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特許7623249投射装置、投射制御方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】投射装置、投射制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/00 20060101AFI20250121BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G03B21/00 D
G03B21/14 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021138618
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032469
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-12-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-87596(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116526(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/201941(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/056198(WO,A1)
【文献】特開2013-235256(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0127333(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00, 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、
前記空間光変調器の前記変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当て、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの前記変調領域の各々に設定し、少なくとも二つの前記画像の各々の位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する制御部と、
前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの前記変調領域ごとに変調された変調光の光路上において前記変調領域ごとに配置され、前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの前記変調領域で変調された前記変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、前記変調光に含まれる0次光および前記所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する少なくとも二つの遮蔽器と、を備える投射装置。
【請求項2】
光源と、前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの変調領域ごとに変調された変調光の光路上において前記変調領域ごとに配置され、前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの前記変調領域で変調された前記変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、前記変調光に含まれる0次光および前記所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する少なくとも二つの遮蔽器と、を備える投射装置を制御する投射制御方法であって、
前記空間光変調器の前記変調部に少なくとも二つの前記変調領域を割り当て、
被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの前記変調領域の各々に設定し、
少なくとも二つの前記画像の各々の位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する、投射制御方法。
【請求項3】
光源と、前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、前記空間光変調器の前記変調部で変調され変調光の光路上に配置され、前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの変調領域ごとに変調された変調光の光路上において前記変調領域ごとに配置され、前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの前記変調領域で変調された前記変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、前記変調光に含まれる0次光および前記所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する少なくとも二つの遮蔽器と、を備える投射装置を制御するためのプログラムであって、
前記空間光変調器の前記変調部に少なくとも二つの前記変調領域を割り当てる処理と、
被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの前記変調領域の各々に設定する処理と、
少なくとも二つの前記画像の各々の位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間光を投射する投射装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信においては、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う。例えば、位相変調型の空間光変調器を含む投射装置を用いれば、フォーカスフリーで空間光信号を送信できる。位相変調型の空間光変調器を用いた投射装置によって投射された投射光には、ゴースト像を形成する光成分が含まれる。そのため、何らかの手法を用いて、投射光に含まれるゴースト像を形成する光成分を除去することが求められる。
【0003】
特許文献1には、位相変調型の空間光変調素子を用いた投射装置について開示されている。特許文献1の装置は、光源、光源駆動部、空間光変調素子、変調素子制御部、投射制御部、および投射光学系を備える。投射制御部は、ゴースト補償画像と所望画像とを含む画像の位相分布を、空間光変調部の表示部に表示させるように、光源駆動部および変調素子制御部を制御する。ゴースト補償画像は、被投射面に表示される表示情報の部分が明るい一方で、表示情報に付随して発生するゴースト像の部分が暗く、全体的に輝度が高く設定された画像である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/101097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置によれば、ゴースト補償画像と所望画像とを含む画像の位相分布を、空間光変調部の表示部に表示させることによって、被投射面においてゴースト像が視認されにくくなる。しかしながら、特許文献1の手法では、ゴースト像を視認されにくくすることはできるものの、ゴースト像を完全に除去することはできない。また、特許文献1の手法では、フーリエ変換レンズや投射レンズ等の投射光学系を用いて投射光を投射するため、投射光学系に起因する画像の劣化が発生する可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、投射光学系を用いずに、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を投射できる投射装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の投射装置は、光源と、光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された光の位相を変調部で変調する空間光変調器と、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当て、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定し、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する制御部と、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置され、空間光変調器の変調部に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する遮蔽器と、を備える。
【0008】
本開示の一態様の投射制御方法は、光源と、光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された光の位相を変調部で変調する空間光変調器と、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置され、空間光変調器の変調部で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する遮蔽器と、を備える投射装置を制御する投射制御方法であって、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当て、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定し、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、光源と、光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された光の位相を変調部で変調する空間光変調器と、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置され、空間光変調器の変調部で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する遮蔽器と、を備える投射装置を制御するためのプログラムであって、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる処理と、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する処理と、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、投射光学系を用いずに、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を投射できる投射装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
図2】第1の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部の領域分けについて説明するための概念図である。
図3】第1の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部で変調された変調光に含まれる不要な光成分について説明するための概念図である。
図4】第1の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部で変調された変調光が、投射光として投射される様子を示す概念図である。
図5】第1の実施形態に係る投射装置の遮蔽器による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。
図6】第2の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
図7】第2の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部の領域分けについて説明するための概念図である。
図8】第2の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部で変調された変調光が、投射光として投射される様子を示す概念図である。
図9】第2の実施形態に係る投射装置の遮蔽器による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。
図10】第3の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
