(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】取り外し可能部分義歯
(51)【国際特許分類】
A61C 13/277 20060101AFI20250121BHJP
A61C 13/225 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A61C13/277
A61C13/225
(21)【出願番号】P 2022558318
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2021057725
(87)【国際公開番号】W WO2021191344
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521402398
【氏名又は名称】エクソキャド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハマー ヴィンセント マイケル
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0147036(US,A1)
【文献】特表2019-507635(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125573(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007381(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0086899(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0219490(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0317261(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0296305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/277
A61C 13/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットであって、1つ以上の交換歯並びに1つ以上の保持部を有するフレームワークを有しており、
前記保持部の各々は、1つ以上の前記交換歯を収納および保持するように構成されており、
前記交換歯の各々は、第一表面構造体を有する底面を有しており、前記第一表面構造体は、各交換歯を収納するように構成された前記フレームワークの保持部の1つによって提供される割り当て済みの補足的な第一保持構造体に係合するように構成されており、
前記第一表面構造体の各々は、割り当て済みの補足的な前記第一保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する前記交換歯と各割り当て済みの補足的な第一保持構造体を有する前記保持部との間に、第一非破壊的取り外し可能直接接触を提供するものであり、
前記アセンブリセットは、1つ以上の上部人工歯肉部分を含む1つ以上の人工歯肉部分を更に含み、
前記フレームワークの1つ以上の前記保持部は、1つ以上の
前記上部人工歯肉部分を収納および保持するように更に構成さ
れ、
前記上部人工歯肉部分の各々は、前記保持部の1つに配置されるように構成され、1つ以上の貫通穴を有するものであり、前記貫通穴の各々は、各交換歯の底面の表面構造体が各保持部の割り当て済みの補足的な前記第一保持構造体に係合するように、前記交換歯の1つを収納するように構成されるものである
アセンブリセット。
【請求項2】
請求項1記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の前記第一表面構造体の各々は、各第一表面構造体を有する前記交換歯の底面から突出する1つ以上の第一突起を有しており、1つ以上の第一保持構造体の各々は、前記1つ以上の第一突起を収納する1つ以上の第一収納部分を有しており、前記第一突起の各々は、前記第一非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第一突起を収納するように構成された前記第一収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置されるものであるアセンブリセット。
【請求項3】
請求項2記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の整列済み第一収納部分の各々は、前記第一非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、前記交換歯と前記保持部との間に追加の第一永久的接続を提供するため、前記整列および収納された第一突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成されるものであるアセンブリセット。
【請求項4】
請求項1記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第一保持構造体の各々は、各第一保持構造体を有する前記保持部から突出する1つ以上の第一突起を有しており、1つ以上の前記第一表面構造体の各々は、前記1つ以上の第一突起を収納するための1つ以上の第一収納部分を有しており、前記第一突起の各々は、前記第一非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第一突起を収納するように構成された前記第一収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置されるものであるアセンブリセット。
【請求項5】
請求項
1記載のアセンブリセットにおいて、前記上部人工歯肉部分の各々は、割り当て済みの補足的な第二保持構造体に係合するように構成された第二表面構造体を有する底面を更に有しており、割り当て済みの補足的な前記第二保持構造体は、前記フレームワークの保持部であって、各上部人工歯肉部分がその上に配置されるように構成される保持部によって提供されるものであり、各第二表面構造体は、割り当て済みの補足的な前記第二保持構造体と組み合わされることにより、各第二表面構造体を有する前記上部人工歯肉部分と各割り当て済みの補足的な第二保持構造体を有する保持部との間に、第二非破壊的取り外し可能直接接続を提供するものであるアセンブリセット。
【請求項6】
請求項
5記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の前記第二表面構造体は、各第二表面構造体を有する前記上部人工歯肉部分の底面から突出する1つ以上の第二突起を有しており、1つ以上の第二保持構造体の各々は、前記1つ以上の第二突起を収納するための1つ以上の第二収納部分を有しており、前記第二突起の各々は、前記第二非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第二突起を収納するように構成された前記第二収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置されるものであるアセンブリセット。
【請求項7】
請求項
6記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の整列済み第二収納部分の各々は、前記第二非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、前記上部人工歯肉部分と前記保持部との間に追加の第二永久的接続を提供するため、前記整列および収納された第二突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成されるものであるアセンブリセット。
【請求項8】
請求項
6記載のアセンブリセットにおいて、前記保持部の各々に関して、各保持部の前記1つ以上の第一保持構造体および各保持部の前記1つ以上の第二保持構造体は、前記1つ以上の交換歯の下に各保持部によって支えられ、前記1つ以上の上部人工歯肉部分の下に各保持部上に配置されるように延伸する構成になった共通の保持構造体によって提供されるものであるアセンブリセット。
【請求項9】
請求項
5記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第二保持構造体の各々は、各第二保持構造体を有する前記保持部から突出する1つ以上の第二突起を有しており、1つ以上の前記第二表面構造体の各々は、前記1つ以上の第二突起を収納する1つ以上の第二収納部分を有しており、前記第二突起の各々は、前記第二非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第二突起を収納するように構成された前記第二収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置されるものであるアセンブリセット。
【請求項10】
請求項
1記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の上部人工歯肉は、前記フレームワークの保持部であって、各上部人工歯肉部分がその上に配置されるように構成される保持部を越えて横方向に延伸する1つ以上の側部を有しており、前記側部の各々は、患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成された底面を有するものであるアセンブリセット。
【請求項11】
請求項
1記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の前記人工歯肉部分は1つ以上の下部人工歯肉部分を更に有しており、前記下部人工歯肉部分の各々は、保持部分の1つと患者の天然歯肉との間に配置されるように構成されており、前記下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有しており、前記底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されており、前記上面は、割り当て済みの補足的な第三保持構造体に係合するように構成された第三表面構造体を有しており、割り当て済みの補足的な前記第三保持構造体は、前記フレームワークの保持部であって、その下に各下部人工歯肉部分が配置されるように構成されている保持部によって提供されるものであり、各第三表面構造体は、割り当て済みの補足的な前記第三保持構造体と組み合わされることにより、各第三表面構造体を有する前記下部人工歯肉部分と各割り当て済みの補足的な第三保持構造体を有する保持部分との間に、第三非破壊的取り外し可能直接接続を提供するものであるアセンブリセット。
【請求項12】
請求項
11記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の前記第三表面構造体の各々は、各第三表面構造体を有する前記下部人工歯肉部分の上面から突出する1つ以上の第三突起を有し、1つ以上の第三保持構造体の各々は、前記1つ以上の第三突起を収納する1つ以上の第三収納部分を有しており、前記第三突起の各々は、前記第三非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第三突起を収納するように構成された前記第三収納部分のうちの1つの各位置に整列された位置に配置されるものであるアセンブリセット。
【請求項13】
請求項
12記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の整列済み第三収納部分の各々は、前記第三非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、前記下部人工歯肉部分と前記保持部との間に追加の第三永久的接続を提供するため、前記整列および収納された第三突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成されるものであるアセンブリセット。
【請求項14】
請求項
13記載のアセンブリセットにおいて、前記保持部の各々に関して、各保持部の前記1つ以上の第一保持構造体および各保持部の前記1つ以上の第三保持構造体は、前記1つ以上の交換歯の下に各保持部によって収納され、各保持部の下の前記1つ以上の下部人工歯肉部分上に配置されるように延伸する構成になった同一の保持構造体によって提供されるものであるアセンブリセット。
【請求項15】
請求項
11記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第三保持構造体の各々は、各第三保持構造体を有する前記保持部から突出する1つ以上の第三突起を有しており、1つ以上の前記第三表面構造体の各々は、前記1つ以上の第三突起を収納する1つ以上の第三収納部分を有しており、前記第三突起の各々は、前記第三非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第三突起を収納するように構成された前記第三収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置されるものであるアセンブリセット。
【請求項16】
患者用取り外し可能部分義歯であって、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有し、
前記保持部の各々は、1つ以上の前記交換歯を収納および保持するように構成されており、
前記上部人工歯肉部分の各々は、前記保持部の1つに配置され1つ以上の貫通穴を有しており、
前記交換歯の1つは前記貫通穴の各々に配置されており、
前記交換歯の各々は、第一表面構造体を有する底面を有しており、前記第一表面構造体は、各交換歯を収納するように構成された前記フレームワークの保持部の1つによって提供される割り当て済みの補足的な第一保持構造体に係合しており、
前記第一表面構造体の各々は、割り当て済みの補足的な第一保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する前記交換歯と割り当て済みの補足的な第一保持構造体を有する前記保持部との間に、非破壊的取り外し可能直接接触を形成しており、
前記下部人工歯肉部分の各々は、前記保持部の1つと患者の天然歯肉との間に配置されるように構成されており、
前記下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有しており、
前記底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されており、
前記上面は、割り当て済みの補足的な更なる保持構造体に係合する更なる表面構造体を有しており、割り当て済みの補足的な前記更なる保持構造体は、前記フレームワークの保持部であって、その下に各下部人工歯肉部分が配置される保持部によって提供されるものであり、
各更なる表面構造体は、割り当て済みの補足的な更なる保持構造体と組み合わされることにより、各更なる表面構造体を有する前記下部人工歯肉部分と各割り当て済みの補足的な更なる保持構造体を有する保持部分との間に、更なる非破壊的取り外し可能直接接続を形成するものである
取り外し可能部分義歯。
【請求項17】
患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するためのコンピュータシステムであって、プロセッサと、マシン実行可能プログラム命令を記憶するメモリとを有し、前記プロセッサによるプログラム命令の実行により、前記プロセッサは、
アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程と、
1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルを提供する工程であって、前記人工歯肉部分の各々は上面および底面を有し、前記底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する工程と、
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、前記1つ以上の人工歯肉部分の各々を分割する工程と、
1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルを生成する工程であって、前記保持部は、少なくとも前記1つ以上の交換歯および前記下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する工程と、
