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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】搬送手段用加熱床パネル
(51)【国際特許分類】
   F24D 13/02 20060101AFI20250123BHJP
   H05B 3/30 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
F24D13/02 E
H05B3/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021577839
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 IB2020056243
(87)【国際公開番号】W WO2021005465
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】102019000010959
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507365880
【氏名又は名称】アイ.アール.シー.エイ.ソシエタ ペル アチオニ インダストリア レジステンヅェ コラッヅァテ エ アッフィニ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】フラシェッティ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ポーザー イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】タウリアン アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ゾッパス フェデリコ
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511021(JP,A)
【文献】特開2016-061557(JP,A)
【文献】実開昭49-092534(JP,U)
【文献】登録実用新案第3184066(JP,U)
【文献】特開2005-315448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00-19/10
H05B 3/00-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送手段、特に列車、船舶またはボートのための床パネル(100)であって、
金属プレート(1)と、
電流が流れるとき熱を発生するように適合された少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)と、
複数の開口部(41)、特にメッシュを備えたネット(4)と、を備え、
前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)は、ネット(4)と金属プレート(1)との間に配置され、
前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)は、金属プレート(1)と直接接触しており、
前記金属プレート(1)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金でできており
前記床パネル(100)は、層(5)を備え、前記層(5)は、特に、少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)によって生成される熱の伝達を制限するように適合され、
前記ネット(4)は、前記層(5)と金属プレート(1)との間に配置され、
前記層(5)は、接着剤(50)によって金属プレート(1)に固定され、
前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)は、前記金属プレート(1)と接触している前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)の表面部分を除いて、前記接着剤(50)中に含まれている、
床パネル(100)。
【請求項2】
記ネット(4)は、少なくとも部分的に、特に部分的にのみ、前記接着剤(50)中に含まれている、請求項1に記載の床パネル(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)は、ネット(4)に拘束されており、好ましくは前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)は、ネット(4)に縫い付けられている、請求項1または2に記載の床パネル(100)。
【請求項4】
ネット(4)は、前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)および金属プレート(1)に取り付けられる接着面を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項5】
