(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】少なくとも1つの操舵情報を誘導的に捕捉するための操舵センサユニットを備えた操舵装置
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
B62D5/04
(21)【出願番号】P 2023566543
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2022056921
(87)【国際公開番号】W WO2022228770
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】102021204232.5
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヌーノ コスタ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン フェスラー-アーベルス
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2003-0031611(KR,A)
【文献】独国特許出願公開第102018202226(DE,A1)
【文献】特開2002-340704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸(12a)と、該入力軸(12a)とは別個に構成された出力軸(14a)とを含み、回転可能に支持された操舵軸(10a;10b)と、
少なくとも1つのセンサ素子(18a)と、該センサ素子(18a)と相互作用する少なくとも2つのロータ要素(20a,22a;20b,22b)とを含み、少なくとも1つの操舵情報を誘導的に捕捉する操舵センサユニット(16a)と、
を備えた、操舵装置であって、
前記ロータ要素(20a,22a;20b,22b)のうちの第1のロータ要素(20a;20b)は、前記入力軸(12a)と相対回動不能に接続され、前記センサ素子(18a)に割り当てられ、前記操舵軸(10a;10b)に対して垂直方向に延在する第1のロータ部(24a)を有し、
前記ロータ要素(20a,22a;20b,22b)のうちの第2のロータ要素(22a;22b)は、前記出力軸(14a)と相対回動不能に接続され、前記センサ素子(18a)に割り当てられ、前記操舵軸(10a;10b)に対して垂直方向に延在する第2のロータ部(26a)を有している、
操舵装置において、
前記第2のロータ要素(22a;22b)は、前記出力軸(14a)に固定するための複数の固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)を有し、前記第1のロータ要素(20a;20b)は、前記固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)用の複数の貫通開口部(34a,36a;34b,36b,38b)を有し、
前記固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)は、軸線方向に前記貫通開口部(34a,36a;34b,36b,38b)を貫通して延在
しており、
前記センサ素子(18a)は、軸方向において、前記第1のロータ部(24a)と前記第2のロータ部(26a)の間に配置されていることを特徴とする、操舵装置。
【請求項2】
前記センサ素子(18a)は、励磁コイルおよび/または受信コイルとして構成された少なくとも1つのセンサコイル(40a,42a)と、前記センサコイル(40a,42a)が配置され、前記操舵軸(10a;10b)に対して垂直方向に延在する少なくとも1つの支持体要素(44a)とを含んでいる、請求項1記載の操舵装置。
【請求項3】
前記第1のロータ部(24a)および前記第2のロータ部(26a)は、軸線方向において前記入力軸(12a)の高さに配置されている、請求項1または2記載の操舵装置。
【請求項4】
前記第1のロータ部(24a)および前記第2のロータ部(26a)は、軸線方向において前記センサ素子(18a)の反対側に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の操舵装置。
【請求項5】
前記第1のロータ部(24a)は、前記センサ素子(18a)の前記出力軸(14a)に面する側に配置され、前記第2のロータ部(26a)は、前記センサ素子(18a)の前記出力軸(14a)とは反対側に配置されている、請求項4記載の操舵装置。
【請求項6】
前記第2のロータ要素(22b)は、少なくとも3つの前記固定ラグ(28b,30b,32b)を有し、前記第1のロータ要素(20b)は、前記固定ラグ(28b,30b,32b)用の少なくとも3つの前記貫通開口部(34b,36b,38b)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の操舵装置。
【請求項7】
前記操舵センサユニット(16a)は、前記操舵軸(10a;10b)を周方向で取り囲む閉鎖カバー(46a)を有し、該閉鎖カバー(46a)は、センサ収容領域(48a)を提供し、取り付けられた状態において、前記出力軸(14a)を収容するためのステアリングギアハウジング(50a)の取り付け開口部(49a)を閉鎖するように設けられており、前記センサ素子(18a)および前記ロータ要素(20a,22a;20b,22b)は、少なくとも部分的に前記閉鎖カバー(46a)の前記センサ収容領域(48a)内に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の操舵装置。
