、全て前記外箱の側面とは反対側となる前記タンクの片側において前記タンクの底部よりも高い位置に配置され、且つ、水平方向に並んで配列されており、
前記手動投入部用経路の下方にスペースを有する衣類処理装置。
【請求項2】
前記タンク内の衣類処理剤を前記衣類処理槽内に流出させる自動投入部用経路を備え、
前記自動投入部用経路も、前記タンクの前記手動投入部用経路と同じ側に配置されている請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記タンクは、前記外箱の側面と前記手動投入部用経路との間に配置されている請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記手動投入部は、
前記衣類処理剤として洗剤が投入される洗剤投入部と、
前記衣類処理剤として柔軟剤が投入される柔軟剤投入部と、
を備え、
前記手動投入部用経路として、
前記洗剤投入部に通常水を注ぐメイン注水経路と、
前記柔軟剤投入部に通常水を注ぐソフター注水経路と、
前記洗剤投入部に風呂水を注ぐ風呂水注水経路と、
を備える請求項1から3の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
複数の前記手動投入部用経路は、前記手動投入部に対し上方から水を供給する請求項1から4の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記タンクおよび前記手動投入部を収容する注水ケースを備え、
前記手動投入部用経路内の残水を前記注水ケース内に排出する残水排出部を備える請求項1から5の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記残水排出部は、前記注水ケース内において前記タンクの下面と対向しない部分に残水を排出する請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記注水ケースの外部に設けられ、前記タンク内の衣類処理剤を吸引するポンプと、
前記注水ケースの内部において、前記タンクと前記ポンプとを接続する接続部と、
を備え、
前記残水排出部は、前記接続部に残水を排出する請求項6に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、使用者による手動により洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤が投入される手動投入部を備えたものが提供されている。そして、近年、洗濯機においては、使用者の利便性向上の要望に応えるため、衣類処理剤を自動投入用のタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入部を備えた構成が開発されている(例えば、特許文献1参照)。つまり、手動投入部および自動投入部の双方を備える洗濯機の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-11618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来構成においては、手動投入部に水を供給するための複数の経路がタンクを挟んで両側に分かれて配置された構成となっている。そのため、タンクの配置位置が複数の経路に挟まれる狭小な部分に限定されてしまい、タンクのための十分なスペースを確保することができず、タンクの大型化を阻害する要因となっている。また、従来構成においては、タンクの外側に配置されている経路の分、洗濯機の外箱内において当該タンクを内側つまり水槽側に寄せて配置しなければならない。そのため、タンクと水槽との距離が短くなり、例えば振動発生時において、タンクが水槽に接触してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本実施形態は、衣類処理剤の自動投入用のタンクのためのスペースを十分に確保することができ、また、タンクが水槽に接触することを抑制することができる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る衣類処理装置は、外箱と、前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、使用者による手動により衣類処理剤が投入される手動投入部と、前記手動投入部に水を供給する複数の手動投入部用経路と、を備え、複数の前記手動投入部用経路は、全て前記外箱の側面とは反対側となる前記タンクの片側において前記タンクの底部よりも高い位置に配置され、且つ、水平方向に並んで配列されており、前記手動投入部用経路の下方にスペースを有する
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す斜視図
図3】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示すものであって、手動投入用ケースが収容された状態例を示す平面図
図4】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す左側面図
