(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】浄化器において汚水を循環させるプロペラおよび撹拌機
(51)【国際特許分類】
B01F 27/91 20220101AFI20250123BHJP
B01F 35/40 20220101ALI20250123BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20250123BHJP
B63H 1/20 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B01F27/91
B01F35/40
C02F1/00 A
B63H1/20 Z
(21)【出願番号】P 2021565035
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 EP2020061863
(87)【国際公開番号】W WO2020225049
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】102019111492.6
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509233585
【氏名又は名称】インベント ウムウェルト- ウント フェルファーレンステヒニック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘフケン・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハグスピエル・トーマス
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-058568(JP,U)
【文献】実開昭63-152635(JP,U)
【文献】国際公開第2017/108255(WO,A2)
【文献】特表2010-535611(JP,A)
【文献】米国特許第04456382(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F
C02F
B63H 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在する駆動外形を有する軸に、締め付けによって固定されるプロペラであって、
前記プロペラが、
少なくとも3つの要素(A、B、C、D)からなり、
各要素(A、B、C、D)が、前記駆動外形に対応する嵌合外形(2)を有するハブ部(1)を有し、
第1接続部(3)と前記第1接続部(3)から延在するプロペラ羽根(4)とが前記ハブ部(1)の一方側に成形され、第2接続部(5)が前記ハブ部(1)の他方側に成形され、
前記第1接続部(3)が、隣接する前記要素(A、B、C、D)の前記第2接続部(5)を連結して支えるように設計され、
前記接続部(3、5)により支え合う前記要素(A、B、C、D)が接続されると、すべての前記要素(A、B、C、D)の前記ハブ部(1)が組み合わさって、前記軸を連結して囲むハブを形成する、プロペラであり、
前記第1接続部(3)が少なくとも2つの第1孔(8)を有することを特徴とする、プロペラ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロペラにおいて、前記軸がスプライン軸である、プロペラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロペラにおいて、前記プロペラが
、ちょうど4つの要素(A、B、C、D
)からなる、プロペラ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のプロペラにおいて、前記第1孔(8)が、ねじ孔として形成された、プロペラ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロペラにおいて、前記第2接続部(5)が、ねじの通過用に、前記第1孔(8)に対応する少なくとも2つの第2孔(9)を有する、プロペラ。
【請求項6】
浄化器において汚水を循環させる撹拌装置であって、
モーターと、
軸方向に延在する駆動外形を有して前記モーターから延在する軸と、を備え、
請求項1~5のいずれか一項に記載のプロペラが前記軸に取り付けられる、撹拌装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の撹拌装置において、双曲面撹拌体が、前記モーターから垂下して延在する前記軸の端部に、取り付けられる、撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化器において汚水を循環させるプロペラおよび撹拌機に関する。
【背景技術】
【0002】
プロペラが先行技術で一般的に公知である。プロペラは、特に船を駆動すべく、流体等を循環させるのに用いられる。プロペラは通常、プロペラ軸への固定用のハブを備える。ハブは、プロペラと一体で製造されてもよい。加えて、調整可能なプロペラ羽根を有するプロペラも公知である。調整可能なプロペラ羽根は、ハブに固定される。
