(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】導波路構造体を製造するための方法、および導波路構造体
(51)【国際特許分類】
G02B 6/13 20060101AFI20250121BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20250121BHJP
G02B 6/136 20060101ALI20250121BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G02B6/13
G02B6/12 371
G02B6/136
G02B6/122
(21)【出願番号】P 2021516527
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 US2019033365
(87)【国際公開番号】W WO2019226679
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520457454
【氏名又は名称】フルクサス,インク.
【氏名又は名称原語表記】Fluxus, Inc.
【住所又は居所原語表記】3130 Coronado Drive, Santa Clara, CA 95054, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク ゾーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ウェイン パークス
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/040319(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0219192(US,A1)
【文献】特表2014-504154(JP,A)
【文献】米国特許第06438279(US,B1)
【文献】特表2004-512551(JP,A)
【文献】特開平01-314207(JP,A)
【文献】特開2006-030733(JP,A)
【文献】特開平07-253520(JP,A)
【文献】特開昭60-053904(JP,A)
【文献】米国特許第06571037(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路層から少なくとも1つの固体コア導波路を形成する導波路構造体を製造するための方法であって、前記方法は、
流体チャネルを前記導波路層内にエッチングするステップと、
第1のエアギャップおよび第2のエアギャップを前記導波路層内にエッチングするステップであって、前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップをエッチングすることにより、前記第1のエアギャップと前記第2のエアギャップとの間の前記導波路層に前記少なくとも1つの固体コア導波路を作製するステップと、
前記流体チャネルを封入するようにカバー層を前記導波路層に取り付けるステップと、を含み、
前記導波路層は、第1の酸化物層、第2の酸化物層、および第3の酸化物層を含み、
前記第1の酸化物層は、前記第2の酸化物層の第1の側にあり、第1の屈折率を有し、前記第2の酸化物層は、前記第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有し、
前記第3の酸化物層は、前記第1の側と反対の、前記第2の酸化物層の第2の側にあり、前記第3の酸化物層は、前記第2の屈折率よりも低い第3の屈折率を有し、
前記流体チャネルをエッチングするステップは、前記第3の酸化物層、前記第2の酸化物層、および前記第1の酸化物層内に、一度にエッチングすることを含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、前記第3の酸化物層、前記第2の酸化物層、および前記第1の酸化物層内に、一度にエッチングすることを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、前記第3の酸化物層、前記第2の酸化物層、および前記第1の酸化物層内に、一度にエッチングすることを含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記導波路層をドープして、周囲の屈折率よりも低い屈折率を有する前記導波路層内に1つ以上のドープ領域を作製するステップをさらに含み、前記1つ以上のドープ領域は、前記固体コア導波路に隣接している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のドープ領域は、前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップに隣接している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のドープ領域は、前記流体チャネルに隣接している、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記導波路層をドープして、周囲の屈折率よりも高い屈折率を有する前記導波路層内に1つ以上のドープ領域を作製するステップをさらに含み、前記1つ以上のドープ領域は、前記固体コア導波路を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導波路構造体は、ARROW層を含み、
前記流体チャネルをエッチングするステップは、前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることを含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記導波路構造体は、ARROW層を含み、
前記導波路構造体は、前記流体チャネルに対応する位置で、前記ARROW層と前記導波路層との間にエッチストップ層を含み、
前記流体チャネルをエッチングするステップは、
前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることと、
前記エッチストップ層を溶解させることと、を含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、前記導波路層および前記ARROW層内に一度にエッチングすることを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、前記導波路層および前記ARROW層内に一度にエッチングすることを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記導波路構造体は、ARROW層を含み、
前記流体チャネルをエッチングするステップは、ドライエッチングを実行し、続いてウェットエッチングを実行することを含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、ドライエッチングを実行し、続いてウェットエッチングを実行することを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、ドライエッチングを実行し、続いてウェットエッチングを実行することを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記導波路構造体は、ARROW層を含み、
前記流体チャネルをエッチングするステップは、前記導波路層を貫通して前記ARROW層までエッチングすることなく、前記導波路層内に部分的にエッチングすることを含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、前記導波路層および前記ARROW層内に一度にエッチングすることを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、前記導波路層および前記ARROW層内に一度にエッチングすることを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記導波路構造体は、前記導波路層に接続する基板層を有し、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、前記導波路層、前記ARROW層および前記基板層内に一度にエッチングすることを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、前記導波路層、前記ARROW層および前記基板層内に一度にエッチングすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記導波路構造体は、前記導波路層の下にARROW層を含み、
前記導波路構造体は、前記流体チャネルに対応する位置、前記第1のエアギャップに対応する位置、および、前記第2のエアギャップに対応する位置まで延在する、前記ARROW層と前記導波路層との間のエッチストップ層を含み、
前記流体チャネルをエッチングするステップは、前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることを含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、前記ARROW層内にエッチングすることなく前記導波路層内にエッチングすることを含み、
前記方法は、前記エッチストップ層を溶解させるステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記導波路構造体は、前記導波路層に結合された基板層を含み、
前記方法は、前記基板層内にエッチングして、前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路のうちの1つ以上に隣接する第3のエアギャップを形成するステップをさらに含み、前記第3のエアギャップは、1つ以上の前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路を伝搬する光の内部反射を生じさせるように構成されている、請求項1から9、および11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記基板層内にエッチングして、前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路のうちの1つ以上に隣接する第3のエアギャップを形成するステップをさらに含み、前記第3のエアギャップは、1つ以上の前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路を伝搬する光の内部反射を生じさせるように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、レンズ素子を前記第3のエアギャップに設けるステップをさらに含み、前記レンズ素子は、前記流体チャネルから前記第3のエアギャップに逃げる光を収集するように構成されている、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3のエアギャップを形成するために前記基板層内にエッチングするステップは、前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路のうちの1つ以上をアンダカットすることを含む、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記導波路構造体は、微細加工されたファイバアライメントフィーチャを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、エッチングが実行される前記導波路層の表面から前記導波路層をドープするステップをさらに含み、前記導波路層が、前記ドープされた表面の近くで最も高い屈折率勾配を有するようにさせる、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記導波路層をドープした後かつ前記導波路層内にエッチングする前に、前記導波路層上に保護層を設けるステップをさらに含み、前記カバー層を前記導波路層に取り付けるステップは、前記保護層に前記カバー層を取り付けることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記流体チャネルをエッチングするステップは、ドライエッチングを実行することを含み、
前記第1のエアギャップをエッチングするステップは、ドライエッチングを実行することを含み、
前記第2のエアギャップをエッチングするステップは、ドライエッチングを実行することを含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記固体コア導波路の端部の後方の前記導波路層内にエッチングするステップをさらに含み、これにより、前記固体コア導波路の端部を形成する、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
導波路構造体であって、前記導波路構造体は、
流体チャネル、第1の酸化物層、第2の酸化物層、第3の酸化物層、第1のエアギャップ、および第2のエアギャップを含む導波路層であって、前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップは、前記第1のエアギャップと前記第2のエアギャップとの間の前記導波路層に固体コア導波路を画定する、導波路層と、
前記流体チャネルを封入するように前記導波路層に取り付けられたカバー層と、を備え、
