(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20250121BHJP
【FI】
G16H50/00
(21)【出願番号】P 2021534776
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2019083724
(87)【国際公開番号】W WO2020126514
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-07
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ドローブ
(72)【発明者】
【氏名】オレリー・ル・カイン
(72)【発明者】
【氏名】イー・リン・ウォン
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183590(JP,A)
【文献】特開2017-138977(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するためのコンピュータが行う方法であって、
前記少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、前記少なくとも1人の人物についての連続値を取得することと、
少なくとも1つのプロセッサによって、個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、前記少なくとも1人の人物についての前記取得された連続値から、前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記経時的な進展を予測することと、を含み、
前記予測モデルを用いることによって前記予測することは、前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展と前記少なくとも1人の人物についての前記連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、前記関連付けることは、前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる前記連続値の前記少なくとも一部を共同で処理することを含み、
前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータは、生活様式、活動又は行動に関するパラメータであり、
前記共同で処理された前記連続値が、生活様式、活動又は行動の変化と異なる結果であるとき、前記予測される進展は、
同じパラメータに関連付けられる前記連続値の少なくとも一部のそれぞれの関数として異なる前記予測モデルによって、前記少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するために、共同で処理された異なる連続値のそれぞれに特徴的な重みを割り当てることで、前記共同で処理された
前記連続値のそれぞれに異なって依存し、
前記共同で処理することは、前記第1の
所定の種類の同じパラメータの所定数の連続値の、所定の期間にわたる平均値及び/又は標準偏差値を計算すること
である、
方法。
【請求項2】
前記方法は、前記予測することの前に、前記少なくとも1人の人物についての第2の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの変更された値に関する情報を取得することを更に含み、
前記予測モデルを用いることによって前記予測することは、前記少なくとも1人の人物についての前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展と前記少なくとも1人の人物についての前記連続値の前記少なくとも一部と共に前記変更された値を関連付けることを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連続値の前記少なくとも一部は、前記連続値のうちの少なくとも3つを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1人の人物は前記個人のグループに属する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展に関して、前記少なくとも1人の人物にフィードバックを提供することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展に基づいて、前記少なくとも1人の人物への少なくとも1つの警告メッセージの送信をトリガすることを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータに関連するリスクのレベルに従って、前記少なくとも1つの警告メッセージの内容及び/又は頻度を変化させることを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータは、屋外若しくは屋内で費やす期間、眼と読む若しくは書くテキストとの間の距離、読む若しくは書く期間、光強度若しくはスペクトル、又は視覚機器を着用する頻度若しくは期間である、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、自己申告パラメータを取得することを含み、前記予測することは、前記自己申告パラメータを考慮する、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展が前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの実際に測定された経時的な進展よりも好ましくない場合に第1の状態を有し、又は前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展が前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記実際に測定された経時的な進展よりも好ましい場合に第2の状態を有するインジケータを前記少なくとも1人の人物に提供することを更に含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1人の人物の前記第1及び/又は第2の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータの値の変化の関数として、前記少なくとも1人の人物の視覚障害の進行の低減の最大値を前記少なくとも1人の人物に提供することを更に含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための装置であって、