前記1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび前記下部人工歯肉部分のデジタルモデルから前記フレームワークのデジタルモデルを減算する工程であって、前記フレームワークの保持部の1つによって提供される前記保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体を生成し、前記フレームワークの保持部の1つによって提供される前記保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する工程とを実行するように前記コンピュータシステムを制御するものである
コンピュータシステム。
【請求項18】
コンピュータプログラム製品であって、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するため、コンピュータ読み取り可能プログラムコードを組み込んだ不揮発性コンピュータ読み取り可能記憶媒体を有しており、前記構築する工程は、
アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程と、
1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルを提供する工程であって、前記人工歯肉部分の各々は上面および底面を有し、前記底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する工程と、
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、前記1つ以上の人工歯肉部分の各々を分割する工程と、
1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルを生成する工程であって、前記保持部は、少なくとも前記1つ以上の交換歯および前記下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する工程と、
前記1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび前記下部人工歯肉部分のデジタルモデルから前記フレームワークのデジタルモデルを減算する工程であって、前記フレームワークの保持部の1つによって提供される前記保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体を生成し、前記フレームワークの保持部の1つによって提供される前記保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する工程とを有するものである
コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築する方法であって、
アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程と、
1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルを提供する工程であって、前記人工歯肉部分の各々は上面および底面を有し、前記底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する工程と、
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、前記1つ以上の人工歯肉部分の各々を分割する工程と、
1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルを生成する工程であって、前記保持部は、少なくとも前記1つ以上の交換歯および前記下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する工程と、
前記1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび前記下部人工歯肉部分のデジタルモデルから前記フレームワークのデジタルモデルを減算する工程であって、前記フレームワークの保持部の1つによって提供される前記保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体を生成し、前記フレームワークの保持部の1つによって提供される前記保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する工程とを有するものである
方法。
【請求項20】
患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを組み立てる方法であって、前記アセンブリセットは、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有し、
前記方法は、
前記上部人工歯肉部分の各々を前記保持部の1つに配置する工程であって、前記上部人工歯肉部分の各々は1つ以上の貫通穴を有する工程と、
各交換歯を収納および保持するように構成されたフレームワークの前記保持部の1つの割り当て済みの補足的な保持構造体に係合する各交換歯の底部に表面構造体を有する前記交換歯の1つを前記貫通穴の各々に配置する工程であって、各表面構造体は、割り当て済みの補足的な保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する前記交換歯と各割り当て済みの補足的な保持構造体を有する前記保持部との間に非破壊的取り外し可能直接接続を形成する工程と、
前記保持部の1つの下に前記下部人工歯肉部分の各々を配置する工程であって、前記下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有しており、前記底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されており、前記上面は、割り当て済みの補足的な更なる保持構造体に係合する更なる表面構造体を有しており、割り当て済みの補足的な更なる保持構造体は、前記フレームワークの保持部であって、その下に各下部人工歯肉部分が配置される保持部によって提供されるものであり、各更なる表面構造体は、割り当て済みの補足的な更なる保持構造体と組み合わされることにより、各更なる表面構造体を有する前記下部人工歯肉部分と各割り当て済みの補足的な更なる保持構造体を有する保持部分との間に、更なる非破壊的取り外し可能直接接続を提供するものである工程とを有するものである
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能部分歯のアセンブリセット、取り外し可能部分義歯、斯かるアセンブリセットを構築するためのコンピュータシステム、斯かるアセンブリセットを構築するためのコンピュータプログラム製品並びに斯かるアセンブリセットを構築するための方法、および斯かるアセンブリセットを組み立てるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
取り外し可能部分義歯は、口腔内に配置されたり口腔から取り除かれたりするように構成された義歯のことである。機能的および/または美学的理由から失った歯を補うように意図されたものである。斯かる部分義歯は、交換歯用の人工歯肉を提供するベースに取り付けられた1つ以上の交換歯を通常有している。人工歯肉は、口腔内に配置されたり口から取り除かれたりするように、患者の口腔の自然な幾何学的形状に適合するように、並びに使用時(例えば、咀嚼時に)十分な安定性を与え構造的一体化を維持するように意図されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された取り外し可能部分義歯並びに斯かる改善された取り外し可能部分義歯用のコンピュータシステム、コンピュータプログラム製品、および方法を提供するのが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様において、本発明は、患者の取り外し可能部分義歯用アセンブリセットに関している。アセンブリセットは、1つ以上の交換歯並びに1つ以上の保持部を持つフレームワークを有する。各保持部は、1つ以上の交換歯を収納および保持するように構成されている。各交換歯は第一表面構造体を持つ底面を有しており、当該第一表面構造体は、各交換歯を収納するように構成されたフレームワークの保持部の1つによって提供される割り当て済み補足的第一保持構造体に係合するように構成されている。各第一表面構造体は、割り当て済み補足的第一保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する交換歯と各割り当て済み補足的保持構造体を有する保持部との間に、第一非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0005】
実施形態は、フレームワークの保持部が、各非破壊的取り外し可能直接接続を通して交換歯を収納および保持できるという特長を有していてもよい。従って、交換歯はフレームワーク(すなわちフレームワークの保持部)に取り付けられ、当該保持部が交換歯を支持および所定位置に保持するものであってもよい。所定位置はフレームワークに対して画定されてもよい。交換歯の1つに欠損または欠陥が生じた場合、それはフレームワークから取り外され、別の交換歯で置き換えられてもよい。各保持部は義歯床を提供するものであってもよい。
【0006】
フレームワークは、取り外し可能部分義歯に安定感を与え、構造的一体化を保証するものであってもよい。従って、フレームワークは部分義歯の義歯床を提供するものであってもよい。斯かる目的のため、フレームワークは、部分義歯が例えば患者の口腔内に配置される際に、その構造的一体化を保証するのに十分な安定性を提供する素材製であってもよい。フレームワークは例えば金属製であってもよい。
【0007】
フレームワークは、交換歯を収納および保持する以外にも、人工歯肉部分に支持を提供するような構成に更になっていてもよい。フレームワークは、人工歯肉部分を収納および保持するように構成された保持部を有していてもよい。
【0008】
更に、フレームワークは、取り外し可能部分義歯を患者の残りの義歯、例えば1つ以上の残りの歯、あるいは人工アバットメント(例えば、インプラントに取り付けられたアバットメント)に取り外し可能部分義歯を接続するため、1つ以上の直接維持装置を有していてもよい。直接維持装置は、例えばレスト、クラスプ、または入れ子を有していてもよい。入れ子式フィッティングは、例えば、インプラントに取り付けられたアバットメントに適合するように構成されていてもよい。フレームワークは、支持用デンタルバーに適合するように構成されていてもよい。フレームワークは、1つ以上の大コネクタおよび/または小コネクタを更に有していてもよい。フレームワークは、オフセット(例えば、ライザーおよびリリーフ)を更に有していてもよい。フレームワークの種々の構成要素、例えばオフセット(例えば、ライザーおよびリリーフ)、コネクタ(例えば、大コネクタおよび/または小コネクタ)、および支持構成要素(例えば、誘導面、レスト、およびクラスプ)が、交換歯を収納および保持するように構成されたフレームワークの1つ以上の保持部に接続されていてもよい。
【0009】
大コネクタは、患者の歯列弓の種々の側に配置された取り外し可能部分義歯要素間にリンクを提供する、取り外し可能部分義歯の要素である。斯かる大コネクタは、例えば、リンガルバー、サブリンガルバー、プリリンガルバー、リンガルプレート、バカルバー、連続クラスプ、口蓋板、口蓋スプーン板、口蓋バー、コの字型口蓋バーなどの形態で提供されてもよい。小コネクタは、大コネクタまたは取り外し可能部分義歯の義歯床と取り外し可能部分義歯の他の要素との間にリンクを提供する、取り外し可能部分義歯の要素である。直接維持装置またはスタビライザーは、取り外し可能部分義歯をアバットメント歯または他の種類のアバットメントに接続する、取り外し可能部分義歯の要素である。口腔内の取り外し可能部分義歯を保持し安定化させるものであってもよい。直接維持装置またはスタビライザーは、アバットメント(例えばアバットメント歯)を部分的に取り囲むまたはそれに接触するものであってもよい。義歯床は、交換歯にベースを提供する取り外し可能部分義歯の要素である。
【0010】
取り外し可能部分義歯は、失った歯用に1つ以上の交換歯を提供する、部分的に歯を失った患者用の義歯である。取り外し可能部分義歯は、機能的および/または美学的理由で使用されてもよい。取り外し可能とは、専門医の援助なしに患者が取り外し可能部分義歯を取り外したり再挿入したりできることを意味している。
【0011】
取り外し可能部分義歯の構造的一体化はフレームワークにより提供されるものであり、フレームワークは交換歯を目的の位置に保持するのに十分な支持を更に提供するものであるという特長を、実施形態は有する。例えば、アセンブリセットの追加の人工歯肉部分は、取り外し可能部分義歯の構造的一体化に寄与するようにも交換歯の保持に寄与するようにも要求されていなくてよい。追加の人工歯肉部分は、むしろ患者の口腔の自然な外見、自然な感じ、および/または正確な適合にマッチするように構成されていてもよい。従って、人工歯肉部分には、より自然な素材、例えばソフトでより柔軟性のある素材が使用されてもよい。
【0012】
表面構造体および補足的保持構造体は正確な適合位置、すなわち交換歯がフレームワークに正確に適合する位置を見つけるのに役立つという特長を、実施形態は有する。交換歯が人工歯肉部分によって提供される貫通穴に配置される場合、表面構造体および補足的保持構造体は、貫通穴に位置する交換歯の正確な位置を見つけるのに役立つものであってもよい。表面構造体および補足的保持構造体は、正確な適合位置を見つけるための誘導を行ってもよい。例えば、表面構造体および補足的保持構造体のペアは、所定位置に相対的に調整され非破壊的取り外し可能直接接続が確立できる場合にのみマッチするように構成されていてもよい。
【0013】
実施形態は、アセンブリセットの形態で提供される部分義歯の不完全性を容易に対処できるという特長を有している。斯かる部分義歯に欠陥がある場合、例えば歯科医によって患者に提供された義歯が患者の顎に不正確にしかマッチしない場合、あるいは不十分な咬合しか提供しない場合、斯かる欠陥は、欠陥を示す部分を欠陥のない交換部分で置き換えることにより容易に修正されてもよい。反対に、不正確部分の非破壊的交換を可能にする非破壊的取り外し可能接続なしに最終製品として提供された部分義歯は、更なる調整の可能性を僅かしか提供しないかもしれない。例えば、取り外し可能部分義歯の全ての部分が既に糊付けされており、破壊しなければ取り外しできないような接続が確立されている場合などがそうである。斯かる場合には、例えば歯科医によって患者に提供される最終製品は、更なる調整の必要なしに患者に完璧に適合しているものと推定されなければならないであろう。適合が不十分であることが分かったら、その部分義歯は新しい義歯で全て置き換えられねばならないであろう。新しい部分義歯を提供するということは、患者の口腔のスキャン処理並びに部分義歯の型取りおよび生成を反復しなければならないことを意味する。実施形態は、斯かる欠点を回避し、例えば接着剤を用いて永久的な接続によって各部分を最終的に接着する前に、非破壊的取り外し可能接続を用いるアセンブリセットの形態で提供される部分義歯を組み立てその適合性を試みる可能性を提供できるであろう。
【0014】
例えば、アセンブリセットの個々の部分が提供され、組み立てられ、試験される。試験が満足できるものである場合、例えば接着剤を用いて斯かる部分は永久的に接続されるであろう。斯かるやり方は、患者の口腔のスキャンデータの具体的な再生成なしに、例えば患者の顎の歯型/石膏モデルの必要性なしに、アセンブリセットの生成および試験を可能にするという特長を有するであろう。患者の口腔のスキャンデータはむしろコンピュータシステムに提供され、患者の顎(複数も可)のデジタルモデルが提供されてもよい。斯かる患者の顎(複数も可)のデジタルモデルは、アセンブリセット形態の取り外し可能部分義歯のデジタルモデルの生成に使用できるであろう。取り外し可能部分義歯のデジタルモデルの異なる部分が、例えば3D印刷などの完全自動プロセスにより全て生成できるであろう。生成されたアセンブリセットは、試験用に患者の顎の人工的再生成を必要とすることなく、直接患者の口腔内で組み立てたり試験したりできるであろう。
【0015】
例えば接着により各部分を永久的に接続することなく、組み立てられた取り外し可能部分義歯を患者の口腔内で試験する目的でアセンブリセットの各部分を接続してもよい。部分義歯は、例えば患者の実際の咬合状態に正確に適合させるため、1つ以上の交換歯を置き換えることにより調整できる。従って、部分義歯全体の交換を必要とする代わりに、部分義歯の部分的交換が可能となるであろう。
【0016】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第一表面構造体の各々は、各第一表面構造体を有する交換歯の底面から突出する1つ以上の第一突起を有する。1つ以上の第一保持構造体の各々は、1つ以上の第一突起を収納するための1つ以上の第一収納部分を有する。第一突起の各々は、第一非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第一突起を収納するように構成された第一収納部分の1つの位置に整列する位置に配置される。
