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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20250121BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B65D1/02 210
B65D77/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022546761
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2020033157
(87)【国際公開番号】W WO2022049649
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】小山 愛理
(72)【発明者】
【氏名】尾花 敬和
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-213854(JP,A)
【文献】特開2014-227197(JP,A)
【文献】特開2014-005074(JP,A)
【文献】特開2019-099186(JP,A)
【文献】特開2012-076760(JP,A)
【文献】実開平07-026370(JP,U)
【文献】実開平06-078274(JP,U)
【文献】特開2020-006981(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器に収容されるレフィル容器であって、
有底筒状で、上面中央に中央孔が形成された肩部を有するボトル本体と、
前記ボトル本体の前記肩部の中央孔の縁部から上方に立設する口部と、
前記口部の外周面から外側に広がり、前記肩部から離間しているフランジと、を有しており、
前記ボトル本体と、前記口部と、前記フランジは、樹脂で一体的に形成されており、
前記フランジは、少なくとも一部が上面視で前記肩部よりも大きく、当該レフィル容器が前記外容器に収容された状態で、前記フランジが前記外容器に対して固定される
レフィル容器と、
前記レフィル容器を収容する、有底筒状の外容器と、
前記レフィル容器の前記フランジの上面を上から押さえ、前記口部の上部が挿通される貫通孔が形成された、環状押さえ部材と、を備え、
前記レフィル容器の前記フランジの下面と、前記外容器の外壁の上端との間に配置される筒状締結部を有し、
前記環状押さえ部材と、前記筒状締結部の上端とで、前記レフィル容器の前記フランジを上下から挟んだ状態で、前記環状押さえ部材と前記筒状締結部とが係合され、
前記フランジには、レフィル側固定部が設けられ、
前記筒状締結部の上端にはフランジ受け部が設けられ、
前記外容器に対して位置が規制された前記筒状締結部の前記フランジ受け部が、前記フランジの前記レフィル側固定部と係合することで、前記レフィル容器が、前記筒状締結部を介して前記外容器に固定して保持される、
二重容器。
【請求項2】
前記レフィル容器の前記フランジには、前記レフィル側固定部として、下面の外縁周辺に下側に突出する1つ以上のリブが設けられており、
前記筒状締結部の上端には、前記フランジ受け部として、1つ以上の溝部が設けられており、
前記フランジの前記1つ以上のリブが、前記筒状締結部の前記1つ以上の溝部に嵌まりこむことで、前記筒状締結部に対して前記レフィル容器の回転及び位置が規制される、
請求項に記載の二重容器。
【請求項3】
組み立て状態において、前記レフィル容器の前記口部の、前記環状押さえ部材の前記貫通孔よりも上方に伸び出す部分を、上側及び外周側から覆うことができる、キャップをさらに備える
請求項1又は2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記外容器は、ガラスで構成される
請求項1乃至のいずれか一項に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、容器の製造方法、及び該容器を含む二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が充填された内容器を、高価な外装容器に交換可能に装填し、内容物を使いきると、内容物が充填されている新しい内容器(レフィル容器)に交換して、外装容器を繰り返し使用する、二重容器が知られている。
【0003】
このようなレフィル容器の一例として、特許文献1では、外容器との係合を容易にするため、フランジ付きの内容器が提案されている。
【0004】
ここで、引用文献1の内容器では、図1に示すように、フランジ(鍔部)Fがボトルとくっついており、この構成を実現するために、図2図3に示すように、フランジFもボトルと共にブロー成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開平11-301732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図2図3に示すように、図1の内容器に設けられるフランジFがブロー成型だとフランジFの成形の精度が低く、図1のように内容器を外容器と嵌め合わせる際に、フランジFの部分で位置ズレが発生するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、外容器との係合に使用可能な、フランジの成形の精度を向上させることができる、容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の容器は、
有底筒状で、上面中央に中央孔が形成された肩部を有するボトル本体と、
前記ボトル本体の前記肩部の中央孔の縁部から上方に立設する口部と、
前記口部の外周面から外側に広がり、前記肩部から離間しているフランジと、を有しており、
前記ボトル本体と、前記口部と、前記フランジは、樹脂で一体的に形成されており、
前記フランジは、少なくとも一部が上面視で前記肩部よりも大きい。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、容器において、外容器との係合に使用可能な、フランジの成形の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来例に係る内容器を含む二重容器の説明図。
