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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250121BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G15/20 510
G03G21/00 386
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021024369
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126344
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佐助
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-017917(JP,A)
【文献】特開2016-085277(JP,A)
【文献】特開2003-122185(JP,A)
【文献】特開2012-118339(JP,A)
【文献】特開2015-114610(JP,A)
【文献】特開2011-197423(JP,A)
【文献】特開2018-180154(JP,A)
【文献】特開2014-106320(JP,A)
【文献】特開2015-199234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0183312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の情報処理装置と通信可能に接続される画像形成装置であって、
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記印刷媒体上に対象画像のトナー像を形成する画像形成部と、
加熱部と、前記加熱部により加熱される定着部材と、前記定着部材と接触することによって前記定着部材とニップを形成する押圧部材とを有し、前記画像形成部により前記トナー像が形成された後の前記印刷媒体を加熱し、前記トナー像を前記対象画像として前記印刷媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置を駆動し、且つ、駆動電流の値に応じた大きさの信号を出力するモータと、
第1動作モードで前記モータを駆動している場合において前記信号の大きさが第1範囲の下限値より小さい場合、前記モータにより駆動される前記定着装置において前記定着部材と前記押圧部材との当接不良が生じていることを示す情報を含む第1異常通知情報の前記他の情報処理装置への送信を含む第1動作を行い、前記第1動作モードで前記モータを駆動している場合において前記信号の大きさが前記第1範囲の上限値より大きい場合、潤滑剤枯渇情報を含む第2異常通知情報の前記他の情報処理装置への送信を含む第21動作を行い、第2動作モードで前記モータを駆動している場合において前記信号の大きさが前記第1範囲と異なる第2範囲の下限値よりも小さい場合、前記第1異常通知情報の前記他の情報処理装置への送信を含む2動作を行い、前記第2動作モードで前記モータを駆動している場合において前記信号の大きさが前記第2範囲の上限値より大きい場合、前記第2異常通知情報の前記他の情報処理装置への送信を含む第22動作を行う制御部と、
を備え画像形成装置。
【請求項2】
前記第2範囲は、上限値と下限値との少なくとも一方が前記第1範囲と異なる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1動作モードは、第1回転数で前記モータを駆動させる動作モードであり、
前記第2動作モードは、前記第1回転数と異なる第2回転数で前記モータを駆動させる動作モードである、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記第1動作モードは、前記押圧部材と前記定着部材とを第1力で接触させながら前記モータを駆動する動作モードであり、
前記第2動作モードは、前記押圧部材と前記定着部材とを前記第1力と異なる第2力で接触させながら前記モータを駆動する動作モードである、
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置を駆動するモータの状態を示すパラメータの値を検出し、検出したパラメータの値に応じて、定着装置に不具合が発生しているか否かを判定することが可能な画像形成装置が知られている。モータの状態を示すパラメータは、例えば、モータのトルク、モータの駆動電流等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-040801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータの状態を示すパラメータの値は、モータの回転数等に応じて変動する。このため、上記のような画像形成装置は、例えば、予め決められた回転数と異なる回転数でモータを駆動させると、定着装置に不具合が発生しているか否かの判定を精度よく行うことが困難な場合があった。その結果、当該画像形成装置は、定着装置において発生する不具合に応じた動作を、所望のタイミングで行うことができない場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、定着装置において発生する不具合に応じた動作を、所望のタイミングで行うことができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像形成装置は、搬送部と、画像形成部と、定着装置と、モータと、制御部とを持つ。搬送部は、印刷媒体を搬送する。画像形成部は、搬送部により搬送された印刷媒体上に対象画像のトナー像を形成する。定着装置は、画像形成部によりトナー像が形成された後の印刷媒体を加熱し、トナー像を対象画像として印刷媒体に定着させる。モータは、定着装置を駆動し、且つ、駆動電流の値に応じた大きさの信号を出力する。制御部は、第1動作モードでモータを駆動している場合において当該信号の大きさが第1範囲から外れると第1動作を行い、第2動作モードでモータを駆動している場合において当該信号の大きさが第1範囲と異なる第2範囲から外れると第2動作を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置1の構成の一例を示す図である。
図2】制御部100の機能構成の一例を示す図である。
図3】第1対応関係の一例を示す図である。
図4】画像形成装置1が行う処理のうち第1動作又は第2動作を行う処理の流れの一例を示す図である。
図5図4に示したACT190において制御部100により行われる第1異常処理の流れの一例を示す図である。
図6図4に示したACT220において制御部100により行われる第2異常処理の流れの一例を示す図である。
図7】第2対応関係の一例を示す図である。
図8】実施形態の変形例4に係る画像形成装置1が行う処理のうち第1動作又は第2動作を行う処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。各図において、同一構成については、同一の符号を付す。
【0009】
(画像形成装置の概要)
実施形態に係る画像形成装置の概要について説明する。
【0010】
実施形態に係る画像形成装置は、搬送部と、画像形成部と、定着装置と、モータと、制御部を持つ。搬送部は、印刷媒体を搬送する。画像形成部は、搬送部により搬送された印刷媒体上に対象画像のトナー像を形成する。定着装置は、画像形成部によりトナー像が形成された後の印刷媒体を加熱し、トナー像を対象画像として印刷媒体に定着させる。モータは、定着装置を駆動し、且つ、駆動電流の値に応じた大きさの信号を出力する。制御部は、第1動作モードでモータを駆動している場合において当該信号の大きさが第1範囲から外れると第1動作を行い、第2動作モードでモータを駆動している場合において当該信号の大きさが第1範囲と異なる第2範囲から外れると第2動作を行う。
【0011】
これにより、実施形態に係る画像形成装置は、定着装置において発生する不具合に応じた動作を、所望のタイミングで行うことができる。
【0012】
(画像形成装置の構成)
実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。当該画像形成装置の一例として、画像形成装置1を例に挙げて説明する。図1は、画像形成装置1の構成の一例を示す図である。
【0013】
画像形成装置1は、印刷媒体へ画像の形成を行う装置である。例えば、画像形成装置1は、複合機、コピー機、プリンタ等である。印刷媒体は、画像の形成等の処理を画像形成装置1が行う対象となる媒体のことである。印刷媒体は、両面のうちの少なくとも一方に画像を形成可能なシート状の媒体であれば、如何なる媒体であってもよい。例えば、印刷媒体は、印刷用紙、プラスチックフィルム等である。
【0014】
画像形成装置1は、例えば、プリンタ部11と、コントロールパネル12と、手差しトレイTAと、排紙トレイTBを備える。画像形成装置1は、プリンタ部11と、コントロールパネル12と、手差しトレイTAと、排紙トレイTBとに加えて、他の部材、他の装置等を備える構成であってもよい。
【0015】
プリンタ部11は、制御部100と、給紙カセット111と、給紙カセット112と、画像形成ユニット114を備える。
【0016】
制御部100は、画像形成装置1の全体を制御する。換言すると、制御部100は、プリンタ部11と、コントロールパネル12と、画像形成ユニット114とのそれぞれを制御する。
【0017】
給紙カセット111は、ユーザが所望する種類の印刷媒体を収納する。例えば、給紙カセット111は、A4サイズの普通紙を収納する。
【0018】
給紙カセット112は、ユーザが所望する種類の印刷媒体を収納する。例えば、給紙カセット112は、A4サイズの厚紙を収納する。
【0019】
コントロールパネル12は、操作受付部と、表示部を備える。
【0020】
操作受付部は、ユーザからの操作を受け付ける。操作受付部は、入力装置である。例えば、操作受付部は、タッチパッド、入力キー等である。操作受付部は、ユーザから操作を受け付けた場合、受け付けた操作を示す情報を制御部100に出力する。
【0021】
