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特許7623190タイルカーペットサブスクリプションシステム、プログラム、タイルカーペットセット及びサブスクリプションタイルカーペットマッチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】タイルカーペットサブスクリプションシステム、プログラム、タイルカーペットセット及びサブスクリプションタイルカーペットマッチング方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20250121BHJP
   G06Q 30/0645 20230101ALI20250121BHJP
   A47G 27/00 20060101ALI20250121BHJP
   G16Y 10/45 20200101ALI20250121BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20250121BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20250121BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q30/0645
A47G27/00 Z
G16Y10/45
G16Y20/20
G16Y40/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021058071
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154835
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】梶村 康平
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133338(JP,A)
【文献】特開2012-252534(JP,A)
【文献】特開2002-056319(JP,A)
【文献】特開2000-035994(JP,A)
【文献】特開2004-086487(JP,A)
【文献】特開2001-261119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47G 27/00
G16Y 10/45
G16Y 20/20
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付部と、
前記サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットセットの再利用品としての品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付部で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング部と、
前記マッチング部で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力部と、を備える、タイルカーペットサブスクリプションシステム。
【請求項2】
前記受付部は、前記希望特徴データとして、希望するタイルカーペットの製品グレードを示す希望製品ランクを含むデータを受け付け、前記希望品質データとして、希望する美観又は物性に関する品質の希望品質ランクを含むデータを受け付け、
前記データベースでは、前記タイルカーペットの特徴として製品ランクを含むデータと、前記タイルカーペットの品質として品質ランクを含むデータとが、前記複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されており、
前記マッチング部は、前記受付部が受け付けた希望製品ランク及び希望品質ランクの条件を満たす製品ランク及び品質ランクに対応付けられたタイルカーペットセットを決定する、請求項1に記載のタイルカーペットサブスクリプションシステム。
【請求項3】
前記データベースでは、前記タイルカーペットの品質として、タイルカーペットの使用回数又は使用期間の少なくとも1つを含む使用履歴データが、前記複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されており、
前記マッチング部は、前記受付部が受け付けた希望品質データで示される条件を満たす使用回数又は使用期間の少なくとも1つを含む使用履歴データに対応付けられたタイルカーペットセットを決定する、請求項1又は2に記載のタイルカーペットサブスクリプションシステム。
【請求項4】
前記データベースでは、品番及びロットが同じ複数の提供可能なタイルカーペットを前記一群のタイルカーペットセットとして、前記複数のタイルカーペットセットのデータが記録されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイルカーペットサブスクリプションシステム。
【請求項5】
サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付処理と、
サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットセットの再利用品としての品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付処理で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング処理と、
前記マッチング処理で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項6】
コンピュータが、サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付工程と、
前記コンピュータが、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットセットの再利用品としての品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付工程で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング工程と、
前記コンピュータが、前記マッチング工程で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力工程と、を有する、サブスクリプションタイルカーペットマッチング方法。
【請求項7】
請求項1~4に記載のタイルカーペットサブスクリプションシステムにおいて、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットセットであって、
前記データベースに、前記タイルカーペットセットに含まれるタイルカーペットの品番、特徴、枚数、及び前記タイルカーペットセットの再利用品としての品質を示すデータが記録されており、
情報識別手段を備えるタイルカーペットを少なくとも1つ含み、
前記情報識別手段は、前記タイルカーペットに付され、前記データベースの前記タイルカーペットセットの再利用品として品質を示すデータの基となる、前記タイルカーペットの劣化度合いを示す品質情報、又は、前記品質情報にアクセスするための情報を提供する、タイルカーペットセット。
【請求項8】
請求項7に記載のタイルカーペットセットであって、
前記情報識別手段は、電子タグであり、
前記電子タグに、前記タイルカーペットの劣化度合いを示す品質情報、又は前記品質情報にアクセスするための情報を示すデータが記録される、タイルカーペットセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルカーペットのサブスクリプション方式での提供を可能にするコンピュータシステム、プログラム、及びタイルカーペットの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルカーペットは、例えば、オフィス、店舗、作業場、公共施設等のあらゆる施設の床に敷設される。従来、1つの施設に敷設されたタイルカーペットが回収され、洗浄された後、他の施設で再利用される場合がある。例えば、特開2019-133338号公報には、タイルカーペット再利用システムが開示されている。このシステムは、敷設後撤去された再納品タイルカーペットに関する情報の入力を受け付け、品番、ロット情報、及び、保管時期を示す情報を対応付けて記録する。さらに、このシステムは、新たに敷設しようとするタイルカーペットの品番、及び、敷設エリア毎の数量の入力を受け付け、ロット情報及び保管時期が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを抽出し、出力する。
【0003】
ところで、近年、サブスクリプション方式での商品の提供が普及している。サブスクリプション方式で商品を提供するためのシステムとして種々のものが提案されている。例えば、特開2020-67777号公報には、複数種類のサブスクリプション商品を販売する際にその商品毎に異なる契約情報を対応付けて販売することができるサブスクリプション商品販売システムが開示される。
【0004】
