(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】データベース更新システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
G08B17/00 L
(21)【出願番号】P 2022133230
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2021011739の分割
【原出願日】2014-03-06
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 敬一
(72)【発明者】
【氏名】積治 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】井田 英隆
(72)【発明者】
【氏名】鳥屋尾 豊
(72)【発明者】
【氏名】石井 敬
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】海山 多賀雄
(72)【発明者】
【氏名】宮山 久司
(72)【発明者】
【氏名】沼尾 憲明
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-104619(JP,A)
【文献】特開2013-206326(JP,A)
【文献】特開2005-150984(JP,A)
【文献】特開2006-127029(JP,A)
【文献】特開2001-084267(JP,A)
【文献】特開2010-224938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災報知設備の端末機器に関するデータベースであって、火災受信機に記憶されるデータベースを一元的に管理するためのデータベース更新システムであって、
前記火災受信機または通信端末と通信回線を介して接続され、前記データベースを記憶するサーバを備え、
前記サーバに記憶されたデータベースは、第1端末機器情報データベースと物件情報データベースを含み、
前記物件情報データベースは、前記火災受信機の「型名」と「物件情報」のフィールドを少なくとも含むレコードにより構成され、
前記第1端末機器情報データベースは、前記火災受信機に記憶される第2端末機器情報データベースと同様に、前記端末機器の「アドレス」、「種別」及び「設置場所」のフィールドを少なくとも含むレコードにより構成されて、該レコードによって構成されるテーブルが物件単位で作成され、
前記サーバは、前記通信端末から受信するデータに基づいて、前記火災受信機に記憶させるデータベースを生成し、
前記火災受信機に記憶されている前記データベースは、前記サーバにより生成された前記データベースにより更新され、
前記サーバは
、前記火災受信機に記憶されている前記データベースの更新が完了すると、前記通信端末から受信する
前記データ
及び前記火災受信機に記憶されていた更新前の前記データベースに基づいて、前記サーバに記憶されている前記データベースを更新することを特徴とするデータベース更新システム。
【請求項2】
前記物件情報データベースの更新履歴を記憶する更新履歴テーブルをさらに備え、
前記更新履歴テーブルには、前記物件情報データベースの内容が更新される度に新たなレコードが追加されることを特徴とする、請求項1に記載のデータベース更新システム。
【請求項3】
前記更新履歴テーブルは、「更新日時」と「更新者」のフィールドにより構成されることを特徴とする請求項2記載のデータベース更新システム。
【請求項4】
前記サーバに記憶されたデータベースは、ユーザ情報データベースを含み、
前記ユーザ情報データベースは、「会社情報」と「担当者情報」のフィールドにより構成され、
前記データベースの更新動作のユーザ認証において、前記「担当者情報」の「ID」が利用されることを特徴とする請求項3記載のデータベース更新システム。
【請求項5】
前記データベースの更新動作は、前記サーバ上に記憶される第1端末機器情報データベースを編集し、編集したデータに基づいて、前記火災受信機に記憶される第2端末機器情報データベースを更新することを特徴とする請求項4記載のデータベース更新システム。
【請求項6】
火災報知設備の端末機器に関するデータベースであって、火災受信機に記憶されるデータベースを一元的に管理するためのデータベース更新システムであって、
前記火災受信機または通信端末と通信回線を介して接続され、前記データベースを記憶するサーバを備え、
前記サーバは、前記通信端末から受信するデータに基づいて、前記火災受信機に記憶させるデータベースを生成し、
前記火災受信機に記憶されている前記データベースは、前記サーバにより生成された前記データベースにより更新され、
前記サーバは、前記火災受信機または前記通信端末から受信するデータに基づいて、前記サーバに記憶されている前記データベースを更新し、
前記サーバに記憶されたデータベースは、第1端末機器情報データベースを含み、
前記第1端末機器情報データベースは、前記火災受信機に記憶される第2端末機器情報データベースと同様に、前記端末機器の「アドレス」、「種別」及び「設置場所」のフィールドを少なくとも含むレコードにより構成され、
前記データベースの更新動作は、前記サーバ上に記憶される第1端末機器情報データベースを編集し、編集したデータに基づいて、前記火災受信機に記憶される第2端末機器情報データベースを更新
し、
前記サーバは、前記火災受信機に記憶されている前記第2端末機器情報データベースの更新が完了すると、前記通信端末から受信する前記編集したデータ及び前記火災受信機に記憶されていた更新前の前記第2端末機器情報データベースに基づいて、前記サーバに記憶されている前記第1端末機器情報データベースを更新することを特徴とするデータベース更新システム。
【請求項7】
前記火災受信機は、前記通信回線に接続されておらず、
前記サーバは、前記通信端末と前記通信回線を介して接続され、
前記サーバにより生成された前記データベースは記憶媒体に記憶され、
前記記憶媒体は前記火災受信機に接続され、
前記火災受信機に記憶されている更新前の前記データベースは、前記記憶媒体に記憶され、
前記火災受信機に記憶されている前記データベースは、前記記憶媒体に記憶されている前記
生成されたデータベースにより更新され、
前記火災受信機に記憶されている前記データベースの更新が完了すると、前記通信端末から受信する
前記データ
