(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】回転操作子、検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/165 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
G01D5/165 B
(21)【出願番号】P 2022561722
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2020041919
(87)【国際公開番号】W WO2022101978
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】315017409
【氏名又は名称】AlphaTheta株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】片倉 一平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼城 七生
(72)【発明者】
【氏名】東海林 洋暁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成広
(72)【発明者】
【氏名】石垣 直樹
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-237401(JP,A)
【文献】米国特許第04423406(US,A)
【文献】実開昭50-151243(JP,U)
【文献】実開平03-117719(JP,U)
【文献】特開昭54-015155(JP,A)
【文献】特開平05-107013(JP,A)
【文献】特開2005-147893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/165
H01C 8/00 - 10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
360°を越えて回転する回転操作部材を備えた回転操作子であって、
前記回転操作部材の回転に対応して
回転する第1被検出部の回転角度に応じ、第1出力値を出力し、前記第1出力値は前記第1被検出部の回転角度の増加に伴って最小値から最大値まで増加し、更なる回転角度の増加に伴って再び前記最小値から前記最大値まで増加することを繰り返す第1ポテンショメーターと、
前記回転操作部材の回転に対応して回転する第2被検出部の回転角度に応じ、前記第1ポテンショメーターとは異なる位相の第2出力値を出力し、前記第2出力値は前記第2被検出部の回転角度の増加に伴って前記最小値から前記最大値まで増加し、更なる回転角度の増加に伴って再び前記最小値から前記最大値まで増加することを繰り返す第2ポテンショメーターと、
歯車比が同一である
第1ギヤ及び第2ギヤを
有し、前記回転操作部材の回転を前記
第1ポテンショメーターの第1被検出部及び前記第2ポテンショメーター
の第2被検出部に
それぞれ伝達する回転伝達手段と、
前記第1出力値が前記最大値よりも小さい上限値及び前記最小値よりも大きい下限値によって定められる所定範囲外である場合には前記第2出力値を選択し、前記第2出力値が前記所定範囲外である場合には前記第1出力値を選択し、前記第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれが前記所定範囲外でなく、かつ、前記第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれの移動方向が同じである場合には、前記
第1出力値及び前記第2出力値の差異に基づいて、前記
第1出力値及び前記第2出力値のうち1つを選択し、前記
第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれが前記所定範囲外でなく、かつ、前記第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれの移動方向が同じでない場合には、
前記第1出力値及び前記第2出力値のいずれをも選択しない、出力値選択部と、
前記第1出力値及び前記第2出力値のうち選択され
た出力値に基づいて前記回転操作子の回転角度を検出する検出部と、を備える回転操作子。
【請求項2】
前記
第1ポテンショメーター及び前記第2ポテンショメーターのそれぞれには、前記回転操作子の回転範囲のうち、互いに異なる検出範囲が割り当てられ、かつ、前記
第1ポテンショメーター及び前記第2ポテンショメーターのそれぞれの検出範囲によって、前記回転操作子の回転範囲全体を補完する、請求項1に記載の回転操作子。
【請求項3】
回転操作部材と、前記回転操作部材の回転に対応して