また、特開2018-049651号公報には、Webベースの電子商取引(eコマース)企業のWebサイトの顧客が、或る料金を支払って、サブスクリプションによってカバーされている期間中に、eコマース企業のWebサイトを介して注文された少なくともいくつかの品目に関して無料の発送および/または割引料金の発送を顧客に提供するシステムが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-133338号公報
【文献】特開2020-67777号公報
【文献】特開2018-049651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは、タイルカーペットの再利用(リユース)と、サブスクリプション方式による提供を組み合わせることを想起した。サブスクリプション方式では、タイルカーペットの一定期間の利用権として料金が支払われる。一定期間中に、ユーザは、同じタイルカーペットを使用し続けてもよく、予め定める回数の貼り替えをしてもよい。料金は、定期的であっても、一括であってもよい。貼り替え回数や料金の支払い方法は、任意に設定することができる。ユーザは、タイルカーペットを購入するよりも安い費用で、頻繁にタイルカーペットを取り替えて、利用することができる。提供者は、1つのタイルカーペットを再利用して複数の利用者に順に提供することで、低コストでタイルカーペットを提供できる。また、従来使い捨てられていたタイルカーペットを効率的に再利用することで、環境負荷低減にも寄与することができる。
【0007】
再利用タイルカーペットをサブスクリプション方式で提供する際には、タイルカーペットに特有の課題が生じる。1つの場所に敷設される複数のタイルカーペットは、品質が均一であることが好ましい。しかし、タイルカーペットは、利用環境によって美観や物性に関する状態が微妙に変化する。再利用タイルカーペットは、様々な状態のものが含まれる。一方で、ユーザは、サブスクリプション方式で提供され得るタイルカーペットの美観又は物性を正確に把握するのが難しい。これらの事情が、ユーザ自らが求めるタイルカーペットを正確に指定することを困難にし、提供者がユーザの希望に合うタイルカーペットを適切な時に提供することを困難にしている。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザが、サブスクリプション方式で提供を受けたいタイルカーペットを簡単に指定でき、且つ、ユーザの希望に合う適切なタイルカーペットを適切な時に提供することを可能にするタイルカーペットサブスクリプションシステム、プログラム及びタイルカーペットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点によるタイルカーペットサブスクリプションシステムは、サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付部と、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットの品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付部で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング部と、前記マッチング部で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが、サブスクリプション方式で提供を受けたいタイルカーペットを簡単に指定でき、且つ、ユーザの希望に合う適切なタイルカーペットを適切な時に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態におけるシステム構成例を示す機能ブロック図
図2図1に示すシステムの動作例を示すフローチャート
図3図1の受付部が提供する入力画面の一例を示す図
図4】データベースに記録されるデータの一例を示す図
図5】データベースに記録されるデータの一例を示す図
図6】出力部によって表示される画面の一例を示す図
図7】データベースのスケジュールデータの例を示す図
図8】希望貼り分けデータの入力を受け付ける画面の例を示す図
図9図8とは異なる貼り分けが指定された状態の例を示す図
図10】タイルカーペットの表面と裏面の例を示す図
図11】RFID付きタイルカーペットの構成例を示す図
図12】保管場所に載置されるタイルカーペットの例を示す図
図13】登録部をさらに備えたシステムの構成例を示す図
図14】タイルカーペットサブスクリプション提供方法の例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明者らは、再利用タイルカーペットをサブスクリプション方式で提供するシステムを検討した。検討において、下記のようなタイルカーペットに特有の課題を認識するに至った。
【0013】
ユーザは、敷設する場所の広さ及び形状等の環境に適用できるタイルカーペットであって、且つ、希望する意匠のタイルカーペットをサブスクリプション方式で提供されることを所望する。サブスクリプションのタイルカーペットに対してユーザが要求する事項は、多岐に渡り複雑である。また、サブスクリプション方式では、タイルカーペットは、再利用(リユース)され、複数のユーザに使い回されることを前提としている。タイルカーペットは、利用環境によって美観や物性に関する状態が微妙に変化する。再利用されるタイルカーペットは、様々な状態のものが含まれる。
【0014】
ユーザは、サブスクリプション方式で提供されるタイルカーペットの美観又は物性がどのような状態なのか把握するのが難しい。そのため、ユーザは、サブスクリプション方式でタイルカーペットの提供を受けようする場合、どのような要求を提供者に指定すればよいか整理するのが難しい。一方で、提供者が、サブスクリプションでタイルカーペットを提供しようとする場合、ユーザの要求を的確に把握するのが難しい。また、タイルカーペットを再利用して複数のユーザに提供することを前提としているため、提供できるタイルカーペットの美観又は物性の状態や提供できるタイルカーペットの量は、状況に応じて変化する。そのため、ユーザの希望に合致する適切なタイルカーペットを適切な時に、サブスクリプション方式で提供するのが難しい。
【0015】
発明者らは、ユーザの要求に合う再利用カーペットをサブスクリプション方式で提供するためのシステムを検討した。発明者らは、ユーザからの要求を受け付けるインタフェース、様々な状態の再利用タイルカーペットを管理するデータベース構成及び、受け付けたユーザの要求と再利用タイルカーペットをマッチングさせる仕組みについて詳細に検討した。検討の結果、下記のような実施形態に想到した。
【0016】
本発明の実施形態におけるタイルカーペットサブスクリプションシステムは、サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付部と、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットの品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付部で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング部と、前記マッチング部で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力部と、を備える。
【0017】
上記構成において、受付部は、希望特徴データ、希望量データ、及び、希望品質データの入力を受け付けるので、ユーザは、タイルカーペットに対する様々な要求を整理して簡潔に指定することができる。データベースは、品番が同じ複数のタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のセットのデータを、それぞれ、品番、枚数、特徴、及び品質に対応付けて記録する。これにより、サブスクリプション方式で提供可能な一まとまりのタイルカーペット群のデータを1セットとして管理できる。そのため、状況に応じて変化する提供可能なタイルカーペットの情報を効率良く管理できる。また、タイルカーペットセットが、品番、特徴、枚数、及び品質と対応付けて記録されるため、受付部で受け付けた希望特徴データ、希望量データ、及び、希望品質データとのマッチングを効率良く実行できる。すなわち、ユーザの希望に合う適切なタイルカーペットの情報を迅速に出力することができる。その結果、ユーザが、サブスクリプション方式で提供を受けたいタイルカーペットを簡単に指定でき、且つ、ユーザの希望に合う適切なタイルカーペットを適切な時期に提供することが可能になる。
【0018】
前記受付部は、前記希望特徴データとして、希望するタイルカーペットの製品グレードを示す希望製品ランクを含むデータを受け付け、前記希望品質データとして、希望する美観又は物性に関する品質の希望品質ランクを含むデータを受け付けてもよい。前記データベースでは、前記タイルカーペットの特徴として製品ランクを含むデータと、前記タイルカーペットの品質として品質ランクを含むデータとが、前記複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されてもよい。前記マッチング部は、前記受付部が受け付けた希望製品ランク及び希望品質ランクの条件を満たす製品ランク及び品質ランクに対応付けられたタイルカーペットセットを決定する。
