IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許7624528検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム
<>
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図1
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図2
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図3
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図4
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図5
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図6
  • 特許-検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】検出された駐車スペースを最適化するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20250123BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/14 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023559057
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 DE2022200062
(87)【国際公開番号】W WO2022223083
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】102021203825.5
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】グリーザー・ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ブチェコ・マーティン
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-215691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0393541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
B60R 25/00 - 99/00
B62D 6/00 - 6/10
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援システム(1)により検出された駐車スペースの改善された利用のための方法であって、
a)車両(F)のセンサシステム(2)を用いて前記駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより潜在的に利用可能な駐車スペースを検出するステップ(S10)と、
b)前記検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対する初期駐車領域輪郭(4)及び初期駐車領域向き(α)を決定し、前記駐車スペースに関する品質基準を決定するステップ(S11)と、
c)鉛直軸線を中心に前記初期駐車領域輪郭(4)又は前記初期駐車領域輪郭(4)から導出された駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向き(α)を変更し、その結果、変更された回転位置を有する駐車領域輪郭が得られるステップ(S12)と、
d)前記駐車領域輪郭の前記変更された回転位置に基づいて修正された品質基準を算出するステップ(S13)と、
e)前記駐車スペースに関する前記品質基準が改善しているかどうかをチェックするステップ(S14)と、
f)中止基準に達するまでステップc)~e)を反復的に繰り返すステップ(S15)と、
g)決定された最高品質基準に基づいて最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域(5)を決定するステップ(S16)と、
h)前記車両(F)が前記最終駐車目標領域(5)に駐車されるように駐車工程を実行するステップ(S17)と
を含
駐車領域輪郭の回転後の少なくともいくつかの反復ステップにおいて、衝突なしに前記駐車領域輪郭の長さ及び/又は幅を拡大できるかどうかがチェックされ、前記駐車領域輪郭の長さ及び/又は幅は、結果として周囲の物体(U1、U2、U3)と重ならない拡大した駐車領域輪郭が得られるように前記チェック結果に基づいて拡大される、
方法。
【請求項2】
前記駐車領域向きは、時計回り及び/又は反時計回り方向への回転により変更されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記駐車領域輪郭をまず、いずれの場合も第1の回転方向に反復的に回転させ、前記中止基準に達した後に第2の回転方向に回転させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の回転方向は、前記駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉したときに導出された駐車状況に基づいて決定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記駐車領域輪郭の前記回転のステップ幅は変更されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
反復ステップ後に、定められたサイズ基準を前記駐車領域輪郭が満たしているかどうかがチェックされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記サイズ基準は、前記駐車領域輪郭の長さ及び幅の下限及び/又は上限を示すことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記駐車領域輪郭の拡大は、最初に少なくとも1つの周囲の物体(U1、U2、U3)との重なりが生じるように行われ、次いで、拡大した駐車領域輪郭は、前記少なくとも1つの周囲の物体(U1、U2、U3)との重なりがなくなるまで縮小されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップは、前記駐車工程が前記駐車支援システムにより既に開始され、前記車両(F)を既に部分的に駐車場内に移動させているときに初めて実行されるか、又は鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップは、前記駐車工程が前記駐車支援システムによりまだ開始されていないときに初めて実行され、鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップは、前記駐車工程が前記駐車支援システムにより開始された後に実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
