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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】無線通信ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20250123BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20250123BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20250123BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20250123BHJP
   H04W 36/14 20090101ALI20250123BHJP
   H04W 76/34 20180101ALI20250123BHJP
   H04W 76/19 20180101ALI20250123BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W88/06
H04W24/10
H04W4/38
H04W36/14
H04W76/34
H04W76/19
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021005795
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022110405
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】米生 祐己
(72)【発明者】
【氏名】山口 倫史
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-155796(JP,A)
【文献】特開2018-117180(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0069466(KR,A)
【文献】国際公開第2019/220928(WO,A1)
【文献】特開2017-011408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサにより検出されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局に送信する主要無線機器と、
前記基地局からの電波の受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器から転送された前記デバイス情報を、前記第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って前記基地局に送信する予備無線機器とを備え
前記予備無線機器は、前記主要無線機器の動作状態を監視するための監視信号に対する前記主要無線機器からの応答を受信しない場合に、前記主要無線機器を再起動するための再起動信号を前記主要無線機器に送信することを特徴とする無線通信ユニット。
【請求項2】
前記予備無線機器は、前記受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器から転送された前記デバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を生成し、前記簡略デバイス情報を前記第2通信方式に従って前記基地局に送信する請求項1に記載の無線通信ユニット。
【請求項3】
前記予備無線機器は、前記主要無線機器の受信レベル状態を表す受信レベル状態情報を前記受信レベルの低下に応じて前記第2通信方式に従って前記基地局に送信する請求項に記載の無線通信ユニット。
【請求項4】
前記予備無線機器は、前記受信レベルが低下して第1閾値を下回ったときに、前記主要無線機器と前記基地局との間の通信を切断し、前記受信レベルが回復して前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上になったときに、前記主要無線機器と前記基地局との間の通信を再開する請求項1から3の何れか一項に記載の無線通信ユニット。
【請求項5】
前記基地局がクラウドサーバに接続され、
前記クラウドサーバが端末に接続され、
前記基地局が、前記簡略デバイス情報又は前記受信レベル状態情報を前記クラウドサーバに送信し、
前記クラウドサーバが、前記簡略デバイス情報又は前記受信レベル状態情報を前記端末に転送する請求項3に記載の無線通信ユニット。
【請求項6】
前記予備無線機器は、前記主要無線機器の動作状態を監視するための監視信号に対する前記主要無線機器からの応答を受信しない場合に、前記主要無線機器からの応答が無い状態を示す無応答状態情報を前記基地局に送信する請求項5に記載の無線通信ユニット。
【請求項7】
センサにより検出されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局に送信する主要無線機器と、
前記基地局からの電波の受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器から転送された前記デバイス情報を、前記第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って前記基地局に送信する予備無線機器とを備え、
前記予備無線機器は、前記受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器から転送された前記デバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を生成し、前記簡略デバイス情報を前記第2通信方式に従って前記基地局に送信し、
前記予備無線機器は、前記主要無線機器の受信レベル状態を表す受信レベル状態情報を前記受信レベルの低下に応じて前記第2通信方式に従って前記基地局に送信し、
前記基地局がクラウドサーバに接続され、
前記クラウドサーバが端末に接続され、
前記基地局が、前記簡略デバイス情報又は前記受信レベル状態情報を前記クラウドサーバに送信し、
前記クラウドサーバが、前記簡略デバイス情報又は前記受信レベル状態情報を前記端末に転送し、
前記予備無線機器は、前記クラウドサーバもしくは前記端末から前記主要無線機器を再起動する指示を表す再起動指示信号を、前記基地局を介して受信した場合に、前記主要無線機器を再起動するための再起動信号を前記主要無線機器に送信することを特徴とする無線通信ユニット。
【請求項8】
前記主要無線機器と前記予備無線機器とが、一つのパッケージに収容されて一体化されている請求項1から6の何れか一項に記載の無線通信ユニット。
【請求項9】
前記第1通信方式が、LTE Cat.1又はLTE Cat.4を含み、
前記第2通信方式が、LPWAを含む請求項1から6又は8の何れか一項に記載の無線通信ユニット。
【請求項10】
前記センサが、カメラと人感センサとの少なくとも一方を含み、