図2】従来例に係る内容器の製造フローチャート。
図3】従来例に係る内容器の製造工程の説明図。
図4】本発明に係る容器の一例の外観図。
図5】本発明に係る容器の断面斜視図。
図6】本発明に係る容器の製造フローチャート。
図7】本発明に係る容器の製造工程の説明図。
図8】本発明の第1実施形態に係る二重容器の説明図。
図9】第1実施形態に係る二重容器の分解図。
図10】第1実施形態に係る二重容器の内容器と外容器の係合の説明図。
図11】第1実施形態に係る二重容器の環状押さえ部材と外容器の係合の説明図。
図12】第1実施形態に係る二重容器の内容器の口部と、中栓と、キャップの係合の説明図。
図13】本発明の第1実施形態の二重容器のキャップをディスペンサーにした場合の分解図。
図14】本発明の第2実施形態に係る二重容器の分解図。
図15】第2実施形態に係る二重容器の内容器と外容器の係合の説明図。
図16】本発明の第2実施形態の変形例に係る二重容器の分解図。
図17】本発明の第3実施形態に係る二重容器の説明図。
図18】第3実施形態に係る二重容器の分解透過図。
図19】第3実施形態に係る二重容器の内容器と筒状締結部の係合の説明図。
図20】第3実施形態に係る二重容器の環状押さえ部材と、筒状締結部と、外容器の係合の説明図。
図21】本発明の第4実施形態に係る二重容器の説明図。
図22】第4実施形態に係る二重容器の分解透過図。
図23】第4実施形態に係る二重容器の筒状締結部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
本発明は、容器、容器の製造方法、及び該容器を含む二重容器に関する。容器は、樹脂製の、自立可能な容器である。二重容器の外容器は、ガラス、木材、樹脂、シリコン、金属等で構成される。
【0013】
本発明の二重容器の外容器で保持される内容器に納められる内容物は、化粧料、香水、洗剤、調味料、等の1回使い切りではなく、何回かに分けて使用される液体又は粉体物質である。
【0014】
<内容器>
図4は、本発明に係る容器1の一例の外観図である。図5は、本発明に係る容器1の断面斜視図である。本発明に係る容器1は、単体で使用されてもよいし、あるいは後述する二重容器の内容器(レフィル容器)として使用されてもよい。
【0015】
図4、5で示すように、本発明に係る容器1は、ボトル本体10と、口部14と、フランジ17と、を有している。
【0016】
ボトル本体(ボトル部、収容部ともいう)10は、底部11及び胴部12を有する有底筒状で、上面中央に中央孔O1が形成された肩部13を有している。
【0017】
口部14は、ボトル本体10の肩部13の中央孔O1の縁部から上方に立設している起立筒部15であり、口部14の起立筒部15の外周にはネジ突起16が形成されている。
【0018】
フランジ(鍔部)17は、口部14の外周面から外側に広がる環状の部材である。本構成ではフランジ17では、平板のリング板18の下面に、リブ19が設けられている。
【0019】
また、本発明の容器1では、フランジ17は、口部14において、ネジ突起16よりも下側に位置し、ボトル本体10の肩部13から上方に離間している。そして、フランジ17は、上面視で肩部13よりも少なくとも一部が大きい。図4、5ではフランジ17は、全体が、上面視で肩部13よりも大きい場合が示されている。
【0020】
本発明の容器1において、ボトル本体10と、口部14と、フランジ17は、樹脂で一体的に形成されている。この容器1の、樹脂による成形方法を下記説明する。
【0021】
<容器の製造方法>
図6図7を用いて、図4の容器の製造方法(成形方法)について説明する。図5は、本発明に係る容器1の製造フローチャートである。図6は、本発明に係る容器1の製造工程の説明図である。
【0022】
ステップS1で、口部14のネジ突起16、フランジ17、収縮状態の有底ボトル部を有する有底パリソン(プリフォーム)を成形する(図7(a)参照)。有底パリソンの成形は、射出成形(インジェクション成形)で行う。詳しくは、膨張前の有底筒状のボトル本体と、該膨張前のボトル本体の外形と略同一の外径を有し、ボトル本体の上端と連接する、ネジ突起16が形成された筒状の口部14と、該口部14の外周面から外側に広がるフランジ17とを、樹脂で一体的にインジェクション成形する。
【0023】
コールドパリソン方式の場合は、S1の後、時間が経過することで有底パリソンが冷却され(ステップS2)、プリフォームした有底パリソンを、ブロー金型へ移動する直前に再加熱する(ステップS3)。ホットパリソン方式の場合は、インジェクション直後にブローをするため、図6の点線で示すS2、S3の冷却、再加熱の工程を経ずに、S1の後にすぐにS4のブロー金型への移動工程へ進む。
【0024】
ステップS4で、プリフォームした有底パリソンを、ブロー金型へ移動する(図7(b))。
【0025】
ステップS5で、金型を閉じて、有底パリソンを、挟み込む(図7(c))。ここで使用される金型は、挟み込んだ状態でネジ突起16が形成された口部14及びフランジ17に対しては密着し、ボトルを収容する部分は、この時点では密着せず、完成版のボトル本体10の形状に沿う形状となっている。
【0026】
この際、ボトル本体10の広がりが、上面視でフランジ17の外形よりも小さくなるように、金型が構成されている。例えば、図5のように、フランジ17が円環リング状であり、ボトル本体10が有底円筒状の場合は、肩部13の外径が、フランジ17の外径よりも小さくなるように金型が設定されている。なお、フランジ17の形状は円環リング状に限られず、多角形状や突起状などの他の形状の場合でも、フランジ17の少なくとも一部が、ボトル本体10の広がりよりも大きくなるように、即ち図7(d)のように縦断面図で示す場合に、フランジ17の一部が肩部13よりも横方向に長くなるように、金型形状が設定されていればよい。
【0027】
ステップS6で、有底パリソンで一番下に位置する収縮状態の有底筒状のボトル本体に空気を注入することで、収縮状態のボトル本体をブロー成型して膨らんだボトル形状にする、ブロー工程を行う(図7(d))。詳しくは、圧縮エアーを、口部14の中央孔O1を通って膨張前のボトル本体の内部に吹き込むことで、フランジ17から離間して肩部13が形成されるように膨張させて、図4のようなボトル本体10を形成する。
