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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】コーヒーの濾過器
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20250121BHJP
   A47J 31/02 20060101ALI20250121BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20250121BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A47J31/06 160
A47J31/02
B65D77/00 A
B65D85/804 100
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023125327
(22)【出願日】2023-08-01
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591253401
【氏名又は名称】片岡物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070286
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 伸治
(72)【発明者】
【氏名】小杉 章則
(72)【発明者】
【氏名】武内 祐佑
(72)【発明者】
【氏名】安彦 隆
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-101992(JP,A)
【文献】特開2013-048897(JP,A)
【文献】特開平11-104018(JP,A)
【文献】特開2015-205055(JP,A)
【文献】実開平5-56027(JP,U)
【文献】登録実用新案第3223115(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/02
B65D 77/00
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要剛性を有するシート状片からなる基板と、この基板の下面に止着されるフィルター製の濾過袋とを有し、前記基板は中央部に開設する開口部を挟む左右に対の脚片部を、この開口部の前後に上記脚片部の上端部相互を繋ぐ接続片部を上記左右の脚片部のそれぞれの脚端部には容器の開口縁部に掛け止める係止部を、また中央部には前記上端部と脚端部との間に亘る二つ折りにするための第一の折り曲げ線部を、そして前記前後の接続片部のそれぞれの端部分には前記脚片部の折り曲げに連動し、補助する第二の折り曲げ線部を各形成すると共にこの前後の接続片部のそれぞれの外側縁部には摘み片を突設して、上記基板は、その下面に前記濾過袋の開口縁部を添わせて前記開口部を取り囲むように一体に止着し、上記基板と前記濾過袋とを組み合わせる一方、上記濾過袋には所要量のコーヒー粉末を投入し、この状態において前記基板前記左右の脚片部をそれぞれ前記第一の折り曲げ線部を基準にして下面側に向けて二つ折りに折り曲げ、これに併せて前記前後の接続片部のそれぞれの端部に形成する前記第二の折り曲げ線部を基準にしてこれ等の端部分をそれぞれ下面側に向けて二つ折りに折り曲げ、この折り曲げと前記脚片部の折り曲げによって前記左右の脚片部をそれぞれ二つ折りにして扁平状に畳み込むと共に、この左右の脚片部を相対向する如く並行状に引き揃えてこの両脚片部の間にコーヒー粉末を封入した前記濾過袋を挟み込み、同時に上記第一及び第二の折り曲げ線部を基準にした折り曲げによって前記前後の接続片部を立ち上げ、併せてその外側縁部に突設する前記摘み片相互を寄り合わせて立ち上げると共にこの接続片部上面側相互の寄り合わせにより前記開口部を閉塞し、併せて前記濾過袋の開口縁部を閉塞するようにしたことを特徴とするコーヒーの濾過器。
【請求項2】
請求項1に記載のコーヒーの濾過器において、前記第一,第二の折り曲げ線部を基準に折り曲げて扁平状に折り畳まれる基板は、開口部に臨む両脚片部の二つ折りになる上端部の下面同を接面状に添わせて相互を剥離可能に接合し、基板を二つ折り状態に維持すると共に上記開口部を閉塞状態に保持することを特徴としたコーヒーの濾過器。
【請求項3】
請求項1に記載のコーヒーの濾過器において、前記第一,第二の折り曲げ線部を基準に折り曲げて扁平状に折り畳まれる脚片部の折り畳みに伴って閉じ合わされる開口部の上方に対面状に起立する摘み片相互を剥離可能に接合し、上記開口部を閉塞保持することを特徴としたコーヒーの濾過器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てに係るコーヒーの濾過器に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てのコーヒーの濾過器は、主にレギュラーコーヒーを抽出する濾過器として広く普及しており、各種様々な形態,構造のものが提案され、実用化され、市販されている。
