(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】締結要素、センサ及び締結要素を有するセンサユニット、センサユニット、ならびにセンサユニットの締結方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/24 20060101AFI20250121BHJP
G01D 11/30 20060101ALI20250121BHJP
B61L 1/02 20060101ALI20250121BHJP
B61L 23/04 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G01L1/24 A
G01D11/30 S
B61L1/02
B61L23/04
(21)【出願番号】P 2022535417
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2020085779
(87)【国際公開番号】W WO2021116417
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-12-11
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516217907
【氏名又は名称】タレス ドイチュランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブライトヴェック
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特許第6270195(JP,B1)
【文献】特表2017-504030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0154583(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291274(US,A1)
【文献】国際公開第2009/106576(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/057491(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0001185(KR,A)
【文献】特表2010-525337(JP,A)
【文献】特開2002-328010(JP,A)
【文献】実開昭61-001105(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-1/26,5/00-5/28,25/00
G01D 11/30
B61L 1/00-99/00
G01M 1/00-99/00
C09J 5/00
B29C 35/00-35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ(12)を監視対象の構造体(3)に締結するための締結要素(10、310、410、510、610)であって、前記締結要素(10、310、410、510、610)は、
-ベース支持要素(14、514、614)と、
-前記構造体(3)に対して前記ベース支持要素(14、514、614)を封止するための封止フレーム(18)と、
-光硬化接着剤(24)を受容するための空洞(20、320)であって、前記ベース支持要素(14、514、614)によって
一面が区画され、且つ前記封止フレーム(18)によって周囲
の面が区画される、空洞(20、320)と、
-光ビーム(36)を前記空洞(20、320)内に結合させるための少なくとも1つの発光面(28、428、628)と、
-前記光硬化接着剤(24)を前記空洞(20、320)内に導入するための少なくとも1つの通路凹部(22a、22b)と、
を有することを特徴とする締結要素(10、310、410、510、610)。
【請求項2】
前記空洞(20、320)を、直接又は間接的に、少なくとも部分的に照明するための少なくとも1つの光源(30
)を有することを特徴とする請求項1に記載の締結要素(10、310、410、510、610)。
【請求項3】
複数の光源(30)が互いに一定の距離
で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の締結要素(10、310、410、510、610)。
【請求項4】
前記光源(30)は、前記空洞(20、320)内に配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の締結要素(10、310、410、510)。
【請求項5】
前記ベース支持要素(14)は、前記光源(30)が配置された透明層(26)を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の締結要素(10、310)。
【請求項6】
前記光源(30)は、UV光を放射するように設計されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の締結要素(10、310、410、510、610)。
