(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】温水装置の包装構造
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20250124BHJP
B65D 85/68 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B65D81/05 500A
B65D85/68 Z
(21)【出願番号】P 2021073108
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】片山 真吾
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-224343(JP,A)
【文献】米国特許第05755331(US,A)
【文献】特開2007-186235(JP,A)
【文献】特開2006-056531(JP,A)
【文献】特開2015-067339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 57/00-59/08
B65D 81/00-81/17
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が直方体形状の温水装置を載置するためのパレット部材と、前記温水装置の上部を覆うために底面開放の箱状に形成された天部材を有する温水装置の包装構造において、
前記天部材の天板部の対向する長辺から夫々下方に延びる側板部に設けられたスペーサ取付部と、このスペーサ取付部に
前記天部材の側方外側から差し込んで固定され
た緩衝用のスペーサ部材を備え
、
前記スペーサ取付部は前記側板部の幅方向中央上部に設けられ、
前記スペーサ取付部が、横長の第1挿通孔と、この第1挿通孔から下方に所定距離離隔した位置に前記第1挿通孔よりも短い横長の第2挿通孔を有し、
前記スペーサ部材が前記側板部よりも外側に突出するように取り付けられたことを特徴とする温水装置の包装構造。
【請求項2】
前記スペーサ部材は、緩衝機能を有する本体部と、この本体部の上部から側方に延びて前記第1挿通孔に差し込まれる第1差込部と、前記本体部の下部から前記第1差込部と同じ方向に延びて前記第2挿通孔に差し込まれる第2差込部とを有し、
前記第1差込部は、幅が前記第1挿通孔の長さよりも大きく形成された先端部と、幅方向両端が幅方向に切り欠かれたことにより前記第1挿通孔の長さよりも幅が小さい基端部を有することを特徴とする請求項1に記載の温水装置の包装構造。
【請求項3】
前記温水装置の上端角部を保護するために前記天部材の内側に前記天板部の長辺に沿うように配設された断面L字状の天パッド部材を有し、前記天パッド部材の下端が前記第2挿通孔に差し込まれた前記第2差込部で支持されることを特徴とする請求項2に記載の温水装置の包装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形が直方体形状の温水装置の包装構造に関し、特に運搬のために温水装置の底面よりも大きいパレット部材に載置した温水装置の包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、工場で製造されて出荷される温水装置は、フォークリフトによって運搬可能なようにパレット部材に載置される。そして、他の物体との衝突によって温水装置に汚れや傷がついたり破損したりしないように、例えば段ボール製の包装材で温水装置を覆い、パレット部材と共に包装材の外周をバンドで固定して一体化されている。この包装された温水装置を載せたパレット部材をフォークリフトで持ち上げたときに、フォークリフトが包装材に接触して包装材が汚れたり破損したりすることがないように、温水装置の底面よりも大きいパレット部材が使用される。
【0003】