車両周囲は、前記駐車スペースの少なくとも部分領域を初期に捕捉した後に車両移動中に捕捉され、前記車両周囲に関する最新情報が作成され、前記修正された品質基準の前記算出及び/又は定められたサイズ基準を前記駐車領域輪郭が満たしているかどうかの前記チェックは、前記最新情報に基づいて実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記車両(F)を前記最終駐車目標領域(5)に配置する前記駐車工程を実行するステップは、前記車両(F)を操作することを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記駐車領域輪郭、前記駐車領域向き、及び前記品質基準に関する情報は、前記反復ステップにおいて少なくとも一部が記憶されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
検出された駐車スペースの改善された利用のための車両用の駐車支援システムであって、車両周囲を捕捉するための少なくとも1つのセンサシステム(2)と、コンピュータユニット(3)とを含み、前記コンピュータユニット(3)は、
a)前記車両(F)の前記センサシステム(2)を用いて前記駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより潜在的に利用可能な駐車スペースを検出するステップと、
b)前記検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対する初期駐車領域輪郭(4)及び初期駐車領域向き(α)を決定し、前記駐車スペースに関する品質基準を決定するステップと、
c)鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向き(α)を変更するステップと、
d)前記駐車領域輪郭の変更された回転位置に基づいて修正された品質基準を算出するステップと、
e)前記駐車スペースに関する前記品質基準が改善しているかどうかをチェックするステップと、
f)中止基準に達するまでステップc)~e)を反復的に繰り返すステップと、
g)決定された最高品質基準に基づいて最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域を決定するステップと、
h)前記車両(F)が前記最終駐車目標領域(5)に駐車されるように駐車工程を実行するステップと
を実施するように構成され、
駐車領域輪郭の回転後の少なくともいくつかの反復ステップにおいて、衝突なしに前記駐車領域輪郭の長さ及び/又は幅を拡大できるかどうかがチェックされ、前記駐車領域輪郭の長さ及び/又は幅は、結果として周囲の物体(U1、U2、U3)と重ならない拡大した駐車領域輪郭が得られるように前記チェック結果に基づいて拡大される、
駐車支援システム。
【請求項14】
請求項13に記載の駐車支援システムを含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援システムにより検出されて少なくとも部分的に自律的に駐車される駐車スペースの改善された利用のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車支援システムは基本的に公知である。(部分的)自動駐車支援システムで駐車スペースを検出するために、車で通り過ぎるときに駐車場又は可能な駐車スペースがスキャンされる。センサの限られた範囲及び/又は車両の速度(例えば、最大50km/h)に起因して、正確な駐車状況が正確に検出されないことが多い。特に、多くの場合、車両に隣接する駐車場の縁部のみが検出され、その結果、更なる駐車車両及び地面に引かれた境界線若しくは線などの、境界を接する更なる周囲の物体は、不十分な精度でしか検出されない。
【0003】
駐車場の初期検出は、例えば、駐車場内の車両の最適な駐車位置と正確に平行若しくは垂直ではなく、又は車両が駐車場を理想的に直角にスキャンせず、その結果、駐車支援システムによる駐車領域輪郭の初期決定中に、最適な駐車結果を得るために駐車領域輪郭を実際にどのように正しい向きに向けるべきかが明確でない。これは、(例えば、地面に描かれた線に基づいて)他のセンサにより提供される情報の解釈を可能にする、カメラなどの撮像センサが使用されない場合に特に問題となる。
【0004】
加えて、同じく最適に駐車されていない車両などの隣接する物体が、実際の駐車スペースに対して斜めになっている可能性がある。ここで、駐車される駐車領域輪郭が車両自体の向きに沿って算出される場合、車両は、境界を接する物体間に良好に配置されることなく、すなわち、特に人間の運転者がとる通常の駐車位置に従って、駐車支援システムにより駐車される。
【0005】
既知の駐車支援システムに関する問題は、多くの場合、駐車場が最適に使用されず、駐車領域向き及び/又は駐車領域のサイズを変えることにより駐車が可能になるとしても、駐車場が駐車可能でないとみなされるため、駐車工程が開始されない又は中止されることがあることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに基づいて、本発明の目的は、駐車支援システムにより検出された駐車スペースの改善された利用のための方法を指定することであり、この方法は、既存の駐車場の改善された利用を可能にし、ひいては、人間の運転者の駐車行動をモデルにしたより自然な方式で車両を駐車すること可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、独立請求項1の特徴を有する方法により達成される。従属請求項は、好ましい実施形態に関する。同等の請求項14は、車両用の駐車支援システムに関し、更に同等の請求項15は、かかる駐車支援システムを有する車両に関する。
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、駐車支援システムにより検出された駐車スペースの改善された利用のための方法に関する。本方法は、次のステップを含む。
【0009】
まず、潜在的に利用可能な駐車スペースは、車両のセンサシステムを用いて駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより検出される。例えば、超音波センサ、レーダセンサ、カメラ、LIDARなどの、車両の任意のセンサシステムをセンサシステムとして使用することができる。例えば、初期捕捉の際に、車両に隣接する駐車スペースの部分領域のみが捕捉されるが、駐車場の奥行きに沿った駐車状況全体は捕捉されない。
【0010】
次に、初期駐車領域輪郭及び初期駐車領域向きが、検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対して決定される。初期駐車領域輪郭は、例えば、駐車スペースの少なくとも1つの部分領域の初期捕捉を通じて利用できる情報から算出することができる。例えば、初期駐車領域輪郭は、矩形領域であり得、この矩形領域のサイズは、駐車スペースに関する初期に捕捉された情報から少なくとも一部が、好ましくは車両自体の情報、例えば、駐車すべき車両の長さ及び/又は幅からも好ましくは一部が導出される。初期駐車領域向きは、水平方向におけるこの駐車領域輪郭の回転位置を意味すると理解され、回転位置は基準軸線を指すことがある。
【0011】
次いで、駐車領域向きは、鉛直軸線を中心に初期駐車領域輪郭又は初期駐車領域輪郭から導出された駐車領域輪郭を回転させることにより変更される。これにより、変更された回転位置を有する駐車領域輪郭が作成される。このことは、第1の反復ステップでは、初期駐車領域向きから開始し、まず初期駐車領域輪郭を回転させ、後続の反復ステップでは、工程が、(例えば、第1の反復ステップにより無効な駐車スペースが生じた場合に)この初期駐車領域向きで再開するか、又は駐車スペースを更に改善するために、変更された駐車領域輪郭若しくは変更された駐車領域向きが使用されることを意味する。
