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特許7623379胃腸炎の処置及び予防の為の、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(FAECALIBACTERIUM PRAUSNITZII)株 CNCM I-4573とPENTASA(登録商標)との会合物
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  • 特許-胃腸炎の処置及び予防の為の、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(FAECALIBACTERIUM  PRAUSNITZII)株  CNCM  I-4573とPENTASA(登録商標)との会合物 図1
  • 特許-胃腸炎の処置及び予防の為の、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(FAECALIBACTERIUM  PRAUSNITZII)株  CNCM  I-4573とPENTASA(登録商標)との会合物 図2
  • 特許-胃腸炎の処置及び予防の為の、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(FAECALIBACTERIUM  PRAUSNITZII)株  CNCM  I-4573とPENTASA(登録商標)との会合物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】胃腸炎の処置及び予防の為の、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(FAECALIBACTERIUM PRAUSNITZII)株 CNCM I-4573とPENTASA(登録商標)との会合物
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20250121BHJP
   A61K 31/606 20060101ALI20250121BHJP
   A61K 31/635 20060101ALI20250121BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250121BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20250121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250121BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20250121BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A61K31/606
A61K31/635
A61P1/04
A61K35/741
A61P43/00 121
A23L33/135
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022537085
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2020086805
(87)【国際公開番号】W WO2021123011
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】19306662.8
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】CNCM  CNCM I-4573
(73)【特許権者】
【識別番号】522237139
【氏名又は名称】エクセリオム バイオサイエンス
(73)【特許権者】
【識別番号】517449453
【氏名又は名称】アンスティテュート ナショナル ド ルシェルシュ プール ラグリキュルテュール,ラリマンタシォン エ ランヴィロンヌマン
(73)【特許権者】
【識別番号】504006434
【氏名又は名称】アシスタンス パブリック-ホピトー デ パリ
(73)【特許権者】
【識別番号】522237140
【氏名又は名称】ソルボンヌ ユニベルシテ
(73)【特許権者】
【識別番号】522237151
【氏名又は名称】アンスティテュート ナシオナル デ シアンス エ アンデュストリ デュ ヴィヴァン エ ド ランヴィロンヌマン
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DES SCIENCES ET INDUSTRIES DU VIVANT ET DE L’ENVIRONNEMENT
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ルソー,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】ソーコル,アリー
(72)【発明者】