出荷される複数の温水装置は、パレット部材間に隙間ができないように輸送車両に載せられる。このとき、パレット部材が温水装置の底面よりも大きいので、複数の温水装置の間には隙間があり、輸送中に輸送車両の揺れによって温水装置が揺動する場合がある。温水装置が揺動すると、隣り合う温水装置同士が衝突する虞があり、温水装置が転倒する虞もある。それ故、例えば特許文献1のように、温水装置上部の包装材にスペーサ部材を被せてバンドで固定し、揺動し易い方向に隣接する温水装置の包装材との間に隙間ができないようにすることにより、温水装置を揺動し難くして破損、転倒を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のスペーサ部材は、2つの緩衝機能部が対向するように天板部に一体的に形成され、2つの緩衝機能部が温水装置上部の包装材を側面から挟むように被せられている。しかし、2つの緩衝機能部を連結する天板部が大きいので、スペーサ部材を形成するための材料が多く必要であり、温水装置の包装材の製造コストが高くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、輸送時の揺動を抑制する機能を維持しながら材料を節約して、製造コストを低減することができる温水装置の包装構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の温水装置の包装構造は、外形が直方体形状の温水装置を載置するためのパレット部材と、前記温水装置の上部を覆うために底面開放の箱状に形成された天部材を有する温水装置の包装構造において、前記天部材の天板部の対向する長辺から夫々下方に延びる側板部に設けられたスペーサ取付部と、このスペーサ取付部に前記天部材の側方外側から差し込んで固定された緩衝用のスペーサ部材を備え、前記スペーサ取付部は前記側板部の幅方向中央上部に設けられ、前記スペーサ取付部が、横長の第1挿通孔と、この第1挿通孔から下方に所定距離離隔した位置に前記第1挿通孔よりも短い横長の第2挿通孔を有し、前記スペーサ部材が前記側板部よりも外側に突出するように取り付けられたことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、パレット部材に載置された直方体形状の温水装置の上部が天部材によって覆われる。この天部材の天板部の対向する長辺から下方に延びる側板部には、スペーサ取付部が設けられている。このスペーサ取付部には、緩衝用のスペーサ部材が天部材の側方外側から差し込まれ、側板部よりも外側に突出するように固定される。このスペーサ部材は、複数の温水装置の輸送時に、隣接する温水装置の天部材のスペーサ部材と支え合って揺動を抑制するように機能する。スペーサ部材が天部材の側方外側から差し込まれるので、スペーサ部材を小型化して材料を節約することができ、温水装置の包装構造の製造コストを低減することができる。
【0009】
また、天部材の側板部の幅方向中央上部に設けられたスペーサ取付部において、上下方向に所定距離離隔した横長の第1、第2挿通孔に、スペーサ部材が差し込まれて固定される。従って、スペーサ部材を2箇所で固定してスペーサ部材のずれ、脱落の発生を防止することができる。
【0010】
請求項2の発明の温水装置の包装構造は、請求項1の発明において、前記スペーサ部材は、緩衝機能を有する本体部と、この本体部の上部から側方に延びて前記第1挿通孔に差し込まれる第1差込部と、前記本体部の下部から前記第1差込部と同じ方向に延びて前記第2挿通孔に差し込まれる第2差込部とを有し、前記第1差込部は、幅が前記第1挿通孔の長さよりも大きく形成された先端部と、幅方向両端が幅方向に切り欠かれたことにより前記第1挿通孔の長さよりも幅が小さい基端部を有することを特徴としている。
上記構成によれば、スペーサ部材の第1差込部の幅は、先端部において第1挿通孔の長さより大きく、基端部において第1挿通孔の長さより小さい。それ故、第1挿通孔に基端部まで差し込まれた第1差込部は、先端部が天部材の側板部に係合して抜け難くなるので、スペーサ部材の脱落の発生を防止することができる。
【0011】
請求項3の発明の温水装置の包装構造は、請求項2の発明において、前記温水装置の上端角部を保護するために前記天部材の内側に前記天板部の長辺に沿うように配設された断面L字状の天パッド部材を有し、前記天パッド部材の下端が前記第2挿通孔に差し込まれた前記第2差込部で支持されることを特徴としている。
上記構成によれば、天パッド部材を天部材に装着した状態で温水装置に被せることができるので、温水装置の包装が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の温水装置の包装構造によれば、輸送時の揺動を抑制する包装材の機能を維持しながら、材料を節約して製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る温水装置の包装構造の斜視図である。