前記少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、前記少なくとも1人の人物についての連続値を受信するよう適合される少なくとも1つの入力と、
個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、前記少なくとも1人の人物についての取得された連続値から、前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記経時的な進展を予測するために構成される少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記予測モデルを用いることによって前記予測することは、前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展と前記少なくとも1人の人物についての前記連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、前記関連付けることは、前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる前記連続値の前記少なくとも一部を共同で処理することを含み、
前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータは、生活様式、活動又は行動に関するパラメータであり、
前記共同で処理された前記連続値が、生活様式、活動又は行動の変化と異なる結果であるとき、前記予測される進展は、
同じパラメータに関連付けられる前記連続値の少なくとも一部のそれぞれの関数として異なる前記予測モデルによって、前記少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するために、共同で処理された異なる連続値のそれぞれに特徴的な重みを割り当てることで、前記共同で処理された
前記連続値のそれぞれに異なって依存し、
前記共同で処理することは、前記第1の
所定の種類の同じパラメータの所定数の連続値の、所定の期間にわたる平均値及び/又は標準偏差値を計算すること
である、
装置。
【請求項13】
前記予測される進展を視覚化するための表示手段及び/又はスマートフォン若しくはスマートタブレット若しくはスマートアイウェアを備える、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するためのコンピュータプログラムであって、プロセッサにアクセス可能であり、且つ、前記プロセッサによって実行される場合、前記プロセッサに、
前記少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、前記少なくとも1人の人物についての連続値を取得させ、
個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、前記少なくとも1人の人物についての前記取得された連続値から、前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記経時的な進展を予測させる、1つ以上の命令シーケンスを備え、
前記予測モデルを用いることによって前記予測することは、前記少なくとも1人の人物の前記少なくとも1つの視力関連パラメータの前記予測された経時的な進展と前記少なくとも1人の人物についての前記連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、前記関連付けることは、前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる前記連続値の前記少なくとも一部を共同で処理することを含み、
前記第1の所定の種類の前記少なくとも1つのパラメータは、生活様式、活動又は行動に関するパラメータであり、
前記共同で処理された前記連続値が、生活様式、活動又は行動の変化と異なる結果であるとき、前記予測される進展は、
同じパラメータに関連付けられる前記連続値の少なくとも一部のそれぞれの関数として異なる前記予測モデルによって、前記少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するために、共同で処理された異なる連続値のそれぞれに特徴的な重みを割り当てることで、前記共同で処理された
前記連続値のそれぞれに異なって依存し、
前記共同で処理することは、前記第1の
所定の種類の同じパラメータの所定数の連続値の、所定の期間にわたる平均値及び/又は標準偏差値を計算すること
である、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1人の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝的要因等の人間の視力に影響を与える幾つかの要因は、当人が変更することはできないが、生活様式、行動、及び/又は環境要因等の他の幾つかの要因は、誰にでも変更することができる。例えば、屋外で費やす時間、近見を伴う作業に費やす時間、又は栄養は、例えば近視の発症、進行、又は減少を引き起こすことによって、視力に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
ウェアラブル装置は公知であり、例えば、人の読み及び/又は書きの姿勢を矯正することができ、近視関連パラメータを収集することができる。
【0004】
しかし、公知の装置は多くの場合、標準化されており、従って、全ての人にとって同一であり、即ち、全ての人が、例えば、近視の発症及び進行という同様のリスクを有すると仮定しており、これは実際にはそうではない。
【0005】
加えて、多くの既存の装置にとって、予測する近視進行プロファイルは一度計算され、後から更新されることはない。
