(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】停止表示器
(51)【国際特許分類】
B60Q 7/00 20060101AFI20250123BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20250123BHJP
G09F 13/16 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B60Q7/00 670B
B60Q7/00 610H
B60Q7/00 630A
G09F7/18 W
G09F13/16 K
(21)【出願番号】P 2024514995
(86)(22)【出願日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2023014976
(87)【国際公開番号】W WO2023199968
(87)【国際公開日】2023-10-19
【審査請求日】2024-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2022067604
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522154869
【氏名又は名称】株式会社良栄
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正俊
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-072935(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02067661(EP,A2)
【文献】実開昭50-129091(JP,U)
【文献】特許第6257699(JP,B2)
【文献】実開昭48-072878(JP,U)
【文献】登録実用新案第3192681(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 7/00
G09F 7/18
G09F 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角形状をなす停止表示器であって、
水平方向に延在する直線状をなす第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の上面に立設された三角表示部と、
前記第1ベース部材の延在方向と同方向に延在して前記第1ベース部材の下側に重なる第1格納位置と、前記第1ベース部材より垂下する第1使用位置との間を回動可能であるように、前記第1ベース部材の両端部に、前記第1ベース部材に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端部を含む1対の第1脚部材と、
水平方向に延在する直線状をなし、前記第1ベース部材の延在方向と同方向に延在する第2格納位置と前記第1ベース部材の延在方向に直交する方向に延在する第2使用位置との間を回動可能に、前記第1ベース部材の中央部に鉛直な軸線周りに回動可能に連結された中央部を含む第2ベース部材と、
前記第2ベース部材と上下に重なり合う第3格納位置と前記第2ベース部材の端部から外方に張り出した傾斜した第3使用位置との間を回動可能であるように、前記第2ベース部材の両端部に、前記第2ベース部材に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端部を含む1対の第2脚部材とを有し、
格納状態において、
前記第1脚部材が、前記第1ベース部材の下側に重なる前記第1格納位置にあり、
前記第2ベース部材が、前記第1格納位置にある前記第1脚部材を前記第1ベース部
材との間に上下に挟み込むように、前記第2格納位置にあり、
前記第2脚部材が、前記第2格納位置にある前記第2ベース部材の下側に重なるように、前記第3格納位置にある、停止表示器。
【請求項2】
各第2脚部材は、前記基端部を含む直線状の主部と、前記主部の遊端部の側に前記主部に対して折曲可能に可撓性を有して接続された接地部とを有する請求項1に記載の停止表示器。
【請求項3】
各接地部にエラストマ材による第1接地シートが設けられている請求項1又は2に記載の停止表示器。
【請求項4】
前記第3格納位置において下向きになる各第2脚部材の表面に、エラストマ材による第2接地シートが設けられている請求項1又は2に記載の停止表示器。
