(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】光学装置、アクチュエータおよび携帯型情報端末
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20250123BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20250123BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20250123BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250123BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/57
H04N23/50
(21)【出願番号】P 2021033576
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松久 治可
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-186436(JP,A)
【文献】特開2008-070770(JP,A)
【文献】特開2011-257555(JP,A)
【文献】特開2012-242801(JP,A)
【文献】特開2017-083582(JP,A)
【文献】特開2019-070865(JP,A)
【文献】特開2020-166244(JP,A)
【文献】国際公開第2010/010712(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/044195(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/168391(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/188656(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169979(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0195566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/04
G03B 30/00
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを所定角度で回転させる光学装置であって、
前記光学モジュールを保持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材が収容されるケース部材と、
前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられ、前記ケース部材に対して前記ホルダ部材を回転自在に支持する支持機構と、
前記ケース部材に設けられるコイルと、前記コイルに対向して前記ホルダ部材に設けられる永久磁石と、を備える駆動機構と、
を有し、
前記永久磁石の
短手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、
第1円弧が含まれて
おり、
前記永久磁石の長手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、第2円弧が含まれている、
光学装置。
【請求項2】
前記
第1円弧の曲率中心は、前記ホルダ部材の回転中心である、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記コイルに対向する前記永久磁石の表面に、
前記第1円弧を含む円弧面が含まれている、
請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記円弧面は、前記ホルダ部材の回転中心を通過する仮想直線を軸とする回転面である、
請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記仮想直線は、前記光学モジュールの光軸に直交する、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記永久磁石は、磁性部材を備える、
請求項1~
5の何れか1項に記載の光学装置。
【請求項7】
回転対象物を所定角度で回転させるアクチュエータであって、
前記回転対象物を保持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材が収容されるケース部材と、
前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられ、前記ケース部材に対して前記ホルダ部材を回転自在に支持する支持機構と、
前記ケース部材に設けられるコイルと、前記コイルに対向して前記ホルダ部材に設けられる永久磁石と、を備える駆動機構と、
を有し、
前記永久磁石の
短手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、
第1円弧が含まれて
おり、
前記永久磁石の長手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、第2円弧が含まれている、
アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1~
6の何れか1項に記載の光学装置を有する携帯型情報端末。
【請求項9】
請求項