及び前記記憶媒体に記憶された更新前の前記データベースに基づいて、前記サーバに記憶されている前記データベースが更新されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデータベース更新システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知設備に関するデータベースを作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災受信機には、火災の発生が感知された場所を表示するために、火災感知器等の端末機器のアドレスと当該端末機器の設置場所を示す情報とが対応付けられて記憶されている。これらの情報は、端末機器の設置場所が変更されたり、物件内の部屋の名称が変更されたりした場合には、更新される必要がある。そこで、これらの情報を更新するための技術が従来提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、パソコン上で、端末機器のアドレスと当該端末機器の設置場所を示す情報とを対応付ける対応データを生成し、当該対応データを、パソコンとケーブルで接続された火災受信機のEEPROMに書き込むという技術が提案されている。この技術によれば、火災受信機のメーカに対して対応データの作成を依頼し、その対応データを書き込んだ半導体メモリを入手して火災受信機に組み付けるといった従来の更新方法と比較して、対応データの書き換えを速やかに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術を利用した場合、パソコンごとに対応データの作成が可能となるため、1台の火災受信機に対して複数の対応データが存在してしまうといった事態が発生することが考えられる。すなわち、対応データの一元的な管理が困難になることが予想される。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、サーバにおいて管理される、火災報知設備に関するデータベースの作成を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る火災受信機は、自機の識別情報と、当該識別情報の送信先であるサーバの識別情報とを表示又は記録するタグが取り付けられた火災受信機であって、前記タグに表示又は記録される前記火災受信機の識別情報は、前記タグが通信端末により読み取られることによって、前記火災受信機が設置される物件の識別情報と共に対応づけて表示又は記憶されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サーバにおいて管理される、火災報知設備に関するデータベースの作成を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】データベース作成システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】火災報知設備5の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】火災受信機51のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】端末機器情報DB5121の一例を示す図である。
【
図5】火災受信機51の外観の一例を示す図である。
【
図6】サーバ2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】ユーザ情報DB221の一例を示す図である。
【
図9】端末機器情報DB223の一例を示す図である。
【
図10】通信端末3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】サーバ2及び通信端末3において実現される機能の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】物件情報登録動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図14】物件情報登録動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図15】データベース更新動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.構成
1-1-1.データベース作成システム1の構成
本実施形態に係るデータベース作成システム1は、火災受信機に記憶される、火災報知設備の端末機器に関するデータベースを作成するためのシステムである。
図1は、データベース作成システム1の構成の一例を示す図である。データベース作成システム1は、
図1に示されるように、サーバ2と、通信端末3とを有している。サーバ2と通信端末3とは、通信回線4により接続されている。通信回線4は、例えば、電話網、移動体通信網もしくはインターネット又はこれらの組み合わせにより構成される。
図1に示される通信回線4には、1つの通信端末3しか接続されていないが、複数の通信端末3が接続されてもよい。
【0011】
1-1-2.火災報知設備5の構成
まず、本実施形態に係る火災報知設備5の構成について説明する。火災報知設備5は、建物内に設置され、感知器が熱や煙を感知すると、火災受信機が地区ベルを鳴動させて建物内の人に火災の発生を知らせる設備である。
図2は、火災報知設備5の構成の一例を示すブロック図である。火災報知設備5は、
図2に示されるように、R型(Record type)の火災受信機51と、発信機52と、火災感知器53-1,53-2,・・・,53-n(以下、それぞれを区別しない場合には火災感知器53という。)とを有する。発信機52と火災感知器53とは、火災受信機51に接続される。
【0012】
また、火災報知設備5は、中継器54-1~54-4(以下、それぞれを区別しない場合には中継器54という。)と、排煙機55と、シャッタ56と、防火戸57と、地区ベル58-1及び58-2(以下、それぞれを区別しない場合には地区ベル58という。)とを有する。排煙機55と、シャッタ56と、防火戸57と、地区ベル58とは、それぞれ中継器54を介して火災受信機51に接続され、火災受信機51により送信される制御信号に基づいて中継器54により制御される。
図2に示される機器のうち、火災受信機51以外の機器は、本発明に係る「端末機器」の一例である。
【0013】
火災受信機51は、発信機52や火災感知器53から火災信号を受信すると、火災の発生を知らせるメッセージを通知するとともに、中継器54を介して端末機器を作動させる装置である。
図3は、火災受信機51のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。火災受信機51は、
図3に示されるように、制御部511と、記憶部512と、表示部513と、入力部514と、端末機器用インタフェース部515と、カードインタフェース部516と、プリンタ部517とを有する。
【0014】
制御部511は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、ROMに記憶されるプログラムをRAMにロードして実行する。記憶部512は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の記憶装置であり、後述する端末機器情報DB5121を記憶する。表示部513は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、例えば、火災の発生を知らせるメッセージを表示する。入力部514は、スイッチ等の入力装置であり、火災受信機51を操作するために使用される。端末機器用インタフェース部515は、端末機器との間で火災信号や制御信号をやり取りする。カードインタフェース部516は、カードリーダ/ライタであり、カードスロットに挿入されたCF(Compact Flash)カードCとの間でデータの転送を行う。プリンタ部517は、記憶部512に記憶されている、発報等のイベントのログを印刷する。