【請求項7】
前記光源(30)を前記発光面(628)に、導光的に接続させるための導光素子(42)を有することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の締結要素(610)。
【請求項8】
前記光源(30)は、前記ベース支持要素(614)上、及び/又は前記封止フレーム(18)上に、着脱可能に配置されていることを特徴とする請求項2から
7に記載の締結要素(610)。
【請求項10】
前記センサ(12)は歪みセン
サであることを特徴とする請求項
9に記載のセンサユニット。
【請求項11】
請求項
9又は請求項
10のいずれかに記載のセンサユニット(2、302、402、502、602)と、監視対象の構造体(3)とを有するセンサ装置(1、401、501、601)であって、前記センサユニット(2、302、402、502、602)は、前記センサユニット(2、302、402、502、602)の前記空洞(20、320)が、前記ベース支持要素(14、514、614)とは反対の側において、前記構造体(3)から区画されるように前記構造体(3)上に位置決めされ、前記空洞(20、320)は、光硬化接着
剤で、少なくとも部分的に充填されることを特徴とするセンサ装置(1、401、501、601)。
【請求項12】
少なくとも1つの光源(30)を有する照明器具を、前記センサユニット(602)上に配置す
ることができ、前記照明器具は、前記空洞(20、320)を直接及び/又は間接的に照明するように設計されていることを特徴とする請求項
11に記載のセンサ装置。
【請求項13】
請求項
9又は請求項
10のいずれかに記載のセンサユニット(2、302、402、502、602)を構造体(3)に締結する方法であって、前記方法は以下のステップ:
a)前記センサユニット(2、302、402、502、602)を前記構造体(3)に付けるステップと、
b)前記光硬化接着剤(24)を前記センサユニット(2、302、402、502、602)の前記空洞(20、320)内に導入するステップと、
c)前記接着剤(24)を硬化させる目的のために、前記空洞(20、320)内に光(36)を導入するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象の構造体(structure)に、特にレールに、センサを締結するための締結要素と、このような締結要素を有するセンサユニットと、センサユニットを監視対象の構造体に締結するためのセンサ装置と、センサユニットを配置する方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
接着物質によって締結される締結要素は、従来技術から既に知られており、構成要素、特にセンサを構造体に取り付けるために使用される。このための典型的な適用分野は、レール監視要素である。レール監視要素の構成要素、特に、レールに作用する力を測定するセンサは、例えばドリル孔によって、構造体を弱めることなくレールに締結することができる。
【0003】
弾性接着剤を使用して太陽光発電モジュールを構造体に締結するための締結要素は、非特許文献1及び非特許文献2(引用文献[1]及び[2])から知られている。弾性接着剤は、天候及び経年劣化に対して高い耐性を有するが、これらは構造体の膨張及び動きの補償もするので、したがって、構造体に作用する力を測定することを目的としたセンサを締結することには適していない。
【0004】
このため、センサを有するレール監視要素の締結要素は、硬化後に非常に高い剛性を有し得る接着剤によって締結される。特に、締結要素をレールに取り付ける場合は、熱接着法が主に使用される。
【0005】
特許文献2(引用文献[4])は、熱活性化フィルムを使用してレール監視要素を設置する方法を開示している。この接続は、レールを誘導加熱することによって行われる。しかしながら、これには熱という形態のかなりのエネルギー入力が必要となるが、これには高いエネルギーコストがかかるだけでなく、遠隔でアクセス困難な軌道区間においても必要なエネルギーを提供できるような機器が必要となる。誘導加熱に必要な重くてかさばる機器は、訓練された専門家によって使用場所に輸送されなければならず、そのため、最終的には膨大な物流努力を伴うことになる。
【0006】
本出願人による特許文献1(引用文献[3])は、熱活性化可能な接着剤によってレールに取り付けられたレール監視要素を開示している。このレール監視要素はレールに押しつけられ、接着接続を形成するために接着層に配置された熱線によって接着剤が加熱される。しかしながら、この方法を使用すると、接着剤を硬化させるための熱入力は、点でのみでしか発生しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第19180254.5号明細書(引用文献[3])
【文献】独国特許出願公開第102017216811号明細書(引用文献[4])
