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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】温調空気供給装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20250121BHJP
   G01N 17/00 20060101ALI20250121BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
F24F5/00 Z
G01N17/00
F24F13/02 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021105760
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004210
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】石本 紘史
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164979(JP,A)
【文献】特開2019-129085(JP,A)
【文献】特開2018-041722(JP,A)
【文献】特開2006-071197(JP,A)
【文献】特開平02-021142(JP,A)
【文献】米国特許第05134684(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
G01N 17/00
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された空気が導入される配管と、
前記配管の先端に設けられるヒータと、を備え、
前記ヒータは、絶縁体からなる心棒と、空気を加熱可能に構成された加熱エレメントと、前記加熱エレメントを収容する外装体と、を有し、
前記加熱エレメントは、前記外装体内において前記心棒を取り囲むように配置され、
前記外装体の内面と前記心棒との間の空間のうちの前記加熱エレメントによって占められていない部分の断面積は、前記配管内の断面積の半分以下であり、
前記加熱エレメントは、前記ヒータから吹き出される前に前記外装体内を流れる空気の抵抗体として機能する、温調空気供給装置。
【請求項2】
前記加熱エレメントは、前記加熱エレメントと前記外装体の内面との間での空気の流れを許容しつつ空気の抵抗体として機能する、請求項1に記載の温調空気供給装置。
【請求項3】
記加熱エレメントは、前記加熱エレメントと前記心棒との間での空気の流れが許容されるように前記心棒を取り囲みつつ空気の抵抗体として機能する、請求項1又は2に記載の温調空気供給装置。
【請求項4】
前記外装体は、前記配管が接続される一端部と、空気を吹き出すように開口した他端部と、前記一端部及び前記他端部間に位置して前記加熱エレメントを収容する中間部とを有し、前記中間部の内部空間が、前記一端部及び前記他端部の内側空間よりも大径である、請求項1から3の何れか1項に記載の温調空気供給装置。
【請求項5】
前記ヒータには、前記加熱エレメントよりも下流側の部分に、空気を撹拌可能なミキサーが設けられている、請求項1から4の何れか1項に記載の温調空気供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調空気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、空気の温度を調整する空調部と、空調部で温度調整がされた空気を流通させる配管と、配管に接続されるとともに所定の検査領域を形成するフードと、を備えた温調空気供給装置が知られている。特許文献1に開示された温調空気供給装置では、空調部によって温度が調整された空気が配管を通して検査領域に吹き出されるため、検査領域の温度又は検査領域に配置された供試体の温度が所定の温度に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-530588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された温調空気供給装置は、フードによって形成された検査領域に空気を吹き出す構造であるため、フード内に吹き出すときの吹き出し音はあまり気にならない。ただし、吹き出し風量を上げる必要がある場合には、吹き出し音が気になるかもしれない。また、フードを設けずに所定の検査領域に温調空気を吹き出す構成を採用した場合には、吹き出し音がより気になるかもしれない。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る温調空気供給装置は、加圧された空気が導入される配管と、前記配管の先端に設けられるヒータと、を備える。前記ヒータは、絶縁体からなる心棒と、空気を加熱可能に構成された加熱エレメントと、前記加熱エレメントを収容する外装体と、を有する。前記加熱エレメントは、前記外装体内において前記心棒を取り囲むように配置される。前記外装体の内面と前記心棒との間の空間のうちの前記加熱エレメントによって占められていない部分の断面積は、前記配管内の断面積の半分以下である。前記加熱エレメントは、前記ヒータから吹き出される前に前記外装体内を流れる空気の抵抗体として機能する。