【0015】
図4は、記憶部512に記憶される端末機器情報データベース(以下、「端末機器情報DB」という。)5121の一例を示す図である。端末機器情報DB5121は、火災受信機51に接続される端末機器の情報を管理するためのデータベースである。端末機器情報DB5121を構成する各レコードは、
図4に示されるように、「アドレス」、「種別」、「製造番号」、「製造年」、「設置場所」、「状態」及び「連動先」の各フィールドにより構成される。
【0016】
ここで、「アドレス」のフィールドには、端末機器に一意に割り当てられる識別情報であるアドレスが格納される。また、「連動先」のフィールドには、端末機器の動作に連動して動作する端末機器のアドレスが格納される。例えば、
図4に示される端末機器情報DB5121の例では、アドレス「001」により示される「煙感知器」の連動先としてアドレス「005」が対応づけられているが、これは、アドレス「001」により示される「煙感知器」が火災信号を発信した時に、アドレス「005」により示される「地区ベル」が鳴動することを示している。
【0017】
制御部511は、発信機52又は火災感知器53から火災信号を受信すると、この端末機器情報DB5121を参照してその端末機器の設置場所を特定し、その設置場所を表示部513に表示させる。また、制御部511は、その火災信号を送信した端末機器の連動先の端末機器を端末機器情報DB5121を参照して特定し、その連動先の端末機器を制御する中継器54に対して制御信号を送信する。また、制御部511は、火災感知器53に対して質問信号を送信し、この質問信号に対して応答信号が返信されると、この応答信号に含まれる、火災感知器53の製造番号、製造年及び状態を示す情報を端末機器情報DB5121に登録する。
【0018】
図5は、火災受信機51の外観の一例を示す図である。火災受信機51の筐体外面には、二次元コードを示すタグTが取り付けられている。この二次元コードは、火災受信機51の識別情報と、サーバ2の識別情報とを表すコードである。より具体的には、火災受信機51の型名、製造年及び製造番号並びにサーバ2のURL(Uniform Resource Locator)又はメールアドレスを表すコードである。この二次元コードは通信端末3により読み取られ、後述する物件情報登録動作において利用される。なお、本実施形態では二次元コードが採用されているが、二次元コードに代えてバーコード等の一次元コードが採用されてもよい。また、本実施形態では二次元コードは火災受信機51の識別情報として型名、製造年及び製造番号を表しているが、製造番号だけを表すようにしてもよい。また、タグTに代えて、火災受信機51の識別情報と、サーバ2の識別情報とを記録するICタグが火災受信機51の筐体外面に取り付けられてもよい。
【0019】
なお、
図5に示されるタグTの取り付け位置はあくまで例示であって、火災受信機51の筐体外面の他の位置に取り付けられてもよい。また、火災受信機51が開閉扉を有する場合には、その開閉扉の内側に取り付けられてもよい。また、タグTは、シールとして火災受信機51に貼り付けられてもよい。また、タグTは、紐や梱包材を介して火災受信機51に取り付けられてもよい。例えば、タグTは、火災受信機51を梱包する箱に取り付けられてもよい。
【0020】
次に、火災感知器53は、例えば、熱感知器、煙感知器又は炎感知器であり、火災の発生を感知すると、自機のアドレスとともに火災信号を火災受信機51に発信する装置である。火災感知器53は、火災受信機51から質問信号を受信すると、自機の製造番号、製造年及び状態を示す応答信号を火災受信機51に返信する機能を有する。発信機52は、火災の発見者により操作されるボタンを有しており、当該ボタンが操作されると火災信号を、自機のアドレスとともに火災受信機51に発信する装置である。
【0021】
1-1-3.サーバ2のハードウェア構成
データベース作成システム1を構成するサーバ2は、火災受信機51に記憶される、火災報知設備5の端末機器に関するデータベース(具体的には、端末機器情報DB5121)を作成するためのコンピュータ装置である。
図6は、サーバ2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバ2は、
図6に示されるように、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを有する。制御部21は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、ROM又は記憶部22に記憶されるプログラムをRAMにロードして実行する。記憶部22は、ハードディスク等の記憶装置であり、火災受信機51に記憶されるデータベースを作成するためのプログラム(以下、「DB作成プログラム224」という。)の他、後述するデータベース群を記憶する。記憶部22は必ずしもサーバ2に内蔵される必要はなく、サーバ2の筐体外に設置され、通信回線4を介して制御部21によりアクセスされてもよい。通信部23は、ネットワークカードであり、この通信部23を使ってサーバ2は通信端末3と通信を行う。
【0022】
図7は、記憶部22に記憶されるユーザ情報データベース(以下、「ユーザ情報DB」という。)221の一例を示す図である。ユーザ情報DB221は、サーバ2へのアクセスが許可されたユーザの情報を管理するためのデータベースである。ここでユーザとは、具体的には、火災報知設備5の施工業者や点検業者である。
【0023】
ユーザ情報DB221を構成する各レコードは、
図7に示されるように、「登録日」と、「会社情報」と、「担当者情報」の各フィールドにより構成される。「登録日」のフィールドには、当該レコードがユーザ情報DB221に登録された日付が格納される。「会社情報」は、具体的には、「会社名」、「住所」、「電話番号」及び「メールアドレス」の各フィールドにより構成される。「担当者情報」は、具体的には、「氏名」、「電話番号」、「メールアドレス」、「ID」、「パスワード」及び「資格者番号」の各フィールドにより構成される。
【0024】
ここで、「ID」及び「パスワード」のフィールドに格納される情報は、後述する物件情報登録動作とデータベース更新動作のユーザ認証において利用される。「資格者番号」のフィールドには、消防設備士の免状番号が格納される。消防設備士の免状番号を登録事
項とすることで、サーバ2にアクセス可能なユーザを一定の技術レベルを有するユーザに制限することができる。上記の各ユーザ情報は、ユーザに対してIDとパスワードが発行される際に、サーバ2の管理者により入力される。
【0025】
