(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】家電制御情報生成システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20250123BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20250123BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20250123BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20250123BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20250123BHJP
F24F 130/10 20180101ALN20250123BHJP
【FI】
H04L12/28 500A
F24F11/56
F24F11/64
F24F11/70
F24F110:10
F24F130:10
(21)【出願番号】P 2023201861
(22)【出願日】2023-11-29
【審査請求日】2024-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721001351
【氏名又は名称】高野 真樹
(74)【代理人】
【識別番号】110004174
【氏名又は名称】弁理士法人エピファニー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 真樹
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-074509(JP,A)
【文献】特開2023-145437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-101/00
F24F 11/00-130/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の家電製品からの運転履歴情報に基づき家電製品の制御情報を生成する家電制御情報生成システムであって、
取得したデータを記憶する記憶部と、
前記データを処理する情報処理部と、を備え、
前記運転履歴情報は、
前記複数の家電製品のそれぞれの、設置された地域を特定できる位置情報と、設定情報と、消費電力量と、を含み、
前記情報処理部は、
ネットワークを介して、前記複数の家電製品からの前記運転履歴情報及び前記位置情報を基に前記複数の家電製品が設置された所在地域の気象情報である所在地域気象情報を取得し、
前記所在地域に属する前記複数の家電製品についての前記運転履歴情報を分類し地域別運転履歴情報とし、
前記地域別運転履歴情報を前記消費電力量の大小に基づいて複数のグループに分類し、
前記複数のグループのうち同じグループに属する前記地域別運転履歴情報を解析し、家電製品の制御情報を出力する、家電制御情報生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記情報処理部は、
前記地域別運転履歴情報に含まれる前記設定情報から前記複数の家電製品のそれぞれの設定変更頻度情報を抽出し、
前記設定変更頻度情報に基づいて前記所在地域気象情報及び前記地域別運転履歴情報を解析する、家電制御情報生成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記情報処理部は、
前記設定変更頻度情報に含まれる所定時間内の設定変更頻度が所定の範囲内である前記地域別運転履歴情報を抽出して低変更頻度運転履歴情報とし、
前記低変更頻度運転履歴情報に含まれる時刻情報及び前記時刻情報における前記設定情報並びに前記時刻情報における前記所在地域気象情報を解析し、
少なくとも前記低変更頻度運転履歴情報に含まれる前記設定情報及び前記所在地域気象情報を関連付けて前記記憶部に保存する、家電制御情報生成システム。
【請求項4】
請求項3に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記情報処理部は、
前記複数の家電製品が設置された環境の室内温度を含む環境情報及び前記所在地域気象情報を入力、家電製品の制御情報を出力とする学習モデルを生成する、家電制御情報生成システム。
【請求項5】
請求項3に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記情報処理部は、
前記低変更頻度運転履歴情報及び前記低変更頻度運転履歴情報に関連した前記所在地域気象情報を教師データとし、
前記教師データを用いて、前記複数の家電製品が設置された環境の室内温度を含む環境情報及び前記所在地域気象情報を入力、家電製品の制御情報を出力とする学習モデルを生成する、家電制御情報生成システム。
【請求項6】
請求項2に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記情報処理部は、
前記地域別運転履歴情報に含まれる前記設定情報から前記複数の家電製品のそれぞれの設定変更頻度が少ないほど報酬が得られるように強化学習を行い、前記複数の家電製品が設置された環境の少なくとも室内温度を含む環境情報及び前記所在地域気象情報を入力、家電製品の制御情報を出力とする学習モデルを生成する、家電制御情報生成システム。
【請求項7】
請求項4~6の何れか1項に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記環境情報は、
前記複数の家電製品が設置された環境の室内湿度を含む、家電制御情報生成システム。
【請求項8】
請求項7に記載の家電制御情報生成システムであって、
前記複数の家電製品は、
複数の空気調和装置であり、
前記制御情報は、
前記複数の空気調和装置が備える圧縮機、室外送風機及び室内送風機の少なくとも1つについての出力を含む、家電制御情報生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電制御情報生成システムに関し、ネットワークを介して受信した家電製品からの情報を地域ごとに分類して解析した上で家電製品を制御するための情報を生成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの外部環境の変化の影響により、居住環境の快適性向上のニーズが高まってきている。例えば、家電製品のうち空気調和装置について、居住する人間の温冷感を快適に保つ役目の重要性が増している。快適性を実現するためにPMV(Predicted Mean Vote)という快適指標が提案されている。空調対象空間に居るユーザのPMVを監視して空気調和機を制御する空調制御システムが開示されている。
【0003】
従来の空気調和装置は、一例としてPMV(Predicted Mean Vote、予測温冷感申告)を指標として制御を行っているものが知られている。PMVは、室温、輻射温度、相対湿度及び風速の4つの環境側の要素と、着衣量及び活動量の2つの人体側の要素とからなる合計6つの要素から算出される。PMVは、人の温冷感に関する快適性の度合いを表すパラメータである。PMVは、-3から+3までの範囲を取り得る。PMVは、-3(かなり寒い)、-2(寒い)、-1(やや寒い)、0(中立)、+1(やや暑い)、+2(暑い)及び+3(かなり暑い)の7段階の快適性で判定される。一般的に、人が快適と感じているときのPMVは、-0.5~+0.5である。
【0004】
空気調和装置の制御においてPMVを指標として用いた場合、空気調和装置は、室内空間の環境情報として測定された室内空間の温度、湿度、気流(風速)、及び輻射温度(壁面温度)と、カメラなどから把握された室内の対象人物の行動及び着衣量を基に、人が快適と感じているときのPMVの値に近づくように運転が制御される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の住環境は、タワーマンション、一戸建て住宅又はアパートなどの断熱性能の大きく異なる場合があり、地域によっても気温、湿度が大きく異なる場合がある。このように、様々な環境下に設置される可能性がある空気調和装置において、制御を1つの指標を基に行うと、設置された環境に合わない制御になる可能性がある、という課題があった。
【0007】
特許文献1に開示されている空気調和装置の制御のように、例えばPMVを用いた場合、PMVが同じ数値の範囲であっても異なる温熱環境であることもある。つまり、PMVの数値上は、例えば室温20℃で無風の環境と、室温24℃で送風された環境とが同じ値である場合がある。従って、PMVを指標に空気調和装置の制御を行ったとしても、設置された環境に居るユーザが快適に過ごすには、室温を低く設定すべきか、風速を上げるべきか明確に判断できない。つまり、家電製品において最適な運転状態は、設置された環境やユーザによっても異なり、最適な運転状態を求めるには多くのデータが必要であるという課題があった。
【0008】
本発明の課題は、設置された環境に合った家電製品の運転が実現できる制御情報を生成する家電制御情報生成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る家電制御情報生成システムは、複数の家電製品からの運転履歴情報に基づき家電製品の制御情報を生成する家電制御情報生成システムであって、取得したデータを記憶する記憶部と、前記データを処理する情報処理部と、を備え、前記運転履歴情報は、前記複数の家電製品のそれぞれの、設置された地域を特定できる位置情報と、設定情報と、消費電力量と、を含み、前記情報処理部は、ネットワークを介して、前記複数の家電製品からの前記運転履歴情報及び前記位置情報を基に前記複数の家電製品が設置された所在地域の気象情報である所在地域気象情報を取得し、前記所在地域に属する前記複数の家電製品についての前記運転履歴情報を分類し地域別運転履歴情報とし、前記地域別運転履歴情報を前記消費電力量の大小に基づいて複数のグループに分類し、前記複数のグループのうち同じグループに属する前記地域別運転履歴情報を解析し、家電製品の制御情報を出力する。
【発明の効果】
【0010】
上記の手段によれば、家電制御情報生成システムは、複数の家電製品から運転履歴情報を収集し、地域ごとに分類した上で、データを分析することにより、ある特定の地域において設置された環境に合った運転履歴情報を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1に含まれるハードウェアの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係るプローブ装置11のハードウェア構成図である。
【
図3】実施の形態1に係るサーバ31のハードウェア構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1の各機器の情報のやり取りの一例を示す説明図である。
【
図5】実施の形態1に係るプローブ装置11からサーバ31へ送信されるデータセットの一例を示す説明図である。
【
図6】実施の形態1に係る移動端末21に表示される履歴比較情報の一例である。
【
図7】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1の機能の概要を説明するためのブロック図である。
【
図8】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1において処理される情報の流れを説明するためのブロック図である。
【
図9】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1のサーバ31が登録データRを記憶するまでのフローチャートである。
【
図10】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1のサーバ31が登録データRを消費電力量Wvに基づいて分類し解析を行うフローチャートの一例である。
【
図11】サーバ31において消費電力量Wvに基づいて分類されたある1つのグループの登録データRに含まれる2つのデータセットの一例である。
【
図12】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1のサーバ31が登録データRを消費電力量Wvに基づいて分類し解析を行うフローチャートの別の一例である。
【
図13】実施の形態1に係るサーバ31の解析部31d及び制御情報生成部31eの機能の一例の説明図である。
【
図14】実施の形態1に係るサーバ31により生成された制御情報による空気調和装置の制御の一例のフローチャートである。
【
図15】実施の形態1に係る家電制御情報生成システム100による家電制御情報の生成の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の家電制御情報生成システムの好ましい実施の形態が図面を参照して詳しく説明されている。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
実施の形態1.