【0019】
受付部が、希望製品ランク及び希望品質ランクを含むデータを受け付けることで、ユーザは、希望するコスト及び品質の条件を指定することが容易になる。データベースにおいて、製品ランク及び品質ランクの双方がタイルカーペットセットに対応付けて記録されるため、マッチング部では、ユーザの希望する製品ランク及び品質ランクの条件を満たすタイルカーペットセットを効率良く決定することができる。すなわち、よりユーザの希望する特徴を引き出し易くなり、要望に合うタイルカーペットセットの情報を提供できる。
【0020】
品質ランクは、タイルカーペットの品質を評価してランク付けすることで得られる情報である。例えば、サブスクリプション方式で提供するためにタイルカーペットセットが準備される工程で、タイルカーペットの品質が評価される。例えば、品質は、タイルカーペットの劣化度合いにより評価され、使用による劣化度合いに応じて変化する。一方、製品ランクは、タイルカーペットの製品としてグレードをランク付けした情報である。例えば、製品の種類と品番によって製品ランクが決められ、価格に応じて決まる。製品ランクは、タイルカーペットが元来有する特徴であり、使用状況によって変化することはない。
【0021】
受付部は、タイルカーペットの量を示す希望量データとして、タイルカーペットを敷設する敷設領域の広さを示すデータ、又は、タイルカーペットの数量を示すデータを受け付けてもよい。タイルカーペットを敷設する敷設領域の広さを示すデータは、例えば、タイルカーペットを敷設する領域の面積、又は、タイルカーペットを敷設する領域を含む図面データ等とすることができる。
【0022】
受付部が、敷設領域の広さを示すデータを受け付けた場合、マッチング部は、敷設領域の広さを示すデータを基に、敷設するタイルカーペットの枚数(数量)を算出し、算出した枚数の条件を満たす枚数に対応付けられたタイルカーペットセットを決定することができる。
【0023】
受付部は、希望特徴データとして、希望するタイルカーペットの品番、色、柄、用途、貼り方、形状、及び寸法の少なくとも1つを受け付けてもよい。この場合、データベースでは、タイルカーペットの特徴として、色、柄、用途、貼り方、形状、及び寸法の少なくとも1つを含むデータが、複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されてもよい。マッチング部は、受付部が受け付けた色、柄、用途、貼り方、形状、及び寸法の少なくとも1つの条件に合うデータに対応付けられたタイルカーペットセットを決定することができる。
【0024】
これにより、ユーザは、希望するタイルカーペットの特徴を容易に指定することができ、マッチング部は、ユーザの希望する特徴を有するタイルカーペットセットを効率良く決定することができる。すなわち、よりユーザの希望する特徴を引き出し易くなり、要望にこたえることができる。
【0025】
タイルカーペットの用途は、例えば、店舗用、家庭用等、敷設する場所に関する情報であってもよい。タイルカーペットの貼り方は、例えば、流し貼り、市松貼り、ブリック貼り、ランダム貼り、ヘリンボーン貼りなど、タイルカーペットの配置の仕方を示す情報であってもよい。
【0026】
受付部は、希望特徴データとして、キーワードを受け付けてもよい。この場合、データベースでは、タイルカーペットの特徴として、タイルカーペットに起因するイメージ、雰囲気又は利用状況に関連するワードが、複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されてもよい。マッチング部は、希望特徴データに含まれるキーワードと、データベースに記録された複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けられたワードを比較することにより、条件に合ったタイルカーペットを決定してもよい。
【0027】
これにより、ユーザは、希望するタイルカーペットのイメージ、雰囲気又は利用状況を示すキーワードを入力することで、希望に有ったタイルカーペットセットの提示を受けることができる。キーワードは、特に限定されないが、例えば、「ガーデンオフィス」、「リビングオフィス」、「バイオフィリック」、「ニューノーマル」、「サステナブル」、「シェアオフィス」、「コワーキング」、「ワーケーション」等が挙げられる。
【0028】
受付部は、希望品質データとして、希望するタイルカーペットの美観及び物性を受け付けてもよい。この場合、データベースでは、タイルカーペットの品質として、美観及び物性を含むデータが、複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されてもよい。マッチング部は、受付部が受け付けた美観及び物性の条件を満たす美観及び物性に対応付けられたタイルカーペットセットを決定することができる。
【0029】
これにより、ユーザは、希望するタイルカーペットの品質を容易に指定することができ、マッチング部は、ユーザの希望する品質のタイルカーペットセットを効率良く決定することができる。
【0030】
タイルカーペットの美観は、汚れ度合い等の見た目の劣化度合いである。例えば、「新品」「A」「B」「C」の4段階などで、タイルカーペットの見た目の劣化度合いが段階で評価される。この評価の段階数は、4段階に限られず、5段階以上としても良いし、3段階、ないしは2段階の評価としても良い。美感の評価は、選別を担当する評価者が行ってもよいし、画像から評価システムが行うなど機械的な評価でもよい。美観の評価結果を、タイルカーペットセットにタグ付けして(対応付けて)、データベースに記憶することができる。
【0031】
タイルカーペットの物性は、カーペットのパイルのへたり度合い等、物性の劣化度合いである。例えば、タイルカーペットの物性を、3段階等の段階で評価することができる。物性の評価結果を、タイルカーペットセットにタグ付けして(対応付けて)データベースに記憶することができる。
【0032】
前記データベースでは、前記タイルカーペットの品質として、タイルカーペットの使用回数又は使用期間の少なくとも1つを含む使用履歴データが、前記複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されてもよい。前記マッチング部は、前記受付部が受け付けた希望品質データで示される条件を満たす使用回数又は使用期間の少なくとも1つを含む使用履歴データに対応付けられたタイルカーペットセットを決定することができる。
【0033】
使用回数又は使用期間が複数のタイルカーペットセットの各々に対応付けて記録されることで、使用による影響が同程度のタイルカーペット群を1つのセットとして管理することができる。マッチング部は、使用回数又は使用期間と、ユーザから受け付けた希望品質データとを比較することにより、ユーザの希望する品質のタイルカーペットセットを効率よく決定することができる。
【0034】
受付部は、1つの領域に複数の種類のタイルカーペットの敷設を希望すること、及び、前記1つの領域における前記複数の種類のタイルカーペットの貼り分けに関する情報を含む希望貼り分けデータをさらに、受け付けてもよい。この場合、マッチング部は、希望貼り分けデータにより決定される複数の種類のタイルカーペットの条件に合うタイルカーペットセットを決定することができる。
【0035】
これにより、1つの領域(例えば、1つの部屋)に複数のタイルカーペットを貼ることを希望するユーザのニーズに応えることができる。例えば、同じ部屋に異なる種類のタイルカーペットの敷設をユーザが希望する場合、受付部は、その貼り分けに関する情報の入力を、ユーザから受け付ける。マッチング部は、さらに、貼り分けに関する情報をも加味して、タイルカーペットセットを決定することができる。例えば、受付部は、貼り分けに関する情報として、部屋に配置を希望する複数種類のタイルカーペットのそれぞれの特徴及び枚数を示すデータを受け付けてもよい。マッチング部は、希望する複数種類のタイルカーペットのそれぞれについて、特徴及び枚数の条件を満たすタイルカーペットセットを決定することができる。
【0036】
前記データベースでは、タイルカーペットの施工者の施工可能時期を示すスケジュールデータがさらに記録されてもよい。この場合、前記受付部は、ユーザからタイルカーペットの施工希望時期に関する施工希望時期データを受け付けてもよい。前記マッチング部は、前記施工希望時期データで示される施工希望時期と、前記スケジュールデータが示すタイルカーペットの施工者の施工可能時期とに基づいて、前記施工希望時期に施工可能な施工者を決定してもよい。前記出力部は、前記マッチング部で決定されたタイルカーペットセットの情報に加えて、当該タイルカーペットセットを前記施工希望時期に施工可能な施工者を出力する。これにより、ユーザは、希望する施工希望時期に施工可能な施工者を把握することができる。
【0037】
前記データベースでは、タイルカーペットの施工者の施工可能時期を示すスケジュールデータがさらに記録されてもよい。この場合、前記マッチング部は、前記スケジュールデータに基づいて、前記受付部が受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件を満たすタイルカーペットセットの施工可能な時期を決定してもよい。前記出力部は、前記マッチング部で決定されたタイルカーペットセットの情報に加えて、当該タイルカーペットセットの施工可能な時期を出力してもよい。これにより、ユーザは、希望するタイルカーペットの施工可能な時期を把握することができる。