図11】第3の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部で変調された変調光が、投射光として投射される様子を示す概念図である。
図12】第3の実施形態に係る投射装置の遮蔽器による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。
図13】第4の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
図14】第4の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部に設定される合成画像について説明するための概念図である。
図15】第4の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部で変調された変調光が、曲面ミラーに向けて進行する様子を示す概念図である。
図16】第4の実施形態に係る投射装置の遮蔽器による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。
図17】第4の実施形態に係る投射装置の光源から出射された光の集光点の一例を示す概念図である。
図18】第4の実施形態に係る投射装置の光源から出射された光の集光点の別の一例を示す概念図である。
図19】第5の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
図20】第5の実施形態に係る投射装置の光源と空間光変調器の位置関係の一例を示す概念図である。
図21】第5の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部で変調された変調光が、曲面ミラーに向けて進行する様子を示す概念図である。
図22】第5の実施形態に係る投射装置の遮蔽器による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。
図23】第6の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
図24】各実施形態に係る制御や処理を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0013】
以下の実施形態の説明に用いる全図において、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、光や信号の向きを限定するものではない。また、図面中の光の軌跡を示す線は、概念的なものであり、実際の光の進行方向や状態を正確に表すものではない。例えば、図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、回折、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることもある。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。例えば、本実施形態の投射装置は、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う光空間通信に用いられる。なお、本実施形態の投射装置は、空間を伝搬する光を投射する用途であれば、光空間通信以外の用途に用いられてもよい。
【0015】
(構成)
図1は、本実施形態の投射装置10の構成の一例を示す概念図である。投射装置10は、光源11、空間光変調器13、遮蔽器15、および制御部17を備える。光源11、空間光変調器13、および遮蔽器15は、投射部100を構成する。図1は、投射装置10の内部構成を横方向から見た側面図である。図1は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0016】
光源11は、出射器111とレンズ112を含む。出射器111は、制御部17の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光101を出射する。光源11から出射されるレーザ光101の波長は、特に限定されず、用途に応じて選定されればよい。例えば、出射器111は、可視や赤外の波長帯のレーザ光101を出射する。例えば、800~900ナノメートル(nm)の近赤外線であれば、レーザクラスを上げられるので、他の波長帯よりも1桁くらい感度を向上できる。例えば、1.55マイクロメートル(μm)の波長帯の赤外線ならば、高出力のレーザ光源を用いることができる。1.55μmの波長帯の赤外線のレーザ光源としては、アルミニウムガリウムヒ素リン(AlGaAsP)系レーザ光源や、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)系レーザ光源などを用いることができる。レーザ光101の波長が長い方が、回折角を大きくでき、高いエネルギーに設定できる。
【0017】
レンズ112は、出射器111から出射されたレーザ光101を、空間光変調器13の変調部130の大きさに合わせて拡大する。出射器111から出射されたレーザ光101は、レンズ112によって拡大され、光源11から出射される。光源11から出射された光102は、空間光変調器13の変調部130に向けて進行する。
【0018】
空間光変調器13は、光102が照射される変調部130を有する。空間光変調器13の変調部130には、光源11から出射された光102が照射される。空間光変調器13の変調部130には、制御部17の制御に応じて、投射光105によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器13の変調部130に入射した光102は、空間光変調器13の変調部130に設定されたパターンに応じて変調される。空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103は、遮蔽器15の方向に向けて進行する。
【0019】
例えば、空間光変調器13は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。例えば、空間光変調器13は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって実現できる。また、空間光変調器13は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。位相変調型の空間光変調器13では、投射光105を投射する箇所を順次切り替えるように動作させることによって、エネルギーを像の部分に集中することができる。そのため、位相変調型の空間光変調器13を用いる場合、光源11の出力が同じであれば、その他の方式と比べて画像を明るく表示させることができる。
【0020】
図2は、空間光変調器13の変調部130の領域分けについて説明するための概念図である。空間光変調器13の変調部130には、第1変調領域131と第2変調領域132が設定される。第1変調領域131には、目的画像155の左側の範囲の画像(第1画像135とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第1画像135には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。図2においては、第1画像135を図示するが、実際には、第1画像135を形成するための位相画像が第1変調領域131に設定される。第2変調領域132には、目的画像155の右側の範囲の画像(第2画像136とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第2画像136には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。図2においては、第2画像136を図示するが、実際には、第2画像136を形成するための位相画像が第2変調領域132に設定される。なお、第1画像135、第2画像136、および目的画像155は、一例であって、投射装置10から投射される投射光によって表示される画像を限定するものではない。例えば、第1画像135および第2画像136のうちいずれか一方にしか表示対象の所望画像が含まれない場合、表示対象の所望画像が含まれる方の画像の位相画像だけ、変調部130に設定されればよい。
【0021】
空間光変調器13の変調部130に割り当てられた第1変調領域131および第2変調領域132の各々は、複数の領域に分割される(タイリングとも呼ぶ)。例えば、第1変調領域131および第2変調領域132の各々は、所望のアスペクト比の四角形の領域(タイルとも呼ぶ)に分割される。複数のタイルの各々は、複数の画素によって構成される。第1変調領域131および第2変調領域132に設定された複数のタイルの各々には、位相画像が割り当てられる。
【0022】
変調部130に割り当てられた複数のタイルの各々には、位相画像がタイリングされる。例えば、複数のタイルの各々には、予め生成された位相画像が設定される。複数のタイルの各々には、投射される画像に対応する位相画像が設定される。第1変調領域131のタイルには、第1画像135を形成するための位相画像が設定される。第2変調領域132のタイルには、第2画像136を形成するための位相画像が設定される。複数のタイルに位相画像が設定された状態で、変調部130に光102が照射されると、各タイルの位相画像に対応する画像を形成する変調光103が出射される。変調部130に設定されるタイルが多いほど、鮮明な画像を表示させることができるが、各タイルの画素数が低下すると解像度が低下する。そのため、変調部130に設定されるタイルの大きさや数は、用途に応じて設定される。
【0023】
図3は、空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103に含まれる不要な光成分について説明するための概念図である。遮蔽器15を用いずに、空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103を投射すると、目的画像155に含まれる所望画像の高次成分(ゴースト像)や0次光が、所望画像とともに表示される。例えば、第1変調領域131で変調された変調光103-1によって表示される画像141には、所望画像1511(A)に加えて、0次光1410とゴースト像1412が含まれる。例えば、第2変調領域132で変調された変調光103-2によって表示される画像142には、所望画像1521(B)に加えて、0次光1420とゴースト像1412が含まれる。本実施形態では、0次光とゴースト像を含む不要領域を遮蔽器15によって遮蔽し、画像領域の像を形成する投射光105を投射する。投射光105は、所望画像1511(A)と所望画像1521(B)を含む目的画像155を、被投射面に表示させる。図3のように、ゴースト像は、0次光を中心として、所望画像に対して点対称の位置に表示される。そのため、0次光を含めてゴースト像を除去するために、画像領域よりもやや広めに、不要領域が設定されることが好ましい。
【0024】
図4は、空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103が、投射光105として投射される様子を示す概念図である。図4は、投射装置10の内部構成を上方向から見た平面図である。図4においては、光源11を省略する。図4は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0025】
遮蔽器15は、第1遮蔽器15-1と第2遮蔽器15-2によって構成される。第1遮蔽器15-1は、第1変調領域131で変調された変調光103-1の光路上に配置される。第1遮蔽器15-1は、第1画像135の不要領域を遮蔽する位置に配置される。第2遮蔽器15-2は、第2変調領域132で変調された変調光103-2の光路上に配置される。第2遮蔽器15-2は、第2画像136の不要領域を遮蔽する位置に配置される。
【0026】
図5は、遮蔽器15による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。図5には、空間光変調器13の変調部130に設定される位相画像に対応する画像や、遮蔽器15の前後の光によって形成される画像、被投射面に表示される目的画像155の一例を示す。なお、図5に示す画像は、概念的なものであって、大きさや形状、向き、位置等を正確に示すものではない。
【0027】
