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特許7623361LI-P-S製品の新規な製造方法及び対応する製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】LI-P-S製品の新規な製造方法及び対応する製品
(51)【国際特許分類】
   C01B 25/14 20060101AFI20250121BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20250121BHJP
   H01B 1/10 20060101ALI20250121BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20250121BHJP
【FI】
C01B25/14
H01B1/06 A
H01B1/10
H01M10/0562
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022514817
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020074881
(87)【国際公開番号】W WO2021044042
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】19306075.3
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523287012
【氏名又は名称】スペシャルティ オペレーションズ フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】516296522
【氏名又は名称】ル セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】515020599
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド ピカルディ ジュール ヴェルヌ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE PICARDIE JULES VERNE
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブライダ, マルク-ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】クドゥ, オメル ウラス
(72)【発明者】
【氏名】マスケリエ, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ル メルシェ, ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】フルート, ブノワ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 25/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の工程:
(a)少なくともLiと、LiSと、硫黄とを混合して第1の混合物を得る工程、
(b)不活性雰囲気中、真空下、又はHS流下で、Li-P-S製品を生成するのに1時間~200時間に含まれる時間及び150℃~600℃に含まれる温度で前記第1の混合物を加熱する工程、及び
(c)前記Li-P-S製品を冷却し、任意選択的に粉末化する工程
を含む、Li-P-S製品の製造方法。
【請求項2】
前記Li-P-S製品が以下:Li11、LiPS、LiPS、及び/又はLi9.612からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)における前記温度が、180℃~220℃に含まれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)における前記加熱が、時間~200時間に含まれる時間行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
Liが、LiSとPとの間の反応により得られる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
CuKα放射線を用いるBruker D8回折計を使用してX線回折によって測定される、407~412立方オングストロームに含まれる、標準気圧で取得されたセルパラメータを使用して室温での結晶構造及び式単位あたりの体積Vを有する、式Li11の製品。
【請求項7】
固体電解質として、単独での、又は任意の結晶性又はアモルファスの導電性Li材料と組み合わされる、請求項6に記載の製品の使用。
【請求項8】
請求項6に記載の少なくとも1つの製品を含む、固体電解質。
【請求項9】