【0007】
本発明に係る温調空気供給装置では、配管を流れた空気がヒータに流入し、このヒータを通過した所望の温度の空気が供試体に向けて吹き出される。ヒータにおいて外装体内に収容された加熱エレメントは、外装体内を流れる空気の抵抗体となる。したがって、外装体内を流れるうちに空気の圧力が低下するため、加圧された空気が配管に導入される場合であっても、ヒータから吹き出されるときには、温調された低圧の空気となる。したがって、供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
また、配管からヒータの外装体内における加熱エレメントが収容された部分に流入する際に、流路断面積が半分以下に低減されるため、ヒータが空気の流動抵抗となって空気が減圧される。したがって、ヒータから供試体に向けて吹き出されるときの空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【0008】
前記加熱エレメントは、前記加熱エレメントと前記外装体の内面との間での空気の流れを許容しつつ空気の抵抗体として機能してもよい。
【0009】
この態様では、外装体内において、加熱エレメントと外装体の内面との間を空気が流れる際に空気の圧力が低下する。したがって、空気がヒータから吹き出されるときには、空気は温調された低圧の空気となるため、供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【0010】
記加熱エレメントは、前記加熱エレメントと前記心棒との間での空気の流れが許容されるように前記心棒を取り囲みつつ空気の抵抗体として機能してもよい。
【0011】
この態様では、外装体内において、加熱エレメントと心棒の外面との間を空気が流れる際に空気の圧力が低下する。したがって、空気がヒータから吹き出されるときには、空気は温調された低圧の空気となるため、供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【0012】
前記外装体は、前記配管が接続される一端部と、空気を吹き出すように開口した他端部と、前記一端部及び前記他端部間に位置して前記加熱エレメントを収容する中間部とを有し、前記中間部の内部空間が、前記一端部及び前記他端部の内側空間よりも大径であってもよい。
【0014】
前記ヒータには、前記加熱エレメントよりも下流側の部分に、空気を撹拌可能なミキサーが設けられていてもよい。この態様では、ヒータから吹き出される空気に温度偏りが生ずることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る温調空気供給装置を概略的に示す図である。
図2】前記温調空気供給装置に設けられたヒータの断面図である。
図3】その他の実施形態に係る温調空気供給装置に設けられたヒータの断面図である。
図4】その他の実施形態に係る温調空気供給装置に設けられたヒータの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施形態に係る温調空気供給装置は、供試体の温度又は供試体の周囲の温度を所定の温度に調整するために用いられ、供試体に向けて温度が調整された空気を吹き出すように構成されている。供試体は、例えば、万能試験機(引張試験機)、衝撃試験機、摩擦摩耗試験機等にセットされて材料試験の試験対象となるものであってもよい。その他、供試体は、電子モジュール等であって出力電流値、出力電圧値等の計測対象となるものであってもよい。
【0019】
図1に示すように、温調空気供給装置10は、供試体に供給される空気を冷却可能な冷却部25を有する装置本体14を備えている。装置本体14は、冷却部25に加え、冷却部25に空気を導く導入管16と、冷却部25を通過した空気が流れる導出管18と、冷却部25及び後述のヒータ31等を制御する制御盤20と、を備えている。
【0020】