第1変調領域131には、目的画像155の左側の範囲の第1画像135に対応する位相画像が設定される。図5においては、第1画像135を図示するが、実際には、第1画像135を形成するための位相画像が第1変調領域131に設定される。第1画像135を形成するための位相画像が設定された第1変調領域131に光102が照射されると、第1遮蔽器15-1の方向に向けて、第1画像135を形成する変調光103-1(破線)が出射される。第1遮蔽器15-1を通過する前の変調光103-1は、不要な光成分を含む画像141を形成する。第1遮蔽器15-1は、変調光103-1に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第1変調領域131で変調された変調光103-1によって表示される画像141に含まれる不要領域(右側)を、第1遮蔽器15-1が遮蔽する。第1遮蔽器15-1を通過した変調光103-1には、0次光1410やゴースト像1412などの不要な光成分が含まれない。そのため、第1遮蔽器15-1を通過した後の変調光103-1は、不要な光成分を含まない画像151を形成する。
【0028】
第2変調領域132には、目的画像155の右側の範囲の第2画像136に対応する位相画像が設定される。図5においては、第2画像136を図示するが、実際には、第2画像136を形成するための位相画像が第2変調領域132に設定される。第2画像136を形成するための位相画像が設定された第2変調領域132に光102が照射されると、第2遮蔽器15-2の方向に向けて、第2画像136を形成する変調光103-2(一点鎖線)が出射される。第2遮蔽器15-2を通過する前の変調光103-2は、不要な光成分を含む画像142を形成する。第2遮蔽器15-2は、変調光103-2に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第2変調領域132で変調された変調光103-2によって表示される画像142に含まれる不要領域(左側)を、第2遮蔽器15-2が遮蔽する。第2遮蔽器15-2を通過した変調光103-2には、0次光1420やゴースト像1412などの不要な光成分が含まれない。そのため、第2遮蔽器15-2を通過した後の変調光103-2は、不要な光成分を含まない画像152を形成する。
【0029】
第1遮蔽器15-1および第2遮蔽器15-2によって構成される遮蔽器15を通過した変調光103は、0次光やゴースト像などの不要な光成分を含まない投射光105として、投射装置10から投射される。投射光105には、第1変調領域131で変調された光成分と、第2変調領域132で変調された光成分とが含まれる。投射光105は、画像141の画像領域に含まれる所望画像1511(A)と、画像142の画像領域に含まれる所望画像1521(B)とを含む目的画像155を、被投射面に表示させる。
【0030】
制御部17は、光源11および空間光変調器13を制御する。例えば、制御部17は、プロセッサとメモリを含むマイクロコンピュータによって実現される。制御部17は、空間光変調器13の変調部130に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を、第1変調領域131および第2変調領域132の各々に設定する。例えば、制御部17は、画像表示や通信、測距など、用途に応じた画像に対応する位相画像を変調部130に設定する。投射される画像の位相画像は、記憶部(図示しない)に予め記憶させておけばよい。投射される画像の形状や大きさには、特に限定を加えない。
【0031】
空間光変調器13の変調部130に照射される光102の位相と、変調部130で反射される変調光103の位相との差分を決定づけるパラメータが変化するように、制御部17が、空間光変調器13を駆動する。例えば、パラメータは、屈折率や光路長などの光学的特性に関する値である。例えば、制御部17は、空間光変調器13の変調部130に印可する電圧を変化させることによって、変調部130の屈折率を調節する。位相変調型の空間光変調器13の変調部130に照射された光102の位相分布は、変調部130の光学的特性に応じて変調される。なお、制御部17による空間光変調器13の駆動方法は、空間光変調器13の変調方式に応じて決定される。
【0032】
表示される画像に対応する位相画像が、変調部130の第1変調領域131および第2変調領域132の各々に設定された状態で、制御部17が、光源11の出射器111を駆動させる。その結果、空間光変調器13の変調部130に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源11から出射された光102が空間光変調器13の変調部130に照射される。空間光変調器13の変調部130に照射された光102は、空間光変調器13の変調部130の第1変調領域131および第2変調領域132の各々において変調される。空間光変調器13の変調部130の第1変調領域131および第2変調領域132の各々において変調された変調光103は、遮蔽器15の方向に向けて進行する。
【0033】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、および制御部を備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる。制御部は、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する。制御部は、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器は、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置される。遮蔽器は、空間光変調器の変調部に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させる。遮蔽器は、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、少なくとも二つの変調領域で変調された変調光に含まれる0次光を遮蔽する位置に配置される。
【0034】
制御部は、空間光変調器の変調部に第1変調領域と第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像を構成する第1画像および第2画像の各々の位相画像を、第1変調領域および第2変調領域の各々に設定する。遮蔽器は、第1変調領域および第2変調領域の各々で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。
【0035】
本実施形態において、制御部は、空間光変調器の変調部の左半分に第1変調領域を割り当てる。制御部は、空間光変調器の変調部の右半分に第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像の左半分に相当する第1画像の位相画像を第1変調領域に設定する。制御部は、目的画像の右半分に相当する第2画像の位相画像を第2変調領域に設定する。遮蔽器は、第1遮蔽器と第2遮蔽器によって構成される。第1遮蔽器は、第1変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。第2遮蔽器は、第2変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。
【0036】
本実施形態の投射装置は、第1変調領域に設定された位相分布によって形成される第1画像と、第2変調領域に設定された位相分布によって形成される第2画像とによって構成される目的画像を、被投射面に表示させる。本実施形態の投射装置は、フーリエ変換レンズや投射レンズを含まない。本実施形態の投射装置は、ゴースト像を含む不要領域の光成分を、二つの遮蔽器で遮蔽する。すなわち、本実施形態の投射装置によれば、投射光学系を用いずに、二つの遮蔽器を用いて、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を投射できる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、空間光変調器の変調部の長軸と短軸を入れ替えて、変調部を水平方向に分割する点において、第1の実施形態の投射装置とは異なる。
【0038】
(構成)
図6は、本実施形態の投射装置20の構成の一例を示す概念図である。投射装置20は、光源21、空間光変調器23、遮蔽器25、および制御部27を備える。光源21、空間光変調器23、および遮蔽器25は、投射部200を構成する。図6は、投射装置20の内部構成を上方向から見た平面図である。投射装置20の内部構成は、第1の実施形態の投射装置10の内部構成を90度横に倒した構成を有する。図6は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0039】
光源21は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。光源21は、出射器211とレンズ212を含む。出射器211は、制御部27の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光201を出射する。レンズ212は、出射器211から出射されたレーザ光201を、空間光変調器23の変調部230の大きさに合わせて拡大する。出射器211から出射されたレーザ光201は、レンズ212によって拡大され、光源21から出射される。光源21から出射された光202は、空間光変調器23の変調部230に向けて進行する。
【0040】
空間光変調器23は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器23は、光202が照射される変調部230を有する。空間光変調器23の変調部230には、光源21から出射された光202が照射される。空間光変調器23の変調部230には、制御部27の制御に応じて、投射光205によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器23の変調部230に入射した光202は、空間光変調器23の変調部230に設定されたパターンに応じて変調される。空間光変調器23の変調部230で変調された変調光203は、遮蔽器25の方向に向けて進行する。
【0041】
図7は、空間光変調器23の変調部230の領域分けについて説明するための概念図である。空間光変調器23の変調部230には、第1変調領域231と第2変調領域232が設定される。第1変調領域231には、目的画像255の下側の範囲の画像(第1画像235とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第1画像235には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。図7においては、第1画像235を図示するが、実際には、第1画像235を形成するための位相画像が第1変調領域231に設定される。第2変調領域232には、目的画像255の上側の範囲の画像(第2画像236とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第2画像236には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。図7においては、第2画像236を図示するが、実際には、第2画像236を形成するための位相画像が第2変調領域232に設定される。なお、第1画像235、第2画像236、および目的画像255は、一例であって、投射装置20から投射される投射光によって表示される画像を限定するものではない。
【0042】
図8は、空間光変調器23の変調部230で変調された変調光203が、投射光205として投射される様子を示す概念図である。図8は、投射装置20の内部構成を側方から見た側面図である。図8においては、光源21を省略する。図8は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0043】
遮蔽器25は、第1の実施形態の遮蔽器15と同様の構成である。遮蔽器25は、第1遮蔽器25-1と第2遮蔽器25-2によって構成される。第1遮蔽器25-1は、第1変調領域231で変調された変調光203-1の光路上に配置される。第1遮蔽器25-1は、第1画像235の不要領域を遮蔽する位置に配置される。第2遮蔽器25-2は、第2変調領域232で変調された変調光203-2の光路上に配置される。第2遮蔽器25-2は、第2画像236の不要領域を遮蔽する位置に配置される。
【0044】
図9は、遮蔽器25による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。図9には、空間光変調器23の変調部230に設定される位相画像に対応する画像や、遮蔽器25の前後の光によって形成される画像、被投射面に表示される目的画像の一例を示す。なお、図9に示す画像は、概念的なものであって、大きさや形状、向き、位置等を正確に示すものではない。
【0045】