【0038】
前記データベースでは、品番及びロットが同じ複数の提供可能なタイルカーペットを前記一群のタイルカーペットセットとして、前記複数のタイルカーペットセットのデータが記録されてもよい。これにより、1セットのタイルカーペット群においては、ロットの違いにより美観にムラできることはない。
【0039】
本発明の実施形態におけるプログラムは、サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付処理と、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットの品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付処理で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング処理と、前記マッチング処理で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。なお、コンピュータが、上記の処理を実行する方法も、本発明の実施形態に含まれる。
【0040】
本発明の実施形態におけるサブスクリプションタイルカーペットマッチング方法は、コンピュータが、サブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を示す希望特徴データ、希望するタイルカーペットの量を示す希望量データ、及び、希望するタイルカーペットの品質を示す希望品質データの入力を、ユーザから受け付ける受付工程と、前記コンピュータが、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータベースであって、品番が同じ複数の提供可能なタイルカーペットを一群のタイルカーペットセットとして、複数のタイルカーペットセットの各々について、タイルカーペットの品番、タイルカーペットの特徴、タイルカーペットの枚数、及びタイルカーペットの品質を示すデータと対応付けて記録したデータベースにアクセスして、前記受付工程で受け付けた前記希望特徴データ、前記希望量データ及び前記希望品質データで示される条件と、前記複数のタイルカーペットセットの前記特徴、前記枚数、及び前記品質を比較することで、前記条件に合うタイルカーペットセットを決定するマッチング工程と、前記コンピュータが、前記マッチング工程で決定されたタイルカーペットセットの情報を、前記ユーザに対して出力する出力工程と、を有する。
【0041】
本発明の実施形態におけるタイルカーペットセットは、上記のタイルカーペットサブスクリプションシステムにおいて、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットセットである。前記データベースに、前記タイルカーペットセットに含まれるタイルカーペットの品番、特徴、枚数、及び品質を示すデータが記録されている。前記タイルカーペットセットは、情報識別手段を備えるタイルカーペットを少なくとも1つ含む。前記情報識別手段は、前記タイルカーペットに付され、前記タイルカーペットの劣化度合いを示す品質情報、又は、前記品質情報にアクセスするための情報を提供する。
【0042】
前記タイルカーペットセットに含まれるタイルカーペットには、品質情報を提供する情報識別手段が付される。これにより、例えば、品質が近いタイルカーペットの集合をタイルカーペットセットとして管理することが容易になる。また、情報識別手段の品質情報を基に、データベースに、タイルカーペットセットの品質のデータを記録することができる。これにより、例えば、サブスクリプション方式でのタイルカーペットの提供等、タイルカーペットの再利用のためのタイルカーペットの管理が容易になる。
【0043】
前記情報識別手段は、電子タグであってもよい。前記電子タグに、前記タイルカーペットの劣化度合いを示す品質情報、又は前記品質情報にアクセスするための情報を示すデータが記録されてもよい。タイルカーペットの電子タグから、そのタイルカーペットの品質データ又は品質データにアクセスするデータを読み出すことで、そのタイルカーペットの劣化度合いを示す情報を得ることができる。情報識別手段は、品番その他のタイルカーペットを識別する情報をさらに提供してもよい。
【0044】
(システム構成)
図1は、本実施形態におけるタイルカーペットサブスクリプションシステム(以下、「TCPサブスクシステム」と称する)の構成例を示す機能ブロック図である。図1に示す例では、TCPサブスクシステム10は、受付部11、マッチング部12、及び、出力部13を備える。TCPサブスクシステム10は、データベース20にアクセス可能である。また、TCPサブスクシステム10は、ユーザ端末30と通信可能である。
【0045】
受付部11は、希望特徴データ、希望量データ、及び、希望品質データの入力をユーザから受け付ける。希望特徴データは、ユーザがサブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの製品としての特徴を示すデータである。希望特徴データは、例えば、ユーザが希望するタイルカーペットの品番、色、柄、用途、貼り方、形状、及び寸法の少なくとも1つを含む。希望量データは、ユーザが希望するタイルカーペットの量を示すデータである。希望品質データは、ユーザが希望するタイルカーペットの再利用品としての品質を示すデータである。希望品質データは、例えば、タイルカーペットの美観又は物性の再利用による劣化の度合いを示すデータであってもよい。受付部11は、ユーザ端末30を介してユーザからデータの入力を受け付けてもよいし、ユーザが指定した場所に記録されたデータを取得してもよい。
【0046】
データベース20は、サブスクリプション方式での提供が可能なタイルカーペットのデータを記録する。データベース20では、複数のタイルカーペットセット(以下、TCPセットと称する)のそれぞれに、タイルカーペットの品番、特徴、枚数及び品質を示すデータが対応付けて記録される。1つのTCPセットは、品番が同じ複数のタイルカーペット群で構成される。なお、品番が同じTCPセットが複数あってもよい。
【0047】
データベース20に記録されるタイルカーペットの特徴のデータは、タイルカーペットの製品としての特徴を示すデータである。タイルカーペットの製品としての特徴は、新品でも再利用品でも同じである。同じ品番のタイルカーペットは、同じ特徴を有する。これに対して、タイルカーペットの品質のデータは、タイルカーペットの再利用品としての品質を示すデータである。品質には、使用による劣化度合いが反映される。同じ品番のタイルカーペットであっても、利用環境が異なれば、品質も異なることになる。データベース20において、1つのTCPセットに含まれる複数のタイルカーペットは全て同じ特徴及び品質を有するものとして管理される。
【0048】
マッチング部12は、データベース20にアクセスして、受付部11で受け付けたデータに基づく条件に合ったTCPセットを抽出する。具体的には、マッチング部12は、受付部11が受け付けた希望特徴データ、希望量データ及び希望品質データで示される条件と、複数のタイルカーペットセットに対応付けられた特徴、枚数及び品質とを比較する。マッチング部12は、希望特徴データで示される特徴と、データベース20の各TCPセットの特徴データとを比較する。また、マッチング部12は、希望量データで示される量と、データベース20の各TCPセットの枚数とを比較し、希望品質で示される品質と、データベース20の各TCPセットの品質とを比較する。これにより、希望特徴データの条件を満たす特徴を有し、希望量データの条件を満たす枚数があり、且つ、希望品質データの条件を満たす品質を有するTCPセットが決定(抽出)される。
【0049】
また、マッチング部12は、受付部11が受け付けた希望特徴データ、希望量データ及び希望品質データで示される3つの条件を全て満たすTCPセットが存在しない場合、2つ又は1つの条件を満たすTCPセットを抽出してもよい。この場合、抽出されたTCPセットとともに、満たしていない条件を示す情報が出力されてもよい。
【0050】
なお、マッチング部12は、希望特徴データと、データベースに記録されたタイルカーペットの特徴との比較において、入力された希望特徴データそのものを記録された特徴と比較してもよいし、入力された希望特徴データを変換して得られる条件と、記録された特徴とを比較してもよい。これは、希望量データと記録された枚数との比較、希望品質データと記録された品質のデータとの比較でも同様である。比較処理は、例えば、比較対象が同一か否かの判断の他、比較対象の類似度合いを示す距離を計算する処理であってもよい。マッチング部12は、比較結果に基づいて、複数のタイルカーペットセットの各々が、入力されたデータを示す条件に合うか否かを判断することができる。
【0051】
マッチング部12は、マッチング処理において、機械学習(人工知能(AI)の学習)で得られた学習済みモデルを用いてもよい。学習済みモデルは、例えば、多層構造のニューラルネットワークを用いたディープラーニングにより生成することができる。
【0052】
