(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】空気圧ポンプ消音器、その空気圧ポンプ消音器を備える空気圧ポンプ、及びその空気圧ポンプを少なくとも1つ備える塗料噴霧装置
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
F04B39/00 101T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020050670
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プランタール ニコラ
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03675732(US,A)
【文献】実開平03-104116(JP,U)
【文献】米国特許第05902362(US,A)
【文献】特開昭50-022139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容積(V6)を画定し、空気出口オリフィス(64)を含む少なくとも1つの壁(62)を有する本体(6)と、前記空気出口オリフィスに対向して配置された面(8A)を含む減衰パッド(8)とを有し、
前記減衰パッド(8)の面(8A)と、前記空気出口オリフィス(64)を含む壁(62)の外面(62A)との間に、間隙(10)が配置され、
前記間隙(10)の厚さ(E10)が、0.5mmと5mmとの間、好ましくは1mmと3mmとの間、より好ましくは1.5mmと2.5mmとの間、さらにより好ましくは2mmに等し
く、
前記減衰パッド(8)は、前記本体(6)に締結された支持体(16)によって前記本体(6)に装着され、
前
記支持体は、前記空気出口オリフィス(64)を含む前記壁(62)と、前記減衰パッドの受け入れ容積(V16)と、を規定することを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の空気圧ポンプ消音器(1)において、
前記減衰パッド(8)が多孔質材料からなり、そのショア硬度が20以上であることを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の空気圧ポンプ消音器(1)において、
前記減衰パッド(8)の材料はエラストマーであり、そのショア硬度は20~100、好ましくは30~40、さらに好ましくは35に等しいことを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の空気圧ポンプ消音器(1)において、
前記減衰パッド(8)の材質が、0~0.75の間の気孔率を有することを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の空気圧ポンプ消音器(1)において、
前記減衰パッド(8)が、前記空気出口オリフィス(64)を完全に覆い、前記空気出口オリフィスに対向して配置された前記減衰パッドの面(8A)の面積が、前記空気出口オリフィスの面積の120%以上、好ましくは前記空気出口オリフィスの面積の150%以上であることを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の空気圧ポンプ消音器(1)において、
前記間隙(10)の方向が、凝縮水の重力流を許容することを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項7】
請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の空気圧ポンプ消音器(1)において、
前記減衰パッド(8)が、前記面(8A)を前記空気出口オリフィス(64)を含む前記壁(62)に近付けたり、遠ざけたり(F8,F8’)可能に取り付けられていることを特徴とする空気圧ポンプ消音器(1)。
【請求項8】
ピストン(105)によって分離された2つの可変容積チャンバ(102A、102B)を有する空気モータと、前記可変容積チャンバに向かって空気を分配し、これらの可変容積チャンバから排気する空気分配サブアセンブリ(14)とを備えた空気圧ポンプ(100)であって、
前記空気分配サブアセンブリは、少なくとも1つの空気排出オリフィス(44A、44B)を有し、
前記空気圧ポンプは、請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の空気圧ポンプ消音器(1)をさらに備え、
前記空気圧ポンプ消音器は、前記排気の流れ方向において、前記空気排出オリフィス(44A、44B)の下流に配置され、
前記空気圧ポンプ消音器の前記本体の内容積(V6)が、前記空気排出オリフィスを覆うことを特徴とする空気圧ポンプ(100)。
【請求項9】
請求項
8に記載の空気圧ポンプ(100)において、
前記空気圧ポンプが、2つの空気排出オリフィス(44A、44B)と、前記排気の流れの方向において各空気排出オリフィスの下流に配置された請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の空気圧ポンプ消音器(1)とを備え、
各空気圧ポンプ消音器の前記本体(6)の内容積(V6)が、対応する空気排出オリフィスを覆うことを特徴とする空気圧ポンプ(100)。