導入管16には、外部の供給源(図示省略)が接続され、供給源から導入管16に空気が供給されるように構成されている。この供給源から供給される空気は、供試体に向けて吹き出すことができるように加圧された空気である。
【0021】
冷却部25として、例えば、蒸気圧縮式冷凍サイクルが構成された冷凍機の蒸発器が用いられる。導入管16に導入された空気は、冷却部25において、所定の温度に冷却される。
【0022】
導出管18には、流量調整弁28が設けられている。冷却部25を通過した空気は、流量調整弁28によって流量が調整された上で、導出管18を通して装置本体14から導出される。なお、流量調整弁28は冷却部25の上流側に設けられてもよい。また、流量調整弁28を省略してもよい。
【0023】
制御盤20は、後述の温度検出器32によって検出された温度が所定の温度になるように、冷却部25及びヒータ31を制御する。また、制御盤20は、所定の空気流量になるように流量調整弁28を制御する。なお、流量調整弁28は、制御盤20によって制御されるのではなく、手動式の弁によって構成されてもよい。
【0024】
導出管18には、導出管18から導出された空気を流す配管30が接続されている。配管30は、柔軟な素材で構成されていて、柔軟に曲げることができる。配管30は、断熱されているため、配管30内の空気の温度が変化しにくい。
【0025】
配管30には、ヒータ31が設けられている。ヒータ31は、配管30の先端に設けられ、配管30を流れた空気を加熱可能に構成されている。ヒータ31を通過した空気は、ヒータ31から吹き出される。
【0026】
ヒータ31の下流側端部には、温度検出器32が設けられている。温度検出器32は、ヒータ31の後述する加熱エレメント34(図2参照)の周囲を流れた空気の温度を検出し、検出温度を示す信号を出力する。この信号は、装置本体14の制御盤20に送られる。
【0027】
図2に示すように、ヒータ31は、加熱エレメント34と、加熱エレメント34を収容する構成の外装体36と、を有する。
【0028】
外装体36は、金属製の管状の管本体36aと、管本体36aの内周面に固定された電気絶縁性の内管36bと、を含む。内管36bは、少なくとも加熱エレメント34が配置される領域において管本体36aに取り付けられている。なお、加熱エレメント34が電気絶縁性の被覆で覆われていて、管本体36a及び加熱エレメント34間の電気的絶縁が確保されている場合には、内管36bを省略し、外装体36を金属製の部材で構成することもできる。また、管本体36aが絶縁材料で構成される場合は、内管36bを省略してもよい。
【0029】
管本体36a(外装体36)は、一方向に延びる形状に形成されている。管本体36a(外装体36)内には空間(内部空間)S1があり、空間(内部空間)S1は、長手方向の一端部36cにおいて開口するとともに他端部36dにおいて開口する。
【0030】
管本体36a(外装体36)の一端部36cには、第1継手38が設けられており、この第1継手38を介して配管30が接続される。配管30に外装体36が接続されると、配管30内の空間は外装体36の内部空間S1に連通する。
【0031】
管本体36a(外装体36)の他端部36dは、内部空間S1が開口して空気の吹き出し部を構成する。
【0032】
また、管本体36a(外装体36)の他端部36dには、図外の吹き出し配管を接続可能なように第2継手40が設けられている。すなわち、外装体36の他端部36dの開口を供試体に向けて、この開口から吹き出される空気が供試体に直接吹き付けられるようにしてもよいが、第2継手40に図外の吹き出し配管を接続して、吹き出し配管を通して吹き出された空気が供試体に吹き付けられるようにしてもよい。
【0033】
第2継手40には、温度検出器32が取り付けられている。温度検出器32は、加熱エレメント34を通過してヒータ31から吹き出される空気の温度を検出する。なお、温度検出器32は、第2継手40に取り付けられるのではなく、管本体36a(外装体36)の他端部36dに取り付けられていてもよい。この場合でも、温度検出器32は、加熱エレメント34を通過した空気の温度を検出する。
【0034】
外装体36は、化粧板42によって覆われており、外装体36と化粧板42との間の空間には断熱材44が設けられている。なお、断熱材44及び化粧板42は省略可能である。
【0035】
外装体36の一端部36cと他端部36dとの間の中間部36eは、一端部36c及び他端部36dよりも大径に構成されている。つまり、外装体36の中間部36eの内径は一端部36c及び他端部36dの内径よりも大きい。この中間部36eは、加熱エレメント34を収容する収容部として機能する。内管36bは管本体36aの中間部36eにおける内周面に設けられている。なお、中間部36eの内径は一端部36c及び他端部36dの内径と同じであってもよい。