図8は、記憶部22に記憶される物件情報データベース(以下、「物件情報DB」という。)222の一例を示す図である。物件情報DB222は、火災受信機51が設置された物件の情報を管理するためのデータベースである。物件情報DB222は、例えば、火災受信機51のメンテナンスの案内を通知する際に、その通知先を特定するために利用される。物件情報DB222を構成する各レコードは、
図8に示されるように、「物件情報」と、「火災受信機情報」の各フィールドにより構成される。「物件情報」は、具体的には、「物件名」と、「住所」の各フィールドにより構成される。物件名と住所は、物件の識別情報の一例である。「火災受信機情報」は、具体的には、「型名」、「製造年」及び「製造番号」の各フィールドにより構成される。物件情報と火災受信機情報とは、後述する物件情報登録動作において登録される。
【0026】
なお、記憶部22は、物件情報DB222の更新履歴を記録するための更新履歴テーブル(図示なし)を記憶する。更新履歴テーブルを構成する各レコードは、「更新内容」と、「更新日時」と、「更新者」の各フィールドにより構成される。「更新者」のフィールドには、ユーザのIDが格納される。更新履歴テーブルには、物件情報DB222の内容が更新される度に、新たなレコードが追加される。
【0027】
図9は、記憶部22に記憶される端末機器情報データベース(以下、「端末機器情報DB」という。)223の一例を示す図である。端末機器情報DB223は、端末機器の情報を物件ごとに管理するためのデータベースである。端末機器情報DB223を構成する各テーブルは物件単位で作成され、各テーブルを構成するレコードは、
図9に示されるように、「アドレス」、「種別」、「製造番号」、「製造年」、「設置場所」、「状態」及び「連動先」の各フィールドにより構成される。この構成は、火災受信機51に記憶される上記の端末機器情報DB5121の各レコードと同様である。これらの端末機器の情報は、後述するデータベース更新動作によって更新可能となっている。
【0028】
1-1-4.通信端末3のハードウェア構成
データベース作成システム1を構成する通信端末3は、サーバ2にアクセスして、サーバ2上に記憶されるDB作成プログラム224を利用して、火災受信機51に記憶される端末機器情報DB5121を作成するためのコンピュータ装置である。通信端末3は、具体的には、モバイルPC(Personal Computer)や携帯電話やスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末である。なお、本実施形態では携帯端末として想定しているが、通信端末3は据え置き型のコンピュータ装置であってもよい。
図10は、通信端末3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。通信端末3は、
図10に示されるように、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、入力部34と、読取部35と、カードインタフェース部36と、通信部37とを有する。
【0029】
制御部31は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、ROM又は記憶部32に記憶されるプログラムをRAMにロードして実行する。記憶部32は、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、ウェブブラウザを記憶する。表示部33は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、サーバ2により送信された画面データにより示される画面を表示する。入力部34は、タッチパネル等の入力装置であり、物件情報や火災報知設備5の端末機器に関するデータを入力するために使用される。読取部35は、CMOSイメージセンサ等の撮像装置であり、バーコードや二次元コード等のコードを読み取るために使用される。カードインタフェース部36は、カードリーダ/ライタであり、カードスロットに挿入されたCFカードCとの間でデータの転送を行う。カードインタフェース部36は、本発明に係る「第2記憶制御手段」及び「読出手段」の一例である。通信部37は、ネットワークカードであり、この通信部37を使って通信端末3はサーバ2と通信を行う。
【0030】
1-1-5.サーバ2及び通信端末3の機能構成
図11は、サーバ2及び通信端末3において実現される機能の構成の一例を示すブロック図である。同図に示される機能群は、特に、後述する物件情報登録動作と、データベース更新動作に関する。サーバ2において実現される、第1送信手段211、作成手段212、第1記憶制御手段213、第6送信手段214及び書込手段215の各機能は、制御部21においてCPUによりDB作成プログラム224が実行されることによって実現される。通信端末3において実現される、第2送信手段311、第3送信手段312、第4送信手段313、受信手段314及び第5送信手段315の各機能は、制御部31においてCPUによりウェブブラウザが実行されることによって実現される。
【0031】
サーバ2の第1送信手段211は、火災受信機51に記憶される、火災報知設備5の端末機器に関するデータベースを作成するための画面を示す画面データを通信端末3に送信する。通信端末3の表示部33は、サーバ2により送信された画面データにより示される画面を表示する。通信端末3の第2送信手段311は、入力部34により入力されたデータをサーバ2に送信する。サーバ2の作成手段212は、通信端末3から送信されるデータに基づいて、制御部21に記憶されるDB作成プログラム224に従って、火災受信機51に記憶される上記のデータベースを作成する。サーバ2の記憶部22は、作成されたデータベースを記憶する。
【0032】
通信端末3の第3送信手段312は、読取部35により読み取られたコードにより表される火災受信機51の識別情報を、その読み取られたコードによりその識別情報が表されるサーバ2に対して送信する。通信端末3の第4送信手段313は、火災受信機51が設置される物件の識別情報をサーバ2に送信する。この物件の識別情報は、入力部34により入力される。サーバ2の第1記憶制御手段213は、通信端末3により送信された火災受信機51の識別情報と物件の識別情報とを対応づけて記憶部22に記憶する。
【0033】
サーバ2の第6送信手段214は、火災受信機51に記憶されるべきデータベースを通信端末3に対して送信する。通信端末3の受信手段314は、サーバ2から前記データベースを受信する。通信端末3のカードインタフェース部36は、受信手段314により受信されたデータベースを記憶媒体に記憶させる。また、カードインタフェース部36は、記憶媒体が火災受信機51に装着されて記憶媒体に記憶されるデータベースが火災受信機51に記憶される際に火災受信機51から記憶媒体に対して記憶される端末機器に関するデータを記憶媒体から読み出す。通信端末3の第5送信手段315は、カードインタフェース部36により読み出されたデータをサーバ2に送信する。サーバ2の書込手段215は、通信端末3から送信される端末機器に関するデータに基づいて、記憶部22に記憶されるデータベースを更新する。
【0034】
1-2.動作
