(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】表面署名を生成するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06V 30/146 20220101AFI20250121BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250121BHJP
G06V 30/14 20220101ALI20250121BHJP
G06V 30/414 20220101ALI20250121BHJP
【FI】
G06V30/146
G06T7/00 300D
G06T7/00 610C
G06V30/14 340J
G06V30/414
(21)【出願番号】P 2019533697
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(86)【国際出願番号】 FR2017052307
(87)【国際公開番号】W WO2018042127
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-28
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519073346
【氏名又は名称】アルジョ ソリューションズ
【氏名又は名称原語表記】ARJO SOLUTIONS
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】クニェ,ファニー
(72)【発明者】
【氏名】グラッソン,ユベール
(72)【発明者】
【氏名】ギヨ デュ ドワニョン,エルヴェ
【合議体】
【審判長】高橋 宣博
【審判官】樫本 剛
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/035774(WO,A1)
【文献】特表2009-540714(JP,A)
【文献】特表2016-507835(JP,A)
【文献】特開2011-75289(JP,A)
【文献】特表2011-523146(JP,A)
【文献】特開2003-281504(JP,A)
【文献】特開平9-245173(JP,A)
【文献】特開2006-245949(JP,A)
【文献】特開2004-171109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06K 9/20 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料要素の少なくとも1つの表面(ただし、前記表面は、識別データが組み込まれた認証パターンを前記表面上のレリーフ構造に変換することによって前記認証パターンを前記表面に物理的に埋め込んだものではない)であって“検査表面”(S_1)と称される表面の少なくとも1つのデジタル署名を生成する方法であって、前記方法はデータ処理システムによって行われ、前記方法は、各検査表面(S_1)について、
-前記検査表面(S_1)を示す少なくとも一部を有する“オフセット”像(IM_1)を得るための獲得工程(E30);
-前記オフセット像(IM_1)を、少なくとも1つの予め定められた“等価”領域(ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3,ZEQ_4)であって“基準”表面(S_REF)を表す少なくとも一部を有するモデル像(IM_M)に含まれた少なくとも1つの等価領域と照合する、“テンプレートマッチング”として知られる方法によって、前記オフセット像(IM_1)における少なくとも1つの興味領域(ZI_1,ZI_2,ZI_3,ZI_4)を得るための獲得工程(E50);
-前記オフセット像(IM_1)を前記モデル像(IM_M)と位置合わせすることによって“位置合わせされた”像(IM_2)を得るための獲得工程(E70)であって、前記位置合わせは、前記基準表面(S_REF)を有する平面と同じ平面に前記検査表面(S_1)を配置しなおすことを含み、前記位置合わせは、第1透視変換(H1)を前記オフセット像(IM_1)に適用することによって行われ、前記第1透視変換(H1)は、前記少なくとも1つの興味領域(ZI_1,ZI_2,ZI_3,ZI_4)および前記少なくとも1つの等価領域(ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3,ZEQ_4)から得られる獲得工程(E70);および
-前記位置合わせされた像(IM_2)から前記デジタル署名を生成するための生成工程(E90)であって、前記デジタル署名は、前記検査表面(S_1)の構造を特徴づける生成工程(E90);
を備え
、
前記方法は、各検査表面(S_1)について、前記検査表面(S_1)を認証するための認証工程(E120)を含み、前記認証工程は、前記生成された署名を認証デジタル署名と比較することによって行われ、前記認証署名は、前記基準表面(S_REF)の構造を特徴づける、方法。
【請求項2】
前記オフセット像を得る前記工程(E30)は、第1取得モジュール(CAM_1)によって“取得”像(IM_0)を取得する工程(E20)を含み、前記オフセット像(IM_1)は、前記取得像(IM_0)から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オフセット像(IM_1)は前記取得像(IM_0)に対応し、前記署名は前記位置合わせされた像(IM_2)を前記生成工程(E90)において分析することによって生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記基準表面(S_REF)に対して実質的に垂直に配置された第2取得モジュール(CAM_2)を用いて前記基準表面(S_REF)の“方向付けされた”像(IM_M‘)を取得する事前工程(E10)を含み、前記モデル像(IM_M)は、予め定められた第2透視変換(H2)を前記方向付けされた像(IM_M‘)に適用することによって得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
-請求項3又は4に記載の生成工程(E90)において前記署名が生成されるとき、前記モデル像(IM_M)からの前記認証署名の生成(E5)であって“第1タイプの生成”と称される生成を行う;または
-請求項
1に記載の生成工程(E90)において前記署名が生成されるとき、前記方向付けされた像(IM_M‘)からの前記認証署名の生成(E5’)であって“第2タイプの生成”と称される生成を行う;
事前工程を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記認証署名を生成するための前記生成工程(E5,E5‘)は、
-第3取得モジュール(CAM_3)を用いて前記基準表面(S_REF)を取得する取得工程(F200);および
-少なくとも前記取得工程(F200)において、第1光源(LUM_1)を用いて前記基準表面(S_REF)を照明する照明工程(F400);
を備え、
前記取得工程(F200)は、
-前記生成が前記第1タイプのものである場合、前記モデル像(IM_M)を取得すること;または
-前記生成が前記第2タイプのものである場合、前記方向付けされた像(IM_M‘)を取得すること;
に対応する、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3モジュール(CAM_3)の光軸(OX)は、前記基準表面(S_REF)に対して実質的に垂直な方向に向けられており、前記基準表面(S_REF)は、前記照明工程(F400)において、前記第1光源(LUM_1)によって、グレージング入射角に対応する前記基準表面に対する迎え角(α)で、照明される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記迎え角(α)は、好ましくは16°~45°の範囲にある、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、少なくとも前記取得工程(E20)、ここで前記取得工程は前記第1モジュール(CAM_1)によって行われる、において、前記検査表面(S_1)が第2光源(LUM_2)によって照明される照明工程(E15)を含み、前記署名を生成する前記工程(E90)は、前記検査表面(S_1)と前記第2光源(LUM_2)との間の相互作用を検出することによって前記検査表面(S_1)の構造的な特徴を得るための獲得工程(E95)を含み、前記相互作用の検出は、
-前記生成が前記第1タイプのものである場合、前記位置合わせされた像(IM_2)を分析することによって;または
-前記生成が前記第2タイプのものである場合、前記位置合わせされた像から得られる変換された像(IM_2‘)を分析することによって、
行われる、請求項2~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記認証署名の生成であって“第3タイプの生成”と称される生成を行う事前工程を含み、前記第3タイプの生成の前記工程は、
-取得モジュールによって前記第1モデル像(IM_M)を取得する取得工程;
-少なくとも前記取得工程において、光源を用いて前記基準表面(S_REF)を照明する照明工程であって、前記モジュールの光軸および前記光源の光軸は、前記基準表面(S_REF)に対して実質的に同じ方向、例えば同じ傾斜角β、を有する照明工程;および-“再方向付けされた”像を分析する分析工程であって、前記再方向付けされた像は、前記取得モジュールおよび前記光源の方向の補償、例えば前記モデル像(IM_M)の角度-βの第1回転、を行う透視変換を適用することによって得られる分析工程;
を備え、
前記オフセット像(IM_1)は、前記取得像(IM_0)に対応し:
前記方法は、少なくとも前記取得工程(E20)、ここで前記取得工程は前記第1モジュール(CAM_1)によって行われる、において、前記検査表面(S_1)が光源によって照明される照明工程を含み、前記署名の一連の生成(E90)は、前記検査表面(S_1)と前記光源の間の相互作用を検出することによって前記検査表面(S_1)の構造的な特徴を得るための獲得工程を含み、前記モジュールおよび前記光源の前記光軸は、前記検査表面(S_1)に対して実質的に同じ方向、例えば同じ傾斜角度β、に向けられており;
前記相互作用は、“平坦化された像”を分析することによって検出され、前記平坦化された像は、前記取得モジュールおよび前記光源の方向の補償、例えば前記位置合わせされた像(IM_2)の角度-βの第1回転、を行う透視変換によって得られる;
請求項
1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1モジュール(CAM_1)によって少なくとも2つの像を取得するために、各取得像について、前記第2光源(LUM_2)は、前記第1モジュール(CAM_1)に対して同じ位置および同じ方向に設けられている、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、保護された情報を読み取る工程(E130)を含み、前記保護された情報は、デジタル形式で、前記情報を保護するために用いられる処理のインバースであるデジタル処理に供され、前記処理は、前記生成された署名を利用する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記保護された情報は、前記検査表面(S_1)、または、前記検査表面(S_1)を含む製品もしくはパッケージに設けられた、可視コード(CODE)に含まれている、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記可視コード(CODE)は、1次元または2次元のバーコードに対応する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記オフセット像(IM_1)において少なくとも1つの“探索”領域を定義する工程を含み、前記少なくとも1つの探索領域は、前記少なくとも1つの興味領域(ZI_1,ZI_2,ZI_3,ZI_4)を含み、前記少なくとも1つの探索領域に基づいて、前記テンプレートマッチング法が実行される、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記テンプレートマッチング法は、前記探索領域に基づいて、前記興味領域(ZI_1)の予め定められた点を前記等価領域(ZEQ_1)の対応する予め定められた点に変換するアフィン変換のパラメータの第1の推定値を得る役割を担う、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の推定値は、前記等価領域(ZEQ_1)の前記点の座標と前記探索領域の前記点の座標との間で最小二乗法を用いることによって得られる、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の推定値は、前記等価領域(ZEQ_1)の前記点の座標と前記探索領域の前記点の座標との間で交差相関法を用いることによって得られる、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