回転する第1被検出部の回転角度に応じ、第1出力値を出力し、前記第1出力値は前記第1被検出部の回転角度の増加に伴って最小値から最大値まで増加し、更なる回転角度の増加に伴って再び前記最小値から前記最大値まで増加することを繰り返す第1ポテンショメーターと、
前記回転操作部材の回転に対応して回転する第2被検出部の回転角度に応じ、前記第1ポテンショメーターとは異なる位相の第2出力値を出力し、前記第2出力値は前記第2被検出部の回転角度の増加に伴って前記最小値から前記最大値まで増加し、更なる回転角度の増加に伴って再び前記最小値から前記最大値まで増加することを繰り返す第2ポテンショメーターと、歯車比が同一である
第1ギヤ及び第2ギヤを
有し、前記回転操作部材の回転を前記
第1ポテンショメーターの第1被検出部及び前記第2ポテンショメーター
の第2被検出部に
それぞれ伝達する回転伝達手段と、を備える回転操作子の回転角度を検出する検出方法であって、
前記第1出力値が前記最大値よりも小さい上限値及び前記最小値よりも大きい下限値によって定められる所定範囲外である場合には前記第2出力値を選択し、前記第2出力値が前記所定範囲外である場合には前記第1出力値を選択し、前記第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれが前記所定範囲外でなく、かつ、前記第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれの移動方向が同じである場合には、前記
第1出力値及び前記第2出力値の差異に基づいて、前記
第1出力値及び前記第2出力値のうち1つを選択し、前記
第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれが前記所定範囲外でなく、かつ、前記第1出力値及び前記第2出力値のそれぞれの移動方向が同じでない場合には、
前記第1出力値及び前記第2出力値のいずれをも選択しない、手順と、
前記第1出力値及び前記第2出力値のうち選択され
た出力値に基づいて前記回転操作子の回転角度を検出する手順と、を含む検出方法。
【請求項4】
コンピュータに、請求項
3に記載の回転操作子の検出方法における各手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転操作子の回転操作を検出する検出装置が知られている。例えば、音響装置においては、ジョグダイヤル、エフェクトつまみなどの回転操作子の回転操作を検出する検出装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光ディスク再生装置では、ジョグダイヤルよりも大径のシャッター部をジョグダイヤルに設けるとともに、シャッター部にフォトインタラプタを組み合わせ、フォトインタラプタから出力される制御パルスに基づいてジョグダイヤルの回転操作を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出装置においては、検出精度の要望だけでなく、用途に応じて様々な要望がある。例えば、上述した音響装置に用いられる検出装置では、回転操作子の操作感、耐久性、省スペース化、および低価格化の要望も多い。
そこで、本発明は、回転操作子の回転角度を検出する際に、利便性の高い検出装置、検出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]回転操作子の回転に対応して互いに異なる位相で連動して回転する複数のポテンショメーターの出力値のうち1つを選択する出力値選択部と、選択された出力値に基づいて回転操作子の回転角度を検出する検出部と、を備える検出装置。
[2]複数のポテンショメーターと、歯車比が同一である複数のギヤを備え、回転操作子の回転を複数のポテンショメーターに伝達する回転伝達手段とをさらに備える、[1]に記載の検出装置。
[3]複数のポテンショメーターのそれぞれには、回転操作子の回転範囲のうち、互いに異なる検出範囲が割り当てられ、かつ、複数のポテンショメーターのそれぞれの検出範囲によって、回転操作子の回転範囲全体を補完する、[1]または[2]に記載の検出装置。
[4]複数のポテンショメーターは、第1のポテンショメーターおよび第2のポテンショメーターを含み、出力値選択部は、第1のポテンショメーターの出力値が所定の範囲外である場合に第2のポテンショメーターの出力値を選択する、[1]から[3]のいずれかに記載の検出装置。
[5]回転操作子の回転角度を検出する検出方法であって、回転操作子の回転に対応して互いに異なる位相で連動して回転する複数のポテンショメーターの出力値のうち1つを選択する手順と、選択された出力値に基づいて回転操作子の回転角度を検出する手順と、を含む検出方法。