次に、データベース作成システム1の動作について説明する。具体的には、まず、火災報知設備5の施工業者が、建物内に火災受信機51を設置後、物件情報をサーバ2の物件情報DB222に登録する際の動作(以下、「物件情報登録動作」という。)について説明する。この動作については、ウェブページを利用する場合と、メールとウェブページの両方を利用する場合の2つのパターンについて説明する。次に、火災報知設備5の点検業者が、火災受信機51に記憶されている端末機器情報DB5121を更新する際の動作(以下、「データベース更新動作」という。)について説明する。
【0035】
1-2-1.物件情報登録動作(ウェブページ利用時)
図12は、ウェブページを利用する物件情報登録動作の一例を示すシーケンスチャートである。火災報知設備5の施工業者は、建物内に火災受信機51を設置すると、通信端末3を用いて火災受信機51の二次元コードを読み取る(ステップSa1)。通信端末3は、読み取った二次元コードを復号して、火災受信機51の型名、製造年及び製造番号並びにサーバ2のURLを特定する。そして、通信端末3は、サーバ2に対して、当該URLにより指定されるページを要求する(ステップSa2)。このページ要求には、二次元コードを復号して特定された火災受信機51の型名、製造年及び製造番号を示す情報が含まれる。
【0036】
サーバ2は、通信端末3からページ要求を受信すると、ログイン画面を示す画面データを通信端末3に送信する(ステップSa3)。このログイン画面は、IDとパスワードを入力するための入力フィールドを有する。通信端末3は、サーバ2から画面データを受信すると、表示部33にログイン画面を表示させて、ユーザによるID及びパスワードの入力を待つ。ユーザからID及びパスワードの入力を受けると(ステップSa4)、通信端末3は、その入力されたID及びパスワードをサーバ2に通知する(ステップSa5)。
【0037】
サーバ2は、通信端末3からIDとパスワードの通知を受けると、ユーザ認証を行う(ステップSa6)。具体的には、サーバ2は、通信端末3から通知されたIDとパスワードの組がユーザ情報DB221に登録されているか否か(言い換えると、ユーザが有資格者であるか否か)を判定する。この判定の結果、IDとパスワードの組がユーザ情報DB221に登録されている場合には、サーバ2は、通信端末3のユーザはアクセス権を有するユーザであると認定し、物件情報入力画面を示す画面データを通信端末3に送信する(ステップSa7)。一方、この判定の結果、IDとパスワードの組がユーザ情報DB221に登録されていない場合には、サーバ2は、通信端末3のユーザによる物件情報DB222へのアクセスを拒否する。
【0038】
通信端末3は、サーバ2から画面データを受信すると、表示部33に物件情報入力画面を表示させて、ユーザによる物件情報の入力を待つ。
図13は、物件情報入力画面の一例を示す図である。同図に示される画面は、ユーザ情報と、物件情報と、火災受信機情報と、備考とを入力するための入力フィールドF1~F4を有する。具体的には、ユーザ情報として、「会社名」、「登録日」、「担当者氏名」、「会社電話番号」、「会社メールアドレス」、「担当者電話番号」及び「担当者メールアドレス」を入力するための入力フィールドF1を有する。また、物件情報として、「物件名」、「郵便番号」、「都道府県」、「市区町村」及び「以降住所」を入力するための入力フィールドF2を有する。また、火災受信機情報として、「型名」及び「製造番号」を入力するための入力フィールドF3を有する。同画面はまた、「登録」ボタンB1と、「キャンセル」ボタンB2とを有し、登録ボタンB1が選択されると、入力された情報がサーバ2に送信される。
【0039】
なお、ユーザ情報と火災受信機情報については、物件情報入力画面を示す画面データが通信端末3に送信される前にサーバ2において予め入力されていてもよい。これは、ユーザ情報については、当該画面データが通信端末3に送信される前にすでにユーザ情報DB221に登録されており、また火災受信機情報については、上記のステップSa2において通信端末3からサーバ2に対して通知されているからである。
【0040】
ユーザによる情報の入力を受けると(ステップSa8)、通信端末3は、その入力された情報をサーバ2に送信する(ステップSa9)。サーバ2は、通信端末3から入力情報を受信すると、その入力情報を物件情報DB222に登録する(ステップSa10)。具体的には、サーバ2は、ユーザにより入力された物件情報(具体的には、物件名と住所)と火災受信機情報(具体的には、型名、製造年及び製造番号)とを対応づけて物件情報DB222に格納する。なお、本実施形態では物件の識別情報として物件名と住所の両方の情報が通信端末3からサーバ2に対して送信されているが、いずれか一方のみを送信するようにしてもよい。
【0041】
以上説明した動作によれば、火災受信機51の二次元コードを通信端末3で読み取ることでサーバ2の物件情報DB222にアクセスすることができるため、物件情報を物件情報DB222に登録するにあたっての、サーバ2のURLを入力する等のユーザの負担が解消される。
【0042】
1-2-2.物件情報登録動作(メールとウェブページ利用時)
図14は、メールとウェブページを利用する物件情報登録動作の一例を示すシーケンスチャートである。火災報知設備5の施工業者は、建物内に火災受信機51を設置すると、通信端末3を用いて火災受信機51の二次元コードを読み取る(ステップSb1)。通信端末3は、読み取った二次元コードを復号して、火災受信機51の型名、製造年及び製造番号並びにサーバ2のメールアドレスを特定する。メールを利用する本動作では、サーバ2のURLに代えて、サーバ2のメールアドレスが二次元コードにおいて符号化されている。そして、通信端末3は、サーバ2に対して、物件情報入力画面のURLを要求するメールを送信する(ステップSb2)。このメールには、二次元コードを復号して特定された火災受信機51の型名、製造年及び製造番号を示す情報が記述される。
【0043】
サーバ2は、通信端末3からメールを受信すると、ユーザ認証を行う(ステップSb3)。具体的には、サーバ2は、通信端末3から受信したメールに記述される送信元を示すメールアドレスがユーザ情報DB221に登録されているか否か(言い換えると、ユーザが有資格者であるか否か)を判定する。この判定の結果、メールアドレスがユーザ情報DB221に登録されている場合には、サーバ2は、通信端末3のユーザはアクセス権を有するユーザであると認定し、物件情報入力画面のURLを記述したメールを通信端末3に送信する(ステップSb4)。一方、この判定の結果、メールアドレスがユーザ情報DB221に登録されていない場合には、サーバ2は、通信端末3のユーザによる物件情報DB222へのアクセスを拒否する。
【0044】
通信端末3は、サーバ2からメールを受信し、当該メールに記述されているURLを選択する操作をユーザから受け付けると、当該URLにより指定されるページを要求するページ要求をサーバ2に送信する(ステップSb5)。サーバ2は、通信端末3からページ要求を受信すると、物件情報入力画面を示す画面データを通信端末3に送信する(ステップSa7)。この処理以降の処理は、上記の