請求項6に記載の少なくとも1つの製品を含む、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Li-P-S製品を製造するための新規な方法、並びに前記方法によって得られる製品、及び特に固体電解質としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池は、そのエネルギー及び電力密度の高さのため、携帯用電子機器や電気自動車に電力を供給するために使用されている。従来のリチウム電池は、有機溶媒中に溶解したリチウム塩から構成される液体電解質を利用している。有機溶媒は可燃性であるため、前述した系では安全性の問題が生じる。リチウムデンドライトが形成され、液体電解質媒体を通過すると、短絡が発生して熱が生じ、これによって大怪我につながる事故が起こる可能性がある。
【0003】
不燃性の無機固体電解質は、安全性の問題に対する解決策を提供する。更に、これらの機械的安定性は、リチウムデンドライトの形成を抑制し、自己放電と加熱の問題を予防し、電池の寿命を延ばすために有用である。
【0004】
固体硫化物電解質は、その高いイオン伝導性と機械的特性のため、リチウム電池の用途に有利である。これらの電解質は、コールドプレスによってペレット化して電極材料に取り付けることができるため、高温での組み立て工程が不要になる。高温焼結工程をなくすことで、リチウム電池でリチウム金属アノードを使用することに対する問題の1つが取り除かれる。
【0005】
そのため、新規な固体硫化物電解質が必要とされている。
【0006】
Li11は、非常に高いLi+伝導率(コールドプレス後25℃で1.4×10-3Scm-1)を有するLi-PS製品である(Y.Seino,T.Ota,K.Takada,A.Hayashi,M.Tatsumisago,A sulphide lithium super ion conductor is superior to liquid ion conductors for use in rechargeable batteries,Energy Environ. Sci.7 (2014) 627-631)。しかしながら、今日まで、この製品は、周囲雰囲気中で化学的に不安定であるLiSとPを試薬として使用する必要があるプロセスによって製造されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、特にLi11を含む新規な固体電解質を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、試薬としてのLiS及びPの排他的な使用を必要とせずにLi11などのLi-P-S製品を製造するための新規な方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、プロセス全体にわたって保護された雰囲気中で作業することを必要とせずにLi11などのLi-P-S製品を製造するための、新規な方法を提供することである。
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも以下の工程:
(a)少なくともLiと、LiSと、硫黄とを混合して第1の混合物を得る工程、
(b)不活性雰囲気中、真空下、又はHS流下で、Li-P-S製品を生成するのに十分な時間及び温度で第1の混合物を加熱する工程、及び
(c)Li-P-S製品を冷却し、任意選択的に粉末化する工程
を含む、Li-P-S製品の製造方法に関する。
【0011】
このようなプロセスは、重要な固体硫化物電解質、特に非常に高いLi+伝導率(上述の通り、コールドプレス後25℃で1.4×10-3Scm-1)を有する準安定ガラスセラミックLi11を合成するための新規な合成経路である。
【0012】
周囲雰囲気で化学的に安定ではないLiSとPのみを試薬として使用する必要がある既存の反応経路とは異なり、このプロセスでは、別のLi-P-S化合物(すなわち前述したLi11)を合成するための試薬としてLi-P-S化合物(すなわちLi)を使用する。この特定の反応の主な利点は、従来の試薬LiS及びPがArやNなどの保護された雰囲気中で保管する必要があるのに対し、Li11の合成前に乾燥室での保管材料としてLiを使用することの可能性を促進することである。
【0013】
定義
本明細書の全体にわたり、文脈が他に必要としない限り、「含む(comprise又はinclude)」という語又は変形形態、例えば「含む(comprises、comprising、includes、including)」は、記載された要素若しくは方法の工程又は要素若しくは方法の工程の群を包含するが、任意の他の要素若しくは方法の工程又は要素若しくは方法の工程の群を排除するものではないことを意味すると理解される。好ましい実施形態によれば、「含む(comprise及びinclude)」という単語、及びそれらの変形形態は、「のみからなる」を意味する。
【0014】
本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないと明確に示さない限り、複数の態様を含む。用語「及び/又は」は、「及び」、「又は」の意味及びまた、この用語に関連する要素の他の可能な組み合わせも全て包含する。
【0015】
用語「と~の間」は、限界点を含むと理解されるべきである。