前記テンプレートマッチング法は、前記パラメータの第2の推定値を得るための獲得工程(E75)を含み、前記第2の推定値は、前記等価領域(ZEQ_1)と前記探索領域の間の第1の強化された相関係数を最大化するための反復アルゴリズムを用いて前記第1の推定値を最適化することによって得られる、請求項
16~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記基準表面は、前記モデル像の前記取得平面に対する傾斜および位置が既知の表面である、請求項1~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1透視変換(H1)は、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを用いることによって得られる、請求項1~
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記透視変換(H1)は、前記オフセット像(IM_1)と前記モデル像(IM_M)との間の第2の強化された相関係数を最大化するための反復最適化アルゴリズムを用いることによって得られる、請求項1~
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記透視変換(H1)は、点のペアの座標から得られ、各ペアは、前記等価領域(ZEQ_1)における1つの点と、前記等価領域(ZEQ_1)と前記オフセット像(IM_1)の間の前記テンプレートマッチング法によって定義される前記興味領域(ZI_1)における別の点と、を備える、請求項1~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記点は、前記少なくとも1つの興味領域(ZI_1)の中心と、前記少なくとも1つの等価領域(ZEQ_1)の中心と、を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの興味領域(ZI_1,ZI_2,ZI_3,ZI_4)は、前記検査表面(S_1)における図形要素(TAG_1,TAG_2,TAG_3,TAG_4)、の近くに、および/または、に関連づけて、配置されており、前記図形要素(TAG_1,TAG_2,TAG_3,TAG_4)は、前記基準表面(S_REF)にもある、請求項1~
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記デジタル署名は、前記検査表面(S_1)の少なくとも1つの構造的な特徴から生成され、前記検査表面(S_1)は、繊維材料、プラスチック材料、金属材料、皮、木、複合材料、ガラス、または、鉱物であって具体的には結晶構造を有するもの、の全てまたは一部から選択される材料要素でできている、請求項1~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記モデル像(IM_M)において前記少なくとも1つの等価領域(ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3,ZEQ_4)を定義する事前工程(E35)を含む、請求項1~
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記検査表面(S_1)は、記号(SYMB)を含み、前記検査表面に対する前記第1取得モジュール(CAM_1)の方向の特定に応じて、自動的に、前記取得像を取得する取得工程(E20)が開始され、前記特定は、前記記号(SYMB)の像(IM_SYMB)に基づいて行われる、請求項2~
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、前記少なくとも1つの取得モジュール(CAM_1)を含む端末のスクリーンに、前記第1モジュール(CAM_1)の取得領域の像であって仮想記号(SYMB_V)が重畳される像を表示する表示工程を含み、前記取得像を取得する前記取得工程(E20)は、前記取得領域における前記記号(SYMB)の前記像(IM_SYMB)の相対的な位置および前記仮想記号(SYMB_V)の位置に応じて、自動的に開始される、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記取得像を取得するための前記取得工程(E20)は、前記取得領域における前記記号(SYMB)の前記像(IM_SYMB)が前記仮想記号(SYMB_V)に一致したときに、自動的に開始される、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
材料要素の少なくとも1つの表面(ただし、前記表面は、識別データが組み込まれた認証パターンを前記表面上のレリーフ構造に変換することによって前記認証パターンを前記表面に物理的に埋め込んだものではない)であって“検査表面”(S_1)と称される表面の少なくとも1つのデジタル署名を生成するためのシステム(SYS)であって、
-各検査表面(S_1)について、前記検査表面(S_1)を示す少なくとも一部を有する“オフセット”像(IM_1)を得るための獲得モジュール(MOD_OBT1);
-各検査表面(S_1)について、前記オフセット像における少なくとも1つの興味領域(ZI_1,ZI_2,ZI_3,ZI_4)を、前記オフセット像(IM_1)と少なくとも1つの予め定められた“等価”領域(ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3,ZEQ_4)との間のテンプレートマッチング法によって得る役割を担う獲得モジュール(MOD_OBT2)であって、前記少なくとも1つの等価領域は、“基準”表面(S_REF)を示す少なくとも一部を有するモデル像(IM_M)に含まれている獲得モジュール(MOD_OBT2);
-各検査表面(S_1)について、前記オフセット像(IM_1)を前記モデル像(IM_M)と位置合わせする役割を担う位置合わせモジュール(MOD_RECAL)であって、前記位置合わせは、前記基準表面(S_REF)を有する平面と同じ平面に前記検査表面(S_1)を配置しなおすことを含み、前記位置合わせは、第1透視変換(H1)を前記オフセット像(IM_1)に適用することによって行われ、前記透視変換(H1)は、前記少なくとも1つの興味領域(ZI_1,ZI_2,ZI_3,ZI_4)および前記少なくとも1つの等価領域(ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3,ZEQ_4)から得られる位置合わせモジュール(MOD_RECAL);および
-各検査表面について、前記位置合わせされた像(IM_2)から前記デジタル署名を生成する役割を担う生成モジュール(MOD_GEN)であって、前記デジタル署名は、前記検査表面(S_1)の構造を特徴づける生成モジュール(MOD_GEN);
を備え
、
前記システム(SYS)は、各検査表面(S_1)について、前記検査表面(S_1)を認証するための認証処理を実行し、前記認証処理は、前記生成された署名を認証デジタル署名と比較することによって行われ、前記認証署名は、前記基準表面(S_REF)の構造を特徴づける、システム(SYS)。
【請求項32】
前記システム(SYS)は、第1取得モジュール(CAM_1)および第2取得モジュール(CAM_2)を備え、
前記システム(SYS)は、
-前記第2取得モジュール(CAM_2)としての第1カメラ(CAM_2)およびグレージング入射角に対応する前記基準表面(S_REF)に対する迎え角(α)を形成する第1光源(LUM_1)を有する第1モジュール(T1)であって、前記迎え角(α)は、好ましくは16°~45°の範囲にあり、より好ましくは16°~25°の範囲にあり、さらに好ましくは16°~20°の範囲にある第1モジュール(T1);および/または
-通信端末(T2)、前記第1取得モジュール(CAM_1)としての第2カメラ(CAM_1)および第2光源(LUM_2)を有する第2モジュール;
を含む、請求項
31に記載のシステム(SYS)。
【請求項33】
前記通信端末(T2)は携帯電話またはタブレットであり、前記第2カメラ(CAM_1)は前記携帯電話または前記タブレットのカメラであり、前記第2光源(LUM_2)は前記携帯電話または前記タブレットのフラッシュである、請求項
32に記載のシステム(SYS)。
【請求項34】
命令であって該命令がコンピュータによって実行されたときに請求項1~
30のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデジタル署名を生成する方法の工程を実行するための命令を含む、コンピュータプログラム(PG)。
【請求項35】
請求項1~
30のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデジタル署名を生成する方法の工程を実行するための命令を含むコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ読み取り可能なデータ媒体(SUP)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料要素の表面についてのデジタル署名を生成する分野一般に属し、例えば、その表面またはその材料要素を認証するためのものである。
【0002】
表面のデジタル署名は、その表面の構造的な特徴からアルゴリズムを用いて生成されるコード(例えば、一連の数字および文字)に対応する。
【0003】
より具体的には、本発明は、材料要素のデジタル署名を取り出すために、材料要素の表面を表す像と基準表面のモデル像との間の遠近補正(correction de perspective)を行うことに関する。
【背景技術】
【0004】
現在、デジタル署名を、表面から、その表面の構造的な特徴に基づいて取り出すことが可能である。例えば、それらの構造的な特徴は、表面の像において、表面と光源の間の相互作用を検出することによって特定される。例えば、そのような方法は、EP1716520に記載されている。
【0005】
さらに、EP2084886B1に記載されている技術は、センサを含む移動体システムを光モジュールと関連付けることを提案している。移動体システムは、例えば、カメラを含むスマートフォンである。光モジュールは、例えば、電話の筐体内に組み込まれている。
【0006】
上記の技術は、表面における制御像(image controlee)を取得し(表面は、像において特定の態様で配置されている)、その像から、その表面のデジタル署名を取り出すことを可能にする。
【0007】
表面の像は、表面とカメラのセンサの間の光学的な距離が制御されるように、電話および筐体でできた組立体を表面に接して配置することによって、取得される。
【0008】
取得中において、表面が、光源によって、好ましくは表面の法線に対して傾斜した光源によって、照明される。
【0009】
最後に、取得された像において、表面と光源との間の相互作用を検出することによって、構造的な特徴が得られる。
【0010】
