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特許7624474設計支援装置、設計支援方法、プログラム、及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援方法、プログラム、及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20250123BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20250123BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20250123BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20250123BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/10 100
F21S43/00
F21W103:00
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2023076650
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2020571266の分割
【原出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2023109813
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2019020484
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖光 武臣
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108802893(CN,A)
【文献】特表2018-511148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/20
G06F 30/10
F21S 43/00
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援装置であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する入力部と、
前記入力部に入力された前記入力情報に基づいて設計演算する演算部と、
前記演算部が設計演算した結果が出力情報として送信される出力部と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面として表示される表示部と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記演算部が設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、
を含み、前記入力情報又は前記出力情報は、前記導光体の導光距離を含む、設計支援装置。
【請求項2】
前記導光体は、入光面から入力された前記光線を前記入光面と異なる発光面に導いて前記発光面から出力するものであり、
前記第二領域は、前記導光体の導光距離、前記入光面への入力光量、及び前記発光面上での出力光量のうちの2つが前記第2情報として表示され、
前記第一領域は、前記導光距離、前記入力光量、及び前記出力光量のうちの残りの1つが前記第1情報として表示される、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体を構成する材料又は前記導光体を構成する材料が有する吸収係数が表示される第三領域を含む、請求項1又は2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記材料は、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂が選択項目として表示される、請求項3に記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体の導光幅が表示される第四領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項6】
前記入出力画面は、前記演算部が決定した前記導光体における吸収損失又は発光効率が表示される第五領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項7】
前記演算部は、前記導光体内に配設されるプリズムを設計するプリズム設計、前記導光体の断面形状を設計する断面設計、又は前記導光体内を通る前記光線の経路を設計する経路設計を行う、請求項1から6のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項8】
前記プリズム設計は、前記導光体内に配設される前記プリズムによる前記光線の反射及び屈折に基づいて前記光線の配光及び裏抜けを計算することにより設計される、請求項7に記載の設計支援装置。
【請求項9】
前記プリズム設計は、設計要素として前記プリズムの形状、前記プリズムの大きさ、又は前記光線の導光方向に関する前記プリズムの配設ピッチを含む、請求項7又は8に記載の設計支援装置。
【請求項10】
前記断面設計は、前記導光体の表面における前記光線の反射及び屈折に基づいて計算される前記光線の出射分布及び反射分布に関する情報を表示することにより支援される、請求項7から9のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項11】
前記断面設計は、設計要素として前記導光体の断面形状又は前記導光体の大きさを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項12】
前記導光体は、前記光線が導かれる導光部及びプリズムが配設される反射部を含み、
前記断面設計は、設計要素として前記導光部の断面形状、前記導光部の大きさ、前記反射部の位置、又は前記反射部の大きさを含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項13】
前記経路設計は、前記導光体の中心軸である導光路の曲がりによる前記光線の漏れ及び前記導光体の断面の広がりにより前記導光体内に集中する光密度を計算することにより設計される、請求項7から12のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項14】
前記経路設計は、設計要素として前記経路の曲げ又は前記経路の徐変幅を含む、請求項7から13のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項15】
前記経路の前記曲げは、前記導光体の中心軸である導光路の曲げ方向及び曲率を含み、前記経路の前記徐変幅は、前記導光体の導光方向に直交する方向に関する断面の広がりの程度を含む、請求項14に記載の設計支援装置。
【請求項16】
前記入出力画面は、前記プリズム設計、前記断面設計、又は前記経路設計のうち、前記ユーザが選択した設計対象である設計対象項目が表示される第六領域を含む、請求項7から15のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項17】
前記入出力画面は、前記プリズム設計、前記断面設計、又は前記経路設計の設計結果が表示される第七領域を含む、請求項7から16のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項18】
前記演算部は、前記プリズム設計、前記断面設計、又は前記経路設計のうち、前記ユーザが選択した設計対象以外である設計対象外項目について、前記ユーザにより入力された設定値又は初期設定された設定値を用いて設計する、請求項7から17のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項19】
前記演算部は、前記導光体内を伝わる前記光線の1又は複数の配光ポテンシャルを算出する、請求項1から18のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項20】
前記演算部は、前記導光体内に配設されるプリズムを設計するプリズム設計を行い、
前記1又は複数の配光ポテンシャルのうちの第1の配光ポテンシャルは、前記プリズムによる前記光線の散乱確率分布を示す、前記プリズムにより反射又は屈折する前記光線の配光分布として算出される、
請求項19に記載の設計支援装置。
【請求項21】
前記演算部は、前記導光体の断面形状を設計する断面設計を行い、
前記1又は複数の配光ポテンシャルのうちの第2の配光ポテンシャルは、前記導光体からその断面に平行な方向に出射する前記光線の散乱確率分布を示す、前記導光体から出射する前記光線の配光分布として算出される、
請求項19又は20に記載の設計支援装置。
【請求項22】
前記演算部は、前記導光体内を通る前記光線の経路を設計する経路設計を行い、
前記1又は複数の配光ポテンシャルのうちの第3の配光ポテンシャルは、前記導光体の表面から漏れる前記光線の漏れの確率分布を示す、前記導光体の表面から漏れる前記光線の強度分布として算出される、
請求項19から21のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項23】
前記演算部は、前記1又は複数の配光ポテンシャルを用いて、前記導光体内に配設されるプリズムを設計するプリズム設計、前記導光体の断面形状を設計する断面設計、又は前記導光体内を通る前記光線の経路を設計する経路設計を行う、請求項19から22のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項24】
前記演算部が算出した前記1又は複数の配光ポテンシャルは、前記ユーザが視覚的に認識可能に出力される、請求項19から23のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項25】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援装置であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する入力部と、
前記入力部に入力された前記入力情報に基づいて設計演算する演算部と、