前記第1の酸化物層は、前記第2の酸化物層の第1の側にあり、第1の屈折率を有し、前記第2の酸化物層は、前記第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有し、
前記第3の酸化物層は、前記第1の側と反対の、前記第2の酸化物層の第2の側にあり、前記第3の酸化物層は、前記第2の屈折率よりも低い第3の屈折率を有し、
前記流体チャネル、前記第1のエアギャップ、および前記第2のエアギャップ
は、前記第1の酸化物層、前記第2の酸化物層、および前記第3の酸化物層
を通って延在する、導波路構造体。
【請求項22】
前記導波路層は、周囲の屈折率よりも低い屈折率を有する1つ以上のドープ領域を含み、前記1つ以上のドープ領域は、前記固体コア導波路に隣接している、請求項21に記載の導波路構造体。
【請求項23】
前記1つ以上のドープ領域は、前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップに隣接している、請求項22に記載の導波路構造体。
【請求項24】
前記1つ以上のドープ領域は、前記流体チャネルに隣接している、請求項22または23に記載の導波路構造体。
【請求項25】
前記導波路層は、周囲の屈折率よりも高い屈折率を有する1つ以上のドープ領域を含み、前記1つ以上のドープ領域は、前記固体コア導波路を形成する、請求項21に記載の導波路構造体。
【請求項26】
前記導波路構造体は、ARROW層をさらに含み、
前記流体チャネル、前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップのうちの1つ以上は、前記ARROW層内に延在することなく、前記導波路層を少なくとも部分的に通って延在する、請求項21から25のいずれか1項に記載の導波路構造体。
【請求項27】
前記導波路構造体は、ARROW層をさらに含み、
前記流体チャネルは、前記ARROW層内に延在することなく、前記導波路層を少なくとも部分的に通って延在し、
前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップのうちの1つ以上は、前記導波路層および前記ARROW層を少なくとも部分的に通って延在する、請求項21から25のいずれか1項に記載の導波路構造体。
【請求項28】
前記導波路構造体は、前記導波路層に結合された基板層をさらに含む、請求項21から27のいずれか1項に記載の導波路構造体。
【請求項29】
前記基板層は、1つ以上の前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路に隣接する第3のエアギャップを含み、前記第3のエアギャップは、1つ以上の前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路を伝搬する光の内部反射を生じさせるように構成されている、請求項28に記載の導波路構造体。
【請求項30】
前記第3のエアギャップは、前記流体チャネルから前記第3のエアギャップに逃げる光を収集するように構成されたレンズ素子を含む、請求項29に記載の導波路構造体。
【請求項31】
前記第3のエアギャップは、前記流体チャネルおよび前記固体コア導波路のうちの1つ以上をアンダカットする、請求項29または30に記載の導波路構造体。
【請求項32】
前記導波路構造体は、微細加工されたファイバアライメントフィーチャを含む、請求項21から31のいずれか1項に記載の導波路構造体。
【請求項33】
前記導波路層は、屈折率勾配を有する、請求項21から32のいずれか1項に記載の導波路構造体。
【請求項34】
前記導波路構造体は、前記導波路層上に設けられた保護層を含み、前記流体チャネル、前記第1のエアギャップおよび前記第2のエアギャップのうちの1つ以上は、前記保護層および前記導波路層を少なくとも部分的に通って延在する、請求項21から33のいずれか1項に記載の導波路構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年5月22日付にて出願された米国仮出願第62/674,853号の利益を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、導波路の製造方法に関し、より具体的には、固体コア導波路、流体コアチャネル、および/または流体コア導波路を有する光流体チップなどの2次元導波路構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光チップや光流体チップなどの導波路構造体は、現代の生物医学研究において重要である。これらの導波路構造体は、固体コア導波路、流体チャネル、および/または流体コア導波路を含んでいてよく、互いに同じ平面に設けられていてよく、かつ、様々な構成において互いに交差していてよい。
【0004】
上記構造を製造するための既知の技術は、複数の製造ステップを必要とする。例えば、導波路チップを製造するための既知の技術は、6つ以上のリソグラフィステップ、複数のエッチングステップ、複数の堆積ステップ、および犠牲コア除去プロセスを含みうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、光チップおよび光流体チップなどの導波路構造体を製造するための既知の技術は、多数のステップを必要とする。これらの様々なステップは、実行するのに困難かつ複雑で、時間および費用がかかる。例えば、アライメントステップは、ミスアライメントによる導波路構造体における欠陥および不具合に対する様々な契機を生じさせる。また、犠牲コア除去プロセスには、非常に時間がかかりうる。さらに、バイオセンサチップおよび導波路構造体を活用する分野においては、総体的な製造可能性、コスト、歩留まりおよび再現性を改善するために、最適化されたチップおよび構造を製造するためのステップおよびプロセス数の削減によることを含みつつ、上記最適化されたチップおよび導波路アーキテクチャを開発する必要がある。したがって、既知の技術よりも単純で、困難でなく、時間もかからず、安価である光チップおよび光流体チップを含む導波路構造体を製造するための改善された技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の必要性のうちの1つ以上に対処できる改善された技術が本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、ボンディングプロセスが後に続く、単一のリソグラフィ/エッチングプロセスは、以前の技術によって必要とされていた、扱いにくく広範囲にわたる一連のステップを置き換えることができる。全体のステップ数の削減により、商業規模を含め、より速く、より効率的で、より複雑でなく、より安価な生産(例えば、製造可能性、コスト、歩留まり、再現性)を可能にしうる。アライメントステップを排除することで、従来のアライメント手順中に生じうるミスアライメントおよび欠陥を防止することにより、品質管理をさらに改善することができる。例えば、これらの技術は、コンフォーマルコーティングおよびエッチングによって形成されたものよりも欠陥がはるかに少ない自動アライメントおよび導波路交差を可能にしうる。さらに、本明細書に記載の技術は、要求される微細加工ステップを既知の方法よりも少なくすることができ、(各1つのマスクの代わりに)流体コアチャネルへの固体コア導波路の自動アライメントを形成することができ、固体コアと流体コアの間にモノリシック交差を形成することができ、直接の流体的集積を可能にすることができ(例えば、平面チップ表面は、接合技術およびより単純な流体相互接続を可能にしうる)、時間のかかる犠牲コア除去の必要性を排除することができ、かつ、従来の方法と互換性のある材料だけでなく、より多様な材料から選択することを可能にしうる。
【0007】
いくつかの実施形態では、導波路構造体を製造して導波路層から少なくとも1つの固体コア導波路を形成するための第1の方法が提供され、第1の方法は、流体チャネルを導波路層内にエッチングすることと、第1のエアギャップおよび第2のエアギャップを導波路層内にエッチングすることであって、第1のエアギャップおよび第2のエアギャップをエッチングすることにより、第1のエアギャップと第2のエアギャップとの間の導波路層内に固体コア導波路を作製する、ことと、流体チャネルを封入するように導波路層にカバー層を取り付けることと、を含む。
【0008】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路層は、第1の酸化物層および第2の酸化物層を含み、第1の酸化物層は、第2の酸化物層の第1の側にあり、かつ、第1の屈折率を有し、第2の酸化物層は、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する。
【0009】
第1の方法のいくつかの実施形態では、流体チャネルをエッチングすることは、第2の酸化物層および第1の酸化物層内に一度にエッチングすることを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、第2の酸化物層および第1の酸化物層内に一度にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、第2の酸化物層および第1の酸化物層内に一度にエッチングすることを含む。
【0010】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路層は、第2の酸化物層の第1の側の反対側の第2の側に第3の酸化物層をさらに含み、第3の酸化物層は、第1の屈折率よりも低い第3の屈折率を有し、流体チャネルをエッチングすることは、第3、第2、および第1の酸化物層内に一度にエッチングすることを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、第3、第2、および第1の酸化物層内に一度にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、第3、第2、および第1の酸化物層内に一度にエッチングすることを含む。
【0011】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路層をドープして、周囲の屈折率よりも低いドープ屈折率を有する導波路層内に1つ以上のドープ領域を作製することをさらに含み、この1つ以上のドープ領域は、固体コア導波路に隣接している。
【0012】
第1の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のドープ領域は、第1のエアギャップおよび第2のエアギャップに隣接している。
【0013】
第1の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のドープ領域は、流体チャネルに隣接している。
【0014】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路層をドープして、周囲の屈折率よりも高いドープ屈折率を有する導波路層内に1つ以上のドープ領域を作製することをさらに含み、この1つ以上のドープ領域は、固体コア導波路を形成する。
【0015】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、ARROW層を含み、流体チャネルをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることを含む。
【0016】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、ARROW層を含み、導波路構造体は、流体チャネルに対応する位置で、ARROW層と導波路層との間にエッチストップ層を含み、流体チャネルをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることと、エッチストップ層を溶解させることと、を含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、導波路層およびARROW層内に一度にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、導波路層およびARROW層内に一度にエッチングすることを含む。
【0017】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、ARROW層を含み、流体チャネルをエッチングすることは、ドライエッチングを実行し、続いてウェットエッチングを実行することを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、ドライエッチングを実行し、続いてウェットエッチングを実行することを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、ドライエッチングを実行し、続いてウェットエッチングを実行することを含む。
【0018】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、ARROW層を含み、流体チャネルをエッチングすることは、導波路層を通ってARROW層までエッチングすることなく、導波路層内に部分的にエッチングすることを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、導波路層およびARROW層内に一度にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、導波路層およびARROW層内に一度にエッチングすることを含む。
【0019】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1のエアギャップをエッチングすることは、導波路層、ARROW層、および基板層内に一度にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、導波路層、ARROW層、および基板層内に一度にエッチングすることを含む。