【0006】
従って、その人の予測プロファイルが計算された後に、その人の生活様式、行動、及び/又は環境が変化した場合、変化していない予測プロファイルは、一貫性がなく、誤ったものとなる。
【0007】
従って、その人の1つ以上の視力関連パラメータの経時的な進展を予測する場合に、その人の視力に影響を与える修正可能なパラメータに関する変化を考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の上述の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための方法であって、
少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、少なくとも1人の人物についての連続値を取得することと、
少なくとも1つのプロセッサによって、個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、少なくとも1人の人物についての取得された連続値から、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測することと、を含み、
予測モデルを用いることによって予測することは、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの予測された経時的な進展と少なくとも1人の人物についての連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、関連付けることは、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる連続値の少なくとも一部を共同で処理することを含み、
予測される進展は、共同で処理された値のそれぞれに異なって依存する、方法を提供する。
【0010】
従って、予測方法において用いられる予測モデルは、個人のグループ、即ち個人のパネル全体からデータを収集し、それらの個人について測定されたパラメータの経時的な可能な修正を考慮することによって構築される。予測をこれらの共同で処理される値のそれぞれに異なって依存させることにより、即ち、これらの連続値自体とパラメータの連続値を共同で処理した結果との両方を考慮することで、極めて正確で一貫した動的予測を得ることが可能になる。即ち、例えば、異なる日時に取得された値を交換することによって、それらの連続した共同で処理される値に対応する入力を交換することは、予測される進展に影響を及ぼしてもよい。
【0011】
予測される進展のための上記の方法によって潜在的に提供される強化された予測能力は、特に、個人的なクロノタイプの特定の表現である、考慮される人物の時間に依存する個人的な視覚感度に起因することができる。
【0012】
一般に、クロノタイプは人間の属性であり、1日のうちのどの時間帯に、彼らの身体機能(ホルモンレベル、体温、認知能力、食事、及び睡眠)が活動しているか、変化しているか、又はある特定のレベルに達しているかを反映している。それは、睡眠のタイミング、睡眠の安定性、睡眠時間、睡眠の必要性、睡眠の質、朝の眠気、交代勤務への適応性の重要な予測因子と考えられている。
【0013】
強化された予測能力は、代替として又は更に、特に、入力として明示的に入力されないが、連続値が取得される時間に依存する時間依存環境パラメータの暗黙的な考慮に起因することができる。これらは、特に、自然照明、人工照明、又はその両方に関連付けられているかに関わらず、光スペクトル分布、光線方向、光のラジアンス及び/又は光コヒーレンス及び/又は拡散特性を含んでいてもよい。
【0014】
更に、予測が合同で処理された値のそれぞれに異なって依存するという事実により、明示的に入力されることなく、予測に影響を及ぼすパラメータを識別し、及び/又はそのより良好な知識を有することが可能になる。時間生物学(睡眠サイクルの記録及びそれらの特性との関係において)及び光線配向は、かかるパラメータの例であり得る。
【0015】
加えて、方法は、人物との対話の多種多様な形態で、現在の予測された進展を人物に伝達することを可能にしている。
【0016】
本発明はまた、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための装置であって、
少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、少なくとも1人の人物についての連続値を受信するよう適合される少なくとも1つの入力と、
個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、少なくとも1人の人物についての取得された連続値から、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するために構成される少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
予測モデルを用いることによって予測することは、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの予測された経時的な進展と少なくとも1人の人物についての連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、関連付けることは、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる連続値の少なくとも一部を共同で処理することを含み、
予測される進展は、共同で処理された値のそれぞれに異なって依存する、装置を提供する。
【0017】
本発明は、更に、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するためのコンピュータプログラム製品であって、プロセッサにアクセス可能であり、且つ、プロセッサによって実行される場合、プロセッサに、
少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、少なくとも1人の人物についての連続値を取得させ、