【氏名】リュフィエ,ポーリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シャテル,ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】シェーン,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ランジェラ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン-ロジーク,レベカ
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-520340(JP,A)
【文献】特表2019-508486(JP,A)
【文献】Bioscience Reports,2019年,39,BSR20180943,https://doi.org/10.1042/BSR20180943
【文献】Medicine,2019年,98(47),e17955,p.1-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12Q 1/00- 3/00
A23L 5/40- 5/49
A23L31/00-33/29
A61K31/33-33/44
A61K35/00-35/768
A61K36/06
A61P 1/00-43/00
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)種の菌株とメサラミン又はその誘導体との組合せ物であって、前記メサラミン誘導体が、メサラジン、オルサラジン、4-ASA(4-アミノサリチル酸)、及びスルファサラジンからなる群から選択される、前記組合せ物
【請求項2】
医薬的に許容される媒体中に請求項に記載の組合せ物を含む医薬組成物。
【請求項3】
個体における炎症性胃腸疾患の処置及び/又は予防における使用の為の、請求項に記載された組合せ物
【請求項4】
前記個体が哺乳動物である、請求項に記載の組合せ物
【請求項5】
前記個体がヒトである、請求項3又は4に記載の組合せ物
【請求項6】
前記炎症性胃腸疾患が炎症性腸疾患である、請求項3~5のいずれか1項に記載の組合せ物
【請求項7】
前記炎症性胃腸疾患が結腸炎症性腸疾患である、請求項3~6のいずれか1項に記載の組合せ物
【請求項8】
前記結腸炎症性腸疾患が、クローン病、潰瘍性大腸炎及び嚢炎からなる群から選択される、請求項7に記載の組合せ物
【請求項9】
前記結腸炎症性腸疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の組合せ物
【請求項10】
前記組合せ物が、医薬組成物の医薬的に許容される媒体中にある、請求項3~9のいずれか1項に記載の組合せ物
【請求項11】
前記組成物が、寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ種の菌株の、103個の細菌~1012個の細菌を表す1日用量の投与の為に適している、請求項10に記載の組合せ物
【請求項12】
前記組成物が経口投与用である、請求項10又は11に記載の組合せ物
【請求項13】
前記組成物が、食品、飲料、医薬品、ニュートラシューティカル、食品添加物、食品サプリメント、及び乳製品からなる群から選択される、請求項10~12のいずれか1項に記載の組合せ物
【請求項14】
前記組成物が医薬品であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の組合せ物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)種の菌株とメサラミン(mesalamine)又はその誘導体との会合物、特には、個体における炎症性胃腸疾患(IGD:inflammatory gastrointestinal diseases)、特には炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel diseases)、の処置及び予防における使用の為の会合物、に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、損傷又は感染に対する反応の正常な一部を構成し且つ内部又は外部の攻撃から生物を保護することに寄与する自然の生物学的プロセスである。
【0003】
しかしながら、炎症メカニズムの機能不全、特に持続的又は過剰な炎症、は、痛みを伴う疾患を引き起こし、且つ患者の生命を危険にさらしうる。そのような疾患は、例えば、皮膚疾患、腸疾患、神経疾患、関節炎及び自己免疫疾患を包含する。これらの炎症性疾患の幾つかは、いまだに治療法が確立されていないか、或いは適切な治療法がない。
【0004】
その結果、新しい抗炎症治療戦略の為の研究及び探索は、医学において且つ生物医学研究において主要な主題を構成する。
【0005】
炎症性腸疾患は、胃腸管の慢性及び再発性の炎症によって特徴付けられる一連の障害である。このグループの最も一般的な形態はクローン病である。病因は、遺伝的に素因のある患者における腸内微生物叢の存在によって引き起こされる粘膜免疫系の不適切且つ継続的な活性化を包含する。
【0006】
アミノサリチル酸(特に、5-ASA、メサラミン若しくはメサラジン(mesalazine)とまた呼ばれる)又はその誘導体は、特に潰瘍性大腸炎及びクローン病の処置において長い間成功裡に使用されてきている。
【0007】