【0016】
比、濃度、量及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で示される場合がある。このような範囲形式は、単に便宜上及び簡潔さのために使用され、範囲の限界点として明示的に列挙される数値を包含するだけでなく、それぞれの数値及び部分範囲が明示的に列挙されるかのようにその範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲を包含するように柔軟に解釈されるものと理解すべきである。例えば、約120℃~約150℃の温度範囲は、約120℃~約150℃の明示的に列挙された限界点を包含するだけでなく、125℃~145℃、130℃~150℃等の部分範囲、並びに例えば122.2℃、140.6℃、及び141.3℃など、小数量などの明記した範囲内の個々の量をも包含するように解釈されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
したがって、本発明の方法は、Li-P-S製品、すなわちリチウム(Li)、リン(P)、及び硫黄(S)を含む製品をもたらす。
【0018】
一実施形態によれば、Li-P-S製品は、Li11、LiPS、LiPS、及び/又はLi9.612からなる群において選択される。
【0019】
より好ましくは、Li-P-S製品は、Li11である。
【0020】
上述したように、本発明による方法の工程(a)は、Liと、LiSと、硫黄とからの第1の混合物の製造からなる。
【0021】
そのような工程は、当業者に周知の通常の手段を実施することによって行われる。
【0022】
好ましくは、工程(a)は、ケモメカニカル反応又はメカノケミカル反応からなる。
【0023】
その後、工程(b)に従って、前記混合物は、不活性雰囲気中で、真空下又はHS流下で、一定期間、且つLi-P-S製品を生成するのに十分な温度で加熱される。
【0024】
上述した通り、工程(b)は、不活性雰囲気中又は真空下で実施することができる。工程(b)は、この工程がHS流下で行われる場合、追加の硫黄源も含み得る。
【0025】
そのような加熱工程は、例えば、密閉された石英管、バッチ式炉、又はアルゴン、窒素、若しくはHSの流れの下で稼働できる回転炉を使用して、当業者に周知の通常の手段を実施することによって行われる。
【0026】
一実施形態によれば、工程(b)における温度は150℃~600℃、好ましくは180℃~220℃に含まれる。
【0027】
一実施形態によれば、工程(b)における加熱は、1時間~200時間、例えば6時間~200時間に含まれる時間行われる。
【0028】
工程(c)は、工程(b)の後に得られた生成物を冷却することからなる。好ましくは、この生成物は、室温に到達するまで冷却される。このような冷却工程は、例えば炉を5℃/分の速度で室温まで下降させるなど、当業者に周知の通常の手段を実施することによって行われる。
【0029】
特に、この冷却は、ほぼ室温の温度を有する冷却された生成物を得るのに十分な時間、自然冷却下で行われる。本発明において、室温は約25℃±2℃であると定義される。
【0030】
本発明の方法は、粉末化を行う追加の工程も含み得る。そのような工程は、冷却工程後に行われる。そのような粉末化工程は、例えば乳鉢でサンプルを粉砕することによって、又は低エネルギーの解凝集工程を適用することによってなど、当業者に周知の通常の手段を実施することによって行われる。
【0031】
次いで、工程(c)の後、例えば粉末をふるいにかけるなど、当業者に周知の任意の手段によってLi-P-Sが回収される。
【0032】
一実施形態によれば、工程(a)で添加されたLiは、LiSとPとの間の反応から得られる。そのような反応は、従来技術で十分に説明されており、例えば(Solid State Ionics,178(2007),pp.837-841)に記載されているような高温固相反応など、当業者に周知である。
【0033】
本発明は、上で定義された方法によって得られるLi-P-S製品にも関する。
【0034】
上述したように、Li-P-S製品は、Li11、LiPS、LiPS、及び/又はLi9.612からなる群の中で選択される。したがって、好ましくは、本発明は、上で定義された方法によって得られるLi11に関する。
【0035】
本発明の方法の実施により、従来技術の方法によって得られるLi11の結晶構造以外の結晶構造を有する式Li11の特定の生成物が得られる。
【0036】
そのため、本発明は、X線回折で測定される、室温で407~412立方オングストロームに含まれる式単位あたりの結晶構造及び体積Vを有する式Li11の製品にも関する。
【0037】
X線回折(XRD)測定は、例えばD8 Bruker回折計内でCuK-alpha放射線を用いるBragg-Brentanoジオメトリを使用して行った。好ましい測定条件は0.03度のステップあたり15秒であった。
【0038】
式単位あたりの体積Vは、粉末サンプルの標準気圧(101325Pa)で取得されたセル(格子)パラメータを使用して決定される。
【0039】