ネット(4)の各開口部(41)、特に各メッシュの寸法は、16~900mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項6】
さらなるプレート(6)を備え、前記層(5)は、金属プレート(1)と前記さらなるプレート(6)との間に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項7】
前記層(5)は、前記さらなるプレート(6)と接触している、請求項6に記載の床パネル(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)は、
電気的に絶縁された第1のシース(20)または外部シースであって、その内部には、電流が流れるとき熱を発生するように適合された少なくとも1つの導電性ワイヤ(21、22)が設けられている、第1のシース(20)または外部シース、を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項9】
前記第1のシース(20)は、金属プレート(1)と接触しており、特に直接接触している、請求項8に記載の床パネル(100)。
【請求項10】
前記第1のシース(20)は、ネット(4)と接触しており、特に直接接触している、請求項8または9に記載の床パネル(100)。
【請求項11】
前記第1のシース(20)の内部に、接地電源に接続されるように適合された導電性要素(23)が設けられている、請求項8~10のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項12】
各々電流が流れるとき熱を発生するように適合された2つの導電性ワイヤ(21、22)を備えている、請求項8~11のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項13】
2つ以上の加熱ケーブル(2、3)を備え、各々電流が流れるとき熱を発生するように適合されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の床パネル(100)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の床パネル(100)を得るための方法であって、
-前記複数の開口部(41)、特にメッシュを備えたネット(4)に拘束された、好ましくは縫い付けられた前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)を提供するステップと、
-ネット(4)および前記少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)をプレート(1)と接触させて配置するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
-少なくとも1本の加熱ケーブル(2、3)によって生成される熱の伝達を制限するように適合している層(5)を、接着剤(50)によって、金属プレート(1)に固定するステップ、をさらに含み、
前記層(5)は、さらなるプレート(6)を備え、層(5)が金属プレート(1)と前記さらなるプレート(6)との間にあるように、層(5)は金属プレート(1)に固定されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送手段、特に列車、船舶またはボートのための加熱床パネルに関する。
【0002】
特に、加熱床パネルは、その構成要素に電流が流れるとき熱を発生するように適合されており、それは、輸送手段の床、例えば、鉄道車両の床または船舶の床を得るために使用されるように適合されている。
【背景技術】
【0003】
列車の室内環境は、典型的に加熱される。このような目的のために最も一般的に使用される加熱システムは、加熱されるべき環境に導入される熱風の流出からなるものである。
【0004】
最近では、このようなシステムを補完したり、代替したりするために、電気式の加熱要素で構成された加熱パネルも設計されている。加熱パネルは、例えば鉄道車両の床を温めるのに使用される。しかし、現状の加熱パネルには欠点がある。
【0005】
現在の加熱パネルの重要な点の1つは、パネルを有する加熱要素の組み立てに関するものである。特に、場合によっては、まず、加熱パネルの一部に、チップ除去による加工によって特殊な凹部を設ける。次いで、その凹部に加熱要素を挿入する。しかし、この作業を行うには、時間、機械および人員が必要である。その結果、製造工程が長く、複雑になり、製造コストが高くなってしまう。
【0006】
さらに、加熱要素をパネルに拘束されたままにするための固定手段も必要である。
【0007】
固定手段は、典型的には、加熱要素とパネルの上部との間に配置され、加熱要素によって生成された熱を拡散するように適合される。
【0008】