7に記載のアクチュエータを有する携帯型情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、アクチュエータ、光学装置を有する携帯型情報端末、およびアクチュエータを有する携帯型情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやウェアラブルカメラ等の機器には、カメラモジュール等の光学モジュールを備えた光学装置が設けられている。また、スマートフォン等に設けられる光学装置には、姿勢変化に応じて光学モジュールを回転させることで画像の乱れを低減する手振れ補正機能が組み込まれている。この手振れ補正機能を備えた光学装置には、ジンバル、永久磁石および電磁コイル等からなるアクチュエータ、つまり光学モジュールを回転させるアクチュエータが設けられている(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第111416925号明細書
【文献】中国特許出願公開第111510598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学装置の手振れ補正機能を高めるためには、アクチュエータによる光学モジュール(回転対象物)の回転力を高めること、つまり光学モジュールを保持するホルダ部材の回転力を高めることが求められている。
【0005】
本発明の目的は、ホルダ部材の回転力を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の光学装置は、光学モジュールを所定角度で回転させる光学装置であって、前記光学モジュールを保持するホルダ部材と、前記ホルダ部材が収容されるケース部材と、を有する。前記光学装置は、前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられ、前記ケース部材に対して前記ホルダ部材を回転自在に支持する支持機構を有する。前記光学装置は、前記ケース部材に設けられるコイルと、前記コイルに対向して前記ホルダ部材に設けられる永久磁石と、を備える駆動機構を有する。前記永久磁石の短手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、第1円弧が含まれている。前記永久磁石の長手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、第2円弧が含まれている。
【0007】
一実施形態のアクチュエータは、回転対象物を所定角度で回転させるアクチュエータであって、前記回転対象物を保持するホルダ部材と、前記ホルダ部材が収容されるケース部材と、を有する。前記アクチュエータは、前記ホルダ部材と前記ケース部材とに取り付けられ、前記ケース部材に対して前記ホルダ部材を回転自在に支持する支持機構を有する。前記アクチュエータは、前記ケース部材に設けられるコイルと、前記コイルに対向して前記ホルダ部材に設けられる永久磁石と、を備える駆動機構を有する。前記永久磁石の短手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、第1円弧が含まれている。前記永久磁石の長手方向に沿う断面輪郭のうち、前記コイルに対向する側の輪郭に、第2円弧が含まれている。
【0008】
一実施形態の携帯型情報端末は、前記光学装置を有する。
【0009】
一実施形態の携帯型情報端末は、前記アクチュエータを有する。
【発明の効果】
【0010】
永久磁石の断面輪郭のうち、コイルに対向する側の輪郭に、円弧が含まれている。これにより、永久磁石に作用する推力を高めることができ、ホルダ部材の回転力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態である光学装置を示す斜視図である。
【
図3】(A)はホルダ組立体を示す斜視図であり、(B)はホルダ組立体を示す分解斜視図である。
【
図4】(A)はケース組立体を示す斜視図であり、(B)はケース組立体を示す分解斜視図である。
【
図5】ストッパプレートを取り外した状態で光学装置の一部を示す平面図である。
【
図6】ホルダ組立体の一部およびこれに取り付けられるジンバルを示す斜視図である。
【
図7】永久磁石および電磁コイルの位置関係を示す図である。
【
図9】
図8のX1-X1線に沿って光学装置を示す断面図である。
【
図10】
図8のX1-X1線に沿って光学装置を示す断面図である。
【
図11】永久磁石を示す正面図、平面図および右側面図である。
【
図12】(A)は永久磁石を示す斜視図であり、(B)は
図11の12B-12B線に沿って永久磁石を示す断面図であり、(C)は
図11の12C-12C線に沿って永久磁石を示す断面図である。
【
図13】(A)はホルダ組立体および電磁コイルを示す平面図であり、(B)は
図13(A)のX2-X2線に沿うホルダ組立体および電磁コイルの断面図である。
【
図14】
図13(B)に示されるホルダ組立体および電磁コイルの一部を拡大して示す断面図である。
【
図15】実施例2の永久磁石を示す正面図、平面図および右側面図である。
【
図16】(A)は永久磁石を示す斜視図であり、(B)は
図15の16B-16B線に沿って永久磁石を示す断面図であり、(C)は
図15の16C-16C線に沿って永久磁石を示す断面図である。
【
図17】実施例3の永久磁石を示す正面図、平面図および右側面図である。
【
図18】(A)は永久磁石を示す斜視図であり、(B)は
図17の18B-18B線に沿って永久磁石を示す断面図であり、(C)は
図17の18C-18C線に沿って永久磁石を示す断面図である。
【
図19】永久磁石を備えたホルダ組立体および電磁コイルを示す平面図である。
【
図20】実施例3の永久磁石を示す正面図、平面図および右側面図である。
【
図21】(A)は永久磁石を示す斜視図であり、(B)は
図20の21B-21B線に沿って永久磁石を示す断面図であり、(C)は
図20の21C-21C線に沿って永久磁石を示す断面図である。
【
図22】本発明の一実施の形態である携帯型情報端末を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
【0013】
[光学装置の全体構成]
図1は本発明の一実施の形態である光学装置10を示す斜視図である。