<システム全体の構成>
図1は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1に含まれるハードウェアの構成の一例を示す説明図である。
図1に示されるように、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1は、プローブ装置11、12、移動端末21及びサーバ31(情報処理部)を含んでいる。プローブ装置11は、家屋1aに設置されたエアコン41(電気製品)に内蔵されている。家屋1aには、エアコン41のリモコン51、及び宅内ルータ52が配置されている。実施の形態1においては、家屋内に設置されたエアコン41などの空気調和装置を例にして説明するが、プローブ装置11、12及び移動端末21によってデータを収集する対象は、例えば冷蔵庫などの温度が動作に影響する家電製品全般である。
【0014】
プローブ装置12の作動については、後述する。なお、家電制御情報生成システム1は、
図1に示すプローブ装置11、12とは異なり且つプローブ装置11、12と同様の機能を有する多数のプローブ装置を含んでいても良い。加えて、家電制御情報生成システム1は、プローブ装置11、12の何れか一方のみを含んでいても良い。
図1に示されるネットワーク30は、種々の公衆ネットワークが相互に接続された、いわゆるインターネットである。サーバ31及び宅内ルータ52は、ネットワーク30に接続されている。
【0015】
エアコン41は、ヒートポンプユニット(不図示)を備える家庭用ルームエアコンディショナ(空気調和装置)である。エアコン41のヒートポンプユニットの一部を構成する室外機は、図示が省略される。エアコン41には、家屋1aに配設されたコンセント(不図示)に接続された電力線Cp(コンセントケーブル)を介して電力が供給される。
【0016】
利用者はリモコン51を用いてエアコン41を操作できる。具体的には、リモコン51は例えば赤外線発光部(不図示)を備え、エアコン41は赤外線受光部43を備えている。リモコン51は、利用者による操作に応じて赤外線発光部から赤外線信号を送信する。エアコン41は、赤外線受光部43によって受信された赤外線信号に応じて作動する。例えば、利用者は、リモコン51を操作することによってエアコン41の設定温度Ts[℃]を設定(入力)することができる。
【0017】
図2は、実施の形態1に係るプローブ装置11のハードウェア構成図である。プローブ装置11は、周知の小型コンピュータ(マイコン)を使用でき、
図2に示されるように、CPU61、ROM62、RAM63、データ通信部64、入出力部65、電力計66及び室温計67を含んでいる。CPU61は、所定のプログラム(ルーチン)を逐次実行することによってデータの読み込み、数値演算、及び演算結果の出力等を行う。ROM62は、CPU61が実行するプログラム及びCPU61によって参照されるマップ(ルックアップテーブル)等を記憶している。ROM62の一部又は全部は、記憶したデータを変更可能なフラッシュメモリによって構成されても良い。RAM63は、CPU61によって参照されるデータを一時的に記憶する。
【0018】
データ通信部64は、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)の規格に準拠した端末(子機)機能を提供する。データ通信部64は、サーバ31を含む種々のノードとの宅内ルータ52及びネットワーク30を介したデータ通信(データの受信及び送信)を制御する。入出力部65は、エアコン41の制御装置(不図示)との間でデータの入出力(I/O)を行う。
【0019】
電力計66は、電力線Cpに介装され、エアコン41が消費する消費電力Wa[W]を検出する。室温計67は、エアコン41に流入する空気の温度である室内温度Tr[℃](即ち、エアコン41が設置された部屋の温度)を検出する。発光装置68は、発光ダイオード素子であり、エアコン41の筐体前面の利用者にとって視認可能な位置に配設されている(
図1を参照)。CPU61は、エアコン41に配設された発光装置68(
図1を参照)の点灯状態を制御することができる。更に、CPU61は、入出力部65を介して設定温度Tsを含むエアコン41の作動状態を取得する。
【0020】
宅内ルータ52は、WiFiの規格に準拠した基地局(親機)機能を提供する。例えば、プローブ装置11及び移動端末21は、宅内ルータ52の基地局機能を利用し且つネットワーク30を介して、サーバ31との通信(本実施形態において、TCP/IPv4の規格に基づいたデータ通信)を行うことができる。データ通信部64は、宅内ルータ52を介してサーバ31と通信を行う。
【0021】
図3は、実施の形態1に係るサーバ31のハードウェア構成図である。プローブ装置11は、周知の小型コンピュータ(マイコン)であり、
図3に示されるように、CPU71、ROM72、RAM73、データ通信部74、入出力部65、記憶装置75を含んでいる。CPU71は、所定のプログラム(ルーチン)を逐次実行することによってデータの読み込み、数値演算、及び演算結果の出力等を行う。ROM72は、CPU71が実行するプログラム及びCPU71によって参照されるマップ(ルックアップテーブル)等を記憶している。ROM72の一部又は全部は、記憶したデータを変更可能なフラッシュメモリによって構成されても良い。RAM73は、CPU71によって参照されるデータを一時的に記憶する。
【0022】
データ通信部74は、ネットワーク30を介してプローブ装置11、気象観測データ等を受信する。データ通信部74において取得されたデータは、必要に応じてCPU71などを用いて処理され、記憶装置75に記憶される。
【0023】
記憶装置75は、例えば、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はHDD(Hard disk drive)等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置としての役割を担うものである。実施の形態1において、記憶装置75は、端末内に設置されても良いし、ネットワーク90を介して接続されたサーバなどであっても良い。なお、記憶装置75は、必ずしも端末に設置されているものではなく、ネットワーク30上に通信可能に設置されているものも含み、ネットワーク30も含めて記憶装置と称する場合がある。
【0024】
(運転履歴情報Sの送信)
図4は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1の各機器の情報のやり取りの一例を示す説明図である。
図5は、実施の形態1に係るプローブ装置11からサーバ31へ送信されるデータセットの一例を示す説明図である。
図4(a)に示されるように、プローブ装置11は、所定の送信間隔Tiが経過する毎に「運転履歴情報S」を宅内ルータ52及びネットワーク30を介してサーバ31へ送信する。本実施形態において、運転履歴情報Sは、HTTPリクエストのPOSTメソッドを用いてプローブ装置11からサーバ31へ送信される。
図4に示されるように、運転履歴情報Sは、識別情報Id、データ数Nd及び取得間隔Tw、並びに複数のデータセットSaを含んでいる。データセットSaは、消費電力量Wv[Wh]、室内温度Tr及び設定温度Tsの組合せである。プローブ装置11は、送信間隔Tiよりも短い所定の取得間隔Twが経過する毎にデータセットSaを取得する。