第1変調領域231には、目的画像255の下側の範囲の第1画像235に対応する位相画像が設定される。図9においては、第1画像235を図示するが、実際には、第1画像235を形成するための位相画像が第1変調領域231に設定される。第1画像235を形成するための位相画像が設定された第1変調領域231に光202が照射されると、第1遮蔽器25-1の方向に向けて、第1画像235を形成する変調光203-1(破線)が出射される。第1遮蔽器25-1を通過する前の変調光203-1は、不要な光成分を含む画像241を形成する。第1遮蔽器25-1は、変調光203-1に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第1遮蔽器25-1は、第1変調領域231で変調された変調光203-1によって表示される画像241に含まれる不要領域(上側)を遮蔽する。第1遮蔽器25-1を通過した変調光203-1には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、第1遮蔽器25-1を通過した後の変調光203-1は、不要な光成分を含まない画像251を形成する。
【0046】
第2変調領域232には、目的画像255の上側の範囲の第2画像236に対応する位相画像が設定される。図9においては、第2画像236を図示するが、実際には、第2画像236を形成するための位相画像が第2変調領域232に設定される。第2画像236を形成するための位相画像が設定された第2変調領域232に光202が照射されると、第2遮蔽器25-2の方向に向けて、第2画像236を形成する変調光203-2(一点鎖線)が出射される。第2遮蔽器25-2を通過する前の変調光203-2は、不要な光成分を含む画像242を形成する。第2遮蔽器25-2は、変調光203-2に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第2遮蔽器25-2は、第2変調領域232で変調された変調光203-2によって表示される画像242に含まれる不要領域(下側)を遮蔽する。第2遮蔽器25-2を通過した変調光203-2には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、第2遮蔽器25-2を通過した後の変調光203-2は、不要な光成分を含まない画像252を形成する。
【0047】
第1遮蔽器25-1および第2遮蔽器25-2によって構成される遮蔽器25を通過した変調光203は、0次光やゴースト像などの不要な光成分を含まない投射光205として投射される。投射光205には、第1変調領域231で変調された光成分と、第2変調領域232で変調された光成分とが含まれる。投射光205は、画像241の画像領域に含まれる所望画像(A)と、画像242の画像領域に含まれる所望画像(B)とを含む目的画像255を、被投射面に表示させる。
【0048】
制御部27は、第1の実施形態の制御部17と同様の構成である。制御部27は、光源21および空間光変調器23を制御する。制御部27は、空間光変調器23の変調部230に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を、第1変調領域231および第2変調領域232の各々に設定する。
【0049】
表示される画像に対応する位相画像が、変調部230の第1変調領域231および第2変調領域232の各々に設定された状態で、制御部27が、光源21の出射器211を駆動させる。その結果、空間光変調器23の変調部230に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源21から出射された光202が空間光変調器23の変調部230に照射される。空間光変調器23の変調部230に照射された光202は、空間光変調器23の変調部230の第1変調領域231および第2変調領域232の各々において変調される。空間光変調器23の変調部230の第1変調領域231および第2変調領域232の各々において変調された変調光203は、遮蔽器25の方向に向けて進行する。
【0050】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、および制御部を備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる。制御部は、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する。制御部は、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器は、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置される。遮蔽器は、空間光変調器の変調部に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させる。遮蔽器は、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、少なくとも二つの変調領域で変調された変調光に含まれる0次光を遮蔽する位置に配置される。
【0051】
制御部は、空間光変調器の変調部に第1変調領域と第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像を構成する第1画像および第2画像の各々の位相画像を、第1変調領域および第2変調領域の各々に設定する。遮蔽器は、第1変調領域および第2変調領域の各々で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。
【0052】
本実施形態において、制御部は、空間光変調器の変調部の上半分に第1変調領域を割り当てる。制御部は、空間光変調器の変調部の下半分に第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像の下半分に相当する第1画像の位相画像を第1変調領域に設定する。制御部は、目的画像の上半分に相当する第2画像の位相画像を第2変調領域に設定する。遮蔽器は、第1遮蔽器と第2遮蔽器によって構成される。第1遮蔽器は、第1変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。第2遮蔽器は、第2変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。
【0053】
本実施形態の投射装置は、第1変調領域に設定された位相分布によって形成される第1画像と、第2変調領域に設定された位相分布によって形成される第2画像とによって構成される目的画像を、被投射面に表示させる。本実施形態の投射装置は、フーリエ変換レンズや投射レンズを含まない。本実施形態の投射装置は、ゴースト像を含む不要領域の光成分を、二つの遮蔽器で遮蔽する。すなわち、本実施形態の投射装置によれば、二つの遮蔽器を用いて、投射光学系を用いずに、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を投射できる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、単一の遮蔽器を用いて、不要な光成分を遮蔽する点において、第1の実施形態の投射装置とは異なる。本実施形態の投射装置は、第2の実施形態の投射装置の構成と組み合わせてもよい。本実施形態においては、空間光変調器の変調部が左右に二分割される系について説明する。本実施形態の手法は、空間光変調器の変調部が上下に二分割される系にも適用できる。
【0055】
(構成)
図10は、本実施形態の投射装置30の構成の一例を示す概念図である。投射装置30は、光源31、空間光変調器33、遮蔽器35、および制御部37を備える。光源31、空間光変調器33、および遮蔽器35は、投射部300を構成する。図10は、投射装置30の内部構成を側方から見た側面図である。遮蔽器35は、単一の部品である。図10は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0056】
光源31は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。光源31は、出射器311とレンズ312を含む。出射器311は、制御部37の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光301を出射する。レンズ312は、出射器311から出射されたレーザ光301を、空間光変調器33の変調部330の大きさに合わせて拡大する。出射器311から出射されたレーザ光301は、レンズ312によって拡大され、光源31から出射される。光源31から出射された光302は、空間光変調器33の変調部330に向けて進行する。
【0057】
空間光変調器33は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器33は、光302が照射される変調部330を有する。空間光変調器33の変調部330の領域分けは、第1の実施形態と同様である。空間光変調器33の変調部330には、光源31から出射された光302が照射される。空間光変調器33の変調部330には、制御部37の制御に応じて、投射光305によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器33の変調部330に入射した光302は、空間光変調器33の変調部330に設定されたパターンに応じて変調される。空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303は、遮蔽器35の方向に向けて進行する。
【0058】
図11は、空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303が、投射光305として投射される様子を示す概念図である。図11は、投射装置30の内部構成を上方向から見た側面図である。図11においては、光源31を省略する。図11は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。空間光変調器33の変調部330には、第1変調領域331と第2変調領域332が設定される。第1変調領域331には、目的画像の右側の範囲の画像(第1画像とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第2変調領域332には、目的画像の左側の範囲の画像(第2画像とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第1画像および第2画像の各々には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。
【0059】
遮蔽器35、第1変調領域331で変調された変調光303-1と、第2変調領域332で変調された変調光303-2との光路上に配置される。遮蔽器35は、第1画像の不要領域と、第2画像の不要領域とを遮蔽する位置に配置される。図12の例では、遮蔽器35は、変調光303の光路の中央に配置される。
【0060】
図12は、遮蔽器35による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。図12には、空間光変調器33の変調部330に設定される位相画像に対応する画像や、遮蔽器35の前後の光によって形成される画像、被投射面に表示される目的画像の一例を示す。なお、図12に示す画像は、概念的なものであって、大きさや形状、向き、位置等を正確に示すものではない。
【0061】
第1変調領域331には、目的画像355の右側の範囲の第1画像335に対応する位相画像が設定される。図12においては、第1画像335を図示するが、実際には、第1画像335を形成するための位相画像が第1変調領域331に設定される。第1画像335を形成するための位相画像が設定された第1変調領域331に光302が照射されると、遮蔽器35の方向に向けて、第1画像335を形成する変調光303-1(破線)が出射される。遮蔽器35を通過する前の変調光303-1は、不要な光成分を含む画像341を形成する。遮蔽器35は、変調光303-1に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、遮蔽器35は、第1変調領域331で変調された変調光303-1によって表示される画像341に含まれる不要領域(左側)を遮蔽する。遮蔽器35を通過した変調光303-1には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、遮蔽器35を通過した後の変調光303-1は、不要な光成分を含まない画像351を形成する。
【0062】