【文献】Elastic Bonding-Reducing System Costs in the Solar Industry;Issue6/2011年11~12月:solar energy;50、51ページ(引用文献[1])
【文献】Renewable Energies-Sealing/Gluing/Casting-Photovoltaic Modules;OTTO-Chemie;https://www.otto-chemie.de/de/erneuerbare-energien(引用文献[2])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、安価に製造可能であって、また、安価に且つ少ない労力で監視対象の構造体に取り付けることができる、締結要素、及び、このような締結要素を有するセンサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の締結要素、請求項11に記載のセンサユニット、請求項13に記載のセンサ装置、及び請求項14に記載の方法による本発明にしたがって達成される。
【0010】
本発明による締結要素は、ベース支持要素と、構造体に対してベース支持要素を封止するための封止フレームと、光硬化接着剤を受容するための空洞であって、ベース支持要素によって一側面を、封止フレームによって周囲を区画される、空洞と、光ビームを空洞内に結合させるための少なくとも1つの発光面とを有する。加えて、締結要素は、他の要素、特に保護カバーをも有してもよい。
【0011】
ベース支持要素は、構成要素、特にセンサを受容するために使用され、矩形の板の形態で特に有利に設計される。締結されるセンサ、ならびに締結要素が締結されるように意図される構造体の表面により、他の形状であってもよい。特に、円形及び/又は多角形の形状が考えられる。ベース支持要素は、監視対象の構造体上に配置されるように設計される。一般に、すべての表面上に締結要素を配置することが考えられる。以下では、特に例として、特にレール及び列車車軸として表される監視対象の構造体を用いて、レール監視要素の適用分野における締結要素の配置について論じる。リストは、網羅的であると理解されるべきではない。
【0012】
レール上に配置されるとき、締結要素は、好ましくはレールプロファイル(レールネック)の垂直区間に配置される。したがって、好ましい設置位置において、ベース支持要素は、レールと平行に位置決めされる。ベース支持要素は、少なくとも1つの小区間(sub-section)において、レールから離間している。言い換えると、ベース支持要素とレールとの間に空間が形成される。
【0013】
封止フレームは、ベース支持要素上に、着脱可能又は着脱不能に配置され、このフレームは、ベース支持要素を、構造体に対して一定の距離に保つ。封止フレームは、ベース支持要素とレールとの間の空間を封止、特には、全周にわたって封止し、ベース支持要素とともに空洞を形成する。この目的のために、封止フレームは、可撓性を有するように、特にはエラストマーとして、特に好ましくはシリコーンとして、且つ/又は剛性を有するように、設計することができる。封止フレームは、ベース支持要素と一体に形成してもよい。可撓性のある構成は、締結領域内において構造体の表面に対してできるだけ隙間なく静止して面する封止フレームに関して、特に有利である。これにより、封止フレームの封止効果が向上する。
【0014】
空洞は、ベース支持要素と構造体との間に形成され、封止フレームによって周方向に区画される。言い換えると、空洞は、ベース支持要素に面する側で主に閉じ、特には、完全に閉じており、構造体に面する側で主に開き、特には、完全に開いている。
【0015】
空洞は、光硬化接着剤を受容するように設計される。光硬化接着剤は、光、特に紫外光(UV光)の作用の下で硬化する接着接合剤を意味すると理解される。
【0016】
締結要素は、空洞内に光を結合するための発光面を有する。発光面は、空洞との境界面を形成する。言い換えると、締結要素は、それを通じて空洞内に光が放射されるボアを有する。発光面の例としては、透光性の発光ダイオードハウジング、特にLEDレンズ、光手段が収容される空洞に向けられた透明層の表面、又は、導光フィルム若しくは導光板の表面が挙げられるが、この列挙は非網羅的である。入射光は、発光面に直接放射される、且つ/若しくは、導光構造(導光フィルム/導光板)を介して発光面まで案内され得る。締結要素が構造体上に配置されているときに空洞内に光を誘導することにより、光硬化接着剤の硬化、ひいては締結要素の構造体への締結が可能になる。
【0017】
締結要素が、光硬化接着剤を空洞内に誘導するための少なくとも1つの通路凹部を有する実施形態が、好ましい。少なくとも1つの通路凹部は、ベース支持要素内、及び/又は封止フレーム内に形成することができ、空洞を締結要素の環境と接続させる。通路凹部は、特に、封止フレームにおける間隙という形態で設計され得る。通路凹部は、特に有利には、1~30ミリメートル、特には2~20ミリメートル、特に好ましくは5~10ミリメートルの明確な幅を有する。結果として、注入装置によって、特にはカートリッジピストルによって、特に簡単な方法で接着剤を空洞に注入することができる。