この使い捨てのコーヒーの濾過器(以下、単に「濾過器」という。)は、基本的な構造としてフィルター製の袋、通常は不織布、プラスチック製乃至紙製のフィルターを素材にした袋体(濾過袋)と、この袋体をコーヒーカップ等の容器の縁に掛け止めて支持する厚紙等からなる支持体(基板)とから作られ、上記袋体には予め所要量のコーヒー粉末を封入して使用に備えられている。そして、通常は封入するコーヒー粉末の鮮度を保つためこの濾過器をアルミ箔等の気密性に優れる包装容器に収納し、保管しているのが一般的である。
【0003】
この濾過器の使用に当たっては、先ず袋体上部の開口部を開放し、この状態で上記支持体を使ってコーヒーカップ等の容器の縁に掛け止め、或いは載置する等して使用可能な状態、つまりセット状態にして取り付けを行うようにしている。そして、開放された袋体の開口部から湯を注ぎ込んで袋の内部でコーヒーの成分を抽出し、この抽出液(コーヒー液)を袋体で濾過しながら直接容器に受けるものとなっている。
【0004】
この濾過器は、上述のように濾過器として使用する時、単に湯を注ぐことでレギュラーコーヒーを簡単に得られること、袋に封入するコーヒー粉末の量が予め決められることによりコーヒー液の濃度を略一定に保てること、更には使用後に始末するとき、袋にコーヒー粉末を残したまゝ濾過器そのものを廃棄処理することができること等からコーヒーの愛飲家からは簡便に取扱える容易さが評価され、広く利用されている。
【0005】
この濾過器については、フィルター製の袋体に予め所定量のコーヒー粉末を封入して置き、使用時に袋体を開封して湯を注ぎコーヒー液を抽出する構造については、殆どの機種において共通しているが、袋体を支持する手段、つまり支持体については様々な構造のものが提案されている。
その代表される一つは、コーヒーカップ等の容器の縁に橋形の支持体を渡す構造のものであり、袋体の開口縁部をこの橋形支持体の中央位置に固定して容器の中に吊下げる様にしたものである。また別のものとしては、袋体の開口縁部にハンガー形のフックを一個、若しくは対称形に二個のフックを配置固定してこのフックを容器の縁に掛け止めることにより袋体を容器の中に吊下げ支持する様にしたものである。
【0006】
この橋形の支持体によるもの、或いはハンガー形のフックによるものは、比較的簡潔な構造に係ることに併せて、使用に当たっての取り扱い操作が容易であり、簡単に扱えることに特徴があるが、その反面、上記構造に係る濾過器は、袋体が支持体から吊下がった状態で支持されることから、セット状態において袋体が容器の中に入り込み、抽出中に先に抽出されて容器内に溜まるコーヒー液に浸かると言う問題があった。つまり、袋体が容器内のコーヒー液に浸かることによって袋体内の抽出液の濾過が妨げられ、その結果、速やかな抽出が妨げられて不要な時間が掛り、予め想定した抽出時間を超えることでコーヒーに期待される風味が損なわれると言った問題があったのである。
【0007】
この様な問題を解決する為、本出願人は、セット時にコーヒー粉末を収めた袋体をコーヒーカップの上方に高く支持することができる支持体を開発し、この支持体と袋体からなる濾過器を先に、例えば引用文献1で提案した。
【0008】
この引用文献1に記載の濾過器は、支持体、つまり支持板を厚紙等のシート片から形成して、不使用時にはこの支持版を幅方向に二つ折りにしてこの支持板の下面に止着する袋体を挟み込み、扁平状に折り畳んで包装容器に格納し易くしてあり、その一方、使用に当たっては、この支持板の折り曲げを戻して扁平に展開した後、この支持板の中央部に形成する開口部を挟んで両側に設けられる一対の支持脚片をそれぞれ下に向けて折り曲げ、全体形状をアーチ形にしたところで、この両支持脚片の脚端をそれぞれコーヒーカップ等の縁に掛け止め、カップ上に立ち上げることでセットする構造になっている。その為、上記セット状態において支持板の下面に止着された袋体は、支持脚片の立ち上がりによってカップの上方に支持されるものとなっている。
【0009】
従って、上記引用文献1の濾過器の利点は、カップ上にセットした後、上記開口部から袋体に湯を注ぐことでコーヒーを抽出できることは言うまでもないが、更に言えば、袋体がカップの上方に高く支持されることによって、この袋体と先に抽出されるコーヒー液との接触、つまり袋体がコーヒー液に浸かってしまうことが無いことから、予め想定する濾過速度で抽出することができること、つまり袋体に収納されるコーヒーの粉末量に対して予め設定する適正な抽出時間に沿ってコーヒーの抽出ができることにあり、その結果、迅速に、しかも風味を損なうことのないコーヒー液が得られる利点がある。
【0010】
ただ、この引用文献1に記載の濾過器の一つの難点は、使用に当たって支持板を板状に扁平に展開した後 この支持板の左右の支持脚片を折り曲げてアーチ形状に保つことである。そして、これに併せてこのアーチ形を維持しながら両脚端に設ける係止部を容器の縁部に掛け止めることの操作,作業に取り扱いに慣れない者にとっての難点があることである。
【0011】
多くの利用者には、上記の問題は、然程の障害にはなっていないが、折り曲げられる支持板にはカップに対して多少緊張した状態でセットできるように所要の剛性を有した素材が使われていることから、支持板には復元力が有り、この復元力が容器にセットする際に作業の妨げになっていることにある。つまり、両支持脚片の脚端を一緒に掛け止めないと外れて跳ね上がりコーヒー粉末を撒き散らすと言ったことになるため、容器へのセット作業には多少の加減と要領が求められることになる。