前記デバイス情報が、前記カメラにより撮影された動画と、前記人感センサにより検知された人検知データとの少なくとも一方を含む請求項1から6、8、又は9の何れか一項に記載の無線通信ユニット。
【請求項11】
センサにより検出されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局に送信する主要無線機器と、
前記主要無線機器の動作状態を監視するための監視信号に対する前記主要無線機器からの応答を受信しない場合に、前記主要無線機器からの応答が無い状態を示す無応答状態情報を、前記第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って前記基地局に送信する予備無線機器とを備え、
前記基地局がクラウドサーバに接続され、
前記クラウドサーバが端末に接続され、
前記予備無線機器は、前記クラウドサーバもしくは前記端末から前記主要無線機器を再起動する指示を表す再起動指示信号を、前記基地局を介して受信した場合に、前記主要無線機器を再起動するための再起動信号を前記主要無線機器に送信することを特徴とする無線通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサにより検出されたデバイス情報を基地局に送信する無線通信ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LTE(Long Term Evolution、ロングタームエボリューション)といった無線通信方式を活用した通信網が社会整備基盤として確立されている。このLTEの無線通信方式を利用した無線基地局を介してクラウドサーバに繋がる無線通信機器に、カメラや人感センサといったセンサを連携させる事で、遠方にいる家族の安全を見守るサービス等が提供されている。このようなサービスにおいて、無線通信機器からクラウドサーバに送信されるデータは、カメラにより撮像された動画といった大容量のデータから、人の存在、不存在を判断するために人感センサにより検知された小容量のデータまでを含む。また、無線通信方式は、LTE Cat.1(Long Term Evolution Category 1)およびLTE Cat.4(Long Term Evolution Category 4)といった通信速度が比較的速い通信方式と、LTE Cat.M1(Long Term Evolution Category M1)に代表されるLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる通信速度が比較的遅い反面、通信可能エリアが比較的広い通信方式とを含む。
【0003】
このような通信可能エリアが比較的広い通信方式にて車両側(端末側)から車両情報をセンター装置に送り、通信速度が比較的速い通信方式にて車両情報に応じた大規模なコンテンツデータをセンター装置から車両側に送るデータ通信システムが知られている(特許文献1)。これにより、コンテンツデータの配信を効率良く行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-057256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信方式を活用したサービスにおいて、無線通信機器が配置された場所、環境によっては無線通信が確立しない又は不安定になる場合がある。特に通信速度が比較的速い無線通信方式では、基地局から受信する電波の受信レベルの低下、マルチパスによって、無線通信機器が無線通信できない状況に陥りやすい。そのような状況下では、センサが接続されたデバイス機器で取得したデバイス情報が基地局に届かず、重要なデバイス情報がクラウドサーバに送信されるデータから欠落してしまうため、サービスが破綻してしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、特定の無線通信方式に係る無線通信機器が基地局から受信する電波の受信レベルが低下しても、センサにより検出されたデバイス情報を基地局に届けることができる無線通信ユニットを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線通信ユニットは、センサにより検出されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局に送信する主要無線機器と、前記基地局からの電波の受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器から転送された前記デバイス情報を、前記第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って前記基地局に送信する予備無線機器とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無線通信ユニットは、特定の無線通信方式に係る無線通信機器が基地局から受信する電波の受信レベルが低下しても、センサにより検出されたデバイス情報を基地局に届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る無線通信ユニットが接続される通信ネットワーク構成図である。
図2】上記無線通信ユニットが使用する通信方式の通信可能エリアを示す図である。
図3】上記無線通信ユニットに設けられた主要無線機器及び予備無線機器の機能構成図である。
図4】上記主要無線機器が従う第1通信方式及び上記予備無線機器が従う第2通信方式の電波強度と通信可能レベルを示す概略図である。
図5】上記主要無線機器が受信する電波強度と第1閾値、第2閾値との時系列的関係を示すグラフである。
図6】上記無線通信ユニットが接続される通信ネットワークのシーケンス図である。
図7】上記無線通信ユニットが接続される通信ネットワークの他のシーケンス図である。
図8】上記無線通信ユニットが接続される通信ネットワークのさらに他のシーケンス図である。
図9】上記無線通信ユニットが接続される通信ネットワークのさらに他のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
<通信ネットワーク構成>
図1に実施形態に係る無線通信ユニット1が接続される通信ネットワーク構成図を示す。
【0012】
実施形態1に係る通信ネットワークは、無線通信ユニット1と、無線通信ユニット1と無線で通信する基地局4と、基地局4に接続されたインターネット回線7と、インターネット回線7に接続されたクラウドサーバ5と、インターネット回線7に接続された端末装置6(端末)とを含む。
【0013】
無線通信ユニット1は、主要無線機器2と予備無線機器3とを含む。主要無線機器2は、カメラと人感センサ(センサ)との少なくとも一方を有するデバイス機器8と接続される。デバイス機器8は、カメラ、人感センサにより検出されたデバイス情報を主要無線機器2に供給する。デバイス機器8は、カメラ、人感センサ以外のセンサを有していても良い。
【0014】