【0018】
締結要素が少なくとも1つのさらなる通路凹部及び/又は充填制御手段を有する発展形が、特に好ましい。さらなる通路凹部によって、接着剤の充填プロセス中に封止フレームが構造体と特に密接に接触しているときに、空気が空洞から特に容易に逃げられるようになる。加えて、さらなる凹部によって、空洞が大部分、特に完全に充填された後、余分な接着剤が膨張してさらなる通路凹部から出てくるため、空洞が充填される程度に関する結論を引き出すことが可能になる。充填制御手段は、代替的又は追加的に、ベース支持要素において及び/又は封止フレームにおいて、部分的に透明な領域、特に非常に透明な覗き窓の形態で設計することができ、空洞が充填される程度に関する結論を少なくとも引き出せるようにする。
【0019】
締結要素が、直接又は間接的に、少なくとも部分的に、特には完全に、空洞を照明するための少なくとも1つの光源、特に発光ダイオードを有する実施形態もまた、好ましい。光源は、光が、特に完全に、主に空洞内に放射されるように、発光面に対して並べられる。言い換えると、光源の発光効果は、特に導光フィルム又は導光板を介して、直接及び/又は間接的に空洞内に向けられる。この場合、発光は、特にベース支持要素から、ベース支持要素とは反対の空洞の側に向けられる。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、締結要素は、互いに一定の距離で、特に等距離で配置された多数の光源を有する。これにより、特に均一で完全な空洞の照明が可能になる。
【0021】
光源が締結要素の空洞内に配置された実施形態が好ましい。光源自体が発光面を有することができる。この実施形態では、空洞は、光源によって直接照明される。光源を、一平面上に配置し、空洞に向け、特にベース支持要素上に配置することは、特に有利である。空洞内に光源を均一に配置することで、特に均一な照明が可能になる。発光面は、空洞と光源との間に配置され、光源が光硬化接着剤と直接接触しないように保護する。光源の可能な限り最大の照明領域を可能にするために、発光面は特に光散乱性、特に好ましくは拡散散乱性であり得る。結果として、光硬化接着剤は、特に均一且つ完全に硬化される。接着剤が硬化した後、光源は、空洞内でいわゆる「失われた要素」として残る。
【0022】
ベース支持要素が、光源が配置された透明層を備える締結要素の実施形態もまた好ましい。光源は、空洞内に直接光を透過させるように、透明層内に並べられる。光源とともに、透明層は、「発光層」を形成し、空洞が平坦面によって区画されるようにする。これにより、空洞を充填することがより容易になる。
【0023】
締結要素は、光源がUV光を放射するように設計された締結要素の発展形が好ましい。これにより、UV光硬化接着剤を使用すると、特に迅速な硬化を促進する。
【0024】
締結要素が、導光的に光源を発光面に接続するための少なくとも1つの導光素子を有する実施形態が、特に好ましい。結果として、光源を、空洞から空間距離を置いて配置することができる。言い換えると、光源は、締結要素における空洞の外側に配置することができる。光源は、空洞内に向けられた少なくとも1つの光出射領域を有する導光素子内に、特に導光フィルム内に、光を放射する。言い換えると、空洞は、間接的に照明される。導光素子、特に導光フィルムは、光出射領域内に発光面を有し、これによって光の均一な分離が可能になる。これにより、空洞内の光分布が促進される。
【0025】
締結要素の特に好ましい発展形では、光源は、封止フレームの上及び/又は中において、封止フレームの周方向に配置される。封止フレームは、少なくとも部分的に、特には完全に、透明であり得る。封止フレームは、発光面も有することができる。あるいは、光は、透明フレームを通ってフレームに隣接する導光素子内に結合することができる。結果として、ベース支持要素は変更しないままでよく、これは、既存の製造プロセスについて特に好ましい効果を有する。
【0026】
代替的又は追加的に、封止フレームは、光源を配置するように設計された通路凹部を有することができる。特に有利な実施形態では、光源は、空洞が充填された後に空洞を充填するように設計された少なくとも1つの通路凹部の中及び/又は上に配置される。
【0027】
締結要素の好ましい実施形態では、封止フレームは、その、構造体に面する側に、接着剤、特に樹脂又は接着テープを有する。これにより、締結要素を一時的に構造体に取り付けることが可能になり、接着剤の注入ならびに硬化プロセスを簡略化する。
【0028】
光源がベース支持要素上、及び/又は封止フレーム上に、着脱可能に及び/又は緩く配置される締結要素の発展形が、特に好ましい。ここで、光源は、接着剤を硬化させる期間にわたって締結要素上に特に有利に配置され、その後取り外されることが可能である。結果として、「失われた要素」は、締結要素の上又は中に残らず、光源を特に有利に再利用することができる。
【0029】