【0012】
更に言えば、利用するに当たっては、この支持脚片の掛け止めの作業に併せて、閉じた状態にある袋体の開口部を開封する作業とが求められることから、始めてこの濾過器を利用するとき操作に慣れていないことによって、或いは操作において手際が悪いことによって、この両方の作業の順序、手順が混乱して手際よく正しくコーヒーカップ上にセットできない、と言うことがあり、これが利用上の障害になっていたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特公昭59-30411号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は上述した問題に鑑み、これを改善すべく開発されたものであり、その目的とするところは、前記引用文献1に記載の濾過器を始めとして同種構造の濾過器の利用に当たって、支持板(基板)の左右に設けられる支持脚片(脚片部)を立ち上げるためアーチ形に折り曲げた時、これに伴って支持板の復元力が作用してコーヒーカップ等容器の縁に合わせたアーチ形の形状の維持が困難乃至は出来ないことによってセット状態に持ち込めない、と言う問題、更には使用に当たって脚片部(支持脚片)をアーチ形に折り曲げる作業と、閉じられた開口部を開放する作業のいずれを先行すべきかを迷って上手に取り扱えない、と言った問題等を解決すべく提案されたものであり、使用者において容易に且つ安全,確実に使用できるようにした濾過器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するため、濾過器の本体となるシート状片からなる基板を予め扁平に折り畳んだ形状に形成してその姿の全体を縮小化し、これにより小型の包装容器に収納できるようにする一方、使用するに当たって折り畳んで置く上記基板の左右の脚片部を二つ折り状態から開くことで、脚片部双方が基板の中央部に開設する開口部を挟んで相対向する如く起立させることができ、この起立した状態においてそれぞれの脚片部の脚端に設ける係止部をそのまま容器の縁に向け下ろして掛け止め、この操作でセットできる様にしたことにあり、併せてこの操作によって折り畳まれて閉塞状態にある基板の上記開口部を同時に開放できる様にしたコーヒーの濾過器を提供することにある。
【0016】
更に詳述すれば、本発明は、所要剛性を有するシート状片からなる基板と、この基板の下面に止着されるフィルター製の濾過袋との組み合わせになるコーヒーの濾過器であって、前記基板は、中央部に開設する開口部を挟む左右に対の脚片部を、また開口部の前後に上記脚片部の上端部相互を繋ぐ接続片部を設け、更に上記左右の脚片部のそれぞれの脚端部には容器の開口縁部に掛け止める係止部を、また中央部には前記上端部と脚端部との間に亘る二つ折りにするための第一の折り曲げ線部を、そして前記前後の接続片部のそれぞれの端部分には前記脚片部の折り曲げに連動し、補助する第二の折り曲げ線部を各形成して、この様にしてなる上記基板の下面に前記濾過袋の開口縁部を添わせて前記開口部を取り囲むように一体に止着し、これにより基板と前記濾過袋とを組み合わせる一方、上記濾過袋には所要量のコーヒー粉末を投入し、また前記基板は前記左右の脚片部をそれぞれ前記第一の折り曲げ線部を基準にして下面側に向けて二つ折りに折り曲げ、これに併せて前記前後の接続片部のそれぞれの端部分に形成する前記第二の折り曲げ線部を基準にしてこれ等の端部をそれぞれ下面側に向けて二つ折りに折り曲げ、この折り曲げと前記脚片部の折り曲げとによって前記左右の脚片部をそれぞれ二つ折りにして扁平状に畳み込むと共に、上記左右の脚片部を相対向する如く並行状に引き揃えてこの両脚片部の間にコーヒー粉末を封入した前記濾過袋を挟み込み、同時に上記第一及び第二の折り曲げ線部を基準にした折り曲げによって前記前後の接続片部の立ち上がりに伴う上面側相互の寄り合わせにより前記開口部を閉塞し、併せて前記濾過袋の開口縁部を閉塞するようにしたことを特徴とするコーヒーの濾過器を提供することにある。
【0017】
本発明に係る濾過器は、その本体となる基板について第一,第二の折り曲げ線部を基準にして、左右の脚片部をそれぞれ二つ折りにして扁平に折り畳むと同時に、この折り畳みに併せて両脚片部と繋がる前後の接続片部のそれぞれの端部分を下面側が接面する様に折り曲げると、濾過器全体が濾過袋を中に挟んで扁平状に折り畳まれることになる。そして、この折り畳みによって左右の脚片部が扁平に折り畳まれて向き合い、並行した形で畳まれることになる。
その一方、この折り畳みにより前記基板の開口部が両脚片部の折り畳みによって、前後の接続片部の下面側が接面し、閉じ合わせになることから、これに伴って開口部を取り囲んで一体に止着される濾過袋の開口縁が閉じ合わせになり、閉塞されることになる。
【0018】
この様にしてなる本発明濾過器は、折り畳まれた状態で包装容器等に収納され、保管されることになる。
そして使用に当たって、前記閉じ合わせた前後の接続片部を前後方向に引き離すと、これに伴って基板の開口部が開き、濾過袋の口が開放されることになる。そして、この開放操作の中で左右の脚片部の折り畳み角度を少しばかり残してその横断面形が略「くの字形」になったところで止めると、左右の脚片部は向かい合わせの状態を維持して起立することになり、所要の強度を持った自立可能な対の脚片部を形成することになる。