表示部は、操作受付部を介して受け付けられた操作に応じた画像を表示する。表示部は、画像表示装置である。例えば、表示部は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。表示部は、タッチパネルとして操作受付部と一体に構成されてもよい。
【0022】
画像形成ユニット114は、制御部100からの制御に応じて、印刷媒体の搬送と、制御部100から取得した画像データが示す画像の印刷媒体への形成とを行う。説明の便宜上、印刷媒体に画像を形成することを印刷と称して説明する。画像形成ユニット114は、画像形成部の一例である。
【0023】
(画像形成ユニットの構成)
画像形成ユニット114の構成について説明する。
【0024】
画像形成ユニット114は、中間転写ベルト20を備える。画像形成ユニット114は、従動ローラ21と、バックアップローラ22と、2次転写ローラ23と、2本のレジストローラ24と、手差し給紙ローラ25を備える。画像形成ユニット114は、画像形成ステーション31と、画像形成ステーション32と、画像形成ステーション33と、画像形成ステーション34との4組の画像形成ステーションを備える。画像形成ユニット114は、ベルトクリーナ40と、第1検出部41と、第2検出部42と、第3検出部43を備える。画像形成ユニット114は、定着装置ADと、モータMTと、両面印刷装置DFを備える。
【0025】
中間転写ベルト20は、4組の画像形成ステーションにより、トナー像が1次転写されるベルトである。すなわち、中間転写ベルト20には、トナー像が形成される。中間転写ベルト20は、従動ローラ21と、バックアップローラ22等により支持される。中間転写ベルト20は、図1の矢印mが示す方向に回転する。より具体的には、画像形成ユニット114は、制御部100からの制御に応じて、図示しないモータにより、中間転写ベルト20を当該方向に回転させる。
【0026】
画像形成ステーション31は、Y(イエロー)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ステーション32は、M(マゼンタ)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ステーション33は、C(シアン)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ステーション34は、K(ブラック)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ユニット114では、これら4組の画像形成ステーションは、中間転写ベルト20の下側において、中間転写ベルト20の回転方向に沿って配置される。
【0027】
画像形成ステーション31は、感光体ドラム311と、帯電チャージャ312と、露光走査ヘッド313と、現像装置314と、感光体クリーナ315と、1次転写ローラ316を備える。画像形成ステーション31では、帯電チャージャ312と、露光走査ヘッド313と、現像装置314と、感光体クリーナ315と、1次転写ローラ316が、図1の矢印nが示す方向に回転する感光体ドラム311の周囲に配置される。1次転写ローラ316は、中間転写ベルト20を介して感光体ドラム311と対向する。
【0028】
画像形成ステーション32、画像形成ステーション33、画像形成ステーション34それぞれの構成は、このような画像形成ステーション31の構成と同様の構成である。このため、以下では、画像形成ステーション32、画像形成ステーション33、画像形成ステーション34それぞれの構成については、説明を省略する。
【0029】
2次転写ローラ23は、中間転写ベルト20を介してバックアップローラ22と対向する。2次転写ローラ23は、中間転写ベルト20に1次転写されたトナー像を、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を通る印刷媒体に2次転写する。
【0030】
2本のレジストローラ24は、給紙カセット111、給紙カセット112、手差しトレイTAのそれぞれから図示しない搬送機構により取り出された印刷媒体を、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間に搬送する。
【0031】
手差し給紙ローラ25は、手差しトレイTAから印刷媒体を取り出して2本のレジストローラ24へ搬送する。
【0032】
ベルトクリーナ40は、制御部100からの制御に応じて、中間転写ベルト20に残留するトナーを除去する。
【0033】
第1検出部41は、2本のレジストローラ24の間を印刷媒体が通過したことを検出するセンサである。実施形態では、2本のレジストローラ24の間を印刷媒体が通過することは、2本のレジストローラ24によって印刷媒体が搬送されることを意味する。第1検出部41は、2本のレジストローラ24の間を印刷媒体が通過したことを検出可能な位置に設けられる。第1検出部41は、例えば、光学センサである。第1検出部41は、光学センサに代えて、2本のレジストローラ24の間を印刷媒体が通過したことを検出可能な他のセンサであってもよい。第1検出部41は、2本のレジストローラ24の間を印刷媒体が通過したことを検出した場合、2本のレジストローラ24の間を印刷媒体が通過したことを検出したことを示す情報を制御部100に出力する。
【0034】
第2検出部42は、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を印刷媒体が通過したことを検出するセンサである。実施形態では、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を印刷媒体が通過することは、2次転写ローラ23によって印刷媒体が搬送されることを意味する。第2検出部42は、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を印刷媒体が通過したことを検出可能な位置に設けられる。第2検出部42は、例えば、光学センサである。第2検出部42は、光学センサに代えて、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を印刷媒体が通過したことを検出可能な他のセンサであってもよい。第2検出部42は、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を印刷媒体が通過したことを検出した場合、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を印刷媒体が通過したことを検出したことを示す情報を制御部100に出力する。
【0035】
第3検出部43は、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出するセンサである。第3検出部43は、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出可能な位置に設けられる。第3検出部43は、例えば、光学センサである。第3検出部43は、光学センサに代えて、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出可能な他のセンサであってもよい。第3検出部43は、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出した場合、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出したことを示す情報を制御部100に出力する。
【0036】
定着装置ADは、定着部材ADAと、加熱部HTと、押圧部材ADBと、押圧調整機構ADCを備える。
【0037】
定着部材ADAは、無端状の周面を有する部材である。例えば、定着部材ADAは、ベルト状の部材である。定着部材ADAは、押圧部材ADBの外周面に当接する。定着部材ADAは、当接する押圧部材ADBとともに回転する。定着部材ADAの内部には、加熱部HTが設けられている。定着部材ADAの内部には、定着部材ADAを回転可能に支持する支持部材が設けられている。図1では、図を簡略化するため、当該支持部材が省略されている。
【0038】
加熱部HTは、定着部材ADAを加熱する。例えば、加熱部HTは、ヒータと、ヒータによって加熱する被加熱部材を備える。この場合、被加熱部材は、定着部材ADAと摺動可能に接触している。加熱部HTは、ヒータによって被加熱部材を加熱し、被加熱部材と接触している定着部材ADAを加熱する。
【0039】
押圧部材ADBは、定着部材ADAの外周面に当接するローラである。押圧部材ADBには、歯車等を介して、モータMTの駆動力が伝達される。換言すると、押圧部材ADBは、モータMTの駆動によって回転する。
【0040】
押圧部材ADBは、バネ等の付勢部材によって、定着部材ADAの外周面に押し付けられる。押圧部材ADBは、定着部材ADAに押し付けられることによって定着部材ADAとニップを形成する。換言すると、押圧部材ADBは、定着部材ADAと接触することによって定着部材ADAとニップを形成する。付勢部材によって押圧部材ADBが定着部材ADAに押し付けられる力は、押圧調整機構ADCを介して制御部100により調整される。説明の便宜上、当該力を、押付力と称して説明する。定着装置ADでは、押圧部材ADBが付勢部材によって定着部材ADAの外周面に押し付けられる構成に代えて、定着部材ADAが付勢部材によって押圧部材ADBの外周面に押し付けられる構成であってもよい。この場合、押付力は、付勢部材によって定着部材ADAが押圧部材ADBに押し付けられる力のことである。
【0041】
押圧調整機構ADCは、制御部100からの制御に応じて、定着部材ADAから押圧部材ADBを遠ざける方向に押圧部材ADBを動かし、押付力を調整する。例えば、押圧調整機構ADCは、定着部材ADAから押圧部材ADBを遠ざける方向に押圧部材ADBを動かし、定着部材ADAから押圧部材ADBを離間させる。この場合、押付力は、0Nである。例えば、押圧調整機構ADCは、定着部材ADAから押圧部材ADBを遠ざける方向に押圧部材ADBを動かし、押付力を、制御部100からの制御に応じた力に一致させる。定着部材ADAが付勢部材によって押圧部材ADBの外周面に押し付けられる構成である場合、押圧調整機構ADCは、制御部100からの制御に応じて、押圧部材ADBから定着部材ADAを遠ざける方向に定着部材ADAを動かし、押付力を調整する。