図5】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示すものであって、手動投入用ケースが引き出された状態例を示す平面図
図6】本実施形態に係る外箱内における給水部の配置位置の一例を概略的に示す斜視図
図7】本実施形態に係る給水弁ユニットの構成例を概略的に示す背面図
図8】本実施形態に係るタンク収容部内の構成例を概略的に示す縦断側面図
図9】本実施形態に係るタンク収容部と外箱の側面との位置関係の一例を概略的に示す縦断正面図
図10】変形例に係るタンク収容部およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断正面図
図11】変形例に係る給水部の構成例を概略的に示すものであって、自動投入用のタンクが取り外された状態例を示す平面図
図12】変形例に係る給水部の構成例を概略的に示す縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、洗い処理、すすぎ処理、脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆる横軸型のドラム式の洗濯機である。
【0009】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、衣類処理槽の一例であり、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるためのバッフルが設けられている。
【0010】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部4、および、洗浄槽3内の水を機外に排水するための図示しない排水部を備えている。給水部4は、例えば水道などの図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、後述する給水弁ユニット21などを備えた構成となっている。また、排水部は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に、排水弁などを備えた構成となっている。
【0011】
次に、上述した給水部4の構成例について、さらに詳細に説明する。図2から図4に例示するように、給水部4は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に注水ケース10を備えた構成となっている。注水ケース10は、内部に水が注水されるほぼ矩形の容器状の構成要素となっている。注水ケース10には、注水ケース本体部11およびタンク収容部12が一体的に設けられている。
【0012】
注水ケース本体部11は、注水ケース10の本体部分を構成するものであり、この場合、洗濯機1の前後方向に長いほぼ矩形の容器状をなしている。また、注水ケース本体部11の底部は、前側から後側に向かって傾斜しており、その最底部分が給水ホース13を介して洗浄槽3の上部に接続されている。タンク収容部12は、注水ケース本体部11の後部の上部に一体的に設けられている。また、タンク収容部12の内部は、注水ケース本体部11の内部に連通している。
【0013】
注水ケース本体部11の内部には、手動投入用ケース14が収容されている。手動投入用ケース14は、手動投入部の一例であり、注水ケース本体部11の内部に前後方向に出し入れ可能に収容されている。即ち、手動投入用ケース14は、いわゆる引き出し式の構成となっている。
【0014】
図5に例示するように、手動投入用ケース14の内部には、洗剤投入部15および柔軟剤投入部16が設けられている。この場合、洗剤投入部15は、手動投入用ケース14内の前部の左部に設けられている。洗剤投入部15内には、使用者による手動により、例えば洗剤などの衣類処理剤が投入される。一方、柔軟剤投入部16は、手動投入用ケース14内の前部の右部に設けられている。柔軟剤投入部16内には、使用者による手動により、例えば柔軟剤などの衣類処理剤が投入される。また、洗剤投入部15および柔軟剤投入部16は、手動投入用ケース14内の前部において左右に並んで配列されている。
【0015】
タンク収容部12は、上部が開放したほぼ矩形箱状をなしている。タンク収容部12の内部には、複数、この場合、洗剤タンク17および柔軟剤タンク18が着脱可能に収容されている。図6に例示するように、この場合、洗剤タンク17および柔軟剤タンク18は、外箱2の上面の左部に設けられたほぼ矩形の開口部2aを介して、タンク収容部12に対して上方から着脱可能となっている。なお、外箱2の開口部2aは、ほぼ矩形状の蓋2bによって開閉可能となっている。
【0016】
洗剤タンク17は、タンクの一例であり、衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類を洗浄するための洗剤を貯留する矩形容器状のタンクである。洗剤タンク17内には、運転複数回分の洗剤を貯留可能となっている。なお、洗剤タンク17内への洗剤の補給は、当該洗剤タンク17の上部に設けられた補給口を介して行うことができる。また、柔軟剤タンク18は、タンクの一例であり、衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類に柔軟処理を施すための柔軟剤を貯留する矩形容器状のタンクである。柔軟剤タンク18内には、運転複数回分の柔軟剤を貯留可能となっている。なお、柔軟剤タンク18内への柔軟剤の補給は、当該柔軟剤タンク18の上部に設けられた補給口を介して行うことができる。
