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特許7624210マスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントキット及びアタッチメント付きマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】マスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントキット及びアタッチメント付きマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20250123BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A62B18/08 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021092196
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2022184386
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2024-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591195385
【氏名又は名称】石川金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸男
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-195657(JP,A)
【文献】特開2020-122257(JP,A)
【文献】特表2009-531087(JP,A)
【文献】中国実用新案第213188229(CN,U)
【文献】登録実用新案第3204220(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111920121(CN,A)
【文献】国際公開第2016/017595(WO,A1)
【文献】特開2021-021185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
A62B18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるためのマスク用アタッチメントであって、
前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、
前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、
前記内側マスクが取り付けられたときに、前記内側マスクの外面に触れる第1薄片と、第1薄片に重ね合わされる第2薄片と、を更に備え、
前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片の少なくとも一方に形成されており、
前記取付部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられて前記外側マスクを挟持する、マスク用アタッチメント。
【請求項2】
前記紐挿通部は、前記外側マスクの外縁に沿って延在する縦スリットを有する請求項1に記載のマスク用アタッチメント。
【請求項3】
前記紐挿通部は、前記縦スリットの両端部から直交方向一方側に延在する横スリットを有する請求項2に記載のマスク用アタッチメント。
【請求項4】
前記横スリットの端部に、前記横スリットの幅よりも大きく形成された紐保持部が形成されている請求項3に記載のマスク用アタッチメント。
【請求項5】
前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片とのそれぞれに形成されており、
前記第1薄片と前記第2薄片のそれぞれに形成された前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられたときに重なるように形成されている請求項に記載のマスク用アタッチメント。
【請求項6】
前記第1薄片と前記第2薄片との一方側には、前記第1薄片と前記第2薄片が重なり合わせられた状態において、他方側に突出する突起が形成されており、他方側には、前記突起に嵌合する嵌合穴が形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載のマスク用アタッチメント。
【請求項7】
前記第1薄片と前記第2薄片とを一体的に接続し、折り曲げ可能に構成された折返し部を更に備える請求項1から6のいずれか一項に記載のマスク用アタッチメント。
【請求項8】
一組のマスク用アタッチメントと、
縦糸用金属線を縦糸とし、横糸用金属線を横糸とするシート状で平坦な金属織物と、を備え、
前記マスク用アタッチメントは、
耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるためのマスク用アタッチメントであって、