上記のシステムの欠点は、像において表面が予め定められた態様で配置されるように、表面と像を取得するセンサとの間の距離を制御するための光モジュールの使用をシステムが必要とすることである。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、上記の欠点を有さない解決策であって、デジタル署名を、表面から、表面の像を用いることによって取り出すこと、ここで表面は像の取得平面に対して任意の態様で配置されかつ傾斜している、を可能にする解決策を提供することを目的とする。
【0012】
第1の側面において、本発明は、材料要素の表面であって“検査表面(surface examinee)”と称される表面のデジタル署名を生成する方法であって、データ処理システムによって行われ、各検査表面について以下を備える方法を提供する:
-上記検査表面を示す少なくとも一部を有する“オフセット”像を得るための獲得工程;
-オフセット像を、予め定められた“等価(equivalentes)”領域であって“基準”表面を表す少なくとも一部を有するモデル像に含まれた等価領域と照合する、“テンプレートマッチング”として知られる方法によって、オフセット像における興味領域(zones d'interet)を得るための獲得工程;
-オフセット像をモデル像と位置合わせすることによって“位置合わせされた”像を得るための獲得工程であって、位置合わせは、第1透視変換をオフセット像に適用することによって行われ、第1透視変換は、興味領域および等価領域から得られる獲得工程;および
-位置合わせされた像からデジタル署名を生成するための生成工程であって、デジタル署名は、検査表面の構造を特徴づける生成工程。
【0013】
本発明が意味するところでは、表面は、材料要素(すなわち物体)の可視部(すなわち定義された領域)に対応する。この材料要素または物体は、例えば製品であってもよい。例えば、製品は、販売されるものであってもよく、そのパッケージ内にあってもよい。この材料要素または物体は、例えばアイデンティティドキュメント、パスポート、紙幣等のような、セキュリティドキュメントに対応していてもよい。
【0014】
“検査”表面は、材料要素/物体の表面に対応する。“検査”表面は、方法で用いられる表面に対応し、従ってオフセット像における可視の表面に対応する。“検査”表面は、材料要素における相対的に大きい表面の一部であってもよい。
【0015】
“基準”表面は、予め定められた材料要素/物体の表面に対応する。例えば、基準表面は、デジタル署名が取り出されるおよび保持される表面に対応する。
【0016】
表面のデジタル署名は、表面の構造的な特徴からアルゴリズムを用いて生成されるコード(例えば、一連の数字および文字)に対応する。
【0017】
表面のデジタル署名は、表面の構造を説明する(すなわち特徴づける)。表面のデジタル署名は、表面の状態、表面の内部および/または外部の形態、表面の化学的または物理化学的な組成、表面の色、または、これらの特徴の任意の組み合わせの変化であって表面におけるそれらの物理的な配置に応じた変化、を特徴づけてもよい。
【0018】
以下、“デジタル署名”という用語は、“署名”という用語によって、等価な態様で置き換えられることがある。
【0019】
デジタル署名は、方法によって“生成”されると称されることがある。あるいは、デジタル署名は、方法によって“取り出される”と称されることがある。
【0020】
方法において、まず、検査表面の“オフセット”像が得られる。この像の一部が、検査表面を示してもよい。あるいは、像の全体が、検査表面を示してもよい。
【0021】
像は“オフセット”されると称される。なぜなら、像が位置合わせされ、その後、示されている表面についての署名が生成/取り出し可能となることが好ましいためである(L'image est dite decalee en ce qu'il est preferable de la recaler avant de pouvoir generer/extraire la signature de la surface qu'elle represente)。
【0022】
例えば、表面を表すオフセット像は、像の取得平面に対して傾斜した平面である平らな表面の像に対応していてもよい。例えば、平らな表面の像がセンサによって取得される場合においては、センサの光軸がその表面の法線に対して非ゼロの角度を形成しているときに、平らな表面の像はオフセットされていると称される。
【0023】
オフセット像が得られると、像において、1または複数の興味領域が得られる。像における興味領域は、像における近接したまたはさらには隣接した(voisins voire adjacents)一連の点に対応してもよい。例えば、興味領域は、像において特定の四辺形を形成する点の全て、または、そのような四辺形に含まれた一連の点を備えていてもよい。
【0024】
これらの興味領域は、“基準”表面を示す少なくとも一部を有する“モデル”像の内部における、予め定められた“等価”領域に基づいて得られる。
【0025】
各興味領域は、等価領域をオフセット像と照合する方法によって得られる。照合は、“イメージマッチング”または“テンプレートマッチング”と称されてもよく、例えば最小二乗法または交差相関法等のような種々のイメージ分析法によって行われてもよい。等価領域をオフセット像と照合することは、一般的には、等価領域の特徴に類似したまたは近い特徴を有する領域をオフセット像において特定する役割を担う。典型的には、興味領域およびその等価領域は、異なる画角で取得される2つの像における同じ物体または物体の同じ部分を表していてもよい。
【0026】
オフセット像における興味領域およびモデル像における等価領域から、モデル像上に得られた像を位置合わせする役割を担う、第1透視変換が推定される。
【0027】
この位置合わせは、2つの像の間の遠近補正に対応し、モデル像の基準表面を有する平面と同じ平面かつ同じ方向にオフセット像の検査表面を配置しなおす(replacer)という状況を模擬する役割を担う。
【0028】
上記の透視変換をオフセット像に適用することによって、検査表面の“位置合わせされた”像が得られる。その像から、表面の署名を取り出すことが可能である。
【0029】
有利には、傾斜した表面を示し任意の態様で配置された像から、その表面が適切な平面に方向付けされた状態を模擬することによって、その表面の署名を生成できる。
【0030】
具体的な実装例では、オフセット像を得る工程は、“取得”像を取得する工程を含む。オフセット像は、取得像から得られる。
【0031】
また、取得像は、検査表面の全部または一部を示す。
【0032】
具体的な実装例、以下では“第1の総合実装例”と称する、では、オフセット像は取得像に対応し、署名は位置合わせされた像を生成工程において分析することによって生成される。
【0033】
有利には、取得像に対応するオフセット像の位置合わせは、画像処理(透視変換を適用することによる遠近補正)によって行われ、従って、検査表面から署名を取り出すことが可能となるように検査表面の平面を所望の平面に設定するために“取得”像を取得する取得モジュール(本発明が意味するところの第1取得モジュール)と関連付けられた特別な光学システムを使用することを必要としない。検査表面の像は、検査表面に対して任意の距離および任意の方向に設けられた第1取得モジュールを用いて取得できる。
【0034】
具体的な実装例では、方法は、モデル像において等価領域を定義する事前工程を含む。
【0035】
具体的な実装例、以下では“第2の総合実装例”と称する、では、方法は、基準表面に対して実質的に垂直に配置された第2取得モジュールを用いて基準表面の“方向付けされた(orientee)”像を取得する事前工程を含む。モデル像は、予め定められた第2透視変換を方向付けされた像に適用することによって得られる。
【0036】
この実装例では、“方向付けされた”像は、基準表面に対して実質的に垂直に配置された光軸を有する第2取得モジュールを用いて取得される。
【0037】
典型的には、製造ラインにおいて、製品または製品のパッケージの表面に実質的に垂直な取得が繰り返し用いられる。
【0038】
方向付けされた像は、方向付けされた像を取得する条件とは異なる条件での基準表面の像の取得を模擬するように、変換される。異なる条件は、例えば、異なる角度、異なる方向、および/または異なる距離である。
【0039】
この変換は、第2透視変換を、方向付けされた像に適用することに対応する。これにより、オフセット像が位置合わせされるモデル像が得られる。
【0040】
有利には、上記第2透視変換を適用することは、オフセット像における検査表面の傾斜および位置に近い傾斜および位置を有する基準表面を有するモデル像を得る役割を担う。
【0041】
この工程は、例えば第1透視変換のよりよい推定値を得ることを可能にすることによってまたは上記透視変換の特異な推定値を得ることを避けることによって、オフセット像をモデル像と位置合わせする工程を最適化する役割を担う。
【0042】
例えば、製造ラインにおいて取得される基準表面の方向付けされた像は、電話またはタブレットのような移動体システムを用いたこの基準表面の像の取得を模擬するという態様で変換されてもよい。オフセット像が移動体システムを用いて取得され従って検査表面に対する方向および位置が変換後に得られるモデル像の方向および位置に類似するまたは近いという条件で取得される場合、オフセット像とモデル像との間の位置合わせまたは遠近補正は改善される。
【0043】
(第2透視変換を方向付けされた像に適用することによってモデル像が得られる)第2の総合実装例の具体例な実装例では、デジタル署名を生成する工程は、位置合わせされた像に第2透視変換のインバースを適用することによって、位置合わせされた像を変換することによって、“変換された”像を得るための獲得工程を含み、署名は、変換された像を生成工程において分析することによって生成される。
【0044】
この実装例では、モデル像は、第2透視変換を方向付けされた像に適用することによって得られ、オフセット像は、位置合わせされた像を得るためにモデル像と位置合わせされる。最後に、変換された像を得るために、上記の第2透視変換のインバースが、位置合わせされた像に適用される。変換された像は、方向付けされた像と位置合わせされる。
【0045】
署名は、検査表面から、この表面の位置および方向が方向付けされた像に配置される基準表面の位置および方向に類似するという条件の下で、変換された像を用いることによって、取り出される。
【0046】
この実装例では、オフセット像が位置合わせされ(遠近補正され)、その後、位置合わせされた像を方向付けされた像と位置合わせするために第2透視変換のインバースを適用する。
【0047】
あるいは、第2の総合実装例において、位置合わせされた像は、第2透視変換のインバース透視変換を取得像に適用することによって得られ、署名は、位置合わせされた像を生成工程において分析することによって生成される。
【0048】
この実装例では、第2透視変換はまた方向付けされた像に適用され、このことはモデル像を得ることを可能にする。一方、この第2透視変換のインバースがオフセット像を得るために取得像に予め適用され、その後、位置合わせされた像を得るためにオフセット像はモデル像と位置合わせされる。
【0049】
署名は、検査表面から、位置合わせされた像を用いることによって、この表面の位置および方向が方向付けされた像が配置される基準表面の位置および方向に類似しているという条件で、取り出される。
【0050】
この実装例では、第2透視変換のインバースが取得像に適用され、その後、その像がモデル像と位置合わせされる(遠近補正される)。
【0051】
具体的な実装例では、方法は、各検査表面について、検査表面を認証するための認証工程を含む。この認証工程は、生成された署名を認証デジタル署名と比較することによって行われる。認証署名は、基準表面の構造を特徴づける。
【0052】
上記の認証は、EP1747540B1またはEP1971960B1に記載されているような方法に対応していてもよい。
【0053】
生成された署名を認証署名と比較することによって、検査表面および基準表面が同じ構造的な特徴を有しているかどうかを判定することが可能となる。
【0054】
このようにして、例えば、検査表面を含む特定の製品が、1または複数の製品に含まれた1または複数の表面について認証署名が予め取り出された製造ラインからのものであるかどうかを評価することが可能となる。
【0055】
具体的な実装例では、方法は、以下を備える:
-第1の総合実装例において、モデル像からの認証署名の生成であって“第1タイプの生成”と称される生成を行う事前工程;または
-第2の総合実装例において、方向付けされた像からの認証署名の生成であって“第2タイプの生成”と称される生成を行う事前工程。
【0056】
この例では、第1の総合実装例において、検査表面の署名は、位置合わせされた像から生成され、製品の記録された像(images des produits enregistres)から取り出される基準表面の署名と比較される。
【0057】
第2の総合実装例において、検査表面の署名は、変換された像から生成され、または、第2透視変換のインバースを取得像に適用することによってオフセット像が得られる場合には位置合わせされた像から生成され、製品の記録された方向付けされた像(images orientee des produits enregistres)から取り出される基準表面の署名と比較される。
【0058】
両方の実装例において、署名は、同じ平面および同じ方向に配置された表面を表す像から取り出され、そのため認証工程が有効であることを保証する。
【0059】
具体的な実装例では、認証署名を生成する工程は、以下を備え:
-第3取得モジュールを用いて基準表面を取得する取得工程;および
-少なくとも取得工程において、第1光源を用いて基準表面を照明する照明工程;
取得工程は、以下に対応する:
-生成が第1タイプのものである場合、モデル像を取得すること;または
-生成が第2タイプのものである場合、方向付けされた像を取得すること。
【0060】
生成が第2タイプのものである場合、第3取得モジュールは、第2取得モジュールに対応する。
【0061】
照明が検査表面の照明面積の点で不十分である場合、“オフセット”像を得る複数の工程を行うことによって検査表面および/または興味領域の有効面積を増加するようになっている。より大きい検査表面および/または興味領域を再構築するために、オフセット像を得る種々の工程が、取得モジュールおよび光源を動かして(例えば、平行移動させて)行われる。
【0062】
具体的な実装例では、第3モジュールの光軸は、基準表面に対して実質的に垂直な方向を向いていてもよい。この基準表面は、照明工程において、第1光源によって、グレージング入射角に対応する基準表面に対する迎え角で、照明される。
【0063】
具体的な実装例では、迎え角は、好ましくは16°~45°の範囲にある。
【0064】
具体的な実装例では、方法は、少なくとも取得工程、ここで取得工程は第1モジュールによって行われる、において、検査表面が第2光源によって照明される照明工程を含み、署名を生成する工程は、検査表面と第2光源との間の相互作用を検出することによって検査表面の構造的な特徴を得るための獲得工程を含み、相互作用の検出は、
-生成が第1タイプのものである場合、位置合わせされた像を分析することによって;または
-生成が第2タイプのものである場合、位置合わせされた像から得られる変換された像を分析することによって、
行われる。
【0065】
具体的な実装例では、方法は、認証署名の生成であって“第3タイプの生成”と称される生成を行う事前工程を含み、第3タイプの生成の工程は、以下を備える:
-取得モジュールによって第1モデル像を取得する取得工程;
-少なくとも取得工程において、光源を用いて基準表面を照明する照明工程であって、モジュールの光軸および光源の光軸は、基準表面S_REFに対して実質的に同じ方向、例えば同じ傾斜角β、を有する照明工程;および
-“再方向付けされた(reorientee)”像を分析する分析工程であって、再方向付けされた像は、取得モジュールおよび光源の方向の補償、例えばモデル像の角度-βの第1回転、を行う透視変換を適用することによって得られる分析工程;
オフセット像は、取得像に対応し:
方法は、少なくとも取得工程、ここで取得工程は第1モジュールによって行われる、において、検査表面が光源によって照明される照明工程を含み、署名の一連の生成は、検査表面と光源の間の相互作用を検出することによって検査表面の構造的な特徴を得るための獲得工程を含み、モジュールおよび光源の光軸は、検査表面(S_1)に対して実質的に同じ方向、例えば同じ傾斜角度β、に向けられており;
相互作用は、“平坦化された像(image remise a plat)”を分析することによって検出され、平坦化された像は、取得モジュールおよび光源の方向の補償、例えば位置合わせされた像の角度-βの第1回転、を行う透視変換によって得られる。
【0066】
この実装例では、基準表面の像は、取得モジュールおよび光源を用いて取得される。取得モジュールおよび光源は、例えば、基準表面に対して角度βだけ方向付けられている。モデル像は、こうして得られる。
【0067】
その後、この例では、基準表面に対して90°に配置された取得モジュールを用いて取得されたかのように見える再方向付けされた像を得るために、モデル像は、角度-βだけ回転させられる。
【0068】
その後、基準表面の署名が、この再方向付けされた像から取り出される。この署名は、“認証”署名と称される。
【0069】
検査表面の像が、検査表面に対してβと実質的に同じ角度だけ方向付けられた取得モジュールおよび光源を用いて取得される。取得像は、こうして得られる。
【0070】
取得像は、オフセット像に対応し、位置合わせされた像が得られるようにモデル像と位置合わせされる。
【0071】
その後、検査表面に対して90°で配置された取得モジュールを用いて取得されたかのように見える平坦化された像が得られるように、位置合わせされた像が角度-βだけ回転させられる。
【0072】
最後に、基準表面のデジタル署名が、平坦化された像から取り出される。
【0073】
具体的な実装例では、第1モジュールによって少なくとも2つの像を取得するために、各取得像について、第2光源は、第1モジュールに対して同じ位置および同じ方向に設けられる。
【0074】
この実装例では、方法が、繰り返しの態様で、異なる検査表面に、単一の移動システムであって該システムに対して固定された位置および方向を有する第1取得モジュールおよび第2光源を有するシステムを用いて、適用されてもよい。
【0075】
例えば、方法は、電話またはタブレットによって行われてもよい。例えば、電話またはタブレットは、第1取得モジュールとして動作するカメラと、第2光源として動作するフラッシュと、を含む。
【0076】
この実装例では、単一の移動システムを用いることで方法の再現性が高められる。
【0077】
具体的な実装例では、方法は、保護された情報を読み取る工程を含む。保護された情報は、デジタル形式で、情報を保護するために用いられる処理のインバースであるデジタル処理に供される。この処理は、生成された署名を利用する。
【0078】
この実装例では、生成された署名は、保護された情報を読み取ることを可能にするために必要であり、情報を保護するための鍵として用いられ、この点はEP1716520B1に記載されているとおりである。
【0079】
具体的な実装例では、保護された情報は、検査表面、または、検査表面を含む製品もしくはパッケージに設けられた、可視コードに含まれている。
【0080】
具体的な実装例では、可視コードは、1次元または2次元のバーコードに対応する。
【0081】
保護された情報はセンサによって読み取られる1次元または2次元のバーコードに含まれていてもよく、この情報を読み取るために生成された署名を利用することは情報が保護されていることを保証する。
【0082】
具体的な実装例では、方法は、オフセット像において“探索”領域を定義する工程を含む。これらの探索領域は、興味領域を含む。これらの探索領域に基づいて、テンプレートマッチング法が実行される。
【0083】
例えば、探索領域は、以下のように考えられ(estimees)得る:
-オフセット像において、モデル像における等価領域の位置に近い位置に設けられている;および
-オフセット像において、興味領域よりもサイズが大きい。
【0084】
それらの探索領域は、領域であって該領域の内部にテンプレートマッチング法によって興味領域が設けられる領域に対応する。それらの探索領域は、テンプレートマッチング法をより効率的に行うための、オフセット像内の特定の外縁であって該外縁の内部で興味領域がより高い確率で見られる外縁を特定する役割を担う。
【0085】
具体的な実装例では、テンプレートマッチング法は、探索領域に基づいて、興味領域の予め定められた点を等価領域の対応する予め定められた点に変換するアフィン変換のパラメータの第1の推定値を得る役割を担う。
【0086】
このテンプレートマッチング法は、オフセット像において定義された各興味領域について実行される。
【0087】
興味領域および等価領域を備える各ペアに固有のこれらのパラメータは、オフセット像をモデル像に変換する役割を担う第1透視変換のパラメータを推定する役割を担う。
【0088】
具体的な実装例では、第1の推定値は、等価領域の点の座標と興味領域を含む探索領域の点の座標との間で最小二乗法を用いることによって得られる。
【0089】
あるいは、第1の推定値は、等価領域の点の座標と探索領域の点の座標との間で交差相関法を用いることによって得られる。
【0090】
これら2つの方法は、よく知られた“テンプレートマッチング”法に対応し、それらは、類似の他の方法と置き換えられてもよい。
【0091】
具体的な実装例では、テンプレートマッチング法は、パラメータの第2の推定値を得るための獲得工程を含む。この第2の推定値は、等価領域と探索領域の間の第1の強化された相関係数(premier coefficient de correlation ameliore)を最大化するための反復アルゴリズムを用いて第1の推定値を最適化することによって得られる。
【0092】
この最適化は、2008年10月にジャーナル"IEEE transactions on pattern analysis and matching intelligence", Vol. 30, No. 10において発行された文書“Parametric image alignment using enhanced correlation coefficient maximization”(Georgios D. Evangelidis and Emmanouil Z. Psarakis)に記載された方法に対応する。
【0093】
上記の最適化は、オフセット像をモデル像と位置合わせするための透視変換のより正確な推定値を得ることを可能にする。具体的には、上記の最適化は、位置合わせの際に像において生じ得る歪み効果を補正することを可能にする。
【0094】
具体的な実装例では、基準表面は、上記モデル像の取得平面に対する傾斜および位置が既知の表面である。
【0095】
具体的な実装例では、第1透視変換は、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを用いることによって得られる。例えば、このアルゴリズムは、M.A. FischlerおよびR.C. Bollesによる文書"Random sample consensus: a paradigm for model fitting with applications to image analysis and automated cartography", Communications of the ACM, 24(6), pp. 381-395, 1981.に記載されている。
【0096】
このアルゴリズムは、第1透視変換のパラメータを推定するための方法において用いられる一連の点から外れ値の点を排除することを可能にする。
【0097】
こうして、第1透視変換のパラメータのよりよい推定値が得られる。
【0098】
具体的な実装例では、透視変換は、オフセット像とモデル像との間の第2の強化された相関係数(deuxieme coefficient de correlation ameliore)を最大化するための反復最適化アルゴリズムを用いることによって得られる。
【0099】
この第2の強化された相関係数を用いるこのアルゴリズムは、上述の第1の係数を用いるアルゴリズムと似ているが、興味領域の等価領域とのテンプレートマッチングを行うときではなく、オフセット像をモデル像と位置合わせする際に適用される。
【0100】