【0042】
定着装置ADは、2次転写ローラ23によりトナー像が2次転写された後の印刷媒体にトナー像を定着させる装置である。より具体的には、定着装置ADは、定着部材ADAと押圧部材ADBとにより当該印刷媒体を搬送しながら加圧及び加熱を行う。これにより、定着装置ADは、当該印刷媒体に2次転写されているトナー像を、当該印刷媒体に定着させる。その結果、当該印刷媒体には、画像が形成される。
【0043】
モータMTは、定着装置ADを駆動する。モータMTは、モータMTの駆動電流の値に応じた大きさの信号を、制御部100に出力する回路を備える。当該回路は、当該信号を制御部100に出力可能であれば、如何なる回路であってもよい。モータMTは、例えば、サーボモータである。モータMTは、歯車等を介して、押圧部材ADBを回転させる。モータMTは、サーボモータに代えて、制御部100により制御可能な他の種類のモータであってもよい。
【0044】
両面印刷装置DFは、定着装置ADにより表面に画像が形成された後の印刷媒体を、2本のレジストローラ24に搬送する装置である。両面印刷装置DFには、表面と裏面とが裏返された後の当該印刷媒体が搬送される。このため、両面印刷装置DFを介して2本のレジストローラ24の間に搬送された印刷媒体は、2次転写ローラ23、定着装置ADを介して、裏面に画像が形成される。
【0045】
(画像形成ユニットの動作)
画像形成ユニット114の動作について説明する。
【0046】
まず、画像形成ステーション31の動作を例に挙げて、4組の画像形成ステーションの動作について説明する。
【0047】
画像形成ステーション31は、感光体ドラム311を帯電チャージャ312により帯電させた後、露光走査ヘッド313によって露光する。これにより、画像形成ステーション31は、感光体ドラム311上に静電潜像を形成する。その後、画像形成ステーション31は、感光体ドラム311上の静電潜像を現像装置314に現像させる。現像装置314は、トナーとキャリアとにより形成される二成分の現像剤を用いて、感光体ドラム311上の静電潜像を、トナー像として現像する。このように、感光体ドラム311には、トナー像が形成される。1次転写ローラ316は、感光体ドラム311に形成されるトナー像を、中間転写ベルト20に1次転写する。この1次転写が行なわれた後、感光体クリーナ315は、感光体ドラム311に残留するトナーを除去する。
【0048】
画像形成ステーション31と、画像形成ステーション32と、画像形成ステーション33と、画像形成ステーション34とのそれぞれは、1次転写ローラ316によって、中間転写ベルト20上にカラートナー像を形成する。カラートナー像は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー像を順次重ねて形成される。
【0049】
次に、2次転写ローラ23の動作について説明する。2次転写ローラ23は、中間転写ベルト20上のカラートナー像を一括して、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を通過する印刷媒体に2次転写する。以下の説明において「トナー像」という場合、カラートナー像と1色のみのトナー像のいずれであってもよいものとする。トナー像は、消色トナーを用いたトナー像であってもよい。
【0050】
次に、画像形成ユニット114の動作のうち印刷媒体を搬送する動作について説明する。
【0051】
2本のレジストローラ24のニップには、図示しない搬送機構により、給紙カセット111、給紙カセット112、手差しトレイTAのそれぞれから取り出された印刷媒体が撓ませられる。これにより、印刷媒体の先端は、位置が整えられる。その後、2本のレジストローラ24は、画像形成ユニット114がトナー像を印刷媒体に転写するタイミングに応じて、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間に印刷媒体を搬送する。給紙カセット111、給紙カセット112、手差しトレイTAのそれぞれから取り出された印刷媒体が2本のレジストローラ24まで搬送される搬送路は、図1に示した合流部PAにおいて合流する。
【0052】
画像形成ユニット114内では、2本のレジストローラ24と、定着装置ADと、両面印刷装置DF内の複数のローラによって、搬送路LA、搬送路LB、搬送路LCの3つの搬送路が形成されている。搬送路LAは、合流部PAから、図1に示した分岐部PBまでの搬送路である。搬送路LBは、両面印刷装置DF内を通過する搬送路であり、分岐部PBから合流部PAまでの搬送路である。搬送路LCは、分岐部PBから排紙トレイTBまでの搬送路である。
【0053】
2本のレジストローラ24は、回転する中間転写ベルト20のトナー像の位置に合わせて回転を開始し、2次転写ローラ23の位置に印刷媒体を移動させる。これにより、中間転写ベルト20上に形成されたトナー像は、2次転写ローラ23によって印刷媒体に2次転写される。トナー像が印刷媒体に2次転写された後、2次転写ローラ23は、搬送路LAに沿って印刷媒体を定着装置ADに搬送する。定着装置ADは、2次転写ローラ23から搬送されてくる印刷媒体に2次転写されたトナー像を、当該印刷媒体を搬送しながら当該印刷媒体に定着させる。これにより、当該印刷媒体には、2次転写されていたトナー像が画像として形成される。定着装置ADは、印刷媒体に画像が形成された後、印刷媒体を搬送路LCに搬送する。そして、搬送路LCに搬送された印刷媒体は、図示しないローラによって排紙される。
【0054】
両面印刷の場合、表面に画像が形成されてから印刷媒体の全体が分岐部PBを通過した後、図示しないローラは、スイッチバックにより印刷媒体を搬送路LBに搬送する。これにより、印刷媒体の表面と裏面とは裏返る。その後、両面印刷装置DF内の複数のローラは、搬送路LBに沿って印刷媒体を2本のレジストローラ24のニップに搬送する。そして、表面と裏面とが裏返っている印刷媒体は、2本のレジストローラ24を経由して搬送路LAに沿って搬送され、定着装置ADによってトナー像が定着させられる。これにより、印刷媒体の裏面には、画像が形成される。定着装置ADは、裏面に画像が形成された印刷媒体を搬送路LCに搬送し、排紙する。
【0055】
このように、2次転写ローラ23と、2本のレジストローラ24と、定着装置ADと、両面印刷装置DF内の各種のローラとは、画像形成装置1において印刷媒体を搬送する搬送部を構成する。
【0056】
(制御部の機能構成)
図2を参照し、制御部100の機能構成について説明する。図2は、制御部100の機能構成の一例を示す図である。
【0057】
図2に示すように、制御部100は、プリンタ部11、コントロールパネル12のそれぞれと通信可能に接続される。制御部100は、演算装置1101と、記憶装置1102と、データ受信部1103と、画像データ展開部1104を備える。
【0058】
演算装置1101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。演算装置1101は、記憶装置1102に記憶された画像処理プログラムに従い、プリンタ部11、コントロールパネル12のそれぞれを制御する。
【0059】
記憶装置1102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。記憶装置1102は、制御部100と別体であってもよい。
【0060】
データ受信部1103は、PC(Personal Computer)等のホストから、印刷する画像を示す印刷データ(例えば、ページ記述言語で記述されたデータ等)を受信し、受信した印刷データを記憶装置1102に記憶する。
【0061】
画像データ展開部1104は、データ受信部1103によって記憶装置1102に記憶された印刷データから印刷条件を決定したりすることで、プリンタ部11が印刷可能なデータ(例えば、ラスタデータ等)に展開して、記憶装置1102に記憶する。
【0062】
(画像形成装置の動作モード)
以下、画像形成装置1の動作モードについて説明する。画像形成装置1は、印刷媒体の種類に応じて、複数の動作モードのいずれかによって印刷媒体に画像を形成する動作を行うことができる。一例として、画像形成装置1が、印刷媒体の種類に応じて、第1動作モードと第2動作モードとのいずれかの動作モードによって印刷媒体に画像を形成する動作を行う場合について説明する。
【0063】
第1動作モードは、第1回転数でモータMTを駆動する動作モードである。例えば、画像形成装置1は、A4サイズの普通紙に画像を形成する場合、第1動作モードで当該普通紙に画像を形成する動作を行う。第1回転数は、例えば、1500rpmである。第1回転数は、1500rpmより遅い回転数であってもよく、1500rpmより早い回転数であってもよい。
【0064】
第2動作モードは、第2回転数でモータMTを駆動する動作モードである。例えば、画像形成装置1は、A4サイズの厚紙に画像を形成する場合、第2動作モードで当該厚紙に画像を形成する動作を行う。第2回転数は、例えば、940rpmである。第2回転数は、940rpmより遅い回転数であってもよく、940rpmより早い回転数であってもよい。
【0065】
(モータの駆動電流の値とモータから出力される信号の大きさとの関係)
モータMTの駆動電流の値と、モータMTから出力される信号の大きさとの関係について説明する。説明の便宜上、モータMTの駆動電流の値を、駆動電流値と称して説明する。説明の便宜上、当該信号を、モータ信号と称して説明する。説明の便宜上、モータ信号の大きさを、モータ信号値と称して説明する。説明の便宜上、駆動電流値とモータ信号値との関係を、第1対応関係と称して説明する。図3は、第1対応関係の一例を示す図である。
【0066】
図3に示したグラフの横軸は、駆動電流値を示す。駆動電流値は、モータMTの負荷に応じて変化する。例えば、モータMTにより駆動される定着装置ADが正常に動作している場合、駆動電流値は、図3に示した正常範囲内の値を示す。例えば、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとの当接不良が生じている場合、駆動電流値は、図3に示した第1異常範囲内の値を示す。例えば、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADA内の潤滑剤の枯渇が生じている場合、駆動電流値は、図3に示した第2異常範囲内の値を示す。