代替的に又は追加的に、光源を、締結要素の隣に位置決めすることができ、特に限られた時間だけ、少なくとも1つの導光素子を介して、締結要素に、特に空洞に接続することができる。第1の導光素子を光源上に配置することができ、第2の導光素子を締結要素上に配置することができ、第1の導光素子は、空洞を照明する期間にわたって第2の導光素子上に配置される。
【0030】
保護カバーが締結要素上に、特にはベース支持要素上及び/又は封止フレーム上に、配置される実施形態が好ましい。保護カバーは、締結要素上に着脱可能に及び/又は着脱不能に配置することができる。特に、締結要素上に保護カバーを配置するために、ラッチ装置及び/又はねじ留め装置を設けることができる。保護カバーは、締結要素及びその上に配置された構成要素を、不正なアクセスや天候及び/又は環境の影響から、効果的に保護することができる。
【0031】
本発明によるセンサユニットは、締結要素及びセンサを有する。センサは、着脱可能に又は着脱不能に、締結要素上に配置することができる。センサは、ベース支持要素の、空洞から離れる方に面する側に配置される。これにより、締結要素が構造体上に配置された後にセンサが締結要素上に配置されることが、特に有利に可能になる。しかしながら、一般に、締結要素が構造体上に配置されるとき、センサは、ベース支持要素上に既に配置されていることも考えられる。
【0032】
締結要素は、多種多様なセンサを配置するように設計される。センサは、物理的又は化学的性質を検出するための任意のタイプの測定プローブ及び/又は検出器を意味すると理解される。例えば、ただし網羅的ではないが、温度センサ、歪みゲージ、湿度、圧力、又はイオン強度が挙げられるべきである。
【0033】
センサユニットの好ましい発展形では、センサは、歪みセンサ、好ましくはファイバブラッググレーティングを備える光ファイバを有するレール監視要素である。
【0034】
本発明によるセンサ装置は、センサユニット及び監視対象の構造体を有する。センサユニットは、空洞内に導入された光硬化接着剤がベース支持要素と構造体との間に接続を形成するように、構造体上に配置される。言い換えると、締結要素の空洞は、センサユニットが構造体上に配置されるとき、特に完全に、光硬化接着剤で主に充填される。
【0035】
センサユニットを構造体に締結するための本発明による方法は、以下の方法ステップを含む:
a)センサユニットを構造体に付ける(applying)ステップと、
b)光硬化接着剤をセンサユニットの空洞内に導入するステップと、
c)接着剤を硬化させる目的のために、空洞内に光を導入するステップ。
【0036】
過少投入が効果的に防止され、同時に過剰投入の場合に接着剤があふれるのを防止することができるので、この特定の順序は、接着剤の最適な投入及び空洞の充填に関して特に有利である。
【0037】
しかしながら、この方法のステップは、記載された順序に限定されない。例えば、センサユニットが構造体に付けられる前に光硬化接着剤を空洞内に導入することも考えられる。
【0038】
特に方法ステップb)と方法ステップc)との間で、光源が締結要素上に配置される、本発明による方法の発展形が好ましい。
【0039】
特に方法ステップb)と方法ステップc)との間で、光源が、導光素子上の締結要素の隣に位置決めされる、本発明による方法の発展形が好ましい。
【0040】
特に方法ステップc)の後に光源が締結要素から取り外される、本発明による方法の発展形が好ましい。
【0041】
特に方法ステップc)の後に保護カバーが締結要素上に配置される、本発明による方法の発展形が好ましい。
【0042】
本発明のさらなる利点は、説明及び図面に見出すことができる。同様に、本発明によれば、前述の特徴及び以下で説明される特徴は、個別に、又は任意の望ましい組合せで、それぞれ使用することができる。図示及び説明される実施形態は、網羅的なリストとして理解されるべきではなく、むしろ本発明の説明のための例示的な性質を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】センサユニットの第1の実施形態及び監視対象の構造体を含むセンサ装置の断面図である。
【
図2】
図1のセンサユニットの第1の実施形態の斜視図であって、締結要素が単一の空洞を有するものを示す。
【
図3】センサユニットの第2の実施形態の斜視図であって、締結要素が2つの空洞を有するものを示す。
【