【0020】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、導波路層の下にARROW層を含み、導波路構造体は、流体チャネルに対応する位置、第1のエアギャップに対応する位置、および第2のエアギャップに対応する位置に延在する、ARROW層と導波路層との間にエッチストップ層を含み、流体チャネルをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、ARROW層内にエッチングすることなく導波路層内にエッチングすることを含み、第1の方法は、エッチストップ層を溶解させることをさらに含む。
【0021】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、導波路層に結合された基板層を含み、本方法は、基板内にエッチングして、流体チャネルおよび固体コア導波路のうちの1つ以上に隣接する第3のエアギャップを形成することであって、第3のエアギャップが、1つ以上の流体チャネルおよび固体コア導波路内を伝搬する光の内部反射を生じさせるように構成されている、こと、をさらに含む。
【0022】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、レンズ素子を第3のエアギャップに設けることをさらに含み、レンズ素子は、流体チャネルから第3のエアギャップに逃げる光を収集するように構成されている。
【0023】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第3のエアギャップを形成するために基板内にエッチングすることは、流体チャネルおよび固体コア導波路のうちの1つ以上をアンダカットすることを含む。
【0024】
第1の方法のいくつかの実施形態では、導波路構造体は、微細加工されたファイバアライメントフィーチャを含む。
【0025】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、エッチングが実行される導波路層の表面から導波路層をドープして、導波路層が、ドープされた表面の近くで最も高い屈折率勾配を有するようにすることをさらに含む。
【0026】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路層をドープした後、かつ導波路層内にエッチングする前に、導波路層上に保護層を設けることをさらに含み、カバー層を導波路層に取り付けることは、保護層にカバー層を取り付けることを含む。
【0027】
第1の方法のいくつかの実施形態では、流体チャネルをエッチングすることは、ドライエッチングを実行することを含み、第1のエアギャップをエッチングすることは、ドライエッチングを実行することを含み、第2のエアギャップをエッチングすることは、ドライエッチングを実行することを含む。
【0028】
第1の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、固体コア導波路の端部の後方の導波路層内にエッチングすることをさらに含み、これにより、固体コア導波路の端部を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の導波路構造体が提供され、第1の導波路構造体は、流体チャネル、第1のエアギャップ、および第2のエアギャップを含む導波路層であって、第1および第2のエアギャップが、第1のエアギャップと第2のエアギャップとの間の導波路層内に固体コア導波路を画定する、導波路層と、流体チャネルを封入するように導波路層に取り付けられたカバー層と、を含む。
【0030】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、導波路層は、第1の酸化物層および第2の酸化物層を含み、第1の酸化物層は、第2の酸化物層の第1の側にあり、かつ、第1の屈折率を有し、第2の酸化物層は、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する。
【0031】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、流体チャネル、第1のエアギャップ、および第2のエアギャップのうちの1つ以上は、第1の酸化物層および第2の酸化物層を少なくとも部分的に通って延在する。
【0032】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、導波路層は、第2の酸化物層の第1の側の反対側の第2の側に第3の酸化物層をさらに含み、第3の酸化物層は、第1の屈折率よりも低い第3の屈折率を有し、流体チャネル、第1のエアギャップ、および第2のエアギャップのうちの1つ以上は、第1の酸化物層、第2の酸化物層、および第3の酸化物層を少なくとも部分的に通って延在する。
【0033】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、導波路層は、周囲の屈折率よりも低いドープ屈折率を有する1つ以上のドープ領域を含み、1つ以上のドープ領域は固体コア導波路に隣接している。
【0034】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、1つ以上のドープ領域は、第1のエアギャップおよび第2のエアギャップに隣接している。
【0035】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、1つ以上のドープ領域は、流体チャネルに隣接している。
【0036】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、導波路層は、周囲の屈折率よりも高いドープ屈折率を有する1つ以上のドープ領域を含み、1つ以上のドープ領域は固体コア導波路を形成する。
【0037】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第1の導波路構造体は、ARROW層をさらに含み、流体チャネル、第1のエアギャップ、および第2のエアギャップのうちの1つ以上は、ARROW層内に延在することなく、導波路層を少なくとも部分的に通って延在する。
【0038】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第1の導波路構造体は、ARROW層をさらに含み、流体チャネルは、ARROW層内に延在することなく、導波路層を少なくとも部分的に通って延在し、第1のエアギャップおよび第2のエアギャップのうちの1つ以上は、導波路層およびARROW層を少なくとも部分的に通って延在する。
【0039】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第1の導波路構造体は、導波路層に結合された基板層をさらに含む。
【0040】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、基板層は、1つ以上の流体チャネルおよび固体コア導波路に隣接する第3のエアギャップを含み、第3のエアギャップは、1つ以上の流体チャネルおよび固体コア導波路を伝搬する光の内部反射を生じさせるように構成されている。
【0041】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第3のエアギャップは、流体チャネルから第3のエアギャップに逃げる光を収集するように構成されたレンズ素子を含む。
【0042】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第3のエアギャップは、1つ以上の流体チャネルおよび固体コア導波路をアンダカットする。
【0043】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第1の導波路構造体は、微細加工されたファイバアライメントフィーチャをさらに含む。
【0044】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、導波路層は、屈折率勾配を有する。
【0045】
第1の導波路構造体のいくつかの実施形態では、第1の導波路構造体は、導波路層上に設けられた保護層をさらに含み、流体チャネル、第1のエアギャップ、および第2のエアギャップのうちの1つ以上は、保護層および導波路層を少なくとも部分的に通って延在する。
【0046】
いくつかの実施形態では、導波路構造体を製造して少なくとも1つの固体コア導波路を形成するための第2の方法が提供され、第2の方法は、基板層に第1のトレンチ、第2のトレンチ、および第3のトレンチを形成することと、マシニングされた基板層を酸化することにより、マシニングされた基板層から酸化物層を形成することと、酸化物層をドープして、酸化物層の元の屈折率よりも高いドープ屈折率を有する1つ以上のドープ領域を作製することであって、酸化物層をドープすることが、第1のトレンチに対応する位置で流体チャネルの中空コアと、第2のトレンチと第3のトレンチとの間の領域に対応する位置で導波路層内に固体コア導波路部分とを作製する、ことと、流体チャネルを封入するように、ドープされた酸化物層にカバー層を取り付けることと、を含む。
【0047】
第2の方法のいくつかの実施形態では、第2の方法は、カバー層を取り付ける前に、ドープされた酸化物層上に第2の酸化物層を堆積させることをさらに含む。
【0048】
第2の方法のいくつかの実施形態では、基板層に第1のトレンチ、第2のトレンチ、および第3のトレンチのうちの1つ以上を形成することは、基板層内に1つ以上のトレンチをマシニングすることを含む。
【0049】
第2の方法のいくつかの実施形態では、基板層は、シリコンを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2の導波路構造体が提供され、第2の導波路構造体は、流体チャネルを導波路構造体の導波路層内にエッチングすることと、第1のエアギャップおよび第2のエアギャップを導波路層内にエッチングすることであって、第1および第2のエアギャップをエッチングすることにより、第1のエアギャップと第2のエアギャップとの間の導波路層内に固体コア導波路を作製する、ことと、流体チャネルを封入するように導波路層にカバー層を取り付けることと、を含む方法によって作製される。
【0051】
いくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つ以上の特徴のいずれか1つ以上は、互いに、かつ/または本明細書に開示されている任意の方法、システム、技術、もしくはデバイスの他の特徴もしくは態様と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】A,Bは、いくつかの実施形態による、導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図2】A,Bは、いくつかの実施形態による、接合されたカバー層の下に低屈折率層を有する導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図3】A,Bは、いくつかの実施形態による、1つ以上の導波路を画定する低屈折率ドープ領域を含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図4】A,Bは、いくつかの実施形態による、1つの導波路を画定する高屈折率ドープ領域を含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図5】A,Bは、いくつかの実施形態による、ARROW層を含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図6】A,Bは、いくつかの実施形態による、ARROW層およびエッチストップ層を含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図7】A,Bは、いくつかの実施形態による、ARROW層を含み、ウェットエッチング仕上げ技術を使用して形成された、導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、ARROW層および可変深度エッチングを含む導波路構造体の概略図を示す。
【
図9】A,Bは、いくつかの実施形態による、複数のトレンチの下方に位置する反共振反射光導波路(ARROW)層およびエッチストップ層を含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図10】A,Bは、いくつかの実施形態による、基板層に形成されたエアギャップを含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図11】A,Bは、いくつかの実施形態による、基板層に形成されたエアギャップを含み、かつ、集光用レンズを含む、導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図12】A,Bは、いくつかの実施形態による、基板層に形成されたアンダカットされたエアギャップを含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図13】A,Bは、いくつかの実施形態による、ファイバアライメントフィーチャを含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図14】A~Dは、いくつかの実施形態による、CMPベースのトレンチ製造方法の様々な段階中の導波路構造体の4つの概略図を示す。
【