この第2の強化された相関係数を用いるこのアルゴリズムは、第1透視変換のパラメータについての改善された推定値を得ることを可能にする。
【0101】
具体的な実装例では、透視変換は、点のペアの座標から得られる。各ペアは、等価領域における1つの点と、等価領域とオフセット像の間のテンプレートマッチング法によって定義される興味領域における別の点と、を備える。
【0102】
具体的な実装例では、それらの点は、興味領域の中心と、等価領域の中心と、を備える。
【0103】
この実装例では、第1透視変換は、点の一連のペアから特定される。各ペアは、興味領域の中心と、興味領域とモデル像の間のテンプレートマッチングによって特定される等価領域の中心と、を備える。
【0104】
例えば、透視変換を特定するための1つの考えられる方法は、文書"Image registration for perspective deformation recovery"(Geaorge WolbergおよびSiavash Zokai)の4.2部で用いられている方法であり得る。
【0105】
具体的な実装例では、興味領域は、検査表面における1または複数の図形要素、の近くに、および/または、に関連づけて(autour et/ou par rapport)、定義されている。1または複数の図形要素は、基準表面にもある。
【0106】
図形要素の存在は、興味領域を定義することと、オフセット像をモデル像と位置合わせする工程と、を容易にする。興味領域を定義することは、例えば、興味領域を定義するためにそれらの記号を認識する方法を用いることによって行われる。具体的には、“イメージマッチング”または照合法を適用する際には、色および/または明るさが急激に(例えば約10画素程度で)変化する入力像を用いることが好ましい。
【0107】
好ましくは、これらの図形要素は、検査表面および基準表面においてコントラストをなす態様で見られ、これによりテンプレートマッチング法がさらに容易となる。
【0108】
具体的な実装例では、デジタル署名は、検査表面の構造的な特徴から生成される。検査表面は、以下の全てまたは一部から選択される材料要素でできている:繊維材料、プラスチック材料、金属材料、皮、木、複合材料、ガラス、または、鉱物であって具体的には結晶構造を有するもの。
【0109】
具体的な実装例では、本発明の方法は、モデル像において等価領域を定義する事前工程を含む。
【0110】
具体的な実装例では、検査表面は、記号を含む。検査表面に対する上記の第1取得モジュールの方向の特定に応じて、自動的に、取得像を取得する取得工程が開始される。特定は、上記の記号の像に基づいて行われる。
【0111】
好ましくは、方法は、上記の少なくとも1つの取得モジュールを含む端末のスクリーンに、上記第1モジュールの取得領域の像であって仮想記号が重畳される像を表示する表示工程を含む。取得像を取得する取得工程は、上記取得領域における上記記号の像の相対的な位置および上記仮想記号の位置に応じて、自動的に開始される。
【0112】
より好ましくは、取得像を取得するための取得工程は、上記取得領域における上記の記号の像が上記の仮想記号に一致したときに、自動的に開始される。
【0113】
有利には、この実装例では、これら2つの記号を重畳させることは、第2または第3取得モジュールが特定の態様で方向付けられ第2または第3取得モジュールの方向が制御されることを必要とする。
【0114】
例えば、記号は、検査表面に対して取得モジュールの光軸が45°または90°の方向に向けられるように選択されてもよい。
【0115】
第2の側面において、本発明は、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムであって、以下を備えるシステムを提供する:
-各検査表面について、上記表面を示す少なくとも一部を有する“オフセット”像を得るための獲得モジュール;
-各検査表面について、オフセット像における興味領域を、上記の第1オフセット像(IM_1)と少なくとも1つの予め定められた“等価”領域(ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3,ZEQ_4)との間のテンプレートマッチング法によって得る役割を担う獲得モジュールであって、上記の少なくとも1つの等価領域は、基準表面(S_REF)を示す少なくとも一部を有する少なくとも1つのモデル像(IM_M)に含まれている獲得モジュール;
-各検査表面について、オフセット像を少なくとも1つのモデル像と位置合わせするための位置合わせモジュールであって、この位置合わせは、第1透視変換をオフセット像に適用することによって行われ、この透視変換は、興味領域および等価領域から得られる位置合わせモジュール;および
-各検査表面について、位置合わせされた像からデジタル署名を生成する役割を担う生成モジュールであって、デジタル署名は、検査表面の構造を特徴づける生成モジュール。
【0116】
具体的な実装例では、システムは、以下を備える:
-グレージング入射角に対応する基準表面に対する迎え角を形成する第1カメラおよび第1光源を有する第1モジュールであって、迎え角は、好ましくは16°~45°の範囲にあり、より好ましくは16°~25°の範囲にあり、さらに好ましくは16°~20°の範囲にある第1モジュール;および/または
-通信端末、第2カメラおよび第2光源を有する第2モジュール。
【0117】
具体的な実装例では、通信端末は携帯電話またはタブレットであり、第2カメラは携帯電話またはタブレットのカメラであり、第2光源は携帯電話またはタブレットのフラッシュである。
【0118】
第3の側面において、本発明は、検査表面のデジタル署名を生成する、各検査表面について以下を備える第2の方法を提供する:
-一連のオフセット像であって各像の少なくとも一部が検査表面を示す一連のオフセット像を得るための獲得工程;
-各オフセット像について:
-像における興味領域を、該像を予め定められた“等価”領域とテンプレートマッチングする方法によって得るための獲得工程であって、等価領域は、基準表面を示す少なくとも一部を有するモデル像に含まれている獲得工程;および
-オフセット像をモデル像と位置合わせすることによって、位置合わせされた像を得るための獲得工程であって、位置合わせは、透視変換をオフセット像に適用することによって行われ、透視変換は、興味領域および等価領域から得られる獲得工程;
-得られた位置合わせされた像を“結合された”像に結合する工程;および
-結合された像からデジタル署名を生成する工程であって、デジタル署名は検査表面の構造を特徴づける工程。
【0119】
具体的な実施形態では、検査表面についてのデジタル署名を生成する方法の種々の工程は、コンピュータプログラムの命令によって特定される。よって、本発明は、データ媒体におけるコンピュータプログラムであって、該プログラムはコンピュータによって実行されるように構成されており、該プログラムは上述のように検査表面についての署名を生成する方法を実行するように構成された命令を含む、プログラムを提供する。
【0120】
プログラムは、いずれのプログラム言語を使用したものであってもよく、ソースコードの形式であってもよく、オブジェクトコードの形式であってもよく、ソースコードとオブジェクトコードの中間のコードの形式、例えば部分的にコンパイルされた形式であってもよく、または別の所望の形式であってもよい。
【0121】
本発明は、さらに、コンピュータによって読み取り可能なデータ媒体であって、上述したコンピュータプログラムの命令を含むデータ媒体を提供する。
【0122】
データ媒体は、プログラムを格納可能な任意のエンティティまたはシステムであってもよい。例えば、媒体は、例えばコンパクトディスク(CD)ROMまたは超小型電子回路ROMといったリードオンリーメモリ(ROM)等の格納手段、または、例えばハードディスク等の磁気記録手段を備えていてもよい。
【0123】
さらに、データ媒体は、電気ケーブルもしくは光ケーブルを介して、無線によって、または、その他の手段によって伝送されるように構成された電気信号または光信号等の伝送可能な媒体でもあってもよい。本発明のプログラムは、特に、インターネット方式のネットワークからダウンロードされてもよい。
【0124】
あるいは、データ媒体は、プログラムが組み込まれた集積回路であって、対象の方法を実行するように、または該方法の実行に用いられるように構成された集積回路でもあってもよい。
【0125】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【
図1】
図1は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムを示す。
【
図2】
図2は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムに含まれた端末を示す。
【
図3】
図3および4は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムを示す。
【
図4】
図3および4は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムを示す。
【
図5】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図6】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図7】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図8】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図9】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図10】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図11】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図12】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図13】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図14】
図5~14は、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成する方法の工程を示す。
【
図15】
図15は、本発明に係る、基準表面の“オフセット”像の例を示す。
【
図16】
図16は、本発明に係る、基準表面の“位置合わせされた”像の例を示す。
【
図17】
図17は、第1の総合実装例に関与する像に適用される種々の変換をまとめたダイアグラムである。
【
図18】
図18および19は、本発明の第2の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成するための方法の工程を示す。
【
図19】
図18および19は、本発明の第2の総合実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成するための方法の工程を示す。
【
図20】
図20および21は、第2の総合実装例に関与する像に適用される2つの異なる変換の変形例をまとめたダイアグラムである。
【
図21】
図20および21は、第2の総合実装例に関与する像に適用される2つの異なる変換の変形例をまとめたダイアグラムである。
【
図22】
図22~24は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムを示す。
【
図23】
図22~24は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムを示す。
【
図24】
図22~24は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムを示す。
【
図25】
図25は、本発明に係る、検査表面のデジタル署名を生成するためのシステムに含まれた端末を示す。
【
図26】
図26は、本発明の第4実装例に係る、検査表面のデジタル署名を生成するための方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0127】