【0017】
交換歯とフレームワークとの間の第一非破壊的取り外し可能直接接続は、第一突起を第一収納部分に挿入することにより確立できるという特長を、実施形態は有する。保持部分は、第一突起を第一収納部分に収納することにより交換歯を収納できる。
【0018】
1つの実施形態によれば、第一突起の各々は、整列済み第一収納部分の形状にマッチする周囲形状を有する。第一突起は、円形、楕円形、または多角形(例えば正方形、長方形)の断面を有していてもよい。第一収納部分はマッチする断面を有していてもよい。1つの実施形態によれば、突起は細長い尾根状またはレール形状を有していてもよく、収納部分はそれにマッチする細長い孔または切れ目の形状を有していてもよい。実施形態によれば、第一突起は同一断面を有していてもよい。実施形態によれば、第一突起の断面は、形状および/または大きさの面で様々であってよい。
【0019】
1つの実施形態によれば、細長い孔または切れ目形状の1つ以上の第一収納部分は、複数の隣接した交換歯の下に延伸していてもよい。隣接した交換歯は、当該隣接した交換歯の底面を横切って延伸するマッチした細長い尾根状またはレール状の1つ以上の第一突起を有する、接続およびブリッジされた交換歯セットとして提供されてもよい。隣接した交換歯は、強度および組み立て速度の増大を可能にするユニットとして取り付けられるという特長を実施形態は有する。
【0020】
1つの実施形態によれば、第一収納部分は、保持部分内へ延伸するブラインドホールの形状で提供される。1つの実施形態によれば、第一収納部分は、保持部分を通過して延伸する貫通穴の形状で提供される。1つの実施形態によれば、保持部を通過して延伸する貫通穴は、個々のメッシュを提供する各貫通穴と共にメッシュ構造体を形成する。
【0021】
1つの実施形態によれば、1つ以上の整列済み第一収納部分の各々は、第一非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、交換歯と保持部との間に追加の第一永久的接続を提供するため、整列および収納された第一突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成されている。非破壊的取り外し可能直接接続に加えて、交換歯と保持部との間に永久接続が提供されるという特長を実施形態は有する。整列および収納された第一突起の先端のフリースペースを充填することにより、非破壊的取り外し可能直接接続は永久的接続に変換される。非破壊的取り外し可能直接接続は、交換歯をフレームワークに接続し、適合が適切か否かを検査するのに使用できる。斯かる検査が成功すれば、結合を強化するため、永久接続が確立されてもよい。
【0022】
1つの実施形態によれば、交換歯の底面および/または保持構造体は、交換歯と保持部との間に追加の第一永久接続を提供するため、接着剤を受け取るための複数の追加の凹部を有する。接着剤は凹部で集積および硬化し、交換歯と保持部との間に更に強力な結合を形成するという特長を実施形態は有する。
【0023】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第一保持構造体の各々は、各第一保持構造体を有する保持部から突出する1つ以上の第一突起を有している。1つ以上の第一表面構造体の各々は、1つ以上の第一突起を収納するための1つ以上の第一収納部分を有している。第一突起の各々は、第一非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第一突起を収納するように構成された第一収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0024】
第一突起を第一収納部分に挿入することにより、交換歯とフレームワークとの間に第一非破壊的取り外し可能直接接続が確立できるという特長を、実施形態は有してもよい。第一突起を第一収納部分に挿入することにより、保持部は交換歯を収納できる。
【0025】
1つの実施形態によれば、第一突起の各々は、整列済み第一収納部分の形状にマッチする周囲形状を有する。第一突起は、円形、楕円形、または多角形(例えば正方形、長方形)の断面を有していてもよい。第一収納部分はマッチする断面を有していてもよい。1つの実施形態によれば、突起は細長い尾根状またはレール形状を有していてもよく、収納部分はそれにマッチする細長い孔または切れ目の形状を有していてもよい。実施形態によれば、第一突起は同一断面を有していてもよい。実施形態によれば、第一突起の断面は、形状および/または大きさの面で様々であってよい。
【0026】
1つの実施形態によれば、細長い尾根状またはレール形状の1つ以上の第一突起部分は、複数の隣接した交換歯の下に延伸していてもよい。隣接した交換歯は、当該隣接した交換歯の底面を横切って延伸するマッチした細長い孔または切り目形状の1つ以上の第一収納部分を有する、接続およびブリッジされた交換歯セットとして提供されてもよい。隣接した交換歯は、強度および組み立て速度の増大を可能にするユニットとして取り付けられるという特長を実施形態は有する。
【0027】
1つの実施形態によれば、第一収納部分は、交換歯の方へ延伸するブラインドホールの形状で提供される。
【0028】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第一表面構造体の各々は、1つ以上の第一突起および1つ以上の第一収納部分を有する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第一保持部の各々は、1つ以上の第一突起および1つ以上の第一収納部分を有する。第一交換歯と保持部との間で相互に第一非破壊的取り外し可能直接接続が強化されるという特長を、実施形態は有してもよい。接着剤が追加適用されると、当該接着剤が適用される結合部分の表面積が増大し、接着が改善される。
【0029】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第一突起は円筒形状または多面形状(例えば、立方体や直方体)を有する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第一突起の周囲は、各第一突起のベースから各第一突起の先端に向けて減少する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第一突起は、各第一突起のベースから各第一突起の先端に向けて先細りとなる。1つの実施形態によれば、1つ以上の第一突起は、錐台(例えば、円錐台または角錐台)の形状を有する。1つの実施形態によれば、各第一突起のベースの周囲形状は、整列済み第一収納部分の形状(すなわち、整列済み第一収納部分の入口の形状)に一致する。
【0030】
1つの実施形態によれば、アセンブリセットは1つ以上の上部人工歯肉部分を更に有しており、上部人工歯肉部分の各々は、保持部の1つに配置されるように構成され、1つ以上の貫通穴を有するものである。貫通穴の各々は、各交換歯の底面の表面構造体が各保持部の割り当て済み補足的保持構造体に係合するように、交換歯の1つを収納する構成にされる。実施形態は、上部人工歯肉部分が交換歯に人工歯肉を提供するという特長を有するものである。従って、取り外し可能部分義歯は、例えば、明白な視覚的混乱なしに患者の残りの義歯に適合できる。
【0031】
貫通穴は、第一非破壊的取り外し可能直接接続が、上部人工歯肉部分の貫通穴内に配置された交換歯とフレームワークとの間に確立されるのを可能にする。1つの実施形態によれば、上部人工歯肉部分の1つ以上の貫通穴は、各々単一の交換歯を収納するように構成されている。1つの実施形態によれば、上部人工歯肉部分の1つ以上の貫通穴は、各々複数の交換歯を収納するように構成されている。
【0032】
上部人工歯肉部分は、交換歯を保持するための保持部を避けつつフレームワークの少なくとも一部を覆ってもよい。斯かる目的のため、上部人工歯肉部分は、交換歯が貫通穴に配置された場合に、当該交換歯が保持部に直接接続されるのを可能にする貫通穴を有していてもよい。
【0033】
上部人工歯肉部分は、取り外し可能部分義歯の構造的一体化に寄与するようにも交換歯の保持に寄与するようにも要求されなくてもよい。構造的一体化および保持はフレームワークによって提供されてよい。従って、上部人工歯肉部分は、むしろ患者の口腔の自然な外見、自然な感じ、および/または正確な適合にマッチするように最適化されていてもよい。従って、上部歯肉人工歯肉部分には、より自然な素材、例えばソフトでより柔軟性のある素材が使用されてもよい。
【0034】
1つの実施形態によれば、上部人工歯肉部分の各々は、割り当て済み補足的第二保持構造体に係合するように構成された第二表面構造体を有する底面を更に有しており、割り当て済み補足的第二保持構造体は、フレームワークの保持部(各上部人工歯肉部分がその上に配置されるように構成される)によって提供されるものである。各第二表面構造体は、割り当て済み補足的第二保持構造体と組み合わされることにより、各第二表面構造体を有する上部人工歯肉部分と各割り当て済み補足的第二保持構造体を有する保持部との間に、第二非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0035】
フレームワークの保持部は、各非破壊的取り外し可能直接接続を通して上部人工歯肉部分を収納および保持するという特長を、実施形態は有する。従って、上部人工歯肉部分はフレームワーク(すなわちフレームワークの保持部)に取り付けられ、当該保持部が上部人工歯肉部分を支持および所定位置に保持するものであってもよい。実施形態によれば、取り外し可能部分義歯、従って上部人工歯肉部分の構造的一体化は、各上部人工歯肉部分を支持するフレームワークによって提供される。所定位置はフレームワークに対して画定されてもよい。上部人工歯肉部分の1つに欠損または欠陥が生じた場合、それはフレームワークから取り外され、別の上部人工歯肉部分で置き換えられてもよい。
【0036】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第二表面構造体は、各第二表面構造体を有する上部人工歯肉部分の底面から突出する1つ以上の第二突起を有している。1つ以上の第二保持構造体の各々は、1つ以上の第二突起を収納するための1つ以上の第二収納部分を有している。第二突起の各々は、第二非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第二突起を収納するように構成された第二収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0037】
上部人工歯肉部分とフレームワークとの間の第二非破壊的取り外し可能直接接続は、第二突起を第二収納部分に挿入することにより確立されるという特長を、実施形態は有する。保持部は、第二突起を第二収納部分に収納することにより上部人工歯肉部分を収納してもよい。
【0038】
1つの実施形態によれば、第二突起の各々は、整列済み第二収納部分の形状にマッチする周囲形状を有している。第二突起は、円形、楕円形、または多角形(例えば正方形、長方形)の断面を有していてもよい。第二収納部分はマッチする断面を有していてもよい。1つの実施形態によれば、突起は細長い尾根状またはレール形状を有していてもよく、収納部分はそれにマッチする細長い孔または切れ目の形状を有していてもよい。実施形態によれば、第一突起は同一断面を有していてもよい。実施形態によれば、第一突起の断面は、形状および/または大きさの面で様々であってよい。
【0039】
1つの実施形態によれば、第二収納部分は保持部の方へ延伸するブラインドホールの形状で提供される。1つの実施形態によれば、第二収納部分は、保持部を通して延伸する貫通穴の形状で提供される。
【0040】
1つの実施形態によれば、保持部を通過して延伸する貫通穴は、個々のメッシュを提供する各貫通穴と共にメッシュ構造体を形成する。
【0041】
1つの実施形態によれば、1つ以上の整列済み第二収納部分の各々は、第二非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、上部人工歯肉部分と保持部との間に追加の第二永久的接続を提供するため、整列および収納された第二突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成される。非破壊的取り外し可能直接接続に加えて、上部人工歯肉部分と保持部との間に永久接続が提供されるという特長を実施形態は有する。整列および収納された第二突起の先端のフリースペースを充填することにより、非破壊的取り外し可能直接接続は永久的接続に変換される。非破壊的取り外し可能直接接続は、上部人工歯肉部分をフレームワークに接続し、適合が適切か否かを検査するのに使用できる。斯かる検査が成功すれば、結合を強化するため、永久接続が確立されてもよい。
【0042】
1つの実施形態によれば、上部人工歯肉部分の底面および/または保持構造体は、上部人工歯肉部分と保持部との間に追加の第二永久接続を提供するため、接着剤を受け取るための複数の追加の凹部を有する。接着剤は凹部で集積および硬化し、上部人工歯肉部分と保持部との間に更に強力な結合を形成するという特長を実施形態は有する。
【0043】
1つの実施形態によれば、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第二保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって支えられ、1つ以上の上部人工歯肉部分の下に各保持部上に配置されるように延伸する構成になった共通の保持構造体によって提供される。共通の保持構造体は、第一および第二非破壊的取り外し可能直接接続を提供するという特長、すなわち交換歯および上部人工歯肉部分によるフレームワークへの非破壊的取り外し可能直接接続を提供するという特長を、実施形態は有する。
【0044】
1つの実施形態によれば、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第二保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって支えられ、1つ以上の上部人工歯肉部分の下に各保持部上に配置されるように延伸する構成になった共通のメッシュ構造体によって提供される。共通のメッシュ構造体形状の共通の保持構造体は、第一および第二非破壊的取り外し可能直接接続を提供するという特長、すなわち交換歯および上部人工歯肉部分によるフレームワークへの非破壊的取り外し可能直接接続を提供するという特長を、実施形態は有する。
【0045】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第二保持構造体の各々は、各第二保持構造体を有する保持部から突出する1つ以上の第二突起を有しており、1つ以上の第二表面構造体の各々は、1つ以上の第二突起を収納する1つ以上の第二収納部分を有しており、第二突起の各々は、第二非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第二突起を収納するように構成された第二収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0046】
上部人工歯肉部分とフレームワークとの間の第二非破壊的取り外し可能直接接続は、第二突起を第二収納部分に挿入することにより確立されるという特長を、実施形態は有する。保持部は、第二突起を第二収納部分に挿入することにより上部人工歯肉部分を収納してもよい。
【0047】
1つの実施形態によれば、第二突起の各々は、整列済み第二収納部分の形状にマッチする周囲形状を有している。第二突起は、円形、楕円形、または多角形(例えば正方形、長方形)の断面を有していてもよい。第二収納部分はマッチする断面を有していてもよい。1つの実施形態によれば、突起は細長い尾根状またはレール形状を有していてもよく、収納部分はそれにマッチする細長い孔または切れ目の形状を有していてもよい。実施形態によれば、第二突起は同一断面を有していてもよい。実施形態によれば、第二突起の断面は、形状および/または大きさの面で様々であってよい。
【0048】
1つの実施形態によれば、第二収納部分は上部人工歯肉部分の方へ延伸するブラインドホールの形状で提供される。