図15】A,Bは、いくつかの実施形態による、ドープされた酸化物基板を含む導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図16】A,Bは、いくつかの実施形態による、ドープされた酸化物基板、および接合されたカバー層の下のキャップ層を含む、導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図17】A,Bは、いくつかの実施形態による、マシニングされた基板層を酸化およびドープして導波路層を形成することによって得られた導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図18】A,Bは、いくつかの実施形態による、マシニングされた基板層を酸化およびドープして導波路層を形成することによって得られた導波路構造体の2つの概略図を示す。
【
図19】A,Bは、いくつかの実施形態による、基板層に形成されたエアギャップを含み、集光用レンズを含み、かつ、アパーチャ層を含む、導波路構造体の2つの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、ボンディングプロセスが後に続く、単一のリソグラフィ/エッチングプロセスは、以前の技術によって必要とされる扱いにくく広範囲にわたる一連のステップを置き換えることができる。例えば、導波路構造体(例えば、2次元導波路構造体)は、基板層と、基板層の上にある導波路層と、を含むチップから形成することができる。いくつかの実施形態では、基板層は、シリコンまたは他の適切な材料で形成可能であり、導波路層は、低温酸化物、リンドープ酸化物、酸窒化ケイ素、または他の適切な材料などの1つ以上の酸化物で形成可能である。導波路層は、いくつかの実施形態では、1μm、5μm、10μm、または20μm以上の厚さであってよい。導波路層は、いくつかの実施形態では、1μm、5μm、10μm、または20μm以下の厚さであってもよい。導波路層で使用される材料は、材料が光を効果的に伝達し、固体コア導波路の固体コアと、流体チャネルの壁および/または流体コアの壁と、の両方を形成しうるように選択することができる。
【0054】
導波路層が基板層上に設けられた(例えば、設置されたまたは堆積された)後、1つ以上の固体コア導波路および1つ以上の流体チャネル(いくつかの実施形態では、流体コア導波路でもありうる)を形成するために、1つ以上のエッチングステップを実行してもよい。流体チャネルを形成するために、チャネルの中空コアを導波路層からエッチング除去してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、流体チャネルの寸法は、流体チャネルを通る流体の流速に影響を与えるように変えることができる。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流体の流れは、真空、陽圧、電気浸透、および/または電気泳動のうちの1つ以上によって生ぜしめられてもよい。いくつかの実施形態では、流体チャネルのジオメトリは、シースフローによってフローフォーカシングを生じるように形成可能である。いくつかの実施形態では、チャネル流体チャネルの高さおよび/または幅は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または1000μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、チャネル流体チャネルの高さおよび/または幅は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または1000μm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流速は、0.005μL/分、0.01μL/分、0.1μL/分、1μL/分、10μL/分、100μL/分、または500μL/分以下であってもよい。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流速は、0.005μL/分、0.01μL/分、0.1μL/分、1μL/分、10μL/分、100μL/分、または500μL/分以上であってよい。
【0056】
固体コア導波路を形成するために、固体コア導波路がエアギャップ間に残された導波路層の残りの材料から形成されるように、エアギャップを、固体コア導波路のそれぞれの側の上の導波路層からエッチング除去してもよい。いくつかの実施形態では、エッチングステップは、反応性イオンエッチング、ディープ反応性イオンエッチング、および/または中性ループ放電エッチングなどのドライエッチングを含んでもよく、いくつかの実施形態では、エッチングステップは、緩衝フッ化水素酸を用いたエッチングなどのウェットエッチングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアギャップをエッチングして固体コア導波路の各側に領域を画定することに加えて、エッチングプロセスはまた、固体コア導波路の端部での領域をエッチングし、これにより、光が結合されうる光導波路の端部(例えば、光学ファセット)を形成することを含んでもよい。
【0057】
導波路層内にエッチングして固体コア導波路および流体チャネルを形成した後、カバー層を導波路層の上に適用して、流体チャネルの開放上部側を封入し、かつ/または1つ以上のエアギャップを封入することができる。いくつかの実施形態では、カバー層は、接合ガラス、ARROW層、または内部全反射コーティングされた材料(例えば、TEFLON AFなどの低屈折率材料)、または金属コーティングされた材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カバー層は、1μm、5μm、10μm、50μm、100μm、150μm、または200μm、300μm、または500μm以下の厚さであってよい。いくつかの実施形態では、カバー層は、1μm、5μm、または10μm、50μm、100μm、150μm、または200μm、300μm、または500μm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、カバー層は、永続的または非永続的な接合、接着性糊付け、または他の適切な手段によって、導波路層(または以下でさらに論じる、導波路構造体の別の層)に取り付けられてもよい。
【0058】
カバー層のエッチングおよび取り付けが完了した後、流体チャネルは、固体コア導波路に沿って伝搬し、流体チャネルに入射する励起光によって励起される分析物を含む気体または液体などの、流体(例えば、ガスおよび/または液体)で満たされうる。いくつかの実施形態では、流体チャネル内の分析物からの放射は、面外に(例えば、光検出器の上方または下方)、または面内に(例えば、流体チャネルが流体コア導波路であるときに、または流体コア導波路を使用することなく固体コア導波路構造体による上記放出を捕捉することにより、流体チャネルによって面内光検出器に導波することによって)収集されうる。
【0059】
いくつかの実施形態では、流体コア導波路としての流体チャネルの(例えば、放射光の面内検出に対する)性能は、壁の厚さを低減することによって、クラッド材料の平均屈折率を低減することによって、または以下でさらに論じるように、チャネルの下の基板層の一部をエッチング除去することによって、増大させることができる。
【0060】
図1Aおよび
図1Bは、いくつかの実施形態による、導波路構造体100の2つの概略図を示す。
図1Aは、導波路構造体100の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー102を示している。
図1Bは、導波路構造体100の上面図を示す。
【0061】
図1Aに示しているように、導波路層104は、1つ以上の酸化物層から形成されうる。いくつかの実施形態では、低屈折率酸化物層106は、基板(例えば、シリコン)層108の上に設けることができ、高屈折率酸化物層110は、低屈折率酸化物層106の上に設けることができる。2つの酸化物層は、導波路層104を一緒に形成することができる。光112が高屈折率酸化物層110を通って伝搬すると、光112は、エアギャップ116および/または低屈折率酸化物層106によって、固体コア導波路114に沿って内部反射されうる。いくつかの実施形態では、低屈折率酸化物層106および基板層108は両方とも、低屈折率基板層によって置き換えられてもよい。
【0062】
図1Aに示しているように、エアギャップ116および流体チャネル118を形成するエッチングステップは、高屈折率酸化物層110および低屈折率酸化物層106が内部へかつ/またはこれを通って同時にエッチングされるように実行可能である。すなわち、酸化物層を別々にエッチングし、次いで各層内にエッチングされたギャップ/チャネルを位置合わせするのではなく、層が既に互いに結合された後にエッチングを実行することができ、これにより自動アライメントが達成される。
図1の例に示しているように、チャネル118および/またはエアギャップ116は、いくつかの実施形態では、上から高屈折率酸化物層110を完全に貫通してエッチングし、上から低屈折率酸化物層106内に部分的にエッチングすることによって形成することができる。いくつかの実施形態では、導波路構造体100は、流体チャネル118の開放上部側を封入するように、かつ/または1つ以上のエアギャップ116を封入するように、導波路層104の上に適用されうるカバー層120を含むことができる。
【0063】
本明細書に開示される導波路構造体のいずれかのいくつかの実施形態では、1つ以上の導波路層は、別の1つの層の上に配置しまたは堆積させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の層は、スパッタ、スピンオン、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、低圧化学蒸着法(LPCVD)、電子ビーム蒸着、および/または任意の他の堆積方法によって堆積させることができる。
【0064】
リソグラフィステップが1つしか存在しないため、この方法を使用することにより、より複雑な導波路構造体を作製し、このプロセス用の個々のダイ(例えば、電子ビームで画定されたフィーチャ)を露出させるのは非常に簡単となりうる。さらに、このワークフローでは、製造ステップ間でマスクを位置合わせする必要がない。
【0065】
導波路構造体100および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、高屈折率酸化物(例えば、層110)の屈折率は、1、2、3または4以下であってよい。
図1および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、高屈折率酸化物(例えば、層110)の屈折率は、1、2、3または4以上であってもよい。
【0066】
導波路構造体100および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、低屈折率酸化物(例えば、層106)の屈折率は、1、2、3、または4以下であってよい。
図1および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、低屈折率酸化物(例えば、層106)の屈折率は、1、2、3、または4以上であってもよい。
【0067】
導波路構造体100および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態(例えば、以下の
図15および16を参照)では、ドープされた酸化物の屈折率は、1、2、3、または4以下であってよい。
図1および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、ドープされた酸化物の屈折率は、1、2、3、または4以上であってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、基板層(例えば、低屈折率酸化物層106)に隣接する酸化物層の厚さは、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、または50μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、基板層(例えば、低屈折率酸化物層106)に隣接する酸化物層の厚さは、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、または50μm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、基板層に隣接する酸化物層(例えば、低屈折率酸化物層106)は、導波路の導波特性を改善し、かつ/または隣接するシリコン/基板材料からのバックグラウンドフォトルミネセンスを低減することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、コア酸化物層(例えば、高屈折率酸化物層110)の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、コア酸化物層(例えば、高屈折率酸化物層110)の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以上であってもよい。
【0070】
図2Aおよび
図2Bは、いくつかの実施形態による、接合されたカバー層220の下に低屈折率層206を有する導波路構造体200の2つの概略図を示す。
図2Aは、導波路構造体200の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー202を示している。
