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特許7624557ソレノイド、ソレノイドバルブ、懸架装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-22
(45)【発行日】2025-01-30
(54)【発明の名称】ソレノイド、ソレノイドバルブ、懸架装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/128 20060101AFI20250123BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20250123BHJP
   H01F 7/06 20060101ALI20250123BHJP
   F16F 9/46 20060101ALI20250123BHJP
   B60G 17/015 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01F7/16 G
H01F7/16 R
H01F7/06 E
F16F9/46
B60G17/015 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024520420
(86)(22)【出願日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 JP2023017028
(87)【国際公開番号】W WO2023219027
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2022077805
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛太
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 力
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/020227(WO,A1)
【文献】特開2013-170603(JP,A)
【文献】国際公開第2022/070602(WO,A1)
【文献】特許第6997348(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/128
H01F 7/16
H01F 7/06
F16F 9/46
B60G 17/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、前記コイルの周囲をモールド樹脂にて覆う周囲部と、を有するソレノイド本体と、
前記周囲部が挿入されるハウジングと、
前記ソレノイド本体と前記ハウジングとの間の隙間をシールするシール体と、
を備え、
前記ソレノイド本体は、前記ハウジングに対する前記周囲部の挿入方向に対して交差する方向の第1交差面を有し、
前記ハウジングは、前記挿入方向に対して交差する方向の第2交差面を有し、
前記シール体は、前記第1交差面と前記第2交差面の双方に接触することより変形することで前記隙間をシールするとともに、前記ソレノイド本体および前記ハウジングに離間する方向の力を付与し、前記第1交差面又は前記第2交差面のいずれか一方の交差面は前記挿入方向に対して傾斜している、
ソレノイド。
【請求項2】
前記第1交差面と前記第2交差面とは、前記挿入方向に対して同じ方向に傾斜している、
請求項1に記載のソレノイド。
【請求項3】
前記第1交差面と前記第2交差面とは、前記挿入方向に対して異なる方向に傾斜している、
請求項1に記載のソレノイド。
【請求項4】
前記第1交差面又は前記第2交差面のいずれか一方の交差面は前記挿入方向に直交する面であり、他方の交差面は前記挿入方向に対して傾斜している、
請求項1に記載のソレノイド。
【請求項5】
前記シール体は、前記挿入方向に平行な面にて切断した場合の断面形状が、前記挿入方向が長辺となる楕円状である、
請求項1に記載のソレノイド。
【請求項6】
前記ハウジングは円筒状であり、
前記第2交差面は、前記ハウジングの外周部に形成されている、
請求項1に記載のソレノイド。
【請求項7】
コイルと、
前記コイルの周囲をモールド樹脂にて覆う周囲部と、
円筒状のスリーブと、
前記周囲部が挿入され、前記スリーブに外周面を覆われるハウジングと、
前記スリーブと前記ハウジングとの間の隙間をシールするシール体と、
を備え、
前記コイル、前記周囲部、および、前記スリーブはソレノイド本体を構成し、
前記スリーブは、前記ハウジングに対する前記周囲部の挿入方向に対して交差する方向の第1交差面を有し、
前記ハウジングは、前記挿入方向に対して交差する方向の第2交差面を有し、
前記シール体は、前記第1交差面と前記第2交差面の双方に接触することにより変形することで前記隙間をシールするとともに、前記ソレノイド本体および前記ハウジングに離間する方向の力を付与し、前記第1交差面又は前記第2交差面のいずれか一方の交差面は前記挿入方向に対して傾斜している、
ソレノイド。
【請求項8】
前記ハウジングの開口部を覆うとともに、前記スリーブに対向する位置に凹部を有するカバー部を有し、
前記スリーブは、前記凹部に嵌め込まれる、
請求項7に記載のソレノイド。
【請求項9】
ソレノイドと、前記ソレノイドにより位置が調整され、作動流体が流路を開閉する力を調整するバルブと、を備えるソレノイドバルブであって、
前記ソレノイドは、
