(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】テナント分析装置、テナント分析方法及びテナント分析プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20250121BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20250121BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q50/163
(21)【出願番号】P 2021149836
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147409(JP,A)
【文献】国際公開第2004/066229(WO,A1)
【文献】特開2015-230589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テナント毎の契約期間を示す契約期間データが記憶された契約マスタから少なくとも一つのテナントの契約期間データを取得する契約期間取得部と、
記憶部に記憶されている、
前記テナントの経営状態を算出するための複数の演算要素のうち、指定された演算要素に基づいて前記テナント毎に算出された経営状態の各演算結果である経営状態データのうち、前記契約期間データが取得されたテナントの前記経営状態データを取得する経営状態取得部と、
前記契約期間取得部で取得された前記テナントの契約期間データ、及び、前記経営状態取得部で取得された前記経営状態データを一覧表示するための一覧表示情報を生成する一覧表示情報生成部と、
を有するテナント分析装置。
【請求項2】
前記経営状態データは、前記テナントの所定期間毎の売上金額を示す売上金額データであり、
前記一覧表示情報生成部は、前記契約期間データ、及び、前記契約期間データを取得した前記テナントに対応する前記売上金額データを一覧表示するための一覧表示情報を生成すること
を特徴とする請求項1に記載のテナント分析装置。
【請求項3】
前記経営状態データは、前記テナントの所定期間の売上金額を累積演算した累積演算データであり、
前記一覧表示情報生成部は、前記契約期間データ、及び、前記契約期間データを取得した前記テナントに対応する前記累積演算データを一覧表示するための一覧表示情報を生成すること
を特徴とする請求項1に記載のテナント分析装置。
【請求項4】
前記売上金額データに基づいて、少なくとも2つの年度の売上を比較する演算処理を行う演算処理部を、さらに備え、
前記一覧表示情報生成部は、前記演算処理による、2つの年度の売上の比較結果を含む前記一覧表示情報を生成すること
を特徴とする請求項2に記載のテナント分析装置。
【請求項5】
契約期間取得部が、テナント毎の契約期間を示す契約期間データが記憶された契約マスタから少なくとも一つのテナントの契約期間データを取得する契約期間取得ステップと、
経営状態取得部が、記憶部に記憶されている、
前記テナントの経営状態を算出するための複数の演算要素のうち、指定された演算要素に基づいて前記テナント毎に算出された経営状態の各演算結果である経営状態データのうち、前記契約期間データが取得されたテナントの前記経営状態データを取得する経営状態取得ステップと、
一覧表示情報生成部が、前記契約期間取得部で取得された前記テナントの契約期間データ、及び、前記経営状態取得部で取得された前記経営状態データを一覧表示するための一覧表示情報を生成する一覧表示情報生成ステップと、
を有するテナント分析方法。
【請求項6】
コンピュータを、
テナント毎の契約期間を示す契約期間データが記憶された契約マスタから少なくとも一つのテナントの契約期間データを取得する契約期間取得部と、
記憶部に記憶されている、
前記テナントの経営状態を算出するための複数の演算要素のうち、指定された演算要素に基づいて前記テナント毎に算出された経営状態の各演算結果である経営状態データのうち、前記契約期間データが取得されたテナントの前記経営状態データを取得する経営状態取得部と、
前記契約期間取得部で取得された前記テナントの契約期間データ、及び、前記経営状態取得部で取得された前記経営状態データを一覧表示するための一覧表示情報を生成する一覧表示情報生成部として機能させること
を特徴とするテナント分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テナント分析装置、テナント分析方法及びテナント分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、多くのテナントで構成される大型商業施設が知られている。大型商業施設の管理者等は、大型商業施設に対する集客数を落とさないためにも、各テナントの売上等を分析し、分析結果に応じてテナントの入れ替え等を行う必要がある。
【0003】
