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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20250123BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20250123BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20250123BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
G06F3/0488
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022517701
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016406
(87)【国際公開番号】W WO2021220951
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2020078912
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐野 毅
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0373597(US,A1)
【文献】特開2015-103255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象機器に接続され、傾斜角度を変更可能な操作装置であって、
振動アクチュエータを有する第1構造体と、
前記操作対象機器と接続される第2構造体と、
前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する制振部材と、を備え、
前記第1構造体は、水平方向が長手である矩形状であり、前記第2構造体の方向に突起を有し、
前記振動アクチュエータは、前記第1構造体を前記水平方向に振動させ、
前記突起は、平面部と、前記平面部の両側から連続して前記振動アクチュエータの振動方向と前記水平方向に設けられた曲面部と、を有して前記第1構造体の下部に設けられ、
前記第2構造体は、前記振動アクチュエータの振動により、前記突起との接触点が前記平面部と両側の前記曲面部との間で変化する、
操作装置。
【請求項2】
第1の前記突起は、前記第1構造体の重心を通る直線上に設けられる
請求項に記載の操作装置。
【請求項3】
第2の前記突起は、前記第1構造体の重心を通る前記直線の外側にさらに設けられる
請求項に記載の操作装置。
【請求項4】
前記曲面部は、曲率が1mmである、
請求項1からのいずれか1つに記載の操作装置。
【請求項5】
前記第1構造体は、操作位置を検出するタッチパネルと表示パネルとを含むタッチパネルモジュールと、前記タッチパネルモジュールが配置される第1ケースと、前記第1ケースに取り付けられる第1支持体と、を有し、前記第1支持体に前記振動アクチュエータが配置され、
前記第2構造体は、前記制振部材を介して前記第1支持体と接続される第2支持体と、前記第2支持体が取り付けられる第2ケースと、を有し、
前記突起は、前記第1ケースに設けられた、
請求項1からのいずれか1つに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作装置に関し、特にハプティクス機能を有する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に開示されるようにタッチパネルなどのユーザーインターフェースにハプティクス(触覚フィードバック)機能を付与することが行われている。ユーザーインターフェースにハプティクス機能を付与する方法としては、ユーザーインターフェースに振動アクチュエータを設置し、ユーザーの操作に伴って振動アクチュエータを駆動し、ユーザーインターフェースに振動を伝えるものが、特許文献2に開示されている。
また、特許文献3には、タッチパネルディスプレイ部を回動可能に支持し、画面が常に見え易くかつ操作し易い状態に画面の角度を維持または調節する通信端末装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-103255号公報
【文献】特開2018-79434号公報
【文献】特開2000-232503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、傾斜角度を変更可能なタッチパネルディスプレイにハプティクス機能を付与した操作装置の構造については、開示されていなかった。また、発明者は、このような操作装置について、ハプティクス機能の振動により構造体同士の接触から異音が生じることを発見した。
【0005】
そこで本開示の目的は、上述課題に着目し、第1構造体と第2構造体の接触による異音を防止する操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る操作装置は、操作対象機器に接続され、傾斜角度を変更可能な操作装置であって、
振動アクチュエータを有する第1構造体と、
前記操作対象機器と接続される第2構造体と、