図1に示すように、光学装置10は、レンズ11や撮像素子等からなるカメラモジュール12を有している。この光学装置10には、後述するように、アクチュエータとして機能する手振れ補正機構50が設けられている。光学装置10に対して後述する手振れ補正機構50を設けることにより、矢印αで示すように、カメラモジュール(光学モジュール,回転対象物)12を、あらゆる方向に向けて傾動つまり所定角度で回転させることができる。また、図示する光学装置10は、スマートフォン、タブレット型PC或いはノート型PC等の携帯型情報端末に搭載される装置である。
【0014】
なお、
図1において、Z軸方向はカメラモジュール12の光軸方向を示し、X軸方向はヨーイングの回転軸方向を示し、Y軸方向はピッチングの回転軸方向を示している。また、各軸X,Y,Zが交差する点C1は、後述するホルダ枠体16の回転中心を意味している。作図の都合上、
図1において、各軸X,Y,Zはホルダ枠体16の回転中心から離れた位置に示されている。
【0015】
図2は光学装置10を示す分解斜視図である。
図2に示すように、光学装置10は、電磁コイル13,14を備えたケース枠体(ケース部材)15と、ケース枠体15に収容されるホルダ枠体(ホルダ部材)16と、ホルダ枠体16に保持されるカメラモジュール12と、を有している。また、ケース枠体15とホルダ枠体16とはジンバル17を介して連結されており、ホルダ枠体16はジンバル17を介してケース枠体15に回転自在に支持されている。さらに、ケース枠体15の一端面15aにはストッパプレート18が取り付けられており、ケース枠体15の他端面15bにはボトムカバー19が取り付けられている。
【0016】
[ホルダ組立体]
図3(A)はホルダ枠体16およびカメラモジュール12によって構成されるホルダ組立体20を示す斜視図であり、
図3(B)はホルダ組立体20を示す分解斜視図である。
図3(B)に示すように、矩形枠形状に形成されるホルダ枠体16は、互いに対向する一対のホルダ壁21a,21bと、互いに対向する一対のホルダ壁21c,21dと、を有している。また、ホルダ壁21aには磁石取付溝22aが形成されており、ホルダ壁21cには磁石取付溝22bが形成されている。さらに、磁石取付溝22aには永久磁石23が取り付けられており、磁石取付溝22bには永久磁石24が取り付けられている。また、永久磁石23にはヨーク(磁性部材)23aが設けられており、永久磁石24にはヨーク(磁性部材)24aが設けられている。なお、ヨーク23a,24aは、飽和磁束密度の高い磁性材料を用いて形成することが好ましい。例えば、純鉄、パーマロイ、炭素鋼等の磁性材料を用いて、ヨーク23a,24aを形成することが可能である。また、永久磁石23,24は、電磁コイル13,14等と共に、手振れ補正機構50の一部である駆動機構52を構成する。
【0017】
また、ホルダ壁21a,21cを互いに連結する角部25には軸受取付溝25aが形成されており、ホルダ壁21b,21dを互いに連結する角部26には軸受取付溝26aが形成されている。さらに、軸受取付溝25aにはホルダ軸受27が取り付けられており、軸受取付溝26aにはホルダ軸受28が取り付けられている。また、ホルダ軸受27,28は、板金製の軸受本体部27a,28aと、この軸受本体部27a,28aに溶接等で固定されるボール27b,28bと、を有している。このように、矩形枠形状のホルダ枠体16には、ホルダ軸受27,28が対角線上に配置されている。なお、ホルダ軸受27,28は、ジンバル17や後述するケース軸受42,43等と共に、手振れ補正機構50の一部である支持機構51を構成する。
【0018】
図3(A)および(B)に示すように、ホルダ枠体16の内側にはカメラモジュール12のハウジング30が嵌合しており、ホルダ枠体16によってカメラモジュール12が保持されている。カメラモジュール12は、レンズ11や図示しないオートフォーカス機構等が収容されるハウジング30と、ハウジング30の下部に設けられる電子回路基板31と、電子回路基板31に接続されるフレキシブルケーブル32と、を有している。また、フレキシブルケーブル32は、複数回に渡って折り曲げられた形状を有している。これにより、カメラモジュール12が回転してフレキシブルケーブル32に負荷が作用した場合であっても、フレキシブルケーブル32を容易に変形させてカメラモジュール12の回転運動に追従させることができる。なお、カメラモジュール12の電子回路基板31には、図示しないCCD等の撮像素子が搭載される。
【0019】
[ケース組立体]
図4(A)はケース枠体15および電磁コイル13,14によって構成されるケース組立体33を示す斜視図であり、
図4(B)はケース組立体33を示す分解斜視図である。
図4(B)に示すように、矩形枠形状に形成されるケース枠体15は、互いに対向する一対のケース壁34a,34bと、互いに対向する一対のケース壁34c,34dと、ケース壁34bから外側に延びるケーブル収容部35と、を有している。ケース壁34aにはコイル収容穴36aが形成されており、ケース壁34cにはコイル収容穴36bが形成されている。また、コイル収容穴36aには電磁コイル(コイル)13が収容されており、コイル収容穴36bには電磁コイル(コイル)14が収容されている。また、電磁コイル13,14は略L字状に折り曲げられた配線基板37に設けられており、配線基板37にはホルダ枠体16の回転位置を検出する磁気センサ38,39が取り付けられている。なお、電磁コイル13,14は、永久磁石23,24等と共に、手振れ補正機構50の一部である駆動機構52を構成する。
【0020】
また、ケース壁34a,34dを互いに連結する角部40には軸受取付溝40aが形成されており、ケース壁34b,34cを互いに連結する角部41には軸受取付溝41aが形成されている。さらに、軸受取付溝40aにはケース軸受42が取り付けられており、軸受取付溝41aにはケース軸受43が取り付けられている。また、ケース軸受42,43は、板金製の軸受本体部42a,43aと、この軸受本体部42a,43aに溶接等で固定されるボール42b,43bと、を有している。このように、矩形枠形状のケース枠体15には、ケース軸受42,43が対角線上に配置されている。なお、ケース軸受42,43は、ジンバル17やホルダ軸受27,28等と共に、手振れ補正機構50の一部である支持機構51を構成する。