【請求項10】
請求項
8又は請求項
9に記載の空気圧ポンプ(100)において、
前記空気分配サブアセンブリ(14)及び前記空気圧ポンプ消音器(1)は、好ましくはポリウレタンから作られた、連続気泡発泡体の層(20)によって閉鎖されたケーシング(114)の内容積(V114)内に配置されていることを特徴とする空気圧ポンプ(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの空気圧ポンプ(100)と、前記空気圧ポンプ(100)によって駆動される塗料用ポンプ(204)とを備える塗料噴霧装置(200)であって、前記空気圧ポンプ(100)は、請求項
8~請求項
10のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする塗料噴霧装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部容積を画定し、空気出口オリフィスを有する少なくとも1つの壁を有する本体を備える空気圧ポンプ消音器に関し、当該空気圧ポンプ消音器は、空気出口オリフィスの反対側に面を持つ減衰パッドをさらに備える。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気圧ポンプは、圧縮空気によって作動される空気圧モータを含む。空気圧ピストンポンプは、一般に、シャフトに取り付けられたピストンの周囲に配置された2つの可変容積チャンバを含む。これらの2つの可変容積チャンバは、圧縮空気の供給と排気が交互になされ、ピストンを往復移動させる。ピストンの運動は、シャフトに伝達され、液体塗料ポンプのような別の装置の駆動に使用される。
【0003】
チャンバが空気排出経路に接続されている場合、空気圧モータから排出された圧縮空気は、直接外気に放出されない。なぜなら、圧縮空気の急激な膨張は、一般に、圧縮空気がまだ大気圧になっていないという事実により、大きな騒音を引き起こすからである。したがって、消音器と呼ばれるノイズ減衰システムを含む排気回路を使用することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの公知の消音器の原理は、空気排出オリフィスを完全に密閉し、圧縮空気を多孔質材料、即ちセル状発泡体、又はセラミック材料、又は部分的に焼結されたビーズによって形成された金属又はプラスチック材料のいずれかを通して拡散させることである。これらの多孔質材料は、すぐに使用できる消音器内に組み込むことができる。しかし、これらの消音器は、比較的面倒な問題を有し、空気圧ポンプの空気圧モータの部分のカバー内に一体化することが難しい。
【0005】
すなわち、圧縮空気の急激な膨張による冷却のため、空気中に含まれる水分が集熱器と消音器に凝縮して蓄積するおそれがある。特に、空気圧ポンプの連続使用の場合、空気圧ポンプの集熱器及び消音器に着氷する可能性があり、これは空気排出通路断面積を減少させ、空気圧ポンプの性能を低下させる。
【0006】
本発明は、より具体的には、連続使用の場合でも、凝縮水の蓄積と結氷の影響を受けず、空気圧ポンプのカバーに組み込むのに十分にコンパクトな空気圧ポンプ消音器を提案することにより、上記の問題に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、本発明は、減衰パッドの面と、空気出口オリフィスを含む壁の外面との間に間隙が配置された空気圧ポンプ消音器であり、この間隙は0.5mmから5mmの厚さを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気圧ポンプ消音器は、消音器の外側に向かって凝縮水のより良い排出を可能にし、これは消音器の着氷を防止し、連続的使用の場合に持続可能な反転性能を保証する。すなわち、空気圧ポンプの排気が妨げられないため、明瞭な反転とより良い使用快適性が保証される。
【0009】
本発明の有利であるが任意の態様によれば、そのような空気圧ポンプ消音器は、任意の技術的に許容可能な組み合わせで考慮される、以下の特徴のうちの1つ又は複数を組み込むことができる。
- 減衰パッドは多孔質材料から作られ、そのショア硬度は20以上である。
- 減衰パッドの材料はエラストマーであり、ショア硬度は20~100、好ましくは30~40、さらに好ましくは35に等しい。
- 減衰パッドの材料は、0~0.75の間の気孔率(porosity)を有する。
- 減衰パッドは、空気出口オリフィスを完全に覆い、空気出口オリフィスに対向して配置される減衰パッドの面の面積は、空気出口オリフィスの面積の120%以上であり、好ましくは空気出口オリフィスの面積の150%以上である。
- 間隙の方向は凝縮水の重力による排出を可能にする。
- 減衰パッドは、本体に取り付けられた支持体を介して本体に取り付けられ、支持体は、空気出口オリフィスを含む側壁と、減衰パッドの受け入れ容積と、を規定する。
- 減衰パッドは、外側の面を、空気出口オリフィスを含む壁の面に近付けたり、遠ざけたり可能に取り付けられている。
【0010】
別の態様によれば、本発明は、空気モータと少なくとも1つの空気排出オリフィスとを含む空気圧ポンプに関する。