前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する制振部材と、を備え、
前記第1構造体は、前記第2構造体の方向に突起を有し、
前記突起は、平面部と、前記平面部から前記振動アクチュエータの振動方向と水平方向に設けられた曲面部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1構造体と第2構造体の接触による異音を防止する操作装置を提供することができる。また、本開示のうちいくつかによる他の効果については後述する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態である操作装置のブロック図である。
図2】同上操作装置の平面図である。
図3図2に示す操作装置の背面図である。
図4図2に示す操作装置の分解斜視図である。
図5図2に示す操作装置の分解斜視図である。
図6図3のA-A線断面図である。
図7図6の領域Cの拡大図である。
図8】リニア振動アクチュエータの一例を示す図である。
図9】従来例の操作装置を示すB-B線断面図である。
図10図3のB-B線断面図である。
図11図10に示す第1構造体における突起の斜視図である。
図12図2に示す操作装置の第1構造体の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の操作装置の実施形態として、複合機用の操作装置に適用したものを例に挙げて、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、操作装置100の機能を示すブロック図である。図1に示すように、操作装置100は、その機能として、リニア振動アクチュエータ10と、タッチパネル20と、表示パネル30と、制御部40と、デジタル/アナログ(D/A;Digital/Analog)変換部51と、直流カットフィルタ52と、アンプ53と、を備える。また、操作装置100は、操作対象となる複合機(操作対象機器)200と通信可能に有線あるいは無線接続される。また、操作装置100のうち、制御部40、D/A変換部51、直流カットフィルタ52及びアンプ53は振動アクチュエータの駆動装置50として機能し、リニア振動アクチュエータ10を駆動させる。
【0011】
リニア振動アクチュエータ10は、図8で示すように、厚さの薄い直方体状のケース11内にシャフト12が貫通した磁石13を備える。シャフト12の左右両端にはそれぞれバネ14、15が設けられており、磁石13をシャフト12の略中央に移動可能に保持している。ケース11内には磁石13と相対してコイル16が固定されており、コイル16に交流電流を印加することで錘となる磁石13がシャフト12に沿ってケース11の長手方向に往復直線運動を行い、ケース11を振動させる。なお、本開示の振動アクチュエータとしては、リニア振動アクチュエータ10に限定されるものではなく、例えば圧電素子を用いた圧電アクチュエータであってもよい。また、リニア振動アクチュエータ10の構造についても一例を示したものであり、構造等が異なるリニア振動アクチュエータを用いてもよい。
【0012】
タッチパネル20は、ユーザー(操作者)の操作位置(指やペンなどの位置)を検出する公知のタッチパネルを適宜適用でき、この場合、表示パネル30の前面を覆うように配置される。タッチパネル20は、ユーザーの操作位置の検出結果(座標情報)を操作信号として制御部40に送信する。タッチパネル20は、後述する振動伝達経路を経てリニア振動アクチュエータ10の振動がタッチパネル20に伝達されることでユーザーに触覚がフィードバックされる。タッチパネル20は、表示パネル30と接着等によって互いに固定され、表示パネル30と後述するタッチパネルモジュール111を構成する。
【0013】
表示パネル30は、制御部40の制御のもとで各種情報を表示するものであり、液晶表示パネル、有機EL表示パネル等の公知の表示器が適宜適用できる。特に、本実施形態においては、ユーザーが複合機200を操作するための操作メニュー画像が表示される。
【0014】
制御部40は、タッチパネル20の検出結果(操作信号)に基づいて表示パネル30及びD/A変換部51を制御し、また、複合機200に所定の動作を行わせるための機器制御信号を出力するものである。より具体的には、制御部40は、表示パネル30に所定情報を表示させたり、D/A変換部51に後述するアナログ信号を出力させたりする。制御部40は、例えば、演算回路や記憶回路、計時回路等を有するマイクロコンピュータが適用される。また、本実施形態においては、制御部40は、その機能としてD/A変換部51を備える。
【0015】
D/A変換部51は、制御部40のデジタル信号をアナログ信号に変換して出力する回路であり、本実施形態においては制御部40に内蔵される。D/A変換部51は、例えば0~5[V]の正のアナログ電圧をアナログ信号として出力する。なお、D/A変換部51は、制御部40とは別体に設けてもよい。リニア振動アクチュエータ10を駆動させるべく、アナログ信号は、直流成分と交流成分とを含み、正弦波などの所定の波形を示す。
【0016】
直流カットフィルタ52は、D/A変換部51から出力されるアナログ信号を入力し、アナログ信号の直流成分を遮断し、アナログ信号の交流成分を出力(通過)する微分回路である。直流カットフィルタ52は、例えばコンデンサが適用できる。
【0017】