【
図2】
図1のスペーサ部材が固定された天部材の上面図である。
【
図6】
図5と反対方向から見たスペーサ部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
温水装置Hは、設置スペースを小さくすると共に建物の外壁に寄せて設置して外壁から突出する距離を小さくするために、外形が上下方向に長い薄型の直方体形状に形成されている。この温水装置Hを包装するための温水装置の包装構造1は、
図1に示すように、載置する温水装置Hの底面よりも載置面が大きいパレット部材2と、例えば段ボールシートが折り曲げられて形成された側面包装部材3と、底面開放の箱状に形成された天部材10と、これらを固定して一体化するための複数のバンド部材4,5を有する。
【0016】
パレット部材2に載置された温水装置Hは、側面包装部材3によって側面の大部分を覆われた状態で天部材10が被せられて、温水装置Hの上部が側面包装部材3の上部と共に天部材10に覆われる。この状態で側面包装部材3の外周をバンド部材4で締結すると共に、パレット部材2と天部材10をバンド部材5で締結することにより、温水装置の包装構造1を固定している。
【0017】
図2~
図4に示すように、天部材10は、矩形の天板部10aと、天板部10aの4辺から夫々下方に延びる側板部10b~10eを有する。矩形の天板部10aの一方の長辺から延びる側板部10bには、天板部10aと側板部10bとで形成される角部に近い側板部10bの幅方向中央上部に、緩衝用のスペーサ部材15を取り付けるためのスペーサ取付部11が設けられている。天板部10aの他方の長辺から延びる側板部10dにも、スペーサ取付部11と同様のスペーサ取付部12が設けられている。
【0018】
これらのスペーサ取付部11,12には、対応する緩衝用のスペーサ部材15が固定されている。スペーサ部材15は、複数の温水装置Hがパレット部材2間に隙間ができないように輸送車両に載せられたときに、隣接する温水装置Hの天部材10との間の隙間を埋めて衝突、衝撃を和らげる緩衝機能を有する。
【0019】
底面開放の箱状に形成された天部材10は、温水装置Hの上部に被せられ、バンド部材5で固定される(
図1参照)。温水装置の包装構造1で包装された複数の温水装置Hを載せた輸送車両が揺れた場合には、温水装置Hは底面の幅が狭い方向(
図4の左右方向)に揺動し易い。しかし、隣接する温水装置Hの間において、下部はパレット部材2によって隙間がなく、上部は天部材10の側板部10b,10dに夫々固定されたスペーサ部材15によって隙間がない。それ故、複数の温水装置Hが互いに支え合って揺動し難くなり、揺動による温水装置Hの破損、転倒を防ぐことができる。
【0020】
スペーサ取付部11,12について、
図3、
図4に基づいて説明する。
スペーサ取付部11は、天板部10aと側板部10bとで形成される角部に近い側板部10bの上端近傍に形成された横長の第1挿通孔11aと、第1挿通孔11aから下方に所定距離離隔した位置に形成された横長の第2挿通孔11bを有する。側板部10bの幅方向(左右方向)における第2挿通孔11bの長さは、第1挿通孔11aの長さよりも短く形成されている。スペーサ取付部12は、スペーサ取付部11と同じ構造なので説明を省略するが、横長の第1挿通孔12aと、第1挿通孔12aよりも短い横長の第2挿通孔12bを有する。
【0021】
スペーサ部材15について、
図5、
図6に基づいて説明する。
スペーサ部材15は、緩衝機能を備えた本体部15aと、第1挿通孔11aに差し込まれる第1差込部15bと、第2挿通孔11bに差し込まれる第2差込部15cを有する。本体部15aは、例えば側板部10bのスペーサ取付部11に固定されたときに直方体状のスペーサ部材15となるように、本体部15aの上部(本体部上部15d)と側部(本体部側部15e)と下部(本体部下部15f)によって断面コ字状に形成されている。そして、本体部下部15fの側板部10b側の端部と、本体部上部15dと本体部側部15eとで形成される角部を連結する補強部15gによって、本体部15a内が断面三角形の筒状に区画され、本体部15aの変形が抑制される。
【0022】