個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、少なくとも1人の人物についての取得された連続値から、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測させる、1つ以上の命令シーケンスを備え、
予測モデルを用いることによって予測することは、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの予測された経時的な進展と少なくとも1人の人物についての連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、関連付けることは、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる連続値の少なくとも一部を共同で処理することを含み、
予測される進展は、共同で処理された値のそれぞれに異なって依存する、コンピュータプログラム製品を提供する。
【0018】
本発明は、更に、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体であって、プロセッサにアクセス可能であり、且つ、プロセッサによって実行される場合、プロセッサに、
少なくとも1人の人物について、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する、少なくとも1人の人物についての連続値を取得させ、
個人のグループに関連付けられる予測モデルを用いることによって、少なくとも1人の人物についての取得された連続値から、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測させる、1つ以上の命令シーケンスを格納し、
予測モデルを用いることによって予測することは、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの予測された経時的な進展と少なくとも1人の人物についての連続値の少なくとも一部を関連付けることを含み、関連付けることは、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータのうちの同じ1つと関連付けられる連続値の少なくとも一部を共同で処理することを含み、
予測される進展は、共同で処理された値のそれぞれに異なって依存する、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体を提供する。
【0019】
予測装置、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ読取可能記憶媒体の利点は、予測方法の利点と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0020】
予測装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読取可能記憶媒体は、有利には、予測方法をその実行モードのいずれかで実行するために構成される。
【0021】
本明細書で提供される記載及びその利点をより詳細に理解するために、添付の図面及び詳細な説明に関連してここで以下の簡単な説明を参照し、ここで、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】特定の実施形態における、本発明による予測方法において用いられる予測モデルを構築するための方法のステップを示すフロー図である。
【
図2】特定の実施形態における、本発明による予測方法によって取得される近視進展リスクプロファイルを示すグラフである。
【
図3】特定の実施形態における、本発明による予測方法のステップを示すフロー図である。
【
図4】監視インジケータを加えて示す
図2のグラフである。
【
図5】特定の実施形態における、本発明による予測方法を実施することによって取得された予測される経時的な進展を含む複数のリスクプロファイルの例を示す2つのグラフのセットである。
【
図6】特定の実施形態における、本発明による予測方法によって取得される2つの近視発症リスクプロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴は、明瞭さ及び簡潔さのために又は情報提供の目的のために、一般化された又は概略的な形式で示されてもよい。加えて、様々な実施形態の作成及び使用が以下で詳細に論じられるが、本明細書に記載されるように、多様な状況で具体化されてもよい多くの発明の概念が提供されることを理解されたい。本明細書で論じられる実施形態は、単に代表的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者には、プロセスに関連して定義される全ての技術的特徴が個別に又は組み合わせて装置に置き換えることができ、逆に装置に関連する全ての技術的機能が個別に又は組み合わせてプロセスに置き換えることができることも明らかであろう。
【0024】
用語「含む(comprise)」(並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」等のその文法的変形形態)、「有する(have)」(並びに「有する(has)」及び「有している(having)」等のその文法的変形形態)、「含有する(contain)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有している(containing)」等のその文法的変形形態)並びに「包含する(include)」(並びに「包含する(includes)」及び「包含している(including)」等のその文法的変形形態)は、オープンエンドの連結動詞である。これらは、述べられる特徴、整数、工程若しくは構成要素又はこれらの群の存在を規定するために用いられるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程若しくは構成要素又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではない。結果として、1つ以上の工程又は要素を「含む」、「有する」、「含有する」又は「包含する」方法又は方法内の工程は、それらの1つ以上の工程又は要素を有するが、それらの1つ以上の工程又は要素のみを有することに限定されない。
【0025】