例えば、希望特徴データに合う特徴を持つTCPセットを抽出するのに学習済みモデルを用いてもよい。一例として、希望特徴データとして、タイルカーペットの用途(例えば、住宅、オフィス、文教施設)が入力された場合に、この用途に合う色及び柄等の特徴を有するタイルカーペットを、学習済みモデルを用いて抽出することができる。この場合、用途の入力に対する好ましいタイルカーペットの特徴を機械学習して得られる学習済みモデルを生成することができる。
【0053】
他の例として、希望特徴データ、希望量データ及び希望品質データの少なくとも1つと、データベースに記録された各TCPセットの特徴、枚数及び品質の少なくとも1つとの適合度合い(距離)を、学習済みモデルを用いて決定することができる。例えば、希望特徴データとデータベースに記録された各TCPセットの特徴との距離を、学習済みモデルを用いて決定してもよい。これにより、例えば、希望特徴データに応じて抽出された複数のTCPセットを、適合度の高い順、例えば、ユーザへのお勧め順に並べて表示することができる。
【0054】
また、入力された希望特徴データ、希望量データ及び希望品質データの少なくとも1つを、データベースのデータと比較可能な条件を示すデータに変換するのに学習済みモデルを用いてもよい。これにより、ユーザの入力する情報の自由度が高くなる。
【0055】
出力部13は、マッチング部12が決定したTCPセットの情報を、ユーザに対して出力する。出力されるTCPセットの情報は、例えば、データベース20に記録されたタイルカーペットの特徴、枚数、及び品質を含んでもよい。出力の形態は、特に限定されない。出力部13は、TCPセットの情報を、ユーザ端末30に送信してもよいし、所定の記録部に記録してもよい。例えば、出力部13は、TCPセットの情報をユーザ端末30に表示させてもよい。
【0056】
TCPサブスクシステム10は、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータにより構成される。受付部11、マッチング部12、及び出力部13の機能は、プロセッサが、メモリに記録されたプログラムを実行することで実現可能である。受付部11、マッチング部12、及び出力部13を実現するための処理をプロセッサに実行させるプログラム及びそのプログラムを記録する非一時的(non-transitory)な記録媒体も、本発明の実施形態に含まれる。また、TCPサブスクシステム10は、複数のコンピュータによって構成されてもよい。データベース20のデータは、TCPサブスクシステム10を構成するコンピュータからアクセス可能な1又は複数の記録装置に記録される。
【0057】
(動作例)
<S1~S3:ユーザ入力受付処理>
図2は、TCPサブスクシステム10の動作例を示すフローチャートである。図2に示す例では、受付部11が、ユーザから、希望特徴データ、希望量データ、及び、希望品質データの入力を受け付ける(S1~S3)。受付部11は、ユーザ端末30に、ユーザがこれらのデータを入力するための入力画面を表示させる。なお、図2では、S1、S2、S3の順に示されているが、処理の順番はこれに限らず、いずれの順番で処理してもよく、同時に処理してもよい。また、S1~S3のうち少なくとも1つの処理は、S4の後に実行されてもよい。この場合、さらにS4が実行される。
【0058】
図3は、受付部11が提供する入力画面の一例を示す図である。図3の入力画面は、ユーザがサブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴を入力するエリアK1と、希望するタイルカーペットの量を入力するエリアK2と、希望するタイルカーペットの品質を入力するエリアK3を含む。特徴の入力エリアK1では、キーワードT0、製品ランクT1、柄T2、色T3、用途T4、貼り方T5、形状及び寸法T6の入力が可能に構成される。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0059】
キーワードT0では、フリーキーワードの入力を受け付ける。例えば、タイルカーペットを敷設する場所のイメージ、雰囲気又は状況等を示すキーワードの入力する案内が表示されてもよい。また、タイルカーペットの特徴を、キーワードで入力するか、その他の詳細項目(T1~T6)で入力するかが選択可能であってもよい。
【0060】
製品ランクは、タイルカーペットの製品グレードを示す。製品ランクは、例えば、タイルカーペットの新品の時の価格によって決められてもよい。図3の画面の製品ランクT1では、選択可能な製品ランクのそれぞれに、新品時の価格帯が表示される。なお、希望する製品ランクの入力形態は、ランク選択に限られない。例えば、希望する製品の新品時の価格又は価格帯の入力を製品ランク入力として受け付けてもよい。
【0061】
柄は、模様とも言える。図3の画面の柄T2では、柄の大きさ(柄の繰り返しパターンの大きさ、例えば、無地に近いか、又は、大柄に近いかの程度)を複数段階から選択可能である。柄の大きさ柄の選択に加えて又は代えて、柄の種類の選択又は入力を受け付けてもよい。柄の種類は、これらに限られないが、例えば、ストライプ柄、サンド柄、マーブル柄、ロック柄、幾何学柄等が挙げられる。
【0062】
色は、タイルカーペットの基調となる色である。図3の画面の色T3では、色の系統を選択可能である。色の系統の選択に加えて又は代えて、色の名称の選択又は入力を受け付けてもよい。また、色に加えて、パイル糸の光沢の有無を選択できるようにしてもよい。
【0063】
用途は、タイルカーペットを敷設する施設又は場所に関する情報である。図3の画面の用途T4では、施設の種類が選択可能である。この他にも、用途として、例えば、廊下、階段、トイレ、会議室、応接室、更衣室、食堂、書庫、等、施設の中の部位の選択又は入力を受け付けてもよい。
【0064】
貼り方は、タイルカーペットの配置の仕方を示す情報である。図3の画面では、貼り方T5を選択が可能である。また、受付部11は、選択可能な貼り方をユーザに提示して貼り方の選択を受け付けてもよい。例えば、受付部11は、ユーザが指定した色、柄又は形状の少なくとも1つに対して選択可能な貼り方を決定し、ユーザに提示してもよい。タイルカーペットは、染色方法や柄によって、例えば、流し貼りが不可、で市松貼りは可能など、貼り方に制限がある場合がある。受付部11が、ユーザの入力に応じて貼り方を提示することで、ユーザは、貼り方の制限に応じて適切に貼り方を選択できる。
【0065】
タイルカーペットの形状及び寸法は、予め決められている場合が多い。図3の画面では、形状及び寸法を、予め決められた複数のパターンから選択可能である。なお、受付部11は、形状のみ、又は寸法のみの入力を受け付けてもよい。タイルカーペットの形状は、例えば、正方形又は長方形であってもよい。タイルカーペットの寸法として、例えば、50cm×50cm、40cm×40cm、25cm×100cm、100cm×100cmなどが挙げられる。
【0066】
希望するタイルカーペットの特徴の入力受付は、上記例に限られない。例えば、図3に示す特徴の項目以外にも特徴として入力を受け付けてもよいし、図3に示す特徴の項目のいずれかを省略してもよい。例えば、受付部11は、タイルカーペットのカタログを表示し、カタログに表示された内容を選択することで、希望するタイルカーペットの特徴を選択できるようにしてもよい。
【0067】
次に、希望するタイルカーペットの量の入力受付の例を説明する。図3の画面の量入力のエリアK2では、希望する枚数、又は敷設面積の入力を受け付ける。また、図面データのボタンをクリックすることで、敷設場所の床の形状を含む図面データの入力を可能にしている。図面データの入力は、例えば、図面データファイルを送信する処理であってもよいし、図面作成画面で、敷設場所の形状及び寸法を入力して図面データを生成する処理を含んでもよい。
【0068】
なお、これらの枚数、敷設面積、又は、図面データのうちいずれか1つの入力を受け付けて他の入力受付を省略してもよい。また、敷設面積の代わりに、例えば、敷設場所の縦と横の寸法の入力を受け付けてもよい。受付部11は、希望量データとして、希望する枚数、敷設領域の広さを示すデータ、及び、敷設する領域の図面データの少なくとも1つの入力を受け付けることができる。
【0069】
次に、希望するタイルカーペットの品質の入力受付の例を説明する。図3の画面では、品質ランクが複数段階から選択可能である。品質ランクは、タイルカーペットの美観又は物性に関する品質の程度を示す。美観は、例えば、使用に伴って生じる、色あせ、ムラ、汚れ等により影響を受ける。物性は、例えば、使用に伴って生じる、へたりや生地の硬さの変化等により影響を受ける。そのため、品質ランクは、タイルカーペットの使用に伴う劣化度合いを示す情報の一例とも言える。図3に示す例では、新品は、新品のタイルカーペットを意味し、Aランク、Bランク、Cランクは、再利用されたタイルカーペットを意味する。再利用されたタイルカーペットは、品質の良い順に、Aランク、Bランク、Cランクと表示される。受付部11は、品質ランクとして、図3の例の他、例えば、色あせ、ムラ、汚れ等の美観の劣化度合い、及び、へたり等の物性の劣化度合いの少なくとも1つの入力を受け付けてもよい。或いは、受付部11は、使用期間及び使用回数の少なくとも1つの入力を、希望品質データとして受け付けてもよい。
【0070】
<S4:TCPセット決定処理>