コイルと、前記コイルの周囲をモールド樹脂にて覆う周囲部と、を有するソレノイド本体と、
前記周囲部が挿入されるハウジングと、
前記ソレノイド本体と前記ハウジングとの間の隙間をシールするシール体と、
を備え、
前記ソレノイド本体は、前記ハウジングに対する前記周囲部の挿入方向に対して交差する方向の第1交差面を有し、
前記ハウジングは、前記挿入方向に対して交差する方向の第2交差面を有し、
前記シール体は、前記第1交差面と前記第2交差面の双方に接触することにより変形することで前記隙間をシールするとともに、前記ソレノイド本体および前記ハウジングに離間する方向の力を付与し、前記第1交差面又は前記第2交差面のいずれか一方の交差面は前記挿入方向に対して傾斜している、
ソレノイドバルブ。
【請求項10】
ソレノイドバルブにより減衰力が調整される懸架装置であって、
前記懸架装置は、
オイルを収容するシリンダと、前記シリンダの外側に設けられる外筒体と、前記外筒体の外側に設けられるダンパケースと、を有するシリンダ部を備え、
前記ソレノイドバルブは、ソレノイドと、前記ソレノイドにより位置が調整され、作動流体が流路を開閉する力を調整するバルブと、を備えるソレノイドバルブであり、
前記ソレノイドは、
コイルと、前記コイルの周囲をモールド樹脂にて覆う周囲部と、中心線方向の第1側に突出する外側突出部と、を有するソレノイド本体と、
ハウジングであって、前記ダンパケースの外周面に前記第1側の部位が固定され、前記外側突出部に第2側の端部の周囲を覆われる外側ハウジング、および、前記周囲部が挿入される内側ハウジングを備えるハウジングと、
前記外側突出部と前記ハウジングとの間の隙間をシールするシール体と、
を備え、
前記ソレノイド本体は、前記ハウジングに対する前記周囲部の挿入方向に対して交差する方向の第1交差面を有し、
前記ハウジングは、前記挿入方向に対して交差する方向の第2交差面を有し、
前記シール体は、前記第1交差面と前記第2交差面の双方に接触することにより変形することで前記隙間をシールするとともに、前記ソレノイド本体および前記ハウジングに離間する方向の力を付与し、前記第1交差面又は前記第2交差面のいずれか一方の交差面は前記挿入方向に対して傾斜している、
懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイド、ソレノイドバルブおよび懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されたソレノイドは、上端開口部を有し、ボビンにコイルを巻回したソレノイド本体を前記上端開口部から収容するハウジングと、前記ソレノイド本体を被覆するモールド樹脂よりなり、前記ハウジングの上端開口部に装着されてこの上端開口部との間に隙間を形成する1次外装体と、前記隙間を閉塞するように前記1次外装体を被覆するモールド樹脂よりなる2次外装体と、を備える。
例えば、特許文献2には、ソレノイドを、車両に装着される緩衝器の減衰力を発生させるための部品として用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6852051号公報
【文献】特開2014-199076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたソレノイドは、ハウジング内への泥水の侵入やハウジング内のオイルの漏れを抑制するという点で、さらなる改善の余地があった。
本発明は、ハウジング内の密封構造の信頼性を向上させることができるソレノイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、コイルと、前記コイルの周囲をモールド樹脂にて覆う周囲部と、を有するソレノイド本体と、前記周囲部が挿入されるハウジングと、前記ソレノイド本体と前記ハウジングとの間の隙間をシールするシール体と、を備え、前記ソレノイド本体は、前記ハウジングに対する前記周囲部の挿入方向に対して交差する方向の第1交差面を有し、前記ハウジングは、前記挿入方向に対して交差する方向の第2交差面を有し、前記シール体は、前記第1交差面と前記第2交差面とに接触することより前記隙間をシールし、前記第1交差面又は前記第2交差面のいずれか一方の交差面は前記挿入方向に対して傾斜している、ソレノイドである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ハウジング内の密封構造の信頼性を向上させることができるソレノイドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る懸架装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
図3図2のIII-III部の断面の一例を示す図である。
図4】第2実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
図5】第2実施形態に係る外側ハウジングの変形例の一例を示す図である。
図6】第3実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
図7】第4実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
図8】第5実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