【0028】
上記の金型で成形された、ブロー成形後のボトル本体10の肩部13は、上面視でフランジ17の外形よりも小さくなる。
【0029】
上記のように形成された容器1は、単体で使用されてもよいが、下記のように二重容器内の内容器(レフィル容器)として使用されてもよい。
【0030】
<第1実施形態(二重容器)>
図8図12を用いて、本発明の容器が含まれる、第1実施形態の二重容器について説明する。
【0031】
まず、図8図9を用いて二重容器の概略構成について説明する。図8は、本発明の第1実施形態に係る二重容器の説明図である。詳しくは、図8は二重容器の半断面図であり、左側は外観図、右側は断面図を示している。図9は、図8の第1実施形態に係る二重容器の分解図である。
【0032】
図8図9に示すように、本実施形態に係る二重容器100は、主要部として、内容器1と、外容器2と、環状押さえ部材3を有する。また、二重容器100の付属部として中栓5と、キャップ6を有している。
【0033】
二重容器100の内側のレフィル容器である内容器1は、上述の図4図5とほぼ同様の構成である。そのため、内容器1は、上記と同様のボトル本体10と、口部14と、フランジ17と、を有しており、ボトル本体10と、口部14と、フランジ17は、樹脂で一体的に形成されている。
【0034】
内容器1は、上述のように樹脂で構成される。内容器1を構成する樹脂は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBS)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、生分解性樹脂等の樹脂で構成される。
【0035】
外容器2は、内容器(レフィル容器)1を収容する、有底筒状の自立可能な容器であり、二重容器の外側の容器である。外容器2は、底部21(図11(b)参照)、外壁22、フランジ受け部23、及び外側係合部26を備えている。
【0036】
本発明の外容器2は、ガラス、木材、樹脂、シリコン、金属等で構成される。樹脂の場合は、例えば、上記の内容器1同様に、PP、PE、ABS、PBS、POM、PET、もしくはポリエステル系樹脂や、生分解性の樹脂等の樹脂で構成される。木材の場合、例えば、杉、ヒノキ、パインなどの針葉樹の木材、及び、ナラ、ウォールナット、ブラックチェリー、オルダー、ラバーウッドなどの広葉樹の木材、さらに、竹も含む。
【0037】
環状押さえ部材3は、フランジ17及び肩部13の上方をカバーする上方カバーであって、内容器1のフランジ17の上面を上から押さえ、内容器1の口部14の上部が挿通される貫通孔O3が形成された部材である。環状押さえ部材3は、PP、PE、ABS、PBS、POM、PET、もしくはポリエステル系樹脂や、生分解性の樹脂等の樹脂で構成される。
【0038】
中栓5は、口部14に対して適量の排出量の排出口を設定する排出量調整部である。中栓5は弾力のあるゴム、又は樹脂(例えば、PP、PE)で形成される。
【0039】
キャップ6は、内容器1の口部14の、環状押さえ部材3の上方に露出する部分を覆う、口部カバーである。キャップ6は、PP、PE、ABS、PBS、POM、PET、もしくはポリエステル系樹脂や、生分解性の樹脂等の樹脂で構成される。
【0040】
また、本構成における内容器1においても、フランジ17は、上面視で少なくとも一部が肩部13よりも大きい。この構成により当該レフィル容器である内容器1が外容器2に収容された状態で、フランジ17が外容器2に対して固定される。
【0041】
なお、フランジ17が少なくとも一部が上面視で肩部13より大きい例として、本例では、円環状及び多角形環状のように、フランジのすべてが肩部より大きい例を示すが、フランジが線状又は棘状の外側に張り出す突起であってもよく、その場合も、その突起部分のみが、上面視で大きく、その他の部分が上面視で肩部より小さくてもよい。即ち、「フランジは、少なくとも上面視で前記肩部よりも大きい」とは、肩部のすべてにおいて大きい場合と、肩部の一部において大きく、他の部分において同じ大きさか小さい場合が含まれる。
【0042】
本実施形態では、図8に示すように、環状押さえ部材3の上面31と、外容器2の外壁22の上端とで、内容器1の、いずれの形状のフランジ17を上下から挟んだ状態で、環状押さえ部材3と外容器2とが係合されている。
【0043】
さらに、内容器1のフランジ17は、全部又は一部の、上面視でボトルの肩部13よりも外側に張り出した部分が、内容器1が外容器2に収容される際の、固定部となるとともに、内容器1の外容器2に対する回転止めとなる。これらの部材の構造と係合の詳細については、後述の図10図12とともに説明する。
【0044】
ここで、図9の分解図に示すように、内容器1及び中栓5で構成される内容物収容容器Xは、筐体部Yである外容器2、環状押さえ部材3、及びキャップ6に対して、内容物とともに交換可能な(外して差し替え可能な)レフィルである。
【0045】
レフィルとなる内容物収容容器Xは、本構成例では、内容器1と、中栓5を備えている。その場合、流通段階ではキャップ6とは別の仮キャップを、口部14と係合させていてもよい。あるいは、キャップ6も、内容器1と中栓5とともに、外容器2と、環状押さえ部材3に対して交換可能なレフィルとしてもよい。
【0046】
一方、筐体部Yは、少なくとも、外容器2と環状押さえ部材3を有する。筐体部Yは、レフィル交換後も、再利用される。なおキャップ6も、筐体部Yとしてもよい。このように分解可能な二重容器100では、少なくとも外容器2と環状押さえ部材3を含む筐体部Yに対して、本体側の少なくとも内容器1と中栓5は、内容物とともに交換可能なレフィルにすることができる。即ち、空になった内容物収容容器Xを、同じ形状の新品のレフィルに付け替えて交換し、筐体部Yを繰り返し使用することができる。
【0047】
次に、図10図12を用いて、第1実施形態に係る二重容器100の各部材の構成及び係合について説明する。図10は、第1実施形態に係る二重容器100の内容器1と外容器2の係合についての説明図である。図10において、(a)は内容器1の下面斜視図であり、(b)は外容器2の上面斜視図である。