【0019】
つまり、上記濾過器は、前後の接続片部を開いて開口部を開放し、これに併せて左右の脚片部の折り畳み状態を多少の角度を残して開くと、この相互が連動してそのまま容器に取り付けられるセット可能な状態、形状が作られることになるのである。
更に言えば、前後の接続片部が開かれると、これに伴い左右の脚片部が開き、折り曲げ状態を少し残したところで止めると、対立した状態で起立することになり、所要の強度をもって自立することになる。その為、これ等の脚端を容器の縁に向けて下ろし、それぞれの脚端に設ける係止部を掛け止めると、そのまま容器に対するセットが完了することになるのである。
【0020】
従って、本発明濾過器によれば、使用(利用)に際して扁平状に閉じられた前後の接続片部を引き離すことにより、濾過袋の口を開くことができ、同時に、左右の脚片部を所要強度をもって対立した状態にしてそのままセット可能な状態とすることができることから使用に際しての作業、操作は極めて単純なものとなり、容易で、安全に取り扱えるものとなるのである。
ことに、本発明濾過器は、上記の如く一つの操作によって濾過袋を開口させ、同時に脚片部の起立状態を作ることができること、そしてこの状態を維持してそのままセットできることから簡便性があり、前記従来の濾過器の様に基板の剛性による復元力に抗して左右の脚片部をアーチ形に曲げたり、これを維持しながらセットする不安定な中での作業や、これとは別に開口部を開く作業を要すると言ったことが無いことから遥かに取り扱いが容易なものになる。
【0021】
また本発明は、前記濾過器において、前記第二の折り曲げ線部は、各接続片部の両端部において前記開口部に臨む一端から接続片部の外側縁の他端に向けて互いに寄り合う略45度の角度を付けて配置し、この第二の折り曲げ線部同士が開口部側に向けて略ハの字形に開いた形状に配置されることを特徴としたコーヒーの濾過器を提供することにある。
【0022】
上記第二の折り曲げ線部は、前後の接続片部のそれぞれの両端部に設けられるものであり、左右の脚片部が第一の折り曲げ線部を基準にして二つ折りに折り曲げられてその下面同士が前後から寄り合わせになると、この動きに伴って上記第二の折り曲げ線部を基準にして上記端部が下面側に向けて折れ曲がり、これによりその下面側同士が接面する様に曲がるのに伴って脚片部の上端部に繋がる部分(端部分の方半部分)が外側に、そして接続片部側に繋がる部分(端部分の他半部分)が接続片部の主体部分と一体となって内側に、それぞれ折り曲がることになる。その結果、前後の接続片部は、上面側を内側に向けて対面する如く起立することになり、この起立に伴って前後の接続片部は互いに寄り合わせになり前記開口部を一線状に閉じ合わせることになる。そして、この閉じ合わせに伴って左右の脚片部の折り畳みが進行し、併せて上記開口部を閉じ合わせると共に、この開口部の上方に向けて両接続片部を立ち上げることになるのである。
【0023】
上記接続片部の端部分に配置される第二の折り曲げ線部が上述する様に略45度の角度であることは、上記操作による折り畳みを確実に誘導し、可能にするものである。この角度を基準にして「ハの字形」の広がり角度を少し狭めた状態にしてこの二つの第二の折り曲げ線部を配置すると、接続片部の主体部分の領域が狭くなるのに併せて、折り畳み状態にある左右の脚片部の向き合い角度が変わり、並行した状態から更に脚端相互が寄り合って狭まった形になる。また逆に広がり角度を広げれば脚端相互は離れることになる。
尚、上記角度を変えることによって、つまり45度を基準にして多少の変更があっても対立する左右の脚片部は並行状態が多少変更するに止まり、特段の問題を生じることはない。また、この第二の折り曲げ線部は直線的であることが望ましい。
【0024】
また、本発明は、前記濾過器において 前記第一,第二の折り曲げ線部を基準に折り曲げて扁平状に折り畳まれる基板は、前記開口部の閉じ合わせに伴わせて前記前後の接続片部をこの開口部の上方に対面状に起立させて、これにより当該接続片部を開口部の開放操作時の操作用摘み片としたことを特徴とするコーヒーの濾過器を提供することにある。
【0025】
この発明は、基板の折り畳みによって開口部の閉塞に伴いこの開口部の上方に向けて起立する前後の接続片部を開放操作用の摘み片とするものである。
この摘み片を前後方向に引き離すことによって、簡単確実に開口部を開放することができると同時に、基板の左右の脚片部を開いて所要強度を持った支持体を得ることができるものであり、簡単にセット可能な状態とすることができるものとなっている。
そして同時に、上記摘み片が設定されることによって使用時の作業手順が明確になることから取り扱いの間違いを解消することになる。
【0026】
また本発明は、上記コーヒーの濾過器において、前記第一,第二の折り曲げ線部を基準に折り曲げて扁平状に折り畳まれる脚片部の折り畳みに伴って閉じ合わされる開口部の上方に対面状に起立する前記摘み片相互を剥離可能に接合し、上記開口部を閉塞保持したことを特徴とするコーヒーの濾過器を提供することにある。
【0027】
この発明は、基板の開口部を前後の接続片部の寄り合わせによって閉じた時、更に確実に濾過袋の開口部を閉じてコーヒー粉末の零れ出しを防止するもので、対面する摘み片、つまり接続片部の上面側同士を接着剤等で容易に剥離することが可能な状態で接合することにより達成される。