特許文献1(特開平11-250132号公報)には、各店舗において必要なときに他店舗との売上分析結果を得られるようにした店舗売上管理システムが開示されている。この店舗売上管理システムは、売上分析業務において分析期間が入力されると、各POSターミナルが、その分析期間と自店舗の識別コードとを組み込んだ売上分析要求データを店舗売上管理装置に送信する。店舗売上管理装置は、売上分析要求データを受信すると店舗識別コードで要求元店舗を識別し、要求元店舗のデータでかつ分析期間に該当する店舗売上データをデータベースから取得する。また他店舗の同一分析期間に該当する店舗売上データをデータベースから取得する。そして、各店舗売上データに基づいて所定の売上分析処理を行い、売上分析結果データを要求元店舗のPOSターミナルに送信する。各POSターミナルは売上分析結果データを受信すると、その受信データに基づいて売上分析結果を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、各テナントの貢献度の判断材料となる売上情報と、契約の継続又は廃止の判断材料となる契約情報とは、それぞれ専門システムが異なり、特許文献1の店舗売上管理システムの場合、売上情報及び契約情報を別々に分析して各テナントの現状を把握する必要がある。このため、特許文献1の店舗売上管理システムは、各テナントの現状を迅速かつ正確に把握することが困難となり、経営判断等の遅れを生ずる問題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、各テナントの現状を迅速かつ正確に把握可能として、迅速な経営判断等を可能とすることができるようなテナント分析装置、テナント分析方法及びテナント分析プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るテナント分析装置は、テナント毎の契約期間を示す契約期間データが記憶された契約マスタから少なくとも一つのテナントの契約期間データを取得する契約期間取得部と、記憶部に記憶されている、テナントの経営状態を算出するための複数の演算要素のうち、指定された演算要素に基づいてテナント毎に算出された経営状態の各演算結果である経営状態データのうち、契約期間データが取得されたテナントの経営状態データを取得する経営状態取得部と、契約期間取得部で取得されたテナントの契約期間データ、及び、経営状態取得部で取得された経営状態データを一覧表示するための一覧表示情報を生成する一覧表示情報生成部と、を有する。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るテナント分析方法は、契約期間取得部が、テナント毎の契約期間を示す契約期間データが記憶された契約マスタから少なくとも一つのテナントの契約期間データを取得する契約期間取得ステップと、経営状態取得部が、記憶部に記憶されている、テナントの経営状態を算出するための複数の演算要素のうち、指定された演算要素に基づいてテナント毎に算出された経営状態の各演算結果である経営状態データのうち、契約期間データが取得されたテナントの経営状態データを取得する経営状態取得ステップと、一覧表示情報生成部が、契約期間取得部で取得されたテナントの契約期間データ、及び、経営状態取得部で取得された経営状態データを一覧表示するための一覧表示情報を生成する一覧表示情報生成ステップと、を有する。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るテナント分析プログラムは、テナント毎の契約期間を示す契約期間データが記憶された契約マスタから少なくとも一つのテナントの契約期間データを取得する契約期間取得部と、記憶部に記憶されている、テナントの経営状態を算出するための複数の演算要素のうち、指定された演算要素に基づいてテナント毎に算出された経営状態の各演算結果である経営状態データのうち、契約期間データが取得されたテナントの経営状態データを取得する経営状態取得部と、契約期間取得部で取得されたテナントの契約期間データ、及び、経営状態取得部で取得された経営状態データを一覧表示するための一覧表示情報を生成する一覧表示情報生成部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各テナントの現状を迅速かつ正確に把握可能として、迅速な経営判断等を可能とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態のテナント分析装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、PMレポート設定マスタの模式図である。
【
図10】
図10は、実施の形態のテナント分析装置における、テナントの契約期間及び売上金額の一覧データを生成する動作の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、PMレポート設定画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、一覧データ生成部が、一覧データを形成する際に参照するマスタ又はデータを示す図である。
【
図14】
図14は、一覧データの出力を指定するためのPMレポート出力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した実施の形態となるテナント分析装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[ハードウェア構成]