【0021】
[手振れ補正機構(支持機構および駆動機構)]
<支持機構>
続いて、手振れ補正機構50の一部を構成する支持機構51について説明する。
図3に示すように、矩形枠形状のホルダ枠体16には、ホルダ軸受27,28が対角線上に配置されている。また、
図4に示すように、矩形枠形状のケース枠体15には、ケース軸受42,43が対角線上に配置されている。さらに、
図2に示すように、ケース枠体15とホルダ枠体16とを連結するジンバル17は、カメラモジュール12の先端部12aを突出させる開口部62を備えた環状本体部61と、環状本体部61からホルダ軸受27,28やケース軸受42,43に向けて延びる複数のアーム部63~66と、を有している。また、ジンバル17の各アーム部63~66には、各軸受27,28,42,43のボール27b,28b,42b,43bに係合する凹部63a~66aが形成されている。
【0022】
図2に示すように、ジンバル17のアーム部63,64はホルダ枠体16のホルダ軸受27,28に取り付けられ、アーム部63,64の凹部63a,64aはホルダ軸受27,28のボール27b,28bに回転自在に係合する。また、ジンバル17のアーム部65,66はケース枠体15のケース軸受42,43に取り付けられ、アーム部65,66の凹部65a,66aはケース軸受42,43のボール42b,43bに回転自在に係合する。このように、ケース枠体15およびホルダ枠体16にはジンバル17が取り付けられており、ホルダ枠体16はジンバル17を介してケース枠体15に回転自在に支持されている。
【0023】
図5はストッパプレート18を取り外した状態で光学装置10の一部を示す平面図である。また、
図6はホルダ組立体20の一部およびこれに取り付けられるジンバル17を示す斜視図である。
図5および
図6に示すように、カメラモジュール12を保持するホルダ枠体16は、スマートフォン等に固定されるケース枠体15に対し、回転軸A1を中心軸として回転自在に支持されるとともに、回転軸A2を中心軸として回転自在に支持される。すなわち、ケース枠体15とホルダ枠体16とを自由度2のジンバル17を介して連結することにより、ホルダ枠体16およびこれに保持されるカメラモジュール12を、ケース枠体15に対してあらゆる方向に向けて回転させることができる(矢印α)。つまり、回転軸A1,A2の交点を回転中心C1として、ホルダ枠体16はジンバル17を介してケース枠体15に回転自在に支持されている。
【0024】
なお、回転軸A1は、ホルダ軸受27,28のボール27b,28bとジンバル17のアーム部63,64の凹部63a,64aとの接触点を結ぶ回転軸であり、回転軸A2は、ケース軸受42,43のボール42b,43bとジンバル17のアーム部65,66の凹部65a,66aとの接触点を結ぶ回転軸である。また、回転軸A1,A2の交点である回転中心C1には、カメラモジュール12の光軸Oaが交差している。つまり、回転軸A1,A2および光軸Oaの交点を回転中心C1として、ホルダ枠体16はケース枠体15に対して回転自在となっている。
【0025】
<駆動機構>
続いて、手振れ補正機構50の一部を構成する駆動機構52について説明する。まず、
図6に示すように、永久磁石23,24には、永久磁石23,24の短手方向の一方側と他方側とにおいて、互いに異なる磁極が表面に現れるように着磁されている。例えば、永久磁石23,24の上部表面がN極に着磁されている場合には、永久磁石23,24の下部表面がS極に着磁されている。なお、
図6に示す破線は、永久磁石23,24の着磁領域の境界を示す仮想線である。
【0026】
図7は永久磁石23,24および電磁コイル13,14の位置関係を示す図である。
図7に示すように、ケース枠体15の電磁コイル13には、ホルダ枠体16の永久磁石23が対向しており、ケース枠体15の電磁コイル14には、ホルダ枠体16の永久磁石24が対向している。このように、駆動機構52を構成する電磁コイル13,14と永久磁石23,24とは互いに対向するため、電磁コイル13,14の通電状態を制御することにより、ホルダ枠体16の回転位置を制御することができる。
【0027】
つまり、電磁コイル13の通電方向を切り替えることにより、永久磁石23に作用する推力の方向(F1a,F1b)を切り替えることができ、電磁コイル14の通電方向を切り替えることにより、永久磁石24に作用する推力の方向(F2a,F2b)を切り替えることができる。さらに、電磁コイル13の通電電流を制御することにより、永久磁石23に作用する推力F1a(またはF1b)の大きさを制御することができ、電磁コイル14の通電電流を制御することにより、永久磁石24に作用する推力F2a(またはF2b)の大きさを制御することができる。
【0028】
このように、ホルダ枠体16の永久磁石23,24に作用する推力の向きや大きさを制御することにより、ホルダ枠体16を回転軸A1,A2を中心に回転させることができる。このため、ホルダ枠体16に保持されるカメラモジュール12を、あらゆる方向に向けて傾動つまり所定角度で回転させることができる。つまり、換言すれば、ホルダ枠体16に保持されるカメラモジュール12を、ヨーイングの回転軸であるX軸を中心に回転させることができ、ピッチングの回転軸であるY軸を中心に回転させることができる。なお、電磁コイル13,14の通電制御は、例えば、ジャイロセンサの検出信号に基づき実行することが可能である。つまり、電磁コイル13,14の通電制御を実行する図示しないコントローラは、回転制御の一例として、ジャイロセンサによって光学装置10つまりケース枠体15の姿勢変化を検出し、この姿勢変化を打ち消すようにケース枠体15に対してホルダ枠体16を回転させることが可能である。
【0029】
また、ホルダ枠体16の回転角(以下、チルト角と記載する。)の機械的上限は、ケース枠体15のストッパ15sによって定められている。ここで、
図8は光学装置10の一部を示す平面図である。
図9は
図8のX1-X1線に沿って光学装置10を示す断面図であり、
図10は