アンプ53は、直流カットフィルタ52から出力されるアナログ信号の交流成分を入力し、増幅してリニア振動アクチュエータ10に出力する増幅回路である。
【0018】
次に、図2から図7を用いて、操作装置100の構造について説明する。図2は、操作装置100の平面図である。図3は、操作装置100の背面図である。図4は、操作装置100の表側から見た分解斜視図である。図5は、操作装置100の裏側から見た分解斜視図である。図6は、図3のA-A線断面図である。図7は、図6の領域Cの拡大図である。図6及び図7においては、図を見やすくするために断面を示すハッチングを省略した。
【0019】
図2から図7を適宜参照する。操作装置100は、第1構造体110と、第2構造体120と、ダンパーゴム(制振部材)130と、を備える。
【0020】
第1構造体110は、タッチパネルモジュール111と、第1ケース112と、第1支持体113と、リニア振動アクチュエータ10と、突起115と、を有する。なお、図5においては、タッチパネルモジュール111は第1ケース112に配置された状態である。
【0021】
タッチパネルモジュール111は、前述したように、タッチパネル20と表示パネル30が接着等で一体に構成された平板状の部材である。タッチパネルモジュール111は、操作装置100の最も表側に位置して操作面を構成する(図2参照)。タッチパネルモジュール111においては、タッチパネル20が表側に位置し、表示パネル30が裏側に位置する。タッチパネルモジュール111には、このほか表示パネル30の背面側を覆うケースなどを含んでもよい。
【0022】
第1ケース112は、タッチパネルモジュール111の周縁を囲む枠体であって操作装置100の表側の外装部材となるものである。第1ケース112は、例えば樹脂材料からなる。第1ケース112は、表から見て全体が略矩形状であり、タッチパネルモジュール111の中央部と対向する開口部112aと開口部112aを囲む周壁部112bとを有する。周壁部112bの表側には、タッチパネルモジュール111の周縁が配置される平面状の配置部112cが設けられている。第1ケース112の配置部112cとタッチパネルモジュール111の周縁とは接着テープ112dを介して互いに固定される。また、周壁部112bの裏側にはネジ孔112eが複数箇所(本実施形態では4箇所)形成される。
第1ケース112は、第1ケース112の下部且つ第2構造体120の方向に突起115が形成される。突起115の詳細については、後述する。
【0023】
第1支持体113は、第1ケース112に取り付けられる支持体である。第1支持体113は、例えば鉄などの金属材料からなり、第1ケース112よりも剛性が高い材料が用いられることが望ましい。第1支持体113は、第1ケース112の裏側に位置する。第1支持体113は、表側から見て略H字状に形成され、第1ケース112のネジ孔112eに対応する複数箇所に貫通孔113aを有する。第1ケース112は、貫通孔113aを通るネジS1がネジ孔112eに締め込まれることで第1支持体113にネジ止めされる。また、第1支持体113の裏面側には、リニア振動アクチュエータ10が配置される。第1支持体113は、リニア振動アクチュエータ10の配置箇所に対応してネジ孔113bが複数箇所形成されている。リニア振動アクチュエータ10は、自らに形成される貫通孔10aを通るネジS2がネジ孔113bに締め込まれることで第1支持体113にネジ止めされる。また、第1支持体113の裏面側には、後述するダンパーゴム130の貫通孔131に挿入するための円筒部113cが複数箇所(本実施形態では4箇所)設けられている。なお、円筒部113cの孔部はネジ孔113dとなっている(図7参照)。
【0024】
第2構造体120は、第2支持体121と、第2ケース122と、回路基板123と、第3支持体124と、を有する。なお、図5においては、回路基板123と第3支持体124とは第2ケース122に配置された状態である。
【0025】
第2支持体121は、第2ケース122に取り付けられる支持体である。第2支持体121は、例えば鉄などの金属材料からなる。第2支持体121は、第1支持体113の裏側に位置する。第2支持体121は、矩形状の基部121aと、基部121aの上下端にそれぞれ繋がりタッチパネルモジュール111の長手方向に沿って伸びる上下の長板部121bとを有する。基部121aの中央には、リニア振動アクチュエータ10を含む第1支持体113の中央部と対向する開口部121cが形成されている。また、基部121aにはネジ孔121dが複数箇所設けられる。また、基部121aの外周部には、後述するダンパーゴム130の溝部をはめ込むための切り欠き部121eが複数箇所(本実施形態では4箇所)設けられる。長板部121bには、ネジ孔121fが複数箇所設けられる。
【0026】
第2ケース122は、第1ケース112と対をなし、操作装置100の裏側の外装部材となるものである。第2ケース122は、例えば樹脂材料からなる。第2ケース122は、第2支持体121の裏側に位置する。第2ケース122は、外形が第1ケース112の外形形状に応じた略矩形状であり、第2支持体121の基部121aと対向する開口部122aを有する。これにより、裏面側から見て開口部122aから第2支持体121のネジ孔121dを臨むこととなる。また、第2ケース122の周辺部には、第2支持体121の長板部121bのネジ孔121fに応じて貫通孔122bが複数箇所形成されている。第2ケース122は、貫通孔122bを通るネジS3が第2支持体121のネジ孔121fに締め込まれることによって、第2支持体121にネジ止めされる。また、第2ケース122には、後述するダンパーゴム130に対応する貫通孔122cが複数箇所形成されている。