図1、
図3および
図4に、検査表面S_1のデジタル署名を生成するための、本発明に係るシステムSYSを示す。
【0128】
本実施形態では、システムSYSは、デジタル署名を生成するための、そして、
図5~14,18および19を参照して説明する、本発明に係る方法の工程を実行する2つの端末T1およびT2を含んでいてもよい。
【0129】
この実施形態では、
図1に示すように、第1端末T1は、“適合”製品を製造するための製造ラインに沿って、または、該ラインの近傍に、設けられている。“適合”製品は、例えば、販売される製品である。
【0130】
図3および4に示すように、端末T1は、例えば、スマートフォン、電話またはタブレット等の、移動体端末であってもよい。
【0131】
端末T1は、適合製品または該製品のパッケージの可視の基準表面S_REFを照明するための、第1光源LUM_1を有する。この基準表面S_REFは、以下の全てまたは一部から選択される材料要素でできていてもよい:繊維材料、プラスチック材料、金属材料、皮、木、複合材料、ガラス、または、鉱物であって具体的には結晶構造を有するもの。
【0132】
この第1光源LUM_1は、(例えば、電話またはタブレットの)白色光および/またはフラッシュであってもよい。フラッシュは、
図4に示すようなものであってもよい。
【0133】
図1に倣い、基準表面S_REFに対する第1光源LUM_1の入射角を、αと表記する。
【0134】
具体的な実施形態では、この入射角αは、グレージング入射角(incidence rasante)に対応する。入射角αは、好ましくは16°~45°の範囲にあり、より好ましくは16°~25°の範囲にあり、さらに好ましくは16°~20°の範囲にある。
【0135】
変形例では、端末T1は、光源を有さない。そのような場合、基準表面S_REFは、端末T1の外部の光源によって照明されてもよく、システムSYSの外部の光源によって照明されてもよい。
【0136】
端末T1は、さらに、取得モジュールを有する。以下、この取得モジュールを、“第3”取得モジュールCAM_3と称する。この取得モジュールは、基準表面S_REFを示す少なくとも一部を有する像を取得する役割を担う。
【0137】
この像は、基準表面S_REFが第1光源LUM_1または他の光源によって照明されている間に取得される。
【0138】
上記の第3取得モジュールCAM_3は、静止画カメラ、動画カメラ、または、任意のセンサを備えていてもよい。
【0139】
具体的な実施形態では、
図1に示すように、第3取得モジュールCAM_3は、基準表面S_REFに対して実質的に垂直に配置されている。
【0140】
具体的な実施形態では、
図3に示すように、第3取得モジュールCAM_3は、第1光源LUM_1に対して同じ相対位置および同じ相対方向をとる。
【0141】
典型的には、この実施形態は、
図4に示すような、端末T1が、フラッシュおよびカメラを有する電話またはタブレットである場合に対応する。
【0142】
端末T1は、さらに、第3取得モジュールCAM_3によって取得された(基準表面S_REFを表す)像から“認証”署名を取り出すことを可能にするモジュール(図示せず)を含んでいてもよい。この署名は、基準表面S_REFの構造を特徴づける。
【0143】
具体的な実施形態では、このモジュールは、基準表面S_REFと第1光源LUM_1の間の相互作用を検出することによって基準表面S_REFの1または複数の構造的な特徴を得る役割を担う。
【0144】
この基準表面S_REFは、以下の全てまたは一部から選択される材料要素でできていてもよい:繊維材料、プラスチック材料、金属材料、皮、木、複合材料、ガラス、または、鉱物であって具体的には結晶構造を有するもの。
【0145】
この認証署名の取り出し方は、
図5~14、
図18および
図19を参照して詳細に説明される。
【0146】
この基準表面S_REFの認証署名は、より一般的には、この表面S_REFによって部分的に形成された、適合製品、または、適合製品のパッケージを特徴づける。
【0147】
あるいは、システムSYSに含まれている上記のモジュールは、端末T1から分離されている。
【0148】
システムSYSは、さらに、
図1~4に示すように、第1端末T1とは別のものであってもよい第2端末T2を有する。
【0149】
端末T2は、例えば、スマートフォン、電話またはタブレット等の、移動体システムであってもよい。
【0150】
この端末T2は、“検査”表面S_1の像を取得するために使用可能な第1取得モジュールCAM_1を有する。表面S_1は、“候補”製品または候補製品のパッケージに存在する。
【0151】
基準表面S_REFと同様、この検査表面S_1は、以下の全てまたは一部から選択される材料要素でできていてもよい:繊維材料、プラスチック材料、金属材料、皮、木、複合材料、ガラス、または、鉱物であって具体的には結晶構造を有するもの。
【0152】
第1取得モジュールCAM_1は、静止画カメラ、動画カメラ、または、任意のセンサであってもよい。第1取得モジュールCAM_1は、
図2および4に示されている。
【0153】
第2端末T2は、さらに、
図2および4に示されているように、第2光源LUM_2を有していてもよい。
【0154】
この第2光源LUM_2は、(例えば、電話またはタブレットの)白色光および/またはフラッシュを備えていてもよい。
【0155】
端末T2は、さらに、
図25に示すように、スクリーンを含んでいてもよい。このスクリーンは、第1取得モジュールCAM_1の取得領域の像を表示する役割を担う。この像には、仮想記号SYMB_Vが重畳される。仮想記号SYMB_Vは、例えば、記号の輪郭に対応する。
【0156】
具体的な実施形態では、端末T2は、さらに、“生成された”署名を、第1取得モジュールCAM_1によって取得された(検査表面S_1を表す)像から取り出す役割を担うモジュール(図示せず)を有する。生成された署名は、検査表面S_1の構造を特徴づける。
【0157】
具体的な実施形態では、このモジュールは、検査表面S_1と第2光源LUM_2との間の相互作用を検出することによって検査表面S_1の1または複数の構造的な特徴を得る役割を担う。
【0158】
この署名の生成のされ方は、
図5~14、
図18および
図19を参照して詳細に説明される。
【0159】
この検査表面S_1について生成された署名は、より一般的には、表面S_1によって部分的に形成された、候補製品、または、候補製品のパッケージを特徴づける役割を担う。
【0160】
あるいは、システムSYSに含まれている上記のモジュールは、端末T2から分離されている。
【0161】
具体的な実施形態では、認証工程において、候補製品の検査表面S_1の生成された署名は、適合製品の基準表面S_REFの認証署名と比較される。
【0162】
例えば、この比較は、端末T1に含まれたモジュールによって、端末T2に含まれたモジュールによって、または、これら2つの端末とは別の外部モジュールによって、行われてもよい。
【0163】
そのような場合、例えば、外部モジュールは、生成された署名および認証署名を回復させる(recuperer)ために、外部モジュールが端末T1およびT2と通信することを可能にする通信サブモジュールを含んでいてもよい。
【0164】
例えば、上記の比較によって、候補製品の検査表面S_1について生成された署名が適合製品の基準表面S_REFについての認証署名と実質的に同じである場合、候補製品が特定の製造ラインからのものであると推定することが可能である。
【0165】
具体的な実施形態では、システムSYSは、端末T2のみを含む。
【0166】
第1の総合実装例
図5に、本発明の第1の総合実装例に係る、検査表面S_1のデジタル署名を生成する方法の主たる工程を示す。
【0167】
この方法は、
図1,3,4および22~24に示すように、システムによって実行可能な4つの工程E30,E50,E70およびE90を有する。
【0168】
工程E30において、
図22に示すようなシステムSYSのモジュールMOD_OBT1によって、“オフセット”像IM_1が得られる。
【0169】
このモジュールMOD_OBT1は、
図23に示すように、システムSYSの端末T2に含まれていてもよい。
【0170】
具体的な実装例では、このオフセット像IM_1の一部が、検査表面S_1を示す。変形例では、オフセット像IM_1の全体が、検査表面S_1を示す。
【0171】
この像IM_1は、
図15に示すようなものであってもよい。
【0172】
具体的な実装例では、
図6に従い、オフセット像IM_1を得る工程E30は、
図1~4に示す第1取得モジュールCAM_1によって“取得”像IM_0を取得する取得工程E20を含む。
【0173】
図23に示すように、獲得モジュールMOD_OBT1は、第1取得モジュールCAM_1を含む。
【0174】
この第1の総合実装例では、取得像IM_0は、オフセット像IM_1に対応する(以下、“オフセット像IM_1”と称する)。
【0175】
上述のように、端末T2は、
図25に示すように、スクリーンを含んでいてもよい。このスクリーンは、第1取得モジュールCAM_1の取得領域の像を表示する役割を担う。この像には、仮想記号SYMB_Vが重畳される。
【0176】
そのような状況において、表面S_1は、記号SYMBを含んでいてもよく、取得像IM_0を取得する取得工程E20は、取得領域における上記の記号SYMBの像IM_SYMBが仮想記号SYMB_Vに一致したときに、自動的に開始されてもよい。
【0177】
具体的な実装例では、
図7に示すように、工程E30はまた、第2光源LUM_2を用いて検査表面S_1を照明する工程E15を含む。この照明は、少なくとも取得工程E20において実行される。
【0178】
獲得モジュールMOD_OBT1は、
図23に示すように、第2光源LUM_2を有する。
【0179】
具体的な実装例では、
図8に従い、方法は、モデル像IM_Mにおいて等価領域ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3およびZEQ_4を定義する工程E35を有する。モデル像IM_Mの少なくとも一部が、基準表面S_REFを示す。
【0180】
この工程の後に、
図15に示すような、オフセット像IM_1における興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4を得る工程E50が続く。
【0181】
これらの興味領域は、テンプレートマッチングを用いることによってオフセット像IM_1を予め定められた“等価”領域ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3およびZEQ_4と照合する方法によって得られる。これらの等価領域は、複数のモデル像IM_Mのうちの1つに含まれている。
【0182】
この工程E50は、
図22に示すように、システムSYSのモジュールMOD_DEFによって行われてもよい。また、このモジュールMOD_DEFは、
図23に示すように、端末T2に含まれていてもよい。変形例では、この工程は、端末T2の外部のモジュールによって実行されてもよい。
【0183】
具体的な実装例では、例えば
図15に示すように、これらの興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4は、検査表面S_1における1または複数の図形要素TAG_1,TAG_2,TAG_3およびTAG_4、の近くに、および/または、に関連づけて、配置されている。
【0184】
好ましくは、このまたはこれらの図形要素TAG_1,TAG_2,TAG_3およびTAG_4は、検査表面S_1の背景色に対してコントラストをなしている。
【0185】
好ましくは、これらの図形要素TAG_1,TAG_2,TAG_3およびTAG_4は、異なる形状を有する。
【0186】
具体的な実装例では、工程E50の前に、オフセット像IM_1において“探索”領域を定義する工程(図示せず)が行われる。これらの探索領域は興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4を含み、探索領域に基づいてテンプレートマッチング法が行われる。