まず、
図1は、実施の形態のテナント分析装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この実施の形態のテナント分析装置1としては、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ装置の他、ノート型のパーソナルコンピュータ装置又はタブレット型のパーソナルコンピュータ装置を用いることができる。また、テナント分析装置1としては、PDA(Personal Digital Assistants)装置又はスマートフォン等携帯型情報処理装置を用いることができる。このようなテナント分析装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。
【0014】
入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置、及びマイクロホン装置の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置を用いることができる。
【0015】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、物件マスタ11、PM(プロパティマネジメント)レポート設定マスタ12、区画マスタ13、取引先マスタ14、店舗マスタ15、契約マスタ16及び区分マスタ17が記憶されている。また、記憶部2には、迅速かつ正確なテナント分析を可能とするテナント分析プログラムが記憶されている。また、記憶部2には、売上客数データ、及び、一覧データが記憶されている。
【0016】
図2は、物件マスタ11の模式図である。この
図2に示すように、物件マスタ11には、例えば大型商業施設に出店された物件(テナント)の、例えば「A0000001」等の物件コード、「〇〇商業施設」等の物件名、及び、「001」等のパターンコードが記憶されている。このうち、パターンコードは、テナントの後述する分析結果を出力する際に、物件マスタ11に設定される。
【0017】
図3は、PMレポート設定マスタ12の模式図である。この
図3に示すように、PMレポート設定マスタ12は、「001」等の物件のパターンコード、「売上分析」等のパターン名、「売上実績」等のデータ種類、「第1の比較分子及び第1の比較分母」、「第2の比較分子及び第2の比較分母」、「第3の比較分子及び第3の比較分母」、「第4の比較分子及び第4の比較分母」、及び、「第5の比較分子及び第5の比較分母」が記憶される。
【0018】
第1~第5の比較分子、及び、第1の比較分母~第5の比較分母には、後述する区分マスタ17に記憶されている比較対象が設定される。すなわち、
図3に示す第1の比較分子の「1」は、当年のテナント売上を示しており、第1の比較分母の「3」は、前々年テナント売上を示している。この場合、前々年の売上と当年の売上の比較結果が演算される。また、
図3に示す第2の比較分子の「1」は、当年のテナント売上を示しており、第2の比較分母の「4」は、当年業態売上を示している。この場合、当年の売上と当年業態売上との比較結果が演算される。なお、「テナント売上」は、各テナントの月合計売上金額である。また、「業態売上」は、各業態の月平均売上金額である。詳しくは、区分マスタ17の説明で後述する。
【0019】
図4は、区画マスタ13の模式図である。この
図4に示すように、区画マスタ13には、「A0000001」等の物件コード、「101」又は「202」等の区画コード、及び、「1F-1」又は「2F-2」等の区画名が記憶されている。区画コードは、その物件のフロア及びフロア内の区画を示しており、「101」の区画コードの場合、1階の第1区画を示している。この1階の第1区画の区画名が「1F-1」である。同様に、「202」の区画コードの場合、2階の第2区画を示している。この2階の第2区画の区画名が「2F-2」である。
【0020】
図5は、取引先マスタ14の模式図である。この
図5に示すように、取引先マスタ14には、各テナントを出店している親会社の取引先コード及び取引先名が記憶されている。
図5の例の場合、「T0000001」の取引先コードの取引先の取引先名は「〇〇カンパニー」、「T0000002」の取引先コードの取引先の取引先名は「〇〇ホールディングス」、「T0000003」の取引先コードの取引先の取引先名は「〇〇コーヒー株式会社」となっている。
【0021】
図6は、店舗マスタ15の模式図である。この
図6に示すように店舗マスタ15は、例えば「T0000001」等の取引先コード、「1」又は「2」等の店舗コード、「レストラン〇〇」又は「〇〇バーガー」等の店舗名、及び、「重飲食」又は「軽飲食」等の業態が記憶されている。
【0022】
図7は、契約マスタ16の模式図である。この