【0067】
図3に示したグラフの縦軸は、モータ信号値を示す。モータ信号値は、駆動電流値と、モータMTの回転数との組み合わせに応じて変化する。当該グラフ上にプロットされた実線は、画像形成装置1が第1動作モードによって動作している場合における第1対応関係を示す。当該グラフ上にプロットされた点線は、画像形成装置1が第2動作モードによって動作している場合における第1対応関係を示す。
【0068】
図3に示したように、画像形成装置1が第1動作モードで動作している場合と、画像形成装置1が第2動作モードで動作している場合とでは、正常範囲と第1異常範囲との境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値が互いに異なる。図3に示した例では、画像形成装置1が第1動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値は、画像形成装置1が第2動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値よりも大きい。図3では、画像形成装置1が第1動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値を、閾値THABによって示している。図3では、画像形成装置1が第2動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値を、閾値THBBによって示している。一方、当該例では、画像形成装置1が第2動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値は、画像形成装置1が第2動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値よりも小さい。図3では、画像形成装置1が第1動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値を、閾値THAAによって示している。図3では、画像形成装置1が第2動作モードで動作している場合における当該境界を示す駆動電流値に対応するモータ信号値を、閾値THBAによって示している。説明の便宜上、閾値THAAから閾値THABまでの範囲を、第1範囲と称して説明する。説明の便宜上、閾値THBAから閾値THBBまでの範囲を、第2範囲と称して説明する。第2範囲は、上限値と下限値との少なくとも一方が第1範囲と異なる範囲である。図3に示した例では、第2範囲は、上限値と下限値との両方が第1範囲と異なっている。
【0069】
(画像形成装置が行う処理のうち第1動作又は第2動作を行う処理)
画像形成装置1が行う処理のうち第1動作又は第2動作を行う処理について説明する。
【0070】
第1動作は、第1動作モードで画像形成装置1が行う動作のうち、モータ信号値が第1範囲から外れたことに関連する動作を含む動作である。例えば、第1動作には、通知情報を、画像形成装置1と通信可能に接続されている情報処理装置に出力する動作が含まれている。この通知情報には、例えば、モータ信号値が第1範囲から外れたことを示す情報、定着装置ADに不具合が発生していることを示す情報等が含まれる。例えば、第1動作には、印刷媒体への画像の形成を停止する動作が含まれている。例えば、第1動作には、定着装置ADの駆動を停止する動作が含まれている。第1動作には、これら動作のうちの一部又は全部に代えて、又は、これらの動作の全部に加えて、他の動作が含まれる構成であってもよい。
【0071】
第2動作は、第2動作モードで画像形成装置1が行う動作のうち、モータ信号値が第2範囲から外れたことに関連する動作を含む動作である。例えば、第2動作には、通知情報を、画像形成装置1と通信可能に接続されている情報処理装置に出力する動作が含まれている。この通知情報には、例えば、モータ信号値が第2範囲から外れたことを示す情報、定着装置ADに不具合が発生していることを示す情報等が含まれる。例えば、第2動作には、印刷媒体への画像の形成を停止する動作が含まれている。例えば、第2動作には、定着装置ADの駆動を停止する動作が含まれている。第2動作には、これら動作のうちの一部又は全部に代えて、又は、これらの動作の全部に加えて、他の動作が含まれる構成であってもよい。第2動作に含まれる1以上の動作のうちの一部又は全部の動作は、第1動作に含まれる1以上の動作と同じ動作であってもよく、第1動作に含まれる1以上の動作と異なる動作であってもよい。
【0072】
図4は、画像形成装置1が行う処理のうち第1動作又は第2動作を行う処理の流れの一例を示す図である。説明の便宜上、画像形成装置1が印刷媒体上に形成する画像を、対象画像と称して説明する。
【0073】
制御部100は、印刷動作を開始するまで待機する(ACT110)。例えば、制御部100は、印刷ジョブを受け付けた場合、印刷動作を開始すると判定する。この場合、印刷ジョブには、対象画像を形成する対象となる印刷媒体の種類を示す情報が含まれている。実施形態において、印刷動作は、画像形成装置1が行う動作のうち、印刷媒体の搬送と、印刷媒体への対象画像の形成とを含む動作のことである。図4に示したフローチャートでは、画像形成装置1が行う処理のうち印刷動作を行う処理の流れについては、説明を省略する。
【0074】
制御部100は、印刷動作を開始すると判定した場合(ACT110-YES)、印刷ジョブに含まれる情報に基づいて、対象画像を形成する対象となる印刷媒体の種類を特定する。当該種類を特定した後、制御部100は、画像形成装置1の動作モードを、特定した種類に応じた動作モードに設定する。画像形成装置1の動作モードを設定した後、制御部100は、印刷動作を開始するとともに、当接動作を開始する(ACT120)。当接動作は、画像形成装置1が行う動作のうち、定着装置ADにおいて定着部材ADAの外周面に押圧部材ADBを当接させる動作である。制御部100は、ACT120において、押圧調整機構ADCを制御し、当接動作を開始する。
【0075】
次に、制御部100は、ACT120において開始した当接動作が完了するまで待機する(ACT130)。制御部100は、例えば、押付力が、予め決められた力と一致した場合、当該当接動作が完了したと判定する。制御部100は、例えば、押付力を、圧力センサによって検出する構成であってもよく、押圧部材ADBの位置によって検出する構成であってもよく、他の方法によって検出する構成であってもよい。
【0076】
制御部100は、ACT120において開始した当接動作が完了したと判定した場合(ACT130-YES)、閾値を設定する(ACT140)。具体的には、制御部100は、ACT140において、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた閾値を、モータ信号値についての閾値として設定する。例えば、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、第1範囲の上限値である閾値THAAと、第1範囲の下限値である閾値THABとを、モータ信号値についての閾値として設定する。これにより、制御部100は、モータ信号値が、閾値THAAから閾値THABまでの範囲である第1範囲から外れたか否かを判定することができる。例えば、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、第2範囲の上限値である閾値THBAと、第2範囲の下限値である閾値THBBとを、モータ信号値についての閾値として設定する。これにより、制御部100は、モータ信号値が、閾値THBAから閾値THBBまでの範囲である第2範囲から外れたか否かを判定することができる。
【0077】
次に、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた回転数でモータMTを駆動させ、押圧部材ADBの回転を開始させる(ACT150)。換言すると、制御部100は、ACT150において、定着装置ADの駆動を開始させる。例えば、制御部100は、ACT150において、現在の画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、1500rpmでモータMTを駆動させる。例えば、制御部100は、ACT150において、現在の画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、940rpmでモータMTを駆動させる。
【0078】
次に、制御部100は、加熱部HTのヒータを制御し、定着部材ADAの加熱を開始する(ACT160)。
【0079】
次に、制御部100は、モータ信号を取得し、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した下限値より小さいか否かを判定する(ACT170)。当該下限値は、ACT140において制御部100が設定した閾値のうち値が小さい方の閾値のことである。
【0080】
制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した下限値より小さいと判定した場合(ACT170-YES)、当接不良情報を記憶装置1102に記憶させる(ACT180)。当接不良情報は、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとの当接不良が生じていることを示す情報を含む情報のことである。当接不良情報には、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとの当接不良が生じていることを示す情報に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0081】
次に、制御部100は、第1異常処理を行う(ACT190)。第1異常処理は、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた動作として、第11動作又は第12動作を行う処理のことである。第11動作は、第1動作モードで動作する画像形成装置1が第1異常処理において行う第1動作のことである。第12動作は、第2動作モードで動作する画像形成装置1が第1異常処理において行う第2動作のことである。画像形成装置1が第1異常処理を行う処理の流れについては、後述する。第1異常処理を行った後、制御部100は、図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0082】