そして、前記空気圧ポンプは、ピストンによって分離された2つの可変容積チャンバを有する空気モータと、前記可変容積チャンバに向かって空気を分配し、これらの可変容積チャンバから空気を排出する空気分配サブアセンブリとを有し、前記空気分配サブアセンブリは、少なくとも1つの空気排出オリフィスを備え、前記空気圧ポンプは、さらに、空気圧ポンプ消音器を備え、空気圧ポンプ消音器は、前記空気分配サブアセンブリの排気の流れの方向において前記空気排出オリフィスの下流に配置され、前記空気圧ポンプ消音器の本体の内容積が、前記空気排出オリフィスを覆っている。
また、前記空気圧ポンプは、2つの空気排出オリフィスと、排気の流れ方向において各空気排出オリフィスから下流に配置された空気圧ポンプ消音器とを備え、各空気圧ポンプ消音器の本体の内容積は、対応する空気排出オリフィスを覆っている。
前記空気分配サブアセンブリ及び前記空気圧ポンプ消音器は、好ましくはポリウレタンから作られた連続気泡発泡体の層によって閉鎖されたケーシングの内容積内に配置されている。
【0011】
本発明は、また、上述のように、少なくとも1つの空気圧ポンプと、この空気圧ポンプによって駆動される塗料用ポンプとを含む塗料噴霧装置に関する。
【0012】
この塗料噴霧装置は、本発明の空気圧ポンプ消音器に関して上述したものと同じ効果をもたらす。
【0013】
本発明は、非限定的な例としてのみ提供され、添付図面を参照して行われる、空気圧ポンプ消音器、空気圧ポンプ、及びその原理による塗料噴霧装置の1つの実施の形態の以下の記載に照らして、より明確に理解され、その他の利点がより明確に現れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の空気圧ポンプの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の平面IIに沿った空気圧ポンプの断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態の空気圧ポンプ消音器を特に示す、
図1及び
図2の空気圧ポンプの部分分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の矢印F4の方向から見た細部IVの正面図である。
【
図5】
図5は、
図1~
図4の空気圧ポンプからなる塗料噴霧装置の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
なお、各図には、同一の正規直交座標系の軸XYZが示されており、「上」、「下」、「上側」、「下側」、「上部」「下部」のような用語の解釈のための「上」及び「下」方向は、軸Zに沿って考慮されるべき方向であり、空気圧ポンプ又はその構成要素の取り付け方向である。
【0016】
空気圧ポンプ100が
図1に示されている。この空気圧ポンプ100は、ここでは搭載状態で示されており、特定の要素は、空気圧ポンプ100の動作の理解を容易にするために図示を省略されている。
【0017】
空気圧ポンプ100は、円形断面を有し、軸Zに平行な軸Z105に沿う方向に向けられたポンプシリンダ105を備える。
【0018】
ポンプシリンダ105は、一端では上側カバー105Aによって、他端では下側カバー105Bによって閉じられている。上側カバー105A及び下側カバー105Bは、同様の構造を有し、ポンプシリンダ105の2つの端部において、互いに対向して配置される。各カバー105A、105Bは、内側部分105Dを含み、この内側部分105Dは、円形断面を有し、ポンプシリンダ105に挿入することができ、この挿入部分は、Oリング105Jを使用して封止される。
【0019】
各カバー105A、105Bは、外側部分105Eをさらに含む。各カバー105A、105Bの各外側部分105Eの法線が軸Zに平行でポンプシリンダ105から離れた側の面は、ネジのような種々の締結部材を収容することができる孔を有するいくつかのボスを有する。特に、下側カバー105Bの中ぐり加工を行ったボスは、金属ロッド107Aを収容する。これらの金属ロッド107Aは、空気圧ポンプ100とは別に、
図5に示す噴霧装置200に属する液体製品ポンプ204のためのポンプのシャーシを形成する。液体製品ポンプ204は、空気圧ポンプ100および液体製品ポンプ204の他に、噴霧器206と、液体製品を液体製品ポンプ204から噴霧器206に移送するために噴霧器206に流体的に結合したパイプ208を備える。
【0020】
噴霧器206は、図に示されていないターゲット表面に液体製品を噴霧するのに適しており、例えば、
図5のような手動ガン、又は周知の自動噴霧器である。噴霧器206は、好ましくは、エアレスタイプ、すなわち、噴霧空気を加えることなく液体製品を噴霧することができるものである。この意味で、噴霧装置200はエアレスタイプの噴霧装置である。そのためには、液体製品ポンプ204によって噴霧器206に供給される液体製品の圧力は、例えば30バールよりも高くなければならない。
【0021】
液体製品ポンプ204は、本体215を含む。本体215は、吸引開口、又は液体製品を吸引するための入口開口部212、ならびに吐出開口、又は液体製品をパイプ208を通して噴霧器206に向けて吐出するための吐出口210が形成されている。入口開口部202は、例えば、逆止ゲートを備えている。また、入口開口部212は、パイプ209を介して、液体製品タンク207に流体的に連結される。
【0022】