【0012】
駐車領域輪郭の回転位置を変更した後に、修正された品質基準が算出される。好ましくは、品質基準はまた、初期に捕捉された駐車スペース、すなわち、初期駐車領域輪郭及び関連する初期駐車領域向きに対して既に定義又は算出されている。品質基準は、駐車スペースのパラメータ、例えば、駐車領域輪郭の幅、駐車領域輪郭の領域、他の物体との駐車領域輪郭の位置合わせ、又はこれらのパラメータの重み付けされた組み合わせなどを指すことがある。修正された品質基準は、駐車領域輪郭の回転位置の変更に起因して駐車スペースの使い易さが変化したかどうかを判定するために使用することができる。
【0013】
次いで、駐車スペースに関する品質基準が改善しているかどうかがチェックされる。このチェックは、特に、現在の品質基準値を初期の品質基準値又は以前の反復ステップからの品質基準値と比較することにより実行することができる。
【0014】
次に、駐車領域向きを変更し、修正された品質基準を算出し、品質基準の改善をチェックする上記のステップは、中止基準に達するまで反復的に繰り返される。中止基準は、例えば、品質基準がもはや大幅に改善しない、すなわち、品質基準の最大値又は本質的に最大値に達していることであり得る。代替的に、閾値を中止基準として指定することができ、その結果、品質基準が閾値を超えた場合に反復が終了する。
【0015】
次いで、最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域が、決定された最高品質基準に基づいて決定される。
【0016】
最終的に、駐車工程は、車両が最終駐車目標領域に駐車されるように実行される。
【0017】
本方法の技術的な利点は、具体的には駐車場が初期にどのようにスキャンされたかにかかわらず、駐車スペースへの有利な駐車が駐車支援システムにより達成される、すなわち、車で駐車場をある角度で通り過ぎた後でも、人間の運転行動に適応させた方式で駐車場に駐車することが可能である。これにより、追加的に、従来の駐車支援システムにより拒絶される駐車場に駐車することが可能となる。
【0018】
例示的な一実施形態によれば、駐車領域向きは、時計回り及び/又は反時計回り方向への回転により変更される。例えば、初期に、第1の回転方向への回転により駐車領域の使用の改善を試みることができる。例えば、この第1の回転方向は、駐車状況に関する利用できる情報に基づいて又は車両のセンサシステムにより提供される周囲に関する情報に基づいて、固定又は決定することができる。情報は、例えば、隣接する車両の向き、駐車スペース標識の向き、及び/又は他の物体の向きであり得る。
【0019】
例示的な一実施形態によれば、駐車領域輪郭をまず、いずれの場合も第1の回転方向に反復的に回転させ、中止基準に達した後に第2の回転方向に回転させる。例えば、中止基準は、品質基準の改善が最後の反復ステップで達成されなかったことであり得る。
【0020】
例示的な一実施形態によれば、第1の回転方向は、駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉したときに導出された駐車状況に基づいて決定される。このことは、品質基準の改善が期待される、有利な回転方向で開始することが既に可能であることを意味する。例えば、第1の回転方向を決定するために、隣接する車両の向き、駐車スペース標識の向き、又は他の物体を使用することができる。
【0021】
例示的な一実施形態によれば、駐車領域輪郭の回転のステップ幅が変更される。特に、反復ステップにおいて品質基準の改善が達成された場合には、より大きなステップ幅での同じ方向への回転を継続することができる。しかしながら、反復ステップにおいて品質基準の改善が達成されなかった又は反復ステップにより無効な駐車スペースが生じた場合には、好ましくは、次の反復ステップにおいてステップ幅が低減される。このことは、駐車スペースの最適な又は本質的に最適な使用を達成できることを意味する。
【0022】
好ましくは、品質基準が改善した、すなわち、駐車スペースの使い易さが改善した反復ステップを実行した後に、回転位置が変更されない反復ステップが実行される。このことは、駐車領域輪郭の回転に起因して又は駐車場内への車両の移動により新たに検出された新たな物体の検出に起因して品質基準が変わったかどうかを確認できることを意味する。
【0023】
例示的な一実施形態によれば、反復ステップ後に、定められたサイズ基準を駐車領域輪郭が満たしているかどうかがチェックされる。このことは、駐車スペースを有効なものとして分類できる、すなわち、駐車を可能にするサイズが利用できることを意味する。
【0024】
例示的な一実施形態によれば、サイズ基準は、駐車領域輪郭の長さ及び幅の下限及び/又は上限を示す。このサイズ基準は、駐車場が駐車領域輪郭の現在の回転位置において指定の最小サイズを有するので、駐車すべき車両をとにかく駐車場に駐車できるかどうかをチェックすることを可能にする。駐車領域輪郭の長さ及び幅の上限を定義することは、任意の広い領域が駐車スペースとみなされずに駐車されないことを意味し得る。
【0025】
例示的な一実施形態によれば、駐車領域輪郭の回転後の少なくともいくつかの反復ステップにおいて、衝突なしに駐車領域輪郭の長さ及び/又は幅を拡大できるかどうかがチェックされる。この場合、駐車領域輪郭の長さ及び/又は幅は、結果として周囲の物体と重ならない拡大した駐車領域輪郭が得られるように拡大される。
【0026】
例示的な一実施形態によれば、駐車領域輪郭の拡大は、最初に少なくとも1つの周囲の物体との、好ましくは全ての隣接する周囲の物体との重なりが生じるように行われ、次いで、拡大した駐車領域輪郭は、検出された周囲の物体との重なりが全くなくなるまで縮小される。これにより、最大限の駐車領域範囲を活用して駐車領域輪郭を拡張することが可能となる。
【0027】
例示的な一実施形態によれば、鉛直軸線を中心に駐車領域輪郭を回転させることにより駐車領域向きを変更するステップは、駐車工程が駐車支援システムにより既に開始されており、車両を既に部分的に駐車場内に移動させているときに初めて実行される。このことは、最大5mなどの非常に狭い環境でのみ車両の周囲領域を捕捉できるセンサシステムが使用される場合に有利である。車両を部分的に駐車場内に移動させた後に駐車領域の最適化を開始することは、初期に駐車領域輪郭及びその回転位置を決定したときよりも駐車状況に関する多くの情報が既に利用できることを意味する。このことは、車両を駐車場内に移動させたときにのみ検出できる駐車状況に駐車領域輪郭及びその回転位置を改善された方式で適応させることができることを意味する。
【0028】
センサシステムが駐車状況を検出するために使用され、このセンサシステムが、駐車工程の開始前に十分な奥行きのある駐車スペースを既に捕捉できている場合で、駐車支援システムにより駐車工程がまだ開始されておらず、車両をまだ駐車場内に移動させていない場合に初めて、鉛直軸線を中心に駐車領域輪郭を回転させることにより駐車領域向きを変更するステップも既に実行可能である。このことは、少なくとも部分的に最適化された駐車領域向きで駐車工程を既に開始できることを意味する。
【0029】