図12に示されるステップSa7~Sa10と同様であるため、その説明を省略する。
【0045】
以上説明した動作によれば、火災受信機51の二次元コードを通信端末3で読み取ることでサーバ2に対してメールを送信し、返信メールに記述されたURLを選択することでサーバ2の物件情報DB222にアクセスすることができるため、物件情報を物件情報DB222に登録するにあたっての、サーバ2のURLを入力する等のユーザの負担が解消される。また、ユーザのメールアドレスに基づいてユーザ認証が行われるため、上記のウェブページのみを利用した動作と比較して、IDやパスワードの入力が省略される。
【0046】
1-2-3.データベース更新動作
図15は、データベース更新動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作では、火災報知設備5の点検業者は、通信端末3を利用してサーバ2上に記憶される端末機器情報DB223を編集し、編集したデータに基づいて、火災受信機51に記憶される端末機器情報DB5121を更新する。
【0047】
まず、通信端末3は、サーバ2に対してページ要求を送信する(ステップSc1)。サーバ2は、通信端末3からページ要求を受信すると、ログイン画面を示す画面データを通信端末3に送信する(ステップSc2)。このログイン画面は、IDとパスワードを入力するための入力フィールドを有する。通信端末3は、サーバ2から画面データを受信すると、表示部33にログイン画面を表示させて、ユーザによるID及びパスワードの入力を待つ。ユーザからID及びパスワードの入力を受けると(ステップSc3)、通信端末3は、その入力されたID及びパスワードをサーバ2に通知する(ステップSc4)。
【0048】
サーバ2は、通信端末3からIDとパスワードの通知を受けると、ユーザ認証を行う(ステップSc5)。具体的には、サーバ2は、通信端末3から通知されたIDとパスワードの組がユーザ情報DB221に登録されているか否か(言い換えると、ユーザが有資格者であるか否か)を判定する。この判定の結果、IDとパスワードの組がユーザ情報DB221に登録されている場合には、サーバ2は、通信端末3のユーザはアクセス権を有するユーザであると認定し、物件検索画面を示す画面データを通信端末3に送信する(ステップSc6)。この物件検索画面は、検索キーとして物件名又は火災受信機51の製造番号を入力するための入力フィールドを有する。一方、上記の判定の結果、IDとパスワードの組がユーザ情報DB221に登録されていない場合には、サーバ2は、通信端末3のユーザによる端末機器情報DB5121へのアクセスを拒否する。
【0049】
通信端末3は、サーバ2から画面データを受信すると、表示部33に物件検索画面を表示させて、ユーザによる検索キーの入力を待つ。ユーザによる検索キーの入力を受けると(ステップSc7)、通信端末3は、その入力された検索キーをサーバ2に通知する(ステップSc8)。サーバ2は、通信端末3から検索キーの通知を受けると、通知された検索キーに対応するテーブルを端末機器情報DB223において特定する(ステップSc9)。例えば、通信端末3から通知された検索キーが物件名「Eビル」や火災受信機51の製造番号「2001」(
図8参照)であった場合には、サーバ2は、
図9に示される物件名「Eビル」用のテーブルを特定する。
【0050】
テーブルを特定すると、サーバ2は、その特定したテーブルに基づいて、編集画面を示す画面データ生成し、通信端末3に送信する(ステップSc10)。
図16は、編集画面の一例を示す図である。
図16は、特に、端末機器の設置場所を編集するための編集画面の一例を示す図である。同図に示される画面は、「アドレス」、「種別」及び「設置場所」を入力するための入力フィールドF5~F7を有する。また、同画面は、編集画面を切り替えるためのリストボックスL1を有する。また、同画面は、「入力終了」ボタンB3、「カードへ書込」ボタンB4及び「キャンセル」ボタンB5を有する。
【0051】
次に、
図17は、端末機器の連動先を設定するための連動先編集画面の一例を示す図である。
図17(a)は、その連動先を設定する端末機器(「連動元」という。)を選択するための画面であり、
図17(b)は、選択された連動元の連動先を選択するための画面である。
図17(a)に示される画面は、火災受信機51に接続される端末機器のうち、連動先が設定可能な端末機器のリストL2を有する。同画面はまた、編集ボタンB6を有し、リストL2において一の端末機器が選択された状態において編集ボタンB6が選択されると、
図17(b)に示される画面が表示される。
図17(b)に示される画面の例は、
図17(a)に示される画面において、アドレス「001」の煙感知器が選択された状態において編集ボタンB6が選択された場合に表示される画面を示している。
図17(a)に示される画面は、また、リストボックスL1、「入力終了」ボタンB3、「カードへ書込」ボタンB4及び「キャンセル」ボタンB5を有する。
【0052】
図17(b)に示される画面は、
図17(a)に示される画面において選択された端末機器の連動先としてすでに設定されている端末機器のリストL3と、未だ連動先として設定されておらず、連動先として設定可能な端末機器のリストL4とを有する。リストL4において端末機器が選択されると、その端末機器はリストL3に登録される。すなわち、選択された端末機器は、連動先として設定される。同画面はまた、リストボックスL1、「入力終了」ボタンB3、「カードへ書込」ボタンB4及び「キャンセル」ボタンB5を有する。
【0053】
通信端末3のユーザが編集作業を終えて(ステップSc11)、「入力終了」ボタンB3を選択すると、通信端末3は、編集した画面データをサーバ2に送信する(ステップSc12)。サーバ2は、通信端末3から編集した画面データを受信すると、当該データに基づいて、火災受信機51に記憶させるデータベースのファイル(以下、「受信機DBファイル」という。)を生成し、通信端末3に送信する(ステップSc13)。通信端末3は、サーバ2から受信機DBファイルを受信後、ユーザによって「カードへ書込」ボタンB4が選択されると、自端末のカードスロットに挿入されているCFカードCに受信機DBファイルを記録する(ステップSc14)。また、通信端末3は、「データインストール中」というメッセージを表示部33に表示して、通信端末3が火災受信機51に対する更新処理の完了を待っている状態であることをユーザに通知する。
【0054】
CFカードCに受信機DBファイルを記録後、通信端末3のユーザは、そのCFカードCをカードスロットから取り出し、火災受信機51のカードスロットに挿入する。そして、火災受信機51を操作して、端末機器情報DB5121の内容を更新する。火災受信機51は、端末機器情報DB5121の内容を更新するにあたり、まず現状の端末機器情報DB5121の内容(以下、「旧データベース」という。)をCFカードCに記録する。その後、火災受信機51は、CFカードCに記憶される受信機DBファイルに基づいて端末機器情報DB5121の内容を更新する。
【0055】