[6]回転操作子の回転に対応して互いに異なる位相で連動して回転する複数のポテンショメーターの出力値のうち1つを選択する出力値選択部と、選択された出力値に基づいて回転操作子の回転角度を検出する検出部と、を備える検出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態に係る検出装置、および検出装置が回転角度を検出する対象である回転操作子の全体構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における回転操作子の回転角度とポテンショメーターの出力値との関係を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係る検出装置、および検出装置が回転角度を検出する対象である回転操作子の全体構成を示す断面図である。本実施形態に係る検出装置1は、回転操作子2と一体となって構成される。
検出装置1は、
図1に示すように、回転角度を検出する2つのポテンショメーター11Aおよび11Bと、ポテンショメーター11Aおよび11Bにそれぞれ対応して設けられる回転ギヤ12Aおよび12Bと、回転操作子2の回転を回転ギヤ12Aおよび12Bに伝達する摺動ギヤ13とを含む。
回転操作子2は、
図1に示すように、ユーザーが把持して回転させることができる回転操作部材21、および回転軸部22を含む。回転操作部材21および回転軸部22は、
図1に示すように、回転軸Ax
2を中心として回転される。回転操作子2の回転範囲は360°を越えて無制限であり、時計回りおよび反時計回りの両方に回転可能である。
【0009】
図2Aはポテンショメーター11Aおよび11Bの上面図であり、
図2Bは回転ギヤ12Aおよび12Bの上面図である。
ポテンショメーター11Aおよび11Bは可変抵抗器であり、不図示の被検出部の回転角度に応じた出力値を出力する。ポテンショメーター11Aおよび11Bの被検出部は、
図2Aに示すように、それぞれ回転軸Ax
11AおよびAx
11Bを中心として連動して回転される。
回転ギヤ12Aおよび12Bは、歯車比が同一であり、摺動ギヤ13から伝達された回転操作子2の回転をポテンショメーター11Aおよび11Bに伝達してポテンショメーター11Aおよび11Bの被検出部を回転させる。回転ギヤ12Aおよび12Bは、
図2Aに示すように、それぞれ回転軸Ax
11AおよびAx
11Bを中心として連動して回転される。つまり、ポテンショメーター11Aおよび回転ギヤ12Aは、回転軸Ax
11Aを回転中心として位置決めされ、ポテンショメーター11Bおよび回転ギヤ12Bは、回転軸Ax
11Bを回転中心として位置決めされる。
【0010】
図3は、回転操作子2の回転角度とポテンショメーター11Aおよび11Bの出力値との関係を説明する図である。
図3において、横軸は回転操作子2の回転角度を示し、縦軸は出力値を示す。
図3では、ポテンショメーター11Aの出力値V
Aの変化のグラフが一点鎖線で示され、ポテンショメーター11Bの出力値V
Bの変化のグラフが二点鎖線で示されている。なお、回転ギヤ12Aおよび12Bは機構上、逆方向に回転するため、
図3に示すグラフは、正規化されたものである。
ポテンショメーター11Aの出力値V
Aおよびポテンショメーター11Bの出力値V
Bは、
図3に示されるように、互いに異なる位相で連動して変化する。これは、ポテンショメーター11Aおよび11Bが互いに異なる位相で連動して回転されるためである。
また、
図3において、T1はポテンショメーター11Aおよび11Bの出力値の上限値を示し、T2はポテンショメーター11Aおよび11Bの出力値の下限値を示す。つまり、T2以上T1未満であれば、ポテンショメーター11Aの出力値V
Aまたはポテンショメーター11Bの出力値V
Bに基づいて、回転操作子2の回転角度を検出することが可能である。この例では、ポテンショメーター11Aおよび11Bには、回転操作子2の回転範囲である360°のうち、互いに異なる検出範囲が割り当てられ、かつ、ポテンショメーター11Aおよび11Bのそれぞれの検出範囲によって上述した360°全体を補完している。
【0011】
以上説明した構成の検出装置1および回転操作子2において、ユーザーが回転操作部材21を把持して回転させると、回転軸部22が回転軸Ax2を中心として回転される。回転軸部22の回転は、摺動ギヤ13によって回転ギヤ12A、回転ギヤ12Bの順に伝達される。回転ギヤ12Aおよび12Bが回転すると、ポテンショメーター11Aおよび11Bの被検出部が回転され、ポテンショメーター11Aおよび11Bからそれぞれ出力値VAおよび出力値VBが出力される。摺動ギヤ13、回転ギヤ12Aおよび12Bは連動して回転し、回転操作子2の回転をポテンショメーター11Aおよび11Bに同期的に伝達する回転伝達手段として機能する。
【0012】
図4は、
図1から
図3に示される検出装置1の機能構成を示すブロック図である。
検出装置1は、
図1から
図3で説明したポテンショメーター11Aおよび11Bに加えて、制御部14および出力部15を含む。
制御部14は、例えば通信インターフェース、CPU(Central Processing Unit)等