例示的な一実施形態によれば、車両周囲は、駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉した後に車両移動中に捕捉され、車両周囲に関する最新情報が作成される。修正された品質基準の算出及び/又は定められたサイズ基準を駐車領域輪郭が満たしているかどうかのチェックは、この最新情報に基づいて実行される。これにより、駐車領域輪郭の向き及び/又はサイズを、新たに決定された周囲状況に連続的に適応させることが可能となる。
【0030】
例示的な一実施形態によれば、車両を最終駐車目標領域に配置する駐車工程を実行するステップは、車両を操作することを含む。例えば、それは、駐車動作中に、すなわち直接車で駐車場に入るときに、正しい位置で最終駐車目標領域を占有できない場合である。むしろ、車両が最終駐車目標領域を占有するように、複数回の駐車動作を実施する必要がある場合がある。
【0031】
例示的な一実施形態によれば、駐車領域輪郭、駐車領域向き、及び関連する品質基準に関する情報は、反復ステップにおいて少なくとも一部が記憶される。換言すれば、反復ステップの各々において、駐車領域輪郭、駐車領域向き、及び関連する品質基準に関する情報のバックアップが生成される。最後の反復ステップからの情報のバックアップ又は複数の以前の反復ステップからの情報のバックアップのみを記憶することができる。その結果、後続の反復ステップにおいて、この反復ステップが品質基準の正の変更を達成しなかった又は有効な駐車スペースが取得されなかったと判定された場合、以前の反復ステップのバックアップを用いることが可能である。
【0032】
更なる態様によれば、本発明は、車両周囲を捕捉するための少なくとも1つのセンサシステムと、コンピュータユニットとを含む、検出された駐車スペースの改善された利用のための車両用の駐車支援システムに関する。コンピュータユニットは、
a)車両のセンサシステムを用いて駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより潜在的に利用可能な駐車スペースを検出するステップと、
b)検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対する初期駐車領域輪郭及び初期駐車領域向きを決定し、駐車スペースに関する品質基準を決定するステップと、
c)鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップと、
d)駐車領域輪郭の変更された回転位置に基づいて修正された品質基準を算出するステップと、
e)駐車スペースに関する品質基準が改善しているかどうかをチェックするステップと、
f)中止基準に達するまでステップc)~e)を反復的に繰り返すステップと、
g)決定された最高品質基準に基づいて最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域を決定するステップと、
h)車両が最終駐車目標領域に駐車されるように駐車工程を実行するステップと
を実施するように構成される。
【0033】
最後の態様によれば、本発明は、駐車支援システムを含む車両に関する。
【0034】
本発明の目的で、「およそ」、「実質的に」、又は「約」という用語は、それぞれの正確な値からの±10%、好ましくは±5%の乖離、及び/又は機能にとって重要でない変化分の乖離を意味する。
【0035】
本発明の発展、利点、及び可能な用途は、例示的な実施形態の以下の説明及び図面からも得られる。この場合、図で説明し及び/又は図示する特徴の全ては、それ自体で又は任意の所望の組み合わせで、請求項の組み合わせ又はそれらの後方参照にかかわらず、基本的に本発明の主題である。また、特許請求の範囲の内容は、本説明の一部となる。
【0036】
以下、例示的な実施形態を使用して、図を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】駐車支援システムを有する車両の概略図を例として示す。
図2】車両が駐車場を通り過ぎて、駐車場が車両のセンサシステムにより捕捉され、初期駐車領域輪郭が決定される、駐車状況の概略図を例として示す。
図3】車両が駐車場に入り、駐車場の改善された利用を可能にするために初期駐車領域輪郭を回転させる、駐車工程の概略図を例として示す。
図4】駐車領域輪郭を回転させることにより駐車場に駐車することが可能となる、周囲に妨害物がある駐車状況の概略図を例として示す。
図5】駐車領域輪郭を回転させることと、駐車領域輪郭のサイズを変更することの両方により、駐車場の改善された使い易さが達成される、周囲に妨害物がある駐車状況の概略図を例として示す。
図6】駐車スペースの改善された利用のための方法の例示的な実施形態のフローチャートを例として示す。
図7】駐車スペースの改善された利用のための方法のステップを図示する図を例として示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、駐車支援システム1を有する車両Fを例として概略的に示す。駐車支援システム1は、車両Fの周囲に分散された多数の個別センサを備えたセンサシステム2を含む。センサシステム2は、例えば、車両Fの周囲領域の部分領域のみを捕捉し得るか、又は車両Fの周囲領域全体を捕捉(360°捕捉)するように設計され得る。センサシステムは、超音波センサ、1つ又は複数のレーダセンサ、1つ又は複数のカメラ、及び/或いは1つ又は複数のLIDARセンサなどの、任意のセンサタイプを含み得る。
【0039】
センサシステム2は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリユニットとを有するコンピュータユニット3に結合される。このコンピュータユニット3は、本文書に開示する方法シーケンスを実行し、これにより、利用できる駐車領域の改善された利用を達成するように設計される。
【0040】
図2は、車両Fの駐車支援システム1により検出された並列駐車状況を例として示す。図示の直交座標系において、車両は、矢印で表すように、正のx方向に駐車スペースを横方向に通り過ぎる。この場合、駐車支援システム1のセンサシステム2は、破線で表された半円で示すように、図示の例示的な実施形態では2つの物体U1、U2間に形成された駐車場6を検出する。
【0041】
図2に示すように、駐車場の長手方向は、車両Fの走行方向に垂直にではなく、走行方向に対してある角度をなして延びており、すなわち、縦列駐車状況でも並列駐車状況でもないが、これらの2つの向きの間にある階層駐車状況である。
【0042】
破線で表された半円で示すように、センサシステム2は、多くの場合、実際に存在する駐車状況全体を捕捉できないだけでなく、車両Fに面する駐車場の開口部しか検出できず、その結果、駐車工程を開始するときに、駐車場の駐車領域の実際の向き又はその実際のサイズは利用できない。
【0043】
それゆえ、駐車工程を開始するときには、検出された駐車場が縦列駐車スペース又は並列駐車スペースであることを示す情報のみが利用できることが多い。したがって、図2による駐車状況では、破線で表された矩形で例として図2に示すように、駐車スペースが初期駐車領域輪郭4を有する、すなわち、初期に駐車場が検出されたときに駐車場の長手方向軸線が車両の走行方向に垂直に延びていることがまず想定される。
【0044】
車両4が当初の計画に従って駐車工程を実行した場合、車両Fは、駐車工程の完了後に周囲の物体U1、U2の向きと同様の階層駐車位置で停止するのではなく、例えば、車両の長手方向軸線が元の走行方向に対して垂直である状態で停止する。
【0045】