【0036】
加熱エレメント34は、電気を導通させることによって発熱する線材からなり、絶縁体からなる心棒46の周囲を取り囲むように配置されている。すなわち、加熱エレメント34は、外装体36の中間部36eと心棒46とによって区画される空間(収容空間S2)に配置されている。なお、収容空間S2は、内部空間S1の一部である。
【0037】
加熱エレメント34は、心棒46の周囲に巻回されつつ、心棒46の延びる方向の所定範囲に亘って配置されている。温度検出器32は加熱エレメント34から下流側に少し離れた位置に配置されている。なお、心棒46がなくても加熱エレメント34の保形性が確保されるのであれば、心棒46を省略することも可能である。
【0038】
加熱エレメント34の一端に繋がる一方のリード線47は、心棒46の中央に形成された貫通孔46a内に挿通されており、心棒46の基端から引き出された上で外装体36の外側に引き出されている。加熱エレメント34の他端に繋がるもう一方のリード線48は貫通孔46aに挿通されることなく、外装体36の外側に引き出されている。
【0039】
外装体36の中間部36eと心棒46とによって区画される収容空間S2における、空気の流れる方向(内部空間S1の延びる方向)に垂直な方向の断面積は、配管30内の空間における空気の流れる方向に垂直な方向の断面積とほぼ同じか、それよりも小さい。そして、収容空間S2に加熱エレメント34が配置されており、加熱エレメント34は、収容空間S2における空気の流れる方向に垂直な方向の断面積の半分以上(又は70%以上)を占めている。このため、収容空間S2において加熱エレメント34によって占められていない部分における、空気の流れる方向に垂直な方向の断面積は、配管30内の空間における空気の流れる方向に垂直な方向の断面積よりもかなり小さくなっている。したがって、加熱エレメント34は、収容空間S2内を流れる空気の抵抗体として機能する。
【0040】
加熱エレメント34は、外装体36の内面に接触していてもよく、あるいは外装体36の内面から離間していてもよい。ただし、加熱エレメント34と外装体36の内面との間の隙間幅はごく僅かであることが望ましい。この場合、加熱エレメント34と外装体36の内面との間を空気が流れることがある。このため、加熱エレメント34は収容空間S2を流れる空気の抵抗体として機能する。なお、加熱エレメント34が外装体36の内面に接触しないように配置される場合であっても、加熱エレメント34が発熱して膨張すると、加熱エレメント34が外装体36に接触する場合があり得る。
【0041】
また、加熱エレメント34は心棒46に密着しておらず僅かな隙間を有し、心棒46の長手方向における加熱エレメント34の変位が許容されている。このため、空気が収容空間S2を流れるときには、空気が加熱エレメント34と心棒46との間を流れることがある。したがって、加熱エレメント34は、加熱エレメント34と心棒46との間での空気の流れが許容されるように心棒46を取り囲みつつ空気の抵抗体として機能する。なお、加熱エレメント34と心棒46との間に隙間が形成されている必要はなく、空気が流れる際の圧力で加熱エレメント34が変位することによって、加熱エレメント34と心棒46との間に僅かな隙間ができて、その隙間を空気が流れる構成であってもよい。
【0042】
また、加熱エレメント34は、互いに隣接する線材間に僅かな隙間を有する。このため、空気は巻回された加熱エレメント34において互いに隣接する線材間をも通過し、このことによっても空気は減圧される。なお、加熱エレメント34において、互いに隣接する線材間に隙間が形成されていない構成であっても、空気が流れる際の圧力によって線材間に僅かな隙間ができて、この隙間を空気が流れる構成であってもよい。
【0043】
本実施形態に係る温調空気供給装置10では、冷却部25及びヒータ31が、温度検出器32の検出温度に基づいて制御盤20によって能力制御されており、装置本体14の導入管16に導入された空気(圧縮空気)は、冷却部25において冷却される。なお、必ずしも冷却部25による冷却が行われるとは限らない。
【0044】
冷却部25を通過した空気は、流量調整弁28によって流量が調整され、導出管18を通して配管30に流入する。配管30を流れた空気は、ヒータ31に流入し、外装体36の内部空間S1を流れる。そして、空気は加熱エレメント34を収容する収容空間S2に流入して、加熱エレメント34によって加熱される。なお、設定された目標の温度によっては、空気が加熱エレメント34によって加熱されない場合もある。
【0045】
