(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】スーパーキャパシタの製造に適したレーザービームのフィルタリングパターン
(51)【国際特許分類】
B23K 26/066 20140101AFI20250123BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20250123BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20250123BHJP
B23K 26/067 20060101ALI20250123BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20250123BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20250123BHJP
【FI】
B23K26/066
B23K26/00 H
B23K26/364
B23K26/067
B23K26/082
H01G11/86
(21)【出願番号】P 2023512101
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 BR2020050333
(87)【国際公開番号】W WO2022036418
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518417226
【氏名又は名称】アラウジョ デイレル、イヴァン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラウジョ デイレル、イヴァン
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-243062(JP,A)
【文献】特表2019-517160(JP,A)
【文献】特開平11-179583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0259631(US,A1)
【文献】特開2015-000843(JP,A)
【文献】特開2002-184307(JP,A)
【文献】特開2000-343257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/066
B23K 26/00
B23K 26/364
B23K 26/067
B23K 26/082
H01G 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイスであって、
複数のフィルタリングパターン、ここで各フィルタリングパターンは、複数のギャップによって形成されたパターンを有し、前記複数のギャップは、前記レーザービームがシーラント層を通過し、基板上に切り込みを生成できるように設計されている;
ここで前記複数のフィルタリングパターンは、入射レーザービームの観点から見たときに、すべてのフィルタリングパターンが単一のフィルタリングパターンとして見え、前記フィルタリングパターン内の対応するギャップが単一のギャップとして見えるように完全に位置合わせされて互いに可変距離で配置される;
ここで前記フィルタリングデバイスは、前記複数のフィルタリングパターンに垂直でない拡がり角で、及び、最初及び最後のフィルタリングパターンの対応するギャップの端部によって許容される角度よりも大きく、レーザー源の最大拡がり角よりも小さい角度で、前記複数のフィルタリングパターンに入るレーザービームの部分を反射又は吸収するように構成されている、
を備える、レーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイス。
【請求項2】
複数のフィルタリングパターン、ここで各フィルタリングパターンは、複数のギャップによって形成されたパターンを有し、前記複数のギャップは、前記レーザービームが、ミラー層及び前記シーラント層を通過し、前記基板上に切り込みを生成できるように設計されている、を備える、請求項
1に記載のレーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイス。
【請求項3】
高エネルギー容量を有する高密度スーパーキャパシタの製造に適している;
ここで前記フィルタリングパターンは、第1の端子及び第2の端子を作成する前記複数のギャップによって形成される;
ここで前記第1の端子及び前記第2の端子はそれぞれ複数の交互フリンジを含み、各フリンジは交互パターンで端子に接続される;
ここで前記第1の端子のパターン及び前記第2の端子のパターンは、前記第1の端子のパターン及び前記第2の端子のパターンの間の連続したギャップによって互いに物理的に分離されており、前記ギャップは、前記レーザービームが通過し、前記基板上に切り込みを生成できるように構成されている、請求項
1に記載のレーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイス。
【請求項4】
高エネルギー容量を有する高密度スーパーキャパシタの製造に適している;
ここで前記複数のギャップによって形成された前記フィルタリングパターンは、第1の端子及び第2の端子及び隔離されたフリンジを作成する;
ここで前記第1の端子及び前記第2の端子はそれぞれ複数の交互フリンジを含み、各フリンジは交互パターンで端子に接続され、複数の前記隔離されたフリンジはどの端子にも接続されていない;
ここで1つ又は複数の隔離されたフリンジは、連続したギャップが、前記隔離されたフリンジ又は前記第1の端子のパターン及び前記第2の端子のパターンの間の物理的接触を防止するように、前記第1の端子のパターンに接続された各フリンジ及び前記第2の端子のパターンに接続された各フリンジの間に配置され、前記ギャップは、前記レーザービームが通過し、前記基板上に切り込みを生成できるように構成されている、請求項
1に記載のレーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイス。
【請求項5】
高エネルギー容量を有する高密度スーパーキャパシタの製造に適している、ここで前記複数のフィルタリングパターンは、レーザービームの下に位置合わせされるように構成されている、請求項
1に記載のレーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイス。
【請求項6】
作成される意図したパターンにギャップを有する複数のフィルタリングパターンを形成する段階;
複数のフィルタリングパターンをレーザー源に位置合わせさせる段階;
基板を前記複数のフィルタリングパターンに位置合わせさせる段階;
前記レーザー源からレーザービームを放射する段階;
前記複数のフィルタリングパターンのいずれかで反射又は吸収構造に遭遇する前記レーザービームの部分を反射又は吸収する段階;
前記ギャップに入る前記レーザービームの前記部分で前記基板に切り込みを入れて、前記複数のフィルタリングパターンに含まれる前記パターンを生成し、その結果、スーパーキャパシタの第1の端子及び第2の端子を有する構造をもたらす段階
を備える、フィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項7】
前記基板がグラフェン層を有する、請求項
6に記載のフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記基板がグラファイト層を有する、請求項
6に記載のフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記基板が貫通孔及びグラフェン層を有し、前記グラフェン層は前記貫通孔を通って延在する、請求項
6に記載のフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記複数のフィルタリングパターンのうちの1つを軸に対してある角度で傾斜させる段階を備える、請求項
6に記載のフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項11】
複数のレーザー源を有する、請求項
6に記載のフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記レーザービームの軸から外れたミラーであって、反射レーザービームを偏向するように構成された前記ミラーを備える、請求項
6に記載のフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程、製品を製造するための設備、並びに製品を備える方法及び装置に関する。製造工程及び装置は、レーザービームを使用して非常に高精度の部品を製造するために構成される。製造工程及び装置の実施形態は、修正されたレーザービームを使用して非常に高いエネルギー密度で電気を蓄えることができる、1~50ミクロンのオーダーの限界寸法を有するスーパーキャパシタの製造のための改善された方法を提供する。製造工程及び設備を使用し、提案された改善により、通常の工程を使用して達成できるよりも何千倍も速く主要部品を製造できるようになり、その結果、大量生産に適した製造時間になる。
【背景技術】
【0002】
レーザービームは、多種多様な材料で作られたあらゆる種類の小型及び大型部品の製造において、多くの異なる分野で広く適用されている。レーザーは信頼性及び精度の両方が証明されており、多くの分野で急速に発展し、部品又は構成要素を製造するための業界標準の方法になった。
【0003】
レーザーは、切り込みであれ、彫刻であれ、材料除去であれ、洗浄であれ、穴あけであれ、溶接であれ、及び他の多くの任意選択であれ、ユーザが様々なレベルの出力、波長、パルス持続時間、ビーム幅を選択して、所望の結果を得ることができる多くの利点を提供する。出力、波長、変調、高度な光学系、制御システムに関して、あらゆる種類の特性を持つレーザー源が完成し、現在では市販品として入手可能であり、特定の工程のニーズに応じてレーザービームを生成し、ほとんどの用途の要求に合わせて比較的高速で正確に位置決めできるようになった。
【0004】
しかし、非常に高精度の部品の製造は、利用可能なレーザー製造工程では、これまでのところ対応できない困難な課題をもたらす。具体的には、グラフェンなどの材料を使用したスーパーキャパシタの製造では、グラフェンスラブから切り出される、幅及び深さの寸法が50ミクロン未満の極めて多数の非常に薄いトラックが必要である。
【0005】
トラックは、より多くのフリンジを所与の体積に収容して、必要に応じて高性能スーパーキャパシタを製造できるように、それぞれが非常に多くの絡み合ったフリンジを有し、電解質を支持し、できる限り薄く作られている、2つの電極の構造を形成する。隣接するフリンジを分離するために必要な切り込みは非常に正確で、完成した構造に短絡を引き起こす可能性のある所望されない残留物を残さないようにしなければならない。切り込みはまた、電解質にアクセスしにくくさせ、その結果、デバイスの性能に悪影響を与える可能性がある、繊細な構造に損傷を与えることを避けるために、緩やかに制御された方法で行う必要がある。
【0006】
これは、作業を実行するために使用されるレーザービームが、切り込み速度及び切り込みの深さを制限する単位面積あたりの出力を一定量以上使用できないことを意味する。スーパーキャパシタ内の活物質の量を増やすために、厚いスラブを使用することが有利であるため、切り込み速度及び深さの制限により、製造時間に対する複合的な問題が生じる。各電極を形成するためにフリンジを切り離すのに十分なほど細い制限された出力の非常に狭いビームは、グラフェン又は他の導電性材料のほんのわずか数センチメートルの3次元体積内の必要な数のフリンジを生成するために、ほとんどの場合、合計で数十万メートルの長さになり得る非常に正確な経路をたどるように作成しなければならない。さらに、このビームは、各チャネルに沿って、スラブの底まで完全にきれいに切り込むという目標を達成するために、同じ経路を何度も正確に通過しなければならない。構造のサイズによっては、必要な部品を製造するのに数時間又は数日を要し得る。これは、手頃な価格のデバイスの大量生産には実用的ではない。
【0007】
明らかな可能性は、複数のレーザービームを使用することであるが、これは容易ではなく、深刻な問題を引き起こす。複数の個別のビームの位置合わせは完璧でなければならない;ビームの位置が1つでもずれると、結果として、製造された部品の性能が低下し得、部品が動作不能になるという問題が非常に簡単に発生する可能性がある。ビーム位置決め精度及びビーム移動速度の両方の必須要件は、レーザー位置決めシステムの限界を超えさせる傾向があるので、高速では効果的なビーム位置決めに多少のジッタが発生する傾向があるため、これはさらに困難になる。
【0008】
もう一つの問題はメンテナンスである。位置決めシステムは、長期間、限界近くで常に動作する必要があるため、通常の摩耗及び断裂により、ビームの再位置合わせ及び影響を受けた構成要素の定期的な交換が頻繁に必要に発生し、その結果、メンテナンスのためのダウンタイムが発生し、運用コストが増加し得る。
【0009】
高度な光学系を使用してレーザービームを複数の平行ビームに分割することも、満足のいくものとはいえない。何千もの完全に平行なビームを生成できる光学デバイスは、構築するのが難しく、購入するのに費用がかかる。光学設計パラメータは、レーザーの波長、出力などに合わせて非常に細かく調整する必要があり、その結果、固定されたビーム構成は1つだけになる。部品設計のすべての機能を製造するためには、多くの異なる光学系が必要になり得、合理化された生産ラインでこれらすべての部品を必要なレベルの精度で統合することは非常に困難である。これらの複数のビーム光学デバイスが1つの特定の部品に対して1つの作業しか実行できないということは、メーカーが異なる用途向けに多くの異なる構成要素を製造することを要求され、したがって、対応するコストへの影響を伴う過剰な数のカスタムデバイス及びカスタム生産ラインが必要になるため、結果として、柔軟性が低くなる。
【0010】
複数のビームを位置合わせさせ、ダウンタイムを短縮してそれらを動作させる解決策が見つかったとしても、熱放散、多すぎるレーザーによって生成される気化したガス雲によるレーザー減衰、及びコストを含む、多くの理由により、特定の部品で非常に多くのビームを同時に動作させることはできないため、実際には、これではまだ十分ではない可能性がある。グラフェンなどの材料を使用して製造されたスーパーキャパシタをレーザーで経済的に製造できるようにするには、手頃な価格で千倍の製造性能を実現できる解決策が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
レーザービームは、何十年もの間、製造工程で広く使用されてきた。波長、出力レベル、パルス幅、集束及び位置決めデバイスの中から選択できる多くの選択肢がある。装置及び構成のこの多種多様な選択肢は、ほとんどの用途のニーズに適合し、非常に良好な結果をもたらし、これが、切り込み、洗浄、彫刻、溶接、測定、及びその他の多くのものなど、多くの異なる分野の製造工程にレーザーがうまく統合されている主な理由である。
【0012】
装置、構成、及び材料には多くの変形形態があるが、ほとんどの用途では、レーザービームが生成され、コリメートされ、集束され、目標に向けられ、意図した目標を達成したら停止するという共通の態様がある。場合によっては、意図した結果を得るために、非常に短くし得る都合の良い期間にわたってレーザービームを脈動させる。しかし、ほとんどの場合では、目標に当たるのは単一のビームか、又は光学デバイスの設計によって与えられた非常に特殊で固定された方法で元のビームを分割するための光学デバイスを使用して生成された比較的少数の光線で構成されたビームである。
【0013】
典型的なレーザー製造装置の重要な部分は、ミラー又はプリズムを使用してレーザービームを偏向させ得、ビームを到達させる意図した場所にビームを正確に位置決めし、生産速度を向上させるために、精度を失うことなく比較的高速でビームが移動できるように同時にミラー又はプリズムを移動させることができる制御システムである。
【0014】
これだけの柔軟性にもかかわらず、既存のレーザーシステムを使用して、グラフェンスーパーキャパシタなどの非常に多くの小さくて複雑な細部を有する、より小さいサイズの部品を製造する場合、困難に直面する。レーザービームは、グラフェンを含む材料片からスーパーキャパシタフリンジを切り取るか、又はフリンジを酸化グラフェンのブロックに引き込むことによって、グラフェンスーパーキャパシタを構築するために提案されている。後者の場合、レーザーで材料を加熱することで、電気を通さない物質である酸化グラフェンを、電気の良導体である物質であるグラフェンに還元する。
【0015】
酸化グラフェンの還元は実装がより簡単であるが、大きな欠点がある。この手法では2次元(2D)スーパーキャパシタが生成されるからである。酸化グラフェンが構造内に残るため、レーザーが当たった領域内の酸化グラフェンが還元された材料の上部のみが、電解質にアクセス可能なグラフェントラックを形成する。スーパーキャパシタのエネルギー貯蔵能力は、電解質と接触しているグラフェンのアクティブ領域に比例するため、この手法は、露出したすべてのグラフェン層が電解質にアクセスできる3次元(3D)グラフェン構造を生成する別の方法には太刀打ちできない。
【0016】
そのような構造は、原則として、グラフェンの厚いスラブを多くの薄いフリンジに切り込みを入れて、任意の2つの隣接フリンジの間にチャネルを残し、次いで、電解質で満たすことによって作成できる。それが、非常に高いアスペクト比及び2Dスーパーキャパシタよりも高いエネルギー貯蔵能力を備えた3Dグラフェン格子を製造するための、グラフェンスーパーキャパシタメーカーの目標である。
【0017】
しかし、グラフェンの厚いスラブを多くの小さなフリンジに切り込むという課題は重大である。最良の結果を得るには、フリンジをできる限り薄くし、デバイスの他の寸法よりも桁違いに小さくしなければならない。これは、機械切削工具を使用できないことを意味する。粒子ビームイオン又は電子ビーム、又はレーザービームが唯一の可能性である。レーザービームは、より製造用に開発されており、より簡単に入手でき、したがって、電子ビーム又はイオンビームよりも安価であり、より効果的である傾向がある。この状況ではレーザーが最良の選択のように見えるが、課題は依然として非常に困難である。
【0018】
集束は大きな課題である。非常に狭いレーザービームを生成するには、非常に正確なコリメーション及び集束が必要であり、必要な光学系は、非常に高いアスペクト比の構造に切り込みを入れる試みと矛盾する、非常に短い焦点距離となってしまう。集束の問題により、アスペクト比に制限が課せられ、従来のレーザーシステムを使用してビーム直径に対して切り込みを入れることができる材料の最大厚さが制限される。
【0019】
ただし、優れたスーパーキャパシタの目標は同じままで、高アスペクト比又はビーム幅よりもはるかに厚い厚さが得られる。高アスペクト比を使用することの他の意味を理解する目的で、集束の問題が何らかの方法で解決できると仮定すると、次の段落では仮想例のための計算が続く。
【0020】
切り込みを入れるグラフェンスラブは、長さ10cmで幅5cm及び厚さ1cmの寸法であり、典型的なハンドヘルドデバイスバッテリほどのサイズであり、1つのフリンジの寸法が1ミクロンの範囲であると仮定すると、フリンジは他の寸法より4桁小さく、フリンジ幅とスラブ厚のアスペクト比は、1:10000と、実に非常に高くなる。
【0021】
1μmの薄いレーザービームを非常に高い精度で生成し、位置決めし、集束して、フリンジを分離するチャネルを切り込みを入れることができると仮定すると、幅5cmの25000個のフリンジすべてを作成するには、24999×10cmの長さの切り込みが必要になる。レーザー最大速度を1m/sと仮定すると、1回の通過に2499秒又は約42分を要する。
【0022】
問題は、1m/sでは、レーザービームは材料の奥深くまで切り込みを入れることができないため、作成中の繊細な構造に損傷を与える可能性がある高レベルの出力が必要となるため、複雑である。高出力を使用することで、構造に過剰な熱が一点で入り込むことになり、その周囲の領域は、融点近くまで加熱され脆くなる。さらに、出力が高すぎると、照射されたレーザースポット内に気化した材料が多く生成されすぎて、構造から抜けきる時間がなくなり、付近の壊れやすい部分的に溶けた材料を歪める圧力波が発生する。さらに、生成された気化した材料は入射出力の一部を吸収し、有効出力を低下させ、したがって、追加の材料を除去する能力を低下させる。
【0023】
結果として、1m/sの妥当な出力レベルでは、レーザービームは、材料の薄い層だけに切り込みを入れることが可能であり、構造を完成させるために複数回通過することが必要になる。1通過ごとに10μmの値の切り込みを入れると仮定すると、実際の集束制限を考慮した達成可能な値は、1cmまで完全に切り込みを入れるには、1000回の通過が必要であり、24時間動作する構造を完成させるのに必要な時間は29日ほどになる。
【0024】
レーザー速度を10倍し、1通過ごとに除去される材料の量をさらに10倍に高める、非常に楽観的でありそうもない向上を仮定しても、すべてのビーム間の非常に要求の厳しい位置合わせ及び同期の課題及び集束制限を無視して、複数のレーザービームを同時に使用しても、製造時間は依然として長すぎ、大量生産にはどう考えても実用的ではない。上記の段落の計算が、ハンドヘルドデバイスと適合する寸法の単一のスーパーキャパシタに対して行われたと考えると、なおさらである。ハンドヘルドデバイスだけでなく、電気自動車、太陽電池アレイ、風力タービン、及びはるかに大きな電力貯蔵容量を必要とする、したがって、より大きなデバイスサイズを必要とする他の用途でも使用されるデバイスを大量生産するという課題は、さらに大きな困難を伴う。より良い解決策が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の目的及び利点は、レーザー切り込みの工程によって特定の部品を製造するためのテンプレートとして機能する1つ又は複数のフィルタリングパターンから構成されるフィルタリングデバイスである。