図3は、初期に検出された駐車スペースの改善された利用を可能にするために使用される最適化ステップを概略的に示す。この場合、車両Fの周囲状況が少なくとも時折又は連続的に捕捉され、車両Fの検出された周囲状況に基づいて既存の駐車領域の使用の改善が生じるように、検出された周囲状況に基づいて、初期駐車領域輪郭4のサイズ及び/又は向きが修正される。
【0046】
初期駐車領域輪郭4及び初期駐車領域向きαから開始して、駐車スペースの品質の尺度を示す品質基準がまず算出される。品質基準は、例えば、車両が駐車場に入る、駐車スペースの開口部の長さ、又は検出された駐車領域の総面積を指すことがある。
【0047】
続いて、曲線矢印で図3に示すように、駐車領域向きαは、具体的には、鉛直軸線を中心に(図示の座標系におけるz軸を中心に)初期駐車領域輪郭4を回転させることにより変更される。これにより、図3に示すように、修正された駐車領域向きα’と共に、修正された駐車領域輪郭4’が得られる。回転方向は、ランダムに決定するか、又は周囲に関する検出された情報から導出された駐車スペースの向きに関する情報に基づいて決定することができる。
【0048】
駐車領域向きを変更した後に、修正された品質基準が算出される。この修正された品質基準は、駐車領域輪郭の回転に起因して元の品質基準と異なる、すなわち、品質基準が改善又は悪化している場合がある。
【0049】
次いで、品質基準が改善又は悪化しているかどうかがチェックされる。改善している場合には、方法は、この修正された駐車領域輪郭4’に基づいて継続される。品質基準の改善が見られなかった場合、最後の反復ステップの結果は破棄され、最後に成功した反復ステップのバックアップ、本例では初期駐車領域輪郭4が、これに基づいて駐車領域の改善された利用を達成するために読み込まれる。例えば、後続の反復ステップでは、駐車領域輪郭を回転させる回転角度の大きさを小さくすることができ、及び/又は回転方向を変更することができる。すなわち、駐車領域輪郭を反対方向に回転させることにより駐車領域の使用を改善する試みが行われる。
【0050】
好ましくは、品質基準が改善した、すなわち駐車スペースの使い易さが改善した反復ステップを実行した後に、回転位置が変更されない反復ステップが実行される。このことは、駐車領域輪郭の回転に起因して又は駐車場内への車両Fの移動により新たに検出された新たな物体の検出に起因して品質基準が変わったかどうかを確認できることを意味する。駐車領域輪郭を回転させずに品質基準が変わった場合、変更され検出された周囲状況に起因して品質基準の変更が見られたと結論付けることができる。
【0051】
例えば、図4は、図3と類似しているが、センサシステム2により以前は検出されなかった、更なる周囲の物体U3が、駐車場の端部において検出されたという違いがある、周囲のシナリオを示す。ここで車両Fの移動中に周囲が断続的又は連続的に捕捉される場合、この更なる周囲の物体U3も検出することができ、更なる周囲の物体U3が品質基準に影響を及ぼすかどうかを、回転位置を変更せずに、反復ステップにおいて判定することができる。したがって、換言すれば、新たに検出された周囲の物体により品質基準の悪化が見られたか、ひいては、駐車領域輪郭を新たに適応させる必要がある変更された駐車状況が生じたかどうかを、回転位置を変更せずに、反復ステップにおいて判定することができる。
【0052】
図4で分かるように、駐車領域輪郭の更なる回転により、車両Fが駐車領域に駐車されることを可能にする最終駐車目標領域5を決定することができる。
【0053】
駐車領域向き及び/又は駐車領域輪郭を変更した後に、変更された駐車領域向き及び/又は変更された駐車領域輪郭により有効な駐車領域が得られるかどうかを判定するためにチェックステップを実施することができる。この場合には、駐車領域輪郭が周囲の物体に向かって衝突することがないどうか、また、駐車領域輪郭の長さが指定の最小長さを有し且つ駐車領域輪郭の幅が指定の最小幅を有するかどうかもチェックすることが可能である。最小長さ及び最小幅は、好ましくは、車両固有の変数である。加えて、有効な駐車スペースをチェックするときに、好ましくは、駐車領域輪郭が指定の最大長さ又は指定の最大幅を超えていないかどうかもチェックされる。このことは、過剰な長さ又は幅を有する空き領域が駐車領域として認識されず、これらの空き領域では駐車工程が実施されないことを意味し得る。
【0054】
加えて、チェックステップは、駐車領域輪郭の一辺が長すぎるかどうかをチェックするために実施することができる。このことは、例えば、実際には広すぎる駐車場が、ある角度でスキャンされており、その結果、初期駐車領域輪郭が実際の駐車場に対して回転されている/斜めである場合に当てはまり得る。そして、初期駐車領域輪郭は、その開口部が斜め位置によって短くなるので有効である。最適化により駐車領域輪郭を正しい位置に回転させた場合、開口部が拡大し、もはや最大許容幅に適合しなくなる。その後、駐車スペースが破棄される。このステップにより、広すぎる駐車スペースの検出が防止される。
【0055】
駐車領域向きの変更に加えて、駐車領域輪郭のサイズも変更することができる。特に、駐車領域輪郭の長さ及び幅は、衝突なしに好ましくは周囲の物体U1、U2、U3からの指定の安全距離を保ったまま駐車領域輪郭が駐車場を埋めるような方式で、少なくとも一時的に、特に駐車領域向きαの各変更後に拡張させることができる。
【0056】
図5は、駐車領域輪郭のサイズのそのような変更を例として概略的に示す。
【0057】
点線は、本方法の反復ステップにおける駐車領域輪郭の回転位置の変更に起因して得られた駐車領域輪郭4’を例として示す。この回転位置の変更後に、駐車領域輪郭を拡大できるかどうかがチェックされる。この場合、駐車領域輪郭は、例えば、駐車領域輪郭の長さ及び幅を拡大することにより拡張される。これにより、周囲の物体U1、U2、U3に対して衝突しないが、改善された方法で駐車領域を使用する、修正された駐車領域輪郭が得られる。
【0058】
例えば、駐車領域の奥行きへの(例えば、図5の例示的な実施形態による負のy方向への)駐車領域輪郭の範囲が、この方向における最大許容範囲に達する程度まで拡張されるように、駐車領域輪郭の長さ及び幅を拡大することができる。最大許容範囲は、車両固有の値とすることができる。並列駐車の状況では、駐車領域輪郭の長手方向は、好ましくは、車両固有の最大値まで拡大され、縦列駐車状況では、駐車領域輪郭の短手方向が拡大される。
【0059】
次いで、駐車スペースは、駐車スペースが以前に拡張された空間方向に垂直な更なる空間方向に沿って、例えば、正と負のx方向に、いずれの場合も周囲の物体U1、U2、U3、特に、定められた領域内に位置する全ての隣接する周囲の物体U1、U2、U3との重なりが生じる程度まで、拡張される。特に、拡張は、定められた距離との重なりが生じるように行うことができる。
【0060】
換言すれば、駐車領域輪郭の回転後に、いずれの場合も、具体的には、周囲の物体との重なりが生じるまで、好ましくは矩形を形成する駐車領域輪郭がその長手方向及び/又は短手方向の範囲内で拡張されるように、駐車領域輪郭の面積を拡大する試みが行われる。こうした駐車領域輪郭の拡張を外向きの矢印により図5に示す。
【0061】
好ましくは、駐車領域輪郭は、周囲に物体がないが、駐車領域の境界を定める他の線又は輪郭がある方向にも拡張される。したがって、例えば、道路に開いた駐車場において、図示の例示的な実施形態では開口部が正のy方向に面しており、道路に対する駐車領域の境界を示す標識が存在し得る。この標識は、カメラなどの、適切なセンサシステムを使用して捕捉でき、駐車領域輪郭を拡張するときに考慮に入れることができる。このことは、左側及び/若しくは右側の又は駐車スペースの境界を定める線上の隣接する周囲の物体U1、U2と位置合わせされる方式で駐車目標領域又は駐車車両が位置するように、最終駐車目標領域、ひいては最終駐車状態にある車両が配置されることを意味し得る。