【0025】
識別情報Idは、プローブ装置11に対して予め付与された固有の識別子(文字列又は数値)である。データ数Ndは、運転履歴情報Sに含まれるデータセットSaの数である。本実施形態において、送信間隔Tiは例えば30分であり、プローブ装置11が宅内のエアコン41からデータを取得する取得間隔Twは1分(=60秒)である。従って、データ数Ndは「30」である。なお、送信間隔Ti及び取得間隔Twのそれぞれは、適宜変更し得る。
【0026】
プローブ装置11は、取得間隔Twが経過する間に電力計66によって繰返し取得された消費電力Waの積算値(即ち、消費電力Waを時間に対して積分して得られる値に相当する値、電力相関量)を、その取得間隔Twに対する消費電力量Wvとして取得する。加えて、プローブ装置11は、消費電力量Wv、並びに、消費電力量Wvが取得された時点における(室温計67によって検出された)室内温度Tr、及び(入出力部65を介して取得された)設定温度TsをデータセットSaとして取得する。
【0027】
更に、プローブ装置11は、データセットSaがデータ数Ndに等しい数だけ取得されると(即ち、送信間隔Tiが経過すると)、運転履歴情報Sとしてサーバ31へ送信する。なお、データセットSaに含まれる室内温度Tr及び設定温度Tsのそれぞれは、取得間隔Twが経過する間に繰返し取得された室内温度Tr及び設定温度Tsの平均値であっても良い。
【0028】
サーバ31は、エアコン41(具体的には、プローブ装置11)から運転履歴情報Sを受信すると、後述されるエアコン41の型式情報Mc及び所在地域Lc並びに外気温度Teを取得する。サーバ31は、運転履歴情報Sに含まれていた識別情報Id、並びに、複数の消費電力量Wv、室内温度Tr及び設定温度Tsのそれぞれを、所在地域Lc、型式情報Mc、外気温度Te及び時刻情報Taと共に登録データR(
図8参照)として記憶装置75に記憶する。
【0029】
型式情報Mcは、エアコン41の型式(型式情報)を表す識別子である。エアコン41の型式情報Mcは、メーカー(製造企業)と、メーカーによって付与された型番と、の組合せのそれぞれに対して予め付与されている。サーバ31は、予め取得された識別情報Idと型式情報Mcとの対応関係を「型式DB」として記憶装置75に記憶している。サーバ31は、運転履歴情報Sの識別情報Idを型式DBに適用することによって型式情報Mcを取得する。
【0030】
本実施形態における所在地域Lcは、気象庁によって設置された「地域気象観測システム」(AMeDAS、アメダス)の観測所のそれぞれによって区分された地域を表す識別子である。サーバ31は、運転履歴情報Sの送信元アドレス(即ち、IPv4の規格に準拠したIPアドレス)に基づいてエアコン41が設置された地域(本実施形態において、日本国内の市町村)を取得する。
【0031】
本実施形態における外気温度Teは、気象庁が公開している観測所のそれぞれにおいて観測された気温である。サーバ31は、受信した運転履歴情報Sに含まれる消費電力量Wvが取得された期間において、所在地域Lcに対応する観測所によって観測された気温を外気温度Teとして記憶装置75に記憶する。なお、当該の観測所及び期間について、エアコン41とは異なるエアコンから運転履歴情報Sを受信した際に既に外気温度Teが取得されていれば、サーバ31は、気象庁から新たに気温の情報を取得しない。なお、サーバ31は、後述される履歴比較情報を生成するときに外気温度Teを気象庁から取得しても良い。
【0032】
より具体的には、サーバ31は、予め取得されたIPアドレスと市町村との対応関係を「所在地DB」として記憶装置75に記憶している。サーバ31は、運転履歴情報Sの送信元IPアドレスを所在地DBに適用することによってエアコン41の所在地を取得する。即ち、サーバ31は、周知のGeoIP技術を利用してエアコン41の所在地を取得する。次いで、エアコン41は、取得された所在地に最も近い観測所を表す識別子をエアコン41の所在地域Lcとして取得する。なお、所在地を特定する位置情報は、IPアドレスに限定されず、その他の情報を用いても良い。
【0033】
時刻情報Taは、データセットSaに係る情報が取得された時刻(具体的には、取得間隔Twの始期)を表す。サーバ31は、運転履歴情報Sを受信した時刻及び運転履歴情報Sに含まれる取得間隔Twに基づいて(逆算して)データセットSaのそれぞれの時刻情報Ta(本実施形態において、協定世界時(UTC)のUNIX(登録商標)時刻)を取得し且つ記憶装置75に記憶する。
【0034】
(履歴比較情報の閲覧)
図6は、実施の形態1に係る移動端末21に表示される履歴比較情報の一例である。利用者が移動端末21のWebブラウザを用いてサーバ31にアクセスし且つ所定の操作を行うと、移動端末21は、
図4上側に示されるように、「比較情報要求」(具体的には、HTTPリクエスト)をサーバ31へ送信する。比較情報要求には、識別情報Id及び利用者によって指定された「比較時間帯」が含まれている。比較時間帯は、例えば、現時点よりも6時間以前の時点から現時点までの期間(一例として、その日の15時から21時までの期間)である。
【0035】
サーバ31は、比較情報要求を受信すると、「履歴比較情報」を生成し、比較情報要求に対する応答として移動端末21へ送信する(
図4上側を参照)。履歴比較情報は、サーバ31から受信した移動端末21のディスプレイ21aに表示することもできる。例えば、移動端末21は、Webブラウザを用いて表示されても良い。
【0036】
図6の実線L1は、比較時間帯を所定の比較時間Tc毎に分割して得られる(即ち、長さが比較時間Tcと等しい)比較期間Pmのそれぞれにおけるエアコン41の消費電力量Wvの変化を概括的に示している。実線L2及び実線L3のそれぞれは、比較期間Pmのそれぞれにおける、「類似製品」に係り且つ「近似条件」(第1近似条件)を満たす(複数の)消費電力量Wvの最大値及び最小値の変化を概括的に示している。
【0037】
本実施形態において、比較時間Tcは10分である。一例として、比較期間Pmは、当日の15時から15時10分までの期間である。類似製品は、エアコン41(即ち、比較情報要求に対応するエアコンであり、「特定製品」とも称呼される)と型式情報Mc及び所在地域Lcが同一である他のエアコンである。近似条件は、比較期間Pmにおける動作状況がエアコン41と類似している場合に成立する条件である。
【0038】
より具体的に述べると、記憶装置75に記憶された類似製品の電力履歴情報であって、比較期間Pmにおける(或いは、比較期間Pmの始期又は終期における)エアコン41に係る室内温度Tr、設定温度Ts及び外気温度Teのそれぞれとの差分の大きさが所定の温度閾値Th1より小さければ、その電力履歴情報は近似条件を満たしている。
【0039】
換言すれば、|Tr1-Tr2|<Th1、|Ts1-Ts2|<Th1且つ|Te1-Te2|<Th1であれば、近似条件が成立する。ここで、室内温度Tr1、設定温度Ts1及び外気温度Te1のそれぞれは、エアコン41に係る室内温度Tr、設定温度Ts及び外気温度Teである。加えて、室内温度Tr2、設定温度Ts2及び外気温度Te2のそれぞれは、類似製品に係る室内温度Tr、設定温度Ts及び外気温度Teである。エアコン41に係るこれら温度の何れかと、それに対応する類似製品に係る温度と、の差分の大きさが温度閾値Th1よりも小さいことは、以下、単に(温度が)「近似している」とも称呼される。