【0026】
本発明の別の目的及び利点は、それぞれが特定の設計を有するいくつかの異なるフィルタリングデバイスを使用して、レーザー切り込みの工程によって部品全体又は部品の特定の領域を製造することである。
【0027】
本発明の別の目的及び利点は、レーザービームのビームスプリッタ及びコリメータと同様の機能を果たす1つ又は複数のフィルタリングパターンから構成されるフィルタリングデバイスである。
【0028】
本発明の別の目的及び利点は、反射レーザービームがレーザー源に反射されないように、レーザービームに対してある角度で配置された第1のフィルタリングパターンを有する1つ又は複数のフィルタリングパターンから構成されるフィルタリングデバイスを使用することである。
【0029】
本発明の別の目的及び利点は、フィルタリングパターンに含まれるパターンに従って、1つ又は複数のレーザービームを複数のコリメートされた子レーザービームに分割し、子レーザービームを使用して、材料に切り込み入れるという意図された作業を行い、工程の精度及び速度を向上させるために、1つ又は複数のフィルタリングパターンから構成されるフィルタリングデバイスを使用する製造方法である。
【0030】
本発明の別の目的及び利点は、フィルタリングパターンに含まれるパターンに従って、1つ又は複数のレーザービームを複数のコリメートされた子レーザービームに分割し、子レーザービームを使用して意図された作業を行い、工程の精度及び速度を向上させるために、1つ又は複数のフィルタリングパターンから構成されるフィルタリングデバイスを使用する提案された方法を使用して製造された高度な二重層グラフェンスーパーキャパシタである。
【0031】
したがって、本発明は、ガラス層;パターンを有するシーラント層;を有するレーザービームのコリメーションのためのフィルタリングパターンに関する;ここで、シーラント層はガラス層の表面上に形成され、シーラント層はレーザービームを吸収するように設計されている;ここで、シーラント層のパターンは、複数のギャップによって形成され、ギャップは、レーザービームがシーラント層を通過し、基板上に切り込みを生成できるように設計されている;及び複数のギャップによって形成されるパターンは、基板上の切り込みに対して1対1の尺度である。
【0032】
さらに、本発明は、複数のフィルタリングパターンを有するレーザービームのコリメーションのためのフィルタリングデバイスに関し、各フィルタリングパターンは、複数のギャップによって形成されるパターンを有し、ギャップは、レーザービームがシーラント層を通過できるように設計され、基板上に切り込みを生成し、ここで、入射レーザービームの観点から見たときに、すべてのフィルタリングパターンが単一のフィルタリングパターンとして見え、フィルタリングパターン内の対応するギャップが単一のギャップとして見えるように、複数のフィルタリングパターンは、完全に位置合わせされて互いに可変距離で配置される;ここで、フィルタリングデバイスは、複数のフィルタリングパターンに垂直でない拡がり角で、及び、最初及び最後のフィルタリングパターンの対応するギャップの端部によって許容される角度よりも大きく、レーザー源の最大拡がり角よりも小さい角度で、複数のフィルタリングパターンに入るレーザービームの一部を反射又は吸収するように構成される。
【0033】
さらに、本発明は、作成される意図したパターン内にギャップを有する複数のフィルタリングパターンを形成する段階;複数のフィルタリングパターンをレーザー源に位置合わせする段階;基板を複数のフィルタリングパターンに位置合わせする段階;レーザー源からレーザービームを放射する段階;複数のフィルタリングパターンのいずれかで反射又は吸収構造に遭遇するレーザービームの部分を反射又は吸収する段階;ギャップに入るレーザービームの一部で基板に切り込みを入れて、フィルタリングパターンに含まれるパターンを生成し、その結果、スーパーキャパシタの第1の端子及び第2の端子を有する構造をもたらす段階を備えるフィルタリングデバイス及びレーザーを使用するスーパーキャパシタの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0034】
提案された発明は、単一の親レーザービームから数千の子レーザービームを生成するレーザービームスプリッタとして機能する単純だが効果的なフィルタリングデバイスを使用する。フィルタリングデバイスは、製造される部品と同じ形状で構築されており、複数のレーザービームを同じ部品の異なる領域に同時に作用させ、製造時間をさらに短縮させることができる。提案されたフィルタリングデバイスはまた、コリメータとしても機能し、複雑な光学系を必要とせずにレーザー分散角を減少させる。
【0035】
提案されたフィルタリングデバイスは、製造される部品のテンプレートとして機能する。フィルタリングデバイスは常に部品に対して同じ位置に保たれるため、使用する親レーザービームを正確に制御する必要がない。レーザービームがジッタで動いたとしても、オフにして再度オンにした場合、又は特定の部品の製造において他のレーザービームとの同期性が不十分で、位置合わせが不十分な状態で動作した場合、フィルタリングデバイスは、工程からすべての不正確さを除去し、正確な子レーザービームのみを通過させ、部品をすばやくきれいに切り込みすることができる。
【0036】
提案された発明は、既存の工程を使用するよりも数千倍短い時間枠で意図した部品を非常に迅速かつ正確に製造できるという利点があり、これはいかなる他の方法では達成できなかった。
【0037】
提案された発明は、製造コストを劇的に削減する、非常に簡単で安価であるという利点を有する。簡単で低コストであるため、様々なフィルタリングデバイスを簡単かつ迅速に構築して、様々な用途のニーズに合わせて非常に幅広い寸法及び仕様のスーパーキャパシタを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の様々な他の目的、特徴、及び付随する利点は、同様の参照符号がいくつかの図を通して同じ又は同様の部分を示す添付の図面と併せて考慮したときに、よりよく理解されるようになるにつれて、完全に理解されるようになるであろう。
【0039】
【
図1】本実施形態において塗布されたグラフェン層を有する基板の実施形態の上面図であるが、他の導電性材料の層を塗布し得、本発明の範囲内であり、本発明は任意の特定の導電性材料又は他のタイプの材料に限定されないことを意味し、
図1は、本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における貫通孔を示す;
【0040】
【
図2】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における下接点を示す、塗布されたグラフェン層を有する
図1の実施形態の基板の側面図である;
【0041】
【
図3】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、塗布されたグラフェン層及び下接点を有する基板の
図1の実施形態の等角図である;
【0042】
【
図4】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、フィルタリングパターンの一実施形態の等角図である;
【0043】
【
図4A】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、シーラント層を示すフィルタリングパターンの一実施形態の詳細図である;
【0044】
【
図5】本発明のフィルタリングデバイスの一実施形態の等角図である;
【0045】
【
図5A】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、様々な入射角及び入口点による異なる入射光線の伝播を示す、
図5のフィルタリングデバイスの断面図である;
【0046】
【
図5B】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、様々な入射角及び入口点による異なる入射光線の伝播を示す、
図5のフィルタリングデバイスの代替実施形態の断面図である;
【0047】
【
図6】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、フィルタリングパターンの長さに沿って傾斜した、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイスの一実施形態の等角図である;
【0048】
【
図6A】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの実施形態における、様々な入射角及び入口点による異なる入射光線の伝播を示す、
図6のフィルタリングパターンの長さに沿って傾斜した、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイスの断面図である;
【0049】
【
図6B】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの実施形態における、様々な入射角及び入口点による異なる入射光線の伝播を示す、
図6のフィルタリングパターンの長さに沿った、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイスの代替実施形態の断面図である;
【0050】
【
図7】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、フィルタリングパターンの幅に沿って、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイスの一実施形態の等角図である;
【0051】
【
図7A】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの実施形態における、様々な入射角及び入口点による異なる入射光線の伝播を示す、
図7のフィルタリングパターンの幅に沿って、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイスの断面図である;
【0052】
【
図7B】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの実施形態における、様々な入射角及び入口点による異なる入射光線の伝播を示す、
図7のフィルタリングパターンの幅に沿って、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイスの代替実施形態の断面図である;
【0053】
【
図8】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、
図1のグラフェン層が塗布された基板のレーザー切り込みのための装置の一実施形態の等角図である;
【0054】
【
図9】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板上で、
図8のレーザー切り込みのための装置によって行われた結果として得られるレーザー切り込みの等角図である;
【0055】
【
図10】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、レーザービームの位置決めを示す、レーザー切り込み装置の
図8の実施形態の等角図である;
【0056】
【
図11】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板上で、
図10のレーザー切り込みのための装置によって行われた結果の切り込み経路の等角図である;
【0057】
【
図12】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、プリズムを使用して、
図1のグラフェン層が塗布された基板のレーザー切り込みのための装置の一実施形態の等角図である。
【0058】
【
図13】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、直線反射レーザービームを生成する、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板のレーザー切り込みのための装置の一実施形態の等角図である;
【0059】
【
図14】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、角度を付けられた反射レーザービームを生成する、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板のレーザー切り込みのための装置の一実施形態の等角図である;
【0060】
【
図15】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、複数の直線反射レーザービームを生成する複数のレーザービームを使用して、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板のレーザー切り込みのための代替装置の一実施形態の等角図である;
【0061】
【
図16】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板上で、
図15のレーザー切り込みのための装置によって行われた結果として得られる複数のレーザー切り込みの等角図である;
【0062】
【
図17】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、角度を付けられた反射レーザービームを生成する、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板のレーザー切り込みのための代替装置の一実施形態の等角図である;
【0063】
【
図18】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、複数の角度を付けられた反射レーザービームを生成する複数のレーザービームを使用して、
図1の塗布されたグラフェン層を有する基板のレーザー切り込みのための代替装置の一実施形態の等角図である;
【0064】
【
図19】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、加工グラフェン層を有する基板の一実施形態の等角図である;
【0065】
【
図20】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、加工グラフェン層を有する基板の別の実施形態の等角図である;
【0066】
【
図21】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態における、素子積層体の一実施形態の等角図である;及び
【0067】
【
図22】本発明のレーザー切り込みフィルタリングデバイスの一実施形態において、本発明のレーザー切り込み工程から製造されたスーパーキャパシタアセンブリの一実施形態の等角図である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明は、材料の厚い層に非常に多くの非常に薄い切り込みを入れるという目標を達成するために設計された装置から構成される。本装置は、多くの用途に使用でき、特に、機能性二重層の3次元スーパーキャパシタを作成するために使用できる。
【0069】
材料は、グラフェン及びバインダー;グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン及び活性炭及びバインダーの混合物;グラファイトのブロック、又は別の導電性又は他のタイプの材料のブロックで作成することができる。バインダーは、樹脂、プラスチック、接着剤、又はすべての成分のベース又は溶媒として機能する別の物質とし得、それらは、適切に混合され、次いで、適切な処理後に固体になり得る。材料はまた、液圧プレスを使用して固体にプレスすることも、精錬して金型に鋳造し、最終的に意図した形状に機械加工することもできる。レーザー切り込み装置は多種多様な材料に使用でき、グラフェン及びカーボンナノチューブ、活性炭、フラーレン、グラファイトなどの他の構成要素への言及は、それらが本発明の対象である高エネルギー密度二重層スーパーキャパシタを生成するのに最適な材料であるというためだけに行われる。
【0070】
一貫性を保ち、不必要な冗長性を避けるために、その組成に関係なく切り込みを入れる材料片を、これ以降グラフェン層と呼ぶ。これは、グラフェンのみが使用されていること、又は提案された発明を使用してグラファイト又は均一な金属などの他の材料に切り込みを入れることができないことを示唆するものではない。したがって、本発明はいかなる特定の材料にも限定されない。
【0071】
上方、下方、垂直及び水平に言及することがあるが、これらの用語は単に関係を説明するために使用され、本発明の動作又は使用をいずれかの方向に限定するものではない。第1の実施形態
【0072】
図1は、基板の両端に一連の貫通孔(31)が形成された基板(30)を示す。基板(30)は、非常に薄いプラスチックフィルム、ガラスの薄いシート、又は適切な絶縁材料の薄いシートを使用して作成することができる。次いで、グラフェン層(32)が、表面を覆うように、及びすべての貫通孔(31)を通過して表面を覆うために貫流するように基板(30)の上部に塗布される。グラフェン層(32)が基板(30)に良好に結合することを確実にするために、必要に応じて、表面プラズマ侵食工程などの表面処理を基板(30)に塗布できる。
【0073】
図2は、できる限り薄く作成された基板及び、厚さの制限が、グラフェン層(32)が上記工程によってその厚さ全体を通して切り込みを入れるのに適していることに依存する、できる限り厚く作られたグラフェン層(32)の厚さの間の違いをよりよく示すために、基板(30)及びグラフェン層(32)を横の角度から示している。基板(30)の下に、一対の下接点(33)が、グラフェン層(32)を作成するために使用される同じ材料から作成される。貫通孔(31)は、グラフェン層(32)及び下接点(33)が、基板(30)全体で物理的及び電気的に接続されたままになるように、グラフェン層(32)及び下接点(33)と同じ材料で充填された一連のブリッジを作成する。
【0074】
図3は、基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)の等角図を示し、本発明の装置を使用して切り込みを入れる製造された部品をよりよく示すために、破線で貫通孔(31)及び下接点(33)も示している。グラフェン層の長さに沿ったX軸及び幅に沿ったY軸を矢印で示す。これらの方向は、他の図面でも同様に示され、後で参照として、及び動作を説明するために使用される。
【0075】
図4は、パターンに形成されたミラー層(38)を有するガラス層(37)の下側に沿ってミラー層(38)で被覆されたガラス層(37)の部分を有するガラス層(37)から構成されるフィルタリングパターン(34)の実施形態を示す。
【0076】
ガラス層(37)は、ミラー層(38)に対する支持及び酸化からの保護として機能する。ミラー層(38)は、使用されるレーザー帯域幅の高反射材料の薄い層で作成され、グラフェン層で作成しようとする構造と同じ1:1スケールのテンプレートで作成される。いくつかの実施形態におけるミラー層(38)は、ミラー層(38)を酸化から保護し、ミラー層(38)の下側に当たる任意のレーザー光を吸収するために、ガラス層(37)とは反対側の下側を、ミラー層(38)と同じ形状のダークシーラント層(39)で被覆されている。
【0077】
図4に示すフィルタリングパターン(34)の実施形態がグラフェンスーパーキャパシタを作成するために使用されるとき、ミラー層(38)は、2つの端子(40a)、(40b)がそれぞれ、それ自身のフリンジ(41a)、(41b)のセットに接続されるが、他方の端子のセットに属するフリンジのいずれにも接続されないように、それぞれが端子(40a)、(40b)及び平行フリンジ(41a)、(41b)のセットから構成される2つの絡み合った構造の形状で構築される。言い換えれば、互いに物理的に離れたままの2つの端子(40a)、(40b)の間には接続はない。ミラー層(38)及びシーラント層(39)のパターンは、同じ発明者の米国特許第10,373,765号に記載されているように、高エネルギー密度を有するスーパーキャパシタを実現するのに十分な精度及び均一性を有する電極を生成するために、50ナノメートルの一貫した解像度を実現できるフォトレジスト工程を通じて、又はエッチング又は他の工程によって形成され得る。
【0078】
詳細図の
図4Aは、ガラス層(37)、ミラー層(38)及びシーラント層(39)の配置をより詳細に示すために、フィルタリングパターン(34)の小さな部分をより大きく拡大して示す。太い斜線で示されるシーラント層(39)は、ミラー層(38)と同じ形状を有し、シーラント層(39)はミラー層(38)の直下に配置され、ミラー層(38)の酸化及び結果として生じる劣化を防止する。
【0079】
図5は、1つ又は複数の、