本体215は、図示しないピストンが、円筒状の圧縮室を区画して設けられ、軸Zに平行な軸に沿って摺動するように取り付けられている。液体製品ポンプ204のピストンは、シャフト106によって空気圧ポンプ100のピストン104に連結され固定されている。すなわち、液体製品ポンプ204は、空気圧ポンプ100によって駆動される。
【0023】
上側カバー105A及び下側カバー105Bは、締結ロッド105Cによって適所に保持される。
【0024】
また、空気圧ポンプ100は、ポンプシリンダ105の内側に位置するピストン104を備える。ピストン104は、軸Z105を有するシャフト106に取り付けられている。さらに、シャフト106は、上側カバー105A及び下側カバー105Bを貫通しており、シャフト106と上側カバー105A及び下側カバー105Bとの間は、詳細を省略する封止部材によって封止されている。
【0025】
円形部分を有したピストン104は、ポンプシリンダ105に挿入され、ピストン104の周囲に取り付けられたシールガスケット104Jにより、ポンプシリンダ105との接触部分のシールを提供する。ポンプシリンダ105、ピストン104、及び上側カバー105Aによって規定される室は、上側チャンバ102Aと称され、同様に、ポンプシリンダ105、ピストン104、及び下側カバー105Bによって規定される室は、下側チャンバ102Bと称される。ピストン104は、軸Z105に沿って平行移動可能であり、ポンプシリンダ105内のピストン104の位置が変化すると、上側チャンバ102A及び下側チャンバ102Bの容積も変化する。したがって、上側チャンバ102A及び下側チャンバ102Bは、可変容積チャンバである。
【0026】
上側カバー105Aには、上部ダクト112Aが配置されている。上部ダクト112Aの一端は、上側チャンバ102A内の上側カバー105Aの内側部分105Dに開口されている。上部ダクト112Aの他端は、軸Xに平行な方向であって、上側カバー105Aの側面の外側部分105Eから、軸Z105から離れた方向に開口されている。同様に、下側カバー105Bには、下部ダクト112Bが配置されている。下部ダクト112Bの一端は、下側チャンバ102B内の下側カバー105Bの内側部分105Dに開口されている。下部ダクト112Bの他端は、軸Xに平行な方向であって、下側カバー105Bの側面の外側部分105Eから、軸Z105から離れた方向に開口されている。
【0027】
接触支持体110は、上側カバー105Aの外側部分105Eに締結されている。接触支持体110は、細長い長方形の板状に形成され、長辺が軸Zに沿うように配置され、かつ、接触支持体110は、軸Yの方向に垂直な向きに配置されている。接触支持体110は、上側カバー105Aに近い下端部と、上側カバー105Aから遠い上端部とを含む。
【0028】
下側接点110Bは、接触支持体110の下端部付近に固着され、上側接点110Aは、接触支持体110の上端部付近に固着されている。上側接点110A及び下側接点110Bは、それぞれ、レバー111及びベアリングローラ111Aを含む。
【0029】
空気圧ポンプ100は、ケーシング114も含む。ケーシング114は、底部114A、上側リム114B及び下側リム114Cから構成される。底部114Aは、平坦であり、軸Z及び軸Yの平面内であって、すなわち軸Xに垂直に配置される。上側リム114B及び下側リム114Cは、互いに対向し、軸Xに沿って底部144Aに対して垂直方向に延びている。底部114A、上側リム114B及び下側リム114Cは、ハウジングを規定し、その内容積はV114で示される。
【0030】
下側リム114Cの近傍のケーシング114の底部114Aには、下側通路116Bが配置されている。下側通路116Bの軸Yの方向の両側には、軸Xに平行な軸を有するタップ孔120が、配置されている。同様に、上側通路116Aも、上側リム114Bの近傍のケーシング114の底部114Aに配置されている。また、上側通路116Aの両側の底部114Aに、タップ孔120が配置されている。
【0031】
空気圧ポンプ100は、空気供給部材2も含む。空気供給部材2は、図示しないコンプレッサ又はタンクのような外部圧縮空気源に接続されるように構成された自由端2Aを有する。外部圧縮空気源からの圧縮空気は、ピストン104及びシャフト106の往復運動を生成する。空気供給部材2は、他端2Bがベース4に接続されている。ベース4は、全体的に平行六面体形状を有し、各面は、軸X,Y,Zに直交しており、ベース4は、軸Xに垂直な面の1つに、プラテン4Aを有し、そこから、いくつかのダクト及び空気通路が出ている。このプラテン4Aでは、下から上に向かって、下側排気ダクト43B、下側空気通路42B、吸気ダクト41、上側空気通路42A及び上側排気ダクト43Aを見ることができる。
【0032】
また、これらの種々のダクト及び空気通路の経路は、
図2においても示されている。
図2では、ベース4は断面で示されている。特に、上側空気通路42A及び下側空気通路42Bは、それぞれがプラテン4A上に現れた端部を有し、ベース4上における上側空気通路42A及び下側空気通路42Bの他方のそれぞれの端部は、プラテン4Aの対向面、すなわちケーシング114に向かう向きの面で、それぞれ上側通路116A及び下側通路116Bからベース4の向かい側にある。