図9】第6実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
図10】第7実施形態に係るソレノイドの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る懸架装置100の概略構成の一例を示す図である。
懸架装置100は、ストラット式サスペンションであり、図1に示すように、油圧緩衝装置102と、油圧緩衝装置102の外側に配置されたコイルスプリング103と、を備える。また、懸架装置100は、コイルスプリング103における、後述するロッド120の軸方向の一方側(図1では下側)の端部を支持する下スプリングシート104と、コイルスプリング103における、ロッド120の軸方向の他方側(図1では上側)の端部を支持する上スプリングシート105と、を備える。
【0009】
懸架装置100は、ロッド120の軸方向の他方側の端部に取り付けられて、この懸架装置100を車両に取り付けるための車体側ブラケット106と、後述するシリンダ部110におけるロッド120の軸方向の一方側の端部に固定されて、懸架装置100を車輪に取り付けるための車輪側ブラケット107と、を備える。また、懸架装置100は、シリンダ部110およびロッド120の少なくとも一部を覆うダストカバー108を備える。車体側ブラケット106は、ロッド120の軸方向の他方側の端部に取り付けられている。
【0010】
油圧緩衝装置102は、作動流体の一例としてのオイルを収容するシリンダ部110と、一方側の端部がシリンダ部110から突出して設けられるとともに他方側の端部がシリンダ部110内にスライド可能に挿入されるロッド120と、を備える。また、油圧緩衝装置102は、ロッド120の一方側の端部に設けられるピストン部130と、シリンダ部110の一方側の端部に設けられるボトム部140と、を備える。さらに、油圧緩衝装置102は、シリンダ部110の外部に設けられて減衰力を発生させる外側減衰部150を備える。
【0011】
シリンダ部110は、オイルを収容するシリンダ111と、シリンダ111の外側に設けられる外筒体112と、外筒体112の外側に設けられるダンパケース113と、を有する。また、シリンダ部110は、ロッド120を移動可能に支持するロッドガイド部114と、ダンパケース113における一方側の端部に装着されたバンプストッパキャップ115と、ダンパケース113内のオイルの漏れやダンパケース113内への異物の混入を防ぐオイルシール116を備える。
【0012】
〔外側減衰部150〕
図2は、第1実施形態に係るソレノイド1の概略構成の一例を示す図である。
図3は、図2のIII-III部の断面の一例を示す図である。
外側減衰部150は、減衰力を生じさせる減衰力機構部160と、減衰力機構部160の減衰力を調整するソレノイド1とを備えている。
減衰力機構部160は、流路が形成されたオリフィスプレート161と、オリフィスプレート161の流路を開閉するパイロットバルブ162とを有している。また、減衰力機構部160は、パイロットバルブ162に対してオリフィスプレート161の流路を閉じる方向の力を付与する圧縮コイルバネ163と、後述するプランジャ11を摺動可能に支持する支持部材164とを有している。減衰力機構部160の構成は特に限定されず、いかなる構成であっても良い。それゆえ、図2においては、減衰力機構部160を構成するその他の部品を省略して示している。
【0013】
以下に、ソレノイド1について詳述する。
ソレノイド1は、流路の開閉を行う弁部10と、弁部10の後述するプランジャ11を駆動させるソレノイド部20と、弁部10やソレノイド部20の後述するコイル31等を収容するハウジング60と、ソレノイド部20とハウジング60との間の隙間をシールする円環状で弾性体のシール体90と、を備えている。
【0014】
以下では、プランジャ11の軸方向を、「軸方向」と称する場合がある。軸方向は、円筒状のハウジング60の中心線方向でもある。軸方向において、図2の下側、上側を、それぞれ、「第1側」、「第2側」と称する場合がある。また、軸方向に交差する方向(例えば、直交方向)を、「半径方向」と称する。半径方向において、ハウジング60の中心線側を「内側」と称し、中心線から離れる側を「外側」と称する場合がある。
【0015】
(弁部10)
弁部10は、流路が形成されたオリフィスプレート161におけるオイルの流れを制御する調整バルブ170を保持するプランジャ11と、プランジャ11に固定された磁石等の磁性体12と、を有する。
【0016】
調整バルブ170は、軸方向において、パイロットバルブ162に対向する位置に設けられる。また、調整バルブ170は、軸方向において移動可能になっており、第1側に向けて移動することで、パイロットバルブ162に接触可能になっている。このように、調整バルブ170は、パイロットバルブ162と接触する状態から、パイロットバルブ162に対して最も離れた状態までの間で任意の状態をとることが可能である。これによって、調整バルブ170は、オリフィスプレート161における流路を流れるオイルの流量を調整可能になっている。それゆえ、調整バルブ170は、ソレノイド1により位置が調整され、オイルが流路を開閉する力を調整するバルブの一例として機能する。なお、調整バルブ170と、ソレノイド1とにより、ソレノイドバルブ180が構成される。
【0017】