【0003】
プロペラは特に、汚水循環用の双曲面撹拌機として公知であるものにも用いられる。この場合、プロペラは双曲面撹拌体の上方の軸に取り付けられる。汚水は、プロペラによって双曲面撹拌体の方向に加速される。そのような撹拌装置は、例えば国際公開第2009/018916号(特許文献1)から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハブと一体に製造されたプロペラは、輸送する際の体積が大きい。これとは別に、軸の端において撹拌体(例えば、双曲面撹拌体)が既に取り付けられている場合、プロペラをこの軸に設置するのが面倒な処理となることがある。
【0006】
本発明の目的は、先行技術に係る欠点を克服することである。特に、輸送体積の小さいプロペラが記載される。本発明の別の目的によると、撹拌体、プロペラ等が既に軸の端部に取り付けられている場合でも、プロペラはこの軸への設置に適しているはずである。これとは別に、より少ない労力で設置され得る撹拌装置が記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1および7の特徴により達成される。本発明の便宜的な実施形態が、従属請求項から明らかとなる。
【0008】
本発明によると、軸方向に延在する駆動外形を有する軸に、締め付けによって固定されるプロペラ、が提案され、
前記プロペラは、多数の要素からなり、
各要素は、前記駆動外形に対応する嵌合外形を有するハブ部を有し、
第1接続部と前記第1接続部から延在するプロペラ羽根とが前記ハブ部の一方側に成形され、第2接続部が前記ハブ部の他方側に成形され、
前記第1接続部は、隣接する前記要素の前記第2接続部を連結して支えるように設計され、
前記接続部により支え合う前記要素が接続されると、すべての前記要素の前記ハブ部は組み合わさって、前記軸を連結して囲むハブを形成する。
【0009】
提案されたプロペラは多数の要素からなるため、本プロペラの輸送体積が減少し得る。提案されたプロペラはさらに、軸の端に撹拌体、プロペラ等が既に設けられていても、この軸への組み付けに特に適している。すべての要素のハブ部が組み合わさって軸を連結して囲むハブを形成するため、軸との連結接続および締め付け接続が達成され得る。第1接続部は、隣接する要素の第2接続部を連結して支えるように設計される。要素またはその接続部は便宜上、設置される際に第1接続部と隣接する第2接続部との間に狭い隙間が残るように設計される。軸との連結接続とは別に、本設計により、摩擦係合接続または締め付け接続が追加的に可能になる。この接続は、優れたレベルの強度を表す。
【0010】
弾性材料(例えば、ゴム等)から作られた薄板が、第1接続部および/または第2接続部に取り付けられてもよい。この板は、設置される際に、第1接続部と隣接する第2接続部との間に形成された隙間を埋める。これにより、糸状の混入物がこの隙間に挟まってしまうことが防止される。
【0011】
前記軸は、好ましくはスプライン軸である。もちろん、軸方向に延在する異なる駆動外形を軸が有することも考えられる。例えば、軸は、多角形外形、歯付き軸外形、筋入軸外形等を有してもよい。この場合、ハブ部は、それに合わせて、対応する嵌合外形を有してもよい。
【0012】
有利な実施形態によると、前記プロペラは、少なくとも3つの要素、好ましくはちょうど4つの要素、からなる。前記要素は同一であってもよい。これにより、本プロペラの製造コストが低下する。
【0013】
前記第1接続部は便宜上、少なくとも2つの第1孔を有する。前記第1孔は、ねじ孔として形成されてもよい。前記第2接続部は、ねじの通過用に、前記第1孔に対応する少なくとも2つの第2孔を有してもよい。これにより、要素のシンプルかつ迅速な接続が可能になる。
【0014】
本発明の別の提供物によると、浄化器において汚水を循環させる撹拌装置が提案される。本撹拌装置は、モーターと、軸方向に延在する駆動外形を有して前記モーターから延在する軸と、を備え、本発明に係るプロペラが前記軸に取り付けられる。提案された撹拌装置は、素早くかつ容易に設置され得る。特に、別のプロペラ、双曲面撹拌体等が軸の端に既に取り付けられている場合でも、本発明に係るプロペラを設置することが可能である。
【0015】
さらに、前記軸は便宜上、スプライン軸であってもよい。前記撹拌装置は双曲面撹拌機であってもよい。この場合、双曲面撹拌体が便宜上、前記モーターから垂下して延在する前記軸の端部に、取り付けられる。そのような撹拌装置は、本発明に係るプロペラを用いると、特に容易に設置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以降、本プロペラの例示的実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。図面については以下の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に示されるプロペラは、一体に形成された多数の要素A、B、C、およびDから製造される。本例示的実施形態では、本プロペラはちょうど4つの要素A、B、C、およびDからなる。要素A、B、C、およびDは同一であってもよい。以降、本プロペラを、要素Aを参照しながらより詳細に記載する。以下の記載は、その他の要素B、C、およびDに同様に適応される。