前記演算部が設計演算した結果が出力情報として送信される出力部と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面として表示される表示部と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記演算部が設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記導光体は、入光面から入力された前記光線を前記入光面と異なる発光面に導いて前記発光面から出力するものであり、前記第二領域は、前記導光体の導光距離、前記入光面への入力光量、及び前記発光面上での出力光量のうちの2つが前記第2情報として表示され、前記第一領域は、前記導光距離、前記入力光量、及び前記出力光量のうちの残りの1つが前記第1情報として表示される、
設計支援装置。
【請求項26】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援装置であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する入力部と、
前記入力部に入力された前記入力情報に基づいて設計演算する演算部と、
前記演算部が設計演算した結果が出力情報として送信される出力部と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面として表示される表示部と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記演算部が設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体を構成する材料又は前記導光体を構成する材料が有する吸収係数が表示される第三領域を含む、
設計支援装置。
【請求項27】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援装置であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する入力部と、
前記入力部に入力された前記入力情報に基づいて設計演算する演算部と、
前記演算部が設計演算した結果が出力情報として送信される出力部と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面として表示される表示部と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記演算部が設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体の導光幅が表示される第四領域を含む、
設計支援装置。
【請求項28】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援装置であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する入力部と、
前記入力部に入力された前記入力情報に基づいて設計演算する演算部と、
前記演算部が設計演算した結果が出力情報として送信される出力部と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面として表示される表示部と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記演算部が設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記演算部は、前記導光体内を伝わる前記光線の1又は複数の配光ポテンシャルを算出する、
設計支援装置。
【請求項29】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るためにコンピュータにより実行される設計支援方法であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する段階と、
前記入力情報に基づいて設計演算する段階と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される段階と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される段階と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、
を含み、前記入力情報又は前記出力情報は、前記導光体の導光距離を含む、設計支援方法。
【請求項30】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るためにコンピュータにより実行される設計支援方法であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する段階と、
前記入力情報に基づいて設計演算する段階と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される段階と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される段階と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記導光体は、入光面から入力された前記光線を前記入光面と異なる発光面に導いて前記発光面から出力するものであり、前記第二領域は、前記導光体の導光距離、前記入光面への入力光量、及び前記発光面上での出力光量のうちの2つが前記第2情報として表示され、前記第一領域は、前記導光距離、前記入力光量、及び前記出力光量のうちの残りの1つが前記第1情報として表示される、
設計支援方法。
【請求項31】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るためにコンピュータにより実行される設計支援方法であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する段階と、
前記入力情報に基づいて設計演算する段階と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される段階と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される段階と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体を構成する材料又は前記導光体を構成する材料が有する吸収係数が表示される第三領域を含む、
設計支援方法。
【請求項32】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るためにコンピュータにより実行される設計支援方法であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する段階と、
前記入力情報に基づいて設計演算する段階と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される段階と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される段階と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体の導光幅が表示される第四領域を含む、
設計支援方法。
【請求項33】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るためにコンピュータにより実行される設計支援方法であって、
ユーザが入力する入力情報を受信する段階と、
前記入力情報に基づいて設計演算する段階と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される段階と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される段階と、を備え、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記設計演算する段階では、前記導光体内を伝わる前記光線の1又は複数の配光ポテンシャルを算出する、
設計支援方法。
【請求項34】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援を実行するプログラムであって、コンピュータに、
ユーザが入力する入力情報を受信する手順と、
前記入力情報に基づいて設計演算する手順と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される手順と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される手順と、を実行させ、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、
を含み、前記入力情報又は前記出力情報は、前記導光体の導光距離を含む、プログラム。
【請求項35】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援を実行するプログラムであって、コンピュータに、
ユーザが入力する入力情報を受信する手順と、
前記入力情報に基づいて設計演算する手順と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される手順と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される手順と、を実行させ、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記導光体は、入光面から入力された前記光線を前記入光面と異なる発光面に導いて前記発光面から出力するものであり、前記第二領域は、前記導光体の導光距離、前記入光面への入力光量、及び前記発光面上での出力光量のうちの2つが前記第2情報として表示され、前記第一領域は、前記導光距離、前記入力光量、及び前記出力光量のうちの残りの1つが前記第1情報として表示される、
プログラム。
【請求項36】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援を実行するプログラムであって、コンピュータに、
ユーザが入力する入力情報を受信する手順と、
前記入力情報に基づいて設計演算する手順と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される手順と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される手順と、を実行させ、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体を構成する材料又は前記導光体を構成する材料が有する吸収係数が表示される第三領域を含む、