【請求項5】
前記第2ベース部材は横断面形状が矩形の棒状部材により構成され、
各第2脚部材は、前記第3格納位置に於いて、前記第2ベース部材を受容する溝形断面形状を有する請求項1又は2に記載の停止表示器。
【請求項6】
前記第1ベース部材に固定され、前記三角表示部の底辺をなす底辺部材と、
前記底辺部材に重なり合う第4格納位置と前記三角表示部の両斜辺を形成する展開位置との間で回動可能に、前記底辺部材の両端に、前記第1ベース部材に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端を含む1対の斜辺部材とを有する請求項1又は2に記載の停止表示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は停止表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両が路上に停車していることを通知するために、路上に停車している車両の近傍の路上に置かれる停止表示器は知られている。停止表示器は、脚部及び脚部上に立設された三角枠部を有し、不使用時にはコンパクトに格納できるように、脚部及び三角枠部がそれぞれ折り畳ためるように構成されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-72935号公報
【文献】特許第6257699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
停止表示器は、路上に倒れ難く安定して設置され、風によって倒され難い耐風性が高いことと、不使用時には自動車のトランクルーム等に大きいスペースを要することなく収納されるようにコンパクトに折り畳まれることとを要求される。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、路上に安定して設置され、風によって倒され難く、しかも不使用時にはコンパクトに折り畳まれる停止表示器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、三角形状をなす停止表示器(10)であって、水平方向に延在する直線状をなす第1ベース部材(12)と、前記第1ベース部材の上面に立設された三角表示部(14)と、水平方向に延在する直線状をなし、前記第1ベース部材の延在方向と同方向に延在する格納位置と前記第1ベース部材の延在方向に直交する方向に延在する使用位置との間を回動可能に、前記第1ベース部材の中央部に鉛直な軸線周りに回動可能に連結された中央部を含む第2ベース部材(30)と、前記第1ベース部材と重なり合う格納位置と、前記第1ベース部材より垂下する使用位置との間を回動可能であるように、前記第1ベース部材の両端部に、前記第1ベース部材に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端部(35)を含む1対の第1脚部材(34)と、前記第2ベース部材と重なり合う格納位置と前記第2ベース部材の端部から外方に張り出した使用位置との間を回動可能であるように、前記第2ベース部材の両端部に、前記第2ベース部材に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端部(43)を含む1対の第2脚部材(42)とを有する。
【0007】
この態様によれば、停止表示器は、路上に倒れ難く安定して設置され、風によって倒され難く、しかも不使用時にはコンパクトに折り畳まれる。
【0008】
上記の態様において、各第2脚部材は、前記基端部を含む直線状の主部(42A)と、前記主部の遊端部の側に前記主部に対して折曲可能に可撓性を有して接続された接地部(42B)とを有してもよい。
【0009】
この態様によれば、各第2脚部材の接地部は路面の傾斜等に倣って主部に対して任意の角度を持つことができ、使用状態での停止表示器の路上設置の安定性が向上する。
【0010】
上記の態様において、各接地部にエラストマ材による第1接地シート(44)が設けられていてもよい。
【0011】
この態様によれば、使用状態での停止表示器の路上設置の安定性が更に向上する。
【0012】
上記の態様において、前記格納位置において下向きになる各第2脚部材の表面に、エラストマ材による第2接地シート(46)が設けられていてもよい。
【0013】
この態様によれば、第2脚部材が格納位置にある状態での停止表示器の路上設置において、停止表示器の路上設置の安定性が更に向上する。