図7に示すように、契約マスタ16には、例えば「00000001」又は「00000003」等の契約番号、「A0000001」等の物件コード、「T0000001」又は「T0000002」等の取引先コードが記憶されている。また、契約マスタ16には、例えば「2019年4月1日~2024年3月31日」又は「2018年5月1日~2022年4月30日」等の契約期間(契約期間データの一例)、及び、「60(坪)」又は「50(坪)」等の契約面積(坪)が記憶されている。
【0023】
図8は、区分マスタ17の模式図である。この区分マスタ17は、
図3に示す第1~第5の比較分子、及び、第1~第5の比較分母に設定される各コード及び名称が記憶されている。具体的には、「1」のコードは「当年テナント売上」を、「2」のコードは「前年テナント売上」を、「3」のコードは、「前々年テナント売上」をそれぞれ示している。また、「4」のコードは、「当年業態売上」を、「5」のコードは「前年業態売上」を、「6」のコードは「前々年業態売上」を、「7」のコードは「当年客数」を、「8」のコードは「前年客数」をそれぞれ示している。また、「9」のコードは「前々年客数」を、「10」のコードは「当年業態客数」を、「11」のコードは「前年業態客数」を、「12」のコードは「前々年業態客数」をそれぞれ示している。
【0024】
各テナントが入店している大型商業施設の管理者等は、このように区分マスタ17に記憶されていう比較対象のコードを選択する。これにより、管理者により選択されたコードが、
図3に示す第1の比較分子又は第1の比較分母等に設定され、比較分子に設定された比較対象及び比較分母に設定された比較対象の比較演算が行われる。詳しくは、後述する。
【0025】
図9は、売上客数データ(経営状態データの一例)の模式図である。この
図9に示すように、売上客数データは、各テナントの物件コード、取引先コード、店舗コード、売上日、売上金額及び客数を含むデータとなっている。この売上客数データは、一月毎に集計したテナント毎の売上金額及び客数を示すデータとなっている。
【0026】
具体的には、
図9の例の場合、物件コードが「A0000001」、取引先コードが「T0000001」、店舗コードが「1」のテナントにおける2019年4月分の売上金額及び客数は、2019年4月30日に集計され、その売上金額は「20000円」で、客数は「2000人」であることを示している。
【0027】
また、
図9の例の場合、物件コードが「A0000001」、取引先コードが「T0000002」、店舗コードが「1」のテナントにおける2020年3月分の売上金額及び客数は、2020年3月31日に集計され、その売上金額は「22000円」で、客数は「1800人」であることを示している。
【0028】
(機能構成)
次に、テナント分析装置1の制御部3は、記憶部2に記憶されているテナント分析プログラムを実行することで、入力処理部21、表示制御部22、演算処理部23、記憶制御部24、出力制御部25、及び、一覧データ生成部26の各機能を実現する。
【0029】
入力処理部21は、後述するPMレポート設定画面に対する入力操作の入力処理を行う。表示制御部22は、PMレポート設定画面及び各テナントの契約期間及び売上等の一覧画面を出力装置7に表示制御する。演算処理部23は、管理者等により指定された比較対象の比較演算を行う。一覧データ生成部26は、契約期間取得部、経営状態取得部及び一覧表示情報生成部の一例である。一覧データ生成部26は、比較演算結果等に基づいて、一覧画面の一覧データを生成する。記憶制御部24は、生成された一覧データを記憶部2に記憶制御する。出力制御部25は、記憶部2に記憶されている一覧データを出力装置7に出力制御する。
【0030】
[一覧データの生成動作]
このような実施の形態のテナント分析装置1は、テナントの契約期間及び売上金額を一覧表示可能な一覧データを生成して管理者等に提供する。これにより、テナントの現状を迅速かつ正確に把握可能として、大型商業施設の経営状況、及び、大型商業施設に対するテナントの貢献度等を迅速に判断可能としている。
【0031】
図10は、実施の形態のテナント分析装置1における、テナントの契約期間及び売上金額の一覧データを生成する動作の流れを示すフローチャートである。テナント分析装置1の制御部3は、記憶部2に記憶されているテナント分析プログラムを実行することで、
図10のフローチャートに示す各処理を実行する。このフローチャートは、大型商業施設の管理者等がテナント分析装置1の入力装置6を操作することで、PMレポート設定画面の表示を指定することでスタートとなり、ステップS1から順に処理が実行される。
【0032】
ステップS1では、表示制御部22が、
図11に示すPMレポート設定画面を、出力装置7に表示する。このPMレポート設定画面は、各テナントの分析形態を設定するための設定画面である。このPMレポート設定画面には、パターンコード、パターン名、データ種類、第1の比較分子((1)比較分子)~第5の比較分子((5)比較分子)、及び、第1の比較分母((1)比較分母)~第5の比較分母((5)比較分母)の入力項目欄が設けられている。
【0033】
パターンコードは、例えば比較分子が「当年テナント売上」で、比較分母が「前々年テナント売上」等の、比較対象の比較パターンに対して付されるコードである。このパターンコードは、制御部3による自動採番により自動入力され、又は、管理者により所望の値が入力される。