図2Bは、導波路構造体200の上面図を示す。
【0071】
図2に示す導波路構造体200は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、
図2の構造の導波路層204が、高屈折率酸化物層210の上かつカバー層220の下に付加的な低屈折率酸化物層222を含みうるという点で、
図1に示した構造体100とは異なりうる。いくつかの実施形態では、第2の低屈折率酸化物層222は、他の酸化物層が設けられる(例えば、設置されるまたは堆積される)のに続いて、他の酸化物層の上に設ける(例えば、設置するまたは堆積させる)ことができる。光212が高屈折率酸化物層210を通って伝搬すると、エアギャップ216、低屈折率酸化物層206、および/または付加的な低屈折率酸化物層222によって、固体コア導波路214に沿って内部反射が生じうる。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2の低屈折率酸化物層122の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、第2の低屈折率酸化物層122の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以上であってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、エアギャップ216および流体チャネル218を形成するエッチングステップは、高屈折率酸化物層210、および2つの低屈折率酸化物層206、222の内部へかつ/またはこれを通って同時にエッチングされるように実行可能である。すなわち、酸化物層を別々にエッチングし、次いで各層内にエッチングされたギャップ/チャネルを位置合わせするのではなく、層が既に互いに結合された後にエッチングを実行することができ、これにより自動アライメントが達成される。導波路構造体200の例に示しているように、チャネル218および/またはエアギャップ216は、いくつかの実施形態では、上から上部低屈折率酸化物層222を完全に貫通してエッチングし、上から高屈折率酸化物層210を完全に貫通してエッチングし、かつ、上から低屈折率酸化物層206内に部分的にエッチングすることによって形成することができる。いくつかの実施形態では、流体チャネル218を形成するエッチングにより、導波路層204を完全に貫通し、基板層208内に部分的に(破線のプロファイル224によって示しているように)切削することができる。
【0074】
底部206および上部低屈折率層222(または代替的にARROW層)の存在により、明確に画定された導波路を作製することができ、カバー層220が、固体コア導波路214およびいくつかの実施形態では流体コア導波路での導波に必要な光学特性を著しく妨害することなしに、上記液体チャネル218をシールするための任意のタイプの材料を使用することを可能としうる。
【0075】
図3Aおよび
図3Bは、いくつかの実施形態による、1つ以上の導波路を画定する低屈折率ドープ領域326を含む導波路構造体300の2つの概略図を示す。
図3Aは、導波路構造体300の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー302を示している。
図3Bは、導波路構造体300の上面図を示す。
【0076】
図3に示す導波路構造体300は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、エアギャップ316をエッチングすることによって固体コア導波路314および/または流体コア導波路を画定することに代えてまたはこれに加えて、フォトマスクを通したドーパント拡散を使用して、屈折率が導波路層304の他の場所よりも低い導波路層304内の領域326を画定することができるという点で、
図1に示した構造体100とは異なりうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、ドーパント拡散は、イオン拡散、イオン交換、および/またはイオン注入を含みうる。いくつかの実施形態では、ドーパント拡散に使用されるイオンは、He+、N+、O+、Si+、P+、Ti+、Ge+、またはRighini, G. C. & Chiappini, A. Glass optical waveguides: a review of fabrication techniques, OE, OPEGAR 53, 071819 (2014)、Penia-Rodri’guez, O. et al., Optical Waveguides Fabricated by Ion Implantation/Irradiation: A Review. Ion implantation (InTech, 2012)、および/またはChen, F., Wang, X.-L. & Wang, K.-M., Development of ion-implanted optical waveguides in optical materials: A review. Optical Materials 29, 1523-1542 (2007)に示されているイオンのうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。したがって、
図3Bの上面図に示しているように、固体コア導波路314は、2つのドープ領域326間の領域によって画定されうる。いくつかの実施形態では、ドーパントを使用して導波路を画定することにより、エッチングに依存して固体コア導波路314を形成する構造と比較して、光312の屈折および散乱が少ない構造体300を作製することができ、これによりチップのバックグラウンド信号を低減することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、導波路層304内のドーパント拡散を使用して、固体コア導波路314および/または流体コア導波路を含む、導波路の側部、下部、および/または上部に領域を画定することもできる。いくつかの実施形態では、導波路層304は、低屈折率酸化物層306および高屈折率酸化物層310を含む。低屈折率酸化物層306は、基板(例えば、シリコン)層308の上に設けることができ、高屈折率酸化物層310は、低屈折率酸化物層306の上に設けることができる。いくつかの実施形態では、付加的なドープ領域328を含むことにより、導波路の特定のモードを規定するか、または他の光学現象を生じさせることができる。付加的なドープ領域328は、(基板層308上に配置されている)低屈折率酸化物層306内に設けることができ、かつ/または(カバー層320の下に設けられた)高屈折率酸化物層310内に設けることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ドーパント拡散は、1つ以上のエッチングステップの前に実行してもよく、いくつかの実施形態では、1つ以上のエッチングステップの後に実行してもよい。
【0080】
図4Aおよび
図4Bは、いくつかの実施形態による、導波路を画定する高屈折率ドープ領域を含む導波路構造体400の2つの概略図を示す。
図4Aは、導波路構造体400の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー402を示している。
図4Bは、導波路構造体400の上面図を示す。
【0081】
図4の導波路構造体400は、
図3に示す導波路構造体300と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができる。
図3に示している導波路構造体300と同様に、
図4に示される導波路構造体400は、フォトマスクを通したドーパント拡散などのドーパント拡散によって作製および画定される1つ以上の導波路を含みうる。
図3に示している構造体300は、周囲の領域よりも低い屈折率を有するドープ領域326を画定するドーパント拡散を使用して作製可能であるが、
図4に示している構造体400は、代わりに、周囲の領域よりも高い屈折率を有するドープ領域を画定するドーパント拡散を使用して作製可能である。いくつかの実施形態では、ゲルマニウム、または上記で示したもののうちの1つ以上などの他の適切なイオンを使用して、ドープにより高屈折率領域を作製することができる。いくつかの実施形態では、導波路層404をドープすることによって形成される屈折率変動は、屈折率の瞬間的な空間変化(例えば、ステップ変化)を含むことができ、かつ/または屈折率の漸進的な空間的増大もしくは減少を含むことができることに留意されたい。
【0082】
したがって、
図4Bの上面図に示しているように、固体コア導波路414は、導波路層404内の非ドープ酸化物よりも高い屈折率を有しうるドープ領域自体によって画定されうる。いくつかの実施形態では、ドーパントを使用して導波路を画定することにより、エッチングによって固体コア導波路414を形成する構造と比較して、光412の屈折および散乱が少ない構造体400を作製することができ、これによりチップのバックグラウンド信号を低減することができる。いくつかの実施形態では、導波路層404は、基板層408の上に配置された酸化物層406を含むことができる。導波路層404はまた、エアギャップ416、および流体チャネル418を含みうる。いくつかの実施形態では、カバー層420は、導波路層404の上に設けることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、ドーパント拡散は、1つ以上のエッチングステップの前に実行してもよく、いくつかの実施形態では、1つ以上のエッチングステップの後に実行してもよい。
【0084】
図5Aおよび
図5Bは、いくつかの実施形態による、ARROW層530を含む導波路構造体500の2つの概略図を示す。
図5Aは、導波路構造体500の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー502を示している。
図5Bは、導波路構造体500の上面図を示す。
【0085】
図5に示す導波路構造体500は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、構造体500が、基板508の上かつ導波路層504の下にARROW層530をさらに含むという点で、
図1に示した構造体100とは異なりうる。ARROW層530は、いくつかの実施形態では、基板層508の上に設ける(例えば、設置するまたは堆積させる)ことができ、次いで、導波路層504は、ARROW層530の上に設ける(例えば、設置するまたは堆積させる)ことができる。ARROW層530が導波路層504の下で使用されるいくつかの実施形態では、導波路層504は、異なる屈折率を有する複数の異なる酸化物層から構成されるのではなく、上部から下部まで一定の屈折率を有してもよい。
【0086】
図5Aの断面図に示しているように、チャネル518および/またはエアギャップ516は、いくつかの実施形態では、ARROW層530内へのエッチング、およびその光学特性を損なうことを防ぐために、最後までエッチングすることなしに、導波路層504内に部分的にエッチングすることによって形成されうる。いくつかの実施形態では、固体コア導波路514は、エッチングによって画定することができる。いくつかの実施形態では、カバー層520を導波路層504の上に設けることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、ARROW層530の全体の厚さ(例えば、総スタック厚さ)は、0.1μm、0.2μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、または15μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、ARROW層530の全体の厚さ(例えば、総スタック厚さ)は、0.1μm、0.2μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、または15μm以上であってもよい。ARROW層530の全体の厚さは、交互の層の数、および/または例えば導波光512に対する所望の導波特性に依存して変化しうる。
【0088】
図6Aおよび
図6Bは、いくつかの実施形態による、ARROW層630およびエッチストップ層632を含む導波路構造体600の2つの概略図を示す。
図6Aは、導波路構造体600の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー602を示している。
図6Bは、導波路構造体600の上面図を示す。
【0089】
図6に示している導波路構造体600は、構造体600が、ARROW層630の上かつ導波路層604の下にエッチストップ層632をさらに含むという点で、
図5に示した構造体500とは異なりうる。いくつかの実施形態では、エッチストップ層632は、流体チャネル618を形成するためにエッチング除去される領域の下部に配置される限局されたエッチストップ層であってよい。この手段により、エアギャップ616を形成するエッチングステップは、導波路層604を貫通し、ARROW層630内にかつ/またはARROW層630を貫通して、さらに基板層608に最後までエッチング可能であるが、流体チャネル618を形成するエッチングステップは、エッチストップ層632により、ARROW層630内にまたはARROW層630を貫通してエッチングすることが防止される。したがって、ARROW層630は、流体チャネル618の下の位置で保護および保存することができ、一方、構造体600の他の位置のARROW層630は、貫通してエッチングされてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、流体チャネル618をエッチングするステップに続いて、限局されたエッチストップ層632は、ウェットエッチングなどによって溶解させることができ、またはそうでなければ、流体チャネル618の中空コアがARROW層630に直接に隣接するよう、除去することもできる。エッチストップ層632がARROW層630の所望の光学特性と互換性がある場合などのいくつかの実施形態では、エッチストップ層632は所定の位置に残されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、エッチストップ層632は、金属、誘電体材料、多結晶材料、および/または他の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エッチストップ層632用の材料は、導波路層604の1つ以上の材料のエッチング速度と比較したときに、材料が十分に異なるエッチング速度を有するように、選択されうる。