第2変調領域332には、目的画像355の左側の範囲の第2画像336に対応する位相画像が設定される。図12においては、第2画像336を図示するが、実際には、第2画像336を形成するための位相画像が第2変調領域332に設定される。第2画像336を形成するための位相画像が設定された第2変調領域332に光302が照射されると、遮蔽器35の方向に向けて、第2画像336を形成する変調光303-2(一点鎖線)が出射される。遮蔽器35を通過する前の変調光303-2は、不要な光成分を含む画像342を形成する。遮蔽器35は、変調光303-2に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、遮蔽器35は、第2変調領域332で変調された変調光303-2によって表示される画像342に含まれる不要領域(右側)を遮蔽する。遮蔽器35を通過した変調光303-2には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、遮蔽器35を通過した後の変調光303-2は、不要な光成分を含まない画像352を形成する。
【0063】
遮蔽器35を通過した変調光303は、0次光やゴースト像などの不要な光成分を含まない投射光305として投射される。投射光305には、第1変調領域331で変調された光成分と、第2変調領域332で変調された光成分とが含まれる。投射光305は、画像341の画像領域に含まれる所望画像(A)と、画像342の画像領域に含まれる所望画像(B)とを含む目的画像355を、被投射面に表示させる。
【0064】
制御部37は、第1の実施形態の制御部17と同様の構成である。制御部37は、光源31および空間光変調器33を制御する。制御部37は、空間光変調器33の変調部330に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を、第1変調領域331および第2変調領域332の各々に設定する。
【0065】
表示される画像に対応する位相画像が、変調部330の第1変調領域331および第2変調領域332の各々に設定された状態で、制御部37が、光源31の出射器311を駆動させる。その結果、空間光変調器33の変調部330に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源31から出射された光302が空間光変調器33の変調部330に照射される。空間光変調器33の変調部330に照射された光302は、空間光変調器33の変調部330の第1変調領域331および第2変調領域332の各々において変調される。空間光変調器33の変調部330の第1変調領域331および第2変調領域332の各々において変調された変調光303は、遮蔽器35の方向に向けて進行する。
【0066】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、および制御部を備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる。制御部は、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する。制御部は、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器は、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置される。遮蔽器は、空間光変調器の変調部に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させる。遮蔽器は、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、少なくとも二つの変調領域で変調された変調光に含まれる0次光を遮蔽する位置に配置される。
【0067】
制御部は、空間光変調器の変調部に第1変調領域と第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像を構成する第1画像および第2画像の各々の位相画像を、第1変調領域および第2変調領域の各々に設定する。遮蔽器は、第1変調領域および第2変調領域の各々で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。
【0068】
本実施形態において、制御部は、空間光変調器の変調部の左半分に第1変調領域を割り当てる。制御部は、空間光変調器の変調部の右半分に第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像の右半分に相当する第1画像の位相画像を第1変調領域に設定する。制御部は、目的画像の左半分に相当する第2画像の位相画像を第2変調領域に設定する。遮蔽器は、第1変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分と、第2変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分と、を遮蔽する位置に配置される。
【0069】
また、本実施形態の一態様において、制御部は、空間光変調器の変調部の上半分に第1変調領域を割り当てる。制御部は、空間光変調器の変調部の下半分に第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像の上半分に相当する第1画像の位相画像を第1変調領域に設定する。制御部は、目的画像の下半分に相当する第2画像の位相画像を第2変調領域に設定する。遮蔽器は、第1変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分と、第2変調領域で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分と、を遮蔽する位置に配置される。
【0070】
本実施形態の投射装置は、第1変調領域に設定された位相分布によって形成される第1画像と、第2変調領域に設定された位相分布によって形成される第2画像とによって構成される目的画像を、被投射面に表示させる。本実施形態の投射装置は、ゴースト像を含む不要領域の光成分を、単一の遮蔽器で遮蔽する。すなわち、本実施形態の投射装置によれば、投射光学系を用いずに、単一の遮蔽器を用いて、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を投射できる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、投射光を拡大投射する曲面ミラーを含む点において、第1の実施形態の投射装置とは異なる。本実施形態の投射装置は、第2~第3の実施形態の投射装置と組み合わせてもよい。
【0072】
(構成)
図13は、本実施形態の投射装置40の構成の一例を示す概念図である。投射装置40は、光源41、空間光変調器43、遮蔽器45、曲面ミラー46、および制御部47を備える。光源41、空間光変調器43、曲面ミラー46、および遮蔽器45は、投射部400を構成する。図13は、投射装置30の内部構成を側方から見た側面図である。図13は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0073】
光源41は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。光源41は、出射器411とレンズ412を含む。出射器411は、制御部47の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光401を出射する。レンズ412は、出射器411から出射されたレーザ光401を、空間光変調器43の変調部430の大きさに合わせて拡大する。出射器411から出射されたレーザ光401は、レンズ412によって拡大され、光源41から出射される。光源41から出射された光402は、空間光変調器43の変調部430に向けて進行する。
【0074】
空間光変調器43は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器43は、光402が照射される変調部430を有する。空間光変調器43の変調部430の領域分けは、第1の実施形態と同様である。空間光変調器43の変調部430には、光源41から出射された光402が照射される。空間光変調器43の変調部430には、制御部47の制御に応じて、投射光405によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器43の変調部430に入射した光402は、空間光変調器43の変調部430に設定されたパターンに応じて変調される。空間光変調器43の変調部430で変調された変調光403は、遮蔽器45の方向に向けて進行する。変調光403は、第1変調領域431で変調された変調光403-1と、第2変調領域432で変調された変調光403-2とを含む。
【0075】
図14は、制御部47によって、空間光変調器43の変調部430に設定されるパターンの一例を示す概念図である。空間光変調器43の変調部430には、合成画像4330が設定される。合成画像4330は、位相画像4310と仮想レンズ画像4320とが合成されたパターンである。位相画像4310は、被投射面において、所望の画像を形成するためのパターンである。仮想レンズ画像4320は、所望の画像を形成する光を集光させるパターンである。光の波面は、回折と同様に、位相制御によって制御できる。位相が球状に変化すると、波面に球状の差ができてレンズ効果が発生する。仮想レンズ画像4320は、空間光変調器43の変調部430に照射される光402の位相を球状に変化させ、所定の焦点距離の位置(第2集光点とも呼ぶ)に集光するレンズ効果を発生させる。仮想レンズ画像4320によって集光された像は、曲面ミラー46の反射面460に結像される。例えば、合成画像4330は、予め生成させておき、記憶部(図示しない)に記憶させておけばよい。なお、図14は、一例であって、位相画像4310や仮想レンズ画像4320、合成画像4330のパターンを限定するものではない。位相画像4310と仮想レンズ画像4320を合成した合成画像4330は、第1~第3の実施形態にも適用できる。
【0076】
図15は、空間光変調器43の変調部430で変調された変調光403が、曲面ミラー46に向けて進行する様子を示す概念図である。図15は、投射装置40の内部構成を上方向から見た側面図である。図15においては、光源41を省略する。図15は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。空間光変調器43の変調部430には、第1変調領域431と第2変調領域432が設定される。第1変調領域431には、目的画像の鏡像の右側の範囲の画像(第1画像とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第2変調領域432には、目的画像の鏡像の左側の範囲の画像(第2画像とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第1画像および第2画像の各々には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。
【0077】
遮蔽器45は、第1の実施形態の遮蔽器15と同様の構成である。遮蔽器45は、第1遮蔽器45-1と第2遮蔽器45-2によって構成される。第1遮蔽器45-1は、第1変調領域431で変調された変調光403-1の光路上に配置される。第1遮蔽器45-1は、第1画像435の不要領域を遮蔽する位置に配置される。第2遮蔽器45-2は、第2変調領域432で変調された変調光403-2の光路上に配置される。第2遮蔽器45-2は、第2画像436の不要領域を遮蔽する位置に配置される。
【0078】
図16は、遮蔽器45による、不要な光成分の遮蔽について説明するための概念図である。図16には、空間光変調器43の変調部430に設定される位相画像に対応する画像や、遮蔽器45の前後の光によって形成される画像、曲面ミラー46の反射面460に表示される画像、被投射面に表示される目的画像の一例を示す。なお、図16に示す画像は、概念的なものであって、大きさや形状、向き、位置等を正確に示すものではない。本実施形態では、曲面ミラー46を用いて投射光405を投射するため、曲面ミラー46の反射面460において、目的画像475の鏡像(画像465)が形成される。画像465は、曲面ミラー46による画像の拡大方向/拡大率に応じて形成されるように設定される。図16において、画像の拡大方向/拡大率については、正確に示されない。
【0079】
第1変調領域431には、目的画像475の鏡像(画像465)の右側の範囲の第1画像435に対応する位相画像が設定される。図16においては、第1画像435を図示するが、実際には、第1画像435を形成するための位相画像が第1変調領域431に設定される。第1画像435を形成するための位相画像が設定された第1変調領域431に光402が照射されると、第1遮蔽器45-1の方向に向けて、第1画像435を形成する変調光403-1(破線)が出射される。第1遮蔽器45-1を通過する前の変調光403-1は、不要な光成分を含む画像441を形成する。第1遮蔽器45-1は、変調光403-1に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第1遮蔽器45-1は、第1変調領域431で変調された変調光403-1によって表示される画像441に含まれる不要領域(左側)を遮蔽する。第1遮蔽器45-1を通過した変調光403-1には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、第1遮蔽器45-1を通過した後の変調光403-1は、不要な光成分を含まない画像451を形成する。