一方、制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した下限値以上であると判定した場合(ACT170-NO)、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した上限値より大きいか否かを判定する(ACT200)。当該上限値は、ACT140において制御部100が設定した閾値のうち値が大きい方の閾値のことである。
【0083】
制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した上限値より大きいと判定した場合(ACT200-YES)、潤滑剤枯渇情報を記憶装置1102に記憶させる(ACT210)。潤滑剤枯渇情報は、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADA内の潤滑剤の枯渇が生じていることを示す情報を含む情報のことである。潤滑剤枯渇情報には、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADA内の潤滑剤の枯渇が生じていることを示す情報に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0084】
次に、制御部100は、第2異常処理を行う(ACT220)。第2異常処理は、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた動作として、第21動作又は第22動作を行う処理のことである。第21動作は、第1動作モードで動作する画像形成装置1が第2異常処理において行う第1動作のことである。第22動作は、第2動作モードで動作する画像形成装置1が第2異常処理において行う第2動作のことである。画像形成装置1が第2異常処理を行う処理の流れについては、後述する。第2異常処理を行った後、制御部100は、図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0085】
一方、制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した上限値以下であると判定した場合(ACT200-NO)、ACT120において開始した印刷動作が終了したか否かを判定する(ACT230)。例えば、制御部100は、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出したことを示す情報を第3検出部43から取得した場合、当該印刷動作が終了したと判定する。一方、例えば、制御部100は、印刷媒体が排紙トレイTBへ排紙されたことを検出したことを示す情報を第3検出部43から取得していない場合、当該印刷動作が終了していないと判定する。制御部100は、他の方法によって、当該印刷動作が終了したか否かを判定する構成であってもよい。
【0086】
制御部100は、ACT120において開始した印刷動作が終了していないと判定した場合(ACT230-NO)、ACT170に遷移し、モータ信号を取得し、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT140において設定した下限値より小さいか否かを再び判定する。
【0087】
一方、制御部100は、ACT120において開始した印刷動作が終了したと判定した場合(ACT230-YES)、図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0088】
(第1異常処理)
第1異常処理について説明する。図5は、図4に示したACT190において制御部100により行われる第1異常処理の流れの一例を示す図である。図5に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350、ACT370のそれぞれの処理によって行われる画像形成装置1の動作は、第11動作の一例である。図5に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350、ACT380のそれぞれの処理によって行われる画像形成装置1の動作は、第12動作の一例である。すなわち、図5に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350の処理によって行われる画像形成装置1の動作は、第11動作と第12動作との両方の動作において共通の動作である。
【0089】
制御部100は、加熱部HTのヒータを制御し、定着部材ADAの加熱を停止する(ACT310)。
【0090】
次に、制御部100は、モータMTを制御し、押圧部材ADBの回転を停止する(ACT320)。
【0091】
次に、制御部100は、図4に示したACT120において開始した印刷動作を停止する(ACT330)。
【0092】
次に、制御部100は、第1異常通知情報を送信する(ACT340)。第1異常通知情報は、例えば、当接不良情報を含む情報である。第1異常通知情報は、当接不良情報に代えて、又は、当接不良情報に加えて、モータ信号値が第1範囲から外れたことを示す情報を含む情報であってもよい。第1異常通知情報には、これらの2つの情報のうちのいずれか一方又は両方に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。ACT340において制御部100が第1異常通知情報を送信する送信先は、画像形成装置1と通信可能に接続された情報処理装置等である。当該情報処理装置は、例えば、画像形成装置1のメンテナンスを行う会社のPC(Personal Computer)、画像形成装置1の管理を行う管理者の情報処理端末等であるが、これらに限られるわけではない。当該情報処理端末は、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、タブレットPC、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップPC等であるが、これらに限られるわけではない。第1異常通知情報は、前述の通知情報の一例である。
【0093】
次に、制御部100は、第1異常通知情報を表示する(ACT350)。ACT350において制御部100が第1異常通知情報を表示する表示先は、コントロールパネル12の表示部、画像形成装置1と通信可能に接続された情報処理装置の表示部等である。当該情報処理装置は、例えば、画像形成装置1のメンテナンスを行う会社のPC、画像形成装置1の管理を行う管理者の情報処理端末等であるが、これらに限られるわけではない。
【0094】
次に、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第1動作モードであるか否かを判定する(ACT360)。
【0095】
制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第1動作モードであると判定した場合(ACT360-YES)、第1付加動作を行う(ACT370)。第1付加動作は、図5に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350の処理によって行われる画像形成装置1の動作に加えて、第1動作モードで動作する画像形成装置1に付加的に行わせることが可能な動作であれば、如何なる動作であってもよい。ACT370の処理を行った後、制御部100は、図5に示したフローチャートの処理を終了する。
【0096】
一方、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第2動作モードであると判定した場合(ACT360-NO)、第2付加動作を行う(ACT380)。第2付加動作は、図5に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350の処理によって行われる画像形成装置1の動作に加えて、第2動作モードで動作する画像形成装置1に付加的に行わせることが可能な動作であれば、如何なる動作であってもよい。ACT380の処理を行った後、制御部100は、図5に示したフローチャートの処理を終了する。
【0097】
図5に示したフローチャートにおいて、ACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350、ACT370、ACT380のうちの一部の処理は、省略されてもよい。第11動作において、ACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350、ACT370のうちの一部の処理は、省略されてもよい。第12動作において、ACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350、ACT380のうちの一部の処理は、省略されてもよい。
【0098】
図5に示したフローチャートにおいて、ACT310、ACT320、ACT330、ACT340、ACT350、ACT360のうちの一部又は全部の処理は、他の順で行われる構成であってもよく、並列に行われる構成であってもよい。ただし、ACT370、ACT380それぞれの処理は、ACT360の後に行われる。
【0099】
(第2異常処理)
第2異常処理について説明する。図6は、図4に示したACT220において制御部100により行われる第2異常処理の流れの一例を示す図である。図6に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT360のそれぞれについては、図5に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT360のそれぞれと同様の処理であるため、説明を省略する。図6に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420、ACT430のそれぞれの処理によって行われる画像形成装置1の動作は、第21動作の一例である。図6に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420、ACT440のそれぞれの処理によって行われる画像形成装置1の動作は、第22動作の一例である。すなわち、図6に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420の処理によって行われる画像形成装置1の動作は、第21動作と第22動作との両方の動作において共通の動作である。