図5に示す実施形態では3つのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)で作成されたフィルタリングデバイス(45)の実施形態を示す。フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)はすべて同一であり、下側にミラー層(38a)、(38b)、(38c)を被覆したガラス層(37a)、(37b)、(37c)から構成される。フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、ミラー層(38a)、(38b)、(38c)を上から見たときに、すべてが完全に位置合わせされるように、互いに可変距離で配置され、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)が互いに完全に位置合わせして配置される。ミラー層(38a)、(38b)、(38c)が平行フリンジ(41a)のみを含む点でフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)に垂直な断面は、断面線A-Aによって示される。
【0080】
図5Aは、A-A断面線に沿った、
図5に示すフィルタリングデバイス(45)の断面を示す。フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、それぞれのガラス層(37a)、(37b)、(37c)及びミラー層(38a)、(38b)、(38c)に垂直な平面によって分割される。シーラント層(39a)、(39b)、(39c)は、ミラー層(38a)、(38b)、(38c)の直下に見える。
【0081】
フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、上から見たときに、すべてのフリンジ(41a)、(41b)、(41c)並びにミラー層(38a)、(38b)、(38c)及びシーラント層(39a)、(39b)、(39c)の他の構造が、すべて完全に位置合わせされるように、完全に位置合わせされて互いに離れた可変距離で配置される。
【0082】
フィルタリングデバイス(45)の形状及び動作を示すために、一連の入射光線(48a)~(48j)、及び反射された入射光線について、対応する一連の反射光線(49d)~(49j)を示す。
【0083】
個別のフリンジの識別を容易にするために、文字及び数字を伴うグリッド構造を作成した。このようにフリンジ(41a)を指すために、参照符号A11を使用できる。同様に、フリンジ(41b)は参照符号B15により指定され、フリンジ(41c)は参照符号C8により指定され得る。このグリッド構造を使用すると、フリンジA1、B1、及びC1が完全に位置合わせされており、同様に、文字は異なるが同じ番号の任意のフリンジが位置合わせされていることに簡単に気付くことができる。
【0084】
文字は異なるが同じ番号のフリンジの任意のセットが位置合わせされると、入射光線を通過させることが可能であるチャネルが作成される。任意のレベルでフリンジに当たる、いかなる入射光線も反射される。
【0085】
入射光線(48a)は、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、それらのフィルタリングパターンを通過し、位置1に位置するフリンジのすぐ右側を通過する。同様に入射光線(48b)も、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、それらのフィルタリングパターンを通過し、位置2に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48a)及び入射光線(48b)は、位置1及び2に位置するフリンジの間のチャネル1~2の端部を通過する。
【0086】
入射光線(48c)は、所与のチャネルを通過する光線に許容されるフィルタリングパターンの法線に対する最大可能拡がり角で、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、A2に位置するフリンジのすぐ右側及びC3に位置するフリンジの左側を通過する。拡がり角は、入射光線(48c)がA2に位置するフリンジを通過する点でフィルタリングパターンに垂直に引かれた破線を使用して確認できる。
【0087】
入射光線(48d)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A3に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48d)は、入射光線(48c)の最大拡がり角よりも小さい拡がり角を有しているが、チャネル2~3のすぐ左側端部を通過するため、完全には通過しない。代わりに、B3に位置するフリンジに当たり、反射される。反射光線(49d)は戻り、A3に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0088】
入射光線(48e)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A4に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48e)は、入射光線(48d)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有するので、入射光線(48d)がB3に位置するフリンジに当たるよりも、さらに右側のB4に位置するフリンジに当たる。結果として、反射光線(49e)は、A4に位置するフリンジの後方にあるシーラント層に当たらず、フィルタリングパターン(34a)のフリンジに当たる任意の他の入射光線と同様にレーザー源に向かって戻り続ける。
【0089】
入射光線(48f)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A6に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48f)は、B6に位置するフリンジに当たらず、C7に位置するフリンジに当たるまで継続して、フィルタリングパターン(34b)を通過するのに過不足ない、入射光線(48e)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有する。反射光線(49f)は戻り、B7及びB8に位置するフリンジに当たらず、A8に位置するフリンジの後方にあるシーラント層に吸収される。
【0090】
入射光線(48g)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A9に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48g)は、フィルタリングパターン(34b)を通過するが、フィルタリングパターン(34c)を通過せずに、C10に位置するフリンジに当たる可能性が最大になる、入射光線(48f)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有する。反射光線(49g)は戻り、B11に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0091】
入射光線(48h)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A12に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48h)は、依然として任意のフリンジに当たる最大可能拡がり角を超えている、入射光線(48g)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有する。結果として、入射光線(48h)は、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、C13に位置するフリンジのすぐ右側でフィルタリングデバイス(45)を出る。
【0092】
入射光線(48i)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A13に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48i)は、入射光線(48h)よりも大きい拡がり角を有し、同時にさらにすべてのフリンジに当たらない。結果として、入射光線(48i)は、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、C15に位置するフリンジのすぐ左側でフィルタリングデバイス(45)を出る。
【0093】
入射光線(48j)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A14に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48j)は、入射光線(48i)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有することで、B15に位置するフリンジに当たる。反射光線(49j)は戻り、A16に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0094】
図5及び
図5Aに示すように、3つのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を有するフィルタリングデバイス(45)の実施形態は、入射光線(48h)の拡がり角に等しい又はそれよりも大きい拡がり角を有する望まない入射光線を潜在的に通過させることを可能にする。実際、入射光線(48h)の拡がり角及び入射光線(48i)の拡がり角の間の第1の拡がり角範囲を通じて、一連の拡がり角範囲が許容される。使用するレーザー源は、入射光線(48h)の拡がり角よりも小さい拡がり角のレーザービームを生成するのに十分なコリメーションを有していなければならない。十分なコリメーションが得られない場合は、追加のフィルタリングパターンを使用して、フィルタリングデバイス(45)に望まない角度で当たるすべての生成されたレーザービームを停止させることを保証することができる。
【0095】
図5Bは、A-A断面線に沿った、
図5に示すフィルタリングデバイス(45)の代替実施形態の断面図を示す。フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、それぞれのガラス層(37a)、(37b)、(37c)に垂直な平面によって分割されるが、
図5Aに示す実施形態とは異なり、ミラー層は塗布されず、代わりにレーザー光を吸収するシーラント層(39a)、(39b)、(39c)のみが存在する。
【0096】
フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、互いに可変距離で組み立てられるが、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、上から見たときに、すべてのフリンジ(41a)、(41b)、(41c)並びにシーラント層(39a)、(39b)、(39c)の他の構造がすべて完全に位置合わせされるように、互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0097】
フィルタリングデバイス(45)の形状及び動作を説明するために、一連の入射光線(48a)~(48j)を示す。
【0098】
上記で述べたように、個別のフリンジの識別を容易にするために、文字及び数字を伴うグリッド構造を作成した。このようにフリンジ(41a)を指すために、参照符号A11を使用できる。同様に、フリンジ(41b)は参照符号B15により指定され、フリンジ(41c)は参照符号C8により指定され得る。このグリッド構造を使用すると、フリンジA1、B1、及びC1が完全に位置合わせされており、同様に、文字は異なるが同じ番号の任意のフリンジが位置合わせされていることに簡単に気付くことができる。
【0099】
文字は異なるが同じ番号のフリンジの任意のセットが位置合わせされると、入射光線を通過させることが可能にあるチャネルが作成される。任意のレベルでフリンジに当たる、いかなる入射光線も吸収される。
【0100】
入射光線(48a)は、フィルタリングパターンに対して垂直であるため、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、どのフリンジにも遮断されず、位置1に位置するフリンジのすぐ右側を通過する。同様に入射光線(48b)も、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置2に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48a)及び入射光線(48b)は、位置1及び2に位置するフリンジの間のチャネル1~2の端部を通過する。
【0101】
入射光線(48c)は、所与のチャネルを通過する光線に許容されるフィルタリングパターンの法線に対する最大可能拡がり角で、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、A2に位置するフリンジのすぐ右側及びC3に位置するフリンジの左側を通過する。拡がり角は、入射光線(48c)がA2に位置するフリンジを通過する点でフィルタリングパターンに垂直に引かれた破線を使用して確認できる。
【0102】
入射光線(48d)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A3に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48d)は、入射光線(48c)の最大拡がり角よりも小さい拡がり角を有しているが、チャネル2~3のすぐ左側端部を通過するため、完全には通過しない。代わりに、B3に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0103】
入射光線(48e)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A4に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48e)は、入射光線(48d)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有するので、入射光線(48d)がB3に位置するフリンジに当たるよりも、さらに右側のB4に位置するフリンジに当たり、やはり吸収される。
【0104】
入射光線(48f)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A6に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48f)は、B6に位置するフリンジに当たらず、C7に位置するフリンジに当たり、吸収されるまで継続して、フィルタリングパターン(34b)を通過するのに過不足ない、入射光線(48e)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有する。
【0105】
入射光線(48g)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A9に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48g)は、フィルタリングパターン(34b)を通過するが、フィルタリングパターン(34c)を通過せずに、C10に位置するフリンジに当たり、吸収される可能性が最大になる、入射光線(48f)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有する。
【0106】
入射光線(48h)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A12に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48h)は、依然として任意のフリンジに当たる可能性のある最大可能拡がり角を超えている、入射光線(48g)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有する。結果として、入射光線(48h)は、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、C13に位置するフリンジのすぐ右側でフィルタリングデバイス(45)を出る。
【0107】
入射光線(48i)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A13に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48i)は、入射光線(48h)よりも大きい拡がり角を有し、さらにすべてのフリンジに同時に当たらない。結果として、入射光線(48i)は、すべてのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を通過し、C15に位置するフリンジのすぐ左側でフィルタリングデバイス(45)を出る。
【0108】
入射光線(48j)はフィルタリングパターン(34a)を通過し、A14に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48j)は、入射光線(48i)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有することで、B15に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0109】
図5及び
図5Bに示すように、3つのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)を有するフィルタリングデバイス(45)の実施形態は、入射光線(48h)の拡がり角に等しい又はそれよりも大きい拡がり角を有する入射光線を潜在的に通過させることを可能にする。実際、入射光線(48h)の拡がり角及び入射光線(48i)の拡がり角の間の第1の拡がり角範囲を通じて、一連の拡がり角範囲が許容される。使用するレーザー源は、入射光線(48h)の拡がり角よりも小さい拡がり角のレーザービームを生成するのに十分なコリメーションを有していなければならない。十分なコリメーションが得られない場合は、追加のフィルタリングパターンを使用して、フィルタリングデバイス(45)に望まない角度で当たるすべての生成されたレーザービームを、シーラント層(39a)、(39b)、(39c)によって停止及び吸収させることを保証することができる。
【0110】
図5Bに示す実施形態では、レーザービームはシーラント層(39a)、(39b)、(39c)のフリンジによって吸収されるので、使用するレーザー源の出力に応じて、シーラント層(39a)、(39b)、(39c)への損傷を防ぐための何らかの冷却方法が必要である。これは、例えば、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の間に冷気を吹き付けることによって容易に行うことができる。
【0111】
図6は、X軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(35a)及び1つ又は複数のフィルタリングパターン、
図6で示す実施形態では2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)で作成された、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの実施形態を示す。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、変性ガラス層(42a)及び変性ミラー層(43a)から構成される。
【0112】
フィルタリングパターン(34b)、(34c)は同一であり、下側のミラー層(38b)、(38c)で被覆されたガラス層(37b)、(37c)から構成される。フィルタリングパターン(34b)、(34c)は、ミラー層(38b)、(38c)を上から見たときに、すべてが完全に位置合わせされるように、互いに可変距離で組み立てられ、すべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)が互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0113】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、ある傾斜角で設置されるため、設置の傾斜角を補正するために、変性ガラス層(42a)及び変性ミラー層(43a)をX軸に沿って歪ませる必要がある。この歪みは、すべての構造をX軸に沿って、傾斜角のコサインの逆数(傾斜角の正割)によって与えられる三角関数によって拡張される。この歪みにより、変性ガラス層(42a)及び変性ミラー層(43a)の全長が長くなり、すべての特徴の位置が、選択された傾斜角での設置を補正するために必要な正確な係数だけ移動する。このように、上から見たとき、変性ガラス層(42a)はガラス層(37b)、(37c)と完全に一致し、変性ミラー層(43a)は、ミラー層(38b)、(38c)と完全に一致することで、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、上からは完全にフィルタリングパターン(34b)、(34c)として見える。このことを別の方法で説明すれば、フィルタリングパターン(34b)、(34c)に垂直な線に沿ってX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の投影が、全く同じ形状を有し、フィルタリングパターン(34b)、(34c)と完全に一致すると言える。