【0080】
第2変調領域432には、目的画像475の鏡像(画像465)の左側の範囲の第2画像436に対応する位相画像が設定される。図16においては、第2画像436を図示するが、実際には、第2画像436を形成するための位相画像が第2変調領域432に設定される。第2画像436を形成するための位相画像が設定された第2変調領域432に光402が照射されると、第2遮蔽器45-2の方向に向けて、第2画像436を形成する変調光403-2(一点鎖線)が出射される。第2遮蔽器45-2を通過する前の変調光403-2は、不要な光成分を含む画像442を形成する。第2遮蔽器45-2は、変調光403-2に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第2遮蔽器45-2は、第2変調領域432で変調された変調光403-2によって表示される画像442に含まれる不要領域(右側)を遮蔽する。第2遮蔽器45-2を通過した変調光403-2には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、第2遮蔽器45-2を通過した後の変調光403-2は、不要な光成分を含まない画像452を形成する。
【0081】
遮蔽器45を通過した変調光403は、曲面ミラー46に向けて進行する。遮蔽器45を通過した変調光403には、第1変調領域431で変調された光成分と、第2変調領域432で変調された光成分とが含まれる。曲面ミラー46の反射面460には、0次光やゴースト像などの不要な光成分を含まない目的画像475の鏡像(画像465)が結像される。
【0082】
曲面ミラー46は、曲面状の反射面460を有する反射鏡である。曲面ミラー46の反射面460は、投射光405の投射角に合わせた曲率を有する。図13の例の場合、曲面ミラー46の反射面460は、円柱の側面の形状を有する。例えば、曲面ミラー46の反射面460は、球面でもよい。例えば、曲面ミラー46の反射面460は、自由曲面であってもよい。例えば、曲面ミラー46の反射面460は、単一の曲面ではなく、複数の曲面を組み合わせた形状であってもよい。例えば、曲面ミラー46の反射面460は、曲面と平面を組み合わせた形状であってもよい。
【0083】
曲面ミラー46は、空間光変調器43の変調部430に反射面460を向けて、変調光403の光路上に配置される。曲面ミラー46の反射面460には、空間光変調器43の変調部430で変調され、遮蔽器45で遮られなかった変調光403が照射される。曲面ミラー46の反射面460で反射された光(投射光405)は、反射面460の曲率に応じた拡大率で拡大される。投射装置40は、反射面460の曲率に応じて拡大された投射光405を投射する。曲面ミラー46の反射面460で反射された変調光403は、水平面に対して垂直な方向(図13の紙面における上下方向)に拡大され、投射光405として投射装置40から投射される。投射光405は、曲面ミラー46の反射面460における変調光403の照射範囲の曲率に応じて、水平面に対して垂直な方向(図13の紙面における上下方向)に沿って拡大される。例えば、投射角を大きくするためには、曲面ミラー46の反射面460の曲率を小さくすればよい。それに対し、投射角を小さくするためには、曲面ミラー46の反射面460の曲率を大きくすればよい。投射光405は、画像441の画像領域に含まれる所望画像(A)と、画像442の画像領域に含まれる所望画像(B)とを含む目的画像475を、被投射面に表示させる。すなわち、投射光405は、所望画像(A、B)を含む画像451および画像452が組み合わされた目的画像475を、被投射面に表示させる。
【0084】
図17は、仮想レンズ画像4320によって、0次光が集光される集光点(第1集光点)と、仮想レンズ画像4320によって変調光403が集光される集光点(第2集光点)との位置関係の一例について説明するための概念図である。図17の例では、曲面ミラー46の裏側の位置に、第1集光点が設定される。例えば、0次光は、遮蔽器45によって遮蔽されるように構成される。第2集光点は、曲面ミラー46の反射面460に設定される。曲面ミラー46の反射面460には、仮想レンズ画像4320によって結像された画像465が結像される。投射装置40は、曲面ミラー46の反射面460で反射された変調光403を、投射光405として投射する。図17の構成の場合、遮蔽器45では遮蔽しきれない0次光が投射される。0次光は、曲面ミラー46の反射面460で反射された後に焦点を結んだ後に、拡散される。
【0085】
図18は、0次光が集光される第1集光点と、仮想レンズ画像4320によって変調光403が集光される第2集光点との位置関係の別の一例について説明するための概念図である。図18の例では、空間光変調器43と曲面ミラー46の間の位置に、第1集光点が設定される。例えば、0次光は、遮蔽器45によって遮蔽されるように構成される。例えば、空間光変調器43と曲面ミラー46の間の第1集光点の位置に、0次光を遮蔽する0次光除去器(図示しない)が配置されてもよい。第2集光点は、曲面ミラー46の反射面460に設定される。曲面ミラー46の反射面460には、仮想レンズ画像4320によって結像された画像465が結像される。投射装置40は、曲面ミラー46の反射面460で反射された変調光403を、投射光405として投射する。図18の構成の場合、遮蔽器45によって、0次光が遮蔽される。そのため、図18の構成では、投射光405に0次光が混ざらないため、図17の構成と比較してコントラストが向上する。
【0086】
図17図18の例のように、第1集光点と第2集光点とが異なる位置に設定されれば、第2集光点において0次光がデフォーカスされる。そのため、遮蔽器45を用いなくても、ある程度までは0次光を目立たなくすることができる。
【0087】
制御部47は、第1の実施形態の制御部17と同様の構成である。制御部47は、光源41および空間光変調器43を制御する。制御部47は、空間光変調器43の変調部430に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を、第1変調領域431および第2変調領域432の各々に設定する。
【0088】
被投射面に表示される目的画像の鏡像に対応する位相画像が、変調部430の第1変調領域431および第2変調領域432の各々に設定された状態で、制御部47が、光源41の出射器411を駆動させる。その結果、空間光変調器43の変調部430に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源41から出射された光402が空間光変調器43の変調部430に照射される。空間光変調器43の変調部430に照射された光402は、空間光変調器43の変調部430の第1変調領域431および第2変調領域432の各々において変調される。空間光変調器43の変調部430の第1変調領域431および第2変調領域432の各々において変調された変調光403は、遮蔽器45の方向に向けて進行する。
【0089】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、曲面ミラー、および制御部を備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる。制御部は、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する。制御部は、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器は、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置される。遮蔽器は、空間光変調器の変調部に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させる。遮蔽器は、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、少なくとも二つの変調領域で変調された変調光に含まれる0次光を遮蔽する位置に配置される。曲面ミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有する。曲面ミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光のうち、遮蔽器を通過した所望画像を形成する画像領域の光成分の光路上に配置される。曲面ミラーは、画像領域の光成分を反射面で反射し、反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する。
【0090】
制御部は、空間光変調器の変調部に第1変調領域と第2変調領域を割り当てる。制御部は、目的画像を構成する第1画像および第2画像の各々の位相画像を、第1変調領域および第2変調領域の各々に設定する。遮蔽器は、第1変調領域および第2変調領域の各々で変調された変調光に含まれる不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される。
【0091】
本実施形態の投射装置は、第1変調領域に設定された位相分布によって形成される第1画像と、第2変調領域に設定された位相分布によって形成される第2画像とによって構成される目的画像を、被投射面に表示させる。本実施形態の投射装置は、フーリエ変換レンズや投射レンズを含まないが、曲面ミラーで投射光を拡大投射できる。すなわち、本実施形態の投射装置によれば、投射光学系を用いずに、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を、拡大して投射できる。
【0092】
本実施形態の一態様において、制御部は、目的画像を構成する第1画像の位相画像と、第1画像を形成する変調光を曲面ミラーの反射面の位置に集光させる仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、第1変調領域に設定する。制御部は、目的画像を構成する第2画像の位相画像と、第2画像を形成する変調光を曲面ミラーの反射面の位置に集光させる仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、第2変調領域に設定する。本態様によれば、仮想レンズ画像を用いて、曲面ミラーの反射面の位置に変調光を集光させることによって、ゴースト像を含まない画像を、被投射面において鮮明に表示させる投射光を投射できる。
【0093】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、被投射面に表示される目的画像の表示不能領域をトリミングするために、二つの光源を備える点において、第1の実施形態とは異なる。本実施形態の投射装置は、第2~第4の実施形態の投射装置の構成と組み合わせてもよい。
【0094】
(構成)
図19は、本実施形態の投射装置50の構成の一例を示す概念図である。投射装置50は、光源51、空間光変調器53、遮蔽器55、曲面ミラー56、および制御部57を備える。光源51、空間光変調器53、曲面ミラー56、および遮蔽器55は、投射部500を構成する。図19は、投射装置50の内部構成を側方から見た側面図である。図19は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0095】
図20は、光源51と空間光変調器53の位置関係の一例を示す概念図である。光源51は、第1光源51-1と第2光源51-2によって構成される。第1光源51-1および第2光源51-2の各々は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。
【0096】
第1光源51-1は、出射器511-1とレンズ512-1を含む。出射器511-1は、制御部57の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光501-1を出射する。レンズ512-1は、出射器511-1から出射されたレーザ光501-1を、空間光変調器53の変調部530の第1変調領域531の大きさに合わせて拡大する。出射器511-1から出射されたレーザ光501-1は、レンズ512-1によって拡大され、第1光源51-1から出射される。第1光源51-1から出射された光502-1は、空間光変調器53の変調部530の第1変調領域531に向けて進行する。
【0097】