【0014】
上記の態様において、前記第2ベース部材は横断面形状が矩形の棒状部材により構成され、各第2脚部材は、収納位置に於いて、前記第2ベース部材を受容する溝形断面形状を有していてもよい。
【0015】
この態様によれば、第2脚部材が溝形断面形状を有して剛性の向上が図られても、収納位置に於いて第2ベース部材が嵩張ることがない。
【0016】
上記の態様において、前記第2ベース部材は自身の延在方向に長い長孔(48)を有し、前記第2脚部材は前記長孔に回動且つ摺動可能に係合する軸部(40)を有し、前記第2ベース部材の延在方向に対する摺動により前記第2ベース部材と重なり合う各第2脚部材は、前記基端部が前記第2ベース部材の延在方向に摺動可能であってもよい。
【0017】
この態様によれば、第2脚部材がコンパクトに格納される。
【0018】
上記の態様において、各第1脚部材及び各第2脚部材は、それぞれの格納位置にある時に、上下に重なり合うよう格納されてもよい。
【0019】
この態様によれば、第1脚部材及び第2脚部材がコンパクトに格納される。
【0020】
上記の態様において、更に、前記第1ベース部材に固定され、前記三角表示部の底辺をなす底辺部材(16)と、前記底辺部材に前後に互いに重なり合う位置する格納位置と前記三角表示部の両斜辺を形成する展開位置との間で回動可能に、前記底辺部材の両端に、前記第1ベース部材に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端(23)を含む1対の斜辺部材(24)とを有していてもよい。
【0021】
この態様によれば、三角表示部がコンパクトに格納される。
【発明の効果】
【0022】
以上の態様によれば、停止表示器は、路上に安定して設置され、風によって倒され難く、しかも不使用時にはコンパクトに折り畳まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1による停止表示器の使用状態を示す斜視図
【
図2】実施形態1による停止表示器の使用状態を示す正面図
【
図3】実施形態1による停止表示器の使用状態を示す側面図
【
図4】実施形態1による停止表示器の格納状態を示す正面図
【
図5】実施形態1による停止表示器の格納状態を示す側面図
【
図6】(A)は実施形態1による停止表示器の第1脚部材の格納状態を示す斜視図、(B)は同第2脚部材の使用状態を示す斜視図
【
図7】実施形態2による停止表示器の使用状態を示す斜視図
【
図8】実施形態2による停止表示器の第1脚部材及び第2脚部材の格納状態を示す斜視図
【
図9】実施形態2による停止表示器の案内凹部と摺動突部との係合状態を示す説明図であり、(A)は第2脚部材の引出し過程を、(B)は第2脚部材の回動過程を、(C)は係止状態を各々示す説明図
【
図10】(A)は実施形態2による停止表示器の第2脚部材の格納状態を示す側面図、(B)は同第2脚部材の引出し状態を示す側面図、(C)は同第2脚部材の使用状態を示す側面図
【
図11】実施形態3による停止表示器の使用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
実施形態1による停止表示器を、
図1~
図6を参照して説明する。
【0025】
停止表示器10は第1ベース部材12を有する。第1ベース部材12は、左右方向に水平に延在する直線状の、換言すると、帯板状の主部12A及び主部12Aの左右の各端部12Dから直角に垂下された短片部12Bを有する。尚、第1ベース部材12及び以下に説明する停止表示器10を構成する各部材は樹脂成形品であってよい。
【0026】
第1ベース部材12の主部12Aの上部には三角表示部14が立設される。三角表示部14は、主部12Aの上面に固定され、左右方向に延在して三角表示部14の底辺をなす底辺部材16と、底辺部材16の両端に、各々、ピン状の軸部18、20により主部12Aに直交して前後方向に延在する水平な軸線周り回動可能に連結された基端23、25を含む左右1対の斜辺部材22、24とを有する。
【0027】
底辺部材16及び左右の斜辺部材22、24は、各々、三角表示部14の各辺をなす帯板状の光反射部16A、22A、24A及び光反射部16A、22A、24Aの各々の内辺に沿って延在する蛍光部16B、22B、22Bを有する。左側の斜辺部材24は底辺部材16の前側に配置されている。右側の斜辺部材26は底辺部材16の後側に配置されている。