のプロセッサ、及び、作業領域となるメモリーによって検出装置1に実装され、検出装置1の動作を制御する。制御部14は、プロセッサがメモリーに格納された、又は通信インターフェースを介して受信されたプログラムに従って動作することによって実現される取得部141と、出力値選択部142と、検出部143とを含む。
【0013】
取得部141は、ポテンショメーター11Aおよび11Bからそれぞれ出力値VAおよび出力値VBを取得する。
出力値選択部142は、取得部141が取得した出力値VAおよび出力値VBのいずれかを選択する。
検出部143は、出力値選択部142が選択した出力値に基づいて、回転操作子2の回転角度を検出する。
出力部15は、検出部143が検出した回転角度を出力する。
【0014】
再び
図3を参照して、出力値選択部142による出力値の選択について説明する。なお、以下では回転操作子2が時計回りに回転された場合の出力値選択部142による出力値の選択について説明する。
上述したように、ポテンショメーター11Aおよび11Bには、互いに異なる検出範囲が割り当てられ、かつ、ポテンショメーター11Aおよび11Bのそれぞれの検出範囲によって上述した360°全体を補完している。そのため、出力値V
Aおよび出力値V
Bのうち一方の出力値が上限値T1および下限値T2により定められる所定の範囲外である場合には、他方の出力値は必ず所定の範囲内となる。
そこで、出力値選択部142は、出力値V
Aおよび出力値V
Bと、上限値T1および下限値T2とを比較し、出力値V
Aおよび出力値V
Bのうち一方の出力値が所定の範囲外である場合には、他方の出力値を選択する。つまり、出力値選択部142は、出力値V
Aが所定の範囲外である場合に出力値V
Bを選択し、出力値V
Bが所定の範囲外である場合に出力値V
Aを選択する。
また、出力値選択部142は、選択した出力値が上限値T1に達した場合には、選択していない方の出力値を選択する。つまり、出力値選択部142は、出力値V
Aが上限値T1に達した場合には出力値V
Bを選択し、出力値V
Bが上限値T1に達した場合には出力値V
Aを選択する。このように出力値選択部142によって選択された出力値V
Cの変化のグラフが
図3に太線で示されている。
【0015】
なお、ここでは、回転操作子2が時計回りに回転された場合の出力値選択部142による出力値の選択について説明したが、回転操作子2が反時計回りに回転された場合にも、同様にも同様に考えることができる。つまり、出力値選択部142は、選択した出力値が下限値T2に達した場合に、選択していない方の出力値を選択する。つまり、出力値選択部142は、出力値VAが下限値T2に達した場合には出力値VBを選択し、出力値VBが下限値T2に達した場合には出力値VAを選択する。
【0016】
次に、
図5のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態における回転操作子2の回転角度の検出方法について説明する。
取得部141は、ポテンショメーター11Aおよび11Bからそれぞれ出力値V
Aおよび出力値V
Bを取得する(ステップS101)。出力値選択部142は、取得した出力値V
Aと、上限値T1および下限値T2とを比較し、出力値V
Aが上限値T1以上、または出力値V
Aが下限値T2未満であるか否か、つまり、出力値V
Aが所定の範囲外であるか否かを判定する(ステップS102)。
出力値V
Aが所定の範囲外であると判定した場合(ステップS102YES)、出力値選択部142は、ポテンショメーター11Bの出力値V
Bを回転角度の検出に用いる検出値として選択する(ステップS103)。
【0017】
出力値VAが所定の範囲外でないと判定した場合(ステップS102NO)、出力値選択部142は、ステップS101で取得した出力値VBと、上限値T1および下限値T2とを比較し、出力値VBが上限値T1以上、または出力値VBが下限値T2未満であるか否か、つまり、出力値VBが所定の範囲外であるか否かを判定する(ステップS104)。
出力値VBが所定の範囲外であると判定した場合(ステップS104YES)、出力値選択部142は、ポテンショメーター11Aの出力値VAを回転角度の検出に用いる検出値として選択する(ステップS105)。
【0018】
出力値VBが所定の範囲外でないと判定した場合(ステップS104NO)、出力値選択部142は、ステップS101で取得した出力値VAおよび出力値VBの移動方向が同じであるか否かを判定する(ステップS106)。
出力値VAおよび出力値VBの移動方向が同じでないと判定した場合(ステップS106NO)、出力値選択部142は、ステップS101に戻る。
出力値VAおよび出力値VBの移動方向が同じであると判定した場合(ステップS106YES)、出力値選択部142は、出力値VAが出力値VBより大きく、かつ、出力値VAおよび出力値VBの差分値である|VA-VB|が所定の閾値T3以上であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0019】