図4a】第3の実施形態によるセンサユニットを有するセンサ装置を締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図4b】第3の実施形態によるセンサユニットを有するセンサ装置を締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図4c】第3の実施形態によるセンサユニットを有するセンサ装置を締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図4d】第3の実施形態によるセンサユニットを有するセンサ装置を締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図5a】第4の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、ベース支持要素側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図5b】第4の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、ベース支持要素側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図5c】第4の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、ベース支持要素側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図5d】第4の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、ベース支持要素側に空洞及び通路凹部を備えるものを示す。
【
図6a】第5の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側の通路凹部を有するものとベース支持要素側の通路凹部を有するものとの2つの空洞を備えるものを示す。
【
図6b】第5の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側の通路凹部を有するものとベース支持要素側の通路凹部を有するものとの2つの空洞を備えるものを示す。
【
図6c】第5の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側の通路凹部を有するものとベース支持要素側の通路凹部を有するものとの2つの空洞を備えるものを示す。
【
図6d】第5の実施形態によるセンサユニットを締結するための、本発明による方法の各方法ステップを示す断面図であって、締結要素が、フレーム側の通路凹部を有するものとベース支持要素側の通路凹部を有するものとの2つの空洞を備えるものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、監視対象の構造体3としてのレール上に配置されたセンサユニット2を有するセンサ装置(sensor arrangement)1を示す。センサユニット2は、締結要素10と、締結要素10上に実装されたセンサ12とを有する。構造体3は、センサユニット2が取り付けられる垂直区間(レールネック)を有する。センサユニット2の取り付けは、下地となる構造体に対して何ら大きな要求も求めず、配置領域に関しても柔軟である。例えば、締結要素10の構造体3との接触面が重力の作用の方向と平行に、又は、重力の作用の方向に対して傾斜して配置されるように、締結要素10を構造体3に取り付けることができる。言い換えると、構造体3の側の設置位置において、実装面は、実質的に垂直に位置合わせされる。しかしながら、他の設置位置もまた可能である。
【0045】
締結要素10は、板状のベース支持要素14を有し、垂直レール区間上において構造体3の延伸方向16と平行に配置される。封止フレーム18は、ベース支持要素14上に配置され、主に、特に完全に、形状にフィットするように構造体3に当接する。封止フレーム18、ベース支持要素14、及び構造体3は、空洞20を区画する。センサ12は、空洞とは反対の箇所においてベース支持要素14に取り付けられる。
【0046】
封止フレーム18は、空洞20を光硬化接着剤24で充填するように設計されたフレーム通路凹部22aを有する。好ましくはフレーム通路凹部22aもまた、空洞20が完全に充填された後に、接着剤24で充填される。これにより、どの程度空洞20が充填されているかについて結論を引き出せるようになる。
【0047】
図1では、空洞20は、締結要素14と構造体3との間の接合剤である光硬化接着剤24によって既に完全に充填されている。
【0048】
図2は、締結要素10のアセンブリ側から見た、
図1のセンサユニット2の第1の実施形態の斜視図を示す。封止フレーム18は、封止フレーム18の上部外周にフレーム通路凹部22aを有する。「上」及び「下」という用語は、主に垂直方向に延びる接触面上での、重力の作用方向における設置位置を指す。
図2に示される封止フレーム18の上部外周のフレーム通路凹部22aの配置により、特に有利なことに、重力を利用して接着剤24(
図2では不図示)を注入することが可能になる。一般に、フレーム通路凹部22aを封止フレーム18上の任意の点に形成することが考えられる。
【0049】
図示される実施形態では、ベース支持要素14は多層設計を有し、発光面28を有する透明層26を有する。発光面28は、空洞20内に向けられている。
【0050】
透明層26は、透明層30内に配置され(黒色で示す)、ベース支持要素14、特に透明層26上に形成された空洞20への接続面上に等距離に分布する、いくつかの光源を有する。透明層26は、各光源30の領域に発光面28を有し、光36をより良く均一に分布するために、この発光面/光源は、空洞20内に形成される(