このような配置は、加熱要素によって生成された熱の一部が固定手段によって吸収されることを意味し、またはそれにもかかわらず、パネルの上部と加熱要素の間に介在する要素によって吸収されることを意味する。このように、熱伝達の効率が悪い。
【0009】
特許文献1に記載されているパネルは、前述のような欠点がある。実際、加熱要素は、エポキシ樹脂の層に組み込まれている。したがって、不利な点として、エポキシ樹脂は熱の伝達を必然的に制限する。この文書に記載されているパネルのさらなる欠点は、その入手方法にある。実際、特に、エポキシ樹脂は、加熱要素が配置された金型に注がれ、熱と圧力にさらされなければならない。このように、このプロセスは比較的複雑で、技術的に時間がかかり、特殊な器具を使用しなければならない。
【0010】
既知の加熱パネルのさらなる欠点は、パネルの加熱要素に不具合が生じた場合、パネル全体を交換しなければならず、またはいずれにしても、複雑なメンテナンス作業を行わなければならないことである。
【0011】
既知の加熱パネルのさらなる欠点は、電気ショックからの保護手段に関するものであり、現在のところ比較的効果がなく、製造が困難である。
【0012】
さらに、不利な点として、加熱要素に電流が流れるとき、望ましくない電磁干渉が発生する。
【0013】
このように、既知の加熱パネルの、特に、先に述べたものに限らない欠点を克服することができる加熱床パネルの必要性が感じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2012/0234819A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、技術状態に関して、より簡単かつより迅速に製造することができる電気式の加熱床パネルを得ることである。
【0016】
本発明の別の目的は、熱の伝達を最適化することもできる加熱床パネルを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、このような目的の少なくとも1つ、および本明細書に照らして明らかになるであろう他の目的を、輸送手段、特に列車、船舶またはボートのための床パネルによって達成するものであり、床パネルは、金属プレートと、電流が流れるとき熱を発生するように適合された少なくとも1本の加熱ケーブルと、複数の開口部、特にメッシュを備えたネット、または層とを含み、前記少なくとも1本の加熱ケーブルは、ネットまたは層と金属プレートとの間に配置されている。
【0018】
前記少なくとも1本の加熱ケーブルは、熱の伝達を最適化するために、好ましくは、かつ有利には、金属プレートと接触しており、特に直接接触している。特に、好ましくは、前記少なくとも1本の加熱ケーブルは、ネットとも接触しており、特に直接接触している。
【0019】
本発明はまた、床パネルを得るための、請求項16に記載のプロセスであって、少なくとも、
-ネットまたは層に拘束された、好ましくは縫い付けられた前記少なくとも1本の加熱ケーブルを提供するステップと、
-ネットおよび前記少なくとも1本の加熱ケーブルを、金属プレートと接触させて配置するステップと、
-特に、少なくとも1本の加熱ケーブルによって生成される熱の伝達を制限するように適合している材料の層を、好ましくは接着剤によって金属プレートに固定するステップと、を含み、
好ましくは、前記層は、好ましくは金属製のさらなるプレートを備え、層が金属プレートと前記さらなるプレートとの間にあるように、層は金属プレートに固定されている、プロセスに関する。
【0020】
当業者であれば、このプロセスは、迅速かつ容易に実行し得ることを認めることができる。
【0021】
本発明はまた、前記少なくとも1本の加熱ケーブルと、複数の開口部、特にメッシュを備えた前記ネット、または層とを含み、前記少なくとも1本の加熱ケーブルがネットに拘束され、好ましくは縫い付けられており、好ましくは、ネット、または層が、前記少なくとも1本の加熱ケーブルに取り付けられる接着面(adhesive side)を含み、および/または、好ましくは、ネット、または層の各開口部の寸法が16~900mmである、請求項17に記載の床パネル用の構成要素(component)に関する。
【0022】
有利には、ネットの開口部またはメッシュは、そこを通る接着剤の通過を可能にする。したがって、層、例えば、少なくとも1本の加熱ケーブルによって生成される熱の伝達を制限するように適合された層(すなわち、熱的に絶縁された、そして好ましくは電気的に絶縁された材料の層)を、接着剤によって金属プレートに迅速かつ容易に固定することができる。
【0023】
有利なことに、ネットのメッシュは、熱伝達を制限するように適合された前述の層、すなわち絶縁層が接着剤によって金属プレートに固定されることを確実にするための適切な空間も提供する。
【0024】
さらなる利点は、前記少なくとも1本の加熱ケーブルが金属プレートと接触し、熱絶縁手段として機能する接着剤中に浸漬(immerse)され、特に部分的にのみ浸漬されることで、熱の大部分が、踏まれるように適合された金属プレートに伝達されることを確実にすることができる点にある。