【0028】
斜辺部材22、24は、
図4及び
図5に示されているように、各々、底辺部材16に対する軸部18、20の中心軸線周りに、底辺部材16と同方向に水平に延在し、光反射部22A、24Aが前後に互いに重なり合い、且つ蛍光部22B、24Bが底辺部材16の蛍光部16Bの前後に蛍光部16Bを挟んで前後に互いに重なり合う格納位置と、
図1~
図3に示されているように、三角表示部14の左右の両斜辺を形成し、底辺部材16と協働して正三角形の枠体をなす展開位置(使用位置)との間を回動可能になっている。
【0029】
つまり、斜辺部材22、24は、底辺部材16に対する軸部18、20の中心軸線周りの回動により、上述の格納位置及び展開位置のいずれか一方の位置に選択的に位置することができる。
【0030】
斜辺部材24は蛍光部24Bにルーバ状に突出形成された係止片部27を有する。斜辺部材22、24は、
図2に示されているように、展開位置において、係止片部27が蛍光部22Bの内縁に係脱可能に当接することにより、上述の展開位置の状態を維持する。
【0031】
第1ベース部材12の主部12Aの下側には第2ベース部材30が設けられている。第2ベース部材30は、横断面形状が矩形の、換言すると矩形の箱形断面形状を有する棒状部材により、水平方向に延在する直線状に構成されている。第2ベース部材30は、第1ベース部材12の長手方向の中央部12Cに、ピン状の軸部28により鉛直な軸線周りに回動可能に連結された長手方向の中央部30Aを含む。つまり、第1ベース部材12と第2ベース部材30とは、長手方向の中央部12C、中央部30A同士を鉛直な軸部28によって互い回動可能に連結されている。
【0032】
第2ベース部材30は、軸部28の中心軸線周りに、
図4及び
図5に示されているように、第1ベース部材12の主部12Aの延在方向と同方向(左右方向)に延在して主部12Aの下側において主部12Aと重なり合う格納位置と、
図1~
図3に示されているように、主部12Aの延在方向に直交する前後方向に延在する使用位置との間を回動可能になっている。
【0033】
第1ベース部材12と第2ベース部材30とは略同じ長手方向の長さを有する。より詳細には、第2ベース部材30は、上述の格納位置において、第1ベース部材12の主部12Aよりも外方にはみ出さないように、主部12Aの長手方向の長さを超える長手方向の長さを有することがなく、主部12Aの長手方向の長さよりも少し短い長手方向の長さを有する。これにより、第2ベース部材30が格納状態での停止表示器10のコンパクト性が確保される。
【0034】
第1ベース部材12の主部12Aの長手方向の両端部12Dには、対応する短片部12Bの内側においてピン状の軸部32(
図6参照)により主部12Aに直交する水平な前後方向の軸線周りに回動可能に連結された基端部34Aを含む左右1対の第1脚部材34が設けられている。
【0035】
各第1脚部材34は、軸部32の中心軸線周りに、
図6(A)に示されているように、第1ベース部材12の主部12Aの下方において主部12Aと重なり合う格納位置と、
図6(B)に示されているように、主部12Aの端部より鉛直に垂下する使用位置との間を回動可能になっている。つまり、各第1脚部材34は第1ベース部材12の対応する端部12Dに折り畳み可能に設けられている。
【0036】
各第1脚部材34は係合孔36を有する。各第1脚部材34は、
図6(B)に示されているように、上述の使用位置において、係合孔36が短片部12Bに形成されている突部38に嵌合することにより、上述の使用位置を維持する。
【0037】
第2ベース部材30の長手方向の両端部30Bには、1対の第2脚部材42が設けられている。各第2脚部材42は、
図3の部分拡大図に示されているように、第2ベース部材30の対応する端部30Bに設けられた軸受孔31に係合するピン状の軸部40により、第2ベース部材30に直交する水平な軸線周りに回動可能に連結された基端部42Aを含む。つまり、各第2脚部材42は第2ベース部材30の対応する端部30Bに折り畳み可能に設けられている。
【0038】
各第2脚部材42は、軸部40の中心軸線周りに、
図4及び
図5に示されているように、第2ベース部材30の下側において、格納位置にある第1脚部材34を挟んで第2ベース部材30と重なり合う格納位置と、
図1及び
図2に示されているように、第2ベース部材30の対応する端部30Bから外方に張り出した使用位置との間を回動可能になっている。