図4c、
図5c、
図6c参照)(見やすくするために、2つの光源30及び2つの発光面28にのみ参照符号が付されている)。
【0051】
図示される実施形態では、空洞20は、構造体3に面する側と同様に、ベース支持要素14に面する側に可能な限り大きい断面を有する。結果として、締結要素10が構造体3上に配置されると、接着剤24とベース支持要素14との間と同じように特に好ましい方法で、接着剤24と構造体3との間に同じ保持力を形成することができ、過度に多量の接着剤24が空洞20内に導入されるのを防止する。特に有利な方法では、接着剤24とベース支持要素14との間の境界面、並びに接着剤24と構造体3との間の境界面のサイズは、例えば、接着剤24とベース支持要素14との間の境界面が接着剤24と構造体3との間の境界面よりも大きく又は小さくなるように、ベース支持要素14及び構造体3の表面仕上げに適合させることができる。その結果、表面に関する保持力は、それでもなお、異なる面積比にわたって均一に形成されうる。
【0052】
図3は、センサユニット302の第2の実施形態を示す。ベース支持要素14は、2つの封止フレーム18とともに、互いに空間的に分離された2つの空洞320を形成する。
図3に示される例のような、ベース支持要素14の表面全体を覆っていない複数の空洞20を形成することにより、締結要素310の寸法は同じである一方、光源30の数及び必要とされる接着剤24の量(
図3で不図示)は、
図2に示される実施形態と比較して少なくなる。2つの空洞20の各々は、そこに接着剤24を注入するための2つのフレーム通路凹部22aを有する(
図4c、
図5c、
図6c参照)(見やすくするために、1つの光源30にのみ参照符号が付されている)。空洞20はベース支持要素14上に、特に好ましくは、ベース支持要素14上の、センサ12について機能的に関連するポイントに、配置することができる。歪みセンサをベース支持要素14上に配置したときの空洞20の配置が一例として挙げられているが、網羅的ではない。ベース支持要素14上に配置された歪みセンサの歪み測定点の領域において接着剤24が硬化した後に、空洞20を配置し、こうして締結要素310を補強することによって、構造体(図示せず)の膨張を特に正確にセンサ12に伝達することができる。
【0053】
図4a~
図4dは、一体型光源30を有する締結要素410を備えて方法ステップa)にしたがって構造体3に付けられる(applied)センサユニット402を有する、センサ装置401を示す。センサユニット402を構造体3に一時的に取り付けるために、封止フレーム18は、構造体3と接触する側に、例えば接着ストリップの形態の接着剤32を有する。結果として、センサユニット402を構造体3に対して恒久的に押しつける必要がないので、後続の方法ステップを特に簡単な方法で実行することができる。代替的又は追加的に、センサユニット402を手動で又は機械的に押しつけることができる。
【0054】
図4bは、封止フレーム18の上側に形成されたフレーム通路凹部22aを介した、方法ステップb)による空洞20内への接着剤24の注入を示す。接着剤24は、カートリッジ34によって供給される。一般に、接着剤24は様々な方法で供給することができるが、カートリッジ34による導入は、接着剤24の投入量に関して特に有利である。
【0055】
図4cは、光硬化接着剤24を硬化させるための方法ステップd)による空洞20内への光ビーム36の放射を示す。この目的のために、
図4a~
図4dによるセンサユニット401は、空洞20内に配置された光源30を有する。発光面428は光源30上に直接、特にはハウジングの形態で、特に好ましくはエポキシ樹脂レンズの形態で、配置される(見やすくするために、1つの光源30、1つの発光面428、及び1つの代表的な光ビーム36にのみ参照符号が付されている)。光源30にエネルギーを供給するために、センサユニット402は、切り替え可能な電気伝導体40(例えばプリント回路基板の形態のもの)を介して光源30に接続された一体型電池(図示せず)を有する。接着剤24が注入された後、光源30がオンに切り替えられる。この場合、電池(図示せず)は、接着剤24を硬化するのに必要な光源30による照明の期間にわたってエネルギーを供給する電気容量を有する。接着剤24が硬化した後、光源30及び電池(図示せず)は、いわゆる「失われた要素(lost element)」としてセンサユニット402上に残る。一般に、外部電源も考えられる。センサ12自体が電源を含む場合、センサ12を動作させるために提供された電源(図示せず)を介して光源30にエネルギーを供給することも考えられる。
【0056】
センサユニット402は、締結要素410上、特にベース支持要素14及び封止フレーム18上に配置された、保護カバー38を有する。
図4c及び
図4dの実施形態によれば、保護カバー38は、圧入によってセンサユニット402上に配置される。
【0057】
図4dは、硬化した接着剤24を有する最終状態のセンサ装置401を示す。