【0048】
本実施形態では、図8に示すように、環状押さえ部材3の上面31と、外容器2の外壁22の上端とで、内容器1のフランジ17を上下から挟んだ状態で、環状押さえ部材3と外容器2とが係合される。
【0049】
そのため、内容器1のフランジ17は、レフィル側固定部19を有しており、上記係合をするため、外容器2の外壁22の上端にはフランジ受け部23が設けられている。そして、フランジ17のレフィル側固定部19と、外容器2のフランジ受け部23とが係合することで、外容器2がレフィルとなる内容器1を固定して保持する。
【0050】
詳しくは、本実施形態では、図10(a)に示すように、内容器1のフランジ17には、レフィル側固定部として、リング板18の下面の外縁周辺に下側に突出する複数のリブ19が設けられている。
【0051】
また、図10(b)に示すように、外容器2の外壁22の上端のフランジ受け部23として、複数の溝部25が形成された内側リング24が設けられている。
【0052】
本実施形態では、フランジ17の複数のリブ19が、外容器2の複数の溝部25に嵌まりこむことで、外容器2に対して内容器1の回転及び位置が規制される。
【0053】
なお、図10(a)では、フランジ17に設けられる複数のリブ19として、4つ(一つ不図示)がリング板18の下面に設けられる例を示しているが、回転及び位置規制のための固定部としてのリブ19は、1つ以上であれば数は問わない。また、複数のリブ19は、フランジ17のフランジ受け部23に対する回転を規制するため、円周方向とは異なる、リング板18の半径方向に延伸している。
【0054】
また、図10(b)では、フランジ受け部23における複数の溝部25として、12つの溝部25が設けられる例を示したが、溝部25の数は、1つ以上であって、複数のリブ19の数と同数又は倍数であれば他の数であってもよい。フランジ17のリブ19の数に対して、フランジ受け部23の複数の溝部25の数をその倍数として、より多く設けると、組み立ての際、使用者はより少ない回転角度で、溝部25とリブ19とを嵌め合わせることができる。
【0055】
図11は、第1実施形態に係る二重容器100の環状押さえ部材3と外容器2の係合の説明図である。
【0056】
本実施形態では、上述の図8に示すように、環状押さえ部材3の上面31と、外容器2の外壁22の上端とで、内容器1のフランジ17を上下から挟んだ状態で、環状押さえ部材3と外容器2とが係合される。
【0057】
そのため、図11(b)に示すように、外容器2には、環状押さえ部材3との係合部として、外壁22の上端周辺に、外側係合部26が設けられ、その外側面には螺旋ネジ突起28が設けられている。さらに、図8に示すように、二重容器100の組み立て状態において、外容器2の環状押さえ部材3の周壁32が略同一面上にくるように、外容器2の外壁22の上端は、上端薄肉部27となっている。
【0058】
一方、図11(a)に示すように、環状押さえ部材3には、外容器2との係合部として、周壁32の内周面に、螺旋ネジ突起33が設けられている。
【0059】
そして、環状押さえ部材3の上面31の下側面と、外容器2の外壁22の上端付近のフランジ受け部23とで、内容器1のフランジ17を上下から挟んだ状態で、外容器2の外壁22の上端の外側面の螺旋ネジ突起28と、環状押さえ部材3の周壁32の螺旋ネジ突起33とを係合させることで、内容器1を固定しながら、外容器2と環状押さえ部材3とが係合する。
【0060】
このようにレフィル装着時に、螺合係合して、一度組み立てた後は、通常の使用時では、環状押さえ部材3と外容器2は係合状態を維持し、分解されない。
【0061】
なお、図11では、外容器2と環状押さえ部材3とは、螺合係合によって係合する構成を示したが、外容器2と環状押さえ部材3とは、例えば乗り越え突起を乗り越えさせる嵌めあい方式や、他の方式によって、係合させてもよい。
【0062】
いずれの方法を用いても、キャップ6を内容器1の口部14に対して着脱する際に、使用者が、外容器2の外壁22とキャップ6を把持して、外壁22とキャップ6とを相対的に回転させた際に、外壁22に対して環状押さえ部材3が供回りしない程度に、環状押さえ部材3と外容器2は回転が規制されて係合されていると好適である。
【0063】
ただし、キャップ6が、内容器1の口部14に対して、螺合等の回転以外の方法、例えば、かぶせるだけ、押上方式などの場合は、外容器2と環状押さえ部材3とは回転が規制されて係合される必要はなく、上下方向のみ規制し、回転が規制されない係合方式(図16参照)であってもよい。
【0064】
本発明では、内容器1のフランジ17は肩部13よりも外側に飛び出した形状であって、肩部13から離間しているので、二重容器100の組み立てでは、内容器1のフランジ17を上下から接合して挟んだ状態で、環状押さえ部材3と外容器2とが係合することができるため、外容器2の上端側はそれほど複雑な形状を必要としない。そのため加工が難しいガラス容器を、二重容器100の外容器2として採用することができる。
【0065】
図12は、第1実施形態に係る二重容器100の、内容器1の口部14と、中栓5と、キャップ6の係合の説明図である。図12において(a)は、環状押さえ部材3を嵌めた状態の内容器1と、中栓5と、キャップ6の上面斜視図であり、(b)は中栓5と、キャップ6の下面斜視図である。
【0066】
中栓5は、内容器1の口部14の上端に嵌めこまれて、吐出量を調整する部材である。中栓5は、上面を有する二重筒形状であって、上面の上壁51と、外側側面である外周壁53と、内側側面である内周壁54を有する。
【0067】
中栓5の上壁51の中央部には、上下方向に貫通する孔部O5が形成されている。孔部O5周囲は、孔部O5に向かってすり鉢状(漏斗状)に凹み、上壁51において環状に上方に隆起している、突き当て突起52が形成されている。
【0068】
内容器1の口部14の起立筒部15の上端部は、外側が薄い上端薄肉部151となっている。中栓5を口部14に装着する際、中栓5の弾力のある外周壁53と、内周壁54との間に、口部14の上端薄肉部151が押し込まれて挟み込まれることで、中栓5が、口部14の貫通孔である中央孔O1を覆うように密着嵌合する。中栓5が口部14に嵌合した状態では、中栓5の孔部O5が、二重容器100の吐出口になる。
