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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電解水生成器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20250123BHJP
   C25B 1/01 20210101ALI20250123BHJP
   C25B 1/26 20060101ALI20250123BHJP
   C25B 9/60 20210101ALI20250123BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C25B1/01 Z
C25B1/26 C
C25B9/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021133456
(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公開番号】P2023028021
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 昌隆
【審査官】黒木 花菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118241(JP,A)
【文献】登録実用新案第3174882(JP,U)
【文献】特開2011-177321(JP,A)
【文献】特開2017-106094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/461
C25B 1/26
C25B 1/01
C25B 9/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸および銀イオンの両方を含む電解水が生成可能な容器状の電解水生成器であって、
容器底部に配置され、次亜塩素酸を生成するための次亜塩素酸用電極と、
前記容器底部に配置され、銀イオンを生成するための銀イオン用電極と、
容器内部で前記次亜塩素酸用電極および前記銀イオン用電極の上部に位置決め固定され、液体および気体を通過可能な電極カバーとを有しており、
前記電極カバーは、位置決め固定された状態で、前記次亜塩素酸用電極の真上に配置される底面部と、前記底面部の周囲で外縁側に向かって高くなる傾斜部とを有していることを特徴とする電解水生成器。
【請求項2】
請求項1に記載の電解水生成器であって、
前記電極カバーの底面部の平面視における外形形状は、前記次亜塩素酸用電極の外形形状と同じか、もしくは前記次亜塩素酸用電極の外形形状よりも小さくされることを特徴とする電解水生成器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電解水生成器であって、
前記次亜塩素酸用電極は、正電極と負電極とが対向しない電極非対向領域を有しており、
前記電極カバーに底面部には、前記電極非対向領域に対応して凸部が設けられていることを特徴とする電解水生成器。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の電解水生成器であって、
前記銀イオン用電極を前記次亜塩素酸用電極よりも上方に配置していることを特徴とする電解水生成器。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の電解水生成器であって、
容器内の内周側面に所定の水量を示す水量目安ラインが設けられていることを特徴とする電解水生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸および銀イオンの両方を含む電解水が生成可能な電解水生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容器内の電極に電流を流すことによって次亜塩素酸水や銀イオン水などの電解水を生成することのできる電解水生成器が製品化されている。特許文献1には、水道水に塩化ナトリウムの錠剤を投入して電気分解を行うことで次亜塩素酸水を生成する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-63054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、水道水に塩化ナトリウムの錠剤を投入し、塩化ナトリウム水溶液とした後で電気分解を行うものとされている。しかしながら、使用者によっては、錠剤を投入した後、この錠剤が溶けきる前に装置をONして電気分解を開始することが考えられる。このような場合、錠剤が溶けきる前であっても、効率よく次亜塩素酸を生成できるようにすることが好ましい。