【0028】
また本発明は、前記コーヒーの濾過器において、前記第一,第二の折り曲げ線部を基準に折り曲げて扁平状に折り畳まれる基板は、開口部に臨む両脚片部の上端部の二つ折りになることのよって接面する下面側同士を剥離可能に接合して、基板を二つ折り状態に維持すると共に上記開口部を閉塞状態に保持することを特徴としたコーヒーの濾過器を提供することにある。
【0029】
この発明は、閉じ合わせによって二つ折りになる左右の脚片部の上端部をその下面側が接面した状態に維持される様に剥離可能に接合するもので、前記摘み片同士を接合するのと同じく、開口部を確実に閉塞して濾過袋からのコーヒー粉末の零れ出しを防止するものである。
【0030】
また本発明は、前記コーヒーの濾過器において、前記第一及び第二の折り曲げ線部を基準にした折り曲げによって前記前後の接続片部の上面側相互を寄り合わせて前記開口部を閉じると共に、この開口部の閉じ合わせに伴って閉じ合わされる前記濾過袋の開口縁部を剥離可能に接合し、密封することを特徴としたコーヒーの濾過器を提供することにある。
【発明の効果】
【0031】
上記の構成から、本発明によれば、基板の中央部に開設する開口部を挟んで左右に設ける脚片部を二つ折りにして扁平に折り畳むことにより、この左右の脚片部を向かい合わせの状態にして略並行状に揃えることができ、この両脚片部の間に濾過袋を挟み込んで濾過器の全体形状を扁平に纏められることになる。この為、濾過器の全体形状を小型化することができ、従って、包装容器等に対する収納,保管を容易にすることができる。
【0032】
その一方、使用するに当たって、対面状に閉じられる前後の接続片部(摘み片)を前後方向に引き離せば、簡単に基板の前記開口部を開放することができ、又これにより閉じた状態にある濾過袋を同時に開くことができることから、迅速に且つ安全に使用できるものとなる。
【0033】
更に言えば、本発明濾過器は、上記接続片部の引き離しによって開口部が開放されることに伴って折り畳まれた左右の脚片部が開らかれ、これが断面形にして略「く」乃至は「へ」の字形に開くのに伴って互いの脚片部が向かい合わせの形を維持して起立し、更には前記第一、第二の折り曲げ線部が素材の復元力を殺いで二つ折り状態に、或いは扁平状に戻る力を殺ぐことからこの起立状態が維持されることにある。従って、この状態でこの濾過器をコーヒーカップ等の容器の縁に向けて下せば、両脚片部を揃えたまま脚端の係止部を容器の縁に掛け止めることができ、これによりセットを完了することができるのである。
【0034】
ことに、上記において、折り畳まれて完成状態となる本発明濾過器が第一及び第二の折り曲げ線部を基準にして左右の脚片部、及び前後の接続片部を折り曲げ、畳み込むことに伴いこの折り曲げ部分においての基板の素材が持っている復元力が殺がれることは、使用に当たって開いたとき、この開いた状態の形状が維持され確保されることであり、従って形状が安定化することから、使用においての取り扱いを容易にすることになる。
【0035】
更に言えば、折り畳まれた状態にある濾過器は、折り畳まれた形状を維持することになり、上記線部を基準にして開き立体化すると、この開いた姿において安定することになることから、左右の脚片部についてそれぞれの横断面形状を「く」乃至「へ」の字形になる様に開けば、この状態が維持されて起立状態が保たれることになり、その結果、これら脚片部によって濾過袋を支えることができることになるのである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る濾過器の正面図である。
図2】本発明に係る濾過器の左側面図である。
図3図1のA-A線に沿って断面とした濾過器の拡大縦断面図である。
図4】濾過器を展開した状態の平面図である。
図5】濾過器を展開し、更に基板と濾過袋に分解した状態の斜視図である。
図6】濾過袋の展開した状態の平面図である。
図7】基板の前後の接続片部を前後に開くと共に、左右の脚片部の二つ折りを開いて相対向するように起立させた状態の斜視図である。
図8】使用状態を説明する斜視図である。
図9図2のB―B線に沿って断面とした濾過器の開口部を閉じ合わせるための接合を説明する部分の縦断面図であり、図(A)は、接続片部同志を剥離可能に接合する場合であり、図(B)は、脚片部の上端部の下面側同志を剥離可能に接合する場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付する図面は、本発明に係る濾過器の一実施形態を示したものである。以下、この図面に示す実施の形態に基づき本発明を説明し、その特徴とするところを明らかにする。
図面において、符号1は本発明に係るコーヒーの濾過器であり、2はこの濾過器1の本体となる基板であり、3はこの基板2と一体となり濾過器を構成する濾過袋である。
【0038】
基板2は、ここでは所要剛性を有したやゝ厚手の板紙を素材にして横長長方形状に形成してあり、その中央部に開口部4を開設してある。この開口部4によって分けられた左右の部分に脚片部5,5が、そして並行状に渡り上記脚片部5,5の上端部相互を繋ぐ前後の接続片部6,6が設けてある。
【0039】