【0017】
また、洗剤タンク17および柔軟剤タンク18は、この場合、タンク収容部12内において洗濯機1の前後方向に沿って収容されるようになっている。また、洗剤タンク17および柔軟剤タンク18は、この場合、タンク収容部12内において洗濯機1の左右方向に並んで収容されるようになっている。
【0018】
また、給水部4は、さらに、洗剤自動投入部19、注水経路部20、給水弁ユニット21、風呂水ポンプ22などを備えている。
【0019】
洗剤自動投入部19は、自動投入部の一例であり、洗剤用計量ポンプ23、柔軟剤用計量ポンプ24、自動投入部用経路25を備えている。
【0020】
洗剤用計量ポンプ23は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。洗剤用計量ポンプ23は、洗剤タンク17内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を自動投入部用経路25内に送出する。
【0021】
柔軟剤用計量ポンプ24は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。柔軟剤用計量ポンプ24は、柔軟材タンク18内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の柔軟剤を吸引し、その吸引した柔軟剤を自動投入部用経路25内に送出する。
【0022】
自動投入部用経路25の先端部は、注水ケース10の底部に接続されている。この場合、自動投入部用経路25は、注水ケース10の注水ケース本体部11において手動投入用ケース14の底面よりも下方となる位置に接続されている。これにより、洗剤用計量ポンプ23によって洗剤タンク17内から引き出された所定量の洗剤、あるいは、柔軟剤用計量ポンプ24によって柔軟剤タンク18内から引き出された所定量の柔軟剤は、自動投入部用経路25を介して注水ケース10内に供給され、さらに当該注水ケース10内から給水ホース13を介して洗浄槽3内に自動的に投入されるようになっている。
【0023】
注水経路部20は、例えば樹脂製であり、複数の注水経路、この場合、メイン注水経路31、ソフター注水経路32、風呂水注水経路33を一体的に備えた構成となっている。メイン注水経路31、ソフター注水経路32、風呂水注水経路33は、何れも、手動投入部用経路の一例であり、注水ケース10内の手動投入用ケース14内に水を供給するための注水経路として備えられている。
【0024】
メイン注水経路31は、手動投入用ケース14内の洗剤投入部15内に、例えば水道などの洗濯機1外部の水源から供給される通常水を注ぐための注水経路である。ソフター注水経路32は、手動投入用ケース14内の柔軟剤投入部16内に、例えば水道などの洗濯機1外部の水源から供給される通常水を注ぐための注水経路である。風呂水注水経路33は、手動投入用ケース14内の洗剤投入部15内に、例えば浴槽などの洗濯機1外部の水源から供給される風呂水を注ぐための注水経路である。
【0025】
給水弁ユニット21は、例えば、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁により構成されている。なお、排水部に備えられる排水弁も、例えば、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁により構成されている。図7に例示するように、給水弁ユニット21は、複数、この場合、4つの給水弁21a,21b,21c,21dを一体的に備えた構成となっている。
【0026】
給水弁21aの先端部は、図示しない通水ホースを介してメイン注水経路31の基端部に接続されている。給水弁21aは、洗濯機1外部の例えば水道などの水源から供給される通常水をメイン注水経路31内に導入する。メイン注水経路31の先端部は、タンク収容部12の前方において注水ケース本体部11の前部の上部の左部に接続されている。即ち、メイン注水経路31の先端部は、注水ケース本体部11内に収容された手動投入用ケース14のうち洗剤投入部15の上方に位置して接続されている。よって、メイン注水経路31内に導入された通常水は、注水ケース本体部11内に収容された手動投入用ケース14の洗剤投入部15内に対し上方から供給される。なお、この場合、メイン注水経路31の先端部は、前後方向に沿って直線状に延びており、また、その最前部において左右に枝分かれして後方に折り返された形状となっている。また、メイン注水経路31の先端部は、複数の注水孔31aを有している。
【0027】