【0040】
サーバ31は、類似製品に係り且つ近似条件を満たしている電力履歴情報(具体的には、室内温度Tr、設定温度Ts及び外気温度Teの組合せ)に係る消費電力量Wvを「比較電力相関量」として抽出する。加えて、サーバ31は、ある比較期間Pmにおいて抽出された(複数の)比較電力相関量(即ち、消費電力量Wv)の中から最小値及び最大値を抽出する。サーバ31は、比較時間帯に含まれる比較期間Pmのそれぞれに対して比較電力相関量の最小値及び最大値を抽出する処理を実行し、履歴比較情報を生成する。
【0041】
例えば、エアコン41と類似製品とは外気温度Teが取得(観測)される所在地域Lcが互いに等しいので、ある比較期間Pmにおけるエアコン41の電力履歴情報に係る外気温度Teと、その比較期間Pmにおける類似製品の電力履歴情報に係る外気温度Teと、は互いに等しい。即ち、外気温度Teが近似している。更に、その比較期間Pmにおいて取得された類似製品に係る室内温度Tr及び設定温度Tsのそれぞれが、エアコン41に係る室内温度Tr及び設定温度Tsと近似していれば、近似条件が成立する。
【0042】
一方、比較期間Pmとは異なる時点にて取得された類似製品の消費電力量Wvに係る電力履歴情報であっても、その電力履歴情報の外気温度Teが比較期間Pmにて取得されたエアコン41の消費電力量Wvに係る電力履歴情報の外気温度Teと近似する場合がある。この場合、更に、室内温度Tr及び設定温度Tsのそれぞれが近似していれば、近似条件が成立する。即ち、比較期間Pmとは異なるタイミングにて取得された類似製品の消費電力量Wvが、比較電力相関量として抽出される場合がある。
【0043】
本実施形態において、型式情報Mcは、便宜上、「製品属性」とも称呼される。即ち、型式情報Mcが互いに等しいエアコンは、製品属性が互いに同一である。本実施形態において、温度閾値Th1は1.5℃である。しかし、上述した比較時間Tc、及び温度閾値Th1のそれぞれは、特定製品(即ち、比較情報要求に対応するエアコン)と、類似製品と、の消費電力量Wv(電力相関量)の差分が明確となるように適宜変更されても良い。例えば、温度閾値Th1は、室内温度Tr、設定温度Ts及び外気温度Teのそれぞれに対して互いに異なる値(温度)が設定されても良い。
【0044】
(通知情報の配信)
上述したように、サーバ31は、運転履歴情報Sを送信間隔Tiが経過する毎にプローブ装置11から受信する。プローブ装置11を内蔵するエアコン41の利用者に対して通知すべき情報がある場合、サーバ31は、
図4(a)に示されるように、運転履歴情報Sを受信したときの応答として「通知情報」をプローブ装置11へ送信する。本実施形態において、通知情報は、運転履歴情報Sとして送信されたHTTPリクエストに対する応答(HTTPレスポンス)としてサーバ31からプローブ装置11へ送信される。即ち、サーバ31は、運転履歴情報Sを送信するために確立されたTCPコネクションを介してプローブ装置11へ通知情報を送信する。
【0045】
通知情報は、例えば、エアコン41を製造したメーカーの担当者が通知の対象となる型式情報Mcをサーバ31に対して「通知要求」として所定の手順により入力することによって実行される。通知要求は、例えば、サーバ31へ送信されるHTTPリクエストによってサーバ31に入力される。或いは、通知要求は、サーバ31の端末に対して保守者が入力しても良い。
【0046】
プローブ装置11は、通知情報を受信するとエアコン41の発光装置68を点灯させる。発光装置68の点灯に気づいた利用者は、例えば、エアコン41のメーカーのWebサイトにアクセスすることにより、詳細な情報を確認することができる。なお、通知情報は予め定められた理由コード(数値)を含み、理由コードを含む通知情報を受信したプローブ装置11は、エアコン41に内蔵されたスピーカ(不図示)に理由コードに対応した音声を再生させるようにプローブ装置11及びエアコン41が構成されても良い。
【0047】
なお、
図4(b)に示されるように、運転履歴情報Sは、(プローブ装置11に代わり)移動端末21からサーバ31へ送信されても良い。この場合、プローブ装置11と移動端末21とはWiFi又はBluetoothの規格に準拠した通信を行う。具体的には、プローブ装置11は、取得間隔Twが経過する毎にデータセットSaを取得し且つ記憶する。一方、移動端末21は、利用者の任意のタイミングでプローブ装置11へ「運転履歴情報要求」を送信する。
【0048】
プローブ装置11は、運転履歴情報要求を受信すると、「運転履歴情報応答」を移動端末21へ送信する。運転履歴情報応答には、プローブ装置11が運転履歴情報要求を前回受信してから現時点までに取得された(複数の)データセットSaが含まれている。移動端末21は、運転履歴情報応答を受信すると、プローブ装置11から受信したデータセットSaを含む運転履歴情報Sをサーバ31へ送信する。なお、移動端末21からサーバ31へ運転履歴情報Sを送信する場合、プローブ装置11は、移動端末21からの履歴情報取得要求を受け取るまで、プローブ装置11は運転履歴情報Sを一定期間保持し続けるが、保持する容量の上限に達した場合、古い履歴から上書きされる。
【0049】
サーバ31は、エアコン41の型式情報Mcに係る通知要求が入力されていると、移動端末21から運転履歴情報Sを受信したときに通知情報を移動端末へ送信(返信)する。この場合、移動端末21は、通知情報を受信した旨を利用者へ通知する。或いは、通知要求が入力された後、運転履歴情報Sを移動端末21から受信する前に比較情報要求を受信すると、サーバ31は、履歴比較情報と共に通知情報を送信する。
【0050】
(外付け型のプローブ装置)
次に、プローブ装置12の作動について、上述した内蔵型のプローブ装置11との差分を中心に説明する。
図1に示されるように、プローブ装置12は、家屋1bに設置されたエアコン42と温度誤差の少ない場所に配設されている。プローブ装置12は、エアコン42の電力線Cpに介装されている。プローブ装置12及びエアコン42は、電力線Cpより供給される電力により作動する。
【0051】
プローブ装置12は、プローブ装置11と同様に周知の小型コンピュータであり、CPU61、ROM62及びRAM63、並びに発光装置69(
図1を参照)を含んでいる。プローブ装置12は、電力線Cpに対して配設された電力計(不図示)を内蔵し、エアコン42の消費電力Waを検出する。加えて、プローブ装置12は、エアコン42が設置された部屋の温度を室内温度Trとして検出する室温計(不図示)を内蔵している。
【0052】
プローブ装置12は、設定温度Tsを直接的に取得することができないため、データセットSaに含まる設定温度Tsには非現実的な値(例えば、256℃)を設定する。この場合、サーバ31が実際の設定温度Tsを推定する。具体的には、サーバ31は、受信したデータセットSaに含まれる消費電力量Wvに基づいてエアコン42の消費電力Waが作動中における最小値近傍である状態(最小電力状態)が所定時間継続していたと判定すると、その時点の室内温度Trを設定温度Tsとして取得(推定)する。例えば、サーバ31は、最小電力状態が所定時間継続以上したときの室内温度Trを、最小電力状態がその前に発生した後に消費電力Waが上昇してから、再び最小電力状態が発生し且つ所定時間以上継続する迄、の期間における設定温度Tsとして扱う。