第1差込部15bは、本体部上部15dの側板部10b側部分から側方(側板部10b側)に延びている。この第1差込部15bは、幅が第1挿通孔11aの長さよりも大きい先端部15hと、幅が第1挿通孔11aの長さよりも小さい基端部15iを有する。先端部15hは、先端側ほど幅が狭くなるように形成された傾斜部を有する。第2差込部15cは、幅が第2挿通孔11bの長さと同等であり、本体部下部15fの幅方向中央部から第1差込部15bと同じ方向に延びている。
【0023】
スペーサ部材15は、例えば矩形状の段ボールシートを第1、第2差込部15b、15cを有する所定の形状に形成し、筒状に折り曲げて形成されている。
図7に示すように、矩形の段ボールシートの隣り合う2つの角部が斜めに切り取られて先端側程幅が狭くなる傾斜部が形成され、この幅方向に対向する段ボールシートの両端から幅方向中央に向かって細長い矩形状に夫々切り欠かれた同じ長さの切り欠き部15j、15kが形成されている。これにより、傾斜部を有する先端部15hと、先端部15hよりも幅が小さい第1差込部15bの基端部15iを有する第1差込部15bが形成されている。
【0024】
基端部15iと先端部15hを有する第1差込部15bは、段ボールシートにおけるスペーサ部材15の本体部15aとなる部分から延びている。尚、切り欠き部15j又は切り欠き部15kの長さと、第1差込部15bの基端部15iの幅の和が、第1挿通孔11aの長さと同程度になる。換言すると、切り欠き部15j又は切り欠き部15kの長さを、第1差込部15bの幅から減算した長さが、第1挿通孔11aの長さと同程度である。
【0025】
段ボールシートにおけるスペーサ部材15の本体部15aとなる部分は、第1差込部15bの幅方向と平行な3つの折り曲げ部を有し、これらを第1差込部15b側から順に第1折り曲げ部15m、第2折り曲げ部15n、第3折り曲げ部15pとする。第1差込部15bの基端部15iと第1折り曲げ部15mの間の部分が本体部上部15dになり、第1折り曲げ部15mと第2折り曲げ部15nの間の部分が本体部側部15eになる。また、第2折り曲げ部15nと第3折り曲げ部15pの間が本体部下部15fになり、第3折り曲げ部15pから第1差込部15bと反対側の端部までが補強部15gになる。
【0026】
補強部15gの第1差込部15bと反対側の端部には、2つの差込突起部15qが形成されている。本体部上部15dの第1折り曲げ部15mの近傍における2つの差込突起部15qに対応する位置には、補強部15gの2つの差込突起部15qを差し込むための2つの開口部15rが形成されている。第3折り曲げ部15pの中央部は、本体部下部15fから2つの差込突起部15q側に向かって突出するように補強部15gがコ字状に切り抜かれて、本体部下部15fから延びる第2差込部15cが形成されている。
【0027】
上記のように所定の形状に形成した段ボールシートを、第1折り曲げ部15m~第3折り曲げ部15pで同じ方向に折り曲げて、本体部側部15eと本体部下部15fと補強部15gとで断面が三角形の筒を形成する。そして、2つの差込突起部15qを対応する2つの開口部15rに差し込んで筒の形状を固定することにより、スペーサ部材16が形成される。第3折り曲げ部15pが折り曲げられることにより、第2差込部15cは本体部下部15fから突出した状態になる。また、このスペーサ部材15の本体部上部15dから延びる第1差込部15bを水平な姿勢にしたときに、第1差込部15bの基端部15iと第2差込部15cが鉛直方向において重なる位置になる。
【0028】
スペーサ部材15の取り付けについて、
図8に基づいて説明する。
最初に、上段に示すように、側板部10bの側方からスペーサ取付部11の第1挿通孔11aに対して第1差込部15bを斜め姿勢で差し込み、第1差込部15bの基端部15iにおける一方の切り欠き部として例えば切り欠き部15jに側板部10bをはめ込む。次に、中段に示すように、他方の切り欠き部15kを側板部10bに近づけるように差し込みながら、切り欠き部15j全体に側板部10bが入り込むように側板部10bの幅方向にスペーサ部材15を移動させ、切り欠き部15kの位置を側板部10bに合わせる。そして、下段に示すように、切り欠き部15kの一部にも側板部10bが入り込むようにスペーサ部材15を側板部10bの幅方向に移動させる。
【0029】