【請求項8】
前記固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)は、前記固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)が前記閉鎖カバー(46a)の前記センサ収容領域(48a)から引き出され、前記操舵軸(10a)に対して垂直な少なくとも1つの方向で見て、少なくとも部分的に前記閉鎖カバー(46a)との重畳から解放されるように軸線方向に延在する、請求項7記載の操舵装置。
【請求項9】
操舵システム(52a)であって、少なくとも1つの取り付け開口部(49a)を有するステアリングギアハウジング(50a)と、請求項1から8までのいずれか1項記載の少なくとも1つの操舵装置とを備えている、操舵システム(52a)。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の操舵装置を取り付けるための方法であって、
第1のロータ要素(20a;20b)を、入力軸(12a)と相対回動不能に接続し、第2のロータ要素(22a;22b)の固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)を、前記第1のロータ要素(20a;20b)の貫通開口部(34a,36a;34b,36b,38b)に挿入し、前記第2のロータ要素(22a;22b)を出力軸(14a)と相対回動不能に接続するために、前記出力軸(14a)に固定する、方法。
【請求項11】
少なくともセンサ素子(18a)、第2のロータ要素(22a;22b)、およびステアリングギアハウジング(50a)の取り付け開口部を閉鎖するための閉鎖カバー(46a)を使用して、事前取り付け型閉鎖カバーアセンブリを製造し、該事前取り付け型閉鎖カバーアセンブリを、前記固定ラグ(28a,30a;28b,30b,32b)が前記貫通開口部(34a,36a;34b,36b,38b)に挿入されるように操舵軸(10a;10b)上でスライドさせる、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による操舵装置から出発する。さらに、本発明は、そのような操舵装置を備えた操舵システム、ならびにそのような操舵装置を取り付けるための方法に関するものである。
【0002】
例えば、独国特許出願公開第19941464号明細書および/または独国特許出願公開第10121870号明細書のような従来技術からは、操舵角度および/または操舵軸に作用する操舵トルクを決定するための誘導型操舵センサを備えた自動車用操舵システムが公知である。この種の操舵センサは、一般に、操舵軸上に配置されたセンサハウジングと、該センサハウジング内に配置された例えば少なくとも1つのセンサコイルを有するプリント回路基板の形態のセンサ素子と、該センサ素子と相互作用しかつ操舵軸と相対回動不能に構成されている少なくとも1つのロータ要素とを備えている。
【0003】
さらに、独国特許出願公開第102018202226号明細書からは、ステアリングギアハウジングを閉鎖するための閉鎖カバーと、該閉鎖カバーのセンサ収容領域に配置され少なくとも1つの操舵情報を誘導的に捕捉するための操舵センサユニットとを備えた操舵装置が公知である。
【0004】
本発明の課題は、特に、安定性および/または堅牢性に関して改善された特性を有する操舵装置を提供することである。この課題は、請求項1,9および10の特徴によって解決され、それに対して、本発明の好適な実施形態およびさらなる発展形態は、従属請求項から得ることができる。
【0005】
発明の開示
本発明は、入力軸、特にステアリングスピンドルと、該入力軸とは別個に構成されかつ特に入力軸に対して捻れ回転可能な出力軸、特にステアリングピニオンとを含み、特に操舵軸線周りに回転可能に支持された操舵軸を備え、さらに少なくとも1つのセンサ素子と、該センサ素子と相互作用する少なくとも2つのロータ要素とを含み、少なくとも1つの操舵情報を誘導的に捕捉する操舵センサユニットを備えた操舵装置であって、ここで、ロータ要素のうちの第1のロータ要素は、入力軸と相対回動不能に接続され、センサ素子に割り当てられ、操舵軸に対して垂直方向に延在する第1のロータ部を有し、ここで、ロータ要素のうちの第2のロータ要素は、出力軸と相対回動不能に接続され、センサ素子に割り当てられ、操舵軸に対して垂直方向に延在する第2のロータ部を有している、操舵装置から出発する。
【0006】
ここでは、第2のロータ要素は、出力軸に固定するための複数の、特に少なくとも2つの固定ラグを有し、第1のロータ要素は、固定ラグ用の、特にそれぞれ1つの固定ラグ用の、複数の、特に少なくとも2つの貫通開口部を有し、ここで、固定ラグは、特に取り付けられた状態において、操舵軸に関して軸線方向に貫通開口部を貫通して延在することが提案される。この構成により、好適には、操舵装置の安定性および/または堅牢性を改善することが可能になる。特に、この場合、第1のロータ要素および/または第2のロータ要素の傾斜を低減すること、あるいは好適には阻止することが可能になり、これによって、摩擦の増加が回避され、その結果、摩耗を最小限に抑えること、かつ/または騒音を低減することが可能になる。したがって、好適には、操舵装置の耐用年数および/または疲労強度を向上させることが可能になる。その上さらに、好適には、操舵装置のコスト効率を向上させることが可能になる。
【0007】