【0053】
プローブ装置12は、家屋1bに配置された宅内ルータ52、及びネットワーク30を介してサーバ31へ運転履歴情報Sを送信間隔Tiが経過する毎に送信する。当然ながら、プローブ装置12に対して付与された識別情報Idは、プローブ装置11の識別情報Idとは異なっている。
【0054】
プローブ装置12は、サーバ31から通知情報を受信すると、発光装置69を点灯させる。加えて、上述した家屋1aの例と同様に、利用者が家屋1bにある移動端末21を操作することによって比較情報要求をサーバ31へ送信すると、サーバ31は、その移動端末21へ履歴比較情報を送信する。その結果、ディスプレイ21aには、履歴比較情報に係るグラフ(
図6の例を参照)が表示される。
【0055】
(運転履歴情報Sの送信の変形例)
実施の形態1の変形例(第1変形例)について説明する。上述した実施の形態1において、サーバ31は、類似製品に係り且つ第1近似条件を満たしている電力履歴情報に係る消費電力量Wvを比較電力相関量として抽出していた。実施の形態1における類似製品は、特定製品と型式情報Mc及び所在地域Lcが同一である(特定製品以外の)エアコンであった。これに対し、第1変形例における類似製品は、特定製品と「製品群」及び所在地域Lcが同一である(特定製品以外の)エアコンである。以下、この相違点を中心に説明する。
【0056】
第1変形例に係るサーバ31は、複数の製品群のそれぞれに属する型式情報Mcの集合を「製品群DB」として記憶装置75に記憶している。即ち、ある型式情報Mcを製品群DBに適用すると、その型式情報Mcが属する製品群に含まれる複数の型式情報Mcが取得される。本変形例に係る製品群のそれぞれは、メーカーから公表されている通年エネルギー消費効率(APF)及び利用環境の目安(具体的には、使用される部屋の広さであり、例えば、和室の畳数又は洋室の面積によって表される)が互いに近似しているエアコンの型式情報Mcの集合である。
【0057】
換言すれば、製品群は、特定製品(例えば、エアコン41)と利用状況が類似していた場合に消費する消費電力Waが特定製品と近似する可能性が高いエアコンの型式情報Mcの集合である。本変形例において、製品群には、特定製品と型式情報Mcが等しいエアコンも含まれが、特定製品と同一の型式情報Mcが省かれても良い。本変形例において、製品群は、便宜上、「製品属性」とも称呼される。即ち、同一の製品群に含まれるエアコンは、製品属性が互いに同一である。
【0058】
サーバ31は、比較情報要求を受信すると、比較情報要求に含まれる識別情報Idを型式DBに適用することによって型式情報Mcを取得する。加えて、サーバ31は、比較情報要求に係る型式情報Mcを製品群DBに適用することにより比較情報要求に係る製品群(即ち、本変形例に係る類似製品に相当する型式情報Mcの集合)を取得する。更に、サーバ31は、類似製品に係り且つ第1近似条件を満たしている電力履歴情報に係る消費電力量Wv(即ち、比較電力相関量)を抽出する。次いで、サーバ31は、抽出された比較電力相関量の中から最小値及び最大値を抽出する処理を比較期間Pmのそれぞれに対して実行し、履歴比較情報を生成する。
【0059】
(収集した情報を利用したデータ解析について)
図7は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1の機能の概要を説明するためのブロック図である。
図8は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1において処理される情報の流れを説明するためのブロック図である。サーバ31は、上記で説明したプローブ装置11、12又は移動端末22から情報を収集するだけでなく、収集した情報を処理し、エアコン41及び42等の空気調和装置を制御するための情報を生成する装置である。
【0060】
通常エアコン41及び42等は、製品ごとに設定温度Tsが設定されたときの運転をどのように制御するか又は自動運転モードにしたときに室内の状態を快適な状態にするために、室内温度Tr、風力などをどのように制御するか、について予め設定されている。これらの制御については、例えばPMVなどの快適指標に従い、エアコン41及び42の型式などに応じて個別に設定されているのが通常である。しかし、エアコン41及び42などの空気調和装置が設置される環境は、様々である。例えば、日本国内においても地域によって気候が異なるため、外気温度Te及び外気湿度Tfが異なり、室内においてユーザが着用している服も異なる。また、設置される建造物の構造も異なるため、これらの要因によってもユーザが感じる快適感は異なる。そのため、エアコン41及び42に予め設定された制御情報による運転は、ある地域では快適であるが、他の地域では快適ではないという場合がある。実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1は、プローブ装置11などを用いて多数の空気調和装置から運転履歴情報Sを取得し、それを解析することにより、ある地域での最適な空気調和装置の運転条件を求めるものである。
【0061】
サーバ31は、運転履歴情報Sの送信元アドレス(IPアドレス)に基づプローブ装置11、12及び移動端末21がどの地域に配置されているか判別できるため、エアコン41、42等が設置された地域を取得する事ができる。よって、サーバ31は、例えば国内の至るところから運転履歴情報Sを取得しても、その運転履歴情報Sがどの所在地域Lcのものであるか判別できる。
【0062】
また、サーバ31は、各地域にある気象観測所Woのデータを収集することができる。したがって、運転履歴情報Sがどの所在地域Lcであるかが判別できたら、例えば所在地域Lcに最も近い気象観測所Woを選択し、その気象観測所Woが発表している外気温度Te及び外気湿度Tf等の情報を基準値として運転履歴情報Sと関連付けることができる。なお、運転履歴情報Sを分類するために使用するある特定の所在地域Lcの気象観測所Woの気象情報を「所在地域気象情報」と呼ぶ場合がある。また、気象観測所Woが発表しているデータは、その地点の標高等の情報も含んでいるため、例えば実際にエアコン41、42等が設置されている地域の標高が気象観測所Woの標高と異なる場合は、標高差に応じて基準値となる外気温度Te及び外気湿度Tfを補正した上で運転履歴情報Sに関連付けることもできる。
【0063】
また、
図8に示すように、取得した運転履歴情報Sは、情報処理部31aで他の情報と関連付けて記憶部31bに保存される。運転履歴情報Sは、例えば計時部31cによって検知された情報取得時の時刻情報Ta、気象観測所Woから得られた気象情報と関連付けて登録データRとして記憶部31bに記憶される。サーバ31は、以下のような手順で登録データRを記憶する。
【0064】
図9は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1のサーバ31が登録データRを記憶するまでのフローチャートである。
図7に示すように、サーバ31は、複数の所在地域Lcからの運転履歴情報S(データセットSa)を、ネットワーク30を介して取得する。そのときに、サーバ31は、プローブ装置のIPアドレスから所在地域Lcを特定する(ステップA1)。
【0065】
次に、サーバ31は、所在地域Lcから最も近い気象観測所Woを特定し、運転履歴情報Sと関連付ける(ステップA2)。
【0066】