図8のX1-X1線に沿って光学装置10を示す断面図である。
図9には、ホルダ枠体16が矢印D1方向に回転した状態が示されており、
図10には、ホルダ枠体16が矢印D2方向に回転した状態が示されている。
【0030】
図9に示すように、ホルダ枠体16が矢印D1方向に大きく回転した場合には、ホルダ壁21aの下端がケース枠体15のストッパ15sに接触し、ホルダ枠体16の更なる回転が制限される。また、
図10に示すように、ホルダ枠体16が矢印D2方向に大きく回転した場合には、ホルダ壁21bの下端がケース枠体15のストッパ15sに接触し、ホルダ枠体16の更なる回転が制限される。なお、電磁コイル13,14の通電制御によるホルダ枠体16の回転範囲は、ホルダ枠体16がストッパ15sに接触しない範囲に設定されている。また、前述の説明では、ホルダ枠体16をケース枠体15のストッパ15sに接触させることにより、ホルダ枠体16のチルト角を制限しているが、これに限られることはない。例えば、ホルダ枠体16をストッパプレート18に接触させることにより、ホルダ枠体16のチルト角を制限しても良い。
【0031】
[永久磁石(実施例1)]
図11は、永久磁石23,24を示す正面図、平面図および右側面図である。また、
図12(A)は永久磁石23,24を示す斜視図であり、
図12(B)は
図11の12B-12B線に沿って永久磁石23,24を示す断面図であり、
図12(C)は
図11の12C-12C線に沿って永久磁石23,24を示す断面図である。なお、
図11に示した短手方向とは、正面図に示される永久磁石23,24の短手方向であり、光学モジュールの光軸Oaに平行な方向である。また、
図11に示した長手方向とは、正面図に示される永久磁石23,24の長手方向であり、短手方向に対して直交する方向である。さらに、
図11に示した厚み方向とは、右側面図に示される永久磁石23,24の厚み方向である。
【0032】
図11および
図12(A)に示すように、永久磁石23,24においては、厚み方向の一方の表面に円弧面70が形成されており、厚み方向の他方の表面に平面71が形成されている。つまり、永久磁石23,24においては、電磁コイル13,14に対向する表面が円弧面70によって構成されており、ヨーク23a,24aを取り付ける表面が平面71によって構成されている。また、
図12(B)に示すように、永久磁石23,24の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13,14に対向する側の輪郭72は円弧73によって構成されている。一方、
図12(C)に示すように、永久磁石23,24の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13,14に対向する側の輪郭74は直線75によって構成されている。なお、
図12(B)には、永久磁石24の長手方向の中央における断面輪郭が示されているが、長手方向の他の部位においても同様の断面輪郭が現れている。
【0033】
ここで、
図13(A)はホルダ組立体20および電磁コイル13,14を示す平面図であり、
図13(B)は
図13(A)のX2-X2線に沿うホルダ組立体20および電磁コイル14の断面図である。また、
図14は
図13(B)に示されるホルダ組立体20および電磁コイル13の一部を拡大して示す断面図である。なお、
図13(B)および
図14において、カメラモジュール12の内部構造については省略して図示している。
【0034】
図13(B)および
図14に示すように、永久磁石23の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13に対向する側の輪郭72には、ホルダ枠体16の回転中心C1を曲率中心とした円弧73が含まれている。つまり、永久磁石23の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13に対向する側の輪郭72には、曲率半径R1の円弧73が含まれている。さらに、換言すれば、
図13(A)に示すように、電磁コイル13に対向する永久磁石23の表面には、ホルダ枠体16の回転中心C1を通過する仮想直線L1を軸とする円弧面(回転面)70が含まれている。また、回転中心C1を通過する仮想直線L1は、カメラモジュール12の光軸Oaに直交している。
【0035】
このように、永久磁石23,24の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13,14に対向する側の輪郭72に円弧73が含まれている。また、電磁コイル13,14に対向する永久磁石23,24の表面に円弧面70が含まれている。これにより、
図9および
図10の拡大部分に示すように、ケース枠体15に対してホルダ枠体16が回転する場合であっても、永久磁石23と電磁コイル13との間隔G1,G2をほぼ一定に保持することができる。つまり、ホルダ枠体16の回転に伴って永久磁石23,24が上下に移動する場合であっても、電磁コイル13,14に対する永久磁石23,24の過度な接近を回避することができる。
【0036】
これにより、電磁コイル13,14と永久磁石23,24との間隔を狭めて設計することができ、永久磁石23,24に作用する推力を高めることができる。さらに、電磁コイル13,14と永久磁石23,24との間隔を狭めることができるため、永久磁石23,24の厚み寸法つまり体積を大きくして磁力を高めることができる。このように、永久磁石23,24つまりホルダ枠体16に作用する推力を高めることができるため、ホルダ枠体16の回転力を高めてカメラモジュール12のチルト角を拡大することができる。
【0037】
また、カメラモジュール12およびホルダ枠体16が回転する際には、永久磁石23,24と電磁コイル13,14との間隔がほぼ一定に保持されるため、永久磁石23,24に作用する推力を安定させることができる。これにより、ホルダ枠体16の回転動作を安定させることができるため、電磁コイル13,14の通電によってチルト角を制御する際の所謂リニアリティを改善することができ、ホルダ枠体16およびカメラモジュール12のチルト角を高精度に制御することができる。