【0114】
図6に示すように、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)が配置される角度のため、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は互いに可変距離で組み立てられ、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はX軸に沿って変化し、距離は左に行くほど短く、右に行くほど長くなる。
【0115】
図6Aは、A-A断面線に沿った、
図6に示すX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの断面図を示す。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は、ガラス層(37b)、(37c)に垂直な平面によって分割される。断面は、変性ガラス層(42a)、変性ミラー層(43a)、及びミラー層(38b)、(38c)を遮断する。変性シーラント層(44a)及びシーラント層(39b)、(39c)は、それぞれ変性ミラー層(43a)及びミラー層(38b)、(38c)の直下に見える。
【0116】
すべての要素は、上から見たときに、すべてのフリンジ(41a)、(41b)、(41c)並びに変性ミラー層(43a)、ミラー層(38b)、(38c)、変性シーラント層(44a)及びシーラント層(39b)、(39c)の他の構造がすべて完全に位置合わせされるように、互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0117】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)が配置される角度のため、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は互いに可変距離で組み立てられ、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はX軸に沿って変化する。
【0118】
図6に示すように、長さに沿った特定の点で断面A-Aを取ると、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、幅を貫通するA-A断面線を通して見た場合、一定である。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、長さに沿ったどの点で、
図5Aのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の一定距離とは異なるA-A断面線が取られるかによって変化する。
【0119】
図6のA-A断面線を長さに沿ってさらに右側に作成した場合、
図6AのX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、
図6Aに見られる実際の距離よりも長い。一方、
図6のA-A断面線をさらに左側に作成した場合、
図6AのX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、
図6Aに見られる実際の距離よりも短い。A-A断面線をさらにもっと左側に作成した場合、
図6AのX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はさらに短くなり、
図5Aのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離よりも短くなり得る。
【0120】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの形状及び動作を説明するために、一連の入射光線(48a)~(48j)及び反射される入射光線について、対応する一連の反射光線(49d)~(49j)を示す。
【0121】
上記で述べたように、個別のフリンジの識別を容易にするために、文字及び数字を伴うグリッド構造を作成した。このようにフリンジ(41a)を指すために、参照符号A7を使用できる。同様に、フリンジ(41b)は参照符号B15により指定され、フリンジ(41c)は参照符号C8により指定され得る。このグリッド構造を使用すると、フリンジA1、B1、及びC1が完全に位置合わせされており、同様に、文字は異なるが同じ番号の任意のフリンジが位置合わせされていることに簡単に気付くことができる。
【0122】
文字は異なるが同じ番号のフリンジの任意のセットが位置合わせされると、入射光線を通過させることが可能にあるチャネルが作成される。任意のレベルでフリンジに当たる、いかなる入射光線も反射される。
【0123】
上記で説明したような、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びX軸に沿ったフィルタリングパターン(34b)の間の変化する距離は、
図5及び
図5Aに示すフィルタリングデバイスと同じ性能を有していないが、反射光線によるレーザーへの損傷を軽減するという改善を提供する、
図6及び
図6Aに見られるX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの性能に影響を与える。
【0124】
最大許容拡がり角の変化につながる、この性能変化の視覚化及び理解を容易にするために、該当する場合、入射角の違いを簡単に確認できるように、
図5A及び
図6Aでは、同様の入射光線が描かれ、同様の番号が付けられている。
【0125】
入射光線(48a)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置1に位置するフリンジのすぐ右側を通過する。同様に入射光線(48b)も、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びすべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置2に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48a)及び入射光線(48b)は、位置1及び2に位置するフリンジの間のチャネル1~2の端部を通過する。
【0126】
入射光線(48c)は、所与のチャネルを通過する光線に許容されるフィルタリングパターンの法線に対する最大可能拡がり角で、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)を通過し、A2に位置するフリンジのすぐ右側及びC3に位置するフリンジの左側を通過する。拡がり角は、入射光線(48c)がA2に位置するフリンジを通過する点でフィルタリングパターンに垂直に引かれた破線を使用して確認できる。
【0127】
図6Aに見られる入射光線(48c)の拡がり角は、
図5Aに見られる入射光線(48c)の拡がり角よりも小さい。これは、断面の点において、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)が、
図5Aのフィルタリングパターン(34c)からのフィルタリングパターン(34a)の距離よりも、
図6Aのフィルタリングパターン(34c)からさらに離れており、距離が長いほど、強制的に許容最大角度が減少するためである。
図6Aには、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)及び(34c)の間の距離がX軸に沿って変化するにつれて、許容される拡がり角も変化することが示されている。この効果は、他のすべての入射光線に同様に影響し、
図5A及び
図6Aの比較を容易にするために、同様の入射光線には同様の番号が付けられている。
【0128】
入射光線(48d)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)を通過し、A3に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48d)は、B3に位置するフリンジに当たり、反射される。反射光線(49d)は戻り、A3に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0129】
入射光線(48e)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)を通過し、A4に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48e)は、入射光線(48d)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有するので、入射光線(48d)がB3に位置するフリンジに当たるよりも、さらに右側のB4に位置するフリンジに当たる。結果として、反射光線(49e)は、A4に位置するフリンジの後方にあるシーラント層に当たらず、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)のフリンジに当たる任意の他の入射光線と同様にレーザー源に向かって戻り続ける。
【0130】
図5Aの入射光線(48e)と比較して、
図6Aの入射光線(48e)は、形状の違い、特に、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及び断面が作成された点でのフィルタリングパターン(34b)の間の距離がより長いため、より小さい拡がり角を有するが、A4に位置するフリンジのさらに右側を通過する。
【0131】
入射光線(48f)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)を通過し、A6に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48f)は、すべてのフィルタリングパターン(34b)及び(34c)を通過するのに過不足ない、入射光線(48e)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有し、C7に位置するフリンジのすぐ左側で、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスを出る。反射及び吸収される
図5Aの入射光線(48f)と比較して、
図6Aの入射光線(48e)は、完全に異なる挙動を有する。
【0132】
図6Aの入射光線(48f)の拡がり角は、
図5Aの入射光線(48f)の拡がり角よりも小さい。この角度はフリンジA6の左側及びフリンジB6の右側の間の距離によって与えられるからである。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、
図5Aのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離よりも
図6Aの方が長いため、これにより、
図6Aのより小さい拡がり角の入射光線(48f)がギャップを見つけ、すべてのフリンジに当たらず、すべてのフィルタリングパターンを通過できる。
【0133】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離がX軸に沿って変化すると、異なる点に沿って断面A-Aを取ると、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離の変化が得られる。結果として、通過できる拡がり角が変化する。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離が、
図5Aのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離と等しい又はそれより短いX軸上の点において、ギャップは閉じられ、入射光線(48f)は
図5Aのように反射される。
【0134】
入射光線(48g)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A9に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48g)は、入射光線(48f)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有しているが、入射光線(48f)として通過するのではなく、入射光線(48g)はC10に位置するフリンジに当たる。反射光線(49g)は戻って、B11及びA11に位置するフリンジの後方にあるシーラント層に当たらず、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)のフリンジに当たる任意の他の入射光線と同様にレーザー源に向かって戻り続ける。
【0135】
入射光線(48h)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A12に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48h)は、入射光線(48g)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有し、すべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)を通過し、C13に位置するフリンジのすぐ右側で、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスを出る。
図6Aの入射光線(48h)の拡がり角は、
図5Aの入射光線(48h)の拡がり角よりも小さい。この角度はフリンジA12の左側及びフリンジC13の右側の間の距離によって与えられるからである。
【0136】
入射光線(48i)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A13に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48i)は、入射光線(48h)よりも大きい拡がり角を有し、すべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)も通過し、C14及びC15に位置するフリンジの間のX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスを出る。
図6Aの入射光線(48i)の拡がり角は、
図5Aの入射光線(48i)の拡がり角よりも小さい。この角度はフリンジA13の左側及びフリンジB14の左側の間の距離によって与えられるからである。
【0137】
入射光線(48j)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A14に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48j)は、入射光線(48i)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有することで、B15に位置するフリンジに当たる。反射光線(49j)は戻り、A16に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0138】
図6及び
図6Aに示すような、X軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(35a)及び2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)を有するX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの実施形態は、X軸に沿った位置依存の挙動を特徴とし、X軸に沿った入射点に応じて、様々な拡がり角を有する望まない入射光線が潜在的に通過できるようにする。結果として、使用されるレーザー源は、
図5及び
図5Aに示す装置を使用して動作させるために必要とされるコリメーションよりも良いコリメーションを有していなければならない。
【0139】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの性能を向上させるために、フィルタリングパターン(34b)、(34c)に平行な追加のフィルタリングパターンを使用して、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスに望まない角度で当たる、利用可能なレーザー源によって生成されたすべてのレーザービームを停止させることを保証することができる。
【0140】
図6Bは、A-A断面線に沿って
図6に示すX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの代替実施形態の断面図を示す。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は、ガラス層(37b)、(37c)に垂直な平面によって分割される。断面は、変性ガラス層(42a)及びガラス層(37b)、(37c)を遮断するが、
図6Aに示す実施形態とは異なり、変性ミラー層及びミラー層は塗布されず、代わりに変性シーラント層(44a)及びレーザー光を吸収するシーラント層(39b)、(39c)のみが存在する。
【0141】
すべての要素は、上から見たときに、すべてのフリンジ(41a)、(41b)、(41c)並びに変性シーラント層(44a)及びシーラント層(39b)、(39c)の他の構造がすべて完全に位置合わせされるように、互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0142】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)が配置される角度のため、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は互いに可変距離で組み立てられ、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はX軸に沿って変化する。
【0143】
図6に示すように、長さに沿った特定の点で断面A-Aを取ると、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、幅を貫通するA-A断面線を通して見た場合、一定である。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、長さに沿ったどの点で、
図5Bのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の一定距離とは異なる断面A-Aが取られたかによって変化する。
【0144】
図6のA-A断面線をさらに右側に作成した場合、
図6BのX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、
図6Bに見られる実際の距離よりも長い。一方、
図6のA-A断面線をさらに左側に作成した場合、
図6BのX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、
図6Bに見られる実際の距離よりも短い。A-A断面線をさらにもっと左側に作成した場合、
図6BのX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はさらに短くなり、
図5Bのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離よりも短くなり得る。
【0145】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの形状及び動作を説明するために、一連の入射光線(48a)~(48j)を示す。
【0146】
個別のフリンジの識別を容易にするために、文字及び数字を伴うグリッド構造を作成した。このようにフリンジ(41a)を指すために、参照符号A7を使用できる。同様に、フリンジ(41b)は参照符号B15により指定され、フリンジ(41c)は参照符号C8により指定され得る。このグリッド構造を使用すると、フリンジA1、B1、及びC1が完全に位置合わせされており、同様に、文字は異なるが同じ番号の任意のフリンジが位置合わせされていることに簡単に気付くことができる。
【0147】
文字は異なるが同じ番号のフリンジの任意のセットが位置合わせされると、入射光線を通過させることが可能にあるチャネルが作成される。任意のレベルでフリンジに当たる、いかなる入射光線も吸収される。
【0148】
上記で説明したように、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びX軸に沿ったフィルタリングパターン(34b)の間の変化する距離は、
図5及び
図5Bに示すフィルタリングデバイスと同じ性能を有していない、
図6及び
図6Bに見られるX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの性能に影響を与える。
【0149】
最大許容拡がり角の変化につながる、この性能変化の視覚化及び理解を容易にするために、該当する場合、入射角の違いを簡単に確認できるように、
図5B及び
図6Bでは、同様の入射光線が描かれ、同様の番号が付けられている。
【0150】
入射光線(48a)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置1に位置するフリンジのすぐ右側を通過する。同様に入射光線(48b)も、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置2に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48a)及び入射光線(48b)は、位置1及び2に位置するフリンジの間のチャネル1~2の端部を通過する。