「操舵装置」とは、この文脈においては、特に車両、好適には自動車の操舵システムの少なくとも1つの部品、例えばサブアセンブリを意味するものと理解されたい。この操舵システムは、特に、操舵軸、特に出力軸を少なくとも部分的に収容するための、そして好適には操舵センサユニットを少なくとも部分的に収容するための取り付け開口部を有するステアリングギアハウジングを含んでいる。その上さらに、操舵システムは、例えば、特にステアリングギアハウジング内に配置され、好適には歯付きラックとして構成された少なくとも1つの操舵調整要素、および/または特に操舵軸を介して操舵調整要素に接続された少なくとも1つのステアリングハンドルなどのさらなる構成部品および/またはアセンブリを含むことができる。
【0008】
さらに「操舵センサユニット」とは、特に操舵軸を周方向で取り囲み、出力軸に対する入力軸の捻れ回転に基づいて、特にステアリングハンドルの操作と相関する、少なくとも1つの操舵情報を捕捉するように設けられたセンサユニットを意味するものと理解されたい。操舵情報とは、この場合好適には、操舵角度および/または特にステアリングハンドルを用いて操舵軸に加えられる操舵トルクである。この操舵センサユニットは、本発明では、操舵情報を誘導的に捕捉するために設けられており、したがって、操舵情報を磁気的に捕捉するための磁気的に作用する操舵センサユニットとは異なる。操舵情報を捕捉するために、操舵センサユニットは、特に誘導型センサ素子として構成されたセンサ素子と、該センサ素子と相互作用するロータ要素とを含む。
【0009】
センサ素子は、特に励磁コイルおよび/または受信コイルの形態の特に少なくとも1つのセンサコイルと、好適には、センサコイルが配置され、操舵軸に対して垂直方向に延在する、かつ/または操舵軸に対して垂直方向に配置される、少なくとも1つの支持体要素、例えばプリント基板および/またはプリント回路基板を含む。特に好適には、センサ素子は、特に励磁コイルおよび/または受信コイルとして構成された少なくとも2つのセンサコイルを含み、これらは支持体要素の異なる側面および/または収容面に配置される。その上さらに、センサ素子は、特に支持体要素上に配置され、特に1つのセンサコイルおよび/または複数のセンサコイルに電気的に接続された少なくとも1つの励磁回路および/または評価回路を含むことができる。さらに、センサ素子は、好適には、ハウジングに固定的に配置され、操舵軸を周方向で少なくとも大部分、好適には完全に取り囲む。
【0010】
ロータ要素は、少なくとも部分的に導電性かつ/または磁気透過性に構成されており、特に、1つのセンサコイルおよび/または複数のセンサコイルのうちの少なくとも1つに影響を与えるように設けられている。特に、ロータ要素は、センサ素子に対する対応するロータ要素の相対的な配向に依存して、センサコイルのセンサ信号を変化させるように設けられている。第1のロータ要素は、入力軸と相対回動不能に構成され、操舵軸を周方向で少なくとも大部分、好適には完全に取り囲んでいる。本明細書では、第1のロータ要素は、例えば圧着結合および/またはカシメ結合などを用いて摩擦結合的および/または形状結合的に入力軸に固定されてもよい。しかしながら、代替的に、第1のロータ要素は、例えば接着結合、融着結合、および/または溶接結合などを用いて素材結合的に入力軸に固定されてもよい。さらに、第1のロータ要素は、好適には、鍔付き形状かつ/または特に少なくとも1つの段部を有する段差状に形成される。この文脈において、第1のロータ要素は、特にセンサ素子に割り当てられ、径方向に延在し、特に少なくとも1つの導電性および/または磁気透過性のロータ翼、好適には複数のロータ翼を有する第1のロータ部と、入力軸に割り当てられ、好適には第1のロータ部に対して垂直方向に配置され、入力軸への固定のために設けられ、好適には第1のロータ部から出発して入力軸の方向および/またはステアリングハンドルの方向に延在している第1の固定区分とを含んでいる。さらに、第2のロータ要素は、出力軸と相対回動不能に構成され、操舵軸を周方向で少なくとも大部分、好適には完全に取り囲む。この場合、第2のロータ要素は、例えば圧着結合および/またはカシメ結合などを用いて摩擦結合的および/または形状結合的に出力軸に固定されてもよい。しかしながら、代替的に、第2のロータ要素は、例えば接着結合、融着結合、および/または溶接結合などを用いて素材結合的に出力軸に固定されてもよい。さらに、第2のロータ要素は、好適には、鍔付き形状および/または特に少なくとも1つの段部を有する段差状に構成される。この文脈において、第2のロータ要素は、特にセンサ素子に割り当てられ、径方向に延在し、特に少なくとも1つの導電性および/または磁気透過性のロータ翼、好適には複数のロータ翼を有する第2のロータ部と、出力軸に割り当てられ、好適には第2のロータ部に対して垂直方向に配置され、出力軸への固定のために固定ラグを有し、好適には第2のロータ部から出発して出力軸の方向および/または操舵調整要素の方向に延在している第2の固定区分とを含んでいる。特に好適には、第1のロータ要素および/または第2のロータ要素は、さらに一体的に形成されている。「固定ラグ」とは、この文脈においては、特に、操舵軸に関して軸線方向に延在し、出力軸への固定のために設けられている、第2のロータ要素の細長い、好適にはラグ形状および/または舌部形状の区分を意味するものと理解されたい。好適には、固定ラグは、この場合、第2のロータ部から出発して出力軸線方向および/または操舵調整要素の方向に延在する。さらに、特に貫通開口部の1つを貫通して案内される、特に第2のロータ部とは反対側の各固定ラグの端部区分は、出力軸への固定のために設けられ、かつ/または、取り付けられた状態において出力軸に固定される。これらの固定ラグは、さらに好適には、操舵軸の周方向に分散配置され、特に好適には形状的に安定するように構成されている。その上さらに好適には、これらの固定ラグは、相互に同一に構成されている。さらに、これらの貫通開口部は、好適には、第1のロータ要素の第1のロータ部に配置され、特に操舵情報の捕捉のために、出力軸に対する入力軸の捻れ回転が可能となるように、したがって第2のロータ要素に対する第1のロータ要素の捻れ回転が可能となるように固定ラグに対応して形成され、かつ/または固定ラグに適合化される。