【0005】
また、電解水生成器において次亜塩素酸および銀イオンの両方を生成可能とする場合、次亜塩素酸生成用の電極(次亜塩素酸用電極)と銀イオン生成用の電極(銀イオン用電極)との両方を備える必要があるが、錠剤から溶け出した塩化ナトリウムによる銀イオン用電極に対する悪影響(例えば、塩化銀の発生)の発生を抑制することが好ましい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、次亜塩素酸の電解効率が高く、かつ、塩化ナトリウムによる銀イオン用電極に対する悪影響を抑制することのできる電解水生成器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の電解水生成器は、次亜塩素酸および銀イオンの両方を含む電解水が生成可能な容器状の電解水生成器であって、容器底部に配置され、次亜塩素酸を生成するための次亜塩素酸用電極と、前記容器底部に配置され、銀イオンを生成するための銀イオン用電極と、容器内部で前記次亜塩素酸用電極および前記銀イオン用電極の上部に位置決め固定され、液体および気体を通過可能な電極カバーとを有しており、前記電極カバーは、位置決め固定された状態で、前記次亜塩素酸用電極の真上に配置される底面部と、前記底面部の周囲で外縁側に向かって高くなる傾斜部とを有していることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、電解水生成器において次亜塩素酸の生成を行うために塩化ナトリウムの錠剤を投入して電気分解を行う際、この錠剤が電極カバーの底面部に載ることで、錠剤を次亜塩素酸用電極の真上にて保持することができる。この状態で次亜塩素酸用電極に電流を流し電気分解を開始すると、次亜塩素酸用電極において気泡が発生し、発生した気泡は電極カバーを通過して錠剤に当たり、塩化ナトリウムの溶解を促進させる。これにより、次亜塩素酸用電極の周囲で溶解した塩化ナトリウムの濃度が高くなり、次亜塩素酸の電解効率を高めることができる。
【0009】
さらに、電極カバーは、塩化ナトリウムの錠剤を銀イオン用電極の上には配置させない作用も有する。これにより、溶解した塩化ナトリウムの濃度が銀イオン用電極の周囲で高くなることを抑制し、溶解した塩化ナトリウムによる銀イオン用電極に対する悪影響を抑制できる。
【0010】
また、上記電解水生成器では、前記電極カバーの底面部の平面視における外形形状は、前記次亜塩素酸用電極の外形形状と同じか、もしくは前記次亜塩素酸用電極の外形形状よりも小さくされる構成とすることができる。
【0011】
上記の構成によれば、底面部の上に載った塩化ナトリウムの錠剤を、次亜塩素酸用電極の真上にて確実に保持し、銀イオン用電極の上には配置させないようにすることができる。
【0012】
また、上記電解水生成器では、前記次亜塩素酸用電極は、正電極と負電極とが対向しない電極非対向領域を有しており、前記電極カバーに底面部には、前記電極非対向領域に対応して凸部が設けられている構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、電極カバーの底面部に凸部を設けることで、次亜塩素酸用電極において気泡の発生しにくい電極非対向領域の真上に塩化ナトリウムの錠剤が載ることを回避できる。
【0014】
また、上記電解水生成器は、前記銀イオン用電極を前記次亜塩素酸用電極よりも上方に配置している構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、溶出した銀イオンが銀イオン用電極の下方の空間に溜まって、銀イオン用電極の銀電極間で銀イオン濃度が高くなることを抑制でき、銀イオン用電極での電解効率を向上させることができる。また、銀イオン用電極を次亜塩素酸用電極からさらに離すことができ、(銀電極が次亜塩素酸の塩素と結合してなる)塩化銀の生成を防止することができる。
【0016】