上側排気ダクト43A及び下側排気ダクト43Bは、各々プラテン4A上に出ている端部を有し、他端は上側排気オリフィス44A又は下側排気オリフィス44Bであり、軸Zに平行な向きでプラテン4Aの上側又は下側にそれぞれ配置されている。
【0033】
吸気ダクト41は、一端がプラテン4A上に現れ、他端が軸Yと垂直なプラテン4Aの側面の一方に現れる。
【0034】
プラテン4Aには、さらに孔4Bが配置されており、これらの孔4Bの軸は、軸Xに対して平行である。ベース4には、上面及び下面の近傍に貫通孔46が配置されており、これら貫通孔46の軸は、軸Xに対して平行である。
【0035】
空気分配器12は、プラテン4Aに対向して配置されている。この空気分配器12は、全体として平行六面体の形状を有し、各面は、軸X、軸Y及び軸Zに対して垂直である。空気分配器12は、軸Xに対して平行であり、締結ネジ12Aを受け入れることができる、参照されていない孔を有する。
【0036】
図面の明瞭化のために、空気分配器6は、それ自体では既知であるが、
図2に外観が示されている。
【0037】
図2において、ピストン104は、いわゆる下側位置、すなわち、ピストン104が下側カバー105Bに当接し、下側チャンバ102Bは、最小容積を有し、上側チャンバ102Aは、最大容積を有する。
【0038】
カム108は、シャフト106に固定され、したがって、シャフト106と同じように矢印F1に沿った交互の上方への動き、又は矢印F2に沿った下方への動きに従う。
図2に示すようにピストン104の下側の位置では、カム108は下側接点110Bのベアリングローラ111Aに接触している。
【0039】
下側接点110B及び上側接点110Aは、同様の構造を有しており、ベアリングローラ111Aがレバー111に締結されており、レバー111は、上側接点110A又は下側接点110Bの本体に接続されている。上側接点110A及び下側接点110Bは、弁として動作し、ベアリングローラ111Aが移動したときに圧縮空気を通過させ、ベアリングローラ111Aが公称位置にあるときに通路を遮断する。なお、上側接点及び下側接点の制御空気回路は、本開示の図には示されていない。
図1及び
図2において、カム108は、下側接点110Bのベアリングローラ111Aの上を移動する。
【0040】
空気分配器12は、その名称が示すように、吸気ダクト41から来る空気を上側空気通路42A又は下側空気通路42Bに向けて分配し、同時に上側空気通路42A及び下側空気通路42Bを対応する排気ダクトに接続する。すなわち、上側空気通路42Aを、上側排気ダクト43Aに接続し、下側空気通路42Bを、下側排気ダクト43Bに接続する。
空気分配器12は、上側接点110A及び下側接点110Bの各々に接続された圧縮空気回路によって空気圧で制御される。
【0041】
空気圧ポンプ100が、取り付けられると、空気分配器12は、プラテン4Aに配置された孔4Bと協働する締結ネジ12Aを使用して、ベース4のプラテン4Aに締結される。このようにベース4上に取り付けられた空気分配器12及びベース4は、一緒に空気分配サブアセンブリ14を形成する。空気圧ポンプ100が取り付けられた際には、空気分配サブアセンブリ14はケーシング114の内容積V114に配置される。また、その際、上側空気通路42Aは、ケーシング114の底部114Aに配置された上側通路116Aと、上側カバー105Aに配置された上部ダクト112Aと、位置合わせされる。同様に、その際、ベース4の下側空気通路42Bは、下側カバー105Bの下部ダクト112Bのケーシング114の底部114Aの下側通路116Bと位置合わせされる。空気分配サブアセンブリ14、ケーシング114、上側カバー105A及び下側カバー105Bのアセンブリは、一方では、上側空気通路42A、上側通路116A及び上部ダクト112Aの間をシール接続することができるシール部材、ならびに、もう一方では、下側空気通路42B、下側通路116B及び下部ダクト112Bの間をシール接続することができるシール部材を含む。
【0042】
図1及び
図2に示す状態では、下側接点110Bによって送られた空気圧指令が空気分配器12を制御し、その結果、吸気ダクト41が空気分配器12を介して下側空気通路42Bに接続され、上側空気通路42Aが上側排気ダクト43Aに接続される。その際、上側チャンバ102Aが、上部ダクト112Aによって、上側通路116A及び上側空気通路42Aから、上側排気ダクト43Aに連結され、次いで上側排気オリフィス44Aに連結される。その際、その中の圧力は、大気圧と実質的に等しい。
【0043】
逆に、空気供給部材2から、吸気ダクト41、空気分配器12、下側空気通路42B、下側通路116B及び下部ダクト112Bを順次通過して入ってきた圧縮空気は、下側チャンバ102Bに到達する。このときの圧力は、空気供給部材2によって供給される圧縮空気の圧力と略等しい。上記の圧力の影響下で、ピストン104Aは、軸Z105に沿って矢印F1の方向、すなわち上方に移動する。
【0044】
空気分配器12の反転する直前では、上側チャンバ102Aは、依然として、吸気ダクトから来る圧縮空気の圧力にある。空気分配器12の反転中、上側チャンバ102Aは、空気排出オリフィス44に突然接続され、排気の急激な膨張を引き起こし、これは、潜在的に重大な騒音と圧縮空気の減圧に関連する冷却とに反映される。
【0045】