【0151】
入射光線(48c)は、所与のチャネルを通過する光線に許容されるフィルタリングパターンの法線に対する最大可能拡がり角で、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)を通過し、A2に位置するフリンジのすぐ右側及びC3に位置するフリンジの左側を通過する。拡がり角は、入射光線(48c)がA2に位置するフリンジを通過する点でフィルタリングパターンに垂直に引かれた破線を使用して確認できる。
【0152】
図6Bに見られる入射光線(48c)の拡がり角は、
図5Bに見られる入射光線(48c)の拡がり角よりも小さい。これは、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)が、
図5Bのフィルタリングパターン(34c)からのフィルタリングパターン(34a)の距離よりも、
図6Bのフィルタリングパターン(34c)からさらに離れており、距離が長いほど、強制的に許容最大角度が減少するためである。
図6Bには、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)及び(34c)の間の距離がX軸に沿って変化するにつれて、許容される拡がり角も変化することが示されている。この効果は、他のすべての入射光線に同様に影響し、
図5B及び
図6Bの比較を容易にするために、同様の入射光線には同様の番号が付けられている。
【0153】
入射光線(48d)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)を通過し、A3に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48d)は、B3に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0154】
入射光線(48e)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)を通過し、A4に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48e)は、入射光線(48d)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有するので、入射光線(48d)がB3に位置するフリンジに当たるよりも、さらに右側のB4に位置するフリンジに当たる。
【0155】
図5Bの入射光線(48e)と比較して、
図6Bの入射光線(48e)は、形状の違い、特に、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離がより長いため、より小さい拡がり角を有するが、B4に位置するフリンジにほぼ同じ点で当たる。
【0156】
入射光線(48f)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)を通過し、A6に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48f)は、すべてのフィルタリングパターン(34b)及び(34c)を通過するのに過不足ない、入射光線(48e)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有し、C7に位置するフリンジのすぐ左側で、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスを出る。吸収される
図5Bの入射光線(48f)と比較して、
図6Bの入射光線(48e)は、完全に異なる挙動を有する。
【0157】
図6Bの入射光線(48f)の拡がり角は、
図5Bの入射光線(48f)の拡がり角よりも小さい。この角度はフリンジA6の左側及びフリンジB6の右側の間の距離によって与えられるからである。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離は、
図5Bのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離よりも
図6Bの方が長いため、これにより、
図6Bのより小さい拡がり角の入射光線(48f)がギャップを見つけ、すべてのフリンジに当たらず、すべてのフィルタリングパターンを通過できる。
【0158】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離がX軸に沿って変化すると、距離は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間で変化する。結果として、通過できる拡がり角が変化する。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離が、
図5Bのフィルタリングパターン(34a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離と等しい又はそれより短いX軸上の点において、ギャップは閉じられ、入射光線(48f)は
図5Bのように反射される。
【0159】
入射光線(48g)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A9に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48g)は、入射光線(48f)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有しているが、入射光線(48f)として通過するのではなく、入射光線(48g)はC10に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0160】
入射光線(48h)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A12に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48h)は、入射光線(48g)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有し、すべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)を通過し、C13に位置するフリンジのすぐ右側で、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスを出る。
図6Bの入射光線(48h)の拡がり角は、
図5Bの入射光線(48h)の拡がり角よりも小さい。この角度はフリンジA12の左側及びフリンジC13の右側の間の距離によって与えられるからである。
【0161】
入射光線(48i)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A13に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48i)は、入射光線(48h)よりも大きい拡がり角を有し、すべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)も通過し、C14及びC15に位置するフリンジの間のX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスを出る。
図6Bの入射光線(48i)の拡がり角は、
図5Bの入射光線(48i)の拡がり角よりも小さい。この角度はフリンジA13の左側及びフリンジB14の左側の間の距離によって与えられるからである。
【0162】
入射光線(48j)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)、を通過し、A14に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48j)は、入射光線(48i)の拡がり角よりも大きい拡がり角を有することで、B15に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0163】
図6及び
図6Bに示すように、X軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(35a)及び2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)を有するX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの実施形態は、X軸に沿った位置依存の挙動を特徴とし、X軸に沿った入射点に応じて、様々な拡がり角を有する望まない入射光線が潜在的に通過できるようにする。結果として、使用されるレーザー源は、
図5及び
図5Bに示す装置を使用して動作させるために必要とされるコリメーションよりも良いコリメーションを有していなければならない。
【0164】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの性能を向上させるために、フィルタリングパターン(34b)、(34c)に平行な追加のフィルタリングパターンを使用して、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスに望まない角度で当たる、利用可能なレーザー源によって生成されたすべてのレーザービームを停止させることを保証することができる。
【0165】
図7は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び1つ又は複数のフィルタリングパターン、
図7で示す実施形態では2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)で作成された、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの実施形態を示す。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、設置の傾斜角を補正するために、Y軸に沿って歪みられた変性ガラス層(42a)及び変性ミラー層(43a)から構成される。
【0166】
フィルタリングパターン(34b)、(34c)は同一であり、下側のミラー層(38b)、(38c)で被覆されたガラス層(37b)、(37c)から構成される。フィルタリングパターン(34b)、(34c)は、ミラー層(38b)、(38c)を上から見たときに、すべてが完全に位置合わせされるように、互いに可変距離で組み立てられ、すべてのフィルタリングパターン(34b)、(34c)が互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0167】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、ある傾斜角で設置されるため、設置の傾斜角を補正するために、変性ガラス層(42a)及び変性ミラー層(43a)をY軸に沿って歪みませる必要がある。この歪みは、すべての構造をY軸に沿って、傾斜角のコサインの逆数(傾斜角の正割)によって与えられる三角関数によって拡張される。この歪みにより、変性ガラス層(42a)及び変性ミラー層(43a)の全幅が長くなり、すべての特徴の位置が、選択された傾斜角での設置を補正するために必要な正確な係数だけ移動する。このように、上から見たとき、変性ガラス層(42a)はガラス層(37b)、(37c)と完全に一致し、変性ミラー層(43a)は、ミラー層(38b)、(38c)と完全に一致することで、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、上からは完全にフィルタリングパターン(34b)、(34c)として見える。このことを別の方法で説明すれば、フィルタリングパターン(34b)、(34c)に垂直な線に沿ってY軸に対して傾斜したフィルタリングパターンの投影(36a)が、全く同じ形状を有し、フィルタリングパターン(34b)、(34c)と完全に一致すると言える。
【0168】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)が配置される角度のため、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は互いに可変距離で組み立てられ、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はY軸に沿って変化し、距離は、
図11の前方に向かって短く、後方に向かって長くなる。
【0169】
図7Aは、A-A断面線に沿った
図7に示すY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの断面を示す。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は、ガラス層(37b)、(37c)に垂直な平面によって分割される。断面は、変性ガラス層(42a)、変性ミラー層(43a)、及びミラー層(38b)、(38c)を遮断する。変性シーラント層(44a)及びシーラント層(39b)、(39c)は、それぞれ変性ミラー層(43a)及びミラー層(38b)、(38c)の直下に見える。
【0170】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)が配置される角度のため、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は互いに可変距離で組み立てられ、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はY軸に沿って変化し、距離は、
図7Aの左側で短く、右側で長くなる。
【0171】
すべての要素は、上から見たときに、すべてのフリンジ(41a)、(41b)、(41c)並びに変性ミラー層(43a)、ミラー層(38b)、(38c)、変性シーラント層(44a)及びシーラント層(39b)、(39c)の他の構造がすべて完全に位置合わせされるように、互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0172】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの形状及び動作を説明するために、一連の入射光線(48a)~(48h)及び反射される入射光線について、対応する一連の反射光線(49d)~(49f)を示す。
【0173】
個別のフリンジの識別を容易にするために、文字及び数字を伴うグリッド構造を作成した。このようにフリンジ(41a)を指すために、参照符号A15を使用できる。同様に、フリンジ(41b)は参照符号B13により指定され、フリンジ(41c)は参照符号C8により指定され得る。このグリッド構造を使用すると、フリンジA1、B1、及びC1が完全に位置合わせされており、同様に、文字は異なるが同じ番号の任意のフリンジが位置合わせされていることに簡単に気付くことができる。
【0174】
文字は異なるが同じ番号のフリンジの任意のセットが位置合わせされると、入射光線を通過させることが可能にあるチャネルが作成される。任意のレベルでフリンジに当たる、いかなる入射光線も反射される。
【0175】
入射光線(48a)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置1に位置するフリンジのすぐ右側を通過する。同様に入射光線(48b)も、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置2に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48a)及び入射光線(48b)は、位置1及び2に位置するフリンジの間のチャネル1~2の端部を通過する。
【0176】
入射光線(48c)は、フリンジ2及び3の間のチャネルを通過する光線に許容されるフィルタリングパターンの法線に対する最大可能拡がり角で、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)を通過し、A2に位置するフリンジのすぐ右側及びC3に位置するフリンジの左側を通過する。拡がり角は、入射光線(48c)がA2に位置するフリンジを通過する点でフィルタリングパターンに垂直に引かれた破線を使用して確認できる。
【0177】
図7Aに見られる入射光線(48c)の拡がり角は、
図5Aに見られる入射光線(48c)の拡がり角よりも大きい。これは、入射光線の入射点において、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、フィルタリングパターン(34a)が
図5Aのフィルタリングパターン(34c)からの距離よりも
図7Aのフィルタリングパターン(34c)に近く、距離が短いほど許容最大角度が増加するためである。
【0178】
図7Aに示すY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスでは、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)並びにフィルタリングパターン(34b)及び(34c)の間の距離がY軸に沿って変化するにつれて、形状の変更が、様々な点でデバイスに入る入射光線の伝播経路に影響を与える。この効果をよりよく示すために、一連の同様の入射光線が様々な点で描かれ、伝播経路及び隙間の違いを確認する。
【0179】
入射光線(48d)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A3に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B3に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48d)は、C4に位置するフリンジに当たり、反射される。反射光線(49d)は戻り、A5に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0180】
入射光線(48e)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A6に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B6に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48e)は、入射光線(48d)よりも小さい拡がり角を有し、C7に位置するフリンジに当たり、反射される。反射光線(49e)は戻り、A8に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0181】
入射光線(48f)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A9に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B9に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48f)は、入射光線(48e)よりも小さい拡がり角を有し、C10に位置するフリンジに当たり、反射される。反射光線(49f)は戻り、B10に位置するフリンジの後方にあるシーラント層によって吸収される。
【0182】
入射光線(48g)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A12に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B12に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48g)は、入射光線(48f)よりも小さい拡がり角を有し、C13に位置するフリンジに当たらず、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを出る。
【0183】
入射光線(48h)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A14に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B14に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48g)は、入射光線(48f)よりも小さい拡がり角を有し、C15に位置するフリンジに当たらず、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを出る。
【0184】
入射光線(48f)がレベルBでフリンジに当たらないために必要な入射角である、拡がり角は、入射光線(48e)の入射角よりも小さいことに留意されたい。同様に、入射光線(48e)がレベルBでフリンジに当たらない入射角は、入射光線(48d)の入射角よりも小さい。これは、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)の角度付き設置によって引き起こされるフリンジ間の距離の漸増の結果である。これが続くと、最終的に、入射光線(48g)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを通過して出ることができる。次の入射光線(48h)も、C15に位置するフリンジまでの若干の隙間を有し、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを通過して出る。