メサラミンでの処置における問題は、それが腎毒性の懸念を引き起こし、従って多量に投与されることができないことである。事実、5-ASAで処置されたIBDを有する患者における腎機能障害の発生率は100人の患者に1人と推定され、及び間質性腎炎は500人の患者に1人で発生する。
【0008】
その上、5-ASAは、軽度から中庸度の疾患形態においては有効であることが知られているが、しかしまた、より重度の疾患形態において有意に低い効果であることがまた知られている。従って、5-ASAが非効率的であると特定される場合に、利用可能な唯一の代替手段は免疫抑制療法の使用である。しかしながら、そのような治療法は非常に高価であり、且つ重篤な副作用、例えば感染症及び腫瘍形成、に潜在的に関連付けられる。
【0009】
従って、炎症性胃腸疾患の処置及び/又は予防において5-ASAが十分でない場合に、免疫抑制療法に対する代替的な解決策が必要とされている。特に、炎症性胃腸疾患の処置及び/又は予防において、メサラミン及びその誘導体の特性を改善することを可能にする新規な解決策が必要とされている。より一般的には、個体における炎症性胃腸疾患、特には炎症性腸疾患、の処置及び/又は予防の為の新規物質又は該物質の組み合わせが常に必要とされている。
【0010】
本発明は、これらの問題に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、個体における炎症性胃腸疾患、特には個体における炎症性腸疾患、の処置及び/又は予防の為の、物質の新規な会合物、及びそれを含む組成物を記載することである。
【0012】
本発明の文脈において、語「予防する」は、所与の現象、すなわち、本発明においては胃腸炎、特には炎症性腸疾患、の発生の可能性をより低い程度まで減少させることを意味する。語「予防する」はまた、本発明に従う疾患の、特に炎症性腸疾患の、危険性又は再発の可能性をより低い程度まで減少させることを包含すると理解されなければならない。
【0013】
本発明の文脈において、語「処置する」が特に疾患に関連して使用される場合に、疾患の発生若しくは進行を減速又は停止すること、関連付けられた臨床症状の退行を引き起こすこと、又は疾患を部分的に若しくは完全に緩和することを意味する。語「処置する」はまた、再発回数の減少及び/又は再発の強度の減少及び/又は本発明に従う疾患、特に炎症性腸疾患、の2回の再発を分離する時間の増加を包含すると理解されなければならない
【0014】
本発明は、メサラミン又はその誘導体がフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ株 CNCM I-4573と組み合わせて使用される場合に、このことがその抗炎症特性の改善をもたらすという、本発明者等による発見に基づく。
【0015】
特に、本発明者等は、メサラミン又はその誘導体が単独で使用される場合において効果が低い量で使用される場合に、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ株 CNCM I-4573(単独で使用される場合において、また効果が低い量で)と関連付けてメサラミン又はその誘導体を個体に投与することによって、予想外に抗炎症特性を提供することができることを発見した。
【0016】
発明者等の実験結果に従うと、メサラミン又はその誘導体と、2012年1月31日に寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(F.prausnitzii)の特定の株との会合物は、個体における胃腸炎、特に腸炎、を相乗的に軽減する予想外の能力を有する。
【0017】
従って、第1の主題に従うと、本発明は、寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ種の菌株と、メサラミン又はその誘導体との会合物に関する。
【0018】
メサラミンの誘導体は例えば、メサラジン、オルサラジン、4-ASA(4-アミノサリチル酸)、及びスルファサラジンからなる群から選択することができる。
【0019】
本発明の他の目的は、医薬的に許容される媒体中に本発明の会合物を含む医薬組成物である。
【0020】
本発明はさらに、個体における炎症性胃腸疾患の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明に従う会合物に関する。
【0021】
本発明に従う個体は好ましくは、哺乳動物、例えば非ヒト哺乳動物を包含する哺乳動物、であり、特にヒトである。
【0022】
該炎症性胃腸疾患は特には、炎症性腸疾患(IBD)、より特には結腸炎症性腸疾患、である。
【0023】
上記の結腸炎症性腸疾患は特には、クローン病、潰瘍性大腸炎及び嚢炎からなる群から、特にはクローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群から、選択されうる。
【0024】
他の実施態様に従うと、本発明に従う使用の為の会合は、医薬組成物の医薬的に許容される媒体中、好ましくは経口組成物中、より特に好ましくは医薬品中、にある。
【0025】
語「医薬的に許容される媒体」は、上記の組成物が投与されなければならない個体の身体に適合する媒体を意味することが意図されている。それは例えば、毒性のない溶媒、例えば水、である。特に、上記の媒体は経口投与に適合する。
【0026】