圧縮空気は、高圧領域から低圧領域に向かって自然に移動する。より具体的には、最初は圧力下にある可変容積チャンバ102A,102Bの1つが、上側排気ダクト43Aと下側排気ダクト43Bとの一方に接続されると、圧縮空気の流れは、それぞれ矢印F3又はF4の方向に、上側排気オリフィス44A又は下側排気オリフィス44Bのレベルまで行われる。この流れ方向は、上側排気オリフィス44A又は下側排気オリフィス44Bに対する下流方向を規定する。
【0046】
したがって、空気分配器12の反転の後、カム108が上側接点110Aのベアリングローラ111Aに到達するまで、ピストン104は上方に移動する。上側接点110Aによって空気分配器12に送られた空気圧制御信号による指令の下で、空気分配器12は再びそれ自体を反転させる。下部ダクト112B、下側通路116B及び下側空気通路42Bによって、これまで空気供給部材2に結合されていた下側チャンバ102Bは、下側排気ダクト43Bに急接続され、これが下側排気オリフィス44Bに接続される。逆に、これまで排気状態にあった上側チャンバ102Aは、上述した種々の通路によって空気供給部材2に接続される。圧力反転の影響で、ピストン104は、矢印F2の方向に押され、下側位置に到達するまで再び下降され、ここで、カム108は、
図1及び
図2に示す状態である下側接点110Bのベアリングローラ111Aに接触する。
【0047】
上述したピストン105とシャフト106の交互の動きのサイクルは、液体製品ポンプ204に伝達される。
【0048】
空気圧ポンプは、さらに、発泡体層20と、穿孔キャップ21とを含む。発泡体層20は、厚さE20を有するプレート状に形成されている。
【0049】
空気圧ポンプ100は、2つの空気圧ポンプ消音器1をさらに含む。
【0050】
空気圧ポンプ消音器1は、全体的に立方体の本体6を備え、その面は軸X、Y及びZに対して垂直である。本体6は、中空であり、内容積V6を規定する。内容積V6は、本体6の6面のうちの2つに開口し、これらの開口面は隣接しており、そのうちの1つの法線は、軸Xに平行であり、ケーシング114に向いており、もう一方の開口面の法線は、軸Zに平行である。本体6は、軸Yに垂直である2つの側壁62を有する。各側壁62の外面62Aは、軸Yに沿った法線が本体6から離れる方向を向いた面である。
【0051】
各側壁62には、空気出口オリフィス64が配置されている。すなわち、空気出口オリフィス64は、側壁62を通過して、内容積V6内から、本体6の外部に出る。なお、空気出口オリフィス64は、対応する側壁62のほぼ中央に配置されている。
【0052】
本体6はさらに、中実の壁65及び前壁68を含む。本体6は、空気圧ポンプ100を取り付けた状態において、中実の壁65は、軸Zに対して垂直であり、前壁は、軸Y及び軸Zに対して平行である。
【0053】
前壁68に対する垂線は、軸Xに平行であり、ケーシング114から離れる方向に向く。前壁68には、軸Xに平行な2つの貫通孔68Aがさらに配置され、これら貫通孔68Aは、中実の壁65の厚さの本体6を貫通する。
【0054】
側壁62にも軸Yに平行な向きのボア66が貫通されており、これらのボア66も中実の壁65の厚さに形成されている。
【0055】
各空気圧ポンプ消音器1は、2つの減衰タブ8を備える。これらの減衰タブ8は、平行六面体形状の同一プレートからなり、その面は軸X、Y、Zに垂直である。符号E8は、軸Yに沿って測定された減衰タブ8の厚さを示す。減衰タブ8は、軸Yに垂直な第1の面8A、ならびに軸Zに垂直な第2の面8B及び第3の面8Cを有する。
【0056】
2つの貫通孔82は、減衰タブ8の第1の面8Aにおいて、減衰タブの第1の面8Aと第2の面8Bとの間の角部近傍に配置されている。さらに、ガイド用切欠部81は、第3の面8C近傍の減衰タブ8の第1の面8Aに配置されており、これらのガイド用切欠部81は、軸Yに垂直な面内に矩形状断面を有する。
【0057】
また、各空気圧ポンプ消音器1は、2つの同一の支持体16を備える。各支持体16は、軸Yに対して垂直に配向された長方形の底部16Aを含む。底部16Aの軸Xに対して平行な角部の一方には、軸受リム16Bを含む。軸受リム16Bは、軸X及び軸Yに対して平行である。また、支持体16は、底部16Aの軸Xに対して平行な角部の他方には、軸受リム16Bと同じ側の底部16Aの軸Yに対して平行に配向された2つの間隔脚16Cを含む。
【0058】
間隔脚16Cは、軸Yに直交する平面においての略矩形断面を有している。軸受リム16Bの端部及び間隔脚16Cの端部は、軸Yに垂直であり、軸X及び軸Zに平行な同一平面内にある。支持体16の底部16A、その軸受リム16B及び間隔脚16Cは、減衰パッド8を受け入れるための受け入れ用容積V16を規定し、符号P16は、軸Yに平行な方向の受け入れ用容積V16の深さを示す。
【0059】
貫通孔16Dは、軸Yに平行な向きに、各支持体16の底部16Aにおいて、底部16Aと軸受リム16Bとの間の角部部付近に配置され、これらの貫通孔16Dは、受け入れ用容積V16内に連通されている。
【0060】
各空気圧ポンプ消音器1は、第1のネジ18A及び第2のネジ18Bをさらに備え、第1のネジ18Aは、第2のネジ18Bよりも短い。
【0061】
空気圧ポンプ消音器1が取り付けられた際には、各減衰パッド8は、支持体16の受け入れ用容積V16内に収容される。間隔脚16C及びガイド用切欠部8Bは、受け入れ用容積V16内の減衰パッド8の動きを制限するために、任意の組付遊びの範囲内で協働する相補的な形状を有する。支持体16に対する減衰パッド8の移動は、軸Xに平行な方向のみが許容される。