空気は外装体36の内面と心棒46とによって区画される収容空間S2を流れる際、加熱エレメント34が空気の流れの抵抗体となるため、外装体36内を流れることによって、空気の圧力は低減される。収容空間S2を通過した所定の温度の空気はヒータ31から供試体に向けて吹き出されるが、このとき空気の圧力が低減されているため、吹き出し音が低減されている。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る温調空気供給装置10では、配管30を流れた空気がヒータ31に流入し、このヒータ31を通過した所望の温度の空気が供試体に向けて吹き出される。ヒータ31において外装体36内に収容された加熱エレメント34は、外装体36内を流れる空気の抵抗体となる。したがって、外装体36内を流れるうちに空気の圧力が低下するため、加圧された空気が配管30に導入される場合であっても、ヒータ31から吹き出されるときには、温調された低圧の空気となる。したがって、供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【0047】
また、外装体36内において、加熱エレメント34と外装体36の内面との間を空気が流れる際に空気の圧力が低下し、また加熱エレメント34と心棒46の外面との間を空気が流れる際に空気の圧力が低下する。したがって、空気がヒータ31から吹き出されるときには、空気は温調された低圧の空気となるため、供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【0048】
また、空気が配管30からヒータ31の外装体36の収容空間S2内に流入する際に、流路断面積が半分以下に低減される。このため、ヒータ31が空気の流動抵抗となって空気が減圧される。したがって、ヒータ31から供試体に向けて吹き出されるときの空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【0049】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、加熱エレメント34の収容空間S2において、外装体36の内面と加熱エレメント34との間を空気が流れ得る構成としているが、これに限られるものではない。空気が加熱エレメント34と心棒46との間のみを流れる構成であってもよい。
【0050】
また、加熱エレメント34の収容空間S2において、加熱エレメント34と心棒46との間を空気が流れ得る構成としているが、これに限られるものではない。空気が外装体36の内面と加熱エレメント34との間のみを流れる構成であってもよい。また、加熱エレメント34の収容空間S2において、外装体36の内面と加熱エレメント34との間及び加熱エレメント34と心棒46との間を空気が流れ得る構成としているが、これに限られるものではない。加熱エレメント34において、空気が互いに隣接する線材間のみを流れる構成であってもよい。
【0051】
また、収容空間S2のうちの加熱エレメント34によって占められていない部分の断面積が、配管30内の断面積の半分以下である構成としているが、導入される空気の圧力が余り高くない場合には、これに限られるものではない。
【0052】
図3に示すように、ヒータ31には、空気を撹拌可能なミキサー50が設けられていてもよい。ミキサー50は、加熱エレメント34を通過した空気において、周方向の温度偏りを緩和するものであり、外装体36の内部空間S1において加熱エレメント34よりも下流側の部分(他端部36d)に配置されている。ミキサー50が設けられることにより、ヒータ31から吹き出される空気に温度偏りが生ずることを抑制できる。また、ミキサー50が設けられることによって、吹き出し音の低減効果をより高められる可能性もある。
【0053】
図3においては、ミキサー50が温度検出器32よりも上流側(加熱エレメント34と温度検出器32との間)に配置されているが、この構成に代え、ミキサー50は、温度検出器32よりも下流側に配置されていてもよい。この場合、ミキサー50を交換しやすくなる。
【0054】
図4に示すように、第2継手40に、ミキサー50を内蔵する吹き出し配管52が接続されてもよい。ヒータ31を通過した空気はこの吹き出し配管52を通して吹き出される。この場合、温度検出器32の上流側及び下流側の双方にミキサー50が配置される構成となる。なお、管本体36a(外装体36)の他端部36dに設けられたミキサー50を省略してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 :温調空気供給装置
30 :配管
31 :ヒータ
34 :加熱エレメント
36 :外装体
46 :心棒
50 :ミキサー
S2 :収容空間
図1
図2
図3
図4