火災受信機51による更新処理が完了すると、通信端末3のユーザは、火災受信機51のカードスロットからCFカードCを取り出し、通信端末3のカードスロットに挿入する。通信端末3は、カードスロットにCFカードCが挿入されると、当該カードに記憶されている旧データベースを読み出し(ステップSc15)、サーバ2に送信する(ステップSc16)。また、通信端末3は、表示部33に表示されている「データインストール中」というメッセージを、「データインストール完了」というメッセージに変更して、通信端末3が、火災受信機51に対する更新処理の完了を認識したことをユーザに通知する。
【0056】
サーバ2は、通信端末3から旧データベースを受信すると、火災受信機51の端末機器情報DB5121の更新が完了したものと判断し、ステップSc12において通信端末3から受信した編集した画面データに基づいて、端末機器情報DB223を更新する(ステップSc17)。また、サーバ2は、通信端末3から受信した旧データベースに基づいて、端末機器情報DB223を更新する。具体的には、サーバ2は、旧データベースに格納されている火災感知器53の製造番号、製造年及び状態の変更を端末機器情報DB223に反映させる。
【0057】
以上説明した動作によれば、火災受信機51により記憶されるデータベースは、サーバ2上で作成され、かつサーバ2上に記憶されるため、当該データベースの一元的な管理が可能となる。そのため、通信端末3ごとにデータベースを管理する場合と比較して、データベースの紛失の防止が期待できる。また、仮に火災報知設備5を点検する業者が変わったとしても、新たな業者へのデータベースの引き継ぎが容易となる。また、仮に火災受信機51に記憶されたデータベースが落雷により破壊されたとしても、オリジナルデータは一元的に管理されているため、データベースの迅速な復旧が期待できる。また、仮に火災受信機51に不具合が発生したとしても、サーバ2が火災受信機51の製造業者により管理されていれば、当該不具合がデータベースの設定によるものであるのかどうかの判断が迅速に行い得る。
【0058】
また、以上説明した動作によれば、DB作成プログラム224はサーバ2にのみ記憶され、データベース作成システム1上でのみ使用されるため、仮にDB作成プログラム224の更新が必要となった場合でも、通信端末3ごとにプログラムの更新を行う必要がない。また、通信端末3ごとにDB作成プログラム224が使用される場合と比較して、プログラムの違法コピーの防止が期待できる。また、DB作成プログラム224を使用する場合にはサーバ2にアクセスすることが必要となるため、サーバ2側で当該プログラムの使用状況を把握することが可能となり、ひいてはDB作成プログラム224の使用状況に応じた課金が可能となる。この場合、課金は、物件単位で行われてもよいし、物件の警戒区域(すなわち、回線)単位で行われてもよいし、サーバ2にアクセスしている時間単位で行われてもよい。
【0059】
また、以上説明した動作によれば、火災受信機51により記憶されるデータベースが更新される際に、火災受信機51により収集された火災感知器53の製造番号、製造年及び状態を示す情報がサーバ2にアップロードされ、サーバ2により管理されるため、サーバ2の管理者はこれらの情報に基づいて、火災感知器53のメンテナンスの案内をすることができる。
【0060】
2.変形例
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。また、下記の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0061】
2-1.変形例1
上記の実施形態では、CFカードCを介して通信端末3と火災受信機51との間でデータのやり取りがなされているが、このCFカードCに代えて、USB(Universal Serial Bus)メモリやSDメモリカード等の他の記憶媒体が使用されてもよい。また、記憶媒体を介さずに、有線又は無線通信によりデータのやり取りがなされてもよい。
【0062】
2-2.変形例2
上記の実施形態では、通信端末3による編集を経てサーバ2上で生成された受信機DBファイルは、通信端末3を介して火災受信機51にインストールされているが、サーバ2から直接火災受信機51に対してインストールされてもよい。例えば、火災受信機51を通信回線4に接続し、通信回線4を介してサーバ2から火災受信機51に対して受信機DBファイルがインストールされてもよい。この場合、上記の実施形態において通信端末3を介してサーバ2にアップロードされる、火災受信機51の旧データベースは、通信回線4を介してサーバ2に対して直接アップロードされてもよい。
【0063】
2-3.変形例3
上記の実施形態に係る物件情報登録動作では、通信端末3のユーザにより物件の名称と住所とが入力されてサーバ2に送信されているが、これらの情報に代えて、通信端末3の位置情報をサーバ2に送信するようにしてもよい。具体的には、通信端末3に、GPS(Global Positioning System)受信機を備えさせ、このGPS受信機を用いて特定された現在位置情報を、上記の物件情報登録動作のステップSa9において、物件名と住所とを示す情報に代えて、サーバ2に送信するようにしてもよい。サーバ2においては、この現在位置情報を物件名及び住所に代えて物件情報DB222に格納してもよいし、またはこの現在位置情報に基づいて物件名と住所とを特定して、その特定した物件名と住所とを物件情報DB222に登録するようにしてもよい。
【0064】
2-4.変形例4
上記の実施形態に係る火災報知設備5の構成はあくまで一例にすぎず、他の構成を有する火災報知設備が使用されてもよい。例えば、R型の火災受信機51に代えてP型(Proprietary-type)の火災受信機が使用されてもよい。また、例示した端末機器のうち、一部の端末機器については使用されなくてもよいし、例示した端末機器に加えて、表示灯やガス漏れ検知器等の他の端末機器が使用されてもよい。
【0065】
2-5.変形例5
上記の実施形態に係るサーバ2及び火災受信機51に記憶される各データベースの構成はあくまで一例にすぎず、他の構成を有するデータベースが使用されてもよい。例えば、各データベースは、関連づけられた複数のテーブルからなるリレーショナルデータベースとしてもよい。また、各データベースを構成するレコードの一部のフィールドは省略されてもよいし、新たなフィールドが追加されてもよい。
【0066】
2-6.変形例6
上記の実施形態に係る物件情報登録動作及びデータベース更新動作において通信端末3に表示される画面の構成はあくまで一例にすぎず、他の構成を有する画面が採用されてもよい。例えば、物件情報登録動作において通信端末3に表示される物件情報入力画面は、
図13に例示される入力フィールド又はボタンの一部を欠いてもよし、他の入力フィールドやボタンをさらに有してもよい。また、データベース更新動作においては、設置場所編集画面と連動先編集画面以外にも、物件情報を編集するための編集画面や、火災報知設備5の基本設定(例えば、地区ベル58の鳴動時間など)を編集するための編集画面を通信端末3において表示可能としてもよい。また、上記の設置場所編集画面と連動先編集画面は、