【0062】
空気圧ポンプ消音器1が取り付けられた際には、軸受リム16B及びその支持体16の間隔脚16Cは、その本体6の側壁62と接触する。さらに、支持体16の貫通孔16Dは、本体6のボア66の1つと位置合わせされ、第1のネジ18Aの配置を可能にする。この第1のネジ18Aにより、各支持体16が本体6に固定される。
【0063】
減衰パッド8が支持体16の受け入れ用容積V16に挿入されると、減衰パッド8の貫通孔82もこの支持体16の貫通孔16Dと位置合わせされる。貫通孔82の直径は、第1のネジ18Aの軸に沿った減衰パッド8の並進運動を制限しないように、第1のネジ18Aの直径よりもわずかに大きくなるように選択される。
【0064】
深さP16は、減衰パッド8の厚さE8よりも厳密に大きい。その結果、第1のネジ18Aを用いて支持体16が本体6に締結され、減衰パッド8が受け入れ用容積V16内に配置された際には、減衰パッド8は、可変容積チャンバ102A,102Bの排気圧の影響で、支持体16の底部16Aに対して圧接され、本体6の側壁62に隣接する外面62Aに接触することがない。こうして、減衰パッド8の第1の面8Aと本体6の側壁62の隣接する外面62Aとの間に間隙10が形成される。符号E10は、軸Yに平行な方向の厚さを示し、この厚さE10は、0ではない。
【0065】
第1のネジ18Aを用いて支持体16、減衰パッド8、及び本体6を組み立てることにより、空気圧ポンプ消音器1を構成することができる。さらに、この空気圧ポンプ消音器1は、第2のネジ18Bを、本体6の貫通孔68A及びベース4の貫通孔46を通過させ、ケーシング114のタップ孔120と協働させ締結することで、空気分配サブアセンブリ14を組み立てることができる。この組み立てられた状態では、
図2に示すように、各空気圧ポンプ消音器の本体6がベース4と接触し、本体6の内容積V6に上側排気オリフィス44A又は下側排気オリフィス44Bが現れる。
図2及び
図3では、矢印F3及びF4は、上側排気オリフィス44A及び下側排気オリフィス44Bから出る空気の方向を示す。排気オリフィス44A,44Bから出た排気は、まず、内容積V6内に広がる。換言すれば、本体6は空気排出オリフィス44を覆う。
【0066】
減圧の度に、急激に減圧された空気の冷却により、空気中に存在する水分の凝縮を促進する。また、最新技術水準にしたがって設計されたポンプダクト及び消音器の内部の氷結を促進する。
【0067】
本発明による空気圧ポンプ消音器1は、各排気オリフィス44A、44B上のケーシング114の内容積V114内に一体化可能な程度にコンパクトである。本体6の内容積V6内の排気の減圧は、最先端技術によるコレクタの場合よりも速く、これにより、空気分配器12の反転がよりクリーンになり、空気圧ポンプ100の生産性が向上する。空気圧ポンプ消音器1の容積が減少することにより、ケーシング114の内容積V114内の容積を制限しながら、各排気オリフィス44A、44Bに、本発明による空気圧ポンプ消音器1を配置することが可能になる。これにより、発泡体層20から成る第2の吸音要素を配置し、空気圧ポンプ消音器1で覆われた空気分配サブアセンブリ14をケーシング114の内容積V114内に収容することが可能になる。
【0068】
発泡体層20は、この例では、ポリウレタン発泡体プレートであり、このプレートは、穿孔キャップ21によって成形され、適所に保持される。
図3に示すように、発泡体層20には、穿孔キャップ21の締結部材を通過させたり、空気供給部材2を通過させたりするために、種々の開口が配置されている。すなわち、ケーシング114内において、空気分配サブアセンブリ14及び空気圧ポンプ消音器1を取り囲む発泡体層20は、排気を、発泡体層20を通過させて逃がさなければならない。そのために、発泡体層20の材料は、連続気泡を有していなければならない。発泡体層20は、例えば、連続気泡ポリウレタン発泡体から作製することができる。
【0069】
排気が排気オリフィス44A,44Bから出ると、排気は、この排気オリフィス44A,44Bを覆う空気圧ポンプ消音器1の本体6の内容積V6内に到達し、内容積V6の利用可能な空間全体に膨張する。次いで、排気による圧力は、減衰パッド8に力を加える。この圧力は、各減衰パッド8の第1の面8Aに対して垂直な向きにかかる。各減衰パッド8は、支持体16の受け入れ用容積V16内に配置された状態では、一定の遊びを有し、特に、
図4の矢印F8及びF8’で示されるように、減衰パッド8を通過する第1のネジ18Aの軸に沿って並進運動することができる。減衰パッド8の厚さE8は、支持体16の深さよりも厳密に小さいので、減衰パッド8は、排気による圧力の下で、支持体16の底部16Aに押し付けられる。したがって、本体6の側壁62の外面62Aと減衰パッド8の第1の面8Aとの間の空間が間隙10を構成する。
【0070】
排気オリフィス44A,44Bのうちの1つから出る排気は、内容積V6を通過し、次いで間隙10を通過してケーシング114の内容積V114に到達する。排気オリフィス44A,44Bから出る排気の急激な減圧の間に内容積V6内に任意に形成された凝縮水は、間隙10を通過する空気によって運ばれる。加えて、間隙10は垂直面内、すなわち軸Zに平行な向きであり、内容積V6内で発生する凝縮水の重力による流れを許容する。したがって、凝縮水は、各空気圧ポンプ消音器1から排出され、ケーシング114の内容積V114内に現れる。ケーシング114の下側リム114Cには、ケーシング114内への凝縮水の蓄積を回避するための凝縮水の排出孔118が配置される。