【0185】
図7及び
図7Aに示すように、Y軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(36a)及び2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)を有するY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの実施形態は、Y軸に沿った入射点に応じて、様々な拡がり角を有する望まない入射光線が潜在的に通過できるようにする。結果として、使用されるレーザー源は、
図5及び
図5Aに示す装置を使用して動作させるために必要とされるコリメーションよりも良いコリメーションを有していなければならない。
【0186】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの性能を向上させるために、フィルタリングパターン(34b)、(34c)に平行な追加のフィルタリングパターンを使用して、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスに望まない角度で当たる、利用可能なレーザー源によって生成されたすべてのレーザービームを停止させることを保証することができる。
【0187】
図7Bは、A-A断面線に沿って
図7に示すY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの代替実施形態の断面図を示す。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は、ガラス層(37b)、(37c)に垂直な平面によって分割される。断面は、変性ガラス層(42a)を遮断するが、
図7Aに示す実施形態とは異なり、変性ミラー層及びミラー層は塗布されず、代わりに変性シーラント層(44a)及びレーザー光を吸収するシーラント層(39b)、(39c)のみが存在する。
【0188】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)が配置される角度のため、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)は互いに可変距離で組み立てられ、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)の間の距離はY軸に沿って変化する。すべての要素は、上から見たときに、すべてのフリンジ(41a)、(41b)、(41c)並びに変性ミラー層(43a)、ミラー層(38b)、(38c)を、変性シーラント層(44a)及びシーラント層(39b)、(39c)の他の構造がすべて完全に位置合わせされるように、互いに完全に位置合わせされて配置される。
【0189】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの形状及び動作を説明するために、一連の入射光線(48a)~(48h)を示す。
【0190】
個別のフリンジの識別を容易にするために、文字及び数字を伴うグリッド構造を作成した。このようにフリンジ(41a)を指すために、参照符号A15を使用できる。同様に、フリンジ(41b)は参照符号B13により指定され、フリンジ(41c)は参照符号C8により指定され得る。このグリッド構造を使用すると、フリンジA1、B1、及びC1が完全に位置合わせされており、同様に、文字は異なるが同じ番号の任意のフリンジが位置合わせされていることに簡単に気付くことができる。
【0191】
文字は異なるが同じ番号のフリンジの任意のセットが位置合わせされると、入射光線を通過させることが可能にあるチャネルが作成される。任意のレベルでフリンジに当たる、いかなる入射光線も反射される。
【0192】
入射光線(48a)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置1に位置するフリンジのすぐ右側を通過する。同様に入射光線(48b)も、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に対して垂直であり、どのフリンジにも遮断されないため、フィルタリングパターンを通過し、位置2に位置するフリンジのすぐ左側を通過する。入射光線(48a)及び入射光線(48b)は、位置1及び2に位置するフリンジの間のチャネル1~2の端部を通過する。
【0193】
入射光線(48c)は、フリンジ2及び3の間のチャネルを通過する光線に許容されるフィルタリングパターンの法線に対する最大可能拡がり角で、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及び他のフィルタリングパターン(34b)、(34c)を通過し、A2に位置するフリンジのすぐ右側及びC3に位置するフリンジの左側を通過する。拡がり角は、入射光線(48c)がA2に位置するフリンジを通過する点でフィルタリングパターンに垂直に引かれた破線を使用して確認できる。
【0194】
図7Bに見られる入射光線(48c)の拡がり角は、
図5Aに見られる入射光線(48c)の拡がり角よりも大きい。これは、入射光線の入射点において、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、フィルタリングパターン(34a)が
図5Aのフィルタリングパターン(34c)からの距離よりも
図7Bのフィルタリングパターン(34c)に近く、距離が短いほど許容最大角度が増加するためである。
【0195】
図7Bに示すY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスでは、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)並びにフィルタリングパターン(34b)及び(34c)の間の距離がY軸に沿って変化するにつれて、形状の変更が、様々な点でデバイスに入る入射光線の伝播経路に影響を与える。この効果をよりよく示すために、一連の同様の入射光線が様々な点で描かれ、伝播経路及び隙間の違いを確認する。
【0196】
入射光線(48d)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A3に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B3に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48d)は、C4に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0197】
入射光線(48e)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A6に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B6に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48e)は、入射光線(48d)よりも小さい拡がり角を有し、C7に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0198】
入射光線(48f)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A9に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B9に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48f)は、入射光線(48e)よりも小さい拡がり角を有し、C10に位置するフリンジに当たり、吸収される。
【0199】
入射光線(48g)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A12に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B12に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48g)は、入射光線(48f)よりも小さい拡がり角を有し、C13に位置するフリンジに当たらず、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを出る。
【0200】
入射光線(48h)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)を通過し、A14に位置するフリンジのすぐ左側を通過し、B14に位置するフリンジに全く当たらない角度で通過することができる。入射光線(48g)は、入射光線(48f)よりも小さい拡がり角を有し、C15に位置するフリンジに当たらず、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを出る。
【0201】
入射光線(48f)がレベルBでフリンジに当たらないために必要な入射角である、拡がり角は、入射光線(48e)の入射角よりも小さいことに留意されたい。同様に、入射光線(48e)がレベルBでフリンジに当たらない入射角は、入射光線(48d)の入射角よりも小さい。これは、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)の角度付き設置によって引き起こされるフリンジ間の距離の漸増の結果である。これが続くと、最終的に、入射光線(48g)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを通過して出ることができる。次の入射光線(48h)も、C15に位置するフリンジまでの若干の隙間を有し、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスを通過して出る。
【0202】
図7及び
図7Bに示すように、Y軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(36a)及び2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)を有するY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの実施形態は、Y軸に沿った入射点に応じて、様々な拡がり角を有する望まない入射光線が潜在的に通過できるようにする。結果として、使用されるレーザー源は、
図5及び
図5Aに示す装置を使用して動作させるために必要とされるコリメーションよりも良いコリメーションを有していなければならない。
【0203】
Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの性能を向上させるために、フィルタリングパターン(34b)、(34c)に平行な追加のフィルタリングパターンを使用して、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスに望まない角度で当たる、利用可能なレーザー源によって生成されたすべてのレーザービームを停止させることを保証することができる。
【0204】
図8は、基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)にレーザー切り込みを入れるための装置の第1の実施形態を示す。レーザー源(50)は、ミラー(52)を使用して方向転換され、レンズ(53)を通るレーザービーム(51a)を生成する。レーザービーム(51b)がレンズ(53)を出ると、レーザービーム(51b)の視点からフィルタリングパターンが単一のフィルタリングパターンとして見えるように互いに完全に位置合わせされた、複数の、
図8の例では3つの配置されたフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)から構成されるフィルタリングデバイス(45)に当たる。
【0205】
複数のフィルタリングパターンの理由は、光学系の物理的な制限により、レーザービーム(51b)が完全にコリメート及び集束されない可能性があり、したがって、ゆっくりと拡散する光線を生成する、ある程度の発散がある可能性があるからである。第1のフィルタリングパターン(34a)は、レーザービーム(51b)の不要な部分の大部分を反射し、切り込みを入れる必要のある場所を通過し、それに対応する一連のビームフリンジ(54a)、(54b)を生成する。
【0206】
上記の段落で説明したように、ビームフリンジ(54a)、(54b)は既に意図した切り込みの形状になっているが、レーザービーム(51b)の発散により、ビームフリンジは依然として拡散している。第2のフィルタリングパターン(34a)及び第3のフィルタリングパターン(34c)は、以前のフィルタリングパターンから距離を置いて配置され、コリメータとして機能するアセンブリを生成する。レーザービームが1つのフィルタリングパターンでチャネルを通過するとき、完全に位置合わせされていない反射面の端部近くを通過する部分は、次のフィルタリングパターンで反射面に当たり、除去されて、レーザービームが後続のフィルタリングパターンに進むにつれて、コリメーション及び精度が向上したビームが生成される。必要なコリメーションレベルに従い、必要に応じて3つ以上のフィルタリングパターンを使用できる。最後のフィルタリングパターン(34c)は、グラフェン層(32)にできる限り正確なレーザー切り込み(55)を生成するためにできる限りグラフェン層(32)の近くに配置される。
【0207】
図9は、
図8に示す装置によって生成された基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)上のレーザー切り込み(55a)、(55b)を示す。
【0208】
図10は、ミラー(52a)が移動してレーザー源(50)によって生成されたレーザービーム(51a)を偏向させるときに生成される切り込み経路(56)を示す。レンズ(53)は、レンズ(53)を離れた後、レーザービーム(51a)は、複数の、
図10の例では3つのフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)から構成されるフィルタリングデバイス(45)に直角又はできる限り直線的な角度で当たり、基板(30)上に以前に塗布されたグラフェン層(32)に当たるビームフリンジ(54a)を生成するように、レーザービーム(51a)を偏向させ、入射点での角度を修正する。
【0209】
ミラー(52)が移動してレーザービーム(51a)を偏向させるときに生成される切り込み経路(56)をよりよく示すために、
図10は、前の
図8に見られるのと同じ位置にあるミラー(52b)との重ね合わせを示している。
図10に示す重ね合わせでは、生成されたレーザービーム(51b)は、第1のフィルタリングパターン(34a)及び後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に直角で当たり、生成されたビームフリンジ(54b)はグラフェン層(32)に当たり、切り込み経路(56)の開始時に意図したレーザー切り込み(55)を生成する。偏向レーザービーム(51a)によって生成されたビームフリンジ(54a)は、切り込み経路(56)の端部でグラフェン層(32)に当たる。
【0210】
図11は、
図12に示す装置によって生成された基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)上の切り込み経路(56)を示す。
【0211】
図12は、ミラーの代わりにプリズム(57)を使用して、レンズ(53)を通してレーザービーム(51)を偏向させる、わずかに異なる可能性を示す。レーザービーム(51)がレンズ(53)を出ると、レーザービーム(51)の視点からフィルタリングパターンが単一のフィルタリングパターンとして見えるように互いに完全に位置合わせされた、複数の、
図12の例では3つの配置されたフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)から構成されるフィルタリングデバイス(45)に当たる。第1のフィルタリングパターン(34a)は、レーザービーム(51)の不要な部分の大部分を反射し、ビームフリンジ(54)を生成し、基板(30)上に以前に塗布されたグラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55)を生成する。
【0212】
図13は、さらなる詳細を示すために、異なる角度から基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)にレーザー切り込みを入れるための装置を示したものである。レーザー源(50)によって生成されたレーザービーム(51a)は、ミラー(52)内で方向転換され、レンズ(53)を通過し、フィルタリングデバイス(45)に当たる。反射レーザービーム(59a)は、レーザービーム(51b)がフィルタリングパターン(34a)のミラー層(38a)、及び後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層に当たるときに生成される。
【0213】
フィルタリングパターン(34a)がレーザービーム(51b)に対して正確に垂直に配置されるので、反射レーザービーム(59a)は、レンズ(53)及びミラー(52)を通過して逆の順序で同じ経路に戻る。反射レーザービーム(59a)がレーザー源(50)に戻り、潜在的にレーザー源(50)に損傷を引き起こすのを防ぐために、レーザー源(50)から来るレーザービーム(51a)は通過するが、ミラー(52)から来る反射レーザービーム(59b)は90度反射されるため、同化装置(60)によって安全に吸収され得るように、レーザー源(50)及びミラー(52)の間に部分ミラー(58)が配置される。
【0214】
図14は、同化装置(60)において反射レーザービーム(59b)を安全に吸収するためのわずかに異なる配置を示す。レーザー源(50)によって生成されたレーザービーム(51a)は、ミラー(52)内で方向転換され、レンズ(53)を通過し、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスに当たる。
【0215】
反射レーザービーム(59a)の大部分は、レーザービーム(51b)がX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の変性ミラー層(43a)に当たるときに生成される。後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層(38b)、(38c)内に二次反射が存在するが、これらの二次反射はレーザービーム(51b)の発散によって引き起こされるため、実質的に強力ではなく、レーザー源(50)に対する脅威と見なす必要はない。
【0216】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、その法線がレーザービーム(51b)に対して小さい角度で配置されるため、反射レーザービーム(59a)は、レーザービーム(51b)が取った経路とはわずかに異なる経路で戻る。反射レーザービーム(59a)は、レンズ(53)及びミラー(52)を通過するが、異なる点及び異なる角度でミラー(52)に当たる。結果として、反射レーザービーム(59b)は、レーザー源(50)に進まず、同化装置(60)に直接進み、吸収される。
【0217】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の法線及びレーザービーム(51b)の間の角度は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスのコリメーション機能を損なう可能性がある、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の両端の間の距離の大きな変動を避けるため、比較的小さくなければならない。
【0218】
レーザービーム(51b)の反射されない部分は、グラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55)を生成する多くのビームフリンジ(54)を作成する。
【0219】
図19は、基板(30)上に塗布されれたグラフェン層に対するレーザー切り込みの最終結果を示す。切り込みが完了すると、一対の端子(63a)及び(63b)を有する加工グラフェン層(62)が生成される。
図19に示す設計では、端子(63a)がフリンジ(64a)に接続されるが、次の隣接フリンジ(64b)には接続されないように、端子(63a)及び(63b)は互いに完全に分離され、一連の交互フリンジ(64a)、(64b)、などに接続されたままである。同様に、端子(63b)はフリンジ(64b)に接続されるが、フリンジ(64a)には接続されない。端子(63a)及び(63b)はまた、端子(63a)が下接点(33a)に接続されるが下接点(33b)には接続されず、端子(63b)が下接点(33b)に接続されるが下接点(33a)には接続されないように、貫通孔(31a)、(31b)を通して、基板(30)の下のそれぞれの下接点(33a)及び(33b)に接続される。下接点(33a)及び(33b)の視覚化を容易にするために、基板(30)の適切な点に2つの円形の切り欠きが作成されている。
【0220】
図20は、基板(30)上に塗布されたグラフェン層のレーザー切り込みの別の最終結果を示す。適切なフィルタリングパターンのセットを使用して切り込みが完了すると、加工グラフェン層(62)は、端子(63a)及び(63b)のいずれにも接続されていない、未接続フリンジ(65a)、(65b)、などのセットで生成される。