給水弁21bの先端部は、図示しない通水ホースを介してソフター注水経路32の基端部に接続されている。給水弁21bは、洗濯機1外部の例えば水道などの水源から供給される通常水をソフター注水経路32内に導入する。ソフター注水経路32の先端部は、タンク収容部12の前方において注水ケース本体部11の前部の上部の右部に接続されている。即ち、ソフター注水経路32の先端部は、注水ケース本体部11内に収容された手動投入用ケース14のうち柔軟剤投入部16の上方に位置して接続されている。よって、ソフター注水経路32内に導入された通常水は、注水ケース本体部11内に収容された手動投入用ケース14の柔軟剤投入部16内に対し上方から供給される。なお、この場合、ソフター注水経路32の先端部は、前後方向に沿って直線状に延びており、複数の注水孔32aを有している。
【0028】
給水弁21cの先端部は、図示しない通水ホースを介して洗剤用計量ポンプ23および柔軟剤用計量ポンプ24と自動投入部用経路25との接続部分に接続されている。給水弁21cは、洗濯機1外部の例えば水道などの水源から供給される通常水を洗剤用計量ポンプ23および柔軟剤用計量ポンプ24と自動投入部用経路25との接続部分に導入する。これにより、洗剤用計量ポンプ23が自動投入部用経路25内に送出した洗剤、あるいは、柔軟剤用計量ポンプ24が自動投入部用経路25内に送出した柔軟剤が、給水弁21cから供給される通常水によって注水ケース10内に導入される。そして、注水ケース10内に導入された洗剤あるいは柔軟剤は、給水弁21cから供給される通常水とともに給水ホース13を介して洗浄槽3内に供給される。
【0029】
なお、給水弁21dは、例えば洗濯機1が備える図示しないダクトを洗浄するための洗浄水を供給するための給水弁として備えられている。
【0030】
風呂水ポンプ22は、その先端部が、図示しない通水ホースを介して風呂水注水経路33の基端部に接続されている。風呂水ポンプ22は、洗濯機1外部の浴槽などの水源から風呂水を吸引し、その吸引した風呂水を風呂水注水経路33内に導入する。風呂水注水経路33の先端部は、タンク収容部12の前方において注水ケース本体部11の前部の上部に接続されている。この場合、上述したメイン注水経路31の先端部およびソフター注水経路32の先端部は、注水ケース本体部11の前部の上部において左右に並んで配列されており、風呂水注水経路33の先端部は、これらメイン注水経路31の先端部およびソフター注水経路32の先端部の後方に位置して左右方向に直線状に延びている。また、風呂水注水経路33の先端部は、複数の注水孔33aを有している。
【0031】
以上のように構成される洗濯機1において、複数の手動投入部用経路31,32,33は、全てタンク収容部12の片側にまとめて配置されている。より具体的には、複数の手動投入部用経路31,32,33は、洗濯機1の正面側から見て、より洗浄槽3側、換言すれば外箱2の左側面2Lとは反対側となる内側にまとめて配置されている。この場合、複数の手動投入部用経路31,32,33は、その全体ではなく一部、この場合、基端部と先端部との間の中間部分が、全てタンク収容部12の片側にまとめて配置された構成となっている。
【0032】
また、別の観点から洗濯機1の構成例を特定すると、タンク収容部12は、洗濯機1の正面側から見て、外箱2の左側面2Lと複数の手動投入部用経路31,32,33との間に配置されている。換言すれば、タンク収容部12は、外箱2の左側面2Lと複数の手動投入部用経路31,32,33との間に挟まれた状態となっている。
【0033】
なお、複数の手動投入部用経路31,32,33のうちメイン注水経路31の基端部およびソフター注水経路32の基端部は、タンク収容部12の後側にまとめて配置されている。また、複数の手動投入部用経路31,32,33のうち風呂水注水経路33の基端部は、複数の手動投入部用経路31,32,33の中間部分とともにタンク収容部12の片側にまとめて配置されている。また、複数の手動投入部用経路31,32,33の先端部は、タンク収容部12の前側にまとめて配置されている。
【0034】
そして、複数の手動投入部用経路31,32,33は、タンク収容部12の片側において、水平方向に並んで配列されている。即ち、複数の手動投入部用経路31,32,33は、側面視つまり水平方向に見た場合に、その一部あるいは全部が相互に重なるように配列されている。また、複数の手動投入部用経路31,32,33は、平面視つまり上下方向に見た場合に、その一部あるいは全部が相互に重ならないように配列されている。
【0035】
また、風呂水注水経路33の途中部分、この場合、他の手動投入部用経路31,32の途中部分とともにタンク収容部12の片側にまとめられた部分には、残水排出部41が設けられている。残水排出部41は、排出孔41aを有しており、この排出孔41aは、注水ケース10に接続されている。これにより、洗濯機1は、風呂水ポンプ22が停止した状態において風呂水注水経路33内に水が残存した場合には、その残水を、残水排出部41の排出孔41aを介して注水ケース10内に排出できるようになっている。
【0036】