【0187】
例えば、これらの探索領域は、以下のように定義されてもよい:
-オフセット像IM_1において、これらの興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4の位置の近くの位置に、設けられており;かつ
-オフセット像IM_1において、興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4よりもサイズが大きい。
【0188】
探索領域は、領域であって該領域の内部にテンプレートマッチング法によって興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4が設けられる領域に対応する。探索領域は、テンプレートマッチング法をより効率的に行うための、オフセット像IM_1内の特定の外縁であって該外縁の内部で興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4がより高い確率で見られる外縁を定義することを可能にする。
【0189】
工程E50の後に、オフセット像IM_1を“モデル”像IM_Mと位置合わせすることによって“位置合わせされた”像IM_2を得る工程E70が続く。
【0190】
この位置合わせ工程E70は、
図22に示すような、システムSYSのモジュールMOD_RECALによって行われてもよい。
【0191】
図23に示すように、モジュールMOD_RECALは、端末T2に含まれていてもよい。変形例では、このモジュールMOD_RECALは、端末T2の外部に存在する。
【0192】
具体的な実装例では、このモデル像IM_Mの一部が、基準表面S_REFを示す。変形例では、モデル像IM_Mの全体が、基準表面S_REFを示す。
【0193】
このモデル像IM_Mは、
図16に示すようなものであってもよい。
【0194】
この第1の総合実装例では、
図9に従い、モデル像IM_Mは、工程F200において第3取得モジュールCAM_3によって取得される表面S_REFの像に対応する。
【0195】
好ましい実装例では、第3取得モジュールCAM_3の光軸は、基準表面S_REFに対して実質的に垂直な方向に向けられている。
【0196】
例えば、この実装例では、製品のまたはその製品のパッケージの基準表面S_REFを、その製品を製造するためのラインに沿って(long d'une ligne)取得可能である。
【0197】
具体的な実装例では、また、
図9を参照すると、表面S_REFは、工程F400において、光源LUM_1によって少なくとも取得工程F200において基準表面S_REFに対して迎え角αで照明される。
【0198】
具体的な実装例では、この角度αは、グレージング入射角に対応する。
【0199】
具体的な実装例では、この角度αは、好ましくは16°~45°の範囲にあり、より好ましくは16°~25°の範囲にあり、さらに好ましくは16°~20°の範囲にある。
【0200】
具体的な実装例では、基準表面S_REFは、
図16に示すように、図形TAG_1,TAG_2,TAG_3およびTAG_4を含む。
【0201】
オフセット像IM_1をモデル像IM_Mと位置合わせすることは、これら2つの像の間の遠近補正を行うことに対応し、モデル像IM_Mの基準表面S_REFが見られる平面と同じ平面および同じ方向にオフセット像IM_1の検査表面S_1を配置しなおすという状況を模擬する役割を担う。
【0202】
このような位置合わせまたは位置合わせされた像IM_2の獲得は、第1透視変換H1をオフセット像IM_1に適用することによって行われる。
【0203】
図16に示すように、第1透視変換H1は、オフセット像IM_1における興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4ならびにモデル像IM_Mにおける等価領域ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3およびZEQ_4から得られる。
【0204】
具体的な実装例では、テンプレートマッチング法は、探索領域から、興味領域ZI_1の予め定められた点を等価領域ZEQ_1の対応する予め定められた点に変換するアフィン変換Tのパラメータの第1の推定値を得る役割を担う。
【0205】
例えば、この推定値は、等価領域ZI_1の点の座標と探索領域の点の座標との間で、最小二乗法または交差相関法を用いることによって得られてもよい。
【0206】
交差相関法は、モデル像IM_Mの探索領域内における複数の点(x,y)について、以下のように定義される規格化交差相関係数を最大化することを目的としたものとして定義できる:
【数1】
ここで、
【数2】
であり:
-Iは、オフセット像IM_1における探索領域であり;
-Tは、モデル像IM_Mにおける興味領域ZI_1であり;かつ、
-wおよびhは、Tの寸法である。
【0207】
上記の推定値は、他の公知のイメージマッチング法またはイメージテンプレート法を用いて得られてもよい。
【0208】
具体的な実装例では、
図10に従い、テンプレートマッチング法は、アフィン変換のパラメータの第2の推定値を得る工程E75を有する。この第2の推定値は、等価領域ZEQ_1と興味領域ZI_1を含む探索領域の間の第1の強化された相関係数(premier coefficient de correlation ameliore)を最大化するための反復アルゴリズムを用いて第1の推定値を最適化することによって得られる。
【0209】
上記の第1の強化された相関係数は、先に引用した文書“Parametric image alignment using enhanced correlation coefficient maximization”の3.1節と同じ態様で定義されてもよい。
【0210】
各興味領域ZI_1を等価領域ZEQ_1に変換する各アフィン変換のパラメータが推定されると、点の一連のペアが得られる。各ペアは、等価領域ZEQ_1における1つの点と、等価領域ZI_1および傾斜した像IM_1に適用されるテンプレートマッチング法によって定義される興味領域Z_I1における別の点と、を備える。
【0211】
具体的な実装例では、点のペア(複数形)は、興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4の中心(複数形)と、等価領域ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3およびZEQ_4の中心(複数形)と、を備え、または、に対応する。
【0212】
オフセット像IM_1を位置合わせされた像IM_2に変換する第1透視変換H1のパラメータは、点のそれらのペアから推定できる。
【0213】
例えば、これらのパラメータは、文書“Image registration for perspective deformation recovery”(Geaorge WolbergおよびSiavash Zokai)の4.2部に記載された方法のような方法によって推定されてもよい。
【0214】
具体的な実装例では、第1透視変換H1は、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを用いることによって得られる。
【0215】
上記のアルゴリズムは、第1透視変換H1のパラメータを推定するのに用いられる一連の点または点のペアから外れ値の点を排除する役割を担う。
【0216】
具体的な実装例では、第1透視変換H1は、オフセット像IM_1とモデル像IM_Mとの間の第2の強化された相関係数を最大化するための反復最適化アルゴリズムを用いることによって得られる。
【0217】
上記の第2の強化された相関係数を用いる上記のアルゴリズムは、上述の第1の強化された相関係数を用いるアルゴリズムと似ているが、オフセット像をモデル像に対して位置合わせする際に適用され、等価領域ZI_1をモデル像IM_Mと照合するとき(テンプレートマッチング)(lors)には適用されない。
【0218】
位置合わせされた像IM_2を得る工程E70の後に、位置合わせされた像IM_2からデジタル署名を生成するための生成工程E90が続く。デジタル署名は、検査表面S_1の構造を特徴づける。
【0219】
この生成工程E90は、モジュールMOD_GENによって行われる。モジュールMOD_GENは、例えば、
図14に示すように端末T2に含まれている、または、端末T2の外部に存在する。
【0220】
具体的な実装例では、
図11に従い、デジタル署名を生成する工程E90は、検査表面S_1と第2光源LUM_2との間の相互作用を検出することによって検査表面S_1の構造的な特徴を得る工程E95を含む。
【0221】
この第1の総合実装例では、相互作用は、位置合わせされた像IM_2を分析することによって検出される。
【0222】
具体的な実装例では、
図12に従い、生成された署名の生成工程E90の後に、生成された署名と認証デジタル署名とを比較することによって検査表面S_1を認証する工程E120が続く。この認証署名は、基準表面S_REFの構造を特徴づける。
【0223】
この第1の総合実装例では、認証署名は、
図13に示すように、工程E5において、モデル像IM_Mから生成される。
【0224】
より正確には、この認証署名を生成することは、基準表面S_REFと第1光源LUM_1との間の相互作用を検出することによって基準表面S_REFの構造的な特徴を得ることを含む。
【0225】
具体的な実装例では、
図14に従い、方法は、さらに、保護された情報を読み取る工程E130を含む。保護された情報は、例えば、検査表面、または、検査表面を含む製品もしくはパッケージに設けられた、可視コード(図示せず)に含まれている。
【0226】
保護された情報を読み取る際に、その情報は、デジタル形式で、情報を保護するために用いられる処理のインバースであるデジタル処理に供される。この処理は、生成された署名を利用する。例えば、保護された情報は、1次元または2次元のバーコードに含まれていてもよい。
【0227】
図17では、第1の総合実装例の主たる工程がまとめられている:検査表面S_1のオフセット像IM_1が得られる、ここで、この像IM_1は、取得モジュールCAM_3によって取得される像IM_0に対応する。その後、位置合わせされた像IM_2が得られるように、像IM_1が、基準表面S_REFを示すモデル像IM_Mに対して位置合わせされる。この位置合わせされた像のデジタル署名が、取り出される。この例では、両矢印は、ともに同じ態様の方向および位置をとる表面を示す2つの像の間のリンクを表す。
【0228】
第2の総合実装例
図18および19に、本発明の第2の総合実装例に係る、検査表面S_1のデジタル署名を生成する方法を示す。
【0229】
これら2つの方法は、第1の総合実装例における4つの主たる工程E30,E50,E70およびE90を再現する。それらは、
図1,3,4および22~24に示した類のシステムによって同様に良好に実行できる。
【0230】
それらは、さらに、第1の総合実装例の任意の工程E15,E60,E75,E95,E120およびE130を含む。
【0231】
第1の総合実装例と同様、オフセット像IM_1を得る工程E30は、
図1~4に示すような第1取得モジュールCAM_1を用いることによって“取得”像IM_0を取得する工程E20を含む。
【0232】
ただし、この第2の総合実装例では、モデル像IM_Mは、第2透視変換H2を、基準表面S_REFを示す“方向付けされた”像IM_M‘に適用することによって得られる。
【0233】
図13を参照すると、この方向付けされた像IM_M‘は、工程E5’において生成される。
【0234】
図9を参照すると、この方向付けされた像IM_M‘は、工程F200において、基準表面S_REFに対して実質的に垂直に配置された第2取得モジュールCAM_2を用いて取得される。少なくとも取得工程F200において、第1の総合実装例に類似した照明工程F400が行われる。
【0235】
第2透視変換H2は、好ましくは、方向付けされた像IM_M‘を、基準表面S_REFの像に変換するという態様で選択される。基準表面S_REFの像は、特定条件の下で、例えば電話またはタブレットによって、取得されるものとして模擬されるものである。
【0236】