【0034】
パターン名は、例えば「売上分析」等のように、管理者により所望のパターン名が入力される。データ種類は、「売上実績」等のように、管理者により所望の名称が入力される。
【0035】
比較分子及び比較分母には、管理者が希望する比較結果を得るための比較対象を入力する。例えば管理者が、「前々年度に対する当年度の売上の比率」を確認したい場合、区分マスタ17を参照し、第1の比較分子((1)比較分子)に対して「当年テナント売上」を指定する「1」のコードを入力すると共に、第1の比較分母((1)比較分母)に対して「前々年テナント売上」を指定する「3」のコードを入力する。
【0036】
同様に、例えば管理者が、「当年度の業態売上(各業態の月平均売上金額)に対する、当年度のテナントの売上の比率」を確認したい場合、区分マスタ17を参照し、第2の比較分子((2)比較分子)に対して「当年テナント売上」を指定する「1」のコードを入力すると共に、第2の比較分母((2)比較分母)に対して「当年業態売上」を指定する「4」のコードを入力する。入力処理部21は、このように管理者により入力された各入力項目のデータを、
図3に示すPMレポート設定マスタ12に記憶する。
【0037】
PMレポート設定画面に対する入力が完了すると(ステップS2:Yes)、演算処理部23は、ステップS3において、
図3に示すPMレポート設定マスタ12に記憶されている各入力項目のデータに基づいて、管理者により指定された比較対象の比較演算を、テナント毎に行う。
【0038】
ステップS4では、一覧データ生成部26が、契約マスタ16を参照することで、各テナントの契約期間を取得する。そして、一覧データ生成部26は、取得した各テナントの契約期間、及び、ステップS3で算出された各テナントの演算結果を一覧表示するための一覧データを生成する。ステップS5では、生成された一覧データを、記憶制御部24が記憶部2に記憶制御する。
【0039】
ステップS6では、出力制御部25が、管理者による、一覧データの出力指示の有無を検出する。出力指示が検出された場合(ステップS6:Yes)、出力制御部25は、記憶部2に記憶されている一覧データに基づいて、一覧画面を出力装置7に出力制御する。なお、出力装置7は、一例としてモニタ装置であるが、テナント分析装置1に外部接続された例えば半導体メモリ等の外部記憶装置でもよい。
【0040】
このような一覧データの出力動作を、具体的に説明する。
図12は、一覧データの模式図である。この
図12に示すように、一覧データ生成部26は、各テナントのフロア内の区画、各テナントの親会社名、店舗名、契約期間、契約面積、及び、演算結果を含む一覧データを形成する。
【0041】
図13は、一覧データ生成部26が、一覧データを形成する際に参照するマスタ又はデータを示す図である(元データの一覧を示す図である)。この
図13に示すように、一覧データ生成部26は、
図4に示す区画マスタ13を参照することで、各テナントの区画名を検出して一覧データに反映する。また、一覧データ生成部26は、
図5に示す取引先マスタ14を参照することで、各テナントの親会社(取引先名)を検出して一覧データに反映する。
【0042】
また、一覧データ生成部26は、
図6に示す店舗マスタ15を参照することで、各テナントの店舗名を検出して一覧データに反映する。また、一覧データ生成部26は、
図7に示す契約マスタ16を参照することで、各テナントの契約期間及び契約面積(坪)を検出して一覧データに反映する。
【0043】
ここで、一覧データ生成部26は、
図9に示す売上客数データに基づいて、当年度の始まり月である4月から当年度の終わり月である翌年度の3月までの月毎の売上を、テナント毎に、例えば行方向に沿って
図12に示す一覧データに反映する。なお、演算処理部23により月毎の売上を累積演算し、この累積演算データを一覧データ生成部26が、
図12に示す一覧データに反映してもよい。
【0044】
また、演算処理部23は、「(4月~3月の月毎の売上)÷契約面積(坪)」の演算を行うことで、一坪毎の売上高である坪効率を、月毎かつテナント毎に算出する。なお、演算処理部23は、この演算を行う場合、小数点1位を四捨五入する。一覧データ生成部26は、算出された坪効率を、
図12に示す一覧データに反映する。また、一覧データ生成部26は、4月~3月の月毎の客数を、
図9に示す売上客数データに基づいて検出し、
図12に示す一覧データに反映する。
【0045】
また、
図11に示した例の場合、PMレポート設定画面において、当年テナント売上(第1の比較分子=コード1)と、前々年テナント売上(第1の比較分母=コード3)との対比が指定されている。また、この対比を指定するデータが、
図3に示すPMレポート設定マスタ12に記憶されている。このため、演算処理部23は、PMレポート設定マスタ12の指定に従って、テナント毎、かつ、月毎に、「当年売上÷前々年売上」の演算を行う。一覧データ生成部26は、月毎に算出された比較結果を、例えば行方向に沿って一覧データに反映する。
【0046】
なお、