次に、サーバ31は、該当する気象観測所Woの気象情報を取得する。気象情報の内容は、例えば外気温度Te、外気湿度Tf及び標高などである。サーバ31は、必要に応じて気象情報からデータを抽出し、基準値として運転履歴情報Sと関連付ける(ステップA3)。基準値は、その所在地域Lcにある運転履歴情報Sの基準となる気象情報であり、多数の空気調和装置から収集されたデータをその基準値を基に分類するのにも使用できる。
【0067】
次に、サーバ31は、運転履歴情報S及び基準値を関連付けて登録データRとして記憶部31bに記憶する(ステップA4)。なお、運転履歴情報S及び基準値は、時刻情報も関連付けられている。運転履歴情報Sは、プローブ装置11などにおいてある一定期間の間収集された複数のデータセット(例えば30個)がまとめて送信されたものであるため、取得した時点において計時部31cから付与された時刻情報を基に、複数のデータセットSaに含まれるデータセットSaの数からプローブ装置11において収集されたときの時刻を推定してそれぞれのデータセットSaに付与しても良い。気象情報は、気象観測所Woが例えば10分おきに発表しているデータであり、それぞれのデータセットSaに付与された時刻情報に最も近い時刻情報のものが、データセットSaと関連付けられて記憶部31bに記憶される。
【0068】
サーバ31は、取得した登録データRを解析し、所在地域Lcに適した空気調和装置の制御情報(運転条件)を導出する。サーバ31は、空気調和装置の運転条件のうち消費電力量Wvに基づいて登録データRを分類し、分類した登録データRから最適な制御情報を導き出す。具体的には、サーバ31は、登録データRに含まれる空気調和装置が設置された環境の室内温度及び室内湿度を含む環境情報並びに気象情報と、空気調和装置の消費電力、圧縮機、室外送風機及び室内送風機の出力を含む制御情報との最適な組み合わせを導き出す。以下に、サーバ31が消費電力量Wvに基づいて登録データRを分類する手順を説明する。
【0069】
具体的には、サーバ31は、登録データRに含まれる運転履歴情報Sから、所在地域Lcを基に地域別運転履歴情報Srを抽出し、更に地域別運転履歴情報Srを消費電力量Wvに基づいて消費電力別運転履歴情報を抽出する。サーバ31は、抽出した複数の消費電力別運転履歴情報とそれに関連する基準値(気象観測所からのデータ)から、環境情報及び気象情報に最適な空気調和装置の制御情報を導き出す。
【0070】
図10は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1のサーバ31が登録データRを消費電力量Wvに基づいて分類し解析を行うフローチャートの一例である。まず、サーバ31は、同一の所在地域Lcに属する複数の空気調和装置の登録データRから消費電力量Wvの最大値及び最小値を抽出する(ステップB1)。
【0071】
抽出された消費電力量Wvから、サーバ31は、消費電力量Wvの最大値及び最小値の差分ΔWvを求める(ステップB2)。差分ΔWvの大小に応じて、サーバ31は、消費電力量Wvを分類するための複数のグループを作成する(ステップB3)。例えば、消費電力量Wvの最大値が10kWhで最小値が0kWhであった場合、サーバ31は、消費電力量Wvが0kWh以上1kWh未満、1kWh以上2kWh未満、…、及び9kWh以上1kWh未満の10個のグループを作成する。複数のグループの数量は限定されず、最大値が5kWhで最小値が0kWhの場合は、5つのグループに分けても良いし、それ以下の数のグループに分けても良い。
【0072】
次に、サーバ31は、グループごとに登録データRを解析する(ステップB5)。各グループは、登録データRを消費電力量Wvに基づいて分類しているため、例えば、同じグループに含まれる登録データRは、略同一の出力で運転された複数の空気調和装置の設定温度Ts及び消費電力Wa、室内温度Tr並びに外気温度Teの所定の時間内における推移が含まれている。これらの消費電力量Wvに基づいて分類された登録データRから、サーバ31は、最適と思われる設定温度Ts及び消費電力Waの組み合わせを抽出する。抽出された設定温度Ts及び消費電力Waは、そのときの室内温度Tr並びに外気温度Teとも関連付けられ、ある環境情報(室内温度Tr)及び気象情報(外気温度Te)下における最適な運転状態であるとして、記憶部31bに保存される。サーバ31は、記憶部31bに保存された最適な運転状態から、空気調和装置の制御情報を導出する。
【0073】
以上のようにして、サーバ31は、登録データRを消費電力量Wvに基づいて分類した上で解析を行い、空気調和装置の最適な制御情報を導出する。制御情報の導出は、一例として、所定の時間内において空気調和装置の設定情報の変動がどの程度行われているかに基づいて行われる。以下にサーバ31における制御情報の導出の例について説明する。
【0074】
図11は、サーバ31において消費電力量Wvに基づいて分類されたある1つのグループの登録データRに含まれる2つのデータセットの一例である。
図11(a)に示されたものをデータセットS1と呼び、
図11(b)に示されたものをデータセットS2と呼ぶ。データセットS1及びS2は、同じ時間帯のある所定の期間の外気温度Te、室内温度Tr、設定温度Ts及び消費電力Waの時間的な推移である。
図11(a)及び(b)は、横軸を時間t、縦軸を温度T[℃]及び電力W[W]としている。
【0075】
データセットS1及びS2は、消費電力の変動の仕方が異なっているが、
図11に示されている時間帯においては略同じ消費電力量となっている。また、データセットS1及びS2は、同じ所在地域Lcに属しているため、外気温度Teも等しい。なお、
図11においては、空気調和装置は冷房運転をしている。
【0076】
データセットS1は、当初の設定温度Tsが高く設定されているが、室内温度Trが高いためユーザが設定温度Tsを下げた場合を示している。ユーザが設定温度Tsを下げると空気調和装置は出力を上げ、次第に室内温度Trが低下する。空気調和装置は、室内温度Trが設定温度Tsまで下がると出力を下げる。すると、室内温度Trは上昇する。室内温度Trが設定温度Tsを所定の温度だけ超えると、空気調和装置は再び出力を上げる。データセットS1は、以降同様な制御が繰り返されている。
【0077】
データセットS2も、データセットS1と同様に当初の設定温度Tsが高く設定されているが、室内温度Trが高いためユーザが設定温度Tsを下げた場合を示している。ユーザが設定温度Tsを下げると空気調和装置は出力を上げ、次第に室内温度Trが低下する。ここで、ユーザは室内温度Trが低下し過ぎていると感じて設定温度Tsを上げ、空気調和装置も出力を低下させている。しばらくして室内温度Trが上昇すると、再びユーザは設定温度を下げ、空気調和装置は出力を上げている。以降ユーザは同様な動作を繰り返し、空気調和装置も合わせて出力を変動させている。
【0078】
消費電力量Wvの大小で分類されたグループの中に、
図11に示すデータセットS1及びS2が含まれていた場合、サーバ31は、解析部31dにおいて空気調和装置の設定変更の頻度が少ないものを抽出し、制御情報生成部31eにおいてそれらの運転履歴情報から最適な制御情報を導き出す。つまり、データセットS1及びS2があった場合、サーバ31は、設定温度Tsの変動が少ないデータセットS1がより理想的な運転状態であるとして、データセットS1の運転状態から制御情報を導き出す。