第2光源51-2は、出射器511-2とレンズ512-2を含む。出射器511-2は、制御部57の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光501-2を出射する。レンズ512-2は、出射器511-2から出射されたレーザ光501-2を、空間光変調器53の変調部530の第2変調領域532の大きさに合わせて拡大する。出射器511-2から出射されたレーザ光501-2は、レンズ512-2によって拡大され、第2光源51-2から出射される。第2光源51-2から出射された光502-1は、空間光変調器53の変調部530の第2変調領域532に向けて進行する。
【0098】
第1光源51-1と第2光源51-2は、後述するトリミング領域が削除されるように配置される。第1光源51-1および第2光源51-2は、空間光変調器53の変調部530の第1変調領域531および第2変調領域532の各々で変調された変調光の一部が、曲面ミラー56の反射面560において互いに重なるように配置される。すなわち、第1光源51-1および第2光源51-2の照射角度は、第1変調領域531および第2変調領域532の各々で変調された変調光503の一部が、曲面ミラー56の反射面560において互いに重なるように調整される。
【0099】
空間光変調器53は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器53は、第1光源51-1から出射された光502-1と、第2光源51-2から出射された光502-2とが照射される変調部530を有する。空間光変調器53の変調部530の領域分けは、第1の実施形態と同様である。空間光変調器53の変調部530には、第1光源51-1から出射された光502-1と、第2光源51-2から出射された光502-2とが照射される。空間光変調器53の変調部530には、制御部57の制御に応じて、投射光505によって表示される画像に応じたパターンが設定される。第4の実施形態と同様に、空間光変調器53の変調部530に設定されるパターンは、合成画像である。合成画像は、位相画像と仮想レンズ画像とが合成されたパターンである。位相画像は、所望の画像を形成するためのパターンである。仮想レンズ画像は、所望の画像を形成する光を集光させるパターンである。空間光変調器53の変調部530に入射した光502-1~2は、空間光変調器53の変調部530に設定されたパターンに応じて変調される。空間光変調器53の変調部530で変調された変調光503は、遮蔽器55の方向に向けて進行する。変調光503は、第1変調領域531で変調された変調光503-1と、第2変調領域532で変調された変調光503-2とを含む。
【0100】
図21は、空間光変調器53の変調部530で変調された変調光503が、曲面ミラー56に向けて進行する様子を示す概念図である。図21は、投射装置50の内部構成を上方向から見た側面図である。図21においては、光源51を省略する。図21は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。空間光変調器53の変調部530には、第1変調領域531と第2変調領域532が設定される。第1変調領域531には、目的画像の鏡像の右側の範囲の画像(第1画像とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第2変調領域532には、目的画像の鏡像の左側の範囲の画像(第2画像とも呼ぶ)に対応する位相画像が設定される。第1画像および第2画像の各々には、少なくとも一つの画像(所望画像とも呼ぶ)が含まれる。
【0101】
遮蔽器55は、第1の実施形態の遮蔽器15と同様の構成である。遮蔽器55は、第1遮蔽器55-1と第2遮蔽器55-2によって構成される。第1遮蔽器55-1は、第1変調領域531で変調された変調光503-1の光路上に配置される。第1遮蔽器55-1は、第1画像535の不要領域を遮蔽する位置に配置される。第2遮蔽器55-2は、第2変調領域532で変調された変調光503-2の光路上に配置される。第2遮蔽器55-2は、第2画像536の不要領域を遮蔽する位置に配置される。
【0102】
図22は、遮蔽器55によって不要な光成分が遮蔽された画像から、不要な領域(トリミング領域とも呼ぶ)がトリミングされる一例について説明するための概念図である。図22には、空間光変調器53の変調部530に設定される位相画像に対応する画像や、遮蔽器55の前後の光によって形成される画像、被投射面に表示される目的画像の一例を示す。なお、図22に示す画像は、概念的なものであって、大きさや形状、向き、位置等を正確に示すものではない。本実施形態では、曲面ミラー56を用いて投射光505を投射するため、曲面ミラー56の反射面560において、目的画像575の鏡像(画像565)が形成される。画像565は、曲面ミラー56による画像の拡大方向/拡大率に応じて形成されるように設定される。図22においては、画像の拡大方向/拡大率については、正確に示されない。
【0103】
第1変調領域531には、目的画像575の鏡像(画像565)の右側の範囲の第1画像535に対応する位相画像が設定される。図22においては、第1画像535を図示するが、実際には、第1画像535を形成するための位相画像が第1変調領域531に設定される。第1画像535を形成するための位相画像が設定された第1変調領域531に光502が照射されると、第1遮蔽器55-1の方向に向けて、第1画像535を形成する変調光503-1(破線)が出射される。第1遮蔽器55-1を通過する前の変調光503-1は、不要な光成分を含む画像541を形成する。第1遮蔽器55-1は、変調光503-1に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第1遮蔽器55-1は、第1変調領域531で変調された変調光503-1によって表示される画像541に含まれる不要領域(左側)を遮蔽する。第1遮蔽器55-1を通過した変調光503-1には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、第1遮蔽器55-1を通過した後の変調光503-1は、不要な光成分を含まない画像を形成する。
【0104】
第2変調領域532には、目的画像575の鏡像(画像565)の左側の範囲の第2画像536に対応する位相画像が設定される。図22においては、第2画像536を図示するが、実際には、第2画像536を形成するための位相画像が第2変調領域532に設定される。第2画像536を形成するための位相画像が設定された第2変調領域532に光502が照射されると、第2遮蔽器55-2の方向に向けて、第2画像536を形成する変調光503-2(一点鎖線)が出射される。第2遮蔽器55-2を通過する前の変調光503-2は、不要な光成分を含む画像542を形成する。第2遮蔽器55-2は、変調光503-2に含まれる不要な光成分を遮蔽する。言い換えると、第2遮蔽器55-2は、第2変調領域532で変調された変調光503-2によって表示される画像542に含まれる不要領域(右側)を遮蔽する。第2遮蔽器55-2を通過した変調光503-2には、0次光やゴースト像などの不要な光成分が含まれない。そのため、第2遮蔽器55-2を通過した後の変調光503-2は、不要な光成分を含まない画像を形成する。
【0105】
遮蔽器55を通過した変調光503は、曲面ミラー56に向けて進行する。遮蔽器55を通過した変調光503には、第1変調領域531で変調された光成分と、第2変調領域532で変調された光成分とが含まれる。遮蔽器55を通過した直後の変調光503が形成する画像555には、トリミング領域が含まれる。曲面ミラー56の反射面560には、0次光やゴースト像などの不要な光成分を含まない目的画像の鏡像(画像565)が結像される。第1変調領域531で変調された変調光503-1の照射範囲の一部と、第2変調領域532で変調された変調光503-2の照射範囲の一部とは、曲面ミラー56の反射面560において、互いに重なる。照射範囲が互いに重なり合うことで、トリミング領域が除去される。
【0106】
曲面ミラー56は、第4の実施形態の曲面ミラー46と同様の構成である。曲面ミラー56は、曲面状の反射面560を有する反射鏡である。曲面ミラー56の反射面560は、投射光505の投射角に合わせた曲率を有する。
【0107】
曲面ミラー56は、空間光変調器53の変調部530に反射面560を向けて、変調光503の光路上に配置される。曲面ミラー56の反射面560には、空間光変調器53の変調部530で変調され、遮蔽器55で遮られなかった変調光503が照射される。曲面ミラー56の反射面560で反射された光(投射光505)は、反射面560の曲率に応じた拡大率で拡大される。投射装置50は、反射面560の曲率に応じて拡大率が拡大された投射光505を投射する。曲面ミラー56の反射面560で反射された変調光503は、水平面に対して垂直な方向(図19の紙面における上下方向)に拡大された投射光505として投射される。投射光505は、曲面ミラー56の反射面560における変調光503の照射範囲の曲率に応じて、水平面に対して垂直な方向(図19の紙面における上下方向)に沿って拡大される。例えば、投射角を大きくするためには、曲面ミラー56の反射面560の曲率を小さくすればよい。それに対し、投射角を小さくするためには、曲面ミラー56の反射面560の曲率を大きくすればよい。投射光505は、画像541の画像領域に含まれる所望画像(A)と、画像542の画像領域に含まれる所望画像(B)とを含む目的画像575を、被投射面に表示させる。すなわち、投射光505は、所望画像(A、B)が組み合わされた目的画像575を、被投射面に表示させる。被投射面に表示された目的画像575からは、図22の画像555のトリミング領域が除去されている。
【0108】
制御部57は、第1の実施形態の制御部17と同様の構成である。制御部57は、光源51および空間光変調器53を制御する。制御部57は、空間光変調器53の変調部530に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を、第1変調領域531および第2変調領域532の各々に設定する。
【0109】
被投射面に表示される目的画像の鏡像に対応する位相画像が、変調部530の第1変調領域531および第2変調領域532の各々に設定された状態で、制御部57が、光源51の出射器511を駆動させる。その結果、空間光変調器53の変調部530に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源51から出射された光502が空間光変調器53の変調部530に照射される。空間光変調器53の変調部530に照射された光502は、空間光変調器53の変調部530の第1変調領域531および第2変調領域532の各々において変調される。空間光変調器53の変調部530の第1変調領域531および第2変調領域532の各々において変調された変調光503は、遮蔽器55の方向に向けて進行する。
【0110】
以上のように、本実施形態の投射装置は、少なくとも二つの光源、空間光変調器、遮蔽器、および制御部を備える。少なくとも二つの光源は、光を出射する。少なくとも二つの光源の各々は、目的画像に含まれるトリミング対象の領域が重なり合うように、少なくとも二つの光源の各々から出射される光の出射角度が設定される。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部、空間光変調器の変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる。制御部は、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する。制御部は、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器は、空間光変調器の変調部で変調され変調光の光路上に配置される。遮蔽器は、空間光変調器の変調部に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させる。遮蔽器は、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する。
【0111】
本実施形態の投射装置は、少なくとも二つの光源の各々が、目的画像に含まれるトリミング対象の領域が重なり合うように光の出射角度が設定される。そのため、本実施形態の投射装置によれば、トリミング領域が削除された画像を被投射面に表示させることができる。
【0112】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、第1~第5の実施形態の投射装置を簡略化した構成である。図23は、本実施形態の投射装置60の構成の一例を示す概念図である。投射装置60は、光源61、空間光変調器63、遮蔽器65、および制御部67を備える。
【0113】