上記基板2は、使用するコーヒーカップ等の容器7の大きさに合わせて容器を跨ぐ大きさに形成してあり、また上記開口部4は、略正方形に近い形に開設してある。
上記開口部4は、コーヒー粉末8の投入口となり、湯の注ぎ込み口となるもので、これに対応した口径に開設される。
尚、ここでは基板2を横長の長方形状としたが、この形状に特定されるものでは無く、例えば、横長の楕円形状であっても良い。この基板2の形状は、濾過器1の最終的形状、つまり、濾過器のデザインによって選択されるもので、従って、想定するデザインを考慮して選択すれば良いことになる。ただ、対称に2つの脚片部5,5を設ける関係から長方形状や長楕円形状のものが選択の対象として適している。
【0040】
本発明濾過器は、後述する様に完成状態において立体的に組まれ、更に扁平状に折り畳まれるが、ここでは各部の構造を明らかにするため、展開し、或いは分解した状態を示すそれぞれの図面に基づき説明することにする。
図4は、本発明濾過器を平面的に展開した状態の図で、横長長方形状をなす基板2の左右の脚片部5,5には、それぞれ中央部に上記開口部4に臨む上端部5a、5aから脚端部5b、5bに亘る直線状の第一の折り曲げ線部9,9が形成してある。そして、前記前後の接続片部6,6には、それぞれの両端部分6a,6aに第二の折り曲げ線部10,10が設けてある。
【0041】
上記第一の折り曲げ線部9,9は、脚片部5,5を幅方向に二つ折りにする為の基線となるものであり、また第二の折り曲げ線部10,10は平面的に左右に伸びる上記脚片部5,5同志を接続片部6,6を挟んで向かい合わせになるように折り曲げるための基線となるものである。
この両線部9,10は、基板2の折り曲げを容易にするため、ここでは型押しによって溝形の線状凹部としている。この線部の形成については、型押しによる他、この型押しとミシン線と組み合わせても、またミシン線によって形成しても良い。
【0042】
上記脚片部5,5には、脚端部5b、5bに容器7の縁に掛け止めるための係止部11,11が設けてある。
この係止部11,11は、脚端部の縁に沿って弧状をなす切り込みと、この切り込みの両端部から折り返し状に切り込む切り込みによって略C字形をなすように形成してあり、これによって脚端部に沿った弧状の外側挟持片11a,11aと、内側挟持片11b,11bとを設けて、この内外の2片によって挟み付ける構造にしてある。尚、この係止部は、前記第一の折り曲げ線部9を中心に置いて左右の形状(図4において、前後の形状)が対象になる様にしてあり、これにより脚端部の中央部に位置する様にしてある。
【0043】
一方、第二の折り曲げ線部10,10は、前後それぞれの接続片部6,6の両端部分において斜めに配置してあり、この接続片部6と脚片部5とを劃する形にしてある。
この実施形態では、上記第二の折り曲げ線部10,10は、基板2の長さ方向(図4において左右方向)に対してそれぞれ45度の角度を以って設けてあり、更に互いがそれぞれ逆向きの角度を持つように配置してある。つまり、図4乃至図5に示したように接続片部6,6の両端部分の2本の折り曲げ線部10,10は、略「ハの字形」をなすように配置してあり、そして、これらの図面で明らかな様に、前後の接続片部6,6の両端部分の折り曲げ線部10,10同士は開口部4を挟んで対称形をなしている。
【0044】
上記の配置は、図4に示した通り、第二の折り曲げ線部10は接続片部6に接する前記開口部4の縁、つまり、この縁の端の部分に一端を置き、これから他端を接続片部6の外側の縁の中央部方向に向けて伸びるように配置して、二本の線部10,10が「ハの字形」をなすようにしているのである。
【0045】
この接続片部6,6の各両端部分6a,6aにおける第二の折り曲げ線部10,10は、前記第一の折り曲げ線部9,9を基準にして左右の脚片部5,5を幅方向に二つ折りにしたとき、この折り曲げに伴ってこの第二の折り曲げ線部10、10を基準にして接続片部6,6の端部分6a,6aを二つ折りに折り曲げるものであり、このときこの2種類の折り曲げ線部9,10は共働し、それぞれの折り曲げを誘導し合い、補助するものとなる。
【0046】
一方、上記基板2に組み付けられる前記濾過袋3は、紙状のフィルターを素材に形成してある。ここでは図6に展開して示したようにフィルター素材を縦長矩形状に切り出し、その左右の側縁部の中央部分をV字形に切除して、これによりフィルター素材の中央部に濾過袋の袋となる部分を作り、そのる一方、この素材の周縁部に沿って接着部12を細い帯状に設けて、この接着部12を介して接合することによって前記V字形の部分を貼り合わせ、これにより袋形状の袋部分を形成するようにしてある(図5を参照)。
【0047】
図5は、それぞれ個別に形成される基板2と上記濾過袋3とを分離して示す分解斜視図であり、上記濾過袋3は平面的に伸ばされた基板2に対して下面側から臨ませて前記開口部4を下から覆うようにして、この状態でフィルター素材の周縁部に設けた前記接着部12を基板の下面に貼り付け、これにより一体に組み付ける様にしてある。
尚、上記接着部12の接着に当たっては接着剤によって接着しても良いが、予め基板2の下面側に樹脂膜を設けて加熱融着する等して接合する様にしても良い。
【0048】
この様にして基板2と濾過袋3とを一体化することによって形成される濾過器1は、成形の過程において、図4に示した様に平面的に展開した姿になる。