【0092】
いくつかの実施形態では、エッチストップ層632の厚さは、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、または10μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、エッチストップ層632の厚さは、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、または10μm以上であってもよい。
【0093】
図7Aおよび
図7Bは、いくつかの実施形態による、ARROW層730を含み、ウェットエッチング仕上げ技術を使用して形成された、導波路構造体700の2つの概略図を示す。
図7Aは、導波路構造体700の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー702を示している。
図7Bは、導波路構造体700の上面図を示す。
【0094】
図7に示す導波路構造体700は、
図5に示した導波路構造体500と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、第1のエッチングステップ(例えば、粗いディープエッチングステップ)に続いて、エアギャップ716および流体チャネル718のそれぞれに対して、導波路層704を貫通して最後までエッチングし、ARROW層730まで(しかしその内部へではなく)エッチングするために、第2のエッチングステップを実行することができるという点で、
図5に示した構造体500とは異なりうる。いくつかの実施形態では、第1のエッチングステップはディープエッチングであってよく、第2のエッチングステップはウェットエッチングであってよい。いくつかの実施形態では、第2のエッチングステップを使用して、エッチングされているギャップ716またはチャネル718のさらに下方かつ/またはさらに側面734までエッチングすることができる。いくつかの実施形態では、ARROW層730の最も外側(例えば、上部または底部)の層は、ウェットエッチングステップがARROW層730内へのエッチングによってARROW層730を損なうのを防止するように構成されたエッチストップARROW層とすることができる。最も外側のARROW層をウェットエッチングなどのエッチングプロセスに対する効果的なエッチストップとして選択し、ディープエッチングの後にその後のウェットエッチングを適用することによって、損傷のないARROW層730を流体チャネル718の直下に達成することが可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、チャネル718および/またはエアギャップ716の比較的垂直な側壁を達成するために、チャネル718および/またはエアギャップ716のプロファイルの上部が比較的垂直になるように、実質的な深度までエッチングを行うことができる。
【0096】
図8は、いくつかの実施形態による、ARROW層830および可変深度エッチングを含む導波路構造体800の概略図を示す。
図8は、導波路構造体800の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー802を示している。
【0097】
図8に示す導波路構造体800は、
図6に示した導波路構造体600と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、
図8の構造体800が、限局されたエッチストップ層(または任意のエッチストップ層、例えば、層632)を有さないという点で、
図6に示した構造体600とは異なりうる。したがって、エッチング中、液体チャネル818を形成するエッチングにより、たとえエッチングがエッチストップ層(例えば、層632)によって停止されることがなくても、導波路層804を貫通してARROW層830内に最後まで切削する手前で停止することができる。
【0098】
図9Aおよび
図9Bは、いくつかの実施形態による、複数のトレンチの下方に位置するARROW層930およびエッチストップ層932を含む導波路構造体900の2つの概略図を示す。
図9Aは、断面図を示す。
図9Bは、導波路構造体900の上面図を示す。
【0099】
図9に示す導波路構造体900は、
図6に示した導波路構造体600と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、構造体900に含まれるエッチストップ層932が、流体チャネル918に対応する位置にのみ限局されないという点で、
図6に示した構造体600とは異なりうる。代わりに、エッチストップ層932は、導波路層904からエッチングされた1つ以上のエアギャップ916など、1つ以上の他のエッチング部の下の領域に延在していてよい。したがって、非限局のエッチストップ層932は、流体チャネル918を形成するエッチングおよび1つ以上のエアギャップ916を形成するエッチングがARROW層930内に延在するのを防ぐことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、エッチストップ層932を、1つ以上のエッチングステップの後に完全にまたは部分的に溶解させるか、またはそうでなければ除去することができる。いくつかの実施形態では、エッチストップ層932は、(例えば、流体チャネル918およびエアギャップ916でエッチングが行われる領域から当該エッチストップ層932が除去されたとしても)固体コア導波路914の下に存在したまま残りうるため、固体コア導波路914内の光912のARROW層930内への伝搬を阻止しないよう、透明とすることができる。いくつかの実施形態では、透明エッチストップ層932は、1つ以上の酸化物を含んでいてよい(いくつかの実施形態では、不透明エッチストップ層932は、1つ以上の金属を含んでいてよく、1つ以上の金属は、いくつかの実施形態では、付加的なエッチングステップなどの2次プロセスステップを使用して導波路構造体900から除去されてもよい)。
【0101】
いくつかの実施形態では、透明なエッチストップ層932の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以下であってよい。いくつかの実施形態では、透明なエッチストップ層932の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以上であってもよい。
【0102】
図10Aおよび
図10Bは、いくつかの実施形態による、基板層1008に形成されたエアギャップ1036を含む導波路構造体1000の2つの概略図を示す。
図10Aは、導波路構造体1000の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1002を示している。
図10Bは、導波路構造体1000の上面図を示す。
【0103】
図10に示す導波路構造体1000は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、基板層1008の一部を除去し、導波路層1004の下側を、流体チャネル1018および/または固体コア導波路1014の下の1つ以上のエアギャップ1036に露出させるために、導波路層1004内に流体チャネル1018および固体コア導波路1014を作製するために実行されるトップダウンエッチングに加えて、ボトムアップエッチングもまた実行されうるという点で、
図1に示した構造体100とは異なりうる。流体チャネル1018および/または固体コア導波路1014の下に1つ以上のエアギャップ1036を形成することにより、固体コア導波路1014および/または(流体コア導波路として機能しうる)流体チャネル1018内の光1012が下向きに導波路1014/チャネル1018から漏れるのを防止できるので、基板層1008から切り出されたエアギャップ1036自体によって、ARROW層(例えば、層930)または低屈折率酸化物層の必要性を排除することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、
図10に示しているように導波路層1004の反対側の基板層1008の側にエッチングすることなどによって、基板層1008へのエッチングを付加的にまたは代替的に使用して、1つ以上の流体チャネルを形成することができ、かつ/または基板層1008を通る流体ルーティング用の他の構造を形成することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、
図10に示しているように導波路層1004の反対側の基板層1008の側にエッチングすることなどによって、基板層1008へのエッチングを付加的にまたは代替的に使用して、導波路構造体1000の物理的な配置の際に使用するために、導波路構造体1000上の構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、基板1008の微細加工を使用して、1つ以上のキネマチック構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、基板層1008へのエッチングによって形成された1つ以上の構造を使用して、物理的に配置し、かつ/またはアライメントシステムに取り付け、かつ/またはこれと物理的に相互作用させることができる。いくつかの実施形態では、基板層1008へのエッチングによって形成された1つ以上の構造には、キネマチック用途で使用するための磁性材料および/または1つ以上の磁性構成要素を充填可能であり、これらを収容可能であり、かつ/または他の方法でこれらに取り付け可能である。
【0106】
図11Aおよび
図11Bは、いくつかの実施形態による、基板層1108に形成されたエアギャップ1136を含み、かつ、集光用レンズ1138を含む、導波路構造体1100の2つの概略図を示す。
図11Aは、導波路構造体1100の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1102を示している。
図11Bは、導波路構造体1100の上面図を示す。
【0107】
図11に示す導波路構造体1100は、
図10に示した導波路構造体1000と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、構造体1100が、例えば、面外励起光収集での使用のために1つ以上のレンズをさらに含みうるという点で、
図10に示した構造体1000とは異なりうる。図示しているように、レンズ1138などの1つ以上のレンズは、流体チャネル1118からの励起光1112の上側での収集のために、接着剤糊付け、永久的接合もしくは非永久的接合などによって、またはカバー層1120自体の内部に製造することによって、カバー層1120に含めるかまたは取り付けることができる。代替的または付加的に、レンズ1140などの1つ以上のレンズは、流体チャネル1118からの励起光1112の下側での収集のために、基板1108から下側のエアギャップ1136をエッチングすることに続いて、流体チャネル1118の下方に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のレンズ1138、1140は、ポリマー材料、誘電体材料、ガラス、または任意の他の適切な材料から形成することができる。
【0108】
図12Aおよび
図12Bは、いくつかの実施形態による、基板層1208に形成されたアンダカットされたエアギャップ1242を含む導波路構造体1200の2つの概略図を示す。
図12Aは、導波路構造体1200の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1202を示している。
図12Bは、導波路構造体1200の上面図を示す。
【0109】
図12に示す導波路構造体1200は、
図10に示した導波路構造体1000と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、流体チャネル1218および/または固体コア導波路1214の下のエアギャップ1242が、基板層1208を下方からエッチングすることによってではなく、アンダエッチング(例えば、水酸化カリウム(KOH)エッチング)を実行して、導波路層1204に最初にエッチングされたエアギャップ1216から、固体コア導波路1214内かつ下方へかつ/または流体チャネル1218の下方へ切削することによって形成されうるという点で、
図10に示した構造体1000とは異なりうる。いくつかの実施形態では、アンダエッチングは、例えば、吊り下げた構造の崩壊を防ぐために、ブリッジされたセクションで実行可能である。
【0110】
図13Aおよび
図13Bは、いくつかの実施形態による、ファイバアライメントフィーチャ1344を含む導波路構造体1300の2つの概略図を示す。