【0039】
図3の部分拡大図に示されているように、第2脚部材42は、第2脚部材42の基端部42Aの端面が第2ベース部材30の端部30Bの端面に当接することにより、使用位置に保持される。これにより、第2脚部材42は、第2ベース部材30の端部30Bより斜め下方且つ外方に向けて傾斜する使用位置に位置することを繰り返し維持することができる。尚、このストッパ構造は、第2ベース部材30の
図3で見て右側の端部30Bにも設けられている。これにより、
図3で見て左右一対の第2脚部材42は、左右対称の使用位置に位置することを繰り返し維持することができる。
【0040】
格納位置にある各第1脚部材34と格納位置にある各第2脚部材42とは、
図4に示されているように、第2ベース部材30の下方において、上下に互いに重なり合う。つまり、各第1脚部材34及び各第2脚部材42は、それぞれの格納位置にある時に、第2ベース部材30の下側に、上下に重なり合うよう格納される。
【0041】
各第2脚部材42は、基端部42Aを含む直線状の主部42Bと、主部42Bの遊端部の側に主部42Bに対して折曲可能に可撓性を有して接続された接地部42Cとを有する。主部42Bは、底壁43A及び底壁43Aの両側縁から立ち上がった側壁43B(
図5参照)を有する溝形断面形状をなし、収納位置に於いて、溝内側に、第2ベース部材30を受容する。各第2脚部材42は、溝形断面形状であることにより、平板状である場合に比して、曲げ及び捩り剛性が向上し、所要の強度を担保して薄肉化及び脚長の拡張が可能になる。また、各第2脚部材42は、収納位置に於いて、第2ベース部材30を受容することにより、第2脚部材42が溝形断面形状であっても収納状態において嵩張ることがない。
【0042】
各第2脚部材42は、
図3に示されているように、使用位置において、基端部42Aから遊端側の接地部42Cに至る鉛直長さが互いに同一なるように、長手方向の長さ等を設定されている。これにより、第2ベース部材30は、各第2脚部材42が使用位置にある時に、第1ベース部材12及び各第2脚部材42の接地面に対して平行に横方向に延在することになる。
【0043】
各第1脚部材34の使用位置における基端部34Aから遊端側の接地部34Bに至る鉛直長さは、第2脚部材42の鉛直長さより少し短い。これにより、第2ベース部材30が変形してない状態では、
図2及び
図3に示されているように、停止表示器10の使用状態において、各第1脚部材34の接地部34Bと接地面との間に空隙が生じる。第2ベース部材30は、三角表示部14の重量や風圧等により、撓みや捩れを生じる。各第1脚部材34の接地部34Bと接地面との間の空隙は、第2ベース部材30に撓みや捩れにより消滅する大きいに設定されている。
【0044】
この設定により、第1脚部材34の接地荷重は第2脚部材42の接地荷重より小さく、第2脚部材42が三角表示部14の殆どの荷重を受け持つことになる。このことにより、第1脚部材34の接地部34Bにおいて風圧を受ける力が、第2脚部材42の接地部42Cにおいて風圧を受ける力よりも小さくなり、停止表示器10が横滑りし難くなる。
【0045】
各第2脚部材42は、基端部42Aを含む直線状の主部42Bと、主部42Bの遊端部の側に主部42Bに対して折曲可能に可撓性を有して接続された接地部42Cとを有する。接地部42Cが接地する面には第1接地シート44が装着されている。各第2脚部材42の、格納位置において下向きになる表面には、第2接地シート46が装着されている。第1接地シート44及び第2接地シート46は、接地面の形状に倣う適当な弾力性を有し、且つ表面の摩擦係数が大きいエラストマ材、好ましくは、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等のエラストマ材の発泡体により構成されたシート状のもってあってよい。
【0046】
1対の第2脚部材42の互いの離間距離(スパン)は、使用位置において、基端部43より接地部42Cに向かうに従って長くなり、接地部42Cにおいて最大値Lになる。この構成により、第1ベース部材12と第2ベース部材30との長手方向の長さが同じであっても、1対の第2脚部材42の接地部42Cの互いの離間距離の最大値Lは第1ベース部材12及び第2ベース部材30の長手方向の長さより長くなる。
【0047】
これにより、停止表示器10は、
図1及び
図2に示されているような使用状態において、1対の第2脚部材42がない場合に比して路上に倒れ難く安定して設置されると共に、風によって倒され難くい耐風性が高くなる。