また、上記電解水生成器は、容器内の内周側面に所定の水量を示す水量目安ラインが設けられている構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、塩化ナトリウムの錠剤の投入時に、設定された濃度を得ることができる所定の水量を容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電解水生成器は、電極カバーによって塩化ナトリウムの錠剤を次亜塩素酸用電極の真上にて保持することができ、次亜塩素酸の電解効率を高めたり、溶解した塩化ナトリウムによる銀イオン用電極に対する悪影響を抑制したりすることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示すものであり、電解水生成器の外観を示す斜視図である。
図2】電解水生成器において蓋を外した状態での平面図である。
図3図2からさらに電極カバーを外した状態を示す平面図である。
図4】電解水生成器の内部構成を示す模式図である。
図5】電極カバーの斜視図である。
図6】実施の形態に係る電解水生成器において、容器底部付近における次亜塩素酸用電極、銀イオン用電極および電極カバーの配置例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1に係る電解水生成器10の外観を示す斜視図である。図2は、電解水生成器10において蓋12を外した状態での平面図である。図3は、図2からさらに電極カバー15を外した状態を示す平面図である。
【0021】
図1に示すように、電解水生成器10は、容器本体11と蓋12とを備えた容器状の装置であり、蓋12を外して容器本体11に水を注ぎ、電気分解によって電解水を生成することができる。電解水生成器10は、比較的大容量であり、大量の電解水を生成できるものとなっているが、電解水生成器10から電解水を対象物に直接噴霧するような使用方法は想定されていない。すなわち、電解水生成器10は、生成した電解水を容量の小さな個別の噴霧器に移し替えて使用することが想定されている。このため、電解水生成器10は、容器本体11において注ぎ口111および取っ手112を有している。注ぎ口111および取っ手112は、容器本体11の平面視において互いに反対側となるように配置されている。
【0022】
また、電解水生成器10の上面には各種操作ボタンを備えた操作部113が設けられており、電解水生成器10の側面下部には、電源コードを着脱可能に接続するためのプラグ差込口114が設けられている。
【0023】
電解水生成器10の容器底部(容器内面における底部)には、図3に示すように、電解液を生成するための電極として、次亜塩素酸を生成するための次亜塩素酸用電極13と、銀イオンを生成するための銀イオン用電極14とが配置されている。次亜塩素酸用電極13は、円環状の正電極と負電極とが互いに入り組むように配置されている。一方、銀イオン用電極14は、1対の平板状の銀電極が対向配置されており、それぞれの銀電極は容器底部と平行に長手方向を有している。また、図2に示すように、次亜塩素酸用電極13および銀イオン用電極14の上部には、電極カバー15が配置されるようになっている。
【0024】
電解水生成器10は、基本的には、次亜塩素酸および銀イオンの両方を同時に生成する運転モードを有するが、さらに、次亜塩素酸および銀イオンの一方を単独で生成する運転モードを有していてもよい。すなわち、次亜塩素酸用電極13および銀イオン用電極14は、両方同時に電流印加可能であり、さらに、何れか一方の電極のみに電流印加可能であってもよい。
【0025】
図4は、電解水生成器10の内部構成(蓋12は図示省略)を示す模式図である(電極カバー15は図示省略)。電解水生成器10の内部には、電解水生成器10の全体を制御する制御回路16や、次亜塩素酸用電極13や銀イオン用電極14への印加電流を生成する電源回路17が備えられる。本実施の形態1に係る電解水生成器10では、制御回路16は容器本体11内の上部(操作部113の下方)に配置され、電源回路17は容器本体11内の下部に配置される。また、制御回路16と電源回路17とを接続する(あるいは、プラグ差込口114と制御回路16とを接続する)接続配線18は、取っ手112の内部に収容される。これにより、電解水生成器10は、取っ手112の空間を有効利用でき、電解水生成器10の小型化を図ると共に、電解水生成器10のデザイン性を高めることもできる。
【0026】
取っ手112は、アルミやカーボン素材などの押出成形品を使用することができる。また、取っ手112は、内部に接続配線18を収容する中空部材とされるため、形状的に強度の高い円柱状(もしくは楕円柱状)とされることが好ましい。
【0027】