【0069】
なお、図12(a)及び図12(b)は、組み立て状態では実際には存在しない状態であって、位置関係の説明のための分解図である。二重容器100の販売前、又はレフィル容器の販売前の段階で、中栓5は内容器1の口部14の上端に嵌め込まれて、内容物収容容器Xになる。
【0070】
その後、内容物収容容器Xと筐体部Yとの組み立てにおいて、口部が嵌め込まれた内容器を、外容器に装着した後、環状押さえ部材3を、外容器2に対して図11のように取り付ける。
【0071】
図12(a)では、位置関係を説明するために外容器2を示していないが、内容器1、外容器2及び環状押さえ部材3を組み立てた状態では、フランジ17の上側面が環状押さえ部材3の上面31の下側面に当接して、上面31の貫通孔O3の内側から、内容器1の口部14が飛び出した状態になる。この口部14の、環状押さえ部材3の上面31の貫通孔O3の上に飛び出した部分を覆うように、キャップ6が装着される。
【0072】
キャップ6は、内容器1の口部14及び中栓5に密閉嵌合可能に着脱して、口部14の環状押さえ部材3の貫通孔O3よりも上方に伸び出す部分を、上側及び外周側から覆う口部カバーである。
【0073】
キャップ6は、天井壁61と、外側壁63とで構成されている。天井壁61の下面の中心には、突起状のボス(栓部、密封突起、シール部ともいう)62が下向きに突出するように設けられている。外側壁63の内周面には、螺旋ネジ突起64が設けられている。
【0074】
キャップ6を口部14に装着すると、キャップ6のボス62が、中栓5の孔部O5に挿入した際に、打栓構造となり、キャップ6が口部14を密封して嵌合する。
【0075】
図12では、口部14の上端に中栓5が係合される例を説明したが、中栓5は設けられていなくてもよい。例えば、1回あたりの使用量が多かったり、粘度が高い内容物を排出する場合、口部14の起立筒部15の上端の中央孔O1から内容物を直接排出してもよい。あるいは、内容器1の成形の段階で、適度な大きさの孔が形成されたリング状の上面を設けることで、中栓5を設けずとも調整された量で、口部14から直接内容物を、排出する構成であってもよい。
【0076】
さらに、図12では、内容器1の口部14とキャップ6とが、螺合係合する構成について示したが、内容器1の口部14とキャップ6とは螺合係合でなくてもよい。例えば、突起の乗り越えによる嵌めあわせ構造や、磁力を用いた係合構成であってもよい。
【0077】
または、螺合係合するキャップがヒンジキャップであってもよい。ヒンジキャップの場合、上面又は上面の一部がヒンジによってキャップ筒部に対して開閉可能であり、キャップ筒部が口部14と係合した状態で、排出口を開閉可能である。
【0078】
なお、図10のような、回転及び位置の規制の機構は、キャップ6を口部14に対して回転して開閉する際に、供回りすることを防ぐために設けられている。そのため、口部14に対するキャップ6の係合が螺合係合でない場合や、ヒンジキャップのようにキャップが使用の都度回転しない構成の場合は、フランジ17はフランジ受け部23に対して位置だけ規制されればよいため、リブや溝のような、回転止め機能は有していなくてもよい。
【0079】
(ディスペンサーの例)
上記図8図12では、二重容器100の排出調整部として中栓5を設け、口部カバーとして、口部14と係合するキャップ6を設ける例を説明したが、中栓5及びキャップ6に代えて、ディスペンサー7を設けてもよい。
【0080】
図13は第1実施形態のキャップを、ディスペンサーにした場合の分解図である。本構成では、キャップ6及び中栓5を、ディスペンサー7に代えた以外は、上述と同様の構成である。
【0081】
ディスペンサー7は、口部14を覆う筒部73と、吸引チューブ72と、プッシュ部75とを有している、二段筒形状である。プッシュ部75は大径側の筒部73の上端の天井リング71に対して押し込み可能に形成されている。プッシュ部75には、内容物を排出する排出孔76が形成されている。また、図示していないが、筒部73の内周面には、図12(b)のキャップ6の内周面のように、口部14のネジ突起16と係合が可能なネジ突起が設けられている。
【0082】
さらに、図示していないが、ディスペンサー7の筒部73の内側及びプッシュ部75の内部には、定量を吸い上げて吐出する定量吐出機構が設けられている。プッシュ部75を天井リング71に対して押し込むと、吸引チューブ72によって、内容器1内の内容物が定量吸い上げられて、排出孔76から排出される。
【0083】
また、本構成において、図示はしていないが、ディスペンサー7の上部にあるプッシュ部75を覆うような外側キャップをさらに設けてもよい。
【0084】
本構成では、レフィルとなる内容物収容容器Xαとして、内容器1を備えている。その場合、流通段階ではディスペンサー7とは別の仮キャップを、口部14と係合させていてもよい。あるいは、ディスペンサー7も、内容器1とともに、外容器2と、環状押さえ部材3に対して交換可能なレフィルとしてもよい。
【0085】
一方、筐体部Yαは、少なくとも、外容器2と環状押さえ部材3を有する。筐体部Yαは、レフィル交換後も、再利用される。なおディスペンサー7も、繰り返し使用可能な筐体部Yα側の部材としてもよい。
【0086】
なお、図12に示すディスペンサー7は組み立て時に内容器1の口部14に対して螺合係合するが、組み立て後は、ディスペンサー7は使用時に都度口部14に対して回転しない。そのため、ディスペンサー7を装着する構成では、フランジ17はフランジ受け部23に対して位置だけ規制されればよいため、図10に示すリブや溝のような、回転止め機能は有していなくてもよい。
【0087】
<第2実施形態>
次に、図14図15を用いて、本発明の容器が含まれる、第2実施形態の二重容器200について説明する。
【0088】
図14は、本発明の第2実施形態に係る二重容器200の分解透過図である。本実施形態の二重容器200は、第1実施形態と比較して、内容器1Aのフランジ17Aの形状と、外容器2Aのフランジ受け部23Aの形状とが異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様のため、相違点のみ、下記説明する。