なお、図8に例示するように、タンク収容部12内に収容された柔軟剤タンク18は、接続管24aを介して、タンク収容部12外部の柔軟剤用計量ポンプ24に接続される。そして、残水排出部41の排出孔41aは、注水ケース10のうち接続管24aの近傍部分、この場合、接続管24aよりも若干上側の部分に接続されている。よって、風呂水注水経路33内から残水排出部41の排出孔41aを介して排出される残水は、注水ケース10内において接続管24aの近傍部分から流入して、接続管24aあるいはその周辺部分に供給される。なお、接続管24aは、接続部の一例であり、この接続管24aは、注水ケース10内において、少なくとも、柔軟剤タンク18の下面と対向しない部分に設けられている。
【0037】
以上に説明した洗濯機1によれば、複数の手動投入部用経路31,32,33は、全てタンク収容部12の片側にまとめて配置されている。この構成によれば、タンク収容部の両側に分かれて注水経路が配置される従来構成に比べ、タンク収容部12、換言すれば、このタンク収容部12内に収容される洗剤タンク17や柔軟剤タンク18のためのスペースを、注水経路に挟まれた狭小な部分に限定することなく十分に確保することができる。
【0038】
また、洗濯機1によれば、複数の手動投入部用経路31,32,33は、全てタンク収容部12よりも洗浄槽3側となる内側にまとめて配置されている。この構成によれば、洗剤タンク17や柔軟剤タンク18を収容するタンク収容部12を、外側つまり洗浄槽3とは反対側に寄せて設けることができる。そのため、タンク収容部12と洗浄槽3との距離を十分に長く確保することができ、例えば振動発生時において、タンク収容部12が洗浄槽3に接触してしまうことを抑制することができる。
【0039】
また、洗濯機1によれば、手動用の洗剤投入部15内に通常水を注ぐためのメイン注水経路31、手動用の柔軟剤投入部16内に通常水を注ぐためのソフター注水経路32、手動用の洗剤投入部15内に風呂水を注ぐ風呂水注水経路33の全てをタンク収容部12の片側にまとめて配置している。即ち、洗濯機1に備えられる複数の手動投入部用経路31,32,33の全てをタンク収容部12の片側に寄せて配置することにより、洗剤タンク17や柔軟剤タンク18のためのスペースを一層大きくに確保することができ、また、タンク収容部12と洗浄槽3との接触を一層抑制することができる。
【0040】
また、洗濯機1によれば、複数の手動投入部用経路31,32,33をタンク収容部12の片側において水平方向に配列した構成となっている。この構成によれば、複数の手動投入部用経路31,32,33を備えつつも、注水経路部20全体としての上下方向の厚さを抑制することができる。即ち、矩形箱状の外箱2内に円筒状の洗浄槽3を備える洗濯機1において、外箱2内における洗浄槽3の上部には、水平方向に延びるスペースを確保しやすい。そのため、このように形成される外箱2内のスペースを有効に活用して、複数の手動投入部用経路31,32,33を無理なく配置することができる。
【0041】
また、洗濯機1によれば、複数の手動投入部用経路31,32,33は、手動投入用ケース14に対し上方から水を供給する。この構成によれば、手動投入用ケース14内の衣類処理剤を、上方から供給される水によって押し流すようにして効率良く洗浄槽3内に供給することができる。
【0042】
また、洗濯機1によれば、風呂水注水経路33は、その途中部分に残水排出部41を備えている。この構成によれば、風呂水注水経路33内の残水を外部に排出することができ、当該風呂水注水経路33内を衛生的に維持することができる。また、残水排出部41から排出された残水は、注水ケース10内に排出されるから、残水を排出するための排水経路を新たに設ける必要がない。
【0043】
また、洗濯機1によれば、残水排出部41は、注水ケース10内において、柔軟剤タンク18の下面と対向しない部分に残水を排出する。この構成によれば、残水によって柔軟剤タンク18の下面が濡れてしまうことを回避することができる。
【0044】
また、洗濯機1によれば、残水排出部41は、柔軟剤タンク18とタンク収容部12外部の柔軟剤用計量ポンプ24とを接続する接続管24aおよびその周辺部分に残水を排出する。この構成によれば、接続管24aに付着した衣類処理剤を残水を利用して洗い流すことができる。なお、図示は省略するが、タンク収容部12内において、柔軟剤タンク18は、接続管を介して、タンク収容部12外部の洗剤用計量ポンプ23に接続される。そのため、残水排出部41は、柔軟剤タンク18用の接続管あるいはその周辺部分に残水を排出するように構成してもよい。
【0045】
なお、風呂水注水経路33の底部は、水平面ではなく、残水排出部41に向けて下降傾斜する傾斜面としてもよい。この構成によれば、風呂水注水経路33内の残水を一層排出しやすくすることができる。また、洗濯機1は、風呂水注水経路33以外の注水経路にも残水排出部41を設けた構成としてもよい。
【0046】
また、洗濯機1によれば、自動投入部用経路25は、タンク収容部12の複数の手動投入部用経路31,32,33とは反対側、つまり、外側である外箱2の左側面2L側に設けられている。ここで、図9に例示するように、洗濯機1においては、タンク収容部12の側面には外方に突出するリブ12aが設けられており、外箱2の左側面2Lには内方に突出するリブ2Rが設けられている。そして、タンク収容部12は、このリブ12aを外箱2側のリブ2Rに係止させることにより支持されている。そのため、タンク収容部12の外側に設けられている自動投入部用経路25を、外箱2側のリブ2Rの下方のスペース内に収容することができ、限りのある外箱2内のスペースを有効に活用することができる。また、タンク収容部12の洗浄槽3とは反対側に自動投入部用経路25を設けつつも、タンク収容部12を、洗浄槽3とは反対側に極力寄せて配置することができ、タンク収容部12と洗浄槽3との間の距離を十分に確保することができる。