図12の例は、月毎の比較結果を表示した例であるが、日毎又は年毎の比較結果を表示してもよい。また、比較分子及び比較分母となる2つの比較対象の比較演算を行うこととしたが、3つ以上の比較対象の比較演算を行ってもよい。
【0047】
図12においては、各テナントの「(1)対比」の行が、当年テナント売上と前々年テナント売上との、月毎の対比演算結果を示している。
図12の例では、〇〇トラットリアの4月及び5月の対比演算結果は、それぞれ50.00%となっている。このため、管理者は、この比較演算結果を見ることで、〇〇トラットリアの当年度における4月及び5月の売上は、前々年度の4月及び5月の売上に対して半減していることを認識できる。
【0048】
また、
図11に示した例の場合、PMレポート設定画面において、当年テナント売上(第2の比較分子=コード1)と、当年業態売上(第2の比較分母=コード4)との対比が指定されている。また、この対比を指定するデータが、
図3に示すPMレポート設定マスタ12に記憶されている。このため、演算処理部23は、PMレポート設定マスタ12の指定に従って、テナント毎、かつ、月毎に、「当年売上÷当年業態売上」の演算を行う。一覧データ生成部26は、月毎に算出された比較結果を、例えば行方向に沿って一覧データに反映する。
【0049】
図12においては、各テナントの「(2)対比」の行が、当年テナント売上と当年業態売上との、月毎の対比演算結果を示している。
図12の例では、〇〇トラットリアの4月及び5月の対比演算結果は、それぞれ95.65%となっている。このため、管理者は、この比較演算結果を見ることで、〇〇トラットリアの当年度における4月及び5月の売上は、当年度における各業態の月平均売上(業態売上)以下となる95.65%であり、平均よりも低いことを認識できる。
【0050】
また、一覧データ生成部26は、
図12の列方向に沿った太線で囲んで示すように、
図7に示す契約マスタ16に基づいて、各テナントの契約期間を検出し、上述の比較結果等と共に一覧データに反映する。
図12の例の場合、例えばレストラン〇〇の契約期間は、2019年4月1日~2024年3月31日である。また、〇〇コーヒーの契約期間は、2019年4月1日~2024年3月31日である。
【0051】
管理者は、一覧データで示される契約期間及び月毎の売上の推移を見ることで、各テナントの現状及び各テナントの大型商業施設に対する貢献度を迅速かつ正確に把握でき、例えばテナントの契約継続又は入れ替え等の、大型商業施設に対する経営判断等を迅速に行うことができる。また、契約期間及び月毎の売上の累積演算結果に基づいても、各テナントの現状及び各テナントの大型商業施設に対する貢献度を迅速かつ正確に把握でき、上述と同様に、大型商業施設に対する経営判断等を迅速に行うことができる。
【0052】
また、管理者は、契約期間及び上述の比較結果を一覧データに基づいて認識できる。これにより、各テナントの現状を迅速かつ正確に把握でき、大型商業施設の経営状況、及び、大型商業施設に対する各テナントの貢献度等を迅速に判断できる。例えば、当年度が2021年であるとすると、
図12に示す〇〇トラットリアの場合、契約期間が翌年である2022年4月30日に満了し、また、前々年度に対する売上が50%であり、さらに、売上が業態売上以下でもある。これは、大型商業施設に対する〇〇トラットリアの貢献度は低いことを意味している。このため、大型商業施設の管理者は、〇〇トラットリアに対する契約は延長せず、他のテナントとの入れ替えを検討する等の措置をとることができる。
【0053】
なお、演算処理部23は、レストラン〇〇及び〇〇トラットリア等の重飲食業における契約面積の平均面積、各月の平均売上、各月の坪効率、及び、各月の平均客数を算出する。一覧データ生成部26は、算出された重飲食業における平均売上、坪効率及び平均客数を、
図12に示すように、一覧データに反映する。
【0054】
また、演算処理部23は、〇〇コーヒー及び〇〇バーガー等の軽飲食業における契約面積の平均面積、各月の平均売上、各月の坪効率、及び、各月の平均客数を算出する。一覧データ生成部26は、算出された軽飲食業における平均売上、坪効率及び平均客数を、
図12に示すように、一覧データに反映する。
【0055】
次に、
図14は、一覧データの出力を指定するためのPMレポート出力画面の一例を示す図である。管理者により、PMレポート出力画面の表示操作が行われると、表示制御部22は、
図24に例示するPMレポート出力画面を、出力装置7に表示制御する。このPMレポート出力画面には、対象年月、物件コード、レポートパターン及び出力ファイルの各入力項目の入力欄が設けられている。対象年月の入力欄には、一覧画面に含める各種データの期間を入力する。例えば「2022年3月」と入力した場合、2021年4月~2022年3月までの期間に対応する各種データが一覧表示される。
【0056】
物件コードの入力欄には、各種データの一覧表示を行う物件(テナント)の物件コードが入力される。
図14の例は、〇〇商業施設の「A0000001」の物件コードが入力された例である。なお、全ての物件の一覧表示することも可能である。この場合、全ての物件の物件コードを入力させてもよいし、全ての物件の指定用コードを設け、これを入力させてもよい。