プランジャ11は、軸方向に沿って形成されるロッド状の部材である。プランジャ11は、第1側にて調整バルブ170を保持するとともに、軸方向の中央部に磁性体12を保持する。プランジャ11は、軸受を介して軸方向に移動可能に後述する固定鉄心21や支持部材164に支持される。プランジャ11は、ソレノイド部20が通電状態のときに、ソレノイド部20によって、調整バルブ170とともに第1側に向けて押し出される。一方で、プランジャ11は、ソレノイド部20が非通電状態のときに、圧縮コイルバネ163によって、調整バルブ170とともに第2側に向けて押し戻される。
【0018】
(ハウジング60)
ハウジング60は、外側に設けられた略円筒形状の外側ハウジング70と、外側ハウジング70よりも内側に設けられた内側ハウジング80と、を備える。外側ハウジング70および内側ハウジング80は、金属にて成形されていることを例示することができる。あるいは、外側ハウジング70は金属にて成形され、内側ハウジング80は樹脂にて成形されていることを例示することができる。
【0019】
外側ハウジング70は、第1側の部位が、シリンダ部110のダンパケース113外周面に、例えば溶接等によって固定される。外側ハウジング70の内周面には、雌ねじ70aが形成されている。
【0020】
図3に示すように、外側ハウジング70は、第2側の端部に設けられた第1円筒状部71と、第1円筒状部71よりも第1側に設けられた第2円筒状部72と、を有する。第1円筒状部71の内径と第2円筒状部72の内径とは同一であり、第1円筒状部71の外径は、第2円筒状部72の外径よりも小さい。第2円筒状部72における第2側の端部であって内側の部位には、全周に亘って、第2側の端面73から第1側に凹んだ溝部74が形成されている。溝部74は、外側の部位に、第2側から第1側に行くに従って徐々に径が小さくなるように軸方向に対して傾斜した傾斜面75を有する。
【0021】
第1円筒状部71の外周面76、第2円筒状部72の外周面77、端面73および溝部74を含む外側ハウジング70の外面には、塗装が施されている。塗装は、耐食性が高いカチオン電着塗装であることを例示することができる。
なお、溝部74における軸方向に平行な面にて切断した断面形状は、半円状であっても良い。
【0022】
内側ハウジング80は、略円筒形状の円筒状部81と、円筒状部81の内周面から内側に突出した円環状の円環状部82と、を有する。
円筒状部81における第1側の端部には雄ねじ83が形成されており、外側ハウジング70の内周面に形成された雌ねじ70aに締め付けられている。また、円筒状部81には、雄ねじ83よりも第2側の部位に、外周面から凹んだ凹部84が形成されており、凹部84に、内側ハウジング80の外周面と、外側ハウジング70の内周面との間をシールするOリング85を保持する。
また、円筒状部81には、第2側の端部に、内周面から凹んだ第1係合部86が全周に亘って形成されている。
【0023】
(ソレノイド部20)
ソレノイド部20は、ハウジング60の開口部61を覆うカバー部30と、固定鉄心21と、ハウジング60に対するカバー部30の軸方向の位置決めを行うクリップ22と、を有する。そして、ソレノイド部20は、通電状態になることで、プランジャ11を第1側に向けて押し出す。
【0024】
クリップ22は、軸方向に平行な面にて切断された場合の断面形状が、軸方向が短手方向、半径方向が長手方向となる長方形であり、軸方向に直交する面にて切断した断面形状がC字状である、金属製の部材である。
【0025】
カバー部30は、コイル31と、コイル31を保持するとともにハウジング60の開口部61を覆う覆い部40と、コイル31に通電するためのコネクタ部32と、を有する。カバー部30は、金属製のコイル31等を金型に保持した状態で、覆い部40やコネクタ部32に対応する部位に、軟化する温度に加熱した樹脂を型に充填するインサート成形にて成形されている。
【0026】
覆い部40は、ハウジング60の開口部61を覆う円盤状の部位から第1側に突出し、ハウジング60の内部に挿入される略円筒状の内側突出部41と、内側突出部41よりも外側において第1側に突出した略円筒状の外側突出部50とを有する。これら内側突出部41および外側突出部50は、モールド樹脂にて成形されている。
【0027】
内側突出部41は、固定鉄心21よりも外側であってハウジング60よりも内側に設けられており、軸方向において、プランジャ11に固定された磁性体12の移動領域と重なる位置にコイル31を有する。
【0028】
また、内側突出部41には、軸方向の中央部よりも第2側の部位に、外周面から凹んだ第2係合部45が全周に亘って形成されている。第2係合部45は、軸方向において、内側ハウジング80の円筒状部81に形成された第1係合部86に対応する位置に形成されている。第2係合部45および第1係合部86には、クリップ22が嵌め込まれている。
【0029】
外側突出部50は、外側ハウジング70の第2側の端部よりも外側に設けられて、外側ハウジング70の第2側の端部の周囲を覆う。外側突出部50と、外側ハウジング70との間の隙間は、シール体90にてシールされている。
【0030】
外側突出部50は、第1側の端部に設けられた第1円筒状部51と、第2側の端部に設けられた第2円筒状部52とを有する。第1円筒状部51の外径と第2円筒状部52の外径とは同一であり、第1円筒状部51の内径は、第2円筒状部52の内径よりも大きい。第2円筒状部52における第1側の端部であって外側の部位には、第1側の端面53から第2側に凹んだ溝部54が形成されている。溝部54は、内側の部位に、第2側から第1側に行くに従って徐々に径が小さくなるように軸方向に対して傾斜した傾斜面55を有する。