【0027】
回路基板123は、制御部40を構成する電子部品及び電子回路が実装されるものである。回路基板123は、例えば硬質の回路基板からなる。回路基板123は、タッチパネルモジュール111(タッチパネル20、表示パネル30)及びリニア振動アクチュエータ10とフレキシブル基板やケーブルなどの接続部材を介して電気的に接続される。回路基板123は、第2ケース122の裏側に位置し、第2ケース122の開口部122a周辺に配置される。なお、回路基板123は、第2ケース122を介さずに第2支持体121に直接配置されてもよい。回路基板123は平板状であり、リニア振動アクチュエータ10と対向する箇所に切り欠き部123aが形成されている。また、回路基板123には、第2支持体121の基部121aのネジ孔121dに対応して貫通孔123bが複数箇所形成されている。
【0028】
第3支持体124は、操作対象機器である複合機200と操作装置100とを接続する部材である。第3支持体124は、例えば鉄などの金属材料からなる。第3支持体124は、回路基板123の裏面側に配置される(図3参照)。操作装置100は、第3支持体124の裏面側にさらに裏カバー(図示しない)が配置されてもよい。第3支持体124は、概ね第2ケース122の開口部122aの形状に応じた外形形状であり、リニア振動アクチュエータ10と対向する箇所に開口部124aを有する。これにより、リニア振動アクチュエータ10は第3支持体124の裏面から露出している。また、第3支持体124には、回路基板123の貫通孔123bに対応する箇所と回路基板123と対向しない箇所とに貫通孔124bが複数箇所形成されている。第3支持体124及び回路基板123は、貫通孔124b及び貫通孔123bを通る、または貫通孔124bを通るネジS4が第2支持体121のネジ孔121dに締め込まれることによって、第2支持体121にネジ止めされる。また、第3支持体124は、複合機200と接続するためのネジ孔124cを有する。第3支持体124は、ネジ孔124cを介して複合機200の回動支持部材(図示しない)に接続され、操作装置100の傾斜角度を所定の範囲(例えば、水平面に対し0度から90度)で変えられるように構成される。このほか第3支持体124には回路基板123に実装される電子部品との接触を避けるため等により適宜凹凸が形成されている。
【0029】
ダンパーゴム130は、本開示の制振部材の一例であり、振動を吸収可能な構造及び/あるいは材料からなる。ダンパーゴム130は、円筒状であり、内側に貫通孔131を有し、外面に溝部132を有する(図7参照)。操作装置100の組み立てに際し、まず、第2支持体121の切り欠き部121eにダンパーゴム130の溝部132をはめ込む(図5参照)。その後、第1支持体113の円筒部113cをダンパーゴム130の貫通孔131に挿入し、ワッシャW1を介してネジS5を円筒部113cのネジ孔113dに締め込む(図7参照)。これにより、第1支持体113と第2支持体121とがダンパーゴム130を介して接続される。ダンパーゴム130、ワッシャW1、ネジS5は、裏側から見て第2ケース122の貫通孔122cから臨むこととなる(図3参照)。また、ダンパーゴム130、ワッシャW1、ネジS5と接触しないように、貫通孔122cはダンパーゴム130、ワッシャW1、ネジS5の直径よりも大きく形成される。ここで、第1構造体110と第2構造体120とは、ダンパーゴム130を介した第1支持体113と第2支持体121との接続以外では、互いに接続されない。ここで本開示における「接続」には、互いの位置変動を規制するように繋がれた状態を意味し、単なる接触は含まない。
【0030】
次に、リニア振動アクチュエータ10による振動の伝達について説明する。リニア振動アクチュエータ10から発生した振動は、まず、リニア振動アクチュエータ10が直接配置される第1支持体113に伝わり、その後、第1支持体113から第1ケース112に伝わる。そして、第1ケース112に伝わった振動は、さらに第1ケース112に配置されるタッチパネルモジュール111に伝わり、ユーザーに触覚がフィードバックされる。一方、第1支持体113から第2支持体121へは、ダンパーゴム130によって振動の伝達が抑制される。
【0031】
本実施形態による操作装置100は、ユーザーの操作位置を検出するタッチパネル20と表示パネル30とを含むタッチパネルモジュール111と、タッチパネルモジュール111が配置される第1ケース112と、第1ケース112に取り付けられる第1支持体113と、第1支持体113に配置されるリニア振動アクチュエータ10と、を有する第1構造体110と、
第1支持体113と接続される第2支持体121と、第2支持体121が取り付けられる第2ケース122と、第2支持体121あるいは第2ケース122に配置される回路基板123と、を有する第2構造体120と、
第1支持体113と第2支持体121とを接続するダンパーゴム130と、を備える。
【0032】