プログラム。
【請求項37】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援を実行するプログラムであって、コンピュータに、
ユーザが入力する入力情報を受信する手順と、
前記入力情報に基づいて設計演算する手順と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される手順と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される手順と、を実行させ、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記入出力画面は、前記ユーザが入力した前記導光体の導光幅が表示される第四領域を含む、
プログラム。
【請求項38】
導光体内を導かれる光線が受ける物理効果を取り込んだ理論モデルを利用して、導光体についての少なくとも一つの設計要件又は設計条件の理論限界を得るための設計支援を実行するプログラムであって、コンピュータに、
ユーザが入力する入力情報を受信する手順と、
前記入力情報に基づいて設計演算する手順と、
前記設計演算した結果が出力情報として送信される手順と、
前記入力情報及び前記出力情報が入出力画面に表示される手順と、を実行させ、
前記入出力画面は、
前記出力情報のうちの少なくとも1つの第1情報が前記設計演算した結果として表示される第一領域と、
前記入力情報のうちの少なくとも2つの第2情報が前記ユーザが入力した結果として表示される第二領域と、を含み、
前記設計演算する手順では、前記導光体内を伝わる前記光線の1又は複数の配光ポテンシャルを算出する、
プログラム。
【請求項39】
請求項34から38のいずれか一項に記載のプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算装置及び方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等に搭載される導光体(ライトガイドとも呼ぶ)は、通常、次の手順に従って設計される。1)導光体の形状、光源の強度、必要な輝度(輝度値及び均一度)、法規配光等、実用上の観点から必然的に求められる設計上の要件を設定する。2)導光体を構成する材料、プリズムの構造(形状、大きさ、配列ピッチ等)、入光部分の構造等、任意に選択できる設計条件を設定する。3)これらの要件及び条件に対して、光学解析ソフトを利用して光線追跡を実行することにより、発光面上の輝度を解析する。ここで、光線追跡とは、光源から射出され、入光面を介して導光体内に入力された光線が導光体内を導かれて発光面から出力されるまでの光線の軌跡を追跡することをいう(例えば、特許文献1及び2参照)。4)発光面上の輝度が要件より定まる目標範囲内に収まるように設計条件を修正して、3)の輝度の解析を繰り返す(例えば、特許文献3参照)。
特許文献1 特開2003-121654号公報
特許文献2 特表2007-507815号公報
特許文献3 特表2012-528361号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の経験的な設計方法では、設計の初期において、1)の要件、特に必要な輝度を達成できるかどうかの見通しが立たないために、2)から4)までの設計手順、さらには導光体の試作を繰り返した後に初めて要件を達成できないことが判明し、要件を再設定して設計をやり直すことがある。このような手戻りにより、工数が増加するという問題がある。そこで、設計の初期において、導光体内を導かれる光線が受ける物理効果のうち、特に支配的な効果を現象論的に取り込んだ理論モデルを利用して1)の要件の理論限界を得ることで、導光体の設計の見通しを立てることが望まれる。
【一般的開示】
【0004】
入光面から入力された光を入光面と異なる発光面に導いて該発光面から出力する導光体の設計演算をする演算装置は、入光面への入力光量について設定値を設定する設定部を備えてよい。
演算装置は、設定部により設定された設定値を用いて、導光体内を導光経路に沿って単位距離毎に区画した複数の区間のそれぞれについて、光が区間を通った際に導光体により吸収される吸収光量及び発光面から出力される出力光量を算出し、吸収光量及び出力光量の算出値を光が区間に入る前の強度値から減じて区間を出る際の強度値を算出する算出部を備えてよい。
演算装置は、算出部により算出された算出値に基づいて発光面から出力される発光量を決定する決定部を備えてよい。
設定部は、導光体の複数の設計項目のそれぞれについて設定値を設定してよい。
算出部は、複数の設計項目のそれぞれに基づいて導光体内を伝わる光の配光ポテンシャルを算出し、算出された複数の配光ポテンシャルに基づいて出力光量を算出してよい。
複数の設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちの少なくとも1つを含んでよい。
設定部は、さらに、導光体内に配設されるプリズムのプリズム設計について設定値を設定してよい。
算出部は、プリズム設計の設定値にさらに基づいて、光が区間を通った際の出力光量を算出してよい。
算出部は、光が区間を通った際に発光面以外の面から漏洩する漏洩量を算出し、漏洩量の算出値を光が区間に入る前の強度値から減じて区間を出る際の強度値を算出してよい。
設定部は、さらに、導光体の断面形状について設定値を設定してよい。
算出部は、断面形状の設定値にさらに基づいて、光が区間を通った際の出力光量を算出してよい。
設定部は、さらに、導光体の経路について設定値を設定してよい。
算出部は、経路設計の設定値にさらに基づいて、光が区間を通った際の出力光量を算出してよい。
設定部は、さらに、導光体の周囲に配置される光学部材について設定値を設定してよい。
算出部は、光学部材の設定値に基づいて、光が区間を通った際の出力光量を算出してよい。
【0005】
入光面から入力された光を入光面と異なる発光面に導いて発光面から出力する導光体の設計演算をする演算方法は、入光面への入力光量について設定値を設定する段階を備えてよい。
演算方法は、設定する段階で設定された設定値を用いて、導光体内を導光経路に沿って単位距離毎に区画した複数の区間のそれぞれについて、光が区間を通った際に導光体により吸収される吸収光量及び発光面から出力される出力光量を算出し、吸収光量及び出力光量の算出値を光が区間に入る前の強度値から減じて区間を出る際の強度値を算出する段階を備えてよい。
演算方法は、算出する段階で算出された算出値に基づいて発光面から出力される発光量を決定する段階を備えてよい。
設定する段階では、導光体の複数の設計項目のそれぞれについて設定値を設定してよい。
算出する段階では、複数の設計項目のそれぞれに基づいて導光体内を伝わる光の配光ポテンシャルを算出し、算出された複数の配光ポテンシャルに基づいて出力光量を算出してよい。
複数の設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0006】
入光面から入力された光を入光面と異なる発光面に導いて発光面から出力する導光体の設計演算をするために、プログラムは、コンピュータに、入光面への入力光量について設定値を設定する手順を実行させてよい。
プログラムは、コンピュータに、設定する手順で設定された設定値を用いて、導光体内を導光経路に沿って単位距離毎に区画した複数の区間のそれぞれについて、光が区間を通った際に導光体により吸収される吸収光量及び発光面から出力される出力光量を算出し、吸収光量及び出力光量の算出値を光が区間に入る前の強度値から減じて区間を出る際の強度値を算出する手順を実行させてよい。
プログラムは、コンピュータに、算出する手順で算出された算出値に基づいて発光面から出力される発光量を決定する手順を実行させてよい。
設定する手順では、導光体の複数の設計項目のそれぞれについて設定値を設定してよい。
算出する手順では、複数の設計項目のそれぞれに基づいて導光体内を伝わる光の配光ポテンシャルを算出してよい。
複数の設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0007】
演算装置は、光を導く導光体を導光方向に沿って予め定められた間隔で区画した区間のうち、光の入力側からn番目(nは1以上の整数)の区間である第n区間において、導光体の外部に出力される出力光量を算出する算出部を備えてよい。
算出部は、第n区間へ入力される入力光量と第n区間で吸収される吸収光量とに基づいて、第n区間における出力光量を算出してよい。
第n区間の入力光量から第n区間の出力光量及び第n区間の吸収光量を差し引いたものを第n区間の残存光量としたとき、算出部は、光の入力側からn+1番目の区間である第n+1区間へ入力される入力光量を、残存光量に基づいて決定してよい。
演算装置は、光を導く導光体を導光方向に沿って予め定められた間隔で区画した区間のうち、光の入力側からn番目(nは1以上の整数)の区間である第n区間において、導光体に入力された光が導光体の外部に出力されず且つ導光体に吸収されずに残存した際の残存光量を算出する算出部を備えてよい。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】導光体の構成の一例及び導光体内を導かれる光束の損失と発光面上での輝度の関係を示す。
図2】第1の実施形態に係る設計支援装置の機能構成を示す。
図3】第1の実施形態に係る設計支援装置の入出力画面を示す。
図4】周期モデルに基づく光束の吸収損失と発光損失を示す。
図5】第1の実施形態に係る設計支援方法のフローを示す。
図6】第2の実施形態に係る設計支援装置の入出力画面を示す。
図7】プリズム設計に基づく配光ポテンシャルの一例を示す。
図8】断面設計に基づく配光ポテンシャルの一例を示す。
図9】経路設計に基づく配光ポテンシャルの一例を示す。
図10】経路設計に基づく配光ポテンシャルの別の例を示す。
図11】付属の光学部品の種類及びそれらの配置の一例を示す。
図12】第2の実施形態に係る設計支援方法のフローを示す。
図13】コンピュータの構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
第1の実施形態。