なお、溝部54における軸方向に平行な面にて切断した断面形状は、半円状であっても良い。
【0031】
シール体90は、カバー部30と外側ハウジング70との間に組付けられる前における軸方向に平行な面にて切断した断面形状が、長辺が軸方向となる楕円状である。そして、シール体90は、カバー部30の外側突出部50の溝部54と外側ハウジング70の溝部74との間に挟み込まれて、外側突出部50の傾斜面55と外側ハウジング70の傾斜面75とにより力を受けて弾性変形し、外側突出部50と外側ハウジング70との間の隙間をシールする。
なお、シール体90は、断面形状が楕円状のものに限定されない。例えば、シール体90は、OリングやXリングであっても良い。
【0032】
外側ハウジング70とカバー部30の外側突出部50との間にシール体90が弾性変形された状態で挟み込まれていることで、カバー部30には、軸方向に第1側から第2側に向かう方向の力が作用する。本実施形態においては、この力がカバー部30に作用したとしても、カバー部30の第2係合部45に嵌め込まれたクリップ22が内側ハウジング80の第1係合部86に突き当たることで、カバー部30の第2側への移動が抑制される。
【0033】
以上のように構成されたソレノイド1は、以下のように組み立てられることを例示することができる。すなわち、作業者は、ダンパケース113の外周面に固定された外側ハウジング70の内部に、オリフィスプレート161、パイロットバルブ162、圧縮コイルバネ163等の減衰機構を構成する部品、調整バルブ170、プランジャ11、磁性体12等の弁部10を構成する部品、支持部材164、固定鉄心21等を組み付ける。その後、作業者は、内側ハウジング80を外側ハウジング70に締め付ける。そして、外側ハウジング70の溝部74にシール体90を配置した状態で、カバー部30を、ハウジング60に対して組み付ける。その際、カバー部30の内側突出部41の第2係合部45にクリップ22を嵌めた状態で、内側突出部41を内側ハウジング80の内側に挿入する。クリップ22が、内側ハウジング80の内周面に接触することで縮径して内側突出部41の第2係合部45に完全に埋め込まれるように弾性変形した状態で、内側突出部41が内側ハウジング80の内部に挿入される。その後、クリップ22が内側ハウジング80に形成された第1係合部86に対応する位置まで挿入されたときに、拡径して、クリップ22における外側の部位が第1係合部86に嵌り込む。これにより、カバー部30がハウジング60に組付けられた後においては、カバー部30がハウジング60から抜けることが抑制される。すなわち、クリップ22における第1側の面が第2係合部45における第1側の面に突き当たるとともに、クリップ22における第2側の面が第1係合部86における第2側の面に突き当たることで、カバー部30が、ハウジング60から離れる方向の力をシール体90から受けてもハウジング60から抜けることが抑制される。
【0034】
以上説明したソレノイド1は、コイル31と、コイル31の周囲をモールド樹脂にて覆う内側突出部41(周囲部の一例)と、を有するソレノイド部20(ソレノイド本体の一例)を備える。また、ソレノイド1は、内側突出部41が挿入されるハウジング60と、ソレノイド部20とハウジング60との間の隙間Sをシールするシール体90と、を備える。ソレノイド部20は、ハウジング60に対する内側突出部41の挿入方向の一例としての軸方向に対して交差する方向の傾斜面55(第1交差面の一例)を有し、ハウジング60は、軸方向に対して交差する方向の傾斜面75(第2交差面の一例)を有する。そして、シール体90は、傾斜面55と傾斜面75とに接触することより隙間Sをシールする。
【0035】
以上のように構成されたソレノイド1によれば、シール体90は、カバー部30の傾斜面55および外側ハウジング70の傾斜面75と接触するので、シール体90が例えば軸方向に平行な面または軸方向に直交な面に接触する構成と比較して、傾斜面55および傾斜面75と、シール体90との接触面積が大きくなる。その結果、ソレノイド1によれば、ソレノイド部20とハウジング60との間の隙間Sのシール性能が向上するので、ハウジング60内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
【0036】
特に、本実施形態に係るシール体90は楕円状であるので、断面形状が例えば円形状であるOリングと比較して、傾斜面55および傾斜面75との接触面積が大きくなり、シール性能が向上する。
また、傾斜面55と傾斜面75とは、軸方向に対して同じ方向に傾斜しているので、シール体90は、傾斜面55と傾斜面75とにより挟み込まれ易く、傾斜面55および傾斜面75との接触面積が大きくなり、シール性能が向上する。
【0037】
また、シール体90は、外側ハウジング70の第2円筒状部72における第2側の端面73から凹んだ溝部74と、カバー部30の外側突出部50における第1側の端面53から凹んだ溝部54との間に配置されるので、例えば楕円状の長辺が半径方向と平行となるように倒れることが抑制される。その結果、カバー部30とハウジング60との間のシール性が向上する。
【0038】