主要無線機器2は、デバイス機器8から供給されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局4に送信する。予備無線機器3は、基地局4からの電波の受信レベルの低下に応じて主要無線機器2から転送されたデバイス情報を、第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って基地局4に送信する。
【0015】
予備無線機器3は、上記受信レベルの低下に応じて主要無線機器2から転送されたデバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を生成する。そして、この簡略デバイス情報を予備無線機器3は第2通信方式に従って基地局4に送信する。
【0016】
また、予備無線機器3は、主要無線機器2の受信レベル状態を表す受信レベル状態情報を上記受信レベルの低下に応じて第2通信方式に従って基地局4に送信することが好ましい。
【0017】
予備無線機器3は、主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号を主要無線機器2に送信する。そして、当該監視信号に対する主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、予備無線機器3は、主要無線機器2を再起動するための再起動信号を主要無線機器2に送信する。当該再起動信号により主要無線機器2は再起動される。
【0018】
これにより、主要無線機器2のフリーズ等の不具合により第1通信方式による通信が不能の場合に、予備無線機器3を用いて主要無線機器2を復旧させることができる。
【0019】
さらに、予備無線機器3は、上記受信レベルが低下して第1閾値T1(図5)を下回ったときに、主要無線機器2と基地局4との間の通信を切断し、上記受信レベルが回復して第1閾値T1よりも大きい第2閾値T2以上になったときに、主要無線機器2と基地局4との間の通信を再開することが好ましい。
【0020】
予備無線機器3は、主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号に対する主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、主要無線機器2からの応答が無い状態を示す無応答状態情報を基地局4に送信してもよい。
【0021】
これにより、主要無線機器2のフリーズ等の不具合により第1通信方式による通信不能な状態を、基地局4、及び予備無線機器3を使用してクラウドサーバ5、端末装置6に通報することができる。
【0022】
予備無線機器3は、クラウドサーバ5もしくは端末装置6から主要無線機器2を再起動する指示を表す再起動指示信号を、基地局4を介して受信した場合に、主要無線機器2を再起動するための再起動信号を主要無線機器2に送信してもよい。
【0023】
これにより、主要無線機器2のフリーズ等の不具合により第1通信方式による通信不能な状態を、クラウドサーバ5、端末装置6、基地局4、及び予備無線機器3を使用して復旧させることができる。
【0024】
基地局4は、予備無線機器3から送信された簡略デバイス情報、受信レベル状態情報、又は無応答状態情報を、インターネット回線7を介してクラウドサーバ5に送信する。クラウドサーバ5は、簡略デバイス情報、受信レベル状態情報、又は、無応答状態情報を端末装置6に転送する。
【0025】
主要無線機器2と予備無線機器3とは、一つのパッケージに収容されて一体化されていることが好ましい。
【0026】
第1通信方式は、LTE Cat.1又はLTE Cat.4を含む。第2通信方式は、LPWAを含む。
【0027】
デバイス機器8が主要無線機器2に供給するデバイス情報は、カメラにより撮影された動画と、人感センサにより検知された人検知データとを含む。
【0028】
クラウドサーバ5は、基地局4から供給されたデバイス情報、簡略デバイス情報、受信レベル状態情報、及び、無応答状態信号を蓄積して端末装置6に提供する。
【0029】
端末装置6は、インターネット回線7を介してクラウドサーバ5と接続されて、デバイス情報、簡略デバイス情報、受信レベル状態情報、及び、無応答状態情報をユーザに提供する。例えば、端末装置6は、スマートフォン、携帯電話機、PC(Personal Computer)、タブレット端末などである。
【0030】
予備無線機器3は、基地局4からの受信レベルが低下したときに、主要無線機器2に代わって基地局4と通信する。予備無線機器3は、基地局4から受信した電波の強度に基づいて、主要無線機器2に後述する制御信号を送信する。この制御信号に応じて、主要無線機器2は予備無線機器3にデバイス情報を転送する。そして、予備無線機器3は、第2通信方式に従って基地局4に受信レベル状態情報と簡易デバイス情報を送信する。
【0031】
予備無線機器3は、主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号に対する主要無線機器2からの応答を受信しない場合には、主要無線機器2を再起動するための再起動信号を主要無線機器2に送信する。
【0032】
基地局4は、インターネット回線7と接続している。予備無線機器3から送信された受信レベル状態情報と無応答状態信号と簡易デバイス情報とをインターネット回線7を介してクラウドサーバ5に基地局4は送信する。例えば、第2通信方式は、LTE Cat.M1である。
【0033】
クラウドサーバ5は、インターネット回線7を介して端末装置6に受信レベル状態情報と無応答状態信号と簡易デバイス情報とを送信する。
【0034】
デバイス情報は、主要無線機器2に接続されたデバイス機器8から取得した情報である。デバイス機器8には、カメラ、人感センサが設けられている。デバイス情報は、例えば、カメラによって撮像された動画像、静止画像、及び、人感センサによって検知された人の存否情報などを含む。
【0035】
本明細書において、状態情報とは、主要無線機器2の状態を示すために予備無線機器3が第2通信方式に従って基地局4に送信する情報であって、受信レベル状態情報と無応答状態情報とを含む。
【0036】
受信レベル状態情報とは、基地局4からの受信レベルが低下したために主要無線機器2が第1通信方式でデバイス情報を基地局4に送信できないことを示す情報である。ユーザは、予備無線機器3から送信された受信レベル状態情報を知ることによって、端末装置6に表示された情報が後述する簡易デバイス情報であることを知ることができる。
【0037】
これに対して、無応答状態情報とは、主要無線機器2の動作状態を監視するために予備無線機器3が送信した監視信号に対する主要無線機器2からの応答を予備無線機器3が受信しない状態を示す情報である。この無応答状態情報により、主要無線機器2のフリーズ等の受信レベル低下以外の不具合の発生をユーザが端末装置6で知ることができる。そして、主要無線機器2を復旧させるための措置として、主要無線機器2を再起動させるための再起動指示信号を端末装置6から予備無線機器3に送信することができる。
【0038】
簡易デバイス情報とは、デバイス機器8から主要無線機器2が取得したデバイス情報を、通信量の少ない情報に予備無線機器3が変換したものである。例えば、主要無線機器2がデバイス機器8から取得したデバイス情報が動画像であったとすると、予備無線機器3によってデバイス情報から変換された簡易デバイス情報は動画像の一部である静止画像であってもよい。または、デバイス情報が静止画像であったとすると、簡易デバイス情報は当該静止画像から画素数を落とした粗い静止画像であってもよい。