【0079】
データセットS1は、少なくとも時間経過と消費電力Waとの関係が示されているため、サーバ31は、例えば、
図11(a)に示されている所定時間t1の消費電力量Wvを求め、空気調和装置が所定時間t1運転したときにこの消費電力量Wvになるような運転をするように制御情報を作りだす。または、サーバ31は、
図11(a)に示されている所定時間t1の消費電力Waの変化に沿った運転状態を制御情報としても良い。
【0080】
なお、
図11においては、空気調和装置の設定情報は、設定温度Tsのみが示されているが、その他に風力、風向、運転モードの変更などを含んでいても良い。設定情報に風力などの情報が含まれていた場合、これらも変更頻度の評価の対象に含んでも良い。
【0081】
以上のように
図11に示した例を用いてサーバ31が制御情報を導き出す過程を説明したが、実際には登録データRは多数のデータセットを含んでおり、その中から設定変更頻度情報を抽出し、設定変更頻度情報を基に登録データRを分類する。例えば、登録データRの中から所定の変更頻度以下のデータセットをより理想的な運転状態であるとして、低変更頻度運転履歴情報として抽出し、低変更頻度運転履歴情報に含まれる空気調和装置の運転状態を基に制御情報を導出する。制御情報を導出するに当たっては、抽出された空気調和装置の運転状態に含まれる消費電力量の平均値に基づいて、平均的な圧縮機、室外送風機及び室内送風機の出力を求めても良いし、登録データRに圧縮機、室外送風機及び室内送風機の出力のデータが含まれているのであれば、それらの平均値を制御情報としても良い。
【0082】
図12は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1のサーバ31が登録データRを消費電力量Wvに基づいて分類し解析を行うフローチャートの別の一例である。以上においては、
図10に基づいて登録データRを分類し、同程度の消費電力量Wvの中からより理想的な運転状態を抽出した上で、抽出されたデータを解析する例を説明したが、
図12に示すフローでは、サーバ31は、登録データRから所定の変更頻度以下のデータセットを抽出した上で、抽出されたデータセットを消費電力量Wvで複数のグループに分類し、グループごとにデータを解析する。
【0083】
図12に示す例の場合、
図10に示したステップB1~B5の前に、登録データRを設定変更頻度情報に基づき所定の設定変更頻度以下のデータセットを抽出する(ステップC1)。その後のステップC2~C6は、
図10に示したステップB1~B5と同じ内容である。サーバ31は、このような処理を行うことにより、空気調和装置の制御情報を生成するために不要なデータを最初に除外できる。
【0084】
(サーバ31による解析及び制御情報生成の変形例)
サーバ31は、設定変更頻度情報を基にして登録データRからデータセットを抽出して、抽出したデータセットにおける空気調和装置の運転状態を基に空気調和装置の制御情報を導出するが、制御情報を導出するに当たっては、学習モデルを用いても良い。この場合、サーバ31の解析部31dは、学習モデルを生成し、制御情報生成部31eは、プローブ装置11などから取得した運転履歴情報を生成された学習モデルに入力し、制御情報を出力する。
【0085】
図13は、実施の形態1に係るサーバ31の解析部31d及び制御情報生成部31eの機能の一例の説明図である。解析部31dには、運転履歴情報S及び気象情報が入力される。運転履歴情報Sは、
図11に示すような時間の経過と各パラメータの変動を含むデータであるため、予め設定温度Ts及び消費電力Waの変動に基づきの設定変更頻度情報が抽出されて解析部31dに入力されても良い。
【0086】
解析部31dは、登録データRを基にして学習モデルを生成する。教師なし学習の場合、解析部31dは、各データのパターン、関係性、異常などを自動的に識別するように設計される。例えば、解析部31dは、クラスタリング、主成分分析(principal component analysis; PCA)を用いて運転履歴情報Sから異なる環境情報及び気象情報下の運転状態を識別し、その中から効率的な運転状態を実現できる学習モデルを生成できる。教師あり学習の場合、解析部31dは、例えば変更頻度が所定より少ないときの、設定温度、空気調和装置の運転状態(空気調和装置の出力)、環境情報、及び気象情報のデータセットを教師データ(ラベル付きデータ)とし、学習モデルを生成する。解析部31dは、新たに運転履歴情報を取得するたびに学習し、よりユーザが快適に感じる精度の高い運転状態又は制御情報を出力できる学習モデルを生成できる。
【0087】
また、解析部31dは、強化学習により学習モデルを生成しても良い。例えば、解析部31dは、設定変更頻度が少ないほど得られる報酬が高くなるように設定され、報酬を最大化するように学習モデルを生成する。また、解析部31dは、さらに消費電力量Wvが少ない場合及び室内温度Trなどの変動が少ない場合に得られる報酬が高くなるように設定することにより、多様な状況に対応した学習モデルを生成できる。学習モデルは、入力を環境情報及び気象情報とし、出力を空気調和装置の運転状態又は制御情報とするものである。
【0088】
(サーバ31による空気調和装置の制御の例)
図14は、実施の形態1に係るサーバ31により生成された制御情報による空気調和装置の制御の一例のフローチャートである。サーバ31は、制御対象となる空気調和装置のプローブ装置11から取得した運転履歴情報Sから所在地域Lcを特定する(ステップD1)。次にサーバ31は、所在地域Lcに最も近い気象観測所Woを特定し、運転履歴情報Sと関連付ける(ステップD2)。さらにサーバ31は、該当した気象観測所Woから気象予報データを取得する(ステップD3)。
【0089】
次に、サーバ31は、気象予報データを解析するが、ここでは外気温度Teの予報値がこれから上昇するか否かを判定する(ステップD4)。空気調和装置が暖房運転の場合、外気温度Teが上昇するという判定がされると(ステップD4においてyes)、サーバ31は、空気調和装置に出力を抑える内容の制御情報を送信する(ステップD5)。また、外気温度Teが上昇しないという判定の場合(ステップD4でno)、サーバ31は空気調和装置に通常の出力の制御情報を送信する(ステップD6)。
【0090】
ステップD5及びD6においては、例えば予め気象予報データを学習モデルに入力して得られた結果を制御情報としても良い。このように、気象予報データに基づいて制御情報を作成することにより、空気調和装置はユーザの快適性を確保しながらより効率的な運転が可能となる。例えば、ある空気調和装置が冷房運転をしており、現時点において気温が高く、気象予報データがこれから先の時間帯において気温が徐々に低くなることを予報している場合において、サーバ31は、先の時間帯において低くなる気温に合わせて徐々に出力を下げていく制御情報を生成する。このように、空気調和装置の運転状態を気温に合わせて緩やかに制御することにより、空気調和装置の運転が効率的になる。
【0091】