本発明の組成物は好ましくは、経口投与用である。
【0027】
経口投与の為の本発明の組成物は、食品、飲料、医薬品、ニュートラシューティカル(anutraceutical)、食品添加物、食品サプリメント(a food supplement)、及び乳製品からなる群から選択されうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、横軸の左から右に、(i)水のみと、グリセロールを有するPBSとを投与された対照マウス(大腸炎無し);(ii)DSSで誘発された大腸炎を有し且つグリセロールを有するPBSで処置されたところの対照マウス;(iii)DSSで誘発された大腸炎を有し且つF.プラウスニッツイ株CNCM I-4573で処置されたところのマウス;(iv)DSSで誘発された大腸炎を有し且つF.プラウスニッツイ株CNCM I-4573とPentasa(登録商標)との会合物で処置されたところのマウス;及び(v)DSSで誘発された大腸炎を有し且つPentasa(登録商標)とグリセロールとを有するPBSで処置されたところのマウス、で得られた疾患活動性指数(DAI:Disease Activity Index)スコアを示す。該DAIスコアは、0(炎症無し)~4(縦座標)(n=10/グループ、但し、水+PBS/グリセロール n=5を除く)のスケールで評価される。
図2図2は、横軸の左から右に、(i)水のみと、グリセロールを有するPBSとを投与された対照マウス(大腸炎無し);(ii)DSSで誘発された大腸炎を有し且つグリセロールを有するPBSで処置されたところの対照マウス;(iii)DSSで誘発された大腸炎を有し且つF.プラウスニッツイ株CNCM I-4573で処置されたところのマウス;(iv)DSSで誘発された大腸炎を有し且つF.プラウスニッツイ株CNCM I-4573とPentasa(登録商標)との会合物で処置されたところのマウス;及び(v)DSSで誘発された大腸炎を有し且つPentasa(登録商標)とグリセロールとを有するPBSで処置されたところのマウス、の糞便中の血液の存在を示す。糞便中に存在する血液の量が多いほど、考慮される個体における炎症及び損傷がより高くなる。血液の発生は、基準0(存在しない)又は1(存在)に従って評価される(n=10/グループ、但し、水+PBS/グリセロール n=5を除く)。
図3図3は、横軸の左から右に、(i)水のみと、グリセロールを有するPBSとを投与された対照マウス(大腸炎無し);(ii)DSSで誘発された大腸炎を有し且つグリセロールを有するPBSで処置されたところの対照マウス;(iii)DSSで誘発された大腸炎を有し且つF.プラウスニッツイ株CNCM I-4573で処置されたところのマウス;(iv)DSSで誘発された大腸炎を有し且つF.プラウスニッツイ株CNCM I-4573とPentasa(登録商標)との会合物で処置されたところのマウス;及び(v)DSSで誘発された大腸炎を有し且つPentasa(登録商標)とグリセロールとを有するPBSで処置されたところのマウス、の結腸重量/結腸長さの比を示す。結腸のサイズにおける減少は、重度の炎症によって引き起こされ、及び重度の炎症によって引き起こされる浮腫/炎症性浸潤による結腸重量の増加がまた観察される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者等は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイの特定の株とメサラミン又はその誘導体との会合物が、個体における炎症性胃腸疾患、特に個体における炎症性腸疾患、を相乗的に処置及び/又は予防する能力を特定する為に徹底的な研究を行った。
【0030】
事実、本発明者等は、メサラミン又はその誘導体と関連して寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたF.プラウスニッツイ株が、単独で使用される同じ薬剤よりも、個体における胃腸炎、特には腸炎を軽減する優れた能力を提供することを予想外に決定した。
【0031】
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ株
F.プラウスニッツイは、ファーミキューテス(Firmicutes)門の主要なメンバーであり、且つ健康なヒトの大腸の微生物叢で最も豊富である共生細菌の一部である。
【0032】
F.プラウスニッツイは酸素感受性が非常に高い(EOS:extremely oxygen-sensitive)細菌であり、それ故に、F.プラウスニッツイは、嫌気性条件下でさえも培養が困難である(Duncan et al.2002, Int.J.Syst.Evol.Microbiol.52(Pt 6):2141-6 and Lopez-Siles et al.Appl.Environ Microbiol.January 2012;78 (2):420-8)。F.プラウスニッツイは、特に、ヒトの消化管において最も豊富な酪酸産生細菌の1つであることが知られており、酪酸短鎖脂肪酸は、腸の生理機能、全身機能及びヒトの健康に対する有益な効果において非常に重要である(Macfarlane and Macfarlane (2011),J.Clin.Gastroenterol.45 Suppl:S120-7)。
【0033】