【0025】
さらに、有利なことに、前記少なくとも1本の加熱ケーブルが金属プレートと接触、特に直接接触することができるため、特に、前記少なくとも1本の加熱ケーブルと金属プレートとの間に介在する接着剤または他の要素などの固定手段が設けられていないので、熱の伝達が最適化される。
【0026】
好ましくは、前記少なくとも1本の加熱ケーブルは、ネットに拘束されており、特に縫い付けられている。有利には、これにより、前記少なくとも1本の加熱ケーブルが設計にしたがって選択された形態(conformation)に既にあることが保証される。
【0027】
プロセスをさらに容易にするために、ネットの片面は好ましくは接着性(adhesive)である。このようにして、ネットと互いに拘束された少なくとも1本の加熱ケーブルからなる構成要素を金属プレートに接着させることができ、そのような構成要素は、絶縁層を金属プレートに固定するための接着剤を使用する前に、すでに所定の位置に保持されている。
【0028】
好ましくは、2本の加熱ケーブルが設けられており、一方の加熱ケーブルは他方の加熱ケーブルの故障の際に使用できるようになっている。
【0029】
好ましくは、各加熱ケーブルは、そこに2つの異なる導電性ワイヤ(抵抗線とも呼ばれる)または2つの異なる導電性ワイヤの束から構成される。
【0030】
このようにして、特に、各ケーブルの2つのワイヤが互いに直列に電気的に接続されている場合、以下の利点が得られる。
-加熱ケーブルから発生する電磁界を大幅に低減することができる。実際、異なる2本のワイヤに、同じ強度で互いに逆方向の電流を流すことができるので、結果として生じる電磁界は、例えば、実質的にゼロになる。
-2本のワイヤの抵抗が加算されるので、より短い長さのケーブルを得ることができる。
-加熱ケーブルを供給するための電気的接続が容易になる。2本のワイヤは、例えば、一端で短絡させ、他端、特に、短絡した端とは反対側の端に接続された発電機によって電力を供給することができる。
【0031】
好ましくは、各加熱ワイヤは、2つの導電性ワイヤを包み込む要素、特に、導電性シールドを備える。有利には、導電性要素は、接地線に接続することができ、さらに、電磁干渉を回避または制限するためのシールドとして機能することができ、また、切断または他の機械的損傷から保護するための要素としても機能することができる。
【0032】
さらに、有利なことに、導電性要素は、加熱ケーブルの絶縁体、特にシースの劣化に由来する分散電流を遮断するために使用することができる。例えば、導電性要素は、保護装置、例えば、差動装置(differential)、特に高感度差動装置に接続することができる。導電性要素がそのような差動装置に接続されていると、加熱ケーブルの導体が経時的に劣化する潜在的に危険な状態を検出することができる。
【0033】
一態様によれば、床パネルは、踏まれることに特に適合しており、すなわち、床パネルの破損を引き起こすことなく踏まれることができるような適切な構造的特性を有している。
【0034】
本発明のさらなる特徴および利点は、例示的ではあるが非排他的な実施形態の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。
【0035】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を説明する。
【0036】
本発明の説明において、非限定的な例として提供される添付の図面が参照され、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明による床パネルの一例を示す分解斜視図である。
図1A図1Aは、図1の詳細を拡大して示す図である。
図2図2は、図1の床パネルを示す断面図である。
図3図3は、図1の床パネルの一部の斜視図である。
図4図4は、本発明による床パネルの加熱ケーブルの一例を模式的に示す図である。
図5図5は、図4の加熱ケーブルを示す断面図である。
図6図6は、本発明による床パネルの特定の例を示す図である。
【0038】
同じ要素、または機能的に同等の要素には、同じ参照番号が付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明による床パネル100を、図を参照して説明する。
【0040】
床パネル100は、例えば、鉄道車両の床や船舶の床などの輸送手段の床、特に、船舶の室内環境の床を得るように構成されている。床を得るためには、例えば、複数の床パネル100を並べて設けることができる。
【0041】
床パネル100は、金属プレート1と、電流が流れるとき熱を発生するように適合された少なくとも1本の加熱ケーブル2、3と、複数の開口部またはメッシュ41を備えたネット4と、を備え、前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3は、ネット4と金属プレート1との間に配置されている。
【0042】