図1に示すように、本発明による予測方法において用いられるよう、少なくとも1人の人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための予測モデルを構築するための方法は、個人のグループの少なくとも1人のメンバーについて、第1の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定にそれぞれ対応する連続値を取得するステップ10を含む。
【0026】
非限定的な例として、考慮する視力関連パラメータは、人の近視レベルであってもよく、左及び/又は右眼についてジオプターで表されてもよい。それは、視覚的適性、又は遠視、乱視、老眼等の人の任意の視覚的欠陥、又は近視性黄斑変性症、網膜剥離及び緑内障を含む視覚的問題を生じる可能性のある眼疾患等の任意の視覚疾患に関連する他の任意のパラメータであってもよい。屈折異常(ジオプターで表される)に加えて、軸長(mm)、硝子体腔深さ(mm)、脈絡膜厚さ(μmで表される)、及び角膜特性等の眼の生体測定値は、視力関連パラメータの他の例である。
【0027】
個人のグループは、互いに共通の特徴を有していないか、又は、非限定的な例として、性別及び/又は生年月日及び/又は出生国及び/又は過去の家族歴及び/又は民族等の1つ以上の共通の特徴を有していてもよい任意の数の個人を含んでいてもよい。
【0028】
いずれの場合でも、個人のグループの少なくとも1人のメンバーのかかる固定パラメータは、初期化の予備ステップ8、又は後の方法の任意のステージのどちらか一方において、予測モデルに入力されてもよい。かかる固定パラメータの入力は任意である。固定パラメータは、個人のグループのメンバーに対して個別に利用可能であってもよく、又は個人のグループのサブグループに対して集合的に利用可能であってもよい。
【0029】
上記の連続値は、必ずしも時間的に連続していない。
【0030】
考慮する第1の種類のパラメータは、例えば、考慮する個人又は人の生活様式又は活動又は行動に関する。
【0031】
非限定的な例として、第1の種類のパラメータは、屋外若しくは屋内で費やした期間、眼と読む若しくは書くテキストとの間の距離、読む若しくは書く期間、光強度若しくはスペクトル、睡眠サイクルの期間、又は視覚機器を着用する頻度若しくは期間を含んでいてもよい。
【0032】
より一般的には、第1の種類のパラメータは、選択した視力関連パラメータの進展に影響を及ぼす可能性が高く、異なる時点で繰り返し測定することができる任意のパラメータである。
【0033】
測定は、考慮するパラメータを検出するよう適合される様々な種類のセンサによって、場合によってはタイムスタンプと共に、行われてもよい。
【0034】
例えば、スマートアイウェア機器又はスマートフォンに含まれてもよい光センサは、環境光の強度又はスペクトルを測定するために用いられてもよい。例えばヘッドアクセサリ内に位置する慣性運動ユニット(IMU)は、姿勢を検出するために用いられてもよい。IMUはまた、屋外活動を行うのに費やす時間を測定するために用いられてもよい。GPSは、屋外活動、又は個人が田舎又は都市環境にいるのかどうかを検出するために用いられてもよい。カメラ又はフレームセンサは、眼鏡を着用する頻度及び/又は期間を検出するために用いられてもよい。メモリは、古い視覚装置が視覚的な適性に影響を与える可能性があるという事実から判断して、現在の視覚装置の日付を登録するために用いられてもよい。
【0035】
ステップ10の後、選択した視力関連パラメータの経時的な進展を取得するステップ12が、連続値が得られた個人のグループの同じ個人に対して実行される。
【0036】
かかる経時的な進展は、それらの個人に対して選択した視力関連パラメータを経時的に繰り返し測定することによって、及び/又は、任意の適切なインターフェースを介して予測モデルを構築するプロセッサに個人によって提供される視力関連パラメータの値に関する情報を収集することによって、取得されてもよい。
【0037】
測定周波数は、ステップ10で測定される様々なパラメータに対して異なっていてもよく、ステップ12の測定周波数とは無関係であってもよい。
【0038】
例えば、第1の種類のパラメータは、少なくとも1日1回測定されてもよい。変形例として、スマートフレームを用いて、第1の種類のパラメータを1Hzよりも高い周波数で測定してもよい。
【0039】
次に、任意の特徴として、連続値が得られたそれらの個人のうちの少なくとも1人の個人について、第2の所定の種類の1つ以上のパラメータの変化した値に関する情報を取得する追加のステップ14が実行されてもよい。
【0040】
第2の種類のパラメータは、選択した視力関連パラメータの進展に影響を及ぼす可能性が高く、少なくとも1回取得することができる任意の定時的又は偶発的事象である。
【0041】
非限定的な例として、第2の種類のパラメータは、都市部から田舎への移動、矯正種類の変更、矯正レンズの度数の変更、又は妊娠であってもよい。
【0042】
少なくとも1つのプロセッサによって実行される次のステップ16の間、ステップ10で得られた連続値の少なくとも一部は、ステップ12で得られた経時的な進展と関連付けられる。連続値のかかる一部は、先に得られた値の中から取得される選択される一連の値である。選択された値は必ずしも時間的に連続していない。特定の実施形態において、選択された一続きは、少なくとも3つの連続値を備えている。
【0043】
更に、上記の固定パラメータの少なくとも一部も、関連付けプロセスにおいて考慮に入れてもよい。
【0044】
任意のステップ14が省略された場合、ステップ16において実行される関連付けは、第1の種類の同じパラメータについて得られる連続値の上記の部分を共同で処理することを含む。非限定的な例として、かかる共同処理は、第1の種類の同じパラメータの所定数の連続値の、所定の期間にわたる平均値及び/又は標準偏差値を計算することを含んでいてもよい。それはまた、所定の期間にわたる連続値の集合を含んでいてもよく、かかる集合は、次いで、所定の期間にわたって平均化されてもよい。
【0045】
任意のステップ14が実行された場合、ステップ16において実行される関連付けは、選択した視力関連パラメータの取得した経時的な進展に、第2の種類のパラメータの変更された値を、連続値の上記の一部と共に関連付けることを含む。
【0046】