F.プラウスニッツイA2-165はまた、急性及び慢性大腸炎のマウスモデル、すなわち、炎症性疾患、において抗炎症及び保護効果が有することが知られている(Martin et al.,Inflamm Bowel Dis. March 2014;20(3):417-30 and Sokol et al.,Proc Natl Acad Sci USA.October 28,2008;105(43):16731-6)。
【0034】
その上、国際公開公報第WO2017129515号パンフレットは、寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ株が、単独で使用された場合に、イン・ビトロ(in vitro)及びイン・ビボ(in vivo)で、胃腸の炎症、特に腸炎症、を軽減する能力を記載している。
【0035】
A2-165株及びI-4573株の抗炎症特性は、F.プラウスニッツイの所定の株について抗炎症特性の存在が予測できないことを考えると、一般的にF.プラウスニッツイ種に起因することができない。事実、そのような特異的な抗炎症活性は、抗炎症活性を有しないCNCM I-4575 F.プラウスニッツイ株を用いて比較試験が実施された国際公開公報第WO2017129515号パンフレットに示されている。
【0036】
本発明に従う菌株の適切な1日用量は、本発明の組成物中の103~l011個の細菌であることができ、例えば、109個の細菌に相当する1日用量の形態であることができる。組成物中の細菌の数は、例えばフローサイトメトリーを使用して、当業者によって容易に測定されることができる。
【0037】
本発明に従う菌株は、生、半活性、不活化された若しくは死滅の形態、又はそれらの組み合わせでありうる。
【0038】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う菌株は、生又は半活性の形態、特に生の形態、で使用される。
【0039】
他の実施態様において、本発明に従う菌株は、不活化された又は死滅の形態で使用される。
【0040】
本発明に従う「不活性化された」菌株は、もはや一時的に培養でコロニーを形成することができない菌株である。本発明に従うと、「死滅の」菌株は、培養中でコロニーを形成することが決定的にもはやできない菌株である。死滅の又は不活性化された菌株は、無傷又は破裂された細胞膜を有しうる。従って、語「不活性化された」はまた、本明細書の以下に詳述されている菌株抽出物及び溶解物を意味する。死滅の又は不活性化された菌株は、当業者に知られている任意の方法によって生成されうる。
【0041】
上述された不活性化された菌株は、照射、熱不活化、pH不活化、空気若しくは酸素の曝露による不活化、又は菌株調製物の凍結乾燥によって調製されうる。これらの方法は当業者に知られている。
【0042】
より特には、照射による菌株の不活性化は、ガンマ線、X線、UV若しくは熱への曝露、又は減圧の使用を含みうる。
【0043】
凍結乾燥による不活性化は、当分野において知られている任意の方法を介して行われうる。好都合なことに、凍結乾燥によって不活性化された菌株は再培養されうる。
【0044】
熱不活性化は、本発明の菌株を長時間、例えば少なくとも2時間、170℃でインキュベートすることによって行われうる。熱不活化はまた、オートクレーブによって、本発明の細菌株を少なくとも20分間、121℃の温度及び2バールの大気圧に付すことによって、行われうる。熱不活性プロセス、例えばパスツーリゼーション(pasteurization)、チンダル化(tyndallisation)等、が含まれうる。
【0045】
代替的には、熱不活化は、菌株を凍結温度に長時間付すことによって行われうる。
【0046】
pH不活化は、本発明の菌株を低い又は高いpHで長時間、例えばpH2で30分間、インキュベートすることによって行われうる。
【0047】
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイは極度に酸素に敏感な(EOS:Extremely Oxygen Sensitive)生物であるので、空気暴露による不活化が行われうる。このプロセスは、対象となる細菌を空気雰囲気で一定期間インキュベートすることによって行われうる。
【0048】
本発明に従う菌株は、完全な形で、すなわち本質的にその天然の形で、又はこの細菌の画分及び/又は代謝産物を含む分解された懸濁物の抽出物若しくは溶解物の形態で使用されうる。
【0049】
語「代謝産物」は、細菌の代謝に由来する何らかの物質、特に本発明に従って検討中の細菌によって分泌され且つ皮膚の微小レリーフの障害の処置及び/又は予防の効力を有する物質を意味する。
【0050】
本発明の目的の為に、語「画分」(fraction)は、より特には上記の細菌の断片(fragments)を意味する。
【0051】
本発明において使用する為に好適である抽出物又は溶解物は、増殖期の終わりに菌株から調製されうる。
【0052】
本発明において使用する為に好適である菌株は、溶解物の形態で使用されうる。
【0053】
本発明の目的の為に、「溶解物」は一般的に、細胞溶解として知られる現象を介して生体細胞の破壊又は溶解後に得られる物質を意味し、従って、検討中の細菌の細胞中に自然に含まれる細胞内生物学的成分の放出を引き起こす。