こうして、横長の第1挿通孔11aの長さよりも幅が大きい第1差込部15bの先端部15hが第1挿通孔11aに差し込まれる。そして、本体部上部15d及び第1差込部15bの先端部15hが側板部10bに係合して、第1差込部15bの差込方向及び差込方向と反対方向(抜出方向)への第1差込部15bの移動が規制される。この状態で第2差込部15cを第2挿通孔11bに差し込むことにより、スペーサ部材15の側板部10bの幅方向の移動が規制され、スペーサ部材15が天部材10に固定される。スペーサ取付部12においても上記と同様にして、スペーサ部材15が固定される。
【0030】
図3、
図9に示すように、天部材10の内側には、温水装置Hの幅が広い側面の上端角部を保護するために、その角部に沿う断面L字状に形成された天パッド部材18が配設される。このとき、第2挿通孔11bに差し込まれたスペーサ部材15の第2差込部15cによって、天パッド部材18の下端が支持される。また、天パッド部材18の上端が、第1挿通孔11aに差し込まれたスペーサ部材15の第1差込部15bに当接し、第1差込部15bと第2差込部15cによって天パッド部材18が挟持された状態になる。これにより、天パッド部材18を天部材10の内側に装着することが可能であり、高さがある温水装置Hに天パッド部材18を天部材10と共に容易に被せることができる。
【0031】
上記の温水装置の包装構造1の作用、効果について説明する。
パレット部材2に載置された温水装置Hに天部材10が被せられて、温水装置Hの上部が覆われる。この天部材10の天板部10aの対向する長辺から下方に延びる側板部10b,10dには、スペーサ取付部11,12が設けられている。このスペーサ取付部11,12には、対応する緩衝用のスペーサ部材15が側方外側から差し込まれ、側板部10b,10dよりも外側に突出するように固定される。このスペーサ部材15は、複数の温水装置Hの輸送時に、隣接する温水装置Hの天部材10のスペーサ部材15と支え合って揺動を抑制するように機能し、従来の天部材10に被せるタイプよりもスペーサ部材15を小型化して材料を節約することができ、温水装置の包装構造1の製造コストを低減することができる。
【0032】
また、天部材10の側板部10bの幅方向中央上部に設けられたスペーサ取付部11において、対応するスペーサ部材15が、上下方向に所定距離離隔した横長の第1挿通孔11a、第2挿通孔11bに差し込まれて固定される。天部材10の側板部10dの幅方向中央上部に設けられたスペーサ取付部12においても同様に、対応するスペーサ部材15が上下方向に所定距離離隔した横長の第1挿通孔12a、第2挿通孔12bに差し込まれて固定される。スペーサ部材15を上下2箇所で固定することによって、スペーサ部材15のずれ、脱落を防止することができる。
【0033】
スペーサ部材15の第1差込部15bの幅は、先端部15hにおいて第1挿通孔11a,12aの長さより大きく、基端部15iにおいて第1挿通孔11a,12aの長さより小さい。それ故、第1挿通孔11a,12aに対応するスペーサ部材15の基端部15iまで差し込まれた第1差込部15bは、先端部15hが天部材10の側板部10b,10dに係合して抜け難くなるので、スペーサ部材15のずれ、脱落を防止することができる。
【0034】
温水装置Hの上端角部を保護するために、天部材10の内側に天板部10aの対向する長辺に沿うように、断面L字状の天パッド部材18が夫々配設されている。天パッド部材18の下端は、第2挿通孔11b,12bに夫々差し込まれた前記第2差込部15cで支持される。天パッド部材18を天部材10に装着した状態で温水装置Hに被せることができるので、温水装置Hの包装が容易になる。
【0035】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0036】
1 :温水装置の包装構造
2 :パレット部材
3 :側面包装部材
4,5 :バンド部材
10 :天部材
10a :天板部
10b~10e :側板部
11,12 :スペーサ取付部
11a,12a :第1挿通孔
11b,12b :第2挿通孔
15 :スペーサ部材
15a :本体部
15b :第1差込部
15c :第2差込部
15d :本体部上部
15e :本体部側部
15f :本体部下部
15g :補強部
15h :先端部
15i :基端部
15j,15k :切り欠き部
15q :差込突起部
15r :開口部
18 :天パッド部材
H :温水装置