【0049】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第二表面構造体の各々は、1つ以上の第二突起および1つ以上の第二収納部分を有する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第二保持部の各々は、1つ以上の第二突起および1つ以上の第二収納部分を有する。第二上部人工歯肉部分と保持部との間で相互第二非破壊的取り外し可能直接接続が強化されるという特長を、実施形態は有してもよい。接着剤が追加適用されると、当該接着剤が適用される結合部分の表面積が増大し、接着が改善される。
【0050】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第一突起は円筒形状または多面形状(例えば、立方体や直方体)を有する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第二突起の周囲は、各第二突起のベースから各第二突起の先端に向けて減少する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第二突起は、各第二突起のベースから各第二突起の先端に向けて先細りとなる。1つの実施形態によれば、1つ以上の第二突起は、錐台(例えば、円錐台または角錐台)の形状を有する。1つの実施形態によれば、各第二突起のベースの周囲形状は、整列済み第二収納部分の形状(すなわち、整列済み第二収納部分の入口の形状)に一致する。
【0051】
1つの実施形態によれば、1つ以上の上部人工歯肉は、フレームワークの保持部(各上部人工歯肉部分がその上に配置されるように構成される)を越えて横方向に延伸する1つ以上の側部を有している。側部の各々は、患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成された底面を有する。フレームワークは横方向すなわち患者の天然歯肉方向に延伸でき、明白な視覚的混乱を引き起こすことなくフレームワークの側部被覆を保証するという特長を、実施形態は有している。3D有機物体、例えば歯肉を有するヒトの口腔は、幾何学的に極めて複雑な表面を有している。患者の天然歯肉の表面にマッチする形状の底面を有する側部により、取り外し可能部分義歯の正確かつ快適な側部適合が保証される。側部は、上部人工歯肉部と患者の天然歯肉との間の滑らかな移行を提供できる。
【0052】
1つの実施形態によれば、側部は、上顎の義歯の場合には前室側、例えば唇側または頬側、口部的、例えば口蓋側に、下顎の義歯の場合には舌側に延伸する、および/または遠位側に延伸する。
【0053】
1つの実施形態によれば、アセンブリセットは、1つ以上の下部人工歯肉部分を更に有しており、下部人工歯肉部分の各々は、保持部分の1つと患者の天然歯肉との間に配置されるように構成されている。下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有している。底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されている。上面は、割り当て済み補足的第三保持構造体に係合するように構成された第三表面構造体を有しており、割り当て済み補足的第三保持構造体は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置されるように構成されている)によって提供される。各第三表面構造体は、割り当て済み補足的第三保持構造体と組み合わされることにより、各第三表面構造体を有する下部人工歯肉部分と各割り当て済み補足的第三保持構造体を有する保持部分との間に、第三非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0054】
歯肉を有するヒトの口腔のような3D有機物体が幾何学的に極めて複雑な表面を有している場合でも、患者の天然歯肉の表面にマッチする形状の下部人工歯肉部分の底面により、取り外し可能部分義歯の正確かつ快適な適合が保証されるという特長を、実施形態は有している。
【0055】
実施形態は、フレームワークの保持部が、各非破壊的取り外し可能直接接続を通して下部人工歯肉部分を収納および保持できるという特長を有していてもよい。従って、下部人工歯肉部分はフレームワーク(すなわちフレームワークの保持部)に取り付けられ、当該保持部が下部人工歯肉部分に置かれそれを所定位置に保持するものであってもよい。実施形態によれば、取り外し可能部分義歯、従って下部人工歯肉部分の構造的一体化はフレームワークによって提供される。所定位置はフレームワークに対して画定されてもよい。下部人工歯肉部分の1つに欠損または欠陥が生じた場合、それはフレームワークから取り外され、別の下部人工歯肉部分で置き換えられてもよい。
【0056】
下部人工歯肉部分は、取り外し可能部分義歯の構造的一体化に寄与するようにも交換歯の保持に寄与するようにも要求されなくてもよい。構造的一体化および保持はフレームワークによって提供されてよい。従って、下部人工歯肉部分は、むしろ患者の口の自然な外見、自然な感じ、および/または正確な適合にマッチするように最適化されていてもよい。従って、下部歯肉人工歯肉部分には、より自然な素材、例えばソフトでより柔軟性のある素材が使用されてもよい。
【0057】
各下部人工歯肉部分は、患者の天然歯肉の表面にマッチする形状の底面を提供するという特長を、実施形態は有する。下部人工歯肉部分の底面の形状は、例えば、患者の天然歯肉の3Dスキャンを用いて画定されてもよい。患者の天然歯肉のデジタルモデルを提供するのに3Dスキャンが使用されてもよい。モデルは、例えば、ヒトの口腔などの幾何学的に極めて複雑な表面のマッピングを可能とするボクセルエンジンに基づいていてもよい。その場合、ボクセルは、患者の天然歯肉の幾何形状のデジタル表現用に使用されてもよい。例えば、患者の天然歯肉の表面幾何形状のデジタル表現を提供するポイントを有するポイントクラウドに基づいていてもよい。患者の天然歯肉の表面をデジタル的に表現するための別の方法、例えば、各表面を画定する頂点、端、面などの集合を有する多角形メッシュが用いられてもよい。
【0058】
フレームワークの底面側に人工歯肉素材を充填し、患者の天然歯肉表面にマッチするようにその人工歯肉素材をモデル化するというような追加の手動工程は必要ではないという特長を、実施形態は有する。患者の天然歯肉の表面にマッチするように人工歯肉素材を手動でモデル化するには、物理的モデルが必要である。技師がフレームワークの下の取り外し可能部分義歯の下部を手動で作製するのに、歯型/石膏モデルなどの斯かる物理的モデルは要求されないという特長を、実施形態は有する。取り外し可能部分義歯の下部は、患者の口腔内の残りの歯肉上に配置される下部人工歯肉部分の底面によって提供された方がよい。各下部人工歯肉部分は、スキャンデータを用いてデジタル的にモデル化され、その結果得られるデジタルモデルに基づいて生成されてよい。
【0059】
フレームワークの底面側で人工歯肉素材をモデル化する参照として物理的モデルを使用すれば、患者の顎の物理的再生と患者の実際の顎との間の違いにより、不正確さが生じ得る。残存している患者の口腔の天然歯肉のように複雑な表面の場合には特にそうである。例えば、物理的モデルを成形する場合に違いが生じるかもしれない。物理的モデルを作成するのに使用される素材の変更によっても更なる違いが生じ得る。斯かる変更は、例えば素材の硬化中に生じるかもしれない。例えば、素材は収縮するかもしれない。斯かる変更は、物理的モデルの使用中にも生じ得る。物理的モデルによって提供される表面にマッチするように人工歯肉を繰り返し調整することにより、各表面の摩耗が生じ得る。
【0060】
更に、失われた歯肉のギャップ、すなわちフレームワークと残存している患者の天然の歯肉との間にアクリル樹脂などの人工歯肉素材を手動で充填すると、誤りが生じ易い。人工歯肉素材が多過ぎると、一般的な偏りや充填問題が生じ得る。一方、人工歯肉素材が少な過ぎると、フレームワークと残存している患者の天然の歯肉との間に不必要なフリースペースが生じ得る。斯かるフリースペースは部分義歯支持部の局所溶血を引き起こし得る。更に、斯かるフリースペースは、細菌が集積し衛生問題および不快感を引き起こし得る歯嚢を発生させる。
【0061】
従って、患者の天然歯肉にマッチさせるために取り外し可能部分義歯用の人工歯肉を手動で成形するやり方は、十分な正確性の欠如、従って患者の快適感の減少を引き起こす場合が多い。斯かる欠点は手動方法を使用する限り回避するのが困難であるが、斯かる欠点を最小限に抑えようとする試みにより、取り外し可能部分義歯、特に残存する患者の天然歯肉上に配置されるように設計される底面部分の生成には多くの時間がかかり、適切に実行するには高いレベルの技術および経験を必要とする複雑なプロセスが要求される。
【0062】
技術レベルが低く経験が少ない人であっても、アセンブリセットを組み立て、各部分義歯の適合性を検査することにより、交換部分義歯を提供する仕事を達成できるであろう。高いレベルの資格を必要とすることなく、手動による僅かな調整が実行可能である。
【0063】
患者の天然歯肉のスキャンデータを用いてデジタル的にモデル化し残存する天然歯肉上に配置されるように構成された下部人工歯肉部分によって提供される交換部分義歯の下部は、更に正確なものであり、スキャンされた残存する患者の歯肉に正確に対応する形状を底面が有しているので、更に優れた適合を提供するものである。
【0064】
更に、歯は直接フレームワークに適合され、従って、部分義歯に構造的一体化を提供することも交換歯を目的の位置に保持することも人工歯肉部分には要求されないので、天然の素材、例えばソフトで更に柔軟な素材が斯かる歯肉部分に使用可能である。
【0065】
アセンブリセットの形態で提供される部分義歯の不完全性が容易に対処できるという特長を、実施形態は有する。斯かる部分義歯に欠陥がある場合、例えば歯科医によって患者に提供された義歯が患者の顎に不正確にしかマッチしない場合、あるいは不十分な咬合しか提供しない場合、斯かる欠陥は、欠陥を示す部分を欠陥のない交換部分で置き換えることにより容易に修正されてもよい。反対に、不正確部分の非破壊的交換を可能にする非破壊的取り外し可能接続なしに最終製品として提供された部分義歯は、更なる調整の可能性を僅かしか提供しないかもしれない。例えば、取り外し可能部分義歯の全ての部分が既に糊付けされており、破壊しなければ取り外しできないような接続が確立されている場合などがそうである。斯かる場合には、例えば歯科医によって患者に提供される最終製品は、更なる調整の必要なしに患者に完璧に適合しているものと推定されなければならないであろう。適合が不十分であることが分かったら、その部分義歯は新しい義歯で全て置き換えられねばならないであろう。新しい部分義歯を提供するということは、患者の口腔のスキャン処理並びに部分義歯の型取りおよび生成を反復しなければならないことを意味する。実施形態は、斯かる欠点を回避し、例えば接着剤を用いて永久的な接続によって各部分を最終的に接着する前に、非破壊的取り外し可能接続を用いるアセンブリセットの形態で提供される部分義歯を組み立てその適合性を試みる可能性を提供できるであろう。
【0066】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第三表面構造体の各々は、各第三表面構造体を有する下部人工歯肉部分の上面から突出する1つ以上の第三突起を有する。1つ以上の第三保持構造体の各々は、1つ以上の第三突起を収納する1つ以上の第三収納部分を有する。第三突起の各々は、第三非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第三突起を収納するように構成された第三収納部分のうちの1つの各位置に整列された位置に配置される。
【0067】
下部人工歯肉部分とフレームワークとの間の第三非破壊的取り外し可能直接接続は、第三突起を第三収納部分に挿入することにより確立できるという特長を、実施形態は有する。保持部分は、第三突起を第三収納部分に収納することにより、下部人工歯肉部分を収納できる。
【0068】
1つの実施形態によれば、第三突起の各々は、整列済み第三収納部分の形状にマッチする周囲形状を有している。第三突起は、円形、楕円形、または多角形(例えば正方形、長方形)の断面を有していてもよい。第三収納部分はマッチする断面を有していてもよい。1つの実施形態によれば、突起は細長い尾根状またはレール形状を有していてもよく、収納部分はそれにマッチする細長い孔または切れ目の形状を有していてもよい。実施形態によれば、第三突起は同一断面を有していてもよい。実施形態によれば、第三突起の断面は、形状および/または大きさの面で様々であってよい。
【0069】
1つの実施形態によれば、第三収納部分は保持部の方へ延伸するブラインドホールの形状で提供される。1つの実施形態によれば、第三収納部分は、保持部を通して延伸する貫通穴の形状で提供される。1つの実施形態によれば、保持部を通過して延伸する貫通穴は、個々のメッシュを提供する各貫通穴と共にメッシュ構造体を形成する。
【0070】
1つの実施形態によれば、1つ以上の整列済み第三収納部分の各々は、第三非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、下部人工歯肉部分と保持部との間に追加の第三永久的接続を提供するため、整列および収納された第三突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成される。非破壊的取り外し可能直接接続に加えて、下部人工歯肉部分と保持部との間に永久接続が提供されるという特長を実施形態は有する。整列および収納された第三突起の先端のフリースペースを充填することにより、非破壊的取り外し可能直接接続は永久的接続に変換される。非破壊的取り外し可能直接接続は、下部人工歯肉部分をフレームワークに接続し、適合が適切か否かを検査するのに使用できる。斯かる検査が成功すれば、結合を強化するため、永久接続が確立されてもよい。
【0071】
1つの実施形態によれば、下部人工歯肉部分の底面および/または保持構造体は、下部人工歯肉部分と保持部との間に追加の第三永久接続を提供するため、接着剤を受け取るための複数の追加の凹部を有する。接着剤は凹部で集積および硬化し、下部人工歯肉部分と保持部との間に更に強力な結合を形成するという特長を実施形態は有する。
【0072】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第一突起は円筒形状または多面形状(例えば、立方体や直方体)を有する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第三突起の周囲は、各第三突起のベースから各第三突起の先端に向けて減少する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第三突起は、各第三突起のベースから各第三突起の先端に向けて先細りとなる。1つの実施形態によれば、1つ以上の第三突起は、錐台(例えば、円錐台または角錐台)の形状を有する。1つの実施形態によれば、各第三突起のベースの周囲形状は、整列済み第三収納部分の形状(すなわち、整列済み第三収納部分の入口の形状)に一致する。
【0073】
1つの実施形態によれば、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第三保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって収納され、各保持部の下の1つ以上の下部人工歯肉部分上に配置されるように延伸する構成になった同一の保持構造体によって提供される。同一の保持構造体が、第一および第三非破壊的取り外し可能直接接続、すなわち交換歯および下部人工歯肉部分によるフレームワークへの非破壊的取り外し可能直接接続を提供するという特長を、実施形態は有する。
【0074】
1つの実施形態によれば、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第三保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって収納され、各保持部の下の1つ以上の下部人工歯肉部分上に配置されるように延伸する構成になった同一のメッシュ構造体によって提供される。同一のメッシュ構造体形状の同一の保持構造体が、第一および第三非破壊的取り外し可能直接接続、すなわち交換歯および下部人工歯肉部分によるフレームワークへの非破壊的取り外し可能直接接続を提供するという特長を、実施形態は有する。
【0075】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第三保持構造体の各々は、各第三保持構造体を有する保持部から突出する1つ以上の第三突起を有している。1つ以上の第三表面構造体の各々は、1つ以上の第三突起を収納する1つ以上の第三収納部分を有している。第三突起の各々は、第三非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第三突起を収納するように構成された第三収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0076】