図20の例では、1つの未接続フリンジ(65a)が、端子(63a)及び(63b)にそれぞれ接続された2つの連続フリンジ(64a)、(64b)の間に配置されるように、端子(63a)及び(63b)は互いに完全に分離され、一連の交互フリンジ(64a)、(64b)などに接続されたままである。同様に、未接続フリンジ(65b)は、端子(63b)に接続されたフリンジ(64b)及び端子(63a)に接続された次のフリンジなどの間に配置され、以下同様である。
【0221】
図21は、複数の加工グラフェン層(62a)、(62b)、(62c)、(62d)などを積み重ねてデバイスの総容量を増加させた場合に生成される素子積層体(66)を示す。より高い安定性のために、素子積層体(66)に配置される第1の加工グラフェン層(62a)は、素子積層体(66)に含まれる他の加工グラフェン層(62b)、(62c)、(62d)を支持するために使用される基板(30b)、(30c)などで使用される材料よりも厚く、頑丈な材料で作られたベース(67a)上に構築される。
【0222】
個々の層は、例えば、第2の層の下接点(33d)が第1の層の端子(63b)の真上に配置されるように、すべての層を位置合わせするように注意しながら、互いの上にただ単純に積み重ねられる。同様に、第3の層の下接点(33f)は、第2の層の端子(63d)の真上に配置される。反対側の端子(63g)、他の層の端子(63f)、(63h)についても同じことが当てはまる。
【0223】
図22は、1つの加工グラフェン層(62)又は1つの素子積層体を含むベース(67)の上にカバー(69)を配置して、保護環境内の構造が完全に覆われて生成されるスーパーキャパシタアセンブリ(68)を示す。一対の金属接点(70a)、及び(70b)がそれぞれ端子(63a)、及び(63b)と接触して配置され、外部デバイスに電力を供給するための頑丈な電気接点を提供する。他の構成要素の視覚化を容易にするために、カバー(69)は透明に描かれている。動作-第1の実施形態
【0224】
まず、
図1に見られるように、基板(30)の両端に貫通孔(31)が作られる。次いで、グラフェン層(32)は、覆うように、及びすべての貫通孔(31)を貫流して覆うように基板(30)の上に塗布される。グラフェン層(32)の塗布は、意図した厚さの単一層を塗布するか、又は適切な厚さの連続層を塗布し、意図した厚さが達成されるまで次の層を塗布する前に乾燥させる、1つ又は複数の段階で行うことができる。グラフェン層(32)が基板(30)に良好に結合することを確実にするために、必要に応じて、表面プラズマ侵食などの表面処理を基板(30)に塗布できる。
【0225】
図2に示すように、グラフェン層(32)を作成するのに使用されたのと同じ材料から作成された下接点(33)が、グラフェン層(32)の下側に作成される。以前に施された貫通孔(31)は、グラフェン層(32)及び下接点(33)が、基板(30)全体で物理的及び電気的に接続されたままになるように、グラフェン層(32)及び下接点(33)と同じ材料で充填された一連のブリッジを作成する。
【0226】
図3は、基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)の等角図を示し、貫通孔(31)及び下接点(33)を示し、
図4は、パターンに形成されたミラー層(38)を有するガラス層(37)の下側に沿ってミラー層(38)で被覆されたガラス層(37)の一部を有するガラス層(37)から構成されるフィルタリングパターン(34)の実施形態を示す。
【0227】
レーザー切り込み動作は、
図5~
図7B又は他の実施形態に示すフィルタリングデバイス(45)、(46)、及び(47)のいずれか1つを使用して実行され得る。フィルタリングパターンは、スーパーキャパシタ又は他の製品の所望の特性を発現させるために、任意の適切な設計であり得る。
【0228】
基本的な切り込み方法を
図8に示す。レーザー源(50)は、ミラー(52)を使用して方向転換され、レンズ(53)を通るレーザービーム(51a)を生成する。レーザービーム(51b)がレンズ(53)を出ると、レーザービーム(51b)の視点からフィルタリングパターンが単一のフィルタリングパターンとして見えるように互いに完全に位置合わせされた、複数の、
図8の例では3つの配置されたフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)に当たる。複数のフィルタリングパターンを使用することにより、ゆっくりと拡散する光線を生成する、ある程度の発散が排除される。
【0229】
第1のフィルタリングパターン(34a)は、レーザービーム(51b)の不要な部分の大部分を反射し、切り込みを入れる必要のある場所を通過し、それに対応する多くのビームフリンジ(54a)、(54b)を生成する。第2のフィルタリングパターン(34a)及び第3のフィルタリングパターン(34c)は、以前のフィルタリングパターンから距離を置いて配置され、コリメータとして機能するアセンブリを生成する。
図9に示すように、レーザービームが1つのフィルタリングパターンでチャネルを通過すると、完全に位置合わせされていない反射面の端部近くを通過する部分は、次のフィルタリングパターンで反射面に当たり、除去されて、レーザービームが後続のフィルタリングパターンを進むにつれて、コリメーション及び精度が向上したビームを生成し、最後のフィルタリングパターン(34c)が達成可能な限りグラフェン層(32)の近くに配置されて、レーザー切り込み(55)をグラフェン層(32)でできる限り正確に生成する。
【0230】
図10に示すように、ミラーは第1の位置(52a)及び第2の位置(52b)で示すように回転し、Y軸に沿ってレーザービーム(51b)を方向転換させる。塗布されたグラフェン層(32)を有する基板(30)及びフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、レーザービーム(51a)がX軸を横切って異なる点に到達できるように、一斉に一緒に移動する。レーザービーム(51a)が移動し、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の異なる点に当たると、ビームフリンジ(54a)、(54b)は、下のグラフェン層(32)のレーザー切り込み(55)点で生成する必要がある正確なパターンを保持しながら、それに応じて変化する。切り込み効率を最大化するために、レーザービーム(51a)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の最小寸法よりも桁違いに広く生成され、レーザー出力をより大きな領域に広げ、レーザービーム(51a)に含まれる総エネルギーのごく一部をそれぞれ有する数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54a)、(54b)を生成する。これらの低出力ビームフリンジ(54a)、(54b)は、グラフェン層(32)を、集光された細いレーザービームよりも緩やかに切り込みを入れ、1通過ごとに材料のより小さな塊を取り出すことができる。しかし、数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54a)、(54b)が存在するため、組み合わせ効果により、おそらく単一のより強力なレーザービームがもたらし得るよりも速く、より信頼できる結果をもたらす。
【0231】
図10に示すように、レンズ(53)を離れた後、レーザービーム(51a)は、第1のフィルタリングパターン(34a)及び後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)に直角又はできる限り直線的な角度で当たり、フィルタリングデバイス(45)のフィルタリングパターン(34a)、(34b)、及び(34c)の設計において、基板(30)上に以前に塗布されたグラフェン層(32)に当たり、切り込みする、ビームフリンジ(54a)を生成するように、切り込み経路(56)は、レンズ(53)がレーザービーム(51a)を偏向させ、入射点での角度を補正した後に生成される。
【0232】
図12に示すように、前の
図8及び
図10に示したミラーをプリズム(57)に置き換えることができ、
図8及び
図10について上述したのと同じ方法で動作し、同様の結果が得られる。
【0233】
図13は、レーザービーム(51b)がフィルタリングパターン(34a)のミラー層(38a)、及び後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層に当たるときに生成される反射レーザービーム(59a)を示す。フィルタリングパターン(34a)がレーザービーム(51b)に対して正確に垂直に配置されているため、反射レーザービーム(59a)は、レーザー源(50)の損傷を防ぐために、レンズ(53)及びミラー(52)を通過して逆の順序で同じ経路に戻り、部分ミラー(58)が、レーザー源(50)から来るレーザービーム(51a)は通過するが、ミラー(52)から来る反射レーザービーム(59b)は90度反射されるように、レーザー源(50)及びミラー(52)の間に配置されるため、同化装置(60)によって安全に吸収され得る。
【0234】
ミラー(52)は回転してY軸に沿ってレーザービーム(51b)を方向転換させ、塗布されたグラフェン層(32)を有する基板(30)及びフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、レーザービーム(51b)がX軸を横切って異なる点に到達できるように、一斉に一緒に移動する。この工程が発生すると、反射レーザービーム(59b)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)に当たる特定の点でパターンに応じて適宜変化する。反射レーザービーム(59b)はミラー(52)で反射され、部分ミラー(58)で再び反射され、同化装置(60)によって安全に吸収され続ける。
【0235】
図14は、同化装置(60)において反射レーザービーム(59b)を安全に吸収するためのわずかに異なる配置を示す。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、その法線がレーザービーム(51b)に対して小さい角度で配置されるため、反射レーザービーム(59a)は、レーザービーム(51b)が取った経路とはわずかに異なる経路で戻る。反射レーザービーム(59a)は、レンズ(53)及びミラー(52)を通過するが、異なる点及び異なる角度でミラー(52)に当たる。結果として、反射レーザービーム(59b)は、レーザー源(50)に進まず、同化装置(60)に直接進み、吸収される。
【0236】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の法線及びレーザービーム(51b)の間の角度は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスのコリメーション機能を損なう可能性がある、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の両端の間の距離の大きな変動を避けるため、比較的小さくなければならない。
【0237】
ミラー(52)は回転してY軸に沿ってレーザービーム(51b)を方向転換させ、塗布されたグラフェン層(32)を有する基板(30)及びフィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)は、レーザービーム(51b)がX軸を横切って異なる点に到達できるように、一斉に一緒に移動する。この工程が発生すると、反射レーザービーム(59b)はミラー(52)で反射され、同化装置(60)によって安全に吸収され続ける。
【0238】
レーザービーム(51b)が移動し、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)の様々な点に当たると、ビームフリンジ(54)は、下のグラフェン層(32)のレーザー切り込み(55)点で生成する必要がある正確なパターンを保持しながら、それに応じて変化する。切り込み効率を最大化するために、レーザービーム(51b)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)の最小寸法よりも桁違いに広く生成され、レーザー出力をより大きな領域に広げ、レーザービーム(51b)に含まれる総エネルギーのごく一部をそれぞれ有する数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54)を生成する。これらの低出力ビームフリンジ(54)は、グラフェン層(32)を、集光された細いレーザービームよりも緩やかに切り込みを入れ、1通過ごとに材料のより小さな塊を取り出すことができる。しかし、数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54)が存在するため、組み合わせ効果により、おそらく単一のより強力なレーザービームがもたらし得るよりも速く、より信頼できる結果を生成する。
【0239】
図19は、基板(30)上に塗布されれたグラフェン層に対するレーザー切り込みの最終結果を示す。切り込みが完了すると、一対の端子(63a)及び(63b)を有する加工グラフェン層(62)が生成される。
図19に示す設計では、端子(63a)がフリンジ(64a)に接続されるが、次の隣接フリンジ(64b)には接続されないように、端子(63a)及び(63b)は互いに完全に分離され、一連の交互フリンジ(64a)、(64b)などに接続されたままである。同様に、端子(63b)はフリンジ(64b)に接続されるが、フリンジ(64a)には接続されない。端子(63a)及び(63b)はまた、端子(63a)が下接点(33a)に接続されるが下接点(33b)には接続されず、端子(63b)が下接点(33b)に接続されるが下接点(33a)には接続されないように、貫通孔(31a)、(31b)を通して、基板(30)の下のそれぞれの下接点(33a)及び(33b)に接続される。下接点(33a)及び(33b)の視覚化を容易にするために、基板(30)の適切な点に2つの円形の切り欠きが作成されている。
【0240】
任意の2つの隣接フリンジ(64a)及び(64b)は、単位コンデンサを実装する。交互フリンジが別個の端子(63a)及び(63b)に接続されているため、全部の配置は数千の並列に接続されたコンデンサとして機能する。端子(63a)及び(63b)の直下に配置され、それぞれの端子(63a)及び(63b)に電気的に接続された下接点(33a)及び(33b)は、数千の並列に接続されたコンデンサを複数の層に積み重ねる簡単な方法として機能する。
【0241】
図20は、基板(30)上に塗布されたグラフェン層のレーザー切り込みの別の最終結果を示す。適切なフィルタリングパターンのセットを使用して切り込みが完了すると、加工グラフェン層(62)は、端子(63a)及び(63b)のいずれにも接続されていない、未接続フリンジ(65a)、(65b)、などのセットで生成される。
図20の例では、1つの未接続フリンジ(65a)が、端子(63a)及び(63b)にそれぞれ接続された2つの交互フリンジ(64a)、(64b)の間に常に配置されるように、端子(63a)及び(63b)は互いに完全に分離され、一連の連続フリンジ(64a)、(64b)などに接続されたままである。同様に、未接続フリンジ(65b)は、端子(63b)に接続されたフリンジ(64b)及び端子(63a)に接続された次のフリンジなどの間に配置される。
【0242】
端子(63a)及び(63b)に接続された2つの隣接フリンジ(64a)及び(64b)は、中間の未接続フリンジ(65a)と一緒に、直列に配置された2つの単位コンデンサを実装する。フリンジ(64a)及び未接続フリンジ(65a)の間に1つのコンデンサ、及び未接続フリンジ(65a)及びフリンジ(64b)の間に1つのコンデンサがある。交互フリンジ(64a)及び(64b)が別個の端子(63a)及び(63b)に接続されているため、全部の配置は、数千の直列に接続されたコンデンサと、並列に接続されたコンデンサが対になったコンデンサとして機能する。端子(63a)及び(63b)の直下に配置され、それぞれの端子(63a)及び(63b)に電気的に接続された下接点(33a)及び(33b)は、数千の並列に接続されたコンデンサと、直列に接続されたコンデンサの2つコンデンサを複数の層に積み重ねる簡単な方法として機能する。
【0243】
図21は、複数の加工グラフェン層(62a)、(62b)、(62c)、(62d)などを積み重ねてデバイスの総容量を増加させた場合に生成される素子積層体(66)を示す。より高い安定性のために、素子積層体(66)に配置される第1の加工グラフェン層(62a)は、素子積層体(66)に含まれる他の加工グラフェン層(62b)、(62c)、(62d)を支持するために使用される基板(30b)、(30c)などで使用される材料よりも厚く、頑丈な材料で作られたベース(67a)上に構築される。
【0244】
個々の層は、例えば、第2の層の下接点(33d)が第1の層の端子(63b)の真上に配置されるように、すべての層を位置合わせするように注意しながら、互いの上にただ単純に積み重ねられる。同様に、第3の層の下接点(33f)は、第2の層の端子(63d)の真上に配置される。反対側の端子(63g)、他の層の端子(63f)、(63h)についても同じことが当てはまる。
【0245】
図22は、1つの加工グラフェン層(62)又は1つの素子積層体を含むベース(67)の上にカバー(69)を配置して、保護環境内の構造が完全に覆われて生成されるスーパーキャパシタアセンブリ(68)を示す。一対の金属接点(70a)、及び(70b)がそれぞれ端子(63a)、及び(63b)と接触して配置され、外部デバイスに電力を供給するための頑丈な電気接点を提供する。第2の実施形態
【0246】
図15は、複数のレーザービームを使用して、より高速な処理を可能にするという重要な利点を提供する本発明の代替実施形態を示す。干渉を避けるために十分に離れており、熱放散のための適切な時間があれば、多くのレーザービームを同時に使用できる。
図15の例では、乱雑を避けるために4つのレーザービームのみが描かれている。レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の真上に配置され、グラフェン層(32)は基板(30)上に塗布される。レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)の反射されない部分は、グラフェン層(32)に当たり、
図16に示すような意図したレーザー切り込み(55a)、(55b)、(55c)、(55d)を生成する、多くのビームフリンジ(54a)、(54b)、(54c)、(54d)、(54e)を作成する。
【0247】
複数のフィルタリングパターンの理由は、レーザービームが完全にコリメート及び集束されない可能性があり、したがって、ゆっくりと拡散する光線を生成する、ある程度の発散がある可能性があるからである。第1のフィルタリングパターン(34a)は、レーザービームの不要な部分の大部分を反射し、切り込みを入れる必要のある場所を通過し、それに対応する多くのビームフリンジを生成する。
【0248】
上記の段落で説明したように、ビームフリンジは既に意図した切り込みの形状になっているが、レーザービームの発散により、ビームフリンジは依然として拡散している。第2のフィルタリングパターン(34b)及び第3のフィルタリングパターン(34c)は、以前のフィルタリングパターンから距離を置いて配置され、コリメータとして機能するアセンブリを生成する。レーザービームが1つのフィルタリングパターンでチャネルを通過するとき、完全に位置合わせされていない反射面の端部近くを通過する部分は、次のフィルタリングパターンで反射面に当たり、除去されて、レーザービームが後続のフィルタリングパターンに進むにつれて、コリメーション及び精度が向上したビームが生成される。必要なコリメーションレベルに従い、必要に応じて3つ以上のフィルタリングパターンを使用できる。最後のフィルタリングパターン(34c)は、グラフェン層(32)にできる限り正確なレーザー切り込み(55)を生成するためにできる限りグラフェン層(32)の近くに配置される。
【0249】
反射レーザービーム(59a)、(59b)、(59c)、(59d)は、レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)がフィルタリングパターン(34a)のミラー層(38a)、及び後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層に当たるときに生成される。フィルタリングパターン(34a)がレーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)に対して垂直に配置されると、反射レーザービーム(59a)、(59b)、(59c)、(59d)は、レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)が取った経路と同じ経路で戻る。反射レーザービーム(59a)、(59b)、(59c)、(59d)がレーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)に戻ってレーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)が損傷するのを防ぐために、レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)から来るレーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)は通過するが、反射レーザービーム(59a))、(59b)、(59c)、(59d)は安全に吸収できる方向に90度反射されるように、長い部分ミラー(61)がレーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)に対して45度の角度で配置される。