特に、金属プレート1は、少なくとも1本の加熱ケーブル2、3によって発生された熱を、パネル100が設置された環境に伝達する役割を果たす。好ましくは、金属プレート1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金でできている。
【0043】
金属プレート1は、例えば、踏まれるように適合された、例えば、生地または合成繊維で作られた被覆層(図示せず)によって覆われることができる。
【0044】
特に、金属プレート1は、記述目的で上側の面とも呼ばれる面11(または側面)と、記述目的で下側の面とも呼ばれる面12(または側面)とを備える。面11と面12とは、互いに反対側であり、それらは好ましくは実質的に平坦である。
【0045】
特に、面11は、前記被覆層によって覆われるように適合されている。
【0046】
プレート1は、破損することなく踏まれるのに適しており、衝撃に耐えるように適合されている。
【0047】
好ましくは、金属プレート1は、1mm以上、例えば1~20mm、好ましくは1.5~2.5mmの厚さを有する。
【0048】
金属プレート1の厚さは、面11と面12との間の距離に実質的に対応している。
【0049】
好ましくは、2本の加熱ケーブル2、3が設けられている(図1図2図3に示すように)が、床パネル100は、1本の加熱ケーブルのみ、または2本以上の加熱ケーブル、例えば2本または3本の加熱ケーブルで構成することができる。
【0050】
好ましくは、加熱ケーブル2、3は、互いに等しい、または実質的に等しい。有利には、2本の加熱ケーブル2、3を設けることにより、加熱ケーブル2を主加熱ケーブルとして使用することができ、他の加熱ケーブル3を補助加熱ケーブルとして使用することができ、この補助加熱ケーブルは、加熱ケーブル2が故障した場合に動作させられる。これにより、加熱ケーブル2、3のいずれか一方のみが故障した場合に、床パネル全体を交換しなければならないという事態が回避される。なお、第3の加熱ケーブルを任意に設ける場合には、例えば、2本のケーブルで供給電力を調整し、1本のケーブルを補助的に使用することができる。
【0051】
加熱ケーブル2は、図4および図5に示されているが、そのような図は加熱ケーブル3の代表でもあるという理解である。
【0052】
各加熱ケーブル2、3は、それぞれの電気絶縁性のシース20を備えている。シース20は、外部シースであり、すなわち、加熱ケーブル2、3の最も外側の部分である。
【0053】
好ましくは、各加熱ケーブル2、3、特に各シース20は、加熱ケーブル2、3が適切な耐断線性を有するように、2~5mm、例えば3~5mmの外径を有している。
【0054】
シース20の内部には、特に金属製で、電流が流れるとき熱を発生するように適合された少なくとも1本の導電性ワイヤ21、22が設けられている。好ましくは、2本の導電性ワイヤ21、22が設けられている(図4および図5に示すように)が、1本の導電性ワイヤのみが設けられていてよいし、2本以上の導電性ワイヤが設けられていてもよい。
【0055】
なお、導電性ワイヤ21、22の各々は、任意にそれぞれの束、例えば、導電性ワイヤ21、22が織り込まれた束(bundle)を形成することができる。例えば、導電性ワイヤ21の束(bundle)と、導電性ワイヤ22の束(bundle)とを設けてよい。導電性ワイヤ21は、それぞれの電気絶縁性のシース210を備えている。
【0056】
導電性ワイヤの束21が設けられている場合、導電性ワイヤの束21の全てのワイヤがシース210内に配置される。同様に、導電性ワイヤ22、または導電性ワイヤ22の束は、それぞれのシース220を備えている。
【0057】
好ましくは、導電性ワイヤ21、22を取り囲むように、特に包み込むように、特に金属製の導電性要素23が設けられている。特に、導電性要素23は、シース20と、2本の導電性ワイヤ21、22の2つのシース210、220との間に配置されている。
【0058】
好ましくは、2本の導電性ワイヤ21、22、特にそのシース210、220を包み込む、電気絶縁性のシース203がさらに設けられている。言い換えれば、そのシース210、220を含む導電性ワイヤ21、22は、シース203の内部に配置されている。
【0059】
シース203は、シース210、220と導電性要素23との間に配置されている。特に、シース203は、導電性要素23の内部にある。シース203は、実質的に、二次的な、または補助的な絶縁要素である。
【0060】
導電性要素23は、接地電源、すなわち接地電力線に接続されるように適合されている。したがって、有利には、導電性要素23は、電気ショックから保護する手段として機能するように適合されている。さらに、有利には、導電性要素23は、電磁干渉に対する遮蔽のための要素として機能する。特に、導電性要素23は、導電性ワイヤ21、22における電流の通過中に発生する可能性のある電磁波を閉じ込めるように適合されている。
【0061】