電解水生成器10において次亜塩素酸を生成する場合は、水道水に塩化ナトリウムを主成分とする(さらにph調整剤などを含む)錠剤(以下、塩化ナトリウム錠剤)を投入し、次亜塩素酸用電極13に電流を流して電気分解を行う。銀イオンを生成する場合は、銀イオン用電極14に交流電流を印加することで、銀電極から銀イオンが溶出する。
【0028】
尚、塩化ナトリウム錠剤は、所定量の水道水に投入されることで溶解時に設定された濃度を得ることができるものである。このため、電解水生成器10においては、所定の水量を示す水量目安ラインL(図4参照)が、容器内の内周側面に設けられていることが好ましい。また、水量目安ラインLは、容器内径を不連続に変化させる段差として形成されており、水量目安ラインLよりも下側の容器の内周側面の方を、水量目安ラインLよりも上側の容器の内周側面よりも内側に張出させて段差を形成していることが好ましい(図4参照)。これにより、容器の内周側面に印刷などを施さずとも、容器製造時の金型にこの段差を設けるだけで水量目安ラインLを形成できる。
【0029】
次亜塩素酸を生成する場合、投入した塩化ナトリウム錠剤を完全に溶解させてから次亜塩素酸用電極13による電気分解を行ってもよいが、電解水生成器10では、投入した塩化ナトリウム錠剤が溶けきる前に電気分解を行っても効率よく次亜塩素酸を生成できるようになっている。
【0030】
具体的には、電解水生成器10は、次亜塩素酸用電極13および銀イオン用電極14の上部に、すり鉢状に形成され、かつ多数のスリットを有する電極カバー15を配置するものとなっている。図5は、電極カバー15の斜視図である。また、図2において、電極カバー15のスリットを介して見える下方の部材(次亜塩素酸用電極13、銀イオン用電極14など)は図示を省略している。尚、電極カバー15は、液体や気体を通過させることのできる構成であればよく、多数のスリットを有する代わりに、例えばメッシュ状に形成されていてもよい。
【0031】
電極カバー15は、位置決め穴153にネジを通し、容器底部のネジ穴115(図3参照)に対してネジ止めすることにより、容器本体11に位置決めして固定できるようになっている。電極カバー15は、略円形状であり容器本体11への固定時にほぼ水平面となる底面部151と、底面部151の周囲で外縁側に向かって高くなる傾斜部152とを有している。また、電極カバー15は、容器本体11に位置決めされた状態で、底面部151を次亜塩素酸用電極13の真上に配置させる。
【0032】
電解水生成器10の容器内部に次亜塩素酸生成用の塩化ナトリウム錠剤を投入した場合、この塩化ナトリウム錠剤が電極カバー15の傾斜部152の上に落ちても傾斜に沿って滑り落ち、最終的には必ず底面部151の上に載るようになっている。すなわち、電極カバー15は、塩化ナトリウム錠剤を次亜塩素酸用電極13の真上にて保持することができる。また、電極カバー15は、底面部151の上に塩化ナトリウム錠剤を載せることで、塩化ナトリウム錠剤と次亜塩素酸用電極13との距離も適切に保持できる。
【0033】
塩化ナトリウム錠剤が電極カバー15の底面部151の上に載った状態で次亜塩素酸用電極13に電流を流し電気分解を開始すると、次亜塩素酸用電極13において気泡が発生する。発生した気泡は、上昇して電極カバー15のスリットを通過して塩化ナトリウム錠剤に当たり、塩化ナトリウム錠剤の溶解を促進させる。これにより、次亜塩素酸用電極13の周囲で溶解した塩化ナトリウム(すなわち、塩化物イオンおよびナトリウムイオン)の濃度が高くなり、次亜塩素酸の電解効率を高めることができる。
【0034】
また、電極カバー15によって塩化ナトリウム錠剤を次亜塩素酸用電極13の真上に配置させる構成は、言い換えれば、塩化ナトリウム錠剤を銀イオン用電極14の上には配置させない構成であるとも言える。このため、塩化ナトリウム錠剤が溶解しても、銀イオン用電極14の周囲で溶解した塩化ナトリウムの濃度が高くなることによる悪影響を抑制できる。例えば、塩化ナトリウム錠剤が溶解して発生する塩化物イオンが銀電極に反応して塩化銀を発生することを抑制できる。あるいは、塩化ナトリウム錠剤の溶解によって銀イオン用電極14の周囲でイオン濃度が不均一となり、銀電極からの銀イオンの溶出にばらつきが発生することを抑制できる。
【0035】