【0038】
さらに、
図11および
図14に符号M1,M2で示すように、永久磁石23,24の上部や下部の角は丸められている。これにより、ホルダ枠体16のチルト角を拡大させた場合であっても、電磁コイル13,14に対する永久磁石23,24の接触を回避することができるため、ホルダ枠体16のチルト角の更なる拡大を達成することができる。なお、図示する例では、永久磁石23,24の角に丸面を形成しているが、これに限られることはなく、永久磁石23,24の角に斜面を形成しても良い。つまり、永久磁石23,24の角に対して、所謂R面取りを施しても良く、所謂C面取りを施しても良い。
【0039】
なお、本実施形態では、永久磁石23,24に関し、円弧73の曲率中心はホルダ枠体16の回転中心C1に一致し、円弧面70の軸である仮想直線L1はホルダ枠体16の回転中心C1を通過しているが、これに限られることはない。例えば、他の実施形態として、円弧73の曲率中心を回転中心C1にほぼ一致させても良く、円弧面70の軸である仮想直線L1を回転中心C1の近傍を通過させても良い。すなわち、
図9および
図10に示すように、永久磁石23と電磁コイル13との間隔G1,G2をほぼ一定に保持できれば、回転中心C1に対する円弧73の曲率中心のずれを許容することができ、回転中心C1に対する円弧面70の軸のずれを許容することができる。
【0040】
[永久磁石(実施例2)]
図11および
図12に示した例では、電磁コイル13に対向する永久磁石23,24の表面が、1つの円弧面70によって構成されているが、これに限られることはない。ここで、
図15は、実施例2の永久磁石80を示す正面図、平面図および右側面図である。また、
図16(A)は永久磁石80を示す斜視図であり、
図16(B)は
図15の16B-16B線に沿って永久磁石80を示す断面図であり、
図16(C)は
図15の16C-16C線に沿って永久磁石80を示す断面図である。なお、
図15に示した短手方向とは、正面図に示される永久磁石80の短手方向であり、カメラモジュール12の光軸Oaに平行な方向である。また、
図15に示した長手方向とは、正面図に示される永久磁石80の長手方向であり、短手方向に直交する方向である。さらに、
図15に示した厚み方向とは、右側面図に示される永久磁石80の厚み方向である。
【0041】
図15および
図16(A)に示すように、永久磁石80においては、厚み方向の一方の表面に円弧面81,82および平面83が形成されており、厚み方向の他方の表面に平面84が形成されている。つまり、電磁コイル13に対向する表面には、永久磁石の短手方向の一方に位置する第1円弧面81と、永久磁石の短手方向の他方に位置する第2円弧面82と、第1円弧面81と第2円弧面82との間に位置する平面83と、が含まれている。このように、永久磁石80においては、電磁コイル13に対向する表面が円弧面81,82および平面83によって構成されており、ヨーク23aを取り付ける表面が平面84によって構成されている。
【0042】
図16(B)に示すように、永久磁石80の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭85は円弧81a,82aおよび直線83aによって構成されている。一方、
図16(C)に示すように、永久磁石80の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭86は直線87によって構成されている。なお、
図16(B)には、永久磁石80の長手方向の中央における断面輪郭が示されているが、長手方向の他の部位においても同様の断面輪郭が現れている。
【0043】
また、
図13に示した永久磁石23と同様に、永久磁石80の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭85に含まれる円弧81a,82aは、ホルダ枠体16の回転中心C1を曲率中心として規定される円弧、つまり曲率半径R1の円弧である。さらに、
図13に示した永久磁石23と同様に、電磁コイル13(14)に対向する永久磁石80の表面に含まれる円弧面81,82は、ホルダ枠体16の回転中心C1を通過する仮想直線L1を軸とする回転面である。
【0044】
このように、永久磁石80の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭85に円弧81a,82aが含まれている。また、電磁コイル13(14)に対向する永久磁石80の表面に円弧面81,82が含まれている。これにより、前述した永久磁石23,24と同様に、ケース枠体15に対してホルダ枠体16が回転する場合であっても、永久磁石80と電磁コイル13(14)との間隔をほぼ一定に保持することができる。したがって、永久磁石80つまりホルダ枠体16に作用する推力を高めることができ、ホルダ枠体16の回転力を高めてカメラモジュール12のチルト角を拡大することができる。さらに、永久磁石80においては、電磁コイル13に対向する表面が円弧面81,82だけでなく平面83によって構成されている。これにより、製造過程における永久磁石80の取扱いを容易にすることができる。
【0045】
[永久磁石(実施例3)]
図11および
図12に示した例では、永久磁石23,24の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13,14に対向する側の輪郭72に円弧73が含まれているが、これに限られることはない。ここで、
図17は、実施例3の永久磁石90を示す正面図、平面図および右側面図である。また、
図18(A)は永久磁石90を示す斜視図であり、
図18(B)は
図17の18B-18B線に沿って永久磁石90を示す断面図であり、
図18(C)は
図17の18C-18C線に沿って永久磁石90を示す断面図である。なお、
図17に示した短手方向とは、正面図に示される永久磁石90の短手方向であり、カメラモジュール12の光軸Oaに平行な方向である。また、