式単位あたりの体積Vは、格子体積V’をセル内の式単位Zの数で割ったものであり、Zは2である(Solid State Ionics,178(2007),pp.1163-1167)。
【0040】
周知のように、V’はセル(格子)パラメータ(a、b、c、α、β、γ)から導かれる。
V’=a.b.c.sqrt(1+2cosα.cosβ.cosγ-cosα-cosβ-cosγ)
(a、b、及びcは(オングストローム(Å)単位の)辺(エッジ)の長さであり、α、β、及びγはそれらの間の角度(°)である)
【0041】
一実施形態によれば、本発明による式Li11の製品はアモルファス相も含み得る。
【0042】
好ましくは、本発明による式Li11の製品は、X線回折によって測定される結晶構造の格子(セル)パラメータが以下の通りである製品である:
- a=12.40Å(プロファイルフィッティングによる)
- b=6.04Å(プロファイルフィッティングによる)
- c=12.52Å(プロファイルフィッティングによる)
【0043】
一実施形態によれば、本発明による式Li11の製品は、X線回折によって測定される結晶構造の格子(セル)パラメータが以下の通りである製品である:
- α=103.30°(プロファイルフィッティングによる)
- β=113.25°(プロファイルフィッティングによる)
- γ=75.07°(プロファイルフィッティングによる)
【0044】
本発明は、単独での、又は任意の結晶性又はアモルファスの導電性Li材料と組み合わされた、上で定義された製品の固体電解質としての使用にも関する。
【0045】
好ましくは、本発明は、上で定義した式Li11の製品、特に、X線回折によって測定される室温で407~412立方オングストロームに含まれる結晶構造及び式単位あたりの体積Vを有する製品の、固体電解質としての単独での使用に関する。
【0046】
一実施形態によれば、前記製品は、例えば、ベータLiPS又はガラス状LiPSなどの任意の結晶性又はアモルファスの導電性Li材料と組み合わせて使用することができる。
【0047】
本発明は、上記で定義された少なくとも1つの製品を含む固体電解質にも関する。
【0048】
好ましくは、本発明による固体電解質は、上で定義した式Li11の製品、特に、X線回折によって測定される室温で407~412立方オングストロームに含まれる結晶構造及び式単位あたりの体積Vを有する製品を含む。
【0049】
本発明は、電池、好ましくは本発明の方法によって得られる少なくともLi-PS製品、又はX線回折によって測定される室温で407~412立方オングストロームに含まれる結晶構造及び式単位あたりの体積Vを有する式Li11の製品を含むリチウム電池にも関する。
【0050】
本発明の製品が使用される電池は、リチウムイオン又はリチウム金属電池とすることができる。
【0051】
電池は、リチウムイオンを可逆的に挿入及び脱離できる電気活物質を含む正極と負極とから構成される。
【0052】
正極を形成する場合、活物質は、LiMY(式中、Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、Al、及びVなどの少なくとも1つの遷移金属種を表し;Yは、O又はSなどのカルコゲンを表す)の一般式で表される金属カルコゲナイド複合体からなる群から選択することができる。これらの中でも、LiMO(式中、Mは、上と同じである)の一般式で表されるリチウム系複合金属酸化物を使用することが好ましい。これらの好ましい例としては、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1-x(0<x<1)、Lix(Ni0.8Co0.15Al0.05)O、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O、Li(Ni0.6Co0.2Mn0.2)O、Li(Ni0.8Co0.1Mn0.1)O、並びにスピネル構造のLiMn及びLiMn1.5Ni0.5を挙げることができる。これらの活物質は、LiNbOなどの無機又は有機コーティングでコーティングすることができる。
【0053】
別の方法として、更に正極を形成する場合、活性質は、公称式AB(XO1-fのリチウム化又は部分的にリチウム化された遷移金属オキシアニオン系電極材料を含み得、この場合、Aはリチウムであり、A金属の20%未満を占める別のアルカリ金属によって部分的に置換されている場合があり、Bは、Fe、Mn、Ni、又はこれらの混合物の中から選択される+2の酸化レベルの主なレドックス遷移金属であり、これは、+1~+5の酸化レベルの1つ以上の更なる金属によって部分的に置換されることができ、35%未満の0を含む主な+2のレドックス金属を表し、XOは、Xが、P、S、V、Si、Nb、Mo、又はこれらの組み合わせのいずれかである任意のオキシアニオンであり、Eは、フッ化物、水酸化物、又は塩化物のアニオンであり、fは、XOオキシアニオンのモル分率であり、一般に0.75~1に含まれる。
【0054】
正極の形成に使用する活物質は、硫黄又はLiSとすることもできる。
【0055】