【0048】
停止表示器10は、使用状態にある三角表示部14が正面を向く前後方向に風を受け易い。このことに対して、停止表示器10は、使用状態において前後に位置する1対の第2脚部材42によって接地部42Cの前後方向の離間距離が拡張されていることにより、耐風性が効果的に向上する。また、接地部42Cに第1接地シート44が貼着されていることにより、使用状態での停止表示器10の路上設置の安定性が向上する。
【0049】
また、各第2脚部材42の接地部42Cは、主部42Bに対して折曲可能に可撓性を有して接続されているから、路面の傾斜等に倣って主部42Bに対して任意の角度を持つことができる。このことによっても、使用状態での停止表示器10の路上設置の安定性が向上する。接地部42Cは、格納位置では主部42Bと同方向に延在するように主部42Bに対して折曲することにより、格納性も良好なものになる。
【0050】
停止表示器10は、1対の第2脚部材42を折り畳んだ格納状態でも、路上に設置して使用することもできる。この使用状態は、各第2脚部材42は第2接地シート46をもって路上に接地する。これにより、当該使用状態でも停止表示器10の路上設置の安定性が向上する。
【0051】
1対の第2脚部材42を折り畳んだ格納状態での停止表示器10は、平らな路面上等での使用に適しており、停止表示器10の路上設置の安定性がよい。これに対し、
図1~
図3に示されているように、一対の第2脚部材42が拡張された状態の停止表示器10の使用は不整地等の使用に適している。
【0052】
1対の第1脚部材34及び1対の第2脚部材42は、上下に互いに重なり合うようにして、しかも第2ベース部材30に上下に重なり合うように折り畳まれるから、停止表示器10は、第1脚部材34及び第2脚部材42が設けられても、不使用時のコンパクト性が阻害されることがない。
【0053】
(実施形態2)
実施形態2による停止表示器10を、
図7~
図10を参照して説明する。なお、
図7~
図10において、
図1~
図6に対応する部分は、
図1~
図6に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。尚、停止表示器を構成する各部材は樹脂成形品であってよい。
【0054】
実施形態2では、第2ベース部材30は中央部30Aを挟んだ両側(
図7で見て前側及び後側)の両側面(
図7で見て左側面及び右側面)の各々に開口した案内凹部48を有する。各第2脚部材42の基端部42Aは、第2ベース部材30の両側面の対向する内側面を備えた片部を含み、各片部に、対応する案内凹部48に係合する摺動突部50を有する。
【0055】
案内凹部48及び摺動突部50の詳細を、
図9を参照して説明する。
【0056】
案内凹部48は、第2ベース部材30の延在方向に延在し、案内凹部48の大部分をなす直線案内部48Aと、直線案内部48Aの第2ベース部材30の端部30B側の終端に形成され、下方への拡張部を含む回動傾斜案内部48Bと、端部30B側の終端から斜め下方へ向けて拡張された部分を含む回動傾斜案内部48Bと、端部30B側の終端近傍から斜め上方へ向けて拡張された部分を含む係止凹部48Cとを互いに連続して有する。
【0057】
摺動突部50は、直線案内部48Aの延在方向に摺動可能に係合して第2ベース部材30に対する第2脚部材42の長手方向の移動を案内する略矩形の摺動案内部分50Aと、係止凹部48Cに進入可能な係止突出部50Bとを一体に有する。
【0058】
摺動突部50は、
図9(A)に示されているように、摺動案内部分50Aが直線案内部48Aの長手方向に摺動してその終端側に移動し、
図9(B)に示されているように、直線案内部48Aの終端における第2脚部材42の第2ベース部材30に対する斜め下方への回動によって回動傾斜案内部48Bに落ち込み、
図9(C)に示されているように、第2脚部材42の第2ベース部材30に対する斜め上方の移動により、係止突出部50Bが係止凹部48Cに進入する。係止突出部50Bが係止凹部48Cに進入することにより、第2脚部材42が第2ベース部材30に対して斜め下方に延出した使用位置に係止される。
【0059】
図10(A)~(C)を参照して、格納位置にある第2脚部材42を使用者によって使用位置に移動させる動作について説明する。
【0060】
図10(A)に示されているように、各第2脚部材42が第2ベース部材30の上側に重なり合った格納位置にある状態から、各第2脚部材42を第2ベース部材30の延在方向に沿って第2ベース部材30の端部30B側に摺動させ、