以上のように、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1によれば、地域の異なる各地の空気調和装置から運転履歴情報Sを取得し、それを基に所在地域Lc別にデータを解析する。これにより、気候の異なる地域ごとに最適な制御情報を得ることが可能となる。また、家電制御情報生成システム1は、運転履歴情報S及び気象情報を時系列で記憶し、解析を行うため、例えば季節または天気が異なる場合であってもそれぞれの場合において最適な制御情報を得ることが可能となる。なお、家電制御情報生成システム1は、気象予報データを学習モデルに入力して制御情報を生成することもできる。この場合、学習モデルは、気象予報データに応じて最適な空気調和装置の制御情報を出力するため、
図14のステップD4に示す判定が必要なくなる。ただし、サーバ31は、気象予報データに応じて使用する学習モデルを切り替えても良い。
【0092】
実施の形態1に係る家電制御情報生成システム1によれば、登録データRが増加するごとに最適な制御情報を出力することが可能となる。従来のPMVなどの指標による空気調和装置の制御の代わりに家電制御情報生成システム1が生成した様々な設置環境に合った最適な制御情報を使用することにより、常に最新の環境(気候、地域、住環境など)に合わせた空気調和装置の運転が可能となる。
【0093】
また、以上においては、空気調和装置を例にして家電制御情報生成システム1について説明したが、制御情報を生成する対象とする家電製品としては他に冷蔵庫などが挙げられる。例えば、冷蔵庫の消費電力Waは、冷蔵庫の開閉頻度、外気温度Te、室内に設置されたエアコンの設定温度Ts、室内温度Trによっても変動し得る。よって、サーバ31は、冷蔵庫の消費電力Wa、外気温度Te、エアコンの設定温度Ts、室内温度Trを解析部31dに入力し解析するように構成されていても良い。例えば、冷蔵庫の消費電力Wa、外気温度Te、エアコンの設定温度Ts、室内温度Trを解析部31dに入力して学習モデルを生成し、外気温度Te、エアコンの設定温度Ts及び室内温度Trに応じた最適な冷蔵庫の運転状態又は制御情報を出力できるように構成されていても良い。解析部31dにおいて生成される学習モデルは、上記の空気調和装置の場合において説明したのと同様に、教師あり・なし学習、強化学習などにより最適な冷蔵庫の運転状態又は制御情報を出力が可能となる。
【0094】
図15は、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム100による家電制御情報の生成の一例を示すフローチャートである。冷蔵庫の消費電力Waは、室内温度Tr及び空気調和装置の運転状態の影響を受ける。そのため、
図15においては、家電制御情報生成システム100は、冷蔵庫の消費電力量Wvが少なくなり、かつ室内環境が快適になるような空気調和装置及び冷蔵庫の制御情報を生成する。
【0095】
まず、サーバ31は、空気調和装置の設定温度Tsと運転モードとを取得する(ステップE1)。次に、サーバ31は空気調和装置が冷房運転か否かを判定する(ステップE2)。空気調和装置が冷房運転である場合(ステップE2でyes)、サーバ31は、ある所定の室内温度Aに対し室内温度Trが下降した場合の冷蔵庫の消費電力の減少量を求める(ステップE3)。空気調和装置が冷房運転ではない場合(ステップE2でno)、サーバ31は、ある所定の室内温度Aに対し室内温度Trが上昇した場合の冷蔵庫の消費電力の増加量を求める(ステップE4)。
【0096】
これらの冷蔵庫の消費電力の変化が求められた後、サーバ31は、冷蔵庫の消費電力量の増加量及び減少量と、空気調和装置の運転条件と、を解析し、冷蔵庫及び空気調和装置の効率の良い運転条件を求める(ステップE5)。
【0097】
以上のように、実施の形態1に係る家電制御情報生成システム100は、温度制御が関係する複数種の家電についての制御情報を生成できる。上記においては、一例として冷蔵庫と空気調和装置とを関係させた制御情報の生成について説明したが、その他の家電製品についても同様に制御情報を生成しても良い。
【0098】
以上に本発明を各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。上記各実施の形態においては、家電制御情報生成システム1をネットワークコンピュータシステムのクライアント・サーバシステムなどを始めとするシステムにおいて実現したが、クライアント・サーバシステムを構成しないパーソナルコンピュータ等の各種コンピュータや、携帯端末やタブレット等の各種通信端末・携帯情報端末において家電制御情報生成システム1と同じ機能を実現させることもできる。この際、家電制御情報生成システム1の機能の少なくとも一部を、コンピュータプログラムを各種コンピュータや各種通信端末・携帯情報端末に実装させることで実現させることも可能である。つまり、各種コンピュータを家電制御情報生成システム1の少なくとも一部として機能させるためのプログラムも本発明に含むものである。また、上記各実施の形態は、組み合わせて実施される場合もある。いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0099】
1 :家電制御情報生成システム
1a :家屋
1b :家屋
11 :プローブ装置
12 :プローブ装置
21 :移動端末
21a :ディスプレイ
22 :移動端末
30 :ネットワーク
31 :サーバ
31a :情報処理部
31b :記憶部
31c :計時部
31d :解析部
31e :制御情報生成部
40 :空気調和装置
41 :エアコン
42 :エアコン
43 :赤外線受光部
51 :リモコン
52 :宅内ルータ
61 :CPU
62 :ROM
63 :RAM
64 :データ通信部
65 :入出力部
66 :電力計
67 :室温計
68 :発光装置
69 :発光装置
71 :CPU
72 :ROM
73 :RAM
74 :データ通信部
75 :記憶装置
90 :ネットワーク
100 :家電制御情報生成システム
Cp :電力線
Id :識別情報
Lc :所在地域
Mc :型式情報
Nd :データ数
Pm :比較期間
R :登録データ
S :運転履歴情報
S1 :データセット
S2 :データセット
Sa :データセット
Sa :データセット
Sr :地域別運転履歴情報
T :温度
Ta :時刻情報
Tc :比較時間
Te :外気温度
Te1 :外気温度
Te2 :外気温度
Tf :外気湿度
Th1 :温度閾値
Ti :送信間隔
Tr :室内温度
Tr1 :室内温度
Tr2 :室内温度
Ts :設定温度
Ts1 :設定温度
Ts2 :設定温度
Tw :取得間隔
W :電力
Wa :消費電力
Wo :気象観測所
Wv :消費電力量
t1 :期間
ΔWv :差分
【要約】 (修正有)
【課題】設置された環境に合わせ、より最適に家電製品が運転できる制御情報を生成する家電制御情報生成システムを提供する。
【解決手段】複数の家電製品からの運転履歴情報に基づき家電製品の制御情報を生成する家電制御情報生成システム1であって、取得したデータを記憶する記憶部を有し、データを処理する情報処理部であるサーバ31を備える。運転履歴情報は、複数の家電製品の夫々の設置された地域を特定できる位置情報と、設定情報と、消費電力量とを含み、情報処理部は、ネットワークを介して複数の家電製品からの運転履歴情報及び位置情報を基に複数の家電製品が設置された所在地域気象情報を取得し、所在地域に属する複数の家電製品についての運転履歴情報を分類し地域別運転履歴情報とし、地域別運転履歴情報を消費電力量の大小に基づいて複数のグループに分類し、同じグループに属する地域別運転履歴情報を解析し、家電製品の制御情報を出力する。
【選択図】
図1