前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、
前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、
前記金属織物には折り線が示されており、
前記金属織物は、前記折り線に沿って折り曲げられることでプリーツ状の前記外側マスクを形成可能となっていることを特徴とするマスク用アタッチメントキット。
【請求項9】
耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるための一組のマスク用アタッチメントと、
前記外側マスクと、によって構成され
前記マスク用アタッチメントは、
前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、
前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、
前記外側マスクは、縦糸用金属線を縦糸とし、横糸用金属線を横糸とするシート状の金属織物である、アタッチメント付きマスク。
【請求項10】
耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるための左右一組のマスク用アタッチメントと、
前記外側マスクと、によって構成され、
前記マスク用アタッチメントは、
前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、
前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、
前記内側マスクが取り付けられたときに、前記内側マスクの外面に触れる第1薄片と、第1薄片に重ね合わされる第2薄片と、を更に備え、
前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片の少なくとも一方に形成されており、
前記取付部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられて前記外側マスクを挟持しており、
前記第1薄片と前記第2薄片との一方側には、前記第1薄片と前記第2薄片が重なり合わせられた状態において、他方側に突出する突起が形成されており、他方側には、前記突起に嵌合する嵌合穴が形成されており、
前記外側マスクには、前記突起を挿通する貫通孔が形成されており、
前記突起が前記外側マスクの前記貫通孔を挿通して前記嵌合穴に嵌合していることで、前記取付部は、前記外側マスクを固定しているアタッチメント付きマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントキット及びアタッチメント付きマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、ウイルスの感染防止の意識が高まり、唾液の噴出を抑制し、かつ唾液等の体液の飛沫が顔面の粘膜に付着することを防止するための各種マスクが一般的に広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポケット付きの不織布マスクが開示されており、ポケットに銅メッシュ板をいれ、ポケットのチャックを閉めて使用される、抗菌効果及び抗ウイルス効果を有するマスクの開示がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3230247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のマスクにおいては、ポケット及びチャック付きの不織布マスクが必要であり、これらが形成されていないマスクに、銅メッシュ板を取り付けたうえで、顔に装着することは困難であった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、顔に容易に装着することが可能なマスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントと金属織物とを備えるマスク用アタッチメントキット及びマスク用アタッチメントと外側マスクとを備えるアタッチメント付きマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマスク用アタッチメントは、耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるためのマスク用アタッチメントであって、前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、前記内側マスクが取り付けられたときに、前記内側マスクの外面に触れる第1薄片と、第1薄片に重ね合わされる第2薄片と、を更に備え、前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片の少なくとも一方に形成されており、前記取付部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられて前記外側マスクを挟持することを特徴とする。