下部人工歯肉部分とフレームワークとの間の第三非破壊的取り外し可能直接接続は、第三突起を第三収納部分に挿入することにより確立されるという特長を、実施形態は有する。保持部は、第三突起を第三収納部分に挿入することにより下部人工歯肉部分を収納してもよい。
【0077】
1つの実施形態によれば、第三突起の各々は、整列済み第三収納部分の形状にマッチする周囲形状を有している。第三突起は、円形、楕円形、または多角形(例えば正方形、長方形)の断面を有していてもよい。第三収納部分はマッチする断面を有していてもよい。1つの実施形態によれば、突起は細長い尾根状またはレール形状を有していてもよく、収納部分はそれにマッチする細長い孔または切れ目の形状を有していてもよい。実施形態によれば、第三突起は同一断面を有していてもよい。実施形態によれば、第三突起の断面は、形状および/または大きさの面で様々であってよい。
【0078】
1つの実施形態によれば、第三収納部分は上部人工歯肉部分の方へ延伸するブラインドホールの形状で提供される。
【0079】
1つの実施形態によれば、1つ以上の第三表面構造体の各々は、1つ以上の第三突起および1つ以上の第三収納部分を有する。1つの実施形態によれば、1つ以上の第三保持部の各々は、1つ以上の第三突起および1つ以上の第三収納部分を有する。第三下部人工歯肉部分と保持部との間で相互第三非破壊的取り外し可能直接接続が強化されるという特長を、実施形態は有してもよい。接着剤が追加適用されると、当該接着剤が適用される結合部分の表面積が増大し、接着が改善される。
【0080】
別の態様において、本発明は患者用取り外し可能部分義歯に関する。当該部分義歯は、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有する。
【0081】
保持部の各々は、1つ以上の交換歯を収納および保持するように構成されている。上部人工歯肉部分の各々は、保持部の1つに配置され1つ以上の貫通穴を有している。交換歯の1つは貫通穴の各々に配置されている。交換歯の各々は、第一表面構造体を有する底面を有しており、第一表面構造体は、各交換歯を収納するように構成されたフレームワークの保持部の1つによって提供される割り当て済み補足的第一保持構造体に係合している。第一表面構造体の各々は、係合済み補足的第一保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する交換歯と係合済み補足的保持構造体を有する保持部との間に、非破壊的取り外し可能直接接触を形成する。
【0082】
下部人工歯肉部分の各々は、保持部の1つと患者の天然歯肉との間に配置されるように構成されている。下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有している。底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されている。上面は、割り当て済み補足的更なる保持構造体に係合する更なる表面構造体を有しており、割り当て済み補足的更なる保持構造体は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置される)によって提供される。各更なる表面構造体は、係合済み補足的更なる保持構造体と組み合わされることにより、各更なる表面構造体を有する下部人工歯肉部分と各係合済み補足的更なる保持構造体を有する保持部分との間に、更なる非破壊的取り外し可能直接接続を形成する。
【0083】
取り外し可能部分義歯は、アセンブリセットに関する上述の実施形態のいずれかを組み立てることによって作成できる。取り外し可能部分義歯は、アセンブリセットに関する上述の実施形態の特徴のいずれかを有していてよい。
【0084】
部分義歯の一部を交換するだけで、部分義歯の全部を交換するものではないという特長を、実施形態は有している。例えば、摩耗した部分または壊れた部分が交換されればよい。部分義歯の構造的一体化は例えばフレームワークのみによって提供されるので、人工歯肉部分などの他の部分は、部分義歯の構造的一体化を脆弱化させることなく個別に交換できる。
【0085】
1つの実施形態によれば、上部人工歯肉部分の各々は、割り当て済み補足的第二保持構造体に係合するように構成された第二表面構造体を有する底面を更に有しており、割り当て済み補足的第二保持構造体は、フレームワークの保持部(各上部人工歯肉部分がその上に配置される)によって提供されるものである。各第二表面構造体は、割り当て済み補足的第二保持構造体と組み合わされることにより、各第二表面構造体を有する上部人工歯肉部分と各割り当て済み補足的第二保持構造体を有する保持部との間に、第二非破壊的取り外し可能直接接続を形成する。
【0086】
別の態様において、本発明は患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するためのコンピュータシステムに関する。コンピュータシステムは、プロセッサと、マシン実行可能プログラム命令を記憶するメモリとを有する。プロセッサによるプログラム命令の実行により、プロセッサは、アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供するようにコンピュータシステムを制御する。更に、1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルが提供される。人工歯肉部分の各々は上面および底面を有する。底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する。
【0087】
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、前記1つ以上の人工歯肉部分の各々が分割される。さらに、1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルが生成される。保持部は、少なくとも1つ以上の交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する。1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルが減算されることにより、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体が生成され、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体が生成される。
【0088】
コンピュータシステムは、アセンブリセットに関する上述の実施形態のいずれかを構築するように構成できる。
【0089】
デジタルモデルは、例えば、患者の口腔および/または顎の3Dスキャンに基づくものであってよい。デジタルモデルは、例えば、幾何形状のデジタル表現に使用されるボクセルを有するボクセルエンジンを用いて提供されてもよい。あるいは、他のデジタル表現、例えば、ポイントクラウドまたは多角形メッシュが使用されてもよい。斯かるスキャンは患者の直接スキャンであってもよい。あるいは、顎の歯科印象ベースモデルのスキャンであってもよい。歯科印象ベースモデルを生成するのに、患者の口腔および/または顎の歯科印象がネガティブとして使用できる。斯かるモデルは、例えば、歯型または石膏モデルであってもよい。
【0090】
デジタルモデルは、フレームワークのレイアウトを画成し、患者の口腔および顎によって画成される所定の幾何形状の表面に合うようにフレームワークを調整するのに使用できるという特長を、実施形態は有している。従って、ワックスなどの変形し易い素材を用いる必要性、すなわち例えば患者の顎の印象ベースモデルを使ってフレームワークモデルのポジティブを形成および調整する必要性が回避できる。コンピュータシステムを用いて生成および調整されるフレームワークのデジタルモデルは、フレームワークを生成するためのブループリントとして直接使用できる。フレームワークは例えば金属性であってもよい。
【0091】
フレームワークのデジタルモデルは、フレームワークの様々な部分を図形的に画成するコンピュータシステム上で設計できるという特長を有する。フレームワークのデジタルモデルは、交換歯が追加される患者の口腔領域にオフセット定義を有してもよい。フレームワークの保持部はオフセット上に追加できる。オフセットは、保持部が患者の口腔すなわち患者の天然歯肉に接触しないように追加されてもよい。取り外し可能部分義歯においては、オフセットは下部人工歯肉部分によって提供されてもよい。更に、保持部は、人工歯肉部分および/または交換歯などに素材を接触させるための表面を提供する。
【0092】
交換歯のデジタルモデルは、例えば、交換歯の幾何形状および位置を画成してもよい。交換歯の位置は、相互に相対的に画成されてもよいし、および/または患者の口腔および/または顎のデジタルモデルに対して画成されてもよい。
【0093】
交換歯のデジタルモデルは、患者の口腔に適合する1つ以上の歯を有していてもよい。斯かる歯は、患者の口腔内の失われた歯の代わりとして選択される。交換歯のデジタルモデルを提供するにあたり、以前存在した予め抜き取られた歯のスキャンが使用されてもよいし、または既存の歯が例えば残存する対合歯として反映されてもよい。更に、一般的な歯のライブラリから得られる歯のモデルが使用されてもよい。デジタルモデルの交換歯は、患者の口腔内の幾何形状に正確にマッチするように修正および調整されてよい。例えば、交換歯は、患者の口腔内の反対側の歯(すなわち対合歯)に正確にマッチするように修正および調整されてもよい。例えば、デジタルモデル内の交換歯は、咬合が最適化されるように再配置されてもよい。従って、例えば咀嚼中または静止時における上顎の歯すなわち上歯と下顎の歯すなわち下歯との間の関係が、患者の口腔の各幾何形状に合うように調整できる。
【0094】
人工歯肉部分のデジタルモデルは、患者の天然歯肉上に配置されそれにマッチする形状の底面を有する人工歯肉を画成する。人工歯肉は、1つ以上の交換歯を収納するように、および/または取り囲むように構成できる。
【0095】
1つの実施形態によれば、取り外し可能部分義歯の様々な要素を仮想的に組み合わせることができる。
【0096】
1つの実施形態によれば、本方法はアセンブリセットを製造する工程を更に有する。様々なタイプのアセンブリセットの要素が個別に製造される。交換歯は、一般的な製造済み交換歯の形態で提供されてもよい。斯かる一般的な交換歯は、例えば、歯ライブラリによって提供されるデジタル歯モデルに対応するものであってもよい。製造済み交換歯はそのままの状態で使用されてもよいし、患者の個々の義歯にマッチ(例えば、対合歯にマッチ)するように修正されてもよい。
【0097】
実施形態によれば、交換歯の底面の表面構造体は一般的な幾何形状を有していてもよく、フレームワークの保持構造体は、交換歯とフレームワークとの間の堅固な非破壊的取り外し可能直接接続を保証するため、表面構造体の幾何形状にマッチするように構成される。
【0098】
実施形態によれば、交換歯の底面の表面構造体は、交換歯とフレームワークとの間の堅固な非破壊的取り外し可能直接接続を保証するため、フレームワークの保持構造体の幾何形状にマッチするように修正(例えば、加工)される。保持構造体は、フレームワークの形状次第であるが、患者特有の個別の幾何形状を有していてもよく、取り外し可能部分義歯によって追加される患者の義歯の個別の幾何形状に合わせて調整される。
【0099】
実施形態によれば、交換歯は、取り外し可能部分義歯によって追加される患者の義歯の個別の幾何形状に合わせて調整された交換歯のデジタルモデルを用いて、患者用に製造されてもよい。交換歯は、例えば、ブランクを用いて製造されてもよく、その場合、交換歯のデジタルモデルによって画成される幾何形状に基づいて成形されるように加工が行われる。
【0100】
1つの実施形態によれば、フレームワークは、フレームワークのデジタルモデルによって画成される幾何形状に基づいて製造されてもよい。フレームワークは例えば金属製であってもよい。実施形態によれば、フレームワークは3Dプリンタを用いて印刷されてもよい。実施形態によれば、フレームワークは加工手段を用いて製造されてもよい。更に、混合製造方法が使用されてもよい。例えば、フレームワークは金属で印刷され、より正確性が要求される部分(例えば、入れ子やバー)は加工されてもよい。
【0101】
1つの実施形態によれば、上部および下部人工歯肉部分は、人工歯肉部分の分割デジタルモデル(取り外し可能部分義歯によって追加される患者の義歯の個別の幾何形状に合わせて調整されたもの)によって画成される幾何形状に従って製造されてもよい。特に、下部人工歯肉部分は、患者の天然歯肉に合わせて調整されたものであってもよい。上部および下部人工歯肉部分は、例えば、3Dプリンタを用いて印刷されてもよい。
【0102】
1つの実施形態によれば、アセンブリセットの異なる要素を、異なるタイプの素材を扱う異なる3Dプリンタによって印刷してもよい。更に、扱われる素材の色は異なっていてもよい。実施形態によれば、アセンブリセットの異なる要素を、異なる素材(例えば、異なる色)を扱うことのできる同一の3Dプリンタによって印刷してもよい。
【0103】
別の態様において、本発明は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するため、コンピュータ読み取り可能プログラムコードを組み込んだ不揮発性コンピュータ読み取り可能記憶媒体を有するコンピュータプログラム製品に関する。
【0104】
上述の構築工程は、アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程を有する。1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルが生成される。人工歯肉部分の各々は上面および底面を有している。各底面は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチするように成形される。
【0105】
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、1つ以上の人工歯肉部分の各々が分割される。更に、1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルが生成されるが、その場合、保持部は、少なくとも1つ以上の交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する。1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルが減算されるが、その際、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体が生成され、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体が生成される。
【0106】
コンピュータプログラム製品のコンピュータ読み取り可能プログラムコードは、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するため、コンピュータシステムのプロセッサによって実行可能であってもよい。コンピュータプログラム製品のコンピュータ読み取り可能プログラムコードは、アセンブリセットの上述の実施形態のいずれかを構築するように構成されていてもよい。
【0107】
別の態様において、本発明は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築する方法に関する。当該方法は、アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程を有する。1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルが生成される。人工歯肉部分の各々は上面および底面を有している。底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチするように成形される。
【0108】
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、1つ以上の人工歯肉部分の各々が分割される。更に、1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルが生成される。保持部は、少なくとも1つ以上の交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する。1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルが減算されるが、その際、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体が生成され、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体が生成される。