【0039】
制御信号は、予備無線機器3が、基地局4から受信した電波の受信レベルに基づいて、主要無線機器2の第1通信方式による通信許可または通信不許可を制御するための信号である。通信許可を示す制御信号が予備無線機器3から主要無線機器2に送信された場合には、主要無線機器2は第1通信方式で基地局4と通信する。通信不許可を表す制御信号が予備無線機器3から主要無線機器2に送信された場合には、主要無線機器2に代わって予備無線機器3が第2通信方式で基地局4と通信する。
【0040】
このように実施形態1に係る無線通信ユニット1は、基地局4からの受信レベルが低下した場合には主要無線機器2に代わって第2通信方式で基地局4と通信する。これにより、ユーザは、端末装置6からデバイス情報の代わりに簡略デバイス情報および受信レベル状態情報を入手することができる。
【0041】
ここで、第2通信方式は、第1通信方式よりも通信可能エリアが広いが、通信量が少ないという特徴がある。
【0042】
図2は、無線通信ユニット1が使用する通信方式の通信可能エリア9・10を示す図である。
【0043】
通信可能エリア9は、第1通信方式に係るLTE Cat.1又はLTE Cat.4により基地局4と通信することが可能なエリアを示す。通信可能エリア10は、第2通信方式に係るLPWAにより基地局4と通信することが可能なエリアを示す。通信可能エリア10は、通信可能エリア9よりも広く、且つ、通信可能エリア9を包含する。
【0044】
基地局4から遠い位置ほど受信レベルが低くなる。第1通信方式に係るLTE Cat.1,4は、第2通信方式に係るLTE Cat.M1に比べて受信レベルが高くなければ基地局4と通信できない。
【0045】
よって、通信可能エリア9の中の地点Aでは、第1通信方式に係るLTE Cat.1,4対応の無線機器でも第2通信方式に係るLTE Cat.M1対応の無線機器でも基地局4との通信が行える。しかしながら、通信可能エリア9の外で通信可能エリア10の中の地点Bでは、第2通信方式に係るLTE Cat.M1対応の無線機器では基地局4との通信が行えるが、第1通信方式に係るLTE Cat.1,4対応の無線通信機器での通信は行えない。
【0046】
主要無線機器2は、動画データを送るために通信速度の速い第1通信方式に係るLTE Cat.1,4にて基地局4と通信する。しかしながら、主要無線機器2は、受信レベルの低い場所にあると基地局4との通信が行えなくなる。このような状況下において予備無線機器3が補助的な役割を果たす。予備無線機器3は、第2通信方式に係るLTE Cat.M1に対応した機器であり、主要無線機器2を監視・制御する。そして、主要無線機器2が基地局4と通信できない場合に主要無線機器2からデバイス情報が予備無線機器3に転送される。デバイス情報には動画データや人検知データ等がある。予備無線機器3は、デバイス情報のデータを抜粋・変換して第2通信方式に係るLTE Cat.M1に適した簡略デバイス情報に変換する。簡略デバイス情報の例としては、抜粋した人検知データや動画データから変換された静止画データ等がある。この簡略デバイス情報を予備無線機器3が第2通信方式に係るLTE Cat.M1方式にて基地局4に送信してクラウドサーバ5に伝送する事で、主要無線機器2が基地局4と通信できない状況下でも最低限必要な簡略デバイス情報を端末装置6に提供することができる。このため、無線通信ユニット1の動作がサービスとして破綻することを防ぐことができる。
【0047】
このように、実施形態1に係る無線通信ユニット1に、第1通信方式及び第2通信方式の両方で通信できる機能を持たせて、第1通信方式で通信ができない場合には第2通信方式で通信させることによって通信が遮断されるという事態を回避できる。
【0048】
<無線通信システムの機能構成>
図3に、実施形態1に係る無線通信ユニット1の機能構成図を示す。
【0049】
(主要無線機器2)
主要無線機器2は、電波を送信・受信するためのアンテナ11と、アンテナ11と接続されて通信機能を備えた無線通信モジュール12と、サービス加入者のID番号が記録されたSIM(Subscriber Identity Module)13と、主要無線機器2の動作を制御するためのマイコン14とを備える。マイコン14は、主要無線機器2の動作を制御するための制御部16と、デバイス機器8から供給されたデバイス情報を予備無線機器3に転送するための転送部15とを有する。
【0050】
無線通信モジュール12は、第1通信方式によってデバイス情報を基地局4に送信する。デバイス情報は、主要無線機器2に接続されたデバイス機器8から取得された情報である。
【0051】
転送部15は、基地局4からの電波の受信レベルの低下に応じて、デバイス情報を予備無線機器3に転送する。転送方式は、WiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)等の無線通信であってもよいし、有線で電気的に接続されていてもよい。主要無線機器2は、基地局4からの電波の受信レベルを予備無線機器3に転送しても良い。また、予備無線機器3から送信された、主要無線機器2の第1通信方式による通信を許可又は不許可するための制御信号を主要無線機器2は受信する。そして、主要無線機器2が、受信レベルが低下して第1通信方式で通信できない場合には、主要無線機器2は取得したデバイス情報を転送部15を介して予備無線機器3に転送する。
【0052】
無線通信モジュール12は、基地局4から送信された第1通信方式による電波を受信する。第1通信方式による電波の受信レベルは、転送部15によって予備無線機器3に転送されてもよい。
【0053】
(予備無線機器3)
予備無線機器3も、主要無線機器2と同様に、電波を送信・受信するためのアンテナ17と、アンテナ17と接続されて通信機能を備えた無線通信モジュール18と、サービス加入者のID番号が記録されたSIM19と、予備無線機器3の動作を制御するためのマイコン20とを備える。マイコン20は、予備無線機器3の動作を制御するための制御部21と、転送部15から転送されたデバイス情報を、簡略化した簡略デバイス情報に変換する変換部24と、電波の受信レベルを監視する監視部22と、主要無線機器2と基地局4との間の通信を切断し、再開するように主要無線機器2を制御する主要機器制御部23とを有する。
【0054】
監視部22は、主要無線機器2と基地局4との間の通信が確立されているかを監視する。受信レベルの低下によって通信が確立されていない場合、マイコン20の主要機器制御部23は、主要無線機器2内のマイコン14の転送部15を有効化し、デバイス情報が予備無線機器3に転送されるように転送部15が制御される。予備無線機器3内のマイコン20の変換部24は、転送されてきたデバイス情報からデータの抜粋・変換を行い、デバイス簡易情報を生成する。生成されたデバイス簡易情報は、無線通信モジュール18に送られ、アンテナ17から基地局4へ送信され、クラウドサーバ5に伝送される。