【0058】
図5a~
図5dは、センサ装置501を得るために、構造体3上に第4の実施形態によるセンサユニット502を締結する方法を示す。締結要素510は、完全に包囲する封止フレーム18を有する。ベース支持要素514及びプリント回路基板40には支持通路凹部22bが形成される。
【0059】
図5bは、ベース支持要素514の支持通路凹部22bを介した、空洞20内への光硬化接着剤24の注入を示し、その結果、カートリッジ(遮光性)をより容易に適用することができるので、充填プロセスをより良い方法で実行することができる。
【0060】
図5cは、光源30からの光の照射による接着剤24の硬化を示す。
【0061】
接着剤24が硬化した後、光の照射を終了することができる(
図5d)。
【0062】
図6a~
図6dは、第5の実施形態によるセンサユニット602を構造体3に締結することによってセンサ装置601を提供する方法を示す。
【0063】
締結要素610は、ベース支持要素614と2つの空洞20との間に導光素子42を有する。光源30は、導光素子42の周囲に着脱可能に配置される。光源30は、導光素子42内に光ビーム36を放射する。導光素子42は、光源30によって導入された光ビーム36を、導光素子42を通じて空洞20内に誘導し、該光ビームを空洞内に向かって分離する(decouple)ように設計される。この目的のために、導光素子42は、空洞20の領域に発光面628を有する。導入された光ビーム36は、発光面628を介して導光素子42から再び出てくる(emerge)(
図6c)。したがって、空洞20は、光が外部から結合されることによって、光源30によって間接的に照明される。光は、少なくとも1つの箇所で、特には複数の箇所で、特に好ましくは導光素子42の全外周にわたって、導光素子42に結合される。
【0064】
図6bは、フレーム通路凹部22a及び支持通路凹部22bを通じた空洞20の充填を示す。フレーム通路凹部22aは封止フレーム18において形成され、支持通路凹部22bは、ベース支持要素614及び導光素子42において形成される。封止フレーム18は、周回して形成され、図示される例では通路凹部を有していない。しかしながら、対応する封止フレーム18のフレーム通路凹部22aを通じて、且つ/又はベース支持要素614において適切に位置決めされた支持通路凹部22bを通じて、両方の空洞20を充填することも可能である。
【0065】
図6cは、空洞20が充填された後の光硬化接着剤24の硬化プロセスを示す。導光素子42は、可能な限り均質に空洞20を照明できるようにするために、特に発光面628の領域において、構造体3の方向に光ビーム36を分離する(decoupling)ためのナノ構造及び/又はマイクロ構造を有することができる。光源30には、例えば外部電池(図示せず)によって、エネルギーが供給される。
【0066】
図6dは、完成状態のセンサ装置601(構造体3に締結されているセンサユニット602)を示す。光源30は、硬化プロセスの後に締結要素610から取り外された。保護カバー38は、圧入によって締結要素610に配置される。
【0067】
図面のすべての図を総合すると、本発明は、光硬化接着剤24によって構造体3に締結することができるセンサ12用の保持装置10、310、410、510、610に関する。光硬化接着剤24を受容するために設けられた空洞20を直接的及び/又は間接的に照明することによって、光硬化接着剤24が硬化する。本発明はさらに、センサ12及び保持装置10、310、410、510、610を有するセンサユニット2、302、402、502、602と、センサユニット2及び構造体3を有するセンサ装置1、401、501、601と、装置1、401、501、601を提供する方法と、に関する。
【符号の説明】
【0068】
1、401、501、601 センサ装置
2、302、402、502、602 センサユニット
3 構造体
10、310、410、510、610 締結要素
12 センサ
14、514、614 ベース支持要素
16 構造体の延伸方向
18 封止フレーム
20、320 空洞
22a フレーム通路凹部
22b 支持通路凹部
24 光硬化接着剤
26 透明層
28、428、628 発光面
30 光源
32 接着剤
34 カートリッジ
36 光ビーム
38 保護カバー
40 切り替え可能な電導体/プリント回路基板
42 導光素子
【0069】
引用文献リスト
[1] Elastic Bonding-Reducing System Costs in the Solar Industry;Issue6/2011年11~12月:solar energy;50、51ページ
[2] Renewable Energies-Sealing/Gluing/Casting-Photovoltaic Modules;OTTO-Chemie;https://www.otto-chemie.de/de/erneuerbare-energien
[3] 欧州特許出願公開第19180254.5号明細書
[4] 独国特許出願公開第102017216811号明細書