図1に、設計対象である導光体の構成の一例を示す。導光体は、入光面から入力された光束を入光面と異なる発光面に導いてそこから出力する光学部品である。導光体は、一例として、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を用いて長さ、幅、及び厚みを有する角柱状に成形される。導光体の底面上には複数のプリズム(不図示)が配列され、左端面が、光源から射出される光束が入力される入光面として機能し、上面が、光束が出力される発光面として機能する。なお、光源は、1又は複数のLEDを含んでよい。図1及びその他の図面において、導光体(の中心軸)が延びる方向であり光束が導かれる方向を導光方向、上面(発光面)と底面とが対向する方向を厚み方向、導光方向及び厚み方向にそれぞれ直交する方向を幅方向とする。
【0012】
斯かる構成の導光体において、入光面から入力された光束は、導光体内に広がって上面、側面、及び底面で反射されつつ右方向に導かれ、底面上のプリズムにより上方に向けられて発光面から出力される。それにより、発光面が発光する。このとき、光束が、入光面で反射される、導光体を構成する材料により吸収される、側面及び底面で反射されずに透過する、さらに右端面(終端面とも呼ぶ)を透過して導光体から出力されることで、光束の損失が生じる。これらの損失を、それぞれ、入光損失、吸収損失、裏抜け、及び終端余りと呼ぶ。また、プリズムの構造(形状、大きさ、配列ピッチ等)により発光面上で出力される光束の量(光度とも呼ぶ)の分布が変化し、それにより発光面上の輝度にムラが生ずる。
【0013】
導光体の設計では、発光面上の輝度が、設計要件として与えられる目標範囲内に収まるように設計条件を修正するが、光学解析ソフトにより光線追跡して発光面上の輝度を解析しても、その結果がどの設計条件に由来しているのかわからず、設計条件を経験的に改善するのが通常である。そこで、第1の実施形態に係る設計支援装置及び方法では、導光体の設計の見通しを立てるために、導光体内を導かれる光線が受ける物理効果(特に、上記の損失)のうち、特に支配的な効果を現象論的に取り込んだ理論モデルを構築し、これを利用して設計要件及び条件の理論限界を得る。
【0014】
第1の実施形態では、導光体の設計要件及び条件の理論限界を得るために、次の仮定を採用することとする。1)光源から射出される光束はすべて入光面を介して導光体内に入力される、すなわち入力損失はゼロである。2)発光面上での輝度は均一、すなわちランバーシアン発光で裏抜けはない。3)光束は終端面に到達せず消費される、すなわち終端余りはない。つまり、上記の損失のうち、不可避であり且つ最も支配的な吸収損失のみを取り込んだ最小の現象論的モデルを採用し、これを利用して導光体内に入力された光束が導光体に吸収されつつ右方向に導かれて発光面から出力されることにより、発光面が均一輝度で発光する場合における設計要件及び条件の理論限界を得る。
【0015】
第1の実施形態に係る設計支援装置10は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置であり、少なくとも中央処理装置(CPU(図13参照))を有する。CPUは、設計プログラムを実行することにより、設計支援装置10に導光体の解析方法を実行する機能を発現させる。設計プログラムは、例えば、ROMに記憶され、それをCPUが読み出す、或いはDVD-ROM等の記憶媒体に記憶され、それをCPUがDVD-ROMドライブ等の読み取り装置を用いて読み出してRAMに展開することで起動される。なお、コンピュータ装置のハードウェア構成については、後でより詳細な一例を説明する。
【0016】
図2に、設計支援装置10の機能構成を示す。設計支援装置10は、入力部1、設定部2、算出部3、決定部4、及び出力部5を有する。なお、第1の実施形態では、設計要件及び条件として、導光体の形状に対応する導光体の幅(導光幅と呼ぶ)及び導光距離、光源の強度に対応する入力光束(入力光量の一例であり、光束に限らず光度、輝度、その他の光量を表す任意の概念で表してよい)、必要な輝度(出力光量の一例であり、輝度に限らず光度、光束、その他の光量を表す任意の概念で表してよい)に対応する均一輝度、導光体を構成する材料の吸収係数を扱う。
【0017】
入力部1は、ユーザがキーボード等の入力デバイスを介して入力する入力情報を受信するユニットである。入力情報は、設定部2に送信される。
【0018】
図3に、設計支援装置10の入出力画面6を示す。入力情報には、最大導光距離、必要入力光束、及び限界均一輝度のうちからの算出項目の選択、導光体を構成する材料の選択又は材料が有する吸収係数a、導光幅X、並びに入力光束F、均一輝度L、及び導光距離Ymaxのうちから選択項目に対応する項目を除く残りの2項目を含む。導光体を構成する材料として、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂が選択項目として表示されている。本例では、算出項目として限界均一輝度が選択され、導光体を構成する材料としてアクリル樹脂が選択され、導光幅、入力光束、及び導光距離の値がユーザにより入力される。なお、全体平均光度Iaは、受光面全体の平均光度(dIXYmax)であり、中心最大光度Ianは、受光面の中心光度、つまり最大光度(ランバーシアン発光を仮定して2Ia)である。
【0019】
設定部2は、導光体の設計要件及び条件を設定するユニットである。設定部2は、入力部1から送信される入力情報に従って、導光体を構成する材料の吸収係数aの値、導光幅Xの値、並びに入力光束F、均一輝度L、及び導光距離Ymaxのうちから算出項目を除く残りの2項目の値を設定する。なお、吸収係数の値は、導光体を構成する材料が選択された場合、その材料より定まる値が設定される。それぞれの材料より定まる吸収係数の値は、予めメモリ等に記憶されてよい。また、任意入力された場合、その入力された値が設定される。設定部2は、算出項目として最大導光距離が選択された場合に入力情報に従って入力光束及び均一輝度のそれぞれの値を設定し、必要入力光束が選択された場合に導光距離及び入力光束のそれぞれの値を設定し、限界均一輝度が選択された場合に導光距離及び均一輝度のそれぞれの値を設定する。図3の例では、選択されたアクリル樹脂より定まる吸収係数の値、ユーザが入力した入力情報より導光幅の値、入力光束の値、及び導光距離の値が設定される。これらの設定値は、算出部3に送信される。
【0020】
算出部3は、設定部2により設定された設定値を計算式に適用することにより、導光距離、入力光束、及び均一輝度のうちの選択項目に対応する項目を算出するユニットである。計算式は、後述するように、導光体内を単位距離進んだ光の光量は、単位距離進む前の光量から、単位距離進むことで導光体により吸収される吸収光量及び発光面から出力される光量を減じた量に等しいことを表すものである。
【0021】
図4に、第1の実施形態において採用する周期モデルを表す。周期モデルにおいて、導光体内を繰り返し単位距離dY[mm]導かれる光束の収支は、次式により表すことができる。
【数1】
ここで、I及びIn-1は、それぞれn回目に単位距離dY導かれた後及び前の光束の量、すなわち光度[cd]、aは吸収係数[mm-1]、cは光束の広がりに由来する補正係数、dI・Xは単位距離dYに対応する発光面上の単位面dS=dYX[mm]から出力される光度である。右辺第1項は、光束の吸収損失Iloss=In-1(1-e-adYc)を含む、すなわち光束が導光体内を単位距離dYだけ導かれる際に導光体に吸収される吸収光量を減じた残りの光度を表す。右辺第2項は、光束の発光面からの出力光量(発光量)、すなわち光束が導光体内を単位距離dYだけ導かれる際に発光面上の単位面dSから出力される光度を表す。従って、上記式は、光束が導光体内をn回目に単位距離dY導かれた後の光度Iは、導かれる前の光度In-1から吸収光量及び出力される光度を減じた光度に等しいことを表す。
【0022】
上記式(1)は、例えば次のように解くことができる。
【数2】
上記の第1式では、算出部3は、入力光度I(=F/2π)に対して、光束が導光体内を単位距離dYだけ進んだ際に導光体により吸収される光束の吸収損失Iloss及び発光面上の単位面dS(=dYX)から出力される発光光度dI・Xを算出し、それらの算出値を光度Iから減じることで残りの光度Iを算出する。ここで、光束の吸収損失Ilossは、吸収係数aの設定値を用いて算出される。また、発光光度dIは、均一輝度Lの設定値及び導光幅Xの設定値を用いて算出される。
【0023】
第2式では、算出部3は、第1式より算出された光度Iに対して、光束が導光体内をさらに単位距離dYだけ進んだ際の光束の吸収損失Iloss及び発光光度dI・Xを算出し、それらの算出値を光度Iから減じることで残りの光度Iを算出する。
【0024】
算出部3は、上述の算出を残りの光度Iが無くなるまで、ただし数値計算上、条件dI・X>I≧0を満たすまで繰り返す。つまり、算出部3は、入力光度Iに対して、光束が導光体内を単位距離dYだけ進むごとに、光束の吸収損失Iloss及び発光光度dI・Xを算出し、それらの算出値を光度In-1から減じて残りの強度Iを算出することを、残りの強度Iが無くなるまで繰り返す。このときの繰り返し回数nを用いて、導光距離dYnが算出される。
【0025】
算出部3は、補正係数cを用いて、導光体内を進む光束の広がりに基づいて光束の吸収損失を算出してもよい。導光体の入光面から入力される光束は、例えばアクリル樹脂に対して約84度の広がりを有する。そのため、導光体の中心軸上を導かれる光線と中心軸から傾斜する方向に導かれる光線とでは、中心軸上を単位距離dY導かれる際に導光体内を進行する距離が異なり、光線の吸収光量も異なることとなる。そこで、光線の広がりに基づいて補正係数cを定めて、光束が導光体内を中心軸に沿って進行する一次元モデルに帰着させてよい。例えば、入力光束の広がり分布φ(θ)=I(θ)/∫I(θ)dθを用いてc=∫φ(θ)sec(θ)dθとしてもよい。この補正係数cを用いることにより、導光体内を広がって進行する光束の平均進行距離dYcが得られる。また、式(2)において、入力光度Iに代えてIφ(θ)、補正係数c=sec(θ)として導光距離dYnを角度θに対して算出し、その結果を角度θに対して平均することで導光距離を算出してもよい。
【0026】
算出項目として最大導光距離が選択された場合、算出部3は、入力光度I(=F/2π)及び均一輝度Lの設定値を用いて上記式(2)のとおりに導光距離dYnを算出する。
【0027】
算出項目として必要入力光束が選択された場合、算出部3は、均一輝度Lの設定値を用いてdI・Xを算出し、導光距離Ymaxの設定値を用いてn=Ymax/dYを算出し、これらの値を上記の第1式に代入して入力光度Iを算出する。ただし、上記の第1式を次のように変形する。
【数3】