マスク用アタッチメントキットは、一組のマスク用アタッチメントと、縦糸用金属線を縦糸とし、横糸用金属線を横糸とするシート状で平坦な金属織物と、を備え、前記マスク用アタッチメントは、耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるためのマスク用アタッチメントであって、前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、前記金属織物には折り線が示されており、前記金属織物は、前記折り線に沿って折り曲げられることでプリーツ状の前記外側マスクを形成可能となっていることを特徴とする。
アタッチメント付きマスクは、耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるための一組のマスク用アタッチメントと、前記外側マスクと、によって構成され、前記マスク用アタッチメントは、前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、前記外側マスクは、縦糸用金属線を縦糸とし、横糸用金属線を横糸とするシート状の金属織物であることを特徴とする。
または、アタッチメント付きマスクは、耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるための左右一組のマスク用アタッチメントと、前記外側マスクと、によって構成され、前記マスク用アタッチメントは、前記内側マスクに取り付けられるように前記内側マスクの前記紐を通す紐挿通部と、前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備え、前記内側マスクが取り付けられたときに、前記内側マスクの外面に触れる第1薄片と、第1薄片に重ね合わされる第2薄片と、を更に備え、前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片の少なくとも一方に形成されており、前記取付部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられて前記外側マスクを挟持しており、前記第1薄片と前記第2薄片との一方側には、前記第1薄片と前記第2薄片が重なり合わせられた状態において、他方側に突出する突起が形成されており、他方側には、前記突起に嵌合する嵌合穴が形成されており、前記外側マスクには、前記突起を挿通する貫通孔が形成されており、前記突起が前記外側マスクの前記貫通孔を挿通して前記嵌合穴に嵌合していることで、前記取付部は、前記外側マスクを固定していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
内側マスクと外側マスクとを顔に容易に装着することが可能なマスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントと金属織物とを備えるアタッチメントキット、及びマスク用アタッチメントと外側マスクとを備えるアタッチメント付きマスクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るアタッチメント付きマスクを内側マスクに取り付けた状態を側面側から示す説明図である。
図2】開いた状態のアタッチメントを示す正面図である。
図3図2のアタッチメントを側面側から示す側面図である。
図4】折り曲げる前の外側マスクを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
なお、本実施形態で用いる図面は、本発明のマスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントキット、及びアタッチメント付きマスクの構成、形状、これらを構成する各部材の配置を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
また、図面は、マスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントキット、及びアタッチメント付きマスクの長さ、幅、高さといった寸法比を必ずしも正確に表すものではない。
【0011】
本明細書においていう金属線とは、金属織物を織る際に用いられる金属素線を意味し、金属単繊維、及び複数の金属素線を撚りあわせてなる撚糸を含む。上記金属線は、当該金属線を構成する金属が露出しているもの、及び外周の少なくとも一部が塗装されているものを含む。
【0012】
<概要>
まず、図1及び図2を主に参照して、本実施形態に係るアタッチメント3、マスク用アタッチメントキット及びアタッチメント付きマスク1の概要を説明する。図1は、本実施形態に係るアタッチメント付きマスク1を内側マスク(マスク4)に取り付けた状態を側面側から示す説明図である。図2は、開いた状態のマスク用アタッチメント(アタッチメント3)を示す正面図である。
【0013】