【0055】
予備無線機器3内のマイコン20の監視部22は、主要無線機器2と基地局4との間の通信が確立されているのか、他の部品故障などのトラブル状況に陥っているのかといった事項を監視する。主要無線機器2と基地局4との間の通信が受信レベルに関して確立されているのかを監視された結果が、主要無線機器2の受信レベル状態情報として無線通信モジュール18に送られ、アンテナ17から電波にて基地局4へ送信され、クラウドサーバ5に受信レベル状態情報が伝送される。
【0056】
また、他の部品故障などの受信レベル低下以外のトラブル状況に陥って主要無線機器2がフリーズ状態になっている場合には、主要無線機器2からの応答を受信しない状態を表す無応答状態情報が、無線通信モジュール18に送られ、アンテナ17から電波にて基地局4へ送信され、クラウドサーバ5に無応答状態情報が伝送される。
【0057】
予備無線機器3は、第2通信方式によってデバイス簡易情報と受信レベル状態情報と無応答状態情報とを基地局4に送信する。主要無線機器2と基地局4との間の第1通信方式に係る通信が確立されない場合に、予備無線機器3は、主要無線機器2に代わって第2通信方式により基地局4と通信し、受信レベル状態情報とデバイス簡易情報と無応答状態情報とを基地局4に送信する。
【0058】
監視部22は、主要無線機器2と通信する。通信方式は、WiFi(登録商標)等の無線通信であってもよいし、有線で電気的に接続されていてもよい。監視部22は、転送部15から転送された主要無線機器2の受信レベルを受信しても良い。また、主要機器制御部23は、主要無線機器2の第1通信方式による通信を許可又は不許可する制御信号を主要無線機器2に送信する。そして、主要無線機器2が基地局4との間の第1通信方式に係る通信を受信レベルの低下により確立できない場合には、予備無線機器3は、主要無線機器2が取得したデバイス情報を、転送部15を介して受信する。
【0059】
監視部22は、基地局4からの受信レベルが低く、主要無線機器2が第1通信方式で基地局4との通信ができない場合に、主要無線機器2の受信レベル状態情報を生成する。生成された受信レベル状態情報は、予備無線機器3の無線通信モジュール18から第2通信方式により基地局4に送信される。
【0060】
また、監視部22は、主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号を主要無線機器2に送信する。そして、当該監視信号に対する主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、監視部22は、主要無線機器2を再起動するための再起動信号を主要無線機器2に送信する。当該再起動信号により主要無線機器2は再起動される。
【0061】
監視部22は、上記監視信号に対する主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、主要無線機器2からの応答が無い状態を示す無応答状態情報を生成し、無線通信モジュール18を介して基地局4に送信してもよい。
【0062】
変換部24は、主要無線機器2から転送されたデバイス情報を、当該デバイス情報よりも通信量が少ないデバイス簡易情報に変換する。主要無線機器2の無線通信モジュール12が受信レベルの低下により第1通信方式で基地局4と通信ができない場合のみ、予備無線機器3は、デバイス情報を主要無線機器2から受信して、変換部24においてデバイス簡易情報に変換して第2通信方式により無線通信モジュール18から基地局4に送信する。
【0063】
制御部21は、予備無線機器3の動作を制御する。
【0064】
このように、実施形態1に係る無線通信ユニット1は、主要無線機器2が受信レベルの低下により、又は、主要無線機器2のフリーズ等の不具合により、第1通信方式で基地局4と通信ができない場合に、予備無線機器3が第2通信方式で基地局4と通信を行い、主要無線機器2の受信レベル状態情報、無応答状態情報、およびデバイス簡易情報を、基地局4及びクラウドサーバ5を介してユーザの端末装置6に送信し、通信の遮断を回避することができる。
【0065】
<無線通信システムの制御処理>
図4に、主要無線機器2および予備無線機器3の電波強度と通信レベルとの関係を示す概略図を示す。
【0066】
第1通信方式(例えば、LTE Cat.1,4)に従う主要無線機器2は、電波強度が強度S1以上であるとき通信可能であるが、電波強度が強度S2以上強度S1未満では通信が不安定になり、強度S2未満になると通信不可能になる。
【0067】
第2通信方式(例えば、LTE Cat.M1)に従う予備無線機器3は、電波強度が強度S2よりも弱い強度S3以上であるとき通信可能であり、強度S4以上強度S3未満では通信が不安定になり、強度S4未満になると通信不可能になる。
【0068】
このように、主要無線機器2と比較して予備無線機器3の方が、受信レベルが低くても通信可能である。
【0069】
予備無線機器3は、アンテナ17で基地局4からの受信レベル(電波強度)を検知し、受信レベルに対して強度S1よりも強い第1閾値T1及び第2閾値T2を有する。受信レベルが第1閾値T1以下に低下した場合に予備無線機器3は主要無線機器2と基地局4との間の通信を切断させる制御を行う。また、受信レベルが第2閾値T2以上に上昇した場合に予備無線機器3は主要無線機器2と基地局4との間の通信を再開させる制御を行う。
【0070】
図5に受信レベルの時間変化の例を示す。図5は、受信レベルに急激な時間変化があり、主要無線機器2は、時刻t1に基地局4との通信可能レベルから通信不可能レベルに電波強度が落ちた後に、電波強度が回復して通信不安定レベルに入る。通信不安定レベルでは、主要無線機器2は基地局4と第1通信方式による通信ができたり、できなかったりするので、クラウドサーバ5には、主要無線機器2からのデバイス情報が送られたり、予備無線機器3からデバイス簡易情報が送られたりして情報の混乱が生じる恐れがある。受信レベルが変動しやすい状況では、電波強度が通信可能レベルに回復しても通信不安定レベルに戻りやすい。
【0071】
これに対して、受信レベルが第1閾値T1以下になったときに主要無線機器2と基地局4との間の第1通信方式による通信を切断させ、その後、受信レベルが第2閾値T2以上でなったときに主要無線機器2と基地局4との間の通信を再開させる制御を行う。これにより、主要無線機器2の通信が安定するまでは主要無線機器2から基地局4にデバイス情報を送らせないようにすることができる。その結果、情報の混乱を回避する事ができる。
【0072】
図4に示す主要無線機器2の通信可能レベルは、主要無線機器2が受信する電波の強度が強いことから第1通信方式で通信が可能であることを示している。
【0073】
主要無線機器2の通信不安定レベルは、主要無線機器2が受信する電波の強度が不十分であることから第1通信方式で通信ができたりできなかったりする状態が変動して現れて、主要無線機器2で通信が不安定であることを示している。
【0074】
主要無線機器2の通信不可能レベルは、主要無線機器2が受信する電波の強度が弱いことから第1通信方式で通信が不可能であることを示している。