再び、図2を参照し、S4において、マッチング部12は、S1~S3で入力されたデータに基づく条件で、データベース20を検索し、条件を満たすTCPセットを決定する。すなわち、マッチング部12は、データベース20に記録されたTCPセットから、S1~S3で入力されたデータが示す条件に合うTCPセットを決定して抽出する。データベース20には、図1に示すように、各TCPセットに対応付けて、品番、特徴、枚数、及び品質などを示すデータが記録される。マッチング部12は、データベース20から、希望特徴データが示す条件を満たす特徴を持ち、希望量データが示す条件を満たす枚数を有し、且つ、希望品質データが示す条件を満たす品質のTCPセットを抽出する。S4のデータベース20の検索に用いられる条件は、S1~S3でユーザから入力されたデータそのままでもよいし、入力されたデータを検索用に加工した条件であってもよい。
【0071】
図4及び図5は、データベース20に記録されるデータの一例を示す図である。図4の例では、TCPセットの識別子であるセットIDに、枚数、特徴、及び品質のデータが対応付けられる。特徴データは、タイルカーペットの品番を含む。品質データは、品質ランク、使用回数、及び使用期間を含む。品質ランクは、例えば、使用回数及び使用期間の少なくとも1つに基づき決定された値であってもよい。図5の例では、タイルカーペットの特徴を示す特徴データが、品番に対応付けて記録される。図5の特徴データは、製品ランク、新品の価格、色、柄、形状寸法、用途、及び貼り方を含む。また、品番に、ワードが対応付けられて記録される。ワードは、その品番のタイルカーペットに関連するワードである。例えば、その品番のタイルカーペットに起因するイメージ、雰囲気又は利用状況に関する複数のワードが記録される。
【0072】
図4及び図5に示すデータに対するS4の処理例を説明する。まず、マッチング部12は、図5に示すデータにアクセスし、S1で入力された希望特徴データが示す製品ランク、色、柄、形状寸法、用途及び貼り方と、同じ特徴データを含むタイルカーペットの品番を、抽出する。或いは、S1で希望特徴データとして入力されたキーワードに近いワードを含むタイルカーペットの品番が、抽出されてもよい。次に、マッチング部12は、図4のデータにアクセスして、図5から抽出した品番と同じ品番を特徴データに持つTCPセットのうち、S2で入力された希望量が示す量以上の枚数を有し、且つ、S3で入力された希望品質データが示す品質ランクに合う品質ランクを有するTCPセットのセットIDを抽出する。これにより、S1~S3で入力されたデータが示す条件を満たすTCPセットが決定される。
【0073】
例えば、ユーザが、受付部11に対して、希望するタイルカーペットの色「青」、柄「ストライプ柄」、形状「長方形」、敷設する場所の広さ「100m」、品質「C」、と入力すると、マッチング部12は、これらの特徴、枚数及び品質に合致する適切なTCPセットを決定することができる。
【0074】
なお、データベース20のデータ構成は、図4及び図5に示す例に限られない。例えば、図4において、品質データは、品質ランク、使用回数、及び使用期間のうち1つ又は2を省略してもよい。また、品質データに、美観及び物性の少なくとも1つを示す情報が含まれてもよい。例えば、図5において、製品ランクは、高級、中級、…の等級ではなく、新品の価格であってもよい。
【0075】
<S5:出力処理>
再び、図2を参照し、S5において、出力部13は、S4で決定されたTCPセットの情報を、ユーザに対して出力する。出力部13は、例えば、データベース20から、S4で決定されたセットIDに対応付けられたTCPの特徴、枚数、及び品質データを取得し、取得したデータが示す情報を、ユーザ端末30に表示させる。
【0076】
図6は、出力部13によって、ユーザ端末30に表示される画面の一例を示す図である。図6の例では、S4で決定されたTCPセットが一覧表示される。TCPセットの各々について、品番、タイルカーペット表面の外観図、新品価格、サブスク料金、サイズ、枚数、及び、カーペットの品質を示す情報、すなわち「品質情報」が表示される。品質情報は、品質を評価してランク付けした情報である品質ランクに加えて、過去使用年数、色あせ度合い(美観情報)及びへたり度合い(物性情報)を含む。
【0077】
サブスク料金は、サブスクリプション方式でTCPセットの提供を受ける場合に発生する料金である。例えば、対象のTCPセットの品質データに基づいて、サブスク料金が算出されてもよい。この場合、TCPセットの使用による劣化の度合いが大きい程、安くなるようにサブスク料金が算出されてもよい。また、算出されるサブスク料金は、TCPセットを敷設する施工工事の費用を含んだ料金であってもよい。
【0078】
図6の画面では、各TCPセットについて「注文」ボタンが表示される。ユーザにより「注文」ボタンが押されると、対応するTCPセットを注文するための情報を入力する画面(図示略)が表示される。
【0079】
<施工希望時期データの入力がある場合の例>
図3に示す画面の施工希望時期の入力エリアK4では、サブスクリプション方式で提供されるタイルカーペットの施工希望時期の入力が可能である。このようにして、受付部11は、ユーザからタイルカーペットの施工希望時期を示す施工希望時期データの入力を受け付けることができる。例えば、施工開始希望期間及び施工開始終了期間の入力が受け付けられる。この場合、データベース20では、タイルカーペットの施工者の施工可能時期を示すスケジュールデータがさらに記録される。また、施工希望時期は、第一希望のみならず、第二希望を入力できるようにしてもよい。
【0080】
図7は、データベース20のスケジュールデータの例を示す図である。図7の例では、各施工者を個別に識別するための施工者IDに、施工可能日が対応付けて記録される。なお、施工者は、自然人に限られず、法人であってもよい。
【0081】
マッチング部12は、施工希望時期データで示される施工希望時期と、データベース20のスケジュールデータが示す施工者の施工可能時期とに基づいて、施工希望時期に施工可能な施工者を決定することができる。出力部13は、マッチング部12で決定されたTCPセットの情報に加えて、当該TPCセットを施工希望時期に施工可能な施工者の情報を出力する。
【0082】
TCPサブスクシステム10は、施工者から、施工可能時期の入力を受け付けるためのインタフェース(施工可能時期受付部)を備えてもよい。施工可能時期受付部で入力された施工可能時期は、入力した施工者の施工者IDに対応づけて、データベース20に記録される。この施工可能時期の情報は、適宜更新されてもよい。施工可能時期は、例えば、各施工者のスケジュールが変更した時等に、随時更新されてもよいし、毎日、数時間ごとなどに定期的に更新されてもよい。
【0083】
また、図7に示すように、データベース20には、各施工者の施工技術をランク付けした情報が格納されてもよい。ランク付けは、本システムの管理者が設定してもよいし、ユーザからの評価を反映させてもよい。これによって、複雑な形状の部屋や、複雑な貼り分けが必要な施工においても、適切な施工者を選定することができる。この場合、受付部11は、施工者の技術レベル又は施工の難易度等の施工者への要求するレベルを示す希望施工者レベルデータの入力を受け付けてもよい。マッチング部12は、希望施工者レベルデータが示すレベルに合うランクの施工者をデータベースから抽出する。
【0084】
さらに、図7に示す例に限らず、ユーザの施工希望時期の情報を、各施工者へ送付して、応募した各施工者から選定するようにしてもよい。スケジュールデータの更新の手間がかからず、施工者を選定できるというメリットがある。この場合、マッチング部12は、施工希望指示データを示す施工希望時期を提示し、施工者からの応募入力を受け付けることができる。出力部13は、応募入力があった施工者の情報を、ユーザに対して出力する。
【0085】
また、マッチング部12は、ユーザが希望する施工希望時期と、各施工者の施工可能日とを、マッチングさせるシステムを用いてもよい。このマッチング処理に、AIを用いることでより精度よくマッチングさせることができる。
【0086】
<希望貼り分けデータの入力がある場合の例>
図3に示す画面では、「貼り分け有」ボタンが表示される。「貼り分け有」ボタンが押されると、希望貼り分けデータの入力を受け付ける画面が表示される。貼り分けは、1つの敷設領域に、複数の種類のタイルカーペットを敷設することである。希望貼り分けデータは、例えば、貼り分けを希望すること、及び、貼り分けの仕方を示すデータを含む。貼り分けの仕方は、敷設領域における複数の種類のタイルカーペットの配置の仕方である。
【0087】
図8は、希望貼り分けデータの入力を受け付ける画面の例を示す図である。図8に示す例では、敷設領域(例えば、敷設場所の部屋)の形状が実線A2で示され、敷設場所に敷設されるタイルカーペットが破線B2で示される。これにより、各タイルカーペットの位置を識別可能な態様でタイルカーペット群が示される。また、ユーザが各タイルカーペットに対して貼り分けを指定可能な状態で、タイルカーペット群が表示される。破線B2で表示されるタイルカーペット群は、ユーザから入力された希望特徴データが示すタイルカーペットの形状及び寸法、並びに、希望量データが示す枚数、又は、敷設領域の広さに基づいて決定することができる。なお、実線A2で示される敷設領域の形状は、ユーザからの入力に基づいて決定される。例えば、図3の画面の入力エリアK2で入力されたTCP量に基づいて実線A2が設定されてもよい。或いは、ユーザが、直接入力又はアップロードした部屋の床形状を示すデータを基に実線A2が設定されてもよい。