この状態から前記第一、第二の折り曲げ線部9,10を介して折り曲げ、畳み込むことにより前後にやや厚みを持った扁平状の、立体的形状をなす本発明濾過器1が形成されることになる(図2を参照)。
以下、これにつき更に説明する。
【0049】
図7は、図4に示す上記平面状に展開する濾過器1を、前記第一及び第二の折り曲げ線部9,10を基準にして各部を折り曲げ、畳み込む途中の状態を示したものである。尚、この図7は、使用に当たって、折り畳まれた濾過器1を開く途中の姿ともなるので、これについては後述説明する。
【0050】
基板2の下面に濾過袋3を一体に止着して形成された濾過器1は、左右の脚片部5,5をその第一の折り曲げ線部9を基準にして幅方向に二つ折りに折り曲げると、この折り曲げに伴ってその上端部5a, 5aが閉じ合わされることになり、更にこの折り曲げに伴う閉じ合わせによってこの上端部5a、5aに繋がる前後の接続片部6,6の端部分6a,6aがそれぞれ第二の折り曲げ線部10,10を基準にして折れ曲がることになる。
この第一と第二の折り曲げ線部9,10を基準にした折り曲げは、強制的に同時に行うことになる。勿論、ここでの折り曲げは、その方法について特定されないが、製造過程における作業となることから通常は機械的な作業によって行われることになるとなる。
【0051】
そして、上記の折り畳みを更に進行させて左右の脚片部5,5の下面が寄り合わせになる様に折り畳みを進め、これに併せて前記第二の折り曲げ線部10,10を基準にして接続片部6,6の端部分6a,6aの折り曲げを進めると、この両者の折り曲げが同時に進行して脚片部5,5は二つ折り状態に、そして接続片部6,6はその端部分6a,6aをそれぞれ二つ折りにして折り畳まれることになり、その結果、基板2はその全体を二つ折り状態にして扁平な姿に畳まれることになる。
【0052】
図1及び図2は、この折り畳み状態を示したものであり、本発明濾過器1の完成状態を示している。
ここに示される様に、基板2の左右の脚片部5,5は二つ折りになって扁平になり、間に濾過袋3を挟み込むことになる。そして、この脚片部5,5の二つ折りは、開口部4の左右の縁部(この縁部は、脚片部5,5の上端部5a,5aの縁部でもある。)を二つ折りにするもので、これによりこの縁部が線状に閉じ合わされるのに伴って開口部4の前後の縁部が同時に寄り合わせになり、その結果、開口部4の縁部の全体が一線状に寄り合ってこれを閉塞することになる。
【0053】
更に言えば、上記左右の脚片部5,5は、前記第二の折り曲げ線部10,10を基準にした折り曲げに誘導されて向かい合わせに引き寄せられ、並行状に対立して濾過器全体の形状を小型化すると同時に、開口部4を閉じ合わせることになるのである。そして更に、これらの折り畳みによって前後の接続片部6,6は、脚片部5、5の折り畳みに伴う両端部分の折り曲げ線部10,10を基準にした二つ折りによって水平な状態から垂直な状態に略90度姿勢を変換することになり、これにより互いの上面側を向かい合わせにしながら寄り合い、上記閉じ合わせる開口部4の上方に向けて立ち上がることになる。
【0054】
図2及び図3は上記の状態を示したものである。接続片部6,6は、その上面側を接面させて開口部4を閉じると共に、この開口部に臨ませた濾過袋3の開口縁部を閉じることになる。そして、この接続片部6,6は、左右の脚片部5,5を繋ぐ働きを持つが、濾過器を使用する際には開口部4を開放し、畳まれた濾過器を開いて立体化するための操作用の摘み片13,13となるものである。ここでは図4図5に示したように接続片部6,6の外側縁部をやや弧状に拡張してこの摘み片13,13となる部分を拡大し、摘み易いものにしている。
【0055】
この様にしてなる本発明濾過器は、基板2と濾過袋3とを組み合わせた後、若しくは上記折り畳みを完成させた後に前記開口部4を通して所要量(通常は8~12g)のコーヒー粉末8を濾過袋3に投入することになる。
そして、折り畳まれた濾過器1は、接続片部6,6の寄り合わせで開口部4を閉じ、濾過袋3の口を閉じたところで、更に濾過袋3に投入したコーヒー粉末8の零れ出しを確実に抑える為、ここでは図9に示したように接面する前後の接続片部6,6同士を直接接合するか、二つ折りになって下面同士を接面させる脚片部の上端部5a、5aを接合するかの方法によて確実な閉塞が行われる。
【0056】
図9の図(A)は、寄り合わせになる接続片部6,6の内側縁部に沿って線状に接合する場合を示したものであり、接合部14は上記内側縁部の中央部分に設けてある。また、図(B)は、折り畳んだ脚片部の上端部5a、5aのそれぞれの下面側同士を線状に接合する場合を示しており、それぞれの接合部15,15は上端部に沿って設けている。このいずれの部分も基板2の一部であることから接合の確実性が高く、また平滑面状をなすことから接合し易く、安定した接合が得られるものとなっている。
【0057】
尚、上記いずれの接合部も接続片部6,6、つまり摘み片13,13を摘まんで前後に引き離すとき、簡単に剥離できる接合にしてある。その為、ここでは接合を線状にすることを選択しているが、線状に代えてこれを点線状、乃至点状に接合するようにしても良い。