【0075】
予備無線機器3の通信可能レベルは、予備無線機器3が受信する電波の強度が強いことから第2通信方式で通信が可能であることを示している。
【0076】
予備無線機器3の通信不安定レベルは、予備無線機器3が受信する電波の強度が不十分であることから第2通信方式で通信ができたりできなかったりする状態が変動して現れて、予備無線機器3で通信が不安定であることを示している。
【0077】
予備無線機器3の通信不可能レベルは、予備無線機器3が受信する電波の強度が弱いことから第2通信方式で通信が不可能であることを示している。
【0078】
主要無線機器2の第1通信方式は強度S1以上で通信可能であり、予備無線機器3の第2通信方式は強度S1よりも弱い強度S3以上で通信可能である。従って、図4に示すように、第1通信方式で通信可能な電波強度の範囲は、第2通信方式で通信可能な電波強度の範囲に比べて狭い。
【0079】
第1閾値T1は、第1通信方式の通信可能レベルと通信不安定レベルとの境界に近接する強度S1を少し上回る値である。電波強度が第1閾値T1よりも低下して、さらに強度S1も下回ると、第1通信方式での通信が不安定又は不可能になる。
【0080】
電波強度が第2閾値T2を上回る場合は、電波強度が微小に変動しても依然として第1閾値T1を上回っていると考えられるので、第1通信方式での安定な通信が維持されることが期待される。
【0081】
図5の縦軸は、基地局4から受信する電波の強度を示し、横軸は、時間経過を示す。電波強度は、時間の経過とともに変化する。時刻t0時点では、電波強度は第2閾値T2を上回る高い電波強度であるが、時刻t1時点になると電波強度は第1閾値T1まで急激に下がり、時刻t1時点を過ぎると一旦第1閾値T1よりも低くなる。そして、電波強度は、上がり下がりを繰り返しながら徐々に上がっていき、時刻t2時点で電波強度は第2閾値T2に到達する。次に、時刻t2を過ぎると電波強度は上がり下がりを繰り返しながら時刻t0における電波強度にまで回復するようになる。
【0082】
時刻t0から時刻t1までの期間では、電波強度は第1閾値T1よりも大きいので、電波強度は通信可能レベルの範囲にある。このとき、予備無線機器3の主要機器制御部23は、第1通信方式による通信を許可するための制御信号を主要無線機器2に送信する。
【0083】
時刻t1から時刻t2までの期間では、電波強度が第1閾値T1よりも小さく、従って、電波強度は、通信不安定レベルから通信不可能レベル、あるいは、通信不安定レベルのみを経て、通信可能レベルに移行している。この時刻t1から時刻t2までの期間では、予備無線機器3の主要機器制御部23は、第1通信方式による通信不許可を表す制御信号を主要無線機器2に送信する。
【0084】
時刻t2以降は、電波強度が第2閾値T2以上であるので、電波強度は通信可能レベルの範囲内にある。この時刻t2以降は、予備無線機器3の主要機器制御部23は、第1通信方式による通信許可を表す制御信号を主要無線機器2に送信する。
【0085】
このように、予備無線機器3のアンテナ17で受信した電波強度に応じて主要機器制御部23は、主要無線機器2の第1通信方式による通信許可または通信不許可を表す制御信号を、主要無線機器2に送信する。これにより、主要無線機器2に係る第1通信方式による通信が電波強度の変動によってできたりできなかったりする揺らぎが防止される。
【0086】
また、電波強度が第1閾値T1以下になって主要無線機器2の第1通信方式での通信が不許可になった後に、電波強度が第1閾値T1に達しても第1通信方式での通信の不許可を継続し、電波強度が第2閾値T2以上になったときに第1通信方式での通信を許可することとした。この理由は以下に示すとおりである。
【0087】
即ち、第1通信方式の通信不安定レベルでは、主要無線機器2の無線通信モジュール12は基地局4との通信ができたり、できなかったりするので、仮に第2閾値T2の代わりに第1閾値T1で第1通信方式での通信を許可することとすると、クラウドサーバ5には主要無線機器2からのデバイス情報が送られたり、予備無線機器3からデバイス簡易情報が送られたりして情報の混乱が生じる恐れがあるからである。
【0088】
電波強度が変動しやすい状況では、第1通信方式の通信不安定レベルから通信可能レベルになっても再び通信不安定レベルに戻りやすい。これに対して、電波強度が第1閾値T1以下に下がったときに主要無線機器2の第1通信方式に係る通信を不許可とし、第1閾値T1以下から第1閾値T1を超えて上昇した後、さらに第2閾値T2以上に上昇したときに主要無線機器2の第1通信方式に係る通信を許可して再開させる制御を行う。これにより、主要無線機器2が受信する電波の強度が安定するまでは主要無線機器2からデバイス情報を第1通信方式で基地局4に送信できないようにする。この結果、上記情報の混乱を回避することができる。
【0089】
図6に、電波強度が第1閾値T1より大きい値である場合の通信ネットワークの制御処理のシーケンス図を示す。
【0090】
まず、予備無線機器3の監視部22は、アンテナ17で受信された電波の強度を第1閾値T1と比較する(S101)。電波の強度が第1閾値T1よりも大きくないと監視部22が判断したときは(S101でNO)、図7のステップS201に進む。
【0091】
電波の強度が第1閾値T1よりも大きいと監視部22が判断したときは(S101でYES)、主要機器制御部23は第1通信方式による通信の許可を表す制御信号を主要無線機器2の制御部16に送信する(S102)。
【0092】
その後、制御部16は主要無線機器2に接続されたデバイス機器8から取得したデバイス情報を無線通信モジュール12から基地局4を介してクラウドサーバ5に送信する(S103)。
【0093】
そして、クラウドサーバ5は、デバイス情報をユーザの端末装置6に送信する(S104)。
【0094】
このように、電波強度が第1閾値T1よりも大きい場合には、デバイス情報を主要無線機器2から第1通信方式により基地局4およびクラウドサーバ5を介してユーザの端末装置6に送信することができる。
【0095】
図7に、電波強度が第1閾値T1以下である場合の無線通信ユニット1の制御処理のシーケンス図を示す。
【0096】
予備無線機器3の監視部22は、電波強度が第1閾値T1以下と判定した場合は、主要無線機器2の制御部16に第1通信方式による通信の不許可を表す制御信号を送信する(S201)。
【0097】
そして、監視部22は、主要無線機器2で第1通信方式による通信ができない旨を表す受信レベル状態情報を生成して無線通信モジュール18から基地局4を介して当該受信レベル状態情報をクラウドサーバ5に送信する(S202)。
【0098】
次に、クラウドサーバ5は、受信した受信レベル状態情報を端末装置6に送信する(S203)。
【0099】
ユーザは、端末装置6から受信レベル状態情報を知り、主要無線機器2が受信レベルの低下により第1通信方式での通信ができないことを知ることになる。
【0100】
そして、主要無線機器2の転送部15は、上記通信の不許可を表す制御信号を受信すると、デバイス機器8から取得したデバイス情報を予備無線機器3の変換部24に送信する(S204)。
【0101】
