(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/76 20170101AFI20250123BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20250123BHJP
B60Q 3/60 20170101ALI20250123BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20250123BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20250123BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20250123BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250123BHJP
【FI】
B60Q3/76
B60Q3/54
B60Q3/60
F21V23/06
F21V7/00 320
F21W106:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021045429
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118439(JP,A)
【文献】特開2018-069912(JP,A)
【文献】特開2020-025207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/76
B60Q 3/54
B60Q 3/60
F21V 23/06
F21V 7/00
F21W 106/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の意匠面に沿うように配置可能な前縁部を有し、前記前縁部から奥行き方向に沿って延びるハウジングと、
前記ハウジングの内部に固定され、前記奥行き方向に対して前記奥行き方向に垂直な幅方向に傾斜した第1の光軸に沿って光を出射可能な第1の光源と、
前記ハウジングの内部に固定され、前記第1の光軸と平行な第2の光軸に沿って光を出射可能な第2の光源であって、前記第1の光源と前記奥行き方向及び前記幅方向に揃えられ、
高さ方向に異なる位置に配置される第2の光源と、
前記ハウジングの内部に固定され、前記第1の光源の前記第1の光軸を取り囲むように形成される筒状の第1の反射面と、前記第2の光源の前記第2の光軸を取り囲むように形成される筒状の第2の反射面とを有するリフレクタと
を備え、
前記第1の光源と前記第2の光源とは前記高さ方向において互いに
隣接して並んで配置され、前記第1の反射面と前記第2の反射面とは前記高さ方向において互いに連結される、
照明装置。
【請求項2】
前記リフレクタの前記第1の反射面は、前記第1の光源から前記第1の光軸に沿って次第に外側に広がるように形成され、前記第2の反射面は、前記第2の光源から前記第2の光軸に沿って次第に外側に広がるように形成される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の光軸及び前記第2の光軸は、前記高さ方向に垂直な平面に沿って延びる、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記奥行き方向に沿って相手方コネクタを挿入可能なコネクタをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に係り、特に自動車などの車室内を照明する照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの事故を防止するため、運転者を照明する照明装置と運転者を撮像するカメラとを設けて運転者の状態をモニタリングすることがなされている。このような照明装置は、自動車の構造上、運転席の正面からずれた位置に配置されることが一般的である。このため、従来の照明装置は、光源を収容したハウジングを車室の意匠面から突出させ、このハウジングを運転席側に向けることで運転席を効率的に照明するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、このような照明装置を車室の意匠面に埋め込んでデザイン的一体感を高めたいという要望もある。しかしながら、車室の意匠面は運転席に対面していないことが多く、従来の照明装置を車室の意匠面に沿って設置すると、光源が運転席とは異なる方向を向いてしまい、運転席を効率的に照明できなくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、車室の意匠面とのデザイン的一体性を高めるとともに照明領域を効果的に照明することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、車室の意匠面とのデザイン的一体性を高めるとともに照明領域を効果的に照明することができる照明装置が提供される。