【0109】
当該方法は、アセンブリセットに関する上述の実施形態のいずれかを構築する工程を有する。
【0110】
交換歯の底面の表面構造体とフレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体との間が確実にマッチするという特長を、1つ以上の交換歯のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルを減算する方法は有している。従って、交換歯とフレームワークの保持部との間の非破壊的取り外し可能直接接続が可能となる。交換歯とフレームワークの保持部との間の非破壊的取り外し可能直接接続により、フレームワークは、目的の場所および交換歯およびフレームワークの複合モデルに基づく位置に交換歯を保持できる。
【0111】
1つの実施形態によれば、フレームワークのデジタルモデルは、各下部人工歯肉部分の上面に表面構造体を有する下部人工歯肉部分のデジタルモデルと組み合わされて1つ以上の交換歯のデジタルモデルから減算され、その結果、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各底面上の表面構造体と組み合わされて、交換歯の底面が生成される。
【0112】
1つの実施形態によれば、当該方法は、1つ以上の上部人工歯肉部のデジタルモデルから1つ以上の交換歯のデジタルモデルを減算する工程を更に有しており、その結果、収納された1つ以上の交換歯の少なくとも部分的な周囲に人工歯肉部分を提供するように構成された上面内に1つ以上の交換歯を収納するように、人工歯肉部分が構成される。
【0113】
1つの実施形態によれば、フレームワークの保持部と1つ以上の交換歯、上部および/または下部人工歯肉部分との間に追加の永久的接続を提供するための接着剤を収納するためのフリースペースを、1つ以上の交換歯、上部および/または下部人工歯肉部分から減算する工程を、当該方法は更に有するものである。
【0114】
非破壊的取り外し可能直接接続によって目的の場所およびフレームワークの位置に交換歯を保持するのに十分な支持を提供しつつ、接着剤用のスペースを提供するように、交換歯からフレームワークが減算されてもよい。接着剤は、交換歯と保持部との間の非破壊的取り外し可能直接接続を当該接着剤によって保証される永久的接続に変換させるのに適用されてよい。交換歯と保持部との間の非破壊的取り外し可能直接接続は、安定状態で目的の場所およびフレームワーク上の位置に合うように交換歯を調整するものであり、接着剤を用いて永久的接続が確立された場合に、交換歯が各場所および位置に確実に留まるようにするものである。
【0115】
別の態様において、本発明は患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを組み立てる方法に関しており、アセンブリセットは、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有する。
【0116】
当該方法は、上部人工歯肉部分の各々を保持部の1つに配置する工程を有しており、上部人工歯肉部分の各々は1つ以上の貫通穴を有している。各交換歯を収納および保持するように構成されたフレームワークの保持部の1つの割り当て済み補足的保持構造体に係合する各交換歯の底部に表面構造体を有する交換歯の1つが、貫通穴の各々に配置される。各表面構造体は、係合済み補足的保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する交換歯と各係合済み補足的保持構造体を有する保持部との間に非破壊的取り外し可能直接接続を形成する。
【0117】
下部人工歯肉部分の各々が保持部の1つの下に配置される。下部人工歯肉部分の各々は上面および底面を有している。底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されている。上面は、割り当て済み補足的更なる保持構造体に係合する更なる表面構造体を有しており、割り当て済み補足的更なる保持構造体は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置される)によって提供される。各更なる表面構造体は、係合済み補足的更なる保持構造体と組み合わされることにより、各更なる表面構造体を有する下部人工歯肉部分と各係合済み補足的更なる保持構造体を有する保持部分との間に、更なる非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0118】
当該組み立て方法は、アセンブリセットに関する上述の実施形態のいずれかを組み立てる工程を有していてよい。
【0119】
取り外し可能部分義歯は、正確な位置および種々の要素の形態に関して検査できるという特長を、実施形態は有している。計画位置からの逸脱があった場合、修正が行われてよい。各要素は、例えば、分解、修正、交換、または再組立が行われてよい。組み立てられた取り外し可能部分義歯の種々の要素が正確である場合、当該要素は再度分解されてもよい。交換歯とフレームワークとの間の所定のフリースペースは接着剤で充填されてよく、取り外し可能部分義歯は再組立されてよい。正確に実行されたならば、交換歯はフレームワークの保持部の計画スペースの正確な位置(接着剤によって固定されてもよい位置)に収まる。
【0120】
上述の実施例および実施形態は、相互に排他的でない限り自由に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
次に、以下の図面を用いて、本発明の実施形態が更に詳細に記載される。
【0122】
【
図1】
図1は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態を示している。
【
図2】
図2は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図3】
図3は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図4】
図4は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図5】
図5は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図6】
図6は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図7】
図7は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図8】
図8は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図9】
図9は、取り外し可能部分義歯用アセンブリセットの例示的実施形態の要素を示している。
【
図10】
図10は、取り外し可能部分義歯構築用コンピュータシステムの例示的実施形態を示している。
【
図11】
図11は、取り外し可能部分義歯構築用コンピュータシステムの例示的実施形態を示している。
【
図12】
図12は、取り外し可能部分義歯構築用生成システムの例示的実施形態を示している。
【
図13】
図13は、取り外し可能部分義歯構築用生成システムの例示的実施形態を示している。
【
図14】
図14は、取り外し可能部分義歯構築方法の例示的実施形態を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、取り外し可能部分義歯のアセンブリセットの組み立て方法の例示的実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0123】
以下において、類似の特徴は同一符号で示される。
【0124】
図1は取り外し可能部分義歯の例示的アセンブリセット100を示している。アセンブリセット100は、取り外し可能部分義歯に安定性を提供しかつ構造的一体化を保証するフレームワーク110を有する。アセンブリセット100は更に、複数の交換歯102、下部人工歯肉120、および上部人工歯肉部130を有する。フレームワーク110は、交換歯102を収納および保持するように構成された保持部112を有している。保持部112は保持構造体114を有する。例示的保持構造体114は、貫通穴として構成される複数の収納部分116を有する。従って、保持構造体114は、各々貫通穴116によって提供される複数のメッシュを有するメッシュ構造体の形態を有している。代替実施形態によれば、収納部分116は例えばブラインドホールの形態を有していてもよい。交換歯102は各々、表面構造体104(例えば、複数の突起106を有する)を有する底面を有している。表面構造体104は各々、フレームワーク110の保持部112によって提供される補足的保持構造体114に係合するように構成されている。各表面構造体104は、補足的保持構造体114と係合することにより、各補足的保持構造体114と組み合わされて、交換歯102の1つとフレームワーク110(より正確には保持部112)との間に非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。交換歯102の1つとフレームワーク110との間の非破壊的取り外し可能直接接続を可能にするため、上部人工歯肉部130は貫通穴132を有しており、保持部112との直接接続のため、そこに交換歯102が配置される。上部人工歯肉部130は、当該上部人工歯肉部130の下に延伸する保持部112の保持構造体114と非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、底面に、例えば交換歯102の表面構造体104に類似した表面構造体を有していてもよい。下部人工歯肉部分120が保持部112の下に配置される。下部人工歯肉部分120は、患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状の底面を有する。下部人工歯肉部分120の上面は、保持部112の保持構造体114と非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、例えば交換歯102の表面構造体104に類似した表面構造体122を有していてもよい。表面構造体122は、例えば、下部人工歯肉部分120とフレームワーク110との間に非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、保持構造体の収納部分116に挿入するように構成された複数の突起124を有していてもよい。
【0125】
図2は、部分的に歯を失った患者の残存義歯を有する顎のデジタルモデル140を示す。デジタルモデル140は、患者の口腔の3Dスキャンによって作成されてもよく、患者の残存天然歯肉142の表面を有していてもよい。患者の天然歯肉142上に、下部人工歯肉部分120が配置される。下部人工歯肉部分120は各々、患者の天然歯肉142の表面に配置されそれにマッチする形状の底面を有していてもよい。下部人工歯肉部分120は、フレームワークの保持部の保持構造体と非破壊的取り外し可能直接接続を確立するように構成された表面構造体122を更に有していてもよい。下部人工歯肉部分120の表面構造体122は、例えば複数の突起124を有していてもよい。
【0126】
図3は、フレームワーク110が下部人工歯肉部分120上に配置された、
図2のデジタルモデル140を示している。フレームワーク110は、交換歯を収納および保持するように構成された保持部112を有する。保持部112は各々、下部人工歯肉部分120と非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、例えば貫通穴形態の収納部分116を持つ保持構造体114を有する。
【0127】
図4は、フレームワーク110の保持部112上に上部人工歯肉部130が配置された、
図3のデジタルモデル140を示している。上部人工歯肉部130は各々、1つ以上の交換歯を収納し交換歯とフレームワーク110の保持部112との間の直接接続を可能にするように構成された1つ以上の貫通穴132を有していてもよい。上部人工歯肉部130は、保持部112の保持構造体114と非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、保持部112上に配置される底面に表面構造体を有していてもよい。
【0128】
図5は、取り外し可能部分義歯101を提供する最終的に組み立てられたアセンブリセットを示している。交換歯102は、上部人工歯肉部130の貫通穴132に配置され、 交換歯102とフレームワーク110(より正確には、保持部112の保持構造体114)との間に非破壊的取り外し可能直接接続を確立する。斯かる目的のため、各交換歯102は、表面構造体を有する底面(例えば、複数の突起106を有している)を有している。表面構造体は各々、フレームワーク110の保持部112によって提供される補足的保持構造体114に係合するように構成される。
【0129】
図6は、
図5の取り外し可能部分義歯101を下から見た図を示している。フレームワーク110並びに下部人工歯肉部分120および上部人工歯肉部130が示してある。下部人工歯肉部分120は、フレームワーク110の保持部112の下に配置される。上部人工歯肉部130は各々、フレームワーク110の保持部112(そこに上部人工歯肉部130が配置される構成になっている)を越えて横方向に延伸する側部134を有していてもよい。下部人工歯肉部分120は各々、患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状の底面126を有していてもよい。更に、側部134は各々、患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状の底面136を有していてもよい。
【0130】
図7は、下部人工歯肉部分120が除去された状態の、
図6の取り外し可能部分義歯101を示している。
図7に示されるように、下部人工歯肉部分120はフレームワーク110の保持部112の下に配置され、保持部112によって提供される非破壊的取り外し可能直接接続を確立するように構成されている。
【0131】
図8は、交換歯102が配置された貫通穴132を有する上部人工歯肉部130を下から見た図を示している。交換歯102は貫通穴132を通って延伸する。交換歯102は各々、表面構造体104(例えば、複数の突起106を有する)を有する底面を有している。表面構造体104は各々、フレームワーク110の保持部112によって提供される補足的保持構造体114に係合するように構成されている。各表面構造体104は、補足的保持構造体114に係合することにより、各補足的保持構造体と組み合わさって、交換歯102の1つとフレームワーク110(より正確には、保持部112)との間に非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0132】
図9は、底面に表面構造体104(例えば、複数の突起106を有する)を有する交換歯102を下から見た図を最終的に示している。
【0133】
図10は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するための、例示的コンピュータシステム10の概略図を示している。コンピュータシステム10は、アセンブリセットに関する上述の実施形態を構築するための任意の機能セットを実行できるものであってよい。コンピュータシステム10は、数多くの他の汎用または専用コンピュータシステム環境または構成を用いて操作されてよい。
【0134】
コンピュータシステム110は、コンピュータシステム実行可能命令の一般コンテキスト、例えばコンピュータシステム10によって実行可能なプログラム命令を有するプログラムモジュールなどで記載されてもよい。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行し特定の抽象的データタイプを実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、論理、データ構造などを含んでいてもよい。コンピュータシステム10は、通信ネットワークによって連結された遠隔処理装置によってタスクが実行される分散型計算機環境で実施されてもよい。分散型計算機環境において、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含む、局所/遠隔両方のコンピュータシステム記憶媒体に配置されてもよい。
【0135】