さらに、有利には、導電性要素23は、物理的または機械的な保護を提供する。例えば、誤ってシース20を貫通した鋭利なまたは尖ったボディは、要素23によって遮断することができる。要素23は地面に電気的に配置することができるので、仮に鋭利なまたは尖ったボディがリードワイヤ21、22に到達した場合には、保護手段、例えば差動装置が作動することになる。このように、導電性要素23によって、より耐性が高く、電気的に安全な加熱ケーブル2、3を実現することができる。好ましくは、導電性要素23は、相互に織り込まれた複数の導電性ワイヤからなるか、またはそれによって形成される。
【0062】
例示的かつ非限定的な例として、前記シースは、例えば、ポリマー材料で作られることができる。
【0063】
2本の加熱ケーブル2、3は、金属プレート1とネット4の間に配置されている。
【0064】
好ましくは、2本の加熱ケーブル2、3は、互いに平行である。好ましくは、2本の加熱ケーブル2、3は、コイル状に配置されている。例えば、各加熱ケーブル2、3は、それぞれの湾曲部によって互いに接続された実質的に直線的な部分からなる。
【0065】
ネット4は、複数のメッシュを備えており、そのうちの一部のみが図1Aに参照番号41で示されている。メッシュ41は、貫通した開口部、すなわち、空の空間である。好ましくは、メッシュ41の寸法、すなわち拡張(extension)は、16~900mm、例えば、約100mmである。非限定的な例として、メッシュは、4×4mm~30×30mm(幅×長さ)の面積を有することができる。有利には、メッシュ41は、さらに詳細に説明する接着剤50(図2)の通過を可能にするように適合されている。
【0066】
ネット4は、実質的に層であり、特に、格子状に形成された層である。
【0067】
好ましくは、ネット4は、加熱ケーブル2、3によって占有される全領域、またはゾーンを実質的に覆う表面拡張(surface extension)を有する。
【0068】
好ましくは、ネット4は、複数の第1のストリップ40a(図1A)と、前記複数のメッシュ41を区切るように配置された複数の第2のストリップ40bとから構成されているか、またはそれらによって形成されている。好ましくは、ストリップ40a、40bは、実質的に平坦である。なお、図1Aでは、第1のストリップ40aの一部のみ、および第2のストリップ40bの一部のみが参照数字で示されている。
【0069】
より具体的には、好ましくは、第1のストリップ40aは、互いに間隔を空けて実質的に平行に配置されている。第2のストリップ40bは、互いに間隔を空けて実質的に平行に配置されている。第1のストリップ40aおよび第2のストリップ40bは、横方向に、例えば、実質的に直交している。
【0070】
各メッシュ41は、互いに連続する2つの第1のストリップ40aと、互いに連続する2つの第2のストリップ40bとによって区画されている。各メッシュ41の外周は、例えば、長方形または正方形である。
【0071】
ネット4の代わりに、複数の開口部41または穴を備えた、層を設けることができることは明らかであろう。開口部または穴は、例えば、円形または他の形状であることができる。
【0072】
好ましくは、ネット4は、0.05~2mmの厚さ、例えば、0.2~0.5mmの厚さを有する。
【0073】
ネット4の厚さは、各ストリップ40a、40bの厚さに実質的に対応している。
【0074】
好ましくは、ネット4は、電気絶縁性の材料で作られている。ネット4は、高温に耐えることができ、例えば、大気圧で少なくとも150℃以上の軟化点を有する材料で作られている。
【0075】
一例として、ネット4は、複合材料、例えば、ガラス繊維からなる複合材料で作られている。好ましくは、各ストリップ40a、40bは、4~30mmの幅を有する。各ストリップ40a、40bの長さは、幅よりも大きく、特に、各ストリップ40a、40bの厚さに対して、はるかに大きい。好ましくは、各ストリップ40a、40bの幅は、各ストリップ40a、40bの厚さよりも大きい。
【0076】
非限定的な例として、床パネル100、特にネット4は、長方形の形状または外形を有する。
【0077】
有利には、床パネル、特にネットは、より複雑な形状または外形を有することもできる。
【0078】
非限定的な例として、図6に図示されている床パネル100’のネット4’に留意されたい。
【0079】
ネット4’は、例えば、長方形の形状を有するネットを切断することによって得ることができる。
【0080】
特に、長方形のネットと比較すると、ネット4’は、切り込み(incision)44’と、例えば円の円弧のような形状の湾曲した輪郭を有する部分43’とを含む。
【0081】
加熱ケーブル2’、3’の空間分布は、ネット4’の形状の関数(function)として適合させることができる。
【0082】
好ましくは、金属プレート1’、層5’、およびプレート6’もまた、ネット4’のそれと類似した、または実質的に類似したプロファイルを有する。
【0083】