ここで、右辺第1項は、光束が導光体内を単位距離dYをn回導かれた後の残りの光度に、最後のn回目に導かれたときに導光体に吸収された吸収光量を足した光度を表す。右辺第2項は、光束が導光体内を単位距離dYだけ導かれる際に発光面上の単位面dSから出力される光度を表す。従って、上記式は、光束が導光体内をn回目に単位距離dY導かれる前の光度In-1は、導かれた後の光度Iに吸収光量及び出力された光度を足した光度に等しいことを表す。
【0028】
算出部3は、I=0として上記式(3)を次のように解く。
【数4】
つまり、光束が導光体内を単位距離dYをn回導かれて残りの強度Iが無くなった状態から光束が導光体内に入力された最初の状態にさかのぼって、強度I(=0)に各回に失った光度、すなわち吸収損失Iloss及び発光光度dI・Xを加算することで入力光度Iを算出する。
【0029】
算出項目として限界均一輝度が選択された場合、算出部3は、入力光度Iの設定値を用い、ゴールシークを利用して、つまり均一輝度Lの値を繰り返し変更して上記式(2)のとおりに導光距離dYnを算出し、その算出値が導光距離Ymaxの設定値に等しくなるときの最大dI・X(条件式dI・X>In+1≧0)から均一輝度Lを算出する。
【0030】
決定部4は、最大導光距離、必要入力光束、又は限界均一輝度を決定する。算出項目として最大導光距離が選択された場合、決定部4は、算出部3により算出された導光距離dYnの算出値を最大導光距離(すなわち、導光距離の理論限界)として決定する。算出項目として必要入力光束が選択された場合、決定部4は、算出部3により算出された入力光度Iの算出値を必要入力光束(すなわち、入力光束の理論限界)として決定する。算出項目として限界均一輝度が選択された場合、決定部4は、算出部3により算出された均一輝度Lの算出値を限界均一輝度(すなわち、輝度の理論限界)として決定する。それらの結果は、出力部5に送信される。
【0031】
なお、決定部4は、算出部3による算出結果に基づいて光束の吸収損失(I-dI・n)及び発光効率(dI・n/I)を決定してもよい。
【0032】
出力部5は、決定部4により決定された最大導光距離、必要入力光束、又は限界均一輝度を入出力画面6上に出力する。算出項目として最大導光距離が選択された場合、その算出値が導光距離の欄に、必要入力光束が選択された場合、その算出値が入力光束の欄に、限界均一輝度が選択された場合、図3の例のようにその算出値が均一輝度の欄に表示される。
【0033】
図5に、第1の実施形態に係る設計支援装置10が実行する設計支援方法のフローを示す。
【0034】
ステップS1では、入力部1により、ユーザによって入力される入力情報を受信する。ここで、入力情報として、最大導光距離、必要入力光束、及び限界均一輝度のうちからの算出項目の選択、導光体を構成する材料の選択又はその材料が有する吸収係数の値、導光幅の値、並びに入力光束、均一輝度、及び導光距離のうちから選択項目に対応する項目を除く残りの2項目の値を受信する。図3に示す例では、算出項目として限界均一輝度が選択され、導光体を構成する材料としてアクリル樹脂が選択され、導光幅、入力光束、及び導光距離の値が入力されている。
【0035】
ステップS2では、設定部2により、導光体の設定要件及び条件が設定される。設定部2は、ステップS1において受信した入力情報に従って、導光体を構成する材料の吸収係数aの値、導光幅Xの値、並びに入力光度I、均一輝度L、及び導光距離Ymaxのうちから算出項目を除く残りの2項目の値を設定する。ここで、算出項目として最大導光距離が選択された場合に入力光束及び均一輝度のそれぞれの値が設定され、必要入力光束が選択された場合に導光距離及び均一輝度のそれぞれの値が設定され、限界均一輝度が選択された場合に導光距離及び入力光束のそれぞれの値が設定される。図3の例では、選択されたアクリル樹脂より定まる吸収係数の値、ユーザが入力した入力情報より導光幅の値、入力光束の値、及び導光距離の値が設定される。
【0036】
ステップS3では、算出部3により、設定部2により設定された設定値を式(1)に適用することにより、導光距離、入力光束、及び均一輝度のうちの算出項目に対応する項目が算出される。算出項目として最大導光距離が選択された場合、算出部3は、入力光度I及び均一輝度Lの設定値を用いて導光距離dYnを算出する。算出項目として必要入力光束が選択された場合、算出部3は、均一輝度Lの設定値を用い、入力光度Iの値を繰り返し変更して導光距離dYnを算出し、その算出値が導光距離Ymaxの設定値に等しくなる入力光度Iを算出する。算出項目として限界均一輝度が選択された場合、算出部3は、入力光度Iの設定値を用い、均一輝度Lの値を繰り返し変更して導光距離dYnを算出し、その算出値が導光距離Ymaxの設定値に等しくなる均一輝度Lを算出する。導光距離dYnを算出する方法は、先述のとおりである。
【0037】
ステップS4では、決定部4により、最大導光距離、必要入力光束、又は限界均一輝度を決定する。算出項目として最大導光距離が選択された場合、ステップS3において算出された導光距離dYnの算出値が最大導光距離(すなわち、導光距離の理論限界)として決定される。算出項目として必要入力光束が選択された場合、ステップS3において算出された入力光度Iの算出値が必要入力光束(すなわち、入力光束の理論限界)として決定される。算出項目として限界均一輝度が選択された場合、ステップS3において算出された均一輝度Lの算出値が限界均一輝度(すなわち、輝度の理論限界)として決定される。
【0038】
なお、ステップS4では、ステップS3による算出結果に基づいて光束の吸収損失(I-dI・n)及び発光効率(dI・n/I)をさらに決定してもよい。
【0039】
ステップS5では、出力部5により、ステップS4において決定された最大導光距離、必要入力光束、又は限界均一輝度を入出力画面6上に出力する。算出項目として最大導光距離が選択された場合、その算出値が導光距離の欄に、必要入力光束が選択された場合、その算出値が入力光束の欄、限界均一輝度が選択された場合、図3の例のようにその算出値が均一輝度の欄に表示される。
【0040】
以上詳細に説明したように、第1の実施形態に係る設計支援装置10及び設計支援方法によれば、導光体内を入光面から発光面に導かれる光束の損失のうち、最も支配的な導光体による吸収損失のみを考慮し、入光損失、光束の裏抜けによる損失、及び光束の終端余りによる損失はないとした最小の現象論的モデルを用いることで、導光体の導光距離、入光面への入力光束、及び発光面上での均一輝度の理論限界を得ることができる。
【0041】
なお、第1の実施形態に係る設計支援装置10及び設計支援方法では、光束の収支を表す式(1)をゴールシークを利用して解くことにより輝度を算出することとしたが、ゴールシークに代えて任意の最適化計算方法を利用して式(1)を解くこととしてもよい。
【0042】
第2の実施形態。
第1の実施形態に係る設計支援装置10及び設計支援方法により、導光体内を導かれる光線が受ける物理効果のうち、不可避であり且つ最も支配的な吸収損失のみを取り込んだ最小の現象論的モデルを利用して、導光体の設計要件及び条件、特に導光距離、光源の強度に対応する入力光束(入力光量の一例)、必要な輝度(出力光量の一例)に対応する均一輝度の理論限界を得て、その結果に基づいて導光体の設計の見通しを立てる。斯かる導光体設計の理論限界に基づく初期設計により設計の見通しが立った場合に、導光体のより詳細な設計を検討する。そこで、第2の実施形態に係る設計支援装置20及び設計支援方法では、さらに導光体内に配設されるプリズムによる光束の反射及び屈折に基づいて光束の配光及び裏抜けを計算することによりプリズムを設計するプリズム設計、導光体の表面における光束の反射及び屈折に基づいて光束の出射分布及び反射分布(出射又は反射方向に対する光束の強度分布)を計算することにより導光体の断面形状を設計する断面設計、導光路(導光体の中心軸)の曲がりによる光束の漏れ及び断面の広がりにより導光体内に集中する光密度を計算することにより導光体内を通る光束の経路を設計する経路設計を行う。
【0043】
第2の実施形態では、プリズム設計、断面設計、及び経路設計を行うために、次の仮定を採用することとする。1)発光面上での輝度が均一となるように裏抜けを考慮してプリズムを設計する。2)光束の終端面からの漏れ、すなわち終端余りを考慮する。つまり、入光損失、吸収損失、裏抜け、及び終端余りのすべての損失を取り込んだより精密な現象論的モデルを利用して導光体内に入力された光束が導光体に吸収され、プリズム及び導光体表面で反射及び屈折しつつ導光路を進んで発光面から出力されることにより、発光面が均一輝度で発光する場合におけるプリズム、導光体の断面、及び導光経路の設計要件を導出する。
【0044】
第2の実施形態に係る設計支援装置20は、第1の実施形態に係る設計支援装置10と同様に、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置より構成され、図2に示す機能構成を有する。すなわち、設計支援装置20は、入力部1、設定部2、算出部3、決定部4、及び出力部5を有する。
【0045】
入力部1は、ユーザがキーボード等の入力デバイスを介して入力する入力情報を受信する。入力情報は、設定部2に送信される。
【0046】
図6に、設計支援装置20の入出力画面7を示す。入力情報には、一例として、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちから少なくとも1つの設計項目の選択、導光体を構成する材料の選択又は材料が有する吸収係数a及び屈折率n、入力光束F、並びに均一輝度Lを含む。導光体を構成する材料として、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂が選択項目として表示されている。本例では、設計項目としてプリズム設計が選択され、導光体を構成する材料としてアクリル樹脂が選択され、入力光束F及び均一輝度Lの値がユーザにより入力される。
【0047】
設定部2は、導光体の設計項目及び設計条件について設定値を設定する。設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちから選択される少なくとも1つの項目を含む。さらに、設計項目は、導光体の周囲に付属の光学部材を配置するかの選択を含んでよい。設計条件は、導光体を構成する材料の吸収係数a及び屈折率n、入力光束F、並びに均一輝度Lを含む。
【0048】