図10において、コンピュータシステム110は汎用計算装置の形態で示されている。コンピュータシステム110の構成要素には、限定されないが、1つ以上のプロセッサまたは処理装置16、システムメモリ28、およびシステムメモリ28を含む種々のシステム構成要素をプロセッサ16に連結するバス18が含まれる。バス18は、種々のバスアーキテクチャのいずれかを用いる、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、加速式グラフィックスポート、およびプロセッサまたはローカルバスを含む複数タイプのバス構造体のうちの任意の1つ以上を代表している。例えば、限定されないが、斯かるアーキテクチャには、Industry Standard Architecture(ISA)バス、Micro Channel Architecture(MCA)バス、Enhanced ISA(EISA)バス、Video Electronics Standards Accosiation (VESA)ローカルバス、およびPeripheral Component Interconnect(PCI)バスが含まれる。
【0136】
コンピュータシステム10は、種々のコンピュータシステム読み取り可能記憶媒体を有していてもよい。斯かる媒体は、コンピュータシステム10によってアクセス可能な任意の記憶媒体であってよく、揮発性および不揮発性記憶媒体、取り外し可能および取り外し不可能記憶媒体を含む。
【0137】
システムメモリ28は、ランダムアクセスメモリ(RAM)30および/またはキャッシュメモリ32などの、揮発性メモリ形態のコンピュータシステム読み取り可能記憶媒体を有していてもよい。コンピュータシステム10は、他の取り外し可能/取り外し不可能、揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体を更に有していてもよい。例えば、記憶システム34は、ハードドライブとも呼ばれる取り外し不可能不揮発性磁気媒体との間で読み書きをするために提供されてもよい。例えば、取り外し可能不揮発性磁気ディスク(例えば、フロッピディスク)との間で読み書きをするための磁気ディスクドライブ、およびCD―ROM、DVD-ROMその他の光学記憶媒体などの取り外し可能不揮発性光学ディスクドライブが提供されてもよい。斯かる場合には、各記憶媒体は、1つ以上のデータ媒体インターフェースによってバス18に接続されてもよい。メモリ28は、プログラムモジュールセット、例えばアセンブリセットの構築を実行するように構成された少なくとも1つのプログラムモジュールを有する少なくとも1つのプログラム製品を含んでいてもよい。
【0138】
プログラム40は1つ以上のプログラムモジュール42から成るセットを有していてもよく、例えばメモリ28に記憶されていてもよい。プログラムモジュール42は、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、および/またはプログラムデータを有していてもよい。オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、またはそれらの組み合わせの各々は、ネットワーキング環境の実装を有していてもよい。プログラムモジュール42のうちの1つ以上が、アセンブリセットの構築を実行してもよい。
【0139】
コンピュータシステム10は、ユーザーとコンピュータシステム10との相互作用を可能にする1つ以上の外部装置、例えばキーボード、位置決め装置(マウスなど)、およびディスプレイ24などと更なる通信を行ってもよい。斯かる通信は、入力/出力(I/O)インターフェース22を通して行われてもよい。コンピュータシステム10は、ネットワークアダプタ20を通して、1つ以上のネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的な広域ネットワーク(WAN)、および/またはインターネットなどの公的ネットワークなどと更なる通信を行ってもよい。ネットワークアダプタ20は、バス18を通して、コンピュータシステム10の他の構成要素と通信を行ってもよい。図示されてはいないが、コンピュータシステム10と並行して、他のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素が使用できることは理解されたい。
【0140】
図10に示されるコンピュータシステム10は、取り外し可能部分義歯のアセンブリセットを構築するように構成されていてもよい。コンピュータシステム10は、ローカルインターフェースを通して、患者の口腔のスキャンデータおよび/または取り外し可能部分義歯の構成要素(交換歯、人工歯肉部など)のデジタルモデルなどの処理対象データを受信可能な、ネットワーク接続の無い独立型コンピュータであってもよい。しかし、斯かる操作は、同様に、通信ネットワークおよび/または計算ネットワークなどのネットワークに接続されるコンピュータシステムを用いて実行されてもよい。
【0141】
図11は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットのデジタルモデル103を構築するための例示的コンピュータシステム10を示している。コンピュータシステム10は、例えば、
図10に示されるように構成されてもよい。コンピュータシステム10は、1つ以上のプロセッサ並びにマシン実行可能プログラム命令を記憶するメモリを有するハードウェア構成要素54を有していてもよい。1つ以上のプロセッサによるプログラム命令の実行により、1つ以上のプロセッサは、アセンブリセットのデジタルモデル103を構築するようにコンピュータシステム10を制御できる。コンピュータシステム10は、ユーザーとコンピュータシステム10との相互作用を可能にするキーボード58、マウス56などの外部装置を更に有してもよい。更に、コンピュータシステム10は、ユーザーインターフェース50を提供するディスプレイ24を有していてもよく、ユーザーインターフェースは、ユーザーがコンピュータシステム10を用いてアセンブリセットのデジタルモデル103の構築を制御可能にする制御要素52を有していてもよい。構築されたコンピュータシステム10は、ユーザーインターフェース50に表示されてもよい。
【0142】
図12は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築および製造するための製造システム105を示している。製造システム105は、
図11のコンピュータシステム10を有していてもよい。コンピュータシステム10は、当該コンピュータシステム10上で構築されるデジタルモデル103に従ってアセンブリセットの1つ以上の構成要素を製造するため、3Dプリンタを制御するように更に構成されていてもよい。3Dプリンタ60は、交換歯102などのアセンブリセットの構成要素を何層にも印刷するように構成された印刷構成要素62を有していてもよい。3Dプリンタ60が異なる素材を印刷できる場合には、アセンブリセットの複数の構成要素、例えば交換歯102、フレームワーク、下部人工歯肉部分、および/または上部人工歯肉部を印刷するのにそれが使用されてもよい。3Dプリンタ60が、例えば、単一の素材しか印刷できない場合は、アセンブリセットの異なる構成要素を印刷するのに、複数の3Dプリンタ60が使用されてもよい。
【0143】
図13は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築および製造するための更なる製造システム105を示している。製造システム105は、
図11のコンピュータシステム10を有していてもよい。コンピュータシステム10は、1つ以上の加工ツール72を用いてブランク76を加工するように構成された加工装置70を制御するように更に構成されていてもよい。原材料78のブランク76は、保持装置74を用いて提供され、制御された素材除去プロセスを実行するための1つ以上の加工ツール72を用いることにより、製造対象の構成要素(交換歯102など)の望ましい最終形状およびサイズに切断される。加工ツール72は例えばフライス工具であってもよい。加工装置70は、取り外し可能部分義歯の他の構成要素(フレームワークなど)を製造するのに使用されてもよい。実施形態によれば、コンピュータシステム10は、1つ以上の加工装置70に加えて、1つ以上の3Dプリンタ60を制御するように構成されてもよい。
【0144】
図14は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するための例示的方法のフローチャートを示している。ブロック200において、アセンブリセットの1つ以上の交換歯のデジタルモデルが提供される。ブロック202において、1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルが提供される。人工歯肉部分は各々上面および底面を有する。底面は各々、患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチするように成形されてもよい。ブロック204において、各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部において、各人工歯肉部分が分割される。
【0145】
ブロック206において、1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルが生成される。フレームワークは、取り外し可能部分義歯に安定性を与えその構造的一体化を保証するように構成される。フレームワークの保持部は、少なくとも交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有していてもよい。例えば、保持構造体は、上部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように更に構成されていてもよい。ブロック208において、フレームワークのデジタルモデルは交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルから減算され、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面上に表面構造体を生成し、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する。加えて、フレームワークも上部人工歯肉部分から減算され、フレームワークの保持部によって提供される保持構造体に係合するように構成された上部人工歯肉部分の底面に表面構造体を生成する。
【0146】
図15は、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを組み立てるための例示的方法のフローチャートを示している。アセンブリセットは、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有していてもよい。ブロック300において、上部人工歯肉部分が保持部に配置される。上部人工歯肉部分は各々1つ以上の貫通穴を有していてもよい。ブロック302において、交換歯が貫通穴に配置される。交換歯は、当該交換歯の底面の表面構造体がフレームワークの保持部の補足的保持構造体と係合するように、上部人工歯肉部分の貫通穴を通って延伸する。表面構造体は交換歯を収納および保持するように構成されている。交換歯の各表面構造体は、係合済み補足的保持構造体と組み合わさって、各交換歯と各保持部との間に非破壊的取り外し可能直接接続を形成してもよい。
【0147】
ブロック304において、下部人工歯肉部分は保持部の1つの下に配置される。各下部人工歯肉部分は、上面および底面を有していてもよい。底面は、患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチするように成形されてもよい。上面は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置される)によって提供される補足的保持構造体に係合する更なる表面構造体を有していてもよい。各更なる表面構造体は、係合済み補足的保持構造体と組み合わされることにより、下部人工歯肉部分とフレームワークの保持部との間に更なる非破壊的取り外し可能直接接続を提供してもよい。代替実施形態によれば、ブロック304は、ブロック302および/またはブロック300の前に実行されてもよい。
【0148】
組み立てられた取り外し可能部分義歯は、患者の口腔に適切に適合するか否かを更に検査されてもよい。適合が適切であれば、取り外し可能部分義歯は分解され、直接接続を永久的にするため、接着剤を用いて再組立されてもよい。適合が不十分であれば、取り外し可能部分義歯は分解され、不十分な構成要素が調整されるか、新しい構成要素で置き換えられ、当該取り外し可能部分義歯は再び組み立てられる。再度組み立てられた取り外し可能部分義歯は、患者の口腔に適切に適合するか否か検査されてもよい。
【0149】
本発明は図面および前述の記載で詳細に図示および説明されてはいるが、斯かる図示および説明は単に例示的および例証的なものであり限定的なものではないことは理解されたい。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。
【0150】
開示された実施形態の他の変形が、図面、開示、および添付の特許請求項から理解されてもよく、特許請求項に係る発明を実践する当業者によって実現されてもよい。特許請求項において、「有する」という用語は他の要素または工程を排除するものではなく、「aまたはan(一つの)」という不定冠詞も複数形を排除するものでもない。特定の手段が相互に異なる従属請求項において列挙されていたとしても、それは、斯かる手段の組み合わせは活用できないということを意味するものではない。特許請求項のいずれの引用符号も特許範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0151】
単一のプロセッサまたは他の装置が、特許請求項で列挙されている複数項目の機能を達成するものであってもよい。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒にまたはその一部として提供される光学記憶媒体またはソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶させたり分散させたりしてもよいが、例えばインターネットあるいは他の有線または無線遠隔通信システムを通して他の形態で分散させてもよい。
【0152】
潜在的に有利な実施形態は、以下の特徴の組み合わせを有してもよい。
【0153】
1.患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットであって、当該アセンブリセットは、1つ以上の交換歯並びに1つ以上の保持部を有するフレームワークを有しており、
保持部の各々は、1つ以上の交換歯を収納および保持するように構成されており、
交換歯の各々は、第一表面構造体を有する底面を有しており、第一表面構造体は、各交換歯を収納するように構成されたフレームワークの保持部の1つによって提供される割り当て済み補足的第一保持構造体に係合するように構成されており、
第一表面構造体の各々は、割り当て済み補足的第一保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する交換歯と各割り当て済み補足的保持構造体を有する保持部との間に、第一非破壊的取り外し可能直接接触を提供する。
【0154】
2.項目1記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第一表面構造体の各々は、各第一表面構造体を有する交換歯の底面から突出する1つ以上の第一突起を有しており、
1つ以上の第一保持構造体の各々は、1つ以上の第一突起を収納する1つ以上の第一収納部分を有しており、
第一突起の各々は、第一非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第一突起を収納するように構成された第一収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0155】
3.項目1~2のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第一保持構造体の各々は、各第一保持構造体を有する保持部から突出する1つ以上の第一突起を有しており、
1つ以上の第一表面構造体の各々は、1つ以上の第一突起を収納するための1つ以上の第一収納部分を有しており、
第一突起の各々は、第一非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第一突起を収納するように構成された前記第一収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0156】
4.項目2~3のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の整列済み第一収納部分の各々は、第一非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、交換歯と保持部との間に追加の第一永久的接続を提供するため、整列および収納された第一突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成される。