本実施形態に係るマスク用アタッチメント(アタッチメント3)は、耳掛け用の一対の紐4aを有する内側マスク(マスク4)の外側に外側マスク(銅メッシュ2)を取り付けるためのものである。
アタッチメント3は、マスク4の紐4aを通してマスク4に取り付けられる紐挿通部(スリット3d)と、銅メッシュ2を取り付ける取付部(メッシュ取付部3a)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このような紐挿通部(スリット3d)、取付部(メッシュ取付部3a)を備えるマスク用アタッチメント(アタッチメント3)によれば、内側マスク(マスク4)の外側に外側マスク(銅メッシュ2)を取り付けたものを顔に容易に装着することができる。
【0015】
本実施形態に係るマスク用アタッチメントキットは、一組のマスク用アタッチメント(アタッチメント3)と、不図示の縦糸用金属線を縦糸とし、不図示の横糸用金属線を横糸とするシート状で平坦な金属織物(銅メッシュ2、図4参照)と、を備える。
銅メッシュ2には折り線(山折り線2b及び谷折り線2c、図4参照)が示されており、銅メッシュ2は、折り線(山折り線2b及び谷折り線2c)に沿って折り曲げられることでプリーツ状の外側マスク(銅メッシュ2)を形成可能となっている。
【0016】
アタッチメント付きマスク1は、一組のマスク用アタッチメント(アタッチメント3)と、外側マスク(マスク4)と、によって構成されることを特徴とする。
上記構成によれば、アタッチメントキット及びアタッチメント付きマスク1においても、アタッチメント3によって奏される効果を享受することができる。
【0017】
[全体構成]
次に全体構成について、図1を主に参照して説明する。
アタッチメント付きマスク1は、上記のように、マスク4に取り付けられるアタッチメント3と、アタッチメント3に取り付けられる外側マスク(銅メッシュ2)と、を備えるものである。
アタッチメント付きマスク1は、例えば、マスク4に、抗菌性及び抗ウイルス性を有する外側マスク(銅メッシュ2)を追加的に取り付ける場合、飛沫カット量の低いマスク4に、飛沫カット量の高い外側マスクを追加的に取り付ける場合、又は装飾性の高い外側マスクを追加的に取り付ける場合等に用いられる。
【0018】
[アタッチメント]
次にアタッチメント3について、図1及び図2に加えて、図3を主に参照して説明する。図3は、図2のアタッチメント3を側面側から示す側面図である。
【0019】
アタッチメント3は、内側マスク(マスク4)が取り付けられたときに、マスク4の外面に触れる第1薄片3kと、第1薄片3kに重ね合わされる第2薄片3mと、を備える。
また、アタッチメント3は、上記のように、マスク4の紐4aを通してマスク4に取り付けられる紐挿通部(スリット3d)と、銅メッシュ2を取り付ける取付部と、を備える。
紐挿通部(スリット3d)は、第1薄片3kと第2薄片3mの少なくとも一方に形成されている。「取付部」は、第1薄片3kと第2薄片3mとが重ね合わせられて外側マスク(銅メッシュ2)を挟持する。
【0020】
このように、アタッチメント3が、第1薄片3kと第2薄片3mとを備えることで、これらで外側マスク(銅メッシュ2)を挟持することによって、アタッチメント3に外側マスク(銅メッシュ2)をより安定的に取り付けることができる。
【0021】
第1薄片3kと第2薄片3mとの一方側(本実施形態においては第1薄片3k)には、第1薄片3kと第2薄片3mが重なり合わせられた状態において、他方側(本実施形態においては第2薄片3m側)に突出する突起3bが形成されている。
第1薄片3kと第2薄片3mとの他方側には、突起3bに嵌合する嵌合穴3cが形成されている。
【0022】
詳細には、本実施形態に係る突起3bは、図3に示すように、円柱状の基端部と、大径である円盤状の先端部と、によって構成され、嵌合穴3cからの抜け防止のためにキノコ状に形成されている。突起3bは、第1薄片3kにおいて、第2薄片3mに対向する面から第2薄片3m側に突出して3つ形成されている。第1薄片3kにおいて、3つの突起3bのうち真ん中の突起3bは、縦スリット3gを含む仮想直線に対して、他の突起3bよりも離間して配置されている。
【0023】
また、本実施形態に係る嵌合穴3cにおいては、その開口方向に見て、丸穴と、丸穴の周方向に中心角120度ピッチで丸穴よりも小さな曲率半径である丸孔から突出して形成された3つの円弧と、を合わせたものが外縁を形成している。嵌合穴3cは、第2薄片3mを貫通して形成されている。第2薄片3mにおいて、3つの嵌合穴3cのうち真ん中の嵌合穴3cは、縦スリット3gを含む仮想直線に対して、他の嵌合穴3cよりも離間して配置されている。
そして、アタッチメント3が後述する折返し部3jを中心に折り曲げられて、第1薄片3kと第2薄片3mとが重ね合わせられた状態において、3つの突起3bと3つの嵌合穴3cとがそれぞれ重なる位置に配設されている。なお、突起3bと嵌合穴3cの個数はそれぞれ上下に2以上あると好適であるが、その個数は任意であり、これらの形状も任意である。
【0024】