出力値VAが出力値VBより大きく、かつ、|VA-VB|≧T3であると判定した場合(ステップS107YES)、出力値選択部142は、ステップS105に戻り、ポテンショメーター11Aの出力値VAを回転角度の検出に用いる検出値として選択する。
出力値VAが出力値VBより小さい、または、|VA-VB|<T3であると判定した場合(ステップS107NO)、出力値選択部142は、出力値VAが出力値VBより小さく、かつ、出力値VAおよび出力値VBの差分値である|VA-VB|が所定の閾値T3以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0020】
出力値VAが出力値VBより大きい、または、|VA-VB|<T3であると判定した場合(ステップS108NO)、出力値選択部142は、ステップS101に戻る。
出力値VAが出力値VBより小さく、かつ、|VA-VB|≧T3であると判定した場合(ステップS108YES)、出力値選択部142は、ステップS103に戻り、ポテンショメーター11Bの出力値VBを回転角度の検出に用いる検出値として選択する。
【0021】
ステップS103またはステップS105で出力値選択部142が回転角度の検出に用いる検出値を選択すると、選択された検出値に基づいて、検出部143が回転操作子2の回転角度を検出し(ステップS109)、出力部15が回転角度を出力する(ステップS110)。
検出装置1はステップS101からステップS110の処理を所定の時間間隔で繰り返すことにより、回転操作子2の回転角度を検出して出力することが可能である。
【0022】
以上で説明したような本発明の一実施形態によれば、回転操作子2の回転に対応して互いに異なる位相で連動して回転するポテンショメーター11Aおよび11Bの出力値のうち1つを選択し、選択された出力値に基づいて回転操作子2の回転角度を検出する。したがって、複数のポテンショメーターの出力値を相補的に利用して回転角度を検出可能な、利便性の高い検出装置を実現することができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態によれば、複数のポテンショメーターであるポテンショメーター11Aおよび11Bのそれぞれには、回転操作子2の回転範囲のうち、互いに異なる検出範囲が割り当てられ、かつ、複数のポテンショメーターであるポテンショメーター11Aおよび11Bのそれぞれの検出範囲によって、回転操作子2の回転範囲全体を補完する。したがって、1つでは回転操作子2の回転範囲全体をカバーできないポテンショメーターを利用しても、回転操作子2の回転範囲全体を補完することが可能な検出装置を実現することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態によれば、出力値選択部142は、複数のポテンショメーターであるポテンショメーター11Aおよび11Bのうち、第1のポテンショメーターの出力値が所定の範囲外である場合に第2のポテンショメーターの出力値を選択する。したがって、複数のポテンショメーターの出力値を適切に切り替えて出力値を選択して回転操作子2の回転角度を検出することができる。
【0025】
なお、上記実施形態の検出装置1の各部の構成は一例であり、この例に限定されない。例えば、複数のポテンショメーターとして2つのポテンショメーター11Aおよび11Bを備える構成を示したが、3つ以上のポテンショメーターを備える構成としてもよい。
また、複数のポテンショメーターであるポテンショメーター11Aおよび11Bの配置は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、
図1の断面図において、ポテンショメーター11Aおよび11Bが回転操作子2を挟んで両側に配置される構成であってもよい。
また、上記実施形態では、回転伝達手段として歯車比が同一である2つのギヤを例示して説明したが、ギヤに代えて、または加えて、ベルト、接触ゴム、磁気、モーター等を利用した回転伝達手段を用いてもよい。
【0026】
また、上記のような機能をもった検出装置を、回転操作子の回転角度を検出するどのような機器および装置に利用してもよい。例えば、本実施形態の検出装置を音響装置に用いた場合、回転操作子の操作感、耐久性、省スペース化、および低価格化等に効果を得ることが期待できる。
【0027】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0028】
1…検出装置、2…回転操作子、11A,11B…ポテンショメーター、12A,12B…回転ギヤ、13…摺動ギヤ、21…回転操作部材、22…回転軸部、14…制御部、15…出力部、141…取得部、142…出力値選択部、143…検出部。