【0011】
用語「少なくとも大部分」とは、少なくとも55%、好適には少なくとも75%、特に好適には少なくとも95%を意味するものと理解されたい。「一体的に」とは、少なくとも相互に素材結合的に接続および/または形成されることを意味するものと理解されたい。素材結合部は、例えば、接着プロセス、射出成形プロセス、溶接プロセス、ろう付けプロセス、および/または他のプロセスによって製造することができる。しかしながら、好適には、一体的とは、1個のものから成形されたものおよび/または1個のもので成形されたものを意味するものと理解されたい。好適には、この1個のものとは、例えば射出成形法において、個々のブランク、鋳鉄、および/または鋳造体から製造される。「設けられる」とは、特に、特別に設計および/または装備されることを意味するものと理解されたい。ここで、物体が特定の機能のために設けられているとは、特に、物体がこの特定の機能を少なくとも1つの用途および/または動作状態において充足および/または実行することを意味するものと理解されたい。
【0012】
第1のロータ部は、例えば軸線方向において出力軸の高さに配置されてもよく、それに対して第2のロータ部は、軸線方向において入力軸の高さに配置されてもよいであろう。さらに、第1のロータ部および第2のロータ部が、軸線方向において出力軸の高さに配置されてもよいであろう。しかしながら、好適には、第1のロータ部および第2のロータ部は、軸線方向において入力軸の高さに配置されることが提案される。これにより、取り付けを簡単化することができ、かつ/またはロータ要素の直径を、特に、出力軸と比較して入力軸の直径が小さいことに基づき低減することができる。
【0013】
その上さらに、第1のロータ部および第2のロータ部が、軸線方向においてセンサ素子の対向側に配置されていることが提案される。特に好適には、この場合、第1のロータ部は、センサ素子の出力軸に面する側および/または操舵調整要素に面する側に配置され、第2のロータ部は、センサ素子の出力軸とは反対側および/またはステアリングハンドルに面する側に配置される。これにより、特に、操舵装置の特に高い安定性と同時に簡単な取り付けが達成可能になる。
【0014】
第2のロータ要素が、特に操舵軸の周方向に分散され好適には形状的に安定した少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの固定ラグを有し、第1のロータ要素が、固定ラグ用の、特にそれぞれ1つの固定ラグ用の少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの貫通開口部を有するならば、好適には、異なる状況に適合化可能である特に好適な多様性の操舵装置を提供することが可能になる。
【0015】
さらなる実施形態では、操舵センサユニットが、操舵軸を周方向で取り囲む閉鎖カバーを有し、該閉鎖カバーは、センサ収容領域を提供し、取り付けられた状態では、出力軸を収容するためのステアリングギアハウジングの取り付け開口部を特に液密に閉鎖するように設けられており、ここで、センサ素子およびロータ要素は、少なくとも部分的に閉鎖カバーのセンサ収容領域内に配置されていることが提案される。この閉鎖カバーは、好適には、ポット形状および/またはカップ形状に形成されている。特に好適には、閉鎖カバーは一体的に形成され、好適には操舵軸用の、特に入力軸用の特に封止されたかつ/または封止可能な貫通開口部を有している。その上さらに、好適には、この閉鎖カバーは、操舵システムのセンサケーブルの結合のために設けられた、好適にはソケットとして構成された少なくとも1つのプラグインコネクタを有する。特に、閉鎖カバーは、本発明のケースでは、付加的なセンサハウジングに置き換えられる。特に好適には、さらにセンサ素子は、閉鎖カバー、特に閉鎖カバーのセンサ収容領域に面する内側に固定的に接続される。用語「液密」とは、本発明のケースでは、特に許容可能な許容誤差および/または製造技術的可能性の枠内で液密であることを意味するものと理解されたい。この構成により、好適には、付加的なセンサハウジングを省くことが可能になるため、部品効率を向上させることが可能になる。
【0016】
さらに好適には、固定ラグは、該固定ラグが閉鎖カバーのセンサ収容領域から引き出され、操舵軸に対して垂直な少なくとも1つの方向で見て、少なくとも部分的に閉鎖カバーとの重畳から解放されるように軸線方向に延在することが提案される。特に、この場合、出力軸へのそれぞれの固定のために設けられたそれぞれの固定ラグの少なくとも端部区分は、閉鎖カバーのセンサ収容領域から引き出され、操舵軸に対して垂直な少なくとも1つの方向で見て、閉鎖カバーとの重畳から解放される。これにより、取り付けをさらに簡単化することができる。なぜなら、第2のロータ要素が出力軸への固定のために自由にアクセス可能になるからである。
【0017】