この照明装置は、車室の意匠面に沿うように配置可能な前縁部を有し、上記前縁部から奥行き方向に沿って延びるハウジングと、上記ハウジングの内部に固定され、上記奥行き方向に対して上記奥行き方向に垂直な幅方向に傾斜した第1の光軸に沿って光を出射可能な第1の光源と、上記ハウジングの内部に固定され、上記第1の光軸と平行な第2の光軸に沿って光を出射可能な第2の光源であって、上記第1の光源と上記奥行き方向及び上記幅方向に揃えられ、高さ方向に異なる位置に配置される第2の光源と、上記ハウジングの内部に固定され、上記第1の光源の上記第1の光軸を取り囲むように形成される筒状の第1の反射面と、上記第2の光源の上記第2の光軸を取り囲むように形成される筒状の第2の反射面とを有するリフレクタとを備え、上記第1の光源と上記第2の光源とは上記高さ方向において互いに隣接して並んで配置され、上記第1の反射面と上記第2の反射面とは上記高さ方向において互いに連結される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における照明装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す照明装置が収容される部分の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す照明装置をX方向中央部で切断したときの断面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示す照明装置を矢印90に沿って見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る照明装置の実施形態について
図1から
図8を参照して詳細に説明する。
図1から
図8において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図8においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態における照明装置10を示す斜視図である。例えば自動車の運転者の状態(注意力の低下や居眠りの兆候など)をモニタリングするドライバモニタリングシステム(DMS)においては、カメラで運転者を撮像する際に赤外線光などの光で運転者を照明することがある。本実施形態では、照明装置10がこのようなドライバモニタリングシステムにおいて用いられる照明装置であるものとして説明するが、本発明に係る照明装置は他の用途にも用いることが可能であることは言うまでもない。なお、本実施形態では、便宜的に、
図1における+Y方向を「前」又は「前方」といい、-Y方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0010】
例えば、照明装置10は、
図2に示すように、自動車の運転席Dと助手席Pとの間のインストルメントパネル(センタクラスタ)1に埋め込まれるものであり、本実施形態における照明装置10は、運転席D寄りの位置にある意匠面Sと一体になるように配置される(収容される)。この照明装置10から例えば赤外線などを運転席Dに向かって照射し、図示しないカメラによって運転者を撮像し、運手者の状態を分析する。
【0011】
図3は、照明装置10の分解斜視図、
図4は、照明装置10をX方向中央部で切断したときの断面図である。
図4においては、理解を容易にするために一部の要素を省略又は簡略化して図示している。
図1、
図3、及び
図4に示すように、照明装置10は、前方に略円形の開口11が形成されたフロントケース12と、フロントケース12の前方に配置される可視光カットフィルタ14と、フロントケース12の内部空間に収容されるリフレクタ20と、リフレクタ20の後部に取り付けられるLED基板30と、後方に延びるコネクタ40を有するコネクタ基板42と、前方にコネクタ40を受け入れる開口51が形成されたリアケース50とを有している。本実施形態では、フロントケース12とリアケース50とによって、フロントケース12の前縁部12AからY方向(奥行き方向)に沿って延びるハウジング60が構成されている。フロントケース12の前縁部12A及び可視光カットフィルタ14は、上述したインストルメントパネル1の意匠面Sに沿うように配置される。
【0012】
可視光カットフィルタ14は、両面テープ15(
図3においては図示を省略)によってフロントケース12の前面12Bに固定されている。また、リフレクタ20はネジ16によりフロントケース12内に固定されている。LED基板30はネジ22によりリフレクタ20に固定されている。リアケース50はネジ52によりフロントケース12に固定されている。
【0013】
LED基板30は、2つのLED(発光ダイオード)31,32を含んでおり、本実施形態においてはこれら2つのLED31,32がZ方向(高さ方向)に並んでいる。コネクタ基板42には、コネクタ40内のピン41(
図4参照)と電気的に接続される接点44が形成されており、それぞれの接点44にはリード線46の一端46Aが接続されている。リード線46の他端46Bは、LED31,32と電気的に接続されるLED基板30上の接点(図示せず)に接続されている。
【0014】
図4に示すように、リアケース50の後端面にはコネクタ40が露出しており、リアケース50の後方から+Y方向に向かって相手方コネクタ(図示せず)をコネクタ40に挿入できるようになっている。このような構成により、相手方コネクタをコネクタ40に挿入する際に、相手方コネクタを傾けることなく、+Y方向(奥行き方向)に沿って真っ直ぐコネクタ40に挿入することができる。したがって、コネクタ同士を連結する作業のために大きなスペースが必要とならない。
【0015】
図5は、
図4のA-A線断面図、
図6は、
図4のB-B線断面図、
図7は、
図5のC-C線断面図、
図8は、
図6に示す照明装置を矢印90に沿って見たときの図であり、可視光カットフィルタ14を取り外した状態を示している。
図5から
図7においても、理解を容易にするために一部の要素を省略又は簡略化して図示している。
図5及び
図6に示すように、LED31,32の光軸31A,32Aは、光が運転席Dに向かうように、Y方向(奥行き方向)に対して+X方向(幅方向)に角度θだけ傾斜している。
【0016】
リフレクタ20は、LED31,32の光軸31A,32Aを取り囲むように形成された反射面25を有している。
図4から
図7に示すように、この反射面25は、LED31,32から光軸31A,32Aに沿って次第に外側に広がるように形成されている。このように反射面25を形成することで、LED31,32からの光を集光してより効果的に運転席Dを照明することができる。