従って、任意のステップ14が実行されるか否かに関わらず、相関テーブル又は任意の他のデータベース手段を構築し、読み取り専用メモリ(ROM)及び/又はランダムアクセスメモリ(RAM)等の非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体に格納することができ、取得したパラメータの値は、選択した視力関連パラメータの決定された経時的な進展に対応する。
【0047】
本開示によれば、共同で処理された値に加えて、相関テーブル又は他のデータベース手段は、それらの個々に取得された連続値のそれぞれ、又はそれらのうちの少なくとも幾つか、即ち、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つを考慮に入れる。言い換えれば、予測モデルはそれらの連続値のそれぞれの関数として異なり、即ち、予測モデルは、共同処理の結果だけでなく、それらの共同で処理された値のそれぞれに異なって依存する。
【0048】
予測モデルは、共同処理を通して共同で処理された値のそれぞれに異なって依存してもよい。例えば、平均は、それぞれ異なる連続値に関連付けられた特徴的な重み、例えば、午後9時よりも午後12時により大きい重みに依存してもよい。先のものと組み合わせることができる代替の実装において、連続値の共同処理及び差異考慮は別々に行われる。例えば、連続値の集合は1つの予測入力を形成し、それらの値の幾つかが追加の予測入力を形成する。
【0049】
ステップ8、10、12、14及び16を説明した順序は、非限定的な例である。それらは、他の任意の順序で実施されてもよい。例えば、関連付けステップ16は、連続値の一部及び視力関連パラメータの経時的な進展の一部が取得されるとすぐに開始されてもよく、ステップ10、12、及び14は、ステップ16が継続すると同時に実行されてもよい。
【0050】
予測モデル構築方法及び/又は予測方法は、サーバにおいて実装されてもよい。
【0051】
予測方法の特定の実施形態において、個人のグループはまた、1つ以上の視力関連パラメータの経時的な進展が、本願で説明する構築方法に従って構築される予測モデルを用いて予測方法によって予測されるべき人物も含んでいてもよい。言い換えれば、ステップ10、12、16、及び場合によってはステップ14も、その人物のために実行される。
【0052】
特定の実装形態において、ステップ16において用いられるプロセッサは、機械学習アルゴリズムを実装してもよい。即ち、1つ以上のニューラルネットワークは、予測方法のより良好な精度のために、多数の個人について一連の連続値を入力し、多数のデータを含む相関テーブル又は他の任意のデータベース手段を構築することによって訓練されてもよい。
【0053】
かかる実装形態において、ステップ16の関連付けは、ニューラルネットワーク内のノード接続に対して重みを割り当てることによって実施されてもよい。
【0054】
グループの個人によって提供される自己申告パラメータも、予測モデルによって考慮されてもよい。
【0055】
非限定的な例として、自己申告パラメータは、機械学習アルゴリズムに入力されてもよく、例えば、非限定的な例として、それぞれの性別、民族グループ、近視の親の数、学校の成績、知能指数テストの結果、ソーシャルネットワークからのデータ、視覚機器の屈折値、又は視覚欠陥若しくは疾患に関連する遺伝的リスクスコア等がある。かかる自己申告パラメータは、ひいては予測モデルを修正する。他の固定パラメータ並びに第1及び/又は第2の種類のパラメータ、並びにグループの個人の視力関連パラメータの経時的な進展も、自己申告されてもよい。
【0056】
自己申告パラメータ又は第2の種類のパラメータを入力するために、予測装置は、第1の種類のパラメータ測定値を取得するために既に用いられている表示手段及び/又はスマートフォン若しくはスマートタブレット、又はオーディオインターフェースを含む他の任意の種類のユーザインターフェースを含んでいてもよい。
【0057】
先に説明した予測モデル構築方法によって構築される予測モデルは、人物の1つ以上の視力関連パラメータの予測される経時的な進展に関する情報をその人物に提供するために、多数の方法で活用されてもよい。
【0058】
選択した視力関連パラメータが、例えば、所定の視覚欠陥の発症又は進行リスクである場合、予測モデルは、プロファイルグラフの形態でそのリスクの経時的な進展を示すために用いられてもよい。
【0059】
図2及び
図6は、視力障害が近視である一実施例におけるかかるグラフを示している。
【0060】
図2において、被監視者の近視レベルの進展が時間の関数として表されている。
【0061】
図6において、近視発症リスクが時間の関数として表されている。
【0062】
図2において、実線の曲線は、実際に測定された近視進展プロファイルを示している。破線の曲線は、動的予測進展の修正の関数として更新する予測近視リスクプロファイルを示している。点線の曲線は、入力パラメータの修正値を入力する前に予測される近視リスクプロファイルを示している。
【0063】
第1の種類のパラメータとして、近見を伴う作業に費やした時間が測定される。時間T1から、かかる作業に費やす時間の増加とともに、近視進行のリスクが増加し、これは、予測される近視リスクプロファイル(点線の曲線)における急激な上昇によって反映される。時刻T2において、被監視者は都市部から田舎に移動している。これは、予測する近視リスクプロファイルにおける緩やかな横這い状態によって反映されている。
【0064】
予測プロファイルは、T1及びT2からのパラメータ修正を考慮するために更新されていない予測プロファイルとは対照的に、実際に測定された進展プロファイルに略対応することが見て取ることができる。
【0065】
図6において、初期の時点で、2つのシナリオが近視発症リスクを予測することにおいて考慮される。第1のシナリオにおいて、被監視者は、近見画面作業習慣を維持しながら都市部に住み続け、これにより、将来の時間T3において近視が誘発され、その後、経時的に予測近視レベルが比較的急激に増加する。第2のシナリオにおいて、被監視者は、田舎で生活するために移り住み、近見画面作業がより少ない修正した習慣を採り入れ、これにより、T3よりも大きい将来の時間T4における近視誘発、及び僅かに低い近視進展を導いている。第1のシナリオと比較して第2のシナリオにおけるより低い近視進展リスクが、これによって定量化される。