さらに、前述した操舵装置を取り付けるための方法が提案され、この方法では、第1の取り付けステップにおいて、第1のロータ要素を、入力軸と相対回動不能に接続し、特に第1の取り付けステップに続く第2の取り付けステップにおいて、第2のロータ要素の固定ラグを、第1のロータ要素の貫通開口部に挿入する。続いて、特に第2の取り付けステップに続く第3の取り付けステップにおいて、第2のロータ要素を出力軸と相対回動不能に接続するために、例えば接着結合、溶接結合、圧着結合、および/またはカシメ結合を用いて、固定ラグを出力軸に固定することができる。しかしながら、代替的に、例えば出力軸への固定ラグの固定のために摩擦結合的な接続を使用する場合、出力軸への固定ラグの固定は、第2の取り付けステップにおいて直接および/または自動的に行うことも可能である。この場合は、特に、センサ収容領域から固定ラグを引き出すことが省かれてもよいであろう。さらに好適には、第2の取り付けステップにおいて、少なくともセンサ素子、第2のロータ要素、およびステアリングギアハウジングの取り付け開口部を閉鎖するための閉鎖カバー、特に既に前述した閉鎖カバーを使用して、事前取り付け型閉鎖カバーアセンブリを製造し、該事前取り付け型閉鎖カバーアセンブリを、固定ラグが閉鎖カバーアセンブリの取り付けの際に自動的に貫通開口部に挿入されるように、操舵軸上でスライドさせる。これにより、特に、既に前述した利点を達成することができる。特に、この場合、操舵装置の安定性および/または堅牢性を改善することができる。
【0018】
これらの操舵装置、操舵システム、および操舵装置を取り付けるための方法は、本明細書においては上述した用途および実施形態に限定されるべきものではない。特に、これらの操舵装置、操舵システム、および操舵装置を取り付けるための方法は、本明細書に記載された機能性を満たすために、本明細書で挙げられた個々の要素、構成部品、およびユニットの数とは異なる数を有することが可能である。
【0019】
さらなる利点は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。これらの図面には、本発明の2つの実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】操舵装置を備えた例示的な操舵システムが示された概略図である。
【
図2】操舵装置の操舵軸と操舵装置の操舵センサユニットとが示された概略的断面図である。
【
図3a】操舵センサユニットの第1のロータ要素が示された斜視図である。
【
図3b】操舵センサユニットの第2のロータ要素が示された斜視図である。
【
図3c】操舵センサユニットの第1のロータ要素と第2のロータ要素とが示された斜視図である。
【
図4】操舵装置を取り付けるための方法が示された例示的なフローチャートである。
【
図5a】さらなる操舵センサユニットの第1のロータ要素のさらなる実施例が示された斜視図である。
【
図5b】さらなる操舵センサユニットの第2のロータ要素のさらなる実施例が示された斜視図である。
【
図5c】さらなる操舵センサユニットの第1のロータ要素と第2のロータ要素とのさらなる実施例が示された斜視図である。
【0021】
実施例の説明
図1は、純粋に例示的な操舵システム52aを概略図で示している。この操舵システム52aは、電動支援型操舵システムとして構成されており、したがって、電動方式の補助力支援機能を有する。さらにこの操舵システム52aは、車両(図示せず)、特に自動車、好適には電気自動車での使用を想定している。操舵システム52aは、組み込まれた状態において、車両の車両ホイールとの作用接続を有し、車両の走行方向に影響を与えるために設けられている。原理的には、もちろん、この操舵システムを、液圧方式の補助力支援機能を備えた液圧支援型操舵システムとして構成することも考えられることである。
【0022】
操舵システム52aは、手動トルクを加えるための、本発明のケースでは例示的にステアリングホイールとして構成されたステアリングハンドル54a、ならびにステアリングハンドル54aにおける操舵入力を車両ホイールの転舵運動に変換するために設けられた、それ自体公知のステアリングギア56aを含む。この目的のために、ステアリングギア56aは、ステアリングギアハウジング50aと、ステアリングギアハウジング50a内に配置された操舵調整要素58aとを含んでいる。
【0023】
その上さらに、操舵システム52aは、操舵装置を含んでいる(特に
図2も参照)。この操舵装置は、それ自体公知の操舵軸10aを含んでいる。この操舵軸10aは、ステアリングハンドル54aを、ステアリングギア56a、特に操舵調整要素58aに接続し、この目的のために、取り付けられた状態において少なくとも部分的にステアリングギアハウジング50aの取り付け開口部49aに挿入されている。操舵軸10aの長手方向延長線は、軸線方向を定めている。操舵軸10aは、さらに、軸線方向と平行に配向された操舵軸線60a周りに回転可能に支持されている。さらに、操舵軸10aは、多分割に構成されている。操舵軸10aは、ステアリングハンドル54aに割り当てられたステアリングスピンドルの形態の入力軸12aと、ステアリングギア56aに割り当てられたステアリングピニオンの形態で入力軸12aとは別個に構成された出力軸14aと、入力軸12aを出力軸14aに接続する好適にはトーションバーとして構成されたトーション要素62aとを含んでいる。
【0024】
さらに、操舵装置は、操舵センサユニット16aを含んでいる。この操舵センサユニット16aは、誘導型操舵センサユニットとして構成されており、したがって、誘導型の測定原理に基づいている。操舵センサユニット16aは、操舵軸10a上に配置され、操舵軸10aを周方向で取り囲んでいる。操舵センサユニット16aは、特にステアリングハンドル54aの操作に相関する、例えば操舵角度および/または操舵トルクなどの少なくとも1つの操舵情報を捕捉するために設けられている。本発明のケースでは、操舵センサユニット16aは、出力軸14aに対する入力軸12aの捻れ回転に基づいて、少なくとも1つの操舵情報を捕捉するために設けられている。