また、第1薄片3k及び第2薄片3mのそれぞれは、面直方向視において、弓なり状に形成されている。弓なり状に屈曲する第1薄片3k及び第2薄片3mの小弯側にスリット3dが形成されており、大弯側に突起3b又は嵌合穴3cが形成されている。
【0025】
上記構成によれば、突起3bと嵌合穴3cが嵌合することで、第1薄片3kと第2薄片3mの重なり状態を維持して、第1薄片3kと第2薄片3mとが銅メッシュ2を挟持している状態を安定的に維持できる。
【0026】
なお、外側マスク(銅メッシュ2)の説明において後述するが、突起3bは、銅メッシュ2に形成された貫通孔2aに通された状態で、嵌合穴3cに嵌合することで、銅メッシュ2を第1薄片3kと第2薄片3mとの間に強固に保持するためのものである。
【0027】
本発明に係るアタッチメントは、このような構成に限定されず、銅メッシュ2を取り付けることができれば、第1薄片3kと第2薄片3mとを備える構成ではなく、一枚の薄片によって構成されるものであってもよい。
そして「取付部」としては、突起3bと嵌合穴3cとの嵌合によって外側マスク(銅メッシュ2)の一部を挟み込むようにして取り付けるものに限定されない。例えば、取付部は、面ファスナーで布製の外側マスクを取り付けたり、マグネットで金属製の外側マスク(銅メッシュ2)を取り付けたり、接着剤や粘着剤によって外側マスクを取り付ける構成であってもよい。
【0028】
図2に示すように、本実施形態に係る紐挿通部(スリット3d)は、第1薄片3kと第2薄片3mとのそれぞれに形成されている。
第1薄片3kと第2薄片3mのそれぞれに形成されたスリット3dは、第1薄片3kと第2薄片3mとが重ね合わせられたときに重なるように形成されている。
【0029】
特に、第1薄片3kと第2薄片3mとのそれぞれに形成されたスリット3dが、第1薄片3kと第2薄片3mとが重ね合わせられたときに完全に一致するように重なるように形成されていると好適である。このような構成によれば、紐4aを第1薄片3kと第2薄片3mとのそれぞれに形成されたスリット3dに通して、所定位置である後述する円孔3i部分で保持するのに好適となる。
【0030】
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。スリット3dに紐4aを通すことが可能であれば、必ずしも第1薄片3kに形成されたスリット3dと第2薄片3mに形成されたスリット3dとが一致するように重なるものでなくてもよく、少なくとも一部が重なる構成であってもよい。
【0031】
上記構成によれば、第1薄片3kと第2薄片3mとが重ね合わせられた状態で、第1薄片3kの紐挿通部(スリット3d)と第2薄片3mの紐挿通部(スリット3d)に紐4aを通して耳にかけることで、第1薄片3kと第2薄片3mの重なり状態を好適に維持することができる。
【0032】
アタッチメント3は、第1薄片3kと第2薄片3mとを一体的に接続し、折り曲げ可能に構成された折返し部3jを備える。折返し部3jは、第1薄片3k及び第2薄片3mの剛性と比較して低い剛性である。本実施形態に係る折返し部3jは、第1薄片3k及び第2薄片3mよりも断面積が小さく、断面二次モーメントが小さいことで低剛性となっているが、第1薄片3k及び第2薄片3mに対してヤング率が低い材料であることによって低剛性となっていてもよい。
【0033】
上記構成によれば、アタッチメント3が折返し部3jを備えることで、第1薄片3kと第2薄片3mとを設計位置(具体的には、紐挿通部(スリット3d)が重なり合わさる位置や、突起3bと嵌合穴3cが重なり合う位置に)に重ね合わせやすくなる。また、部品管理性が良好となる。
【0034】
なお、アタッチメント3は、銅メッシュ2に対して、左右に一対取り付けられることになるが、一対のアタッチメント3は同じ形状で形成されていてもよい。一対のアタッチメント3が同じ形状であると、アタッチメント3の管理性が良好となる。この場合には、銅メッシュ2に対する左右に配置された一対のアタッチメント3は、折返し部3jが上側に配置されるものと、下側に配置されるものとの組み合わせとなる。
【0035】
一方で、一対のアタッチメント3は左右対称形状に形成されるものであってもよい。このような構成によれば、銅メッシュ2に対する左右に配置された一対のアタッチメント3において折返し部3jの上下方向の位置を同じ位置にすることができ、上下開き方向を同じ向きにすることができる。
したがって、使用者は一対のアタッチメント3からの銅メッシュ2の取り外し操作を間違えずに素早く行うことができる。
【0036】
紐挿通部(スリット3d)は、外側マスク(銅メッシュ2)の外縁に沿って延在する縦スリット3gと、縦スリット3gの両端部から直交方向一方側に延在する横スリット3hと、を有する。
【0037】
「外側マスクの外縁」とは、マスクの左右側にある側縁のことである。「外側マスクの外縁に沿って延在する縦スリット3g」について換言すると、縦スリット3gの延在方向は、外側マスク(銅メッシュ2)の外縁に直交する方向よりも外縁の延在方向に近い。
上記構成によれば、縦スリット3gにより、紐4aを縦(上下)に広げた状態で通すことができ、内側マスク(マスク4)の耳への装着が容易となる。