これによれば、操作装置100のうちリニア振動アクチュエータ10による振動が伝達される部分を実質的に表側の第1構造体110のみとすることによって、操作装置100全体に振動が伝達される場合と比較して効率よく必要な部分に振動を伝達することができる。また、リニア振動アクチュエータ10を第1ケース112に取り付けられた第1支持体113に配置することで、タッチパネルモジュール111の裏面に直接リニア振動アクチュエータ10を配置する場合と比較して、タッチパネルモジュール111の仕様(特に裏面側の剛性)による影響を受けにくくなり、効率よく第1構造体110全体に振動を伝達することができる。
【0033】
また、操作装置100において、第1ケース112は、タッチパネルモジュール111の周縁を囲む枠体である。
これによれば、リニア振動アクチュエータ10から第1支持体113に伝達された振動を第1構造体110の全周に効率よく伝達することができる。
【0034】
また、操作装置100において、第1支持体113は、第1ケース112よりも剛性が高い。
これによれば、リニア振動アクチュエータ10からの振動を効率よく第1構造体110に伝達することができる。
【0035】
図6図9及び図10を参照する。なお、図9及び図10においては、図を見やすくするために断面を示すハッチングを省略した。
図9は、従来例の操作装置を示すB-B線断面図である。
上述したように、第1構造体110と第2構造体120とは、ダンパーゴム130を介した第1支持体113と第2支持体121との接続以外では、互いに接続されない。
しかしながら、操作装置100の傾斜角度が水平面に対し垂直(90度)に近い場合、第1構造体110の部品の自重により第1構造体110の上側に表側方向へ倒れ込むような作用力Fが掛かり、その反作用で第1構造体110の下側に裏側方向への反作用力fが掛かる。その結果、下側のダンパーゴム130が圧縮されて第1構造体110の第1ケース112と第2構造体120の第2ケース122が接する(図9参照)。この状態でリニア振動アクチュエータ10が振動を発生させると、第1ケース112と第2ケース122の接触箇所から異音が生じる。
【0036】
これに対し、図10は、本実施形態における操作装置100のB-B線断面図である。
操作装置100は、第1構造体110の第1ケース112の下部に突起115を設けている。
【0037】
図11を合わせて参照する。図11は、本実施形態における第1構造体110の突起115の斜視図である。
突起115は、第1ケース112の下部且つ第2構造体120の方向に形成され、平面部115Aと、平面部115Aからリニア振動アクチュエータ10の振動方向と水平に続く曲面部115B、115Cを備える。突起115は、第2構造体120を支持し、第1構造体110と第2構造体120が接触することを防止する。
平面部115Aは、平坦に形成され、操作装置100の下側に裏側方向への反作用力fがかかった場合に、第2支持体121を支持する部位である。
曲面部115B、115Cは、なだらかな曲面を形成し、平面部115Aの両側から連続している。第1構造体110は、操作装置100の下側に裏側方向への反作用力fがかかった場合、且つリニア振動アクチュエータ10が振動した場合に、リニア振動アクチュエータ10の振動方向と水平に移動する。このとき、第2支持体121は、曲面部115B、平面部115A、曲面部115Cの間で突起115との接触点が変化する。これにより、操作装置100は、第1構造体110と第2構造体120の接触を突起115に限定することができ、且つ接触点がなだらかに変化することで、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音を防止することができる。
また、発明者は、操作装置100の表面を人間の指が触れた際に感じる振動に適したリニア振動アクチュエータ10の周波数に対して、曲面部115B、115Cの曲率をR=1mmとすることが最適であると見出した。これにより、操作装置100は、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音をより効果的に防止することができる。
【0038】
図12を参照する。図12は、本実施形態における第1構造体110の背面図を示す。第1構造体110は、第1の突起115Fと、第2の突起115Sを有する。
【0039】
第1の突起115Fは、第1構造体110の重心GCを通る直線上に設けられる。これにより、操作装置100は、第1構造体110を支えるのに有効な位置に第1の突起115Fを設けることができ、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音をより効果的に防止することができる。
【0040】
また、操作装置100は、第2の突起115Sを第1構造体110の第1ケース112にさらに設けることができる。
第2の突起115Sは、第1構造体110の重心GCを通る直線の外側に設けられる。また、第2の突起115Sは、第1の突起115Fの曲面部115B、115Cの方向の直線上に設けられることが好ましい。さらに好ましくは、第2の突起115Sは、重い部品群(例えばリニア振動アクチュエータ10や符号を付していない回路基板)の側や、第1構造体110と第2構造体120の間隔が最も狭くなる位置に設けることができる。これにより、操作装置100は、第1構造体110の重量が重く振動により撓み易い部位や、第1構造体110と第2構造体120の間隔が狭く接触が起こりやすい部位を支持して第1の突起115Fを第2の突起115Sで補助することができ、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音をより効果的に防止することができる。