【0089】
図15は、図14の第2実施形態に係る二重容器200の内容器1Aと外容器2Aの係合の説明図である。図15において、(a)は、内容器1Aの上面斜視図であり、(b)は、外容器2Aの上面斜視図である。
【0090】
本実施形態においても、環状押さえ部材3の上面31と、外容器2Aの外壁22の上端のフランジ受け部23Aとで、内容器1Aのレフィル側固定部であるフランジ17Aを上下から挟んだ状態で、環状押さえ部材3と外容器2Aとが係合される。
【0091】
本実施形態では、図15(a)に示すように、内容器1Aのフランジ17Aは上面視で外形が多角形状であることでレフィル側固定部となる。そのため、フランジ17Aは、孔あき多角形板18Aで形成され、リブは設けられていない。
【0092】
一方、図15(b)に示すように、外容器2Aの外壁22の上端のフランジ受け部23Aとして、多角形状筒部25Aが上側に形成された内側突き当てリング24Aが設けられている。
【0093】
本実施形態では、フランジ17Aの多角形状の孔あき多角形板18Aの外形が、外容器2Aの外壁22の上端の多角形状筒部25Aに嵌まりこむことで、外容器2Aに対して内容器1Aの回転及び位置が規制される。また、フランジ17Aの多角形状の孔あき多角形板18Aの外形が、多角形状筒部25Aに嵌まりこんだ状態では、孔あき多角形板18Aの下面の外縁周辺が、内側突き当てリング24Aによって保持される。
【0094】
本実施形態の二重容器200では、外容器2Aにおいて、内容器1との係合部であるフランジ受け部23Aが、溝部25よりも比較的シンプルな形状で構成されている。そのため、外容器2Aをガラスで成形する場合でも、外容器2A側に細かい溝部を設けなくてもよく、フランジ受け部23Aの加工部分が大きい形状であるため、外容器2A全体の強度をより強くすることができる。
【0095】
なお、図15ではフランジ17Aの多角形状の外形例として、八角形である例を示したが、フランジ17Aの外形形状は、三角形、四角形等の他の多角形状であってもよい。また、本構成のフランジ17Aでは角が尖った多角形の例を示したが、本係合構成として、回転が規制できれば、角が丸い多角形形状であってもよい。さらに、フランジ受け部23A側の形状を工夫することで、フランジ17Aの形状は、五芒星、六芒星などの多芒星形状であってもよい。
【0096】
<第2実施形態の変形例>
図16は、本発明の第2実施形態に係る変形例の二重容器200βの分解図である。図16の示す二重容器200βは、内容器1βと外容器2βとの係合は、第2実施形態同様の多角形状の係合を使用するが、内容器1βの口部14よりも下のボトル本体10β、外容器2βの外形、及び環状押さえ部材3βの側面形状、即ち全ての部材の胴部が、角型である点が異なる。
【0097】
また、これらの部材の側面形状が角型であるため、外容器2βと環状押さえ部材3βとの係合が螺合係合などの回転を規制する係合でなくても、四角筒同士の嵌め合いによって回転が規制される。そのため、キャップ6が内容器1βの口部14に対して着脱の際に回転する場合であっても、上下方向の係合部である簡易な抜け止め突起28βだけで円周方向における特別な係合なしで、内容器1βに対して、外容器2βと環状押さえ部材3βが供回りすることなく、外容器2βを把持しながら、キャップ6を着脱することができる。
【0098】
なお、図16では、内容器1βの口部14よりも下のボトル本体10β、外容器2βの外形、及び環状押さえ部材3βの側面形状という部材の胴部の上面形状が四角形である例を示したが、回転止めのための係合を有さない、本変形例の他の構成例として、部材の胴部は上面形状で、円形を除く、三角形、五角形、等の多角形や、五芒星、六芒星などの多芒星形状、あるいは楕円や長円形状であってもよい。
【0099】
<第3実施形態>
次に、図17図20を用いて、本発明の容器が含まれる、第3実施形態の二重容器300について説明する。
【0100】
まず、図17図18を用いて二重容器300の概略構成について説明する。図17は、本発明の第3実施形態に係る二重容器300の説明図である。詳しくは、図17は二重容器300の半断面図であり、左側は外観図、右側は断面図を示している。図18は、第3実施形態に係る二重容器300の分解透過図である。
【0101】
本実施形態に係る二重容器300は、主要部として、内容器1と、外容器2Bと、環状押さえ部材3に加えて、筒状締結部4を有する。また、二重容器300の付属部として中栓5と、キャップ6を有している。
【0102】
図18に示すように、本実施形態に含まれる筒状締結部4は、筒状の締結用の部材であって、内容器1のフランジ17の下面と、外容器2の外壁の上端との間に配置される、リングカバーである。そして、図17に示すように、環状押さえ部材3と、筒状締結部4の上端とで、内容器1のフランジ17を上下から挟んだ状態で、環状押さえ部材3と筒状締結部4とが係合される。
【0103】
また、筒状締結部4は、PP、PE、ABS、PBS、POM、PET、もしくはポリエステル系樹脂や、生分解性の樹脂等の樹脂、又は弾力のあるゴム等で構成される。
【0104】
本実施形態では、筐体部YBは、少なくとも、外容器2Bと、環状押さえ部材3と、筒状締結部4を有する。筐体部YBは、レフィル交換後も、再利用される。なおキャップ6は、筐体部YBとしてもよいし、あるいはレフィルとしてもよい。分解可能な本実施形態の係る二重容器300では、少なくとも外容器2と環状押さえ部材3と筒状締結部4を含む筐体部Yに対して、本体側の少なくとも内容器1と中栓5は、内容物とともに交換可能なレフィルにすることができる。即ち、空になった内容物収容容器Xを、同じ形状の新品のレフィルに付け替えて交換し、筒状締結部4を含む筐体部YBを繰り返し使用することができる。
【0105】
また、本実施形態では、図17図18に示すように、筒状締結部4は、上下で外周筒40の外径は等しく、組み立て状態において、環状押さえ部材3の周壁32は、筒状締結部4の外周全体を覆っている。
【0106】
次に、図19図20を用いて、第3実施形態に係る二重容器300の筒状締結部4の構成および他の部材との係合について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成及び形状については説明を割愛する。