【0018】
要素Aはハブ部1を有し、ハブ部1の内周には嵌合外形2が設けられる。嵌合外形2は、スプライン軸(ここでは不図示)の駆動外形(ここでは不図示)に対応する。第1接続部3が、角度をつけて(ここでは、約45度の角度をつけて)ハブ部1から延在する。プロペラ羽根4、好ましくはちょうど1つのプロペラ羽根4、が第1接続部3から延在する。第2接続部5が、ハブ部1の他方側に成形される。第2接続部5は、第1接続部3と約90度の角度を形成する。提案されたプロペラが4つの要素ではなく、3つの要素または5つ以上の要素から形成される場合に、第1接続部3と第2接続部5との間の角度が変更されること、は明らかである。
【0019】
第1接続部3は、周方向において第1支持面6を有する。第2接続部5は、周方向において第2支持面7を有する。第1支持面6および第2支持面7は、第1接続部3および第2接続部5がほぼ連結してもたれ合って配置され得るように、対応して形成される(
図2を参照)。
【0020】
特に
図3および4から見て取れるように、第1接続部3は第1孔8を有する。第2接続部5は第2孔9を有する。隣接する要素A、B、C、およびDが支え合うように配置されると、第1孔8および第2孔9は、固定ボルトが第1孔8および第2孔9を通って導かれ得るように対向して配置される。この場合、第1孔8は便宜上、ねじ孔として具現化される。
【0021】
提案されたプロペラを設置するために必要なのは、要素A、B、C、およびDを軸(ここでは不図示)の周りに位置決めして、次にそれらをねじによって接続することのみである。要素A、B、C、およびDが接続されると、これらハブ部は組み合わさってハブを形成する。当該ハブは、嵌合外形2によって軸の駆動外形2に連結して係合する。これとは別に、要素A、B、C、およびDは、接続された際にこれらの要素が摩擦係合方式または締め付け方式にて軸を囲むように形成される。
【0022】
本発明に係るプロペラは、特に、軸であってその端に双曲面撹拌体が取り付けられた軸に比較的容易に設置され得る。この点については、例として、WO2009/018916A1、WO2006/108538A1、およびDE298 03 497U1を参照されたい。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
軸方向に延在する駆動外形を有する軸に、締め付けによって固定されるプロペラであって、
前記プロペラが、多数の要素(A、B、C、D)からなり、
各要素(A、B、C、D)が、前記駆動外形に対応する嵌合外形(2)を有するハブ部(1)を有し、
第1接続部(3)と前記第1接続部(3)から延在するプロペラ羽根(4)とが前記ハブ部(1)の一方側に成形され、第2接続部(5)が前記ハブ部(1)の他方側に成形され、
前記第1接続部(3)が、隣接する前記要素(A、B、C、D)の前記第2接続部(5)を連結して支えるように設計され、
前記接続部(3、5)により支え合う前記要素(A、B、C、D)が接続されると、すべての前記要素(A、B、C、D)の前記ハブ部(1)が組み合わさって、前記軸を連結して囲むハブを形成する、プロペラ。
[態様2]
態様1に記載のプロペラにおいて、前記軸がスプライン軸である、プロペラ。
[態様3]
態様1または2に記載のプロペラにおいて、前記プロペラが、少なくとも3つの要素(A、B、C、D)、好ましくはちょうど4つの要素(A、B、C、D)、からなる、プロペラ。
[態様4]
態様1~3のいずれか一態様に記載のプロペラにおいて、前記第1接続部(3)が少なくとも2つの第1孔(8)を有する、プロペラ。
[態様5]
態様1~4のいずれか一態様に記載のプロペラにおいて、前記第1孔(8)が、ねじ孔として形成された、プロペラ。
[態様6]
態様1~5のいずれか一態様に記載のプロペラにおいて、前記第2接続部(5)が、ねじの通過用に、前記第1孔(8)に対応する少なくとも2つの第2孔(9)を有する、プロペラ。
[態様7]
浄化器において汚水を循環させる撹拌装置であって、
モーターと、
軸方向に延在する駆動外形を有して前記モーターから延在する軸と、を備え、
態様1~6のいずれか一態様に記載のプロペラが前記軸に取り付けられる、撹拌装置。
[態様8]
態様7に記載の撹拌装置において、前記軸がスプライン軸である、撹拌装置。
[態様9]
態様7または8に記載の撹拌装置において、双曲面撹拌体が、前記モーターから垂下して延在する前記軸の端部に、取り付けられる、撹拌装置。
【符号の説明】
【0023】
1 ハブ部
2 嵌合外形
3 第1接続部
4 プロペラ羽根
5 第2接続部
6 第1支持面
7 第2支持面
8 第1孔
9 第2孔
A、B、C、D 要素