【0041】
上述の実施形態は、以下の効果を奏する。
【0042】
操作装置100は、操作対象機器200に接続され、傾斜角度を変更可能な操作装置であって、
振動アクチュエータ10を有する第1構造体110と、
操作対象機器200と接続される第2構造体120と、
第1構造体110と第2構造体120とを接続する制振部材130と、を備え、
第1構造体110は、第2構造体120の方向に突起115を有し、
突起115は、平面部115Aと、平面部115Aから振動アクチュエータ10の振動方向と水平方向に設けられた曲面部115B、115Cと、を有する。
【0043】
操作装置100は、第1構造体110と第2構造体120の接触を突起115に限定することができ、且つ接触点がなだらかに変化することで、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音を防止することができる。
【0044】
操作装置100において、
突起115は、第1構造体110の下部に設けられる。
【0045】
操作装置100は、突起115で第2構造体120を支持することで、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音を防止することができる。
【0046】
操作装置100において、
突起115は、第1構造体110の重心GCを通る直線上に設けられた第1の突起115Fである。
【0047】
操作装置100は、第1構造体110を支えるのに有効な位置に第1の突起115Fを設けることができ、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音をより効果的に防止することができる。
【0048】
操作装置100において、
突起115は、第1構造体110の重心GCを通る直線の外側に設けられた第2の突起115Sである。
【0049】
操作装置100は、第1の突起115Fを第2の突起115Sで補助することにより、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音をより効果的に防止することができる。
【0050】
操作装置100において、
曲面部115B、115Cは、曲率が1mmである。
【0051】
操作装置100は、曲面部115B、115Cにおいて最適な曲率を有することで、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音をより効果的に防止することができる。
【0052】
操作装置100において、
第1構造体110は、操作位置を検出するタッチパネル20と表示パネル30とを含むタッチパネルモジュール111と、タッチパネルモジュール111が配置される第1ケース112と、第1ケース112に取り付けられる第1支持体113と、を有し、第1支持体113にリニア振動アクチュエータ10が配置され、
第2構造体120は、制振部材130を介して第1支持体113と接続される第2支持体121と、第2支持体121が取り付けられる第2ケース122と、を有し、
突起115は、第1ケース112に設けられた。
【0053】
操作装置100は、第1ケース112の突起115を第2支持体121との接触箇所に限定することができ、第1構造体110と第2構造体120の接触による異音を防止することができる。
【0054】
なお、操作装置100は、突起115の曲面部115B、115Cの曲率をリニア振動アクチュエータ10が発生させる振動の周波数に応じて調節してもよい。
【0055】
なお、操作装置100は、3つ以上の突起を備えていてもよく、例えば第1の突起115Fを基準として第2の突起115Sの反対側に、第3の突起を備えてもよい。
【0056】
なお、本開示の操作装置を上述した実施形態及び変形例の構成にて例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに変更が可能なことは勿論である。
【0057】
例えば、本開示の操作装置の操作対象機器としては、複合機だけでなく、空気調和機や給湯機、音響機器などであってもよい。また、二輪車や四輪車の車両情報表示装置やCID(Center Information Display)に本開示の操作装置を適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 操作装置
10 リニア振動アクチュエータ(振動アクチュエータ)
20 タッチパネル
30 表示パネル
110 第1構造体
111 タッチパネルモジュール
112 第1ケース
113 第1支持体
115 突起
115A 平面部
115B、115C 曲面部
115F 第1の突起
115S 第2の突起
120 第2構造体
121 第2支持体
122 第2ケース
130 ダンパーゴム(制振部材)
200 複合機(操作対象機器)
GC 操作装置の重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12