また、横スリット3hにマスク4の紐4aを通すことで、縦方向(上下方向)への紐4aのズレを抑制できる。
【0038】
さらに、横スリット3hの端部に、横スリット3hの幅よりも大きく形成された紐保持部(円孔3i)が形成されている。
横スリット3hの幅とは、第1薄片3k又は第2薄片3mの面上において、横スリット3hの延在方向に直交する方向の長さである。
【0039】
「紐保持部」としては、紐4aを所定領域内で保持できればよく、本実施形態に係る円孔3iに限定されず、例えば、多角形状の孔であってもよい。
このように形成された紐保持部(円孔3i)にマスク4の紐4aを通すことで、横スリット3hの延在方向(左右方向)への紐4aのズレを抑制できる。
【0040】
[外側マスク]
次に、本実施形態に係る外側マスク(銅メッシュ2)について、図4を主に参照して説明する。図4は、折り曲げる前の外側マスク(銅メッシュ2)を示す正面図である。図4においては、山折り線2bを実線、谷折り線2cを破線で示している。
【0041】
本実施形態に係る外側マスクとしての純銅製の銅メッシュ2(金属織物)は、イオン化することで抗菌性及び抗ウイルス性を有する。
外側マスク(銅メッシュ2)は、不図示の縦糸用金属線を縦糸とし、不図示の横糸用金属線を横糸とするシート状の金属織物である。具体的には、縦糸用銅線及び横糸用銅線の平均の線径は、それぞれ0.03mm以上かつ0.09mm以下である。
【0042】
外側マスクが金属織物(銅メッシュ2)であることで、形状保持性を高めることができる。特に、外側マスクが銅やチタン製のものとすることで、抗菌性・抗ウイルス性を高めることができるため好適である。
「外側マスク」としては、紐は不要であるが、紐を備えていてもよい。本実施形態では布製又は不織布性の内側マスク(マスク4)とは異なる材料である純銅性の銅メッシュ2で構成されているため、上記のように抗菌作用・抗ウイルス作用の面で好適である。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、内側にあるマスク4と同じ素材であってもよい。たとえば、意匠性が高く通気性を有する矩形の布製のシートの四隅に貫通孔2a(図4参照)を形成したものを外側マスクとして用いてもよい。さらに、互いに意匠性が異なる上記の布製のシートを複数枚用意し、いずれかを選択してアタッチメント3を装着してもよい。
【0043】
本実施形態に係る銅メッシュ2は、図4において実線で示す山折り線2b、破線で示す谷折り線2cで折り曲げられる前の状態では、150mm角の正方形で形成されている。なお、このような構成に限定されず、銅メッシュ2は、130mm角や180mm角の正方形で形成されていてもよく、長方形や他の多角形状で形成されていてもよい。
【0044】
外側マスクを構成する材料としては、純銅の他に、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、銀、白金、鉄、亜鉛、スズ若しくは鉛、又はこれらの合金を用いることができる。
より具体的には、縦糸用金属線を構成する金属材料は、銅(純銅)、銅合金、アルミニウム合金、ステンレス鋼及びチタンからなる群より選ばれるいずれかであることが好ましい。横糸用金属線を構成する金属材料も上記の群より選ばれるいずれかであることが好ましい。
銅合金としては、真鍮(黄銅)、丹銅、燐青銅、白銅、赤銅などを用いることができる。丹銅や黄銅は金色を呈し、ステンレス鋼は銀色を呈するため、これらの金属材料を用いることで特に美観に優れる外側マスクを得ることができる。
【0045】
金属織物としては、縦糸用金属線及び横糸用金属線の素地が露出したものでもよく、又は金属織物の全面若しくは一部に印刷を施したものでもよい。印刷には各種の手段を用いることができ、例えばインクジェットプリンターを用いてカラー印刷をしてもよい。
【0046】
アタッチメント付きマスクは、左右一組のマスク用アタッチメント(アタッチメント3)と、外側マスク(銅メッシュ2)と、によって構成されている。
図4に示すように、本実施形態に係る銅メッシュ2には、第1薄片3kに形成された突起3bを挿通する貫通孔2aが形成されている。突起3bが銅メッシュ2の貫通孔2aを挿通して嵌合穴3cに嵌合していることで、取付部(メッシュ取付部3a)は、銅メッシュ2を固定している。
上記構成によれば、外側マスク(銅メッシュ2)に突起3bを通す貫通孔が形成されていることで、銅メッシュ2とアタッチメント3との取付状態をより安定的にすることができる。
【0047】
本実施形態に係るマスク用アタッチメントキットは、金属織物(銅メッシュ2)には折り線(山折り線2b、谷折り線2c)が示されている。金属織物は、山折り線2b及び谷折り線2cに沿って折り曲げられることでプリーツ状の外側マスク(銅メッシュ2)を形成可能となっている。
つまり、アタッチメントキットは、初期状態において、外側マスク(銅メッシュ2)は平らなシート状に形成されており、アタッチメント3に取り付け可能な状態ではない。
【0048】