負極を形成する場合、活物質は、好ましくは炭素系の材料及び/又はケイ素系の材料及び/又はリチウム金属を含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、炭素系材料は、例えば、天然若しくは人工の黒鉛などの黒鉛、グラフェン、又はカーボンブラックであり得る。
【0057】
これらの材料は、単独で又はそれらの2つ以上の混合物として使用され得る。
【0058】
炭素系材料は好ましくは黒鉛である。
【0059】
ケイ素系化合物は、ケイ素、炭化ケイ素、及び酸化ケイ素からなる群から選択される1つ以上であり得る。
【0060】
リチウム金属は、リチウム箔又はリチウム粉末として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】Liのシミュレーションパターン[1]、合成されたLi(実施例1)、及び反応1のボールミル粉砕物(実施例2)のXRDパターンの比較である。
図2】合成されたLi(実施例1)、反応1のボールミル粉砕物(実施例2)、実施例2のアニーリングによって形成された結晶性Li11(実施例3)、並びに従来の試薬LiS及びPから合成された結晶性Li11のラマンスペクトルの比較である。
図3】反応1により合成された結晶性Li11(実施例3)、従来の試薬LiS及びPから合成された結晶性Li11、及びLi11のシミュレーションパターン[11]のXRDパターンの比較である。
図4】反応1により合成された結晶性Li11(実施例3)とBeを備える空のサンプルホルダーのXRDパターンの比較である。
図5】実施例4及び3のプロファイルフィッティングの結果である。ブラッグ位置は黒い垂直線で示されており、フィッティングは黒い実線でプロットされており、収集されたデータは白抜きの黒丸で示されている。図4に示されているアスタリスクでマークされた領域は、サンプルホルダーの寄与を伴うことからフィッティングから除外した。
図6】実施例3のラマンスペクトルにおける構造部位PS 3-、P 4-、及びP 4-からのシグナルのデコンボリューションである。ピーク面積の相対比も図の左上に示されている。
図7】実施例4のラマンスペクトルにおける構造部位PS 3-、P 4-、及びP 4-からのシグナルのデコンボリューションである。ピーク面積の相対比も図の左上に示されている。
図8】反応1のボールミル粉砕物(実施例2)、反応1により合成された結晶性Li11(実施例3)、従来の試薬LiS及びPから合成された結晶性Li11のイオン伝導率値対逆温度(1/T)の比較である。
図9】反応1のボールミル粉砕物(実施例2)、反応1により合成された結晶性Li11(実施例3)、従来の試薬LiS及びPから合成された結晶性Li11のσ×T値対逆温度(1/T)の比較である。線の傾きを計算するための線形フィッティングも黒い実線で示されている。
【実施例
【0062】
ここで、本開示を実施例で説明するが、それは、本開示の作用を説明することを意図し、限定的に理解して本開示の範囲に対する何らかの限定を暗示することを意図しない。本開示の範囲内にある別の実施例も可能である。
【0063】
実施例1:
LiS及びP(共にSigma Aldrich製)を出発原料として使用した。Arが充填されたグローブボックス内で、モル比2:1の全粉末1.5gを、12個のZrOボール(3g/ボール、直径10mm)が入っている45mLのZrOジャーの中に入れた。空気への暴露を防ぐために、スコッチとパラフィルムでジャーを密封し、その後グローブボックスから取り出し、Fritzch Planetary Micro Mill Pulverisette7に入れた。ジャーの過度の加熱を防ぐために、粉砕15分ごとに15分の休止を入れながら、510RPMの回転速度で38時間ボールミル粉砕した。次に、Arが充填されたグローブボックスにジャーを移し、粉末を回収した。その後、得られた白色粉末を、直径6mmのダイを用いて530MPaでペレット化した。カーボンコーティングされた石英管の中にペレットを真空封入し、次に管を5℃/分の加熱速度で350℃まで加熱し、36時間同じ温度に保った。アニーリング工程の後、管を室温までゆっくりと冷却し、Arが充填されたグローブボックス内で開けた。
【0064】
実施例2:
以下の反応のバランスをとるために、400mgの実施例1と、46mgの硫黄と、22mgのLiS(Sigma Aldrich製)とを、Arが充填されたグローブボックスの中で混合した。
【0065】
反応1:
3Li+3S+LiS=2Li11
【0066】
8個のZrOボール(3g/ボール、直径10mm)が入っている45mLのZrOジャーの中に、混合物を入れた。空気への暴露を防ぐために、スコッチとパラフィルムでジャーを密封し、次いでグローブボックスから取り出し、Retsch PM200遊星ボールミル粉砕装置に入れた。ジャーの過度の加熱を防ぐために、粉砕15分ごとに15分の休止を入れながら、510RPMの回転速度で76時間ボールミル粉砕した。次に、Arが充填されたグローブボックスにジャーを移し、粉末を回収した。
【0067】
実施例3:
実施例2を、直径6mmのダイを用いて530MPaでペレット化した。カーボンコーティングされた石英管にペレットを真空封入し、その後管を200℃で84時間アニーリングした。アニーリング工程の後、管を室温までゆっくりと冷却し、Arが充填されたグローブボックス内で開けてサンプルを回収した。
【0068】
実施例4(比較):
LiS及びP(共にSigma Aldrich製)を出発物質として使用した。Arが充填されたグローブボックス内で、モル比7:3の全粉末1.5gを、12個のZrOボール(3g/ボール、直径10mm)が入っている45mLのZrOジャーの中に入れた。空気への暴露を防ぐために、スコッチとパラフィルムでジャーを密封し、次いでグローブボックスから取り出し、Fritzch Planetary Micro Mill Pulverisette7に入れた。ジャーの過度の加熱を防ぐために、粉砕5分ごとに15分の休止を入れながら、510RPMの回転速度で76時間ボールミル粉砕した。次に、Arが充填されたグローブボックスにジャーを移し、粉末を回収した。得られた白色粉末を、直径10mmのダイを用いて530MPaでペレット化した。カーボンコーティングされた石英管の中にペレットを真空封入し、次に管を200℃で168時間アニーリングした。アニーリング工程の後、管を室温までゆっくりと冷却し、Arが充填されたグローブボックス内で開けた。
【0069】
キャラクタリゼーションツール:
サンプルのX線回折は、室温でCuKα放射線を用いるBruker D8回折計を使用して収集した。実験の前に、Arが充填されたグローブボックス内のBeを備えたサンプルホルダーにサンプルを密封した。回折は、13時間で10°~100°の2θ範囲で収集した。Full-Prof Suiteを使用して回折プロファイルをフィッティングすることにより、格子定数を決定した。より高い角度におけるP-1空間群のブラッグ位置の数が多いとフィッティングプロセスが誤って導かれる可能性があるため、実施例3と実施例4のプロファイルフィッティング手順は、フィッティングの精度を高めるために、より短い2θ範囲(10°~28°)に限定した。Beを備えたサンプルホルダーに起因する小さなピーク(図4を参照)は、フィッティングの精度を高めるためにフィッティングプロセスの前に削除した。
【0070】
ラマンスペクトルは、サンプルの過度の加熱を防ぐために、ラマンDXR顕微鏡(Thermo Fischer Scientific)を使用して、波長532nmの励起レーザービーム、0.1mWの低レーザー出力で収集した。フィッティングプロセスは、Thermo FischerScientificのOmnic Softwareを使用して実行した。
【0071】
インピーダンス分光測定の前に、Arが充填されたグローブボックス内で粉末サンプルをコールドプレスした。実施例2及び実施例3は、530MPaの圧力で直径6mmのダイでプレスし、実施例4は、530MPaの圧力で直径10mmのダイでプレスした。次いで、予め乾燥させたカーボンペーパー電極の間にペレットを挟み、その後気密サンプルホルダーにロードした。ACインピーダンススペクトルは、Biologic MTZ-35周波数応答アナライザーを使用して収集した。測定中、励起のAC電位は全てのサンプルで50mVに設定した。実施例2の測定の周波数範囲は0.05Hz~30MHzであった一方で、実施例3と実施例4の測定では1Hz~30MHzの範囲を適用した。各サンプルのスペクトルは、10℃刻みで-30℃から50℃までの間で変化させ、安定した温度値で記録した。イオン伝導度の値は、ZViewソフトウェアを使用してデータを等価回路モデルにフィッティングすることによって得た。σT対1/Tプロットの傾きを使用して、活性化エネルギー値を決定した。
【0072】
実験結果
反応1:
3Li+3S+LiS=2Li11
【0073】
実施例1のXRDパターンで観察されたブラッグピークは、図1に示されているように、結晶性Li[1]のシミュレートされたピーク位置との相関を示している。図3における実施例1のラマンスペクトルでは、383cm-1を中心とするピークのみがP 4-アニオンのP-S結合の振動によるものである[2、3]。したがって、サンプルは相純粋であるとみなし、反応1の前駆体として使用した。
【0074】
反応1はメカノケミカル合成ルートを介して行い、反応生成物を実施例2と名付けた。図1に示されているように、生成物はX線アモルファスであり、試薬のアモルファス化に成功したことを示している。LiS(<75at%)及びPをLi-P-S化合物のメカノケミカル合成のための試薬として使用すると、実施例2の場合と同様に、反応によってX線アモルファスの生成物が形成されることが文献から知られている[4~10]。今日まで、Li-P-S化合物(すなわちLi11)は、前駆体としての異なるLi-P-S化合物(つまりLi)を使用してこれまで合成されたことはない[6~10]。
【0075】
メカノケミカル反応後、P 4-部位及びPS 3-部位のPS結合の振動が実施例2のラマンスペクトルに出現する。図2を参照のこと。P 4-単位のシグナル強度の急激な減少から、P 4-部位中のリンイオンの一部が、メカノケミカル反応中に+4から+5に酸化されたことが推測される。P 4-単位は、反応して280~300℃でリンを還元することによりP 4-単位を形成できることが知られている[5、7]。メカノケミカル反応によってプロセスを反転できることが反応1で初めて示された。