【0062】
駐車領域輪郭が拡張された後に、拡張された駐車領域輪郭と重なる周囲の物体全てが捕捉される。例えば、物体を2次元多角形の連続として記憶することができる。
【0063】
重なり合う周囲の物体は、リスト内で連続的に処理され、それぞれの周囲の物体との重なりが全くなくなるようにいずれの場合も駐車領域輪郭をそれに沿って縮小しなければならないベクトルが捕捉される。このベクトルは、図5に内向き矢印で表されている。一方向に重なり合う複数の周囲の物体が存在する場合、最小の大きさを有するベクトルがまず使用される、すなわち、駐車スペースはこのベクトルに沿って縮小される。縮小ベクトルが車両Fから離れる方向を向いていないことを確実にするべきである。このことは、物体の一部が車両Fと駐車スペースとの間に位置することを意味する。それゆえ、図示の例示的な実施形態では、負のy成分を有しないこれらの縮小ベクトルのみが許容される。
【0064】
算出されたベクトルのうちの最小のベクトルにより駐車領域輪郭が縮小された後に、残りの重なり合う周囲の物体のリストが再びざっと調べられ、必要な縮小ベクトルが再び算出される。これは、駐車領域輪郭に全ての物体との重なりが全くなくなるまで繰り返される。
【0065】
駐車領域輪郭の拡大が、駐車領域輪郭の回転に起因してではなくむしろ駐車場内への車両の移動により可能となる場合に、駐車領域輪郭の拡大も可能にするために、駐車領域輪郭の長さ及び幅も、好ましくは、駐車領域輪郭を回転させない前述の反復ステップにおいて拡大される。
【0066】
修正された駐車領域輪郭の品質基準は、好ましくは、駐車領域輪郭を回転させ、その後、駐車領域輪郭のサイズが変更される度に又は駐車領域輪郭のサイズのみが変更される度に決定される。
【0067】
図6は、上記で説明した方法の例示的な実施を図示するフローチャートを示す。
【0068】
本方法の開始時に、いくつかの変数は、ステップS20において初期化される。具体的には、以前の反復ステップからの品質基準値が格納される変数Jold、及び現在の反復ステップからの品質基準値が格納される変数Jnewが、値0で初期化される。加えて、回転角度Δαのステップ幅が初期値Δαで初期化される。加えて、現在のモードを示す変数「mode_current」が、「no rotation」に設定される。他のモードは「rotation_left」及び「rotation_right」である。加えて、以前の反復ステップでのモードを示す変数「mode_old」が、「rotation_left」に設定される。最後に、以下及び図6では「駐車スペース」とも呼ばれる、駐車領域輪郭の回転が以前の反復ステップにおいて成功したかどうかを示す、変数「last_rotation_successful」が、「偽」に設定される。
【0069】
次いで、変数「mode_old」、すなわち、以前の反復ステップでどのモードが使用されたかが、ステップS21においてチェックされる。第1の反復ステップでは、初期化により変数が「rotation_left」に設定され、すなわち、ステップS23が実施され、次いで、変数「mode_current」が「no rotation」に設定される、すなわち、駐車領域輪郭を回転させない。
【0070】
変数「mode_old」をチェックしたときに、変数「mode_old」が値「no_rotation」を有するとステップS21において判定された、すなわち、以前の反復ステップにおいて回転が実施されなかった場合に、ステップS22はまず、最後から2番目の反復ステップでの駐車領域向きの変更が成功したか否か、すなわち、最後から2番目の反復ステップでの駐車領域向きの変更が品質基準の改善をもたらしたか否かをチェックする。
【0071】
この場合には、最後から2番目の反復ステップからの回転方向が保持され、さもなければ、変数「mode_current」を適切な値に設定することにより回転方向が変更される。
【0072】
現在の反復ステップにおいてモードを決定した後、次に、変数「mode_current」の値がステップS24においてチェックされ、その後、変数「mode_current」の値に応じて、左への、すなわち反時計回り方向への回転、右への、すなわち時計回り方向への回転が実施されるか、又は回転が実施されない。変数「mode_current」が値「rotation_left」を有する場合、ステップS25ではまず、現在の駐車領域の最適化状態、特に現在の駐車領域向き及び現在の駐車領域輪郭、例えばその長さ及び幅又はその局所位置を復元するために必要な全ての情報が記憶される。この情報は、駐車領域の最適化状態のバックアップを仮想的に形成し、この駐車領域の最適化状態は、以前の反復ステップから生じ、この駐車領域の最適化状態に基づいて、現在の反復ステップにより品質基準の改善が見られなかったこと又は方法の中止基準に達したことが判明した場合に、以前の反復ステップによる駐車領域の最適化状態を復元することができる。バックアップが作成された後に、駐車領域輪郭を左に、すなわち反時計回りの方向に角度Δαだけ回転させる。
【0073】
具体的には、変数「mode_current」が値「rotation_right」を有する、他の場合において、ここでも、ステップS26ではまず、現在の駐車領域の最適化状態、特に現在の駐車領域向き及び現在の駐車領域輪郭、例えばその長さ及び幅又はその局所位置を復元するために必要な全ての情報が記憶される。この情報は、駐車領域の最適化状態のバックアップを仮想的に形成し、この駐車領域の最適化状態は、以前の反復ステップから生じ、この駐車領域の最適化状態に基づいて、現在の反復ステップにより品質基準の改善が見られなかったこと又は方法の中止基準に達したことが判明した場合に、以前の反復ステップによる駐車領域の最適化状態を復元することができる。バックアップが作成された後に、駐車領域輪郭を右に、すなわち時計回りの方向に角度Δαだけ回転させる。
【0074】
駐車領域輪郭の回転及び関連する駐車領域向きαの変更後に、できるだけ最良の方法で駐車場が埋まるが、周囲の物体との衝突が生じないように、ステップS27において駐車領域輪郭を拡大する試みが行われる。
【0075】
このステップS27も、変数「mode_current」が値「no_rotation」を有する場合、即座に、すなわち駐車領域輪郭を回転させずに実施される、すなわち、駐車領域向きαを変更せずに、駐車領域輪郭を直接拡大する試みが行われる。
【0076】
駐車領域輪郭を拡大するステップS27を実施した後に、ステップS28は、駐車スペースが有効であるかどうか、すなわち、駐車スペースが所与の最小長さ及び最小幅を有するかどうかをチェックする。好ましくは、既に前述したように、駐車スペースが一定の最大長さ及び/又は最大幅を超えていないかどうかもチェックされる。
【0077】
ステップS28でのチェックにより駐車スペースが有効であることが明らかになった場合に、ステップS29は、以前に回転が実施されたかどうか、すなわち、変数「mode_current」の値が値「no_rotation」を有するかどうか、又は新たに算出された品質基準Jnewが、以前の反復ステップからの古い品質基準Joldよりも大きいかどうかをチェックする。
【0078】
これらの基準の1つが満たされた場合、新たに決定された駐車領域輪郭及び/又は駐車領域向きがステップ30で採用され、新たに決定された品質基準Jnewが品質基準Joldとして記憶される。