入力部1を介してプリズム設計が選択された場合、設定部2は、設計対象となるプリズム設計の設計要素を設定する。プリズム設計の設計要素として、導光体の上面及び底面で厚み方向に反射しながら導光方向に進む光束を散乱する2次元プリズムを選択した場合に、その反射面の形状(例えば、三角形、矩形、台形等)、大きさ(導光方向から見た場合の高さ及び幅)、傾き、導光方向に関する配設ピッチ等を含む。導光体内を、導光体の表面(上面、底面、及び側面)で厚み方向及び幅方向に反射しながら導光方向に進む光束を散乱する3次元プリズムを選択した場合に、プリズムの形状(三角錐、四角錐等)、大きさ(導光方向から見た場合の高さ、幅、及び奥行き)、各反射面の傾き、導光方向に関する配設ピッチ等を含む。なお、プリズム設計が選択されなかった場合、設定部2は、ユーザにより与えられた又は初期設定されたプリズム設計の設計要素の設定値を設定する。
【0049】
入力部1を介して断面設計が選択された場合、設定部2は、さらに、設計対象となる導光体の断面形状の設計要素を設定する。導光体は、例えば光束が導かれる導光部及びプリズムが配設される反射部を含むとする。断面形状の設計要素として、導光部の断面形状(導光方向に見たときの形状であり、円形、長円形、矩形等)、大きさ(半径、厚さ、幅等)、反射部の位置(導光部の底部内に埋設、底部上に立設等)、形状(導光方向に見たときの形状であり、矩形、多角形等)、大きさ(厚さ及び幅等)を含む。なお、断面設計が選択されなかった場合、設定部2は、ユーザにより与えられた又は初期設定された導光体の断面形状の設計要素の設定値を設定する。
【0050】
入力部1を介して経路設計が選択された場合、設定部2は、さらに、設計対象となる導光体の経路の設計要素を設定する。経路の設計要素として、大別して経路の曲げ及び徐変幅を含む。経路の曲げに関して、導光路(例えば、導光体の中心軸)の曲げ方向及び曲率を含む。徐変幅に関して、導光方向に直交する方向(例えば、厚み方向及び幅方向)に関する断面の広がりの程度を含む。なお、経路設計が選択されなかった場合、設定部2は、ユーザにより与えられた又は初期設定された導光体の経路の設計要素の設定値を設定する。
【0051】
入力部1を介して付属の光学部材を配置することが選択された場合、設定部2は、さらに、付属の光学部材について設計要素及びその設定値を設定する。付属の光学部材の設計要素として、導光体の周囲に配置する光学部材の種類(例えば、反射板、拡散板、レンズ等)を含む。ここで、反射板は、導光体のプリズム又は底面を透過して裏抜けする光束を発光面側に反射する光学部材である。拡散板は、導光体の発光面から出射した光束を一様に拡散して輝度分布を均一にする光学部材である。レンズは、導光体の発光面から出射した光束を集光する光学部材である。設計要素の設定値は、反射板の大きさ、反射率等、拡散版の大きさ、拡散率等、レンズの大きさ、集光率等の値を含む。
【0052】
さらに、設定部2は、入力部1から送信される入力情報に従って、設計条件、すなわち導光体を構成する材料の吸収係数a及び屈折率n、入力光束F、並びに均一輝度Lの設定値を設定する。なお、吸収係数及び屈折率の値は、導光体を構成する材料が選択された場合、その材料より定まる値が設定される。それぞれの材料より定まる吸収係数及び屈折率の値は、予めメモリ等に記憶されてよい。また、任意入力された場合、その入力された値が設定される。
【0053】
設定部2により設定された設計項目及び設計条件並びにそれらの設定値は、算出部3に送信される。
【0054】
算出部3は、設定部2により設定された設計要素の設定値及び設計条件の設定値を計算式(1)に適用し、均一輝度Lが得られるよう、設定部2により設定された設計対象の設計要素を決定することで選択された設計項目について導光体を設計する。なお、算出部3は、計算式(1)を用いて、導光体内を導光経路に沿って単位距離dy毎に区画した複数の区間nのそれぞれについて、光束が区間nを通った際に導光体により吸収される吸収光量Iloss=In-1(1-e-adYc)及び発光面から出力される出力光量dI・Xを算出し、吸収光量及び出力光量の算出値を光束が区間に入る前の強度In-1から減じて区間を出る際の強度Iを算出する。
【0055】
ここで、算出部3は、出力光量dI・Xを算出するために、設計項目のそれぞれに基づいて導光体内を伝わる光束の配光ポテンシャルf,f,fを算出する。
【0056】
プリズム設計に基づく配光ポテンシャルは、先述の設計要素(Ωと表す)に対してプリズムへの入光分布(例えば、入光角度に対する光束の強度分布であり、Θと表す)を与えて、プリズムにより反射及び屈折する光束の配光分布(例えば、幅方向に見た際の配光角度θに対する強度分布)f(Ω,Θ;θ)として算出される。ただし、∫dθ=1とする。つまり、配光ポテンシャルfはプリズムによる光束の散乱確率分布を示す。配光ポテンシャルfは、プリズム設計が選択された場合、様々な設計要素Ω及び様々な入光分布Θに対して算出され、プリズム設計が選択されなかった場合、ユーザにより与えられた又は初期設定された設定値に対して算出される。
【0057】
図7に、プリズム設計に基づく配光ポテンシャルfの一例を示す。図中、幅方向に見た際のプリズムの断面形状が破線で示され、配光ポテンシャルfは幅方向に見た際の配光角度θに対して実線で示されている。なお、配光角度θの-90度側が入光面側、90度側が終端面側であり、-90度側から90度側に向く方向が導光方向である。この例では、三角形状の断面を有し且つ幅方向にストレートに延びる溝状の2次元プリズムを採用した。プリズムの設計要素Ωについて、前面側(入光面側)及び背面側(終端面側)のそれぞれの反射面の形状は矩形、傾きは厚み方向(すなわち、ゼロ度の方向)に対して40度及び-40度である。プリズムへの入光分布Θは、厚み方向に対して-42~42度の範囲内で均一とした。配光ポテンシャルfは、-10~50度の角度範囲に分布する、すなわち光束はその角度範囲内に配光するとともに、110~130度の角度範囲にも分布する、すなわち光束はその角度範囲内でプリズムを介して裏抜けすることがわかる。
【0058】
断面設計に基づく配光ポテンシャルは、先述の設計要素(Ωと表す)に対して導光体表面への光束の入光分布(例えば、導光体表面の入光位置及び角度に対する強度分布であり、Θと表す)を与えて、導光体表面から出射する光束の配光分布(例えば、導光体の断面内における配光角度θに対する強度分布)f(Ω,Θ;θ)として算出される。ただし、∫dθ=1とする、つまり配光ポテンシャルfは導光体からその断面に平行な方向に出射する光束の散乱確率分布を示す。配光ポテンシャルfは、断面設計が選択された場合、様々な設計要素Ω及び様々な入光分布Θに対して算出され、断面設計が選択されなかった場合、ユーザにより与えられた又は初期設定された設定値に対して算出される。
【0059】
図8に、断面設計に基づく配光ポテンシャルfの一例を示す。図中、導光方向に見た際の導光体の断面形状が破線で示され、配光ポテンシャルfは導光体の断面中心を基準とする配光角度θに対して実線で示されている。この例では、断面形状の設計要素Ωについて、導光部の断面形状は円形であり、反射部の断面形状は幅方向を長手とする矩形であり、反射部は導光部の底部に一部を重複して接続し、導光体全体として断面形状は前方後円である。導光体表面への光束の入光分布Θは、導光体の断面中心を基準に全角度範囲について均等とした。配光ポテンシャルfは、θ=-30~30度の角度範囲に分布する、すなわち光束は導光体の上面側から出射するとともに、120度及び-120度の角度方向にもわずかに分布する、すなわち光束は反射部の側面からもわずかに出射することがわかる。
【0060】
経路設計に基づく配光ポテンシャルは、先述の設計要素(Ωと表す)に対して入光面への光束の入光分布、導光体内での光束の導光分布(例えば、導光体内での光束の向き及び強度分布であり、Θと表す)を与えて、導光体の表面から漏れる光束の強度分布(例えば、導光体の外面上の位置xに対する向き及び強度分布)f(Ω,Θ;x)として算出される。ただし、∫dx=1とする。つまり、配光ポテンシャルfは光束の漏れの確率分布を示す。配光ポテンシャルfは、経路設計が選択された場合、様々な設計要素Ω及び様々な光束の導光分布Θに対して算出され、経路設計が選択されなかった場合、ユーザにより与えられた又は初期設定された設定値に対して算出される。なお、配光ポテンシャルfは、漏れ光束の強度分布に限らず、導光体内の光密度として算出してもよい。
【0061】
図9に、経路設計に基づく配光ポテンシャルfの一例を示す。ここで、厚さ方向に見てL字状に屈曲した導光体11を例とする。図中、厚さ方向に見た際の導光体11の断面形状が示され、配光ポテンシャルfは導光体11から幅方向の外面上の位置xからそれぞれ延びる矢印の方向及び長さにより漏れる光束の向き及び強さが示されている。また、矢印の先端のエンベロープより配光ポテンシャルfの強度分布が示されている。この例では、経路設計の設計要素Ωについて、導光体11の中心軸(一点鎖線で示される)が幅方向に曲率Rで90度曲がるとし、幅は一定としている。入光面への光束の入光分布、導光体11内での光束の導光分布Θについて、光束は光源11aから等方的に図面左上の入光面に入光し、断面内に一様な強度分布で入光面から図面右方に向かって導かれるとした。配光ポテンシャルfは、入光面上に分布し、つまり入光面での反射により入光損失が生じ、導光体11の曲げ部分から終端面にかけた図面右側の外面上に分布し、そこから光束が図面右方に向かって漏れ、導光体11の曲げ部の図面左側から終端面に向かう一部の外面上に分布し、そこから光束が図面左下に向かって漏れていることがわかる。
【0062】
図10に、経路設計に基づく配光ポテンシャルfの別の例を示す。図中、厚さ方向に見た際の導光体12の断面形状が示され、配光ポテンシャルfに基づいて導出される導光体12内の光密度の低い領域12a及び光密度の高い領域12bが示されている。この例では、経路設計の設計要素Ωについて、導光体12の中心軸(不図示)は直線(すなわち、曲げはなし)であり、一部の領域が図示のとおり拡幅しているとする。導光体12内での光束の導光分布Θについて、断面内に一様な強度分布で図面右上の入光面から図面左下に向かって導かれるとした。配光ポテンシャルfは、拡幅している図面右上の領域12aにおいて光密度が低く、拡縮している図面左の領域12bにおいて光密度が高いことを示す。この結果から、光束は、導光体12の領域12aから図面右方に漏れにくく、領域12bから図面左方に漏れやすいことがわかる。
【0063】