図13Aは、導波路構造体1300の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1302を示している。
図13Bは、導波路構造体1300の上面図を示す。
【0111】
図13Aおよび
図13Bに示す導波路構造体1300は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、構造体1300が、例えば、励起光1312の導波の際に使用するために、1つ以上の従来の光ファイバを組み込みうるという点で、
図1に示した構造体100とは異なりうる。例えば、導波路層1304にエアギャップをエッチングすることによって固体コア導波路を作製することに代えて、光ファイバ1346を使用して、光1312を(本明細書の他の場所で論じたのと同じ方法で形成可能な)流体チャネル1318に導波することができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ1346を使用して、励起光1312を、本明細書の他の場所で論じたように形成された固体コア導波路に導波することができる。
【0112】
図14A~Dは、いくつかの実施形態による、CMP(化学機械研磨)ベースのトレンチ製造方法の様々な段階中の導波路構造体1400の4つの概略図を示す。
図14に示す導波路構造体1400は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができる。本明細書で論じた他のいくつかの実施形態とは異なり、
図14に示している技術は、1つ以上の酸化物へのエッチングに加えてまたはこれに代えて、1つ以上のフィーチャをシリコン基板1408(または他の非酸化物基板)にマシニングすることに大きく依拠しうる。いくつかの実施形態では、シリコンまたは他の基板材料へのマシニングに依存する導波路構造体製造技術は、シリコンのマシニングが酸化物へのエッチングよりも単純で標準化されたプロセスでありうるため、主としてまたは排他的に酸化物へのエッチングに依拠する技術よりも、単純かつ高速であり、より効率的かつより安価でありうる。
【0113】
図14Aに示しているように、シリコン基板1408は、2つの交差する(一方は90°のコーナーの右側に示されている1448であり、他方は90°のコーナー1402の左側示されている1450である)トレンチを形成するために、マシニング(例えば、マイクロマシニング)されうる。次いで、マシニングされたトレンチ1448、1450が酸化物1406で充填可能となるように、1つ以上の酸化物を、マシニングされたシリコン基板1408上に堆積させることができる。酸化物1406が設けられた(例えば、堆積されたまたは設置された)後、流体チャネル1418が、90°のコーナー1402の右側に示されている酸化物1406内にエッチングされうる(代替的に、いくつかの実施形態では、流体チャネル1418を形成する酸化物部分は、例えば、
図17および18を参照して以下で論じるように、エッチングされたシリコントレンチ1448の酸化によって形成されうる)。
【0114】
次いで、
図14Bに示しているように、基板1406にマシニングされたトレンチ1448または1450のうちの一方の、内側でない、基板1408上に設けられた(例えば、堆積されたまたは設置された)酸化物1406が除去されうる。いくつかの実施形態では、酸化物1406は、CMPによって除去することができ、一方、いくつかの実施形態では、酸化物1406をリフトオフしてもよい。
【0115】
次に、
図14のCに示しているように、流体チャネル1418がエッチングされたトレンチ1448を取り囲んでいるシリコン基板1408が、例えば、KOHエッチングによって除去されうる。いくつかの実施形態では、基板1408は、流体チャネル1418を形成する酸化物1406の下の領域の一方側または両側および一部を含みうる領域1442で(例えば、アンダエッチングによって)エッチング除去されうる。
【0116】
次いで、
図14のDに示しているように、90°のコーナー1402の左側にある、酸化物が充填されたトレンチ1450を取り囲んでいるシリコン基板1408が、例えば、KOHエッチングによって除去されうる。いくつかの実施形態では、基板1408は、酸化物を充填されたトレンチ1450を形成する酸化物1406の下の領域の一方側または両側および一部を含みうる領域1452で(例えば、アンダエッチングによって)エッチング除去されうる。
【0117】
最後に、
図14のDに示しているように、カバー層1420を追加して、流体チャネル1418を封入することができる。カバー層1420は、本明細書の他の場所で論じた他のカバー層(例えば、カバー層120)と、任意の1つ以上の特性を共有することができる。
【0118】
したがって、90°のコーナー1402の左側に示される酸化物1454は、光1412の固体コア導波路として機能することができ、90°のコーナーの右側に示されるエッチング除去された酸化物1456は、固体コア導波路と交差する流体チャネル1418および/または流体コア導波路(例えば、酸化物1454)として機能することができる。
【0119】
図15Aおよび
図15Bは、いくつかの実施形態による、ドープされた酸化物基板1508を含む導波路構造体1500の2つの概略図を示す。
図15Aは、導波路構造体1500の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1502を示している。
図15Bは、導波路構造体1500の上面図を示す。
【0120】
図15に示す導波路構造体1500は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、導波路(例えば、酸化物)層(例えば、層104)とは異なる基板(例えば、シリコン)層(例えば、層108)を含むのではなく、構造が、モノリシック酸化物基板1508(例えば、石英ガラスウェハ、ボロフロート、BK7、溶融シリカ、または単結晶石英)から形成されうるという点で、
図1に示した導波路構造体100、および本明細書に示した他の導波路構造体(例えば、構造体200~1400)とは異なりうる。いくつかの実施形態では、酸化物基板1508は、酸化物基板1508の屈折率が、ドープされた表面(例えば、上面1558)から遠い位置よりも、ドープされた(例えば、上面1558)表面近くで高くなるように、酸化物に屈折率勾配を形成するために、基板1508の表面(例えば、上面1558)近くでイオンによってドープされうる(例えば、上記のイオンドープの説明を参照)。いくつかの実施形態では、マスクを使用して特定の領域のみをドープするのではなく、酸化物基板1508の表面全体(例えば、上面1558)にブランケットドープを施してもよい。本明細書の他の場所で論じるエッチングステップは、次いで、酸化物基板1508のドープされた表面(例えば、上面1558)内にエッチングして、流体チャネル1518およびエアギャップ1516を形成することによって、実行されうる。屈折率勾配のため、エッチングされたエアギャップ間に画定された流体コア導波路(例えば、流体チャネル1518)内の励起光1512が、酸化物基板1508の低屈折率部分内に下向きに漏れるのを防ぐことができる。屈折率勾配が上述されているが、いくつかの実施形態では、屈折率は、1つ以上の空間曲線にしたがって、かつ/または1つ以上の空間勾配にしたがって、1つ以上の空間ステップ関数で変化しうる。
【0121】
図15および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、ドープされた酸化物(例えば、層1508)の屈折率は、1、2、3または4以下であってよい。
図15および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、ドープされた酸化物(例えば、層1508)の屈折率は、1、2、3または4以上であってもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、酸化物基板1508全体にわたってブランケットドープ技術を使用することによって、純粋な導波路材料を用いることから堆積ステップが最小化され、バックグラウンドを低減させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、導波路(例えば、固体コア導波路1514)を画定するためにドーパントを使用することによって、光1512の屈折および散乱を少なくさせる可能性があり、これは、チップのバックグラウンド信号を低減するのに有利でありうる。
【0123】
いくつかの実施形態では、流体チャネル1518内の光1512は、チャネルから漏れ出すと酸化物基板1508内に下降しうるため、流体チャネル1518は、チャネルとしてのみ機能し、流体コア導波路としては機能しない。しかしながら、いくつかの実施形態では、流体チャネル1518の下にエアギャップを形成し、流体チャネル1518を流体コア導波路として機能させるために、基板1508の下側でディープエッチングを実行してもよい(またはアンダカットエッチングを実行してもよい)。
【0124】
図16Aおよび
図16Bは、いくつかの実施形態による、ドープされた酸化物基板1608、および接合されたカバー層1620の下のキャップ層1660を含む、導波路構造体1600の2つの概略図を示す。
図16Aは、導波路構造体1600の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1602を示している。
図16Bは、導波路構造体1600の上面図を示す。
【0125】
図16に示す導波路構造体1600は、
図15に示した導波路構造体1500と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、構造体1600が、モノリシック酸化物基板1608に形成された導波路(例えば、固体コア導波路1614、流体コア導波路1618)を光学的に保護できる、モノリシック酸化物基板1608の上かつカバー層1620の下にキャップ層1660をさらに含みうるという点で、
図15に示した構造体1500とは異なりうる。保護層1660は、酸化物基板1608のドープが実行された後、酸化物基板1608上に設ける(例えば、堆積させるまたは設置する)ことができる。いくつかの実施形態では、保護層1660は、1つ以上の酸化物を含んでもよい。次いで、保護層1660および酸化物基板1608が内部へかつ/またはこれを通って同時にエッチングされうる。
【0126】
図16および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、ドープされた酸化物(例えば、層1608)の屈折率は、1、2、3、または4以下であってよい。
図16および/または本明細書で論じる他の導波路構造体のいくつかの実施形態では、ドープされた酸化物(例えば、層1608)の屈折率は、1、2、3、または4以上であってもよい。
【0127】
図17Aおよび
図17Bは、いくつかの実施形態による、マシニングされた基板層1708を酸化およびドープして導波路層XXXを形成することによって得られた導波路構造体1700の2つの概略図を示す。
図17Aは、導波路構造体1700の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1702を示している。
図17Bは、導波路構造体の上面図を示す。
【0128】
図17に示す導波路構造体1700は、
図1に示した導波路構造体100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができる。本明細書で論じる他のいくつかの実施形態とは異なり、
図17に示している技術は、1つ以上の酸化物へのエッチングに加えてまたはこれに代えて、1つ以上のフィーチャをシリコン基板1708(または他の非酸化物基板)にマシニングすることに大きく依拠しうる。いくつかの実施形態では、シリコンまたは他の基板材料1708へのマシニングに依存する導波路構造体製造技術は、シリコンのマシニングが、酸化物へのエッチングよりも単純で標準化されたプロセスでありうるため、主にまたは排他的に酸化物へのエッチングに依拠する技術よりも、単純かつ高速であり、より効率的かつより安価でありうる。
【0129】
いくつかの実施形態では、流体チャネル1718に対応するトレンチは、基板1708からマシニング(例えば、マイクロマシニング)可能であり、流体チャネル1718を取り囲むエアギャップ1716および交差する固体コア導波路1714に対応するトレンチは、基板1708からマシニング(例えば、マイクロマシニング)可能である。したがって、
図1に示されている、酸化物106、110内にエッチングされた流体チャネル118およびエアギャップ116のジオメトリは、当該ジオメトリが酸化物などの導波路層104内ではなくシリコンウェハなどの基板1708内に形成されうることを除いて、複製可能である。
【0130】
マシニングによる基板1708でのこのジオメトリの形成に続いて、マシニングされた基板1708の部分1762(例えば、上面の近くの部分、および/またはマシニングされたトレンチ、チャネル、もしくはギャップに露出した表面の近くの部分)が、基板層1708の部分1762から導波路層1704用の酸化物1706(例えば、二酸化ケイ素)を形成するために、次いで導波路材料に変換(例えば、変容)されうる。いくつかの実施形態では、マシニングされた基板1708の部分1762は、酸化(例えば、熱酸化)によって変換されて、シリコンが二酸化ケイ素に変換され、これにより、先にはマシニングされたシリコン基板1708であったものの部分1762に、導波路層1704用の二酸化ケイ素1706を形成することができる。基板から形成された二酸化ケイ素1706は、マシニングされた基板1708のジオメトリを模倣することができる。したがって、導波路層1704を形成するための二酸化ケイ素材料1706は、マシニングされた基板層1708から形成されて、基板層1708のそれぞれのマシニングされたトレンチから形成された、流体チャネル1718およびエアギャップ1716を含みうる。