幾何学的な違いを除けば、金属プレート1’、加熱ケーブル2’、3’、ネット4’、層5’、およびプレート6’は、金属プレート1、加熱ケーブル2、3、ネット4、層5、およびプレート6と等しい、または実質的に等しいことに留意されたい。
【0084】
一般に、特に加熱ケーブル2、2’、3、3’の支持体として使用されるネット4、4’は、テンプレートの使用を必要とせずに、設置ゾーンに応じてその形状を作ることができる床パネルの実現汎用性を高めることができる。
【0085】
例えば、鉄道車両や船舶のトイレの下部に設置することができる。
【0086】
好ましくは、少なくとも一方の側、例えばネット4の一方の側は接着性である。特に、接着面(adhesive side)は、金属プレート1に面する側である。
【0087】
特に、各ストリップ40a、40bの金属プレート1に面する面は、接着性(adhesive)である。
【0088】
ネット4に接着面を設けることで、組み立て作業が特に容易になる。
【0089】
接着面は、2本の加熱ケーブル2、3および金属プレート1の両方に取り付けられている、すなわち、接着している。
【0090】
特に、ネット4のある部分は加熱ケーブル2、3に接着し、他の部分は金属プレート1に接着している(図2)。
【0091】
ネット4の接着面が設けられていない場合(すなわち、接着面があってもなくてもよい場合)、好ましくは、それにもかかわらず、ネット4は、金属プレート1および加熱ケーブル2、3に直接接触している。
【0092】
ネット4は、金属プレート1と、ネット4と金属プレート1との間のいくつかのゾーンに介在する加熱ケーブル2、3との両方に接触するように、柔軟である。
【0093】
好ましくは、ネット4と2本の加熱ケーブル2、3とは、例えばワイヤによって互いに縫い付けられている。好ましくは、ネット4と2本の加熱ケーブル2、3とは、さまざまな点またはゾーンで互いに縫い付けられている。有利には、加熱ケーブル2、3をネット4に縫い付けることにより、加熱ケーブル2、3が設計にしたがって選択された形態(conformation)に既にあることが保証される。縫い付けによる制約は、接着面による制約に加えて、または代替的に提供することができる。
【0094】
図2に示されているように、加熱ケーブル2、3は、金属プレート1およびネット4と接触しており、特に直接接触している。特に、2本の加熱ケーブル2、3(または、より一般的には、少なくとも1本の加熱ケーブル2、3)の外部シース20は、金属プレート1およびネット4と接触しており、特に直接接触している。したがって、加熱ケーブル2、3から金属プレート1への熱の伝達は最適化される。
【0095】
好ましくは、床パネル100はまた、層5、すなわち材料の層を備える。特に、層5は、熱を金属プレート1の方に向けるように、加熱ケーブル2、3によって生成される熱の伝達を制限するように適合されている。特に、層5は、熱的に絶縁された、そして好ましくは電気的に絶縁された材料の層である。この層5は、それ自体がパネルである。
【0096】
有利には、加熱ケーブル2、3が収容されるプレート1および/または層5に得られるチャネルは、必要でない。したがって、好ましくは、プレート1の面12および/またはプレート1に面する層5の面51は、実質的に平坦であることができる。有利には、特に、前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3は、層5と金属プレート1との間、特に、面51と面12との間に配置されている。特に、前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3は、前記層5に組み込まれていない。言い換えれば、好ましくは、前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3は、層5の完全に外部にある。
【0097】
有利には、プレート1と層5との間の空間は、さらに詳細に説明する接着剤50によって充填することができる。好ましくは、層5は、5~50mm、例えば、15~25mmの厚さを有する。
【0098】
好ましくは、層5は、ポリマーまたはプラスチック材料、好ましくはポリマー発泡体でできている。例えば、層5は、熱的に絶縁性であり、圧縮に対する最適な抵抗を有するポリスチレンフォームで作られることができる。
【0099】
ネット4は、層5と金属プレート1の間に配置されている。
【0100】
層5は、好ましくは接着剤50によって、金属プレート1に固定されている。
【0101】
有利には、ネット4のメッシュ41は、特に接着剤50によって、層5と金属プレート1との間の固定を可能にする。
【0102】
層5もまた、好ましくは前記接着剤50によって、ネット4に固定される。
【0103】
例えば接着剤50は、特に一成分または二成分のポリマータイプのものであることができる。一般に、接着剤50は、構造的な結合を実現するように適合されている。好ましくは、接着剤50は、圧力を加えて機械的に活性化されるように適合されている。
【0104】