【0025】
操舵センサユニット16aは、閉鎖カバー46aを含んでいる。この閉鎖カバー46aは、一体的に形成されている。閉鎖カバー46aは、センサ収容領域48aを提供し、センサハウジングとして機能するため、別個の付加的なセンサハウジングを省くことができる。さらに、閉鎖カバー46aは、例えばラジアルシャフトシールまたは注入されたシール要素を用いて封止された入力軸12a用の貫通開口部64aを有する。取り付けられた状態において、閉鎖カバー46aは、入力軸12a上に配置され、入力軸12aを周方向で取り囲んでいる。閉鎖カバー46aは、取り付けられた状態において、出力軸14aを収容するためのステアリングギアハウジング50aの取り付け開口部49aを液密に閉鎖するために設けられている。しかしながら、代替的に、閉鎖カバーは、多分割に構成してもよい。さらに、付加的なセンサハウジングを使用することも考えられる。
【0026】
操舵情報を誘導的に捕捉するために、操舵センサユニット16aは、さらに、センサ素子18aと、該センサ素子18aと相互作用する複数のロータ要素20a,22aとを含んでいる。センサ素子18aおよびロータ要素20a,22aは、少なくとも部分的に、閉鎖カバー46aのセンサ収容領域48aに配置されている。本発明のケースでは、操舵センサユニット16aは、センサ素子18aと相互作用する厳密に2つのロータ要素20a,22aを含んでいる。これらのロータ要素20a,22aは、センサ素子18aに対するロータ要素20a,22aの相対的な配向に依存して、センサ素子18aのセンサ信号を偏向させるために設けられている。
【0027】
センサ素子18aは、一体的に構成されている。このセンサ素子18aは、完全にセンサ収容領域48aに配置されている。センサ素子18aは、閉鎖カバー46aに固定的に、特に解離不能に接続されている。本発明のケースでは、センサ素子18aは、センサ収容領域48aに面する閉鎖カバー46aの内側に固定的に接続されている。さらに、センサ素子18aは、当該センサ素子18aが軸線方向において入力軸12aの高さに配置され、入力軸12aを周方向で取り囲むようにセンサ収容領域48aに配置されている。さらに、センサ素子18aは、少なくとも1つのセンサコイル40a,42aを有している。本発明のケースでは、センサ素子18aは、例示的に2つのセンサコイル40a,42aを有している。これらのセンサコイル40a,42aは、それ自体公知の励磁コイルおよび/または受信コイルとして構成されている。さらに、センサ素子18aは、センサコイル40a,42aを保持し、センサコイル40a,42aを閉鎖カバー46aに接続するためのプリント回路基板として構成された支持体要素44aを有する。この支持体要素44aは、操舵軸10aに対して垂直方向に延在している。さらに、センサコイル40a,42aは、支持体要素44aの異なる側面および/または収容面に配置されている。さらに、センサ素子18aは、支持体要素44a上に配置され、センサコイル40a,42aに電気的に接続されたそれ自体公知の励磁回路および/または評価回路(図示せず)を含むことができる。代替的に、センサ素子は、厳密に1つのセンサコイルまたは3つ以上のセンサコイルを含んでいてもよいであろう。さらに、センサ素子を閉鎖カバーとは別個に構成すること、および/または出力軸の高さに配置することも考えられる。
【0028】
ロータ要素20a,22aのうちの第1のロータ要素20aは、
図3aに詳細に示されている。この第1のロータ要素20aは、一体的に形成されている。第1のロータ要素20aは、完全にセンサ収容領域48aに配置される。第1のロータ要素20aは、入力軸12aに相対回動不能に接続されている。第1のロータ要素20aは、取り付けられた状態では、入力軸12aと解離不能に接続されている。本発明のケースでは、第1のロータ要素20aは、カシメ結合を用いて入力軸12aに接続されている。第1のロータ要素20aは、鍔付き形状に形成され、入力軸12aを周方向で取り囲んでいる。その上さらに、第1のロータ要素20aは、少なくとも部分的に導電性および/または磁気透過性の材料からなっている。本発明のケースでは、第1のロータ要素20aは、例示的に金属からなっている。
【0029】
さらに、第1のロータ要素20aは、段差状に形成され、本発明のケースでは、厳密に1つの段部を有している。第1のロータ要素20aは、ここでは、センサ素子18aに割り当てられた第1のロータ部24aと、入力軸12aに割り当てられた第1の固定区分66aとを有している(特に
図2および
図3cも参照)。第1のロータ部24aは、径方向および/または操舵軸10aに対して垂直方向に延在する。さらに、第1のロータ部24aは、軸線方向において入力軸12aの高さに配置されている。第1のロータ部24aは、ここでは、取り付けられた状態においてセンサ素子18aの出力軸14aに面する側に配置されている。第1のロータ部24aは、さらに、センサ素子18aに影響を与えるための径方向外側に位置する複数の第1のロータ翼68aと、第1のロータ翼68aを第1の固定区分66aに接続させ、複数の貫通開口部34a,36a、本発明のケースでは例示的に周方向に分散配置された2つの貫通開口部34a,36aを含んだ径方向内側に位置する接続リング70aとを有する。本発明では、これらの貫通開口部34a,36aの各々は、ここでは、操舵軸10aの全周の少なくとも30%以上、好適には少なくとも40%以上、50%未満にわたって延在している。