算出部3は、計算式(1)を式(2)のとおりに解く。式(2)内の第1式では、算出部3は、入力光度I(=F/2π)に対して、光束が導光体内を単位距離dYだけ進んだ際(すなわち、光束が導光体内の第1区間を進んだ際)に導光体により吸収される光束の吸収損失Iloss及び発光面上の単位面dS(=dYX)から出力される発光光度dI・Xを算出し、それらの算出値を光度Iから減じることで残りの光度Iを算出する。なお、単位面dSは、第1区間内の導光体の中心軸から目標とする発光方向に位置する発光面上の単位面である。ここで、光束の吸収損失Ilossは、吸収係数aの設定値を用いて算出される。また、上述のとおり算出された各種の配光ポテンシャルf(Ω,Θ;θ),f(Ω,Θ;θ),f(Ω,Θ;x)に基づいて、つまりプリズム設計、断面設計、経路設計の設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値に基づいて、光束が第1区間を通った際の出力光量dI・X=In-1が算出される。この算出値が、均一輝度Lの設定値及び導光幅Xの設定値を用いて定められる出力光量dI・Xの指標値に一致するように、配光ポテンシャルf,f,fを選択する。つまり、出力光量dI・Xの算出値が指標値に一致する配光ポテンシャルf,f,fを与える設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値を選択する。
【0064】
式(2)内の第2式では、算出部3は、第1式より算出された光度Iに対して、光束が導光体内をさらに単位距離dYだけ進んだ際(すなわち、光束が導光体内の第2区間を進んだ際)の光束の吸収損失Iloss及び発光光度dI・Xを算出し、それらの算出値を光度Iから減じることで残りの光度Iを算出する。このとき、先と同様に、出力光量dI・Xの算出値が指標値に一致する配光ポテンシャルf,f,fを与える設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値を選択する。
【0065】
算出部3は、上述の算出を残りの光度Iが無くなるまで(数値計算上、条件dI・X>I≧0を満たすまで)又は導光体の終端に辿り着くまで繰り返す。つまり、算出部3は、入力光度Iに対して、光束が導光体内を単位距離dYだけ進むごとに(すなわち、光束が導光体内の各区間を進むごとに)、光束の吸収損失Iloss及び発光光度dI・Xを算出し、それらの算出値を光度In-1から減じて残りの強度Iを算出することを、残りの強度Iが無くなるまで又は導光体の終端に辿り着くまで繰り返す。ここで、各種の配光ポテンシャルf(Ω,Θ;θ),f(Ω,Θ;θ),f(Ω,Θ;x)に基づいて、つまりプリズム設計、断面設計、経路設計の設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値に基づいて、光束が各区間を通った際の出力光量dI・X=In-1を算出し、その出力光量dI・Xの算出値が指標値に一致する配光ポテンシャルf,f,fを与える設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値を選択する。このようにして、全ての区間において選択された設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値より、それぞれプリズム、導光体の断面形状、導光体の経路(経路の曲げ及び徐変幅)が設計される。
【0066】
なお、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のいずれかが設計項目として選択されなかった場合、選択されなかった項目について、算出部3は、ユーザにより与えられた又は初期設定された設計要素ΩA0,ΩB0,ΩC0及びその設定値により算出される配光ポテンシャルfA0(ΩA0,Θ;θ),fB0(ΩB0,Θ;θ),fC0(ΩC0,Θ;x)を用いる。設計項目として選択された項目についてのみ、出力光量dI・Xの算出値が指標値に一致する配光ポテンシャルf,f,fを与える設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値を選択することで、選択された設計項目について導光体を設計する。
【0067】
なお、配光ポテンシャルf,f,fが光束が各区間を通った際に裏抜け等、発光面以外の面から漏洩することを示す場合、算出部3は、配光ポテンシャルf,f,fに基づいて漏洩量を算出し、その算出値を光束が各区間に入る際の強度In-1から減じて区間を出る際の強度Iを算出する。つまり、計算式(1)の右辺において漏洩量を減ずることとする。
【0068】
なお、付属の光学部材を配置することが選択された場合、算出部3は、光学部材の設計要素及びその設定値に基づいて、光束が各区間を通った際の出力光量を算出する。
【0069】
図11に、付属の光学部品の種類及びそれらの配置の一例を示す。付属の光学部品は、反射板21、拡散板22、及びレンズ23を含む。反射板21は、導光体13の図面下方に反射面を図面上方に向けて配置され、導光体13の底面を透過して裏抜けする光束を発光面(上面)側に反射する。拡散板22は、導光体13の発光面(上面)を覆うように配置され、導光体13の発光面から出射した光束を一様に拡散して図面上方に導く。レンズ23は、拡散板22の上方に配置され、導光体13の発光面から出射し、拡散板22を介した光束を集光する。反射板21、拡散板22、及びレンズ23を導光体13に組み合わせることで、輝度分布を均一にすることができる。
【0070】
決定部4は、算出部3により算出された算出値に基づいて導光体の発光面から出力される発光量を決定する。その結果に基づいて、決定部4は、全体平均光度Ia及び中心最大光度Ianを決定してもよい。ここで、全体平均光度Iaは、導光体の導光方向の長さ又は光束が導光体内を導光する最大距離Ymaxを用いて受光面全体の平均光度(dIXYmax)として算出される。中心最大光度Ianは、受光面の中心光度である。また、決定部4は、光束の吸収損失(I-dI・n)及び発光効率(dI・n/I)をさらに決定してもよい。それらの結果は、出力部5に送信される。
【0071】
出力部5は、決定部4により決定された発光量等を入出力画面7上に出力する。また、設計項目として選択されたプリズム、導光体の断面形状、導光体の経路(経路の曲げ及び徐変幅)の設計結果を出力してもよい。
【0072】
図12に、第2の実施形態に係る設計支援装置20が実行する設計支援方法のフローを示す。
【0073】
ステップS11では、入力部1により、ユーザによって入力される入力情報を受信する。ここで、入力情報として、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちから少なくとも1つの設計項目の選択、導光体を構成する材料の選択又は材料が有する吸収係数a及び屈折率n、入力光束F、並びに均一輝度Lを含む。図6に示す例では、設計項目としてプリズム設計が選択され、導光体を構成する材料としてアクリル樹脂が選択され、入力光束F及び均一輝度Lの値がユーザにより入力される。なお、選択されなかった設計項目、本例の場合、断面設計及び経路設計について、ユーザによって別途入力される設計要素ΩA0,ΩB0,ΩC0及びその値を受信してもよい。
【0074】
ステップS12では、設定部2により、導光体の設計項目及び設計条件について設定値を設定する。設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちから選択される少なくとも1つの項目を含む。さらに、設計項目は、導光体の周囲に付属の光学部材を配置するかの選択を含んでよい。各設計項目が選択された場合及び選択されなかった場合の設計要素及びそれらの設定値の設定については先述のとおりである。設計条件は、導光体を構成する材料の吸収係数a及び屈折率n、入力光束F、並びに均一輝度Lを含む。設定部2は、入力部1から送信される入力情報に従って、これらの設計条件の設定値を設定する。
【0075】
ステップS13では、算出部3により、設定部2により設定された設計要素の設定値及び設計条件の設定値を計算式(1)に適用し、均一輝度Lが得られるよう、設定部2により設定された設計対象の設計要素を決定することで選択された設計項目について導光体を設計する。なお、算出部3は、計算式(1)を用いて、導光体内を導光経路に沿って単位距離dy毎に区画した複数の区間nのそれぞれについて、光束が区間nを通った際に導光体により吸収される吸収光量Iloss=In-1(1-e-adYc)及び発光面から出力される出力光量dI・Xを算出し、吸収光量及び出力光量の算出値を光束が区間に入る前の強度In-1から減じて区間を出る際の強度Iを算出する。
【0076】
ここで、算出部3は、出力光量dI・Xを算出するために、設計項目のそれぞれに基づいて導光体内を伝わる光束の各種の配光ポテンシャルf(Ω,Θ;θ),f(Ω,Θ;θ),f(Ω,Θ;x)を算出する。算出部2は、プリズム設計、断面設計、経路設計の設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値に基づいて、光束が各区間を通った際の出力光量dI・X=In-1を算出し、その出力光量dI・Xの算出値が、均一輝度Lの設定値及び導光幅Xの設定値を用いて定められる出力光量dI・Xの指標値に一致する配光ポテンシャルf,f,fを与える設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値を選択する。このようにして、全ての区間において選択された設計要素Ω,Ω,Ω及び/又はそれらの設定値より、それぞれプリズム、導光体の断面形状、導光体の経路(経路の曲げ及び徐変幅)が設計される。
【0077】
なお、選択されなかった設計項目について、算出部3は、ユーザにより与えられた又は初期設定された設計要素ΩA0,ΩB0,ΩC0及びその設定値により算出される配光ポテンシャルfA0(ΩA0,Θ;θ),fB0(ΩB0,Θ;θ),fC0(ΩC0,Θ;x)を用いる。
【0078】
なお、配光ポテンシャルf,f,fが光束が各区間を通った際に裏抜け等、発光面以外の面から漏洩することを示す場合、算出部3は、配光ポテンシャルf,f,fに基づいて漏洩量を算出し、その算出値を光束が各区間に入る際の強度In-1から減じて区間を出る際の強度Iを算出する。つまり、計算式(1)の右辺において漏洩量を減ずることとする。
【0079】
なお、付属の光学部材を配置することが選択された場合、算出部3は、光学部材の設計要素及びその設定値に基づいて、光束が各区間を通った際の出力光量を算出する。
【0080】
ステップS14では、決定部4により、ステップS13で算出部3により算出された算出値に基づいて導光体の発光面から出力される発光量を決定する。その結果に基づいて、決定部4は、全体平均光度Ia及び中心最大光度Ianを決定してもよい。また、決定部4は、光束の吸収損失(I-dI・n)及び発光効率(dI・n/I)をさらに決定してもよい。
【0081】