図12に示した表示例は、全ての物件を指定した場合の表示例である。
【0057】
レポートパターンの入力欄には、所望の分析形態を指定するパターンコードが入力される。このパターンコードは、
図11に示したPMレポート設定画面に入力したパターンコードと同じパターンコードが入力される。
図14の例は、各テナントの売上分析を行うための一覧データの出力を指定する「001」のパターンコードが入力された例である。
【0058】
出力ファイルの入力欄には、記憶部2に記憶された一覧データのうち、所望の一覧データを選択して入力する。
図14の例は、「C:¥Users¥F0XXXX¥Desktop¥2022年3月_テナント売上分析」の一覧データが選択された例である。
【0059】
図10のフローチャートのステップS6では、このようなPMレポート出力画面を介して指定された一覧データが記憶部2から読み出され、
図12に示した一覧画面が、出力装置7に表示される。
【0060】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、実施の形態のテナント分析装置1は、各テナントの契約期間と共に、各テナントの現状(経営状態)を示す情報を一覧表示する。これにより、各テナントの現状を迅速かつ正確に把握して、大型商業施設の経営判断等を迅速に行うことができる。
【0061】
例えば、契約期間の満了が迫っており、売上が低下しているテナントの場合、大型商業施設に対する経営的な貢献度は低い。このため、大型商業施設の管理者は、このテナントに対する契約は延長せず、他のテナントとの入れ替えを検討する等の措置をとることができる。反対に、契約期間の満了が迫っているが、売上が高いテナントの場合、大型商業施設に対する経営的な貢献度が高い。このため、大型商業施設の管理者は、このテナントに対する契約の延長を検討することができる。
【0062】
また、例えばテナントの親会社等から賃料減額交渉を受ける場合がある。この場合、賃料の減額要求が行われたテナントの売上の前年比だけでなく、前々年比又は同業態の売上の平均と比較することも簡単に行うことができ、賃料の減額の可否判断も迅速に行うことができる。
【0063】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0066】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0067】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0068】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、テナント分析装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0070】
例えば、テナント分析装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてテナント分析装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0071】
また、このコンピュータプログラムであるテナント分析プログラムは、テナント分析装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0072】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのテナント分析プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0073】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0074】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0075】
また、テナント分析装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、テナント分析装置1は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0076】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能付加に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、テナントの契約期間及び売上等を示す帳票の作成に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 テナント分析装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 物件マスタ
12 PMレポート設定マスタ
13 区画マスタ
14 取引先マスタ
15 店舗マスタ
16 契約マスタ
17 区分マスタ
21 入力処理部
22 表示制御部
23 演算処理部
24 記憶制御部
25 出力制御部
26 一覧データ生成部