【0100】
図6に示したフローチャートにおいて、ACT330の処理を行った後、制御部100は、第2異常通知情報を送信する(ACT410)。第2異常通知情報は、例えば、潤滑剤枯渇情報を含む情報である。第2異常通知情報は、潤滑剤枯渇情報に代えて、又は、潤滑剤枯渇情報に加えて、モータ信号値が第2範囲から外れたことを示す情報を含む情報であってもよい。第2異常通知情報は、これらの2つの情報のうちのいずれか一方又は両方に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。ACT410において制御部100が第2異常通知情報を送信する送信先は、画像形成装置1と通信可能に接続された情報処理装置等である。当該情報処理装置は、例えば、画像形成装置1のメンテナンスを行う会社のPC、画像形成装置1の管理を行う管理者の情報処理端末等であるが、これらに限られるわけではない。第2異常通知情報は、前述の通知情報の一例である。
【0101】
次に、制御部100は、第2異常通知情報を表示する(ACT420)。ACT420において制御部100が第2異常通知情報を表示する表示先は、コントロールパネル12の表示部、画像形成装置1と通信可能に接続された情報処理装置の表示部等である。当該情報処理装置は、例えば、画像形成装置1のメンテナンスを行う会社のPC、画像形成装置1の管理を行う管理者の情報処理端末等であるが、これらに限られるわけではない。
【0102】
図6に示したACT360において、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第1動作モードであると判定した場合、第3付加動作を行う(ACT430)。第3付加動作は、図6に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420の処理によって行われる画像形成装置1の動作に加えて、第1動作モードで動作する画像形成装置1に付加的に行わせることが可能な動作であれば、如何なる動作であってもよい。ACT430の処理を行った後、制御部100は、図6に示したフローチャートの処理を終了する。
【0103】
一方、図6に示したACT360において、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第2動作モードであると判定した場合、第4付加動作を行う(ACT440)。第4付加動作は、図6に示したACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420の処理によって行われる画像形成装置1の動作に加えて、第2動作モードで動作する画像形成装置1に付加的に行わせることが可能な動作であれば、如何なる動作であってもよい。ACT440の処理を行った後、制御部100は、図6に示したフローチャートの処理を終了する。
【0104】
図6に示したフローチャートにおいて、ACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420、ACT430、ACT440のうちの一部の処理は、省略されてもよい。第21動作において、ACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420、ACT430のうちの一部の処理は、省略されてもよい。第22動作において、ACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420、ACT440のうちの一部の処理は、省略されてもよい。
【0105】
図6に示したフローチャートにおいて、ACT310、ACT320、ACT330、ACT410、ACT420、ACT360のうちの一部又は全部の処理は、他の順で行われる構成であってもよく、並列に行われる構成であってもよい。ただし、ACT430、ACT440それぞれの処理は、ACT360の後に行われる。
【0106】
以上のように、実施形態に係る画像形成装置1は、第1動作モードでモータMTを駆動している場合においてモータ信号値が第1範囲から外れると第1動作を行い、第2動作モードでモータMTを駆動している場合においてモータ信号値が第2範囲から外れると第2動作を行う。これにより、画像形成装置1は、定着装置ADにおいて発生する不具合に応じた動作を、所望のタイミングで行うことができる。
【0107】
(実施形態の変形例1)
実施形態の変形例1について説明する。実施形態の変形例1では、制御部100は、閾値THAAに代えて閾値THCAを設定し、閾値THABに代えて閾値THCBを設定し、閾値THBAに代えて閾値THDAを設定し、閾値THBBに代えて閾値THDBを設定する。閾値THCAは、閾値THAAよりも所定の割合小さい値である。例えば、閾値THCAは、閾値THAAの10%の値の分、閾値THAAよりも小さい値である。閾値THCBは、閾値THABよりも所定の割合大きい値である。例えば、閾値THCBは、閾値THABの10%の値の分、閾値THABよりも大きい値である。すなわち、実施形態の変形例1に係る第1範囲は、実施形態に係る第1範囲よりも狭い範囲であり、実施形態に係る第1範囲の内側に含まれる範囲である。例えば、閾値THDAは、閾値THBAの10%の値の分、閾値THBAよりも小さい値である。閾値THDBは、閾値THBBよりも所定の割合大きい値である。例えば、閾値THDBは、閾値THBBの10%の値の分、閾値THBBよりも大きい値である。すなわち、実施形態の変形例1に係る第2範囲は、実施形態に係る第2範囲よりも狭い範囲であり、実施形態に係る第2範囲の内側に含まれる範囲である。
【0108】
実施形態の変形例1では、第1異常通知情報は、例えば、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとの当接不良が生じる可能性が高いことを示す情報、モータ信号値が第1範囲から外れたことを示す情報等を含む情報である。第1異常通知情報には、これら2つの情報のうちのいずれか一方又は両方に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。実施形態の変形例1では、第1異常処理からは、ACT310、ACT320、ACT330の処理が省略される。実施形態の変形例1では、第2異常通知情報は、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADA内の潤滑剤の枯渇が生じる可能性が高いことを示す情報、モータ信号値が第1範囲から外れたことを示す情報等を含む情報である。第2異常通知情報には、これら2つの情報のうちのいずれか一方又は両方に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。実施形態の変形例1では、第2異常処理からは、ACT310、ACT320、ACT330の処理が省略される。これらにより、画像形成装置1は、第1動作又は第2動作によって、定着装置ADに不具合が発生する前に、定着装置ADに不具合が発生する可能性が高いことを通知すること、定着装置ADに不具合が発生する可能性が高いことを表示すること等を行うことができる。
【0109】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例2について説明する。実施形態の変形例2では、制御部100は、図4に示したACT170及びACT200の判定処理を、機械学習のモデルを用いて行う構成であってもよい。この場合、図4に示したACT140において設定される閾値は、機械学習のモデルの中に組み込まれてもよい。
【0110】
(実施形態の変形例3)
実施形態の変形例3について説明する。実施形態の変形例3では、制御部100は、図4に示したACT170及びACT200の判定処理を、モータ信号値に基づいて行う構成に代えて、検出差分値に基づいて行う構成であってもよい。検出差分値は、モータ信号値と、予め決められた基準となる基準値との差分値のことである。検出差分値に基づいてACT170の処理が行われる場合、且つ、画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、制御部100は、ACT170において、検出差分値が、閾値THABと基準値との差分値より小さいか否かを判定する。検出差分値に基づいてACT200の処理が行われる場合、且つ、画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、制御部100は、ACT200において、検出差分値が、閾値THAAと基準値との差分値より大きいか否かを判定する。検出差分値に基づいてACT170の処理が行われる場合、且つ、画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、制御部100は、ACT170において、検出差分値が、閾値THBBと基準値との差分値より小さいか否かを判定する。検出差分値に基づいてACT170の処理が行われる場合、且つ、画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、制御部100は、ACT200において、検出差分値が、閾値THBAと基準値との差分値より大きいか否かを判定する。
【0111】
これらにより、複数の画像形成装置1それぞれ毎に、駆動電流値とモータ信号値との対応関係がモータMTの個体差によってばらついていた場合であっても、各画像形成装置1は、定着装置ADにおいて発生する不具合に応じた動作を、精度よく所望のタイミングで行うことができる。
【0112】
(実施形態の変形例4)
実施形態の変形例4について説明する。実施形態の変形例4では、第1動作モードと第2動作モードとの違いは、モータMTの回転数ではなく、押付力の大きさである。
【0113】