【0107】
図19は、第3実施形態に係る二重容器300の、内容器1と筒状締結部4の係合の説明図である。図19において、(a)は、内容器1の下面斜視図であり、(b)は、筒状締結部4の上面斜視図である。
【0108】
図17で示したように、本実施形態では、内容器1のフランジ17は、環状押さえ部材3の上面31の下面と、筒状締結部4の上端との間に挟まれる。そのため、内容器1のフランジ17には、レフィル側固定部が設けられ、筒状締結部4の上端には、フランジ固定部が設けられる。
【0109】
詳しくは、図19(a)に示すように、本実施形態の内容器1のフランジ17には、第1実施形態と同様に、レフィル側固定部として、リング板18の下面の外縁周辺に下側に突出する複数のリブ19が設けられている。
【0110】
一方、図19(b)に示すように、本実施形態の筒状締結部4では、外周筒40の上端のフランジ受け部41として、複数の溝部43が形成された内側リング42が設けられている。
【0111】
本実施形態では、図19(a)の内容器1のフランジ17の複数のリブ19が、図19(b)に示す筒状締結部4のフランジ受け部41の複数の溝部43に嵌まりこむことで、筒状締結部4に対して内容器1の回転及び位置が規制される。
【0112】
なお、図19(a)では、フランジ17に設けられる複数のリブ19として、4つ(一つ不図示)がリング板18の下面に設けられる例を示しているが、回転及び位置規制のための固定部としての複数のリブ19は、1つ以上であれば数は問わない。また、図19(b)では、フランジ受け部41における複数の溝部43として、多数の溝部43が設けられる例を示したが、複数の溝部43の数は、1つ以上であってリブ19の数と同数又は倍数であれば他の数であってもよい。フランジ17のリブ19の数に対して、フランジ受け部41の溝部43の数をその倍数として、より多く設けると、組み立ての際、使用者はより少ない回転角度で、溝部43とリブ19とを嵌め合わせることができる。
【0113】
図20は、第3実施形態に係る二重容器300の、環状押さえ部材3と、筒状締結部4と、外容器2Bの係合の説明図である。図20において、(a)は環状押さえ部材3及び筒状締結部4の下面斜視図であり、(b)は、外容器2Bの上面斜視図である。
【0114】
本実施形態では、図18に示すように、環状押さえ部材3の上面31と、筒状締結部4の上端とで、内容器1のフランジ17を上下から挟んだ状態で、環状押さえ部材3と筒状締結部4とが係合される。
【0115】
そのため、図20(a)に示すように、筒状締結部4には、環状押さえ部材3との係合部として、外周筒40の外周に、環状押さえ部材3との係合部として螺旋ネジ突起45が設けられている。一方、環状押さえ部材3には、筒状締結部4との係合部として、周壁32の内周面には、螺旋ネジ突起33が設けられている。
【0116】
そして、図18のように環状押さえ部材3の上面31と、筒状締結部4の外周筒40の上端付近のフランジ受け部41とで、内容器1のフランジ17を上下から挟んだ状態で、筒状締結部4の外周筒40の外側面の螺旋ネジ突起45が、環状押さえ部材3の周壁32の螺旋ネジ突起33とを、係合させることで、内容器1を固定しながら、筒状締結部4と環状押さえ部材3とが、係合する。
【0117】
このようにレフィル装着時に、螺合係合して、一度組み立てた後は、通常の使用時では、環状押さえ部材3と筒状締結部4は係合状態を維持し、分解されない。
【0118】
また、図19(b)、図20(a)に示すように、筒状締結部4は、外容器2Bとの係合部として、内側リング42の内周縁から垂下する内周筒44と、外周筒40の内側面に上下に伸びる複数の帯状突起46が設けられている。
【0119】
一方、図20(b)に示すように、外容器2Bでは、外壁22の上端は薄肉部221となっており、薄肉部221には、筒状締結部4との係合部(締結部受け部)として、帯状溝部29が形成されている。
【0120】
そして、筒状締結部4の帯状突起46を、外容器2Bの帯状溝部29に嵌め込むようにして回転方向の相対移動を規制しながら、筒状締結部4を、外容器2Bに対して上下方向に離れないように位置を規制する。筒状締結部4の、外容器2Bに対する上下方向の位置規制方法として、(1)アンダーカット嵌合式、(2)接着式、及び(3)弾力嵌め込み式が考えられる。
【0121】
(1)アンダーカット嵌合式で位置規制する場合は、外容器2Bの薄肉部221の外周面に、円周に沿って伸びる環状突条又は断続的な線状突条、あるいは2つ以上のポッチ状の凸部を設け、筒状締結部4の外周筒40の内周面の下端に2つ以上の凸部、環状突条、又は断続的な線状突条等のアンダーカットを設ける。そして、係合の際、押し込みにより筒状締結部4側の凸部(又は突条)が、外容器2Bの突条(又は凸部)を乗り越えることにより、筒状締結部4が、外容器2Bに対して上下方向に離れないように位置が規制されて、筒状締結部4と外容器2Bとが係合する。
【0122】
(2)接着式で位置規制する場合は、帯状突起46を帯状溝部29に嵌め込むようにして、外容器2Bの薄肉部221と、薄肉部221を挟み込む筒状締結部4の外周筒40の内周面と内周筒44の外周面とを、接着剤で接着することで、筒状締結部4と外容器2Bとを固定する。なお、(2)、(3)の方式で、筒状締結部4は外容器2Bに固定される場合は、固定後は、レフィル交換時も外容器2Bから離れないことを前提としている。
【0123】
(3)弾力嵌め込み式で位置規制する場合は、筒状締結部4を弾力のあるゴム等で構成して、筒状締結部4の外周筒40と内周筒44の間に、外容器2Bの薄肉部221を押し込んで挟み込むことで、筒状締結部4が外容器2Bに固定されて、上下方向の位置を規制する。
【0124】
このように外容器2Bに対して円周方向及び上下方向に位置が規制された筒状締結部4において、複数の溝部43がフランジ17Aのレフィル側固定部であるリブ19と係合することで、内容器1は、筒状締結部4を介して、外容器2Bに固定されて保持される。
【0125】
なお、図20(a)では、筒状締結部4と環状押さえ部材3とは、螺合係合によって係合する構成を示したが、筒状締結部4と環状押さえ部材3とは、例えば乗り越え突起を乗り越えさせる嵌めあい方式や、他の方式によって、係合させてもよい。