【0079】
変数「mode_current」が値「no_rotation」を有しない、すなわち、駐車領域向きが変更された直後である場合、回転角度のステップ幅を定義する変数Δαを好ましくは増加させ、変数「last_rotation_successful」の値が真に設定される。
【0080】
次いで、工程がステップS21に戻り、新たな反復ステップが実施される。
【0081】
ステップS29でのチェックにより、変数「mode_current」が値「no_rotation」を有しないし、新たに算出された品質基準Jnewが以前の反復ステップからの古い品質基準Joldより大きくもないことが明らかになった場合に、ステップS34が実施される。以前の反復ステップによる駐車領域の最適化状態が復元(バックアップ)され、その結果、次の反復ステップがこの情報又は変数のこれらの値を使用して再開することができる。次いで、変数「mode_current」が値「no_rotation」を有するかどうかがチェックされる。この場合には、回転角度のステップ幅を定義する変数Δαを好ましくは減少させ、変数「last_rotation_successful」の値が偽に設定される。
【0082】
次いで、工程がまた再びステップS21に戻り、新たな反復ステップが実施される。
【0083】
ステップS28でのチェックにより有効な駐車スペースがないことが明らかになった場合には、ステップS31により、変数「mode_current」が値「no_rotation」を有するかどうかがチェックされる。この場合、すなわち、駐車領域向きαが変更されていない反復ステップにおいて無効な駐車スペースが生じた場合には、その駐車スペースがステップS33において破棄され、したがって、駐車支援システムの駐車工程が中止される。
【0084】
変数「mode_current」が値「no_rotation」を有しないとステップS31において判定された、すなわち、駐車領域向きαが変更された直後である場合に、ステップS32では、駐車領域輪郭の一辺が長すぎるかどうか、すなわち、閾値を超えたかどうかが追加的にチェックされる。このことは、実際には広すぎる駐車場が、ある角度でスキャンされており、その結果、初期駐車領域輪郭が実際の駐車場に対して回転されている/斜めである場合に当てはまり得る。そして、初期駐車領域輪郭は、その開口部が斜め位置によって短くなるため有効である。最適化により駐車領域輪郭を正しい位置に回転させた場合、開口部が拡大し、もはや最大許容幅に適合しなくなる。次いで、広すぎる駐車スペースの検出を回避するために、ステップS28において駐車スペースが破棄される。ステップS31において、一辺が長すぎるかどうかをチェックすることにより、駐車スペースを完全に破棄すべきかどうか、又は以前のステップからのバックアップを更に使用できるかどうかが判定される。
【0085】
ステップS34でのチェックにより一辺が長すぎることが明らかになった場合には、駐車スペースがステップS33において再び破棄され、したがって、駐車支援システムの駐車工程が中止される。さもなければ、すなわち、反復ステップにおいて駐車領域向きαが変更されており、駐車領域輪郭のどの辺も長すぎない場合には、ステップS34が再び実行される。以前の反復ステップによる駐車領域の最適化状態が復元(バックアップ)され、その結果、次の反復ステップがこの情報又は変数のこれらの値を使用して再開することができる。次いで、変数「mode_current」が値「no_rotation」を有するかどうかがチェックされる。この場合には、回転角度のステップ幅を定義する変数Δαを好ましくは減少させ、変数「last_rotation_successful」の値が偽に設定される。
【0086】
ステップS34が実施された時点で、工程がまたステップS21に戻り、新たな反復ステップが実施される。
【0087】
図7は、提案された方法の方法ステップを図示する図を示す。
【0088】
まず、潜在的に利用可能な駐車スペースは、車両のセンサシステムを用いて駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより検出される(S10)。
【0089】
次いで、初期駐車領域輪郭及び初期駐車領域向きが、検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対して決定され、駐車スペースに関する品質基準が決定される(S11)。
【0090】
その後、駐車領域向きが、鉛直軸線を中心に初期駐車領域輪郭又は初期駐車領域輪郭から導出された駐車領域輪郭を回転させることにより変更される(S12)。これにより、変更された回転位置を有する駐車領域輪郭が作成される。
【0091】
駐車領域向きを変更した後に、修正された品質基準が、駐車領域輪郭の変更された回転位置に基づいて算出される(S13)。
【0092】
次いで、駐車スペースに関する品質基準が改善しているかどうかがチェックされる、すなわち、修正された品質基準は、駐車スペースの改善が見られたことを示す(S14)。
【0093】
次いで、中止基準に達するまで、ステップS12~S14が反復的に繰り返される(S15)。
【0094】
次いで、最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域が、最高品質基準に基づいて決定される(S16)。
【0095】
最終的に、駐車工程は、車両が最終駐車目標領域に駐車されるように駐車支援システムにより実行される(S17)。
【0096】
例示的な実施形態を使用して、本発明を上記で説明した。特許請求の範囲により定義された保護の範囲から逸脱することなく数多くの変更及び修正が可能であることが理解される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
駐車支援システム(1)により検出された駐車スペースの改善された利用のための方法であって、
a)車両(F)のセンサシステム(2)を用いて前記駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより潜在的に利用可能な駐車スペースを検出するステップ(S10)と、
b)前記検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対する初期駐車領域輪郭(4)及び初期駐車領域向き(α)を決定し、前記駐車スペースに関する品質基準を決定するステップ(S11)と、
c)鉛直軸線を中心に前記初期駐車領域輪郭(4)又は前記初期駐車領域輪郭(4)から導出された駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向き(α)を変更し、その結果、変更された回転位置を有する駐車領域輪郭が得られるステップ(S12)と、
d)前記駐車領域輪郭の前記変更された回転位置に基づいて修正された品質基準を算出するステップ(S13)と、
e)前記駐車スペースに関する前記品質基準が改善しているかどうかをチェックするステップ(S14)と、
f)中止基準に達するまでステップc)~e)を反復的に繰り返すステップ(S15)と、
g)決定された最高品質基準に基づいて最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域(5)を決定するステップ(S16)と、
h)前記車両(F)が前記最終駐車目標領域(5)に駐車されるように駐車工程を実行するステップ(S17)と
を含む、方法。
2.