また、ソレノイド1においては、シール体90が、カバー部30と外側ハウジング70との間をシールする機能と、カバー部30がハウジング60から離れる方向の力を付与する反力部材としての機能を有する部材である。そして、ソレノイド1においては、クリップ22が、ハウジング60からカバー部30が脱落することを抑制する。それゆえ、ソレノイド1によれば、カバー部30を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド1を容易に組み立てることができる。また、シール体90は、汎用的な部品であるため、他の製品のシールに用いられる部材と共用化も可能である。
【0039】
また、外側ハウジング70は金属製であり、外周面77、および、傾斜面75の少なくともシール体90が接する部位よりも外側の部位に塗装が施されている。これにより、外側ハウジング70が錆びることが抑制される。さらに、塗装がカチオン電着塗装であることにより、例えばメッキが施されている場合よりも耐食性を高めることができる。
【0040】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るソレノイド2の概略構成の一例を示す図である。
第2実施形態に係るソレノイド2は、第1実施形態に係るソレノイド1に対して、外側ハウジング70に相当する外側ハウジング270が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第2実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0041】
外側ハウジング270は、第1実施形態に係る外側ハウジング70に対して、第2円筒状部72に相当する第2円筒状部272が異なる。第2円筒状部272は、第2側の端部に、第2側から第1側に行くに従って徐々に径が大きくなるように軸方向に対して傾斜した傾斜面275を有する。傾斜面275は、軸方向に対して、第1実施形態に係る傾斜面75とは異なる方向に傾斜している。それゆえ、傾斜面275と傾斜面55とは、軸方向に対して異なる方向に傾斜している。
【0042】
以上のように構成されたソレノイド2によれば、シール体90は、カバー部30の傾斜面55および外側ハウジング270の傾斜面275と接触するので、傾斜面55および傾斜面275と、シール体90との接触面積が大きくなる。その結果、カバー部30と外側ハウジング270との間の隙間Sのシール性能が向上するので、外側ハウジング270内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、ソレノイド2においても、ソレノイド1と同様に、カバー部30を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド2を容易に組み立てることができる。また、シール体90は、汎用的な部品であるため、他の製品のシールに用いられる部材と共用化も可能である。また、シール体90は、カバー部30の外側突出部50における第1側の端面53から凹んだ溝部54に配置されるので、例えば楕円状の長辺が半径方向と平行となるように倒れることが抑制される。
【0044】
ソレノイド2においては、外側ハウジング270の傾斜面275と外周面277とのなす面は鈍角である。それゆえ、外側ハウジング270の傾斜面275と外周面277との接続部に施される塗装の膜厚が、例えば外周面76等の他の部位に施される塗装の膜厚よりも小さくなり難い。その結果、ソレノイド2は、耐食性が高くなる。
【0045】
図5は、第2実施形態に係る外側ハウジング270の変形例の一例を示す図である。
外側ハウジング270は、第2円筒状部272の傾斜面275と外周面277との間に、第2側から第1側に行くに従って徐々に径が大きくなるように曲がった曲面278を有していても良い。つまり、外側ハウジング270は、傾斜面275と外周面277とを繋ぐ曲面278を有していても良い。曲面278が設けられていることで、外側ハウジング270の傾斜面275と外周面277との接続部である曲面278に施される塗装の膜厚が、例えば外周面76等の他の部位に施される塗装の膜厚よりも小さくなり難い。その結果、ソレノイド2は、耐食性が高くなる。
【0046】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係るソレノイド3の概略構成の一例を示す図である。
第3実施形態に係るソレノイド3は、第2実施形態に係るソレノイド2に対して、カバー部30、外側突出部50にそれぞれ相当するカバー部330、外側突出部350が異なる。以下、第2実施形態と異なる点について説明する。第2実施形態と第3実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0047】
外側突出部350は、第2実施形態に係る外側突出部50に対して、第2円筒状部52に相当する第2円筒状部352が異なる。第2円筒状部352は、第1側の端部に、第2側から第1側に行くに従って徐々に径が大きくなるように軸方向に対して傾斜した傾斜面355を有する。傾斜面355は、軸方向に対して、第2実施形態に係る傾斜面55とは異なる方向に傾斜している。それゆえ、傾斜面355と傾斜面275とは、軸方向に対して同じ方向に傾斜している。
【0048】
以上のように構成されたソレノイド3によれば、シール体90は、カバー部330の傾斜面355および外側ハウジング270の傾斜面275と接触するので、傾斜面355および傾斜面275と、シール体90との接触面積が大きくなる。その結果、カバー部330と外側ハウジング270との間の隙間Sのシール性能が向上するので、外側ハウジング270内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、ソレノイド3においても、カバー部330を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド3を容易に組み立てることができる。