【0054】
本発明の目的の為に、語「溶解物」は、検討中の菌の溶解を介して得られる全溶解物を優先的に示すために又はその画分のみを示す為に使用される。従って、使用される溶解物は、細胞内生物学的構成要素から、並びに該細菌の細胞壁及び膜の構成要素から、全体的又は部分的に形成される。
【0055】
特定の実施態様において、本発明の為に使用される溶解物は、検討中の菌株の溶解を介して得られる全溶解物でありうる。
【0056】
この細胞溶解は、様々な既知の技術、例えば浸透圧ショック、熱ショック、を介して超音波処理を介して、又は代替的には遠心分離タイプの機械的ストレス下で、達成されうる。特に、本発明の溶解物は、細胞質画分、細胞壁断片及び代謝由来の生成物を、本発明の菌株を懸濁状態で含む培地から放出する為に、本発明の該培地の超音波崩壊を介して得られうる。次に、それらの自然に分布する全ての成分は、弱酸性の水性溶液中で安定化される。
【0057】
本発明の菌株は、様々な方法で、特に経口又は直腸で、処置されるべき個体の腸に投与されうる。本発明の会合物からの細菌は好ましくは、経口投与される。
【0058】
好ましい一つの実施態様に従うと、本発明の会合物の菌株は、生理学的に許容される培地を含む組成物に含まれている。そのような組成物は好ましくは、経口投与用である。
【0059】
メサラミン又はその誘導体
メサラミンは活性化合物であるアミノサリチル酸を表し、且つ5-ASA又はメサラジンとも呼ばれる。
【0060】
メサラミン誘導体は特に、その薬学的に許容される塩、薬学的に許容される溶媒和物、薬学的に許容される水和物、薬学的に許容されるエナンチオマー、薬学的に許容される誘導体、及び薬学的に許容されるその多形を云う。
【0061】
メサラミン及びメサラミン誘導体は例えば、様々な種類の剤形で販売されており、例えば、FerringによるPentasa(登録商標)、及びShireによるLialda(登録商標)、又はWarner-ChilcottによるAsacol(登録商標)、Asacol HD(登録商標)及びDelzicol(登録商標)等である。SalixによるApriso(登録商標)、Aptalis PharmaによるCanasa(登録商標)、Meda PharmsによるRowasa(登録商標) enema、Tillots Pharma FranceによるFivasa(登録商標)、PharmaciaによるDipentum(登録商標)又はNorgineによるQuadrasa(登録商標)等がまた存在する。
【0062】
特定の実施態様において、Pentasa(登録商標)は、本発明に従う会合物又は組成物において使用される。
【0063】
本発明の会合物又は組成物において使用されるメサラミン又はその誘導体の量は、約100~約8000mg、特には約100~約5000mgの範囲であることができる。特定の実施態様において、本発明の組成物は、400m、600mg又は800mgのメサラミン又はその誘導体を含む。
【0064】
特定の実施態様において、患者に毎日投与されることができるメサラミン又はその誘導体の量は、1000mg~5000mgであることができる。
【0065】
本発明に従うF.プラウスニッツイ株は、メサラミン又はその誘導体と同じ組成物において又は別個の組成物において、処方され及び/又は個体に投与されることができる。
【0066】
2つの個々の組成物中にある場合、F.プラウスニッツイ株及びメサラミン又はその誘導体は、同時に(若しくは実質的に同時に)、又は互いに、同じ経路を通じて若しくは異なる経路を通じて投与されることができる。例えば、一方が直腸投与され、他方が経口投与されることができる。互いに続いて投与されるとは、本発明の会合物を構成する2つの活性物質が、互いに数分以内に、又は互いに数時間以内に投与されることを意味する。
【0067】
本発明の1つの実施態様において、F.プラウスニッツイ株及びメサラミン又はその誘導体は、同じ組成物で、経口で又は直腸で、好ましくは経口で、同時に投与される。
【0068】
他の実施態様において、F.プラウスニッツイ株及びメサラミン又はその誘導体は、別々の組成物で、独立して経口で又は直腸で、好ましくは両方とも経口で、同時に投与される。
【0069】
更なる実施態様において、F.プラウスニッツイ株及びメサラミン又はその誘導体は、別々の組成物で、独立して経口で又は直腸で、好ましくは両方とも経口で、相次いで投与される。
【0070】
組成物
本発明はまた、医薬的に許容される媒体中に少なくとも本発明に従う会合物を含む組成物、特に医薬組成物、に関する。
【0071】
本発明に従う組成物は、消化管、特に腸、の為に意図されている。
【0072】
従って、本発明に従う組成物は、経口又は直腸組成物から選択される。本発明の組成物は、好ましくは経口又は直腸組成物であり、より好ましくは経口組成物である。
【0073】
1つの実施態様に従うと、本発明の組成物は経口組成物であり、すなわち対象への経口投与の為に意図されている。
【0074】
そのような組成物は、懸濁物、錠剤、丸薬、カプセル、顆粒又は粉末の形態でありうる。
【0075】
経口投与の為の本発明に従う組成物は、食品、飲料、医薬品、ニュートラシューティカル、食品添加物、食品サプリメント又は乳製品からなる群から選択され得、特に食品サプリメント又は医薬品である。
【0076】