実施形態の変形例4における第1動作モードは、付勢部材によって押圧部材ADBを定着部材ADAに押し付ける場合、第1大きさの押付力で押圧部材ADBを定着部材ADAに押し付けながらモータMTを駆動する動作モードである。換言すると、当該第1動作モードは、押圧部材ADBと定着部材ADAとを、第1大きさの押付力で接触させながらモータMTを駆動する動作モードである。例えば、画像形成装置1は、A4サイズの普通紙に画像を形成する場合、第1動作モードで当該普通紙に画像を形成する動作を行う。第1大きさの押付力は、例えば、400Nである。第1大きさの押付力は、400Nより小さい力であってもよく、400Nより大きい力であってもよい。
【0114】
実施形態の変形例4における第2動作モードは、付勢部材によって押圧部材ADBを定着部材ADAに押し付ける場合、第2大きさの押付力で押圧部材ADBを定着部材ADAに押し付けながらモータMTを駆動する動作モードである。換言すると、当該第2動作モードは、押圧部材ADBと定着部材ADAとを、第2大きさの押付力で接触させながらモータMTを駆動する動作モードである。例えば、画像形成装置1は、A4サイズの厚紙に画像を形成する場合、第2動作モードで当該厚紙に画像を形成する動作を行う。第2大きさの押付力は、例えば、100Nである。第2大きさの押付力は、100Nより小さい力であってもよく、100Nより大きい力であってもよい。
【0115】
図7は、第2対応関係の一例を示す図である。第2対応関係は、実施形態の変形例4における駆動電流値とモータ信号値との関係である。
【0116】
図7に示したグラフの横軸は、駆動電流値を示す。駆動電流値は、モータMTの負荷に応じて変化する。当該グラフの縦軸は、モータ信号値を示す。当該グラフ上にプロットされた実線は、画像形成装置1が第1動作モード及び第2動作モードによって動作している場合における第2対応関係を示す。
【0117】
例えば、画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、且つ、モータMTにより駆動される定着装置ADが正常に動作している場合、駆動電流値は、図7に示した値DAAから値DABまでの正常範囲内の値を示す。例えば、画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、且つ、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとの当接不良が生じている場合、駆動電流値は、図7に示した値DABより小さい値を示す。例えば、画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、且つ、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADA内の潤滑剤の枯渇が生じている場合、駆動電流値は、図7に示した値DAAより大きい値を示す。
【0118】
例えば、画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、且つ、モータMTにより駆動される定着装置ADが正常に動作している場合、駆動電流値は、図7に示した値DBAから値DBBまでの正常範囲内の値を示す。例えば、画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、且つ、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとの当接不良が生じている場合、駆動電流値は、図7に示した値DBBより小さい値を示す。例えば、画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、且つ、モータMTにより駆動される定着装置ADにおいて定着部材ADA内の潤滑剤の枯渇が生じている場合、駆動電流値は、図7に示した値DBAより大きい値を示す。
【0119】
図7に示した閾値THCAは、駆動電流値が値DAAである場合のモータ信号値を示す。図7に示した閾値THCBは、駆動電流値が値DABである場合のモータ信号値を示す。図7に示した閾値THDAは、駆動電流値が値DBAである場合のモータ信号値を示す。図7に示した閾値THDBは、駆動電流値が値DBBである場合のモータ信号値を示す。説明の便宜上、閾値THCAから閾値THCBまでの範囲を、第3範囲と称して説明する。第3範囲は、実施形態における第1範囲の変形例である。説明の便宜上、閾値THDAから閾値THDBまでの範囲を、第4範囲と称して説明する。第4範囲は、実施形態における第2範囲の変形例である。
【0120】
第4範囲は、上限値と下限値との少なくとも一方が第3範囲と異なる範囲である。図7に示した例では、第4範囲は、上限値と下限値との両方が第3範囲と異なる。このため、画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、制御部100は、閾値THCA、閾値THCBを用いることにより、モータ信号値が第3範囲から外れたか否かを判定することができる。画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、制御部100は、閾値THDA、閾値THDBを用いることにより、モータ信号値が第4範囲から外れたか否かを判定することができる。
【0121】
図8は、実施形態の変形例4に係る画像形成装置1が行う処理のうち第1動作又は第2動作を行う処理の流れの一例を示す図である。
【0122】
制御部100は、印刷動作を開始するまで待機する(ACT510)。例えば、制御部100は、印刷ジョブを受け付けた場合、印刷動作を開始すると判定する。この場合、印刷ジョブには、画像を形成する対象となる印刷媒体の種類を示す情報が含まれている。実施形態において、印刷動作は、画像形成装置1が行う動作のうち、印刷媒体の搬送と、印刷媒体への画像の形成とを含む動作のことである。図8に示したフローチャートでは、画像形成装置1が行う処理のうち印刷動作を行う処理の流れについては、説明を省略する。
【0123】
制御部100は、印刷動作を開始すると判定した場合(ACT510-YES)、閾値を設定する(ACT520)。より具体的には、ACT520において、制御部100は、ACT510において受け付けた印刷ジョブに基づいて、画像を形成する対象となる印刷媒体の種類を特定する。制御部100は、特定した当該種類に応じて、動作モードを切り替える。例えば、制御部100は、ACT520において、特定した当該種類がA4サイズの普通紙であった場合、画像形成装置1の動作モードを第1動作モードに設定する。例えば、制御部100は、ACT520において、特定した当該種類がA4の印刷用紙であった場合、画像形成装置1の動作モードを第2動作モードに設定する。制御部100は、第1動作モードと第2動作モードとのいずれかに動作モードを設定した後、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた閾値を、モータ信号値についての閾値として設定する。例えば、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第1動作モードである場合、第1範囲の上限値である閾値THCAと、第1範囲の下限値である閾値THCBとを、モータ信号値についての閾値として設定する。これにより、制御部100は、モータ信号値が、閾値THCAから閾値THCBまでの範囲である第3範囲から外れたか否かを判定することができる。例えば、制御部100は、現在の画像形成装置1の動作モードが第2動作モードである場合、第4範囲の上限値である閾値THDAと、第4範囲の下限値である閾値THDBとを、モータ信号値についての閾値として設定する。これにより、制御部100は、モータ信号値が、閾値THDAから閾値THDBまでの範囲である第4範囲から外れたか否かを判定することができる。
【0124】
次に、制御部100は、印刷動作を開始するとともに、当接動作を開始する(ACT530)。この際、制御部100は、押圧調整機構ADCを制御し、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた押付力で、定着部材ADAの外周面に押圧部材ADBを当接させ始める。
【0125】
次に、制御部100は、ACT530において開始した当接動作が完了するまで待機する(ACT540)。ACT540の処理については、図4に示したACT130の処理と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0126】
制御部100は、ACT540において開始した当接動作が完了したと判定した場合(ACT540-YES)、予め決められた回転数でモータMTを駆動させ、押圧部材ADBの回転を開始させる(ACT550)。換言すると、制御部100は、ACT550において、定着装置ADの駆動を開始させる。例えば、制御部100は、ACT550において、1500rpmでモータMTを駆動させる。
【0127】
次に、制御部100は、加熱部HTのヒータを制御し、定着部材ADAの加熱を開始する(ACT560)。
【0128】
次に、制御部100は、モータ信号を取得し、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した下限値より小さいか否かを判定する(ACT570)。当該下限値は、ACT520において制御部100が設定した閾値のうち値が小さい方の閾値のことである。
【0129】
制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した下限値より小さいと判定した場合(ACT570-YES)、当接不良情報を記憶装置1102に記憶させる(ACT580)。
【0130】
次に、制御部100は、第3異常処理を行う(ACT590)。第3異常処理は、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた動作として、第31動作又は第32動作を行う処理のことである。第31動作は、第1動作モードで動作する画像形成装置1が第3異常処理において行う第1動作のことである。すなわち、第31動作は、実施形態に係る第11動作の変形例である。第32動作は、第2動作モードで動作する画像形成装置1が第3異常処理において行う第2動作のことである。すなわち、第32動作は、実施形態に係る第12動作の変形例である。画像形成装置1が第3異常処理を行う処理の流れについては、第1異常処理の流れと同様であるため、詳細な説明を省略する。ただし、第3異常処理では、ACT340及びACT350において、第1異常通知情報に代えて、第3異常通知情報が用いられる。第3異常通知情報は、例えば、当接不良情報を含む情報である。第3異常通知情報は、当接不良情報に代えて、又は、当接不良情報に加えて、モータ信号値が第3範囲から外れたことを示す情報を含む情報であってもよい。第3異常通知情報には、これらの2つの情報のうちのいずれか一方又は両方に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。第3異常処理を行った後、制御部100は、図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0131】