第1の固定区分66aは、軸線方向に延在し、入力軸12aへの固定のために設けられている。したがって、第1の固定区分66aは、第1のロータ部24aに対して垂直方向に配置され、本発明のケースでは、第1のロータ部24aから出発して入力軸12aの方向および/またはステアリングハンドル54aの方向に延在する。代替的に、第1のロータ要素を、多分割に構成することおよび/または少なくとも第1のロータ部において導電性および/または磁気透過性である任意の他の材料から形成することも考えられる。この文脈においては、特に、第1のロータ要素を、融着結合および/または接着結合などを用いて入力軸に接続させることも考えられる。さらに、第1のロータ要素が、基本的には、少なくとも2つの段部を有することも可能であろう。その上さらに、第1のロータ部が、軸線方向において出力軸の高さに配置されてもよいであろうし、かつ/または第1の固定区分が、第1のロータ部から出発して出力軸の方向に延在してもよいであろう。さらに、対応する接続リングを省き、第1のロータ翼を直接第1の固定区分に配置することも考えられる。このケースでは、貫通開口部を第1のロータ翼に配置してもよいであろう。
【0030】
ロータ要素20a,22aのうち、第2のロータ要素22aは、
図3bに詳細に示されている。この第2のロータ要素22aは、一体的に形成されている。第2のロータ要素22aは、少なくとも大部分がセンサ収容領域48aに配置されている。第2のロータ要素22aは、出力軸14aと相対回動不能に接続されている。第2のロータ要素22aは、取り付けられた状態では、出力軸14aと解離不能に接続される。本発明のケースでは、第2のロータ要素22aは、カシメ結合を用いて出力軸14aに接続されている。第2のロータ要素22aは、鍔付き形状に形成され、入力軸12aおよび出力軸14aを周方向で取り囲んでいる。その上さらに、第2のロータ要素22aは、少なくとも部分的に導電性および/または磁気透過性の材料からなっている。本発明のケースでは、第2のロータ要素22aは、例示的に金属からなっている。
【0031】
さらに、第2のロータ要素22aは、段差状に形成され、本発明のケースでは、厳密に1つの段部を有する。第2のロータ要素22aは、ここでは、センサ素子18aに割り当てられた第2のロータ部26aと、操舵軸10aに割り当てられた第2の固定区分72aとを有する(特に
図2および
図3cも参照)。第2のロータ部26aは、径方向および/または操舵軸10aに対して垂直方向に延在する。したがって、第2のロータ部26aは、第1のロータ部24aに対して平行に配向される。さらに、第2のロータ部26aは、軸線方向において入力軸12aの高さに配置されている。第2のロータ部26aは、ここでは、取り付けられた状態においてセンサ素子18aの出力軸14aとは反対側に配置されている。したがって、第1のロータ部24aおよび第2のロータ部26aは、ここでは軸線方向においてセンサ素子18aの対向側に配置されている。第2のロータ部26aは、さらに、センサ素子18aに影響を与えるための径方向外側に位置する複数の第2ロータ翼74aと、第2のロータ翼74aを第2の固定区分72aに接続させる径方向内側に位置する第1の接続リング76aとを有する。第2の固定区分72aは、軸線方向に延在し、出力軸14aへの固定のために設けられている。
【0032】
この目的のために、第2の固定区分72aは、複数の固定ラグ28a,30a、本発明のケースでは例示的に周方向に分散配置された2つの固定ラグ28a,30aを含み、これらは、取り付けられた状態において、軸線方向に貫通開口部34a,36a、特に貫通開口部34a,36aのそれぞれ1つを貫通して延在する(
図3c参照)。さらに、軸線方向における固定ラグ28a,30aの長さは、操舵軸10aの周方向における固定ラグ28a,30aの幅よりも短い。本発明では、固定ラグ28a,30aの幅は、固定ラグ28a,30aの長さよりも少なくとも2倍長い。ここでは、固定ラグ28a,30aの各々は、操舵軸10aの全周の少なくとも30%以上、好適には少なくとも40%以上、50%未満にわたって延在する。さらに、第2の固定区分72aは、固定ラグ28a,30aを第2のロータ部26aに接続させる第2の接続リング78aを含んでいる。その結果、固定ラグ28a,30aは、第2のロータ部26aに対して垂直方向に配置され、本発明のケースでは、第2の接続リング78aから出発して出力軸14aの方向および/または操舵調整要素58aの方向に延在する。それにより、第2の固定区分72aおよび/または固定ラグ28a,30aは、第2のロータ部26aから出発して第1の固定区分66aとは逆方向に延在する。さらに、固定ラグ28a,30aは、これらの固定ラグ28a,30aが閉鎖カバー46aのセンサ収容領域48aから引き出され、操舵軸10aに対して垂直な少なくとも1つの方向で見て、少なくとも部分的に閉鎖カバー46aとの重畳から解放されるように軸線方向に延在する(
図2参照)。代替的に、例えば摩擦結合的な接続を使用する場合に、固定ラグをセンサ収容領域から引き出すことを省くことも考えられる。さらに、第2のロータ要素を、多分割に構成することおよび/または少なくとも第2のロータ部において導電性および/または磁気透過性である任意の他の材料から形成することも考えられる。この文脈においては、特に、第2のロータ要素を、融着結合および/または接着結合などを用いて出力軸に接続させることも考えられる。さらに、第2のロータ要素が、基本的には、少なくとも2つの段部を有することも可能であろう。その上さらに、第2のロータ部が、軸線方向において出力軸の高さに配置されてもよいであろう。さらに、第2のロータ要素は、2つとは異なる数の固定ラグ、例えば少なくとも3つまたは少なくとも4つの固定ラグを有することも可能であろう。さらに、対応する第1の接続リングを省き、第2のロータ翼を直接第2の固定区分に配置することも考えられる。さらに、対応する第2の接続リングを省き、固定ラグを直接第2のロータ部に配置することも考えられる。