【0066】
より一般的には、
図3に示すように、提案する、少なくとも1人の少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための方法は、第1の種類の少なくとも1つのパラメータの経時的な反復測定値にそれぞれ対応する、人物についての連続値を取得するステップ30と、個人のグループに関連付けられた先に説明した予測モデルを用いることによって、ステップ30において取得された連続値から人物の視力関連パラメータの経時的な進展を少なくとも1つのプロセッサによって予測するステップ36とを含んでいる。
【0067】
ステップ30は、グループの個人に対するステップ10と同様の方法で人物に対して実行される。
【0068】
図1における任意の初期化ステップ8と同様に、任意の初期化ステップ28は、性別及び/又は生年月日及び/又は出生国及び/又は家族歴及び/又は民族等の人物のための固定パラメータを収集してもよい。ステップ28は、初期化の予備ステップにおいて、又は、後に予測方法の任意のステージにおいてのどちらか一方において実行されてもよい。
【0069】
特定の実施形態において、予測ステップ36の前に、人物についての第2の種類の少なくとも1つのパラメータの変更された値に関する情報を取得する任意のステップ34が実行されてもよい。
【0070】
予測ステップ36は予測モデルを用いる。
【0071】
任意のステップ34が省略される場合、予測ステップ36は、人物についての連続値の少なくとも一部を、人物の選択した視力関連パラメータの予測される経時的な進展と関連付けることを含む。関連付け動作は、第1の種類の同じパラメータに関連付けられた連続値の上記の部分を共同で処理することを含む。
【0072】
連続値のかかる一部は、先に得られた値の中から取得される選択される一連の値である。選択された値は必ずしも時間的に連続していない。特定の実施形態において、選択された一続きは、少なくとも3つの連続値を備えている。
【0073】
任意のステップ34が実行された場合、予測ステップ36は、更に、人物について選択した視力関連パラメータの予測される経時的な進展を、人物についての第1の種類のパラメータの連続値の上記の一部と共に、第2の種類のパラメータの変更された値と関連付けることを含む。
【0074】
本開示によれば、任意のステップ34が実行されるか否かに関わらず、予測モデルに関して、予測進展は、それらの連続値又はそれらの少なくとも一部、即ち少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの共同処理の結果だけでなく、それらの連続値のそれぞれ又はそれらの少なくとも一部も考慮に入れ、その結果、予測進展は、それらの連続値のそれぞれの関数として異なり、即ち、予測モデルは、それらの共同処理された値のそれぞれに関して異なって依存する。
【0075】
本発明による予測装置は、上で説明したような少なくとも1人についての連続値を受信するよう適合される少なくとも1つの入力を備える。装置はまた、上で説明したように、人物の考慮する視力関連パラメータの経時的な進展を予測するために構成される少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0076】
かかる装置は、予測モデル構築装置に備えられるディスプレイユニット及び/又はスマートフォン若しくはスマートタブレット若しくはスマートアイウェア又はサーバと同じであってもよい、ディスプレイユニット及び/又はスマートフォン若しくはスマートタブレット若しくはスマートアイウェア若しくはスマートアイウェアを備えていてもよい。予測方法がサーバにおいて遠隔集中方式で実装される場合、サーバからの出力は、通信ネットワークを介して、場合によっては無線又はセルラー通信リンクを介してユーザに通信される。
【0077】
予測方法の特定の実施形態において、予測モデルが関連付けられる個人のグループは、1つ以上の視力関連パラメータの経時的な進展が、本願で説明する構築方法に従って構築される予測モデルによって予測されるべきである人物も含んでいてもよい。言い換えれば、ステップ10、12、16、及び場合によってはステップ14も、その人物のために実行される。
【0078】
自己申告パラメータがグループの個人によって提供される場合、個人の性別、民族性、近視の親の数、学校の成績、知能指数テストの結果、ソーシャルネットワークからのデータ、視覚機器の屈折値、又は視覚的欠陥若しくは疾患に関連する遺伝的リスクスコア等、個人についての同じ自己申告パラメータも予測モデルに入力されてもよい。
【0079】
本開示による予測方法の他の有利な態様は、特に、人物の少なくとも1つの視力関連パラメータの予測される経時的な進展に関するフィードバックを人物(及び/又は、人物が子供である場合、例えば、人物の親等の他の人々)に提供することによって、人物と対話する多数の可能性に関している。
【0080】
人物と対話する第1の可能性として、人物の選択した視力関連パラメータの予測される経時的な進展は、
図2に示す種類のグラフの形態で利用可能にされてもよく、これは、例えば、モバイルアプリケーションを通じて、スマートフォン又はスマートタブレットの画面上で視覚化されてもよい。
【0081】
人物と対話する別の可能性として、予測方法は、人物の考慮する視力関連パラメータの予測される経時的な進展に基づいて、人物への1つ以上の警告メッセージの送信をトリガすることを含んでいてもよい。この点において、警告メッセージの内容及び/又は頻度は、人物の考慮する視力関連パラメータに関するリスクのレベルに従って変化してもよい。
【0082】
例えば、人物の考慮する視力関連パラメータが近視の発症又は進行のリスクである場合、高い近視リスクを有する人物は、30cm未満のトリガ閾値において近すぎる読書をしていることを警告されるのに対して、低い近視リスクを有する人物は、20cm未満のトリガ閾値において警告される。
【0083】
かかるトリガ閾値は、所定の人物に対する予測近視リスクの経時的な進展に応じて、その人物に対して経時的に変化してもよい。
【0084】
警告メッセージの頻度も同様に変化してもよい。
【0085】