一方、制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した下限値以上であると判定した場合(ACT570-NO)、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した上限値より大きいか否かを判定する(ACT600)。当該上限値は、ACT520において制御部100が設定した閾値のうち値が大きい方の閾値のことである。
【0132】
制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した上限値より大きいと判定した場合(ACT600-YES)、潤滑剤枯渇情報を記憶装置1102に記憶させる(ACT610)。
【0133】
次に、制御部100は、第4異常処理を行う(ACT620)。第4異常処理は、現在の画像形成装置1の動作モードに応じた動作として、第41動作又は第42動作を行う処理のことである。第41動作は、第1動作モードで動作する画像形成装置1が第4異常処理において行う第1動作のことである。すなわち、第41動作は、実施形態に係る第21動作の変形例である。第42動作は、第2動作モードで動作する画像形成装置1が第4異常処理において行う第2動作のことである。すなわち、第42動作は、実施形態に係る第22動作の変形例である。画像形成装置1が第4異常処理を行う処理の流れについては、第2異常処理の流れと同様であるため、詳細な説明を省略する。ただし、第4異常処理では、ACT340及びACT350において、第2異常通知情報に代えて、第4異常通知情報が用いられる。第4異常通知情報は、例えば、潤滑剤枯渇情報を含む情報である。第4異常通知情報は、潤滑剤枯渇情報に代えて、又は、潤滑剤枯渇情報に加えて、モータ信号値が第4範囲から外れたことを示す情報を含む情報であってもよい。第4異常通知情報には、これらの2つの情報のうちのいずれか一方又は両方に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。第4異常処理を行った後、制御部100は、図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0134】
一方、制御部100は、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した上限値以下であると判定した場合(ACT600-NO)、ACT530において開始した印刷動作が終了したか否かを判定する(ACT630)。ACT630の処理については、図4に示したACT230の処理と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0135】
制御部100は、ACT530において開始した印刷動作が終了していないと判定した場合(ACT630-NO)、ACT570に遷移し、モータ信号を取得し、取得したモータ信号のモータ信号値が、ACT520において設定した下限値より小さいか否かを再び判定する。
【0136】
一方、制御部100は、ACT530において開始した印刷動作が終了したと判定した場合(ACT630-YES)、図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0137】
以上のように、実施形態の変形例4に係る画像形成装置1は、第1動作モードでモータMTを駆動している場合においてモータ信号値が第3範囲から外れると第1動作を行い、第2動作モードでモータMTを駆動している場合においてモータ信号値が第4範囲から外れると第2動作を行う。これにより、画像形成装置1は、定着装置ADにおいて発生する不具合に応じた動作を、所望のタイミングで行うことができる。
【0138】
(その他の変形例)
上記において説明した実施形態、又は、実施形態の各変形例では、第1動作モードと第2動作モードとの違いは、定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとによって形成されるニップのニップ圧力であってもよい。
【0139】
上記において説明した実施形態、又は、実施形態の各変形例では、第1動作モードと第2動作モードとの違いは、定着装置ADにおいて定着部材ADAと押圧部材ADBとによって形成されるニップのニップ圧力であってもよい。これは、ニップ圧力の違いによっても、モータMTの負荷が変化するからである。
【0140】
上記において説明した実施形態、又は、実施形態の各変形例では、第1動作モードと第2動作モードとの違いは、加熱部HTによる定着部材ADAの加熱目標温度であってもよい。これは、定着部材ADAの温度の変化によって潤滑剤の粘度が変化し、結果として、モータMTの負荷が変化するからである。
【0141】
上記において説明した実施形態、及び、実施形態の各変形例は、如何様に組み合わされてもよい。
【0142】
以上のように、画像形成装置(上記において説明した例では、画像形成装置1)は、搬送部(上記において説明した例では、2次転写ローラ23と、2本のレジストローラ24と、定着装置ADと、両面印刷装置DF内の各種のローラ等)と、画像形成部(上記において説明した例では、画像形成ユニット114)と、定着装置(上記において説明した例では、定着装置AD)と、モータ(上記において説明した例では、モータMT)と、制御部(上記において説明した例では、制御部100)とを持つ。搬送部は、印刷媒体を搬送する。画像形成部は、搬送部により搬送された印刷媒体上に対象画像のトナー像を形成する。定着装置は、画像形成部によりトナー像が形成された後の印刷媒体を加熱し、トナー像を対象画像として印刷媒体に定着させる。モータは、定着装置を駆動し、且つ、駆動電流の値(上記において説明した例では、駆動電流値)に応じた大きさ(上記において説明した例では、モータ信号値)の信号(上記において説明した例では、モータ信号)を出力する。制御部は、第1動作モードでモータを駆動している場合において当該信号の大きさが第1範囲(上記において説明した例では、第1範囲、第3範囲)から外れると第1動作を行い、第2動作モードでモータを駆動している場合において当該信号の大きさが第1範囲と異なる第2範囲(上記において説明した例では、第2範囲、第4範囲)から外れると第2動作を行う。これにより、画像形成装置は、定着装置において発生する不具合に応じた動作を、所望のタイミングで行うことができる。
【0143】
画像形成装置では、第2範囲は、上限値と下限値との少なくとも一方が第1範囲と異なる、構成が用いられてもよい。
【0144】
画像形成装置では、第1動作モードは、第1回転数(上記において説明した例では、1500rpm)でモータを駆動させる動作モードであり、第2動作モードは、第1回転数と異なる第2回転数(上記において説明した例では、940rpm)でモータを駆動させる動作モードである、構成が用いられてもよい。
【0145】
画像形成装置では、定着装置は、加熱部(上記において説明した例では、加熱部HT)と、加熱部により加熱される定着部材(上記において説明した例では、定着部材ADA)と、定着部材と接触することによって定着部材とニップを形成する押圧部材(上記において説明した例では、押圧部材ADB)と、を備え、第1動作モードは、押圧部材と定着部材とを第1力(上記において説明した例では、第1大きさの押付力、すなわち、400N)で接触させながらモータを駆動する動作モードであり、第2動作モードは、押圧部材と定着部材とを第1力と異なる第2力(上記において説明した例では、第2大きさの押付力、すなわち、100N)で接触させながらモータMを駆動する動作モードである、構成が用いられてもよい。
【0146】
画像形成装置では、第1動作と第2動作には、定着装置に不具合が発生していることを示す情報(上記において説明した例では、当接不良情報、潤滑剤枯渇情報)を含む通知情報(上記において説明した例では、第1異常通知情報~第4異常通知情報のそれぞれ)を情報処理装置に出力する動作が含まれる、構成が用いられてもよい。
【0147】
画像形成装置では、第1動作には、モータから出力される信号の大きさが第1範囲から外れたことに関連する動作が含まれており、第2動作には、当該信号の大きさが第2範囲から外れたことに関連する動作が含まれている、構成が用いられてもよい。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0149】
以上に説明した装置(例えば、画像形成装置1)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0150】
上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0151】
1…画像形成装置、11…プリンタ部、12…コントロールパネル、20…中間転写ベルト、21…従動ローラ、22…バックアップローラ、23…2次転写ローラ、24…レジストローラ、25…給紙ローラ、31、32、33、34…画像形成ステーション、40…ベルトクリーナ、41…第1検出部、42…第2検出部、43…第3検出部、100…制御部、111、112…給紙カセット、114…画像形成ユニット、311…感光体ドラム、312…帯電チャージャ、313…露光走査ヘッド、314…現像装置、315…感光体クリーナ、316…1次転写ローラ、1101…演算装置、1102…記憶装置、1103…データ受信部、1104…画像データ展開部、AD…定着装置、ADA…定着部材、ADB…押圧部材、ADC…押圧調整機構、DF…両面印刷装置、HT…加熱部、LA、LB、LC…搬送路、MT…モータ、PA…合流部、PB…分岐部、TA…手差しトレイ、TB…排紙トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8