次に、変換部24は、受信したデバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を生成する。これによって、デバイス情報よりも通信量が少ない簡略デバイス情報が生成される。
【0102】
その後、変換部24は、生成された簡略デバイス情報を無線通信モジュール18から基地局4を介してクラウドサーバ5に送信する(S206)。
【0103】
そして、クラウドサーバ5は、受信した簡略デバイス情報を端末装置6に送信する(S207)。
【0104】
ユーザは、端末装置6からデバイス情報を入手できないものの、それに代わってデバイス情報に対応した簡略デバイス情報を入手することができる。
【0105】
次に、監視部22は、第1閾値T1を下回った電波強度が回復して第1閾値T1よりも大きい第2閾値T2以上になったか否かを判定し(S208)、電波強度が第2閾値以上になった場合には図8のステップS210に進む。それ以外の場合(S208でNOの場合)、図9のステップS301に進む。
【0106】
図8に、電波強度が第1閾値T1以下となり通信不許可の制御信号が主要無線機器2に送信された後、電波強度が第2閾値T2以上となった場合の無線通信ユニット1の制御処理のシーケンス図を示す。
【0107】
監視部22は、第1閾値T1を下回った電波強度が回復して第1閾値T1よりも大きい第2閾値T2以上になったときに、主要無線機器2と基地局4との間の第1通信方式による通信の再開を許可する制御信号を送信する(S210)。
【0108】
そして、主要無線機器2の制御部16は、デバイス機器8から取得したデバイス情報を無線通信モジュール12から基地局4を介してクラウドサーバ5に送信する(S211)。
【0109】
クラウドサーバ5は、受信したデバイス情報を端末装置6に送信する(S212)。
【0110】
ユーザは、端末装置6から簡略デバイス情報を入手していたが、電波強度が第1通信方式の通信不安定レベルまたは通信不可能レベルから通信可能レベルへ回復したので、簡略デバイス情報に代わってデバイス情報を入手することができる。
【0111】
図9に、電波強度が第1閾値T1以下となり通信不許可の制御信号が主要無線機器2に送信された後、電波強度が第2閾値T2よりも小さい場合の無線通信ユニットの制御処理のシーケンス図を示す。
【0112】
予備無線機器3の監視部22は、電波強度が第2閾値T2より小さいと判定した場合は、主要無線機器2の制御部16に第1通信方式による通信不許可を表す制御信号を送信する(S301)。
【0113】
そして、監視部22は、受信レベル状態情報を生成して無線通信モジュール18から基地局4を介して受信レベル状態情報をクラウドサーバ5に送信する(S302)。
【0114】
次に、クラウドサーバ5は、受信した受信レベル状態情報を端末装置6に送信する(S303)。
【0115】
ユーザは、端末装置6から受信レベル状態情報を知り、主要無線機器2が受信レベルの低下により第1通信方式での通信ができないことを知ることになる。
【0116】
主要無線機器2の転送部15は、予備無線機器3の監視部22から第1通信方式による通信不許可を表す制御信号を受信すると、デバイス機器8から取得したデバイス情報を予備無線機器3の変換部24に転送する(S304)。
【0117】
そして、変換部24は、転送されたデバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を生成する。これによって、デバイス情報よりも通信量が少ない簡略デバイス情報が生成される(S305)。
【0118】
次に、変換部24は、生成した簡略デバイス情報を無線通信モジュール18から基地局4を介してクラウドサーバ5に送信する(S306)。
【0119】
その後、クラウドサーバ5は、受信した簡略デバイス情報を端末装置6に送信する(S307)。
【0120】
ユーザは、端末装置6から簡略デバイス情報を入手しているが、主要無線機器2の第1通信方式での通信が未だできないので、引き続き予備無線機器3から送信されている簡略デバイス情報を入手することになる。
【0121】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では主要無線機器2および予備無線機器3は、それぞれ独立した装置を構成しているが、主要無線機器2および予備無線機器3が有線または無線で接続されていれば単一の装置で構成されていてもよい。
【0122】
〔ソフトウェアによる実現例〕
主要無線機器2の転送部15、制御部16および予備無線機器3の制御部21、監視部22、主要機器制御部23、変換部24は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0123】
後者の場合、主要無線機器2および予備無線機器3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0124】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る無線通信ユニット1は、センサにより検出されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局4に送信する主要無線機器2と、前記基地局4からの電波の受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器2から転送された前記デバイス情報を、前記第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って前記基地局4に送信する予備無線機器3とを備えている。
【0125】
上記の構成によれば、基地局からの電波の受信レベルが低下すると、主要無線機器から転送されたデバイス情報が、第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って基地局に送信される。この結果、特定の無線通信方式に係る無線通信機器が基地局から受信する電波の受信レベルが低下しても、センサにより検出されたデバイス情報を基地局に届けることができる。
【0126】
本発明の態様2に係る無線通信ユニット1は、上記態様1において、前記予備無線機器3は、前記受信レベルの低下に応じて前記主要無線機器2から転送された前記デバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を生成し、前記簡略デバイス情報を前記第2通信方式に従って前記基地局4に送信することが好ましい。
【0127】
上記の構成によれば、デバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報を、第1通信方式よりも通信速度が遅い第2通信方式により基地局に送信することができる。
【0128】
本発明の態様3に係る無線通信ユニット1は、上記態様1または2において、前記予備無線機器3は、前記主要無線機器2の受信レベル状態を表す受信レベル状態情報を前記受信レベルの低下に応じて前記第2通信方式に従って前記基地局4に送信する。
【0129】
上記の構成によれば、主要無線機器の第1通信方式に係る通信状態を示す情報を基地局に送信することができる。