【0157】
5.項目1~4のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の上部人工歯肉部分を更に有しており、上部人工歯肉部分の各々は、保持部の1つに配置されるように構成され、1つ以上の貫通穴を有するものであり、
貫通穴の各々は、各交換歯の底面の表面構造体が各保持部の割り当て済み補足的保持構造体に係合するように、交換歯の1つを収納するように構成される。
【0158】
6.項目5記載のアセンブリセットにおいて、上部人工歯肉部分の各々は、割り当て済み補足的第二保持構造体に係合するように構成された第二表面構造体を有する底面を更に有しており、割り当て済み補足的第二保持構造体は、フレームワークの保持部(各上部人工歯肉部分がその上に配置されるように構成される)によって提供されるものであり、
各第二表面構造体は、割り当て済み補足的第二保持構造体と組み合わされることにより、各第二表面構造体を有する上部人工歯肉部分と各割り当て済み補足的第二保持構造体を有する保持部との間に、第二非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0159】
7.項目6記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第二表面構造体は、各第二表面構造体を有する上部人工歯肉部分の底面から突出する1つ以上の第二突起を有しており、
1つ以上の第二保持構造体の各々は、1つ以上の第二突起を収納するための1つ以上の第二収納部分を有しており、
第二突起の各々は、第二非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第二突起を収納するように構成された第二収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0160】
8.項目6~7のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第二保持構造体の各々は、各第二保持構造体を有する保持部から突出する1つ以上の第二突起を有しており、
1つ以上の第二表面構造体の各々は、1つ以上の第二突起を収納する1つ以上の第二収納部分を有しており、
第二突起の各々は、第二非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第二突起を収納するように構成された第二収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0161】
9.項目7~8のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第二保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって支えられ、1つ以上の上部人工歯肉部分の下に各保持部上に配置されるように延伸する構成になった共通の保持構造体によって提供される。
【0162】
10.項目7~8のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第二保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって支えられ、1つ以上の上部人工歯肉部分の下に各保持部上に配置されるように延伸する構成になった共通の保持構造体によって提供される。
【0163】
11.項目5~10のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の上部人工歯肉は、フレームワークの保持部(各上部人工歯肉部分がその上に配置されるように構成される)を越えて横方向に延伸する1つ以上の側部を有しており、
側部の各々は、患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成された底面を有する。
【0164】
12.項目1~11のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の下部人工歯肉部分を更に有しており、下部人工歯肉部分の各々は、保持部分の1つと患者の天然歯肉との間に配置されるように構成されており、
下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有しており、
底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されており、
上面は、割り当て済み補足的第三保持構造体に係合するように構成された第三表面構造体を有しており、割り当て済み補足的第三保持構造体は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置されるように構成されている)によって提供されるものであり、
各第三表面構造体は、割り当て済み補足的第三保持構造体と組み合わされることにより、各第三表面構造体を有する下部人工歯肉部分と各割り当て済み補足的第三保持構造体を有する保持部分との間に、第三非破壊的取り外し可能直接接続を提供する。
【0165】
13.項目12記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第三表面構造体の各々は、各第三表面構造体を有する下部人工歯肉部分の上面から突出する1つ以上の第三突起を有し、
1つ以上の第三保持構造体の各々は、1つ以上の第三突起を収納する1つ以上の第三収納部分を有しており、
第三突起の各々は、第三非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第三突起を収納するように構成された第三収納部分のうちの1つの各位置に整列された位置に配置される。
【0166】
14.項目12~13のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の第三保持構造体の各々は、各第三保持構造体を有する保持部から突出する1つ以上の第三突起を有しており、
1つ以上の第三表面構造体の各々は、1つ以上の第三突起を収納する1つ以上の第三収納部分を有しており、
第三突起の各々は、第三非破壊的取り外し可能直接接続を確立するため、各第三突起を収納するように構成された第三収納部分のうちの1つの各位置に整列する位置に配置される。
【0167】
15.項目13~14のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、1つ以上の整列済み第三収納部分の各々は、第三非破壊的取り外し可能直接接続が確立された際に、下部人工歯肉部分と保持部との間に追加の第三永久的接続を提供するため、整列および収納された第三突起の先端に、接着剤を受け取るために残されたフリースペースを提供するように構成される。
【0168】
16.項目12~15のいずれか一項記載のアセンブリセットにおいて、保持部の各々に関して、各保持部の1つ以上の第一保持構造体および各保持部の1つ以上の第三保持構造体は、1つ以上の交換歯の下に各保持部によって収納され、各保持部の下の1つ以上の下部人工歯肉部分上に配置されるように延伸する構成になった同一の保持構造体によって提供される。
【0169】
17.患者用取り外し可能部分義歯であって、当該部分義歯は、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有し、
保持部の各々は、1つ以上の交換歯を収納および保持するように構成されており、
上部人工歯肉部分の各々は、保持部の1つに配置され1つ以上の貫通穴を有しており、
交換歯の1つは貫通穴の各々に配置されており、
交換歯の各々は、第一表面構造体を有する底面を有しており、第一表面構造体は、各交換歯を収納するように構成されたフレームワークの保持部の1つによって提供される割り当て済み補足的第一保持構造体に係合しており、
第一表面構造体の各々は、係合済み補足的第一保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する交換歯と係合済み補足的保持構造体を有する保持部との間に、非破壊的取り外し可能直接接触を形成しており、
下部人工歯肉部分の各々は、保持部の1つと患者の天然歯肉との間に配置されるように構成されており、
下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有しており、
底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されており、
上面は、割り当て済み補足的更なる保持構造体に係合する更なる表面構造体を有しており、割り当て済み補足的更なる保持構造体は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置される)によって提供されるものであり、
各更なる表面構造体は、係合済み補足的更なる保持構造体と組み合わされることにより、各更なる表面構造体を有する下部人工歯肉部分と各係合済み補足的更なる保持構造体を有する保持部分との間に、更なる非破壊的取り外し可能直接接続を形成する。
【0170】
18.患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するためのコンピュータシステムであって、当該コンピュータシステムは、プロセッサと、マシン実行可能プログラム命令を記憶するメモリとを有し、プロセッサによるプログラム命令の実行により、プロセッサは、
アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程と、
1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルを提供する工程であって、人工歯肉部分の各々は上面および底面を有し、底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する工程と、
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、1つ以上の人工歯肉部分の各々を分割する工程と、
1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルを生成する工程であって、保持部は、少なくとも1つ以上の交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する工程と、
1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルを減算する工程であって、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体を生成し、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する工程とを実行するようにコンピュータシステムを制御する。
【0171】
19.コンピュータプログラム製品であって、患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築するため、コンピュータ読み取り可能プログラムコードを組み込んだ不揮発性コンピュータ読み取り可能記憶媒体を有しており、構築する工程は、
アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程と、
1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルを提供する工程であって、人工歯肉部分の各々は上面および底面を有し、底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する工程と、
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、1つ以上の人工歯肉部分の各々を分割する工程と、
1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルを生成する工程であって、保持部は、少なくとも1つ以上の交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する工程と、
1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルを減算する工程であって、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体を生成し、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する工程とを有する。
【0172】
20.患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを構築する方法であって、当該方法は、
アセンブリセット用の1つ以上の交換歯のデジタルモデルを提供する工程と、
1つ以上の人工歯肉部分のデジタルモデルを提供する工程であって、人工歯肉部分の各々は上面および底面を有し、底面の各々は患者の天然歯肉の表面に配置されそれにマッチする形状を有する工程と、
各人工歯肉部分の底面の少なくとも一部を有する下部人工歯肉部分および各人工歯肉部分の上面を有する上部人工歯肉部分において、1つ以上の人工歯肉部分の各々を分割する工程と、
1つ以上の保持部を有するフレームワークのデジタルモデルを生成する工程であって、保持部は、少なくとも1つ以上の交換歯および下部人工歯肉部分に非破壊的取り外し可能直接接続を提供するように構成された保持構造体を有する工程と、
1つ以上の交換歯のデジタルモデルおよび下部人工歯肉部分のデジタルモデルからフレームワークのデジタルモデルを減算する工程であって、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各交換歯の底面に表面構造体を生成し、フレームワークの保持部の1つによって提供される保持構造体の1つに係合するように構成された各下部人工歯肉部分の上面に更なる表面構造体を生成する工程とを有する。
【0173】
21.患者の取り外し可能部分義歯用のアセンブリセットを組み立てる方法であって、アセンブリセットは、1つ以上の交換歯、1つ以上の保持部を有するフレームワーク並びに1つ以上の上部人工歯肉部分、および1つ以上の下部人工歯肉部分を有し、
当該方法は、
上部人工歯肉部分の各々を保持部の1つに配置する工程であって、上部人工歯肉部分の各々は1つ以上の貫通穴を有する工程と、
各交換歯を収納および保持するように構成されたフレームワークの保持部の1つの割り当て済み補足的保持構造体に係合する各交換歯の底部に表面構造体を有する交換歯の1つを貫通穴の各々に配置する工程であって、各表面構造体は、係合済み補足的保持構造体と組み合わされることにより、各表面構造体を有する交換歯と各係合済み補足的保持構造体を有する保持部との間に非破壊的取り外し可能直接接続を形成する工程と、
保持部の1つの下に下部人工歯肉部分の各々を配置する工程であって、下部人工歯肉部分の各々は、上面および底面を有しており、底面は患者の天然歯肉の表面に配置されかつそれと適合するように形成されており、上面は、割り当て済み補足的更なる保持構造体に係合する更なる表面構造体を有しており、割り当て済み補足的更なる保持構造体は、フレームワークの保持部(その下に各下部人工歯肉部分が配置される)によって提供されるものであり、各更なる表面構造体は、係合済み補足的更なる保持構造体と組み合わされることにより、各更なる表面構造体を有する下部人工歯肉部分と各係合済み補足的更なる保持構造体を有する保持部分との間に、更なる非破壊的取り外し可能直接接続を提供するものである工程とを有する。
【符号の説明】
【0174】
10:コンピュータシステム
14:外部装置
16:処理装置
18:バス
20:ネットワークアダプタ
22:I/Oインターフェース
24:ディスプレイ
28:メモリ
30:RAM
32:キャッシュ
34:記憶システム
40:プログラム
42:プログラムモジュール
50:ユーザーインターフェース
52:制御要素
54:ハードウェア装置
56:外部装置
58:外部装置
60:3Dプリンタ
62:印刷要素
70:加工装置
72:加工ツール
74:保持装置
76:ブランク
78:素材
100:アセンブリセット
101:取り外し可能部分義歯
102:交換歯
103:デジタルモデル
104:表面構造体
105:生成システム
106:突起
110:フレームワーク
112:保持部
114:保持構造体
116:収納部分
120:下部人工歯肉部分
122:表面構造体
124:突起
126:底面
130:上部人工歯肉部分
132:貫通穴
134:側部
136:底面
140:デジタル義歯モデル
142:天然歯肉