【0047】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。
【0048】
例えば、図10に例示するように、洗濯機1は、自動投入部用経路25も複数の手動投入部用経路31,32,33と同じ側に設けた構成としてもよい。この構成によれば、洗剤タンク17や柔軟剤タンク18のためのスペースを一層大きく確保することができ、また、タンク収容部12と洗浄槽3との接触を一層抑制することができる。
【0049】
また、洗濯機1は、例えば風呂水注水経路33をメイン注水経路31およびソフター注水経路32の上方に設けた構成としてもよく、つまり、洗濯機1は、複数の手動投入部用経路31,32,33のうち一部の注水経路を他の注水経路の上下に重ねて設けた構成としてもよい。
【0050】
また、残水排出部41の位置は適宜変更して実施することができ、例えば図11に例示する構成例では、残水排出部41は、風呂水注水経路33のうちタンク収容部12の片側にまとめられた部分にあって、洗濯機1の極力前方側となる部分に設けられている。ここで、タンク収容部17の前面上部および柔軟剤タンク18の前面上部には、着脱の際に使用者が手を掛ける手掛け部が設けられている。そのため、タンク収容部17および柔軟剤タンク18がタンク収容部12内に収容された状態では、タンク収容部17および柔軟剤タンク18の前側には、上記の手掛け部の下方に位置して空間が形成されるようになっている。
【0051】
図11に例示する構成例において、残水排出部41は、タンク収容部12内に収容された洗剤タンク17および柔軟剤タンク18の前側に形成される空間に側方から対向する位置に設けられている。そのため、残水排出部41から排出される水は、タンク収容部12内において、タンク収容部17の手掛け部および柔軟剤タンク18の手掛け部の下方に形成される空間を通って流れるようになっている。
【0052】
この構成によっても、タンク収容部12内において、残水によって洗剤タンク17や柔軟剤タンク18の下面が濡れてしまうことを回避することができる。また、残水をタンク収容部12とタンクとの間に滞留させることなく効率良く排出することができるから、タンク収容部12の内面やタンク収容部12の蓋の裏面における結露の発生を抑制することができる。
【0053】
なお、図12に例示するように、残水処理部41の下方には、当該残水処理部41から排出された水をタンク収容部12内に案内するガイド流路41bを設けるようにするとよい。この構成によれば、残水処理部41から排出される水を確実にタンク収容部12内に導くことができる。
【0054】
また、タンク収容部12内において、洗剤タンク17および柔軟剤タンク18は、洗濯機1の左右方向に沿って取り付けられるようにしてもよい。
【0055】
また、洗剤タンク17および柔軟剤タンク18の形状は、直方体状に限られるものではなく、種々の形状を適用することができる。また、洗剤タンク17の形状や大きさなどと柔軟剤タンク18の形状や大きさなどとが異なっていてもよい。
【0056】
また、タンクは、洗剤を貯留する洗剤タンク17に限られるものではなく、例えば、消臭剤を貯留する消臭剤タンク、除菌剤を貯留する除菌剤タンクなど、衣類に何らかの処理を施す種々の処理剤を貯留するタンクであれば種々の種類のタンクを適宜採用することができる。また、タンク収容部12内に収容される複数のタンクは、同じ種類の処理剤を貯留するタンクであってもよいし、異なる種類の処理剤を貯留するタンクであってもよい。また、洗濯機1は、タンク収容部12内に1つのタンクを収容する構成としてもよい。また、洗剤計量ポンプ26および柔軟剤計量ポンプ27は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0057】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0058】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、2は外箱、3は洗浄槽(衣類処理槽)、10は注水ケース、14は手動投入用ケース(手動投入部)、15は洗剤投入部、16は柔軟剤投入部、17は洗剤タンク(タンク)、18は柔軟剤タンク(タンク)、19は洗剤自動投入部(自動投入部)、23は洗剤用計量ポンプ(ポンプ)、24は柔軟剤用計量ポンプ(ポンプ)、24aは接続管(接続部)、25は自動投入部用経路、31はメイン注水経路(手動投入部用経路)、32はソフター注水経路(手動投入部用経路)、33は風呂水注水経路(手動投入部用経路)、41は残水排出部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12