【0131】
導波路層1704に対する二酸化ケイ素材料1706の形成に続いて(例えば、シリコン基板1708の部分1762を酸化して二酸化ケイ素導波路層1704を形成することによって)、ドープされた表面(例えば、上面1758)の近くに高屈折率酸化物1710の1つ以上の領域を作製し、これにより導波路層1704の形成を完了するために、導波路層1704は、導波路層1704の表面(例えば、上面1758)近くでイオンドープされうる(例えば、上記のイオンドープの説明を参照)。このように、屈折率は、ドープされた表面(例えば、上面1758)から遠い位置よりも、ドープされた表面(例えば、上面1758)近くでより高くなりうる。いくつかの実施形態では、導波路層1704の表面全体にブランケットドープを施すことができ、したがって、マシニングされた基板1708からの形成によって導波路層1704に画定されたドープされたフィーチャ1710により、固体コア導波路1714および/または導波路流体チャネル1718を画定することができる。いくつかの実施形態では、固体コア導波路1714が、90°のコーナー1702の左側にある酸化物1706のドープされた突出部分によって示しているように、形成される。いくつかの実施形態では、導波路流体チャネル1718が、90°のコーナー1702の右側にある2つのドープされた突出したチャネル壁酸化物部分1766の間の空間によって示しているように、形成される。屈折率が高いため、エアギャップ1716の間のドープされた壁部分1766の間に画定された流体コア導波路1718内の励起光1712が、外向きにかつ/または下向きに漏れるのを防ぐことができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、酸化物層1706のドープを使用して、酸化物層1706の全部または一部に屈折率勾配を形成することができ、一方、いくつかの実施形態では、屈折率は、1つ以上の空間曲線にしたがって、かつ/または1つ以上の空間勾配にしたがって、1つ以上の空間ステップ関数で変化しうる。
【0133】
いくつかの実施形態では、保護層(
図17Aには示されていないが、いくつかの実施形態では1つ以上の酸化物を含みうる)は、層1706のドープが実行された後、酸化物層1706上に設ける(例えば、堆積させるまたは設置する)ことができる。
【0134】
最後に、カバー層1720を追加して、流体チャネル1718を封入することができる。カバー層1720は、本明細書の他の場所で説明されている他のカバー層(例えば、カバー層120)と任意の1つ以上の特性を共有することができる。
【0135】
図18Aおよび
図18Bは、いくつかの実施形態による、マシニングされた基板層1801を酸化およびドープして導波路層1804を形成することによって得られた導波路構造体1800の2つの概略図を示す。
図18Aは、導波路構造体1800の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1802を示している。
図18Bは、導波路構造体1800の上面図を示す。
【0136】
図18に示す導波路構造体1800は、
図17に示した導波路構造体1700と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、より高い屈折率を有する酸化物1810の1つ以上の領域を作製するために、導波路層1804の二酸化ケイ素部分に酸化物1806をドープするのに続いて、カバー層1820を追加する前に、第2の酸化物層1868を、ドープされた高屈折率酸化物層1810の上に設ける(例えば、堆積させるまたは設置する)ことができるという点で、
図17に関して上述した導波路構造体1700とは異なりうる。第2の酸化物層1868は、例えば、コンフォーマルコーティングによって堆積されうる。いくつかの実施形態では、第2の酸化物層1868は、酸化物1806の第1の層のドープされた部分1810よりも低い屈折率を有しうる。いくつかの実施形態では、酸化物1868の第2の層を追加することにより、第1の酸化物層1806の導波特性を保護することができる。
【0137】
第2の酸化物層1868の堆積に続いて、次いでカバー層1820を追加して、流体チャネル1818を封入することができる。カバー層1820は、最上部の酸化物層(例えば、層1868)に直接に接合可能または取り付け可能であり、本明細書の他の場所で論じる他のカバー層(例えば、カバー層1720)と任意の1つ以上の特性を共有してもよい。
【0138】
図19は、いくつかの実施形態による、基板層1908に形成されたエアギャップ1916を含み、集光用レンズ1938および1940を含み、かつ、アパーチャ層1970を含む、導波路構造体1900の2つの概略図を示す。
図19Aは、導波路構造体1900の2つのアングルからの断面図を示し、点線で区切られた2つのビューは、90°のコーナー1902を示している。
図19Bは、導波路構造体の上面図を示す。
【0139】
図19に示す導波路構造体1900は、
図11に示した導波路構造体1100と共通の任意の1つ以上の特性を共有することができ、構造体1900が、他の光を阻止しながら、信号からの光が収集のためにアパーチャ1972を通過しうるように構成されたアパーチャ層1970をさらに含みうるという点で、
図11に関して上述した導波路構造体1100とは異なりうる。いくつかの実施形態では、アパーチャ層1970に形成された1つ以上のアパーチャは、流体チャネル1918の近く、かつ基板層1908に埋め込まれたレンズ1940の近くに配置されて、信号光が流体チャネル1918からアパーチャ層1970を通り、収集のために、基板1908内のレンズ1940へと通過することを可能にし、一方、アパーチャ1972を通過せずにアパーチャ層1970の不透明な部分によって阻止されるバックグラウンド光を阻止する。
【0140】
いくつかの実施形態では、アパーチャ層1970は、1つ以上の隣接するアパーチャ、異なる形状のアパーチャ、1つ以上のパターンを形成する複数のアパーチャ、および/またはスペクトルに依存するアパーチャを含みうる(例えば、アパーチャ層1970は、いくつかの実施形態では、ARROW層のスタックを含みうる)。いくつかの実施形態では、アパーチャ層1970内の1つ以上のアパーチャを使用して、例えば、導波路構造体1900に入射する励起光のビームがアパーチャ層1970の1つ以上のアパーチャのみを通過しうるように、励起光を空間的にフィルタリングすることができる。
【0141】
図19に示しているように、アパーチャ層1970は、基板層1908(例えば、シリコン層)、および基板層1908に埋め込まれたレンズ1940の上に設けることができ、流体チャネル1918の下に隣接して設けることができる。いくつかの実施形態では、
図19の例に示しているように、アパーチャ層1970は、2つの異なる低屈折率酸化物層の間に挟むことなどによって、導波路層1904の一部に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、
図19に示しているように、アパーチャ層1970を取り囲む2つの低屈折率酸化物層を含む3層の積層部自体を、基板層と高屈折率酸化物層との間に挟むことができる。
【0142】
図19と
図11との間のさらなる違いは、
図19の導波路層1904が、低屈折率酸化物層(例えば、層1906)と高屈折率酸化物層(例えば、層1910)との両方を含むことである。いくつかの実施形態では、2つの低屈折率酸化物層の間にアパーチャ層1970を配置する(かつ/または単一の低屈折率酸化物層1906の中央部にアパーチャ層を吊り下げる)ことにより、導波路層1904内の導波路からアパーチャ層1970を光学的に分離することができ、これにより、アパーチャ層1970が導波路から光を吸収することを防止する。さらに、2つの低屈折率酸化物層の間にアパーチャ層1970を配置する(かつ/または単一の低屈折率酸化物層1906の中央部にアパーチャ層を吊り下げる)ことにより、基板層1908からかつ/または導波路層(例えば、層1910)の上部から、アパーチャ層1970を物理的に分離することができ、これにより、アパーチャ層1970を破壊または損なうことなく、基板層1908上、かつ/または導波路層(例えば、層1910)の上部で、エッチングおよび他の後処理ステップを実行することが可能になる。
【0143】
いくつかの実施形態では、アパーチャ層1970は、クロム、ニッケル、別の金属、1つ以上のARROW層(例えば、パターン化されたARROW層)、および/またはバックグラウンド光を遮断するように構成された別の不透明材料を含みうる。いくつかの実施形態では、アパーチャ層1970は、微細加工(例えば、スパッタリング、電子ビーム蒸着、スピンコーティング、および/または1つ以上のコーティング技術を含む)を使用してアパーチャ自体の1つ以上のフィーチャを形成することができるように、微細加工することができる。いくつかの実施形態では、基板層1908(例えば、シリコン基板層)は、最下部の低屈折率酸化物層1906(いくつかの実施形態では、本明細書で論じる他の最下部の低屈折率酸化物層と同じまたは同様の寸法を有しうる)を形成する光学的に透明な材料の厚い層(例えば、約2μm以上)でコーティングされうる。次いで、微細加工を使用してパターン化された吸収材料の薄い層(例えば、約0.1μm以下)に1つ以上のフィーチャ(例えば、1つ以上の穴)を形成して、アパーチャ層1970(いくつかの実施形態では、本明細書で論じる他のアパーチャ層と同じまたは同様の寸法を有しうる)を形成することができる。次に、光学的に透明な低屈折率材料の厚い層(例えば、約1μm、5μm、または10μm以上)をアパーチャ層の上に堆積させて、アパーチャ層を分離する別の低屈折率酸化物層を形成することができる(ここで、アパーチャ層を分離する低屈折率酸化物層は、いくつかの実施形態では、本明細書で論じる他の最下部の、または基板に隣接する低屈折率酸化物層と同じまたは同様の寸法を有しうる)。次いで、より高い屈折率の材料を低屈折率の酸化物層の上に堆積させて、導波路層の高屈折率領域を形成してもよい(ここで、高屈折率領域は、本明細書で論じる他の高屈折率酸化物層と同じまたは同様の厚さを有しうる)。次に、吸収層のフィーチャに位置合わせする(例えば、アパーチャ層1970のアパーチャの上に流体チャネルが形成されるように位置合わせする)ことができる、単一のリソグラフィプロセスを使用して、導波路層1904内に流体コアおよび固体コア導波路1918および1914を同時に画定することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、
図19の導波路構造体1900の基板1908は、低屈折率酸化物などの低屈折率材料を含みうる。いくつかの実施形態では、
図19に関して説明されたものと共通の1つ以上の特性を共有するアパーチャ層1970は、本明細書に記載された他の非軸方向検出導波路構造体のいずれかの1つ以上に組み込まれてもよい。
【0145】
本明細書の開示は、導波路構造体の導波路層における特定の酸化物材料の使用について論じてきたが、本明細書に開示される構造の導波路層は、いくつかの実施形態では、蒸着を使用して蒸着された材料(例えば、プラズマ化学気相成長法(PECVD)または低圧化学蒸着法(LPCVD)によって堆積された二酸化チタンなどの酸化物)、熱酸化によって形成された材料(例えば、シリコンの熱酸化から形成された二酸化ケイ素)、スピンオンガラス、バックグラウンド低減のために選択または構成されうる任意の1つ以上の他の材料、および/または1つ以上のプラスチック(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP))を含むがこれらに限定されない、1つ以上の代替または付加的な材料から、(全体的にまたは部分的に)形成可能である。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製造技術のうちのいずれか1つ以上による導波路構造体の製造に続いて、堆積、化学修飾、表面化学の変更、および/またはトポロジーの変更を含むがこれらに限定されない、製造されたチップをさらに修飾するために、1つ以上の付加的なプロセスを実行することができる。いくつかの実施形態では、これらの1つ以上の付加的なプロセスを使用して、製造された構造の疎水性、滑らかさ、および/または反応性など、製造された構造の1つ以上の特性を修正および/または拡張することができる。
【0147】
前述の記載は、説明の目的で、特定の実施形態を参照して行った。しかしながら、上記の例示的な論述は、網羅的であることを意図するものではなく、または本発明を開示した精確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。実施形態は、技術の基本方式およびその実際の適用を最もよく説明するために、選択し、説明した。これにより、当業者は、企図される特定の用途に適した様々な修正と共に、技術および様々な実施形態を最も良好に利用することが可能になる。
【0148】
開示および実施例を、添付の図面を参照して完全に説明してきたが、様々な変更および修正が当業者には明らかになることに留意されたい。このような変更および修正は、特許請求の範囲によって規定される開示および実施例の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである。最後に、本出願で言及されているすべての特許および刊行物の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。