前記駐車領域向きは、時計回り及び/又は反時計回り方向への回転により変更されることを特徴とする、上記1に記載の方法。
3.
前記駐車領域輪郭をまず、いずれの場合も第1の回転方向に反復的に回転させ、前記中止基準に達した後に第2の回転方向に回転させることを特徴とする、上記1又は2に記載の方法。
4.
前記第1の回転方向は、前記駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉したときに導出された駐車状況に基づいて決定されることを特徴とする、上記3に記載の方法。
5.
前記駐車領域輪郭の前記回転のステップ幅は変更されることを特徴とする、上記1~4のいずれか一つに記載の方法。
6.
反復ステップ後に、定められたサイズ基準を前記駐車領域輪郭が満たしているかどうかがチェックされることを特徴とする、上記1~5のいずれか一つに記載の方法。
7.
前記サイズ基準は、前記駐車領域輪郭の長さ及び幅の下限及び/又は上限を示すことを特徴とする、上記6に記載の方法。
8.
前記駐車領域輪郭の前記回転後の少なくともいくつかの反復ステップにおいて、衝突なしに前記駐車領域輪郭の前記長さ及び/又は幅を拡大できるかどうかがチェックされ、前記駐車領域輪郭の前記長さ及び/又は幅は、結果として周囲の物体(U1、U2、U3)と重ならない拡大した駐車領域輪郭が得られるように前記チェック結果に基づいて拡大されることを特徴とする、上記1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.
前記駐車領域輪郭の拡大は、最初に少なくとも1つの周囲の物体(U1、U2、U3)との重なりが生じるように行われ、次いで、拡大した前記駐車領域輪郭は、前記少なくとも1つの周囲の物体(U1、U2、U3)との重なりがなくなるまで縮小されることを特徴とする、上記8に記載の方法。
10.
鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップは、前記駐車工程が前記駐車支援システムにより既に開始され、前記車両(F)を既に部分的に駐車場内に移動させているときに初めて実行されるか、又は鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップは、前記駐車工程が前記駐車支援システムによりまだ開始されていないときに初めて実行され、鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向きを変更するステップは、前記駐車工程が前記駐車支援システムにより開始された後に実行されることを特徴とする、上記1~9のいずれか一つに記載の方法。
11.
車両周囲は、前記駐車スペースの少なくとも部分領域を初期に捕捉した後に車両移動中に捕捉され、前記車両周囲に関する最新情報が作成され、前記修正された品質基準の前記算出及び/又は定められたサイズ基準を前記駐車領域輪郭が満たしているかどうかの前記チェックは、前記最新情報に基づいて実行されることを特徴とする、上記1~10のいずれか一つに記載の方法。
12.
前記車両(F)を前記最終駐車目標領域(5)に配置する前記駐車工程を実行するステップは、前記車両(F)を操作することを含むことを特徴とする、上記1~11のいずれか一つに記載の方法。
13.
前記駐車領域輪郭、前記駐車領域向き、及び前記品質基準に関する情報は、前記反復ステップにおいて少なくとも一部が記憶されることを特徴とする、上記1~12のいずれか一つに記載の方法。
14.
検出された駐車スペースの改善された利用のための車両用の駐車支援システムであって、車両周囲を捕捉するための少なくとも1つのセンサシステム(2)と、コンピュータユニット(3)とを含み、前記コンピュータユニット(3)は、
a)前記車両(F)の前記センサシステム(2)を用いて前記駐車スペースの少なくとも1つの部分領域を初期に捕捉することにより潜在的に利用可能な駐車スペースを検出するステップと、
b)前記検出された潜在的に利用可能な駐車スペースに対する初期駐車領域輪郭(4)及び初期駐車領域向き(α)を決定し、前記駐車スペースに関する品質基準を決定するステップと、
c)鉛直軸線を中心に前記駐車領域輪郭を回転させることにより前記駐車領域向き(α)を変更するステップと、
d)前記駐車領域輪郭の変更された回転位置に基づいて修正された品質基準を算出するステップと、
e)前記駐車スペースに関する前記品質基準が改善しているかどうかをチェックするステップと、
f)中止基準に達するまでステップc)~e)を反復的に繰り返すステップと、
g)決定された最高品質基準に基づいて最終駐車領域輪郭及び駐車領域向きを有する最終駐車目標領域を決定するステップと、
h)前記車両(F)が前記最終駐車目標領域(5)に駐車されるように駐車工程を実行するステップと
を実施するように構成される、駐車支援システム。
15.
上記14に記載の駐車支援システムを含む車両。
【符号の説明】
【0097】
1 駐車支援システム
2 センサシステム
3 コンピュータユニット
4 初期駐車領域輪郭
4’ 修正された駐車領域輪郭
5 最終駐車目標領域
6 駐車場
F 車両
α 初期駐車領域向き
α’ 修正された駐車領域向き
U1、U2、U3 周囲の物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7