光源61は、光602を出射する。空間光変調器63は、光源61から出射された光602が照射される変調部630を有する。空間光変調器63は、照射された光602の位相を変調部630で変調する。制御部67は、空間光変調器63の変調部630に少なくとも二つの変調領域を割り当てる。制御部67は、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの変調領域の各々に設定する。制御部67は、少なくとも二つの画像の各々の位相画像が設定された変調部630に光602が照射されるように光源61を制御する。遮蔽器65は、空間光変調器63の変調部630で変調され変調光603の光路上に配置される。遮蔽器65は、空間光変調器63の変調部630に設定された少なくとも二つの変調領域で変調された変調光603のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光605として通過させる。遮蔽器65は、所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する。
【0114】
本実施形態の投射装置は、フーリエ変換レンズや投射レンズを含まない。本実施形態の投射装置は、ゴースト像を含む不要領域の光成分を、遮蔽器で遮蔽する。すなわち、本実施形態の投射装置によれば、投射光学系を用いずに、ゴースト像を含まない画像を表示させる投射光を投射できる。
【0115】
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図24の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、図24の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0116】
図24のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図24においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0117】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを、主記憶装置92に展開する。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0118】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0119】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0120】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0121】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成としてもよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0122】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0123】
また、情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0124】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図24のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0125】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
【0126】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0127】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光源と、
前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、
前記空間光変調器の前記変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当て、被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの前記変調領域の各々に設定し、少なくとも二つの前記画像の各々の位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する制御部と、
前記空間光変調器の前記変調部で変調され変調光の光路上に配置され、前記空間光変調器の前記変調部に設定された少なくとも二つの前記変調領域で変調された前記変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、前記所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する遮蔽器と、を備える投射装置。
(付記2)
前記遮蔽器は、
少なくとも二つの前記変調領域で変調された前記変調光に含まれる0次光を遮蔽する位置に配置される付記1に記載の投射装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記空間光変調器の前記変調部に第1変調領域と第2変調領域を割り当て、
前記目的画像を構成する第1画像および第2画像の各々の位相画像を、前記第1変調領域および前記第2変調領域の各々に設定し、
前記遮蔽器は、
前記第1変調領域および前記第2変調領域の各々で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される付記1または2に記載の投射装置。
(付記4)
前記制御部は、
前記空間光変調器の前記変調部の左半分に前記第1変調領域を割り当て、
前記空間光変調器の前記変調部の右半分に前記第2変調領域を割り当て、
前記目的画像の左半分に相当する前記第1画像の位相画像を前記第1変調領域に設定し、
前記目的画像の右半分に相当する前記第2画像の位相画像を前記第2変調領域に設定し、
前記遮蔽器は、
前記第1変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される第1遮蔽器と、前記第2変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される第2遮蔽器と、によって構成される付記3に記載の投射装置。
(付記5)
前記制御部は、
前記空間光変調器の前記変調部の上半分に前記第1変調領域を割り当て、
前記空間光変調器の前記変調部の下半分に前記第2変調領域を割り当て、
前記目的画像の下半分に相当する前記第1画像の位相画像を前記第1変調領域に設定し、
前記目的画像の上半分に相当する前記第2画像の位相画像を前記第2変調領域に設定し、
前記遮蔽器は、
前記第1変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される第1遮蔽器と、前記第2変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分を遮蔽する位置に配置される第2遮蔽器と、によって構成される付記3に記載の投射装置。
(付記6)
前記制御部は、
前記空間光変調器の前記変調部の左半分に前記第1変調領域を割り当て、
前記空間光変調器の前記変調部の右半分に前記第2変調領域を割り当て、
前記目的画像の右半分に相当する前記第1画像の位相画像を前記第1変調領域に設定し、
前記目的画像の左半分に相当する前記第2画像の位相画像を前記第2変調領域に設定し、
前記遮蔽器は、
前記第1変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分と、前記第2変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分と、を遮蔽する位置に配置される付記3に記載の投射装置。
(付記7)
前記制御部は、
前記空間光変調器の前記変調部の上半分に前記第1変調領域を割り当て、
前記空間光変調器の前記変調部の下半分に前記第2変調領域を割り当て、
前記目的画像の上半分に相当する前記第1画像の位相画像を前記第1変調領域に設定し、
前記目的画像の下半分に相当する前記第2画像の位相画像を前記第2変調領域に設定し、
前記遮蔽器は、
前記第1変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分と、前記第2変調領域で変調された前記変調光に含まれる前記不要領域の光成分と、を遮蔽する位置に配置される付記3に記載の投射装置。
(付記8)
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光が照射される曲面状の反射面を有し、前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、前記遮蔽器を通過した前記所望画像を形成する前記画像領域の光成分の光路上に配置され、前記画像領域の光成分を前記反射面で反射し、前記反射面の曲率に応じて投射角が拡大された前記投射光を投射する曲面ミラーを備える付記3乃至7のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記9)
前記制御部は、
前記目的画像を構成する前記第1画像の位相画像と、前記第1画像を形成する前記変調光を前記曲面ミラーの前記反射面の位置に集光させる仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、前記第1変調領域に設定し、
前記目的画像を構成する前記第2画像の位相画像と、前記第2画像を形成する前記変調光を前記曲面ミラーの前記反射面の位置に集光させる前記仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、前記第2変調領域に設定する付記8に記載の投射装置。
(付記10)
前記光源を少なくとも二つ備え、
少なくとも二つの前記光源の各々は、
前記目的画像に含まれるトリミング対象の領域が重なり合うように、少なくとも二つの前記光源の各々から出射される光の出射角度が設定される付記1乃至9のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記11)
光源と、前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、前記空間光変調器の前記変調部で変調され変調光の光路上に配置され、前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、前記所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する遮蔽器と、を備える投射装置を制御する投射制御方法であって、
前記空間光変調器の前記変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当て、
被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの前記変調領域の各々に設定し、
少なくとも二つの前記画像の各々の位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する、投射制御方法。
(付記12)
光源と、前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、前記空間光変調器の前記変調部で変調され変調光の光路上に配置され、前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、所望画像を形成する画像領域の光成分を投射光として通過させ、前記所望画像のゴースト像を含む不要領域の光成分を遮蔽する遮蔽器と、を備える投射装置を制御するためのプログラムであって、
前記空間光変調器の前記変調部に少なくとも二つの変調領域を割り当てる処理と、
被投射面において目的画像を構成する少なくとも二つの画像の各々の位相画像を、少なくとも二つの前記変調領域の各々に設定する処理と、
少なくとも二つの前記画像の各々の位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0128】
10、20、30、40、50、60 投射装置
11、21、31、41、51、61 光源
13、23、33、43、53、63 空間光変調器
15、25、35、45、55、65 遮蔽器
17、27、37、47、57、67 制御部
46、56 曲面ミラー
100、200、300、400、500、600 投射部
111、211、311、411、511 出射器
112、212、312、412、512 レンズ
15-1、25-1、45-1 第1遮蔽器
15-2、25-2、45-2 第2遮蔽器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24