【0130】
本発明の態様4に係る無線通信ユニット1は、上記態様3において、前記予備無線機器3は、前記主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号に対する前記主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、前記主要無線機器2を再起動するための再起動信号を前記主要無線機器2に送信することが好ましい。
【0131】
上記の構成によれば、主要無線機器のフリーズ等の不具合により第1通信方式による通信が不能の場合に、予備無線機器を用いて主要無線機器を復旧させることができる。
【0132】
本発明の態様5に係る無線通信ユニット1は、上記態様1から4の何れか一態様において、前記予備無線機器3は、前記受信レベルが低下して第1閾値T1を下回ったときに、前記主要無線機器2と前記基地局4との間の通信を切断し、前記受信レベルが回復して前記第1閾値T1よりも大きい第2閾値T2以上になったときに、前記主要無線機器2と前記基地局4との間の通信を再開することが好ましい。
【0133】
上記の構成によれば、受信レベルが安定して回復したときに、デバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報に替えてデバイス情報を基地局に送信することができる。
【0134】
本発明の態様6に係る無線通信ユニット1は、上記態様3において、前記基地局4がクラウドサーバ5に接続され、前記クラウドサーバ5が端末(端末装置6)に接続され、前記基地局4が、前記簡略デバイス情報又は前記受信レベル状態情報を前記クラウドサーバ5に送信し、前記クラウドサーバ5が、前記簡略デバイス情報又は前記受信レベル状態情報を前記端末(端末装置6)に転送することが好ましい。
【0135】
上記の構成によれば、インターネット回線に接続された端末において、受信レベルの低下に応じて主要無線機器から転送されたデバイス情報を簡略化した簡略デバイス情報、及び、主要無線機器の第1通信方式に係る通信状態を示す情報を取得することができる。
【0136】
本発明の態様7に係る無線通信ユニット1は、上記態様6において、前記予備無線機器3は、前記主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号に対する前記主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、前記主要無線機器2からの応答が無い状態を示す無応答状態信号を前記基地局4に送信することが好ましい。
【0137】
上記の構成によれば、主要無線機器のフリーズ等の不具合により、第1通信方式による通信不能な状態を、基地局、予備無線機器を使用してクラウドサーバ、端末に通報することができる。
【0138】
本発明の態様8に係る無線通信ユニット1は、上記態様6において、前記予備無線機器は、前記クラウドサーバもしくは前記端末から前記主要無線機器を再起動する指示を表す再起動指示信号を、前記基地局を介して受信した場合に、前記主要無線機器を再起動するための再起動信号を前記主要無線機器に送信することが好ましい。
【0139】
上記の構成によれば、主要無線機器のフリーズ等の不具合により、第1通信方式による通信不能な状態を、クラウドサーバ、端末、基地局、予備無線機器を使用して、復旧させることができる。
【0140】
本発明の態様9に係る無線通信ユニット1は、上記態様1から8の何れか一態様において、前記主要無線機器2と前記予備無線機器3とが、一つのパッケージに収容されて一体化されていることが好ましい。
【0141】
上記の構成によれば、主要無線機器から予備無線機器へのデバイス情報の転送の信頼性が向上し、無線通信ユニットの取り扱いの利便性が増大する。
【0142】
本発明の態様10に係る無線通信ユニット1は、上記態様1から9の何れか一態様において、前記第1通信方式が、LTE Cat.1又はLTE Cat.4を含み、前記第2通信方式が、LPWAを含むことが好ましい。
【0143】
上記の構成によれば、通信速度が比較的速い第1通信方式での通信が不安定等になったときに、通信速度が比較的遅い反面、通信可能エリアが比較的広い第2通信方式でデバイス情報を基地局に送信することができる。
【0144】
本発明の態様11に係る無線通信ユニット1は、上記態様1から10の何れか一態様において、前記センサが、カメラと人感センサとの少なくとも一方を含み、前記デバイス情報が、前記カメラにより撮影された動画と、前記人感センサにより検知された人検知データとの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0145】
上記の構成によれば、カメラや人感センサといったセンサからのデバイス情報を基地局に送信する事で、遠方にいる家族の安全を見守るサービス等を提供することができる。
【0146】
本発明の態様12に係る無線通信ユニット1は、センサにより検出されたデバイス情報を第1通信方式に従って基地局4に送信する主要無線機器2と、前記主要無線機器2の動作状態を監視するための監視信号に対する前記主要無線機器2からの応答を受信しない場合に、前記主要無線機器2からの応答が無い状態を示す無応答状態情報を、前記第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って前記基地局4に送信する予備無線機器3とを備える。
【0147】
上記の構成によれば、主要無線機器の動作状態を監視するための監視信号に対する主要無線機器からの応答を受信しないと、主要無線機器からの応答が無い状態を示す無応答状態情報が、第1通信方式よりも通信可能エリアが広い第2通信方式に従って基地局に送信される。この結果、特定の無線通信方式に係る無線通信機器の動作にフリーズ等の不具合が生じても、当該不具合の復旧のための情報を送信することができる。
【0148】
本発明の態様13に係る無線通信ユニット1は、上記態様12において、前記基地局4がクラウドサーバ5に接続され、前記クラウドサーバ5が端末(端末装置6)に接続され、前記予備無線機器3は、前記クラウドサーバ5もしくは前記端末(端末装置6)から前記主要無線機器2を再起動する指示を表す再起動指示信号を、前記基地局4を介して受信した場合に、前記主要無線機器2を再起動するための再起動信号を前記主要無線機器2に送信することが好ましい。
【0149】
上記の構成によれば、主要無線機器のフリーズ等の不具合により、第1通信方式による通信不能な状態を、クラウドサーバ、端末、基地局、予備無線機器を使用して、復旧させることができる。
【0150】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 無線通信ユニット
2 主要無線機器
3 予備無線機器
4 基地局
5 クラウドサーバ
6 端末装置(端末)
7 インターネット回線
8 デバイス機器
9 通信可能エリア
10 通信可能エリア
A 地点
B 地点
T1 第1閾値
T2 第2閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9