【0050】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態に係るソレノイド4の概略構成の一例を示す図である。
第4実施形態に係るソレノイド4は、第3実施形態に係るソレノイド3に対して、外側ハウジング270に相当する外側ハウジング470が異なる。以下、第3実施形態と異なる点について説明する。第3実施形態と第4実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0051】
外側ハウジング470は、第3実施形態に係る外側ハウジング270に対して、第2円筒状部272に相当する第2円筒状部472が異なる。第2円筒状部472は、第2側の端部に、軸方向に対して傾斜した傾斜面275の代わりに、軸方向に対して直交な直交面475を有する。
【0052】
以上のように構成されたソレノイド4によれば、シール体90は、カバー部330の傾斜面355および外側ハウジング470の直交面475と接触するので、両端部が軸方向に直交な面に接触する構成と比較して、傾斜面355とシール体90との接触面積が大きくなる。その結果、カバー部330と外側ハウジング470との間の隙間Sのシール性能が向上するので、外側ハウジング470内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
また、ソレノイド4においても、カバー部330を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド4を容易に組み立てることができる。
【0053】
<第5実施形態>
図8は、第5実施形態に係るソレノイド5の概略構成の一例を示す図である。
第5実施形態に係るソレノイド5は、第3実施形態に係るソレノイド3に対して、カバー部330、外側突出部350にそれぞれ相当するカバー部530、外側突出部550が異なる。以下、第3実施形態と異なる点について説明する。第3実施形態と第5実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0054】
外側突出部550は、第3実施形態に係る外側突出部350に対して、第2円筒状部352に相当する第2円筒状部552が異なる。第2円筒状部552は、第1側の端部に、軸方向に対して傾斜した傾斜面355の代わりに、軸方向に対して直交な直交面555を有する。
【0055】
以上のように構成されたソレノイド5によれば、シール体90は、カバー部530の直交面555および外側ハウジング270の傾斜面275と接触するので、両端部が軸方向に直交な面に接触する構成と比較して、傾斜面275とシール体90との接触面積が大きくなる。その結果、カバー部530と外側ハウジング270との間の隙間Sのシール性能が向上するので、外側ハウジング270内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
また、ソレノイド5においても、カバー部530を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド5を容易に組み立てることができる。
【0056】
<第6実施形態>
図9は、第6実施形態に係るソレノイド6の概略構成の一例を示す図である。
第6実施形態に係るソレノイド6は、第1実施形態に係るソレノイド1に対して、カバー部30に相当するカバー部630が異なるとともに、カバー部630に後述するスリーブ650が嵌め込まれている点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第6実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0057】
カバー部630は、カバー部30に対して、外側突出部50を有していない点が異なる。また、カバー部630には、ハウジング60の開口部61を覆う端面631から凹んだ凹部647が形成されている。凹部647は、軸方向に平行な平行面648と、第2側の端部に形成された軸方向に直交する直交面649とにより形成されている。
【0058】
そして、ソレノイド6においては、外側突出部50に相当するスリーブ650を、カバー部630の別部品として有している。スリーブ650は、カバー部630とは別に、金型を用いて成形されたモールド樹脂製品である。
【0059】
スリーブ650は、外側突出部50の第1円筒状部51、第2円筒状部52にそれぞれ相当する第1円筒状部651、第2円筒状部652を有している。また、スリーブ650は、外側突出部50の端面53、溝部54、傾斜面55にそれぞれ相当する端面653、溝部654、傾斜面655を有している。
【0060】
さらに、スリーブ650は、第2円筒状部652における第2側の端面の外周部から第2側に突出した凸部656を有している。凸部656は、円筒状に突出した部位であり、内周面の径は、カバー部630の平行面648の径よりも小さい。そして、スリーブ650は、凸部656がカバー部630の凹部647にしまりばめにて嵌め込まれることで、カバー部630に圧入される。あるいは、スリーブ650は、凸部656がカバー部630の凹部647にすきまばめにて嵌め込まれる。