【0071】
空気排出オリフィス44から出る排気は、その急激な減圧によって音波を発生する。
減衰パッド8は、この音波を吸収できる多孔質材料から作られる。
【0072】
減衰パッド8を製造するために使用される材料は、十分な剛性を有していなければならない。なぜならば、過度に柔らかい材料から作られた減衰パッド8は、空気分配器12の各反転時に放出される排気により繰り返し与えられる衝撃波に耐えられないからである。
なお、十分な剛性とは、材料のショア硬度(Shore hardness)が少なくとも20でなければならないことを意味する。減衰パッド8にエラストマー材料を使用する場合、材料のショア硬度は20~100の範囲内、好ましくは30~40の範囲内でなければならない。これらの硬度条件を満たす多孔質材料は、例えば、独立気泡ポリウレタンフォーム又はゴムである。ゴムの場合、本発明を満足するショア硬度の一例は35である。
【0073】
図示されていない変形例では、減衰パッド8は、多孔質金属、例えば、部分的に焼結された青銅ビーズから作ることができる。別の変形例によれば、減衰パッド8は多孔質セラミックから作ることができる。
【0074】
減衰パッド8の構成材料の気孔率(porosity)は、空き空間の体積と多孔質媒体の総体積との間の比によって規定することができる。
実際には、この気孔率は以下のように表される:
Φ = Vpores/Vtotal
ここで、Φは気孔率、
Vporesは、多孔質媒体の細孔の総体積、
Vtotalは、材料の総体積、つまり、固体体積と細孔の体積の合計である。
【0075】
この気孔率Φは、0~0.75の値で選ばれることが好ましい。
【0076】
別の定義によれば、減衰パッド8の構成材料の気孔率は、MPaで表される所与の圧力差の下でこのパッドを通過する空気流量によって規定することができる。
【0077】
概略的には、排気の音波の減衰は、間隙10における排気の通過中に、本体6の側壁62の外面62Aと減衰パッド8の第1の面8Aとの間の音波の多重反射によって達成される。厚さE10を過度に薄くした間隙10は望ましくない。なぜなら、排気が十分に速く逃げることができず、空気分配器12の反転が妨げられるからである。逆に、間隙10の厚さE10が非常に大きい場合は、音波の減衰の有効性を低下させる。なぜなら、これは、排気が直接外気に逃げることになる。すなわち、減衰装置を伴わない排気となるからである。
【0078】
実際には、厚さE10が0.5mmよりも小さい間隙10は、空気圧ポンプを妨害する傾向があり、一方、厚さE10が5mmより大きい間隙10は、もはや減衰効果を有さない。したがって、間隙10の厚さE10は、0.5mm~5mmの範囲内である。好ましくは、間隙10の厚さE10が1~3mmの間は満足できるものである。さらに、間隙10の厚さE10は、1.5~2.5mmが望ましい。さらに、望ましくは、間隙10の厚さE10は、2mmのものは良好な結果をもたらす。
【0079】
同様に、軸Yに垂直な任意の方向に沿って測定される間隙10の長さは、減衰パッド8の第1の面8Aと本体6の外面62Aとの間の音波の多重反射を可能にするのに十分でなければならない。空気出口オリフィス64は、側壁62の略中央に配置されている。軸Yに平行な方向から見て、減衰パッド8は空気出口オリフィス64を完全に覆い、好ましくは、減衰パッドは空気出口オリフィス64の縁を大きく越えている。具体的には、空気出口オリフィス64に対向して配置された減衰パッド8の第1の面8Aの面積は、空気出口オリフィス64の面積の120%以上であり、好ましくは、空気出口オリフィス64の面積の150%以上である。このことは、好ましくは、空気出口オリフィス64の減衰パッド8による被覆が、空気出口オリフィス64の周囲の全域に均等に分配されていることを意味する。
【0080】
開示された実施の形態の空気圧ポンプ100は2つの同一の空気圧ポンプ消音器1を含み、各々は2つの同一の減衰パッド8を含む。変形例としては、第1の例として、オプションでコレクタに取り付けられる、1つの空気圧ポンプ消音器のみを有する空気圧ポンプ100とすることができる。また、第2の例として、1つの減衰パッド8のみを含む空気圧ポンプ消音器1、又は逆に、3つ以上の減衰パッド8を含む空気圧ポンプ消音器1を有する空気圧ポンプとすることができる。
【0081】
さらに別の変形例では、空気圧ポンプ消音器1の2つの減衰パッド8は異なっていてもよい。
【0082】
他の変形例では、空気圧ポンプ消音器1の減衰パッド8は、非多孔質材料、すなわち、ゼロに等しい多孔率を有する材料から作ることができる。
【0083】
本発明は、塗料の噴霧に限定されるものではない。本ポンプ204は、水、油、インク、又は単一成分又は二成分の液体接着剤のような他の液体を移動させるために利用することができる。さらに、空気圧ポンプ100は、ポンプ以外の機器、例えば空気圧バルブを駆動するために使用することができる。
【0084】
上述した実施の形態及び変形例は、互いに組み合わされて、本発明の新しい実施の形態を創出することができる。