又は、ここでは図示しないが、前記開口部4の閉じ合わせに伴って閉じ合わせになる濾過袋3の開口縁部をフィルター素材相互を剥離可能に直接接合することによって閉塞状態を確保しても良く、この場合は、濾過袋3の開口部を直接接合することになることから更に確実な密封状態を得ることができる。
【0058】
本発明濾過器は、折り畳んだ状態で袋状包装容器に収められる。図1の二点鎖線は本発明濾過器1を収める包装容器の外形を示したものである。この包装容器は、折り畳まれて扁平状になった濾過器1をその姿で収納できる様に扁平な袋容器になる。
次に、この濾過器の使用について説明する。
扁平状に折り畳まれた本発明濾過器1は、包装容器から取り出した後、対面した状態で立ち上がる摘み片13,13(即ち、前後の接続片部6,6)を持って前後に開くと、前記接合部14乃至15の接合を剥離して前後の縁部を寄り合わせて接面した状態にある開口部4を前後方向に開いてこれを開放することになる。そして、この開放操作により左右の脚片部5,5の各上端部5a,5aが二つ折り状態から平面状に向けて開くことになる。
【0059】
上記開放操作は、折り曲げた接続片部6,6の両端部分6a,6aを第二の折り曲げ線部10,10を基準にして開くものであり、また第一の折り曲げ線部9,9を基準にして脚片部5,5を開くものであって、この様にして開かれた本発明濾過器1は、先に説明した図7の状態と同じ形状になる。
つまり、開口部4の開放と同時に左右の脚片部5,5は、横断面形を略「くの字形」に開いて起立し、左右のものが互いに向かい合わせになるのである。
図8は、この様にして開いた本発明濾過器1をコーヒーカップ等の容器7上にセットした状態を示したものである。このセットに当たって、起立した両脚片部5,5の脚端部5a,5aをコーヒーカップの縁に向けて下ろし、脚端部の係止部11,11の内外の挟持片11a,11bを開いて内側挟持片11bをカップの内側に差し入れ、内外から挟み付けることで掛け止め固定を完了することができ、セットを完了することになる。
【0060】
この係止部11,11による取り付けによって脚片部5,5はカップ上に起立し、コーヒーカップ等容器7の中央部上方に濾過袋3を支持することになる。従って、使用者はこの状態、つまりこのセット状態において開口部4を通して湯を注ぎ込めば、コーヒーカップ7にコーヒー液を抽出することができることになる。
【0061】
以上説明した様に、本発明濾過器は、脚片部5,5及び接続片部6,6を第一及び第二の折り曲げ線部9,10を基準にして折り込むことによって基板2の全体を二つ折り状態にしてこの基板の間に濾過袋3を挟んで扁平の形態に畳むことができ、しかも上記脚片部5,5を並行状に寄り合わせることで小型化できることから保管,管理が容易であり、取り扱い易いものとなる。
その一方、使用に当たって接面した状態にある前後の接続片部6,6、即ち摘み片13,13を摘まんで前後に引き離せば、この操作だけで扁平に畳まれた上記濾過器1を開いて使用状態に立体化させることができ、しかも左右の脚片部5,5を向かい合わせの状態で起立させることができることからそのままコーヒーカップに安定した状態でセットできることになる。
【0062】
この時、第一及び第二の折り曲げ線部9,9、10,10を基準にして開かれる左右の脚片部5,5は、先の折り畳みによってこれらの線部9,9、10,10における復元力を阻害することから勝手に形状を戻すことが無く、従って、コーヒーカップに対する装着時に形状を保つために手で押さえて置く必要が無く、従って、簡単且つ容易に、しかも安全にセット出来ることになる。
更に加えて、上記接続片部6,6の引き離しは、閉じ合わせた開口部4の開放を同時に行うものであり、これが接合されるものであってもこの接合を剥離して簡単に開くことが出来るものとなっていることから濾過器の立体化操作とは別に開口部4の開放、そして濾過袋3の開封操作をする必要がなくなる利点がある。
【符号の説明】
【0063】
1 本発明に係る簡易型濾過器
2 基板
3 濾過袋
4 基板に開設する開口部
5 脚片部
5a 脚片部の上端部
5b 脚片部の脚端部
6 接続片部
6a 接続片部の端部分
7 コーヒーカップ等の容器
8 コーヒー粉末
9 第一の折り曲げ線部
10 第二の折り曲げ線部
11 係止部
11a 係止部の外側係止片
11b 係止部の内側係止片
12 濾過袋の接合部
13 摘み片
14,15 接合部
【要約】
【課題】容器に対するセットを容易にする。
【解決手段】基板(2)に開設する開口部(4)の左右に脚片部(5,5)、前後に接続片部(6,6)を設け、脚片部の中央部に第一の折り曲げ線部(9)、接続片部の両端部分(6a,6a)に第二の折り曲げ線部(10)を形成して基板の下面に濾過袋(3)を止着し、上記脚片部(5,5)を折り曲げ線部(9)を基準にして下面側に折り曲げ、接続片部の両端部分を折り曲げ線部(10)を基準に下面側に折り曲げ、これにより前記脚片部を扁平状に畳み込むと同時に、並行状に引き揃えて両脚片部の間に濾過袋(3)を挟むと共に前後の接続片部の上面側相互を寄り合わせて開口部(4)を閉じ、濾過袋(3)を閉塞して濾過器(1)を形成する。この濾過器の使用は接続片部(6)を前後に開くことによって開口部(4)を開放し、左右の脚端部(5)を起立させてセット可能な状態にする。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9