尚、銀イオン用電極14における銀電極の長手方向は、図3に示すように、次亜塩素酸用電極13の外周円の接線方向と平行となるように配置されることが好ましい。これは、次亜塩素酸用電極13と銀イオン用電極14とを電解水生成器10の容器底部に効率よく配置できる構成でもあるが、これに加えて銀電極の不均一な溶出を回避するための構成でもある。すなわち、上述の配置とした場合、銀電極と次亜塩素酸用電極13との距離は銀電極のほぼ全体で等しくなる。これにより、次亜塩素酸用電極13の真上に配置される塩化ナトリウム錠剤を溶解させながら銀イオンの生成も行う場合、塩化ナトリウム錠剤の溶解によるイオン濃度の不均一が銀電極の長手方向に沿って生じにくくなり、銀電極からの銀イオンの溶出にばらつきが発生しにくくなる。
【0036】
電極カバー15の底面部151の平面視における外形形状は、次亜塩素酸用電極13の外形形状とほぼ同じか、もしくは次亜塩素酸用電極13の外形形状よりも小さくされる。これにより、底面部151の上に載った塩化ナトリウム錠剤を、次亜塩素酸用電極13の真上にて確実に保持し、銀イオン用電極14の上には配置させないようにすることができる。また、次亜塩素酸用電極13よりも底面部151を小さくする場合には、次亜塩素酸用電極13と底面部151とを平面視で同心配置するのではなく、底面部151が銀イオン用電極14からできるだけ遠ざかるように配置してもよい。
【0037】
また、次亜塩素酸用電極13は、場所によっては電流印加時に気泡の発生しにくい箇所がある。図3に示す例の次亜塩素酸用電極13では、中心部において正電極と負電極とが対向しない電極非対向領域があり、この電極非対向領域で気泡は発生しにくい。このような場合、電極カバー15の底面部151においては、次亜塩素酸用電極13の電極非対向領域に対応させて凸部154(図5参照)を設けてもよい。電極カバー15に凸部154を設けることで、次亜塩素酸用電極13において気泡の発生しにくい電極非対向領域の真上に塩化ナトリウム錠剤が載ることを回避できる。
【0038】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、次亜塩素酸用電極13および銀イオン用電極14を容器底部においてほぼ同じ高さに配置している。これに対し、本実施の形態2に係る電解水生成器10は、銀イオン用電極14を次亜塩素酸用電極13よりも上方に(高い位置に)配置している。図6は、本実施の形態2に係る電解水生成器10において、容器底部付近における次亜塩素酸用電極13、銀イオン用電極14および電極カバー15の配置例を示す断面図である。
【0039】
図6に示すように、銀イオン用電極14を高い位置に配置することで、銀イオン用電極14の下方に空間Sを設けることができる。尚、銀イオン用電極14は、電極カバー15に対して傾斜部152の下方に配置されるため、銀イオン用電極14を高い位置に配置しても、電極カバー15に関しては実施の形態1と同様の構成および配置とすることができる。
【0040】
ここで、銀イオン用電極14の下方に空間Sがなければ、溶出した銀イオンが銀イオン用電極14の銀電極間に滞留し、銀電極間のみで銀イオン濃度が高くなるため、さらなる銀イオンの溶出が起こりにくくなることが考えられる。その結果、電解水生成器10の容器全体では銀イオン濃度が上がりにくく、銀イオン用電極14での電解効率(銀イオンの生成効率)が低下することが起こりうる。
【0041】
これに対し、銀イオン用電極14を高い位置に配置し、銀イオン用電極14の下方に空間Sを設ければ、溶出した銀イオンは銀イオン用電極14の下方の空間Sに流れ、銀電極間で銀イオン濃度が高くなることを抑制できる。その結果、さらなる銀イオンの溶出を起こりやすくすることができ、電解水生成器10の容器全体でも銀イオン濃度が上がりやすくなる。すなわち、銀イオン用電極14での電解効率(銀イオンの生成効率)を向上させることができる。
【0042】
また、銀イオン用電極14を次亜塩素酸用電極13よりも上方に配置することで、銀イオン用電極14を次亜塩素酸用電極13からさらに離すことができ、銀イオン用電極14の銀電極が次亜塩素酸の塩素と結合すること(すなわち、塩化銀の生成)を防止することができる。
【0043】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0044】
10 電解水生成器
11 容器本体
111 注ぎ口
112 取っ手
113 操作部
114 プラグ差込口
115 ネジ穴
12 蓋
13 次亜塩素酸用電極
14 銀イオン用電極
15 電極カバー
151 底面部
152 傾斜部
153 位置決め穴
154 凸部
16 制御回路
17 電源回路
18 接続配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6