【0033】
以下では、
図4を参照して操舵装置を取り付けるための例示的な方法が説明される。
【0034】
第1の取り付けステップ80aでは、少なくとも閉鎖カバー46a、センサ素子18a、および第2のロータ要素22aから、閉鎖カバーアセンブリの形態の事前取り付け型サブアセンブリを製造する。
【0035】
第2の取り付けステップ82aでは、第1のロータ要素20aを入力軸12aと相対回動不能に接続するために、第1のロータ要素20aを操舵軸10a上でスライドさせ、第1の固定区分66aを介して入力軸12aに固定する。本発明のケースでは、第1のロータ要素20aは、ここでは例示的にカシメ結合を用いて入力軸12aに接続される。
【0036】
第3の取り付けステップ84aでは、第2のロータ要素22aの固定ラグ28a,30aが、第1のロータ要素20aの貫通開口部34a,36aに挿入される。この目的のために、閉鎖カバー46a、センサ素子18a、および第2のロータ要素22aを含んだ事前取り付け型閉鎖カバーアセンブリは、固定ラグ28a,30aが閉鎖カバーアセンブリのスライドの際に自動的に貫通開口部34a,36aに挿入されるように、操舵軸10a上でスライドされる。閉鎖カバーアセンブリは、ここでは直線運動で軸線方向に入力軸12a方向から出力軸14a方向に操舵軸10a上でスライドされる。しかしながら、代替的に、固定される閉鎖カバーアセンブリを使用し、操舵軸を直線運動で閉鎖カバーアセンブリに挿入することも考えられる。
【0037】
第4の取り付けステップ86aでは、第2のロータ要素22aを出力軸14aと相対回動不能に固定するために、固定ラグ28a,30aが出力軸14aに固定される。本発明のケースでは、第2のロータ要素22aが、ここでは例示的にカシメ結合を用いて出力軸14aに接続される。この取り付けステップにおいて、特に好適には、固定ラグ28a,30aが少なくとも部分的に閉鎖カバー46aのセンサ収容領域48aから引き出されている。なぜなら、これによって第2のロータ要素22aもしくは少なくとも固定ラグ28a,30aが自由にアクセスでき、特に簡単に出力軸14aに固定できるからである。
【0038】
第5の取り付けステップ88aでは、操舵軸10aが、ステアリングギアハウジング50aの取り付け開口部49aに挿入され、この取り付け開口部49aは、閉鎖カバー46aを用いて、例えば係止結合および/または接着結合を用いて液密に閉鎖される。さらに、センサケーブルは、引き続き閉鎖カバー46aのプラグインコネクタ(図示せず)と接続することができる。
【0039】
図4の例示的なフローチャートは、操舵装置を取り付けるための方法を例示的に説明するものにすぎない。特に、個々の取り付けステップおよび/または取り付けステップの順序は変更可能である。この文脈においては、例えば、第1の取り付けステップ80aを省き、したがって閉鎖カバーアセンブリの製造を省くこと、および/または第5の取り付けステップ88aを変更することが考えられる。さらに、例えば歯車および/または遮蔽要素を使用するなどの付加的な取り付けステップを想定することも考えられる。その上さらに、代替的に、例えば出力軸14aへの固定ラグ28a,30aの固定のために摩擦結合的な接続を使用する場合、出力軸14aへの固定ラグ28a,30aの固定は、第1のロータ要素20aの貫通開口部34a,36aへの第2のロータ要素22aの固定ラグ28a,30aの挿入の際に直接および/または自動的に行うことも可能である。
【0040】
図5a~
図5cには、本発明のさらなる実施例が示されている。以下の説明および図面は、実質的に実施例間の相違点に絞られ、この場合、同じ呼称の構成部品、特に同じ参照符号を有する構成部品に関しては、基本的に他の実施例の図面および/または説明、特に
図1~
図4の図面および/または説明も参照することができる。これらの実施例の区別のために、
図1~
図4の実施例の参照符号には文字aが後置されている。
図5a~
図5cの実施例では、文字aが文字bに置き換わっている。
【0041】
図5a~
図5cのさらなる実施例は、操舵装置の第1のロータ要素20bの貫通開口部34b,36b,38bの数ならびに第2のロータ要素22bの固定ラグ28,30b,32bの数において少なくとも実質的に先行の実施例とは異なっている。
【0042】
このケースでは、第1のロータ要素20bは、周方向に分散配置された3つの貫通開口部34b,36b,38bを含み、この場合、これらの貫通開口部34b,36b,38bの各々は、操舵軸10bの全周の少なくとも15%以上、最大でも30%にわたって延在している。
【0043】
さらに、第2のロータ要素22bは、周方向に分散配置された3つの固定ラグ28b,30b,32bを含み、これらは、取り付けられた状態において、軸線方向に貫通開口部34b,36b,38b、特に貫通開口部34b,36b,38bのそれぞれ1つを貫通して延在する。軸線方向における固定ラグ28b,30b,32bの長さは、このケースでは、操舵軸10bの周方向における固定ラグ28b,30b,32bの幅よりも長い。本発明では、固定ラグ28b,30b,32bの長さは、固定ラグ28b,30b,32bの幅よりも少なくとも2倍長い。ここでは、固定ラグ28b,30b,32bの各々は、操舵軸10bの全周の少なくとも15%以上、最大でも30%にわたって延在する。