有利には、接着剤50は、層5とプレート1とを互いに固定することを可能にし、また、少なくとも1つの加熱要素2、3によって生成された熱をプレート1に適切に伝達することを可能にする。実際、接着剤50は、実質的に、熱慣性または断熱性を高めることを可能にする手段である。好ましくは、少なくとも1本の加熱ケーブル2、3は、金属プレート1と接触している、特に直接接触している表面部分を除いて、好ましくかつ有利には、接着剤50中に実質的に浸漬(immerse)されているか、または含まれている。好ましくは、ネット4も接着剤50中に実質的に浸漬されているか、または含まれている。
【0105】
言い換えれば、好ましくは、前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3は、少なくとも部分的に、好ましくは部分的に(特に、部分的にのみ)、前記接着剤50中に含まれているか、または浸漬されており、および/または、前記ネット4は、少なくとも部分的に、例えば部分的に(特に、部分的にのみ)、前記接着剤50中に含まれているか、または浸漬されている。
【0106】
好ましくは、接着剤50は、層5の密度よりも大きい密度(質量/体積)を有する。
【0107】
好ましくは、床パネル100の一部のゾーン、特に、少なくとも1本の加熱ケーブル2、3が存在しないメッシュ41において、プレート1と層5との間には、接着剤50のみが存在する。言い換えれば、一部のゾーンでは、層5は、接着剤50によってプレート1に直接固定されている。
【0108】
好ましくは、床パネル100は、好ましくは金属製、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金製のプレート6をさらに備える。好ましくは、プレート6は、0.5~5mm、例えば、1~2mmの厚さを有する。
【0109】
層5は、金属プレート1と前記更なるプレート6との間に配置されている。好ましくは、層5は、プレート6と接触している。特に、層5とプレート6とは、互いに固定されている。
【0110】
金属プレート1、1本または複数本の加熱ケーブル2、3、ネット4、層5、および好ましくはプレート6も含む床パネル100は、特に踏まれることに適合しており、すなわち、床パネル100の破損を引き起こすことなく踏まれるのに十分な構造的特性を有している。
【0111】
好ましくは、床パネル100は、実質的に長方形の形状を有するが、例えば図6に示すように、他の形状を有することもできる。好ましくは、床パネル100は、0.25~10mの表面拡張(幅×長さ)を有する。例えば、床パネル100は、500mm×500mm、または2000mm×5000mmの表面拡張(surface extension)を有することができる。
【0112】
本発明による床パネル100を得るためのプロセスの一例は、以下のステップを含む。
-ネット4に拘束された、好ましくは縫い付けられた前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3を提供するステップと、
-ネット4および前記少なくとも1本の加熱ケーブル2、3を金属プレート1と接触させて配置するステップと、
-材料の層5を、好ましくは接着剤50を用いて、金属プレート1に固定するステップ。
【0113】
好ましくは、層5がプレート6を備え、層5が金属プレート1とプレート6との間にあるように、層5が金属プレート1に固定される。
【0114】
好ましくは、2本の加熱ケーブル2、3が設けられており、これらはネット4に拘束され、特に縫い付けられている。
【0115】
このプロセスは、特に迅速かつ容易に実行することができる。
【0116】
好ましくは、少なくとも1本の加熱ケーブル2、3、例えば2本の加熱ケーブル2、3と、ネット4とからなる構成要素は、予め組み立てられた構成要素である。さらに、好ましくは、層5およびプレート6もまた、予め組み立てられた構成要素を形成する。
【0117】
有利には、接着剤50は、ネット4のメッシュ41、すなわち開口部を通過することができるので、層5とプレート1とは、接着剤50によって互いに固定することができる。接着剤50によって層5が金属プレート1に固定されると、加熱ケーブル2、3とネット4からなる構成要素も所定の位置に固定されることが明らかである。
【0118】
プロセスをさらに容易にするために、好ましくは、前述のように、ネット4の片面が接着性である。このようにして、ネット4と加熱ケーブル2、3とからなる構成要素は、金属プレート1に付着することができ、そのような構成要素は、層5を金属プレート1に固定する接着剤50を使用する前に、既に所定の位置に保持されている。
【0119】
特に、本明細書に照らして、ネット4に拘束された、好ましくはネット4に縫い付けられた少なくとも1本の加熱ケーブル2、3からなる構成要素を提供することによって、先に説明したものとは異なる特徴を潜在的に有することが可能な、加熱床パネルを迅速かつ容易に得ることができることを理解することができる。

図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6