【0017】
このように、本実施形態においては、フロントケース12の前縁部12A及び可視光カットフィルタ14を意匠面Sに沿って配置するとともに、ハウジング60全体を傾斜させずにY方向(奥行き方向)に沿って配置することができる。したがって、照明装置10をインストルメントパネル1に埋め込む際に、X方向(幅方向)やZ方向(高さ方向)については大きなスペースが必要とされない。また、Y方向に対して+X方向に傾斜した光軸31A,32Aに沿って光が出射されるので、意匠面Sに正対しない運転席D(照明領域)に向けて光を効果的に照射して照明することができる。このように、本実施形態における照明装置10によれば、車室Fの意匠面Sとのデザイン的一体性を高めるとともに運転席D(照明領域)を効果的に照明することができる。
【0018】
また、本実施形態では、2つのLED31,32を用いているので、運転席D(照明領域)を照明する光のパワーを高めることができる。また、これらのLED31,32がZ方向(高さ方向)に並べられているため、それぞれのLED31,32の高さにおけるリフレクタ20の反射面25の長さを略同一にすることができる。すなわち、
図5に示すLED31の高さにおけるリフレクタ20の反射面25A,25Bの長さを
図6に示すLED32の高さにおけるリフレクタ20の反射面25C,25Dの長さとそれぞれ略同一にすることができる。したがって、これらのLED31,32からの光を同じように長いリフレクタ20の反射面25を使って効果的に集光して運転席Dを照明することができる。
【0019】
上述の実施形態では、照明装置10の光源として2つのLED31,32を用いているが、光源の数は2つに限られるものではなく、任意の数の光源を用いることができる。また、光源の種類もLEDに限られるものではない。
【0020】
また、上述の実施形態では、フロントケース12とリフレクタ20とが別部材として設けられているが、例えば一体成型などによりリフレクタ20の形状をフロントケース12の内部に形成してフロントケース12とリフレクタ20とを一体化してもよい。
【0021】
また、上述の実施形態では、照明装置10が運転席Dの側方に配置される例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、照明装置10を運転席Dの上方に配置してもよい。また、照明装置10が照明する照明領域も運転席Dに限られるものではなく、目的に応じて車室内の様々な領域を照明するように照明装置10を構成することができる。この場合において、上述した「奥行き方向」、「幅方向」、「高さ方向」、「前」、「後」などの位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、照明装置10の位置や姿勢が変われば、それに応じてこれらの用語が意味する方向も変化する。
【0022】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、車室の意匠面とのデザイン的一体性を高めるとともに照明領域を効果的に照明することができる照明装置が提供される。この照明装置は、車室の意匠面に沿って配置可能な前縁部を有し、奥行き方向に沿って延びるハウジングと、上記ハウジングの内部に収容され、上記奥行き方向に対して上記奥行き方向に垂直な幅方向に傾斜した光軸に沿って光を出射可能な少なくとも1つの光源と、上記ハウジングの内部に収容され、上記少なくとも1つの光源の上記光軸を取り囲むように形成される反射面を有するリフレクタとを備える。
【0023】
このような構成によれば、ハウジングの前縁部を意匠面に沿って配置するとともに、ハウジング全体を傾斜させずに奥行き方向に沿って配置することができるので、幅方向や高さ方向については意匠面の内部で大きなスペースが必要とされない。また、奥行き方向から幅方向に傾斜した光軸に沿って光が出射されるので、意匠面に正対しない照明領域(例えば運転席)に向けて光を効率的に照射して照明することができる。したがって、本発明に係る照明装置によれば、車室の意匠面とのデザイン的一体性を高めるとともに、照明領域を効果的に照明することができる。
【0024】
上記リフレクタの上記反射面は、上記少なくとも1つの光源から上記光軸に沿って次第に外側に広がるように形成されることが好ましい。このような構成により、光源からの光を集光してより効果的に照明領域を照明することができる。
【0025】
上記少なくとも1つの光源は、上記奥行き方向及び上記幅方向の双方に垂直な高さ方向に並べられた複数の光源を含むことが好ましい。複数の光源を用いることで照明領域を照明する光のパワーを高めることができるとともに、それぞれの光源の高さにおけるリフレクタの反射面の長さを略同一にすることができるので、複数の光源からの光を同じように長いリフレクタの反射面を使って効果的に集光して照明領域を照明することができる。
【0026】
上記照明装置は、上記奥行き方向に沿って相手方コネクタを挿入可能なコネクタをさらに備えることが好ましい。このようなコネクタにより、相手方コネクタを傾けることなく、奥行き方向に沿って真っ直ぐコネクタに挿入することができるので、コネクタ同士を連結する作業のために大きなスペースが必要とならない。
【0027】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
1 インストルメントパネル
10 照明装置
12 フロントケース
12A 前縁部
14 可視光カットフィルタ
15 両面テープ
20 リフレクタ
25 反射面
30 LED基板
31,32 LED
31A,32A 光軸
40 コネクタ
42 コネクタ基板
46 リード線
50 リアケース
60 ハウジング
D 運転席
F 車室
S 意匠面