警告メッセージは、例えば、健康的な目を用いる習慣を取るか又は維持するよう、人物に適時に促すか、推奨するか、又は思い出させてもよく、これは、人物の視覚的な適性を保つことに役立つ。従って、人物は、かかる適時の注意喚起又はプロンプトから自分の行動を変えることができる。極めて単純な視覚化により、人物は、自分の行動が眼の健康にとって有益であるか有害であるかを知ることが可能となる。
【0086】
考慮する視力関連パラメータが近視レベルである場合、注意喚起若しくはプロンプトは、近視の発症若しくは進行のリスクを与える活動を思いとどまらせ、及び/又は近視の発症若しくは進行に対する保護効果を有する活動を促す。
【0087】
以下の表は、近視の例において、本発明による予測装置に含まれるスマートフォン又はスマートタブレットによって実施される活動及び対応する行動の例を示している。
【0088】
【0089】
図4に示すように、人物と対話する別の可能性として、予測方法は、人物の視力関連パラメータの予測された経時的な進展が人物の視力関連パラメータの実際に測定された経時的な進展よりも好ましくない場合に第1の状態を有し、又は人物の視力関連パラメータの予測された経時的な進展が人物の視力関連パラメータの実際に測定された経時的な進展よりも好ましい場合に第2の状態を有する監視インジケータを人物に提供することを含んでもよい。
【0090】
従って、
図2と同じ曲線を示す
図4のグラフにおいて、手の形を有する監視インジケータは、「A」によって参照される両方の領域において、それらの領域において、人物の近視レベルの予測された経時的な進展がその近視レベルの実際に測定された経時的な進展よりも好ましくないという事実を反映するために、親指を上向きに有し、「B」によって参照される領域において、人物の近視レベルの予測された経時的な進展がその近視レベルの実際に測定された経時的な進展よりも好ましいという事実を反映するために、親指を下向きに有している。
【0091】
人物と対話する別の可能性として、リスクプロファイルを示す複数の最適化されたターゲット又はグラフは、視力関連パラメータが近視レベル又はリスクである場合に、行動の変化、例えば、屋外で遊ぶことを推奨するために、及び、健康的な習慣、例えば、近視発症の防止又は近視進行を遅らせることに役立つ習慣を奨励するために、良質及び悪質な眼の使用習慣の両方を示す幾つかのシナリオに基づいて、人物及び/又は人物の両親に提供することができる。例えば、予測モデルは理想的な近視リスクプロファイルグラフを計算し且つ提示し、それは、人物が屋外に行くこと及び屋外でより多くの時間を費やすこと等の推奨される活動を行う場合、推奨活動に基づいて最適化されている。
【0092】
図5は、視力関連パラメータが近視レベルである場合のかかる複数のリスクプロファイルの例を示している。
【0093】
図5の左側のグラフは、人物が近視進行の低いリスクを有する場合の人物の近視レベルの経時的な進展を示している。
【0094】
図5の右側のグラフは、人物が近視進行の高いリスクを有する場合の人物の近視レベルの経時的な進展を示している。
【0095】
両方のグラフにおいて、それぞれの実線の曲線部分は、現在の時間までの実際に測定された近視進展プロファイルを示しており、破線の曲線は、その現在の時間を超える予測された近視リスクプロファイルを示しており、これらは、人物の眼の使用習慣及び/又は行動の変化に応じて、動的予測モデルの修正の関数として更新される。各グラフ上の2つの点線の曲線は、人物が眼の使用習慣及び/又は行動を変更するための推奨に従うか又は従わないシナリオにおける近視リスクプロファイルを示している。上側の点線の曲線は、人物が推奨に従わないシナリオに対応し、下側の点線の曲線は、人物が推奨に従うシナリオに対応している。
【0096】
点線の曲線は、例えば、上側の点線の曲線について「近見作業を長時間続けると、近視リスクが高まります」、下側の点線の曲線について「屋外に出て遊ぶと、近視リスクが低下します」等の説明メッセージの表示を伴うことができる。
【0097】
人物と対話する別の可能性として、予測方法は、人物の第1及び/又は第2の所定の種類の少なくとも1つのパラメータの値の変化の関数として、人物の視覚障害の進行の低減又は減速の最大値を人に提供することを含んでいてもよい。
【0098】
例えば、人物の近視の進行が当初、1年につき約1ジオプター程度と推定された場合、人物が最も健康な行動及び/又は活動及び/又は環境を採った場合、その人物が近視の進行の最大限の低減を達成することが可能である可能性がある。例えば、屋外活動に費やされる最大時間及び長い読書距離は、近視の進行を1年当たり0.4ジオプターまで低減する可能性があり、その結果、近視の進行の最大低減は、1年当たり0.6ジオプターとなる。逆に、人物の行動及び/又は活動及び/又は環境が最適ではない場合、1年当たり僅か0.3ジオプターの近視進行の低減につながる可能性があり、これは、可能な最大低減に対する50%の割合に相当する。
【0099】
特定の実施形態において、本発明による方法は、コンピュータ実装される。即ち、コンピュータプログラム製品は、プロセッサにアクセス可能であり、プロセッサによって実行される場合に、プロセッサに、予測モデルを構築するための方法のステップ及び/又は上で検討したような少なくとも1つの視力関連パラメータの経時的な進展を予測するための方法のステップを実行させる1つ以上の命令シーケンスを備えている。
【0100】
予測モデルは、例えば、クラウド内で遠隔的に又はスマートフレーム内でローカルに用いられてもよい。モデルの更新及び再計算は、クラウドにおいて有利に実行されてもよい。
【0101】
命令シーケンスは、クラウド内の所定位置を含む、1つ又は幾つかのコンピュータ読取可能記憶媒体に格納されてもよい。
【0102】
予測方法によって用いられる予測モデルを構築するために、プロセッサは、種々のセンサから、例えば無線又はセルラー通信リンクを介して、個人のグループのメンバー及び/又は人物のための第1の所定の種類のパラメータの経時的な反復測定値にそれぞれ対応する連続値を受信してもよい。
【0103】
代表的な方法及び装置が本明細書で詳細に説明されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって説明及び定義されているものの範囲から逸脱することなく、様々な置換形態及び修正形態がなされてもよいことを認識するであろう。