折り曲げ前の銅メッシュ2とアタッチメント3とがセットになって(アタッチメントキットとして)提供されてもよい。また、予めプリーツ状に折り曲げられた外側マスク(銅メッシュ2)とアタッチメント3が分離してセットになって提供されてもよい。また、予めプリーツ状に折り曲げられた外側マスク(銅メッシュ2)にアタッチメント3を装着した状態で提供されてもよい。更には、内側マスク(マスク4)も装着された図1の状態で提供されてもよい。
【0049】
そして上記のように、使用者によって、銅メッシュ2が、山折り線2b及び谷折り線2cに沿って折り曲げられてプリーツ状に形成されることによって、左右のアタッチメント3に設けられた合計6つの突起3bに、8つの貫通孔2aを通すことができるようになる。
なお、本実施形態における貫通孔2aは、銅メッシュ2が折り曲げられることによって、上下方向(縦方向)中央部にある二組のそれぞれの貫通孔2aが重なるように形成されている。
【0050】
なお、本発明のマスク用アタッチメント、マスク用アタッチメントキット及びアタッチメント付きマスクに係る各種構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0051】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)
耳掛け用の一対の紐を有する内側マスクの外側に外側マスクを取り付けるためのマスク用アタッチメントであって、
前記内側マスクの前記紐を通して前記内側マスクに取り付けられる紐挿通部と、
前記外側マスクを取り付ける取付部と、を備えることを特徴とするマスク用アタッチメント。
(2)
前記紐挿通部は、前記外側マスクの外縁に沿って延在する縦スリットを有する(1)に記載のマスク用アタッチメント。
(3)
前記紐挿通部は、前記縦スリットの両端部から直交方向一方側に延在する横スリットを有する(2)に記載のマスク用アタッチメント。
(4)
前記横スリットの端部に、前記横スリットの幅よりも大きく形成された紐保持部が形成されている(3)に記載のマスク用アタッチメント。
(5)
前記内側マスクが取り付けられたときに、前記内側マスクの外面に触れる第1薄片と、第1薄片に重ね合わされる第2薄片と、を更に備え、
前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片の少なくとも一方に形成されており、
前記取付部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられて前記外側マスクを挟持する(1)から(4)のいずれか一項に記載のマスク用アタッチメント。
(6)
前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片とのそれぞれに形成されており、
前記第1薄片と前記第2薄片のそれぞれに形成された前記紐挿通部は、前記第1薄片と前記第2薄片とが重ね合わせられたときに重なるように形成されている(5)に記載のマスク用アタッチメント。
(7)
前記第1薄片と前記第2薄片との一方側には、前記第1薄片と第2薄片が重なり合わせられた状態において、他方側に突出する突起が形成されており、他方側には、前記突起に嵌合する嵌合穴が形成されている(5)又は(6)に記載のマスク用アタッチメント。
(8)
前記第1薄片と前記第2薄片とを一体的に接続し、折り曲げ可能に構成された折返し部を更に備える(5)から(7)のいずれか一項に記載のマスク用アタッチメント。
(9)
一組の(1)から(8)のいずれか一項に記載のマスク用アタッチメントと、
縦糸用金属線を縦糸とし、横糸用金属線を横糸とするシート状で平坦な金属織物と、を備え、
前記金属織物には折り線が示されており、
前記金属織物は、前記折り線に沿って折り曲げられることでプリーツ状の前記外側マスクを形成可能となっていることを特徴とするマスク用アタッチメントキット。
(10)
一組の(1)から(8)のいずれか一項に記載のマスク用アタッチメントと、
前記外側マスクと、によって構成されることを特徴とするアタッチメント付きマスク。
(11)
前記外側マスクは、縦糸用金属線を縦糸とし、横糸用金属線を横糸とするシート状の金属織物である(10)に記載のアタッチメント付きマスク。
(12)
左右一組の(7)に記載のマスク用アタッチメントと、
前記外側マスクと、によって構成され、
前記外側マスクには、前記突起を挿通する貫通孔が形成されており、
前記突起が前記外側マスクの前記貫通孔を挿通して前記嵌合穴に嵌合していることで、前記取付部は、前記外側マスクを固定しているアタッチメント付きマスク。
【符号の説明】
【0052】
1 アタッチメント付きマスク
2 銅メッシュ(外側マスク、金属織物)
2a 貫通孔
2b 山折り線(折り線)
2c 谷折り線(折り線)
3 アタッチメント(マスク用アタッチメント)
3a メッシュ取付部(取付部)
3b 突起
3c 嵌合穴
3d スリット(紐挿通部)
3g 縦スリット
3h 横スリット
3i 円孔(紐保持部)
3j 折返し部
3k 第1薄片
3m 第2薄片
4 マスク(内側マスク)
4a 紐
図1
図2
図3
図4