図17に示した長手方向とは、正面図に示される永久磁石90の長手方向であり、短手方向に直交する方向である。さらに、
図17に示した厚み方向とは、右側面図に示される永久磁石90の厚み方向である。
【0046】
図17および
図18(A)に示すように、永久磁石90においては、厚み方向の一方の表面に円弧面91が形成されており、厚み方向の他方の表面に平面92が形成されている。つまり、永久磁石90においては、電磁コイル13(14)に対向する表面が円弧面91によって構成されており、ヨーク23aを取り付ける表面が平面92によって構成されている。また、
図18(B)に示すように、永久磁石90の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭93は直線94によって構成されている。一方、
図18(C)に示すように、永久磁石90の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭95は円弧91aによって構成されている。なお、
図18(C)には、永久磁石90の短手方向の中央における断面輪郭が示されているが、短手方向の他の部位においても同様の断面輪郭が現れている。
【0047】
ここで、
図19は永久磁石90を備えたホルダ組立体20および電磁コイル13,14を示す平面図である。
図19に示すように、永久磁石90の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13に対向する側の輪郭95には、ホルダ枠体16から外れた位置に設定される中心C2を曲率中心とした円弧91aが含まれている。つまり、永久磁石90の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13に対向する側の輪郭95には、曲率半径R2の円弧91aが含まれている。さらに、換言すれば、
図13(A)に示すように、電磁コイル13に対向する永久磁石90の表面には、所定の中心C2を通過する仮想直線L2を軸とする円弧面(回転面)91が含まれている。なお、中心C2を通過する仮想直線L2は、カメラモジュール12の光軸Oaに平行である。
【0048】
このように、永久磁石90の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13に対向する側の輪郭95に円弧91aが含まれている。また、電磁コイル13に対向する永久磁石90の表面に円弧面91が含まれている。これにより、
図19に矢印βで示すように、ジンバル17の撓み等によってホルダ枠体16が振れた場合であっても、永久磁石90と電磁コイル13(14)との間隔をほぼ一定に保持することができる。このように、ホルダ枠体16が振れた場合であっても、永久磁石90と電磁コイル13(14)との干渉を回避することができる。なお、ホルダ枠体16が光軸周りに回転する構造である場合には、永久磁石90の表面に対して回転中心C1を通過する光軸Oaを軸とする円弧面を形成しても良いことは言うまでもない。
【0049】
[永久磁石(実施例4)]
図11および
図12に示した例では、永久磁石23,24の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13,14に対向する側の輪郭72に円弧73が含まれているが、これに限られることはない。ここで、
図20は、実施例3の永久磁石100を示す正面図、平面図および右側面図である。また、
図21(A)は永久磁石100を示す斜視図であり、
図21(B)は
図20の21B-21B線に沿って永久磁石100を示す断面図であり、
図21(C)は
図20の21C-21C線に沿って永久磁石100を示す断面図である。なお、
図20に示した短手方向とは、正面図に示される永久磁石100の短手方向であり、カメラモジュール12の光軸Oaに平行な方向である。また、
図20に示した長手方向とは、正面図に示される永久磁石100の長手方向であり、短手方向に直交する方向である。さらに、
図20に示した厚み方向とは、右側面図に示される永久磁石100の厚み方向である。
【0050】
図20および
図21(A)に示すように、永久磁石100においては、厚み方向の一方の表面に円弧面101,102が形成されており、厚み方向の他方の表面に平面103が形成されている。つまり、永久磁石100においては、電磁コイル13(14)に対向する表面が円弧面101,102によって構成されており、ヨーク23aを取り付ける表面が平面103によって構成されている。また、
図21(B)に示すように、永久磁石100の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13,14に対向する側の輪郭104は円弧
(第1円弧)101aによって構成されている。さらに、
図21(C)に示すように、永久磁石100の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭105は円弧
(第2円弧)102aによって構成されている。
【0051】
また、
図13に示した永久磁石23と同様に、永久磁石100の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭104に含まれる円弧101aは、ホルダ枠体16の回転中心C1を曲率中心として規定される円弧、つまり曲率半径R1の円弧である。また、
図17に示した永久磁石90と同様に、永久磁石100の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭105に含まれる円弧102aは、所定中心C2を曲率中心として規定される円弧、つまり曲率半径R2の円弧である。さらに、
図13に示した永久磁石23と同様に、電磁コイル13(14)に対向する永久磁石100の表面に含まれる円弧面101は、ホルダ枠体16の回転中心C1を通過する仮想直線L1を軸とする回転面である。また、
図17に示した永久磁石90と同様に、電磁コイル13(14)に対向する永久磁石100の表面に含まれる円弧面102は、所定中心C2を通過する仮想直線L2を軸とする回転面である。