【0061】
以上のように構成されたソレノイド6によれば、シール体90は、カバー部630の傾斜面655および外側ハウジング70の傾斜面75と接触するので、傾斜面655および傾斜面75と、シール体90との接触面積が大きくなる。その結果、カバー部630と外側ハウジング70との間の隙間Sのシール性能が向上するので、外側ハウジング70内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、ソレノイド6においても、カバー部630を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド6を容易に組み立てることができる。また、シール体90は、汎用的な部品であるため、他の製品のシールに用いられる部材と共用化も可能である。また、シール体90は、スリーブ650の溝部654と、外側ハウジング70の溝部74との間に配置されるので、例えば楕円状の長辺が半径方向と平行となるように倒れることが抑制される。
【0063】
なお、カバー部630とスリーブ650は、別部品ではなく、樹脂を用いて、カバー部630を1次成形型にて成形し、スリーブ650を2次成形型にて成形して両者を接合したものであっても良い。
また、第2実施形態に係るカバー部30、第3および第4実施形態に係るカバー部330、第5実施形態に係るカバー部530においても、第6実施形態に係るカバー部630とスリーブ650のように、嵌合された2つの別部品または接合された2部品により構成しても良い。
【0064】
<第7実施形態>
図10は、第7実施形態に係るソレノイド7の概略構成の一例を示す図である。
第7実施形態に係るソレノイド7は、第3実施形態に係るソレノイド3に対して、カバー部330に相当するカバー部730が異なるとともに、カバー部730に後述するスリーブ750が嵌め込まれている点が異なる。以下、第3実施形態と異なる点について説明する。第3実施形態と第7実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0065】
カバー部730は、カバー部330に対して、外側突出部350を有していない点が異なる。また、カバー部730には、外側ハウジング70の開口部を覆う端面731から円筒状に凹んだ凹部747が形成されている。
【0066】
そして、ソレノイド7においては、外側突出部350に相当するスリーブ750を、カバー部730の別部品として有している。スリーブ750は、カバー部730とは別に、金型を用いて成形されたモールド樹脂製品である。
【0067】
スリーブ750は、外側突出部350の第1円筒状部51、第2円筒状部352、傾斜面355にそれぞれ相当する、第1円筒状部751、第2円筒状部752、傾斜面755を有している。また、スリーブ750は、第2円筒状部752における第2側の端面の内周部から第2側に突出した凸部756を有している。凸部756は、円筒状に突出した部位である。そして、スリーブ750は、凸部756がカバー部730の凹部747にしまりばめにて嵌め込まれることで、カバー部730に圧入される。あるいは、スリーブ750は、凸部756がカバー部730の凹部747にすきまばめにて嵌め込まれる。
【0068】
以上のように構成されたソレノイド7によれば、シール体90は、スリーブ750の傾斜面755および外側ハウジング270の傾斜面275と接触するので、傾斜面755および傾斜面275と、シール体90との接触面積が大きくなる。その結果、カバー部730と外側ハウジング270との間の隙間Sのシール性能が向上するので、外側ハウジング270内の密封構造の信頼性を向上させることができる。
【0069】
また、ソレノイド7においても、カバー部730を固定するのに必要な部品を省略することができるので、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。また、作業者は、ソレノイド7を容易に組み立てることができる。また、シール体90は、汎用的な部品であるため、他の製品のシールに用いられる部材と共用化も可能である。
【0070】
なお、カバー部730とスリーブ750は、別部品ではなく、樹脂を用いて、カバー部730を1次成形型にて成形し、スリーブ750を2次成形型にて成形して両者を接合したものであっても良い。
また、第2実施形態に係るカバー部30、第3および第4実施形態に係るカバー部330、第5実施形態に係るカバー部530においても、第7実施形態に係るカバー部730における円筒状の凹部747とスリーブ750における円筒状の凸部756のように、円筒状の凹部と円筒状の凸部を用いて嵌合または接合しても良い。
【符号の説明】
【0071】
1,2,3,4,5,6,7…ソレノイド、20…ソレノイド部(ソレノイド本体の一例)、30,330,530,630,730…カバー部、31…コイル、41…内側突出部(周囲部の一例)、50,350,550…外側突出部、55,355…傾斜面(第1交差面の一例)、60…ハウジング、70,270,470…外側ハウジング、75,275…傾斜面(第2交差面の一例)、80…内側ハウジング、90…シール体、100…懸架装置、160…減衰力機構部、170…調整バルブ、180…ソレノイドバルブ、475…直交面(第2交差面の一例)、555…直交面(第1交差面の一例)、650,750…スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10