【0076】
実施例3のXRDパターンは、図3のXRDによって証明されるように、結晶性Li11のシミュレートされたパターン[11]との相関を示した。強度が小さい追加のピークも17.3°、24.5°、及び25.5°で観察された。これは、粉末のパターンを収集するためのBeを備えたサンプルホルダーに起因する。実施例3のパターンとBeを備えたサンプルホルダーとの比較を図4に示す。比較のために、前駆体としてLiS及びPを使用して合成した実施例4のXRDパターンも図3に示した。実施例3と実施例4の間の複数の相違が注目された。実施例3のパターンにはより鋭いピークが存在し、これは、実施例4と比較して結晶化度が高いことを示している。実施例3及び実施例4の格子定数は、プロファイルフィッティングによって得た。得られたフィッティングとブラッグ位置を図5に示した。この図では、白丸は収集されたデータを示し、黒い線は得られたプロファイルフィッティングを示している。実施例3及び実施例4のプロファイルパラメータ、並びに文献[11]からの参照に有意な差が観察された。表1を参照のこと。実施例3の単位格子の格子定数aは大幅に小さく、アルファ角とガンマ角は実施例4及び文献で報告されている材料と比較して大きい。実施例3のベータ角は、文献の実施例よりも大きいことが観察されたが、実施例4のものよりも相対的に小さかった。これらの結果は、反応1によって得られた結晶性Li11が、従来の試薬LiS及びPから出発して合成された材料と構造的に異なっていることを証明した。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例3及び4のラマンスペクトルは、それぞれ421cm-1、404cm-1、及び383cm-1におけるPS 3-、P 4-、及びP 4-部位の結合振動の存在を示している。図2を参照のこと。これらの結果は、文献[7、8、10、12~15]で発表された結果と相関関係を示す。実施例3及び4の部位の量の半定量的比較を行うために、スペクトルを、構造部位の報告されている位置[5]を中心とする3つのピークにフィッティングした。ピーク面積の相対比も比較した。図6及び7に示されているように、実施例3及び4は、それらの局所構造に劇的な違いを示した。
【0079】
実施例3におけるPS 3-/P 4-の相対比は0.28であると計算された一方で、実施例4における比は著しく逸脱し、0.55と記録された。実施例3の場合では、P 4-単位のピークの相対強度が2.63%低いことも観察された。これらの結果は、試薬LiS及びPから合成された材料が、反応1の場合のような異なるLi-P-S化合物から合成された材料と異なる構造特性を有することを明確に示した。
【0080】
実施例2、3、及び4のイオン伝導度は、温度(-30℃~20℃)の関数として図8に示した。活性化エネルギーは、式1を使用してσT対1/Tのプロットから計算した。傾きを計算するためのデータの線形フィッティングも図9に示されている:
式1:
【数1】
【0081】
実施例2は、0.40eVの活性化エネルギーで、20℃で5×10-5Scm-1の導電率を示した。後続の実施例2のアニーリングによるLi11の結晶化後、実施例3は、20℃で6×10-4S.cm-1だけ導電率の有意な増加を示した。導電の活性化エネルギーも0.37eVまで減少した。これは、前駆体LiS及びPから合成された実施例4の活性化エネルギー(0.38eV)よりも小さい。実施例4は、20℃で9×10-4Scm-1のわずかに高いイオン伝導度を有していた。これらの結果は、文献[6、14~18]で報告されている値との相関関係も示している。
【0082】
様々なキャラクタリゼーションツールから得られた結果は、反応1で説明した代替合成ルートを使用して結晶性Li11を合成できることを示している。
【0083】
本発明により得られた製品(実施例3)は、文献に報告されている値や、試薬としてLiS及びPを使用して合成された結晶性Li11(実施例4-比較)と比較して、格子定数に関して大きな差を示した。更に、実施例3及び4中の構造部位の相対比は、劇的に異なると計算された。また、インピーダンススペクトルによって、両方の実施例のイオン伝導度と文献で報告されている材料とが非常に類似していることも示された。また、LiS-P二成分系の一方の要素から他方の要素への反応の成功が、文献で初めて報告されたことにも注目された。この発見は、二成分系の異なる要素間の他の代替反応経路を見つけるための道を開く。
【0084】
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図1
図2
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図5
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図8
図9