【0052】
このように、永久磁石100の短手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭104に円弧101aが含まれており、永久磁石100の長手方向に沿う断面輪郭のうち、電磁コイル13(14)に対向する側の輪郭105に円弧102aが含まれている。また、電磁コイル13(14)に対向する永久磁石100の表面に円弧面が含まれている。これにより、前述した永久磁石23,24と同様に、ケース枠体15に対してホルダ枠体16が回転する場合であっても、永久磁石100と電磁コイル13(14)との間隔をほぼ一定に保持することができる。よって、永久磁石100つまりホルダ枠体16に作用する推力を高めることができ、ホルダ枠体16の回転力を高めてカメラモジュール12のチルト角を拡大することができる。
【0053】
さらに、
図19に矢印βで示すように、ジンバル17の撓み等によってホルダ枠体16が振れた場合であっても、永久磁石100と電磁コイル13(14)との間隔をほぼ一定に保持することができる。このように、ホルダ枠体16が振れた場合であっても、永久磁石100と電磁コイル13(14)との干渉を回避することができる。なお、ホルダ枠体16が光軸周りに回転する構造である場合には、永久磁石100の表面に対して回転中心C1を通過する光軸Oaを軸とする円弧面を形成しても良いことは言うまでもない。
【0054】
[携帯型情報端末]
図22は本発明の一実施の形態である携帯型情報端末200を示す斜視図である。
図10に示すように、スマートフォンである携帯型情報端末200には、前述した光学装置10が設けられている。これまで説明したように、光学装置10には手振れ補正機構(アクチュエータ)50が組み込まれており、携帯型情報端末200を用いて動画や静止画を撮像する際には、カメラモジュール12を回転させて鮮明な動画や静止画を得ることができる。なお、携帯型情報端末200としては、図示するスマートフォンに限られることはなく、タブレット型PCやノート型PC等であっても良い。
【0055】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、カメラモジュール12は、ヨーイング方向又はピッチング方向の何れかの方向にのみ回転自在に支持されていても良い。また、カメラモジュール12は、ヨーイング方向、ピッチング方向および第3の方向(例えば、ローリング方向)に回転自在に支持されていても良い。また、光学モジュールとしてカメラモジュール12を例示しているが、これに限られることはない。
【0056】
前述の説明では、をスマートフォン等の携帯型情報端末200に光学装置10を組み込んでいるが、これに限られることはなく、例えばウェアラブルカメラに光学装置10を組み込んでも良い。また、前述の説明では、アクチュエータの一例として、回転対象物としてカメラモジュール12を回転させる手振れ補正機構50を挙げているが、これに限られることはない。例えば、分銅等のおもり部材(回転対象物)をホルダ枠体16に取り付け、おもり部材を回転させるアクチュエータに本発明を適用しても良い。
【0057】
前述の説明では、ホルダ枠体16に組み付けられる2つの永久磁石23,24を同形状に形成しているが、これに限られることはなく、永久磁石23と永久磁石24との形状を互いに相違させても良い。また、前述の説明では、電磁コイル13,14に対向する永久磁石23,24の表面に円弧面70を形成しているが、これに限られることはなく、電磁コイル13,14に対向する永久磁石23,24の表面に球面を形成しても良い。また、電磁コイル13,14に対向する永久磁石23,24の表面に対し、円弧面や球面を形成するだけでなく、他の曲面や平面を複合的に形成しても良い。
【0058】
図示する例では、電磁コイル(コイル)13,14として、電線を巻いた空芯コイルを用いているが、これに限られることはない。例えば、他の実施の形態として、導線がプリントされたプリント基板からなる基板コイルなど、他の種類のコイルを使用しても良い。
【符号の説明】
【0059】
10…光学装置、11…レンズ、12…カメラモジュール(光学モジュール,回転対象物)、12a…先端部、13,14…電磁コイル(コイル)、15…ケース枠体(ケース部材)、15a…一端面、15b…他端面、15s…ストッパ、16…ホルダ枠体、17…ジンバル、18…ストッパプレート、19…ボトムカバー、20…ホルダ組立体、21a~21d…ホルダ壁、22a,22b…磁石取付溝、23,24…永久磁石、23a,24a…ヨーク(磁性部材)、25,26…角部、25a,26a…軸受取付溝、27,28…ホルダ軸受、27a,28a…軸受本体部、27b,28b…ボール、30…ハウジング、31…電子回路基板、32…フレキシブルケーブル、33…ケース組立体、34a~34d…ケース壁、35…ケーブル収容部、36a,36b…コイル収容穴、37…配線基板、38,39…磁気センサ、40,41…角部、40a,41a…軸受取付溝、42,43…ケース軸受、42a,43a…軸受本体部、42b,43b…ボール、50…手振れ補正機構(アクチュエータ)、51…支持機構、52…駆動機構、61…環状本体部、62…開口部、63~66…アーム部、63a~66a…凹部、70…円弧面(回転面)、71…平面、72…輪郭(断面輪郭)、73…円弧、74…輪郭、75…直線、80…永久磁石、81…円弧面(第1円弧面)、81a…円弧、82…円弧面(第2円弧面)、82a…円弧、83…平面、83a…直線、84…平面、85…輪郭(断面輪郭)、86…輪郭、87…直線、90…永久磁石、91…円弧面(回転面)、91a…円弧、92…平面、93…輪郭、94…直線、95…輪郭(断面輪郭)、100…永久磁石、101,102…円弧面(回転面)、101a,102a…円弧、103…平面、104,105…輪郭(断面輪郭)、200…携帯型情報端末、Oa…光軸、A1,A2…回転軸、C1…回転中心、C2…中心、L1,L2…仮想直線、R1,R2…曲率半径、F1a,F2a…推力、G1,G2…間隔