経口投与の為の食品サプリメント又は医薬品は、例えば、カプセル、ゲルカプセル、ソフトカプセル、錠剤、糖衣錠、丸薬、ペースト、甘味入り錠剤(lozenges)、ガム、経口溶液若しくはエマルジョン(emulsions)、シロップ又はゲルで存在しうる。

【0077】
特定の一つの一実施形態に従うと、本発明に従う組成物は医薬品である。
【0078】
有利には、経口投与の為に意図される本発明に従う組成物は、上記の組成物中に含まれる本発明の菌株及びメサラミン又はその誘導体が損傷を受けずに胃を通過できることを確実にする為に、胃液耐性コーティングを備えられうる。従って、活性剤の放出は、上部腸管において初めて起こりうる。
【0079】
本発明に従う組成物はまた、甘味料、安定剤、抗酸化剤、添加剤、着香剤及び/又は色素を含みうる。
【0080】
その処方は、糖衣錠、ゲルカプセル、ゲル、制御された放出ヒドロゲル、エマルジョン、錠剤又はカプセルを製造する為の通常の方法によって行われる。
【0081】
本発明の他の実施態様において、本発明の菌株を含む組成物が直腸内に投与される。
【0082】
好ましくは、直腸投与は、座薬、浣腸又は泡の形態で実施される。
【0083】
特に、本発明の組成物は、医薬品として、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ種CNCM I-4573の菌株の、103個の細菌~1012個の細菌を表す1日投与量、特には、医薬品として104個の細菌~1012個の細菌を表す1日投与量、より特には、医薬品として106~1012個の細菌を表す1日投与量、好ましくは1010個の細菌に相当する1日量、(すなわち、サイトメトリーによる総細胞数)の投与の為に好適である。
【0084】
特に、本発明の組成物は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ種CNCM I-4573の菌株の、103個の細菌~1012個の細菌を表す1日投与量、特には、104個の細菌~1012個の細菌を表す1日投与量、より特には、106~1012個の細菌を表す1日投与量、好ましくは1010個の細菌に相当する1日量、(すなわち、サイトメトリーによる総細胞数)の投与の為に好適である。
【0085】
例えば、本発明に従う組成物は、本発明のCNCM I-4573菌株を103~1012個の細菌の投与量、104~1012個の細菌の投与量、より特には106~1012個の細菌の投与量、好ましくは1010個の細菌に相当する量、で含む1gの1日1回の投与量で、個体に投与されうる。
【0086】
別の例において、本発明に従う組成物は、それを必要とする個体に、103~1012個の細菌、特には104~1012個の細菌の投与量、より特には106~1012個の細菌の投与量、好ましくは1010個の細菌に相当する量、で含む0.2gの1日1回の投与量で投与されうる。
【0087】
別の例において、本発明に従う組成物は、それを必要とする個体に、1gの2投与量に基づいて1日2回投与され得、各用量は、独立して、本発明のCNCM I-4573菌株を、5x103個の細菌~5x1011個の細菌、特に5×106個の細菌~5×1011個の細菌、好ましくは5×109個の細菌、に相当する量で含み、従って、個体に投与される本発明のCNCM I-4573菌株の1日の総投与量は上記の通りである。
【0088】
本発明に従う組成物はまた、抗酸化剤、魚油、DHA、EPA、ビタミン、ミネラル、植物栄養素、タンパク質、脂質、プロバイオティクス、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含みうる。
【0089】
本発明は、単に説明の為に与えられている以下の実施例によって、より詳細に以下に記載される。
【0090】
パーセンテージへの言及は、特に断りのない限り、全て重量パーセンテージである。
実施例
寄託番号CNCM I-4573でCNCMに寄託されたF.プラウスニッツイ株及びPENTASA(登録商標)が、イン・ビボ(in vivo)で免疫応答を調節し且つ腸の炎症に直接影響を与えるところのそれらの能力について、単独で試験され、及び組み合わせて試験された。
【0091】
マウスのDSS誘発された大腸炎モデルが、これらの様々な要素の抗炎症効果のイン・ビボ(in vivo)研究において使用される。
【0092】
より特には、C57BL/6マウス(アッセイの開始時に生後8~9週)が、室温で12時間の明/暗サイクルで維持され、そして、大腸炎の誘発の前日を除いて、食物と水を自由に摂取できるようにされ、該マウスは、12時間断食される。結腸の炎症は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS:Dextran Sodium Sulfate)での処置によって誘発される。詳細には、DSSは7日目から12日目まで飲料水(2.5重量%/容積)に溶解され、そして、動物はこの溶液を5日間自由に飲むことができる。DSS処置されたグループにおける水の消費量が測定され、水を飲むナイーブマウス(naive mice)のグループと比較される。水を飲むマウスとDSSを飲むマウスとの間で、消費される液体の容積に違いは観察されない。マウスは、胃管栄養法によって毎日経口で、200μLで処置される:
グループ1:F.プラウスニッツイ株CNCM I-4573の1.109個のコロニー形成単位(CFU:colony forming units)
I-4573;と
グループ2:F.プラウスニッツイ株CNCM I-4573+Pentasa(登録商標)の1.109個のコロニー形成単位(CFU:colony forming units)、それは、自由に食物に混合される(2.88gのPentasa(登録商標)顆粒(1顆粒の重量は0.5mgあり、且つ0.26mgの5-ASAを含む;該マウスの5-ASAの投与量は150mg/日/体重kgである)。
【0093】
第3のグループ(グループ3)は、餌中にPentasa(登録商標)が混ぜられたDSSマウスで構成され、第2のグループについて示されたものと同じ用量を自由に与えられた。
【0094】
下記の2つの対照グループがまた調査される:
一つのグループは、PBグリセロールのみが強制経口投与により投与された非大腸炎マウス、及び
一つのグループは、PBSグリセロールのみが強制経口投与により投与されたDSSマウス。
【0095】
予防モードでの最初のDSS 投与の7日前(0日目)に、強制経口投与により処置又はビヒクルが経口投与される。グループ2とグループ3のマウスには、Pentasa(登録商標を含む食品がまた、0日目から唯一の食物源として与えられる。グループ3 におけるマウスには、胃管栄養ストレスによって導入される偏りを制限する為に、PBS/グリセロールが与えられる。各グループについての処置期間は、アッセイの終わり、すなわち19日目、まで続く。
【0096】
7日目に、DSSが5日間(7日目から12日目まで)飲料水に添加される。剖検が、19日目のDSS期間の終了から7日後に行われる。
【0097】
体重と生存率とが、2日目の2日前から19日目の安楽死まで毎日記録される。
【0098】
結腸の炎症に対する製品の効果を評価する為に、実験の安楽死で様々なパラメーターが監視される。疾患活動性指数(DAI:Disease Activity Index)は、マウスにおける大腸炎の重症度を判断する為に使用される単純なスコアリングシステムである。これは、体重の変化、便の硬さ、及び糞便中の血液の存在の評価に基づいて計算される。簡単に言えば、DAIは、標準的なスコアリングシステムに従って、プロトコルを知らされていない研究者によって評価された。体重(BW:Body weight)、便の硬さ(0~3のスコア、0=正常、1=軟便、2=下痢、3=水っぽい下痢、及び目に見える血液の存在(マウスの直腸)が毎日記録された。
【0099】
安楽死では、潜血(OB:Occult Blood)の存在は、ヘモカルト法(hemoccult method)を使用して記録される。BWの損失は下記の通りにスコア付けされる;0、体重減少なし;1、ベースラインから<10%の体重減少;2、>10%。便の一貫性については、十分に形成されたペレットについて0のスコア、肛門に付着しないペースト状又は半形成の便について1のスコア、肛門に付着する液体便について2のスコアが割り当てられた。OBについて、血液がない場合はスコア0が割り当てられ、OBが陽性の場合又は大量の出血がある場合は1が割り当てられる。これらのスコアが合計される。
【0100】
マウスが頸椎脱臼によって屠殺され、そして腹腔が開かれる。結腸と小腸とが取り除かれる。結腸の長さを測定され、秤量されて、結腸の重量/長さの比を計算する。
【0101】
得られた結果が、図1図3に示されている。
【0102】
該結果は、棒グラフの形態で表示されている。
【0103】
全ての比較は、2つの独立したサンプルについての並び替え検定(Permutation Test)を使用して分析され、最も強力な統計検定は、少数のサンプルに適合される。統計は、StatXactソフトウェア(Cytel Inc,ケンブリッジ,マサチューセッツ州,米国)を使用して計算される。該比較は、DSSグループ対照に対して実行される。
【0104】
図1を考察すると、本発明に従うF.プラウスニッツイ株単独で又はPentasa(登録商標)単独でのいずれかで処置されていないDSSマウス又は処置されたDSSマウスで得られた結果の間で、DAIについて統計的差異が観察されないことが分かる。反対に、本発明の会合物がDSSマウスに投与される場合に、観察されたDAI結果は、処置されていないDSSマウスのものと比較して統計的に減少する。
【0105】
同じことが、図3に示されている結腸の重量/長さの結果にも当てはまる。
【0106】
図2に示され且つ糞便中の血液の存在に関する結果に関して、処置されていないDSSマウスにおいて得られた結果とPentasa(登録商標)のみで処置されたDSSマウスで得られた結果との間に統計的な差は見られないことがわかる。単独で使用される本発明に従うF.プラウスニッツイ株は、DSSマウスにおける潜血の減少においてわずかな効果を示すが(処置されていないDSSマウスにおける潜血の存在の約0.9から約0.6への減少)、DSSマウスに投与された本発明の会合物で得られた結果は有意に高い(処置されていないDSSマウスにおける潜血の存在の約0.9から約0.2に減少)。
【0107】
従って、炎症性胃腸疾患の処置におけるF.プラウスニッツイCNCM I-4573株とPentasa(登録商標)との会合物の相乗効果が、本発明者等によって予想外にも実証された。
図1
図2
図3