図10(B)に示されているように、各第2脚部材42を第2ベース部材30の端部側に引き出す。
【0061】
引き出しが完了した時点で、
図10(C)に示されているよう第2ベース部材30に、各第2脚部材42を第2ベース部材30に対して下側に回動変位させ、その後、斜め上方に移動させる。これにより、各第2脚部材42は、
図10(C)に示されている係止状態のもとに使用位置に固定される。実施形態2においても、1対の第2脚部材42の接地部42Cの互いの離間距離の最大値Lは第2ベース部材30の長手方向の長さより長くなる。
【0062】
これにより、実施形態2の停止表示器10も、実施形態1の停止表示器10と同様に、1対の第2脚部材42がない場合に比して路上に倒れ難く安定して設置されると共に、風によって倒され難くい耐風性が高くなる。1対の第2脚部材42は、第2ベース部材30に上下に重なり合うようにして格納されるから、実施形態2の停止表示器10も、第2脚部材42が設けられても、不使用時のコンパクト性が阻害されることがない。
【0063】
実施形態2では、第2接地シート46は、第2ベース部材30の各端部の下面に貼着されている。各第2脚部材42が格納された状態での停止表示器10の使用においては、各第2接地シート46が路上に接地することになる。
【0064】
(実施形態3)
実施形態3による停止表示器10を、
図11を参照して説明する。なお、
図11において、
図7に対応する部分は、
図7に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。尚、停止表示器を構成する各部材は樹脂成形品であってよい。
【0065】
実施形態3では、各第2脚部材42の接地部(遊端)42Cに長方体形状の接地部材52が折り畳み式に収納可能に取り付けられている。接地部材52の左右側面には各々案内凹部54が形成されている。接地部42Cには案内凹部54に係合する摺動突部56が形成されている。
【0066】
案内凹部54及び摺動突部56は実施形態2の案内凹部48及び摺動突部50と実質的に同じ形状及び構造になっている。これにより、各第2脚部材42は、
図11に示されているように、第2ベース部材30と平行で、第2脚部材42の接地部42Cから前後方向の外方に向けて延出した使用位置と、第2脚部材42の長手方向に沿う方向に移動した格納位置との間を移動可能である。
【0067】
これにより、停止表示器10の前後の接地点の最大スパンが使用位置にある前後の接地部材52によって更に拡大され、停止表示器10が、より一層、前後に倒れ難くなる。
【0068】
尚、各接地部材52の底面には第1接地シート44が貼着されていてよい。
【0069】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、実施形態1の第2脚部材42のストッパ構造は、
図3の部分拡大図に示されている構造のものに限られることはなく、例えば、ストッパピン等を用いた構造のものであってもよい。三角表示部14の構造は、実施形態のものに限られることはなく、従来、知られている種々の構造を用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 :停止表示器
12 :第1ベース部材
12A :主部
12B :短片部
12D :端部
14 :三角表示部
16 :底辺部材
16A :光反射部
16B :蛍光部
18 :軸部
20 :軸部
22 :斜辺部材
22A :反射部
22B :蛍光部
22C :拡張板状部
23 :基端
24 :斜辺部材
24A :反射部
24B :蛍光部
25 :基端
26 :斜辺部材
27 :係止片部
28 :軸部
30 :第2ベース部材
30A :中央部
30B :端部
31 :軸受孔
32 :軸部
33 :拡張溝
33A :壁部
34 :第1脚部材
34A :基端部
34B :接地部
36 :係合孔
38 :突部
40 :軸部
40A :係止用突起
42 :第2脚部材
42A :基端部
42B :主部
42C :接地部
43 :基端部
43A :底壁
43B :側壁
44 :第1接地シート
46 :第2接地シート
48 :案内凹部
48A :直線案内部
48B :回動傾斜案内部
48C :係止凹部
50 :摺動突部
50A :摺動案内部分
50B :係止突出部
52 :接地部材
54 :案内凹部
56 :摺動突部