この変換はまた、モデル像IM_Mにおける基準表面S_REFを、取得像IM_0の位置および方向にできるだけ近い位置および方向に“シフトする”役割を担う。
【0237】
この第2の総合実装例の第1変形例では、
図18に従い、オフセット像IM_1は、取得像IM_0に対応する。
【0238】
工程E50では興味領域がオフセット像IM_1において得られ、工程E70ではこれらの興味領域を用いることによってオフセット像IM_1が位置合わせされた像IM_2に変換される。
【0239】
像IM_1を位置合わせするための種々の工程が、第1の総合実装例に類似する態様で行われる。
【0240】
位置合わせされた像IM_2が得られると、工程E80において、位置合わせされた像IM_2が方向付けされた像IM_M‘と位置合わせされるように、第2透視変換H2のインバース、H2‘と表記する、が位置合わせされた像IM_2に適用される。これにより、“変換された”像IM_2’が作られる。
【0241】
工程E90において、表面S_1のデジタル署名が、変換された像IM_2’から生成される。
【0242】
第2の総合実装例の第2変形例では、
図19に示すように、まず、透視変換H2‘を取得像IM_0に適用することによってオフセット像IM_1が得られ、次に、オフセット像IM_1が方向付けされた像IM_M‘に対して位置合わせされる。
【0243】
この変形例では、後に方向付けされた像IM_M‘に対して位置合わせされる像を得るためにまず取得像IM_0=IM_1が位置合わせされる先の変形例とは異なり、後にモデル像IM_Mと位置合わせされる像を得るためにまず透視変換H2‘が取得像IM_0に適用される。
【0244】
その後、工程E90において、検査表面S_1のデジタル署名が、位置合わせされた像IM_2から生成される。
【0245】
図20では、この第2の総合実装例の第1変形例がまとめられている:検査表面S_1のオフセット像IM_1が得られる、ここで、この像IM_1は、取得モジュールCAM_3によって取得される像IM_0に対応する。その後、位置合わせされた像IM_2が得られるように、像IM_1が、基準表面S_REFを示すモデル像IM_Mに対して位置合わせされる、ここで、モデル像IM_Mは、方向付けされた像IM_M‘に透視変換H2を適用することによって、方向付けされた像IM_M‘を変換した後に、既に得られている。署名が取り出される変換された像IM_2’が得られるように、透視変換H2のインバース、H2‘と表記する、が位置合わせされた像IM_2に適用される。
【0246】
図21では、この第2の実装例の第2変形例がまとめられている:取得モジュールCAM_3によって取得される像IM_0に透視変換H2‘が適用されることによって検査表面S_1のオフセット像IM_1が得られる。その後、位置合わせされた像IM_2が得られるように、像IM_1が、基準表面S_REFを示す方向付けされた像IM_M‘に対して位置合わせされる、ここで、モデル像IM_Mは、透視変換H2を方向付け像IM_M‘に適用することによって、方向付けされた像IM_M‘を変換することによって既に得られている。署名は、位置合わせされた像IM_2を分析することによって取り出される。
【0247】
第3実装例
第3実装例の方法は、第1および第2の総合実装例における4つの主たる工程E30,E50,E70およびE90を再現する。
【0248】
第1および第2の総合実装例と同様、オフセット像IM_1を得る工程E30は、取得モジュールによって“取得”像IM_0を取得する工程E20を含む。
【0249】
この第3の総合実装例では、取得像IM_0は、オフセット像IM_1に対応する(以下、“オフセット像IM_1”と称する)。
【0250】
工程E50では興味領域がオフセット像IM_1において得られ、工程E70ではこれらの興味領域に基づいてオフセット像IM_1が位置合わせされた像IM_2に変換される。
【0251】
像IM_1を位置合わせすることを可能にする種々の工程が、第1の総合実装例に類似する態様で行われる:オフセット像IM_1における興味領域の予め定められた点に、モデル像IM_Mで言及される点に対して適用される、上述のテンプレートマッチング法によって、第1透視変換H1をオフセット像IM_1に適用することによって、位置合わせされた像IM_2が得られる。
【0252】
ただし、この第3実装例は、モデル像およびオフセット像を取得するための取得モジュールの配置、光源の配置および署名の取り出し方の点で、最初の2つとは異なる。
【0253】
この実装例では、基準表面S_REFのモデル像IM_Mは、基準表面S_REFに対して同じ方向を有する取得モジュールおよび光源によって取得される。同じ方向は、例えば、基準表面に対して90°ではない同じ傾斜角βである。取得モジュールおよび光源のこの傾斜角は、光のハローが形成されるのを回避する。
【0254】
この第3実装例は、コントラストを低減させ署名の取り出しに影響する光のハローが90°の照明によって形成される鏡面表面または光沢表面について、特に有利である。
【0255】
その後、取得モジュールおよび光源の方向についての補償を行うための第1透視変換が、基準表面S_REFに対して90°で配置された取得モジュールを用いて取得されたかのように見える再方向付けされた像が得られるという態様で、行われる。例えば、この透視変換は、モデル像IM_Mを角度-βだけ回転させることを含み、この回転は、他の実装例で説明したような第1透視変換H1と組み合わされてもよい。
【0256】
その後、基準表面S_REFの認証署名が、再方向付けされた像から取り出される。
【0257】
さらに、検査表面のオフセット像は、検査表面S_1に対して角度β’の方向に向けられた取得モジュールおよび光源を用いて取得される。角度βおよびβ’は、好ましく類似している。
【0258】
例えば、この角度β’は、
図25を参照して説明した記号SYMB_VおよびSYMBを一致させることによって、または、取得時において検査表面に対する取得モジュールの方向を保証する役割を担う他の任意の手段を用いることによって、特定される。取得モジュールの方向を保証するためのこのメカニズムは、本発明の他の実装例で用いてもよい。上述のように、位置合わせされた像が得られるように、オフセット像がモデル像と位置合わせされる。
【0259】
検査表面に対して90°で配置された取得モジュールを用いて取得されたかのように見えるという態様で平坦化された状態に戻された像が得られるという態様で、透視変換が、取得モジュールおよび光源の方向を補償するように行われる。例えば、この透視変換は、位置合わせされた像を角度-β’だけ回転させることを備え、この回転は、他の実装例で説明したような第1透視変換H1とともに行われてもよい。
【0260】
最後に、工程E90において、検査表面S_1のデジタル署名が、平坦化された像を用いて生成される。
【0261】
第4実装例
本発明は、以下で
図26を参照しながら説明する第4実装例を提案する。この第4実装例の工程E20,E50,E70およびE90は、第2実装例の第2変形例の工程と同じであり、それらは同じ符号を有している。
【0262】
第2実装例の第2変形例において、モデル像IM_Mおよび“方向付けされた”像IM_M‘によって正確に定義される第2透視変換H2が像に適用されることを思い出されたい。この意味で、この透視変換H2は、取得像IM_0によらず常に同じであり、この点で“静的”と称され得る。ただし、第4実装例には、一定または静的な透視変換H2が、方向付けされた像IM_M‘に対する取得像IM_0に応じて製造工程E20の後に動的に計算される第3透視変換H3によって置き換えられる点で、第2実装例の第2変形例との相違がある。
【0263】
この第4実装例では、オフセット像IM_1は、透視変換H3を取得像IM_0に適用することによって得られる。その後、位置合わせされた像IM_2が得られるように、像IM_1が、基準表面S_REFを示す方向付けされた像IM_M‘に対して位置合わせされる。署名は、位置合わせされた像IM_2を分析することによって取り出される。
【0264】
この第4実装例では、動的な計算H3の主たる利点は、取得モジュールの方向をより“許容範囲のある(tolerante)”ものとすることによって取得モジュールの位置決めが容易となり、取得の開始を早め、ユーザーエクスペリエンスが向上することにある。より“許容範囲のある”とは、例えば、取得モジュールの光軸の傾斜角に関してより許容範囲があるということである。
【0265】
これを説明するために、第1に、透視変換H2(またはH2‘)は、取得像IM_0の方向にできるだけ近い特定の方向を模擬して、モデル像IM_Mおよび方向付けされた像IM_M‘から計算されるのに対し、透視変換H3は、取得時において取得像IM_0に応じて計算され、特定の方向に依存しないため、“動的”と称されることを理解されたい。H2は、“一定”と称される透視変換である。
【0266】
有利には、H2のような“一定の”透視変換(第2実装例の第2変形例参照)ではなく“動的な”透視変換H3を用いることによって、像を取得しつつ像を動的に位置合わせすることが可能になり、取得像IM_0の取得について、像を正確に位置合わせするためにモデル像IM_M‘の方向に近い方向を有する必要性、他の実装例ではこの必要性は存在し得る、を回避することが可能になる。
【0267】
図22に、本発明の2つの総合実装例のいずれかを行うことによって、少なくとも1つの検査表面から少なくとも1つのデジタル署名を生成するためのシステムSYSを示す。
【0268】
システムSYSは、各検査表面S_1について、検査表面S_1を示す少なくとも一部を有する“オフセット”像IM_1を得るための獲得モジュールMOD_OBT1を有する。
【0269】
システムSYSはまた、各検査表面S_1について、オフセット像における興味領域を得る役割を担う定義モジュールMOD_OBT2を有する。
【0270】
これらの興味領域は、オフセット像に適用される予め定められた等価領域ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3およびZEQ_4とのテンプレートマッチング法によって、得られる。これらの等価領域は、基準表面S_REFを示す少なくとも一部を有するモデル像IM_Mに含まれている。
【0271】
システムSYSはまた、各検査表面S_1と協働して用いられる、オフセット像IM_1をモデル像IM_Mと位置合わせする位置合わせモジュールMOD_RECALを有する。この位置合わせは、第1透視変換H1をオフセット像IM_1に適用することによって行われる。透視変換H1は、興味領域ZI_1,ZI_2,ZI_3およびZI_4ならびに等価領域ZEQ_1,ZEQ_2,ZEQ_3およびZEQ_4から得られる。
【0272】
システムSYSはまた、各検査表面について、位置合わせされた像IM_2からデジタル署名を生成するための生成モジュールMOD_GENを有する。このデジタル署名は、検査表面S_1の構造を特徴づける。
【0273】
最後に、システムSYSは、方法を実行するための命令を含むプログラムPGを格納する役割を担う格納媒体SUPを含む。
【0274】
具体的な実施形態では、
図23に示すように、システムSYSは、以下を備える:
-グレージング入射角に対応する基準表面S_REFに対する迎え角を形成する第1カメラCAM_2および第1光源LUM_1を含む第1端末T1、ここで、迎え角は、好ましくは16°~45°の範囲にあり、より好ましくは16°~25°の範囲にあり、さらに好ましくは16°~20°の範囲にある;および
-通信端末T2、第2カメラCAM_1および第2光源LUM_2を含む第2製品。
【0275】
本実施形態では、システムSYSは、
図24に図式的に示すように、コンピュータのハードウェアアーキテクチャを有する。
【0276】
システムSYSは、プロセッサ10と、書換え可能な不揮発性メモリ11と、ROM12と、ランダムアクセスメモリ(RAM)13と、通信モジュールCOMと、を備える。
【0277】
システムSYSのROM12は、プロセッサ10によって読み取り可能であり、検査表面のデジタル署名を生成するための
図5~14,18および19を参照して説明した工程を有する本発明の方法の工程を実行するための命令を含む本発明に係るコンピュータプログラムを格納する、本発明に係るデータ媒体である。