図16又は
図17に例示される入力フィールド、リスト又はボタンの一部を欠いてもよいし、他の入力フィールドやリストやボタンをさらに有してもよい。
【0067】
2-7.変形例7
図11に示される、サーバ2の制御部21又は通信端末3の制御部31の機能群を実現するプログラムは、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体を介して提供されてもよい。また、火災受信機51の制御部によって実行されるプログラムもまた、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体を介して提供されてもよい。ここで、記録媒体とは、例えば、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体や、光ディスクなどの光記録媒体や、光磁気記録媒体や、半導体メモリ等である。また、これらのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。
【0068】
2-8.変形例8
上記の実施形態において、通信端末3のユーザに対して発行され、ユーザ情報DB221に格納されるID及びパスワードは、通信回線4を介してサーバ2から通信端末3に対して送信されてもよい。この際、ID及びパスワードは、通信端末3から送信される、会社情報と担当者情報とを含む発行要求に対する応答として送信されてもよい。ここで、ID及び/又はパスワードは、本発明に係る「認証情報」の一例である。
【0069】
(付記)
【0070】
本発明の一実施形態に係るデータベース作成システムは、サーバと通信端末とを備え、火災受信機に記憶される、火災報知設備の端末機器に関するデータベースを作成するためのデータベース作成システムであって、前記サーバは、前記データベースと、前記データベースを作成するためのプログラムとを記憶する記憶手段と、前記データベースを作成するための画面を示す画面データを前記通信端末に送信する第1送信手段と、前記通信端末から送信されるデータに基づいて、前記プログラムに従って前記データベースを作成する作成手段とを備え、前記通信端末は、前記サーバにより送信された前記画面データにより示される画面を表示する表示手段と、前記端末機器に関するデータを入力する入力手段と、前記入力手段により入力されたデータを前記サーバに送信する第2送信手段とを備えることを特徴とする。
【0071】
好ましい態様において、前記通信端末は、前記火災受信機の識別情報と前記サーバの識別情報とを表示又は記録するタグを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られたタグにより表示又は記録される前記火災受信機の識別情報を、前記読み取られたタグによりその識別情報が表示又は記録される前記サーバに対して送信する第3送信手段と、前記火災受信機が設置される物件の識別情報を前記サーバに送信する第4送信手段とを備え、前記サーバは、前記通信端末により送信された前記火災受信機の識別情報と前記物件識別情報とを対応づけて前記記憶手段に記憶する第1記憶制御手段を備える。
【0072】
さらに好ましい態様において、前記通信端末は、前記サーバから前記データベースを受信する受信手段と、前記受信手段により受信されたデータベースを記憶媒体に記憶させる第2記憶制御手段と、前記記憶媒体が前記火災受信機に装着されて当該記憶媒体に記憶される前記データベースが前記火災受信機に記憶される際に前記火災受信機から前記記憶媒体に対して記憶される前記端末機器に関するデータを当該記憶媒体から読み出す読出手段と、前記読出手段により読み出されたデータを前記サーバに送信する第5送信手段とを備える。
【0073】
さらに好ましい態様において、前記通信端末は、消防設備士の免状番号を示すデータを含む、認証情報の発行要求を前記サーバに送信する第6送信手段を備え、前記サーバは、前記発行要求に対する応答として、前記認証情報を前記通信端末に送信する第7送信手段と、前記認証情報に基づいて前記通信端末のユーザを認証する認証手段とを備え、前記第1送信手段は、前記認証手段による認証が成功した場合に限り、前記画面データを前記通信端末に送信する。
【0074】
また、本発明の一実施形態に係るサーバは、火災受信機に記憶される、火災報知設備の端末機器に関するデータベースを作成するためのサーバであって、前記データベースと、前記データベースを作成するためのプログラムとを記憶する記憶手段と、前記データベースを作成するための画面を示す画面データを通信端末に送信する送信手段と、前記通信端末から送信されるデータに基づいて、前記プログラムに従って前記データベースを作成する作成手段とを備えることを特徴とする。
【0075】
また、本発明の一実施形態に係る火災受信機は、自機の識別情報と、当該識別情報の送信先であるサーバの識別情報とを表示又は記録するタグが取り付けられた火災受信機であって、前記タグに表示又は記録される前記火災受信機の識別情報は、前記タグが通信端末により読み取られることによって、前記タグによりその識別情報が表示又は記録される前記サーバに送信され、前記サーバにおいて、前記通信端末から送信される、前記火災受信機が設置される物件の識別情報とともに対応づけて記憶されることを特徴とする。
【0076】
また、本発明の一実施形態に係るプログラムは、火災受信機に記憶される、火災報知設備の端末機器に関するデータベースを作成するためのコンピュータを、前記データベースと、前記データベースを作成するためのプログラムとを記憶する記憶手段と、前記データベースを作成するための画面を示す画面データを通信端末に送信する送信手段と、前記通信端末から送信されるデータに基づいて、前記プログラムに従って前記データベースを作成する作成手段として機能させることを特徴とする。
【0077】
(付記の効果)
付記によれば、サーバにおいて管理される、火災報知設備に関するデータベースの作成を支援することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…データベース作成システム、2…サーバ、3…通信端末、4…通信回線、5…火災報知設備、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、31…制御部、32…記憶部、33…表示部、34…入力部、35…読取部、36…カードインタフェース部、37…通信部、51…火災受信機、52…発信機、53…火災感知器、54…中継器、55…排煙機、56…シャッタ、57…防火戸、58…地区ベル、211…第1送信手段、212…作成手段、213…第1記憶制御手段、214…第6送信手段、215…書込手段、221…ユーザ情報DB、222…物件情報DB、223…端末機器情報DB、224…DB作成プログラム、311…第2送信手段、312…第3送信手段、313…第4送信手段、314…受信手段、315…第5送信手段、511…制御部、512…記憶部、513…表示部、514…入力部、515…端末機器用インタフェース部、516…カードインタフェース部、517…プリンタ部、5121…端末機器情報DB