ステップS15では、出力部5により、ステップS14で決定部4により決定された発光量等を入出力画面7上に出力する。また、設計項目として選択されたプリズム、導光体の断面形状、導光体の経路(経路の曲げ及び徐変幅)の設計結果を出力してもよい。
【0082】
以上詳細に説明したように、第2の実施形態に係る設計支援装置20及び設計支援方法によれば、導光体内を入光面から発光面に導かれる光束の損失、すなわち入光損失、吸収損失、裏抜け、及び終端余りによる光束の損失を取り込んだより精密な現象論的モデルを利用して導光体内に入力された光束が導光体に吸収され、プリズム及び導光体表面で反射及び屈折しつつ導光路を進んで発光面から出力されることにより、発光面が均一輝度で発光する場合におけるプリズム、導光体の断面、及び導光経路の設計要件を導出することができる。
【0083】
なお、第1及び第2の実施形態に係る設計支援装置10,20及び設計支援方法は、入光面から入力された光束を入光面と異なる発光面に導いて発光面から出力する導光体の設計を支援するものとしたが、光束を導光する導光体の設計に限らず、熱(輻射熱)、流体、その他の波動又は物体を伝搬する伝搬体の設計を支援するものとしてもよい。
【0084】
なお、第1及び第2の実施形態に係る設計支援装置10,20及び設計支援方法は、導光体の設計を支援するために使用することができるが、これに限らず、設計を目的としないシミュレーション等の演算に使用することもできる。
【0085】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0086】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0087】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0088】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0089】
図13は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0090】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0091】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0092】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0093】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0094】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0095】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0096】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0097】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0098】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0099】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0100】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本明細書によれば、以下の各項目に記載の構成もまた開示される。
[項目1]
入光面から入力された光を前記入光面と異なる発光面に導いて該発光面から出力する導光体の設計演算をする演算装置であって、
前記入光面への入力光量について設定値を設定する設定部と、
前記設定部により設定された設定値を用いて、前記導光体内を導光経路に沿って単位距離毎に区画した複数の区間のそれぞれについて、前記光が区間を通った際に前記導光体により吸収される吸収光量及び前記発光面から出力される出力光量を算出し、前記吸収光量及び前記出力光量の算出値を前記光が前記区間に入る前の強度値から減じて前記区間を出る際の強度値を算出する算出部と、
前記算出部により算出された算出値に基づいて前記発光面から出力される発光量を決定する決定部と、
を備える演算装置。
[項目2]
前記設定部は、前記導光体の複数の設計項目のそれぞれについて設定値を設定し、
前記算出部は、前記複数の設計項目のそれぞれに基づいて前記導光体内を伝わる前記光の配光ポテンシャルを算出し、算出された複数の配光ポテンシャルに基づいて前記出力光量を算出する、項目1に記載の演算装置。
[項目3]
前記複数の設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちの少なくとも1つを含む、項目2に記載の演算装置。
[項目4]
前記設定部は、さらに、前記導光体内に配設されるプリズムのプリズム設計について設定値を設定し、
前記算出部は、前記プリズム設計の設定値にさらに基づいて、前記光が前記区間を通った際の前記出力光量を算出する、項目1から3のいずれか一項に記載の演算装置。
[項目5]
前記算出部は、前記光が区間を通った際に前記発光面以外の面から漏洩する漏洩量を算出し、前記漏洩量の算出値を前記光が前記区間に入る前の強度値から減じて前記区間を出る際の強度値を算出する、項目4に記載の演算装置。
[項目6]
前記設定部は、さらに、前記導光体の断面形状について設定値を設定し、
前記算出部は、前記断面形状の設定値にさらに基づいて、前記光が前記区間を通った際の前記出力光量を算出する、項目1から5のいずれか一項に記載の演算装置。
[項目7]
前記設定部は、さらに、前記導光体の経路について設定値を設定し、
前記算出部は、前記経路の設定値にさらに基づいて、前記光が前記区間を通った際の前記出力光量を算出する、項目1から6のいずれか一項に記載の演算装置。
[項目8]
前記設定部は、さらに、前記導光体の周囲に配置される光学部材について設定値を設定し、
前記算出部は、前記光学部材の設定値に基づいて、前記光が前記区間を通った際の前記出力光量を算出する、項目1から7のいずれか一項に記載の演算装置。
[項目9]
入光面から入力された光を前記入光面と異なる発光面に導いて該発光面から出力する導光体の設計演算をする演算方法であって、
前記入光面への入力光量について設定値を設定する段階と、
前記設定する段階で設定された設定値を用いて、前記導光体内を導光経路に沿って単位距離毎に区画した複数の区間のそれぞれについて、前記光が区間を通った際に前記導光体により吸収される吸収光量及び前記発光面から出力される出力光量を算出し、前記吸収光量及び前記出力光量の算出値を前記光が前記区間に入る前の強度値から減じて前記区間を出る際の強度値を算出する段階と、
前記算出する段階で算出された算出値に基づいて前記発光面から出力される発光量を決定する段階と、
を備える演算方法。
[項目10]
前記設定する段階では、前記導光体の複数の設計項目のそれぞれについて設定値を設定し、
前記算出する段階では、前記複数の設計項目のそれぞれに基づいて前記導光体内を伝わる前記光の配光ポテンシャルを算出し、算出された複数の配光ポテンシャルに基づいて前記出力光量を算出する、項目9に記載の演算方法。
[項目11]
前記複数の設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちの少なくとも1つを含む、項目10に記載の演算方法。
[項目12]
入光面から入力された光を前記入光面と異なる発光面に導いて該発光面から出力する導光体の設計演算をするために、コンピュータに、
前記入光面への入力光量について設定値を設定する手順と、
前記設定する手順で設定された設定値を用いて、前記導光体内を導光経路に沿って単位距離毎に区画した複数の区間のそれぞれについて、前記光が区間を通った際に前記導光体により吸収される吸収光量及び前記発光面から出力される出力光量を算出し、前記吸収光量及び前記出力光量の算出値を前記光が前記区間に入る前の強度値から減じて前記区間を出る際の強度値を算出する手順と、
前記算出する手順で算出された算出値に基づいて前記発光面から出力される発光量を決定する手順と、
を実行させるプログラム。
[項目13]
前記設定する手順では、前記導光体の複数の設計項目のそれぞれについて設定値を設定し、
前記算出する手順では、前記複数の設計項目のそれぞれに基づいて前記導光体内を伝わる前記光の配光ポテンシャルを算出し、算出された複数の配光ポテンシャルに基づいて前記出力光量を算出する、項目12に記載のプログラム。
[項目14]
前記複数の設計項目は、プリズム設計、断面設計、及び経路設計のうちの少なくとも1つを含む、項目13に記載のプログラム。
[項目15]
光を導く導光体を導光方向に沿って予め定められた間隔で区画した区間のうち、前記光の入力側からn番目(nは1以上の整数)の区間である第n区間において、前記導光体の外部に出力される出力光量を算出する算出部、
を備える演算装置。
[項目16]
前記算出部は、前記第n区間へ入力される入力光量と前記第n区間で吸収される吸収光量とに基づいて、前記第n区間における前記出力光量を算出する、項目15に記載の演算装置。
[項目17]
前記第n区間の前記入力光量から前記第n区間の前記出力光量及び前記第n区間の前記吸収光量を差し引いたものを前記第n区間の残存光量としたとき、前記算出部は、前記光の入力側からn+1番目の区間である第n+1区間へ入力される入力光量を、前記残存光量に基づいて決定する、項目16に記載の演算装置。
[項目18]
光を導く導光体を導光方向に沿って予め定められた間隔で区画した区間のうち、前記光の入力側からn番目(nは1以上の整数)の区間である第n区間において、前記導光体に入力された光が前記導光体の外部に出力されず且つ前記導光体に吸収されずに残存した際の残存光量を算出する算出部、
を備える演算装置。
【符号の説明】
【0101】
1…入力部、2…設定部、3…算出部、4…決定部、5…出力部、6,7…入出力画面、10,20…設計支援装置、11,12,13…導光体、12a,12b…領域、21…反射板、22…拡散板、23…レンズ、2200…コンピュータ、2201…DVD-ROM、2210…ホストコントローラ、2214…RAM、2216…グラフィックコントローラ、2218…ディスプレイデバイス、2220…入/出力コントローラ、2222…通信インタフェース、2224…ハードディスクドライブ、2226…DVD-ROMドライブ、2240…入/出力チップ、2242…キーボード。
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