【0250】
図16は、
図15に示す装置によって生成された基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)上のレーザー切り込み(55a)、(55b)、(55c)、(55d)を示す。
【0251】
図17は、同化装置(60)において反射レーザービーム(59)を安全に吸収するためのわずかに異なる配置を示す。レーザー源(50)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスの真上に配置され、グラフェン層(32)は基板(30)上に塗布される。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターンを有するフィルタリングデバイス(46)は、X軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(35a)及び複数の、
図17の例では2つのフィルタリングパターン(34b)、(34c)から構成される。
【0252】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)においてレーザービーム(51)の反射されない部分は、グラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55)を生成する多くのビームフリンジ(54)を作成する。
【0253】
反射レーザービーム(59)の大部分は、レーザービーム(51)がX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の変性ミラー層(43a)に当たるときに生成される。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)はその法線がレーザービーム(51)に対して小さい角度で配置され、反射レーザービーム(59)がレーザービーム(51)が取る経路とはわずかに異なる経路で戻るようにする。結果として、反射レーザービーム(59)は、レーザー源(50)に進まず、同化装置(60)に直接進み、安全に吸収される。
【0254】
後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層における二次反射は、レーザービーム(51)の発散によって引き起こされ、したがって、実質的に強力ではなく、レーザー源(50)に対する脅威ではない。
【0255】
X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の法線及びレーザービーム(51)の間の角度は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスのコリメーション機能を損なう可能性がある、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)の両端の間の距離の大きな変動を避けるため、比較的小さくなければならない。
【0256】
図18は、
図17の配置の変形を示す。
図18の例では、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスが使用され、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、Y軸に沿った幅に対してレーザービーム(51a)、(51b)に対してある角度で配置される。角度の軸は、下接点(33)を基準として確認できる。
【0257】
図18はまた、製造時間を短縮するために2つのレーザービーム(51a)、(51b)が並列に使用されるという事実によって、
図17とは異なる。必要に応じて、
図18では、3つ以上のレーザービームを使用し、
図17では、2つ以上のレーザービームを使用して、製造時間をさらに短縮できる。単純化するため、及びすべての詳細を示すのを難しくする乱雑さを避けるために、
図17は1つのレーザービームで、
図18は2つのレーザービームで図面を作成している。
【0258】
図18の配置は、複数のレーザービームを使用して、より高速な処理を可能にするという重要な利点を提供する。干渉を避けるために十分に離れており、熱放散のための適切な時間があれば、多くのレーザービームを同時に使用できる。レーザー源(50a)、(50b)は、Y軸に対して傾斜した1つのフィルタリングパターン(36a)及び複数、フィルタリングパターン(34b)、(34c)の例では2つから構成される、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの真上に配置される。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)によってレーザービーム(51a)、(51b)の反射されない部分は、基板(30)上に塗布されたグラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55a)、(55b)を生成する多くのビームフリンジ(54a)、(54b)を作成する。
【0259】
反射レーザービーム(59a)、(59b)の大部分は、レーザービーム(51a)、(51b)がY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)の変性ミラー層(43a)に当たるときに生成される。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、その法線がレーザービーム(51a)、(51b)に対して小さい角度で配置されるため、反射レーザービーム(59a)、(59b)は、レーザービーム(51a)、(51b)が取った経路とはわずかに異なる経路で戻る。結果として、反射レーザービーム(59a)、(59b)は、レーザー源(50a)、(50b)を進まず、安全に吸収される点まで進む。
【0260】
後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層内に二次反射が存在するが、これらの二次反射はレーザービーム(51a)、(51b)の発散によって引き起こされるため、実質的に強力ではなく、レーザー源(50a)、(50b)に対する脅威ではない。
【0261】
図18に示す配置の利点は、
図14に示す配置よりも単純で、必要な構成要素が少ない(安価である)ことである。
図18に示す配置の欠点は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)の法線及びレーザービーム(51a)、(51b)の間の角度が小さく、結果として、レーザービーム(51a)、(51b)及び反射レーザービーム(59a)、(59b)の間の角度が小さくなり、次いで、反射レーザービーム(59a)、(59b)がレーザー源(50a)、(50b)に進まないようにするために十分な距離を有するように、強制的にY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)に対してレーザー源(50a)、(50b)をより遠くに配置させることである。動作-第2の実施形態
【0262】
貫通孔(31)を有する基板(30)の準備、及び基板(30)の上部へのグラフェン層(32)の塗布、及びグラフェン層(32)を作成するのに使用されたのと同じ材料で作成された下接点(33)の作成、並びにフィルタリングパターン(34)の準備及び動作は、本発明の第1の実施形態の動作で説明したように行われる。
【0263】
図15では、グラフェン層(32)に所望のパターンの切り込みを入れるために、4つのレーザービームが同時に使用される。代わりに、より多くの(又はより少ない)レーザービームを使用することもできるが、混乱を避けるために、4つのレーザービームを使用する典型的なケースについて説明する。
【0264】
レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の真上に配置され、グラフェン層(32)は基板(30)上に塗布される。レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)の反射されない部分は、グラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55a)、(55b)、(55c)、(55d)を生成する、多くのビームフリンジ(54a)、(54b)、(54c)、(54d)、(54e)を作成する。
【0265】
反射レーザービーム(59a)、(59b)、(59c)、(59d)は、レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)がフィルタリングパターン(34a)のミラー層(38a)、及び後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層に当たるときに生成される。フィルタリングパターン(34a)がレーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)に対して垂直に配置されると、反射レーザービーム(59a)、(59b)、(59c)、(59d)は、それぞれのレーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)が取った経路と同じ経路で戻る。長い部分ミラー(61)は、レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)から来るレーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)を通過させるが、反射レーザービーム(59a)、(59b)、(59c)、(59d)を安全に吸収できる方向に90度偏向させ、レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)の潜在的な損傷を防ぐことを可能にする。
【0266】
レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、及び(34c)と長い部分ミラー(61)に対して同じ相対位置に保持されているグラフェン層(32)に対して、X軸及びY軸で移動できる。
【0267】
レーザー源(50a)、(50b)、(50c)、(50d)が移動し、レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の異なる点に当たることで、ビームフリンジ(54a)、(54b)、(54c)、(54d)は、下のグラフェン層(32)のレーザー切り込み(55a)、(55b)、(55c)、(55d)点で生成する必要がある正確なパターンを保持しながら、それに応じて変化する。切り込み効率を最大化するために、レーザービーム(51a)、(51b)、(51c)、(51d)は、フィルタリングパターン(34a)、(34b)、(34c)の最小寸法よりも桁違いに広く生成され、レーザー出力をより大きな領域に広げ、レーザービームに含まれる総エネルギーのごく一部をそれぞれ有する数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54a)、(54b)、(54c)、(54d)を生成する。これらの低出力ビームフリンジは、グラフェン層を、集光された細いレーザービームよりも緩やかに切り込みを入れ、1通過ごとに材料のより小さな塊を取り出すことができる。しかし、何千ものビームフリンジが存在するため、組み合わせ効果により、おそらく単一のより強力なレーザービームがもたらし得るよりも速く、より信頼できる結果をもたらす。
【0268】
図17の例では、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の長さに沿って、X軸に対してレーザービーム(51)に対してある角度で配置される。角度の軸は、下接点(33)を基準として確認できる。
【0269】
図17の配置では、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)をわずかに修正する必要がある。X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の法線及びレーザービーム(51)の間の角度を考慮して構築しなければならない。これは、ある角度で、レーザービーム(51)の視点で見たときに、まっすぐに見た他のフィルタリングパターン(34b)及び(34c)と全く同じパターンを示すように、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)のパターンを変更することで簡単に実現できる。レーザービーム(51)の反射されない部分は、グラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55)を生成する多くのビームフリンジ(54)を作成する。
【0270】
レーザー源(50)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(46)を有するフィルタリングデバイスに対して同じ相対位置に保持されているグラフェン層(32)に対して、X軸及びY軸で相対的に移動できる。
【0271】
レーザー源(50)が移動し、レーザービーム(51)が、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)の様々な点に当たることで、ビームフリンジ(54)は、下のグラフェン層(32)のレーザー切り込み(55)点で生成する必要がある正確なパターンを保持しながら、それに応じて変化する。切り込み効率を最大化するために、レーザービーム(51)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)の最小寸法よりも桁違いに広く生成され、レーザー出力をより大きな領域に広げ、レーザービームに含まれる総エネルギーのごく一部をそれぞれ有する数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54)を生成する。これらの低出力ビームフリンジは、グラフェン層を、集光された細いレーザービームよりも緩やかに切り込みを入れ、1通過ごとに材料のより小さな塊を取り出すことができる。しかし、何千にもなり得る、複数のビームフリンジが存在するため、組み合わせ効果により、おそらく単一のより強力なレーザービームがもたらし得るよりも速く、より信頼できる結果を生成する。
【0272】
図17に示す配置の利点は、
図14に示す配置よりも単純で、必要な構成要素が少ない(安価である)ことである。
図17に示す配置の欠点は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)の法線及びレーザービーム(51)の間の角度が小さく、結果として、レーザービーム(51)及び反射レーザービーム(59)の間の角度が小さくなり、次いで、反射レーザービーム(59)がレーザー源(50)に進まないようにするために十分な距離を有するように、強制的にX軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)に対してレーザー源(50)をより遠くに配置させることである。
【0273】
図18では、グラフェン層(32)に所望のパターンの切り込みを入れるために、2つのレーザービームが同時に使用される。代わりに、より多く又はより少ないレーザービームを使用することもできるが、混乱を避けるために、2つのレーザービームを使用する典型的なケースについて説明する。
【0274】
レーザー源(50a)、(50b)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスの真上に配置され、グラフェン層(32)は基板(30)上に塗布される。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)によってレーザービーム(51a)、(51b)の反射されない部分は、グラフェン層(32)に当たり、意図したレーザー切り込み(55a)、(55b)を生成する多くのビームフリンジ(54a)、(54b)を作成する。
【0275】
反射レーザービーム(59a)、(59b)の大部分は、レーザービーム(51a)、(51b)がY軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)の変性ミラー層(43a)に当たるときに生成される。Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)は、その法線がレーザービーム(51a)、(51b)に対して小さい角度で配置されるため、反射レーザービーム(59a)、(59b)は、レーザービーム(51a)、(51b)が取った経路とはわずかに異なる経路で戻る。結果として、反射レーザービーム(59a)、(59b)は、レーザー源(50a)、(50b)を進まず、安全に吸収される点まで進む。
【0276】
後続のフィルタリングパターン(34b)、(34c)のミラー層内に二次反射が存在するが、これらの二次反射はレーザービーム(51a)、(51b)の発散によって引き起こされるため、実質的に強力ではなく、レーザー源(50a)、(50b)に対する脅威ではない。
【0277】
レーザー源(50a)、(50b)は、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(47)を有するフィルタリングデバイスに対して同じ相対位置に保持されているグラフェン層(32)に対して、X軸及びY軸で相対的に移動できる。
【0278】
レーザー源(50a)、(50b)が移動し、レーザービーム(51a)、(51b)が、Y軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(36a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)の様々な点に当たることで、ビームフリンジ(54a)、(54b)は、下のグラフェン層(32)のレーザー切り込み(55a)、(55b)点で生成する必要がある正確なパターンを保持しながら、それに応じて変化する。切り込み効率を最大化するために、レーザービーム(51a)、(51b)は、X軸に対して傾斜したフィルタリングパターン(35a)及びフィルタリングパターン(34b)、(34c)の最小寸法よりも桁違いに広く生成され、レーザー出力をより大きな領域に広げ、レーザービームに含まれる総エネルギーのごく一部をそれぞれ有する数千にもなり得る、複数のビームフリンジ(54a)、(54b)を生成する。これらの低出力ビームフリンジは、グラフェン層を、集光された細いレーザービームよりも緩やかに切り込みを入れ、1通過ごとに材料のより小さな塊を取り出すことができる。しかし、何千、にもなり得る、複数のビームフリンジが存在するため、組み合わせ効果により、おそらく単一のより強力なレーザービームがもたらし得るよりも速く、より信頼できる結果を生成する。結論
【0279】
フィルタリングパターンを使用したレーザー切り込み技術で部品を製造する新しい方法が提示されている。この方法は、非常に多くの微細な部品を製造することができ、すなわち、部品の全体寸法よりも3~5桁小さい寸法を有する細部を伴う詳細な構造のパターンで部品を完全に覆うことができ、これらの部品は、従来のレーザー切り込み方法を使用して達成できるよりも数千倍速い合理的な時間内で製造できる。
【0280】
提案されたフィルタリングパターンは、a)切り込みを入れなければならない意図した詳細のパターンとして機能する;b)意図しない領域への損傷など、レーザービームの発散によって引き起こされる問題を回避又は大幅に削減するコリメータとして機能する;c)幅の広いレーザービームを、非常に繊細な構造を切り込みするのにより適した数千の非常に狭い子レーザービームに動的に分割するビームスプリッタとして機能する;d)レーザービームを集束し、位置決め制御機構の不正確さを吸収するために必要な光学系の簡素化を可能にする手段として機能する;e)製造ラインに柔軟性をもたらし、異なるマスク設計を使用した複数のフィルタリングパターンを簡単に作成でき、これらの設計を製造ラインで安価かつ迅速に交換して、異なる顧客の要求に対応する様々なデバイスを製造できるという複数の目的を果たす。
【0281】
提案された発明は、フリンジなどの非常に多くの非常に微細な構造を、互いに非常に小さな間隔で構築する必要がある高性能二重層グラフェンスーパーキャパシタを製造するのに非常に適している。別の必須要件は、グラフェンスラブの幅又は長さにできる限り多くのフリンジを収容するための個別のフリンジの厚さ及び、フリンジがグラフェンスラブの下部から上部まで延在するような個別のフリンジの高さの間の非常に高いアスペクト比である。
【0282】
提案された発明により、他の方法よりも数千倍速く、大量生産と両立可能な時間内で、高性能でエネルギー密度の高いグラフェンスーパーキャパシタの構築が可能になる。結果として、製造されたデバイスは手頃な価格で製造でき、他の蓄電デバイスと市場で競合することが可能になる。
【0283】
本発明は、添付の図面及び実施例を含む本明細書によって開示されてきたが、当業者には、様々な等価物、修正、及び改良が明らかであろう。そのような等価物、修正、及び改良はまた、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0284】