【0126】
いずれの方法を用いても、キャップ6を内容器1の口部14に対して着脱する際に、使用者が、外容器2Bの外壁22とキャップ6を把持して、外壁22Bとキャップ6とを相対的に回転させた際に、外壁22に対して環状押さえ部材3が供回りしない程度に、環状押さえ部材3と、筒状締結部4と、外容器2Bは回転が規制されて係合されていると好適である。
【0127】
ただし、キャップ6が、内容器1の口部14に対して、螺合等の回転以外の方法、例えば、かぶせるだけ、押上方式、ヒンジキャップなどの場合は、外容器2Bと環状押さえ部材3とは回転が規制されて係合される必要はなく、上下方向のみ規制し、回転が規制されない係合方式(図16参照)であってもよい。
【0128】
本実施形態では、二重容器300において、筒状締結部4を設けることで、複雑な形状であるフランジ受け部や、螺旋ネジ突起を、外容器2Bではなく、筒状締結部4側に設けることができる。そのため、外容器2Bを例えばガラスで成形する場合でも、外容器2Bに壊れやすい細かい部分を設けなくてもよいため、外容器2B全体の強度をより強くすることができる。
【0129】
(変形例)
本実施形態では、図19に示したフランジと、フランジを下側から回転を規制する筒状締結部のフランジ受け部の係合の部分は、図10に示したフランジと、外容器のフランジ受け部と同様の係合方法について説明したが、筒状締結部を有する二重容器の変形例として、第2実施形態の図15のように、多角形と多角筒を用いた係合構成であってもよい。
【0130】
即ち、内容器のフランジは上面視で外形が多角形状であり、筒状締結部4の外周筒40の上端のフランジ受け部は、多角筒形状であり、フランジの多角形状の外形が、筒状締結部の筒部の上端の多角筒形状に嵌まりこむことで、内容器の外容器に対する回転が規制される。
【0131】
<第4実施形態>
次に、図21図23を用いて、本発明の容器が含まれる、第4実施形態の二重容器400について説明する。
【0132】
まず、図21図22を用いて二重容器400の概略構成について説明する。図21は、本発明の第4実施形態に係る二重容器400の説明図である。詳しくは、図21は二重容器400の半断面図であり、左側は外観図、右側は断面図を示している。図22は、第4実施形態に係る二重容器400の分解透過図である。
【0133】
本実施形態では、部材の構成要素は、第3実施形態と同様であるが、筒状締結部4Cの形状が、第3実施形態の筒状締結部4とは異なる。
【0134】
本実施形態では、筒状締結部4Cは、外側筒部として、上部小径筒47と、該上部小径筒47よりも径が大きい下部大径筒48とを有している。そして、図22に示す組み立て状態において、環状押さえ部材3の周壁32は、筒状締結部4Cの上部小径筒47の外周を覆っており、筒状締結部4Cの下部大径筒48は外側に露出している。
【0135】
下記、図21図23を用いて、本実施形態の筒状締結部4Cの構成について説明する。図23は、第4実施形態に係る二重容器400の筒状締結部4Cの説明図である。図23において、(a)は筒状締結部4Cの上面斜視図であり、(b)は筒状締結部4Cの下面斜視図である。
【0136】
図23(a)を参照して、本実施形態の筒状締結部4Cでは、上部小径筒47の、内側面の上部にはフランジ受け部41Cが設けられており、外側面には螺旋ネジ突起45Cが設けられている。また、フランジ受け部41Cは、リング42Cと、リング42Cに形成された複数の溝部43を含んでおり、リング42Cの内周縁からは、内周筒44Cが垂下している。
【0137】
図23(b)を参照して、下部大径筒48の内側面の下部には、外容器2Cと係合するうるための、帯状突起46Cが設けられている。即ち、本実施形態では、筒状締結部4Cの帯状突起46Cは、下部大径筒48の内側面のみに設けられ、上部小径筒47には設けられていない。そのため、筒状締結部4Cでは、上部小径筒47の螺旋ネジ突起45Cと、上部大径筒48Cとは、横方向において、重複しない領域に設けられている。
【0138】
そのため、筒状締結部4Cを形成する場合、螺旋ネジ突起45Cと、帯状突起46Cとを同一の筒部に形成しない構成では、同一の筒部の内外に横方向で重複する領域に形成する筒状締結部4の構成よりも、下部大径筒48、上部小径筒47ともに筒を細くできる。
【0139】
これにより、本実施形態の筒状締結部4Cを使用する二重容器400では、二重容器400全体において、外容器2C及び内容器1Cのボトル本体の側面形状の径を、第3実施形態よりも細くすることができる。
【0140】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0141】
1,1β,1A,1C 容器(内容器、レフィル容器)
2,2β,2B,2C 外容器
3,3β,3A 環状押さえ部材
4,4C 筒状締結部
5 中栓
6 キャップ
7 ディスペンサー
10,10β ボトル本体(ボトル部、収容部)
11 底部
12 胴部
13 肩部
14 口部
15 起立筒部
16 螺旋ネジ突起
17,17A フランジ(鍔部)
18 リング板
18A 孔あき多角形板(レフィル側固定部)
19 複数のリブ(1つ以上のリブ、レフィル側固定部)
21 底部
22 外壁
23,23A フランジ受け部
24 内側リング
24A 内側突き当てリング
25 複数の溝部(1つ以上の溝部、フランジ受け部)
25A 多角形状筒部
26,6A 外側係合部
27,27B 上端薄肉部
28 螺旋ネジ突起
29 帯状溝部(締結部受け部)
31 上面
32 周壁
33 螺旋ネジ突起
40 外周筒
41 フランジ受け部
42 内側リング
43 複数の溝部(1つ以上の溝部、フランジ受け部)
44 内周筒
45 螺旋ネジ突起
46 帯状突起
100,100α 二重容器
200,200β 二重容器
300 二重容器
400 二重容器
O1 内容器の孔(中央孔)
O2 外容器の開口部
O3 環状押さえ部材の孔
O5 中栓の孔部
X,Xα 内容物収容容器(レフィル)
Y,Yα,YB 筐体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23