【0088】
ユーザは、例えば、異なる種類のタイルカーペットを貼りたい位置のタイルカーペットを選択し、その位置に貼りたいタイルカーペットの種類を指定することができる。すなわち、受付部11は、タイルカーペットの種類と、貼る位置の指定を受け付けることができる。これにより、貼り分けの仕方を示すデータの入力をユーザから受け付けることができる。
【0089】
図9は、ユーザによって、図8とは異なる貼り分けが指定された状態の例を示す図である。図8及び図9に示す例では、ユーザは、カーソルC1で、タイルカーペットを選択し、そのタイルカーペットの種類を指定する。図8及び図9で、ドットパターンが施されたタイルカーペットは、ドットパターンが施されていないタイルカーペットと異なる種類である。図8及び図9は、2種類の貼り分けを指定する例を示すが、受付部11は、3種類以上の貼り分けの指定を受け付けてもよい。
【0090】
異なるタイルカーペットを貼り分ける場合、各タイルカーペットの必要枚数、又は敷設面積を出力して、ユーザに提示してもよい。例えば、受付部11は、ユーザによって入力された希望量データ及び貼り付けの仕方を示すデータを基に、貼り分け敷設する複数の異なるタイルカーペットの各々のタイルカーペットの量を計算し、ユーザに提示してもよい。このタイルカーペットの量とは、例えば、枚数又は敷設面積で表される。
【0091】
<タイルカーペット>
図10は、タイルカーペット1の表面と裏面の例を示す図である。図10に示す例では、タイルカーペット1の裏面に、品番L1と、ロット識別コードL2と、品質情報L3が刻印される。図10では、品番L1として「品番1」、ロット識別コードL2として「ロット番号342」が刻印されている。品質情報L3として、使用期間及び各使用期間後の品質ランクが刻印されている。使用期間は、サブスクリプションによりユーザに提供され、ユーザの敷設場所で敷設されて使用された期間である。品質ランクは、使用期間の終了後から次の使用期間までの間に評価されたタイルカーペットの劣化度合いを示す。これらの刻印は、例えば、レーザー印字によりなされる。このように、品番とロット識別コードをタイルカーペットの裏面に刻印することにより、作業者が、タイルカーペットの情報を持っていない場合でも、撤去したタイルカーペットの品番、ロット及び品質を知ることができる。また、図10に示すように、文字により品番、ロット及び品質情報を記載することで、読み取り機がなくても、作業者が見て情報を把握することができる。
【0092】
タイルカーペットに付される品質情報は、図10の例に限られない。例えば、使用期間及び品質ランクのいずれかを省略してもよい。また、使用回数、その他の劣化度合いを示す情報が、タイルカーペットに付されてもよい。品質情報は、サブスクリプションのおける1回の使用の度に書き足されてもよい。これにより、使用履歴を示す情報が、品質情報として、タイルカーペットに付される。また、品質情報の代わりに品質情報にアクセスするための情報がタイルカーペットに付されてもよい。品質情報にアクセスするための情報は、例えば、URL等のデータの保存場所を示す情報の他、品質情報の識別情報その他、品質情報を特定する情報であってよい。例えば、品番及びロットを示す情報、又は、製造工場及び製造年月を示す情報も、品質情報にアクセスするための情報となり得る。
【0093】
タイルカーペットに付された品番、ロット及び品質情報の刻印は、情報識別手段の一例である。情報識別手段は、刻印に限られない。例えば、タイルカーペットの裏面に品番、ロット及び品質情報を印刷してもよい。例えば、これらの情報は、文字、バーコード、又は、2次元コード(例えばQRコード(登録商標))等で表すことができる。バーコード又は2次元コードのような機械読み取り可能なパターンで情報を印刷(又は刻印)することで、文字に比べて、単位面積当たりの情報量を増やすことができる。また、機械読み取り可能なので、データ化が容易である。また、電子タグなどのデータ読み取り可能な記録媒体をタイルカーペットに埋め込み、品番、ロット及び品質情報を記録媒体に記録してもよい。電子タグにより、多くの情報を記録でき、タイルカーペットが汚れても、読み取りが可能である。また、電子タグは、データの書き込みが容易にできる。
【0094】
図11は、好ましい層構成のタイルカーペットにRFID3(電子タグの一例)が具備されたRFID付き床材1(RFID付きタイルカーペット)を示す。
図11を参照して、RFID付き床材1(RFID付きタイルカーペット)は、タイルカーペット2B(床材2)と、前記タイルカーペット2Bの裏面に開口された凹み部5と、前記凹み部5に収容されたRFID3と、を有する。タイルカーペット2Bは、裏面側から表面側へ順に、下側樹脂層21と、補強層22と、上側樹脂層である表層24と、基布261にパイル糸262が植設されているパイル層26と、を有する。
【0095】
図11を参照して、凹み部5は、下側樹脂層21中に形成されている。従って、凹み部5は、補強層22よりも裏面側に形成されている。凹み部5の底面と補強層22の間には、下側樹脂層21が残存して層状を成したもの(下側樹脂層21の一部分である樹脂層219)が介在されている。
RFID3は、凹み部5の底面に取付けられている。
前記樹脂層219の厚みは、例えば、0.3mm以上であり、好ましくは0.6mm以上であり、より好ましくは1.0mm以上である。樹脂層219の厚みが前記下限値以上であれば、凹み部5の強度を維持でき、RFID3を適切に保護することができる。前記樹脂層219の厚みの上限値は、下側樹脂層21の厚みよりも小さい範囲で適宜に設定できる。
【0096】
上記のような凹み部5は、例えば、床材2の裏面2aから下側樹脂層21の一部を削り取る(削り取るとは、かき取ることも含む)、床材2の裏面2aに硬い凸状治具を押圧することによって下側樹脂層21の一部を凹ませる、などの加工方法によって形成できる。凹み部の戻りがなく、且つ、所望の位置に所望の大きさの凹み部5を容易に形成できることから、下側樹脂層21の一部を削り取ることによって凹み部5を形成することが好ましい。
前記加工方法の具体例として、ミーリング加工による削り取りが挙げられる。前記ミーリング加工を実施する装置としては、フライスカッター、エンドミル、サイドカッターなどが挙げられる。
【0097】
このように、RFID付き床材は、上側樹脂層と上側樹脂層の裏面側に配置された下側樹脂層を有する床材と、床材に具備されたRFIDと、を有する。床材には、その裏面に開放された凹み部が形成されており、RFIDが、床材の裏面から突出しないように、凹み部に収容保持されている。
【0098】
上記のように、タイルカーペットに情報識別手段を付することで、サブスクリプション方式で提供可能な複数のTCPセットを、TCPセットごとに識別できるよう管理しながら保管することが容易になる。なお、情報識別手段で提供される情報は、上記例に限られない。
【0099】
例えば、製造工場と製造年月を示す情報が、情報識別手段で提供されてもよい。一例として、タイルカーペットの裏面に製造工場と製造年月を示す記号が記載されてもよい。製造工場と製造年月が同じで、且つ、同じ品番及びロットのタイルカーペット群はまとめてサブスクリプション方式で提供される。提供中のタイルカーペット群の品番、ロット及び枚数その他の情報がデータベースに記録される。これにより、サブスクリプション方式で提供中の1まとまりのタイルカーペット群の情報が、データベースで管理される。
【0100】
サブスクリプション方式による提供期間が終了すると、タイルカーペット群は回収される。回収されたタイルカーペット群は、必要に応じて洗浄された後、品質が評価される。同じ品質を有するタイルカーペット群が抽出され、1つのTCPセットとして、新たに識別子が付与されて管理される。データベースには、TCPセットの識別子(例えば、図4のセットID)と、品番、枚数、及び品質情報が対応付けられて記録される。TCPセットの保管場所では、例えば、TCPセットと対応付けて保管されるもの(例えば、TCPセットを載せるパレット又は棚等)に、識別子を示す情報が付されてもよい。
【0101】
図12は、保管場所(ストックヤード)における棚及び棚に載置されるタイルカーペットの例を示す図である。タイルカーペットは、敷設場所から撤去され、必要に応じて洗浄された後、サブスクリプション方式で提供するために保管場所で保管される。図12に示す例では、棚4は、タイルカーペットの品番が割り当てられた領域を有する。例えば、棚の縦列の「E01」の領域には、品番1が割り当てられている。棚4の各品番の領域において、対応する品番の同じロットで且つ同じ品質の複数のタイルカーペットが同じパレット33に積載される。すなわち、複数のタイルカーペットは、ロット毎且つ品質毎にまとめられて各パレット33に積載される。このように、各品番に割り当てられた領域に、対応する品番のタイルカーペットであり、同じロット且つ同じ品質のタイルカーペットが同じパレットに載るように配置される。これにより、品番及びロットを基にタイルカーペットを管理することができる。例えば、特定の品番及びロットのタイルカーペットを搬出する際の作業効率が高くなる。なお、棚4は、可動式であってもよい。
【0102】
上記例では、ロット、品番及び品質が同じであるタイルカーペット群を同じパレット33に積載して管理することができる。これに限らず、例えば、少なくともロット及び品質が同じであるタイルカーペット群を同じパレット33に積載して管理してもよい。これにより、品番及び品質が同じタイルカーペット群を1つのTCPセットとして管理するのが容易になる。例えば、品番及び品質が同じタイルカーペット群を、上記のTCPサブスクシステム10におけるTCPセットとして管理できる。この場合、少なくとも品番及び品質が同じタイルカーペット群をTCPセットとして保管するとともに、各TCPセットの品番、特徴、枚数及び品質をデータベース20に記録することができる。なおタイルカーペットの品質が同じである態様には、美観又は物性の劣化度合いが厳密に同じである場合に限られず、サブスクリプションサービスの商品として、同等と見なせる程度に劣化度合いが近い場合も含まれる。
【0103】
保管場所に保管されるタイルカーペットの情報は、データベース20に登録される。TCPサブスクシステムは、保管されたタイルカーペットの品番及び品質が同程度のものをTCPセットとして認識できるようデータを管理し、ユーザからサブスクリプション方式によるタイルカーペットの希望を受け付けて、希望に合うTCPセットの情報を抽出して出力する。ユーザが希望するTCPセットは、施工時に保管場所から出荷される。この際、人が所望のTCPセットを搬送してもよく、機械によって自動でTCPセットを搬送してもよい。
【0104】
<登録部を備えたTCPサブスクシステムの構成例>
図13は、保管されるタイルカーペットの情報をデータベース20へ登録する登録部14をさらに備えた、TCPサブスクシステム10の構成例を示す図である。図13に示す例では、登録部14は、管理者端末40を介して、管理者から、TPCセットの登録データの入力を受け付ける。登録データは、サブスクリプション方式で提供可能な状態で保管されているTCPセットの情報を含む。登録データは、例えば、品番、枚数、及び、品質データを含む。登録部14は、同じ品番且つ同じロットのタイルカーペット群であって、同じ品質を有するタイルカーペット群の情報を、1つのTCPセットの登録データとして、受け付ける。
【0105】
登録部14は、入力された登録データで示されるTCPセットのデータを、データベース20に記録する。登録部14は、新たにセットIDを付与し、セットIDに対応付けて、登録データに含まれる、品番、枚数、及び品質データをデータベース20に記録する。これにより、例えば、図4に示すようなTCPセットのデータが、データベース20に登録される。
【0106】
登録部14が入力を受け付ける登録データは、タイルカーペット1の電子タグから読み出された品質データを含んでもよい。この場合、タイルカーペット1の電子タグには、品質データ又は品質データにアクセスするためのデータ(以下、単に品質データと称する。)が記録される。タイルカーペット1の電子タグの品質データは、読み取り機50により読み出されて、管理者端末40を経て登録部14に送信される。その際、品質データとともに、品番も電子タグから読み出され、品質データに品番を対応付けて、登録データとして、登録部14に入力される。
【0107】
タイルカーペット1には、電子タグの代わりに、文字、バーコード又は2次元コード等のパターンが、情報識別手段として、付されていてもよい。この場合、読み取り機50は、例えば、カメラ又はバーコードリーダとすることができる。情報識別手段は、タイルカーペットに付され、タイルカーペットに関する情報を保持し提供するものである。
【0108】
<タイルカーペットのサブスクリプション方式での提供方法の例>
図14は、サブスクリプション方式でタイルカーペットを提供する方法の例を示すフロー図である。図14に示す方法は、施設に敷設されたタイルカーペットを撤去する工程(S11)を有する。敷設されたタイルカーペットは、サブスクリプション方式で提供され使用されているものでもよいし、他の方式で提供されたものでもよい。通常、同じ敷設場所(部屋、フロア等)には、同じ品番で同じロットのタイルカーペット群が敷設される。タイルカーペットには、例えば、上記の電子タグ又は文字若しくはパターン等の情報識別手段が付されている。情報識別手段は、品番及びロットの情報を提供してもよい。タイルカーペット群を撤去する際には、情報識別手段の情報を用いて、品番及びロットが同じタイルカーペット群をまとめて搬送及び保管することが好ましい。
【0109】
撤去したタイルカーペットは必要に応じて洗浄される(S12)。タイルカーペットは洗浄ラインに載せられて洗浄される。洗浄ラインは、タイルカーペットの搬送装置、洗浄装置、及び評価装置を有してもよい。なお、洗浄ラインは、洗浄前にタイルカーペットの汚染度を判定し、判定結果に基づき、洗浄するものとしないものを選別してもよい。なお、タイルカーペットの状態によっては、洗浄工程(S12)そのものを省略してもよい。
【0110】
図14に示す方法は、撤去したタイルカーペットの品質を評価する工程を有する(S13)。評価は、人が行ってもよいし、機械が行ってもよい。例えば、洗浄ライン等において搬送中のタイルカーペットをカメラで撮影して得られる画像、及び/又は、センサによるタイルカーペットの劣化度合いの検出結果を基に、コンピュータが劣化度合いを判断することで、評価が実行される。また、劣化度合いを判定する代わりに、タイルカーペットの使用履歴(使用期間又は使用回数)を取得することで、品質の評価が行われてもよい。この場合、使用履歴が品質を表す情報となる。
【0111】
S13で評価されたタイルカーペットの品質情報は、タイルカーペットに付された情報識別手段に加えられてよい。例えば、タイルカーペット裏面への印字や電子タグへの書き込みなどにより、情報識別手段に品質情報が加えられてもよい。例えば、タイルカーペットの裏面に品質情報を刻印又は印刷にしたものを情報識別手段としてよい。又は、タイルカーペットの内部に情報識別手段として設けた電子タグに品質情報のデータを書き込んでもよい。
【0112】
また、タイルカーペットの情報識別手段に品質情報を保持させる代わりに、品質情報にアクセスするための情報をタイルカーペットの情報識別手段に保持させてもよい。この場合、例えば、品質情報は、コンピュータシステムに記録され、タイルカーペットの情報識別手段には、そのコンピュータシステムへアクセスするための情報が加えられる。なお、品質情報のタイルカーペットの情報識別手段への書き込みは省略されてもよい。
【0113】
少なくとも品番及び品質が同じタイルカーペット群が、1つのTCPセットとして管理可能な状態で、保管される(S14)。例えば、図12に示した用に、品番、ロット及び品質が同じタイルカーペット群が同じパレット33に載置される。
【0114】
少なくとも品番及び品質が同じタイルカーペット群を1つのTCPセットとして、TCPセットの品番、特徴、枚数、及び品質を示すデータが、データベース20に登録される。例えば、図4に示すように、TCPセットごとに、TCPセットを識別するセットIDが付与される。品番、特徴、枚数、及び品質を示すデータがセットIDに対応付けてデータベース20に記録される。この記録処理は、人の入力を含んでもよいし、読み取り機50がタイルカーペットの情報識別手段から読み取った情報を基に自動的に実行されてもよい。
【0115】
S11~S15の処理を繰り返すことにより、複数のTCPセットが保管され、複数のTCPセットの情報がデータベース20に記録される。データベース20に記録された複数のTCPセットの中から、ユーザからの要求に応じてサブスクリプション方式で提供するTCPセットが決定される(S16)。S16の決定には、例えば、上記のTCPサブスクシステム10が用いられる。例えば、S16の処理において、コンピュータが、ユーザからサブスクリプション方式での提供を希望するタイルカーペットの特徴、量及び品質の条件の入力を受け付け、条件に合う特徴、量及び品質を有するTCPセットをデータベースから抽出してユーザに提示することができる。この提示に対するユーザからのTCPセットの指定を受け付けることで、コンピュータは、サブスクリプション方式の提供するTCPセットが決定することができる。S16で決定したTCPセットは、保管場所から出荷され、提供先の敷設場所に敷設される(S17)。
【0116】
このように、図14に示す方法によれば、敷設された後撤去されたタイルカーペットの品質を評価し、品番と品質が同じタイルカーペット群を1つのTCPセットとして、品番、枚数及び品質情報と対応付けてデータベース20に記録する。これにより、サブスクリプション方式で提供可能なTCPセットとして管理できる。そのため、例えば、上記のTCPサブスクシステム10によるマッチングサービスが可能になる。このように、サブスクリプション方式によるタイルカーペットの提供方法は、撤去されたタイルカーペットの品質の評価工程、品番と品質が同じタイルカーペット群を1つのTCPセットとして保管する工程、TCPセットの品番、枚数及び品質をTCPセットに対応付けてデータベースに記録する工程、及びデータベースに記録されたTCPセットの情報を提示に対するユーザから指定によりサブスクリプション方式で提供するTCPセットを決定する工程とを有する。
【符号の説明】
【0117】
1 タイルカーペット
10 タイルカーペットサブスクリプションシステム
11 受付部
12 マッチング部
13 出力部
20 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14